説明

盗難電池不正使用防止システム

【課題】電池が車両から取り外されて盗難された場合に、その盗難電池を不正に使用することを効果的に防止すること。
【解決手段】車載機10において、正規のバッテリであるか否かの認証を行い、認証が否認された場合には、バッテリ12から読み出したID情報を外部サーバ20に送信する。外部サーバ20では、車載機10からバッテリ12のID情報を受信すると、盗難バッテリであるか検索し、その結果を車載機10に通知する。外部サーバ20から盗難バッテリである旨の通知を受けると、車載機10は、盗難バッテリを使用しての車両の利用を制限する。このため、バッテリを盗難して他の電動車両に装着しても、その盗難バッテリを使用しての電動車両の利用を効果的に抑止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機と外部サーバとが通信を行うことにより、車両に搭載された電池が盗難電池であるか判断し、盗難電池と判断した場合に、その盗難電池を使用しての車両の利用を制限する盗難電池不正使用防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に、電池の充電時に、電気自動車に接続される充電要電力線を介しての電力線搬送通信により、利用者及び電気自動車の車体の認証を行う電気自動車バッテリ充電システムが開示されている。このシステムでは、電力線搬送通信により電気自動車側からサーバに車体番号等の情報を送信する際に、その情報に充電場所の位置情報を付加するようにしている。このため、車体番号から盗難車であることが確認されると、充電場所を特定して盗難車の追跡を可能としつつ、充電を不可能にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−254123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、電気自動車等に用いられる電池は非常に高価なものであり、自動車そのものの盗難が困難である場合などに、電池だけが車両から取り外されて盗難されることも考えられる。
【0005】
このように電池が車両から取り外されて盗難され、その盗難電池が他車両に装着された場合、特許文献1のシステムでは、利用者及び車体の認証さえ行われれば、電池の充電が許可されるので、盗難電池の使用を防止することはできない。
【0006】
また、特許文献1に示されるシステムでは、電気自動車の電池の充電時にしか、盗難車の判定及び追跡を行うことができないという問題もあった。すなわち、充電が必要となるまでは、その車両の利用を制限することはできなかった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、電池が車両から取り外されて盗難された場合に、その盗難電池を不正に使用することを効果的に防止することが可能な盗難電池不正使用防止システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の盗難電池不正使用防止システムは、車載機と外部サーバとが通信を行うことにより、車両に搭載された電池が盗難電池であるか判断し、盗難電池と判断した場合に、その盗難電池を使用しての車両の利用を制限するものであって、
外部サーバは、
車載機と通信を行う外部サーバ通信手段と、
盗難された電池のID情報が登録されたデータベースと、
車載機から送信された電池のID情報を受信したとき、その電池のID情報に一致するID情報がデータベースに登録されているか検索する検索手段と、
検索手段によって、データベースにおいて、車載機から送信された電池のID情報に一致するID情報が検索されると、電池のID情報を送信してきた車載機に対して、盗難された電池である旨を通知する通知手段と、を備え、
車載機は、
外部サーバと通信を行う車載機通信手段と、
車両に搭載された電池に付与されたID情報を読み出して、車載機に事前に登録されているID情報と照合することにより、正規の電池であるかを認証する認証手段と、
認証手段によって認証が否認された場合に、電池から読み出したID情報を、車載機通信手段により外部サーバに送信させる送信手段と、
外部サーバから盗難された電池である旨の通知を受けた場合に、車両の利用を制限する制限手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の盗難電池不正使用防止システムでは、上述したように、車両に搭載された電池のID情報が車載機に事前に登録されている。認証手段は、車両が利用される時などに、電池からID情報を読み出して、事前に登録されているID情報と照合することにより、正規の電池であるか認証する。つまり、請求項1の盗難電池不正使用防止システムでは、車載機において、正規の電池であるか否かの認証を行うので、電池の充電時に限らず、車両の利用時などの必要時にいつでも電池の認証を行うことができる。そして、認証が否認された場合には、電池から読み出したID情報を外部サーバに送信する。外部サーバでは、車載機から電池のID情報を受信すると、盗難電池であるか否かをデータベースにより検索し、その結果を車載機に通知する。外部サーバから盗難電池である旨の通知を受けると、車載機は、制限手段により盗難電池を使用しての車両の利用を制限する。このため、電池を盗難して他車両に装着しても、その盗難電池を使用しての車両の利用を効果的に抑止することが可能になる。従って、請求項1の発明により、電池を盗んでも他車両において使用することが出来なくなるので、結果として、電池の盗難そのものの抑止を図ることが可能となる。
