説明

監視システム及び監視方法

【課題】運搬用の台車等に搭載された複数の荷物を監視する低コストの監視システムを提供する。
【解決手段】台車5の無線端末1で、荷物4に添付されたIDタグ3のIDコードを読み取ってIDコードリストC1を生成し、通信のための電波の電界強度から配達人の携行する無線端末2までの距離Lを測定し、距離L1を越えたときにIDコードを読み取りIDコードリストC2を作成し、IDコードリストC1、C2を比較してこれらの不一致を検出したときに、IDコードリストC2にないIDコードと異常があったことを示す情報とを無線端末2に通知し、無線端末2がアラーム音を発生し、無線端末2において通知されたIDコードに対応する荷物4の情報を表示し、この荷物4に異常があったことを報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システム及び監視方法に関するものであり、例えば運搬用の台車等に搭載された複数の荷物を監視する監視システム及び監視方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、荷物にRFID(Radio Frequency IDentification)タグを添付して荷物を監視するシステムがある。例えば、特許文献1には、配送のための配送車両の荷台にRFIDリーダを搭載し、荷物に添付されたRFIDタグを読み取ってこれに基づいて荷物の届け先を特定して届け先へのナビゲーションを行うナビゲーション装置が開示されている。また、これは、RFIDタグを読み取って配送情報を特定することにより、荷物の積み下ろしを監視するシステムともなっている。
【0003】
特許文献2には、監視対象物にRFIDタグを備えた送信装置を添付し、この送信装置とアラーム発生装置との間で通信を行い、送信装置とアラーム発生装置とが所定の距離離れたときにアラーム発生装置が警報を発生することにより、対象物の盗難を防止する試みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−133085号公報
【特許文献2】特開2005−309954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配送車両により荷物を配送するときに届け先住所付近に配送車両を駐車するスペースが確保できず、複数の荷物を配送する必要がある場合には、複数の荷物を一旦配送車両から台車に載せ換えて届け先住所に届けることとなる。特許文献1に示されるものでは、荷物の監視可能領域は配送車両の荷台にとどまり、配送車両から台車に移された荷物を監視する手段はない。このため、配達人が台車から離れて荷物の受け渡しを行うときに他の荷物の監視が疎かになり、荷物の盗難の危険性が高まる。
【0006】
そこで、特許文献2に開示されるような送信機を荷物に添付し、特許文献1に開示される配達人が荷物の受け渡しが完了したことを入力するための携帯端末にアラーム発生装置を組み込み、荷物の監視を可能とするような試みも想定できる。しかしながら、この種の送信機を用いると、RFIDタグのみを用いる場合に比べてコスト高となる。複数の送信機と携帯端末とを常時通信させることは通信効率上及び消費電力上好ましくない。また、送信機(台車)と携帯端末(配達人)との距離がどの程度離れたときに警報を発生させるかのしきい値の設定は、どれだけ届け先近くまで台車を寄せられるかに関わり、様々な状況を満足させるしきい値を設定することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の監視システムは、荷物に添付されたRFIDタグを読み取ることで荷物を監視する第1の無線装置から第2の無線装置に前記荷物の異常を通知する監視システムであって、前記第1の無線装置は、前記第2の無線装置との通信のための第1の通信手段と、前記第1の通信手段による前記第2の無線装置との通信に基づいて前記第2の無線装置までの距離を測定する測距手段と、所定の読取可能範囲にあるRFIDタグから前記荷物に対応付けられた識別情報を読み取る読取手段と、前記読取手段から読み取った識別情報に基づき前記識別情報のリストを生成するリスト生成手段と、一旦前記読取手段に前記RFIDタグの識別情報を読み取らせるとともに前記リスト生成手段に識別情報のリストを生成させた後、前記測距手段の測定する距離が所定の距離を越えたときに、前記読取手段に前記RFIDタグの識別情報を読み取らせ、前に前記リスト生成手段が生成した前記識別情報のリストに存在する識別情報を読み取ることができなかったときに、識別情報を読み取ることができなかった荷物につき異常があることを前記第1の通信手段により前記第2の無線装置に通知させる制御手段と、を備え、前記第2の無線装置は、前記第1の無線装置との通信のための第2の通信手段と、前記第1の無線装置から識別情報を読み取ることができなかった荷物につき異常があることの通知を受けたときに報知を行う報知手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記第1の無線装置の前記第1の通信手段と前記第2の無線装置の前記第2の通信手段とは所定の周期で通信を行い、前記測距手段は当該通信の度に前記第2の無線装置までの距離を測定することが好ましい。
【0009】
前記制御手段は、前記測距手段の測定する距離が、前記所定の距離としての第1の距離を越えたときから、当該第1の距離より小さい値の第2の距離を下回るまでを監視状態として、当該監視状態において前記測距手段に繰り返し距離を測定させ、当該測定の度に前記読取手段に前記RFIDタグの識別情報を読み取らせ、当該監視状態となる前に前記リスト生成手段が生成した識別情報のリストに存在する識別情報が読み取られたか否かの判定を繰り返すものであることが好ましい。
【0010】
前記測距手段は前記第1の通信手段の受信する前記第2の通信手段からの通信に用いられる搬送波の信号強度に基づき距離を測定することが好ましい。
【0011】
前記第1の無線装置は、台車に設けられ、当該台車の荷台に搭載された前記荷物に添付された前記RFIDタグを読み取り可能に前記所定の読取可能範囲を設定した前記読取手段を備えてあり、前記第2の無線装置は携帯可能なものであることが好ましい。
【0012】
