真空に関連した力に反応する容器の底部構造
【課題】ホットパック充填によって発生する真空圧を調節することができ、かつ実質的な構造を持たない側壁を備えたガラス容器の外観を模倣して、滑らかなガラス様の外観を可能にする改良版のプラスチック容器を得る。
【解決手段】真空圧力吸収に適応した底部40を備えたプラスチック容器10である。底部40は、その表面で容器を支える接触リング34と、起立壁と、中心部とを備えている。起立壁は、接触リング34と隣り合い、接触リング34をほぼ取り囲んでいる。中心部は、中心上げ底部40と、中心上げ底部40をほぼ取り囲む反転リング42とによって少なくとも部分的に形成されている。中心上げ底部40および反転リング42は、容器内に発生した真空力を調節するために可動である。
【解決手段】真空圧力吸収に適応した底部40を備えたプラスチック容器10である。底部40は、その表面で容器を支える接触リング34と、起立壁と、中心部とを備えている。起立壁は、接触リング34と隣り合い、接触リング34をほぼ取り囲んでいる。中心部は、中心上げ底部40と、中心上げ底部40をほぼ取り囲む反転リング42とによって少なくとも部分的に形成されている。中心上げ底部40および反転リング42は、容器内に発生した真空力を調節するために可動である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、米国特許出願No.11/116,764(出願日2005年4月28日)の部分継続出願であり、その出願は、米国特許出願No.10/445,104(出願日2003年5月23日)の継続出願であり、同一出願人によるものである。
【0002】
本発明は、一般的に、商品、特に液体商品を保持するためのプラスチック容器に関連する。より具体的には、本発明はパネルのないプラスチック容器に関連しており、その底部構造によって、該底部が真空圧を大幅に吸収することができ、上記容器の別の部分に不要な変形をもたらすこともないプラスチック容器に関連するものである。
【背景技術】
【0003】
環境問題等への懸念を受けて、以前はガラス容器に入って供給されていた多くの商品を包装するために、今ではかつてないほどプラスチック容器、より具体的にはポリエステル、さらに具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)容器が使用されている。製造者、充填業者、そして消費者も、PET容器は軽量で、安価で、リサイクル可能で、大量生産可能であるということを認識している。
【0004】
現在、製造業者は、例えばジュースやスポーツドリンクのような様々な液体商品用のPET容器を供給している。供給業者は、一般的には155°F〜205°F(68℃〜96℃)、通常は約185°F(85℃)の高温でこれらの液体製品を上記容器に充填する。上記方法によって詰める場合、充填時に、上記液体商品の上記高温によって容器が消毒される。ボトル業界では、上記処理をホットパック充填(hot filling)と称し、この処理に耐久するよう設計された容器をホットパックまたはヒートセット(heat set)容器と呼ぶ。
【0005】
ホットパック充填処理は、その内容物の酸度が高い商品に対しては許容できる。しかし、その内容物の酸度が高くない商品に関しては、一般的に許容できない。それにも関わらず、内容物の酸度が高くない商品の製造業者および充填業者もが、彼らの商品をPET容器に入れて供給したいと考えている。
【0006】
酸度が高くない商品に対しては、低温殺菌およびレトルトが好適な消毒処理である。ヒートセット容器は、低温殺菌およびレトルトに必要な温度および時間要求に耐久不可能である。この点において、低温殺菌およびレトルトは両者とも、PET容器の製造に大きな課題を与えている。
【0007】
低温殺菌およびレトルトは両者とも、内容物が充填された後、容器のその内容物を加熱または消毒するための処理である。両処理とも、通常は約155°F(約70℃)より高い特定の温度で、特定時間(20〜60分)容器の内容物を加熱する処理を含んでいる。容器を消毒し、その内容物を加熱するのにより高温を利用するという点において、レトルトは低温殺菌と相違する。また、レトルトは、容器の内圧に抗するために、外側から容器に対して高圧を加える。外側から容器へ圧力を加えることは必要なことである。なぜなら、湯槽(hot water bath)が使用されることが多く、過度の圧力によって、水だけでなく容器の内容物中の液体が、それぞれの沸点より高い温度で液状で維持されるからである。
【0008】
PETは結晶化可能なポリマーである、つまり非晶質形状または部分的結晶形状で利用できる。PET容器がその物質の一体性を保持する能力は、PET容器の「結晶化度」としても知られる、結晶性形状にあるPET容器の割合に関連している。結晶化度の割合は、以下の等式による体積分率として表される。
【0009】
【数1】
【0010】
上記等式において、pはPET物質の濃度、paは純非晶PET物質(1.333g/cc)の濃度、そしてpcは純結晶質(1.455g/cc)の濃度である。
【0011】
容器製造業者は、機械的処理および熱処理を利用して、容器のPETポリマーの結晶化度を増加させる。機械的処理は、ひずみ硬化を達成するよう非晶質を配向させる処理を含む。この処理は、一般的に、PETプリフォームを縦軸に沿って延ばし、該PETプリフォームを横または放射軸に沿って広げてPET容器を形成する処理を含んでいる。この組み合わせは、製造業者が規定するところの容器内の分子構造の2軸配向を促進する。現在、PET容器の製造業者は、容器の側壁の結晶化度が約20%であるPET容器を製造するために、機械的処理を利用している。
【0012】
熱処理は、結晶成長を促進するために物質(非晶質または部分的結晶質のいずれか)を加熱する処理を含んでいる。非晶質に対しては、PET物質の熱処理は、光の透過を阻害する球状の形態をもたらす。つまり、結果として生じる結晶質は不透明であり、従って一般的に好ましくない。しかし、機械的処理後に使用すると、2軸分子配向された容器の上記部分に対して、より高い結晶化度および優れた透明度が得られる。ヒートセットとして知られている、配向されたPET容器の熱処理は、一般的に、約250°F〜350°F(約121℃〜177℃)の温度で加熱された金型にPETプリフォームを吹込み成形する処理と、加熱された金型で、吹込まれた容器を約2〜5秒間保持する処理とを含んでいる。約185°F(85℃)でホットパック充填しなければならないPETジュースボトルの製造業者は、現在、全体の結晶化度が25〜30%の範囲内であるPETボトルを製造するために、ヒートセットを利用している。
【0013】
ホットパック充填された後、上記ヒートセット容器はキャップされ、一般的にほぼ充填温度で約5分間置かれる。その時点で、容器は、ラベル貼り、梱包、および出荷作業に移行するのに先立って、製品と共に積極的に冷却される。冷却されると、容器内の液体の容積は減少する。製品が収縮するこの現象によって、容器内に真空が生じる。一般的に、容器内の真空圧は1〜380mm/Hgの範囲内であり、大気圧(すなわち、759mm/Hg〜380mm/Hg)より低い。これらの真空圧は、制御または調節されない場合、容器の変形を引き起こし、これによって美的に許容できない容器または不安定な容器のいずれかを生じてしまう。一般的に、上記業界は、側壁構造、あるいは真空パネルによって真空に関連した力を調節している。真空パネルは、真空圧下において、制御された様式で内側に変形し、容器の側壁の不要な変形を取り除く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
真空パネルによって、容器がホットパック充填処理の厳しさに耐えることができたが、真空パネルにはいくつかの制限および欠点がある。第一に、真空パネルでは、一般的に、滑らかなガラス様の外見が得られない。第二に、包装業者は、容器の真空パネル上に、巻きつけラベルまたはスリーブラベルを貼付することが多い。側壁または真空パネル上の上記ラベルの外見は、しわになって滑らかでないことが多い。さらに、容器をつかんだ時、往々にして真空パネルがラベルの下にあるように感じられ、ラベルが様々なパネルの割れ目や凹みの中に押し込まれることが多い。
【0015】
さらに改良を加え、真空圧によって生じる容器の変形を制御するための一助とするために、容器の側壁のピンチグリップ構造が利用されている。しかし、真空パネルと同様、ピンチグリップにも同様の制限および欠点が存在する。
【0016】
ホットパック充填用のプラスチック容器が、真空を調節する構造的特徴を持たずして上述の目的を達成するための別の方法は、窒素充填技術を利用することである。しかし窒素充填技術の1つの欠点は、現在の技術で達成可能な最大ラインスピードが1分当たり約200容器に限定されていることである。このような遅いラインスピードはとても許容できるものではない。さらに充填密度は、効率的な作業を達成するための技術的水準に未だ至っていない。
【0017】
従って、ホットパック充填によって発生する真空圧を調節することができ、かつ実質的な構造を持たない側壁を備えたガラス容器の外観を模倣して、滑らかなガラス様の外観を可能にする改良版の容器に対する要求がある。従って本発明の目的は、そのような容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
