説明

監視システム、監視装置及び監視方法

【課題】違法駐車などのように、車両が一定の時間特定の領域に滞在していたことを記録できるようにする。
【解決手段】特定領域及びその周辺領域を撮像して映像データを生成して、映像データから検知された車両が、特定領域に進入又は特定領域から退出したか否かを判定する。映像データから検知された車両が、特定領域に進入又は特定領域から退出したと判定された場合には、車両の特定情報を含む車両映像の撮像に適した撮像設定へ切り換えて、車両の特定情報を含む車両映像の撮像を行う。そして、特定領域進入時の車両が撮像された時刻と、特定領域退出時の車両が撮像された時刻から、車両の特定領域滞在時間の算出を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば駐車禁止領域における車両の違法駐車の監視を行うものに適用して好適な監視システム、監視装置、及び監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の一般道路等における違法駐車車両の取締り強化を受け、取締り要員の人件費削減等の目的から、違法駐車車両を検知可能な監視装置または監視システムが考案されている。
【0003】
特許文献1には、車両識別情報、車両位置情報、及び取得時間情報に基づいて、同一位置に所定時間以上停止している停止車両を特定することについての開示がある。
【特許文献1】特開2006−099685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような監視装置または監視システムにおいては、駐車禁止領域に停車中の車両を監視カメラで撮影し、撮影した映像データを違法駐車の証拠として記録することが行われている。違法駐車車両の特定は車両のナンバープレートの情報を用いて行われることが多く、この場合、違法駐車車両を撮影する監視カメラは、違法駐車車両のナンバープレートを撮影可能な位置に設置されている。
【0005】
ところが、複数の車両が縦列に駐車されている状態等では、駐車車両のナンバープレートを撮影できる角度は大変狭い角度に限定されてしまう。このような状況において各駐車車両のナンバープレートを正確に撮影するためには、例えば取り締まり対象車両1台につき監視装置1台等、監視カメラを複数設置しなければならなくなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、監視カメラの台数を増やすことなく、駐車車両が一定の時間駐車禁止領域などの特定領域に滞在していたことを記録できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特定領域における車両の駐車の監視を行う場合に、特定領域及びその周辺領域を撮像して映像データを生成して、映像データから検知された車両が、特定領域に進入又は特定領域から退出したか否かを判定する。映像データから検知された車両が、特定領域に進入又は特定領域から退出したと判定された場合には、車両の特定情報を含む車両映像の撮像に適した撮像設定へ切り換えて車両の特定情報を含む車両映像の撮像を行い、特定領域進入時の車両が撮像された時刻と、特定領域退出時の車両が撮像された時刻から、車両の特定領域滞在時間の算出を行うようにしたものである。
【0008】
このようにしたことで、特定領域に進入または特定領域から退出する時の車両が撮像される。特定領域が、例えば道路上の駐車禁止領域である場合には、その特定領域への進入時又は特定領域からの退出時においては、車両の前後が隣接駐車車両等で遮られておらず、車両の特定情報が隠れていない状態であるため、撮像された車両の映像には、車両の特定情報が含まれるようになる。
【0009】
この場合、車両の特定情報を撮像する角度が限定されなくなるため、車両の特定情報を撮像するために監視カメラを複数台設置する必要がなくなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、駐車禁止領域などの特定領域に進入時の車両の映像と、特定領域から退出時の車両の映像と、車両が特定領域に滞在していた時間の情報により、駐車車両が一定の時間特定領域に滞在していたことを記録できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、駐車禁止領域及びその周辺を撮影して、映像データ及び撮影時刻情報等の映像データのメタデータ(属性情報)を生成する監視カメラ(監視用撮像装置)と、監視カメラから得られたデータを解析して違法駐車車両を検出し、違法駐車の駐車時間を算出するクライアント端末(監視装置)とで構成される監視システムに適用した例としている。