説明

監視制御システム

【課題】被監視端末における適切な認証処理の実行を担保しつつも、監視端末に多くの被監視端末それぞれの状況を迅速に監視させる。
【解決手段】監視端末と、複数の被監視端末とを備える監視制御システムにおいて、複数の被監視端末は複数の系統に分類されており、監視端末は複数の被監視端末を一台ずつ順に選択し、データ要求信号を送信し、選択された被監視端末は認証結果を示す応答信号を監視端末へ送信する。また、監視端末からのポーリング信号の順番を、A1→B1→C1→A2・・・と異なる系統に属する被監視端末へと逐次切り替えることにより、各系統の無通信区間を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視端末と当該監視端末に接続される複数の被監視端末とを備える監視制御システムに関し、監視端末と各被監視端末との間におけるデータのやりとりを円滑にする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
監視制御システムの例として、特許文献1では、監視端末と被監視端末との間で2チャンネルの伝送のルートを併用することで、被監視端末の状況変化に関するデータの収集周期を短縮できるとしている。
【特許文献1】特開2000-224210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
監視制御システムの中でも、とりわけ被監視端末が扉開閉などの入退室管理におけるカード認証端末である場合には、認証や扉開閉に要する時間は短時間であることが要請され、このため監視端末側で行うカード認証端末の状況変化の把握を迅速にする必要がある。
また、カード認証端末は、監視端末との通信処理と、かざされたカードを認証するなどの認証処理との2つのタスクを担う。このようなカード認証端末では、コスト低減のため安価なCPUが使用される傾向にある。CPUの処理能力上の制約を考慮すると、認証処理の実行用に、通信処理を実行しない期間(無通信区間)を確保する必要が生ずる。
【0004】
そして、カード認証端末の台数が増加すると、以下のような問題が顕著となる。この問題を図13,図14を用いて説明する。
図13に示すように、監視端末であるコントローラ1010には、Z1,Z2,Z3,Z4,...,Z15の15台のカード認証端末が直列に接続されている。
コントローラ1010からカード認証端末へとポーリングを行うと、各カード認証端末は、監視端末からのポーリング信号を受けて自己の順が回ってきたときには、カード認証に係るデータを返信する。15台と台数が多いと、各カード認証端末は自己の順番が回ってくるまでの時間(ポーリング周期)が長くなる[図14(a)]。
【0005】
ポーリング周期の長期化は、カード認証端末から監視端末へのデータ送信間隔が延びることを意味するため、カード認証端末の状況つまりカード認証端末において生じた認証に係るデータの監視端末への伝達が遅れることとなる。
また上記したように適切に認証処理を実行するためにはある程度の無通信区間が必要であるため、図14(b)に示すように、ポーリング周期の短縮化のためとはいえ無通信区間を削減することは回避したい。
【0006】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであって、被監視端末における適切な認証処理の実行を担保しつつも、監視端末に多くの被監視端末それぞれの状況を迅速に監視させることが可能な監視制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における監視制御システムは、監視端末と、前記監視端末に監視される複数の被監視端末とを備える監視制御システムであって、複数の被監視端末は、n(≧2)個の系統に分類され、それぞれの系統に対応するケーブルを介して監視端末と接続されており、監視端末は、前記複数の被監視端末を一台ずつ順に選択する選択手段と、前記選択手段に選択された被監視端末宛に、データ要求信号を宛先の被監視端末が接続されたケーブルを通じて伝送する送信手段とを有し、複数の被監視端末のそれぞれは、自己と接続されたケーブル上に信号が流れていない間に、認証に係る処理を実行する認証手段と、前記データ要求信号に対する応答であって認証結果を示す応答信号を、自己と接続されたケーブルを通じて伝送する返信手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
課題を解決するための手段に記載した構成によれば、例えば、監視端末と、監視端末の選択手段により選択された被監視端末1台とが信号をやりとりしている間は、この選択された被監視端末1台と接続されたケーブルと接続されていない残りの被監視端末(選択された被監視端末1台が分類される系統に属さない被監視端末)は無通信となる区間を確保できる。