従って、本発明は、ホットパック充填されて室温まで冷却された後のあらゆる処理において美的および機械的一体性を維持するプラスチック容器を提供するものである。上記プラスチック容器は、底部が真空圧を大幅に吸収することを可能にする底部構造を備えており、そのため底部以外の部分に不要な変形をもたらすことがない。ガラス容器の場合、該容器は動かず、その構造は全ての圧力および力を抑制しなければならない。袋容器の場合、該容器は容易に動いて製品に適応する。本発明は、いくぶんか複合型であって、動く領域と動かない領域とをもたらす。最終的には、本発明によるプラスチック容器の底部が移動または変形した後、該容器の残りの全体構造は、破損することなく、新たなすべての圧力または力を抑制する。
【0019】
本発明は、上部、胴体部または側壁部、および底部を有するプラスチック容器を含んでいる。上記上部は、上記容器の口を形成する開口部を含む。上記胴体部は、上記上部から上記底部まで延びている。上記底部は、上げ底部および反転リングによって少なくともその一部が形成される中心部を含む。上記上げ底部は、断面がほぼ円錐台形状であり、上記反転リングは、断面がほぼS字型をしている。
【0020】
本発明のさらなる利点および長所については、本発明に関連のある業者にとっては、後述する好適な実施形態および請求項を添付図と共に参照することで明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のプラスチック容器の正面図であり、該容器は成型され、中は空である。
【図2】本発明のプラスチック容器の正面図であり、該容器は中が充填され、密封されている。
【図3】図1に示すプラスチック容器の底部を示す部分的な斜視図である。
【図4】図2に示すプラスチック容器の底部を示す部分的な斜視図である。
【図5】図3に示すプラスチック容器の、ほぼ線5−5に沿った断面図である。
【図6】図4に示すプラスチック容器の、ほぼ線6−6に沿った断面図である。
【図7】プラスチック容器の断面図であり、図5に類似し、他の実施の形態を示す図である。
【図8】プラスチック容器の断面図であり、図6に類似し、別の実施の形態を示す図である。
【図9】追加的な実施の形態に係るプラスチック容器の底部を示す図であり、該容器は成型され、中は空である。
【図10】図9に示すプラスチック容器の、ほぼ線10−10に沿った断面図である。
【図11】図9に示す実施の形態に係るプラスチック容器の底部を示す図であり、該プラスチック容器は中が充填され、密封されている。
【図12】図11に示すプラスチック容器の、ほぼ線12−12に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
好適な実施形態に関する以下の説明は、全くの例証であって、本発明、本発明の適用方法または用途を制限するものでは決してない。
【0023】
前述したように、PET製のヒートセット容器内の内容物の冷却中に真空に関連した力を調節するため、容器には、典型的に、その側壁の周囲に一連の真空パネルまたはピンチグリップが備えられている。上記真空パネルまたはピンチグリップは、真空に関連した力の影響下で内側に変形し、上記容器の別の部分における不要な変形を防止する。
しかし、上記真空パネルまたはピンチグリップがあると、上記容器の側壁は滑らかまたはガラス様ではなくなり、その上に貼付されたラベルにしわが生じ、滑らかでなくなることが多い。また最終消費者が上記容器を掴むまたは持ち上げた時に、上記ラベルの下の上記真空パネルおよびピンチグリップを触知してしまう。
【0024】
真空パネルのない容器では、(例えば底部または蓋(closure)での)制御された変形と、該容器の残りの部分における真空耐性との組み合わせが必要である。従って、本発明が提供するプラスチック容器は、標準的なホットパック充填処理下において、その底部が容易に変形かつ動くことができ、一方で該容器の残りの部分において、内部真空に耐えることができる堅い構造を維持している。例えば、16オンスのプラスチック容器は、通常は、約20〜24ccの容積縮小を調節する。本発明のプラスチック容器では、底部が上記必要量の大部分(即ち約13cc)を調節する。上記プラスチック容器の残りの部分は、すぐに目に付くような変形が生じることなく、上記容積縮小の残りに対して容易に適応することができる。
【0025】
図1および2に示すように、本発明のプラスチック容器10は、端部12、首状部あるいは伸長首状部14、肩領域16、胴体部18、および底部20を備えている。本発明に関連のある業者にとって、首状部14は極めて短い高さであってよいことは充分に理解される。首状部14は、端部12から短く伸長し、あるいは、図1および2に示すように、端部12と肩領域16との間を伸長している。プラスチック容器10は、熱処理中に、典型的にはホットパック充填処理中に商品を保持するよう設計されている。ホットパック充填によるボトリングとして、瓶詰め業者は、一般的には約155°F〜205°F(約68℃〜96℃)の高温で、液体あるいは製品を容器10に充填する。そして、冷却する前に蓋28によって容器10の蓋をする。密閉された容器10が冷却すると、僅かな真空、あるいは負圧が内部に生じ、容器10、とりわけ底部20を変形させる。さらに、プラスチック容器10は、他の高温殺菌あるいはレトルト充填処理、若しくは他の熱処理にも好適である。
【0026】
本発明のプラスチック容器10は、吹込み成型された2軸配向容器であり、単一または多層材料からなる単一構造を有している。ホットパック充填が可能なプラスチック容器10を製造するための既知のストレッチ成形、あるいはヒートセットでは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステル材料のプリフォーム(不図示)が必要となる。そのプリフォームは、当業者にとっては既知の形状であり、試験管に類似している。そして、その形状は、一般的に断面が円筒で、標準的には上記容器高さの約50%の長さである。約190°F〜250°F(約88℃〜121℃)に加熱された上記プリフォームは、ある機械(不図示)によって、プラスチック容器10に類似した形状のモールドキャビティ(不図示)に載置される。上記モールドキャビティは、約250°F〜350°F(約121℃〜177℃)に加熱される。上記プリフォームは、上記モールドキャビティの内部において、伸長ロッド装置(不図示)によって上記容器とほぼ同じ長さまで延ばされ、あるいは広げられる。それにより、上記ポリエステル材料は、ほぼ中心縦軸50に相当する軸方向に分子配向される。上記プリフォームは上記伸長ロッドによって延ばされるが、300PSI〜600PSI(2.07MPa〜4.14MPa)の圧力の空気が、プリフォームを軸方向に、および円周方向あるいは環状方向に伸長する一助となる。その結果、上記ポリエステル材料は実質的に上記モールドキャビティの形状に合致し、さらに、ポリエステル材料は、軸方向に対してほぼ垂直な方向に分子配向される。このようにして、上記容器の大部分において2軸分子配向が行われる。通常、端部12および底部20の一部の内部材料は、実質的に分子配向していない。上記容器が上記モールドキャビティから取り出される前の約2〜5秒間、2軸配向された大部分のポリエステル材料は、上記圧力空気によって上記モールドキャビティに対して保持される。底部20の内部における適切な材料分布を実現するために、発明者は、本願に引用して援用する米国特許第6,277,321号によって実質的に開示されるストレッチ成形工程をさらに利用する。
【0027】
もしくは、上記以外の方法によって上記以外の従来の材料、例えばポリエチレンナフタレート(PEN)、およびPETとPENとの混合物または重合体、または種々の多層構造は、プラスチック容器10の製造に好適である。当業者であれば、プラスチック容器10の製造方法が種々存在することを容易に理解できるであろう。
【0028】
プラスチック容器10の端部12は、開口部または口状部22、ねじ山領域24、および支持リング26を形成する部分を備えている。開口部22は、プラスチック容器10に商品を注入することを可能にし、一方、ねじ山領域24は、図2に示す、同様のねじ蓋またはキャップ28の取り付け手段を提供している。もしくは、プラスチック容器10の端部12は、上記以外の適切な器具と係合する構成を含んでいてもよい。したがって、蓋またはキャップ28は、端部12と係合する機能を有し、好ましくはプラスチック容器10をハーメチック封止する。蓋またはキャップ28は、蓋産業では一般的なプラスチックまたは金属素材から製造され、高温・低温殺菌およびレトルトなどを含む、後に行われる熱処理に適していることが好ましい。支持リング26は、製造を通して、また製造の種々の工程において、プリフォーム(プラスチック容器10の前駆体)(不図示)を運ぶ、またはプリフォームの方向を変えるために使用してもよい。例えば、上記プリフォームは支持リング26を用いて運ばれてもよく、支持リング26は、上記プリフォームを金型内に位置決めする一助として使用されてもよい。もしくは、支持リング26は、最終消費者が、製造されたプラスチック容器10を持ち運ぶために使用されてもよい。
【0029】
プラスチック容器10の首状部14によって、プラスチック容器10はいくぶん容積要求に合わせることができる。伸長首状部14と一体的に形成され、首状部14から下方に伸びている部分が肩領域16である。肩領域16は、伸長首状部14と胴体部18との境を形成および提供している。胴体部18は、肩領域16から底部20まで下方に延び、側壁30を備えている。容器10の底部20における構成が特殊であるため、ヒートセット容器10の側壁30は、必ずしもその内部に追加的に真空パネルまたはピンチグリップを必要とせず、一般的に滑らかでガラス様である。しかしながら、極めて軽量の容器は、底部20と共に、真空パネル、リブ、および/またはピンチグリップを有する側壁を含みうる。
