相変化メモリ・セル、形成方法、及び形成装置
【課題】 相変化メモリ・セル内に、ボイドがない結晶相変化材料を形成する方法を提供する。
【解決手段】 相変化メモリ・セルを形成するための技術である。例示的な方法は、基板内に下部電極を形成するステップを含む。本方法は、下部電極の上に相変化材料を形成するステップを含む。本方法は、キャッピング層及び絶縁体層を形成するステップを含む。本方法は、相変化層内の相変化材料を結晶化させて、相変化層にボイドがなくなるようにするステップを含む。本方法は、下部電極から、相変化層内の相変化材料を加熱するステップをさらに含み、結果として、相変化層が下部から上部へと結晶化する。一実施形態において、相変化材料を結晶化させるために、急速熱アニール(RTA)を適用する。
【解決手段】 相変化メモリ・セルを形成するための技術である。例示的な方法は、基板内に下部電極を形成するステップを含む。本方法は、下部電極の上に相変化材料を形成するステップを含む。本方法は、キャッピング層及び絶縁体層を形成するステップを含む。本方法は、相変化層内の相変化材料を結晶化させて、相変化層にボイドがなくなるようにするステップを含む。本方法は、下部電極から、相変化層内の相変化材料を加熱するステップをさらに含み、結果として、相変化層が下部から上部へと結晶化する。一実施形態において、相変化材料を結晶化させるために、急速熱アニール(RTA)を適用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ・メモリに関し、より具体的には、相変化メモリ・セル内に、実質的にボイドがない結晶相変化材料を形成することに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ・メモリには、2つの主要な群、即ち、不揮発性メモリ及び揮発性メモリがある。情報を保持するための一定のエネルギー入力は、不揮発性メモリにおいては必要ないが、揮発性メモリにおいては必要である。不揮発性メモリ・デバイスの例は、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュ電気的消去可能読み出し専用メモリ、強誘電体ランダム・アクセス・メモリ、磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)、及び相変化メモリ(PCM)であり、不揮発性メモリ・デバイスは、電力を消費せずに数日から数十年間メモリ素子の状態を保持できるメモリである。揮発性メモリ・デバイスの例は、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)及びスタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)を含み、DRAMはメモリ素子を常にリフレッシュすることを必要とし、一方SRAMはメモリ素子の状態を保持するために一定のエネルギー供給を必要とする。
【0003】
本発明は、相変化メモリに向けられる。相変化メモリにおいて、情報は、異なる相へと操作することができる材料に格納される。これらの相の各々は、異なる電気的性質を示し、これを情報の格納のために用いることができる。アモルファス相及び結晶相は、検出可能な電気抵抗の差を有するので、典型的には、ビット記憶のために用いられる2つの相(1及び0の)である。具体的には、アモルファス相は、結晶相よりも大きい抵抗を有する。
【0004】
カルコゲニドは、相変化材料として一般的に用いられる材料の群である。この材料の群には、カルコゲン(周期表の16/VIA族)及び別の元素が含まれる。セレン(Se)及びテルル(Te)は、相変化メモリ・セルを作成するときに、カルコゲニド半導体の生成に用いられる群における最も一般的な2つの元素である。これの例は、Ge2Sb2Te5(GST)、SbTe、及びIn2Se3である。
【0005】
相変化材料の状態を変えるには、一般的には、材料を融点まで加熱し、次に材料を冷却して可能な状態の1つにすることが必要である。相変化材料を通過した電流がオーム加熱をもたらし、相変化材料を溶融させる。オーム加熱と熱流量との間のバランスにより、溶融領域(本明細書では「スイッチング領域」とも呼ばれる)がもたらされ、その断面の最小値は、下部電極の直径により定められる。後者の場合、相変化材料を溶融させ、徐々に冷却することにより、相変化材料が結晶状態を形成する時間が与えられ、一方、相変化材料を溶融させて急速に冷却することにより、相変化材料が急冷されてアモルファス状態になる。
【0006】
相変化メモリの1つの問題は、ボイドが結晶相変化材料内に分散され得ることである。相変化材料は結晶相において収縮し、アモルファス相において膨張するので、セルの構成中に相変化材料が結晶化するときに、相変化材料全体にわたってボイドが形成されることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
相変化メモリ・セル内に、ボイドがない結晶相変化材料を形成する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの例示的な態様は、メモリ・セルを形成するための第1の方法である。本方法は、基板内に、熱導体である下部電極を形成するステップを含む。第1の方法はまた、相変化材料層を形成するステップも含む。第1の方法は、相変化材料の上に熱絶縁層を形成するステップをさらに含む。第1の方法はまた、下部電極の上の相変化材料をアニールして、相変化材料が下部電極から開始してビアの上部へと徐々に結晶化するようにするステップも含む。
【0009】
本発明の別の例示的な態様は、メモリ・セルを形成するための第2の方法である。第2の方法は、基板内に、熱導体である下部電極を形成するステップを含む。第2の方法はまた、下部電極の上にビアを形成し、ビアを相変化材料で充填するステップも含む。第2の方法は、相変化材料の上に熱絶縁層を形成するステップをさらに含む。熱絶縁層は、下部電極よりも低い熱伝導率を有する。第2の方法はまた、ビア内の相変化材料をアニールして、相変化材料が下部電極から開始してビアの上部へと徐々に結晶化するようにするステップを含む。
【0010】
本発明の別の例示的な態様は、メモリ・セルである。このメモリ・セルは基板を含む。このメモリ・セルは、基板により支持される下部電極を含む。下部電極は熱導体で構成される。メモリ・セルは、相変化材料を含んだ相変化層を含む。メモリ・セルはまた、ボイドがない相変化層内のスイッチング領域を含む。メモリ・セルはまた、相変化層の上の上部電極も含む。
【0011】
本発明のさらに別の例示的な態様は、メモリ・セルを形成するための装置である。この装置は基板を含む。この装置は、基板により支持される下部電極を含む。下部電極は熱導体で構成される。この装置は、相変化材料を含んだ相変化層を含む。この装置は、相変化層の上の、熱絶縁体である絶縁層を含む。この装置はまた、相変化材料を一時的に溶融させて、相変化材料が溶融後にボイドを有さずに結晶化するように構成された、ヒータを含む。
【0012】
本発明と考えられる主題は、本明細書の最後にある特許請求の範囲において具体的に示され、明確に特許請求される。本発明の上述及び他の目的、特徴並びに利点は、添付の図面と併せて説明される以下の詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態によって企図される出発ウェハの一部を示す。出発ウェハは、基板及び下部電極を含む。
【図2】基板の一部の上の相変化材料層及び熱絶縁層を示す。
【図3】相変化材料と熱絶縁層との間に形成されたキャッピング層を示す。
