説明

皮膚病変治療のための組成物および方法

動物における皮膚病変を予防しまたは治療する方法であって、該方法は動物の皮膚に組成物を局所的に適用することを含み、その組成物は一つまたはそれ以上の金属キレート剤、一つまたはそれ以上のトランスフォーミング成長因子調節剤および一つまたはそれ以上の皮膚透過促進剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばヒトである動物患者における糖尿病性潰瘍や静脈性潰瘍のような皮膚病変治療のための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚病変、特に慢性的な皮膚病変の有効的な治療は医学にとって長年の課題である。自己免疫疾患やアトピー性皮膚炎、化学療法、糖尿病、床ずれや静脈疾患に対して慢性的にステロイド療法を行っていると皮膚病変が生じ得る。これらの皮膚に開口した損傷は、しばしば長期間に渡って存在することがある。特に関心を引く一例は静脈疾患の結果として存在する皮膚病変である。静脈弁は表面近くの血管から深層部の、遠位から近位部方向の血管まで血流量を制御する。機能不全の弁は脚の筋肉が弛緩したときに血液の逆流を許し、通常よりも高い血圧に寄与することになる。この血管性高血圧が慢性静脈不全(CVI)の主要因子である。
【0003】
CVIは、脚の脛領域(下肢部)に生じ得る、異なった多数の変化を包含する一般用語である。これらの変化は血管の長く続く高血圧が原因であり、該高血圧は通常、血管内の血流異常のために起こるが脚の血管が邪魔された場合にも起こり得る。CVIは両下肢に血流を貯留させて、腫れや軽い発赤、皮膚の落屑等を生じさせ、次いでこれらが潰瘍化につながることが起こり得る。血管性潰瘍はどこにでも生じて治癒には一月から何年も要し、再発が珍しくない。
【0004】
伝統的には、生じた潰瘍はいずれも、しばしば抗生物質溶液を含む圧縮的な包帯で処置される。しかしながら、局所投与された抗生物質は脚の潰瘍治癒には有効ではないことが示され、しかも皮膚感作を起こしやすく、こうして下肢部に静脈疾患のある患者は包帯物質に対して極めて容易にアレルギーとなる。再発した潰瘍化は皮膚移植か障害血管のバイパス若しくは治療により外科的に処理することができる。過去においては、薬物治療は殆ど効果がなかった。しかしながら近年では、静脈疾患における皮膚損傷にある病因的メカニズムの理解が進み、より合理的な薬物治療がなされるようになった。
【0005】
既に存在するトラフェルミン、ベカプルミンおよびトラニラストのような生理的に活性な薬物は高価であって、病変部位内およびその周辺からの経皮浸透が低いので効力は限られている。
皮膚病変を生じた動物の病変、特に、CVIによる下肢およびかかとの皮膚病変である静脈性潰瘍において、その治癒程度および治癒率がキレート剤の使用により有意に向上することが示された〔アルホーン等(Allhorn,M. et al.), 2003, J.Invest.Dermatol., 121(3):640-646)〕。
【0006】
静脈の潰瘍化において過剰の金属沈着が組織損傷を活動的に保持し続けることが示された。WO03/002119(2001年6月27日)は、金属キレート剤を投与してリポ皮膚硬化症を予防し治療する方法を開示する。好ましい化合物としては、芳香族アミン、カルボニル、オキシメート、エノレート、フェノキシド、カテコレート、およびヒドロキシレートが記載されている。より具体的には、1,10-フェナンスロリンが開示されている。過剰の金属の除去がリポ皮膚硬化症の線維化兆候を予防若しくは治療し、続いて慢性的炎症を軽減すると考えられる。
【0007】
成長因子は神経血管新生を促進することが示された。米国特許6541447号は、トランスフォーミング成長因子αを包含し、成長因子を含むオボアルブミンを含んでなる、患者において創傷治癒を促進する組成物を開示する。エストロゲンのようなトランスフォーミング成長因子(TGF)の調節剤もまた、創傷治癒を増大させることが示された〔アシュクロフト等(Ashcroft, GS et al.), 1997, Nature Med, 3(11):1209-1215、およびEP0930876〕。
