説明

目標追尾装置、目標追尾プログラム及び目標追尾方法

【課題】高分解能センサにより同一目標から複数の検出位置を得るセンサシステムにおいて、検出位置の重心位置精度劣化の低減を図るとともに、目標の航跡の高精度化を目的とする。
【解決手段】検出情報決定部120は、複数の検出装置から取得した検出情報の内、1つの検出装置から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うか、あるいは2つ以上の検出装置から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うかを所定の条件に基づき選択する。また、検出情報決定部120は、選択した結果に基づき、目標の追尾に使用する検出情報を決定する。追尾処理部140は、決定された検出情報に基づき目標を追尾する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、センサ等の検出装置により得られた検出情報に基づき目標を追尾する目標追尾技術に関する。
【背景技術】
【0002】
高分解能センサにより目標を検出(観測)する。目標が大型目標の場合、高分解能センサは同一目標から複数の検出位置を検出する。高分解能センサが検出して得た複数の検出位置に基づき目標追尾を行う場合、複数の検出位置の重心位置を入力として追尾フィルタにより目標の追尾を行う。そして、追尾フィルタは目標追尾結果である航跡情報(軌跡情報)を生成する。
複数の高分解能センサにより目標を検出した場合も、同様に各高分解能センサが検出して得た複数の検出位置の重心位置を入力として追尾フィルタにより目標の追尾を行う。
【特許文献1】特開2000−292533号公報
【特許文献2】特開平3−245081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複数の高分解能センサにより目標を検出して、各高分解能センサが得た検出位置に基づき追尾フィルタが目標の追尾処理をする。各高分解能センサは同一の目標を検出していたにもかかわらず、追尾フィルタは、誤って各高分解能センサが異なる目標を検出していたとして複数の航跡情報を生成する場合がある。
また、1つの高分解能センサで目標の検出を行う場合であっても、目標が大型の場合、追尾フィルタは、1つの目標を誤って複数の目標として認識し、複数の航跡情報を生成する場合がある。
結果として目標の航跡の精度が劣化するという課題がある。
【0004】
本発明は、例えば、高分解能センサにより同一目標から複数の検出位置を得るセンサシステム(目標追尾システム)において、検出位置の重心位置精度劣化の低減を図るとともに、目標の航跡の高精度化を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る目標追尾装置は、例えば、目標の位置を示す検出情報を複数の検出装置から取得して目標の追尾を行う目標追尾装置であり、
複数の検出装置から検出情報を取得して記憶装置に記憶する検出情報取得部と、
上記検出情報取得部が上記複数の検出装置から取得した検出情報の内、1つの検出装置から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うか、あるいは2つ以上の検出装置から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うかを選択して、目標の追尾に使用する検出情報を処理装置により決定する検出情報決定部と、
上記検出情報決定部が決定した検出情報に基づき処理装置により目標を追尾する追尾処理部と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る目標追尾装置は、複数の検出装置から検出情報を取得して目標を追尾する目標追尾装置であって、所定の場合には1つの検出装置から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行う。そのため、本発明に係る目標追尾装置によれば、同一の目標を検出していたにもかかわらず、誤って各高分解能センサが異なる目標を検出していたとして同一目標から複数の航跡を生成することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施の形態1.
この実施の形態では、複数の高分解能センサにより同一目標から複数の検出位置を得るセンサシステム(目標追尾システム)において、同一の目標を検出していたにもかかわらず、誤って各高分解能センサが異なる目標を検出していたとして同一目標から複数の航跡を生成することを防止する目標追尾装置100について説明する。
【0008】
まず、この実施の形態及び以下の実施の形態における目標追尾装置100の外観について説明する。図1は、目標追尾装置100を備える目標追尾システムの外観の一例を示す図である。
【0009】
図1に示すように、目標追尾システムは、例えば、目標追尾装置100と複数のセンサ905とを備える。また、目標追尾装置100は、LCD901(Liquid Crystal Display)、キーボード902(K/B)、マウス903、サーバ904を備える。
目標追尾装置100は、各センサ905から目標である航空機906を検出して得た検出情報を取得する。そして、目標追尾装置100は、取得した検出情報に基づき、航空機906を追尾する。
【0010】
次に、この実施の形態及び以下の実施の形態における目標追尾装置100のハードウェア構成について説明する。図2は、目標追尾装置100ハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示すように、目標追尾装置100は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、LCD901、キーボード902、マウス903、通信ボード915、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。
【0011】
ROM913、磁気ディスク装置920は、不揮発性メモリの一例である。RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913とRAM914とは、記憶装置の一例である。通信ボード915とキーボード902とは、入力装置の一例である。また、通信ボード915は、出力装置の一例である。さらに、通信ボード915は、通信装置の一例である。LCD901は、表示装置の一例である。
【0012】
磁気ディスク装置920又はROM913などには、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0013】
上記プログラム群には、以下の説明において「検出情報取得部110」、「検出情報決定部120」、「制御情報記憶部130」、「追尾処理部140」、「表示処理部150」、「速度取得部160」、「加速度制御処理部170」、「同一航跡判定処理部180」、「目標状態判定部190」等として説明する機能を実行するプログラムやその他のプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群には、以下の説明において、「検出情報」、「制御情報」等として説明する情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「ファイル」や「データベース」の各項目として記憶される。「ファイル」や「データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリになどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示などのCPU911の動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示のCPU911の動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
また、以下の説明におけるフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、その他光ディスク等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0014】
また、以下の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「〜手段」、「〜機能」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。また、「〜処理」として説明するものは「〜ステップ」であっても構わない。すなわち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、ROM913等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、以下に述べる「〜部」としてコンピュータ等を機能させるものである。あるいは、以下に述べる「〜部」の手順や方法をコンピュータ等に実行させるものである。
