説明

直接作用型および可逆的P2Y12阻害剤の静脈および経口投与

本発明は、式:


で示される化合物を単独で、またはアスピリンまたは血栓溶解剤であってよい第2の薬剤と組み合わせて、そのような処置を必要とするヒトの患者に投与することによる、ヒトの患者における血小板凝集の迅速で可逆的な阻害のための方法および組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、その全体が本明細書で引用される、2007年5月2日に出願された米国特許出願第60/915,649号、および2007年7月3日に出願された米国特許第60/947,921号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
血小板の活性化および凝集は、急性冠動脈症候群(ACS)の発症において重要な役割を担っている。これらの症候群の治療のための最適な抗血栓の手法は未だ明らかにはなっていない(Gluckman TJ, SachdevM, Schulman SP, Blumenthal RS. A simplified approach to the Management of Non-ST-segment elevation acute coronary syndromes. JAMA.2005;293:349-357を参照)。
【0003】
血小板から遊離したADPは、血小板活性化、血小板凝集シグナルの増幅およびプロトロンビン分子の分泌につながり、血栓プロセスが進行する。このプロセスを媒介する血小板上のADP受容体はP2Y12受容体であり、クロピドグレル(血小板活性化におけるP2Y12受容体についての概説はDorsam RT et al., J Clin Invest. 2004 Feb;113(3):340-5を参照)の標的である。クロピドグレルは、その幅広い用途にもかかわらず、作用発現が遅く、血小板凝集の阻害が限定的で、可逆的でなく、一貫性に欠ける代謝のに起因する患者間でのおおきな変動があることから、冠動脈症候群の種々のニーズに対応するに必要な汎用性に欠ける(Gurbel, P. A., Bliden, K. P., Hiatt, B. L. & O'Connor, C. M. (2003). Clopidogrel for coronary stenting: response variability, drug resistance,および the effect of pretreatment platelet reactivity. Circulation 107, 2908-13; Serebruany, V. L., Steinhubl, S. R., Berger, P. B., Malinin, A. I., Bhatt, D. L. & Topol, E. J. (2005). Variability in platelet responsiveness to Clopidogrel among 544 individuals. J Am Coll Cardiol 45, 246-51; and Matetzky, S., Shenkman, B., Guetta, V., Shechter, M., Bienart, R., Goldenberg, I., Novikov, I., Pres, H., Savion, N., Varon, D. & Hod, H. (2004). Clopidogrel resistance is associated with increased risk of recurrent atherothrombotic events in patients with acute myocardial infarction. Circulation 109, 3171-5).
【0004】
ACSにおける種々の満たされていないニーズに対応する治療アプローチが早急に必要である。本発明はこれらのニーズを満たす。本発明は、ACSにおけるADP惹起血小板凝集の迅速で可逆的な阻害のための方法および組成物を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、式Iで示される化合物およびその製薬的に許容し得る塩が、ヒトの患者におけるADP惹起血小板凝集の、可逆的で作用発現が速い阻害剤であるという発見に関する。
【化1】

【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明は、上記式の化合物を含有する組成物および上記式の化合物を用いて、そのような阻害を必要とするヒトの患者におけるADP惹起血小板凝集の作用発現が速く可逆的な阻害をもたらす方法を提供する。これらの方法に用いるための化合物および組成物は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアのカリウムおよびナトリウム塩を含む上記式の化合物の結晶性の固体およびアモルファス形態を含有する組成物が含まれる。
【0007】
上記のいくつかの態様において、患者は、急性心筋虚血、急性心筋梗塞、および狭心症からなる群から選択される急性冠動脈症候群(ACS)を患っている。他の態様では、患者は、末梢または大脳動脈閉塞からなる群から選択される心臓血管の血栓性疾患を患っている。ある態様では、患者は、血栓性脳卒中または他の急性の血栓性イベントを患っている。
【0008】
上記のいくつかの態様において、患者は、STEMI(ST部分上昇型心筋梗塞)のACS患者である。そのような患者においては、梗塞を起こした血管の早期の再潅流が、改善された結果に関連する。これらの態様において、治療は、ST部分上昇を解消するおよび/または血栓を不安定化する、または血栓の形成もしくは伝搬を阻害する。
【0009】
更なる態様において、本発明は、本発明で用いられる化合物がアスピリンと相乗的に阻害し血小板凝集を逆転させるという発見に関する。従って、いくつかの態様では、アスピリン治療とともに、本発明で用いられる化合物を患者に投与する。ある態様では、本発明で用いられる組成物は、アスピリンと共に製剤化される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウムおよび/またはナトリウム塩の構造を示す。
【図2A】[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩二水和物のA型の結晶性固体の粉末X線回折(XRPD)を示す。
【図2B】ピーク情報を表示した、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2、4−ジオキソ−1、4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩二水和物のA型の結晶性固体のXRPDを示す。
【図3A】[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩のB型の結晶性固体のXRPDを示す。
【図3B】ピーク情報を表示した、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩のB型の結晶性固体のXRPDを示す。
【図4】[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアナトリウム塩のアモルフェス形態のXRPDを示す。
【図5】[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩二水和物のA型の結晶性固体のフーリエ変換赤外分光法(FT−IR)を示す。
【図6】[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩二水和物のB型の結晶性固体のフーリエ変換赤外分光法(FT−IR)を示す。
【図7】[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアナトリウム塩のアモルファス形態のFT−IRを示す。
【図8】[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩二水和物のA型の結晶性固体の1H−NMRを示す。
【図9】[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩のB型の結晶性固体の1H−NMRを示す。
【図10】[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアナトリウム塩のアモルファス形態の1H−NMRを示す。
【図11】[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩二水和物のA型の結晶性固体の、重量法による蒸気収着分析(GVS)データを示す。
【図12A】[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩二水和物のB型の結晶性固体の重量法による蒸気収着分析(GVS)データを示す。GVS実験の完了後にサンプルを除去し、XRPDにより再試験した。
【図12B】図12Bの結果は、GVS実験の間、相変化は起きなかったことを示した。約5.4°2θでの強度の変化は好ましい配向効果である。
【図13】[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアナトリウム塩のアモルファス形態の重量法による蒸気収着分析(GVS)データを示す。
【図14】[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩二水和物のA型の結晶性固体の示差走査熱量測定(DSC)データを示す。
【図15】[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩二水和物のA型の結晶性固体のTGAデータを示す。
【図16】[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩のB型の結晶性固体のDSCデータを示す。
【図17】[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩のB型の結晶性固体のTGAデータを示す。
【図18】[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアナトリウム塩のアモルファス形態のDSCデータを示す。
【図19】[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアナトリウム塩のアモルファス形態のTGAデータを示す。
【図20】式Iの化合物の単回液体経口用量の効果の忍容性並びに薬物動態(PK)および薬力学(PD)効果、および健常人におけるアスピリンと化合物の薬効学的相互作用の評価に用いる実験目的と計画を記載したものである。
【図21】被験者における忍容性と安全性の結果をまとめたものである。
【図22】式Iの化合物の平均血漿レベルの経時的変化を示す。
【図23】式IによるADP惹起血小板凝集の阻害を示す4つのパネルを示す。(A)最大振幅の凝集および6分での凝集の説明(B)6分で測定したADP惹起血小板凝集の用量依存的阻害に関するExvivoデータ(平均+/−SEM)(C)最大振幅のADP惹起血小板凝集の用量依存的阻害に関するExvivoデータ(平均+/−SEM)(D)投与後24時間でのADP惹起血小板凝集の可逆性に対するExvivoデータ
【図24】測定された血漿濃度の関数として6分でのADP惹起血小板凝集についてexvivoで測定したPK−PDの関係を示す。
【図25】コラーゲン惹起血小板凝集の阻害に対するアスピリンおよび式Iの化合物の効果を示す。
【図26】(A)リアルタイム血栓プロファイラー(RTTP)設定;(B)経時的なアッセイの出力;および(C)経時的な血栓形成を示す。
【図27】プラセボ、式Iの化合物10mg,30mgまたは100mgまたはアスピリン(325mg)と本化合物30mgについてRTTPを用いたexvivo血栓形成データを示す。
【図28】式Iの化合物の静脈内注入の忍容性並びに薬物動態(PK)および薬力学(PD)効果を評価するための実験目的および計画を記載したものである。
【図29】ヒトの被検者に、1,3,10,20および40mgの用量での化合物の静脈内注入後に試験した式Iの化合物の経時的な血漿内濃度を示す。
【図30】1、3、10、20および40mgの用量での化合物の静脈内注入後の経時的なADP惹起の遅い(late)血小板凝集の阻害を示す。
【図31】本化合物によるADP惹起血小板凝集の阻害に対する濃度依存性を示す。
【図32】1、3、10、20および40mgの用量で式Iの化合物を静脈内注入したヒトの被検者における、本化合物の血栓の用量依存的阻害を示す。
【図33】出血時間に対する式Iの化合物の効果が容易に可逆的であることを示す。
【図34】40mgの用量での静脈内注入について、8時間での血栓形成および出血時間に対する式Iの化合物の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、本発明に従って用いるための化合物が、ヒトの被検者におけるADP惹起血小板凝集の迅速に作用する可逆性の阻害剤であるという発明者の発見に関する。これらの特性により、本化合物は、急性冠動脈症候群の処置および/または外科手術に先だって血栓形成を一時的に抑制する必要のある患者の処置において、または出血の恐れまたは急性の出血を伴う他の処置(例えば、PCI手術、ステント挿入、関節置換術)においてとりわけ有用である。本発明はさらに、本化合物がアスピリンと相乗的に作用して血小板凝集を阻害または逆転させ得るという発見に関する。本発明にしたがって用いるための化合物は、PCT出願PCT/US06/43093(本明細書の一部を構成する)にも開示されている。
【0012】
第1の態様において、本発明は、ヒトの患者においてADP惹起血小板凝集を阻害する方法であって、必要とする患者に、式:
【化2】

で示される化合物および少なくとも1つの製薬的に許容し得る賦形剤または担体を含んでなり、静脈内投与用に製剤化された医薬組成物をその患者に静脈内投与することによる、方法を提供する。ある態様では、本化合物を1〜50mg含有する単位投与形態として組成物を製剤化する。他の態様では、単位投与剤型は、本化合物を5〜40mg、10〜30mg、15〜25mg、25〜45mg、20mg、30mg、40mg、または50mg含有する。ある態様では、本発明は、式Iの化合物または式Iの化合物の製薬的に許容し得る誘導体を含んでなる医薬組成物を提供する。他の態様では、単位投与剤型は、5〜40mg、10〜30mg、15〜25mg、25〜45mg、20mg、30mg、40mgまたは50mgの化合物を誘導体として含有する。
【0013】
好ましい態様では、患者は急性冠動脈症候群を有する。別の態様では、患者は、個々にADP惹起血小板凝集の可逆的な阻害が必要である。例えば、患者は、投与の1、2、3、4または5日以内に出血を伴う外科手術または他の医療処置が必要であるかまたはその予定がある。
【0014】
ある態様では、組成物を静脈内注入または静脈内ボーラス投与により投与することができる。例えば、組成物をボーラスで投与する場合、1、2、3、4または5分以内に投与する。
【0015】
ある態様では、患者は、投与から8時間後に、抗血栓効果の減少(例えば、30,40,50,60%,または30〜70%を超える阻害)を長期間にわたり誘導し、投与から8時間後に出血に対する臨床的に有意の影響を及ぼさないi.v.用量で処置する。ある態様では、用量は、15〜60mg(例えば、15,20,25,30,3540,45または50mg)である。更なる態様では、投与は急性または反復のものであってよい。ある態様では、投与量は、投与から4〜8時間後の出血時間において臨床的に有意の変化を伴うことなく抗血栓効果をもたらす。
【0016】
ある態様では、静脈内治療は、患者におけるADP惹起血小板凝集または血栓の形成および/または伝搬を阻害し、および/または患者において存在する血栓を不安定化する。ある態様では、患者は、ST部分上昇型心筋梗塞を有し、治療により、ST上昇が解消する。
【0017】
ある態様では、患者は、治療上有効量の血栓またはACSを処置するための第2の薬剤で治療される。第2に薬剤としては、アスピリンまたは血栓溶解剤(ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)またはTKN等)が挙げられる。アスピリンは経口投与が可能である。第2の薬剤と組み合わせて投与する場合は、本発明で用いられる化合物の投与量は場合により減少してよい。アスピリンは本発明にしたがって用いるための化合物の前または後に投与することができる。
【0018】
好ましい態様では、実質的な程度のADP惹起血小板凝集阻害が組成物を投与した後、0.5、1、2、5分以内に患者において現れる。実質的である阻害の程度は少なくとも30%である。他の態様では、実質的である阻害の程度は、同じ種、年齢および性別の患者における投与用量、投与経路および処方について期待されるADP惹起凝集阻害の平均のexvivo測定にしたがって決定されるように、少なくとも50%、70%または90%である。ある態様では、阻害のパーセントは以下に記載するとおりおよび図23Aに示すとおり、6分で測定される血小板凝集の程度または最大凝集に従う。
【0019】
更なる態様では、本発明は、式:
【化3】

で示される化合物および少なくとも1つの製薬的に許容し得る賦形剤または担体を含んでなり、静脈内投与用に製剤化されている医薬組成物を提供する。ある態様では、組成物は1〜50mg、5〜40mg、10〜30mgまたは15〜25mgの化合物を含有する単位投与量を含んでなる。ある態様では、組成物は約10、20、30、40または50mgの化合物を含有する単位用量を含んでなる。ある態様では、式Iの化合物または式Iの化合物の製薬的に許容し得る誘導体を含んでなる医薬組成物を提供する。更なる態様では、単位用量は5〜40mg、10〜30mg、15〜25mg、25〜45mg、約20mg、約30mg、約40mgまたは約50mgの化合物を誘導体として含有する。
【0020】
更なる態様では、本発明は、式
【化4】

で示される化合物および少なくとも1つの製薬的に許容し得る賦形剤または担体を含有し、経口投与用に製剤化された医薬組成物を患者に経口投与することを含んでなる、そのような処置が必要なヒト患者におけるADP惹起血小板凝集阻害を阻害する方法を提供する。ある態様では、本発明は、式Iの化合物または式Iの化合物の製薬的に許容し得る誘導体を含んでなる医薬組成物を提供する。ある態様では、組成物は、1〜800mg、20〜200mg、50〜150mg、10〜50mgまたは20〜40mgの化合物または誘導体を含有する単位用量として製剤化される。ある態様では、組成物は、単位投与剤型であり、約30、50、75、100、125、150、175または200mgの化合物または誘導体としての化合物を含有する。
【0021】
ある態様では、患者は急性冠動脈症候群を有する。ある態様では、患者は本発明で用いられる化合物の静脈内用量を投与され、投与後または静脈内投与レジメにおいて投与後に経口投与レジメに移行中である。ある態様では、患者はADP惹起血小板凝集の可逆的な阻害を必要とする。例えば、患者は外科手術が予定されているか、または投与の1、2、3、4または5日以内に出血を伴う他の医療処置が予定されている。ある態様では、組成物は、固体、ゲル、半固体または液体として製剤化される。ある態様では、組成物は、錠剤、カプセル剤、または粉末剤である。ある態様では、患者はさらに血栓を予防または処置するために用いられる第2の薬剤で処置される。第2の薬剤としては、アスピリンまたはTPA,SK,またはTKNが挙げられる。アスピリンは経口投与することができる。患者はアスピリンを予め投与される。
【0022】
ある態様では、患者におけるADP惹起血小板凝集阻害の実質的な程度は、組成物を経口投与した後1または2時間以内に現れる。実質的である阻害の程度は少なくとも30%である。他の態様では、実質的である阻害の程度は、同じ種、年齢および性別の患者における投与用量、投与経路および処方について期待されるADP惹起凝集阻害の平均のexvivo測定にしたがって決定されるように、少なくとも50%、70%または90%である。ある態様では、阻害のパーセントは以下に記載するとおりおよび図23Aに示すとおり、6分で測定される血小板凝集の程度または最大凝集に従う。
【0023】
ある態様では、組成物の経口投与は、400〜4000ng/mlまたは700〜2000ng/mlまたは約1000ng/mlの範囲の化合物の平均血漿レベルを少なくとも6時間もたらす。ある態様では、経口投与レジメは、長期間にわたり、1日に1回、2回または3回である。ある態様では、経口投与レジメは、少なくとも200、400、600、800または1000ng/mlおよび3000ng/ml未満の平均24時間の薬物の血漿濃度をもたらす。
【0024】
ある態様では、経口処置は、患者におけるADP惹起血小板凝集または血栓の形成および/または伝搬を阻害および/または患者に存在する血栓を不安定化(destabilize)する。
【0025】
他の態様では、本発明は、式:
【化5】