【0008】
皮膚病変を治療するための方法及びこれを促進する組成物が求められている。
本明細書で引用する文献は、特許および特許文献を含めていずれも先行技術を構成するとは認められない。特に、特別に述べない限り、次のように理解すべきである;ここでいずれかの文献を参照したとしても、それはこれらの文献がオーストラリアおよび他のいずれの国においても当業者の通常の一般知識の一部であることを認めるものでない。文献の議論はその著者の主張であって、出願人はここで引用するいずれの文献においてもその妥当性と正確性について挑戦する権利を保有する。
【発明の開示】
【0009】
要約
我々は、1,10-フェナンスロリンのような金属キレート剤をエストロゲンのようなTGF調節剤と組み合わせて経皮的に投与し、皮膚病変の有効な治療および/または予防を提供できることを見出した。皮膚透過促進剤、金属キレート剤およびTGF調節剤の局所使用は病変修復過程を調節し、治癒の程度と速度を増大させる。
第一の側面では、本発明は動物の皮膚病変を治療しまたは予防する方法を提供し、その方法は動物の皮膚領域への組成物の局所適用を含んでその組成物は次のものを含む;
一つまたはそれ以上の金属キレート剤、一つまたはそれ以上のトランスフォーミング成長因子調節剤および一つまたはそれ以上の皮膚透過促進剤。
【0010】
第二の側面では、本発明は皮膚病変を治療しまたは予防する経皮投与組成物を提供し、その組成物は次のものを含む;
一つまたはそれ以上の金属キレート剤、一つまたはそれ以上のトランスフォーミング成長因子調節剤および一つまたはそれ以上の皮膚透過促進剤。
第三の側面では、本発明は金属キレート剤と組み合わせたトランスフォーミング成長因子調節剤の使用を提供する。この組み合わせは、脛部位への局所投与により、皮膚病変の動物の病変治癒の程度と速度を増大させる。
さらなる側面では、本発明は皮膚病変の予防または治療のための経皮組成物の製造において、少なくとも一つのTGF成長因子調節剤と少なくとも一つの金属キレート剤の使用を提供する。
【0011】
本発明の組成物は、エタノールまたはイソプロパノールのようなひとつまたはそれ以上の揮発性液体を含んでもよい。
非密閉性の経皮薬物輸送系の適用後は輸送系の揮発成分が蒸発して、その薬物輸送系が適用された皮膚領域は手で触れるほど乾燥することが好ましい。より好ましくは3分以内、さらに好ましくは1分以内でそのように乾燥するのがよい。非密閉性の薬物輸送系の揮発性液体が一度蒸発すると、非揮発性の皮膚透過促進剤および活性薬混合物を角質層に送り込み、皮膚外表面は実質上、薬物も皮膚透過促進剤もなくなる。揮発性液体が一度蒸発すると、通常の接触、衣服を着けたり、皮膚をすすぎ、または洗浄までしても有意な程度で薬物輸送に影響したり、活性薬や非揮発性の皮膚透過促進剤と置き換わることはない。
【0012】
本発明は薬物輸送の促進のため一つまたはそれ以上の皮膚透過促進剤を使用する。本発明はゲル、ローション、パッチ剤のような伝統的な投与形態を使用してもよい。好ましくは、組成物が患者皮膚にスプレイされて適用されるのがよい。
好ましくは、該組成物は脛部位(下肢)に、または直接皮膚病変上に毎日適用される。
本発明の薬物輸送組成物には、個々の投与および用量形態に適するように、活性薬、共溶媒、界面活性剤、乳化剤、抗酸化剤、保存剤、安定化剤、希釈剤および該成分の二つ以上の混合物よりなる群から選択される一つまたはそれ以上の成分が組み合わされてもよい。使用される成分の種類と量は、本発明の皮膚透過促進剤のみならず金属キレート剤およびTGF調節剤と適合するものである必要がある。共溶媒またはその他の標準的な補助剤、例えば界面活性剤は、キレート剤の目的の濃度の溶液若しくは懸濁液を維持するために必要かもしれない。
【0013】
詳細な説明
本発明の組成物は好ましくは約0.1%から約10%の金属キレート剤、約0.1%から約10%のTGF調節剤、約0.1%から約10%の皮膚透過促進剤、および任意で約45%から約99.8%の揮発性溶媒を含む。
