説明

直付け型ソレノイドバルブ

【課題】出力ポート部の振動・共振による騒音を抑制した直付け型ソレノイドバルブを提供すること。
【解決手段】流路11aを形成するハウジング11と、弁口12aを備え、ソレノイド部13に通電することにより、弁口12aの開閉を行い、入力ポート14と出力ポート12bの連通をする直付け型ソレノイドバルブにおいて、出力ポート部材12の振動を抑制するハウジング11に固定された振動抑制手段15aを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種装置に気体や液体等の流体を供給する流量を調節するソレノイドバルブに関し、詳しくは、各種装置に直付けされる直付け型ソレノイドバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、燃料タンクから発生する蒸発ガスのエンジン吸気管への供給を制御する場合、ソレノイドバルブが使用される。従来、ソレノイドバルブと吸気管とは配管部材で連通されていた(たとえば、特許文献1参照。)。しかし、配管で連通すると、バルブをエンジンルームに取り付ける必要があり、スペースが余分に必要になる。
【0003】
そこで、最近、エンジン吸気管に直付けされる直付け型ソレノイドバルブが使用されるようになった。これまで、直付け型ソレノイドバルブとしては、図5に示すようなものが知られている(たとえば、特許文献2参照。)。図5において、101は、負圧が印加される入力ポート102、出力ポート部103が設けられた樹脂製のハウジングである。104は、電磁コイル104aを内在させた円筒状のヨーク、105は、ヨーク104の下部に固定されたコア、106は、コア105の上部に可動支持されたプランジャー、107は、プランジャー106の上部に固定された弁体、108は、コア105に装着されたガイド110とプランジャー106との間に装着され弁体107を出力ポート部103の下端に位置する弁口103aに押しつけて塞ぐスプリングである。
【0004】
エンジン吸気管201への取り付けは、Oリング103bを装着した状態で出力ポート103cを吸気管201の取り付け穴201aに挿入し、吸気管201のボルトネジ穴201bにボルト109を螺合させて行われる。
【0005】
動作は以下のようにして行われる。図示しない外部の電源からコイル104aに通電されていない場合は、プランジャー106に固定された弁体107は、スプリング108の付勢力によって出力ポート103の弁口103aに押しつけられ、入力ポート102と出力ポート部103の流路は閉じている(図5の閉状態)。この状態において、コイル104aに通電して磁界を発生させ、この磁力でプランジャー106をスプリング108に抗して下方に移動させ、弁体107を弁口103aから離して入力ポート102と出力ポート103の流路を連通させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−170948号公報
【特許文献2】特開2010−14232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従来の直付け型ソレノイドバルブでは、電気絶縁性のためにハウジング101やフランジ構造の出力ポート部103等が、樹脂製である。そのため、ソレノイドバルブの動作時、弁口103aが弁体107で叩かれると、フランジ構造の出力ポート部103が振動して共振し、騒音を発生させてしまう。
【0008】
本発明は、上記従来の直付け型ソレノイドバルブの問題に鑑みてなされたものであり、出力ポート部の振動・共振による騒音を抑制した直付け型ソレノイドバルブを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するためになされた本発明の直付け型ソレノイドバルブは、流体の流路を形成するハウジングと、一端側に前記流路に開口する弁口を備え他端側に外部装置の流路に連通する取り付け穴に挿入される出力ポートを備え前記ハウジングに固定された出力ポート部材と、弁体を備え前記弁体を駆動して前記弁口を開閉する前記ハウジングに収納されたソレノイド部と、を有する直付け型ソレノイドバルブであって、前記出力ポート部材の振動を抑制する前記ハウジングに固定された振動抑制手段を有することを特徴とする。
【0010】
出力ポート部材の振動を抑制する振動抑制手段を有しているので、弁口が弁体で叩かれることによる騒音の発生が抑制される。
【0011】