【0010】
請求項2に記載したように、車両は、自身の現在位置を検出する位置検出手段を備え、
車載機は、外部サーバから盗難された電池である旨の通知を受けた場合に、特定機関のサーバに、車両のID情報とともに、位置検出手段によって検出された現在位置を示す情報を送信することが好ましい。例えば、特定機関として警察や警備会社などのサーバに車両のID情報及び現在位置を示す情報を送信することにより、盗難電池を搭載した車両の捜索を行うことが可能になる。この場合、制限手段により車両の利用が制限されているので、盗難電池を装着した車両の捜索を容易に行うことができる。
【0011】
請求項3に記載したように、認証手段は、車両が複数の電池を搭載している場合、個々の電池のID情報をそれぞれ認証することが好ましい。車両によっては、電池容量増大のため、物理的に分離された複数の電池を搭載する場合がある。このような場合、各電池ごとに盗難され、他車両において使用される可能性があるためである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態における盗難電池不正使用防止システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】車載機における、ID情報の登録処理を示すフローチャートである。
【図3】車載機における、ID情報の認証処理を示すフローチャートである。
【図4】サーバにおける、盗難電池の判定処理を示すフローチャートである。
【図5】車載機における、車両の利用を制限する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態による盗難電池不正使用防止システムを図面を参照しつつ説明する。本実施形態における盗難電池不正使用防止システムは、電池(バッテリ)の電力によって駆動される電気モータを搭載した電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車両を対象として、バッテリが盗難され、他の電動車両に装着された場合に、その盗難バッテリを使用しての他の電動車両の利用を制限するためのものである。このような盗難バッテリの使用による他の電動車両の利用を制限することにより、バッテリの盗難自体の抑止を図ることができる。
【0014】
図1に示すように、盗難電池不正使用防止システムは、電動車両に搭載された車載機10が、警察サーバなどの、盗難されたバッテリのID情報が登録されたデータベースを有する外部サーバ20と通信可能に構成されている。
【0015】
車載機10は、照合装置11、バッテリ12、バッテリ充電器13、携帯通信網を介して通信を行う通信機14、ナビゲーション装置15、車両ID記憶部16、走行制御装置17、及び充電ケーブルを介して通信を行う通信機18などを備える。
【0016】
照合装置11は、コンピュータからなり、特定の登録処理操作が行われたときに、電動車両に搭載されているバッテリ12のID情報を読み出して、自身のメモリに読み出したID情報を記憶しておく。なお、特定の登録処理操作の例としては、車載機10において、通常では行われない順番や組合せによるスイッチ操作を用いたり、登録処理開始を指示する信号を出力する専用装置が接続され、その専用装置からの信号を受信したことなどを用いたりすることができる。
【0017】
そして、照合装置11は、記憶したID情報を用いてバッテリ12のID情報の照合を行って正規のバッテリであるか認証を行ったり、認証がNGであるとき外部サーバ20にバッテリのID情報を送信したり、外部サーバ20から盗難バッテリである旨の通知を受けた場合、さらに、警察や警備会社などの特定機関のサーバに車両ID及び位置情報を送信したり、走行制御装置17に対して、電動車両の走行ができないように指示したりする。
【0018】
なお、外部サーバ20と特定機関のサーバは、共通であっても良いし、別々に設けられたものであっても良い。
【0019】
バッテリ12は、充電スタンド23から電力供給を受けて充電されるとともに、図示しない電気モータ等の電気負荷に電力を供給するものである。電動車両には、バッテリ12が充電される際に、充電ケーブルの先端に設けられたプラグ(図示略)が差し込まれる差込口(図示略)が設けられている。
【0020】
本実施形態では、バッテリ12が、物理的に分離された複数のバッテリモジュール12a,12b、…からなっている。このように、バッテリ12が複数のバッテリモジュール12a,12b、…から構成されるのは、バッテリ全体の容量を増大させ、電動車両の航続可能距離の伸長を図るためである。
【0021】