他の好ましい形態においては、その揮発性液体はエタノール、イソプロパノールまたはその混合物を約80%から98%の範囲で含む。さらに好ましくは本発明の組成物は約1%から5%の金属キレート剤、約1%から5%のTGF調節剤、約2%から8%の皮膚透過促進剤、約45%から90%のエタノール、イソプロパノールまたはその混合物、5から45%の水、および任意で0.5から5%の増粘剤を含む。
【0014】
好ましい金属キレート剤は8-ヒドロキシキノリン、8-ヒドロキシキノリン-5-スルホン酸、ジエチルジチオカルバメート、フェナンスロリンおよびその誘導体、ジピコリネート、ジフェニルチオカルバゾン、ジチゾン、シメチジン、ジピコリン酸、デフェリプロン、ジアセレイン、クリオキノール、または前述したいずれかの薬学的に許容される塩若しくは誘導体を包含する。
より好ましくは金属キレート剤は1,10-フェナンスロリンである。
適切なTGF調節剤はエストロゲンでエストラジオール、ストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メストラノール、スチルベストロール、ジエノストロール、エピエストリオール、エストロピペート、ゼラノール、または前述したいずれかの薬学的に許容される塩若しくは誘導体を包含する。
【0015】
より好ましくは、エストロゲンはエストラジオールである。
金属キレート剤およびエストロゲンの濃度、適用される組成物の用量は、具体的な剤型および局所投与の広さを考慮して治療効果を与えるのに十分である。
目的のキレート剤およびエストロゲンのようなTGF調節剤を輸送する皮膚透過促進剤の性能は、皮膚透過促進剤、エストロゲンおよびキレート剤の性質の違いにより変化する。種々の金属キレート剤の輸送を適切なものとするためには異なる皮膚透過促進剤を選択する必要があるかもしれないことを理解すべきである。
皮膚透過促進剤は親油性の非揮発性液体でその蒸気圧が大気下10mmHgより低く、通常の皮膚温度が32℃の促進剤の種類から選択することができる。好ましくは、皮膚透過促進剤は分子量が200から400ダルトンの範囲のものである。
【0016】
皮膚透過促進剤は、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、グリコールおよびグリコールエステル、1,3-ジオキソランおよび1,3-ジオキサン、少なくとも12個の炭素原子を含む大環状ケトン、オキサゾリジノンおよびオキサゾリジノン誘導体、アルキル-2-(N,N-二置換アミノ)-アルカン酸エステル、(N,N-二置換アミノ)-アルカノールアルカン酸エステル、サンスクリーンエステルおよびその混合物よりなる群から選択することができる。より好ましくは、皮膚透過促進剤は、オレイン酸、オレイルアルコール、シクロペンタデカノン(CPE-218(商標))、ソルビタンモノオレエート、グリセロールモノオレエート、プロピレングリコールモンラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、2-n-ノニル 1,3ジオキソラン(SEPA(商標))、ドデシル 2-(N,N-ジメチルアミノ)-プロピオネート(DDAIP)若しくはその塩誘導体、2-エチルヘキシル 2-エチルヘキサノエート、イソプロピル ミリステート、ジメチル イソソルビド、4-デシロキサゾリジン-2-オン(SR-38(商標), TCPI,Inc.)、3-メチル-4-デシロキサゾリジン-2-オン、オクチル ジメチル-パラアミノベンゾエート、オクチル パラメトキシシンナメート、サリチル酸オクチルおよびその混合物を含むリストから選択される。
【0017】
好ましくは、皮膚透過促進剤のクラスは、安全な皮膚耐性エステルサンスクリーンであ。
ここで使用する「局所」および「経皮」の語は、最も広義に、薬物を皮膚組織にまで通過させるために、ヒトを含む動物の粘膜または皮膚表面への薬物の投与をいう。他に提示または暗示のない限り、局所薬物輸送と経皮薬物輸送の語は同義的に使用する。
「皮膚透過促進剤」の語は、最も広義に、局所投与または全身投与にかかわらず、活性薬物の経皮輸送速度または活性薬物の動物のような有機体への輸送および使用を改良する薬物をいう。
