説明

監視装置

【課題】平均輝度が大きく変化しないような方法で撮影妨害がなされた場合にも、その妨害行為を検知することができる監視装置を提供する。
【解決手段】映像フレームを構成する画素の各々をその輝度に応じて複数の輝度クラスのうちのいずれか1つに群分けし、クラス毎の画素数と基準値との差分値の合計が閾値を上回ったと判別した場合に妨害検出信号を生成及び出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラを備えた監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不正行為を監視するための監視カメラを備えた監視装置が、例えば現金自動預け払い機の設置場所など様々な場所に設けられている。ところが、不正行為者が例えば監視カメラのレンズ部分を手で遮蔽したり、レンズ部分に粘着テープを貼り付けたりした場合には、その不正行為を撮影できなくなる。そこで、このような撮影妨害行為がなされたか否かを判定する手段が要望されている。例えば特許文献1には、監視領域の照度と所定の閾値とを比較して監視カメラ装置にマスクがされたか否かを判定するマスク検出装置が開示されている。また、特許文献2には、赤外線センサによって監視領域における照度を検出し、その変化量に基づいて異常を検出する赤外線監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−134504号公報
【特許文献2】特開2000−285327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1又は2のように照度又は輝度の平均値と閾値とを単に比較して妨害判定をする方法には以下のような問題点があった。1つは、いわゆる中間色からなる半透光性の物体で監視カメラを遮蔽した場合には、その遮蔽の前後で映像の平均輝度が大きく変化しないので、監視カメラを遮蔽するという妨害行為を検知できないという問題である。もう1つは、監視カメラの機種や監視場所の環境によって最適な閾値がそれぞれ異なるので、閾値を最適値に設定することが困難であるという問題である。
【0005】
本発明は上記した如き問題点に鑑みてなされたものであって、平均輝度が大きく変化しないような方法で撮影妨害がなされた場合にも、その妨害行為を検知することができる監視装置を提供することを目的とする。更に、監視カメラの機種や監視場所の環境毎の最適閾値の検討を要しない監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による監視装置は、対象領域の撮像動作により撮像信号を生成する撮像部を含む監視装置であって、当該生成された撮像信号をA/D変換して映像データ信号を生成するA/D変換部と、当該生成された映像データ信号に含まれるフレームを構成する画素の各々についての輝度の高さに応じて前記画素を輝度毎に所定の階調に群分けする画素群分け部と、所定の階調に群分けされた画素数に重みを付けて新たな輝度区分毎に画素数を生成するクラス値生成部と、前記画素数と基準値との差分値を前記輝度区分毎に算出し、前記差分値の合計が設定閾値を上回ったと判別した場合に前記撮像部による撮像動作が妨害された旨を表す妨害検出信号を生成する検出信号生成部と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明による監視装置によれば、平均輝度が大きく変化しないような方法で撮影妨害がなされた場合にも、その妨害行為を検知することができる。更に、監視カメラの機種や監視場所の環境毎に最適閾値を検討することを要しない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】監視装置を表すブロック図である。
【図2】DSP部を表すブロック図である。
【図3】クラス値生成時の画素の重み付けを表す図である。
【図4】妨害検出処理ルーチンを表すフローチャートである。
【図5a】通常状態における映像の一例である。
【図5b】対象輝度範囲を256階調に区分けした場合における通常状態時の階調毎の画素数を表したヒストグラムである。
【図5c】対象輝度範囲を13クラスに区分けした場合における通常状態時のクラス毎の画素数を表したヒストグラムである。
【図6a】妨害状態における映像の一例である。
【図6b】対象輝度範囲を256階調に区分けした場合における妨害状態時の階調毎の画素数を表したヒストグラムである。
【図6c】対象輝度範囲を13クラスに区分けした場合における妨害状態時のクラス毎の画素数を表したヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施例について添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0010】