【0030】
胴体部18から内部に延びるプラスチック容器10の底部20は、一般的に、出縁32、接触リング34、および中心部36を備えている。図5、6、7、8、10および12に示すように、接触リング34は、支持面38に接触する底部20の一部それ自体であり、接触リング34が容器10を支える。このように、接触リング34は、一般的に底部20を連続的または断続的に囲む平面または接触線であってよい。底部20は、プラスチック容器10の底部を閉じ、また伸長首状部14、肩領域16、および胴体部18と共に製品を保持する機能を有する。
【0031】
プラスチック容器10は、前述した処理または別の従来のヒートセット処理に従ったヒートセットであることが好ましい。容器10の胴体部18の真空パネルおよびピンチグリップの省略を可能にしつつ真空力を調節するために、本発明の底部20は斬新かつ革新的な構成を採用している。一般的に、底部20の中心部36には、中心上げ底部40および反転リング42が備えられている。反転リング42は、上部54および下部58を含む。断面図で見ると(図5、7、および10参照)、反転リング42は、ほぼ“S”字型の形状である。さらに底部20は、反転リング42と接触リング34との境を形成している直立する周辺壁または縁44を備えている。
【0032】
図1〜8、10および12に示すように、中心上げ底部40は、断面で見るとほぼ円錐台形状であり、支持面38とほぼ平行な上面46を有する。側面48は、断面がほぼ平面であり、容器10の中心縦軸50に向かって上方に傾斜している。中心上げ底部40の正確な形状は、種々の設計基準次第で大きく変わってもよい。しかし、一般的に、中心上げ底部40(つまり、円錐台)の全径は、おおむね底部20の全径の最大でも30%である。中心上げ底部40は、一般的に、上記プリフォームのゲートが上記金型内に捕捉される部分である。上面46の内部には、実質的に分子配向されていないポリマー材料を含む底部20の一部が位置している。
【0033】
図3、5、7および10に示すように、初期形成時において、反転リング42は、段階的に変化する半径を有し、中心上げ底部40を完全に取り囲み、中心上げ底部40の範囲を限定している。形成時において、反転リング42は、外側に突き出しており、底部20が平坦であれば接触する平面よりも下に突き出している。中心上げ底部40と隣り合う反転リング42との境界は、中心上げ底部40付近で可能な限り多くの配向を促進するために、急でなければならない。これは主に、底部20の反転リング42、とりわけ底部20の下部58の厚み66を確実に最小にするためである。一般的に、反転リング42の下部58の厚み66は、例えば直径約2.64インチ(67.06mm)の底部を有する容器の場合は、約0.008インチ(0.20mm)から約0.025インチ(0.64mm)の間であり、好ましくは、約0.010インチから約0.014インチ(0.25mmから0.36mm)の間である。どこで測定するかにもよるが、上面46の厚み70は0.060インチ(1.52mm)か、あるいはそれ以上であってよい。しかしながら、上面46の厚み70は、すぐに反転リング42の下部58の厚み66へと移行する。反転リング42が柔軟になり、そして適切に機能できるように、反転リング42の厚み66は比較的一定で、また十分な薄さでなければならない。あるいは、反転リング42は、その取り囲み形状に沿った地点に小さなくぼみを備えていてもよい。これは不図示ではあるが、当該技術においてはよく知られており、ラベル貼付工程において、中心縦軸50を中心とした容器の回転を促進するつめを受けるのに適している。
【0034】
接触リング34と反転リング42との境を構成している周辺壁または縁44は、断面が実質的に直線の起立壁であり、長さ約0.030インチ(0.76mm)から約0.325インチ(8.26mm)である。好ましくは、周辺壁または縁44は、直径2.64インチ(67.06mm)の底部を有する容器の場合は、長さ約0.140インチから約0.145インチ(3.56mmから3.68mm)である。直径5インチ(127mm)の底部を有する容器の場合、周辺壁または縁44は長さ約0.325インチ(8.26mm)である。周辺壁または縁44は、一般的に、中心縦軸50に対して角度64をなしており、約0°から約20°であり、好ましくは約15°である。したがって、周辺壁または縁44は、中心縦軸50に厳密に平行である必要はない。周辺壁または縁44は、接触リング34と反転リング42との間において、はっきりと識別可能な構成である。周辺壁または縁44は、接触リング34と反転リング42との境に強度を与えている。上記境は、局部強度を最大にし、かつ構造的に強固な構造を形成するために、急でなければならない。この結果として得られる局所強度は、底部20における折れ曲がりに対する耐性を増加させる。接触リング34は、直径2.64インチ(67.06mm)の底部を有する容器の場合は、一般的に、厚み68は約0.010インチから約0.016インチ(0.25mmから0.41mm)である。好ましくは、厚み68は、反転リング42の下部58の厚み66と、少なくとも同じ厚みか、あるいは約10%、若しくはそれ以上大きい方が好ましい。
【0035】
初期形成時において、中心上げ底部40および反転リング42は、前述したような、そして図1、3、5、7および10に示すような状態になっている。従って、成型時において、反転リング42の上部54と支持面38との間の寸法52は、反転リング42の下部58と支持面38との間の寸法56より大きいか、または等しい。充填時、製品の温度条件下および重量下において、底部20の中心部36および反転リング42はわずかに沈下するか、または支持面38に向かって下方にたわむ。その結果、寸法56はほぼゼロになる。つまり、反転リング42の下部58は、支持面38に実質的に接触する。
【0036】
図2、4、6,8および12に示すように、容器10の充填、キャッピング、密封、および冷却時において、真空に関連した力が生じる結果、中心上げ底部40および反転リング42は、持ち上がるか、または上方に引っ張られ、それによって容積が縮小する。この位置において、中心上げ底部40は、一般的に、断面が円錐台形状を維持し、中心上げ底部40の上面46は、支持面38に対してほぼ平行状態となる。反転リング42は、底部20の中心部36と一体となり、事実上存在しなくなり、形状はより円錐形となる(図8参照)。したがって、容器10のキャッピング、密封、および冷却時において、底部20の中心部36は、図6および8に示すように、ほぼ円錐形状を呈しており、ほぼ平面であるとともに容器10の中心縦軸50に向かって、断面が上方に傾斜する面60を有する。この円錐形状およびほぼ平坦な面60は、部分的に角度62によって規定され、水平面または支持面38に対して約7°から約23°、より典型的には約10°から約17°の角度をなしている。寸法52が大きいほど、そして寸法56が小さいほど、容器10の内部容積が縮小する潜在力が増加する。さらに、(とくに図8に示されるように)面60はほぼ直線であるが、当業者であれば、面60はしばしば波状の外観を呈することを容易に理解するであろう。典型的な直径約2.64インチ(67.06mm)の底部を有する容器、つまり底部20を備える容器10は、成形時において、底部クリアランス寸法72を有する。その底部クリアランス寸法72は、上面46から支持面38までを測った数値であるが、約0.500インチ(12.70mm)から約0.600インチ(15.24mm)である(図7参照)。真空に関連した力に反応すると、底部20は、充填時において、底部クリアランス寸法74を有する。その底部クリアランス寸法72は、上面46から支持面38までを測った数値であるが、約0.650インチ(16.51mm)から約0.900インチ(22.86mm)である(図8参照)。より小さい容器の場合、あるいはより大きい容器の場合、成形時における底部クリアランス寸法72、および、充填時における底部クリアランス寸法74は、比例して異なる数値となる。
【0037】
底部20の中心部36が縮小する容積の量は、底部20の突出している全表面積と比較した場合の底部20の中心部36の突出している表面の面積にも依存している。容器10の胴体部18に真空パネルまたはピンチグリップを備える必要性をなくすために、底部20の中心部36は、底部20の突出している面の全表面積の約55%、好ましくは70%を超える表面積を必要とする。図5および7に示すように、関連する、底部20を横切る直線距離はA、B、C1、およびC2として識別されている。底部20の突出している面の全表面積(PSAA)は、以下の等式によって定義される。
【0038】
【数2】
【0039】
従って、直径2.64インチ(67.06mm)の底部を有する容器の場合、突出している面の全表面積(PSAA)は、5.474インチ2(35.32cm2)である。底部20の中心部36の突出している面の表面積(PSAB)は、以下の等式によって定義される。
【0040】
【数3】
【0041】