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態例における監視システムの接続構成を示した図である。図1(a)は、監視カメラから出力されたデータを、クライアント端末がネットワークを介して取得するシステムを示したものである。本例においては、図1(a)に示されたような構成に適用した場合を例に挙げて説明するが、図1(b)に例示されたように、監視カメラ1から出力されたデータをサーバ12が取得し、クライアント端末3に供給するシステム(サーバ/クライアントシステム)に適用させてもよい。または、動画検知機能及びメタデータ解析機能を有する監視カメラであれば、スタンドアロンで使用するようにしてもよい。
【0013】
図1(a)に示すように、監視システム100は、監視領域及びその周辺を撮影して映像データを生成するとともに、映像データから撮影時刻等のメタデータを生成する監視カメラ1と、監視カメラ1から取得した映像データとメタデータを記憶するとともに、メタデータの解析を行なって違法駐車車両の特定及び駐車時間の算出を行うクライアント端末3と、監視カメラ1とクライアント端末3とを接続するネットワーク2とで構成される。本例においては、監視領域及びその周辺を撮影する監視カメラ1は、駐車禁止領域の上空部等に設けられ、クライアント端末3は違法駐車の取締りを行う機関の構内等に設置してあるものとする。メタデータの詳細については後述する。
【0014】
クライアント端末3が、ネットワーク2を介して監視カメラ1から取得したメタデータは、クライアント端末3内に予め設定されているメタデータフィルタ(以下、「フィルタ」とも称する)を通して解析される。フィルタ処理の結果、撮影中の車両が駐車禁止領域に進入または退出したと判定された場合には、クライアント端末3は、監視カメラ1に車両特定情報としてのナンバープレートを撮影させるため、監視カメラ1に対して撮影設定の切替指示信号を供給する。なお、監視カメラ、クライアント端末、サーバ及びクライアント端末の台数はこの例に限られないことは勿論である。
【0015】
ここで、監視カメラ内で生成されるメタデータについて説明する。メタデータとは、監視カメラ1で撮像された映像データの属性情報のことであり、監視カメラで動体(本例においては車両)を検知した場合の、動体(オブジェクト)のIDや座標、サイズ等のオブジェクト情報や、車両のナンバープレート情報、撮影時刻情報、監視カメラの向き情報等で構成される。
【0016】
クライアント端末3内に予め設定されているものとして説明したメタデータフィルタとは、メタデータを解析するためのルールを記載したものであり、フィルタの種類としては、例えば以下の7種類がある。
Appearance(存在):物体(以下、オブジェクトとも称する)がある領域内に存在するか否かを判別するためのフィルタ
Disappearance(消失):物体がある領域に現れ、その領域から出たか否かを判別するためのフィルタ
Passing(通過):ある境界線を物体が超えたか否かを判別するためのフィルタ
Capacity(物体数制限):ある領域内の物体の数をカウントし、その累積数が所定値を超えたか否かを判別するためのフィルタ
Loitering(滞留):所定の時間を超えて、ある領域内に物体が滞留しているか否かを判別するためのフィルタ
Unattended(置き去り):所定の時間を越えて、ある領域内に侵入し動かない物体が存在するか否かを判別するためのフィルタ
Removed(持ち去り):ある領域内に存在した物体が取り除かれたことを検出するためのフィルタ
【0017】
これらのフィルタを用いてメタデータを解析(フィルタ処理)した結果、フィルタに該当するオブジェクトがあった場合には、その結果がアラーム情報として出力される。アラーム情報として出力されるデータには、フィルタの条件に合致したオブジェクトの数である“オブジェクト数”や、フィルタで検出されたオブジェクトの累計値である “累積オブジェクト数”等がある。本例では、Passing(通過)フィルタを用いて違法駐車車両の検知を行うようにしてあり、検知された違法駐車車両のオブジェクト情報等が、アラーム情報として出力される。
【0018】
次に、図1(a)に示した監視カメラ1の詳細な構成を、図2の機能ブロック図を参照して説明する。監視カメラ1は、一点鎖線の囲みで示した映像データ生成部21と、撮像設定切替部22、メタデータ生成部23とで構成される。まず、映像データ生成部21を構成する各部について説明する。撮像部212は、レンズ部211を通して撮像部212内の撮像素子(図示せず)に結像された撮像光を光電変換して、撮像信号Svを生成する。
【0019】