図1は本実施例による監視装置100を表すブロック図である。監視装置100は、例えば現金自動預け払い機(いわゆるATM)の設置場所など不正行為がなされる可能性のある場所に予め設置された、不正行為監視のための監視装置である。監視装置100は、撮像部110と、A/D変換部120と、DSP部130と、記憶部140と、を含む。
【0011】
撮像部110は、例えばATMなどの監視対象を含む監視領域を撮像してアナログ形式の撮像信号PAを生成するカメラである。
【0012】
A/D変換部120は、撮像部110によって生成された撮像信号PAをA/D(アナログ/デジタル)変換してデジタル形式の映像データ信号PDを生成する。A/D変換部120は、例えば輝度成分Yと2つの色差成分Cb及びCrからなるYCbCr形式に従って映像データ信号PDを生成する。映像データ信号PDには、連続する複数の映像フレーム(以下、単にフレームと称する)が含まれている。
【0013】
DSP(Digital Signal Processor)部130は、A/D変換部120によって生成された映像データ信号PDを解析して撮像妨害行為の検知処理を行うプロセッサである。図2は、DSP部を表すブロック図である。DSP部130は、画素群分け部131と、クラス値生成部132と、検出信号生成部133と、を含む。
【0014】
画素群分け部131は、A/D変換部120によって生成された映像データ信号PDに含まれる1つのフレームを構成する画素の各々の輝度の大きさに応じて画素を256段階の輝度毎に群分けする。撮像部110によって撮像された映像はフレームの連続からなるものであるが、画素群分け部131は、例えば5秒間隔などの周期的にその時点で対応する1つのフレームについて群分け処理を施す。例えば映像データ信号PDがYCbCr形式に従って表されたデータである場合には、画素群分け部131は、1つのフレームを構成する画素の各々についての輝度成分Yに基づいて群分けする。
【0015】
クラス生成部132は、256段階に別けられた画素数に重みを付けて、各輝度区分に割り当てる。輝度区分は、所定の対象輝度範囲を輝度の大きさに従って段階的に区分けして得られた区分である。以下、輝度区分をクラス、輝度区分の画素数をクラス値と称する。対象輝度範囲及びクラスは監視者によって予め設定される。対象輝度範囲には特に制限は無く、例えばYCbCr形式における輝度成分Yを8ビットの2進数で表現した場合には0〜255までの範囲内で任意に設定できる。
【0016】
以下に各クラス値の作成手順を示す。監視者は、対象輝度範囲を例えば13段階つまり13クラスに区分けする設定をする。例えば13クラスの各々をC1、C2、・・・、C13とした場合に、これらの各々は個別の輝度範囲からなるものであり、C1<C2、C2<C3、・・・、C12<C13といった関係を有する。例えば対象輝度範囲を0〜255とし且つ輝度区分を13クラスとした場合には、例えばC1=0〜20、C2=10〜40、C3=30〜60・・・、C13=230〜255として設定する。ここで隣り合うクラスで重複する輝度範囲については、重みを付けて分配する。図3は13クラスに設定した場合の重み付けの例を示す図である。C1とC2の重複している輝度範囲11〜20について説明する。重みの付け方には特に制限はなく、例えば図3のように、輝度11においては、C1には画素数の9割、C2には画素数の1割を分配する。輝度12においては、C1には画素数の8割、C2には画素数の2割を分配する。このように輝度毎に重みを変えていき、輝度20においては、C1には画素数の1割、C2には画素数の9割を分配する。重みを付けることにより、日照量の変化などにより僅かに画像に変化が生じた場合については、クラス値の変化量を低減させ、誤報を低減することができる。なお、各クラスの輝度範囲は必ずしも等間隔である必要はない。また、輝度成分Yは8ビット表現だけでなく、16ビット又は24ビット表現によるものでも良い。
【0017】
検出信号生成部133は、先ず、区分けされた複数のクラスのうちの1つに属する画素の数と、そのクラスについて設定された基準値との差分値をクラス毎に算出する。例えば13クラスの各々をC1、C2、・・・、C13とした場合に、クラスC1に属する画素数が1000個であり、クラスC1についての基準値が3000個である場合、その差分値は2000個となる。検出信号生成部133は、同様に各クラスについての差分値を算出してその合計値を求める。
【0018】
次に検出信号生成部133は、その合計値が、監視者によって予め設定された閾値を上回ったと判別した場合に、撮像妨害がなされた旨を表す妨害検出信号SIを生成し、これを出力する。例えば差分値の合計値が50000個であり、閾値が40000個である場合に検出信号生成部133は、妨害検出信号SIを生成及び出力する。妨害検出信号は、例えばインターネットなどの通信網又は専用通信回線(図示せず)を介して監視者の監視用端末へと送信される。