【図4】基板内の下部電極の上に形成されたビアを示す。
【図5】少なくとも部分的に相変化材料で充填されたビアを示す。
【図6】相変化材料をアニールするためのヒータを示す。
【図7】相変化材料の上の熱絶縁層及びキャッピング層を示す。
【図8】相変化材料と熱絶縁層の間に形成されたボイドを示す。
【図9】相変化材料がアニールされた後に行われる化学機械研磨を示す。
【図10】上部電極及び下部電極、並びにボイドがない相変化材料を有するメモリ・セルを示す。
【図11】本発明によって企図されるメモリ・セルを形成する種々の方法を示す。
【図12】本発明によって企図されるメモリ・セルを形成する種々の方法を示す。
【図13】本発明によって企図されるメモリ・セルを形成する種々の方法を示す。
【図14】本発明によって企図されるメモリ・セルを形成する種々の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を参照して、本発明を説明する。本発明の説明全体を通して、図1−図11を参照する
【0015】
相変化メモリ・セルを構成する際、相変化材料は、この材料が典型的には250℃より上に加熱されるので、通常は結晶となる。以下で詳細に説明するように、本発明の一実施形態は、メモリ・セルにおいて相変化材料を再結晶化させる方法である。この再結晶化の際、相変化材料のスイッチング領域内のボイドが除去されるので、相変化材料には実質的にボイドがなくなる。相変化材料の再結晶化は、急速熱アニール(RTA)により行うことができる。急速熱アニールは、相変化材料を加熱して、これを短時間(例えば、1秒乃至5秒間)溶融させる。下部電極から相変化材料を冷却することにより、相変化材料内のボイドは、全体にわたって分散されるのではなく、相変化層のスイッチング領域から離れるように移動する。その結果、化学機械研磨(CMP)又は当業者には周知の他の研磨プロセスにより、ボイドが容易に除去される。
【0016】
図1において、例示的な出発ウェハ102の一部を示す。出発ウェハ102は、基板104及び下部電極106を含む。基板104は、酸化シリコン、窒化シリコン、又はそれらの組み合わせのような誘電体で構成することができる。下部電極106は、熱伝導性かつ導電性の材料を含む。当業者であれば、下部電極には、これらに限定されるものではないが、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)のような種々の材料を用い得ることを認識するであろう。
【0017】
図2において、相変化材料層112が基板及び電極の上に堆積され、次に、熱絶縁層114が相変化材料層112の上に形成される。熱絶縁層114は、下部電極106よりも低い熱伝導率を有する。熱絶縁層114は、主として、熱を閉じ込め、相変化材料を加熱して、底部から上部へと冷却するために用いられる(以下で説明する)。一実施形態において、熱絶縁層114は、80パーセントのZnS(硫化亜鉛)及び20パーセントのSiO2(二酸化シリコン)で構成される。
【0018】
図3は、代替的な中間ステップを示す。この特定の実施形態においては、キャッピング層116が、相変化材料112と絶縁層114との間に形成される。キャッピング層116は、相変化材料112と化学的に相互作用しない材料を含む。さらに、キャッピング層116は、熱絶縁材料とすることができる。キャッピング層116には、これらに限定されるものではないが、窒化ゲルマニウム(GeNx)、窒化ゲルマニウムクロム(GeCrNx)、又は窒化シリコン(SiNx)のような種々の材料を用いることができる。
【0019】
図4に示される本発明の別の代替的な実施形態においては、ビア202が、延長された誘電体204内の下部電極106の上に形成される。ビア202は、ウェハ・マスクを用いて基板を通ってエッチングすることにより、形成することができる。当業者であれば、ビア202を作成するために、種々の他の技術を用い得ることを認識するであろう。一実施形態において、下部電極106がビア202の底部を形成する。
【0020】
図5において、ビア202は、少なくとも部分的に相変化材料302で充填される。上述のように、相変化材料302は、アモルファス相と結晶相との間でプログラム可能である。本発明の一実施形態において、相変化材料302は、アモルファス相でビア202内に堆積される。セルの構成中、相変化材料302がアモルファス相から結晶相に変化するとき、相変化材料は収縮する。この収縮により、相変化材料302内に望ましくないボイドが発生することがある。相変化材料302は、例えば、Ge2Sb2Te5(GST)、SbTe、及びIn2Se3で構成することができる。当業者には周知のように、種々の他の材料を用いて、相変化材料302を形成することができる。
【0021】
図6において、熱絶縁層402が、相変化材料302の上に形成された状態で示される。熱絶縁層402は、下部電極106よりも低い熱伝導率を有する。熱絶縁層402は、主として、熱を閉じ込め、相変化材料を加熱し、底部から上部へと冷却するために用いられる(以下で説明する)。一実施形態において、熱絶縁層402は、80パーセントのZnS(硫化亜鉛)及び20パーセントのSiO2(二酸化シリコン)で構成される。
【0022】
図7は、代替的な中間ステップを示す。この特定の実施形態においては、キャッピング層408が、相変化材料302と絶縁層402との間に形成される。キャッピング層408は、相変化材料302と化学的に相互作用しない材料を含む。さらに、キャッピング層408は、熱絶縁材料とすることができる。キャッピング層408には、これらに限定されるものではないが、窒化ゲルマニウム(GeNx)、窒化ゲルマニウムクロム(GeCrNx)、又は窒化シリコン(SiNx)などの種々の材料を用いることができる。
【0023】
図3及び図6に戻ると、ヒータ404が、ウェハ102を一時的に加熱して、相変化材料112及び302のボイドをなくすように構成されている。ヒータ404は、ヒータ404により発生した熱406が、少なくとも下部電極106に向けられるように配置される。熱絶縁層114及び402が相変化材料112及び302の上に形成されているので、ヒータ404により発生した熱406は、相変化材料を加熱し、その結果、相変化材料112及び302が溶融する。毛細力による溶融流れのために、通常は材料全体にわたって分散されるボイドが、相変化材料302の上部に集まる。以下でさらに説明されるように、相変化材料302の少なくとも一部が再結晶化するために、ボイドがない相変化層が形成される。当業者であれば、種々のプロセス又はヒータを用いて、相変化層を底部から上部へと加熱できることを認識するであろう。
【0024】
ウェハ102が冷却された後、更に別の製造ステップは、キャッピング層116、408及び絶縁層114、402を除去するステップと、相変化材料の反応性イオン・エッチング(RIE)を介して各々のセルを制限し、相変化材料を誘電体で囲むステップと、上部電極を形成するステップとを含む。こうした製造技術は、当業者には周知である。これらのステップは、図9及び図10を参照してより詳細に説明される。本明細書で説明される本発明の他の実施形態により、これらのステップを実行できることにも留意すべきである。
【0025】
図に示される種々の構成に適用することができる本発明の一実施形態において、ヒータ404はレーザである。レーザは、少なくとも1つのレーザ・パルスを下部電極106の上の領域に印加するように構成される。当業者であれば、レーザ・パルスの強度及び波長は、相変化材料302、キャッピング層408、及び絶縁体層402のために用いられる少なくとも厚さ及び材料によって決まることを認識するであろう。