【0015】
次に、複数の検出装置200(高分解能センサ)で、大型目標を検出した場合の課題について詳しく説明する。
複数の検出装置200により目標を検出する場合に、各検出装置200が、同一目標の同一部分を検出していたとしても、一部の検出装置200では検出され、他の検出装置200では検出されない場合がある。つまり、一部の検出装置200では検出位置が得られ、他の検出装置200では検出位置が得られない場合がある。
また、同様に、複数の検出装置200により目標を検出する場合に、各検出装置200が同一目標の同一の部分を検出していたとしても、アスペクト角の違いにより、各検出装置200で得られた検出情報が異なる検出位置を示す場合がある。ここで、アスペクト角とは、図3に示すように、センサから目標を見た視線方向と、目標の移動方向との成す角である。
これらのことが原因となり、各検出装置200は同一の目標を検出していたにもかかわらず、追尾フィルタは、誤って各検出装置200が異なる目標を検出していたと認識する場合がある。その結果、追尾フィルタは複数の航跡情報を生成してしまう。
【0016】
各検出装置200は同一の目標を検出していたにもかかわらず、各検出装置200が別の目標を検出していたと認識される場合の例を説明する。図4は、各検出装置200は同一の目標を検出していたにもかかわらず、各検出装置200が別の目標を検出していたと認識される場合の一例を示す。
図4に示す例では、検出装置200であるセンサ1とセンサ2とにより、大型目標である航空機を検出して追尾フィルタにより追尾処理を行う。目標とセンサとの位置によっては、例えば、センサ1は航空機の前方部分だけが検出され、センサ2では航空機の後方部分だけが検出される。その結果、追尾フィルタでは、本来1つの目標である1台の航空機を2つの目標として処理してしまう虞がある。つまり、複数の検出装置200の各検出装置200が得た検出位置に基づき追尾フィルタで追尾処理をした場合、各検出装置200により検出される目標の位置が異なる場合があり、その結果、1つの目標を複数の目標として処理してしまう虞がある。
【0017】
特に、追尾フィルタでの追尾処理に時間をかけることが可能であれば、各検出装置200が検出した目標の位置が異なる場合であっても、各検出装置200が検出した目標が同一の目標であるとして処理できる場合もある。しかし、追尾フィルタでの追尾処理に時間をかけることができない場合には、各検出装置200が検出した目標を別目標として処理してしまう可能性が高い。
また、一般に追尾初期の段階では、追尾フィルタが生成する航跡の精度が悪い。そのため、追尾初期の段階では、複数の検出装置200が検出して同一目標から得た検出位置を、複数目標から得た検出位置であるとして処理してしまう可能性が高い。
つまり、特に追尾初期時間帯において、短時間で、複数の検出装置200から検出した同一目標から得た検出位置を、同一目標から得た検出位置として処理するのは困難である。すなわち、特に追尾初期時間帯において、同一目標から複数の航跡が発生する虞があり、さらにそれら複数の航跡同士で次時刻の検出位置の取り合いを起こし、航跡の精度が劣化する虞がある。
【0018】
そこで、この実施の形態に係る目標追尾装置100は、複数の検出装置200から得た検出位置に基づき目標を追尾する場合に、追尾初期時間帯に短時間で高い精度の航跡情報を得ることを目的とする。
この目的を達成するため、この実施の形態に係る目標追尾装置100は、予め定めた条件に従い、所定の場合には1つの検出装置200から取得した検出情報に基づき目標の追尾し、他の場合には2つ以上の検出装置200から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行う。すなわち、所定の場合には、目標の追尾に1つの検出装置200から取得した検出情報のみ使用することで、同一目標から複数の航跡が生成されることを防止する。
以下、この実施の形態に係る目標追尾装置100について詳しく説明する。
【0019】
この実施の形態に係る目標追尾装置100の機能について説明する。図5は、この実施の形態に係る目標追尾装置100の機能を示す機能ブロック図である。
目標追尾装置100は、ネットワークを介して検出装置200と接続される。目標追尾装置100は、複数の検出装置200と接続されるが、ここでは簡単のため1つの検出装置200のみを図示している。
目標追尾装置100は、目標の位置を示す検出情報を複数の検出装置200から取得して目標の追尾を行う。
目標追尾装置100は、検出情報取得部110、検出情報決定部120(プロット選択処理部)、制御情報記憶部130(プロット選択処理制御部)、追尾処理部140(追尾フィルタ処理部)、表示処理部150を備える。
【0020】
検出装置200は、例えば、レーダ、IR(InfraRed)、EW(Electronic Warfare)、EO(Electronic Optic)、ESM(Electronic Support Measures)等のセンサである。
検出装置200は、高分解能に目標を検出することを想定する。つまり、検出装置200は、高分解能センサである。
ここでは、検出装置200は、複数存在する。各検出装置200は、異なる種類のセンサであってもよい。
【0021】
検出情報取得部110は、各検出装置200から検出情報を取得して記憶装置に記憶する。検出情報取得部110が取得した検出情報には、同一目標から得た検出位置だけでなく、他の目標から得た検出位置や誤警報を含む。
そして、検出情報取得部110は、取得した検出情報を、検出情報決定部120へ入力する。
【0022】
検出情報決定部120は、検出情報取得部110が各検出装置200から取得した検出情報の内、(1)1つの検出装置200から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うか、あるいは(2)2つ以上の検出装置200から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うかを処理装置により選択する。
また、検出情報決定部120は、選択した結果(1)又は(2)に従い、目標の追尾に使用する検出情報を処理装置により決定する。
そして、検出情報決定部120は、目標の追尾に使用すると決定した検出情報を追尾処理部140へ入力する。
【0023】
制御情報記憶部130は、(A)選択エリアと、(B)融合エリアとを位置毎に定めた制御情報を記憶装置に記憶する。
(A)選択エリアは、1つの検出装置200から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うエリアである。つまり、選択エリアとは、所定の1つの検出装置200から取得した検出情報のみを追尾フィルタで使用させるエリアである。
(B)融合エリアは、2つ以上の検出装置200から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うエリアである。つまり、融合エリアとは、複数の検出装置200から取得した検出情報を追尾フィルタで使用させるエリアである。例えば、融合エリアでは、検出情報取得部110が取得した全ての検出情報に基づき目標の追尾を行う。
ここでは、制御情報記憶部130は予め制御情報を記憶装置に記憶しているものとする。すなわち、事前に、選択エリアと融合エリアとが決定されている。
【0024】
つまり、検出情報決定部120は、まず、制御情報記憶部130が記憶した制御情報から、検出情報取得部110が取得した検出情報が示す検出位置が(A)選択エリアに含まれるか(B)融合エリアに含まれるかを検索する。そして、検出情報決定部120は、検索した結果、(A)選択エリアに含まれる場合、(1)1つの検出装置200から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うことを選択し、(B)融合エリアに含まれる場合、(2)2つ以上の検出装置200から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うことを選択する。
【0025】
(A)選択エリアは、例えば、以下の(i)から(iii)までのいずれかの条件に該当するエリアである。
(i)追尾する時間が短時間と考えられる領域。すなわち、目標が高速移動する領域。
(ii)センサが目標の移動経路に近い領域。
(iii)目標を検出し易い領域。
つまり、選択エリアは、1つの検出装置200から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行う方が、精度の高い航跡を生成できると認められるエリアである。
(B)融合エリアは、例えば、以下の(i)の条件に該当するエリアである。
(i)追尾する時間が長時間と考えられる領域。すなわち、目標が高速移動しない領域。
(ii)センサが目標の移動経路に遠い領域。
(iii)目標を検出しづらい領域。
つまり、融合エリアは、複数の検出装置200から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行う方が、精度の高い航跡を生成できると認められるエリアである。
【0026】