【0019】
上述したクラス毎の基準値の初期値(以下、初期基準値と称する)は以下のように設定される。撮像部110による撮像動作を何ら妨害しない状態(以下、通常状態と称する)で、例えばATMなどの監視対象を含む監視対象領域を撮像して得られた撮像信号PAをA/D変換部120がA/D変換して映像データ信号PDを生成する。そして、画素群分け部131による上記の処理により、この映像データ信号PDに含まれる1つのフレーム(以下、通常状態フレームと称する)についてのクラス毎の画素数を求め、そのクラス毎の画素数をクラス毎の初期基準値として設定する。検出信号生成部133は、後続のフレームについて継続して初期基準値に基づいて差分値を算出するようにしても良いし、以下のように差し替えた(置換した)基準値に基づいて差分値を算出するようにしても良い。
【0020】
基準値の差し替えは以下のようになされる。検出信号生成部133は、A/D変換部120によって生成されたある映像データ信号PDに含まれる1つのフレーム(以下、先行フレームと称する)に対応するクラス毎の画素数NPをクラス毎の基準値として、その差分値の算出後に後述の記憶部140に記憶する。そして、検出信号生成部133は、画素群分け部131が先行フレームの次に群分け処理の対象とするフレーム(以下、後続フレームと称する)に対応する差分値を算出する際には、記憶部140に記憶されているクラス毎の基準値(先行フレームについてのクラス毎の画素数NP)に基づいて算出する。検出信号生成部133は、その差分値の合計値が閾値を超えていないと判別した場合に、記憶部140にクラス毎の基準値として記憶されている先行フレームについてのクラス毎の画素数NPを、後続フレームについてのクラス毎の画素数NPに差し替える。つまり、後続フレームについてのクラス毎の画素数NPをクラス毎の新たな基準値とする。検出信号生成部133は、各映像データ信号についての差分値の算出毎に同様の差し替え処理を行う。このような基準値の自動差し替えを行うことによって、例えば経時的な日照量の変化などの漸次的な変化に応じてその時点での最適な基準値を自動で設定することができる。
【0021】
なお、画素群分け部131及び、クラス値生成部132、検出信号生成部133の各機能をハードウェアで構成しても良いし、これらの各機能を実現するコンピュータプログラムを後述の記憶部140に記憶してプロセッサであるDSP部130が当該コンピュータプログラムを記憶部140から読み出して実行するという構成でも良い。
【0022】
記憶部140は、あるフレームについてのクラス毎の画素数NPをクラス毎の基準値として記憶する例えばハードディスクやRAMなどの記憶媒体である。クラス毎の基準値は、後続フレームについての差分値算出の際に、検出信号生成部133によって読み出される。また、クラス毎の基準値として記憶されている先行フレームについてのクラス毎の画素数NPは、検出信号生成部133による後続フレームについての差分値の算出後に、後続フレームについてのクラス毎の画素数NPに差し替えられる。
【0023】
図4は、DSP部130によって実行される妨害検出処理ルーチンを表すフローチャートである。以下、図4を参照しつつ、妨害検出処理について説明する。妨害検出処理ルーチンは、DSP部130によって例えば5秒毎などの周期的に実行される。
【0024】
以下、前提として輝度成分Yが8ビット(0〜255)で表されており、対象輝度範囲を13クラスすなわちC1=0〜20、C2=10〜40、・・・、C13=230〜255に区分けする設定が監視者によって既にされている。また、閾値を50000とする設定が既にされている。更に、通常状態における映像データ信号に含まれる1つのフレーム(通常状態フレーム)についてのクラス毎の画素数をクラス毎の初期基準値として設定されている。ここで、この通常状態における映像データ信号は、図5aに示されるように撮像部110を何ら遮蔽しない状態(通常状態)で、監視対象であるATMを含む監視領域を撮像して得られた信号である。図5bは、通常状態フレームについての256階調の画素数を表すヒストグラムである。図5cは、通常状態フレームについてのクラス毎の画素数を表すヒストグラムある。縦軸が画素数を表し、横軸がクラスを表す。なお、図5cでは、クラスC1〜C13を単に1〜13として表している。例えばクラスC7に属する画素数は約15000個である。この通常状態におけるクラス毎の画素数は、クラス毎の基準値として記憶部140に記憶されている。
【0025】
