説明

直動案内装置

【課題】スライダの軸方向端部に取り付けられる非接触式のサイドシール部材の組み付け作業が簡単で、隙間量を確実に確保できるとともに、組み付けで案内レールを傷つけることのない直動案内装置を提供する。
【解決手段】直動案内装置は、スライダの軸方向端部に案内レール2に対して所定の隙間量δを設けて取り付けられたサイドシール部材10を備える。サイドシール部材10は、その内周面に案内レール2に接触する複数の位置決め突起11を備えている。複数の位置決め突起11の案内レール2に接触する部分の軸方向に沿う合計長さLは、サイドシール部材10の軸方向に沿う厚さTよりも短い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライダの軸方向端部に案内レールに対して所定の隙間量を設けて取り付けられた非接触式のサイドシール部材を備えた直動案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な直動案内装置としては、例えば図9に示すものが知られている。
図9に示す直動案内軸受装置は、軸方向に延びる案内レール101と、案内レール101上に軸方向に相対移動可能に跨架されたスライダ102とを備えている。
案内レール101の両側面にはそれぞれ軸方向に延びる転動体転動溝103が形成されており、スライダ102のスライダ本体102Aには、その両袖部104の内側面に、それぞれ転動体転動溝103に対向する転動体転動溝107が形成されている。そして、これらの向き合った両転動体転動溝103,107の間には転動体の一例としての多数のボールBが転動自在に装填され、これらのボールBの転動を介してスライダ102が案内レール101上を軸方向に沿って相対移動できるようになっている。
【0003】
スライダ102の移動につれて、案内レール101とスライダ102との間に介在するボールBは転動してスライダ102の端部に移動するが、スライダ102を軸方向に継続して移動させていくためには、これらのボールBを無限に循環させる必要がある。
このため、スライダ本体102Aの袖部104内に軸方向に貫通する転動体通路108を形成すると共に、スライダ本体102Aの両端にそれぞれ略コ字状のエンドキャップ105を、例えば、ねじ112等の固定手段を介して固定し、このエンドキャップ105に両転動体転動溝103,107間と転動体通路108とを連通する半円弧状に湾曲した方向転換路106を形成することにより、転動体無限循環軌道を形成している。
【0004】
また、スライダ102の軸方向両端には、エンドキャップ105と共にねじ112を介して固定された1対のサイドシール部材111が固定されている。各サイドシール部材111は、直動案内装置周辺から当該案内装置の内部への異物侵入の防止や当該案内装置の内部で発生した粉塵の外部雰囲気への排出の防止を目的として設けられている。各サイドシール部材111は、エンドキャップ105と同様に略コ字状とされて内周部が案内レール101に対して所定の隙間量を設けて取り付けられている。この隙間量は、前記目的のため非常に小さく設定されている。
【0005】
一方、直動案内装置周辺から当該案内装置の内部への異物侵入の防止や当該案内装置の内部で発生した粉塵の外部雰囲気への排出の防止を目的とするため、案内レール101と接触するサイドシール部材(接触式)をスライダ102の軸方向両端に取り付ける場合もある。この場合、接触式のサイドシール部材を取り付けることで、案内レール101との間で摺動抵抗が増加してしまったり、サイドシール部材が摺動することで発塵してしまったりするといった問題がある。このため、摺動抵抗の増加やサイドシール部材自身の発塵を懸念する場合には、図9に示す直動案内装置のように、非接触式のサイドシール部材を案内レールに対して所定の隙間量を設けて取り付けることが行われている。
【0006】
なお、図9において、符号110はスライダ本体102Aの端面に形成されたねじ112のタップ穴、113は給脂用ニップル、114は案内レール101の固定用のボルト挿通穴である。
この従来の図9に示す直動案内装置において、非接触式のサイドシール部材111をスライダ105の軸方向端部に取り付けるに際しては、案内レール101とサイドシール部材111との間に規定厚さのシムを挟み、案内レール101とサイドシール部材111との間の隙間が既定値となるように行なっていた。
【0007】
しかしながら、サイドシール部材111の組み付けの際に毎回シムを使用しなければならず、その作業は極めて面倒であるという問題があった。また、隙間調整の際に、シムで案内レール101を傷つけてしまうというおそれもあった。