【0009】
このため、1台の監視端末に多数の被監視端末を接続させた場合であったとしても、無通信区間の確保により適切な認証処理を実現しつつ、データを要求するポーリング周期の長期化を回避することができる。
また、前記選択手段は、一の系統に属する被監視端末を一台を選択した次に、前記一の系統とは異なる系統に属する被監視端末を選択するとしても構わない。
【0010】
この構成によれば、一の系統に対応するケーブル上に信号が集中的に流れることを回避し、複数の系統に分散することが可能となり、各系統において無通信となる区間を容易に確保できる。
また、前記選択手段は、各系統ごとに同じ選択順を繰り返すように選択するとしても構わない。
【0011】
この構成によれば、例えば、系統ごとに被監視端末の台数を異ならせることで、系統ごとにデータ要求信号をやりとりする周期を調整することが可能となる。
また、監視端末は、さらに、当該監視端末と前記複数の被監視端末それぞれとの間の伝送に要する通信時間と、各被監視端末が接続されたケーブル上に信号が流れていない無通信時間とに基づいて系統数の適否を判定する判定手段と、判定手段による判定結果に基づいて、系統数の増減に関する内容の出力を行う判定結果出力手段とを備えることとしても構わない。
【0012】
この構成によれば、例えば、監視制御システムの管理者に、最適な系統を知らせることができ、系統の最適化を促すことができる。
また、監視端末は、さらに、前記複数の被監視端末の、前記送信手段が伝送する宛先として用いるためのアドレスを収集する収集手段と、収集したアドレスに基づいて、系統が異なる被監視端末のアドレスについての重複有無を点検する点検手段と、点検結果を出力する点検結果出力手段とを備えることとしても構わない。
【0013】
この構成によれば、例えば、アドレスが重複している場合に、重複の解消を監視制御システムの管理者に促すことができる。
また、前記監視端末における前記送信手段は、各系統に対応するケーブルと接続されたn個の交換ユニットであって、前記監視端末における前記選択手段は、選択した被監視端末が属する系統に応じて、前記n個の交換ユニットそれぞれに動作可否を示す信号を送信し、前記n個の交換ユニットは、前記監視端末の本体部分に着脱自在に搭載されていることとしても構わない。
【0014】
この構成によれば、例えば、交換ユニットが破損するようなことがあったとしても、ユニット単位で交換できるため、メンテナンス性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る監視制御システム1の構成図である。
監視制御システム1は、監視端末であるコントローラ10と、コントローラ10とケーブル2a〜2cのいずれか1本に接続された15台の認証端末A1〜A5,B1〜B5,C1〜C5とを備える。
【0016】
ケーブル2a〜2cはRS485に対応しており、コントローラ10は、認証端末A1〜A5,B1〜B5,C1〜C5それぞれとの間と、RS485の通信方式で通信する。
ここで、RS485とは、米国電子工業会(EIA)によって標準化されたシリアル通信の規格である。
認証端末A1〜A5は、ケーブル2aにより直列に接続されている。このようにケーブル2aを共用する認証端末A1〜A5を「系統A」とする。同様に、ケーブル2bにより直列に接続された認証端末B1〜B5を「系統B」、ケーブル2cにより直列に接続された認証端末C1〜C5を「系統C」とする。
【0017】
続いて、コントローラ10と各認証端末について、図2,図3の機能ブロック図を用いて順に説明する。なお、認証端末A1〜A5,B1〜B5,C1〜C5は同様の構成であるため、認証端末A1を代表させて説明し、残りの認証端末の説明は省略する。
図2に示すように、コントローラ10は、CPU12、メモリ14、表示部16、操作部18、3つの通信コントローラIC20a〜20cを備える。
【0018】
メモリ14は、制御プログラム、認証端末から受信した応答のログなどを格納する。
CPU12は、メモリ14に格納された制御プログラムを実行する。
表示部16は、LED表示器であり、コントローラ10を使用するユーザに対して数値などを表示する。操作部18は、ボタンやキーなどを含んで構成されており、ユーザから入力操作を受け付ける。
【0019】
通信コントローラIC20a〜20cは、それぞれ系統A〜Cの認証端末との間で、ケーブル2a〜2cを通じて、ポーリング信号の送信やデータ受信などの通信制御を行う。また、その動作可否、すなわち動作制御はCPU12からのDisable/Enable信号により行われる。