先ず、A/D変換部120は、例えば5秒毎などの周期的な実行時期の到来に応じて、撮像部110によって生成された撮像信号PAをA/D変換して映像データ信号PDを生成する(ステップS101)。
【0026】
次に、画素群分け部131は、A/D変換部120によって生成された映像データ信号PDに含まれる1つのフレームを構成する画素の各々についての輝度を抽出する(ステップS102)。例えば映像データ信号PDがYCbCr形式に従って表されたデータである場合には、画素群分け部131は、1つのフレームを構成する画素の各々についての輝度成分Yを輝度として抽出する。輝度成分Yが8ビットで表される場合には0〜255の範囲の値であり、画素群分け部131は画素の輝度として例えば45を抽出する。
【0027】
次に、画素群分け部131は、当該抽出した輝度の大きさに応じて各画素を256段階に群分けする(ステップS103)。
【0028】
次に、クラス値生成部132は256段階に群分けされた画素数に基づいて各クラス値を生成する。C1のクラス値は、輝度値0から10の各画素数と、輝度値11から20に重みを付けた画素数の合計となる。例えば輝度値11の画素数が100の場合は、その9割の90が加算される(ステップS104)。
【0029】
次に、検出信号生成部133は、複数のクラスのうちの1つに属する画素の数と、そのクラスについて記憶部140に記憶されている基準値との差分値をクラス毎に算出する(ステップS105)。例えばクラスC7に属する画素数が70000個であり、記憶部140に記憶されているクラスC7についての基準値が15000個である場合、その差分値は55000個となる。検出信号生成部133は、他の各クラスについても同様に差分値を算出し、その合計値を求める(ステップS105)。
【0030】
次に、検出信号生成部133は、その合計値が、監視者によって予め設定された閾値50000を上回ったか否かを判別する(ステップS106)。検出信号生成部133は、合計値が閾値50000を上回ったと判別した場合に、撮像妨害がなされた旨を表す妨害検出信号SIを生成し、これを出力する(ステップS107)。例えば差分値の合計値が60000である場合、検出信号生成部133は、合計値が閾値50000を上回ったと判別して妨害検出信号SIを生成及び出力する。つまり、検出信号生成部133は、クラス毎の画素数の変化の合計が大きい場合に、妨害がなされたと判別する。妨害検出信号は、例えばインターネットなどの通信網又は専用通信回線(図示せず)を介して監視者の監視用端末へと送信される。
【0031】
一方、検出信号生成部133は、合計値が閾値50000を下回ったと判別した場合に、クラス毎の基準値を差し替える(ステップS108)。例えば差分値の合計値が40000である場合、検出信号生成部133は、合計値が閾値50000を下回ったと判別し、その映像データ信号についてのクラス毎の画素数NPをクラス毎の新たな基準値として記憶部140に記憶する。
【0032】
DSP部130は、例えば5秒毎などの周期的な実行時期の到来に応じて上記したのと同様の処理を反復実行する。
【0033】
図6aは、妨害状態における映像の一例である。撮像部110を灰色の紙でふさいでその撮像を妨害した場合の映像であり、監視対象であるATMの大部分が映っていない。図6bは、妨害状態フレームについての256階調の画素数を表すヒストグラムである。図6cは、妨害状態におけるクラス毎の画素数を13段階で表したヒストグラムである。縦軸が画素数を表し、横軸がクラスを表す。なお、図6cでは、クラスC1〜C13を単に1〜13として表している。
【0034】
この妨害状態におけるヒストグラムと、図5bに示される通常状態におけるヒストグラムと比較すると、クラス毎に画素数が異なることがわかる。なお、図6bに示されるヒストグラムと、図5bに示されるヒストグラムとでは縦軸の目盛りが異なる。例えばクラスC7で対比すると、通常状態では画素数が約15000個であるのに対して妨害状態では画素数が約70000個に増加している。一方、クラスC5で対比すると、通常状態では画素数が約12000個であるのに対して妨害状態では画素数がほぼ0個に減少している。
【0035】
このように、通常状態から妨害状態に変化したときに、ある輝度区分に属する画素数は増加し、別の輝度区分に属する画素数は減少するといったことが生じ得る。それ故、従来技術のように単に輝度平均値を求めた場合、通常状態と妨害状態とで差がほとんど生じず、妨害を検知できない場合があった。しかしながら、本実施例の如くクラス(輝度区分)毎にそのクラスに属する画素数と基準値との差分値を算出するようにすれば、クラス毎に生じた差分に基づいて妨害を検知することができる。
【0036】
