説明

省スペース乾燥装置

【課題】液体含有率の高い被乾燥物から分離・乾燥後に排出される最終被乾燥物の嵩や重量を減少させる。
【解決手段】遠心分離機構10の下部にケーシング20を備え、遠心分離機構10を構成する泥状物排出部109とドラム乾燥機構30を構成する泥状物投入部301とを直接結合する垂直連通路40及び前記垂直連通路40の側面と接合する蒸気吸入機構50を備え、当該乾燥装置に投入した高含液被乾燥物S1を効率よく、分離・乾燥させ、低含液被乾燥物S3を排出する省スペース乾燥装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、液体含有率の高い被乾燥物を投入し、液体含有率の低い被乾燥物を排出する省スペース乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被乾燥物の分離・脱水・乾燥方法及び装置には、遠心力を利用する方法及び装置、熱を利用する方法及び装置、加圧を利用する方法及び装置など多種多様な方法及び装置が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−285700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液体含有率の高い被乾燥物から分離し排出される被乾燥物のほとんどは産業廃棄物であるため、運搬・廃棄処理のことを考慮し、最終排出される被乾燥物の嵩や重量を減少させたいという要求がある。
【0005】
一方で、大規模な乾燥設備又は大型の乾燥装置は相当程度の設置スペースを確保する必要があり不便である。
【0006】
本願発明は、上記の要求を満たすために研究・開発されたものであり、高含液被乾燥物を投入すると、嵩や重量が減少した低含液被乾燥物を排出するとともに省スペースで設置可能な省スペース乾燥装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、遠心分離方式で機械的固液分離を行なう遠心分離機構とドラム乾燥方式で熱的乾燥を行なうドラム乾燥機構とを有する省スペース乾燥装置であって、高含液被乾燥物を投入する高含液被乾燥物投入部及び、当該高含液被乾燥物投入部よりも下部に位置し当該高含液被乾燥物から遠心分離した泥状物を排出する泥状物排出部を備える遠心分離機構と、上面部及び側面部を備え、前記遠心分離機構よりも下部に配置するケーシングと、前記泥状物排出部よりも下部に位置する泥状物投入部及び、前記遠心分離した泥状物をドラム乾燥により低含液被乾燥物へと変化させるドラム乾燥部を備え、前記ケーシングの内部に配置するドラム乾燥機構と、前記ケーシングの上面部を貫通し前記泥状物排出部と前記泥状物投入部とを直接結合する垂直連通路と、前記垂直連通路の側面部を貫通し連結する第一蒸気吸入路又は前記ケーシングの一部を貫通し連結する第二蒸気吸入路及び、前記第一蒸気吸入路又は第二蒸気吸入路の端部と連結する吸入源を備える蒸気吸入機構と、を少なくとも備える省スペース乾燥装置を提供する。
【0008】
また、上記の課題を解決するために、遠心分離方式で機械的固液分離を行なう遠心分離機構とドラム乾燥方式で熱的乾燥を行なうドラム乾燥機構とを有する省スペース乾燥装置であって、高含液被乾燥物を投入する高含液被乾燥物投入部及び、当該高含液被乾燥物投入部よりも下部に位置し当該高含液被乾燥物から遠心分離した泥状物を排出する泥状物排出部を備える遠心分離機構と、上面部及び側面部を備え、前記遠心分離機構よりも下部に配置するケーシングと、前記泥状物排出部よりも下部に位置する泥状物投入部及び、前記遠心分離した泥状物をドラム乾燥により低含液被乾燥物へと変化させるドラム乾燥部を備え、前記ケーシングの内部に配置するドラム乾燥機構と、前記ケーシングの上面部を貫通し前記泥状物排出部と前記泥状物投入部とを直接結合する垂直連通