図6は、選択エリアと融合エリアの例を示す図である。
図6の(a)は選択エリアの例である。図6の(a)は滑走路を示す。滑走路に離着陸する航空機を目標と考えた場合、滑走路に離着陸する航空機は、比較的高速である。つまり、滑走路では目標を追尾する時間が短い。そこで、滑走路は選択エリアとなる。
図6の(b)は融合エリアの例である。図6の(b)は誘導路を示す。誘導路に存在する航空機を目標と考えた場合、比較的低速である。そのため、誘導路では目標を追尾する時間が長い。そこで、誘導路は融合エリアとなる。
【0027】
追尾処理部140は、検出情報決定部120が決定した検出情報に基づき処理装置により目標を追尾する。
まず、追尾処理部140は、検出情報決定部120が入力した検出情報が示す検出位置から、選択エリアおよび融合エリア毎に、処理装置によりクラスタリングした検出位置を求める。
次に、追尾処理部140は、処理装置によりクラスタリングした検出位置の重心を求める。
次に、追尾処理部140は、処理装置によりクラスタリングした検出位置の重心を追尾フィルタへ入力して航跡情報を生成する。
そして、追尾処理部140は、生成した航跡情報を表示処理部150へ入力する。
【0028】
追尾フィルタは、例えば、制御工学における、カルマンフィルタや、α―βフィルタ、α―β−γフィルタ、H無限大フィルタ等を適用して、目標の運動モデルおよび観測モデルを設定して、目標航跡を生成する。
【0029】
航跡情報は、例えば、時刻、航跡位置、航跡速度(速度)、航跡加速度(速度変化率)、航跡を生成するのに使用した検出情報(観測値)、目標航跡番号、使用センサ種類、メモリートラック情報、航跡に対する観測値の確からしさ、検出位置の管理番号、クラスタリングした検出位置の管理番号、プロット集合サイズ等を含む情報である。
メモリートラック情報は、追尾フィルタにおいて、目標と相関せずに、前時刻の航跡をそのまま現時刻まで追尾フィルタで定義する運動モデルにより、外挿したか否かを示す情報である。
【0030】
表示処理部150は、追尾処理部140が入力したクラスタリングした検出位置と、検出情報が示す検出位置と、航跡情報とをオペレータが見やすいように加工して表示装置に表示する。
【0031】
以上のように、この実施の形態に係る目標追尾装置100は、事前に、選択エリアと融合エリアを決めておく。そして、検出情報が示す検出位置が選択エリアである場合には、1つの検出装置200から取得した検出情報のみを使用して追尾を行う。これにより、複数の検出装置200での検出位置の取り合いをなくすことができ、短時間で航跡精度を安定化することができる。
【0032】
なお、制御情報記憶部130は、以下に説明するような、選択エリアにおける目標の追尾に使用する検出情報の決定方法を記憶しているとしてもよい。また、制御情報記憶部130は、選択エリア内の位置毎に、どの検出装置200から取得した検出情報を目標の追尾に使用するかを示す情報を制御情報に含めて記憶しているとしてもよい。
検出情報決定部120は、検出情報が示す位置が選択エリアであると検索した場合、制御情報に従い、どの検出装置200から取得した検出位置を目標の追尾に使用するか決定するとしてもよい。
【0033】
選択エリアにおいて、どの検出装置200から取得した検出情報を目標の追尾に使用するかを検出情報決定部120が決定する方法について説明する。
図7は、目標と検出装置200の位置関係を示す図である。図7におけるセンサ1とセンサ2とは、検出装置200である。
図7に示すセンサ1とセンサ2とを考えた場合、センサ1はセンサ2に比べて目標に近い。そのため、センサ1の方が目標を検出し易い。そこで、検出情報決定部120は、センサ1から取得した検出情報を目標の追尾に使用すると決定する。
【0034】
図8は、目標と検出装置200の位置関係を示す図である。におけるセンサ1とセンサ2とは、検出装置200である。
図8に示すセンサ1とセンサ2とを考えた場合、センサ1はセンサ2に比べて目標に近い。しかし、センサ1が目標を検出できる範囲は、センサ2が目標を検出できる範囲に比べて狭い。このような場合には、たとえ目標からの距離が遠くても、目標を検出できる範囲が広いセンサ2から取得した検出情報を目標の追尾に使用すると決定する。
【0035】
同様に、センサ1がセンサ2に比べて目標に近い場合であっても、センサ1が遮蔽物に遮られ、目標を検出できる範囲が狭い場合も、目標から遠いセンサ2から取得した検出情報を目標の追尾に使用する。
同様に、センサ1が目標に近いことによりブラインドエリアができてしまい目標を検出できる範囲が狭い場合も、目標から遠いセンサ2から取得した検出情報を目標の追尾に使用する。
【0036】
融合エリアについても選択エリアと同様に、制御情報記憶部130は検出情報の決定方法を記憶しており、検出情報決定部120はどの検出装置200から取得した検出位置を目標の追尾に使用するか決定するとしてもよい。
【0037】
また、上記説明及び以下の実施の形態において検出位置は、検出装置200が検出した1つの検出情報が示す位置である場合と、検出装置200が検出した複数の検出情報が示す連続した位置の重心である場合とのいずれであってもよい。
図9は、検出装置200が検出した1つの検出情報が示す位置と、複数の検出情報が示す連続した位置の重心の概念図である。図9は、例えば、検出装置により大型目標を検出した場合に、同一目標から複数の検出位置を得た場合の2次元空間における概念図である。
各セルの内、色がついているそれぞれのセルが検出装置200が検出した1つの検出情報が示す検出位置である。
大型目標から連続した(隣接した)検出位置の集合A、B、Cが得られる。集合A、B、Cにおける重心が重心A、B、Cである。つまり、重心A、B、Cが、検出装置200により検出された連続した位置の重心である。
なお、図9における2次元空間の横軸、縦軸は、各種座標系における横軸及び縦軸でよい。
【0038】
実施の形態2.
実施の形態1では、制御情報記憶部130が記憶する制御情報は、所定の条件に基づき予め決めておくこととした。この実施の形態では、制御情報を航跡情報から得られる目標の速度に基づき決定する目標追尾装置100について説明する。
【0039】
まず、この実施の形態に係る目標追尾装置100の機能について説明する。図10は、この実施の形態に係る目標追尾装置100の機能を示す機能ブロック図である。
この実施の形態に係る目標追尾装置100は、実施の形態1に係る目標追尾装置100の機能に加え、さらに、速度取得部160(エリア決定用速度取得部)を備える。
この実施の形態に係る目標追尾装置100のその他の機能は、概ね実施の形態1に係る目標追尾装置100の機能と同様である。そこで、ここでは、実施の形態1に係る目標追尾装置100と異なる部分のみ説明する。
【0040】
速度取得部160は、追尾処理部140が生成した目標の航跡情報を処理装置により取得する。
速度取得部160は、取得した航跡情報に基づき処理装置により目標の速度を得る。航跡情報に基づき目標の速度を得るとは、航跡情報に含まれる情報を利用して目標の速度を算出することだけでなく、航跡情報に速度情報が含まれている場合にはその速度情報を抽出することも含むものである。
【0041】
制御情報記憶部130は、速度取得部160が得た目標の速度が所定の閾値よりも速いか否かを処理装置により判定する。
そして、制御情報記憶部130は、目標の速度が所定の閾値よりも速いと判定した位置の周囲所定の範囲を選択エリアとした制御情報を記憶装置に記憶する。つまり、制御情報記憶部130は、速度が所定の閾値よりも大きい場合、その航跡を中心としたある領域内の検出位置を、選択エリアとして記憶する。
同様に、制御情報記憶部130は、目標の速度が所定の閾値以下(遅い)と判定した位置の周囲所定の範囲を融合エリアとした制御情報を記憶装置に記憶する。つまり、制御情報記憶部130は、速度が所定の閾値よりも小さい場合、その航跡を中心としたある領域内の検出位置を、融合エリアとして記憶する。
また、制御情報記憶部130は、選択エリアと融合エリアとが重なった場合の規則を記憶する。つまり、制御情報記憶部130は、例えば、選択エリアと融合エリアとが重なった場合、選択エリアとするとの規則を記憶する。あるいは、制御情報記憶部130は、例えば、選択エリアと融合エリアとが重なった場合は、融合エリアとするとの規則を記憶する。
【0042】
その結果、検出情報決定部120は、目標の速度に基づき生成された制御情報に基づき、目標の追尾に使用する検出情報を決定して追尾処理部140へ入力する。
【0043】
以上のように、この実施の形態に係る目標追尾装置100は、航跡情報から得られる速度により、選択エリアの検出位置か、融合エリアの検出位置かの判定を行い、制御情報を生成する。つまり、制御情報を事前に任意に決定するのではなく、過去の航跡情報から決定する。そして、航跡情報から決定した制御情報に基づき、所定の検出装置200から取得した検出情報のみを使用して追尾を行うか否かを判定する。
したがって、この実施の形態に係る目標追尾装置100によれば、所定の検出装置200の検出情報のみを使用して追尾を行うか否かの判定をより正確に行うことが可能である。
【0044】
実施の形態3.