ここで、サイドシール部材の組み付けの際に、サイドシール部材の位置決めを行うことが可能な直動案内装置として、従来、例えば図10に示す直動案内装置が知られている(特許文献1参照)。図10は、従来の直動案内装置の別の例を示し、(A)は正面図、(B)はシール部材を取り除いた状態の正面図である。
【0008】
この図10に示す直動案内装置において、軸方向に延びる転動体転動溝203を有する案内レールと、案内レール201の転動体転動溝203に対向する転動体転動溝を有し、これらの両転動体転動溝間に挿入された多数の転動体(図示せず)の転動を介して軸方向に沿って相対移動可能に案内レール201に跨架されたスライダ202と、スライダ202の軸方向両端部に取り付けられた1対のサイドシール部材204とを備えている。スライダ202は、スライダ本体202Aと、スライダ本体202Aの軸方向両端部に設けられた1対のエンドキャップ202Bとを備えている。
【0009】
また、サイドシール部材204は、図10(A)に示すように、案内レール201の外面に摺動自在に接触するシールリップ205aを有するシール部材205と、図10(B)に示すように、転動転動溝203と摺動自在に接触する接触部206aを有する位置決め部材206とを備えている。
この位置決め部材206は、案内レール201及びシール部材205に取り付けられて案内レール201に対するシール部材205の位置決めを行うようになっている。案内レール201に取り付けた位置決め部材206をシール部材205に取り付けた状態で、案内レール201の外面とシールリップ205aとの接触状態が、案内レール201の外面とシールリップ205aとの接触部分の全体に亘って均等または略均等となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−218357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、この従来の図10に示す直動案内装置にあっては、以下の問題点があった。
即ち、図10に示す直動案内装置におけるサイドシール部材204は、シール部材205のシールリップ205aが、案内レール201の外面に接触するいわゆる接触式のサイドシール部材である。このため、前述したように、シール部材205と案内レール201との間で摺動抵抗が増加してしまったり、シール部材205が摺動することで発塵してしまったりするといった問題がある。
【0012】
一方、図10に示す直動案内装置におけるサイドシール部材204は接触式のサイドシール部材であり、サイドシール部材204の位置決め部材206を用いて、図9に示す非接触式のサイドシール部材111の位置決めを円滑に行なうことができない。このため、図9に示すような直動案内装置における非接触式のサイドシール部材の位置決めにおいて、サイドシール部材の組み付けの毎にシムを使用しなければならず作業が面倒であるといった問題は解決できず、また、隙間調整の際に、シムで案内レールを傷つけてしまう問題も解決できない。
【0013】
従って、本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、スライダの軸方向端部に案内レールに対して所定の隙間量を設けて取り付けられる非接触式のサイドシール部材の組み付け作業が簡単で当該隙間量を確実に確保できるとともに、サイドシール部材の組み付けにともなって案内レールを傷つけることのない直動案内装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明のうち請求項1に係る直動案内装置は、軸方向に延びる転動体転動溝を有する案内レールと、該案内レールの前記転動体転動溝に対向する転動体転動溝を有し、これらの両転動体転動溝間に挿入された多数の転動体の転動を介して軸方向に沿って相対移動可能に前記案内レールに跨架されたスライダと、前記スライダの軸方向端部に前記案内レールに対して所定の隙間量を設けて取り付けられたサイドシール部材とを備えた直動案内装置であって、前記サイドシール部材は、その内周面に前記案内レールに接触する複数の位置決め突起を備え、前記複数の位置決め突起の前記案内レールに接触する部分の前記軸方向に沿う合計長さが前記サイドシール部材の前記軸方向に沿う厚さよりも短いことを特徴としている。