【0026】
好ましくはビアを含むセル構成に適用される本発明の特定の実施形態において、ヒータ404は、急速熱アニール(RTA)を適用するように構成される。この実施形態において、ヒータ404は、ウェハ102を400℃乃至450℃のプラトー状態(plateau)に加熱するように構成される。次に、ヒータ404は、ウェハ102を700℃乃至750℃に約1秒間急速加熱するように構成される。GSTの結晶化温度は600℃であるので、初期ヒータ温度は相変化材料302を溶融するのに十分である。次に、ヒータ404は、ウェハ102を少なくとも4秒間冷却するように構成される。これにより、相変化材料302が冷却されて結晶相になるのに十分な時間が与えられる。
【0027】
加熱プロセスにより、相変化材料302がビア202内でアニールされ、その結果、相変化材料が下部電極から開始してビアの上部へと徐々に結晶化する。これは、下部電極106が熱伝導性であり、それにより、ビア202の底部にある相変化材料が、ビア202の上部にある相変化材料よりも速く冷却するためである。反対に、熱絶縁層402により、ビア202の上部にある相変化材料がビアの底部にある相変化材料よりもゆっくり冷却される。
【0028】
相変化材料302は、ビア202の底部からビア202の上部へと結晶化するので、初期の結晶化の際に相変化材料302内に形成されたボイドは、ビア202の上部へと移動される。このことは、ボイド502が相変化材料302と熱絶縁層402の間に形成される図8に示される。
【0029】
図9において、相変化材料302がアニールされた後、化学機械研磨(CMP)が行われる。CMPは、熱絶縁層、キャッピング層(用いられる場合)、及び相変化材料の上部に存在するあらゆるボイドを除去する。このことは、望ましいことに、相変化材料が結晶相にあるときに、相変化層をボイドがないままにする。本発明の一実施形態において、研磨機(polisher)602が、相変化材料302の上部からボイドを研磨するために用いられる。
【0030】
図10において、上部電極702が、CMPが行われた後、相変化材料302の上に形成された状態で示される。上部電極702は、例えば、窒化チタン(TiN)又はタングステン(W)で構成することができる。従って、形成されるメモリ・セルは、上部電極702と下部電極106との間に、結晶相にあるボイドがない相変化材料302を含む。
【0031】
図11は、本発明により企図されるメモリ・セルを形成する方法の一実施形態を示す。プロセス・フローは形成操作802で開始する。形成操作802中、相変化層が下部電極及び基板の上方に形成される。上述のように、下部電極は、基板内に形成される。上述のように、相変化層は結晶形態とすることができ、用いられる相変化材料を結晶相又はアモルファス相にプログラムすることができる限り、種々の材料を用いることができる。当業者であれば、これらに限定されるものではないが、原子相堆積(ALD)及び化学気相堆積(CVD)を含む種々のプロセスを用いて、下部電極の上のビア内に相変化材料を堆積させ得ることを認識するであろう。形成操作802が完了した後、制御は形成操作804に進む。
【0032】
形成操作804中、キャッピング層が相変化層の上に形成される。上述のように、キャッピング層は、相変化層と相互作用しない材料で構成することができ、強い熱導体にすべきではない。同じく、種々の材料をキャッピング層に用いることができる。形成操作804が完了した後、制御は形成操作806に進む。
【0033】
形成操作806中、絶縁体層がキャッピング層の上に形成される。絶縁体層は、熱絶縁材料で構成される。当業者には周知のような種々の熱絶縁材料を絶縁体層に用いることができる。形成操作806が完了した後、制御はアニール操作808に進む。
【0034】
アニール操作808中、相変化層が結晶化され、通常は相変化層全体に分散されるボイドがスイッチング領域の外に集まり、結果として生じるスイッチング領域内の相変化層にボイドがなくなる。下部電極は、ヒート・シンクとして機能するので、相変化材料は、底部から結晶化される。結果として、ボイドはスイッチング領域から離れるように移動する。図1−図3に示されるセル構成において、スイッチング領域810は、層内の全ての相変化材料全体を含まなくてもよい。ビアを用いるセル構成方法において、ビアの底部は下部電極で構成され、その結果、スイッチング領域はセルの横方向境界に達する。アニール操作808の後、本方法は終了する。
【0035】
次に図12を参照すると、本方法の代替的な実施形態が示される。本方法のこの実施形態において、アニール操作808は印加操作902を含む。印加操作902中、レーザ・パルスが下部電極の上に印加される。レーザは、相変化材料を加熱して溶融させ、相変化材料の結晶化をもたらして、ボイドがない相変化層を形成する。
【0036】
図13は、本発明により企図されるメモリ・セルを形成する方法の別の実施形態を示す。好ましくはビアを含むセル構成に適用されるこの実施形態において、アニール操作808は、印加操作1002を含む。印加操作1002中、急速熱アニールが、相変化層を結晶化させるために用いられる。本方法の一実施形態において、印加操作1002は、加熱操作及び冷却操作を含む。
【0037】
加熱操作中、急速熱アニールが、相変化層を400℃−450℃のプラトー状態に加熱する。加熱操作が完了した後、制御は加熱操作に進む。この加熱操作中、急速熱アニールは、相変化層を700℃−750℃に急速に加熱する。相変化層内の相変化材料は、約1秒間だけ700℃−750℃に加熱される。加熱操作が完了した後、制御は冷却操作に進む。
【0038】
冷却操作中、相変化層は、少なくとも4秒間冷却される。このことにより、相変化層内の相変化材料が結晶化するための時間が与えられる。冷却操作が完了した後、急速熱アニールが完了する。
【0039】
図14を参照すると、方法の別の実施形態が示される。本発明のこの実施形態において、アニール操作808が完了した後、制御は除去操作1102に進む。除去操作1102中、絶縁体層及びキャッピング層が除去される。当業者であれば、これらに限定されるものではないが、反応性イオン・エッチング(RIE)又は希釈フッ化水素酸法(DHF)といった湿式エッチングのような種々のプロセスを用いて、キャッピング層及び絶縁体層を除去できることを認識するであろう。本発明の一実施形態において、除去操作1102は、研磨操作1104を含む。
【0040】
研磨操作1104中、相変化層を研磨して、相変化層の上部に集まったボイドを除去する。このことにより、下部電極の上に、ボイドがない相変化層のみが残される。当業者であれば、研磨操作1104には、化学機械研磨を含む種々の研磨を用い得ることを認識するであろう。研磨操作1104が完了した後、除去操作1102が完了し、制御は形成操作1106に進む。
【0041】
形成操作1106中、上部電極が、ボイドがない相変化層の上に形成される。当業者であれば、金属スパッタリングを含む種々のプロセスを上部電極の形成に用い得ることを認識するであろう。形成操作1106が完了した後、プロセスは終了する。
【0042】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのものに過ぎず、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で用いられるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、そうでないことが示されていない限り、複数形も含むことが意図されている。本明細書で用いられるとき、「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」という用語は、提示された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又はコンポーネントの存在を特定するものであるが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではないことをさらに理解されるであろう。
