説明

直打用アスコルビン酸ナトリウム顆粒の製造方法

【課題】実質的にアスコルビン酸ナトリウムと糖類のみからなり、結合性、打錠性または流動性に優れ、かつ製造時に着色や変色を起こさない直打法に適した直打用アスコルビン酸ナトリウム顆粒を、工業的に有利に製造可能な製造方法を提供する。
【解決手段】アスコルビン酸ナトリウムと糖類を99.5:0.5〜90.0:10.0の質量比で、含水エチルアルコールを散布または噴霧しながら高速攪拌混合して造粒することにより、直打用アスコルビン酸ナトリウム顆粒を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、健康食品及び食品等に用いられる直打用アスコルビン酸ナトリウム顆粒の製造方法に関する。より詳細には、特に、糖類が配合されることにより、直打法による打錠の際に錠剤の結合性及び硬度を高めることのできる直打用アスコルビン酸ナトリウム顆粒の製造方法、及び該アスコルビン酸ナトリウム顆粒を用いた錠剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品、健康食品としてアスコルビン酸ナトリウムを配合した錠剤を製造する際には、でん粉を結合剤としたアスコルビン酸ナトリウム直打用顆粒が用いられてきた。しかし、近年ビタミンメーカーの世界戦略による統合などにより、このような利便性に優れた原料素材の国内での供給が絶たれてしまった。
そこで直打法(直接粉末圧縮打錠法)に変えて、アスコルビン酸ナトリウムを他の配合組成物とともに一括して顆粒にして打錠する方法(顆粒圧縮打錠法)を採用することが考えられたが、この方法で配合組成物を圧縮して錠剤にするには、押出造粒法などの湿式造粒法や流動層造粒コーティング法によって予め顆粒状の造粒物をつくる工程が必須であり、直打法にくらべて設備と工程数が多くなり、工程管理が複雑になるなどの問題がある。また、湿式顆粒圧縮法は、打錠に適した顆粒ができるという利点があるが、アスコルビン酸ナトリウムを主成分にした錠剤を製造する場合、顆粒製造のために添加する水分によってアスコルビン酸ナトリウムが他の成分と相互反応を起こして酸化されやすくなり、さらに着色・変色するなどの問題がある。
【0003】
他方、従来の直打用アスコルビン酸ナトリウム顆粒の製造方法としては、例えば特許文献1には、約90%ないし97%のアスコルビン酸ナトリウムおよび約3%ないし10%のあらかじめゼラチン化したでん粉を含有する混合物を練合法により顆粒化する方法が記述されている。また、特許文献2には98.5%ないし99.5%のL−アスコルビン酸ナトリウムに糊化したでん粉溶液を噴霧しながら流動層造粒装置で造粒するL−アスコルビン酸ナトリウムの顆粒、その製造法及び含有錠剤について記述されている。
これらの製造方法はいずれも糊化(ゼラチン化)したでん粉を結合剤に使用する方法であるが、糊化のためには多量の水分を必要とし、また良好な顆粒を得るには、常に均質な粘度の糊を得るために厳密な加熱条件の管理が必要となる。さらに、水分を除去する乾燥の際の加熱によるアスコルビン酸の分解や着色を防止するための細心の注意が必要である。すなわち、従来の直打用アスコルビン酸ナトリウム顆粒の製造に用いられている流動層造粒コーティング法の場合は、でん粉の種類によって糊化温度が異なり、さらに噴霧する糊化でん粉溶液の濃度や温度、噴霧量などを精密に調整することが要求されるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭46−31995号公報
【特許文献2】特公昭61−21526号(特開昭57−59803号)公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、近年供給が絶たれた直打用アスコルビン酸ナトリウム顆粒に代替する直打用アスコルビン酸ナトリウム顆粒を提供することであり、実質的にアスコルビン酸ナトリウムと糖類のみからなり、結合性、打錠性または流動性に優れ、かつ製造時に着色や変色を起こさない直打法に適した直打用アスコルビン酸ナトリウム顆粒を、工業的に有利に製造可能な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、実質的にアスコルビン酸ナトリウムと糖類のみからなる、結合性や流動性に優れ、かつ製造時に着色や変色を起こさない直打用アスコルビン酸ナトリウム顆粒の新規製造法を確立し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、