路と、前記垂直連通路の側面部を貫通し連結する第一蒸気吸入路又は前記ケーシングの一部を貫通し連結する第二蒸気吸入路及び、前記第一蒸気吸入路又は第二蒸気吸入路の端部と連結する吸入源を備える蒸気吸入機構と、を少なくとも備え、さらに、前記ドラム乾燥部に、前記垂直連通路の直下に配置する1台のドラムと、前記ドラムの温度を上昇させるドラム温度上昇機構と、延伸後泥状物の乾燥を促進させる延伸後泥状物乾燥促進機構と、前記ドラムを回転させる駆動源である1個のドラム駆動モータと、前記ドラムの外側面近傍に配置した1本の延伸ローラと、前記延伸ローラを回転させる駆動源である1個の延伸ローラ駆動モータと、を少なくとも備える省スペース乾燥装置を提供する。
【0009】
また、上記の課題を解決するために、遠心分離方式で機械的固液分離を行なう遠心分離機構とドラム乾燥方式で熱的乾燥を行なうドラム乾燥機構とを有する省スペース乾燥装置であって、高含液被乾燥物を投入する高含液被乾燥物投入部及び、当該高含液被乾燥物投入部よりも下部に位置し当該高含液被乾燥物から遠心分離した泥状物を排出する泥状物排出部を備える遠心分離機構と、上面部及び側面部を備え、前記遠心分離機構よりも下部に配置するケーシングと、前記泥状物排出部よりも下部に位置する泥状物投入部及び、前記遠心分離した泥状物をドラム乾燥により低含液被乾燥物へと変化させるドラム乾燥部を備え、前記ケーシングの内部に配置するドラム乾燥機構と、前記ケーシングの上面部を貫通し前記泥状物排出部と前記泥状物投入部とを直接結合する垂直連通路と、前記垂直連通路の側面部を貫通し連結する第一蒸気吸入路又は前記ケーシングの一部を貫通し連結する第二蒸気吸入路及び、前記第一蒸気吸入路又は第二蒸気吸入路の端部と連結する吸入源を備える蒸気吸入機構と、を少なくとも備え、さらに、前記ドラム乾燥部に、前記垂直連通路の直下に配置する1台のドラムと、前記ドラムの温度を上昇させるドラム温度上昇機構と、延伸後泥状物の乾燥を促進させる延伸後泥状物乾燥促進機構と、前記ドラムを回転させる駆動源である1個のドラム駆動モータと、前記ドラムの外側面近傍に配置した1本の延伸ローラと、前記延伸ローラを回転させる駆動源である1個の延伸ローラ駆動モータと、を少なくとも備え、前記延伸ローラの周速度が、前記ドラムの周速度よりも遅い速度にしたことを特徴とする省スペース乾燥装置を提供する。
【0010】
また、上記の課題を解決するために、遠心分離方式で機械的固液分離を行なう遠心分離機構とドラム乾燥方式で熱的乾燥を行なうドラム乾燥機構とを有する省スペース乾燥装置であって、高含液被乾燥物を投入する高含液被乾燥物投入部及び、当該高含液被乾燥物投入部よりも下部に位置し当該高含液被乾燥物から遠心分離した泥状物を排出する泥状物排出部を備える遠心分離機構と、上面部及び側面部を備え、前記遠心分離機構よりも下部に配置するケーシングと、前記泥状物排出部よりも下部に位置する泥状物投入部及び、前記遠心分離した泥状物をドラム乾燥により低含液被乾燥物へと変化させるドラム乾燥部を備え、前記ケーシングの内部に配置するドラム乾燥機構と、前記ケーシングの上面部を貫通し前記泥状物排出部と前記泥状物投入部とを直接結合する垂直連通路と、前記垂直連通路の側面部を貫通し連結する第一蒸気吸入路又は前記ケーシングの一部を貫通し連結する第二蒸気吸入路及び、前記第一蒸気吸入路又は第二蒸気吸入路の端部と連結する吸入源を備える蒸気吸入機構と、を少なくとも備え、さらに、前記ドラム乾燥部に、前記垂直連通路の直下に配置する1台のドラムと、前記ドラムの温度を上昇させるドラム温度上昇機構と、延伸後泥状物の乾燥を促進させる延伸後泥状物乾燥促進機構と、前記ドラムを回転させる駆動源である1個のドラム駆動モータと、前記ドラムの外側面近傍に配置した1本の延伸ローラと、前記延伸ローラを回転させる駆動源である1個の延伸ローラ駆動モータと、を少なくとも備え、さらに、前記延伸後泥状物乾燥促進機構が、前記ドラム温度上昇機構を構成する熱風発生源と、前記ドラム軸の側面に設けた第一スリットノズル吸入孔と、前記ドラム軸の一端と接合した第二スリットノズルと、前記第二スリットノズルの側面に設けた複数の第二スリットノズル排気孔とで構成する、または、 