好ましくは、動物はヒトであるが本発明はヒト以外の動物の治療にも拡張できる。
【実施例1】
【0018】
組み合わせた経皮スプレイ組成物
【表1】

Figure 1およびFigure 2は、本発明に従って経皮投与された1,10-フェナンスロリンおよびエストラジオールにより得られた拡散プロフィールを示す。経皮スプレイ剤型へのサリチル酸オクチルの添加は皮膚へ拡散する1,10-フェナンスロリンおよびエストラジオールの量の顕著な有意な増加を引き起こす。
【実施例2】
【0019】
組み合わせた経皮スプレイ組成物
【表2】

【実施例3】
【0020】
組み合わせた経皮スプレイ組成物
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】Figure 1 のグラフは皮膚に拡散した1,10-フェナンスロリンの予想蓄積量を示す。
【0022】
【図2】Figure 2 のグラフは皮膚に拡散したエストラジオールの予想蓄積量を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物における皮膚病変を予防しまたは治療する方法であって、その動物の皮膚領域に以下の物を含む組成物を局所適用することを含む方法;
ひとつまたはそれ以上の金属キレート剤;
ひとつまたはそれ以上のトランスフォーミング成長因子調節剤;および
ひとつまたはそれ以上の皮膚透過促進剤。
【請求項2】
その動物がCVIに罹患していて、その組成物が動物の下肢の脛部分に適用される、請求項1の方法。
【請求項3】
該組成物がひとつまたはそれ以上の揮発性液体を含む、請求項1の方法。
【請求項4】
ひとつまたはそれ以上の揮発性液体がエタノール、イソプロパノールおよびこれらの混合物よりなる群から選択される、請求項3の方法。
【請求項5】
その組成物がゲル、ローション、パッチ剤およびエアロゾルスプレイよりなる群から選択される用量剤型である、請求項1の方法。
【請求項6】
動物の皮膚上への組成物のスプレイにより該組成物が適用される、請求項1の方法。
【請求項7】
組成物が、活性薬物、共溶媒、界面活性剤、乳化剤、抗酸化剤、保存剤、安定化剤、希釈剤およびそれらのふたつ以上の混合物よりなる群から選択される少なくとも一つの追加成分を含む、請求項1の方法。
【請求項8】
目的の濃度においてキレート剤を溶液または懸濁液として維持するために、十分な共溶媒および/または界面活性剤を含む、請求項1の方法。
【請求項9】
組成物が、約0.1%から約10%の金属キレート剤、約0.1%から約10%のTGF調節剤および約0.1%から約10%の皮膚透過促進剤を含む、請求項1の方法。
【請求項10】
組成物が、約45%から約99.8%の揮発性溶媒を含む、請求項9の方法。
【請求項11】
揮発性溶媒がエタノール、イソプロパノールおよびこれらの混合物よりなる群から選択され、約80から約98%の範囲である、請求項10の方法。
【請求項12】
組成物が、約1から5%の金属キレート剤、約1から5%のTGF調節剤および約2から8%の皮膚透過促進剤、約45から90%のエタノール、イソプロパノール若しくはこれらの混合物、および5から45%の水を含む、請求項1の方法。
【請求項13】
組成物がさらに0.5から5%の増粘剤を含む、請求項11の方法。
【請求項14】
キレート剤が8-ヒドロキシキノリン、8-ヒドロキシキノリン-5-スルホン酸、ジエチルジチオカルバメート、フェナンスロリンおよびその誘導体、ジピコリネート、ジフェニルチオカルバゾン、ジチゾン、シメチジン、ジピコリン酸、デフェリプロン、ジアセレイン、クリオキノールおよび前述した任意のものの薬学的に許容される塩および誘導体よりなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含む、請求項1の方法。
【請求項15】
キレート剤が1,10-フェナンスロリンである、請求項1の方法。
【請求項16】
エストロゲンがエストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メストラノール、スチルベストロール、ジエノエストロール、エピエストリオール、エストロピペート、ゼラノールおよび前述した任意のものの薬学的に許容される塩および誘導体よりなる群から選択される、請求項1の方法。