各々のバッテリモジュール12a,12b、…は、バッテリの製造番号やシリアル番号など、照合IDとして用いることが可能なバッテリ識別情報を記憶する記憶部を備えている。この記憶部には、バッテリの製造者、型番、容量、充電電流などのバッテリ管理情報も記憶されている。照合装置11にてバッテリ12の認証が行われる場合には、照合IDに加えて、バッテリ管理情報も読み出されて照合される。このバッテリ管理情報は、個々のバッテリモジュール12a、12b、…において異なる場合もあるため、バッテリを識別するための情報として用いることができるためである。これにより、電動車両に搭載されたバッテリ12が正規のバッテリであるか否かをより確実に判断して認証を行うことが可能となる。ただし、照合装置11は、照合IDのみに基づいて認証を行うものであっても良い。
【0022】
バッテリ充電器13は、充電スタンド23から供給される電力を用いて、バッテリ12の充電を行うものである。より詳細には、バッテリ充電器13は、バッテリ管理情報における、バッテリ容量や充電電流などを考慮しつつ、バッテリ12の蓄電量を検出して所定の蓄電量(例えば、バッテリ12が蓄電できる最大量、又はユーザによる指示量)となるようバッテリ12への充電量を制御する。なお、バッテリ12の蓄電量が所定の蓄電量(例えば、バッテリ12が蓄電できる最大量、又はユーザによる指示量)となるようバッテリ12への充電量を制御する際には、充電を開始してからの経過時間などに基づいて制御しても良い。
【0023】
また、バッテリ充電器13は、バッテリ充電に使用した電力量を電動車両(利用者)ごとに管理する充電管理サーバ24に対して、通信機18を介して、車両IDなどの情報を送信する。充電管理サーバ24は、受信した情報に基づいて、電動車両(利用者)の認証を行い、その認証が承認された場合に、充電スタント23に対して充電許可を与える。すると、充電スタンド23は、充電ケーブルを介して、バッテリ12を充電するための電力の供給を開始する。一方、充電管理サーバ23において認証が否認された場合には、充電が許可されず、充電スタンド23は、バッテリ12に対して充電電力の供給を行わない。
【0024】
通信機14は、例えば携帯通信網を介してネットワーク22に接続された通信機21と通信を行うことが可能なものである。この通信機14として、例えば、携帯電話やDCM(Data Communication Module)などを採用することができる。ただし、通信機14は、携帯通信網以外の通信網を介して通信機21と通信を行うものであっても良い。このように、本実施形態では、充電ケーブルを介して通信を行う通信機18に加えて、携帯通信網を介して通信を行う通信機14を備えている。このため、電動車両のバッテリの充電時に限らず、外部サーバ20との通信を行うことが可能である。
【0025】
ナビゲーション装置15は、例えばGPS受信機を備え、電動車両の現在位置を検出して、現在位置周辺の道路地図上に、電動車両の位置を表示する機能を有するものである。GPS受信機は、複数のGPS衛星から発せられるGPS信号を受信して、受信したGPS信号を用いて電動車両の現在位置を測位する。ナビゲーション装置15は、GPS受信機によって測位された電動車両の現在位置を示す位置情報を照合装置11に出力する。照合装置11は、外部サーバ20から盗難バッテリである旨の通知を受けた場合、この位置情報を車両IDとともに特定機関のサーバに送信する。
【0026】
走行制御装置17は、電気モータを走行駆動源とする電動車両の走行を制御するものである。この走行制御装置17は、照合装置11から、電動車両の走行を禁止する旨の指示を受けた場合、電動モータの駆動を停止したりすることにより、電動車両の利用(走行)を制限する。
【0027】
外部サーバ20は、ネットワーク22に接続され、盗難されたバッテリのID情報が登録されたデータベースを有している。この盗難バッテリのID情報の登録は、ユーザの操作により、登録ID情報として、車載機10の照合装置11に記憶されているID情報を外部サーバ20に送信することによって行うことができる。また、ディーラなどにおいて、バッテリ12のID情報を保存しておき、バッテリ12の盗難が生じた場合に、ディーラにおいて保存しているID情報を用いて、外部サーバ20の盗難バッテリデータベースに登録しても良い。
【0028】
ユーザPC25やユーザ携帯電話26は、ネットワーク22を介して外部サーバ20や充電管理サーバ24と通信可能なものであって、例えば、所定期間における充電スタンド23での充電量やその電気料金の確認を行ったり、盗難バッテリが発見された場合に、その旨の通知を受けたりするためのものである。
【0029】
以上のような構成を有する盗難電池不正使用防止システムにて、特に、車載機10及び外部サーバ20において実行される処理について、図2〜図5のフローチャートに基づいて詳しく説明する。
【0030】
図2は、車載機10において実行される、電動車両に装着されたバッテリ12のID情報を照合装置11に登録する登録処理を示すフローチャートである。この登録処理は、電動車両の出荷時にメーカにおいて行われたり、バッテリ12を交換したときにディーラや修理業者において実行されたりするものである。
【0031】
まず、ステップS100において、登録処理のための特定の操作が行われたか否かを判定する。この判定処理において、登録処理のための特定操作が行われたと判定されると、ステップS110の処理に進み、特定操作が行われていないと判定されると、図2のフローチャートに示す処理を終了する。