【0043】
特許請求の範囲における全ての「手段又はステップと機能との組合せ(ミーンズ又はステップ・プラス・ファンクション)」要素の対応する構造、材料、行為及び均等物は、その機能を、明確に特許請求されているように他の特許請求された要素と組み合わせて実行するための、いかなる構造、材料又は行為をも含むことが意図される。本発明の説明は、例示及び説明の目的で提示されたものであるが、網羅的であることを意図するものではなく、本発明を開示された形態に限定することを意図するものでもない。本発明の範囲及び精神から逸脱することのない多くの変更及び変形が、当業者には明らかである。実施形態は、本発明の原理及び実際の用途を最も良く説明するため、及び、当業者が本発明を種々の変更を有する種々の実施形態について企図される特定の使用に適したものとして理解することを可能にするために、選択及び記載された。
【0044】
本出願の発明を、詳細に、本発明の実施形態を参照することによって説明してきたが、特許請求の範囲において定められる本発明の範囲から逸脱することのない変更及び変形が可能であることが明らかであろう。
【符号の説明】
【0045】
102:出発ウェハ
104:基板
106:下部電極
112、302:相変化材料
114、402:熱絶縁層
116、408:キャッピング層
202:ビア
404:ヒータ
406:熱
502:ボイド
602:研磨機
702:上部電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ・メモリに関し、より具体的には、相変化メモリ・セル内に、実質的にボイドがない結晶相変化材料を形成することに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ・メモリには、2つの主要な群、即ち、不揮発性メモリ及び揮発性メモリがある。情報を保持するための一定のエネルギー入力は、不揮発性メモリにおいては必要ないが、揮発性メモリにおいては必要である。不揮発性メモリ・デバイスの例は、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュ電気的消去可能読み出し専用メモリ、強誘電体ランダム・アクセス・メモリ、磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)、及び相変化メモリ(PCM)であり、不揮発性メモリ・デバイスは、電力を消費せずに数日から数十年間メモリ素子の状態を保持できるメモリである。揮発性メモリ・デバイスの例は、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)及びスタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)を含み、DRAMはメモリ素子を常にリフレッシュすることを必要とし、一方SRAMはメモリ素子の状態を保持するために一定のエネルギー供給を必要とする。
【0003】
本発明は、相変化メモリに向けられる。相変化メモリにおいて、情報は、異なる相へと操作することができる材料に格納される。これらの相の各々は、異なる電気的性質を示し、これを情報の格納のために用いることができる。アモルファス相及び結晶相は、検出可能な電気抵抗の差を有するので、典型的には、ビット記憶のために用いられる2つの相(1及び0の)である。具体的には、アモルファス相は、結晶相よりも大きい抵抗を有する。
【0004】
カルコゲニドは、相変化材料として一般的に用いられる材料の群である。この材料の群には、カルコゲン(周期表の16/VIA族)及び別の元素が含まれる。セレン(Se)及びテルル(Te)は、相変化メモリ・セルを作成するときに、カルコゲニド半導体の生成に用いられる群における最も一般的な2つの元素である。これの例は、Ge2Sb2Te5(GST)、SbTe、及びIn2Se3である。
【0005】
相変化材料の状態を変えるには、一般的には、材料を融点まで加熱し、次に材料を冷却して可能な状態の1つにすることが必要である。相変化材料を通過した電流がオーム加熱をもたらし、相変化材料を溶融させる。オーム加熱と熱流量との間のバランスにより、溶融領域(本明細書では「スイッチング領域」とも呼ばれる)がもたらされ、その断面の最小値は、下部電極の直径により定められる。後者の場合、相変化材料を溶融させ、徐々に冷却することにより、相変化材料が結晶状態を形成する時間が与えられ、一方、相変化材料を溶融させて急速に冷却することにより、相変化材料が急冷されてアモルファス状態になる。
【0006】
相変化メモリの1つの問題は、ボイドが結晶相変化材料内に分散され得ることである。相変化材料は結晶相において収縮し、アモルファス相において膨張するので、セルの構成中に相変化材料が結晶化するときに、相変化材料全体にわたってボイドが形成されることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
相変化メモリ・セル内に、ボイドがない結晶相変化材料を形成する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの例示的な態様は、メモリ・セルを形成するための第1の方法である。本方法は、基板内に、熱導体である下部電極を形成するステップを含む。第1の方法はまた、相変化材料層を形成するステップも含む。第1の方法は、相変化材料の上に熱絶縁層を形成するステップをさらに含む。第1の方法はまた、下部電極の上の相変化材料をアニールして、相変化材料が下部電極から開始してビアの上部へと徐々に結晶化するようにするステップも含む。
【0009】
本発明の別の例示的な態様は、メモリ・セルを形成するための第2の方法である。第2の方法は、基板内に、熱導体である下部電極を形成するステップを含む。第2の方法はまた、下部電極の上にビアを形成し、ビアを相変化材料で充填するステップも含む。第2の方法は、相変化材料の上に熱絶縁層を形成するステップをさらに含む。熱絶縁層は、下部電極よりも低い熱伝導率を有する。第2の方法はまた、ビア内の相変化材料をアニールして、相変化材料が下部電極から開始してビアの上部へと徐々に結晶化するようにするステップを含む。
【0010】
本発明の別の例示的な態様は、メモリ・セルである。このメモリ・セルは基板を含む。このメモリ・セルは、基板により支持される下部電極を含む。下部電極は熱導体で構成される。メモリ・セルは、相変化材料を含んだ相変化層を含む。メモリ・セルはまた、ボイドがない相変化層内のスイッチング領域を含む。メモリ・セルはまた、相変化層の上の上部電極も含む。
【0011】
本発明のさらに別の例示的な態様は、メモリ・セルを形成するための装置である。この装置は基板を含む。この装置は、基板により支持される下部電極を含む。下部電極は熱導体で構成される。この装置は、相変化材料を含んだ相変化層を含む。この装置は、相変化層の上の、熱絶縁体である絶縁層を含む。この装置はまた、相変化材料を一時的に溶融させて、相変化材料が溶融後にボイドを有さずに結晶化するように構成された、ヒータを含む。
【0012】