本発明の監視方法は、荷物に添付されたRFIDタグを読み取ることで荷物を監視する第1の無線装置から第2の無線装置に荷物の異常を通知する監視方法であって、前記第1の無線装置において、前記第2の無線装置の通信のための第1の通信手段を用いて前記第2の無線装置と通信する通信ステップと、前記通信ステップによる前記第2の無線装置との通信に基づいて前記第2の無線装置までの距離を測定する測距ステップと、読取手段を用いて所定の読取可能範囲にあるRFIDタグから前記荷物に対応付けられた識別情報を読み取る読取ステップと、前記読取ステップで読み取った識別情報に基づき前記識別情報のリストを生成するリスト生成ステップと、一旦前記読取ステップを実行して前記RFIDタグの識別情報を読み取るとともに前記リスト生成ステップを実行して識別情報のリストの生成をした後、前記測距ステップを繰り返し実行して測定した距離が所定の距離を越えたときに、前記読取ステップを実行して前記RFIDタグの識別情報の読み取りを行い、前に生成した前記識別情報のリストに存在する識別情報を読み取ることができなかったときに、前記通信ステップを実行して識別情報を読み取ることができなかった荷物につき異常があることを前記第2の無線装置に通知する制御ステップと、を実行し、前記第2の無線装置において、前記第1の無線装置との通信のための第2の通信手段を用いて前記通信ステップを実現させるステップと、前記通信ステップにおいて前記第1の無線装置から識別情報を読み取ることができなかった荷物につき異常があることの通知を受けたときに報知を行う報知ステップと、を実行することを特徴とする。
【0013】
前記通信ステップを所定の周期で実行し、当該通信ステップの度に前記測距ステップを実行して前記第2の無線装置までの距離を測定することが好ましい。
【0014】
前記制御ステップは、前記測距ステップにおいて測定される距離が、前記所定の距離としての第1の距離を越えたときから、当該第1の距離より小さい値の第2の距離を下回るまでを監視状態として、当該監視状態において前記測距ステップの度に、前記読取ステップを実行して前記RFIDタグの識別情報の読み取りをさせるとともに前記リスト生成ステップを実行して識別情報のリストを生成させ、当該監視状態の前に生成された識別情報のリストに存在する識別情報が読み取られたか否かの判定を繰り返すものであることが好ましい。
【0015】
前記測距ステップは前記第1の通信手段の受信する前記第2の通信手段からの通信に用いられる搬送波の信号強度に基づき距離を測定することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の監視システムでは、第1の無線装置において、それぞれの荷物に添付されたRFIDタグの識別情報を読み取り、識別情報のリストを生成し、第2の無線装置との通信に基づいて第2の無線装置までの距離を測定し、所定の距離を越えたときに再びRFIDタグの識別情報の読み取りを行い、先の識別情報のリストに存在する識別情報を読み取ることができなかったときに、識別情報を読み取ることができなかった荷物があることすなわち異常があったことを第2の無線装置に通知し、これを受けた第2の無線装置がその旨を報知する。このように本発明では、第1の無線装置においてRFIDタグを添付された荷物を一元的に監視し、異常があったときには第2の無線装置に通知するという、小規模かつ通信効率のよい構成をとるため、低コストの監視システムを実現することが可能となる。本発明によれば、例えば、配達人が台車に複数の荷物を搭載して届け先を巡回するような場合に最適な小規模で低コストの監視システムとして、台車に第1の無線装置を設置し、第2の無線装置を配達人が携帯可能なものとし、台車から配達人が離れたときに第1の無線装置が荷物に添付されたRFIDタグを一元的に監視し、台車に搭載されていた荷物に添付されたRFIDの読み取りができないときに、その旨を配達人の携帯する第2の無線装置に通知するという監視システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の実施形態に係わる監視システムの概要を示す概要図である。
【図2】図2は本発明の実施形態に係わる監視システムの第1の無線装置としての無線端末の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は本発明の実施形態に係わる監視システムの第2の無線装置としての無線端末の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は本発明の実施形態に係わる監視システムの車載端末の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は本発明の実施形態に係わる監視システムの動作概要を示す概要図である。
【図6】図6は本発明の実施形態に係わる監視システムの動作概要を示す概要図である。
【図7】図7は本発明の実施形態に係わる監視システムの動作説明のためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態の監視システムの概要を示す概要図であり、この監視システムは、第1の無線装置としての無線端末1と、第2の無線装置としての無線端末2と、RFIDタグとしてのIDタグ3と、車載端末7とから構成される。IDタグ3は、固有の識別情報を記憶してあり、荷物4に添付される。識別情報を以降の説明ではIDコードという。IDタグ3は、図示しないが、IDコードを記憶する記憶回路と、後述するIDタグリーダからの電波を受信して記憶回路からIDコードを読み出してこのIDコードを重畳した電波を送信するために、受信回路、送信回路及びアンテナを備える。IDタグ3のIDコードは、例えば、IDタグ3が添付される荷物4の荷物番号、届け先住所、受渡し予定日時を含む配送情報に対応付けられている。IDタグ3は、荷物4に添付される配送伝票に設けられる。無線端末1は、手押し台車である台車5に設けられてあり、IDタグリーダを備え、IDタグリーダによって台車5に搭載された複数の荷物4のそれぞれのIDタグ3からIDコードを読み取り、台車5に搭載された複数の荷物4を監視するものである。無線端末1は、配達人の携帯する無線端末2と所定の周波数帯の電波を搬送波として通信を行い、無線端末2から送信された搬送波の電界強度に基づき無線端末2との距離を測定するものである。