上記等式において、B=A−C1−C2である。直径2.64インチ(67.06mm)の底部を有する容器の場合、出縁32の長さ(C1およびC2)は、一般的に約0.030インチ(0.76mm)から0.34インチ(8.64mm)の範囲内である。従って、上記B寸法は、一般的に約1.92インチ(48.77mm)から2.58インチ(65.53mm)の範囲内である。仮に、例えばC1およびC2が0.120インチ(3.05mm)であれば、底部20の中心部36の突出している面の表面積(PSAB)は約4.524インチ2(29.19cm2)である。従って、この例においては、直径2.64インチ(67.06mm)の底部を有する容器の場合、底部20の中心部36の突出した表面積(PSAB)は、底部20の突出している全表面積(PSAA)の約83%である。この割合が大きいほど、容器10は、容器10の別の部分に不要な変形をもたらすことなく、より多くの真空を調節することができる。
【0042】
圧力は、真空下にあるプラスチック容器の内部に均一に働く。しかし、力は構造(即ち表面積)に基づいて異なる。従って、円筒形断面を有する容器内の圧力は以下の等式によって定義される。
【0043】
【数4】
【0044】
上記等式において、Fはポンドでの力を表し、Aは平方インチでの面積を表す。図1に示すように、底部20の中心部36の直径はd1として識別され、胴体部18の直径はd2として識別される。引き続き図1において、肩領域16の底部から出縁32の上部に至る胴体部18の高さ、つまりプラスチック容器10の滑らかなラベル・パネル領域は、lとして識別される。前述したように、胴体部18の追加構造(例えばリブ)は補強効果を有することは、当業者にはよく知られている。以下の解析では、上記のような構造を持たない容器の上記部分についてのみ考慮する。
【0045】
上記の説明によると、底部20の中心部36(PB)に関連する圧力は、以下の等式によって定義される。
【0046】
【数5】
【0047】
上記等式において、F1は底部20の中心部36に加えられる力を表しており、A1は、以下の等式で表される、底部20の中心部36に関連する面積である。
【0048】
【数6】
【0049】
同様に、胴体部18に関連する圧力(PBP)は以下の等式によって定義される。
【0050】
【数7】
【0051】
上記等式において、F2は胴体部18に加えられる力を表しており、A2は、以下の等式で表される、胴体部18に関連する面積である。
【0052】
【数8】
【0053】
従って、容器10の胴体部18に加えられる力を、底部20の中心部36に加えられる力と比較した場合の力比は、以下の等式によって定義される。
【0054】
【数9】
【0055】
最適な性能にするため、上記力比は10未満でなければならず、比率値は低い方が非常に望ましい。
【0056】
前述したように、容器10の底部20と胴体部18との間の厚みの差もまた重要である。胴体部18の厚みは、反転リング42が適切にたわむように、十分な厚みを有していなければならない。上記力比が10に近くなると、容器10の底部20の厚みは、胴体部18の厚みを大幅に下回る必要がある。底部20の構造、および反転リング42が適切にたわむ、つまり容易に動くために必要な力の量に基づいて、胴体部18の厚みは、底部20の厚みより少なくとも平均で15%厚くなければならない。好ましくは、胴体部18の厚みは、反転リング42の下部58の厚み66より2〜3倍大きいのがよい。反転リング42を最初にたわませるために必要な力、または底部20の動きが完了した後に加えられるさらなる力を調節するために必要な力、のいずれかよりも強い力に上記容器が耐えなければならない場合は、より大きい差が必要となる。
【0057】
下記の表は、前述した原理および概念を示す数多くの容器の例である。
【0058】
【表1】
【0059】
上記の全ての例において、容器の底部は、該容器の主要な変形機構として機能する。胴体部18の厚みと、底部20の厚みとの比は、上記力比および容器構造に部分的に左右される。非環状断面(即ち、長方形または正方形)を有する容器に対して同様の分析を行うと、同様の結果が得られる。
【0060】
従って、容器10の底部20の反転リング42の、薄く、柔軟で、湾曲した、ほぼ“S”字型の構造によって、実質的に平坦な底部を有する容器に比べてより大きい容積縮小が可能になる。図1〜6に示す底部20は、中心部36の突出している面を増やす手段として、裾広がりした構造を備えている。それにより、真空に関連した力に反応する自身の能力を高めている。上記裾広がりした構造は、ごくわずかに内側に変形し、容積縮小能力を増大させるという点において、上記の反応性をさらに高めている。だが、発明者は、上記裾広がりした構造は必ずしも必要ではないことを見出している。図7、8、10、および12は、上記裾広がりした構造を具備しない本発明の好ましい実施の形態を示す。ここでは、出縁32は直接側壁30に結合しており、それによって、容器10は、より従来型の外観を呈している。種々の実施の形態において、同じ参照番号は同じ構成要素を表す。
【0061】
発明者は、“S”字型の構造をした反転リング42は、歪曲することで性能がより向上すると確信している(図7参照)。つまり、反転リング42の上部54が、その断面において、下部58の隣り合う曲線の半径78よりも格段に小さい半径76を有する曲線を備えていることを特徴とする場合に性能がより向上する。すなわち、半径76は、最大でも半径78のほぼ35%である。この湾曲した“S”字型の構造によって、反応容易性の程度を保持しつつ、容積縮小の程度が最適化される傾向がある。この湾曲した“S”字型の構造によって、反転リング42に動きを生じさせるのに必要な真空に関連した力を最小化しつつ、顕著な容積縮小がもたらされる。したがって、容器10が、半径78よりも格段に小さい半径76を含み、真空に関連した力を受けるときに、面60は、一般的に、そうでない場合に得られるであろう角度よりも大きい角度62を得ることが多い。例えば、一般的に、直径約2.64インチ(67.06mm)の底部を有する容器10の場合、半径76は約0.078インチ(1.98mm)であり、半径78は約0.460インチ(11.68mm)である。そして、真空に関連した力の状況下において、角度62は約16°から17°である。当業者であれば、半径76、半径78、および角度62は他の数値でも実現可能であり、とくに底部の直径が異なる容器の場合にそのことが言えることを容易に理解できるであろう。
【0062】
必須ではないが、発明者は、側壁48に対して実質的に平行な3つの溝80を追加することにより、底部20の好ましい実施の形態をさらに洗練している。図9、および10に示すように、溝80は、中心上げ底部40の周囲において均等の間隔を保っている。溝80は、断面が実質的に半円状であり、その表面は隣り合う側壁48と滑らかに一体化している。一般的に、直径約2.64インチ(67.06mm)の底部を有する容器10の場合、溝80は、側壁48に対し約0.118インチ(3.00mm)の深さ82を有する。これは、公称容量が16オンスから20オンスの容器には一般的である。発明者は、より従来型のアプローチに対する代替手段として、溝80を有する中心上げ底部40が、伸縮自在のスピンドル(不図示)と係合するのに適しており、そのスピンドルによって、ラベル貼付工程において、中心縦軸50を中心に容器10が回転すると見込んでいる。3つの溝80が図示されており、また3つというのが好ましい構造ではあるが、当業者であれば、溝80の数が他の数字、すなわち2、4、5、あるいは6であっても、一部の容器構造にとって適していることを容易に理解できるであろう。
【0063】
上述の相対的な厚みの関係性を備えた底部20が真空に関連した力に反応すると、溝80は、反転リング42の漸進かつ均一な動きを促進する一助となる。溝80が存在しない場合、とくに厚み66が中心縦軸50の周囲において均一でなく、あるいは一定でない場合、真空に関連した力に反応する反転リング42は均一に動かないことがある。あるいは、反転リング42は、ばらばらに、曲がりくねって、一方に傾いて動くことがある。したがって、溝80を備えると、(少なくとも動作の初期段階において)放射状部84が、反転リング42の内部に形成され、中心縦軸50から放射状方向に各溝80に対して隣り合って一様に広がっていく(図11参照)。そして、放射状部84は、断面が角度62のほぼ直線的な表面となる(図12参照)。別の言い方をすると、図11に示される底部20は、放射状部84の形状が、反転リング42の内部において谷状の窪みに見える。その結果、任意の2つの隣り合う放射状部84の間にある反転リング42の第二部86は、(少なくとも動作の初期段階において)いくぶん丸みを帯びて、部分的に反転した形状を保持する(図12参照)。実際には、図9、および10で示される好ましい実施の形態は、図11、および12で示される形状構造を最終的な形状構造であると想定することが多い。しかし、さらに真空に関連した力が加わると、第二部86はついには直線状になり、ほぼ円錐形状を形成する。その円錐形状は、図8に示したのと同様の角度62で中心縦軸50に向かって傾斜する平面60を有する。繰り返すが、当業者であれば、面60はわずかながらに波状の外観を呈しやすいことを容易に理解するであろう。面60が実際にどのようであるかは、例えば、底部20および側壁30との関係による個別の厚み、容器10の個別の特性(すなわち、直径、高さ、容量)、ホットパック充填の個別の処理条件等の他の変数によって決まる。
【0064】
上記説明は、本発明の好適な実施形態に関するものであるが、請求項の適切な範囲および公平な意義から逸脱することなく、本発明に修飾、変化、および変更を加えることができることは言うまでもない。