送風機と、前記送風機の一端と接合した第二スリットノズルと、前記第二スリットノズルの側面に設けた複数の第二スリットノズル排気孔とで構成し、前記延伸ローラの周速度が、前記ドラムの周速度よりも遅い速度にしたことを特徴とする省スペース乾燥装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本願発明にかかる乾燥装置に投入された高含液被乾燥物は、遠心分離機構で分離され泥状物になる。さらに泥状物はドラム乾燥機構で延伸・乾燥され嵩や重量が減少した低含液被乾燥物となり排出される。
【0012】
また、本願発明にかかる乾燥装置は、垂直連通路の内部及びケーシングの内部の蒸気が蒸気吸入機構により排除されるため、乾燥効率が良い。
【0013】
また、本願発明にかかる乾燥装置は、蒸気の中に含まれる粉じんなどを当該乾燥装置の外部に直接排出することを防止するので、環境保護にも寄与する。
【0014】
また、本願発明にかかる乾燥装置は、遠心分離機の外面に蒸気が舞い上がらないため電気機器の漏電防止や機械の錆び防止などの故障原因が回避できる。
【0015】
また、本願発明にかかる乾燥装置は、遠心分離機構及びドラム乾燥機構を縦列配置しているため、乾燥装置を設置する面積を減少させることができる。
【0016】
また、本願発明にかかる乾燥装置は、ドラム上に延伸残留汚泥塊を生じることなく延伸後泥状物の厚さを継続的に一定にすることができるため、延伸後泥状物の乾燥効率が飛躍的に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本願発明にかかる乾燥装置の全体図である。
【図2】図2は、実施例1及び実施例2のドラム乾燥部を示す図である。
【図3】図3は、実施例1のドラム温度上昇機構及び延伸後泥状物乾燥促進機構を示す図である。
【図4】図4は、実施例2のドラム温度上昇機構及び延伸後泥状物乾燥促進機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
メッキ廃水等の高含液被乾燥物を投入すると、嵩や重量が減少した低含液被乾燥物を排出する、省スペース乾燥装置として実施する。
【実施例1】
【0019】
まずは、実施例1の省スペース乾燥装置の構成について、図1及び図2に従い説明する。
【0020】
実施例1の省スペース乾燥装置(1)は、高含液被乾燥物(S1)を投入する高含液被乾燥物投入部(101)と、前記高含液被乾燥物を遠心分離処理することにより泥状物を分離する遠心分離部(図示せず)と、前記分離された泥状物(S2)を排出する泥状物排出部(109)と、を備える遠心分離機構(10)と、上面部及び4面の側面部を備え前記遠心分離機構(10)の下部に位置するケーシング(20)と、前記ケーシング(20)の内部に配置し、前記泥状物(S2)が投入される泥状物投入部(301)と、前記投入された泥状物(S2)をドラム乾燥により低含液被乾燥物(S3)に変化させるドラム乾燥部(302)と、最終排出被乾燥物である低含液被乾燥物(S3)を収納するために最下段に配置する低含液被乾燥物収納容器(305)と、を備えるドラム乾燥機構(30)と、前記ケーシング(20)の上面部を貫通し前記泥状物排出部(109)と前記泥状物投入部(301)とを直接結合する垂直連通路(40)と、前記垂直連通路(40)の側面部を貫通し連結する第一蒸気吸入路(501)と、前記ケーシング(20)の上面部を貫通し連結する第二蒸気吸入路(502)と、前記第一蒸気吸入路(501)及び第二蒸気吸入路(502)と連結する吸入源(503)と、を備える蒸気吸入機構(50)と、で構成する。