無線端末1は、無線端末2との距離Lが所定の距離L1より大きな値となったときに監視状態に入り、無線端末2との距離Lが所定の距離L2より小さな値となったときに監視状態を解除するものである。ここで距離L2は距離L1より小さな値のものである。無線端末1は、監視状態において荷物4が持ち去られ、所謂、置引きが発生すると、あるべき荷物4に添付されたタグ3のIDコードを読み取ることができなかったことに基づいて荷物4に異常があったことを検出し、無線端末2に異常があった旨の通知するものである。無線端末2は、無線端末1と通信を行い、無線端末1から異常があった旨の通知を受けると、アラーム動作を行い、配達人にその旨を報知するものである。また、無線端末1は、台車5とともに配送車両6に搭載され、配送車両6の車外に持ち出されたときに配送車両6の車載端末7から無線送信される起動指令を受けて起動され、スタンバイ状態から後述する動作状態となるものである。車載端末7は後述するIDタグリーダにより配送車両6の荷室に搭載された荷物のIDタグ3を読み取り、IDタグ3のIDコードに基づいて荷物4を監視するとともに、それぞれの届け先を特定し、後述する表示部に配送ルートを表示し、無線端末2を介して配送が完了した荷物のIDタグ3のIDコードを取得して配送が完了した荷物を特定し、荷物の配送状況を図示しない基地局に通知するものである。
【0019】
図2は、無線端末1の構成を示すブロック図であり、同図を参照しながら、無線端末1の構成を説明する。無線端末1は、制御部11と、IDタグリーダ12と、端末通信部13と、表示部14と、操作部15と、IDタグ16とを備える。制御部11は、無線端末1の制御を司るもので、バスを介してIDタグリーダ12と、端末通信部13と、表示部14と、操作部15と接続される。制御部11は、無線端末1の動作を実現するコンピュータプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)111と、記憶部112とからなる。記憶部112はCPU111により実行されるコンピュータプログラムを格納するROM(Read Only Memory)、コンピュータプログラムの実行結果、例えば、後述するIDコードリストを格納するRAM(Random Access Memory)等からなる。IDタグリーダ12は、RFIDタグを読み取る周知のRFIDタグリーダであり、台車5の荷台上であって荷台から所定の高さまでの空間をIDタグ3の読み取り範囲とするように台車5に設置される。IDタグリーダ12は、IDコード要求を重畳した電波を送信し、これに応答したIDタグ3が送信するIDコードを重畳した電波を受信してIDコードを読み取るものである。IDタグ3は、IDコード要求を受信してから固有の遅延時間を持ってIDコードを送信するものである。これにより、IDタグリーダ12は、時分割に複数のIDタグ3のIDコードを受信し、複数のIDタグ3の読み取りが可能なものとなっている。端末通信部13は無線端末2及び車載端末7と通信するためのものであり、所定の周波数帯の電波を搬送波として通信するための図示しない送信回路、受信回路を備える。その受信回路は搬送波の電界強度を測定する測定回路を含む。表示部14は、例えば、液晶表示装置からなり、無線端末1の起動状態においてIDコードリスト等の監視状況を表示するためのものである。操作部15は、キーボード等からなり、配達人等の手動操作により、無線端末1を起動状態やスタンバイ状態とし、IDタグリーダ12に読み取り動作を行わせ、表示部14の表示内容を選択するためのものである。IDタグ16は、IDタグ3と同様のRFIDタグであり、無線端末1の図示しない外装に設けられる。IDタグ16が記憶するIDコードは無線端末1及び台車5のそれぞれを特定する情報と対応付けられている。IDタグ16は車載端末7のIDタグリーダに読み取られ、そのIDコードは無線端末1及び台車5の監視のために用いられる。
【0020】
図3は、無線端末2の構成を示すブロック図であり、同図を参照しながら、無線端末2の構成を説明する。無線端末2は、制御部21と、IDタグリーダ22と、端末通信部23と、表示部24と、操作部25と、IDタグ26と、アラーム部27とを備える。制御部21は、無線端末2の制御を司るもので、バスを介してIDタグリーダ22と、端末通信部23と、表示部24と、操作部25と、アラーム部27と接続される。制御部21は、無線端末2の動作を実現するコンピュータプログラムを実行するCPU211と、記憶部212とからなる。記憶部212はCPU211により実行するコンピュータプログラムを格納するROM、コンピュータプログラムの実行結果、例えば、アラーム動作の対象となるIDコードを格納するRAM等からなる。IDタグリーダ22は、RFIDタグを読み取る周知のRFIDタグリーダであり、図示しない無線端末2の外装の一部に設けられ、例えば、荷物4の受け渡しが完了したときに配達人がIDタグリーダ22を配送伝票に設けられたIDタグ3に対向させて操作部25を操作し、IDタグ3からIDコードを読み取るために使用される。荷物4の受け渡しが完了したときに読み取られたIDコードは、記憶部212に記憶される。端末通信部23は無線端末2及び後述する車載端末7と通信するためのものであり、所定の周波数帯の電波を搬送波として通信するための図示しない送信回路、受信回路を備える。表示部24は、例えば、液晶表示装置からなり、無線端末2の起動状態においてアラーム動作の対象となるIDコードの表示等を行うためのものである。操作部25は、キーボード等からなり、手動操作により、無線端末2を起動状態やスタンバイ状態とし、IDタグリーダ22に読み取り動作を行わせ、表示部14の表示内容を選択するためのものである。IDタグ26は、IDタグ3と同様のRFIDタグであり、無線端末2の図示しない外装に設けられる。IDタグ26が記憶するIDコードは無線端末2を特定する情報に対応付けられている。IDタグ26は、車載端末7のIDタグリーダに読み取られ、そのIDコードは無線端末2の監視のために用いられる。アラーム部27は、例えば、スピーカ及び報音装置からなり、アラーム動作の際にアラーム音を発生させる。これに限らず、アラーム部27は、振動モータ等からなる振動装置を備えて振動によりアラーム動作を行うものであってもよいし、発光ダイオード等からなる発光装置を備えてその点滅によりアラーム動作を行うものであってもよいし、音、振動、光等の組み合わせによりアラーム動作を行うものであってもよい。