選択部19は、CPU12、メモリ14を有し、認証端末を順に一台ずつ選択する。具体的には、CPU12がメモリ14に格納されているテーブル(図6参照)を読み出し、このテーブルの順番に従って1台の認証端末IDのアドレスを宛先と決定する。そして、宛先の認証端末が接続された通信コントローラIC20a〜20cのいずれかにEnable信号を送信し、通信コントローラICを介してポーリング信号の送信とデータ受信とを行う。
【0020】
上記ポーリング信号は、テーブル(図6)のうちの宛先となる端末IDに対応するアドレスの情報を含む。
1台の認証端末と通信が終了すると、上記テーブルで特定される次の順の認証端末と通信し、全認証端末と一通り通信を終えると、最初の順番の認証端末との通信に戻る。
認証端末A1は、図3に示すように、CPU30、通信部32、メモリ34、カードリーダ36、表示部38、入力部40を備えている。
【0021】
通信部32は、RS485方式の通信回路を含んで構成されており、RS485方式の通信を行う。
メモリ34は、カードリーダ36が読み込んだ情報、制御プログラムを記憶する。
CPU30は、メモリ34が記憶する制御プログラムを実行する。
カードリーダ36は、ICカードから情報を読み取る。
【0022】
表示部38は、LEDを含んで構成されており、ユーザに対して各種表示を行う。
入力部40は、例えば、アドレス設定用のディップスイッチやボタン類を含んで構成されており、各種入力を受け付ける。
図4は、各認証端末A1〜A5,B1〜B5,C1〜C5のCPU30が実行する通信時のポーリング応答処理と、無通信時の認証イベント処理とを示すフローチャートである。
【0023】
無通信時には、認証イベント発生を検出すると(S21:Yes)、検出したイベントの内容に関するデータをメモリ34に記憶させる(S22)。
通信時には、ポーリング信号を受信すると(S11:Yes)、受信したポーリング信号のパケットに含まれるアドレスを解析する(S12)。
パケットの解析結果に基づき、自端末宛ならばデータを送信し(S13:Yes,S14)、自端末宛でないならばパケットを破棄する(S13:No,S15)。
【0024】
CPU30は、制御プログラムの内容に従って、ポーリング応答処理と認証イベント処理とを実行する。CPU30はスペックがそれほど優れていない安価なタイプでいあるため、両処理を同時並行処理しない。各瞬時においては、一方の処理のみを実行し、ポーリング応答処理を認証イベント処理より優先させる。
次に、図5,図6を用いてコントローラ10が15台の認証端末A1〜A5,B1〜B5,C1〜C5と順番に信号をやりとりする処理を説明する。
【0025】
図5は、コントローラ10と各系統の認証端末とのポーリング信号のやりとりを示すタイムチャートである。
コントローラ10は、Disable/Enable信号のオンオフと、アドレスの指定とを組み合わせることで、A1→B1→C1→A2→B2→・・・→C4→A5→B5→C5の順番で認証端末一台ずつにポーリングを行う。
【0026】
「通信区間1」では、コントローラ10から認証端末A1宛へのポーリング信号を送信し、認証端末A1はポーリング信号に応じたデータを返信(図4、S11,S12,S13:Yes,S14)する。
各認証端末は、接続されたケーブル上を信号が流れると、信号に関する処理(通信処理)を割り込ませる。すなわち認証処理の途中であったとしても、認証処理を中断させて、信号に関する処理を優先させる。
【0027】
このため、「通信区間1」では、認証端末A1のみならず、同じケーブル2aに接続された認証端末A2〜A5も、ケーブル2aを流れるポーリング信号をモニタするための通信区間となる(図4、S11,S12,S13:No,S15)。
通信区間1の後は、コントローラ10と認証端末B1との間の通信、コントローラ10と認証端末C1との間の通信が行われる。このコントローラ10と両者との通信の間は、ケーブル2a上には信号が流れない「無通信区間」となる。従って、この無通信区間の間、認証端末A1〜A5は認証処理を実行可能な状態となる。その後、コントローラ10と端末A2との間の「通信区間2」となる。
【0028】
図6は、認証端末のアドレスと、ポーリング信号を送信する順番とを示すテーブルである。15台の端末装置には、それぞれ4ビットのアドレスが割り当てられているものとして説明する。送信する順番は、A1→B1→C1→A2→B2→・・・→C4→A5→B5→C5というように、A系統の1台→B系統の1台→C系統の1台という順である。この順番によれば、ある系統に属する認証端末は、通信処理の後、直ちに無通信区間を確保することができる。
【0029】
また、15台の認証端末A1〜A5,B1〜B5,C1〜C5は3本のケーブル2a〜2cに分けて接続されているため、自己が属さない系統の通信中には、自己が属する系統は無通信となり認証処理を実行することが可能となる。