また撮像部212は、例えば図示しないプリアンプ部及びA/D(Analog/Digital)変換部を備え、プリアンプ部では、撮像信号Svの電気信号レベルの増幅や、相関二重サンプリングによるリセット雑音の除去を行い、A/D変換部では撮像信号Svをアナログ信号からデジタル信号に変換する。このように撮像部212で様々な処理が行なわれた撮像信号Svは、画像信号処理部213に供給される。
【0020】
画像信号処理部213は、撮像部212から供給された撮像信号Svに対して画像信号処理を行い、映像データDvを生成する。画像信号処理としては、例えば、撮像信号Svのあるレベル以上を圧縮するニー補正、撮像信号Svのレベルを設定されたγカーブに従って補正するγ補正、撮像信号Svの信号レベルが所定範囲となるように制限するホワイトクリップ処理やブラッククリップ処理等を行う。そして映像データDvは、データ処理部214に供給される。
【0021】
データ処理部214は、クライアント端末3等との通信を行なう際のデータ量を少なくするため、映像データDvに対して符号化処理を行なって映像データDtを生成する。さらにデータ処理部214は、映像データDtを所定のデータ構造としてクライアント端末3に供給する。
【0022】
撮像設定切替部22は、クライアント端末3から入力される切替指示信号CAに基づき、最適な撮像映像が得られるよう、監視カメラ1の向きや解像度の変更等を行う。車両が駐車禁止領域に進入、又は駐車禁止領域から退出したか否かの判定はクライアント端末3にて行うようにしてあり、車両が駐車禁止領域に進入または退出したことをクライアント端末3が認識した場合は、クライアント端末3から監視カメラ1の撮像設定切替部22に切替指示信号CAが伝送される。そして撮像設定切替部22は、クライアント端末3から切替指示信号CAを受信すると、映像データ生成部21の各部に対して撮影方向やズーム比の切り替え、解像度の変更等を指示する指令信号を供給する。検知した車両が違法駐車車両であるか否かの判定の詳細については後述する。
【0023】
監視カメラ1が撮影する画像の解像度は、駐車禁止領域及びその周辺を監視している状態においては、例えばQVGA(Quarter Video Graphics Array)等の低解像度としてある。そして、駐車禁止領域に進入又は駐車禁止領域から退出する車両を検知した場合に、VGA(Video Graphics Array)やSXGA(Super eXtendedGraphics Array)等の高解像度に切り替えるようにしてある。
【0024】
メタデータ生成部23は、監視対象に関する属性情報であるメタデータDmの生成を行う。つまり、映像データ生成部21で生成された映像データDvを用いて動体(違法駐車車両)の検出を行い、動体が検出されているか否かを示す動体検知情報や、検出した動体である車両のナンバープレートの情報をメタデータに含める。また、メタデータ生成部23は、時刻情報TMをメタデータに含めることで、メタデータが生成された時刻、つまり違法駐車車両が駐車禁止領域に進入した時刻及び違法駐車車両が駐車禁止領域を退出した時刻を、記録として残すことができる。
【0025】
ここで、映像データとメタデータの構成について説明する。映像データとメタデータは、それぞれデータ本体とリンク情報とで構成されている。データ本体とは、映像データにおいては監視カメラ1が撮影した車両の映像データであり、メタデータにおいては、監視対象の属性情報等と、この情報の記述方式を定義した属性情報を記述したものである。一方、リンク情報とは、映像データとメタデータとの関連付けを示す関連付け情報と、この情報の内容の記述方式の定義等を記述したものである。
【0026】
関連付け情報としては、例えば映像データを特定するためのタイムスタンプやシーケンス番号等を使用する。タイムスタンプとは映像データの時刻情報であり、シーケンス番号とは、コンテンツデータの生成順に付与される順序情報である。このようにして、映像データである車両の撮影データと、メタデータである車両が撮影された時刻データとは、一対一で関連付けられて管理される。
【0027】
次に、図1(a)に示したクライアント端末3の構成例の詳細について、図3の機能ブロック図を参照して説明する。図3において、クライアント端末3は、監視カメラ1等の外部の機器とのデータ伝送を行うネットワーク接続部101と、監視カメラ1から映像データを取得する映像バッファ部102と、取得した映像データを蓄積する映像データ蓄積データベース104と、監視カメラ1から撮影時刻情報等を含むメタデータを取得するメタデータバッファ部103と、取得したメタデータを蓄積するメタデータ蓄積データベース105と、メタデータのフィルタ処理を行って、車両が駐車禁止領域に進入又は駐車禁止領域にから退出したか否かを判定する駐車禁止領域進入・退出判定部106と、駐車禁止領域とその他の領域とを区別する仮想境界線(フィルタ)の設定を記憶させておくフィルタ設定データベース107と、監視カメラ1にネットワーク接続部101を介して撮影設定の切り換えを指示するルール切替部108と、違法駐車車両の特定及び駐車禁止領域への滞在時間を算出する違法駐車判定部109とを備えている。