上記直付け型ソレノイドバルブにおいて、前記振動抑制手段は、外側梁部材と前記ハウジングに固定された内側梁部材とを備え、前記フランジ部を前記外側梁部材と前記内側梁部材とで狭持するようにするとよい。
【0012】
フランジ部が外側梁部材と前記内側梁部材とで狭持されるので、フランジ部の振動が一層抑制される。
【0013】
また、前記外側梁部材は、前記外部装置と前記フランジ部との間に配置され前記フランジ部を内側方向に押圧する剛性部材であるとよい。
【0014】
フランジ部が外側梁部材と前記内側梁部材とで強固に狭持されるので、フランジ部の振動が確実に抑制される。
【0015】
また、前記外側梁部材は、前記外部装置と前記フランジ部との間に配置され前記フランジ部を内側方向に押圧する弾性部材であるとよい。
【0016】
外側梁部材が配置されるフランジ部と外部装置との距離が変動しても弾性部材の伸縮で変動を吸収してフランジ部を内側方向に確実に押圧することができる。
【発明の効果】
【0017】
出力ポート部材の振動を抑制する振動抑制手段を有しているので、弁口が弁体で叩かれることによる騒音の発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1に係る直付け型ソレノイドバルブの概略断面図である。
【図2】実施形態2に係る直付け型ソレノイドバルブの概略断面図である。
【図3】図2の変形態様の直付け型ソレノイドバルブの概略断面図である。
【図4】図2の別の変形態様の直付け型ソレノイドバルブの概略断面図である。
【図5】従来の直付け型ソレノイドバルブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
(実施形態1)本実施形態の直付け型ソレノイドバルブは、図1に示すように、流体の流路11aを形成するハウジング11と、一端側に流路11aに開口する弁口12aを備え、他端側に外部装置201の流路に連通する取り付け穴201aに挿入される出力ポート12bを備えハウジング11に固定された出力ポート部材12と、弁体13aを備え弁体13aを駆動して弁口12aを開閉するハウジング11に収納されたソレノイド部13と、を有している。
【0020】
ハウジング11は、上部に外部装置201に固定するためのボルト穴11bを持つ略有底筒状をしており、樹脂製である。
【0021】
ハウジング11の右側下端には、入力ポート14が装着されている。
【0022】
出力ポート部材12は、樹脂製で、周縁部がハウジング11に固定されたフランジ部12cとフランジ部12cから外部装置201側に突設する出力ポート12bと、を有している。フランジ部12cの中間付近は、内側梁部材15aでハウジング11と連結されている。
【0023】
出力ポート12bの外周には溝12b1形成され、気密を保つためのOリング12b2が装着されている。
【0024】
次に、動作について説明する。まず、図示しない外部の電源からコイル13cが通電されていない場合は、プランジャー13eに固定された弁体13aは、スプリング13fの付勢力によって弁口12aに押し付けられ、入力ポート14と出力ポート12bの連通が閉ざされている。
【0025】
次に、外部の電源からコイル13cが通電される場合は、コイル13cに磁界が発生し、コア13dとプランジャー13eとが引きつけ合う力が発生する。そのため、プランジャー13eは、スプリング13fの付勢力に抗して下方(図1で)に移動する。すると、弁体13aは、弁口12aから離れ、入力ポート14と出力ポート12bとが連通される。
【0026】
上記のように、コイル13cへの通電のオン・オフにより弁口12aが弁体13aで叩かれるが、フランジ部12cが内側梁部材15aでハウジング11と連結されているので、振動が抑制される。
【0027】
したがって、本実施形態では、内側梁部材15aが振動抑制手段として機能する。
(実施形態2)本実施形態の直付け型ソレノイドバルブは、図2に示すように、実施形態1と類似している。相違するのは、振動抑制手段15だけである。同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0028】
本実施形態の振動抑制手段15は、外側梁部材15bと内側梁部材15aとを備え、フランジ部12cを外側梁部材15bと内側梁部材15aとで狭持している。
【0029】
本実施形態の場合、内側梁部材15aは、ハウジング11とフランジ部12cと連結していなくてもよい。
【0030】
外側梁部材15bは、フランジ部12cと外部装置201との間に配置さている。詳しくは、外側梁部材15bは、フランジ部12cの外面12c1と外部装置201の座ぐり穴201bの底面201b1との間に配置されている。