および少なくとも1つの製薬的に許容し得る賦形剤または担体を含有し、経口投与用に製剤化された医薬組成物を提供する。ある態様では、組成物は、1〜800mg、20〜200mg、50〜150mg、10〜50mgまたは20〜40mgの化合物を含有する単位投与剤型として製剤化される。ある態様では、本発明は、式Iの化合物または式Iの化合物の製薬的に許容し得る誘導体を含有する医薬組成物を提供する。ある態様では、組成物は、1〜800mg、20〜200mg、50〜150mg、10〜50mgまたは20〜40mgの化合物を誘導体として含有する単位投与剤型として製剤化される。
【0026】
I.
定義
本発明に従いおよび本明細書に記載されるように、以下の用語は、特に記載しない限り、以下の意味を有するものと定義する。
【0027】
本明細書および請求の範囲において用いられる、単数形「a」、「an」および「the」は、その文脈が明確に指定していない限りは複数形も包含する。従って、「a」(または「an」)、「1またはそれ以上の」および「at least one」は、本明細書においては相互に交換可能なように用いることができる。
【0028】
「抗凝固剤(Anticoagul antagents)」または「抗凝固剤(anticoagulants)」は血餅の形成を阻止する薬剤である。抗凝固剤の例としては、トロンビン、第IXa因子、第XI因子、第XIa因子、第XIIa因子または第VIIa因子、ヘパリンおよび誘導体の具体的な阻害剤、ビタミンKアンタゴニスト、抗組織因子抗体並びにP−セレクチンおよびPSGL−1の阻害剤が挙げられるが挙げられるがこれに限定されない。トロンビンの具体的な阻害剤の例としては、ヒルジン、ビバリルジン(Angiomax(登録商標))、アルガトロバン、キシメラガトラン(Exanta(登録商標)、以下の構造を参照)、ダビガトラン(以下の構造を参照)、AZD0837(臨床試験中(臨床試験(ID番号NCT00623779)でのTakeVKA処置が適切であるがこれが可能でない/同意しない心房細動を有する患者における卒中および収縮期塞栓イベントの予防における、経口用トロンビンインヒビターAZD0837の、コントロール、ランダム化、パラレル、多施設、フィージビリティ試験、ER製剤として投与))およびレピルジン(Refludan(登録商標))が挙げられる。ヘパリンおよび誘導体の例としては、非分画ヘパリン(UFH)、低分子ヘパリン(LMWH)(エノキサパリン(Lovenox(登録商標))、ダルテパリン(Fragmin(登録商標))、およびダナパロイド(Orgaran(登録商標)等);および合成五糖類(フォンダパリヌクス(Arixtra(登録商標)等)が挙げられる。ビタミンKアンタゴニストの例としては、ワルファリン(Coumadin(登録商標))、フェノクマロール、アセノクマロール(Sintrom(登録商標))、クロリンジオン、ジクマロール、ジフェナジオン、エチルビスクムアセテート、フェノクロプモン、フェニンジオン、およびチオクロマロールが挙げられる。
【化6】

【0029】
「Xa因子阻害剤」または「Xa因子の阻害剤」なる語は、in vitro および/または in vivoでプロトロンビンからトロンビンへの変換を触媒する凝固因子Xaの活性をを阻害することができる化合物を意味する。Xa因子は凝固経路における酵素であり、プロトロンビンからトロンビンへの変換を触媒するプロトロンビナーゼにおける活性成分である。トロンビンはフィブリノゲンからフィブリンへの変換を担っており、血餅の形成につながる。従って、Xa因子の阻害は、血栓性疾患を処置および予防する有効な手法であると考えられている。好ましいXa因子阻害剤は、in vitroおよび in vivoの両方でトロンビン形成を阻害する。より好ましいXa因子阻害剤は、in vivoで抗凝固効果を示す。「Xa因子の特異的な阻害剤」または「特異的Xa因子阻害剤」なる語は、その同じ哺乳動物の他の酵素または受容体よりも、Xa因子に対して実質的に高い阻害効果を示すXa因子阻害剤を意味する。好ましくは、特異的Xa因子阻害剤は、その治療上有効な濃度において、その同じ哺乳動物の系において他の酵素または受容体に対して有意に知られた阻害活性は有しない。
【0030】
既知のXa因子阻害剤の例としては、フォンダパリヌクス、インドラパリヌクス、ビオチン化インドラパリヌクス、エノキサパリン、フラグミン、NAP−5、rNAPc2、組織因子経路インヒビター、YM−150(例えば、Eriksson, B.I. et al, J. Thromb. Haemost. 2007, 5:1660-65に記載、および直接作用型Xa因子阻害剤YM150等、人工股関節置換術施行患者における静脈血栓塞栓症の阻止について臨床試験を受けた。オープンラベエノキサパリンとの比較での二重盲検、パラレル、用量設定試験(ID番号NCT00353678))、Daiichi DU-176b (例えば、E. Hylek, DU-176b, An Oral, Direct Factor Xa アンタゴニスト, Current Opinion in Investigational Drugs 2007 8:778-783に記載、および片側人工股関節置換術施行患者におけるダルテパリンと比較したDU−176bの第IIb相、ランダム化、パラレル群、二重盲検、ダブルダミー、多施設、多国、多用量試験のように臨床試験を受けた(ID番号NCT00398216)))、ベトリキサバンおよびTable 1に記載の化合物、およびそれらの誘導体が挙げられるがこれに限定されない。
【表1】

【表2】

【0031】
「XI因子阻害剤」または「XI因子の阻害剤」は、凝固因子XIを阻害することができる化合物である。タンパク質分解作用により、XI因子は活性な酵素XIa因子に変換され、IXをIXaに切断する。そして、IXa因子は、X因子をXa因子に加水分解し、上記の血餅の形成につながる凝固反応を開始する。抗XI因子抗体は、XI因子に特異的に結合し、その活性を阻害する、免疫応答により生じるタンパク質である。いくつかの抗XI因子抗体はHemetech, Inc, Ohio, USA.等から商業的に入手可能である。
【0032】
「注射可能な抗凝固剤」は、注射により哺乳動物に投与される抗凝固剤である。注射可能な抗凝固剤の例は、非分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、および合成五糖類である。
【0033】
「抗血小板剤」または「血小板阻害剤」は、血小板の凝集を阻止することにより血餅の形成をブロックする薬剤である。それらの活性に基づき、抗血小板剤のいくつかのクラスがあり、以下のものが挙げられる:GP IIb/IIIa アンタゴニスト(例えば、アブシキシマブ(ReoPro(登録商標)), エプチフィバチド (Integrilin(登録商標)),および チロフィバン (Aggrastat(登録商標)); P2Y12受容体アンタゴニスト(例えば、クロピドグレル (Plavix(登録商標)), チクロピジン (Ticlid(登録商標)), カングレロール, チカグレロル,および プラスグレル; ホスホジエステラーゼ III (PDE III)阻害剤(シロスタゾール (Pletal(登録商標)), ジピリダモール (Persantine(登録商標))および Aggrenox(登録商標) (アスピリン/徐放性ジピリダモール); トロンボキサン合成酵素阻害剤(フレグレラート, オザグレル、リドグレルおよび イスボグレル; トロンボキサン A2 受容体アンタゴニスト(TP アンタゴニスト)(イフェトロバン、ラマトロバン、テルボグレル、(3-{6-[(4-クロロフェニルスルホニル)アミノ]-2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロナフタ-1−イル}プロパン酸 (Servier S 18886(de Recherches Internationales Servier, Courbevoie, France)として知られる); トロンビン受容体アンタゴニスト(SCH530348 (化学名:エチル (1R,3aR,4aR,6R, 8aR, 9S, 9aS)-9-((E)-2-(5-(3-フルオロフェニル)ピリジン−2−イル)ビニル)-1-メチル-3−オキソドデカヒドロナフト[2,3-C] フラン-6−イルカルバメート(Schering Plough Corp., New Jersey, USA)(US20040192753A1および US2004/0176418A1に記載、および緊急でない(Non-Emergent)経皮的冠インターベンション施行患者における、多施設、ランダム化、二重盲検、プラセボ−コントロール試験によりSCH 530348の安全性評価(ID番号NCT00132912)により臨床試験を受けた);P−セレクチン阻害剤(2-(4-クロロベンジル)-3-ヒドロキシ-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[H]キノリン-4-カルボン酸 (PSI-697(Wyeth, New Jersey, USA)としても知られる);および非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS)(アセチルサリチル酸(Aspirin(登録商標))、レスベラトロール、イブプロフェン(Advil(登録商標)、Motrin(登録商標))、naproxen(Aleve(登録商標)、Naprosyn(登録商標))、スリンダク(Clinoril(登録商標))、インドメタシン(Indocin(登録商標))、メフェナム酸塩、ドロキシカム、ジクロフェナク(Cataflam(登録商標)、ボルタレン(登録商標))、スルフィンピラゾン(Anturane(登録商標))、およびピロキシカム(Feldene(登録商標))。NSAIDSのうち、アセチルサリチル酸(ASA)、レスベラトロールおよびピロキシカムが好ましい。NSAIDSのいくつか(アスピリンおよびイブフロフェン等)は、シクロオキシゲナーゼ-1 (cox-1)とシクロオキシゲナーゼ-2 (cox-2)の両方を阻害する。いくつかは、cox-1を特異的に阻害し(レスベラトロール等)、cox-2をごく弱くしか阻害しかしない可逆的なcox-1阻害剤である。以下に記載する、ベータブロッカーやカルシウムチャネルブロッカーもまた、血小板阻害効果を有する。
【0034】
本明細書において用いられる「溶媒和物」なる語は、本発明にしたがって調製する場合約0.3%を超える量で、非共有的分子内間力により結合した化学量論的または非化学量論的量の溶媒をさらに含む本発明の化合物または塩を意味する。
【0035】
本明細書において用いられる「水和物」なる語は、非共有的分子内間力により結合した化学量論的または非化学量論的量の水をさらに含む本発明の化合物または塩を意味する。水和物は、1またはそれ以上の水分子と、その水をH2Oの分子状態で保持する物質の1つの組合せによって形成され、そのような組合せは1またはそれ以上の水和物を形成することが可能である。
【0036】
本明細書において用いられる「無水の」なる用語は、本発明にしたがって調製する場合、約3%重量未満の水または溶媒を含む本発明の化合物またはその塩を意味する。
【0037】
本明細書において用いられる「乾燥」なる語は、特に記載しない限り、溶媒および/または水の含量レベルが許容し得るレベルになるまで加熱するかまたは加熱することなく、大気圧でまたは減圧下で行うことができる、本発明の化合物から溶媒および/または水を除去する手段を意味する。
【0038】
本明細書において用いられる「多型」なる語は、異なる結晶充填構造で結晶化することができる結晶構造を意味し、それらはすべて同一の元素の組成を有する。異なる結晶形態は、通常、異なるX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点/吸熱最大、密度、硬度、結晶形、光学的および電気的特性、安定性および溶解性を有する。ある1つの結晶形態は、再結晶溶媒、結晶化の速度、保存温度および他の因子によって左右され得る。
【0039】
本明細書に用いられている「固体の形態」は、化合物が異なる充填構造に結晶化しうる結晶構造を意味する。固体の形態としては、それらの用語が本発明において用いられるように、多型、水和物および溶媒和物が挙げられる。同じ化合物の、異なる多型と含む、異なる固体の形態は、異なる粉末X線回折パターンおよび赤外線、ラマンおよび固相NMRを含む種々のスペクトルを示す。これらは、光学的、電気的、安定性および溶解特性もまた異なりうる。
【0040】
本明細書において用いられる「特徴付ける」は、粉末X線回折, 赤外線分光法、ラマン分光法および/または固相NMR等の分析値からデータを選択して、化合物のある1つの固体の形態を他の固体の形態から区別することを意味する。
【0041】
本明細書において用いられる「予防する」は必要とする患者の予防的処置を意味する。予防的処置は、適当な容量の治療剤を病気にかかる危険性のある患者に投与し、それにより病気の発症を実質的に防ぐことにより行われる。
【0042】
本明細書において用いられる「処置する」は、適当な用量の治療剤を病気にかかっている患者に投与することを意味する。
【0043】
「アスピリン」または「ASA」は、オルト−アセチルサリチル酸およびその製薬的に許容し得る製剤を意味する。
【0044】
本明細書において用いられる「治療上有効量」は病気にかかっている患者を処置するのに十分な治療剤の量を意味する。本発明で用いられる化合物とともに第2の薬剤を用いる場合は、第2の化合物もまた治療上有効な量で用いる。共に用いられる薬剤の一方または両方の量は、共に投与した2つの薬剤が相加的または相乗的に作用する場合には下方調整することができる。
【0045】
急性冠動脈症候群は、不安定狭心症から非Q波心筋梗塞およびQ波心筋梗塞にわたる様々な臨床的状態を包含する。不安定狭心症および非ST部分上昇型心筋梗塞は、この疾患の非常に一般的な兆候である。ST部分上昇を有する患者は急性Q波心筋梗塞または心臓発作の危険性が高い。ST部分上昇を伴わない虚血性の症状を有する患者は、不安定狭心症または非ST部分上昇型心筋梗塞のいずれかを有しており、通常、非Q波心筋梗塞へとつながる。ある態様では、患者は、ACSの上記兆候のいずれかを有している患者である。従って、ACSを有する患者としては、その臨床的所見が以下の診断結果を含む患者が挙げられる:不安定狭心症、非ST部分上昇型心筋梗塞 (NSTEMI)および ST部分上昇型心筋梗塞 (STEMI)。
【0046】
ある態様では、患者は、急性心筋虚血を有する患者である。心筋虚血は通常、心筋部分への血液供給を減少させる動脈硬化性プラークに起因する。初期には、プラークは心筋の要求を満足するのに十分な血流は阻止しない。しかしながら、心筋の要求が増えると、面積が狭まり狭心症を誘発する。例えば、この狭心症は、運動、食事および/またはストレスからもたらされるが、休息により軽減する。これらの症状の程度が安定しているときは、慢性安定狭心症と呼ばれる。しかしながら、時間の経過するにつれて、プラークが肥厚および破裂し、血小板が凝集し血栓が形成し得る血栓形成性の表面が露出し、虚血心の症状の程度が変化および/または持続する、不安定狭心症を引き起こす。
【0047】
「製薬的に許容し得る誘導体」は、本明細書に記載の化合物にみられる特定の置換基に依存して比較的非毒性の酸または塩基とともに調製される活性な化合物の塩を包含することを意味する。本発明に従い用いられる化合物が比較的酸性の官能基を含む場合、塩基の付加塩は、そのような化合物のニュートラルな形態と、十分量の所望の塩基とを、ニートなまたは適当な不活性な溶媒のいずれかにおいて、接触させることにより得ることができる。製薬的に許容し得る塩基付加塩の例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩などの向きの塩基から誘導されるものが挙げられる。カリウムおよびナトリウム塩が特に好ましい。製薬的に許容し得る有機の非毒性の塩基から誘導される塩としては、第一級、第二級および第三級アミン、天然の置換されたアミンを含む置換されたアミン、環状アミン、および塩基性イオン交換樹脂、(イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノール、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂等の塩が挙げられる。特に好ましい有機の非毒性の塩基はイソプロピルアミン, ジエチルアミン, エタノールアミン, トリメタミン, ジシクロヘキシルアミン, コリンおよび カフェインである。本発明に従い用いられる化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、酸付加塩は、そのような化合物のニュートラルな形態と、所望の酸の十分量とを、ニートなまたは適当な不活性な溶媒中で接触させることにより得ることができる。製薬的に許容し得る酸付加塩の例としては、塩酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、硫酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸等の無機の酸、並びに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸等の比較的非毒性の有機の酸から誘導されるものが挙げられる。さらに、アルギン酸塩等のアミノ酸の塩、およびグルクロン酸塩またはガラクツロン酸等の有機酸の塩も含まれる(例えば、 Berge, S.M., et al, “Pharmaceutical Salts”, Journal of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1−19; Bundgaard, H., ed., Design of Prodrugs (Elsevier Science Publishers, Amsterdam 1985)を参照)。ある特定の本発明に従い用いられる化合物は、化合物が塩基または酸付加塩のどちらにも変換が可能な、塩基性および酸性の官能基の両方を含む。
【0048】
化合物のニュートラルな形態は、塩を塩基または酸と接触させ、親化合物を慣用の方法で単離することにより生成させることができる。化合物の親の形態は種々の塩の形態と特定の物理特性が異なる(例えば、極性溶媒中での溶解性)が、その他においては、本発明の目的からして、塩は化合物の親の形態と等価である。
【0049】
式Iの化合物のある特定鋸のましい塩の形態は、本明細書の一部を構成する、米国特許出願公開US 2007/0123547(発明の名称「[4−(6−ハロ−7−置換−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアおよびその形態および方法」(出願日:2006年11月3日))とその優先権の基礎でる仮出願60/733,650(2005年11月3日)に記載されている。好ましくは、化合物はカリウム塩(式I):
【化7】