【0032】
ステップS110では、電動車両に搭載されたバッテリ12から、照合ID及びバッテリ管理情報からなるID情報を読み出す。そして、ステップS120において、照合装置11の不揮発性のメモリに、正規のバッテリのID情報として、読み出した照合ID及びバッテリ管理情報からなるID情報を格納して登録する。
【0033】
なお、図1に示すように、バッテリ12が、複数のバッテリモジュール12a,12b、…からなる場合、各バッテリモジュール12a,12b、…のID情報がそれぞれ照合装置11に登録される。
【0034】
このような登録処理が行われた以降は、照合装置11は、電動車両の利用に際して、バッテリ12から読み出したID情報と登録したID情報との照合を行って、正規のバッテリ12であるかを認証する認証処理を実行する。
【0035】
図3は、車載機10において実行される、バッテリ12の認証処理を示すフローチャートである。この認証処理は、例えば、電動車両において走行を可能にするためのスタートスイッチが操作されたときに実行される。
【0036】
まず、ステップS200では、電動車両に搭載されているバッテリ12から、照合ID及びバッテリ管理情報からなるID情報を読み出す。この際、車両に複数のバッテリモジュール12a,12b,…が搭載されていれば、各バッテリモジュール12a,12b,…からID情報を読み出す。
【0037】
続くステップS210では、照合装置11に登録されているID情報と、読み出したID情報とを照合する。そして、ステップS220において、ステップS210の照合結果に基づき、電動車両に搭載されているバッテリ12が正規のバッテリとして認証できるか否かを判定する。なお、電動車両に複数のバッテリモジュール12a,12b,…が搭載している場合には、それぞれのID情報を個別に照合し、照合が不一致となったID情報があれば、そのID情報のみに関して認証を否認することになる。
【0038】
この判定処理において、全てのID情報について認証が承認(OK)された場合には、図3のフローチャートに示す処理を終了し、1つのID情報でも認証が否認(NG)された場合には、ステップS230の処理に進む。
【0039】
ステップS230では、電動車両に搭載されたバッテリ12が、盗難バッテリである可能性があるため、そのバッテリ12から読み出した照合ID及びバッテリ管理情報からなるID情報を外部サーバ20に送信する。このとき、車両IDも併せて外部サーバ20に送信しても良い。これにより、盗難バッテリである場合に、外部サーバ20において、その盗難バッテリを搭載した車両のID情報も取得することができる。
【0040】
図4に示すフローチャートは、外部サーバ20において実行される、盗難バッテリ判定処理を示すものである。この盗難バッテリ判定処理は、外部サーバ20において定期的、もしくは車載機10からID情報を受信したときに実行される。
【0041】
ステップS300では、車載機10から送信されたバッテリ12のID情報を受信する。ステップS310では、受信したバッテリ12のID情報と同じID情報が、盗難バッテリデータベースに登録されているか検索する。そして、この検索結果に基づいて、ステップS320において、受信したID情報のバッテリ12が盗難バッテリであるか否かを判定する。この判定処理において、盗難バッテリであると判定されると、ステップS330の処理に進み、盗難バッテリではないと判定されると、図4のフローチャートに示す処理を終了する。
【0042】
ステップS330では、外部サーバ20より、ネットワーク22に接続された通信機21を介して、盗難バッテリである旨を、ID情報を送信してきた車載機10に通知する。
【0043】
図5に示すフローチャートは、車載機10において実行される、車両利用制限処理を示すものである。この車両利用制限処理は、車載機10において、図3に示す認証処理において、ID情報を外部サーバ20に送信した場合に実行される。
【0044】
ステップS400では、外部サーバ20より、盗難バッテリである旨の通知を受信したか否かを判定する。この判定処理では、例えば、バッテリ12のID情報を送信してから所定時間以内に盗難バッテリである旨の通知を受信した場合に肯定判定(Yes)され、所定時間以内に受信しなかった場合に否定判定(No)される。そして、肯定判定された場合には、ステップS410の処理に進み、否定判定された場合には、図5のフローチャートに示す処理を終了する。すなわち、盗難バッテリではないと判定された場合には、車載機10は、電動車両の利用をそのまま許可する。
【0045】
一方、盗難バッテリである旨の通知を受けた場合に実行されるステップS410では、電動車両の利用を禁止することを走行制御装置17に指示する。この場合、走行制御装置17は、例えば電気モータへの通電を停止したままにすることにより、電動車両の走行を禁止する。
【0046】
続くステップS420において、車両ID記憶部16から読み出した車両ID、及びナビゲーション装置15から取得した現在位置情報を、特定機関のサーバに送信する。これにより、警察や警備会社などの特定機関において、盗難バッテリを搭載した電動車両を容易に捜索することが可能になる。