【請求項17】
エストロゲンがエストラジオールである、請求項15の方法。
【請求項18】
ひとつまたはそれ以上の皮膚透過促進剤が脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、グリコールおよびグリコールエステル、1,3-ジオキソランおよび1,3-ジオキサン、少なくとも12個の炭素原子を含む大環状ケトン、オキサゾリジノンおよびオキサゾリジノン誘導体、アルキル-2-(N,N-二置換アミノ)-アルカン酸エステル、(N,N-二置換アミノ)-アルカノールアルカン酸エステル、サンスクリーンエステルおよびその混合物よりなる群から選択される、請求項1の方法。
【請求項19】
ひとつまたはそれ以上の皮膚透過促進剤がオレイン酸、オレイルアルコール、シクロペンタデカノン(CPE-218(商標))、ソルビタンモノオレエート、グリセロールモノオレエート、プロピレングリコールモンラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、2-n-ノニル 1,3ジオキソラン(SEPA(商標))、ドデシル 2-(N,N-ジメチルアミノ)-プロピオネート(DDAIP)若しくはその塩誘導体、2-エチルヘキシル 2-エチルヘキサノエート、イソプロピル ミリステート、ジメチル イソソルビド、4-デシロキサゾリジン-2-オン(SR-38(商標), TCPI,Inc.)、3-メチル-4-デシロキサゾリジン-2-オン、オクチル ジメチル-パラアミノベンゾエート、オクチル パラメトキシシンナメート、サリチル酸オクチルおよびその混合物よりなる群から選択される、請求項1の方法。
【請求項20】
ひとつまたはそれ以上の皮膚透過促進剤が、皮膚が耐えられる安全なサンスクリーンエステルより選択される、請求項1の方法。
【請求項21】
ひとつまたはそれ以上の皮膚透過促進剤が、オクチル ジメチル-パラアミノベンゾエート、オクチル パラメトキシシンナメートおよびサリチル酸オクチルよりなる群から選択される、請求項1の方法。
【請求項22】
動物において、皮膚病変を予防しまたは治療するための経皮組成物であって、次のものを含む組成物;
ひとつまたはそれ以上の金属キレート剤、ひとつまたはそれ以上のトランスフォーミング成長因子調節剤、およびひとつまたはそれ以上の皮膚透過促進剤。
【請求項23】
該組成物がさらにひとつまたはそれ以上の揮発性液体を含む、請求項22の組成物。
【請求項24】
ひとつまたはそれ以上の揮発性液体が、エタノール、イソプロパノールおよびこれらの混合物よりなる群から選択される、請求項22の組成物。
【請求項25】
組成物がゲル、ローション、スプレイ組成物およびパッチ剤よりなる群から選択される用量形態である、請求項22の組成物。
【請求項26】
活性薬物、共溶媒、界面活性剤、乳化剤、抗酸化剤、保存剤、安定化剤、希釈剤およびそれらのふたつ以上の混合物よりなる群から選択される少なくとも一つの追加的成分を含む、請求項22の組成物。
【請求項27】
少なくともひとつの共溶媒と界面活性剤が、キレート剤を溶液または懸濁液として維持するための十分な量で該組成物に含まれる、請求項22の経皮組成物。
【請求項28】
該組成物が約0.1%から約10%の金属キレート剤、約0.1%から約10%のTGF調節剤、および約0.1%から約10%の皮膚透過促進剤を含む、請求項22の組成物。
【請求項29】
該組成物が約45%から約99.8%の揮発性液体を含む、請求項28の組成物。
【請求項30】
揮発性溶媒が、エタノール、イソプロパノールおよびその混合物よりなる群から選択され、約80から約98%の範囲の量である請求項28の組成物。
【請求項31】
組成物が約1から5%の金属キレート剤、約1から5%のTGF調節剤、約2から8%の皮膚透過促進剤、約45%から90%のエタノール、イソプロパノール若しくはその混合物、および5から 45%の水を含む、請求項28の組成物。
【請求項32】