またはナトリウム塩(式II):
【化8】

を形成する。
【0050】
式Iのカリウム塩および式IIのナトリウム塩のいくつかの結晶性の固体またはアモルファス形態もまた、米国特許出願公開US 2007/0123547に記載されている。式Iのカリウム塩のいくつかの好ましい結晶性の固体は、以下の特性の少なくとも1つを有する:
(1)約3389 cm−1および約1698 cm−1にピークを含んでなる赤外線スペクトル;
(2)約9.5および約25.5°2θにピークを含んでなる粉末X線回折パターン;および
(3)約246℃でのDSC吸熱最大。
これらの形態のうち、いくつかのものは、赤外線スペクトルが、約3559, 3389, 3324, 1698, 1623, 1563, 1510, 1448, 1431, 1403, 1383, 1308, 1269, 1206, 1174, 1123, 1091, 1072, 1030, 987, 939, 909, 871, 842, 787, 780, 769, 747, 718, 701, 690および 667 cm−1に吸収ピークを含んでなる。式Iのカリウム塩の他の好ましい結晶性の固体の形態は、以下の特性の少なくとも1つを有する:
(1)約3327 cm−1および約1630 cm−1にピークを含んでなる赤外線スペクトル;
(2)約20.3および約25.1°2θにピークを含んでなる粉末X線回折パターン;および
(3)約293 ℃でのDSC吸熱最大。
これらの形態のうち、いくつかのものは、赤外線スペクトルが、約3584, 3327, 3189, 2935, 2257, 2067, 1979, 1903, 1703, 1654, 1630, 1590, 1557, 1512, 1444, 1429, 1406, 1375, 1317, 1346, 1317, 1288, 1276, 1243, 1217, 1182, 1133, 1182, 1133, 1093, 1072, 1033, 987, 943, 907, 883, 845, 831, 805, 776, 727, 694および 674 cm−1に吸収ピークを含んでなる。式IIのいくつかの好ましいアモルファス形態は、以下の特性の少なくとも1つを有する:
(1)約3360, 1711, 1632, 1512, 1227, 1133および 770 cm−1にピークを含んでなる赤外線スペクトル;および
(2)実質的に約15および約30 °2θの間の広いピークを含んでなる粉末X線回折パターン。これらの形態のうち、いくつかのものは、約3360, 1711, 1632, 1556, 1512, 1445, 1407, 1375, 1309, 1280, 1227, 1133, 1092, 1032, 987, 905, 781, 770および 691 cm−1に吸収ピークを含んでなる赤外線スペクトルを有する。
【0051】
塩の形態に加えて、「製薬的に許容し得る誘導体」なる語は、本発明に従い用いられる化合物のプロドラッグを包含することを意味する。本明細書に記載の化合物の「プロドラッグ」は、生理学的条件下で化学変化を容易に受けて本発明に従い用いられる化合物に変換され得る化合物である。さらに、プロドラッグは、生体外の環境において化学的または生化学的方法によって、本発明に従い用いられる化合物に変換することができる。
例えば、プロドラッグは、適当な酵素または化学的試薬とともに経皮パッチリザーバに入れた場合、本発明に従い用いられる化合物にゆっくりと変換される(例えば、Bundgaard, H., ed., Design of Prodrugs (Elsevier Science Publishers, Amsterdam 1985)を参照)。
【0052】
「製薬的に許容し得るエステル」は、エステル結合の加水分解により、カルボン酸またはアルコールの生物学的な有効性および特性を有するが、生物学的でないまたはそうでなければ望ましくないエステルを意味する。プロドラッグとしての製薬的に許容し得るエステルの記述は、Bundgaard, H.(前掲)を参照。これらのエステルは典型的に対応する カルボン酸および アルコールから形成される。一般に、エステルの形成は、慣用の合成法により行われる(例えば、March Advanced Orgenic Chemistry, 3rd Ed., p. 1157 (John Wiley & Sons, New York 1985およびその参考文献、および Mark et al., Encyclopedia of Chemical Technology, (1980) John Wiley & Sons, New Yorkを参照)。エステルのアルコール成分は、一般に以下を含んでなる:
(i)1またはそれ以上の二重結合を含みうるまたは含まない、および分岐鎖の炭素を含み得るまたは含まないC2-C12脂肪族アルコール;または
(ii)C7-C12芳香族またはヘテロ芳香族アルコール。
本発明はさらに、本明細書に記載のエステルおよびその製薬的に許容し得る酸付加塩の両方であるそれら組成物の使用を企図する。
【0053】
「製薬的に許容し得るアミド」とは、アミド結合の加水分解によってカルボン酸またはアミンの生物学的な効果および特性を保持し、生物学的でなくまたは望ましくないアミドを意味する。プロドラッグとしての製薬的に許容し得る アミドに関する記述は、Bundgaard, H., ed.(前掲)を参照。これらのアミドは典型的に対応するカルボン酸およびアミンから形成される。一般に、アミドの形成は、慣用の合成技術により行うことができる。例えば、March et al., Advanced Organic Chemistry, 3rd Ed., p. 1152 (John Wiley & Sons, New York 1985),および Mark et al., Encyclopedia of Chemical Technology, (John Wiley & Sons, New York 1980)を参照。本発明はさらに、本明細書に記載のアミド、および製薬的に許容し得る酸付加塩の両方である、これら組成物の使用を意図する。
【0054】
「製薬的に許容し得る誘導体」はまた、溶媒和していない形態並びに水和した形態を含む溶媒和した形態で存在し得る、本発明に従い用いられる化合物を包含することを意味する。一般に、溶媒和した形態は、溶媒和していない形態と等価であり、本発明の範囲内に包含されるものと意図される。ある特定の本発明に従い用いられる化合物は、複数の結晶またはアモルファス形態で存在し得る。一般に、すべての物理的形態は、本発明が企図する使用に関して等価であり、本発明の範囲内にあるものと意図される。
【0055】
不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有する本発明に従い用いられる任意の化合物;ラセミ体、ジアステロマー、幾何異性体および個々の異性体(例えば、個々のエナンチオマー)はすべて本発明の範囲内に包含される。
【0056】
本発明に従い用いられる化合物はまた、そのような化合物を構成する1またはそれ以上の原子において同位元素の非天然の特性を含むものであってよい。例えば、化合物は、放射性同位体(例えばトリチウム(3H)、ヨウ素−125(125I)または炭素−14(14C))で放射能標識されていてもよい。本発明に従い用いられる化合物のすべての同位体の組合せは、放射性であるかそうでないかに関わらず、本発明の範囲に包含される。
【0057】
III.本発明に従い用いられる化合物の製造
スキーム1は、Arがフェニレンであり、R1がメチルアミノであり、X1がフルオロである、式Iの具体的な化合物の製造方法を示す。
【化9】

【0058】
式Iの化合物は、2−ニトロ−安息香酸メチルエステル化合物1を当業者に知られている手順によって還元してアニリン2を得ることによって製造することができる(特許出願公開US2002/077486も参照)。例えば、ニトロ基還元の方法は水素化によって行うことができる。水素化は、安定な触媒(例えば、10%Pd/CまたはPt(s)/C)を用い、適当な溶媒(典型的にはアルコール、好ましくはエタノール)中、室温にて水素下で行う。適当に置換アリールイソシアナートで化合物2を処理して中間体の尿素3aを得る(方法A)。あるいは、化合物2を、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下、THF、ジクロロメタンおよびMeCN等の不活性溶媒中、適当な温度(好ましくは20℃)にて、トリホスゲンで処理した後、置換アニリンで処理することにより尿素3aを形成することができる(方法B)。方法Aまたは方法Bにより製造した尿素3aは、典型的にはさらに精製することなく、熱または塩基(N−メチルモルホリン(NMM)またはポリスチレン−NMM(PS−NMM)等)により閉環させて、キナゾリンジオン4aを得ることができる。化合物4aのニトロ基は、当業者に知られている手順により遊離のアミノ基に還元することができる。例えば、還元方法は、適当な触媒(例えば、10%パラジウム炭素)を用い、適当な溶媒(典型的にはアルコール)中で水素化することにより行うことができる。A型のスルホニルウレア結合は、還元生成物のアニリン5aを、室温にて、置換されたチオフェン−2−スルホンアミド、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネートおよびテトラメチルグアニジンを予めジクロロメタン中で混合した溶液で処理した後、TFAのジクロロメタン溶液で処理し、式Iのスルホニルウレアを得ることによって形成することができる。あるいは、スルホニルウレア結合を、アニリン5aと5−クロロ−チオフェン−2−スルホニルエチルカルバメートとを適当な溶媒(トルエン、アセトニトリル、1,4−ジオキサンおよびDMSOが挙げられるがこれに限定されない)中で反応させることによって形成することができる。
【0059】
スキーム2は、R1が例えばメチルアミノであり、L1がフルオロである、式Iの化合物の製造方法の別法を示す。
【化10】

【0060】
尿素3bは、トリエチルアミンおよび/またはジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下、不活性な溶媒(THF、ジクロロメタンおよび/またはMeCN等)中、適当な温度(典型的には約20℃)にて化合物2をトリホスゲンまたはp−ニトロフェニルクロロホルメートで処理した後、適当に保護されてアニリンで処理することによって製造することができる(方法B)。尿素3bは、典型的にはさらに精製することなく、塩基により閉環させて中間体のキナゾリンジオン4bを得ることができる。化合物4bの保護基は、用いた保護基に適当な標準的な技術を用いて脱離することができる。例えば、BOC保護基は、ジオキサン中の4N縁談で化合物4bを処理することにより脱離することができる。次いで、化合物5bのC−7フルオロを、DMSO中、約120℃にてメチルアミンで処理することにより脱離してアニリン6aを得る。目的のスルホニルウレア7aは、アニリン6aを、ジメチルスルホキシド、ジオキサンおよび/またはアセトニトリル等の適当な溶媒中、加熱しながら、5−クロロ−チオフェン−2−スルホニルエチルカルバメートで処理することによって製造することができる。
【0061】
スキーム3は、R1が例えばメチルアミノであり、L1がフルオロであり、MがKである、式Iの化合物の製造方法の別法を示す。
【化11】

【0062】
尿素3aは、化合物2を、不活性な溶媒(THF、ジクロロメタンおよび/またはMeCN等)中、適当な温度(典型的には約20℃)にてp−ニトロフェニルクロロホルメートで処理した後、適当に保護されたアニリンで処理することにより製造することができる(方法B)。本発明によれば、式(I)の化合物を製薬的に許容し得る塩(例えば7a)としてさらに用いることができる。本発明に従い用いられる化合物の酸または塩基での処理はそれぞれ、それぞれ上で定義した、製薬的に許容し得る酸付加塩および製薬的に許容し得る塩基付加塩を形成する。本明細書において定義されるものを含む当業者に知られている様々な無機および有機の酸および塩基を用いて塩に変換させることができる。
【0063】
式(I)の化合物は、当分野において知られた典型的な単離および精製技術(例えば、クロマトグラフィーおよび再結晶法)を用いて単離することができる。
【0064】
本発明によれば、式(I)の化合物をさらに処理して製薬的に許容し得る塩を形成することができる。本発明による使用のための化合物の酸または塩基での処理はそれぞれ、それぞれ上で定義した、製薬的に許容し得る酸付加塩および製薬的に許容し得る塩基付加塩を形成する。本明細書において定義されるものを含む当業者に知られている様々な無機および有機の酸および塩基を用いて塩に変換させることができる。
【0065】
本発明は、さらに、式(I)の化合物の製薬的に許容し得る異性体、水和物および溶媒和物の使用を提供する。式(I)の化合物はまた、様々な異性体および互変異性体(そのような異性体および互変異性体の製薬的に許容し得る塩、水和物および溶媒和物を含む)の形態で存在し得る。例えば、本発明では、化合物が、式(I)の化合物1分子につき2分子の水を有する二水和物を記載されているが、本発明は、無水物、一水和物、三水和物、セスキ水和物等の化合物も提供する。
【0066】
本発明はさらに、式(I)の化合物のプロドラッグの使用を包含する。用語「プロドラッグ」は、活性成分を放出するために臓器内での自発的または酵素による生体内変化を必要とする、親の薬物分子の薬理学的に不活性な誘導体を意味する。プロドラッグは、代謝条件下で切断される基を有する本発明に従い用いられる式Iの化合物の変異体または誘導体である。プロドラッグは、in vivoで生理学的条件下での加溶媒分解または酵素消化を受けると、製薬的に活性な本発明で用いられる化合物となる。本発明にしたがって用いられるプロドラッグ化合物は、臓器において活性な薬物を放出するのに必要な生体内変化のステップの数によって、シングル、ダブル、トリプル等と呼ばれ、前駆体型の形態において存在する官能基の数を示す。プロドラッグの形態は溶解性、組織適合性、または哺乳動物の臓器における徐放性の利点を有することが多い(Bundgard, Design of Prodrugs, pp. 7-9, 21-24, Elsevier, Amsterdam (1985); Silverman, The Orgaic Chemistry of Drug Designおよび Drug Action, pp. 352-401, Academic Press, San Diego, Calif. (1992))。当分野において一般に知られているプロドラッグとしては、当業者に周知の酸誘導体が挙げられる(例えば、親の酸と適当なアルコールとの反応によって製造されるエステルまたは親の酸化合物とアミンとの反応によって製造されるアミド、または塩基性基を反応させて形成するアシル化された塩基誘導体)。さらに、本発明にしたがって用いられるプロドラッグ誘導体を、本明細書に記載の他の特徴と組み合わせてバイオアベイラビリティーを増強することができる。
【0067】
IV.
本発明に従い用いられる化合物の結晶性の固体およびアモルファスの態様およびそれらの製造
本発明はまた、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアの結晶性の固体および/またはアモルファスの形態の使用およびそれらの製造方法およびこれらの形態を含んでなる医薬組成物を提供する。カリウム塩は、以下の一般式:
【化12】

を有し、
ナトリウム塩は以下の一般式:
【化13】

を有する。
【0068】
医薬原体(API)の製造方法の開発においては2つの因子:即ち、その化合物の不純物プロファイルと結晶形態が非常に重要である。最初の単離と結晶化の操作から得られた結果は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアが99.6%とのプロファイルを示した。医薬原体は、不純物のレベルが0.2%未満で最も熱力学的に安定な結晶性の固体の形態であるのが好ましい。単離と結晶化の操作は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアのカリウム塩には少なくとも2種類の結晶性の固体の形態(A型およびB型と称する)および[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアのナトリウム塩にはアミルファス形態が存在することを示した。
【0069】
本発明で用いるための固体の形態は粉末X線回折、Raman分光法、IR分光法および熱的方法を含むいくつかの技術の1またはそれ以上によって記述することができる。さらに、そのような技術の組合せを用いて本発明を記述することができる。例えば、1またはそれ以上の粉末X線回折ピークと1またはそれ以上のRamanピークとの組合せを用いて、本発明で用いるための化合物の1またはそれ以上の固体の形態を、その形態を他の固体の形態と区別するように記述することができる。
【0070】
形態を特徴付けるものであるが、全体の回折パターンまたはスペクトルのみに依存して固体の形態を特徴付ける必要はない。医薬の分野における当業者は、回折パターンまたはスペクトルの一部でその固体の形態が他の特徴付けられた形態から区別されるならば、回折パターンまたはスペクトルの一部を用いて固体の形態を特徴付けることができると認識する。即ち、固体の形態を特徴付けるために、1またはそれ以上の粉末X線回折ピークを単独で用いることができる。同様に、固体の形態を特徴付けるために、1またはそれ以上のIRピーク単独でまたはRamanピーク単独で用いることができる。そのような特徴付けは、それら形態の間で、X線、RamanおよびIRデータを比較して特徴的なピークを決定することにより行われる。
【0071】
さらに、そのような特徴付けに、他の技術からのデータを組み合わせることもできる。
即ち、粉末X線回折と、例えば、RamanまたはIRのデータから得られた1またはそれ以上のピークによって形態を特徴付けることができる。例えば、1またはそれ以上のX線ピークが形態を特徴付ける場合、形態を特徴付けるためにRamanまたはIRのデータを考慮することができる。例えば、医薬製剤において、Ramanデータを考慮することが役立つときがある。
【0072】
多型は、2種類の異なる結晶化条件を用いることにより同定された。(1)結晶型Aを粗製のウェットケーキをメタノールから結晶化し、粗製のウェットケーキを溶媒留去させた後に単離し、(2)結晶性の固体形態BをEtOH/H2Oからの結晶化によりまたはメタノールでのトリチュレーションにより形成させた。
【0073】
カリウム塩は、メタノールに懸濁した後、溶液が透明になるまで加熱した。次いで、冷却し、得られた結晶性の固体を単離し、減圧下室温で乾燥して、形態鋸となる結晶性の固体のカリウム塩/A型を得た。図14および2はそれぞれ、結晶性の固体のDSCトレースと粉末X線パターンを示す。[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩のA型の示差走査熱量測定(DSC)による、脱溶媒和物の融点は238℃であった。大きな分解ピークが記録され,開始温度約300℃。DSCトレースにおいて、約246℃での鋭い融解の完了は特徴的である。
【0074】
粉末X線回折パターンでは、約9.5と25.5のピークがパターンの主な特徴である(粉末X線回折パターンの理論の議論については、"X-ray diffraction procedures" by H. P. Klugおよび L. E. Alexander, J. Wiley, New York (1974)を参照)。B型は0.2°2θ内にピークを有しないので、約9.5°2θと25.5°2θのピークは、B型に対してA型を特徴付けるものである。なぜなら、多形を特徴付けるピークを選択したとき、与えられた粉末X線回折ピークにおける典型的な変分は0.2°2θのオーダーであるので、別の多形のピークの値の少なくとも2倍(即ち、0.4°θ)であるピークを選択する。即ち、特定の多形のX線パターンにおいて、別の多形におけるピークから少なくとも0.4°θであるピークが、単独または別のピークとともにその多形を特徴付けるのに用いることができるピークであるとするのに適当である。表1および2はA型およびB型の主なピークを示したものである。そのリストから、約25.5°2θ(表中25.478°2θ)のピークは、小数点第一位を取った場合、B型のピークから0.2°2θ以上離れている。従って、約25.5°2θのピークは、A型とB型とを区別するのに用いることができる。約9.5°2θ(Table 1の9.522 °2θ)のピークは、図2のA型粉末X線回折パターンの最も強度の強いピークであり、B型のピークから0.2°2θ以上離れている。従って、約9.5°2θおよび25.5°2θのA型ピークは、B型に対してA型を特徴付けるものである。この製造方法のこの段階で単離された固体の形態は、1分子の塩に対して約2分子の水を含んでいた。
【表3】