本発明と考えられる主題は、本明細書の最後にある特許請求の範囲において具体的に示され、明確に特許請求される。本発明の上述及び他の目的、特徴並びに利点は、添付の図面と併せて説明される以下の詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態によって企図される出発ウェハの一部を示す。出発ウェハは、基板及び下部電極を含む。
【図2】基板の一部の上の相変化材料層及び熱絶縁層を示す。
【図3】相変化材料と熱絶縁層との間に形成されたキャッピング層を示す。
【図4】基板内の下部電極の上に形成されたビアを示す。
【図5】少なくとも部分的に相変化材料で充填されたビアを示す。
【図6】相変化材料をアニールするためのヒータを示す。
【図7】相変化材料の上の熱絶縁層及びキャッピング層を示す。
【図8】相変化材料と熱絶縁層の間に形成されたボイドを示す。
【図9】相変化材料がアニールされた後に行われる化学機械研磨を示す。
【図10】上部電極及び下部電極、並びにボイドがない相変化材料を有するメモリ・セルを示す。
【図11】本発明によって企図されるメモリ・セルを形成する種々の方法を示す。
【図12】本発明によって企図されるメモリ・セルを形成する種々の方法を示す。
【図13】本発明によって企図されるメモリ・セルを形成する種々の方法を示す。
【図14】本発明によって企図されるメモリ・セルを形成する種々の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を参照して、本発明を説明する。本発明の説明全体を通して、図1−図11を参照する
【0015】
相変化メモリ・セルを構成する際、相変化材料は、この材料が典型的には250℃より上に加熱されるので、通常は結晶となる。以下で詳細に説明するように、本発明の一実施形態は、メモリ・セルにおいて相変化材料を再結晶化させる方法である。この再結晶化の際、相変化材料のスイッチング領域内のボイドが除去されるので、相変化材料には実質的にボイドがなくなる。相変化材料の再結晶化は、急速熱アニール(RTA)により行うことができる。急速熱アニールは、相変化材料を加熱して、これを短時間(例えば、1秒乃至5秒間)溶融させる。下部電極から相変化材料を冷却することにより、相変化材料内のボイドは、全体にわたって分散されるのではなく、相変化層のスイッチング領域から離れるように移動する。その結果、化学機械研磨(CMP)又は当業者には周知の他の研磨プロセスにより、ボイドが容易に除去される。
【0016】
図1において、例示的な出発ウェハ102の一部を示す。出発ウェハ102は、基板104及び下部電極106を含む。基板104は、酸化シリコン、窒化シリコン、又はそれらの組み合わせのような誘電体で構成することができる。下部電極106は、熱伝導性かつ導電性の材料を含む。当業者であれば、下部電極には、これらに限定されるものではないが、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)のような種々の材料を用い得ることを認識するであろう。
【0017】
図2において、相変化材料層112が基板及び電極の上に堆積され、次に、熱絶縁層114が相変化材料層112の上に形成される。熱絶縁層114は、下部電極106よりも低い熱伝導率を有する。熱絶縁層114は、主として、熱を閉じ込め、相変化材料を加熱して、底部から上部へと冷却するために用いられる(以下で説明する)。一実施形態において、熱絶縁層114は、80パーセントのZnS(硫化亜鉛)及び20パーセントのSiO2(二酸化シリコン)で構成される。
【0018】
図3は、代替的な中間ステップを示す。この特定の実施形態においては、キャッピング層116が、相変化材料112と絶縁層114との間に形成される。キャッピング層116は、相変化材料112と化学的に相互作用しない材料を含む。さらに、キャッピング層116は、熱絶縁材料とすることができる。キャッピング層116には、これらに限定されるものではないが、窒化ゲルマニウム(GeNx)、窒化ゲルマニウムクロム(GeCrNx)、又は窒化シリコン(SiNx)のような種々の材料を用いることができる。
【0019】
図4に示される本発明の別の代替的な実施形態においては、ビア202が、延長された誘電体204内の下部電極106の上に形成される。ビア202は、ウェハ・マスクを用いて基板を通ってエッチングすることにより、形成することができる。当業者であれば、ビア202を作成するために、種々の他の技術を用い得ることを認識するであろう。一実施形態において、下部電極106がビア202の底部を形成する。
【0020】
図5において、ビア202は、少なくとも部分的に相変化材料302で充填される。上述のように、相変化材料302は、アモルファス相と結晶相との間でプログラム可能である。本発明の一実施形態において、相変化材料302は、アモルファス相でビア202内に堆積される。セルの構成中、相変化材料302がアモルファス相から結晶相に変化するとき、相変化材料は収縮する。この収縮により、相変化材料302内に望ましくないボイドが発生することがある。相変化材料302は、例えば、Ge2Sb2Te5(GST)、SbTe、及びIn2Se3で構成することができる。当業者には周知のように、種々の他の材料を用いて、相変化材料302を形成することができる。
【0021】
図6において、熱絶縁層402が、相変化材料302の上に形成された状態で示される。熱絶縁層402は、下部電極106よりも低い熱伝導率を有する。熱絶縁層402は、主として、熱を閉じ込め、相変化材料を加熱し、底部から上部へと冷却するために用いられる(以下で説明する)。一実施形態において、熱絶縁層402は、80パーセントのZnS(硫化亜鉛)及び20パーセントのSiO2(二酸化シリコン)で構成される。
【0022】
図7は、代替的な中間ステップを示す。この特定の実施形態においては、キャッピング層408が、相変化材料302と絶縁層402との間に形成される。キャッピング層408は、相変化材料302と化学的に相互作用しない材料を含む。さらに、キャッピング層408は、熱絶縁材料とすることができる。キャッピング層408には、これらに限定されるものではないが、窒化ゲルマニウム(GeNx)、窒化ゲルマニウムクロム(GeCrNx)、又は窒化シリコン(SiNx)などの種々の材料を用いることができる。
【0023】
図3及び図6に戻ると、ヒータ404が、ウェハ102を一時的に加熱して、相変化材料112及び302のボイドをなくすように構成されている。ヒータ404は、ヒータ404により発生した熱406が、少なくとも下部電極106に向けられるように配置される。熱絶縁層114及び402が相変化材料112及び302の上に形成されているので、ヒータ404により発生した熱406は、相変化材料を加熱し、その結果、相変化材料112及び302が溶融する。毛細力による溶融流れのために、通常は材料全体にわたって分散されるボイドが、相変化材料302の上部に集まる。以下でさらに説明されるように、相変化材料302の少なくとも一部が再結晶化するために、ボイドがない相変化層が形成される。当業者であれば、種々のプロセス又はヒータを用いて、相変化層を底部から上部へと加熱できることを認識するであろう。
【0024】
ウェハ102が冷却された後、更に別の製造ステップは、キャッピング層116、408及び絶縁層114、402を除去するステップと、相変化材料の反応性イオン・エッチング(RIE)を介して各々のセルを制限し、相変化材料を誘電体で囲むステップと、上部電極を形成するステップとを含む。こうした製造技術は、当業者には周知である。これらのステップは、図9及び図10を参照してより詳細に説明される。本明細書で説明される本発明の他の実施形態により、これらのステップを実行できることにも留意すべきである。