組成物がさらに0.5から5%の増粘剤を含む、請求項28の組成物。
【請求項33】
キレート剤が、8-ヒドロキシキノリン、8-ヒドロキシキノリン-5-スルホン酸、ジエチルジチオカルバメート、フェナンスロリンおよびその誘導体、ジピコリネート、ジフェニルチオカルバゾン、ジチゾン、シメチジン、ジピコリン酸、デフェリプロン、ジアセレイン、クリオキノール、および前述したそのいずれかの薬学的に許容される塩またはその誘導体よりなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含む、請求項28の組成物。
【請求項34】
キレート剤が、1,10-フェナンスロリンである、請求項28の組成物。
【請求項35】
組成物が、エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メストラノール、スチルベストロール、ジエノエストロール、エピエストリオール、エストロピペート、ゼラノールおよび前述したそのいずれかの薬学的に許容される塩またはその誘導体よりなる群から選択される少なくとも一つのエストロゲンを含む、請求項28の組成物。
【請求項36】
エストロゲンがエストラジオールである、請求項28の組成物。
【請求項37】
一つまたはそれ以上の皮膚透過促進剤が脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、グリコールおよびグリコールエステル、1,3-ジオキソランおよび1,3-ジオキサン、少なくとも12個の炭素原子を含む大環状ケトン、オキサゾリジノンおよびオキサゾリジノン誘導体、アルキル-2-(N,N-二置換アミノ)-アルカン酸エステル、(N,N-二置換アミノ)-アルカノールアルカン酸エステル、サンスクリーンエステルおよびその混合物よりなる群から選択される、請求項28の組成物。
【請求項38】
一つまたはそれ以上の皮膚透過促進剤がオレイン酸、オレイルアルコール、シクロペンタデカノン(CPE-218(商標))、ソルビタンモノオレエート、グリセロールモノオレエート、プロピレングリコールモンラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、2-n-ノニル 1,3ジオキソラン(SEPA(商標))、ドデシル 2-(N,N-ジメチルアミノ)-プロピオネート(DDAIP)若しくはその塩誘導体、2-エチルヘキシル 2-エチルヘキサノエート、イソプロピル ミリステート、ジメチル イソソルビド、4-デシロキサゾリジン-2-オン(SR-38(商標), TCPI,Inc.)、3-メチル-4-デシロキサゾリジン-2-オン、オクチル ジメチル-パラアミノベンゾエート、オクチル パラメトキシシンナメート、サリチル酸オクチルおよびその混合物よりなる群から選択される、請求項28の組成物。
【請求項39】
一つまたはそれ以上の皮膚透過促進剤が、安全な皮膚が耐えられるサンスクリーンエステルより選択される、請求項28の組成物。
【請求項40】
一つまたはそれ以上の皮膚透過促進剤が、オクチル ジメチル-パラアミノベンゾエート、オクチル パラメトキシシンナメート、およびサリチル酸オクチルよりなる群から選択される、請求項28の組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−511543(P2007−511543A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540081(P2006−540081)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001609
【国際公開番号】WO2005/049025
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(503196558)アクルックス・ディ・ディ・エス・プロプライエタリー・リミテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】ACRUX DDS PTY LTD
【Fターム(参考)】