【表4】

【0075】
好ましい配向は、XRPDパターンにおいて、ピークの位置でなくピークの強度に影響し得る。カリウム塩の場合、好ましい配向は、低い角度の領域で最も効果がある。好ましい配向は、減少する(または増大する)この領域でピークを生じる。晶癖(Crystal habit)は固体の形態によって明確には区別されない;それぞれの形態について様々な晶癖(針状(needles)、ブレード状(blades)、板状(plates)および不定形粒子を含む)が観察されている。
【0076】
従って、一態様では、本発明は、A型およびB型として示される新たな結晶型の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩の使用を提供する。
【0077】
従って、一態様では、本発明は、本明細書において、A型として示される、以下の少なくとも1つ:
(i)実質的に図5で示される赤外線スペクトル;
(ii)実質的に図2で示される粉末X線回折パターン;および
(iii)実質的に図14で示されるDSCスキャン
をもたらす、実質的に純粋な形態を含む結晶性の固体の形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩の使用を提供する。
【0078】
更なる態様では、本発明は、本明細書においてA型と称される、以下の少なくとも1つ:
(i)約3559、3389、3324、1698、1623、1563、1510、1448、1431、1403、1383、1308、1269、1206、1174、1123、1091、1072、1030、987、939、909、871、842、787、780、769、747、718、701、690および667cm−1に吸収ピークを含んでなる赤外線スペクトル;
(ii)約9.5および約25.5°2θにピークを含んでなる粉末X線回折パターン;および
(iii)DSC吸熱最大が約246℃;
を生じる、実質的に純粋な形態を含む、結晶性の固体の形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩を提供する。
【0079】
別の態様では、本発明は、本明細書においてA型と称される、約3559、3389、3324、1698、1623、1563、1510、1448、1431、1403、1383、1308、1269、1206、1174、1123、1091、1072、1030、987、939、909、871、842、787、780、769、747、718、701、690および667cm-1
に吸収ピークを含む赤外線スペクトルを生じる、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩の結晶多型の使用を提供する。
【0080】
別の態様では、本発明は、本明細書においてA型と称する、約9.5および約25.5°2θにピークを含んでなる粉末X線回折パターンをもたらす、実質的に純粋な形態を含む結晶性の固体の形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩の使用を提供する。
【0081】
別の態様では、本発明は、本明細書においてA型と称する、DSC吸熱最大が約246℃の、実質的に純粋な形態を含む結晶性の固体の形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩の使用を提供する。
【0082】
別の態様では、本発明は、本明細書においてA型と称する、少なくとも1つで上記のピーク一覧よりも少ないピークを含むスペクトルをもたらす、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩の結晶多型の使用を提供する。
【0083】
図16および3は、それぞれ別の結晶性の固体についてのDSCトレースおよびX線粉末パターンを示す。これらの結果は、残存する水を除去したときに観察された。DSCトレースでは、A型は246℃で融解するため、約293℃での遷移が注目される。粉末X線回折パターンにおける2つの特徴的なB型のピークの約20.3°2θおよび25.1°2θのピークはまた、A型は粉末X線回折ピークのおおよその精度である0.2°2θ内にピークを有しないので、A型に対してB型を特徴付けるものである(Tables 1および 2参照)。その一覧から、約20.3°2θおよび25.1°2θのピーク(それぞれ、Table 2 の20.328 °2θおよび 25.087°2θ)は、小数点第一位を取ったとき、A型のピークから0.2° 2θ以上離れている。即ち、約20.3°2θおよび25.1°2θのピークを用いてB型をA型から区別することができる。
【0084】
即ち、一態様では、本発明は、本明細書においてB型として称される、以下の少なくとも1つ:
(i)実質的に図6で示される赤外線スペクトル;
(ii)実質的に図3で示される粉末X線回折パターン;および
(iii)実質的に図16で示されるDSCスキャン
をもたらす実質的に純粋な形態を含む、結晶性の固体の形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩の使用を提供する。
【0085】
別の態様では、本発明は、本明細書においてB型として称される、
(i)約3584、3327、3189、2935、2257、2067、1979、1903、1703、1654、1630、1590、1557、1512、1444、1429、1406、1375、1317、1346、1317、1288、1276、1243、1217、1182、1133、1182、1133、1093、1072、1033、987、943、907、883、845、831、805、776、727、694および674cm-1に吸収ピークを含んでなる赤外線スペクトル;
(ii)約20.3°2θおよび約25.1°2θにピークを含んでなる粉末X線回折パターン;および
(iii)DSC吸熱最大が約293℃
の実質的に純粋な形態を含む、結晶性の固体の形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩の使用を提供する。
【0086】
別の態様では、本発明は、本明細書においてB型と称される、約20.3°2θおよび25.1°2θにピークを含んでなる粉末X線回折パターンをもたらす、実質的に純粋な形態を含む、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩の結晶性の固体の形態の使用を提供する。
【0087】
別の態様では、本発明は、アモルファス形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアナトリウム塩の使用を提供する。
【0088】
一態様では、本発明は、以下の少なくとも1つ:
(i)ミネラルオイル分散液中での赤外線スペクトルが実質的に図7に示される;
(ii)粉末X線回折パターンが実質的に図4に示される;および
(iii)DSCスキャンが実質的に図18に示される;
をもたらす、
[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアナトリウム塩の本明細書においてアモルファス形態と称される形態の使用を提供する。
【0089】
別の態様では、本発明は、約3560,1711,1632,1556,1512,1445,1407,1375,1309,1280,1227,1133,1092,1032,987,905,781,770および691cm-1に吸収ピークを含んでなる赤外線スペクトルをもたらす、本明細書においてアモルファス形態と称される[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアナトリウム塩の形態の使用を提供する。
【0090】
別の態様では、本発明は、少なくとも1つであるが指定された形態についての上記のピーク一覧よりも少ないピークを含むスペクトルをもたらす、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレア塩の結晶多型の使用を提供する。
【0091】
[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩のA型の結晶は、25℃にて相対湿度15%まで安定であり、25℃で相対湿度20%で再水和する二水和物である。カリウム塩の多型Aは、ナトリウム塩のアモルファス形態と同等に安定であることが分かった。高温度(40℃)高相対湿度(75%RH)での加速安定性試験では、いずれの塩の形態についても1週間後に観察した化学純度に変化はなかった。カリウム結晶型Aの利点は、40%RHで15%以上の水を取り込むアモルファス形態のナトリウム塩よりも吸湿性が低いことである。A型およびB型はいずれも安定である。無水物であり非吸湿性である(再水和形態のA型とは異なる)カリウム塩のB型は、外観および長期間の取扱い上、より良好である。薬物の投与形態の外観上の改善は、医師および患者の両方にとって受け入れ易く、治療がうまくいく見込みが高くなる。
【0092】
本発明の更なる態様は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアおよびその塩の、異なる結晶性の固体の形態の混合物、およびアモルファス形態の使用を包含する。そのような混合物は、A型,B型およびアモルファスから選択される少なくとも1つの固体の形態または少なくとも2つの固体の形態を含んでなる組成物を含む。本明細書に記載の任意の分析技術は、そのような組成物におけるその固体の形態の存在を検出するために用いることができる。検出は、固相分析の分野の当業者に用いられ理解されているように、定性的、定量的または半定量的に行うことができる。
【0093】
これらの分析について、参照標準を用いる標準的な分析技術を用いることができる。さらに、そのような方法としては、回折または分光分析法と組み合わせたパーシャルリーススクエア(partial-lease squares)等の技術の使用を挙げることができる。これらの技術はまた、本発明の医薬組成物において用いることができる。
【0094】
V.
本発明で用いられる結晶性の固体およびアモルファス形態の製造
さらに、本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウムおよびナトリウム塩の結晶性の固体およびアモルファス形態の使用に関する。
【0095】
本発明で用いられる化合物の結晶性の固体およびアモルファス形態は、以下に記載する様々な方法によって製造することができる。よく知られた他の結晶化法や上記に説明するような修飾法も用いることができる。
【0096】
本発明の更なる態様では、本発明は、少なくとも以下の1つにより得られる、A型の結晶性固体の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩を用いる:
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩をエタノール,メタノールおよびその組合せの少なくとも1つの溶媒から結晶化し、得られた結晶が多少の溶媒を含有するように乾燥させる;
および
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩を、エタノール,メタノールおよびその組合せからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒中で加熱し、約50℃〜−10℃の温度で結晶化させ、結晶が少なくとも約0.05%の溶媒を含有するまで乾燥させる。
【0097】
本発明の別の態様では、本発明は、以下の少なくとも1つ:
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩をエタノールおよび水の混合溶媒中で加熱;約50℃〜−10℃の温度で結晶化し、結晶が含む溶媒が0.05%未満になるまで乾燥させる;および
(ii)エタノールおよび水の混合溶媒から[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩を結晶化させ、結晶が含む溶媒が0.05%未満になるまで乾燥させる
ことによって得られる、B型の結晶性の固体[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩を使用する。
【0098】
本発明の別の態様では、イソプロパノール中でのトリチュレーションおよび乾燥により製造することができる、アモルファス結晶型の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩の使用を提供する。
【0099】
本発明の別の態様では、以下の少なくとも1つ:
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアナトリウム塩を、イソプロパノール、アセトニトリル、エタノールおよびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒中で加熱する;および約50℃〜−10℃の温度で結晶化する;
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアナトリウム塩を、イソプロパノール、アセトニトリル、エタノールおよびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒から結晶化する;および
(iii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアナトリウム塩を、高湿度下で加熱する
ことによって製造することができる、アモルファス結晶型の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアナトリウム塩を提供する。
【0100】
さらに、本発明は、結晶性の固体およびアモルファス形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウムおよびナトリウム塩の上記記載の製造方法に関する。
【0101】
結晶性の固体またはアモルファス形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアは、以下の実施例にさらに記載の様々な方法により製造することができる。実施例は、説明するものであって本発明の範囲を限定するものではない。結晶性の固体またはアモルファス形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアは、例えば、クロマトグラフィー、再結晶および他の結晶化法並びに上記に記載するそれらの修飾法等の、当業者に知られている典型的な単離および精製法を用いて単離することができる。
【0102】
VI.
医薬組成物
本発明で用いられる式Iの化合物は、医薬組成物に製剤化する。従って、本発明はさらに、哺乳動物において血栓症、特に、血小板凝集が慣用する病的状態、を阻止又は処置するための、それぞれ上記に記載の、治療上有効量の式Iの化合物またはその製薬的に許容し得る塩および製薬的に許容し得る担体または薬剤を含有する医薬組成物を提供する。好ましくは、本発明の医薬組成物は、哺乳動物、特にヒト、における、血小板凝集、より好ましくはADP惹起血小板凝集、を阻害するのに有効な量の式Iの化合物またはその塩を
含有する。製薬的に許容し得る担体または薬剤としては、当分野で知られているものおよび以下に記載するものが挙げられる。
【0103】
本発明の医薬組成物は、式Iの化合物を生理学的に許容し得る担体または薬剤と混合することによって製造することができる。本発明の医薬組成物は、さらに賦形剤、安定化剤、希釈剤等を含有することができ、徐放(sustained release)製剤または持続放出(timed release)製剤として提供することができる。治療目的で用いる許容し得る担体、薬剤、賦形剤、安定化剤、希釈剤等は製薬分野で周知のものであり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., ed. A. R. Gennaro (1985)に記載されている。そのような材料は、投与の時点、用いた濃度では、患者にとって非毒性であり、リン酸、クエン酸、酢酸および他の有機酸塩等のバッファー、アスコルビン酸等の抗酸化剤、ポリアルギニン等の低分子量ペプチド(約10残基未満)、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン等)、親水性ポリマー(ポリビニルピロリジン等)、アミノ酸(グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、またはアルギニン等)、単糖類、二糖類、および他の炭化水素(セルロースまたはその誘導体、グルコース,マンノース、またはデキストリンを含む)、キレート化剤(EDTA)、糖アルコール(マンニトール、ソルビトール等)、対イオン(ナトリウム)および/または非イオン系界面活性剤(TWEENまたはポリエチレングリコール等)を含む。
【0104】
更なる態様に関して、本発明は、治療上有効量の、A型,B型,およびアモルファス形態を含む[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレア、その塩および形態の医薬組成物を提供する。該形態の少なくとも1つの当該量は治療上有効な量であってもまたはなくても良い。そのような医薬組成物は、錠剤またはカプセルまたは吸入用の乾燥粉末等の固体の経口組成物の形態であってよい。
【0105】
本発明の医薬組成物は、カプセル、錠剤、水溶性懸濁液または水溶液等の経口的に許容し得る形態であってよい。経口での使用のための錠剤の場合では、一般的に用いられる担体としては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤もまた典型的に添加される。カプセルの形態に関しては、有用な希釈剤としてはラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液が経口での使用に必要な場合は、活性成分を乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。所望であれば、特定の甘味料、香料、着色料も添加することができる。
【0106】
ある態様では、医薬組成物は、ヒトの患者に投与するための、直接のボーラス静脈調製物として製剤化することができる。組成物は、低容量で、直ぐに使える、ボーラス注射可能な、水性の医薬組成物であり得る。容量は、1〜5ml、またはより好ましくは、0.5ml〜2mlである。組成物はまた静脈注入用に製剤化することもできる。医薬組成物は、滅菌した水性製剤中に化合物を1〜50mg含有し得る。ある態様では、生理学的pHとするために緩衝剤を用いる。そのような試薬としては、クエン酸塩、リンゴ酸塩、ギ酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ヒスチジン,炭酸塩、リン酸塩またはMESのいずれか1つが挙げられる。組成物は好ましくは血液と等張となっており、浸透圧を調製するための溶質を含有し得る。共溶媒としては、プロピレングリコール、エタノールまたはポリエチレングリコールが挙げられる。
【0107】
VII.
治療/投与の方法
A.
好ましくない血栓形成によって特徴付けられる病的状態の予防および処置
本発明によって用いられる哺乳動物における血栓形成の予防または処置の方法は、式(I)の化合物の治療上有効量を単独でまたは本発明の医薬組成物の一部として、上記の如く、哺乳動物、特にヒト、に投与することである。式(I)の化合物および式(I)の化合物を含有する本発明で使用するための医薬組成物は、単独でまたは特に血栓形成に関連する心疾患の予防または治療のための多成分治療レジメの一部として安定である。例えば、本発明の化合物または医薬組成物は、急性心筋梗塞、不安定狭心症、慢性安定狭心症、一過性脳虚血発作、卒中、末梢血管疾患、子癇前症/子癇、深部静脈血栓症、塞栓症、播種性血管内凝固症候群および血栓性血小板減少性紫斑、侵襲的治療(例えば、血管形成術、頸動脈血管内膜切除術,CABG(冠動脈バイパス・グラフト)手術後,血管グラフト手術、ステント留置および血管内デバイスおよびプロテーゼの挿入)後の血栓性および再狭窄合併症、および遺伝性素因または癌に関連する凝固能高進状態が挙げられるがこれに限定されない、血栓症のいずれか(特に血小板惹起血栓症)のための薬物または治療剤として用いることができる。さらなる群の態様では、適応症は、血管形成術および/またはステントを含む経皮冠動脈インターベンション(PCI)、急性心筋梗塞(AMI)、不安定狭心症(USA)、冠動脈疾患(CAD)、一過性脳虚血発作(TIA)、卒中、末梢血管疾患(PVD)、冠動脈バイパス術、頸動脈血管内膜切除術からなる群から選択される。
【0108】
本発明の化合物および医薬組成物は、哺乳動物における血栓形成を予防または治療において他の治療剤または診断剤と組み合わせて多成分治療レジメの一部として用いることができる。ある特定の好ましい態様では、本発明の化合物または組成物を、抗凝固剤、血栓溶解剤、または血小板凝集阻害剤、組織プラスミノーゲンアクチベータ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ヘパリン、アスピリンまたはワルファリンまたは抗炎症薬、(非ステロイド抗炎症薬、シクロオキシゲナーゼII阻害剤)、トロンビン阻害剤またはXa因子阻害剤を含む他の抗血栓剤等、一般的に受け入れられている医療プラクティスにしたがってそれらの状態のために典型的に処方される他の化合物と共に投与することができる。共投与はまた、抗血小板および血栓溶解剤の両方の用量の減少を可能にするので潜在的な出血の副作用を最小限にすることが可能である。本発明の化合物および医薬組成物はまた、血栓溶解処置が成功した後の再閉塞を阻止するおよび再潅流までの時間が短くなるように相乗的に作用する。
【0109】
本発明の化合物および医薬組成物は、溶液または懸濁液の形態であってよい。血栓性疾患を治療する場合には、本発明の化合物または医薬組成物は、例えば、経口投与のための錠剤、カプセル剤またはエリキシル、注射可能な投与のための滅菌溶液また懸濁液等のような形態、または造形品に含有させることができる。
【実施例】
【0110】
VIII.
実施例は、説明を目的とするものであって本発明を限定するものではない。
化学的な一般的方法
これらの化合物の製造において用いられる出発物質および試薬は、一般的に、商業的な供給元(Aldrich Chemical Co.等)から入手可能であるか、またはFieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, 1967−2004, Volumes 1−22; Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds, Elsevier Science Publishers, 1989, Volumes 1−5 and Supplementals;および Organic Reactions, Wiley & Sons: New York, 2005, Volumes 1−65等の文献に記載の手順にしたがって、当分野において知られている方法によって製造される。以下の合成反応スキームは、本発明に従い用いられる化合物を合成することができるいくつかの方法を単に説明するものであって、これらの合成反応スキームに対する様々な修飾が可能であり、本願に記載した開示を参照すること当業者に示唆される。
【0111】
合成スキームの出発物質および中間体は単離し、所望であれば、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等が挙げられるがこれに限定されない慣用技術を用いて精製することができる。そのような物質は、物理定数およびスペクトルデータを含む慣用の手段を用いて特徴付けることができる。
【0112】
特に記載しない限り、本明細書に記載した反応は、好ましくは、常圧下、不活性な雰囲気下で、約−78℃〜約150℃の温度、より好ましくは、約0℃〜約125℃、最も好ましくおよび便利には大体室温(または周囲の)の温度(例えば約20℃〜約75℃)にて行う。
【0113】
以下の実施例を参照して、本明細書に記載の方法または他の当分野において周知の方法を用いて、本発明に従い用いられる化合物を合成した。
【0114】
化合物および/または中間体は、2695 セパレーションモジュール(Milford, Mass.)付のWaters Allianceクロマトグラフィーシステムを用い高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により特徴付けた。分析カラムはC-18 Speed ROD RP-18Eカラム(Merck KGaA (Darmstadt, Germany))を用いた。あるいは、キャラクタリゼーションを、Waters Acquity UPLC BEH C-18 2.1 mm x 15 mm カラムを備えたWaters Unity (UPLC) システムを用いて行った。典型的に5% アセトニトリル/95%水で開始し、Allianceシステムに対して5分間およびAcquityシステムについて1分で95% アセトニトリルまで移行させるグラジェント溶出を用いた。0.1% トリフルオロ酢酸 (TFA)をすべての溶媒に含有させた。化合物を、220または254 nmのいずれかの紫外線(UV)吸収で検出した。HPLC溶媒は、EMD Chemicals, Inc. (Gibbstown, NJ)より入手した。場合によっては、ガラスを裏打ちしたシリカゲルプレート(例えば、 EMD Silica Gel 60 2.5 cm x 7.5 cmプレート)を用いる薄層クロマトグラフィー (TLC)により純度を調べた。TLCの結果は、紫外線光下で可視的に、または周知のヨウ素上記および他の様々な染色技術を用いることにより容易に検出された。
【0115】
移動相としてアセトニトリル/水を用いた2つのアジレント1100シリーズ LCMS装置のうち1つにおいて、質量分析を行った。一方のシステムは調整剤としてTFAを用い、陽イオンモード[MH+, (M+1)または(M+H)+]で測定を行い、他方はギ酸または酢酸アンモニウムを用い、陽イオン[MH+, (M+1)または(M+H)+]および陰イオンモード[M-, (M-1)または(M-H)-]で測定を行う。
【0116】
いくつかの化合物において、Varian 400 MHz NMR (Palo Alto, Calif.)を用いて核磁気共鳴(NMR)分析を行った。TMSまたは溶媒の公知の化学シフトをスペクトルの基準とした。
【0117】
本発明の化合物のいくつかの純度を、元素分析により分析した (Robertson Microlit, Madison NJ.)。
【0118】
融点はLaboratory Devices Mel-Temp 装置 (Holliston, Mass.)により行った。
【0119】
分取分離をSq16xまたはSg100cクロマトグラフィーシステムおよびパッケージされたシリカゲルクロマトグラフィーカラム(すべてTeledyne Isco, (Lincoln, NE)より購入)を用いて行った。あるいは、化合物および中間体をシリカゲル(230-400 メッシュ)パッキング材を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィー、またはC−18逆相カラムを用いるHPLCにより精製した。Iscoシステムおよびフラッシュカラムクロマトグラフィーの溶媒には、ジクロロメタン,メタノール,酢酸エチル、ヘキサン、アセトン、ヒドロキシアミンおよびトリエチルアミン水溶液を典型的に用いた。逆相HPLCに用いる典型的な溶媒は、種々の濃度のアセトニトリルおよび0.1%トリフルオロ酢酸を添加した水を用いた。
【0120】
1.
FT赤外線分光法(FTIR)
Universal ATRサンプリングアクセサリーを組み合わせたSpectrum V5.0.1ソフトウェアで動作させるPerkin-Elmer Spectrum Oneを用いてサンプルを試験した。
解像度を4cm-1に設定し、4000cm-1 to 400cm-1のレンジで16スキャンを収集した。
コントロールおよび解析ソフトウェア:Spectrum v 5.0.1.
【0121】
2.
示差走査熱量測定(DSC)
DSCデータ(サーモグラム)は、50本掛オートサンプラーを組み合わせたTA instruments Q1000を用いて収集した。熱量および温度キャリブレーション標準はインジウムとした。サンプルを10℃ /分の速度で10 ℃から250 ℃加熱した。サンプルに対して窒素パージを30ml/分に維持した。
【0122】
1および 3 mgのサンプルを用いた。特に記載しない限り、サンプルはすべて蓋にピンホールを設けたアルミ皿中に密閉した。
コントロールソフトウェア: Advantage for Q series v 2.2.0.248, Thermal Advantage Release 4.2.1. 解析ソフトウェア: Universal Analysis 2000 v 4.1D Build 4.1.0.16
【0123】
3.
熱重量分析(TGA)
16本掛オートサンプラーを組み合わせたTA Instrument Q500 TGAを用いてTGAデータ(サーモグラム)を収集した。サンプルを10℃/分の速度で加熱した。サンプルに対して100ml/分の窒素パージを維持した。
【0124】
典型的に、5〜20mgのサンプルを、風袋アルミ製皿に載せた。コントロールソフトウェア: Advantage for Q series v 2.2.0.248, Thermal Advantage Release 4.2.1. 解析ソフトウェア:Universal Analysis 2000 v 4.1D Build 4.1.0.16
【0125】
4.
XRPD (粉末X線回折)
Bruker AXS C2 GADDS 回折計
サンプルの粉末X線回折パターンを、Cu Kα線 (40kV, 40mA)、自動XYZステージ、レーザービデオ顕微鏡(オートサンプルポジショニング用)およびHiStar二次元面積検出器を用い、Bruker AXS C2 GADDS 回折計を用いて入手した。X線光学装置は、0.3mmのピンホールコリメータを取り付けたシングルのGoebel多層膜ミラーから構成される。
【0126】
ビームの広がり角、即ち、サンプル上のX線ビームの有効サイズ
は約4mmであった。サンプルと検出器の距離20cm、有効2θレンジ3.2°〜29.8°でθ−θ連続スキャンモードを用いた。典型的なサンプルの露光時間は120秒とした。
【0127】
周囲の条件下で用いるサンプルは、グライディングを伴わずに得た粉末を用いて平板状の切片として調製した。約1〜2mgのサンプルをガラススライド上で軽くプレスして平らな表面にした。コントロールソフトウェア:GADDS for WNT v 4.1.16. 解析ソフトウェア:Diffrac Plus Release 3 EVA v 9.0.0.2
【0128】
5.
重量法による蒸気収着分析(GVS)試験
CFRSorp ソフトウェアで動作するHiden IGASorp吸湿等温線解析装置を用いて等温線を収集した。サンプルは典型的に約10 mgとした。吸湿/脱着等温線を以下のようにして得た。恒温恒湿度(相対湿度約40%、25℃)にて、サンプルをロードおよびアンロードした。標準等温線は、RH40%を出発点としてシングルサイクルで行った。湿度のステップは以下のとおり:40,50,60,70,80,90,85,75,65,55,45,35,25,15,5,0,10,20,30,40.コントロールおよび解析ソフトウェア:IGASorp Controller v 1.10, IGASorp Systems Software v 3.00.23.
【0129】
6.
1HNMR
自動サンプラーを取り付けたBruker 400MHzを用いてスペクトルを収集した。サンプルはd6-DMSO中で調製した。
【0130】
7.
純度分析
純度分析は、ダイオード電極検出器を取り付けたAgilent HP1100 システムを用いて行った。
方法: グラジェント
カラムの詳細: Betabasic C18, 5μm, 150 x 4.6mm
カラム温度: 25℃
注入量: 5μl
流速 ml/分: 0.8ml/分
検出波長: 325nm
相 A: 0.1% v/v ギ酸水溶液
相 B: アセトニトリル :水 90:10(0.1% v/v ギ酸を含有)
【表5】