【0028】
映像バッファ部102は、ネットワーク接続部101を介して監視カメラ1から映像データを取得し、符号化されている映像データの復号化処理を行う。また、映像バッファ部102は、後述するルール切替部108から供給される記録要求信号に基づき、保持している映像データを映像データ蓄積データベース104に記憶させる。
【0029】
メタデータバッファ部103は、監視カメラ1から取得したメタデータを一時的に蓄積し、蓄積しているメタデータをメタデータ蓄積データベース105に順次記憶させる。メタデータをメタデータ蓄積データベース105に蓄積する際には、メタデータと同期する映像データの時刻情報を付加しておく。
【0030】
フィルタ設定データベース107には、仮想境界線等のフィルタの設定が記憶してあり、後述する駐車禁止領域進入・退出判定部106がフィルタ処理を行うタイミングで、フィルタ設定を駐車禁止領域進入・退出判定部106に供給する。
【0031】
駐車禁止領域進入・退出判定部106は、フィルタ設定データベース107に蓄積されているフィルタ設定を用いて、メタデータバッファ部103から取得したメタデータのフィルタ処理を行い、フィルタ処理結果をルール切替部108に通知する。つまり、フィルタ設定データベース107に記憶されているフィルタ(仮想境界線)を用いて、監視カメラ1が検知した動体が駐車禁止領域に進入または退出したか否かの判定を行い、その結果をルール切替部108に出力する。
【0032】
ルール切替部108は、駐車禁止領域進入・退出判定部106から通知されたフィルタ処理結果に基づいて切替指示信号CAを生成し、監視カメラ1に撮影方向やズーム比、解像度等の切り替えを指示する。監視カメラ1は、ルール切替部108よりネットワーク接続部101を介して伝送された切替指示信号にCA基づいて、VGAやSXGA等の高解像度での撮影を行う。そして高解像度で撮影された映像データは、映像バッファ部102に蓄積される。
【0033】
また、ルール切替部108は、駐車禁止領域進入・退出判定部106によるフィルタ処理結果に基づいて、映像バッファ部102及びメタデータバッファ部103に記録要求信号を供給して、メタデータバッファ部103に蓄積されたメタデータをメタデータ蓄積データベース105に記憶させ、映像バッファ部102に蓄積された映像データを映像データ蓄積データベース104に記憶させる。このような構成とすることで、違法駐車車両の特定に必要な情報のみが記憶されるようになる。
【0034】
違法駐車判定部109は、メタデータ蓄積データベース105に記憶されたメタデータ及び映像データ蓄積データベース104に記憶された映像データを読み出して、駐車禁止領域進入・退出判定部106でのフィルタ処理により駐車禁止領域に進入したと判定された車両と、駐車禁止領域から退出したと判定された車両とを、メタデータとして記録されたナンバープレート情報を元に対応付ける処理を行う。また、車両が駐車禁止領域に進入した時刻情報と駐車禁止領域から退出した時刻情報から、車両が駐車禁止領域にどれだけの間滞在していたかを算出する。そして違法駐車判定部109は、算出した駐車禁止領域滞在時間から、監視カメラ1が撮影した車両が一定の期間駐車禁止領域に滞在していたと判定した場合には、ネットワーク接続部101を介して通信回線網と接続し、警察署等に違法車両情報を通知する。違法車両情報としては、車両の駐車禁止領域への進入時の映像データと、車両が駐車禁止領域から退出した時の映像データ、駐車禁止領域滞在時間情報を送信する。
【0035】
次に、本例の違法駐車車両の監視処理例について、図4のフローチャートと、図5〜図8の説明図を参照して説明する。図4において、まず監視カメラ1が駐車禁止領域及びその周辺の領域の撮影を行い(ステップS1)、撮影された画像は、都度監視カメラ1の画像信号処理部213(図2参照)で画像処理される(ステップS2)。
【0036】
このときの監視カメラ1の処理の例を、図5に示してある。図5において、監視カメラ1は駐車禁止領域P1とその周辺の領域を広範囲に撮影しており、駐車禁止領域P1に駐車車両C1〜C3が駐車されている様子が示されている。また、図5に示された道路R1において、駐車禁止領域P1とその他の領域を区切る境目として仮想境界線VB1を設けてあり、この仮想境界線VB1がフィルタの役割を果たしている。なお、図5においては、監視カメラ1を駐車車両の後ろ側を撮影可能な位置に設置してあるが、前側からの撮影が可能な位置に設置するようにしてもよい。