従って複数の系統A,B,Cに分けることで、単一系統の場合と比べて、無通信区間を容易に確保することができる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、各系統が5台ずつと同じ台数であったが、実施の形態2では、系統毎に台数を異ならせることでポーリング周期を制御するものである。実施の形態1と共通する部分については説明を省略し、図中同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。実施の形態3以降についても同様である。
【0030】
図7は、実施の形態2に係る監視制御システム101の構成図である。
監視制御システム101は、監視制御システム1(図1)と基本的には同様の構成であるが、系統Bの認証端末の台数は2台であり、他の系統A,Cの5台より少ない。
図8は、実施の形態2におけるコントローラ10と各系統間とのポーリング信号のやりとりを示すタイムチャートである。図9は、認証端末のアドレスと、ポーリング信号を送信する各系統ごとの順番とを示すテーブルである。
【0031】
実施の形態2では、系統A→系統B→系統Cと系統をABC順で毎回切り替えるとともに、各系統ごとの順番を繰り返す。すなわち、A1→B1→C1→A2→B2→C2→A3の後は、B1→C3→A4→B2となり、系統Bの端末はポーリング周期が約2/5倍と短く、レスポンス速度は約2.5倍となる。
このように、系統を毎回切り替えることを維持しつつ、系統ごとの認証端末を異ならせることで、各系統におけるポーリング周期をコントロールすることが可能となる。高い応答性能が求められる認証端末(例えば、画像認識を用いた入退室認証。)を用いる場合に好適である。
(実施の形態3)
実施の形態3では、コントローラと各認証端末との間に要する通信時間と、各認証端末が認証処理を適切に実行するために確保すべき無通信時間と、に基づいて現状の系統数が適当な数であるかどうかを判定する。そして判定結果をユーザに対して表示することで、ユーザに端末の系統を再構築させるよう促す。
【0032】
なお、系統数は、数が多いと配線コストが増大する一方で、数が少ないと、コントローラ側で無駄な待ち時間が発生したり、各系統の無通信区間の確保が難しくなるという関係にある。
図10は、コントローラ10のCPU12が実行する最適な系統数を算出する処理を示すフローチャートである。以下、本実施の形態では、コントローラ10には、n(≧2)個の系統数が存在するとして説明する。
【0033】
まず、系統下の各端末とデータ送受信を行い(S31)、データ送信開始からコントローラでの受信完了までの通信時間を計測し、計測した通信時間の合計を認証端末数で除して平均通信時間taを算出する。また、適切な認証処理の実行を担保するだけの無通信区間の時間tiを設定する(S32)。この設定は、例えば、システム設定時に行われる。
ta×(n-1)<tiの関係式を満たす場合(S33:Yes)は、同じ端末台数なら、系統数を増加させた方がポーリング周期を短くできる可能性がある場合であるため、系統数が不足である旨を表示する(S34)。表示の例を図11に示す。表示部16の表示器17上には、コード「E1」が表示されている。このコードは、系統数が不足であることを示すものである。
【0034】
ta×(n-2)<tiの関係式を満たす場合(S35:Yes)は、新たな端末を追加した台数を増やすときでも、系統数を増やす必要がない場合であり、系統数が過多である旨を表示する。満たさない場合(S35:No)には、系統数が適切である旨を表示する。
(実施の形態4)
実施の形態4では、コントローラ10において認証端末のアドレスを収集し、系統が異なる認証端末どうしのアドレスに重複がないかどうかを点検する。アドレスが重複すると、認証ログのデータの整合性などに悪影響を及ぼすことがあるため、重複の旨を表示することで認証端末のアドレス設定ミスを是正するよう促すことができる。
【0035】
このアドレスの収集と点検とはコントローラ10のCPU12が実行する。すなわち図1に示したシステム構成の場合、CPU12は全て認証端末A1〜A5,B1〜B5,C1〜C5にアドレスを要求する旨を示す信号を送信し、応答を受信することでアドレスを収集する。そして、収集した4ビット(図6参照)のアドレスの重複有無を点検する。点検結果は、例えば、図11に示したLED表示器に表示させる。
(実施の形態5)
認証端末の電源は、コントローラから供給する場合がある。この場合、コントローラの通信ケーブルと端末電源ケーブルとで接続端子の誤結線などにより、通信コントローラICが破損することがある。
【0036】
また通信ケーブルはビル内などを長距離配線されるため、様々なノイズを受ける可能性がある。特に、落雷などにより通信ケーブル上に非常に大きなノイズが乗ると通信コントローラICが破損することがある。