【表6】

実施例1:中間体スルホニルウレア カルバメート (8)の合成
【化14】

工程1−調製 5−クロロチオフェン−2−スルホニルクロリド:
【化15】

【0131】
以下の方法は、C. A. Hunt, et al. J. Med. Chem. 1994, 37, 240-247に準じて行った。攪拌装置、エアコンディショナー、滴加漏斗および防水管(moisture-guard tube)を取り付けた三口丸底フラスコにクロロスルホン酸(240mL、3.594mol)を入れた。攪拌しながら、PCl5(300g、1.44mol、0.40当量)を、約45分間かけて少量ずつ加えた。添加している間は、大量のHClガスが発生したが、混合物の温度はあまり上がらなかった(<40℃)。すべてのPCl5を添加するまでに、ほぼ透明で,淡黄色の溶液が得られたが、ごく少量のPCl5のかけらが懸濁液中に浮いていた。ガスの発生がなくなるまで攪拌した(0.5時間)。
【0132】
次いで、反応容器を氷中で冷却し、2−クロロ−チオフェン(66.0mL、0.715mol)を1.0時間かけて滴加漏斗により添加した。最初の数滴2−Cl−チオフェンを添加すると、混合物は濃紫色に変化し、チオフェンをすべて添加した時点で濃紫色の溶液が得られた。添加している間は、HClガスがゆっくりと継続的に発生した。次いで、反応混合物を室温で一晩攪拌した。
【0133】
次いで、濃紫色の透明な溶液の混合物を、0.5時間かけてクラッシュ・アイス(3L)に滴加した。氷に添加すると濃紫は直ぐに消失した;無色の希薄なエマルジョンを室温にて約15時間攪拌装置で攪拌した。ついで、混合物をCH2Cl2(3x300mL)で抽出した。集めたCH2Cl2抽出物を水(1x200mL)、飽和NaHCO3(1x250mL)、ブライン(1x100mL)で洗浄し,乾燥し(Na2SO4)、ロータリーエバポレーターで濃縮し、粗製物を淡黄色の固化して半固体を生じる傾向を示す糊状物として得た。次いで、これを、高真空蒸留(bp110−112o/12mm)により精製して表題の化合物135.20g(88%)を無色の/淡黄色の半固体として得た。
【0134】
工程2−5−クロロチオフェン−2−スルホンアミド:
【化16】

以下の方法は、C. A. Hunt, et al. J. Med. Chem. 1994, 37, 240-247に準じて行った。メカニカルスターラーを取り付けた三口丸底フラスコに濃NH4OH (500 mL, 148.50 g NH3, 8.735 mol NH3, 13.07 当量NH3)を入れた。氷で氷でフラスコを冷却し、5-クロロチオフェン-2-スルホニルクロリド (145.0 g, 0.668 mol)を0.5時間かけて少量ずつ加えた(低融点の固体であり、加温して融解した後、広径のポリエチレンピペットにて便利に添加する)。反応フラスコ中でスルホニルクロリドが直ぐに固化する。スルホニルクロリドをすべて加えたら、フラスコをTHF (25 mL)でリンスし、反応容器に移した。次いで、重厚な懸濁液を室温で約20℃にて攪拌した。攪拌終了時には、反応混合物はまだ懸濁状態であったが質感が異なっていた。
【0135】
次いで、混合物を氷で冷却し、H2O (1.5 l)で希釈し、濃HClで約pH3に酸性化した。固体の生成物をBuchner漏斗を用いて濾過により集め、冷水でリンスし、風乾して表題の化合物を無色の固体(103.0 g、78%)として得た。MS (M-H): 196.0; 198.0.
【0136】
工程3−エチル5−クロロチオフェン−2−イルスルホニルカルバメート:
【化17】

メカニカルスターラーおよび滴下漏斗を取り付けた2L容の三口 丸底フラスコに、THF (900 mL)中スルホンアミド (60.0 g, 303.79 mmol)および Cs2CO3 (200g, 613.83 mmol, 2.02当量)を入れた。透明な溶液を氷で冷却し、エチルクロロホルメート (70.0 mL, 734.70 mmol, 2.418当量)を約30分かけて加えた。次いで、重厚な懸濁液を約36時間室温で攪拌した。
【0137】
次いで、混合物を水(200mL)で希釈して無色透明の溶液を得、これをロータリーエバポレーターで濃縮して3分の1の体積にした。次いで、これをEtOAc(250mL)で希釈し、氷で冷却し、6NHClでpH約1に酸性化した。二相性の混合物を分液漏斗に移し、層を分離し、水層を2x75mLEtOAcで再度抽出した。集めた有機抽出物を水/ブライン(2x50mL)、ブライン(1x50mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮して表題化合物をやや色づいた油状物として得た。これをシリカゲルプラグを用いた濾過により精製した。粗製物をEtOAc中、焼結式漏斗上のシリカゲルプラグにアプライした後、EtOAc(1L)で溶出した。EtOAcろ液を濃縮して表題の化合物8を無色の固体として得た(71.28g、87%)。MS (M-H): 268.0; 270.0. 1H NMR (DMSO): δ 7.62 (d, 1H), 7.25 (d, 1H), 4.10 (q, 2H), 1.16 (t, 3H).
【0138】
実施例2:[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレア(7a)の合成
【化18】

工程1
アニリン 1 (1H NMR (DMSO): δ 7.58 (dd, 1H), 6.72 (dd, 1H), 3.77 (s, 3H); 6.0 g, 32.085 mmol)を500mLの丸底フラスコに入れ、トルエン中の20%ホスゲン(175mL、332.50mmol、10.36当量)を加えた。得られたやや粘稠な懸濁液を、マグネティックスターラーで室温にて一晩攪拌し、無色透明の溶液を得た。アリコートを分取し、アルゴンで風乾し、MeOHでクエンチし、RP−HPLC/MSにより解析し、未反応のアニリン1を含まず、イソシアネート2aおよび/またはそのメチルカルバメートとして分析されるカルバモイルクロリド2bのクリーンな形成が示された。この混合物をはじめにロータリーエバポレーター、次いで高真空下で濃縮してイソシアネート 2a および/または カルバモイル クロリド 2b(6.76g、収率99%)を流動性のある(free-flowing)無色の固体として得た。
【化19】

【0139】
工程2
500mLの丸底フラスコに、DMF(100mL)中のN−Boc−1,4−フェニレンジアミン(6.22g、29.866mmol、1.20当量)を入れた。トリエチルアミン(5.30mL、38.025mmol、1.52当量)をシリンジにて加えた。次いで、透明の暗褐色の溶液を、DMF(50mL)中のイソシアネート2a(5.30g、24.88mmol)および/またはカルバモイルクロリド2bの溶液を15分間かけて滴加して処理した。添加し終えた後、やや濁った混合物が得られ、これを室温で一晩攪拌した。MeOHでクエンチした後、アリコートを分析し、未反応のイソシアネートを含まず、尿素3aおよびキナゾリン−1,3−ジオン4aの約2.5:1でのクリーンな形成が示された。MS(M−H):388.0.
【0140】
次いで、DBU(3.75mL、25.07mmol、約1.0当量)をシリンジで5分間かけて滴加し、透明な暗褐色の溶液を得た。これを室温で3.0時間攪拌して濁った混合物を得た。HPLC分析により、尿素3aを含まず、キナゾリン−1,3−ジオン4aのきれいな形成が示された。反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮して粗製物を固体として得た。これを高真空下で乾燥し、CH2Cl2/H2O(5:1)でトリチュレーションして8.40gの4aをほぼ無色の固体(収率87%)として得た。1H NMR (DMSO): δ 9.39 (s, 1H), 7.68 (dd, 1H), 7.45 (d, 2H), 7.03 (m, 2H), 6.98 (dd, 1H), 1.48 (s, 9H).
【化20】