【0037】
図4のフローチャートに戻ると、ステップ3で、車両が駐車禁止領域に進入したか否かの判定が行われる。車両が駐車禁止領域に進入したと判定された場合には、駐車禁止領域に進入した車両が、監視カメラ1により高解像度で撮影され(ステップS4)、撮影された車両の画像と、駐車禁止領域に進入した時刻情報とが記憶される(ステップS5)。車両が駐車禁止領域に進入したと判定されない場合は、ステップS1に戻る。
【0038】
車両が駐車禁止領域P1に進入した状態を、図6に示してある。図6では、車両C4が仮想境界線VB1に差し掛かっている状態が示されている。この状態を撮影した映像データが監視カメラ1からクライアント端末3に伝送されると、クライアント端末3の駐車禁止領域進入・退出判定部106(図3参照)によりフィルタ処理が行われ、フィルタ処理の結果がルール切替部108に供給される。そしてルール切替部108から監視カメラ1の撮像設定切替部22(図2参照)に切替指示信号CAが供給される。
【0039】
切替指示信号CAを受信した撮像設定切替部22は、映像データ生成部21の各部(図2参照)に対して、撮影角度やズーム比の変更指示と共に解像度の変更指令を送信する。指令を受け取った撮像部212は、仮想境界線VB1を横切る車両C4を、そのナンバープレートが明確に撮影されるアングルで撮影し、ナンバープレートを含む車両の撮影画像と撮影時刻情報とをクライアント端末3に伝送する。そして、ナンバープレートを含む車両の撮影画像と撮影時刻情報とが、クライアント端末3のメタデータ蓄積データベース105及び映像データ蓄積データベース104(共に図3参照)に記憶される。
【0040】
再び図4のフローチャートに戻ると、ステップS5で車両映像の記録が行われた後は、ステップS1での処理と同様に、監視カメラ1は駐車禁止領域及びその周辺を広角で撮影し(ステップS6)、撮影された画像は、都度監視カメラ1の画像信号処理部213で画像処理される(ステップS7)。
【0041】
図7に、車両C4が駐車禁止領域P1に駐車中の場合の例を示してある。このように、車両C4が、前後の車両C2とC1との間に縦列駐車されている状態では、車両C4とその前の駐車車両であるC2との間隔A1は非常に狭いため、監視カメラ1が車両C4のナンバープレートを撮影することは難しい。このため、本発明では仮想境界線VB1を横切った状態の車両C4′を撮影するようにしてある。
【0042】
再び図4のフローチャートに戻って説明を続けると、ステップS8で、車両が駐車禁止領域外に出るために仮想境界線VB1を越えたか否かの判定が行われる。この判定は、図7に示されたような駐車禁止領域P1に停止中の車両に動きが無い状態において、監視領域を撮影中の監視カメラ1から送られる映像データ及びメタデータを基に、クライアント端末3の駐車禁止領域進入・退出判定部106によって行われるものである。
【0043】
ステップS8で行われる、駐車禁止領域進入・退出判定部106のフィルタ処理により、車両が仮想境界線VB1を横切ったと判定された場合には、監視カメラ1によって仮想境界線VB1を横切った車両C4及びそのナンバープレートが高解像度で撮影され(ステップS9)、ナンバープレートを含む車両の撮影画像と撮影時刻情報とがクライアント端末3に転送される。そして、ナンバープレートを含む車両の撮影画像と撮影時刻情報は、クライアント端末3のメタデータ蓄積データベース105及び映像データ蓄積データベース104に記憶される(ステップS10)。車両が仮想境界線VB1を横切っていない、つまり、停車中の車両に動きがないと判定された場合は、ステップS6に戻る。
【0044】
図8は、車両C4が駐車禁止領域P1を出るために停車位置から動き、仮想境界線VB1を横切った状態を示した図である。このように、車両C4が駐車位置から移動していることで、車両C4のナンバープレートを監視カメラ1が撮影可能となる。
【0045】
そして最後に、図4のフローチャートのステップS5で車両の映像データと共に記憶された撮影時刻情報と、ステップS10で車両の映像データと共に記憶された撮影時刻情報から、車両が駐車禁止領域に停止していた時間が算出され、駐車時間が例えば30分以上であったか否かが判定される(ステップS11)。車両の特定及び駐車時間算出処理は、クライアント端末3の違法駐車判定部109(図3参照)により行われる。なお、ステップS4で撮影された車両と、ステップS9で撮影された車両とが同一の車両であるか否かは、ナンバープレートの番号により判定される。