〔1〕 アスコルビン酸ナトリウムと糖類とを、99.5:0.5〜90.0:10.0の質量比で、含水エチルアルコールを散布または噴霧しながら高速攪拌混合して造粒することを特徴とする、直打用アスコルビン酸ナトリウム顆粒の製造方法、
〔2〕 アスコルビン酸ナトリウムが粉末であり、その粒子径が180μmより小さいものである〔1〕に記載の製造方法、
〔3〕 糖類がデキストリンまたはその他の可溶性でん粉の単独または2種以上の組み合わせである〔1〕に記載の製造方法、
〔4〕 糖類のDEが2.0〜10.0である〔1〕に記載の製造方法、
〔5〕 攪拌羽根と粉砕羽根を具備する高速攪拌造粒装置を用いて、高速攪拌混合して造粒することを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の製造方法、
〔6〕 攪拌羽根の回転速度が20〜250rpmであり、かつ粉砕羽根の回転速度が500〜3000rpmである〔5〕に記載の製造方法、
〔7〕 造粒後、さらに通気式乾燥機を用いて乾燥を行う〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の製造方法、
〔8〕 乾燥後、さらに目開き1000μm〜150μmの篩を用いて整粒してカサ比重が0.51〜0.73g/mlの顆粒を得る〔7〕に記載の製造方法、
〔9〕 含水エチルアルコールのエチルアルコール含量が10質量%〜50質量%で、含水エチルアルコールの散布量または噴霧量がアスコルビン酸ナトリウムと糖類の混合物に対して5質量%〜20質量%である〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の製造方法、および
〔10〕 アスコルビン酸ナトリウムと糖類とを、99.5:0.5〜90.0:10.0の質量比で、含水エチルアルコールを散布または噴霧しながら高速攪拌混合して造粒することによりアスコルビン酸ナトリウム顆粒を製造し、得られたアスコルビン酸ナトリウム顆粒を他の薬効成分および/または栄養成分とともに直接に打錠することを特徴とする錠剤の製造方法、
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法によれば、結合性、打錠性または流動性に優れ、かつ製造時に着色や変色を起こさず、直打法(直接粉末圧縮打錠法)において優れた打錠性を有する直打用アスコルビン酸ナトリウム顆粒を工業的に有利に製造することができる。また、本発明の製造方法により得られた直打用アスコルビン酸ナトリウム顆粒は、打錠性のみならず、他成分との結合性に優れているため、このアスコルビン酸ナトリウム顆粒を直打法によって打錠すると高硬度の錠剤が得られる。また、本発明の製造方法によれば、実質的にアスコルビン酸ナトリウムと糖類からなる直打法による打錠が可能な顆粒を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の直打用アスコルビン酸ナトリウム顆粒の製造方法は、アスコルビン酸ナトリウムと糖類とを、99.5:0.5〜90.0:10.0の質量比で、含水エチルアルコールを散布または噴霧しながら高速攪拌混合して造粒することを特徴とする。
【0010】
本発明で原料として用いるアスコルビン酸ナトリウムは、本発明の目的を阻害しない限り限定されず、微結晶状、粉末状などいずれの形態で用いてもよいが、好ましくは微粉末である。粒子径は約180μm以下であることが好ましい。得られる顆粒の収率の点から、原料として用いるアスコルビン酸ナトリウムは粒子径が180μm〜100μmの範囲内のものが80重量%以上である粉末であることが好ましい。
アスコルビン酸ナトリウムと糖類の質量比は約99.5:0.5〜約90.0:10.0であるが、好ましくはアスコルビン酸ナトリウムと糖類の比を約99.1:0.9〜約95.0:5.0にすることで、得られる顆粒の流動性が優れたものになる。
【0011】
本発明で原料として用いる糖類は、エチルアルコール濃度が約10%〜約50%の含水エチルアルコールに溶解し得る糖類なら種類を問わない。好ましい糖類としては、デキストリンまたはその他の可溶性でん粉等が挙げられる。デキストリンとしては、例えば、商品名「パインデックス#100(松谷化学株式会社製)」、「パインデックス#3(松谷化学株式会社製)」、「パインデックス#2(松谷化学株式会社製)」などが用いられる。その他の可溶性でん粉としては、α−化でん粉等が挙げられ、例えば、商品名「アミコールKF(日澱化学株式会社製)」、「アミコールFW(日澱化学株式会社製)」、商品名「ラスターゲンFK(日澱化学株式会社製)」、商品名「日食マプス(日本食品化工株式会社製)」、商品名「コルフロ67(日本NSC株式会社製)」などが用いられる。