そこで実施の形態5では、コントローラの通信を制御する通信コントローラIC部分を着脱自在とすることによりメンテナンスコスト低減を指向するものである。
【0037】
図12は、実施の形態5に係るコントローラ50の構成を示す図である。
コントローラ50は、CPU52、3つの系統にそれぞれ対応した交換ユニット60a〜60cを備える。
交換ユニット60a〜60cはそれぞれ通信コントローラIC62a〜62c、結線用コネクタ64a〜64c、ソケットピン部66a〜66cを有する。
【0038】
結線用コネクタ64a〜64cは、各系統下の認証端末と接続された通信ケーブルや端末電源ケーブルのケーブルと結線されたコネクタである。
ソケットピン部66a〜66cは、コントローラ50の本体ソケット(本体基板上に実装されている。)側と着脱自在に取り付けられている。
このように、通信コントローラICを交換可能な交換ユニット化することで、一つの系統を担当する通信コントローラICが万一破損したとしても他の系統を巻き込むこと無く交換作業を行うことができ、メンテナンス性を向上できる。
<補足>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されない。例えば、次のように実施することもできる。
【0039】
(1)系統数について
上記各実施の形態では、系統数はABCの3つであったが、系統数が複数[n(≧2)]個であればよく3つに限られない。系統数がn個の場合、1個の系統が通信中、残りの(n-1)個の系統に関して無通信の区間を確保し得る。
(2)通信の頻度について
実施の形態1では、図5に示すように、コントローラ10は認証端末と絶え間なく通信しているとして説明したが、例えば、各認証端末との通信の間に待ち時間(インターバル)を設定しても構わない。
【0040】
例えば、認証処理を十分に行えるよう無通信区間をTx時間確保したい場合において、認証端末への1回のポーリング信号の送信とその応答との通信区間がTy時間であるならば、Ty時間の通信区間の間、通信する1系統以外の残りの(n-1)系統は無通信区間となることも考慮に入れると、待ち時間Tz(>0)は、例えば、Tz=1/n[Tx-Ty(n-1)]となる。
ただし系統数を増加できる範囲では、待ち時間はない方が望ましく、Tx-Ty(n-1)≦0、すなわち、Tx≦Ty(n-1)のときには、待ち時間Tzはゼロとする。
【0041】
(3)通信の順番について
実施の形態1では、系統A→系統B→系統C→系統Aというように、毎回、通信する系統を異ならせる順番として説明したが、例えば、系統Aの無通信区間は系統B,Cと比べて短くても構わない状況である場合に、系統A→系統B→系統A→系統Cという順番のループを繰り返して重点的に系統Aの順番を割り振ってもよい。
【0042】
また、実施の形態1では、図6のテーブルの「順番」という項目を利用しているが、必ずしも順番を別途設定する必要はなく、例えばアドレスの番号順(昇順または降順)に従った順でポーリングを行うようにしてもよい。
(4)通信の方式について
各実施の形態では、通信の方式としてRS485を例に挙げて説明したが、この方式に限らず、複数の端末がケーブルを共用し、複数の端末のうちの一つの端末における通信が残りの端末に影響を及ぼすようなネットワーク環境下において本発明は適用可能である。
【0043】
(5)認証端末の認証方式について
各実施の形態では、主にカード認証の例を挙げて説明しているが、カード認証に限らず、指紋認証などの生体認証方式を実行する認証端末を用いてよい。
(6)判定結果、点検結果の出力形態について
実施の形態4,5では、図11に示すように、判定結果ないし点検結果をLED表示器にコードで表示する例を説明したが、これに限らずLCDなどに、結果を示す文字メッセージや画像を表示させるようにしても構わない。また表示出力に限らず音声出力であってもよく、例えば、結果内容に対応した回数のビープ音を出力する構成であっても構わない。
【0044】
(7)認証の主体について
各実施の形態では、被監視端末に認証の機能を持たせた場合について説明したが、被監視端末は、(a)カードIDの読み取り手段と、(b)使用者への情報提示手段を持つだけの端末でもよい。
この場合、被監視端末でカードIDの読み取りを行い、それを監視端末に通知する。通知を受けた監視端末で認証を行い、認証結果や扉を制御した結果を、被監視端末に返すといった構成になる。
【0045】
被監視端末では、無通信区間の間に、(a)カードID読み取りや、(b)使用者への情報提示の処理などを行うこととなる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施の形態1に係る監視制御システム1の構成図である。
【図2】コントローラ10の機能ブロック図である。
【図3】認証端末A1の機能ブロック図である。