【0021】
図4は、配送車両6に搭載される車載端末7の構成を示すブロック図であり、同図を参照しながら、車載端末7の構成を説明する。車載端末7は、制御部71と、IDタグリーダ72と、端末通信部73と、表示部74と、操作部75と、通信部76と、GPS(Global Positioning System)受信部77と、交通情報受信部78と、地図情報記憶部79とを備える。制御部71は、車載端末7の制御を司るもので、バスを介してIDタグリーダ72と、端末通信部73と、表示部74と、操作部75と、通信部76と、GPS受信部77と、交通情報受信部78と、地図情報記憶部79と接続される。制御部71は、車載端末7の動作を実現するコンピュータプログラムを実行するCPU711と、記憶部712とからなる。記憶部712はCPU711により実行されるコンピュータプログラムを格納するROM、ハードディスク装置、コンピュータプログラムの実行結果、例えば、IDタグリーダ72の読み取ったIDタグ3のIDコードリストを格納するRAM、ハードディスク装置等からなる。IDタグリーダ72は、RFIDタグを読み取る周知のRFIDタグリーダであり、図示しないが、配送車両6の荷室内をIDタグ3及びIDタグ16の読み取りが可能な範囲とするように荷室の側壁、天井に読み取りのためのアンテナの複数を適宜に配置してあり、IDタグリーダ72は複数のアンテナを選択的に使用して読み取り動作を行うものである。車載端末7は、IDタグリーダ72によりIDタグ3及びIDタグ16のIDコードを読み取り、荷物4、台車5及び無線端末1を監視する。また、図示しないが、配送車両6の運転席の近くに無線端末2の載置台を設けてあり、無線端末2を載置台に置いたときに無線端末2のIDタグ26が対向するように荷室のアンテナとは別途にIDタグリーダ72のアンテナを配置してあり、車載端末7は、この運転席のアンテナを選択的に使用するIDタグリーダ72によりIDタグ26のIDコードを読み取り、無線端末2を監視する。監視のために車載端末7は、荷物4、台車5、無線端末1、無線端末2のそれぞれと対応付けられたIDコードのテーブルを記憶部712に記憶している。特に個々のIDタグ3のIDコードは、添付される荷物4の荷物番号、届け先住所及び受渡し予定日時を含む配送情報と1つのレコードとして対応付けられ、IDコード毎、換言すれば、荷物4毎のレコードからなる配送情報のテーブルが記憶部712に記憶されている。このようなレコードは、後述する通信部を介して基地局のシステムから取得する。これに限らず、配送車両6への荷物4の搭載が行われる集荷場に基地局のシステムと接続された端末を設け、この端末から搭載すべき荷物4のレコードを無線端末2に送り、総ての荷物4の搭載が完了したときに無線端末2から車載端末7に総てのレコードを送信し、車載端末7がこれを取得するようにしてもよい。この場合、車載端末7は搭載された荷物4のIDタグ3からIDコードを読み取り、無線端末2から取得した総てのレコードとつき合わせて読み取り漏れがないことを確認し、取得したレコードにより配送情報のテーブルを更新するようにしてもよい。端末通信部73は、無線端末1及び無線端末2と通信するためのものであり、所定の周波数帯の電波を搬送波として通信するための図示しない送信回路、受信回路を備える。表示部74は、例えば、液晶表示装置からなり、車載端末7の動作状況の表示やIDタグリーダ72の読み取ったIDコードリスト等の監視状況の表示のためのものであり、荷物の配送ルートの表示を行うものである。操作部75は、キーボード等からなり、車載端末7を操作するためのもので、例えば、IDタグリーダ72に読み取り動作を行わせ、表示部74の表示内容を選択するためのものである。
【0022】
通信部76は、携帯電話装置、PHS(Personal Handy−phone System)装置等のデータ通信装置からなり、図示しない基地局のシステムに、配送車両6の現在位置、荷物の配送状況を所定の周期で送信するためのものである。例えば、制御部71は、一旦載置台から取り外された無線端末2が載置台に戻されたことをIDタグリーダ72によるIDタグ26の読み取りによって検出すると、無線端末2に受け渡しが完了した際に読み取ったIDコードを通知させる指令を端末通信部73に送信させる。これに応答した無線端末2は端末通信部23から該当するIDコードを送信する。端末通信部73を介してこのIDコードを受けた制御部71はこのIDコードから受け渡しが完了した荷物4を特定し、記憶部712に記憶する上述の配送情報のテーブルと照らし合わせて、このテーブル荷物4のレコード毎に受け渡しが完了したか否かの情報を加えて、配送状況のリストとし、これを通信部76から基地局に送信する。これにより、基地局のシステムにおいて配送状況の把握が可能となり、同システムにおいて再配送を受け付けた荷物4については再配送の指示を車載端末7に送信することが可能となる。基地局のシステムは、適宜に目的地を指定し、車載端末7に送信するものであってよい。また、無線端末2は、アラームの対象となる異常が検出された荷物4、例えば、置引きに遭った荷物4のIDコードを記憶部212に記憶し、車載端末7より読み取ったIDコードを通知させる指令を受けたときに、異常が検出された荷物4のIDコードを異常があったことを示す情報を添えて車載端末7に送信するようにしてもよい。車載端末7はこれを基地局のシステムに送信するようにすれば、基地局のシステムにおいて異常があったことを把握することが可能となる。
【0023】
GPS受信部77は、GPS衛星からの信号を受信し、配送車両6の現在位置を特定するためのものである。交通情報受信部78は、VICS(Vehicle Information and Communication System)受信装置からなり、道路交通情報を受信するものである。地図情報記憶部79は、地図情報を記憶したハードディスク装置からなり、制御部71の記憶部712のハードディスク装置の一部を用いる。制御部71は、記憶部712にカーナビゲーションプログラムを記憶してあり、表示部74と、操作部75と、GPS受信部77と、交通情報受信部78と、地図情報記憶部79とともに周知のカーナビゲーション装置を構成する。制御部71は、記憶部712に記憶されたカーナビゲーションプログラムを実行し、交通情報受信部78の受信する道路交通情報を加味して、上述の配送情報のテーブルに基づき、すなわち、配送情報に含まれる届け先住所、受渡し予定日時に基づいて逐次の目的地を設定して配送ルートを編集し、配送ルートに沿って表示部74にルート案内の表示をさせ、ルート案内動作を行う。ここで、設定される目的地は届け先住所の番地までで、複数の荷物4に対して共通の目的地が設定される場合がある。後述の監視システムの動作についての説明では、複数の荷物4に共通の目的地が設定されていることとする。