【0021】
なお、前記ケーシング(20)の形状及び構成については、底面部を有しない上面部及び4面の側面部で構成するが、前記ドラム乾燥機構(30)の乾燥効率、粉じんなどを含む蒸気の発散又は低含液被乾燥物の飛散など、当該乾燥装置としての機能・性能が維持できる範囲内であれば種々の形状及び構成に設計変更し得る。
【0022】
前記ドラム乾燥部(302)の構成は、前記垂直連通路(40)の直下に位置する1台のドラム(3021)と、前記ドラムの温度を上昇させるドラム温度上昇機構(3022)と、延伸後泥状物(S2)の乾燥を促進させる延伸後泥状物乾燥促進機構(3023)と、前記ドラムの中央部を貫通する筒状のドラム軸(3024)と、前記ドラムを回転させる駆動源である1個のドラム駆動モータ(3025)と、前記ドラム軸(3024)と前記ドラム駆動モータ(3025)とを結合するドラム連結チェーン(3026)と、前記ドラムの外側面近傍に設置する1本の延伸ローラ(3031)と、前記延伸ローラの中央部を貫通する延伸ローラ軸(3034)と、前記延伸ローラを回転させる駆動源である1個の延伸ローラ駆動モータ(3035)と、前記延伸ローラ軸(3034)と前記延伸ローラ駆動モータ(3035)とを結合する延伸ローラ連結ベルト(3036)と、前記延伸ローラの下部に位置し、前記延伸ローラと前記ドラムとの隙間の距離を調整する延伸ローラテンショナー(3037)と、延伸後泥状物(S2)を前記ドラムから掻き落とすために設置するスクレーパ(3041)と、で構成する。
【0023】
前記ドラム温度上昇機構(3022)は、熱風発生源(3022a)と、図示左端側を前記熱風発生源(3022a)と接合した第一スリットノズルと兼用する前記ドラム軸(3024)と、前記第一スリットノズルの図示右端側に備えた熱風堰き止め部(3022b)と、前記第一スリットノズルの側面に貫通設置した複数の第一スリットノズル排気口(3022c)とで構成する。
【0024】
前記延伸後泥状物乾燥促進機構(3023)は、前記熱風発生源(3022a)と、前記第一スリットノズルと兼用するドラム軸(3024)の図示右端側の側面に設けた第一スリットノズル吸気孔(3023a)と、前記第一スリットノズルの右端側と接合した第二スリットノズル(3023b)と、前記第二スリットノズルの側面に設けた複数の第二スリットノズル排気孔(3023c)とで、構成する。
【0025】
前記第二スリットノズル(3023b)の位置及び本数は、前記ドラムの周辺近傍に2本配置している。1本は前記ドラム(3021)と前記延伸ローラ(3032)との近傍であり、他の1本は前記ドラムの下面近傍である。前記ケーシング(20)の内部での粉じんの舞い上がりを防止するために当該配置としている。
【0026】
なお、前記ドラム(3021)とドラム駆動モータ(3025)とを結合する手段としてドラム連結チェーン(3026)を使用しているが、技術常識の範囲内での代替手段(例えば、連結ベルトへの変更又は中継ギアを介しての結合等)への変更は行い得る。
【0027】
なお、前記延伸ローラ(3031)と延伸ローラ駆動モータ(3035)とを結合する手段として延伸ローラ連結ベルト(3036)を使用しているが、技術常識の範囲内での代替手段(例えば、連結チェーンへの変更又は中継ギアを介しての結合等)への変更は行い得る。
【0028】
前記スクレーパ(3041)の設置角度は、前記ドラム(3021)の外側面を滑動し滑らかに前記ドラムに付着した泥状物(S2)を舐め落とすために、前記ドラムの外側面と鋭角となる位置に設置することが好ましい。
【0029】