【0046】
ステップS11において、駐車時間が30分以上であると判定された場合には、車両は違法駐車車両と見做され、クライアント端末3の映像データ蓄積データベース104に記憶された、駐車禁止領域に進入時及び退出時の車両の映像データと、メタデータ蓄積データベース105に記憶された車両の進入時刻及び退出時刻情報とが、通信回線網等を通して、管轄の警察署等に転送される(ステップS12)。このとき、ドライバーの顔の映像も一緒に送信するようにしてもよい。そして、駐車時間が30分未満であると判定された場合には、再びステップS1に戻る。なお、違法駐車取締りの閾値としての駐車時間は30分に限定されるものではなく、他の時間単位も自由に設定できるものとする。
【0047】
このように、駐車禁止領域に進入時の車両と、駐車禁止領域から退出時の車両とを撮影し、映像の中に含まれるナンバープレート情報から車両の特定を行うようにしたため、縦列駐車時等のナンバープレートが見えづらい状況での撮影を行う必要がなくなる。つまり、ナンバープレートを撮影する角度の制限が少なくなるため、監視カメラ1台で複数の車両を撮影することができるようになる。このため、監視カメラを複数台設置する場合に比べて、監視システム構築のための費用を大幅に削減することが可能となる。
【0048】
また、駐車禁止領域に車両が進入した時刻情報と、駐車禁止領域から車両が退出した時刻情報から、車両が駐車禁止領域に滞在していた時間を算出するようにしたため、滞在時間による違法駐車取締りを行うことができる。
【0049】
なお、ここまで説明した実施の形態では、監視カメラとクライアント端末を用いた構成に適用した例を挙げたが、この構成に限定されるものではなく様々な構成に適用が可能である。例えば、クライアント端末の代わりに、動体検知機能及びメタデータ解析機能を有する録画専用機等を用いるようにしてもよい。
【0050】
また、上述した実施形態例では、駐車禁止領域への違法駐車を監視するシステムとしたが、例えば、道路上の路側帯に設置された駐車領域に車両が駐車したことを監視及び記録して、その記録された駐車車両に対して、駐車時間に応じた課金を行うなどの、その他の監視処理にも適用可能である。
【0051】
また、上述した実施形態例における一連の処理は、ハードウェアにより実行することができるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで各種の機能を実行することが可能な例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに所望のソフトウェアを構成するプログラムをインストールして実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施の形態による監視システムの構成例を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態による監視カメラの内部構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるクライアント端末の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態による違法駐車車両の監視処理例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施の形態による通常監視時の例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態による車両検知時の例を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態による車両駐車中の例を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施の形態による車両退去時の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1…監視カメラ、2…ネットワーク、3…クライアント端末、21…映像データ生成部、22…撮像設定切替部、23…メタデータ生成部、101…ネットワーク接続部、102…映像バッファ部、103…メタデータバッファ部、104…映像データ蓄積データベース、105…メタデータ蓄積データベース、106…駐車禁止領域進入・退出判定部、107…フィルタ設定データベース、108…ルール切替部、109…違法駐車判定部、211…レンズ部、212…撮像部、213…画像信号処理部、214…データ処理部、VB1…仮想境界線、P1…駐車禁止領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視用撮像装置と、前記監視用撮像装置が撮像した映像データにより監視を行う監視装置とを用いて、特定領域における車両の駐車の監視を行う監視システムにおいて、