【0024】
次に、図5、6の概要図及び図7のフローチャートを参照しながら本発明の実施形態に係わる監視システムの動作を説明する。制御部71は、目的地に配送車両6が入ったときにルート案内動作を終了し、この目的地を届け先とする荷物4の配送情報を表示部74に表示する。制御部71は、IDタグリーダ72により無線端末1、2のIDタグ16、26を読み取り、無線端末1、2が存在することを確認してから所定期間、例えば5分間に、所定周期、例えば1秒周期でIDタグリーダ72による無線端末1、2のIDタグ16、26の読み取りを継続する。なお、この5分間以降は1分周期でIDタグリーダ72による無線端末1、2のIDタグ16、26の読み取りを行い、無線端末1、2の監視を行う。ここで、配達人が無線端末2を載置台から取り外し、IDタグリーダ72が無線端末2のIDタグ26を読み取ることができなくなると、制御部71は、制御部71の図示しない計時部の計時する毎秒のタイミングに端末通信部73により無線端末2に起動指令を送信する。
【0025】
ここで、無線端末2の制御部21の図示しない計時部と制御部71の計時部とは予め秒同期が取られている。例えば、無線端末2の最初の起動は、操作部15による手動操作によりなされ、そのときに端末通信部23の送信回路から同期要求を送信するとともに、端末通信部23の受信回路を常時受信状態とする。車載端末7の制御部71は、端末通信部73を介して同期要求を受けると、その計時部の計時する毎秒のタイミングに端末通信部73の送信回路に同期信号を送信させる。無線端末2の制御部21は、端末通信部23の受信回路が同期信号を受信したタイミングに基づいてその計時部を制御部71の計時部と同期させ、端末通信部23の送信回路から同期完了の旨を送信させる。このように制御部71の計時部との同期がとられる。制御部21の計時部の毎秒のタイミングの前後0.1秒間に制御部21は端末通信部23の受信回路を動作状態とする。制御部21は計時部を動作状態とし、受信回路を間欠的に動作状態とするのみで他の構成要素への電源供給を止めて無線端末2をスタンバイ状態としている。無線端末2の制御部21は、端末通信部23の受信回路を介して車載端末7からの起動指令を受けると、無線端末2を動作状態へと起動する。動作状態となると先ず、端末通信部23の送信回路から起動完了の旨を送信する。車載端末7の制御部71は、端末通信部73を介して起動完了の旨を受けると、端末通信部73に現在の目的地を届け先とする荷物4それぞれのIDタグ3のIDコードとこれらIDコードのそれぞれに対応付けられた配送情報を無線端末2に送信させる。無線端末2の制御部21は、端末通信部23を介してこれらIDコード及び配送情報を受けると記憶部212にこれらを記憶し、表示部24にこれら配送情報を表示させる。
【0026】
配達人が配送車両6の荷室から台車5を取り出すと、車載端末7のIDタグリーダ72によるIDタグ16の読み取りが途絶える。車載端末7の制御部71は、IDタグ16の読み取りができなくなると、制御部71は、制御部71の計時部の計時する毎秒のタイミングに端末通信部73により無線端末1に起動指令を送信する。無線端末1の制御部11は、予めその図示しない計時部と制御部71の計時部との秒同期を取っている。この同期は、無線端末2の場合と同様の構成、動作により行われる。制御部71の計時部との同期がとられた制御部11の計時部の毎秒のタイミングの前後0.1秒間に端末通信部13の受信回路が動作状態となっている。制御部11は計時部を動作状態とし、受信回路を間欠的に動作状態とするのみで他の構成要素への電源供給を止めて無線端末1をスタンバイ状態としている。無線端末1の制御部11は、端末通信部13を介して車載端末7より起動指令を受けると、無線端末1を動作状態へと起動する(ステップS71)。動作状態となると先ず、端末通信部13の送信回路から起動完了の旨を送信する。車載端末7の制御部71は、端末通信部73を介して起動完了の旨を受けると、端末通信部73に現在の目的地を届け先とする荷物4それぞれのIDタグ3のIDコードとこれらIDコードのそれぞれに対応付けられた配送情報とを無線端末1に送信する。無線端末1の制御部11は、端末通信部13によりこれらIDコード及び配送情報を受けると記憶部112にこれらIDコード及び配送情報を記憶する。
【0027】
無線端末1の制御部11は、起動直後に無線端末2に対するアクセス要求を端末通信部13に送信させる。無線端末2の制御部21は、端末通信部23を介してアクセス要求を受けると、無線端末1に対するアクセス応答を端末通信部23に送信させる。ここで、無線端末1の制御部11は、端末通信部13の図示しない測定回路にアクセス応答を重畳した搬送波の電界強度を測定させており、端末通信部13を介してアクセス応答を受けたときの電界強度を距離測定の基準値として特定する(ステップS72)。配達人が台車5を荷室から車外に取り出すときに無線端末1は起動され、この時には配達人に携帯される無線端末2と台車5の無線端末1とが近接しており、この状態で無線端末2からの送信される搬送波の電界強度を測定し、距離測定の基準値とする。ここで、制御部11は、所定回数アクセス要求を送信させ、所定回数のアクセス応答を受信して所定回数電界強度の測定を行って測定した電界強度の平均値を基準値としてもよい。制御部11の記憶部112には、基準値の電界強度の区間を画定し、その区間毎に後述する距離L1、L2における電界強度を対応付けしてなるテーブルが記憶されている。このテーブルは予め実験的に特定する。例えば、第1の区間、電界強度V1以上V2未満に対して距離L1における電界強度VL11、距離L2における電界強度VL21が設定され、第2の区間、電界強度V2以上V3未満に対して距離L1における電界強度VL12、距離L2における電界強度VL22が設定され、第3の区間、電界強度V3以上V4未満に対して距離L1における電界強度VL13、距離L2における電界強度VL23が設定され、というようなテーブルが記憶部112記憶されている。