この実施の形態では、目標の速度が速いと認められる場合、航跡の速度変化率に基づく予測処理を行い、目標の追尾を行う目標追尾装置100について説明する。
【0045】
まず、この実施の形態に係る目標追尾装置100の機能について説明する。図11は、この実施の形態に係る目標追尾装置100の機能を示す機能ブロック図である。
この実施の形態に係る目標追尾装置100は、実施の形態1に係る目標追尾装置100の機能に加え、さらに、加速度制御処理部170を備える。
この実施の形態に係る目標追尾装置100のその他の機能は、概ね実施の形態1に係る目標追尾装置100の機能と同様である。そこで、ここでは、実施の形態1に係る目標追尾装置100と異なる部分のみ説明する。
【0046】
加速度制御処理部170は、追尾処理部140が生成した目標の航跡情報を処理装置により取得する。
加速度制御処理部170は、取得した航跡情報に基づき、処理装置により前時刻までの目標の速度変化率を得る。航跡情報に基づき目標の速度変化率を得るとは、航跡情報に含まれる情報を利用して目標の速度変化率を算出することだけでなく、航跡情報に速度変化率情報が含まれている場合にはその速度変化率情報を抽出することも含むものである。
そして、加速度制御処理部170は、目標の速度が速いと認められる場合には、速度変化率を追尾処理部140へ入力する。
【0047】
追尾処理部140は、加速度制御処理部170から入力された速度変化率に基づき、例えば、式1による予測処理を行う。
Xp(k+1) = Φ(k)Xs(k) + A(k) (式1)
なお、式1において、各符号は以下の意味である。
Xp(k+1)は、時刻k+1における予測ベクトルである。
Φ(k)は、時刻kから時刻k+1への目標の状態遷移行列である。
Xs(k)は、時刻kにおける平滑ベクトルである。
A(k)は、時刻kにおける速度変化率である。
ここで、予測ベクトル、平滑ベクトルの次元は、運動モデルの状態ベクトルの次数により決まる。そして、運動モデルの状態ベクトルは、事前に決めておけば、何次元でもよい。
【0048】
追尾処理部140は、速度変化率を元に、予測誤差共分散行列を求めても良い。
【0049】
追尾処理部140は、予測処理の結果と検出情報決定部120から取得した検出情報とに基づき、目標の追尾を行う。
【0050】
以上のように、この実施の形態に係る目標追尾装置100は、目標の速度が速いと認められる場合には、目標の速度変化率を追尾フィルタの運動モデルで考慮して予測処理を行い、目標の追尾を行う。そのため、上記実施の形態の効果に加え、航跡精度が向上するという効果を得ることができる。
【0051】
なお、目標の速度が速いと認められる場合とは、検出情報が示す位置が選択エリアに含まれる場合と言い換えることができる。
つまり、加速度制御処理部170は、検出情報決定部120から検出情報が示す検出位置が選択エリアに含まれるか、融合エリアに含まれるかの検索結果を取得し、検索結果に基づき目標の速度が速いか否かを判断するとしてもよい。
すなわち、追尾処理部140は、検出情報が示す位置が選択エリアに含まれる場合、所定の方法により目標の位置を予測した予測位置を算出して、予測位置と検出情報とに基づき目標を追尾するとしてもよい。
さらに言い換えると、追尾処理部140は、検出情報決定部120が1つの検出装置200から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うと選択した場合には、所定の方法により目標の位置を予測した予測位置を算出して、予測位置と検出情報とに基づき目標を追尾するとしてもよい。
【0052】
また、加速度制御処理部170は、航跡情報から得た目標の速度情報に基づき、目標が高速であるか否かを判定するとしてもよい。
【0053】
また、この実施の形態では、検出装置200は1つのみ存在していても、複数存在してもよい。検出装置200が複数存在する場合には、各検出装置200は異なる種類のセンサであってもよい。
【0054】
実施の形態4.
この実施の形態では、同一の目標から生成された複数の航跡を1つの航跡に統合する目標追尾装置100について説明する。
【0055】
まず、同一目標から複数の航跡ができる例について説明する。図12は、同一目標から複数の航跡ができる例を示す図である。図13は、図12に示した例の航跡を示す図である。図12と図13におけるセンサ1とセンサ2とは、検出装置200である。
図12に示す例は、センサ1とセンサ2とが同一の目標を検出した場合の例である。図12(a)(b)に示すように、センサ1とセンサ2とがそれぞれ、同一目標の別な位置を検出している。図12(c)は、追尾処理部140へセンサ1の検出位置とセンサ2の検出位置とが共に入力された状況を表す。
図13は、図12のように、2つのセンサからの検出位置が時系列に得られる場合の、追尾処理部140が生成した航跡を表す。図13のように、同一目標であっても、センサ1の検出位置とセンサ2の検出位置とが離れていた場合、2つの航跡ができる可能性がある。
また、クラッタ等を誤追尾する場合などには、さらに誤航跡ができる可能性がある。
【0056】
そこで、この実施の形態に係る目標追尾装置100は、1つの目標から生成された複数の航跡を1つの航跡に統合し、精度の高い航跡を生成する。
【0057】
なお、上記の例では、簡単のため、検出装置200は2つとしているが、検出装置200はいくつでもよい。つまり、検出装置200は1つのみ存在していても、複数存在してもよい。検出装置200が複数存在する場合には、各検出装置200は異なる種類のセンサであってもよい。
【0058】
次に、この実施の形態に係る目標追尾装置100の機能について説明する。図14は、この実施の形態に係る目標追尾装置100の機能を示す機能ブロック図である。
この実施の形態に係る目標追尾装置100は、実施の形態1に係る目標追尾装置100の機能に加え、さらに、同一航跡判定処理部180を備える。
この実施の形態に係る目標追尾装置100のその他の機能は、概ね実施の形態1に係る目標追尾装置100の機能と同様である。そこで、ここでは、実施の形態1に係る目標追尾装置100と異なる部分のみ説明する。
【0059】
同一航跡判定処理部180は、追尾処理部140から複数の航跡情報を取得する。
また、同一航跡判定処理部180は、各航跡情報から得られる目標の速度と速度変化率(加速度)とをそれぞれ比較する。
また、同一航跡判定処理部180は、航跡情報から得られる目標の速度と速度変化率とが略一致しているものを同一目標からの航跡と判定して、1つの航跡として統合する。
そして、同一航跡判定処理部180は、統合した航跡を含めた全ての航跡情報を、追尾処理部140へ入力する。
【0060】
同一航跡判定処理部180は、上記処理を実現するため、速度取得部181(同一目標決定用速度取得部)、速度変化率取得部182(同一目標決定用速度変化率取得部)、追尾処理制御部183(追跡装置用追尾処理制御部)を備える。