中でも、少量の含水エチルアルコールに溶解して少量でアスコルビン酸ナトリウム粒子を強固に結合できる糖類が好ましい。具体的にはα−化でん粉等の可溶性でん粉よりもDEの小さいデキストリン(商品名:パインデックス#100、DE:2.0〜5.0:松谷化学株式会社製)が適している。
ここで、DE(Dextrose Equivalent)とは糖の加水分解の程度を表す指標で、次のように定義される。
DE(糖の加水分解程度)=直接還元糖(グルコースとして表示)÷固形分×100
この値の大きいものは、通常、低分子、低粘度で、甘味及び反応性が強く、アミノ酸や蛋白質などのアミノ基を有する物質とアミノカルボニル反応を起し易い。本発明の原料として用いられる糖類はこのDEが約2.0〜10.0の範囲であることが好ましく、約2.0〜7.0の範囲であることがより好ましい。
【0012】
本発明で用いる含水エチルアルコールの濃度はエチルアルコール濃度が10%(質量%)から50%(質量%)である。含水エチルアルコールを散布または噴霧する量は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定しないが、アスコルビン酸ナトリウムと糖類の混合物に対して約5質量%〜約20質量%の範囲が好ましく、約5質量%〜10質量%の範囲がより好ましい。
【0013】
アスコルビン酸ナトリウムと糖類とを高速攪拌混合して造粒する方法としては、例えば攪拌羽根と粉砕羽根を具備する高速攪拌造粒装置(ハイスピードミキサー)を用いる方法が挙げられる。前記高速攪拌装置における攪拌羽根(アジテーター)の回転速度は約20〜250rpmであるのが好ましく、約25〜75rpmであるのがより好ましい。粉砕羽根(チョッパー)の回転速度は、約500〜3000rpmであるのが好ましい。攪拌羽根の回転速度が約20〜250rpmであり、かつ粉砕羽根の回転速度が約500〜3000rpmであるのが好ましい。
アジテーターおよびチョッパーの回転速度をそれぞれ、このような好ましい範囲内の高速回転速度とすることで、得られる顆粒は、直打法による打錠性がよりすぐれたものになる。さらに、打錠された場合の錠剤の硬度はより高いものが得られる。
また、攪拌時間は約3分間〜15分間の範囲であることが好ましく、約5分間〜10分間の範囲であることがより好ましい。
【0014】
また、本発明の製造方法では、含水エチルアルコールを散布または噴霧しながら、アスコルビン酸ナトリウムを高速攪拌混合するので、前記高速攪拌造粒装置は、散布または噴霧する装置をさらに備えているのが好ましい。前記散布または噴霧する装置は、本発明の目的を阻害しない限り限定されず、公知の装置であってよい。
前記高速攪拌造粒装置の好適な例として、例えば、ハイスピードミキサー(深江パウテック株式会社製)などが挙げられる。
【0015】
造粒後、得られたアスコルビン酸ナトリウム顆粒は湿顆粒であるので、この湿顆粒を乾燥工程に付して、アスコルビン酸ナトリウム顆粒の水分量を調節するのが良い。乾燥手段としては、特に限定されず、例えば、通気式乾燥機、加熱通風(熱風)乾燥、減圧加熱乾燥、流動層乾燥などが挙げられる。中でも、好ましくは短時間にエチルアルコールと水分を除去でき、アスコルビン酸ナトリウムの着色や変色が防止できる点から通気式乾燥機、加熱通風(熱風)乾燥機を用いる手段が挙げられる。
乾燥によって調節されるアスコルビン酸ナトリウム顆粒の水分量は、好ましくは約1.0%以下である。アスコルビン酸ナトリウム顆粒の水分量を約1.0%以下にすることによってアスコルビン酸ナトリウム顆粒は、湿度を遮断した容器中に室温で1年間顆粒を放置されても着色することもなく、ケーキングやブロッキングも起こさない。また顆粒の流動性や打錠性も良好に保つことができる。
【0016】
また、乾燥後、水分量の調節されたアスコルビン酸ナトリウム顆粒を、常法に従い、整粒して粒子径を揃えるのがよい。整粒手段は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、とりわけ、篩(好ましくは、目開きが約1000μm〜約150μmの呼び寸法の篩)を用いて、アスコルビン酸ナトリウム顆粒を篩過してカサ比重が約0.51g/ml〜約0.73g/mlの顆粒に揃えるのが好ましい。
【0017】
本発明の製造方法で得られたアスコルビン酸ナトリウム顆粒は、直打用に用いられる。より具体的にはアスコルビン酸を主剤にした錠剤は服用時にアスコルビン酸の酸味を強く感じ、人によってはこれを強く嫌う場合があるので、アスコルビン酸ナトリウムと併用することによってアスコルビン酸含量を下げることなく酸味を和らげた錠剤を得ることができる。この場合、アスコルビン酸ナトリウム顆粒を、常法に従い、アスコルビン酸顆粒や他の錠剤成分とともに直打法により打錠すると、高硬度の錠剤を容易に得ることができる。