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、米国特許出願No.11/116,764(出願日2005年4月28日)の部分継続出願であり、その出願は、米国特許出願No.10/445,104(出願日2003年5月23日)の継続出願であり、同一出願人によるものである。
【0002】
本発明は、一般的に、商品、特に液体商品を保持するためのプラスチック容器に関連する。より具体的には、本発明はパネルのないプラスチック容器に関連しており、その底部構造によって、該底部が真空圧を大幅に吸収することができ、上記容器の別の部分に不要な変形をもたらすこともないプラスチック容器に関連するものである。
【背景技術】
【0003】
環境問題等への懸念を受けて、以前はガラス容器に入って供給されていた多くの商品を包装するために、今ではかつてないほどプラスチック容器、より具体的にはポリエステル、さらに具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)容器が使用されている。製造者、充填業者、そして消費者も、PET容器は軽量で、安価で、リサイクル可能で、大量生産可能であるということを認識している。
【0004】
現在、製造業者は、例えばジュースやスポーツドリンクのような様々な液体商品用のPET容器を供給している。供給業者は、一般的には155°F〜205°F(68℃〜96℃)、通常は約185°F(85℃)の高温でこれらの液体製品を上記容器に充填する。上記方法によって詰める場合、充填時に、上記液体商品の上記高温によって容器が消毒される。ボトル業界では、上記処理をホットパック充填(hot filling)と称し、この処理に耐久するよう設計された容器をホットパックまたはヒートセット(heat set)容器と呼ぶ。
【0005】
ホットパック充填処理は、その内容物の酸度が高い商品に対しては許容できる。しかし、その内容物の酸度が高くない商品に関しては、一般的に許容できない。それにも関わらず、内容物の酸度が高くない商品の製造業者および充填業者もが、彼らの商品をPET容器に入れて供給したいと考えている。
【0006】
酸度が高くない商品に対しては、低温殺菌およびレトルトが好適な消毒処理である。ヒートセット容器は、低温殺菌およびレトルトに必要な温度および時間要求に耐久不可能である。この点において、低温殺菌およびレトルトは両者とも、PET容器の製造に大きな課題を与えている。
【0007】
低温殺菌およびレトルトは両者とも、内容物が充填された後、容器のその内容物を加熱または消毒するための処理である。両処理とも、通常は約155°F(約70℃)より高い特定の温度で、特定時間(20〜60分)容器の内容物を加熱する処理を含んでいる。容器を消毒し、その内容物を加熱するのにより高温を利用するという点において、レトルトは低温殺菌と相違する。また、レトルトは、容器の内圧に抗するために、外側から容器に対して高圧を加える。外側から容器へ圧力を加えることは必要なことである。なぜなら、湯槽(hot water bath)が使用されることが多く、過度の圧力によって、水だけでなく容器の内容物中の液体が、それぞれの沸点より高い温度で液状で維持されるからである。
【0008】
PETは結晶化可能なポリマーである、つまり非晶質形状または部分的結晶形状で利用できる。PET容器がその物質の一体性を保持する能力は、PET容器の「結晶化度」としても知られる、結晶性形状にあるPET容器の割合に関連している。結晶化度の割合は、以下の等式による体積分率として表される。
【0009】
【数1】
【0010】
上記等式において、pはPET物質の濃度、paは純非晶PET物質(1.333g/cc)の濃度、そしてpcは純結晶質(1.455g/cc)の濃度である。
【0011】
容器製造業者は、機械的処理および熱処理を利用して、容器のPETポリマーの結晶化度を増加させる。機械的処理は、ひずみ硬化を達成するよう非晶質を配向させる処理を含む。この処理は、一般的に、PETプリフォームを縦軸に沿って延ばし、該PETプリフォームを横または放射軸に沿って広げてPET容器を形成する処理を含んでいる。この組み合わせは、製造業者が規定するところの容器内の分子構造の2軸配向を促進する。現在、PET容器の製造業者は、容器の側壁の結晶化度が約20%であるPET容器を製造するために、機械的処理を利用している。
【0012】
熱処理は、結晶成長を促進するために物質(非晶質または部分的結晶質のいずれか)を加熱する処理を含んでいる。非晶質に対しては、PET物質の熱処理は、光の透過を阻害する球状の形態をもたらす。つまり、結果として生じる結晶質は不透明であり、従って一般的に好ましくない。しかし、機械的処理後に使用すると、2軸分子配向された容器の上記部分に対して、より高い結晶化度および優れた透明度が得られる。ヒートセットとして知られている、配向されたPET容器の熱処理は、一般的に、約250°F〜350°F(約121℃〜177℃)の温度で加熱された金型にPETプリフォームを吹込み成形する処理と、加熱された金型で、吹込まれた容器を約2〜5秒間保持する処理とを含んでいる。約185°F(85℃)でホットパック充填しなければならないPETジュースボトルの製造業者は、現在、全体の結晶化度が25〜30%の範囲内であるPETボトルを製造するために、ヒートセットを利用している。
【0013】
ホットパック充填された後、上記ヒートセット容器はキャップされ、一般的にほぼ充填温度で約5分間置かれる。その時点で、容器は、ラベル貼り、梱包、および出荷作業に移行するのに先立って、製品と共に積極的に冷却される。冷却されると、容器内の液体の容積は減少する。製品が収縮するこの現象によって、容器内に真空が生じる。一般的に、容器内の真空圧は1〜380mm/Hgの範囲内であり、大気圧(すなわち、759mm/Hg〜380mm/Hg)より低い。これらの真空圧は、制御または調節されない場合、容器の変形を引き起こし、これによって美的に許容できない容器または不安定な容器のいずれかを生じてしまう。一般的に、上記業界は、側壁構造、あるいは真空パネルによって真空に関連した力を調節している。真空パネルは、真空圧下において、制御された様式で内側に変形し、容器の側壁の不要な変形を取り除く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
真空パネルによって、容器がホットパック充填処理の厳しさに耐えることができたが、真空パネルにはいくつかの制限および欠点がある。第一に、真空パネルでは、一般的に、滑らかなガラス様の外見が得られない。第二に、包装業者は、容器の真空パネル上に、巻きつけラベルまたはスリーブラベルを貼付することが多い。側壁または真空パネル上の上記ラベルの外見は、しわになって滑らかでないことが多い。さらに、容器をつかんだ時、往々にして真空パネルがラベルの下にあるように感じられ、ラベルが様々なパネルの割れ目や凹みの中に押し込まれることが多い。
【0015】
さらに改良を加え、真空圧によって生じる容器の変形を制御するための一助とするために、容器の側壁のピンチグリップ構造が利用されている。しかし、真空パネルと同様、ピンチグリップにも同様の制限および欠点が存在する。
【0016】
ホットパック充填用のプラスチック容器が、真空を調節する構造的特徴を持たずして上述の目的を達成するための別の方法は、窒素充填技術を利用することである。しかし窒素充填技術の1つの欠点は、現在の技術で達成可能な最大ラインスピードが1分当たり約200容器に限定されていることである。このような遅いラインスピードはとても許容できるものではない。さらに充填密度は、効率的な作業を達成するための技術的水準に未だ至っていない。
【0017】
従って、ホットパック充填によって発生する真空圧を調節することができ、かつ実質的な構造を持たない側壁を備えたガラス容器の外観を模倣して、滑らかなガラス様の外観を可能にする改良版の容器に対する要求がある。従って本発明の目的は、そのような容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
従って、本発明は、ホットパック充填されて室温まで冷却された後のあらゆる処理において美的および機械的一体性を維持するプラスチック容器を提供するものである。上記プラスチック容器は、底部が真空圧を大幅に吸収することを可能にする底部構造を備えており、そのため底部以外の部分に不要な変形をもたらすことがない。ガラス容器の場合、該容器は動かず、その構造は全ての圧力および力を抑制しなければならない。袋容器の場合、該容器は容易に動いて製品に適応する。本発明は、いくぶんか複合型であって、動く領域と動かない領域とをもたらす。最終的には、本発明によるプラスチック容器の底部が移動または変形した後、該容器の残りの全体構造は、破損することなく、新たなすべての圧力または力を抑制する。
【0019】
本発明は、上部、胴体部または側壁部、および底部を有するプラスチック容器を含んでいる。上記上部は、上記容器の口を形成する開口部を含む。上記胴体部は、上記上部から上記底部まで延びている。上記底部は、上げ底部および反転リングによって少なくともその一部が形成される中心部を含む。上記上げ底部は、断面がほぼ円錐台形状であり、上記反転リングは、断面がほぼS字型をしている。
【0020】
本発明のさらなる利点および長所については、本発明に関連のある業者にとっては、後述する好適な実施形態および請求項を添付図と共に参照することで明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のプラスチック容器の正面図であり、該容器は成型され、中は空である。