【0061】
速度取得部181は、追尾処理部140から取得した各航跡情報に基づき、処理装置により各航跡情報が示す目標の速度を得る。航跡情報に基づき目標の速度を得るとは、航跡情報に含まれる情報を利用して目標の速度を算出することだけでなく、航跡情報に速度情報が含まれている場合にはその速度情報を抽出することも含むものである。
【0062】
速度変化率取得部182は、追尾処理部140から取得した目標の各航跡情報に基づき、処理装置により各航跡情報が示す目標の速度変化率を得る。航跡情報に基づき目標の速度変化率を得るとは、航跡情報に含まれる情報を利用して目標の速度変化率を算出することだけでなく、航跡情報に速度変化率情報が含まれている場合にはその速度変化率情報を抽出することも含むものである。
【0063】
追尾処理制御部183は、複数の検出情報から複数の目標が特定される場合に、速度取得部181と速度変化率取得部182とが得た速度と速度変化率とを、各目標の間で比較する。
また、追尾処理制御部183は、速度と速度変化率とがいずれも略同一である目標は同一の目標として追尾するように追尾処理部140を処理装置により制御する。
追尾処理制御部183は、例えば、航跡の速度と速度変化率が略一致しているものを同一目標から生成された航跡であるとし、1つの航跡として統合する。追尾処理制御部183は、例えば、統合した航跡を示す航跡情報を追尾処理部140へ入力する。そして、追尾処理部140は、例えば、統合された航跡に基づき目標の追尾を続ける。
【0064】
以上のように、この実施の形態に係る目標追尾装置100は、生成した航跡の速度及び速度変化率がおおよそ一致しているものを同一目標から得られた航跡として、1つの航跡に統合して追尾を行う。したがって、この実施の形態に係る目標追尾装置100は、追尾精度劣化を軽減できる。
【0065】
実施の形態5.
実施の形態4では、追尾処理部140が生成した航跡情報から得た速度と速度変化率とに基づき、複数の航跡が同一の目標から生成されたか否かを判定した。この実施の形態では、検出装置200が生成した航跡情報から得た速度と速度変化率とに基づき、複数の航跡が同一の目標から生成されたか否かを判定する目標追尾装置100について説明する。
つまり、この実施の形態では、各検出装置200は目標の追尾を行う。また、各検出装置200は航跡情報を生成する。
【0066】
まず、この実施の形態に係る目標追尾装置100の機能について説明する。図15は、この実施の形態に係る目標追尾装置100の機能を示す機能ブロック図である。
この実施の形態に係る目標追尾装置100は、実施の形態1に係る目標追尾装置100の機能に加え、さらに、同一航跡判定処理部180を備える。
この実施の形態に係る目標追尾装置100のその他の機能は、概ね実施の形態1に係る目標追尾装置100の機能と同様である。そこで、ここでは、実施の形態1に係る目標追尾装置100と異なる部分のみ説明する。
【0067】
検出情報取得部110は、各検出装置200から検出情報とともに、各検出装置200が検出情報に基づき目標を追尾して得た航跡情報(検出装置軌跡情報、センサ航跡)を取得する。
【0068】
同一航跡判定処理部180は、検出情報取得部110が各検出装置200から取得した複数の航跡情報を取得する。
また、同一航跡判定処理部180は、各航跡情報から得られる目標の速度と速度変化率とをそれぞれ比較する。
また、同一航跡判定処理部180は、航跡情報から得られる目標の速度と速度変化率が略一致しているものを同一目標からの航跡と判定する。
そして、同一航跡判定処理部180は、判定した結果を追尾処理部140へ入力する。
【0069】
同一航跡判定処理部180は、上記処理を実現するため、速度取得部181(検出装置用速度取得部)、速度変化率取得部182(検出装置用速度変化率取得部)、追尾処理制御部183(検出装置用追尾処理制御部)を備える。
【0070】
速度取得部181は、検出情報取得部110が各検出装置200から取得した目標の各航跡情報に基づき、処理装置により各航跡情報が示す目標の速度を得る。航跡情報に基づき目標の速度を得るとは、航跡情報に含まれる情報を利用して目標の速度を算出することだけでなく、航跡情報に速度情報が含まれている場合にはその速度情報を抽出することも含むものである。
【0071】
速度変化率取得部182は、検出情報取得部110が各検出装置200から取得した目標の各航跡情報に基づき、処理装置により各航跡情報が示す目標の速度変化率を得る。航跡情報に基づき目標の速度変化率を得るとは、航跡情報に含まれる情報を利用して目標の速度変化率を算出することだけでなく、航跡情報に速度変化率情報が含まれている場合にはその速度変化率情報を抽出することも含むものである。
【0072】
追尾処理制御部183は、速度取得部181が算出した目標の速度と、速度変化率取得部182が算出した目標の速度変化率とがいずれも略同一である航跡情報は同一の目標についての航跡情報であると判定する。
また、追尾処理制御部183は、同一の目標についての航跡情報であると判定した航跡情報を生成する場合に使用した検出情報は、同一の目標を示す検出情報であると判定する。
そして、追尾処理制御部183は、判定結果を追尾処理部140へ入力する。
【0073】
追尾処理部140は、同一航跡判定処理部180が入力した判定結果と、検出情報とに基づき、目標の追尾を行う。
【0074】
以上のように、この実施の形態に係る目標追尾装置100は、検出情報を追尾フィルタへ入力する前に、各検出装置200から得た検出情報が同一の目標を示すものか否かを判定する。そして、その判定結果に基づき目標の追尾を行う。したがって、この実施の形態に係る目標追尾装置100は、追尾精度劣化を軽減できる。
【0075】
なお、追尾処理制御部183は、同一の目標を示す検出情報であると判定した検出情報を関連付けして、追尾処理部140へ入力するとしてもよい。この場合、追尾処理部140は、関連付けされた検出情報は同一の目標を示す検出情報であるとして、目標を追尾する。
【0076】
また、同一航跡判定処理部180は、異なる検出装置200から得られた複数の航跡情報が同一の目標についての航跡情報であるか否かを判定するだけでなく、同一の検出装置200から得られた複数の航跡情報が同一の目標についての航跡情報であるか否かを判定する。
【0077】
また、同一航跡判定処理部180が上記判定を行う航跡情報は、高分解能センサから得た航跡情報でも、低分解能センサからの航跡情報でも、レーダ、IR、EW、EO等のセンサから得た航跡情報でもよい。
また、この実施の形態では、検出装置200は1つのみ存在していても、複数存在してもよい。検出装置200が複数存在する場合には、各検出装置200は異なる種類のセンサであってもよい。
【0078】
実施の形態6.