【0141】
工程3
N−Boc−アニリン4a(4.0g、10.28mmol)を丸底フラスコに入れ、4NHClのジオキサン溶液(50.0mL、200mmol、19.40当量)を加えた。重厚な、僅かに水和した懸濁液を室温にて5.0時間攪拌した。HPLCは、出発物質を含まず、アニリン5aのきれいな形成を示した。次いで、混合物をロータリーエバポレーターで濃縮して粗製物を得た。得られた固体をCH2Cl2でトリチュレーションして3.22gの純粋な5aをほぼ無色の固体として得た(収率96%)。
MS (M-H): 290.3. 1H NMR (DMSO): δ 11.75 (s, 1H), 7.88 (dd, 1H), 7.32 (m, 4H), 7.21 (dd, 1H).
【0142】
工程4
【化21】

ジフルオロ化合物5a(1.0g、3.072mmol)をスクリューキャップで密閉した試験管に入れた。DMSO(20mL)、次いでメチルアミン(THF中2.0M)(15.0mL、30mmol、9.76当量)を加え、透明な液体を得た。次いで、これを油浴中で110℃に3時間加熱した。HPLCは、未反応の5aを含まず、5bのきれいな形成を示した。次いで、混合物を室温に冷却し、MeNH2およびTHFすべて留去し、残留物を100mL水とともに蒸留して5bを析出させた。室温にて約2時間攪拌した後、無色の固体をBuchner 漏斗を用いた濾過により集め、H2O(100mL)でリンスし、空気乾燥した。この固体をHPLC分析は、この固体が純粋であり、DBUを含まないことを示した。この固体を、このアニリンを得た前の経路と同様に、Et2O、次いでCH2Cl2でトリチュレーションすることによりさらに精製し、875mgの表題化合物(収率95%)を得た。
MS (M+1) 301.2. 1H NMR (DMSO): δ 11.10 (s, 1H), 7.36 (d, 1H), 6.78 (d, 2H), 6.75 (m, 1H), 6.56 (d, 2H), 6.20 (d, 1H), 5.18 (d, 2H), 2.76 (d, 3H).
【0143】
工程5 1-(5-クロロチオフェン-2−イルスルホニル)-3-(4-(6-フルオロ-7-(メチルアミノ)-2,4-ジオキソ-1,2-ジヒドロキナゾリン-3(4H)−イル)フェニル)尿素(7a)の合成:
【化22】

CH3CN (1300 mL)中、アニリン (16.0 g, 53.33 mmol)および エチル-スルホニル-カルバメート (28.77g, 106.66 mmol, 2.0当量)を含む混合物を36時間加熱還流した。この間、反応混合物は、重厚な懸濁液のままであった。HPLC分析は、反応がよく進み、未反応のアニリンが<1%であることを示した。重厚な懸濁液を室温に冷却し、Buchner 漏斗を用いて濾過した。無色の固体の生成物をさらにCH3CN (3 x 40 mL)でリンスした。ろ液のHPLCは、痕跡量の所望の生成物しか存在しておらず、大部分が過剰のカルバメートであることを示した。次いで、粗製物をCH2Cl2 (400 mL)でトリチュレーションし、大部分の無色の固体の生成物をBuchner 漏斗を用いる濾過により集めた:収量, 25.69g (92%).
MS (M+1): 524.0; 526.0. 1H NMR (DMSO): δ11.20(s,1H), 9.15(s,1H), 7.68(d,1H), 7.42(d,2H), 7.36(d,1H), 7.26(m,1H), 7.16(d,1H), 6.78(m,1H), 6.24(d,1H), 2.78(d,3H)。
【0144】
実施例3:[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレア(6a)および塩(7a)の合成
【化23】

工程1:
【化24】

メチル 2-アミノ-4,5−ジフルオロベンゾエート [2] (38 Kg, 1.0当量)および ジクロロメタン (560 Kg, 8X, ACS >99.5%)をPP1-R1000リアクター(2000L GL リアクター)に入れた。反応混合物を5分間攪拌した。4-ニトロフェニルクロロホルメート( 49.1 Kg, 1.2当量)、次いでジクロロメタン (185Kg)ををPP1-R2000 リアクター (200L)に入れ、5分間攪拌した。200L リアクターを加圧した後、4-ニトロフェニルクロロホルメート溶液を、 [2]のジクロロメタン溶液を入れた2000L リアクターに移した。反応混合物を、窒素ガス下、40 ± 5 ℃にて3時間加熱(還流)した。TLC分析により反応の完結(製造過程 TLC, 残存する化合物2なし; 99:1 CHCl3-MeOH)を確認した。溶液を30℃に冷却し、460 Kgのジクロロメタンを真空下で留去した。2000Lのリアクターに520 Kgのヘキサンを入れ、リアクターの内容物を0 ± 5 ℃に冷却して4時間攪拌した。得られた固体を、T-515 LF TyparフィルターのシートおよびMel-Tuf 1149-12濾紙のシートを敷いたGF Nutsche フィルターで濾過した。フィルターケーキを20 Kgのヘキサンで洗浄し、重量が一定になるまで35℃にて真空乾燥した。乾燥した生成物 (70.15 Kg)が収率98%で得られた。生成物を1H NMRおよび TLC分析により確認した。
【0145】
工程2.
3-(4-アミノフェニル)-6,7−ジフルオロキナゾリン-2,4(1H,3H)−ジオン塩酸塩,化合物5bの合成
【化25】

The PP1-R1000 (2000L GL リアクター) リアクターに3a (64.4 Kg, 1.0当量), 無水テトラヒドロフラン (557 Kg)および トリエチルアミン (2.2 Kg, 0.1当量)を入れた。2000L GL リアクターの装入ラインをテトラヒドロフラン (10 Kg)でリンスした。リアクターの内容物を25分間攪拌した。その間に完全な溶液が得られた。PP1-R2000 (200L HP リアクター) リアクターにN-Boc-p-フェニレンジアミン (38 Kg, 1.0当量), テトラヒドロフラン (89 Kg)を入れ、完全な溶液が得られるまで30分間攪拌した。200L HP リアクターの内容物を、化合物3aを含む2000L GL リアクターに移し、65 ± 5 ℃ で 2時間攪拌した。出発物質3a (製造過程規格<1%)の消失を確認後、HPLCによる反応の完結とした。2000L GL リアクターの内容物を20 ± 5 ℃に冷却した後、ナトリウムメトキシド(メタノール中25%、41.5 Kg、1.05 当量)を、温度を30℃以下に維持しながら20分かけて加えた。装入ラインをテトラヒドロフラン (10 Kg)でリンスした。内容物を25 ± 5 ℃にて4時間攪拌した。製造過程HPLC分析により、反応混合物中に残存する化合物3bの量が<1%になったとき、反応の完結を確認した。この反応混合物に、濾過したプロセス水(500 Kg)を加え、2000L GLリアクター内容物を、300kgの溶媒が蒸留されるまで、きれいな200L GLレシーバーへ真空下で蒸留した。得られた固体をGL Nutscheフィルターを用いて濾過し、固体の化合物4bの色が白〜灰色がかった色になるまでプロセス濾過水で洗浄した。2000L GLリアクターに湿った化合物4bフィルターケーキ,ジオキサン(340Kg)を入れ、内容物を1時間攪拌した。得られた濾過可能な固体をT−515LF Typar濾紙のシートを敷いたGL Nutsche フィルターで濾過した。固体のケーキを2時間風乾した後、ジオキサン(200Kg)を2000L GLリアクターに入れた。内容物を10分間攪拌し、4NHClのジオキサン(914Kg)溶液を、3時間かけて加え、内部の温度を30℃以下に維持した。装入ラインをさらなるジオキサン(10Kg)でリンスし、リアクターの内容物を6時間25±5℃にて攪拌した。化合物4bの化合物5bへの変換についてHPLCによりモニターし反応の完結を確認した(反応混合物中の対照化合物4が<1%)。リアクターの内容物を5+5℃に2時間冷却し、得られた固体をGL Nutscheフィルターで濾過した後ジオキサン(50Kg)で洗浄した。フィルターケーキを8±7psigの窒素で30分間風乾し、HPLCにより純度を分析した。濾過した固体を、真空オーブン中、重量が一定になるまで45℃にて48時間乾燥した。化合物5b(65.8Kg,実際の収率110.6%)が得られ、1HNMRおよびHPLCにより分析した。1H NMR (DMSO): δ 11.75 (s, 1H), 7.88 (dd, 1H), 7.32 (m, 4H), 7.21 (dd, 1H).
【0146】
工程3.3−(4−アミノフェニル)−6−フルオロ−7−(メチルアミノ)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン、化合物5cの合成
【化26】

PP1-R2000 (200 L HP リアクター)に化合物5b (18 Kg, 1.0 eq.)を入れ、100 ± 5 psigの窒素で加圧した。通気管路を介してリアクターから窒素を排気させ、コンデンサーバルブを開け、ジメチルスルホキシドをリアクター (>99.7%, 105 Kg)にアルゴン雰囲気下で入れた。リアクターの内容物を22℃ (19-25℃)で15分間攪拌した後、200L HP リアクターを最大減圧で吸引しすべてのバルブを閉じた。確立された真空を用いて、200LのHP リアクターに、メチルアミン (無水エタノール中33%重量%, 37.2 Kg)を内部の温度を25 ± 5 ℃に維持する速度で加え、添加中は試薬の溶液上に窒素雰囲気を保った。
装入ラインをジメチルスルホキシド(5 Kg)でリンスした後、200L HP リアクター のコンデンサーバルブを閉じて、リアクターの内容物を110 ± 5 ℃に加熱した。リアクターの内容物を110 ± 5 ℃にて少なくとも5時間攪拌した。5時間40分後に行ったHPLCでは化合物5bの含量が0. 09%であり、反応の完結を示した(製造過程規格1%)。200L HP リアクターの内容物を25 ± 5 ℃に冷却した。200L リアクター を冷却している間、PP1-R1000 リアクター (2000L GL リアクター)のすべてのバルブは閉じ、プロセス濾過水水 (550 Kg)を入れた。200L HP リアクターの内容物を2000L GL リアクターに15分間かけて移した後、装入ラインをプロセス濾過水(50 Kg)でリンスした。2000L GL リアクターの内容物を5 ± 5 ℃にて2時間攪拌した。得られた濾過可能な固体を、真空下で、Mel-Tuf 1149-12濾紙を敷いたPPF200 (GL nutsche フィルター)で濾過した。湿ったフィルターケーキを、Dupont フルオロカーボンフィルム (Kind 100A)で、予めリンスした真空トレイに移した。特殊なオーブンペーパー (KAVON 992)を、湿った化合物6を含む真空トレイに締め付け、真空オーブントレイドライヤーに移した。オーブンの温度を55 ℃にセットし、化合物6を重量が一定になるまで12時間乾燥した。生成物5cを得た(12.70 Kg、収率 76.5% (期待値85〜95%))。HPLCは純度が98.96 %であることを示し、1H NMRにより化合物5cの構造を確認した。1H NMR (DMSO): δ 11.10 (s, 1H), 7.36 (d, 1H), 6.78 (d, 2H), 6.75 (m, 1H), 6.56 (d, 2H), 6.20 (d, 1H), 5.18 (d, 2H), 2.76 (d, 3H).
【0147】
工程4. 5-クロロ-N-(4-(6-フルオロ-7-(メチルアミノ)-2,4-ジオキソ-1,2-ジヒドロキナゾリン-3(4H)−イル)フェニルカルバモイル)チオフェン-2-スルホンアミド
【化27】

PP1-R2000 (200L HP リアクター) リアクターに6 (20.7Kg, 1.0当量), エチル 5-クロロチオフェン-2−イルスルホニルカルバメート (37.5 Kg, 2.0 equiv, >95%), ジメチルスルホキシド(>99%, 75 Kg)を入れ、15分間攪拌した。達成し得る最大の減圧を適用しながら、200L HP リアクター Number PP1-R2000を65 ± 5 ℃にて15分間加熱した。HPLC分析のためにリアクターからサンプルを採取し、製造過程でのHPLCにより、反応混合物中に残存する化合物5cが<0.9%であることを示した(反応の完結に関する製造過程の判断基準は化合物6<1%)。800L リアクター number PP5-R1000にプロセス濾過水 (650 Kg)を入れ、200L HPの内容物を、内部の温度を25℃以下に保ちながら800 Lに移した。200L HP リアクターをジメチルスルホキシド(15 Kg)でリンスし、800L リアクターに移し、5 ± 5 ℃にて2時間攪拌した。形成した固体を、減圧下、PP-F2000フィルターで200L GL レシーバーに濾過し、フィルターケーキをプロセス精製水でリンスした。ウェットケーキのサンプルを取り、化合物6aの純度が<95%であるか、HPLC分析を行った(製造過程のコントロール<95% ジクロロメタントリチュレーションが必要)。800L GL リアクターにすべての湿った化合物6a, ジクロロメタン (315 Kg)を入れ、3 hrs時間攪拌した。固体を、1枚のT515 LF TYPAR フィルターを敷いたGL nutsche フィルターで減圧下で濾過した。フィルターケーキジクロロメタン (50Kg)で洗浄し、ケーキを8 ± 7 psigの窒素で15分間風乾した。フィルターケーキを、予めDupont フルオロカーボンフィルム(Kind 100A)を敷いた真空トレイに移し、60℃にセットした真空オーブントレイドライヤーに12時間入れた。所望の化合物6aを単離した(33.6 Kg, 収率93%)(HPLCによる純度93.5%および 4.3%のスルホンアミド)。1H NMRにより化合物7の構造を確認した。
1H NMR (DMSO):δ11.20 (s,1H), 9.15 (s,1H), 7.68 (d,1H), 7.42 (d,2H), 7.36 (d,1H), 7.26 (m,1H), 7.16 (d,2H), 6.78 (m,1H), 6.24 (d,1H), 2.78 (d,3H)。
【0148】
工程5.カリウム(5−クロロチオフェン−2−イルスルホニル)(4−(6−フルオロ−7−(メチルアミノ)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)フェニルカルバモイル)アミド7a
【化28】