【図2】本発明のプラスチック容器の正面図であり、該容器は中が充填され、密封されている。
【図3】図1に示すプラスチック容器の底部を示す部分的な斜視図である。
【図4】図2に示すプラスチック容器の底部を示す部分的な斜視図である。
【図5】図3に示すプラスチック容器の、ほぼ線5−5に沿った断面図である。
【図6】図4に示すプラスチック容器の、ほぼ線6−6に沿った断面図である。
【図7】プラスチック容器の断面図であり、図5に類似し、他の実施の形態を示す図である。
【図8】プラスチック容器の断面図であり、図6に類似し、別の実施の形態を示す図である。
【図9】追加的な実施の形態に係るプラスチック容器の底部を示す図であり、該容器は成型され、中は空である。
【図10】図9に示すプラスチック容器の、ほぼ線10−10に沿った断面図である。
【図11】図9に示す実施の形態に係るプラスチック容器の底部を示す図であり、該プラスチック容器は中が充填され、密封されている。
【図12】図11に示すプラスチック容器の、ほぼ線12−12に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
好適な実施形態に関する以下の説明は、全くの例証であって、本発明、本発明の適用方法または用途を制限するものでは決してない。
【0023】
前述したように、PET製のヒートセット容器内の内容物の冷却中に真空に関連した力を調節するため、容器には、典型的に、その側壁の周囲に一連の真空パネルまたはピンチグリップが備えられている。上記真空パネルまたはピンチグリップは、真空に関連した力の影響下で内側に変形し、上記容器の別の部分における不要な変形を防止する。
しかし、上記真空パネルまたはピンチグリップがあると、上記容器の側壁は滑らかまたはガラス様ではなくなり、その上に貼付されたラベルにしわが生じ、滑らかでなくなることが多い。また最終消費者が上記容器を掴むまたは持ち上げた時に、上記ラベルの下の上記真空パネルおよびピンチグリップを触知してしまう。
【0024】
真空パネルのない容器では、(例えば底部または蓋(closure)での)制御された変形と、該容器の残りの部分における真空耐性との組み合わせが必要である。従って、本発明が提供するプラスチック容器は、標準的なホットパック充填処理下において、その底部が容易に変形かつ動くことができ、一方で該容器の残りの部分において、内部真空に耐えることができる堅い構造を維持している。例えば、16オンスのプラスチック容器は、通常は、約20〜24ccの容積縮小を調節する。本発明のプラスチック容器では、底部が上記必要量の大部分(即ち約13cc)を調節する。上記プラスチック容器の残りの部分は、すぐに目に付くような変形が生じることなく、上記容積縮小の残りに対して容易に適応することができる。
【0025】
図1および2に示すように、本発明のプラスチック容器10は、端部12、首状部あるいは伸長首状部14、肩領域16、胴体部18、および底部20を備えている。本発明に関連のある業者にとって、首状部14は極めて短い高さであってよいことは充分に理解される。首状部14は、端部12から短く伸長し、あるいは、図1および2に示すように、端部12と肩領域16との間を伸長している。プラスチック容器10は、熱処理中に、典型的にはホットパック充填処理中に商品を保持するよう設計されている。ホットパック充填によるボトリングとして、瓶詰め業者は、一般的には約155°F〜205°F(約68℃〜96℃)の高温で、液体あるいは製品を容器10に充填する。そして、冷却する前に蓋28によって容器10の蓋をする。密閉された容器10が冷却すると、僅かな真空、あるいは負圧が内部に生じ、容器10、とりわけ底部20を変形させる。さらに、プラスチック容器10は、他の高温殺菌あるいはレトルト充填処理、若しくは他の熱処理にも好適である。
【0026】
本発明のプラスチック容器10は、吹込み成型された2軸配向容器であり、単一または多層材料からなる単一構造を有している。ホットパック充填が可能なプラスチック容器10を製造するための既知のストレッチ成形、あるいはヒートセットでは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステル材料のプリフォーム(不図示)が必要となる。そのプリフォームは、当業者にとっては既知の形状であり、試験管に類似している。そして、その形状は、一般的に断面が円筒で、標準的には上記容器高さの約50%の長さである。約190°F〜250°F(約88℃〜121℃)に加熱された上記プリフォームは、ある機械(不図示)によって、プラスチック容器10に類似した形状のモールドキャビティ(不図示)に載置される。上記モールドキャビティは、約250°F〜350°F(約121℃〜177℃)に加熱される。上記プリフォームは、上記モールドキャビティの内部において、伸長ロッド装置(不図示)によって上記容器とほぼ同じ長さまで延ばされ、あるいは広げられる。それにより、上記ポリエステル材料は、ほぼ中心縦軸50に相当する軸方向に分子配向される。上記プリフォームは上記伸長ロッドによって延ばされるが、300PSI〜600PSI(2.07MPa〜4.14MPa)の圧力の空気が、プリフォームを軸方向に、および円周方向あるいは環状方向に伸長する一助となる。その結果、上記ポリエステル材料は実質的に上記モールドキャビティの形状に合致し、さらに、ポリエステル材料は、軸方向に対してほぼ垂直な方向に分子配向される。このようにして、上記容器の大部分において2軸分子配向が行われる。通常、端部12および底部20の一部の内部材料は、実質的に分子配向していない。上記容器が上記モールドキャビティから取り出される前の約2〜5秒間、2軸配向された大部分のポリエステル材料は、上記圧力空気によって上記モールドキャビティに対して保持される。底部20の内部における適切な材料分布を実現するために、発明者は、本願に引用して援用する米国特許第6,277,321号によって実質的に開示されるストレッチ成形工程をさらに利用する。
【0027】
もしくは、上記以外の方法によって上記以外の従来の材料、例えばポリエチレンナフタレート(PEN)、およびPETとPENとの混合物または重合体、または種々の多層構造は、プラスチック容器10の製造に好適である。当業者であれば、プラスチック容器10の製造方法が種々存在することを容易に理解できるであろう。
【0028】
プラスチック容器10の端部12は、開口部または口状部22、ねじ山領域24、および支持リング26を形成する部分を備えている。開口部22は、プラスチック容器10に商品を注入することを可能にし、一方、ねじ山領域24は、図2に示す、同様のねじ蓋またはキャップ28の取り付け手段を提供している。もしくは、プラスチック容器10の端部12は、上記以外の適切な器具と係合する構成を含んでいてもよい。したがって、蓋またはキャップ28は、端部12と係合する機能を有し、好ましくはプラスチック容器10をハーメチック封止する。蓋またはキャップ28は、蓋産業では一般的なプラスチックまたは金属素材から製造され、高温・低温殺菌およびレトルトなどを含む、後に行われる熱処理に適していることが好ましい。支持リング26は、製造を通して、また製造の種々の工程において、プリフォーム(プラスチック容器10の前駆体)(不図示)を運ぶ、またはプリフォームの方向を変えるために使用してもよい。例えば、上記プリフォームは支持リング26を用いて運ばれてもよく、支持リング26は、上記プリフォームを金型内に位置決めする一助として使用されてもよい。もしくは、支持リング26は、最終消費者が、製造されたプラスチック容器10を持ち運ぶために使用されてもよい。
【0029】
プラスチック容器10の首状部14によって、プラスチック容器10はいくぶん容積要求に合わせることができる。伸長首状部14と一体的に形成され、首状部14から下方に伸びている部分が肩領域16である。肩領域16は、伸長首状部14と胴体部18との境を形成および提供している。胴体部18は、肩領域16から底部20まで下方に延び、側壁30を備えている。容器10の底部20における構成が特殊であるため、ヒートセット容器10の側壁30は、必ずしもその内部に追加的に真空パネルまたはピンチグリップを必要とせず、一般的に滑らかでガラス様である。しかしながら、極めて軽量の容器は、底部20と共に、真空パネル、リブ、および/またはピンチグリップを有する側壁を含みうる。
【0030】
胴体部18から内部に延びるプラスチック容器10の底部20は、一般的に、出縁32、接触リング34、および中心部36を備えている。図5、6、7、8、10および12に示すように、接触リング34は、支持面38に接触する底部20の一部それ自体であり、接触リング34が容器10を支える。このように、接触リング34は、一般的に底部20を連続的または断続的に囲む平面または接触線であってよい。底部20は、プラスチック容器10の底部を閉じ、また伸長首状部14、肩領域16、および胴体部18と共に製品を保持する機能を有する。
【0031】
プラスチック容器10は、前述した処理または別の従来のヒートセット処理に従ったヒートセットであることが好ましい。容器10の胴体部18の真空パネルおよびピンチグリップの省略を可能にしつつ真空力を調節するために、本発明の底部20は斬新かつ革新的な構成を採用している。一般的に、底部20の中心部36には、中心上げ底部40および反転リング42が備えられている。反転リング42は、上部54および下部58を含む。断面図で見ると(図5、7、および10参照)、反転リング42は、ほぼ“S”字型の形状である。さらに底部20は、反転リング42と接触リング34との境を形成している直立する周辺壁または縁44を備えている。