この実施の形態では、マルチパス等から生成された偽目標(クラッタ)を排除する目標追尾装置100について説明する。
【0079】
まず、この実施の形態に係る目標追尾装置100の機能について説明する。図16は、この実施の形態に係る目標追尾装置100の機能を示す機能ブロック図である。
この実施の形態に係る目標追尾装置100は、実施の形態1に係る目標追尾装置100の機能に加え、さらに、目標状態判定部190を備える。
この実施の形態に係る目標追尾装置100のその他の機能は、概ね実施の形態1に係る目標追尾装置100の機能と同様である。そこで、ここでは、実施の形態1に係る目標追尾装置100と異なる部分のみ説明する。
【0080】
目標状態判定部190は、マルチパス等から生成された偽目標を排除するため、追尾処理部140が生成した航跡情報に基づき、航跡情報が示す目標を以下(1)から(4)までに示すように判定する。
【0081】
(1)「|V|>Vth」かつ「Pres・Erun>λ」の場合
高速で、かつ加速している目標と判定する。
(2)「|V|>Vth」かつ「Pres・Erun≦λ」の場合
通常目標と判定する。
(3)(2)の条件を満たしても、さらに「V/|V|・Frun>φ」場合(つまり、「|V|>Vth」かつ「Pres・Erun≦λ」かつ「V/|V|・Frun>φ」の場合)
偽目標と判定する。
(4)「|V|≦Vth」の場合
停止している目標と判定する。
【0082】
なお、上記判定の(1)から(4)までにおいて、各符号は以下の意味である。
Vは、速度ベクトルである。
|V|は、速度の大きさである。
thは、速度の閾値である。
resは、残差ベクトルである。
runは、各領域における移動方向を定義する単位ベクトルである。
runは、各領域における移動方向と直交する方向を定義する単位ベクトルである。
λは、PresとErunの内積の所定の閾値である。
φは、V/|V|とFrunの内積の所定の閾値である。
なお、ErunとFrunとは、所定の領域毎に定義する。
また、残差は、航跡位置と検出位置の差である。
【0083】
つまり、「Pres・Erun」は、残差の目標移動方向成分を示す。
また、「V/|V|・Frun」は、速度の目標移動方向と直交する方向の成分を示す。
【0084】
図17は、上記判定の(1)から(4)までの各符号の概念図である。
図17では、一例として滑走路を示す。滑走路における移動方向は、滑走路の直線方向である。したがって、滑走路における移動方向と直交する方向は、滑走路との垂直方向である。
例えば、移動方向として滑走路等のセンターラインの情報を保有しておくことで、滑走路における移動方向を判断することができる。滑走路等のセンターラインと直交する方向の情報を保有しておくことで、滑走路における移動方向と直交する方向とを判断することができる。なお、滑走路における移動方向と直交する方向は、滑走路等のセンターライン情報から求めるとしてもよい。
これらの移動方向を目標が移動する位置毎に定めておく。
【0085】
特に、上記判定の(3)は、以下の(A)から(C)までの条件を満たす場合、検出情報が示す目標は、所定の領域にある偽目標であると判定するという意味である。
(A)目標の速度が所定の速度よりも速い。
(B)残差の目標移動方向成分の変化が所定の値よりも少ない。
(C)速度の目標移動方向と直交する方向の成分が所定の値よりも大きい。
【0086】
つまり、目標状態判定部190は、前時刻の航跡位置が、所定の領域内にある場合に、残差と、上記所定の領域について予め定められた移動方向成分と、上記所定の領域について予め定められた移動方向と直交する成分と、航跡(目標)の速度とに基づき、検出情報が示す目標が偽目標であるか否かを判定する。
【0087】
目標状態判定部190は、上記(1)から(4)までで判定した目標の状態を、追尾処理部140へ入力する。
【0088】
目標状態判定部190の機能についてより詳しく説明する。
目標状態判定部190は、図16に示すように、予想方向記憶部191、残差情報算出部192、予想方向移動量算出部193、垂直方向移動速度算出部194、目標判定部195、クラッタ追尾処理制御部196を備える。
【0089】
予想方向記憶部191は、目標の移動する予想方向(移動方向を定義する単位ベクトルErun)を位置毎に記憶装置に記憶する。また、予想方向記憶部191は、上記予想方向と垂直の方向(移動方向と直交する方向を定義する単位ベクトルFrun)を位置毎に記憶装置に記憶する。
【0090】
残差情報算出部192は、追尾処理部140が追尾して得られた目標の航跡情報の直近の目標の位置と、検出情報取得部110が取得した検出情報が示す位置との差を示す残差情報(残差ベクトルPres)を処理装置により算出する。
【0091】
予想方向移動量算出部193は、残差情報算出部192が算出した残差情報が示す予想方向への移動量である予想方向移動量(Pres・Erun)を処理装置により算出する。
【0092】
垂直方向移動速度算出部194は、追尾処理部140が追尾して得られた目標の航跡情報に基づき、目標の速度の予想方向と垂直の方向への移動速度である垂直方向移動速度(V/|V|・Frun)を処理装置により算出する。
【0093】
目標判定部195は、目標の速度(|V|)と閾値(Vth)とを比較する。
また、目標判定部195は、予想方向移動量算出部193が算出した予想方向移動量(Pres・Erun)と閾値(λ、第1の閾値)とを比較する。
また、目標判定部195は、垂直方向移動速度算出部194が算出した垂直方向移動速度(V/|V|・Frun)と閾値(φ、第2の閾値)とを比較する。
そして、目標判定部195は、上記比較結果に基づき、上記(1)から(4)までの判定をする。
【0094】
クラッタ追尾処理制御部196は、目標判定部195が判定した結果が示す目標の状態を追尾処理部140へ入力することにより、追尾処理部140の追尾処理を制御する。
【0095】
追尾処理部140は、目標状態判定部190が入力した目標の状態に基づき、追尾処理を行う。
(1)に該当すると判定された場合
ある事前に決めた範囲(フレーム)内で、数回(数スキャン分)(1)に該当すると目標状態判定部190が判定した場合、追尾処理部140は、実施の形態3で説明した予測処理を行う。そして、追尾処理部140は、予測処理の結果と検出情報とに基づき、目標の追尾を行う。
(2)に該当すると判定された場合
追尾処理部140は、現状の追尾処理を継続して行う。
(3)に該当すると判定された場合
ある事前に決めた範囲(フレーム)内で、数回(数スキャン分)(3)に該当すると目標状態判定部190が判定した場合、追尾処理部140は、航跡の解除を行う。つまり、追尾処理部140は、(3)に該当すると判定された航跡情報の基になった検出情報に基づく追尾は行わない。
(4)に該当すると判定された場合
追尾フィルタに設定する目標の運動モデルの曖昧さを表す駆動雑音パラメータを通常時よりも小さく設定する。つまり、駆動雑音パラメータを目標の曖昧さが少ないことを示す値に設定する。すなわち、生成される航跡に対して、より運動モデルの与える影響を強くする。
【0096】
なお、この実施の形態では、検出装置200は1つのみ存在していても、複数存在してもよい。検出装置200が複数存在する場合には、各検出装置200は異なる種類のセンサであってもよい。
【0097】
以上のように、この実施の形態に係る目標追尾装置100は、航跡の移動方向および残差を時系列にモニタリングして、所定の領域内における高速かつ加速度目標であるか、通常目標であるか、偽目標の判定であるか、あるいは、停止している目標であるかの判定を行う。
したがって、この実施の形態に係る目標追尾装置100によれば、マルチパス等による領域の移動方向に対し直交する、偽目標からなる航跡の排除と、高速かつ加速度目標の追尾精度向上、領域内で停止している目標の判定を行うことが可能である。
【0098】
つまり、上記実施の形態に係る目標追尾装置100は、