【0018】
また、本発明の製造方法で得られたアスコルビン酸ナトリウム顆粒は、他の薬効成分または栄養成分とともに直接に打錠することができる。
上記成分以外にも本発明の目的を損なわない範囲で各種添加物を用いることができる。
これらの成分は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【実施例】
【0019】
以下、実験例および実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明する。また、「○%含水エチルアルコール」とはエチルアルコールの濃度が○質量%である含水エチルアルコールを示す。
【0020】
(実験例1)
糖類としてパインデックス#100(松谷化学株式会社製)を用い、アスコルビン酸ナトリウム顆粒を作製した。即ち、アスコルビン酸ナトリウム(扶桑化学工業製)粉末(粒子径150μm以下)99部とパインデックス#100を1部の割合で混合した後、この混合物2500gをハイスピードミキサー(FS型、深江パウテック株式会社製)で50%含水エチルアルコール125gを噴霧しながらアジテーターの回転速度を55rpm、チョッパーの回転速度を2000rpmの条件で10分間混合して湿混合物を得た。この湿混合物をトレイに2cm厚さに広げて通気式乾燥機(600型、不二パウダル製)で60℃の温風で45分間乾燥して水分0.8%以下になったことを確認した後、16メッシュの篩(目開き1000μm)で整粒して顆粒を得た。
この顆粒について外観(顆粒の形状)とカサ比重を測定して顆粒の評価を行い、供給が絶たれた従来品と比較した。この結果を表1に示す。
【0021】
【表1】

【0022】
以上の結果、糖類としてパインデックス#100を使用して製造したアスコルビン酸ナトリウム顆粒は、目標とした従来品のカサ比重及び顆粒外観と同等であることがわかった。
【0023】
(実験例2)
アスコルビン酸ナトリウム(扶桑化学工業製)粉末(粒子径150μm以下)99部とパインデックス#100(松谷化学株式会社製)を1部の割合で混合した後、この混合物2500gをハイスピードミキサー(FS型、深江パウテック株式会社製)を用いて表2に示す各種濃度及び添加量の含水エチルアルコールを噴霧して実験例1の条件で10分間混合して各混合物を得た。これらの各混合物をトレイに2cm厚さに広げて通気式乾燥機(600型、不二パウダル製)で60℃の温風で45分間乾燥した後、16メッシュの篩(目開き1000μm)で整粒して各顆粒を得た。
これらの各顆粒の水分は0.5%以下で、それぞれについてカサ比重を測定して顆粒の評価を行った。この結果を表2に示す。
【0024】
【表2】

【0025】
以上の結果、添加水分量が3.5部から7.0部の範囲でカサ比重及び顆粒外観とも目標とする顆粒が得られた。
【0026】
(実験例3)
アスコルビン酸ナトリウム(扶桑化学工業製)粉末(粒子径150μm以下)とパインデックス#100(松谷化学株式会社製)を表3に示す試料−7から試料−11の割合で混合した後、この各混合物2,500gをハイスピードミキサー(FS型、深江パウテック株式会社製)を用いて30%の含水エチルアルコールを粉体に対して250gを10分間かけて噴霧しながら実験例1と同様の条件で混合して各種混合物を得た。これらの各種混合物をトレイに2cm厚さに広げて通気式乾燥機(600型、不二パウダル製)で60℃の温風で45分間乾燥した後、16メッシュの篩(目開き1000μm)で整粒して各顆粒を得た。
これらの各顆粒についてカサ比重を測定して顆粒の評価を行った。この結果を表3に示す。
【0027】
【表3】

【0028】
以上の結果、パインデックス#100とアスコルビン酸ナトリウムの比率が1:99から10:90の範囲で良好な顆粒が得られた。
【0029】
(実施例1)
粉砕して80メッシュ(目開き180μm)で篩過したアスコルビン酸ナトリウム79.2kgとパインデックス#100 0.8kgをハイスピードミキサー(FS.GS.200型、深江工業製)に仕込み、ついで30%アルコール水溶液(エチルアルコール2.4kgと水5.6kg)8.0kgを10分間かけて噴霧しながら混合した。(アジテーター:55rpm、チョッパー:2,000rpm)
混合後、得られた湿顆粒をトレイに取り出して2cm厚さに広げ、通気式乾燥機(600型、不二パウダル製)で70℃の温風にて1時間乾燥した。乾燥した顆粒は水分0.23%(島津電子式水分計、EB−330MOC,島津製作所製)であった。16メッシュ(目開き1000μm)の篩(円形振動篩過機、TM−70、徳寿工作所製)でふるって78.2kgの顆粒製品を得た。この顆粒のカサ比重は0.53g/mlであった。