【0032】
図1〜8、10および12に示すように、中心上げ底部40は、断面で見るとほぼ円錐台形状であり、支持面38とほぼ平行な上面46を有する。側面48は、断面がほぼ平面であり、容器10の中心縦軸50に向かって上方に傾斜している。中心上げ底部40の正確な形状は、種々の設計基準次第で大きく変わってもよい。しかし、一般的に、中心上げ底部40(つまり、円錐台)の全径は、おおむね底部20の全径の最大でも30%である。中心上げ底部40は、一般的に、上記プリフォームのゲートが上記金型内に捕捉される部分である。上面46の内部には、実質的に分子配向されていないポリマー材料を含む底部20の一部が位置している。
【0033】
図3、5、7および10に示すように、初期形成時において、反転リング42は、段階的に変化する半径を有し、中心上げ底部40を完全に取り囲み、中心上げ底部40の範囲を限定している。形成時において、反転リング42は、外側に突き出しており、底部20が平坦であれば接触する平面よりも下に突き出している。中心上げ底部40と隣り合う反転リング42との境界は、中心上げ底部40付近で可能な限り多くの配向を促進するために、急でなければならない。これは主に、底部20の反転リング42、とりわけ底部20の下部58の厚み66を確実に最小にするためである。一般的に、反転リング42の下部58の厚み66は、例えば直径約2.64インチ(67.06mm)の底部を有する容器の場合は、約0.008インチ(0.20mm)から約0.025インチ(0.64mm)の間であり、好ましくは、約0.010インチから約0.014インチ(0.25mmから0.36mm)の間である。どこで測定するかにもよるが、上面46の厚み70は0.060インチ(1.52mm)か、あるいはそれ以上であってよい。しかしながら、上面46の厚み70は、すぐに反転リング42の下部58の厚み66へと移行する。反転リング42が柔軟になり、そして適切に機能できるように、反転リング42の厚み66は比較的一定で、また十分な薄さでなければならない。あるいは、反転リング42は、その取り囲み形状に沿った地点に小さなくぼみを備えていてもよい。これは不図示ではあるが、当該技術においてはよく知られており、ラベル貼付工程において、中心縦軸50を中心とした容器の回転を促進するつめを受けるのに適している。
【0034】
接触リング34と反転リング42との境を構成している周辺壁または縁44は、断面が実質的に直線の起立壁であり、長さ約0.030インチ(0.76mm)から約0.325インチ(8.26mm)である。好ましくは、周辺壁または縁44は、直径2.64インチ(67.06mm)の底部を有する容器の場合は、長さ約0.140インチから約0.145インチ(3.56mmから3.68mm)である。直径5インチ(127mm)の底部を有する容器の場合、周辺壁または縁44は長さ約0.325インチ(8.26mm)である。周辺壁または縁44は、一般的に、中心縦軸50に対して角度64をなしており、約0°から約20°であり、好ましくは約15°である。したがって、周辺壁または縁44は、中心縦軸50に厳密に平行である必要はない。周辺壁または縁44は、接触リング34と反転リング42との間において、はっきりと識別可能な構成である。周辺壁または縁44は、接触リング34と反転リング42との境に強度を与えている。上記境は、局部強度を最大にし、かつ構造的に強固な構造を形成するために、急でなければならない。この結果として得られる局所強度は、底部20における折れ曲がりに対する耐性を増加させる。接触リング34は、直径2.64インチ(67.06mm)の底部を有する容器の場合は、一般的に、厚み68は約0.010インチから約0.016インチ(0.25mmから0.41mm)である。好ましくは、厚み68は、反転リング42の下部58の厚み66と、少なくとも同じ厚みか、あるいは約10%、若しくはそれ以上大きい方が好ましい。
【0035】
初期形成時において、中心上げ底部40および反転リング42は、前述したような、そして図1、3、5、7および10に示すような状態になっている。従って、成型時において、反転リング42の上部54と支持面38との間の寸法52は、反転リング42の下部58と支持面38との間の寸法56より大きいか、または等しい。充填時、製品の温度条件下および重量下において、底部20の中心部36および反転リング42はわずかに沈下するか、または支持面38に向かって下方にたわむ。その結果、寸法56はほぼゼロになる。つまり、反転リング42の下部58は、支持面38に実質的に接触する。
【0036】
図2、4、6,8および12に示すように、容器10の充填、キャッピング、密封、および冷却時において、真空に関連した力が生じる結果、中心上げ底部40および反転リング42は、持ち上がるか、または上方に引っ張られ、それによって容積が縮小する。この位置において、中心上げ底部40は、一般的に、断面が円錐台形状を維持し、中心上げ底部40の上面46は、支持面38に対してほぼ平行状態となる。反転リング42は、底部20の中心部36と一体となり、事実上存在しなくなり、形状はより円錐形となる(図8参照)。したがって、容器10のキャッピング、密封、および冷却時において、底部20の中心部36は、図6および8に示すように、ほぼ円錐形状を呈しており、ほぼ平面であるとともに容器10の中心縦軸50に向かって、断面が上方に傾斜する面60を有する。この円錐形状およびほぼ平坦な面60は、部分的に角度62によって規定され、水平面または支持面38に対して約7°から約23°、より典型的には約10°から約17°の角度をなしている。寸法52が大きいほど、そして寸法56が小さいほど、容器10の内部容積が縮小する潜在力が増加する。さらに、(とくに図8に示されるように)面60はほぼ直線であるが、当業者であれば、面60はしばしば波状の外観を呈することを容易に理解するであろう。典型的な直径約2.64インチ(67.06mm)の底部を有する容器、つまり底部20を備える容器10は、成形時において、底部クリアランス寸法72を有する。その底部クリアランス寸法72は、上面46から支持面38までを測った数値であるが、約0.500インチ(12.70mm)から約0.600インチ(15.24mm)である(図7参照)。真空に関連した力に反応すると、底部20は、充填時において、底部クリアランス寸法74を有する。その底部クリアランス寸法72は、上面46から支持面38までを測った数値であるが、約0.650インチ(16.51mm)から約0.900インチ(22.86mm)である(図8参照)。より小さい容器の場合、あるいはより大きい容器の場合、成形時における底部クリアランス寸法72、および、充填時における底部クリアランス寸法74は、比例して異なる数値となる。
【0037】
底部20の中心部36が縮小する容積の量は、底部20の突出している全表面積と比較した場合の底部20の中心部36の突出している表面の面積にも依存している。容器10の胴体部18に真空パネルまたはピンチグリップを備える必要性をなくすために、底部20の中心部36は、底部20の突出している面の全表面積の約55%、好ましくは70%を超える表面積を必要とする。図5および7に示すように、関連する、底部20を横切る直線距離はA、B、C1、およびC2として識別されている。底部20の突出している面の全表面積(PSAA)は、以下の等式によって定義される。
【0038】
【数2】
【0039】
従って、直径2.64インチ(67.06mm)の底部を有する容器の場合、突出している面の全表面積(PSAA)は、5.474インチ2(35.32cm2)である。底部20の中心部36の突出している面の表面積(PSAB)は、以下の等式によって定義される。
【0040】
【数3】
【0041】
上記等式において、B=A−C1−C2である。直径2.64インチ(67.06mm)の底部を有する容器の場合、出縁32の長さ(C1およびC2)は、一般的に約0.030インチ(0.76mm)から0.34インチ(8.64mm)の範囲内である。従って、上記B寸法は、一般的に約1.92インチ(48.77mm)から2.58インチ(65.53mm)の範囲内である。仮に、例えばC1およびC2が0.120インチ(3.05mm)であれば、底部20の中心部36の突出している面の表面積(PSAB)は約4.524インチ2(29.19cm2)である。従って、この例においては、直径2.64インチ(67.06mm)の底部を有する容器の場合、底部20の中心部36の突出した表面積(PSAB)は、底部20の突出している全表面積(PSAA)の約83%である。この割合が大きいほど、容器10は、容器10の別の部分に不要な変形をもたらすことなく、より多くの真空を調節することができる。
【0042】
圧力は、真空下にあるプラスチック容器の内部に均一に働く。しかし、力は構造(即ち表面積)に基づいて異なる。従って、円筒形断面を有する容器内の圧力は以下の等式によって定義される。
【0043】
【数4】
【0044】
上記等式において、Fはポンドでの力を表し、Aは平方インチでの面積を表す。図1に示すように、底部20の中心部36の直径はd1として識別され、胴体部18の直径はd2として識別される。引き続き図1において、肩領域16の底部から出縁32の上部に至る胴体部18の高さ、つまりプラスチック容器10の滑らかなラベル・パネル領域は、lとして識別される。前述したように、胴体部18の追加構造(例えばリブ)は補強効果を有することは、当業者にはよく知られている。以下の解析では、上記のような構造を持たない容器の上記部分についてのみ考慮する。