前記スクレーパ(3041)は、図示右端をスクレーパ支軸(3042)で軸支し、図示左端で前記ドラムに付着した泥状物(S2)を掻き取る構造であるが、前記ドラム(3021)への押しつけ力を安定させるために、前記スクレーパ(3041)の上部にスクレーパ押圧バネ(3047)を付加し、前記スクレーパ押圧バネ(3047)で前記スクレーパ(3041)の図示左端を前記ドラム(3021)に押しつける構造とすることが好ましい。
【0030】
なお、前記低含液被乾燥物収納容器(305)の形状及び構成については、上面部を有しない4面の側面部及び底面部で構成するが、低含液被乾燥物(S3)の飛散を防止することができる範囲内であれば様々な形状及び構成に設計変更し得る。
【0031】
なお、前記垂直連通路(40)は、前記ケーシング(20)の上面部を貫通し前記泥状物排出部(109)と前記泥状物投入部(301)とを直接結合しているので、前記泥状物排出部(109)から前記ケーシング(20)の内部までは連通した密閉空間を確保している。
【0032】
蒸気吸入機構(50)を構成する蒸気吸入路は、少なくとも前記第一蒸気吸入路(501)又は第二蒸気吸入路(502)の何れかを備えていれば良いが、乾燥効率等を考慮すると両方備えている方が好ましい。
【0033】
前記第二蒸気吸入路(502)の図示右側端部は、前記ケーシング(20)の一部を貫通し連結すれば良いが、前記ケーシング(20)の内部での乾燥効率などを考慮すれば、蒸気がより多く発生する前記ドラム乾燥部(302)の前半部分である前記延伸ローラ(3031)位置付近の前記ケーシング(20)の上面部を貫通し連結することが好ましい。
【0034】
前記第一蒸気吸入路(501)の最終端部は、前記吸入源(503)と連結されている必要がある。
【0035】
前記第二蒸気吸入路(502)の最終端部(図示左側端部)は、前記吸入源(503)と連結されている必要がある。
【0036】
実施例1では、前記第一蒸気吸入路(501)と前記第二蒸気吸入路(502)とをジョイントしたうえで前記吸入源(503)と連結する構造を選択している。
【0037】
なお、前記吸入源(503)には、ブロワーを使用しているが、吸入動作を行い得る同種の装置であれば良い。
【0038】
次に、実施例1の省スペース乾燥装置のドラム温度上昇動作について、図3に従い説明する。
【0039】
熱風発生源(3022a)から放出した熱風は、接続ホースを経由し前記第一スリットノズルと兼用する前記ドラム軸(3024)の側面に設けた複数の第一スリットノズル排気口(3022c)から前記ドラムの内側面へ向かって輻射される。
【0040】
前記輻射により、前記ドラム(3021)の温度は上昇する。
【0041】
なお、前記輻射により上昇する温度は、70℃から130℃が好ましい。
【0042】
次に、実施例1の省スペース乾燥装置の乾燥処理動作ついて、メッキ廃水を投入した場合を例に取り、図1から図3に従い説明する。
【0043】
メッキ廃水(S1)を高含液被乾燥物投入部(101)から投入し、遠心分離処理を開始することにより、泥状物(S2)が、間欠的(例えば、5分間に1回の間隔)に、泥状物排出部(109)から排出される。
【0044】
前記泥状物排出部(109)から排出された前記泥状物(S2)は、自然重力により落下し、前記ケーシング(20)の上面部を貫通し前記泥状物排出部(109)と前記泥状物投入部(301)とを直接結合する垂直連通路(40)を通って前記ドラム(3021)の上面に堆積する。
【0045】
また、ドラム駆動モータ(3025)の作動により、ドラム連結チェーン(3026)を伝動しドラム軸(3024)及び前記ドラム(3021)が反時計回りに回転する。
【0046】
また、延伸ローラ駆動モータ(3035)の作動により、延伸ローラ連結ベルト(3036)を伝動し延伸ローラ軸(3034)及び延伸ローラ(3031)が時計回りに回転する。
【0047】
前記ドラム(3021)及び延伸ローラ(3031)が回転すると、前記泥状物(S2)は、前記ドラム(3021)と前記延伸ローラ(3031)との間を通過することによって、0.5mmから0.1mm程度の厚さに延伸される。