【0025】
図に示される種々の構成に適用することができる本発明の一実施形態において、ヒータ404はレーザである。レーザは、少なくとも1つのレーザ・パルスを下部電極106の上の領域に印加するように構成される。当業者であれば、レーザ・パルスの強度及び波長は、相変化材料302、キャッピング層408、及び絶縁体層402のために用いられる少なくとも厚さ及び材料によって決まることを認識するであろう。
【0026】
好ましくはビアを含むセル構成に適用される本発明の特定の実施形態において、ヒータ404は、急速熱アニール(RTA)を適用するように構成される。この実施形態において、ヒータ404は、ウェハ102を400℃乃至450℃のプラトー状態(plateau)に加熱するように構成される。次に、ヒータ404は、ウェハ102を700℃乃至750℃に約1秒間急速加熱するように構成される。GSTの結晶化温度は600℃であるので、初期ヒータ温度は相変化材料302を溶融するのに十分である。次に、ヒータ404は、ウェハ102を少なくとも4秒間冷却するように構成される。これにより、相変化材料302が冷却されて結晶相になるのに十分な時間が与えられる。
【0027】
加熱プロセスにより、相変化材料302がビア202内でアニールされ、その結果、相変化材料が下部電極から開始してビアの上部へと徐々に結晶化する。これは、下部電極106が熱伝導性であり、それにより、ビア202の底部にある相変化材料が、ビア202の上部にある相変化材料よりも速く冷却するためである。反対に、熱絶縁層402により、ビア202の上部にある相変化材料がビアの底部にある相変化材料よりもゆっくり冷却される。
【0028】
相変化材料302は、ビア202の底部からビア202の上部へと結晶化するので、初期の結晶化の際に相変化材料302内に形成されたボイドは、ビア202の上部へと移動される。このことは、ボイド502が相変化材料302と熱絶縁層402の間に形成される図8に示される。
【0029】
図9において、相変化材料302がアニールされた後、化学機械研磨(CMP)が行われる。CMPは、熱絶縁層、キャッピング層(用いられる場合)、及び相変化材料の上部に存在するあらゆるボイドを除去する。このことは、望ましいことに、相変化材料が結晶相にあるときに、相変化層をボイドがないままにする。本発明の一実施形態において、研磨機(polisher)602が、相変化材料302の上部からボイドを研磨するために用いられる。
【0030】
図10において、上部電極702が、CMPが行われた後、相変化材料302の上に形成された状態で示される。上部電極702は、例えば、窒化チタン(TiN)又はタングステン(W)で構成することができる。従って、形成されるメモリ・セルは、上部電極702と下部電極106との間に、結晶相にあるボイドがない相変化材料302を含む。
【0031】
図11は、本発明により企図されるメモリ・セルを形成する方法の一実施形態を示す。プロセス・フローは形成操作802で開始する。形成操作802中、相変化層が下部電極及び基板の上方に形成される。上述のように、下部電極は、基板内に形成される。上述のように、相変化層は結晶形態とすることができ、用いられる相変化材料を結晶相又はアモルファス相にプログラムすることができる限り、種々の材料を用いることができる。当業者であれば、これらに限定されるものではないが、原子相堆積(ALD)及び化学気相堆積(CVD)を含む種々のプロセスを用いて、下部電極の上のビア内に相変化材料を堆積させ得ることを認識するであろう。形成操作802が完了した後、制御は形成操作804に進む。
【0032】
形成操作804中、キャッピング層が相変化層の上に形成される。上述のように、キャッピング層は、相変化層と相互作用しない材料で構成することができ、強い熱導体にすべきではない。同じく、種々の材料をキャッピング層に用いることができる。形成操作804が完了した後、制御は形成操作806に進む。
【0033】
形成操作806中、絶縁体層がキャッピング層の上に形成される。絶縁体層は、熱絶縁材料で構成される。当業者には周知のような種々の熱絶縁材料を絶縁体層に用いることができる。形成操作806が完了した後、制御はアニール操作808に進む。
【0034】
アニール操作808中、相変化層が結晶化され、通常は相変化層全体に分散されるボイドがスイッチング領域の外に集まり、結果として生じるスイッチング領域内の相変化層にボイドがなくなる。下部電極は、ヒート・シンクとして機能するので、相変化材料は、底部から結晶化される。結果として、ボイドはスイッチング領域から離れるように移動する。図1−図3に示されるセル構成において、スイッチング領域810は、層内の全ての相変化材料全体を含まなくてもよい。ビアを用いるセル構成方法において、ビアの底部は下部電極で構成され、その結果、スイッチング領域はセルの横方向境界に達する。アニール操作808の後、本方法は終了する。
【0035】
次に図12を参照すると、本方法の代替的な実施形態が示される。本方法のこの実施形態において、アニール操作808は印加操作902を含む。印加操作902中、レーザ・パルスが下部電極の上に印加される。レーザは、相変化材料を加熱して溶融させ、相変化材料の結晶化をもたらして、ボイドがない相変化層を形成する。
【0036】
図13は、本発明により企図されるメモリ・セルを形成する方法の別の実施形態を示す。好ましくはビアを含むセル構成に適用されるこの実施形態において、アニール操作808は、印加操作1002を含む。印加操作1002中、急速熱アニールが、相変化層を結晶化させるために用いられる。本方法の一実施形態において、印加操作1002は、加熱操作及び冷却操作を含む。
【0037】
加熱操作中、急速熱アニールが、相変化層を400℃−450℃のプラトー状態に加熱する。加熱操作が完了した後、制御は加熱操作に進む。この加熱操作中、急速熱アニールは、相変化層を700℃−750℃に急速に加熱する。相変化層内の相変化材料は、約1秒間だけ700℃−750℃に加熱される。加熱操作が完了した後、制御は冷却操作に進む。
【0038】
冷却操作中、相変化層は、少なくとも4秒間冷却される。このことにより、相変化層内の相変化材料が結晶化するための時間が与えられる。冷却操作が完了した後、急速熱アニールが完了する。
【0039】
図14を参照すると、方法の別の実施形態が示される。本発明のこの実施形態において、アニール操作808が完了した後、制御は除去操作1102に進む。除去操作1102中、絶縁体層及びキャッピング層が除去される。当業者であれば、これらに限定されるものではないが、反応性イオン・エッチング(RIE)又は希釈フッ化水素酸法(DHF)といった湿式エッチングのような種々のプロセスを用いて、キャッピング層及び絶縁体層を除去できることを認識するであろう。本発明の一実施形態において、除去操作1102は、研磨操作1104を含む。
【0040】
研磨操作1104中、相変化層を研磨して、相変化層の上部に集まったボイドを除去する。このことにより、下部電極の上に、ボイドがない相変化層のみが残される。当業者であれば、研磨操作1104には、化学機械研磨を含む種々の研磨を用い得ることを認識するであろう。研磨操作1104が完了した後、除去操作1102が完了し、制御は形成操作1106に進む。
【0041】
形成操作1106中、上部電極が、ボイドがない相変化層の上に形成される。当業者であれば、金属スパッタリングを含む種々のプロセスを上部電極の形成に用い得ることを認識するであろう。形成操作1106が完了した後、プロセスは終了する。