また、本発明のうち請求項2に係る直動案内装置は、請求項1記載の直動案内装置において、前記複数の位置決め突起の各々が樹脂製であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明のうち請求項1に係る直動案内装置によれば、スライダの軸方向端部に案内レールに対して所定の隙間量を設けて取り付けられたサイドシール部材が、その内周面に案内レールに接触する複数の位置決め突起を備えたので、サイドシール部材の組み付けに際し、位置決め突起を案内レールの外周面に接触させた状態でサイドシール部材をスライダの軸方向端部に取り付ければ、案内レールに対して所定の隙間量を確保した状態でサイドシール部材をスライダの軸方向端部に取り付けることができ、非接触式のサイドシール部材の組み付け作業を簡単に行うことができる。このサイドシール部材の組み付けの際に、従来のようなシムを使用する必要はなく、サイドシール部材の組み付けに伴って案内レールを傷つけてしまうおそれはない。
【0016】
また、前記複数の位置決め突起の前記案内レールに接触する部分の前記軸方向に沿う合計長さが前記サイドシール部材の前記軸方向に沿う厚さよりも短いので、位置決め突起の案内レールに接触する部分の軸方向に沿う合計長さがサイドシール部材の軸方向に沿う厚さと等しいか大きい場合と比較して案内レールとの接触面積が小さくなり、位置決め突起と案内レールとの摩擦力の増大を防ぐことができる。
【0017】
また、本発明のうち請求項2に係る直動案内装置によれば、請求項1記載の直動案内装置において、前記複数の位置決め突起の各々が樹脂製であるので、サイドシール部材を組み付けるときに位置決め突起が案内レールに当たっても金属製の案内レールが傷つくことがない。また、サイドシール部材を組み付けた後、スライダが案内レールの軸方向に沿って移動する際にも、案内レールと接触している位置決め突起が樹脂製であり、案内レールが傷つくことがない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る直動案内装置の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す直動案内装置の正面図である。
【図3】図2における矢印Aで示す部分の拡大図である。
【図4】図2における矢印Bで示す部分の拡大図である。
【図5】図3における5−5線に沿う断面図である。
【図6】位置決め突起の案内レールに接触する部分の軸方向に沿う長さがサイドシール部材の軸方向に沿う厚さと等しい場合の図5と同様の断面図である。
【図7】位置決め突起の変形例を示し、位置決め突起がサイドシール部材の内周面の軸方向中央部に位置する場合の図5と同様の断面図である。
【図8】位置決め突起の別の変形例を示し、位置決め突起がサイドシール部材の内周面の軸方向に沿って複数配置された場合の図5と同様の断面図である。
【図9】従来の直動案内装置の一例を示す斜視図である。
【図10】従来の直動案内装置の別の例を示し、(A)は正面図、(B)はシール部材を取り除いた状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る直動案内装置の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る直動案内装置の実施形態を示す斜視図である。図2は、図1に示す直動案内装置の正面図である。図3は、図2における矢印Aで示す部分の拡大図である。図4は、図2における矢印Bで示す部分の拡大図である。図5は、図3における5−5線に沿う断面図である。
【0020】
図1に示す直動案内装置1は、例えば、軸方向に延びる案内レール2と、案内レール2上に軸方向に相対移動可能に跨架されたスライダ3とを備えている。
案内レール2は金属製で、その両側面にはそれぞれ軸方向に延びる2条の転動体転動溝2aが形成されており、スライダ3のスライダ本体4には、その両袖部4aの内側面に、それぞれ転動体転動溝2aに対向する転動体転動溝(図示せず)が形成されている。そして、これらの向き合った案内レール2に形成された転動体転動溝2aとスライダ本体4に形成された転動体転動溝との間には転動体の一例としての多数のボール(図示せず)が転動自在に装填されている。これらのボールの転動を介してスライダ3が案内レール2上を軸方向に沿って相対移動できるようになっている。
【0021】
このスライダ3の移動につれて、案内レール2とスライダ3との間に介在するボールは転動してスライダ3の端部に移動するが、スライダ3を軸方向に継続して移動させていくためには、これらのボールを無限に循環させる必要がある。
このため、スライダ本体4の袖部4a内に軸方向に貫通する転動体通路(図示せず)を形成すると共に、スライダ本体4の軸方向両端にそれぞれ略コ字状のエンドキャップ5を固定している。そして、各エンドキャップ5には、案内レール2に形成された転動体転動溝2aとスライダ本体4に形成された転動体転動溝との間と転動体通路とを連通する半円弧状に湾曲した方向転換路(図示せず)を形成することにより、転動体無限循環軌道を形成している。なお、図1において、符号2bは、案内レール2を他の部材に固定するためのボルト挿通孔である。