【0048】
延伸後泥状物(S2)は、前記ドラム温度上昇機構(3022)の作動により、70℃から130℃に温度上昇したドラム(3021)によって内側面から熱的乾燥を継続的に受けながら、前記ドラム(3021)に付着し前記ドラム(3021)と共に回転移動する。
【0049】
ところで、前記第一スリットノズル排気口(3022c)からいったん輻射された熱風は、第一スリットノズル吸気孔(3023a)から接続ホースを経由して第二スリットノズル(3023b)へと導かれ、前記第二スリットノズルの側面に設けた複数の第二スリットノズル排気孔(3023c)から前記ドラム(3021)の外側面に向かって放出される。
【0050】
前記の放出(延伸後泥状物乾燥促進機構(3023)の作動)により、前記延伸後泥状物(S2)は、さらに、前記複数の第二スリットノズル排気孔(3023c)から放出される熱風を前記ドラム(3021)の外側面からも継続的に受けるため、乾燥が促進される。
【0051】
スクレーパ(3041)の位置に到達した前記延伸後泥状物(S2)は、前記スクレーパ押圧バネ(3047)によって上部から押圧された前記スクレーパ(3041)により、前記ドラム(3021)から掻き落とされ最下部に配置する低含液被乾燥物収納容器(305)内に落下収納される。
【0052】
なお、前記ドラム(3021)の周速度は、前記ドラム駆動モータ(3025)の回転速度を変化させることにより、また、前記延伸ローラ(3031)の周速度は、前記延伸ローラ駆動モータ(3035)の回転速度を変化させることにより、調整可能である。
【0053】
前記ドラム駆動モータ(3025)の回転速度は、泥状物排出部(109)から排出される泥状物(S2)の排出間隔に応じ変更し得るが、次の泥状物(S2)が排出されるまでに、低含液被乾燥物(S3)の排出が完了していることが好ましいことから、例えば、5分間に1回の間隔で泥状物(S2)が排出される乾燥装置では概ね3rpm程度の回転速度で作動させている。ただし、前記ドラム(3021)の径の大きさが設計変更されると前記ドラム駆動モータ(3025)の回転速度も変更し得る。
【0054】
なお、前記延伸ローラ(3031)の周速度は、残留泥状物塊や泥状物詰まり、泥状物付着などを生じさせることなく、延伸後泥状物(S2)の厚さを継続的に一定にするため、前記ドラム(3021)の周速度の50%〜100%未満とすることが好ましい。
【0055】
次に、実施例1の省スペース乾燥装置の蒸気吸入動作ついて、メッキ廃水を投入した場合を例に取り、図1及び図2に従い説明する。
【0056】
ドラムの上面に堆積した泥状物(S2)及び延伸後泥状物(S2)は、ドラム温度上昇機構(3022)の作動により、70℃から130℃に温度上昇したドラム(3021)によって内側面から熱的乾燥を継続的に受けるので、前記泥状物(S2)から蒸気が発生する。
【0057】
前記発生した蒸気は、吸入源であるブロワー(503)の作動により、第一蒸気吸入路(501)又は第二蒸気吸入路(502)を経由し前記ブロワー(503)の内部を通過した後、前記ブロワー(503)と連通する蒸気排出路(60)へ排出される。
【0058】
なお、前記蒸気排出路(60)へ排出された蒸気は、前記蒸気排出路(60)と連通した蒸気収納容器(70)などに収納される。前記蒸気収納容器(70)などに収納された蒸気は、当該容器の内部で水にもどされる。また、蒸気中の粉じんも、当該容器に回収される。
【実施例2】
【0059】
実施例2の省スペース乾燥装置は、ドラム温度上昇機構及び延伸後泥状物乾燥促進機構の構成を変更した省スペース乾燥装置である。
【0060】
まずは、実施例2の省スペース乾燥装置の構成について、図4に従い実施例1との変更点のみを説明する。
【0061】