【0042】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのものに過ぎず、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で用いられるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、そうでないことが示されていない限り、複数形も含むことが意図されている。本明細書で用いられるとき、「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」という用語は、提示された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又はコンポーネントの存在を特定するものであるが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではないことをさらに理解されるであろう。
【0043】
特許請求の範囲における全ての「手段又はステップと機能との組合せ(ミーンズ又はステップ・プラス・ファンクション)」要素の対応する構造、材料、行為及び均等物は、その機能を、明確に特許請求されているように他の特許請求された要素と組み合わせて実行するための、いかなる構造、材料又は行為をも含むことが意図される。本発明の説明は、例示及び説明の目的で提示されたものであるが、網羅的であることを意図するものではなく、本発明を開示された形態に限定することを意図するものでもない。本発明の範囲及び精神から逸脱することのない多くの変更及び変形が、当業者には明らかである。実施形態は、本発明の原理及び実際の用途を最も良く説明するため、及び、当業者が本発明を種々の変更を有する種々の実施形態について企図される特定の使用に適したものとして理解することを可能にするために、選択及び記載された。
【0044】
本出願の発明を、詳細に、本発明の実施形態を参照することによって説明してきたが、特許請求の範囲において定められる本発明の範囲から逸脱することのない変更及び変形が可能であることが明らかであろう。
【符号の説明】
【0045】
102:出発ウェハ
104:基板
106:下部電極
112、302:相変化材料
114、402:熱絶縁層
116、408:キャッピング層
202:ビア
404:ヒータ
406:熱
502:ボイド
602:研磨機
702:上部電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリ・セルを形成する方法であって、前記方法は、
誘電体基板内に、熱導体である下部電極を形成するステップと、
少なくとも前記下部電極の上に相変化材料の層を形成するステップと、
前記相変化材料の上に熱絶縁層を形成するステップであって、前記熱絶縁層は前記下部電極よりも低い熱伝導率を有する、形成するステップと、
前記相変化材料をアニールして、前記相変化材料が少なくともスイッチング領域内で前記下部電極から開始して徐々に結晶化するようにするステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記相変化材料は、結晶相とアモルファス相の間でプログラム可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記相変化材料をアニールするステップの後、前記熱絶縁層を除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記相変化材料をアニールするステップは、前記相変化材料を加熱して、前記下部電極の上方の前記相変化材料の少なくとも一部が溶融されるようにするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記相変化材料を加熱するステップは、前記基板に急速熱アニール(RTA)プロセスを適用するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記RTAプロセスは、
前記相変化材料を700℃乃至750℃に1秒間加熱するステップと、
前記相変化材料を少なくとも4秒間冷却するステップと、
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記相変化材料を加熱するステップは、前記下部電極の上方に向けられた少なくとも1つのレーザ・パルスを印加するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記相変化材料と前記絶縁層との間にキャッピング層を形成するステップをさらに含み、前記キャッピング層は前記相変化材料と化学的に相互作用しない材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記相変化材料が結晶化した後、前記キャッピング層を除去するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記下部電極の上のビアを形成するステップであって、前記下部電極は前記ビアの底部を形成する、形成するステップをさらに含み、
前記相変化材料の層を形成するステップは、前記ビアを前記相変化材料で充填するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記相変化材料が結晶化した後、前記相変化材料の上部にあるボイドを除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ボイドを除去するステップは、前記相変化材料に化学機械研磨(CMP)を行うステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記熱絶縁層は、80パーセントのZnS(硫化亜鉛)及び20パーセントのSiO2(二酸化シリコン)で構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記相変化材料の上に上部電極を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
基板と、
前記基板により支持される、熱導体である下部電極と、
相変化材料を含み、前記相変化材料が結晶相にあるとき、スイッチング領域内にボイドがない相変化層と、
前記相変化層の上の上部電極と、
を含むメモリ・セル。
【請求項16】
前記相変化材料は、結晶相とアモルファス相との間でプログラム可能である、請求項15に記載のメモリ・セル。
【請求項17】
メモリ・セルを形成するための装置であって、
基板と、
前記基板により支持される、熱導体である下部電極と、
相変化材料を含む相変化層と、
前記相変化層の上方の、熱絶縁体である絶縁体層と、
前記相変化材料を一時的に溶融させて、前記相変化材料が、溶融後にスイッチング領域内でボイドを有さずに結晶化するように構成されたヒータと、
を含む装置。
【請求項18】
前記相変化材料は、結晶相とアモルファス相の間でプログラム可能である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記相変化層と前記絶縁体層との間のキャッピング層をさらに含み、前記キャッピング層は前記相変化層及び前記絶縁体層と相互作用しないように構成される、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記絶縁体層は、80パーセントのZnS(硫化亜鉛)及び20パーセントのSiO2(二酸化シリコン)で構成される、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