制御部11は、基準値が第1の区間に含まれると、距離L1における電界強度VL11、距離L2における電界強度VL21を距離測定のしきい値として使用する。上述したように距離L1は、無線端末1と無線端末2とがこの距離を越えたときに、端末装置1による荷物4の置引き、すなわち、異常の有無を監視する監視状態とするためのしきい値である。距離L1としては、例えば6m等と、台車5から離れた配達人が荷物4の置引きを知れば犯人を追跡できるであろう、適宜な距離を設定する。距離L2は、監視状態を解除するためのしきい値であり、距離L1より小さい値とし、監視状態、監視解除状態の遷移にヒステリシスを持たせ、遷移動作を安定させてある。ここでは、例えば、距離L1を6mとすると距離L2を3mとする。
【0028】
次に制御部11は、無線端末1を監視解除状態とする(ステップS73)。台車5を配送車両6の外に出した後暫くの間は、配達人が無線端末2の表示部24に表示される配送情報に従って荷物4を台車5の荷台に搭載するなどしており、このように配達人が台車5の近くにいる間は監視解除状態としも差し支えない。監視解除状態とした後に、制御部11は、IDタグリーダ12にIDタグ3の読み取りをさせる。IDタグリーダ12により荷物4のIDタグ3からIDコードが読み取られると、制御部11は読み取ったIDタグ3のIDコードのIDコードリストC1を作成して記憶部112に記憶する(ステップS74)。IDコードリストC1の作成に続いて、制御部11は、無線端末2に対するアクセス要求を端末通信部13に送信させる。無線端末2の制御部21は、端末通信部23を介してアクセス要求を受けると、無線端末1に対するアクセス応答を端末通信部23に送信させる。ここで、無線端末1の制御部11は、端末通信部13の図示しない測定回路にアクセス応答の搬送波の電界強度を測定させており、端末通信部13を介してアクセス応答を受けたときの電界強度を測定することで、無線端末1と無線端末2との距離Lを測定する(ステップS75)。制御部11は、測定した電界強度と、上述の基準値に基づいてテーブルから選択した距離L1における電界強度、例えば、電界強度VL11とを比較し、測定した電界強度が電界強度VL11より小さいときには距離Lは距離L1より大きいとし(ステップS76:Yes)、測定した電界強度が電界強度VL11以上のときには距離Lは距離L1以下であるとする(ステップS76:No)。制御部11は、距離Lが距離L1以下のとき(ステップS76:No)には、所定の待ち時間、例えば、1秒間待機して(ステップS77)、ステップS74以下の動作に戻り、IDタグリーダ12にIDタグ3の読み取りをさせる。配達人が届けるべき荷物4を台車5に搭載する最中、配達人は台車5の近くにおり、距離Lは距離L1以下となって、ステップS74〜S77の動作が繰り返される。この間、制御部11は、予め車載端末7から受信した届けるべき荷物4のIDタグ3のIDコードとIDコードリストC1の内容とを比較し、IDコードリストC1に不足したIDコードがあればそれに対応した荷物4の配送情報を表示させ、届けるべき荷物4のIDコードの総てがIDコードリストC1に揃ったときにはその旨を表示部14に表示させる。配達人は、表示部14の表示により届けるべき荷物4を台車5に搭載したことを確認できる。
【0029】
配達人が台車5とともに届け先に向かう最中、ステップS74〜S77の動作が繰り返される。図5に示すように、無線端末2を携行する配達人が台車5から荷物4を降ろして自らこれを持って台車5から離れて届け先に向かう場合は、ステップS74でIDコードリストC1が更新され、降ろされた荷物4の配送情報を不足分として表示部14に表示され、ステップS75で距離Lの測定がされ、ステップS76で、距離Lが距離L1を越えたか否かの判定がされる。制御部11は、配達人が台車5から遠ざかって距離Lが距離L1を越えた(ステップS76:Yes)と判定すると、無線端末1を監視状態とする(ステップS78)。次に制御部11は、ステップS75の動作と同様の動作により、無線端末2との距離Lを測定する(ステップS79)。制御部11は、測定した電界強度と、上述の基準値に基づいてテーブルから選択した距離L2における電界強度、例えば、電界強度VL21とを比較し、測定した電界強度が電界強度VL21より大きいときには距離Lは距離L2より小さいとし(ステップS7A:Yes)、測定した電界強度が電界強度VL21以下のときには距離Lは距離L2以上であって距離Lは距離L2より小さくないとする(ステップS7A:No)。制御部11は、距離Lは距離L2より小さくない(ステップS7A:No)と判定したときは、IDタグリーダ12にIDタグ3の読み取りをさせ、読み取ったIDタグ3のIDコードのIDコードリストC2を記憶部112に作成する(ステップS7B)。次に制御部11は、このIDコードリストC2と監視解除状態において作成したIDコードリストC1とを比較し、これらが不一致か否か、すなわち、これらリスト上のIDコードに相違が生じているか否かを判定する(ステップS7C)。無線端末1が監視状態に入った後に図6に示すように荷物4が持ち去られると、IDタグリーダ12の読み取り動作の際に持ち去られた荷物4のIDタグ3のIDコードは読み取られずに、この読み取り動作に基づき作成されたIDコードリストC2には持ち去られた荷物4のIDタグ3のIDコードは含まれず、IDコードリストC1とIDコードリストC2とが不一致となる。制御部11は、この不一致を判定して荷物4の持ち去り、置引きの発生を検出する。
【0030】