上記したように本実施例による監視装置によれば、対象とする輝度範囲を区分けした複数の輝度区分(クラス)及び妨害検出のための閾値を予め設定する。監視装置は、映像データ信号に含まれる1つのフレームを構成する画素の各々についてその輝度を算出し、各画素をその輝度に応じて複数のクラスうちのいずれか1つに群分けする。続いて監視装置は、クラス毎にそのクラスに属する画素数とそのクラスについての基準値との差分値を算出し、各クラスの差分値の合計値を求め、その合計値が閾値を上回ったと判別した場合に、妨害検出信号を生成及び出力する。このような処理を行うことによって、目視で確認できる程度に画像自体は変化するものの輝度平均値がほとんど変化しないような方法によって妨害がなされた場合にも、その妨害を検出することができる。
【0037】
また、本実施例による監視装置によれば、映像データ信号に含まれる1つのフレーム(先行フレーム)に対応するクラス毎の画素数をクラス毎の基準値として記憶し、この先行フレームの次に群分け処理対象となるフレーム(後続フレーム)を解析して妨害が検出されなければ、後続フレームに対応するクラス毎の画素数をクラス毎の新たな基準値として記憶する。このような基準値の差し替えを行うことにより、監視者が監視カメラの機種や監視場所の環境毎に最適な基準値を検討及び設定するといった作業をする必要がなく、また、例えば経時的な日照量の変化などの漸次的な変化に応じてその時点での最適な基準値を自動で設定することができる。
【0038】
上記した例は、対象輝度範囲を13クラスに区分けした場合の例であるが、区分け数は13クラスに限られない。なお、対象輝度範囲の最低値を0、最高値を256とした場合、図5aに示される通常状態における映像の平均輝度値は138であり、図6aに示される妨害状態における映像の平均輝度値は129であり、平均輝度値を比較しても大差ない。しかしながら、本実施例による監視装置によれば、上述の通り平均輝度値に差がない場合であっても妨害を検出することができる。
【符号の説明】
【0039】
100 監視装置
110 撮像部
120 A/D変換部
130 DSP部
131 画素群分け部
132 クラス値生成部
133 検出信号生成部
140 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域の撮像動作により撮像信号を生成する撮像部を含む監視装置であって、
当該生成された撮像信号をA/D変換して映像データ信号を生成するA/D変換部と、
当該生成された映像データ信号に含まれるフレームを構成する画素の各々についての輝度の高さに応じて前記画素を輝度毎に所定の階調に群分けする画素群分け部と、
所定の階調に群分けされた画素数に重みを付けて新たな輝度区分毎に画素数を生成するクラス値生成部と、
前記画素と基準値との差分値を前記輝度区分毎に算出し、前記差分値の合計が設定閾値を上回ったと判別した場合に前記撮像部による撮像動作が妨害された旨を表す妨害検出信号を生成する検出信号生成部と、を含むことを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記輝度区分毎の画素数を記憶する記憶部を更に含み、
前記検出信号生成部は、前記フレームのいずれか1つに後続する後続フレームについての前記差分値を算出する際に、前記記憶部に記憶されている当該1つのフレームについての前記輝度区分毎の画素数を前記輝度区分毎の基準値とすることを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記後続フレームに対応する前記差分値の算出後に、前記記憶部に記憶されている前記輝度区分毎の画素数を前記後続フレームに対応する前記輝度区分毎の画素数に置換することを特徴とする請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記基準値の初期値は、撮像妨害がなされていない状態における前記撮像部による撮像により得られた撮像信号を前記A/D変換部がA/D変換して得られた映像データ信号に含まれるフレームに対応する前記輝度区分毎の画素数であることを特徴とする請求項1又は2に記載の監視装置。
【請求項5】
前記映像データ信号はYCbCr形式に従って表される信号であり、前記輝度は前記YCbCr形式におけるY成分の輝度であることを特徴とする請求項1又は2に記載の監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【公開番号】特開2010−239275(P2010−239275A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83098(P2009−83098)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(308033722)株式会社OKIネットワークス (165)
【Fターム(参考)】