【0022】
また、スライダ3のエンドキャップ5の軸方向両端部には、1対のサイド部材10(図1では、一方のサイドシール部材10のみを図示)を取り付けている。1対のサイドシール10は対称形状をなすため、一方のサイドシール部材10のみについて説明する。
サイドシール部材10は、図1及び図2に示すように、案内レール2を跨ぐように断面略コ字形に形成され、案内レール2を横断する方向に延びる基板部10aと、基板部10aのレール横断方向両端から案内レール2の両側面に沿うように下方に延びる1対の側板部10bとを備えている。サイドシール部材10は、例えば、熱可塑性樹脂を成形することによって一体に形成される。但し、サイドシール部材10は、金属製であってもよい。。サイドシール部材10は、取付ねじ12によりねじ孔10cを介してスライダ3のエンドキャップ5の軸方向端部に取り付けられる。
ここで、サイドシール部材10は、図5に示すように、サイドシール部材10の内周面と案内レール2の外周面との間の隙間量がδとなるように取り付けられる。この隙間量δは、例えば0.1mm程度と小さい。
【0023】
また、サイドシール部材10は、図2乃至図4に示すように、その内周面に案内レール2の外周面に接触する複数の位置決め突起11を備えている。各位置決め突起11は、サイドシール部材10の内周面から案内レール2の外周面に向けて突出している。本実施形態の場合、位置決め突起11は、図2及び図3に示すように、案内レール2の外周面のうち上側の転動体転動溝2aのやや上方の外周面に接触する部分、図4に示すように、案内レール2の外周面のうち下側の転動体転動溝2aの下方の外周面に接触する部分に設けられ、案内レール2を挟んで左右対称に合計4つ設けられている。そして、各位置決め突起11は、図5に示すように、サイドシール部材10の内周面のうち軸方向最外側の位置に設けられている。図5には、案内レール2の外周面のうち上側の転動体転動溝2aのやや上方の外周面に接触する部分の位置決め突起11の断面のみ示しているが、他の3つの位置決め突起11についても、同様に、サイドシール部材10の内周面のうち軸方向最外側の位置に設けられている。
【0024】
ここで、位置決め突起11の数は、複数であればよく、製品性能に影響が出ない程度の数までとする。また、各位置決め突起11が接触する案内レール11の外周面は、転動体転動溝2a以外の外周面であればよく、前述した例に限定されない。各位置決め突起11を転動体転動溝2aに接触させる位置に配置すると、転動体転動溝2aに損傷を与え、製品性能に影響が出ると考えられる。また、各位置決め突起11の突出高さは、案内レール2の外周面とサイドシール部材10の内周面との間の隙間量δと同じ大きさである。
【0025】
また、各位置決め突起11は、サイドシール部材10と一体に形成され、例えば熱可塑性樹脂などの樹脂によって形成される。サイドシール部材10が金属製の場合には、各位置決め突起11のみを樹脂で成形し、接着剤でサイドシール部材10の内周面に接着したり、あるいは金属製のサイドシール部材10をインサート成形することによって位置決め突起11を設ければよい。
【0026】
ここで、図5に示すように、複数の位置決め突起11の案内レール2の外周面に接触する部分の軸方向に沿う合計長さL(図5には、案内レール2の外周面のうち上側の転動体転動溝2aのやや上方の外周面に接触する部分の位置決め突起11の断面のみ示しているが、他の3つの位置決め突起11についても、同様に、サイドシール部材10の内周面のうち軸方向最外側の位置に設けられているので、複数の位置決め突起11の案内レール2の外周面に接触する部分の軸方向に沿う合計長さはLとなる)は、サイドシール部材10の軸方向に沿う厚さTよりも短い。このため、図6に示すように、複数の位置決め突起11の案内レール2に接触する部分の軸方向に沿う合計長さLがサイドシール部材10の軸方向に沿う厚さTと等しいか、あるいは大きい場合と比較して案内レール2との接触面積が小さくなり、位置決め突起11と案内レール2との摩擦力の増大を防ぐことができる。
【0027】
なお、位置決め突起11の軸方向の位置は、図5に示したサイドシール部材10の内周面のうち軸方向最外側の位置に限るものではなく、サイドシール部材10の内周面の範囲内であればどこでもよく、例えば、図7に示すように、位置決め突起11をサイドシール部材10の内周面の軸方向中央部に位置させてもよい。
【0028】