800Lの GL リアクター number PP5-R1000に、アセトニトリル (134 Kg), WFIグレードの水 (156 Kg)を入れ、内容物を5分間攪拌した。次いで、これに化合物6a (33.6 Kg, 1.0当量)を入れ、反応混合物はこの時点では懸濁液であった。懸濁液に、水酸化カリウム(4.14 Kg, 1.15 equiv, >85%)の水溶液(WFI水, 35 Kg)を内部の温度を30℃以下に維持する速度で加えた。装入ラインをWFIグレード水 (2 Kg) でリンスした後、800L GL リアクター の内容物を50 ± 5 ℃ まで1時間加熱した。次いで、内容物をフィルターバッグ、次いでセブンカートリッジ0.2μポリッシュフィルターでで熱濾過し、HDPEドラムをきれいにした。濾過プロセスの間、熱濾過システムを物質が溶液の外へ飛び出さないように保った。800LのGL リアクタージャケットを25 ± 5 ℃に冷却した後、リアクターをリンスした。アセトニトリル (8.5 Kg)および WFIグレード水 (10 Kg)の予め混合した溶液で、フィルターシステムから7a熱濾過と表示したドラムへと経由して800L GL リアクターをリンスした。圧力容器を用いて、800L GL リアクターをWFIグレード水 (20 Kg)、次いでアセトン(20 Kg)でリンスした後、窒素を吹き付けて(3+ 2psig)乾燥した。800GL リアクターの底のバルブを閉め、20 + 10 インチHgで減圧した後、減圧を中断し、リアクター に7a熱濾過と表示したドラムの内容物を入れた。800Lの GL リアクター number PP5-R1000の内容物を20 ± 5 ℃に加熱した後、ポリッシュフィルター(PP-PF09)を用い、リアクターにメタノール (373 kg, >99%)を内部の温度を30℃以下に維持しながら入れた。800GL リアクター number PP5-R1000を15 ± 5 ℃に冷却した後、この温度で内容物を12時間攪拌した。この間、濾過可能な固体を、きれいな濾過装置(PP-F1000)できれいな200L GLレシーバー(PPR-04)へ濾過した後、リアクターを加圧し、フィルター/レシーバーを20 + 10インチHgで吸引して内容物を濾過した。フィルターケーキをメタノール (30 Kg)で洗浄し、8 + 7 psigの窒素を吹き付けて10分間乾燥した。真空オーブントレイドライヤーの温度を80℃にセットした後、7aの湿潤ケーキを入れた。湿潤フィルターケーキを、Dupontフルオロカーボンフィルム−Kind 100Aで予め裏打ちした真空トレイに移し、湿潤生成物7aと含む真空トレイ上に特別なオーブンペーパー(Kavon Mel Tuf paper)で締め付け、真空オーブントレイドライヤーへ移した。オーブンの温度を80℃にセットし、湿潤7aを一定の重量まで乾燥した(一定の重量とは、少なくとも1時間おいたトレイの測定値が+50g以内の同じ重量であると定義する)。残留した溶媒についてサンプルを分析(APIについての残存溶媒の規格)したが、規格を満たしていた。最終のAPIを、WFIグレード水が存在するトレイで、水 (5-6%)で12時間平衡化した後、回転させてさらに12時間置き、最終的にKF分析に付した(水分含量5.5%)。7-カリウム (21.80 Kg, 60.6% yield)を二重の頑丈なポリ袋に移し、二次格納(secondary containment)で保存した。HPLCによる7aの純度は99.7%であり、1H NMRにより7aの構造を確認した。
1H NMR (DMSO): δ 11.14 (s, 1H), 8.60 (s, 1H), 7.48 (m, 2H), 7.35 (d, 1H), 7.22 (d, 1H), 6.95 (m, 3H), 6.75 (m, 1H), 6.22 (d, 1H), 2.78 (d, 3H).
【0149】
実施例4 In Vitro でのADP−惹起 血小板凝集の阻害
ADP惹起ヒト血小板凝集に対する本発明の化合物の効果を、ヒト血小板豊富結晶(PRP)またはヒト洗浄血小板のいずれかを用い、96ウェルマイクロプレートアッセイ(一般的手順についてはJantzen, H. M. et al. (1999) Thromb. Hemost. 81:111-117を参照)または標準的なキュベット光透過率凝集測定で評価した。
【0150】
凝集アッセイのたえのヒト血小板豊富血漿の調製は、健康で薬を服用していないボランティアからヒト静脈血を、0.38 %クエン酸ナトリウム(最終、0.013 M, pH 7.0)に採取する。血小板豊富血漿 (PRP)は、全血を、室温にて、160×gで20分間遠心することにより調製する。PRP層を取り分け、新しい試験管に移し、必要であれば血小板希薄血漿(PPP)を用いて血小板数を約3×108/mLに調整する。PPPは、残りの血液サンプル(PRPを除いた後の)を、800×gで20分間遠心することにより調製する。このPRPの調製物は、96ウェルプレートまたは標準的なキュベット凝集測定のいずれかにおいて凝集試験のために用いることができる。
【0151】
洗浄血小板の調製は、ヒト静脈血を健康な薬服用していないボランティアから、PGI2含有ACD(終濃度0.2 μMのPGI2を含有する1.25 mlのACD; PGI2はSigma, St. Louis, Mo.から入手した)(85 mM クエン酸ナトリウム, 111 mM グルコース, 71.4 mM クエン酸)に採取する。血小板豊富血漿 (PRP)は、室温にて160×gで20分間遠心することにより調製する。洗浄血小板はPRPを730gで10分間遠心し、血小板を、1U/ml のアピラーゼ (グレードV, Sigma, St. Louis, Mo.)を含有するCGS (13 mM クエン酸ナトリウム, 30 mM グルコース, 120 mM NaCl; 2 ml CGS/10 ml血液原容量)に再懸濁することにより調製する。37℃で15分間インキュベーションした後、血小板を730gで10分間遠心することにより集め、0.1%ウシ血清アルブミン、1 mM CaCl2および 1 mM MgCl2を含有するHepes-Tyrode'sバッファー(10 mM Hepes, 138 mM NaCl, 5.5 mM グルコース, 2.9 mM KCl, 12 mM NaHCO3, pH 7.4)に3×108/mLの濃度に再懸濁する。この血小板懸濁液は凝集アッセイに使用する45分より前に37℃に維持する。
【0152】
キュベット光透過凝集アッセイ用に、96ウェルV底プレートにて、100%DMSO中で試験化合物の段階希釈 (1:3)を調製した(キュベット内の最終DMSO濃度0.6%)。試験化合物(DMSO中の連続希釈3 μl)を、凝集反応を開始する前に、PRPと30〜45分間プレインキュベーションし、アゴニスト(5または10 μM ADP) 37℃にて490μLのPRPに添加することにより、ChronoLog 血小板凝集計で測定を行った。場合によっては、光透過凝集測定を、37℃にて490 μLの洗浄血小板(上記のとおり調製)を用い、5μM のADPおよび0.5mg/mLのヒトフィブリノゲン(American Diagnostics, Inc., Greenwich, Conn.)を添加することにより凝集を開始した。凝集反応を5分間記録し、アッセイの5分間に生じた最大凝集と比較した、ベースラインでの凝集の程度の違いによって最大の凝集を測定した。凝集の阻害は、阻害剤の不在下での最大凝集と比較した、阻害剤の存在下で観察された最大凝集として計算した。IC50は、Prism software (GraphPad, San Diego, CA)を用い、非線形回帰解析によって求めた。
【0153】
さらに、Frantantoni et al., Am. J. Clin. Pathol. 94, 613 (1990)に記載の方法と同様にマイクロタイタープレートシェーカーおよびプレートリーダーを用いて96ウェル平底マイクロタイタープレートにてADP惹起 凝集も測定した。すべての工程は室温で行う。血小板豊富血漿(PRP)を用いる96ウェルプレート凝集用に、計0.2 ml/ウェルの反応容量には、PRP 180 μl (約3×108 血小板/ml、上記参照), 20% DMSO中の試験化合物またはバッファー (対照ウェル用)の段階希釈 6 μl,および20X ADP アゴニスト溶液 (100 μM) 10 μlを含む。次いで、サンプルのODを、マイクロタイタープレートリーダー(Softmax, Molecular Devices, Menlo Park, Calif.)を用いて450nmにて測定し、0分での測定値とする。次いで、マイクロタイタープレート シェーカーにてプレートを5分間アジテーションし、プレートリーダーで5分での測定値を得る。凝集は、t=0分と比較した、450 nm のODのt=5分での減少分から計算し、凝集しなかった対照サンプルにおける変化について修正後、ADP対照サンプルにおける減少の%として表示する。IC50は、非線形回帰分析によって求めた。
【0154】
洗浄血小板を用いた96ウェルプレート凝集用に、計0.2 ml/ウェルの反応容量には、Hepes-Tyrodes バッファー/0.1% BSA: 4.5 X 107 アピラーゼ洗浄血小板, 0.5 mg/ml ヒトフィブリノゲン(American Diagnostica, Inc., Greenwich, Conn.), 0.6% DMSO中の試験化合物 (対照ウェル用にバッファー)の段階希釈を含む。5分後、室温でプレインキュベーションし、ADPを加えて最終濃度2 μMとし亜最大凝集を誘導する。ADPの代わりにバッファーを1セットの対照ウェルに添加する(ADP-コントロール)。次いで、サンプルのODを、マイクロタイタープレートリーダー(Softmax, Molecular Devices, Menlo Park, Calif.)を用いて450nmにて測定し、0分での測定値とする。次いで、マイクロタイタープレート シェーカーにてプレートを5分間アジテーションし、プレートリーダーで5分での測定値を得る。凝集は、t=0分と比較した、450 nm のODのt=5分での減少分から計算し、凝集しなかった対照サンプルにおける変化について修正後、ADP対照サンプルにおける減少の%として表示する。IC50は、非線形回帰分析によって求めた。
【0155】
II.血小板に対する[3H]2−MeS−ADP結合の阻害
1. 血小板上のP2Y12レセプターに対する[3H]2-MeS-ADPの結合を阻害する候補分子の能力を放射性リガンド結合アッセイを用いて測定した。このアッセイを用いて、全血小板に対する[3H]2-MeS-ADP結合についてのそのような化合物の阻害の力価を測定する。以下のII(3)に記載する条件下では、[3H]2-MeS-ADPの結合は、このアッセイにおいて測定される特異的結合はすべてP2Y12アンタゴニストと競合可能である(即ち、特異的結合は過剰のP2Y12アンタゴニストとの競合によってバックグラウンドレベルに減少し、P2Y1アンタゴニストを血小板調製物とプレインキュベーションする場合は競合はない)という点において、このリガンドとP2Y12レセプターとの相互作用のみに起因する。[3H]2-MeS-ADP結合実験は、病院の血液バンクでの標準的な手順によって採取した期限切れのヒト血小板を用いて常套的に行う。アピラーゼ洗浄した期限切れの血小板は以下のように調製する(特記しない限り、すべての工程は室温で行う)。
【0156】
期限切れ血小板懸濁液を1体積のCGSで希釈し、1900×gで45分間遠心することにより血小板をペレット化する。血小板ペレットを、1 U/ml アピラーゼ (グレードV, Sigma, St. Louis, Mo.)を含有するCGS中で懸濁して3〜6×109 血小板/ml とし、37 ℃にて15分間インキュベーションする。730×gで20分間遠心した後、ペレットを、0.1% BSA (Sigma, St. Louis, Mo.)を含有するHepes-Tyrode'sバッファーに再懸濁し、濃度を6.66×108 血小板/mlとする。結合実験は血小板を45分間以上静置させてから行う。
【0157】
あるいは、結合実験を新鮮なヒト血小板を用いて、血小板を0.1% BSA (Sigma, St. Louis, Mo.)を含有するHepes-Tyrode'sバッファーに6.66 X 108 血小板/ミルの濃度で再懸濁することを除いてはセクションI(in vitro でのADP-惹起血小板凝集の阻害)に記載した通り行う。新鮮な血小板および期限切れ血小板について非常に類似した結果が得られた。
【0158】
トリチウム化した強力なアゴニストリガンド [3H]2-MeS-ADPを用いる血小板ADPレセプター結合 (ARB) アッセイ(Jantzen, H. M. et al. (1999) Thromb. Hemost. 81:111-117)を96ウェルマイクロタイターフォーマットに適合させた。このアッセイでは、0.1% BSAおよび 0.6% DMSO, 1 X 108 アピラーゼ洗浄血小板を添加した0.2 ml Hepes-Tyrode's バッファーを96ウェル平底マイクロタイタープレートにて、試験化合物の段階希釈と5分間プレインキュベーションした後、1 nM [3H]2-MeS-ADP ([3H]2-メチルチオアデノシン-5'−ジホスフェート, アンモニウム塩; 比活性 20-50 Ci/mmole, Amersham Life Science, Inc., Arlington Heights, Ill.,またはNEN Life Science Products, Boston, Mass.より合成を注文し入手)を添加する。試験化合物の不在下で全結合を測定する。非特異的結合のためのサンプルは、10 μMの非標識2-MeS-ADP (RBI, Natick, Mass.)を含有し得る。室温で15分間インキュベーションした後、結合しなかった放射性リガンドを急速濾過により分離し、96ウェルセルハーベスター (Minidisc 96, Skatron Instruments, Sterling, Va.)および 8 X 12 GF/C グラスファイバーフィルターマット (Printed Filtermat A, 1450 Microbeta, Wallac Inc., Gaithersburg, Md.)を用いて冷却した (4-8 ℃.)結合洗浄バッファー(Binding Wash Buffer)(10 mM Hepes pH 7.4, 138 mM NaCl)で洗浄した。フィルターマット上で血小板に結合した放射能をシンチレーションカウンター(Microbeta 1450, Wallac Inc., Gaithersburg, Md.)で測定した。特異的結合は、全結合から非特異的結合を控除することにより求め、試験化合物の存在下での特異的結合を、試験化合物の希釈の非存在下での特異的結合に対する%として表示する。IC50は、非線形回帰解析により求めた。
【0159】
以下の表にPRPアッセイにおける活性を示す:+++,IC50<10μM;++,10μM<IC50<30μM。ARBアッセイにおける活性は以下のとおり:+++、,IC50<0.05μM;++,0.05μM<IC50<0.5μM.
【表7】

【0160】
実施例5:[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニルウレアカリウム塩(9a)(アモルファス形態)の合成
【化29】

遊離の酸、スルホニルウレア (7.0 g, 13.365 mmol)をTHF/H2O (55: 22 mL,約2.5:1)に懸濁し、2M KOH (7.70 mL, 15.40 mmol, 1.15当量)を約5分間かけて滴加して処理した。添加が完了するまでには透明な溶液となった。しかし、その後直ぐに(<5分)、固体が析出し、反応混合物は重厚な懸濁液となった。これを油浴中で50℃に加熱し、得られた透明な粘稠な明褐色の溶液をそのまま0.5時間静置した。室温に冷却した後、表題の化合物が析出した。混合物をi-PrOH (250 mL, 3x the original reaction volume)で希釈し、室温で3時間攪拌した後、Buchner 漏斗で濾過して表題の化合物を無色の固体として得た。これを真空オーブンで80℃にて乾燥して7.20g (96%)のアモルファスな固体を得た。MS (ネガティブスキャン): 521.7; 523.7。
【0161】
実施例6:スルホニルウレア(7a)のナトリウム塩(10a)への変換
【化30】