【0031】
外側梁部材15bは、樹脂製柱状体であり、ビード15b0を外側(図2で上部)にもつ。
【0032】
外部装置201への直付けソレノイドバルブの取付は、取り付け完了時(図2の状態)のフランジ部12cの外面12c1から外部装置201の座ぐり穴201bの底面201b1までの距離より大きな高さを有する外側梁部材15bをフランジ部12cの外面12c1と座ぐり穴201bの底面201b1との間に介在させて行われる。
【0033】
フランジ部12cの外面12c1から座ぐり穴201bの底面201b1までの距離が変動しても(外部装置が変わると変動する)、点線で示すビード15b0が実線で示すビード15b0に塑性変形して距離変動を吸収するので、樹脂製柱状体15bは、安定してフランジ部12cを内側方向(図2で下方)に押圧すことができる。
【0034】
したがって、フランジ部12cは、外側梁部材15bと内側梁部材15aとで強固に狭持され振動・共振が確実に抑制される。
【0035】
次に振動抑制手段15の変形例を説明する。図2のビード付樹脂製柱状体15bを図3に示すようにバネ15b1に変更することもできる。
【0036】
フランジ部12cの外面12c1から座ぐり穴201bの底面201b1までの距離が変動しても、バネ15b1が伸縮して距離変動を吸収するので、バネ15b1は、安定してフランジ部12cを内側方向に押圧すことができる。
【0037】
したがって、フランジ部12cは、バネ(外側梁部材)15b1と内側梁部材15aとで強固に狭持され振動・共振が確実に抑制される。
【0038】
また、図3のバネ15b1を図4に示すようにゴム製柱状体15b2に変更することもできる。
【0039】
フランジ部12cの外面12c1から座ぐり穴201bの底面201b1までの距離が変動しても、ゴム製柱状体15b21が伸縮して距離変動を吸収するので、ゴム製柱状体15b2は、安定してフランジ部12cを内側方向に押圧すことができる。
【0040】
したがって、フランジ部12cはゴム製柱状体(外側梁部材)15b2と内側梁部材15aとで強固に狭持され振動・共振が確実に抑制される。
【符号の説明】
【0041】
11・・・・・・・・・・ ・・ハウジング
11a・・・・・・・・・・・流路
12・・・・・・・・・・ ・・出力ポート部材
12a・・・・・・・・・・・弁口
12b・・・・・・・・・・・出力ポート
12c・・・・・・・・・・・フランジ部
13・・・・・・・・・・ ・・ソレノイド部
13a・・・・・・・・・・・弁体
15(15a)・・・・・・・・振動抑制手段
15a・・・・・・・・・・・内側梁部材
15b、15b1、15b2・・・外側梁部材
201・・・・・・・・・・・ 外部装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路を形成するハウジングと、一端側に前記流路に開口する弁口を備え他端側に外部装置の流路に連通する取り付け穴に挿入される出力ポートを備え前記ハウジングに固定された出力ポート部材と、弁体を備え前記弁体を駆動して前記弁口を開閉する前記ハウジングに収納されたソレノイド部と、を有する直付け型ソレノイドバルブであって、
前記出力ポート部材の振動を抑制する前記ハウジングに固定された振動抑制手段を有することを特徴とする直付け型ソレノイドバルブ。
【請求項2】
前記出力ポート部材は、周縁部が前記ハウジングに固定されたフランジ部を備え、
前記振動抑制手段は、外側梁部材と前記ハウジングに固定された内側梁部材を備え、前記フランジ部を前記外側梁部材と前記内側梁部材とで狭持する請求項1に記載の直付け型ソレノイドバルブ。
【請求項3】
前記外側梁部材は、前記外部装置と前記フランジ部との間に配置され前記フランジ部を内側方向に押圧する剛性部材である請求項2に記載の直付け型ソレノイドバルブ。
【請求項4】
前記外側梁部材は、前記外部装置と前記フランジ部との間に配置され前記フランジ部を内側方向に押圧する弾性部材である請求項2に記載の直付け型ソレノイドバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−41980(P2012−41980A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183606(P2010−183606)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(592056908)浜名湖電装株式会社 (59)
【Fターム(参考)】