次に、サイドシール部材10の組み付け方法について説明すると、この組み付けに際しては、サイドシール部材10と一体に設けられた位置決め突起11を案内レール2の外周面に接触させた状態でサイドシール部材10をスライダ3の軸方向端部に取付ねじ12により取り付ければよい。これにより、案内レール2の外周面に対して所定の隙間量δを確保した状態でサイドシール部材10をスライダ2の軸方向端部に取り付けることができ、非接触式のサイドシール部材10の組み付け作業を簡単に行うことができる。このため、サイドシール部材10の組み付けの際に、従来のようなシムを使用する必要はなく、サイドシール部材10の組み付けに伴って案内レール2を傷つけてしまうおそれはない。
また、複数の位置決め突起11の各々が樹脂製であるので、サイドシール部材10を組み付けるときに位置決め突起11が案内レール2に強く当たっても金属製の案内レール2が傷つくことはない。また、サイドシール部材10を組み付けた後、スライダ10が案内レール2の軸方向に沿って移動する際にも、案内レール2と接触している位置決め突起11が樹脂製であり、案内レール2が傷つくことはない。
【0029】
次に、図8を参照して、位置決め突起の別の変形例について説明する。図5に示した位置決め突起11は、サイドシール部材10の内周面のうち軸方向最外側の位置にのみ設けられているが、図8に示す位置決め突起11は、サイドシール部材10の内周面の軸方向に沿って複数配置されている点で異なる。
ここで、位置決め突起11の軸方向に沿う配置ピッチは、一定であっても不定であってもよい。また、位置決め突起11の数は、図8に示す例では、3つ設けられているがこれに限らない。更に、各位置決め突起11の案内レール2の外周面に接触する部分の形状は、案内レール2の外周面に接触する形状であればよく、矩形や円形であってもかまわない。
【0030】
なお、この軸方向に沿って配置された複数の位置決め突起11の案内レール2の外周面に接触する部分の軸方向に沿う合計長さ(L1+L2+L3)は、サイドシール部材10の軸方向に沿う厚さTよりも短い。このため、図6に示すように、複数の位置決め突起11の案内レール2に接触する部分の軸方向に沿う合計長さLがサイドシール部材10の軸方向に沿う厚さTと等しいか、あるいは大きい場合と比較して案内レール2との接触面積が小さくなり、位置決め突起11と案内レール2との摩擦力の増大を防ぐことができる。
【0031】
また、図8に示したサイドシール部材10の組み付けに際しても、サイドシール部材10と一体に設けられた複数の位置決め突起11を案内レール2の外周面に接触させた状態でサイドシール部材10をスライダ3の軸方向端部に取付ねじ12により取り付ければよい。これにより、案内レール2の外周面に対して所定の隙間量δを確保した状態でサイドシール部材10をスライダ2の軸方向端部に取り付けることができ、非接触式のサイドシール部材10の組み付け作業を簡単に行うことができる。このため、サイドシール部材10の組み付けの際に、従来のようなシムを使用する必要はなく、サイドシール部材10の組み付けに伴って案内レール2を傷つけてしまうおそれはない。
【符号の説明】
【0032】
1 直動案内装置
2 案内レール
2a 転動体転動溝
2b ボルト挿通孔
3 スライダ
4 スライダ本体
4a 袖部
5 エンドキャップ
10 サイドシール部材
10a 基板部
10b 側板部
10c ねじ孔
11 位置決め突起
12 取付ねじ
δ サイドシール部材と案内レールとの間の隙間量
L 位置決め突起の案内レールに接触する部分の軸方向に沿う合計長さ
T サイドシール部材の軸方向に沿う厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる転動体転動溝を有する案内レールと、該案内レールの前記転動体転動溝に対向する転動体転動溝を有し、これらの両転動体転動溝間に挿入された多数の転動体の転動を介して軸方向に沿って相対移動可能に前記案内レールに跨架されたスライダと、前記スライダの軸方向端部に前記案内レールに対して所定の隙間量を設けて取り付けられたサイドシール部材とを備えた直動案内装置であって、
前記サイドシール部材は、その内周面に前記案内レールに接触する複数の位置決め突起を備え、前記複数の位置決め突起の前記案内レールに接触する部分の前記軸方向に沿う合計長さが前記サイドシール部材の前記軸方向に沿う厚さよりも短いことを特徴とする直動案内装置。
【請求項2】
前記複数の位置決め突起の各々が樹脂製であることを特徴とする請求項1記載の直動案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−219838(P2012−219838A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83070(P2011−83070)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】