同一目標から複数の検出位置を得るような高分解能であるセンサと、
エリア情報による検出位置を選択する検出情報決定部120(プロット選択処理部)と、
どのセンサのどの検出位置を選択または使用するかをエリアによる決める制御情報記憶部130(プロット選択処理制御部)と、
エリア情報により決めた検出位置から、エリア毎に、クラスタリングした検出位置を求め、さらに、クラスタリングした検出位置の重心を算出後、クラスタリングした検出位置の重心を、追尾フィルタの入力として、航跡情報を生成する、追尾処理部140と、
航跡情報を表示する表示処理部150と、
を備えたことを特徴とする。
【0099】
さらに、上記実施の形態に係る目標追尾装置100は、
航跡情報からエリアを判定する航跡による制御情報記憶部130
を備えたことを特徴とする。
【0100】
さらに、上記実施の形態に係る目標追尾装置100は、
航跡により、目標が高速目標か否かを判定して、追尾フィルタにおいて航跡の速度変化率を考慮した予測処理を行うように制御する加速度制御処理部170
を備えたことを特徴とする。
【0101】
さらに、上記実施の形態に係る目標追尾装置100は、
追尾フィルタの航跡から、航跡の速度および加速度がおおよそ一致しているものを同一目標からの航跡として判定する、同一航跡判定処理部180
を備えたことを特徴とする。
【0102】
さらに、上記実施の形態に係る目標追尾装置100は、
センサから得るセンサ航跡同士の同一航跡判定処理を行い、センサ航跡に関連する検出位置を求める、センサ航跡による同一航跡判定処理部180
を備えたことを特徴とする。
【0103】
さらに、上記実施の形態に係る目標追尾装置100は、
航跡位置および検出位置からの残差と目標移動方向の内積と、航跡速度及び目標移動方向と直交する方向の内積と、航跡速度の大きさの判定により、目標の状態を判定し、時系列の目標の状態の判定結果から、通常目標の判定、あるいは、偽目標の判定、あるいは、領域内で停止している目標の判定を行う目標状態判定部190
を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】目標追尾装置100を備える目標追尾システムの外観の一例を示す図。
【図2】目標追尾装置100ハードウェア構成の一例を示す図。
【図3】アスペクト角の説明図。
【図4】複数の検出装置200から1つの目標を検出した場合に、1つの目標が複数の目標として認識される場合の例を示す図。
【図5】実施の形態1に係る目標追尾装置100の機能を示す機能ブロック図。
【図6】選択エリアと融合エリアの例を示す図。
【図7】目標と検出装置200の位置関係を示す図。
【図8】目標と検出装置200の位置関係を示す図。
【図9】検出装置200が検出した1つの検出情報が示す位置と、複数の検出情報が示す連続した位置の重心の概念図。
【図10】実施の形態2に係る目標追尾装置100の機能を示す機能ブロック図。
【図11】実施の形態3に係る目標追尾装置100の機能を示す機能ブロック図。
【図12】同一目標から複数の航跡ができる例を示す図。
【図13】図12に示した例の航跡を示す図。
【図14】実施の形態4に係る目標追尾装置100の機能を示す機能ブロック図。
【図15】実施の形態5に係る目標追尾装置100の機能を示す機能ブロック図。
【図16】実施の形態6に係る目標追尾装置100の機能を示す機能ブロック図。
【図17】実施の形態6に示す(1)から(4)まで判定で使用する各符号の概念図。
【符号の説明】
【0105】
110 検出情報取得部、120 検出情報決定部、130 制御情報記憶部、140 追尾処理部、150 表示処理部、160,181 速度取得部、170 加速度制御処理部、180 同一航跡判定処理部、182 速度変化率取得部、183 追尾処理制御部、190 目標状態判定部、191 予想方向記憶部、192 残差情報算出部、193 予想方向移動量算出部、194 垂直方向移動速度算出部、195 目標判定部、196 クラッタ追尾処理制御部、901 LCD、902 キーボード、903 マウス、904 サーバ、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 オペレーティングシステム、922 ウィンドウシステム、923 プログラム群、924 ファイル群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標の位置を示す検出情報を複数の検出装置から取得して目標の追尾を行う目標追尾装置であり、
複数の検出装置から検出情報を取得して記憶装置に記憶する検出情報取得部と、
上記検出情報取得部が上記複数の検出装置から取得した検出情報の内、1つの検出装置から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うか、あるいは2つ以上の検出装置から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うかを選択して、目標の追尾に使用する検出情報を処理装置により決定する検出情報決定部と、
上記検出情報決定部が決定した検出情報に基づき処理装置により目標を追尾する追尾処理部と
を備えることを特徴とする目標追尾装置。
【請求項2】
上記目標追尾装置は、さらに、
1つの検出装置から得た検出情報に基づき目標の追尾を行う選択エリアと、2つ以上の検出装置から得た検出情報に基づき目標の追尾を行う融合エリアとを定めた制御情報を記憶装置に記憶する制御情報記憶部を備え、
上記検出情報決定部は、上記制御情報記憶部が記憶した制御情報に基づき、上記検出情報取得部が取得した検出情報が示す位置が選択エリアに含まれるか融合エリアに含まれるかを検索して、1つの検出装置から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うか、あるいは2つ以上の検出装置から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うかを選択する
ことを特徴とする請求項1記載の目標追尾装置。
【請求項3】
上記目標追尾装置は、さらに、
上記追尾処理部が追尾して得られた目標の軌跡情報に基づき、処理装置により目標の速度を得るエリア決定用速度取得部を備え、
上記制御情報記憶部は、上記エリア決定用速度取得部が得た目標の速度が所定の閾値よりも速いか否かを判定し、目標の速度が所定の閾値よりも速いと判定した位置の周囲所定の範囲を選択エリアとして記憶する
ことを特徴とする請求項2に記載の目標追尾装置。
【請求項4】
上記追尾処理部は、上記検出情報決定部が1つの検出装置から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うと選択した場合には、所定の方法により目標の位置を予測した予測位置を算出して、予測位置と検出情報とに基づき目標を追尾する
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の目標追尾装置。
【請求項5】
上記検出情報取得部は、上記複数の検出装置から複数の検出情報を取得し、
上記目標追尾装置は、さらに、
上記追尾処理部が追尾して得られた目標の軌跡情報に基づき、処理装置により目標の速度を得る同一目標決定用速度取得部と、
上記同一目標決定用速度取得部が得た目標の速度に基づき、処理装置により目標の速度変化率を得る同一目標決定用速度変化率取得部と、
上記複数の検出情報から複数の目標が特定される場合に、上記複数の目標の各目標の軌跡情報に基づき上記同一目標決定用速度取得部と上記同一目標決定用速度変化率取得部とが得た各目標の速度と各目標の速度変化率とが、いずれも略同一である目標は同一の目標であるとして追尾するように上記追尾処理部を処理装置により制御する追跡装置用追尾処理制御部と
を備える特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の目標追尾装置。