前記監視用撮像装置は、
特定領域及びその周辺領域を撮像して映像データを生成する撮像部を備え、
前記監視装置は、
前記監視用撮像装置の撮像部で生成された映像データから検知された車両が、前記特定領域に進入又は前記特定領域から退出したか否かを判定する駐車領域進入・退出判定部と、
前記駐車領域進入・退出判定部により、前記映像データから検知された車両が、前記特定領域に進入又は前記特定領域から退出したと判定された場合に、前記監視用撮像装置の撮像部に、前記車両の特定情報を含む車両映像の撮像に適した撮像設定への切り換えを指令する撮像設定切替指示部と、
前記撮像設定切換指示部からの指令に基づいて前記監視用撮像装置の撮像部で撮像された、前記車両の前記特定領域進入時の映像の撮像時刻と前記車両の前記特定領域退出時の映像の撮像時刻から、前記車両の前記特定領域滞在時間の算出を行う駐車判定部とを備えたことを特徴とする
監視システム。
【請求項2】
請求項1記載の監視システムにおいて、
前記特定領域は、駐車禁止として設定された領域であることを特徴とする
監視システム。
【請求項3】
請求項1記載の監視システムにおいて、
前記特定領域とその周辺領域との境目には仮想境界線を設けてあり、
前記特定領域進入・退出判定部は、前記車両が前記仮想境界線を越えたか否かにより、前記車両が前記特定領域に進入又は前記特定領域から退出したか否かを判定することを特徴とする
監視システム。
【請求項4】
請求項1記載の監視システムにおいて、
前記車両の特定情報とは、車両のナンバープレート情報であることを特徴とする
監視装システム
【請求項5】
請求項4記載の監視システムにおいて、
前記駐車判定部は、前記監視用撮像装置の撮像部で撮像された映像に含まれる前記車両のナンバープレート情報を基に、前記特定領域へ進入した車両と前記特定領域から退出した車両とを対応付ける処理を行うことを特徴とする
監視システム。
【請求項6】
請求項1記載の監視システムにおいて、
前記車両の特定情報を含む車両映像の撮像に適した撮像設定とは、
高解像度での撮像を行う設定であることを特徴とする
監視システム。
【請求項7】
請求項1記載の監視システムにおいて、
前記監視用撮像装置は、
前記撮像部により生成された映像データの撮影時刻情報を含む属性情報を生成する属性情報生成部を備え、
前記特定領域進入時の車両が撮像された時刻と、前記特定領域退出時の車両が撮像された時刻とは、前記属性情報生成部が生成した撮影時刻情報であることを特徴とする
監視システム。
【請求項8】
特定領域における車両の駐車の監視を行う監視装置において、
特定領域及びその周辺領域を撮像して映像データを生成する撮像部と、
前記映像データから検知された車両が、前記特定領域に進入又は前記特定領域から退出したか否かを判定する駐車領域進入・退出判定部と、
前記駐車領域進入・退出判定部により、前記映像データから検知された車両が、前記特定領域に進入又は前記特定領域から退出したと判定された場合に、前記撮像部に、前記車両の特定情報を含む車両映像の撮像に適した撮像設定への切り換えを指令する撮像設定切替指示部と、
前記撮像設定切換指示部からの指令に基づいて前記撮像部が撮像した、前記車両の前記特定領域進入時の映像の撮像時刻と前記車両の前記特定領域退出時の映像の撮像時刻から、前記車両の前記特定領域滞在時間の算出を行う駐車判定部とを備えたことを特徴とする
監視装置。
【請求項9】
特定領域における車両の駐車の監視を行う監視方法において、
特定領域及びその周辺領域を撮像して映像データを生成し、
前記映像データから検知された車両が、前記特定領域に進入又は前記特定領域から退出したか否かを判定し、
前記映像データから検知された車両が、前記特定領域に進入又は前記特定領域から退出したと判定された場合に、前記車両の特定情報を含む車両映像の撮像に適した撮像設定へ切り換えて前記車両の特定情報を含む車両の撮像を行い、
前記特定領域進入時の車両が撮像された時刻と、前記特定領域退出時の車両が撮像された時刻から、前記車両の前記特定領域滞在時間の算出を行うことを特徴とする
監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−152736(P2008−152736A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343003(P2006−343003)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】