【0047】
このように、本実施形態によれば、車載機10において、正規のバッテリであるか否かの認証を行うので、バッテリ12の充電時に限らず、車両の利用時などの必要時にいつでもバッテリ12の認証を行うことができる。そして、認証が否認された場合には、バッテリ12から読み出したID情報を外部サーバ20に送信する。外部サーバ20では、車載機10からバッテリ12のID情報を受信すると、盗難バッテリであるかデータベースを検索し、その結果を車載機10に通知する。外部サーバ20から盗難バッテリである旨の通知を受けると、車載機10は、盗難バッテリを使用しての車両の利用を制限する。このため、バッテリを盗難して他の電動車両に装着しても、その盗難バッテリを使用しての電動車両の利用を効果的に抑止することが可能になる。従って、バッテリ12を盗んでも他の電動車両において使用することが出来なくなるので、結果として、バッテリの盗難そのものの抑止を図ることが可能となる。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【0049】
例えば、上述の実施の形態においては、外部サーバ20から盗難バッテリである旨の通知を受けた場合、車載機10では、走行制御装置17に対して電気モータを停止させるよう指示して、電動車両の走行を禁止した。しかしながら、電動車両の走行を完全に禁止してしまうと、他の車両の走行の障害となったりすることも考えられる。そのため、車載機10は、外部サーバ20から盗難バッテリである旨の通知を受けた場合、走行制御装置17に対して電動車両の走行速度を制限したり、走行距離を制限したりすることにより、車両の利用を抑制するようにしても良い。
【0050】
また、上述した実施形態において、バッテリ12の認証処理を車両の利用開始時(スタートスイッチ操作時)に行ったが、車両の利用中に行っても良いし、定期的に繰り返し行っても良い。
【0051】
さらに、上述した実施形態において、車両利用制限処理において、外部サーバ20から盗難バッテリである旨の通知を受信した場合、車両ID及び現在位置情報の送信を定期的に繰り返し行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0052】
10…車載機、11…照合装置、12…バッテリ、13…バッテリ充電器、14…通信機、15…ナビゲーション装置、16…車両ID記憶部、17…走行制御装置、18…通信機、20…外部サーバ、21…通信機、22…ネットワーク、23…充電スタンド、24…充電管理サーバ、25…ユーザPC、26…ユーザ携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機と外部サーバとが通信を行うことにより、車両に搭載された電池が盗難電池であるか判断し、盗難電池と判断した場合に、その盗難電池を使用しての車両の利用を制限する盗難電池不正使用防止システムであって、
前記外部サーバは、
前記車載機と通信を行う外部サーバ通信手段と、
盗難された電池のID情報が登録されたデータベースと、
前記車載機から送信された電池のID情報を受信したとき、その電池のID情報に一致するID情報が前記データベースに登録されているか検索する検索手段と、
前記検索手段によって、前記データベースにおいて、前記車載機から送信された電池のID情報に一致するID情報が検索されると、前記電池のID情報を送信してきた車載機に対して、盗難された電池である旨を通知する通知手段と、を備え、
前記車載機は、
前記外部サーバと通信を行う車載機通信手段と、
車両に搭載された電池に付与されたID情報を読み出して、前記車載機に事前に登録されているID情報と照合することにより、正規の電池であるかを認証する認証手段と、
前記認証手段によって認証が否認された場合に、前記電池から読み出したID情報を、前記車載機通信手段により前記外部サーバに送信させる送信手段と、
前記外部サーバから盗難された電池である旨の通知を受けた場合に、車両の利用を制限する制限手段と、を備えることを特徴とする盗難電池不正使用防止システム。
【請求項2】
前記車両は、自身の現在位置を検出する位置検出手段を備え、
前記車載機は、前記外部サーバから盗難された電池である旨の通知を受けた場合に、特定機関のサーバに、車両のID情報とともに、前記位置検出手段によって検出された現在位置を示す情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の盗難電池不正使用防止システム。
【請求項3】
前記認証手段は、前記車両が複数の電池を搭載している場合、個々の電池のID情報をそれぞれ認証することを特徴とする請求項1又は2に記載の盗難電池不正使用防止システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−68887(P2012−68887A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212940(P2010−212940)
【出願日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】