【0030】
(実施例2)
実施例1で得たアスコルビン酸ナトリウム顆粒2.86kg、ビタミンC顆粒−97(BASFジャパン製)2.6kg、エリスリトール・ソルビトール直打用顆粒(アリメント工業製)13.2kg、オレンジフレーバー粉末400g、ビタミンB2酪酸エステル(BASFジャパン製)40g、アスパルテーム(味の素製)100g、DKエステルF−20W(第一工業製薬製)800gをV形混合機で均一に混合した。この混合原料を用いて直径15mm、1錠あたり1000mgのビタミンCチュアブル錠を打錠(打錠機:HT−AP45−DU、畑鉄工所製、打錠圧は2.5トン)したところ、スティッキングやキャッピング等の打錠障害を起こすことなく順調に打錠が可能であった。この、錠剤の硬度を錠剤硬度計(木屋式デジタル硬度計、KUT−20N、藤原製作所製)で測定した結果、硬度は13.8kgであった。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の製造方法によって得られるアスコルビン酸ナトリウム顆粒は、医薬品、健康食品及び食品等の原料素材として有用である。この方法で得られるアスコルビン酸ナトリウム顆粒は直接粉末圧縮打錠法で優れた打錠性を有する。すなわち、他の成分との結合性が優れ、医薬品、健康食品及び食品などに有用な高硬度の錠剤が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスコルビン酸ナトリウムと糖類とを、99.5:0.5〜90.0:10.0の質量比で、含水エチルアルコールを散布または噴霧しながら高速攪拌混合して造粒することを特徴とする、直打用アスコルビン酸ナトリウム顆粒の製造方法。
【請求項2】
アスコルビン酸ナトリウムが粉末であり、その粒子径が180μmより小さいものである請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
糖類がデキストリンまたはその他の可溶性でん粉の単独または2種以上の組み合わせである請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
糖類のDEが2.0〜10.0である請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
攪拌羽根と粉砕羽根を具備する高速攪拌造粒装置を用いて、高速攪拌混合して造粒することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
攪拌羽根の回転速度が20〜250rpmであり、かつ粉砕羽根の回転速度が500〜3000rpmである請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
造粒後、さらに通気式乾燥機を用いて乾燥を行う請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
乾燥後、さらに目開き1000μm〜150μmの篩を用いて整粒してカサ比重が0.51〜0.73g/mlの顆粒を得る請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
含水エチルアルコールのエチルアルコール含量が10質量%〜50質量%で、含水エチルアルコールの散布量または噴霧量がアスコルビン酸ナトリウムと糖類の混合物に対して5質量%〜20質量%である請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
アスコルビン酸ナトリウムと糖類とを、99.5:0.5〜90.0:10.0の質量比で、含水エチルアルコールを散布または噴霧しながら高速攪拌混合して造粒することによりアスコルビン酸ナトリウム顆粒を製造し、得られたアスコルビン酸ナトリウム顆粒を他の薬効成分および/または栄養成分とともに直接に打錠することを特徴とする錠剤の製造方法。

【公開番号】特開2010−248108(P2010−248108A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98191(P2009−98191)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000236573)浜理薬品工業株式会社 (18)
【出願人】(000101651)アリメント工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】