【請求項6】
上記検出情報取得部は、上記複数の検出装置の各検出装置から検出情報とともに、上記各検出装置が上記検出情報に基づき目標を追尾して得た検出装置軌跡情報を取得し、
上記目標追尾装置は、さらに、
上記検出情報取得部が取得した検出装置軌跡情報に基づき、処理装置により目標の速度を得る検出装置用速度取得部と、
上記検出装置用速度取得部が得た目標の速度に基づき、処理装置により目標の速度変化率を得る検出装置用速度変化率取得部と、
上記検出装置用速度取得部が得た目標の速度と、上記検出装置用速度変化率取得部が得た目標の速度変化率とがいずれも略同一である検出装置軌跡情報の基になった検出情報は同一の目標を示す検出情報であるとして追尾するように上記追尾処理部を処理装置により制御する検出装置用追尾処理制御部と
を備える特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の目標追尾装置。
【請求項7】
上記目標追尾装置は、さらに、
目標の移動する予想方向を位置毎に記憶装置に記憶する予想方向記憶部と、
上記追尾処理部が追尾して得られた目標の軌跡情報の直近の目標の位置と、上記検出情報取得部が取得した検出情報が示す位置との差を示す残差情報を処理装置により算出する残差情報算出部と、
上記残差情報算出部が算出した残差情報が示す上記予想方向への移動量である予想方向移動量を処理装置により算出する予想方向移動量算出部と、
上記追尾処理部が追尾して得られた目標の軌跡情報に基づき、目標の速度の上記予想方向と垂直の方向への移動速度である垂直方向移動速度を処理装置により算出する垂直方向移動速度算出部と、
上記予想方向移動量算出部が算出した予想方向移動量が第1の閾値以下であり、かつ、上記垂直方向移動速度算出部が算出した垂直方向移動速度が第2の閾値より大きい場合、上記検出情報が示す目標はクラッタであると処理装置により判定する目標判定部と、
上記目標判定部がクラッタであると判定した場合、上記検出情報に基づき追尾しないように上記追尾処理部を処理装置により制御するクラッタ追尾処理制御部と
を備えることを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の目標追尾装置。
【請求項8】
目標の位置を示す検出情報を複数の検出装置から取得して目標の追尾を行う目標追尾装置の目標追尾方法であり、
通信装置が複数の検出装置から検出情報を取得する検出情報取得ステップと、
処理装置が、上記検出情報取得ステップで上記複数の検出装置から取得した検出情報の内、1つの検出装置から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うか、あるいは2つ以上の検出装置から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うかを選択して、目標の追尾に使用する検出情報を決定する検出情報決定ステップと、
処理装置が、上記検出情報決定ステップで決定した検出情報に基づき目標を追尾する追尾処理ステップと
を備えることを特徴とする目標追尾方法。
【請求項9】
目標の位置を示す検出情報を複数の検出装置から取得して目標の追尾を行う目標追尾装置の目標追尾プログラムであり、
複数の検出装置から検出情報を取得して記憶装置に記憶する検出情報取得処理と、
上記検出情報取得処理で上記複数の検出装置から取得した検出情報の内、1つの検出装置から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うか、あるいは2つ以上の検出装置から取得した検出情報に基づき目標の追尾を行うかを選択して、目標の追尾に使用する検出情報を処理装置により決定する検出情報決定処理と、
上記検出情報決定処理で決定した検出情報に基づき処理装置により目標を追尾する追尾処理処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とする目標追尾プログラム。
【請求項10】
目標の位置を示す複数の検出情報を検出装置から取得して目標の追尾を行う目標追尾装置であり、
検出装置から複数の検出情報を取得して記憶装置に記憶する検出情報取得部と、
上記検出情報取得部が取得した複数の検出情報に基づき処理装置により目標を追尾する追尾処理部と、
上記追尾処理部が追尾して得られた目標の軌跡情報に基づき、処理装置により目標の速度を得る同一目標決定用速度取得部と、
上記同一目標決定用速度取得部が得た目標の速度に基づき、処理装置により目標の速度変化率を得る同一目標決定用速度変化率取得部と、
上記複数の検出情報から複数の目標が特定される場合に、上記複数の目標の各目標の軌跡情報に基づき上記同一目標決定用速度取得部と上記同一目標決定用速度変化率取得部とが得た速度と速度変化率とが、いずれも略同一である目標は同一の目標であるとして追尾するように上記追尾処理部を処理装置により制御する追跡装置用追尾処理制御部と
を備えることを特徴とする目標追尾装置。
【請求項11】
目標の位置を示す複数の検出情報を検出装置から取得して目標の追尾を行う目標追尾装置であり、
検出装置から複数の検出情報とともに、検出装置が上記複数の検出情報に基づき目標を追尾して得た複数の検出装置軌跡情報を取得して記憶装置に記憶する検出情報取得部と、
上記検出情報取得部が取得した検出装置軌跡情報に基づき、処理装置により目標の速度を得る検出装置用速度取得部と、
上記検出装置用速度取得部が得た目標の速度に基づき、処理装置により目標の速度変化率を得る検出装置用速度変化率取得部と、
上記検出装置用速度取得部が得た目標の速度と、上記検出装置用速度変化率取得部が得た目標の速度変化率とがいずれも略同一である検出装置軌跡情報の基になった検出情報は同一の目標を示す検出情報であるとして追尾するように処理装置により制御する検出装置用追尾処理制御部と
上記検出情報取得部が取得した検出情報に基づき、上記検出装置用追尾処理制御部の制御に従い、処理装置により目標を追尾する追尾処理部と
を備えることを特徴とする目標追尾装置。
【請求項12】
目標の位置を示す複数の検出情報を検出装置から取得して目標の追尾を行う目標追尾装置であり、
検出装置から複数の検出情報を取得して記憶装置に記憶する検出情報取得部と、
上記検出情報取得部が取得した複数の検出情報に基づき処理装置により目標を追尾する追尾処理部と、
目標の移動する予想方向を位置毎に記憶装置に記憶する予想方向記憶部と、
上記追尾処理部が追尾して得られた目標の軌跡情報の直近の目標の位置と、上記検出情報取得部が取得した検出情報が示す位置との差を示す残差情報を処理装置により算出する残差情報算出部と、
上記残差情報算出部が算出した残差情報が示す上記予想方向への移動量である予想方向移動量を処理装置により算出する予想方向移動量算出部と、
上記追尾処理部が追尾して得られた目標の軌跡情報に基づき、目標の速度の上記予想方向と垂直の方向への移動速度である垂直方向移動速度を処理装置により算出する垂直方向移動速度算出部と、
上記予想方向移動量算出部が算出した予想方向移動量が第1の閾値以下であり、かつ、上記垂直方向移動速度算出部が算出した垂直方向移動速度が第2の閾値より大きい場合、上記検出情報が示す目標はクラッタであると処理装置により判定する目標判定部と、
上記目標判定部がクラッタであると判定した場合、上記検出情報に基づき追尾しないように上記追尾処理部を処理装置により制御するクラッタ追尾処理制御部と
を備えることを特徴とする目標追尾装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−2781(P2009−2781A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163641(P2007−163641)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】