ドラム温度上昇機構(3022)は、スチーム発生源(3022d)と、図示左端側を前記スチーム発生源(3022d)と接合した第一スリットノズルと兼用する前記ドラム軸(3024)と、前記第一スリットノズルの側面に貫通設置した複数の第一スリットノズル分岐部(3022e)と、スチームトラップ(3022f)とで、構成する。
【0062】
延伸後泥状物乾燥促進機構(3023)は、送風発生源である送風機(3023d)と、前記送風発生源(3023d)と接合した第二スリットノズル(3023b)と、前記第二スリットノズルの側面に設けた複数の第二スリットノズル排気孔(3023c)とで、構成する。
【0063】
その他の構成については、実施例1の省スペース乾燥装置と同様であるので、省略する。
【0064】
次に、実施例2の省スペース乾燥装置のドラム温度上昇動作について、図4に従い、実施例1との変更点のみを説明する。
【0065】
スチーム発生源(3022d)から放出したスチームは、接続ホースを経由し前記第一スリットノズルと兼用する前記ドラム軸(3024)の側面に設けた複数の第一スリットノズル分岐部(3022e)に流れることにより前記ドラムの温度が上昇する。なお、ドレンはスチームトラップ(3022f)により回収される。
【0066】
なお、前記スチーム放出により上昇する温度は、70℃から130℃が好ましい。
【0067】
次に、実施例2の省スペース乾燥装置の乾燥処理動作ついて、メッキ廃水を投入した場合を例に取り、図1、図2及び図4に従い、実施例1との変更点のみを説明する。
【0068】
延伸後泥状物(S2)は、ドラム温度上昇機構(3022)の作動により、70℃から130℃に温度上昇したドラム(3021)によって内側面から熱的乾燥を継続的に受けながら、前記ドラム(3021)に付着し前記ドラム(3021)と共に回転移動する。
【0069】
ところで、送風発生源である送風機(3023d)から放出した気体は、第二スリットノズル(3023b)を経由し、前記第二スリットノズルの側面に設けた第二スリットノズル排気孔(3023c)から前記ドラムの外側面へ向かって放出される。
【0070】
前記の放出(延伸後泥状物乾燥促進機構(3023)の作動)により、前記延伸後泥状物(S2)は、さらに、前記複数の第二スリットノズル排気孔(3023c)から放出される送風を前記ドラム(3021)の外側面からも継続的に受けるため、乾燥が促進される。
【0071】
スクレーパ(3041)の位置に到達した前記延伸後泥状物(S2)は、前記スクレーパ(3041)により、前記ドラム(3021)から掻き落とされ最下部に配置する低含液被乾燥物収納容器(305)内に落下収納される。
【0072】
その他の動作については、実施例1の乾燥装置と同様であるので、省略する。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本願発明の乾燥装置は、最終排出物である低含液被乾燥物の嵩や重量を減少させ、かつ、乾燥効率を飛躍的に向上させる装置であるので、産業上の利用性を有する。
【符号の説明】
【0074】
1 乾燥装置
10 遠心分離機構
101 高含液被乾燥物投入部
109 泥状物排出部
20 ケーシング
30 ドラム乾燥機構
301 泥状物投入部
302 ドラム乾燥部
3021 ドラム
3022 ドラム温度上昇機構
3022a 熱風発生源
3022b 熱風堰き止め部
3022c 第一スリットノズル排気口
3022d スチーム発生源
3022e 第一スリットノズル分岐部
3022f スチームトラップ
3023 延伸後泥状物乾燥促進機構
3023a 第一スリットノズル吸気孔
3023b 第二スリットノズル
3023c 第二スリットノズル排気孔
3023d 送風機(送風発生源)
3024 ドラム軸(第一スリットノズル)
3025 ドラム駆動モータ
3026 ドラム連結チェーン