制御部11は、IDコードリストC1とIDコードリストC2とに不一致が生じていないと判定する(ステップS7C:No)と、所定の待ち時間、例えば、0.1秒間待機して(ステップS7D)、ステップS79以降の動作に戻り、無線端末2との距離Lを測定し(ステップS79)、距離Lは距離L2より小さくない(ステップS7A:No)と判定したときは、再びIDコードリストC2を作成し(ステップS7B)、IDコードリストC1とIDコードリストC2とが不一致となるか否か判定する(ステップS7C)。このように、監視状態となると、IDコードリストC1とIDコードリストC2とに不一致が生じたと判定するまで、制御部11は、0.1秒間という監視解除状態のステップS77での待ち時間1秒よりも短い待ち時間で、距離Lの測定動作、IDコードの読み取り動作、IDコードリストC2の作成動作、不一致判定動作を繰り返す。これにより、無線端末1は荷物4が持ちされたときには即座にこれを検出できる構成となっている。制御部11は、ステップS7Cにおいて、IDコードリストC1とIDコードリストC2とに不一致が生じたと判定すると、端末通信部13に無線端末2の端末通信部23と通信させ、IDコードリストC1に存在してIDコードリストC2に存在しない不一致となったIDコード、言い換えれば、置引きに遭った、すなわち、異常のあった荷物4に対応するIDコード及び置引きが発生した、すなわち、異常があった旨を無線端末2に通知する(ステップS7E)。ここで無線端末1から送信される情報は、IDコード及び異常を示す情報のみであり、通信効率のよい構成となっている。なお、無線端末2への異常があったことの通知の後、制御部11はステップS7Dの動作に戻り、台車5が配送車両6の荷室に積み込まれて車両端末7から通信によりスタンバイ状態に戻す指令を受けるか、配達人の操作を受けた操作部15からスタンバイ状態に戻す指令を受けるまで以上の動作を継続する。
【0031】
無線端末2の制御部21は、無線端末1から異常のあった荷物4のIDコード及び異常があった旨を受けると、アラーム部にアラーム音を発生させ(ステップS7F)、通知されたIDコードに基づいてこれと対応付けられた配送情報を記憶部212から読み出して表示部24に表示し、その配送情報にて示される荷物4に異常があった旨を表示する。これにより、配達人は即座に異常があった旨とともに表示される配送情報により特定される荷物4に異常があったこと、すなわちこの荷物4が置引きに遭ったことを知り、犯人追跡を試みるなど必要な対応をとることができる。また、制御部21は、異常のあった荷物4のIDコード及び異常があった旨を発生日時とともにログリストとして記憶部212に記憶する。後に台車5の荷物4を確認するなどして異常のあった荷物4のIDコードがIDタグリーダ12の読み取り誤りによって生じたものと判明したときには、無線端末2の操作部25を操作して、異常があったとされた荷物4のIDコードは誤動作により生じたことを示すエラー情報を、上述のログリストの対応するIDコードに添えて記憶部212に記憶するようにすることが好ましい。上述の基地局のシステムに対して異常のあった荷物4のIDコードを送信する際にこのエラー情報があればこれをあわせて送信するようにすれば、基地局のシステムにおいて誤動作の発生状況を把握することが可能となる。
【0032】
また、制御部11は、ステップS7Aにおいて距離Lは距離L2より小さいと判定する(ステップ7A:Yes)と、監視状態を解除し、監視解除状態とする(ステップS7F)。制御部11は、監視解除状態とした後に所定の待ち時間、例えば、1秒間待機して(ステップS7H)、ステップS74以下の動作に戻り、IDタグリーダ12にIDタグ3の読み取りをさせる。このように、距離Lが距離L1より大きくなったときに監視状態とし、距離L1より小さい距離L2より小さくなったときに監視状態を解除するようにして、監視状態、監視解除状態の遷移にヒステリシスを持たせたので、この遷移動作が安定したものとなり、無線端末1の動作を安定させることが可能となっている。また、監視状態において無線端末1の制御部11は、操作部15から所定のパスワードの入力がない限り、操作部15になされる操作を無効としてある。
【0033】
本発明の実施形態の監視システムでは、無線端末1において、それぞれの荷物4に添付されたIDタグ3のIDコードを読み取り、IDコードリストC1を生成し、無線端末2との通信に基づいて無線端末2までの距離Lを測定し、所定の距離L1を越えたときにIDタグ3のIDコードの読み取りを行い、IDコードリストC2を作成し、IDコードリストC1とIDコードリストC2とを比較してIDコードリストC1に存在するIDコードがIDコードリストC2に存在しなかったときに、存在しないIDコードと異常があったこととを無線端末2に通知し、無線端末2がアラーム音を発生し、存在しないIDコードに対応する荷物4の配送情報を表示部24に表示することで、この荷物4に異常があったことを報知する。このように監視システムでは、無線端末1においてIDタグ3を添付された荷物4を一元的に監視し、異常があったときには異常があったとされた荷物4に対応付けられたIDコード及び異常を示す情報を無線端末2に通知するという、小規模かつ通信効率のよい構成をとるため、低コストの監視システムを実現することが可能となる。例えば、配達人が台車に複数の荷物を搭載して届け先を巡回するような場合に最適な小規模で低コストの監視システムを提供することが可能となる。
【0034】
上述の監視システムでは、IDコードリストC1は、無線端末1の監視解除状態において所定の周期で繰り返しIDコードを読み取って作成するものとしたがこれに限るものではない。例えば、無線端末1の操作部15になされる所定の操作を受けてIDコードリストC1を作成するように構成してもよく、無線端末2の操作部25になされる所定の操作によって無線端末2から無線端末1に作成指令を送信し、これを受けて無線端末1がIDコードリストC1を作成するように構成してもよく、監視解除状態において繰り返されるIDコードリストC1の作成動作を、無線端末2の操作部25になされる所定の操作によって無線端末2から無線端末1に中止指令を送信し、無線端末1が以降のIDコードリストC1の作成を中止するように構成してもよい。このように構成することによっては、配達人が台車5から離れる際にその時点でIDコードリストC1の内容を固定することが可能となり、固定以降は配達人が目を離した隙に荷物4が置引きに遭ったような場合でも配達人が距離L1だけ台車5から離れた後にこれを検出することが可能となる。
【0035】
以上のように本発明の実施形態について述べたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 無線端末
11 制御部
12 IDタグリーダ
13 端末通信部
2 無線端末
21 制御部
23 端末通信部