【図4】各認証端末A1〜A5,B1〜B5,C1〜C5のCPU30が実行する通信時のポーリング応答処理と、無通信時の認証イベント処理とを示すフローチャートである。
【図5】コントローラ10と各系統の認証端末とのポーリング信号のやりとりを示すタイムチャートである。
【図6】認証端末のアドレスと、ポーリング信号を送信する順番とを示すテーブルである。
【図7】実施の形態2に係る監視制御システム101の構成図である。
【図8】実施の形態2におけるコントローラ10と各系統間とのポーリング信号のやりとりを示すタイムチャートである。
【図9】認証端末のアドレスと、ポーリング信号を送信する各系統ごとの順番とを示すテーブルである。
【図10】コントローラ10のCPU12が実行する最適な系統数を算出する処理を示すフローチャートである。
【図11】最適な系統数を算出した結果表示例を示す図である。
【図12】実施の形態5に係るコントローラ50の構成を示す図である。
【図13】1台のコントローラに15台の被監視端末が接続された例を示す図である。
【図14】監視端末と被監視端末との間のポーリングに関するタイムチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 監視制御システム
2a 系統Aのケーブル
2b 系統Bのケーブル
2c 系統Cのケーブル
10,50 コントローラ
12 CPU
14 メモリ
16 表示部
17 表示器
19 選択部
20a〜20c,62a〜62c 通信コントローラIC
32 通信部
60a〜60c 交換ユニット
66a〜66c ソケットピン部
A1〜A5 系統Aの認証端末
B1〜B5 系統Bの認証端末
C1〜C5 系統Cの認証端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視端末と、前記監視端末に監視される複数の被監視端末とを備える監視制御システムであって、
複数の被監視端末は、n(≧2)個の系統に分類され、それぞれの系統に対応するケーブルを介して監視端末と接続されており、
監視端末は、
前記複数の被監視端末を一台ずつ順に選択する選択手段と、
前記選択手段に選択された被監視端末宛に、データ要求信号を宛先の被監視端末が接続されたケーブルを通じて伝送する送信手段とを有し、
複数の被監視端末のそれぞれは、
自己と接続されたケーブル上に信号が流れていない間に、認証に係る処理を実行する認証手段と、
前記データ要求信号に対する応答であって認証結果を示す応答信号を、自己と接続されたケーブルを通じて伝送する返信手段とを有する
ことを特徴とする監視制御システム。
【請求項2】
前記選択手段は、一の系統に属する被監視端末を一台を選択した次に、前記一の系統とは異なる系統に属する被監視端末を選択する
ことを特徴する請求項1に記載の監視制御システム。
【請求項3】
前記選択手段は、各系統ごとに同じ選択順を繰り返すように選択する
ことを特徴とする請求項2に記載の監視制御システム。
【請求項4】
監視端末は、さらに、当該監視端末と前記複数の被監視端末それぞれとの間の伝送に要する通信時間と、各被監視端末が接続されたケーブル上に信号が流れていない無通信時間とに基づいて系統数の適否を判定する判定手段と、
判定手段による判定結果に基づいて、系統数の増減に関する内容の出力を行う判定結果出力手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の監視制御システム。
【請求項5】
監視端末は、さらに、前記複数の被監視端末の、前記送信手段が伝送する宛先として用いるためのアドレスを収集する収集手段と、
収集したアドレスに基づいて、系統が異なる被監視端末のアドレスについての重複有無を点検する点検手段と、
点検結果を出力する点検結果出力手段とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の監視制御システム。
【請求項6】
前記監視端末における前記送信手段は、各系統に対応するケーブルと接続されたn個の交換ユニットであって、
前記監視端末における前記選択手段は、選択した被監視端末が属する系統に応じて、前記n個の交換ユニットそれぞれに動作可否を示す信号を送信し、
前記n個の交換ユニットは、前記監視端末の本体部分に着脱自在に搭載されている
ことを特徴とする請求項1に記載の監視制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−75945(P2009−75945A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245479(P2007−245479)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】