3031 延伸ローラ
3034 延伸ローラ軸
3035 延伸ローラ駆動モータ
3036 延伸ローラ連結ベルト
3037 延伸ローラテンショナー
3041 スクレーパ
3042 スクレーパ支軸
3047 スクレーパ押圧バネ
305 低含液被乾燥物収納容器
40 垂直連通路
50 蒸気吸入機構
501 第一蒸気吸入路
502 第二蒸気吸入路
503 吸入源(ブロワー)
60 蒸気排出路
70 蒸気収納容器
S1 高含液被乾燥物
S2 泥状物(含液率75%から80%程度)
S3 低含液被乾燥物(含液率40%以下)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心分離方式で機械的固液分離を行なう遠心分離機構とドラム乾燥方式で熱的乾燥を行なうドラム乾燥機構とを有する省スペース乾燥装置であって、
高含液被乾燥物を投入する高含液被乾燥物投入部(101)及び、当該高含液被乾燥物投入部よりも下部に位置し当該高含液被乾燥物から遠心分離した泥状物を排出する泥状物排出部(109)を備える遠心分離機構(10)と、
上面部及び側面部を備え、前記遠心分離機構よりも下部に配置するケーシング(20)と、
前記泥状物排出部よりも下部に位置する泥状物投入部(301)及び、前記遠心分離した泥状物をドラム乾燥により低含液被乾燥物へと変化させるドラム乾燥部(302)を備え、前記ケーシングの内部に配置するドラム乾燥機構(30)と、
前記ケーシングの上面部を貫通し前記泥状物排出部と前記泥状物投入部とを直接結合する垂直連通路(40)と、
前記垂直連通路の側面部を貫通し連結する第一蒸気吸入路(501)又は前記ケーシングの一部を貫通し連結する第二蒸気吸入路(502)及び、前記第一蒸気吸入路又は第二蒸気吸入路の端部と連結する吸入源(503)を備える蒸気吸入機構(50)と、
を少なくとも備える乾燥装置
【請求項2】
前記ドラム乾燥部(302)に、前記垂直連通路の直下に配置する1台のドラム(3021)と、前記ドラムの温度を上昇させるドラム温度上昇機構(3022)と、延伸後泥状物の乾燥を促進させる延伸後泥状物乾燥促進機構(3023)と、前記ドラムを回転させる駆動源である1個のドラム駆動モータ(3025)と、前記ドラムの外側面近傍に配置した1本の延伸ローラ(3031)と、前記延伸ローラを回転させる駆動源である1個の延伸ローラ駆動モータ(3035)と、を少なくとも備える請求項1の乾燥装置
【請求項3】
前記延伸ローラの周速度が、前記ドラムの周速度よりも遅い速度にしたことを特徴とする請求項1又は請求項2の乾燥装置
【請求項4】
前記延伸後泥状物乾燥促進機構(3023)が、前記ドラム温度上昇機構を構成する熱風発生源(3022a)と、前記ドラム軸の側面に設けた第一スリットノズル吸入孔(3023a)と、前記ドラム軸の一端と接合した第二スリットノズル(3023b)と、前記第二スリットノズルの側面に設けた複数の第二スリットノズル排気孔(3023c)とで構成する請求項1、請求項2又は請求項3の乾燥装置
【請求項5】
前記延伸後泥状物乾燥促進機構(3023)が、送風機(3023d)と、前記送風機の一端と接合した第二スリットノズル(3023b)と、前記第二スリットノズルの側面に設けた複数の第二スリットノズル排気孔(3023c)とで構成する請求項1、請求項2又は請求項3の乾燥装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−189284(P2012−189284A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54929(P2011−54929)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(598158130)株式会社 アメロイド日本サービス社 (5)
【Fターム(参考)】