前記ヒータは、前記下部電極の上に少なくとも1つのレーザ・パルスを印加するように構成されたレーザである、請求項17に記載の装置。
【請求項22】
前記ヒータは、急速熱アニール(RTA)を行うようにさらに構成される、請求項17に記載の装置。
【請求項23】
前記ヒータは、
前記相変化層を700℃乃至750℃に1秒間加熱し、
前記相変化層を少なくとも4秒間冷却する、
ように構成される、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記相変化材料が結晶化した後、前記相変化層に化学機械研磨(CMP)を行うように構成された研磨機をさらに含む、請求項17に記載の装置。
【請求項1】
メモリ・セルを形成する方法であって、前記方法は、
誘電体基板内に、熱導体である下部電極を形成するステップと、
少なくとも前記下部電極の上に相変化材料の層を形成するステップと、
前記相変化材料の上に熱絶縁層を形成するステップであって、前記熱絶縁層は前記下部電極よりも低い熱伝導率を有する、形成するステップと、
前記相変化材料をアニールして、前記相変化材料が少なくともスイッチング領域内で前記下部電極から開始して徐々に結晶化するようにするステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記相変化材料は、結晶相とアモルファス相の間でプログラム可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記相変化材料をアニールするステップの後、前記熱絶縁層を除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記相変化材料をアニールするステップは、前記相変化材料を加熱して、前記下部電極の上方の前記相変化材料の少なくとも一部が溶融されるようにするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記相変化材料を加熱するステップは、前記基板に急速熱アニール(RTA)プロセスを適用するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記RTAプロセスは、
前記相変化材料を700℃乃至750℃に1秒間加熱するステップと、
前記相変化材料を少なくとも4秒間冷却するステップと、
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記相変化材料を加熱するステップは、前記下部電極の上方に向けられた少なくとも1つのレーザ・パルスを印加するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記相変化材料と前記絶縁層との間にキャッピング層を形成するステップをさらに含み、前記キャッピング層は前記相変化材料と化学的に相互作用しない材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記相変化材料が結晶化した後、前記キャッピング層を除去するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記下部電極の上のビアを形成するステップであって、前記下部電極は前記ビアの底部を形成する、形成するステップをさらに含み、
前記相変化材料の層を形成するステップは、前記ビアを前記相変化材料で充填するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記相変化材料が結晶化した後、前記相変化材料の上部にあるボイドを除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ボイドを除去するステップは、前記相変化材料に化学機械研磨(CMP)を行うステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記熱絶縁層は、80パーセントのZnS(硫化亜鉛)及び20パーセントのSiO2(二酸化シリコン)で構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記相変化材料の上に上部電極を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
基板と、
前記基板により支持される、熱導体である下部電極と、
相変化材料を含み、前記相変化材料が結晶相にあるとき、スイッチング領域内にボイドがない相変化層と、
前記相変化層の上の上部電極と、
を含むメモリ・セル。
【請求項16】
前記相変化材料は、結晶相とアモルファス相との間でプログラム可能である、請求項15に記載のメモリ・セル。
【請求項17】
メモリ・セルを形成するための装置であって、
基板と、
前記基板により支持される、熱導体である下部電極と、
相変化材料を含む相変化層と、
前記相変化層の上方の、熱絶縁体である絶縁体層と、
前記相変化材料を一時的に溶融させて、前記相変化材料が、溶融後にスイッチング領域内でボイドを有さずに結晶化するように構成されたヒータと、
を含む装置。
【請求項18】
前記相変化材料は、結晶相とアモルファス相の間でプログラム可能である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記相変化層と前記絶縁体層との間のキャッピング層をさらに含み、前記キャッピング層は前記相変化層及び前記絶縁体層と相互作用しないように構成される、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記絶縁体層は、80パーセントのZnS(硫化亜鉛)及び20パーセントのSiO2(二酸化シリコン)で構成される、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
前記ヒータは、前記下部電極の上に少なくとも1つのレーザ・パルスを印加するように構成されたレーザである、請求項17に記載の装置。
【請求項22】
前記ヒータは、急速熱アニール(RTA)を行うようにさらに構成される、請求項17に記載の装置。
【請求項23】
前記ヒータは、
前記相変化層を700℃乃至750℃に1秒間加熱し、
前記相変化層を少なくとも4秒間冷却する、
ように構成される、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記相変化材料が結晶化した後、前記相変化層に化学機械研磨(CMP)を行うように構成された研磨機をさらに含む、請求項17に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2013−519229(P2013−519229A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551982(P2012−551982)
【出願日】平成23年1月10日(2011.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2011/020628
【国際公開番号】WO2011/100079
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月10日(2011.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2011/020628
【国際公開番号】WO2011/100079
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】
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