27 アラーム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物に添付されたRFIDタグを読み取ることで荷物を監視する第1の無線装置から第2の無線装置に前記荷物の異常を通知する監視システムであって、
前記第1の無線装置は、
前記第2の無線装置との通信のための第1の通信手段と、
前記第1の通信手段による前記第2の無線装置との通信に基づいて前記第2の無線装置までの距離を測定する測距手段と、
所定の読取可能範囲にあるRFIDタグから前記荷物に対応付けられた識別情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段から読み取った識別情報に基づき前記識別情報のリストを生成するリスト生成手段と、
一旦前記読取手段に前記RFIDタグの識別情報を読み取らせるとともに前記リスト生成手段に識別情報のリストを生成させた後、前記測距手段の測定する距離が所定の距離を越えたときに、前記読取手段に前記RFIDタグの識別情報を読み取らせ、前に前記リスト生成手段が生成した前記識別情報のリストに存在する識別情報を読み取ることができなかったときに、識別情報を読み取ることができなかった荷物につき異常があることを前記第1の通信手段により前記第2の無線装置に通知させる制御手段と、
を備え、
前記第2の無線装置は、
前記第1の無線装置との通信のための第2の通信手段と、
前記第1の無線装置から識別情報を読み取ることができなかった荷物につき異常があることの通知を受けたときに報知を行う報知手段と、
を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記第1の無線装置の前記第1の通信手段と前記第2の無線装置の前記第2の通信手段とは所定の周期で通信を行い、前記測距手段は当該通信の度に前記第2の無線装置までの距離を測定することを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記測距手段の測定する距離が、前記所定の距離としての第1の距離を越えたときから、当該第1の距離より小さい値の第2の距離を下回るまでを監視状態として、当該監視状態において前記測距手段に繰り返し距離を測定させ、当該測定の度に前記読取手段に前記RFIDタグの識別情報を読み取らせ、当該監視状態となる前に前記リスト生成手段が生成した識別情報のリストに存在する識別情報が読み取られたか否かの判定を繰り返すものである、
ことを特徴とする請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記測距手段は前記第1の通信手段の受信する前記第2の通信手段からの通信に用いられる搬送波の信号強度に基づき距離を測定することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の監視システム。
【請求項5】
前記第1の無線装置は、台車に設けられ、当該台車の荷台に搭載された前記荷物に添付された前記RFIDタグを読み取り可能に前記所定の読取可能範囲を設定した前記読取手段を備えてあり、前記第2の無線装置は携帯可能なものであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の監視システム。
【請求項6】
荷物に添付されたRFIDタグを読み取ることで荷物を監視する第1の無線装置から第2の無線装置に荷物の異常を通知する監視方法であって、
前記第1の無線装置において、
前記第2の無線装置の通信のための第1の通信手段を用いて前記第2の無線装置と通信する通信ステップと、
前記通信ステップによる前記第2の無線装置との通信に基づいて前記第2の無線装置までの距離を測定する測距ステップと、
読取手段を用いて所定の読取可能範囲にあるRFIDタグから前記荷物に対応付けられた識別情報を読み取る読取ステップと、
前記読取ステップで読み取った識別情報に基づき前記識別情報のリストを生成するリスト生成ステップと、
一旦前記読取ステップを実行して前記RFIDタグの識別情報を読み取るとともに前記リスト生成ステップを実行して識別情報のリストの生成をした後、前記測距ステップを繰り返し実行して測定した距離が所定の距離を越えたときに、前記読取ステップを実行して前記RFIDタグの識別情報の読み取りを行い、前に生成した前記識別情報のリストに存在する識別情報を読み取ることができなかったときに、前記通信ステップを実行して識別情報を読み取ることができなかった荷物につき異常があることを前記第2の無線装置に通知する制御ステップと、
を実行し、
前記第2の無線装置において、
前記第1の無線装置との通信のための第2の通信手段を用いて前記通信ステップを実現させるステップと、
前記通信ステップにおいて前記第1の無線装置から識別情報を読み取ることができなかった荷物につき異常があることの通知を受けたときに報知を行う報知ステップと、
を実行することを特徴とする監視方法。
【請求項7】
前記通信ステップを所定の周期で実行し、当該通信ステップの度に前記測距ステップを実行して前記第2の無線装置までの距離を測定することを特徴とする請求項6に記載の監視方法。
【請求項8】
前記制御ステップは、前記測距ステップにおいて測定される距離が、前記所定の距離としての第1の距離を越えたときから、当該第1の距離より小さい値の第2の距離を下回るまでを監視状態として、当該監視状態において前記測距ステップの度に、前記読取ステップを実行して前記RFIDタグの識別情報の読み取りをさせるとともに前記リスト生成ステップを実行して識別情報のリストを生成させ、当該監視状態の前に生成された識別情報のリストに存在する識別情報が読み取られたか否かの判定を繰り返すものである
ことを特徴とする請求項7に記載の監視方法。
【請求項9】
前記測距ステップは前記第1の通信手段の受信する前記第2の通信手段からの通信に用いられる搬送波の信号強度に基づき距離を測定することを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−65498(P2011−65498A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216483(P2009−216483)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【Fターム(参考)】