1-(5-クロロチオフェン-2−イルスルホニル)-3-(4-(6-フルオロ-7-(メチルアミノ)-2, 4-ジオキソ-1, 2-ジヒドロキナゾリン-3(4H)−イル) フェニル) 尿素(3.0 g, 5.728 mmol) 7a をCH3CN/H2O) (1:1; 70 mL)に懸濁し、2N NaOH (2.90 mL, 5.80 mmol)を滴加して処理した。約15分以内に、透明な溶液が得られた。1.0時間攪拌した後、明褐色の溶液を凍結乾燥して粗製物10aをアモルファスの固体として得た。MS (ネガティブスキャン): 522.0; 524.0.
【0162】
実施例7:アモルファス形態のナトリウム塩の調製
ナトリウム塩 10bをイソプロパノール (100 mL)に懸濁し、約45分間還流したた後、濾過して黄褐色の固形物を得た(HPLCにより大部分が表題の化合物であった)。この黄褐色の固形物をCH3CN: EtOH (1:2) (100 mL)に懸濁し、45分間還流した後、熱濾過により2.54 gの表題の化合物を黄褐色の固形物として得た(分析HPLC、ロングカラムによる純度99.6887%)。ACN:EtOHの比が1:3になるまでろ液をEtOHで希釈し、室温で一晩静置すると表題の化合物が析出し、表題の化合物210mgを得た(分析HPLC、ロングカラムによる純度: 99.6685%)。
【0163】
実施例8:再結晶による多型A型のカリウム塩の調製
再結晶:最初に加熱還流して溶解させた後室温に冷却して析出させることにより、MeOHまたはMeOH/EtOH (3:1)のいずれかから粗製物を再結晶することができる。
【0164】
MeOHからの再結晶:1.0gのカリウム塩をMeOH (150 mL)に懸濁し、0.5時間加熱還流し、ほぼ透明な溶液を得た。次いで、これをBuchner 漏斗で熱濾過した。透明なろ液を室温で静置すると無色の固形物が堆積した。これを一晩攪拌し、Buchner 漏斗で濾過することにより集めた。固形の生成物をEtOH (2 x 4.0 mL)でリンスし、真空オーブンで80℃にて20時間乾燥させて740 mgの無色の固体を得た。母液を最初の体積の約3分の1まで濃縮してさらに表題の化合物を得た。
【0165】
EtOH/MeOHからの再結晶: 1.0 gのカリウム塩をEtOH/MeOH (1:3)の溶媒混合物 (200 mL)に懸濁し、0.5時間加熱還流してほぼ透明な溶液を得た。次いでこれをBuchner 漏斗で熱濾過した。透明なろ液を室温で静置すると無色の固形物が堆積した。これをBuchner 漏斗で濾過することにより集めた。固形の生成物をEtOHでリンスし、真空オーブンで80℃にて20時間乾燥させて無色の固体を得た。母液を最初の体積の約3分の1まで濃縮してさらに表題の化合物を得た。
【0166】
実施例9:再結晶による多型B型のカリウム塩の調製
再結晶:粗製物は最初に加熱還流して溶解させた後、室温に冷却して析出させることにより、EtOH/H2O (91:9) または少量のMeOHから再結晶することができる。
【0167】
EtOH/H2Oからの再結晶:1.0gのカリウム塩をEtOH (190 mL)に懸濁し、加熱還流した。重厚な懸濁液にH2O (18.0 mL)を滴加して無色透明の溶液を得た。室温に冷却したら表題の化合物が無色の固形物として析出した。これをBuchner 漏斗を用いて濾過により集め、EtOH (2 x 4.0 mL)でリンスした。これを真空オーブンで80℃にて20時間乾燥させて650 mgの無色の固形物を得た。母液を最初の体積の約3分の1まで濃縮してさらに表題の化合物を得た。
【0168】
少量のMeOHからのラージスケール再結晶: 6.6gのカリウム塩をMeOH (30 mL)に懸濁し、5時間加熱還流し、固体はより少ない容量のメタノールには完全に溶けなかった。冷却後、固体を濾過し、iPrOHでリンスした。これを真空オーブンで80℃にて20時間乾燥させ、B型と特徴付けられる6.2gの無色の固体を得た。
【0169】
実施例10 薬力学アッセイの方法
血小板凝集
ヒト静脈血をプラスチック製のシリンジ内に採取し、直ぐに所定量(例えば、最終濃度5μM)のPortola抗凝固剤C921-78 (Xa因子阻害剤(Betz A, Wong PW, Sinha U. Inhibition of factor Xa by a peptidyl-alpha-ketothiazole involves 2 steps: evidence for a stabilizing conformational change. Biochemistry. 1999; 38: 14582-14591を参照))の抗凝固剤を含むプラスチックチューブに入れ、転回により静かに混合した。血小板豊富血漿 (PRP)を全血を160×gで20分間室温にて遠心することにより調製した。PRP層を除去し、新しいチューブに移し、必要であれば血小板希薄血漿(PPP)を用いて血小板数を約3×108/mLに調整した。PPPは、残りの血液サンプル(PRPを除いた後の)を、800×gで20分間遠心することにより調製する。このPRPの調製物は、標準的なキュベット凝集測定に用いることができる。所定量(0.3-0.5mL)のPRPを凝集測定キュベットに入れ、同量のPPPを用いてブランクとする。PRPを攪拌しながら、十分な容量のアデノシンジホスフェート (ADP, Sigma-Aldrich)を加えてキュベット内の最終濃度を10μMとし、光透過率の変化を6分間記録した。各反応について最大の凝集並びに最終の凝集(凝集反応の開始後6分)の程度を測定した。コラーゲン凝集アッセイと同様に、最終濃度4 μg/mlのコラーゲン(Chronolog corporation)を用いて、凝集反応を開始した;光透過率の変化を6分間記録し各反応について最大の凝集を測定した。
【0170】
実時間血栓プロファイラー(RTTP)アッセイ
ヒト静脈血をプラスチック製のシリンジ内に採取し、直ぐに所定量(例えば、最終濃度5μM)のPortola抗凝固剤C921-78の抗凝固剤を含むプラスチックチューブに入れ、転回により静かに混合した。ローダミン6G (最終濃度1.25 μg/ml)を血液に加え、転回により静かに混合し、チューブを37℃にて20分間インキュベーションした。次いで、ローダミン標識した血液を、動脈のずり速度(約1600秒-1)で3型コラーゲンでキャピラリーコートした長方形のグラスに撒き、コラーゲン表面上の血栓形成の程度は、ビデオカメラを用いて蛍光標識した血小板の蓄積を5〜7分間モニターした。全体の血栓形成のプロセス(例えば、経時的な蛍光標識した血小板の蓄積)は平均蛍光強度対時間(秒)から作成した曲線から得られた様々なパラメータの解析により決定した。これらのパラメータとしては、傾き、曲線下面積およびエンドポイントが挙げられる。
【0171】
実施例11ヒト被検者における、式Iの化合物の単回経口液体用量の認容性および薬物動態的および薬力学的効果
ヒトの被検者において、式Iの化合物の単一施設、二重盲検プラセボ対照試験を行った。試験計画を図20に示す。式Iの化合物は水に溶解したカリウム塩(多型B)であった。容認性および安全性の結果を図21に示す。化合物の経時的な平均血漿レベルを図21に示す。化合物の終末半減期は約12時間であった。この半減期は、化合物の血漿レベルをそのIC50以上に維持するための1日1回、2回または3回の習慣的な経口投与レジメに整合するものである。ADP惹起血小板凝集を阻害する化合物の能力を図23に示す。投与から4時間後のex vivoアッセイで6分の時点で測定されたように、10 mg程度の少量の化合物の用量で実質的にADP 血小板凝集を阻害した。阻害は容量依存的 (図23B参照)であった。6分で測定したADP惹起血小板凝集の最大(100%)阻害がより高い用量で得られた。図23Cは、最大振幅で測定したADP惹起 血小板凝集に対する効果を示す。臨床的に重要でないエンドポイントに関して、本化合物は、10mgの最も低い用量でも実質的な程度の阻害をもたらした。薬物の経口投与から4時間後に測定した最大効果は約200mgの用量で達成された。図23Dは、血小板凝集に対する化合物の効果が可逆的であることを示している。60%阻害をもたらした100 mgの用量での投与から4時間後に観察された阻害効果(60%)は、投与から24時間後にはもはや観察されなかった。
【0172】
化合物の血漿濃度と血小板阻害の関係を図24に示す。この図は、ADP惹起 血小板凝集 のIC50が約451 ng/mlであり約1000〜2000 ng/mlの濃度が最大応答に近いことを示している。
【0173】
実験のさらなる態様において、コラーゲン惹起血小板凝集の阻害に対するアスピリンおよび化合物の影響を調べた。式Iの化合物を、30mgの用量で単独で経口投与した場合、コラーゲン惹起血小板凝集アッセイにおいて影響はなかった(図25参照)。アスピリンは、予め325 mg/日の用量で3日間単独投与した場合、アッセイにおいて約40%の減少をもたらした。化合物をアスピリンとともに投与は、実質的により高いコラーゲン惹起血小板凝集の阻害をもたらし、それらの相互作用において実質的な相乗効果があったことを示している。従って、一態様では、本発明の方法は、本発明に従い用いられる化合物およびアスピリン両方による患者の処置を提供する。
【0174】
試験のさらに別の部分では、ヒト被検者における経口処置の効果を、ex vivoアッセイ法として実時間血栓プロファイラー(RTTP)を用いて調べた。RTTPの操作の設定および原理を図26A、BおよびCに示す。式Iの化合物による投与から6時間後の血栓形成の結果を図27に示す。化合物を投与した被検者について、RTTPコラーゲン惹起血小板血栓形成において用量に依存した減少が認められた。100mgの本化合物の用量は、約70%の阻害を示した。30mgの用量の本化合物は、53%の阻害を示した。アスピリンを投与した被検者における30 mgの用量の本化合物は、血栓の完全に近い阻害をもたらし、さらに血栓の縮小につながる不安定な血栓の形成をもたらした。実施例11の結果は、本発明で用いられる化合物のカリウム塩が:
・ヒトの患者において広い範囲(10〜800mg)の経口用量で十分な認容性を有し得;深刻な有害なイベントはなく、有害なイベント、血液動態、研究施設、またはECGの変化に起因して中断されることがない。
・ヒトの患者において10〜100mgの用量に比例した血漿PK増大をもたらす。
・ヒトの患者においてADP惹起血小板凝集の用量依存的および完全な阻害を達成する。
・ヒトの患者において100mgの本化合物の投与後に血小板凝集を阻害し、投与から24時間後までに完全に逆転する。
・血小板凝集 (IC50 約450 ng/ml)についての良好なPK-PD相関関係をもたらす。
・アスピリン(325 mg)とともに実質的に作用してコラーゲン惹起血小板凝集および血栓形成を阻害すると考えられる。RTTPでは、100mgの本化合物または30mgの本化合物とアスピリンの投与後に血栓のほぼ完全な阻害が達成された。
【0175】
実施例12 ヒト被検者における式Iの化合物の単回静脈内用量の認容性および薬物動態的および薬力学的効果
ヒト被検者における式Iの化合物の単一施設二重盲検プラセボ対照試験を行った。認容性を測定するために、健康な被検者(18〜50歳)における式Iの化合物(多型Bのカリウム塩またはPRT128)の単回IV漸増用量の薬物動態的(PK)および 薬力学的 (PD)効果を調べた。実験計画を図28に示す。
【0176】
化合物の単回IV用量(1〜40mg)を8人の健康な被検者(1mgの群の7人の被検者を除いて;6人は活性成分, 2人はプラセボ)の5グループに20分かけて投与し、ランダム化二重盲検で、認容性, 薬物動態的,および 薬力学パラメータを求め、独自の潅流チャンバーを用いて生理学的ずり速度下でのコラーゲン表面における血小板血栓形成と同様に、ADP (10mM)惹起 血小板凝集を6分エンドポイントおよびピーク振幅アッセイを用いて測定した。
【0177】
結果: 標的外への毒性に関し、すべてのIV用量で、深刻なまたは臨床的に有意な有害イベントを伴わず十分な認容性があった。深刻な有害イベントおよび有害イベントに起因する中断は観察されなかった。標準の臨床化学、血液学および凝固実験施設:臨床的に有意の変化または傾向は検出されなかった。ECGにおいて有意の変化は検出されなかった。バイタルサインにおける有意の変化又は傾向は検出されなかった。
【0178】
出血時間に関して、予め定義された出血時間停止基準(出血時間第内>20分およびベースラインから3倍の集団)を40mgの用量で達した。
【0179】
図29は、血漿薬物濃度が用量にともなって増加することを示す。
【0180】
図30は、静脈内投与した化合物のADP惹起血小板凝集を阻害する能力を示す。6分で測定したADP惹起 血小板凝集の最大(100%)阻害はより高い投与量で得られた。凝集の完全な阻害は10, 20,および 40 mgのPRT128用量で達成された。この阻害効果は、IV投与から8時間後までにほぼ完全に消失した。阻害は用量依存的であった。
【0181】
図31は、被検者から採取した血漿サンプル中のADP惹起 血小板凝集の阻害に対する濃度の応答を示す。推定は、ADP惹起後期(late) (6 min) 血小板凝集の阻害対PRT128の血漿濃度についてのEmax モデルに基づく。この試験において、IC50は、601 ng/ml(95% CI: 484〜718 ng/ml)である。
【0182】
実時間血栓形成プロファイラーにおいて、血栓形成の用量依存的阻害を、被検者から採取した血液サンプルを用いてex vivoで解析した(図32)。蛍光標識した血小板を含む全血をコラーゲンコートした表面上を300秒潅流させ。潅流から20分後(Cmax)、40 mgの用量のPRT128は、血栓形成のほぼ完全な阻害を示した(このアッセイで達成可能な最大の阻害に近い)。
【0183】
図33は、出血時間に対する用量依存的効果が時間経過とともに容易に可逆性であることを示す。出血時間は、Surgicutt装置を用い、投与から25分 (Cmax)および 8時間後に測定した。出血時間は用量依存的に増大した。但し、この効果は投与から8時間には逆転した。
【0184】
血栓形成の阻害(RTTP)および出血時間 (BT)延長に対する効果は、128インフュージョン (40 mg)の20分後に最大レベルに達した。投与から8時間後に、BTはベースラインに戻ったが、本化合物の抗血栓効果(-40%阻害)は持続した(図34参照)。これは、出血時間と化合物の抗血栓活性との間の相違を示唆するものである。40%の潜在的な臨床的治療抗血栓レベルでは、PRT128では出血時間が増大しなかった。
【0185】
要するに、IV投与によれば、
・試験化合物は、本質的に完全で迅速でACSの患者を処置するのに有益である血小板阻害を達成した。
・阻害は可逆的であり、したがって化合物は後の緊急の外科的介入を必要とする患者の処置に有用であった。
・阻害は可逆的であり、したがって化合物は緊急の外科的介入を必要とする患者の処置に有用であった。
・試験した化合物のすべての用量 (1- 40 mg)で、安全性の問題や標的以外への毒性の心配なく十分な認容性があった。試験した化合物は、IVボーラスとして45mgまで投与したが、同等に十分な認容性があった。
・服用期間は用量に比例した。
・血小板阻害のマーカーについて良好なPK-PD相関関係が認められた。
・潜在的な臨床治療レベルにおいて、試験した化合物は出血時間に影響を及ぼすことなく血栓形成の阻害を達成した。
【0186】
結論:試験した化合物の投与は、血漿濃度と相関する、迅速で、高レベルの血小板阻害を達成し、より高い用量で血小板凝集および血栓形成の完全な阻害を達成した。
【0187】
上記発明を、理解を明確にするための説明および例示を目的として詳細に記述したが、当業者は、特許請求の範囲内で特定の変更や修飾を行うことができると認識する。さらに、本明細書に記載した各文献はその全内容が、各文献が個々に本明細書の一部を構成するように、本明細書の一部を構成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ADP惹起血小板凝集の阻害の方法であって、式:
【化1】

で示される化合物および少なくとも1つの製薬的に許容し得る賦形剤または担体を含有し、静脈内投与用に製剤化されている医薬組成物をそのような処置を必要とするヒトの患者に静脈内投与することを含んでなる方法。
【請求項2】
前記組成物が前記化合物を1〜50mg含有する単位用量として製剤化されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記単位用量が5〜40mgの化合物を含有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記単位用量が10〜30mgの化合物を含有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記単位用量が15〜25mgの化合物を含有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記単位用量が約20mgの化合物を含有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記単位用量が約25〜45mgの化合物を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
患者が急性冠動脈症候群を有する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
患者がADP惹起 血小板凝集の可逆的な阻害を必要とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
患者に投与の5日以内に出血を伴う外科手術または他の医療処置が予定されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
組成物が、20分間未満のボーラスとして投与される請求項1に記載の方法。
【請求項12】
組成物が、10分間未満のボーラスとして投与される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
組成物が、5分間未満のボーラスとして投与される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
患者にさらにアスピリンを投与する請求項1に記載の方法。
【請求項15】
アスピリンが経口投与される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
患者が予めアスピリンを投与されている請求項1に記載の方法。
【請求項17】
化合物が、製薬的に許容し得る塩として製剤化されている請求項1に記載の方法。
【請求項18】
塩がナトリウム塩またはカリウム塩である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
患者における血小板凝集阻害の実質的な程度が組成物を投与して5分以内に発現する請求項1に記載の方法。
【請求項20】
患者における血小板凝集阻害の実質的な程度が組成物を投与して2分以内に発現する請求項1に記載の方法。
【請求項21】
血小板凝集阻害の実質的な程度が、6分で測定したADP惹起血小板凝集値で少なくとも50%である請求項19に記載の方法。
【請求項22】
血小板凝集阻害の実質的な程度が、6分で測定したADP惹起血小板凝集値で少なくとも70%である請求項19に記載の方法。
【請求項23】
血小板凝集阻害の実質的な程度が、6分で測定したADP惹起血小板凝集値で少なくとも90%である請求項1に記載の方法。
【請求項24】
阻害の発現が迅速である請求項1に記載の方法。
【請求項25】
血栓溶解剤も投与する請求項1に記載の方法。
【請求項26】
血栓溶解剤がTPA、SKまたはTNKである請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ヒトの患者におけるADP惹起血小板凝集を阻害する方法であって、式:
【化2】

で示される化合物および少なくとも1つの製薬的に許容し得る賦形剤または担体を含有し、経口投与用に製剤化されている医薬組成物をそのような処置を必要とするヒトの患者に経口投与することを含んでなる方法。
【請求項28】
前記組成物が前記化合物を1〜800mg含有する単位用量として製剤化されている、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記単位用量が20〜200mgの化合物を含有する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記単位用量が50〜150mgの化合物を含有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記単位用量が10〜50mgの化合物を含有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記単位用量が約20〜40mgの化合物を含有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
患者が急性冠動脈症候群を有する請求項27に記載の方法。
【請求項34】
患者がADP惹起 血小板凝集の可逆的な阻害を必要とする、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
患者に投与の5日以内に出血を伴う外科手術または他の医療処置が予定されている、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
組成物が固体として製剤化される請求項27に記載の方法。
【請求項37】
組成物が、錠剤、カプセル剤または粉末剤として投与される請求項27に記載の方法。
【請求項38】
組成物が液体として投与される請求項37に記載の方法。
【請求項39】
患者にさらにアスピリンを投与する請求項27に記載の方法。
【請求項40】
アスピリンが経口投与される請求項39に記載の方法。
【請求項41】
患者が予めアスピリンを投与されている請求項27に記載の方法。
【請求項42】
化合物が、製薬的に許容し得る塩として製剤化されている請求項27に記載の方法。
【請求項43】
塩がナトリウム塩またはカリウム塩である請求項42に記載の方法。
【請求項44】
患者における血小板凝集阻害の実質的な程度が組成物を投与して1時間以内に発現する請求項27に記載の方法。
【請求項45】
患者における血小板凝集阻害の実質的な程度が組成物を投与して2時間以内に発現する請求項27に記載の方法。
【請求項46】
血小板凝集阻害の実質的な程度が、6分で測定したADP惹起血小板凝集値で少なくとも50%である請求項45に記載の方法。
【請求項47】
血小板凝集阻害の実質的な程度が、6分で測定したADP惹起血小板凝集値で少なくとも70%である請求項46に記載の方法。
【請求項48】
式:
【化3】

で示される化合物および少なくとも1つの製薬的に許容し得る賦形剤または担体を含有し、静脈内投与用に製剤化されている医薬組成物。
【請求項49】
前記組成物が前記化合物を1〜50mg含有する単位用量として製剤化されている、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
前記単位用量が5〜40mgの化合物を含有する、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
前記単位用量が10〜30mgの化合物を含有する、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
前記単位用量が15〜25mgの化合物を含有する、請求項51に記載の組成物。
【請求項53】
前記単位用量が約20mgの化合物を含有する、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
式:
【化4】

で示される化合物および少なくとも1つの製薬的に許容し得る賦形剤または担体を含有し、経口投与用に製剤化されている医薬組成物。
【請求項55】
前記組成物が前記化合物を1〜800mg含有する単位用量として製剤化されている、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
前記単位用量が20〜200mgの化合物を含有する、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
前記単位用量が50〜150mgの化合物を含有する、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
前記単位用量が10〜50mgの化合物を含有する、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記単位用量が約20〜40mgの化合物を含有する、請求項58に記載の組成物。
【請求項60】
ACSを処置するための医薬の製造において使用するための、式:
【化5】

で示される化合物。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公表番号】特表2010−526101(P2010−526101A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506688(P2010−506688)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/062518
【国際公開番号】WO2008/137753
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(506109155)ポートラ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】