【0045】
上記の説明によると、底部20の中心部36(PB)に関連する圧力は、以下の等式によって定義される。
【0046】
【数5】
【0047】
上記等式において、F1は底部20の中心部36に加えられる力を表しており、A1は、以下の等式で表される、底部20の中心部36に関連する面積である。
【0048】
【数6】
【0049】
同様に、胴体部18に関連する圧力(PBP)は以下の等式によって定義される。
【0050】
【数7】
【0051】
上記等式において、F2は胴体部18に加えられる力を表しており、A2は、以下の等式で表される、胴体部18に関連する面積である。
【0052】
【数8】
【0053】
従って、容器10の胴体部18に加えられる力を、底部20の中心部36に加えられる力と比較した場合の力比は、以下の等式によって定義される。
【0054】
【数9】
【0055】
最適な性能にするため、上記力比は10未満でなければならず、比率値は低い方が非常に望ましい。
【0056】
前述したように、容器10の底部20と胴体部18との間の厚みの差もまた重要である。胴体部18の厚みは、反転リング42が適切にたわむように、十分な厚みを有していなければならない。上記力比が10に近くなると、容器10の底部20の厚みは、胴体部18の厚みを大幅に下回る必要がある。底部20の構造、および反転リング42が適切にたわむ、つまり容易に動くために必要な力の量に基づいて、胴体部18の厚みは、底部20の厚みより少なくとも平均で15%厚くなければならない。好ましくは、胴体部18の厚みは、反転リング42の下部58の厚み66より2〜3倍大きいのがよい。反転リング42を最初にたわませるために必要な力、または底部20の動きが完了した後に加えられるさらなる力を調節するために必要な力、のいずれかよりも強い力に上記容器が耐えなければならない場合は、より大きい差が必要となる。
【0057】
下記の表は、前述した原理および概念を示す数多くの容器の例である。
【0058】
【表1】
【0059】
上記の全ての例において、容器の底部は、該容器の主要な変形機構として機能する。胴体部18の厚みと、底部20の厚みとの比は、上記力比および容器構造に部分的に左右される。非環状断面(即ち、長方形または正方形)を有する容器に対して同様の分析を行うと、同様の結果が得られる。
【0060】
従って、容器10の底部20の反転リング42の、薄く、柔軟で、湾曲した、ほぼ“S”字型の構造によって、実質的に平坦な底部を有する容器に比べてより大きい容積縮小が可能になる。図1〜6に示す底部20は、中心部36の突出している面を増やす手段として、裾広がりした構造を備えている。それにより、真空に関連した力に反応する自身の能力を高めている。上記裾広がりした構造は、ごくわずかに内側に変形し、容積縮小能力を増大させるという点において、上記の反応性をさらに高めている。だが、発明者は、上記裾広がりした構造は必ずしも必要ではないことを見出している。図7、8、10、および12は、上記裾広がりした構造を具備しない本発明の好ましい実施の形態を示す。ここでは、出縁32は直接側壁30に結合しており、それによって、容器10は、より従来型の外観を呈している。種々の実施の形態において、同じ参照番号は同じ構成要素を表す。
【0061】
発明者は、“S”字型の構造をした反転リング42は、歪曲することで性能がより向上すると確信している(図7参照)。つまり、反転リング42の上部54が、その断面において、下部58の隣り合う曲線の半径78よりも格段に小さい半径76を有する曲線を備えていることを特徴とする場合に性能がより向上する。すなわち、半径76は、最大でも半径78のほぼ35%である。この湾曲した“S”字型の構造によって、反応容易性の程度を保持しつつ、容積縮小の程度が最適化される傾向がある。この湾曲した“S”字型の構造によって、反転リング42に動きを生じさせるのに必要な真空に関連した力を最小化しつつ、顕著な容積縮小がもたらされる。したがって、容器10が、半径78よりも格段に小さい半径76を含み、真空に関連した力を受けるときに、面60は、一般的に、そうでない場合に得られるであろう角度よりも大きい角度62を得ることが多い。例えば、一般的に、直径約2.64インチ(67.06mm)の底部を有する容器10の場合、半径76は約0.078インチ(1.98mm)であり、半径78は約0.460インチ(11.68mm)である。そして、真空に関連した力の状況下において、角度62は約16°から17°である。当業者であれば、半径76、半径78、および角度62は他の数値でも実現可能であり、とくに底部の直径が異なる容器の場合にそのことが言えることを容易に理解できるであろう。
【0062】
必須ではないが、発明者は、側壁48に対して実質的に平行な3つの溝80を追加することにより、底部20の好ましい実施の形態をさらに洗練している。図9、および10に示すように、溝80は、中心上げ底部40の周囲において均等の間隔を保っている。溝80は、断面が実質的に半円状であり、その表面は隣り合う側壁48と滑らかに一体化している。一般的に、直径約2.64インチ(67.06mm)の底部を有する容器10の場合、溝80は、側壁48に対し約0.118インチ(3.00mm)の深さ82を有する。これは、公称容量が16オンスから20オンスの容器には一般的である。発明者は、より従来型のアプローチに対する代替手段として、溝80を有する中心上げ底部40が、伸縮自在のスピンドル(不図示)と係合するのに適しており、そのスピンドルによって、ラベル貼付工程において、中心縦軸50を中心に容器10が回転すると見込んでいる。3つの溝80が図示されており、また3つというのが好ましい構造ではあるが、当業者であれば、溝80の数が他の数字、すなわち2、4、5、あるいは6であっても、一部の容器構造にとって適していることを容易に理解できるであろう。
【0063】
上述の相対的な厚みの関係性を備えた底部20が真空に関連した力に反応すると、溝80は、反転リング42の漸進かつ均一な動きを促進する一助となる。溝80が存在しない場合、とくに厚み66が中心縦軸50の周囲において均一でなく、あるいは一定でない場合、真空に関連した力に反応する反転リング42は均一に動かないことがある。あるいは、反転リング42は、ばらばらに、曲がりくねって、一方に傾いて動くことがある。したがって、溝80を備えると、(少なくとも動作の初期段階において)放射状部84が、反転リング42の内部に形成され、中心縦軸50から放射状方向に各溝80に対して隣り合って一様に広がっていく(図11参照)。そして、放射状部84は、断面が角度62のほぼ直線的な表面となる(図12参照)。別の言い方をすると、図11に示される底部20は、放射状部84の形状が、反転リング42の内部において谷状の窪みに見える。その結果、任意の2つの隣り合う放射状部84の間にある反転リング42の第二部86は、(少なくとも動作の初期段階において)いくぶん丸みを帯びて、部分的に反転した形状を保持する(図12参照)。実際には、図9、および10で示される好ましい実施の形態は、図11、および12で示される形状構造を最終的な形状構造であると想定することが多い。しかし、さらに真空に関連した力が加わると、第二部86はついには直線状になり、ほぼ円錐形状を形成する。その円錐形状は、図8に示したのと同様の角度62で中心縦軸50に向かって傾斜する平面60を有する。繰り返すが、当業者であれば、面60はわずかながらに波状の外観を呈しやすいことを容易に理解するであろう。面60が実際にどのようであるかは、例えば、底部20および側壁30との関係による個別の厚み、容器10の個別の特性(すなわち、直径、高さ、容量)、ホットパック充填の個別の処理条件等の他の変数によって決まる。
【0064】
上記説明は、本発明の好適な実施形態に関するものであるが、請求項の適切な範囲および公平な意義から逸脱することなく、本発明に修飾、変化、および変更を加えることができることは言うまでもない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック容器であって、
上記容器の開口部を形成する口状部を有する上部と、
上記上部から伸びる首状部と、
上記首状部から底部へと伸びる胴体部とを備え、
上記底部は、上記容器の末端部をふさぎ、
上記上部と、上記首状部と、上記胴体部と、上記底部とによって、中に製品を充填できる貯蔵空間が上記容器内に形成され、
上記底部は、上記胴体部から、上記容器を支える面を形成する接触リングまで延びる出縁を備え、
上記底部は、
断面がほぼ円錐台形状をし、上記容器の縦軸上に位置している上げ底部によって少なくともその一部が形成される中心部と、
断面がほぼS字型であって、上記上げ底部を取り囲む反転リングと、をさらに備え、
上記円錐台は、支持面とほぼ平行な上面を有しており、
上記上げ底部は、複数の溝が形成された側面を備えていることを特徴とする容器。
【請求項2】
上記胴体部は、実質的に滑らかな側壁を備えている、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
上記反転リングの厚みは、約0.008インチ(0.20mm)から約0.025インチ(0.64mm)の間である、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
上記反転リングは、上位部と下位部とを有する、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
上記上位部は、その一部に、断面において第1半径を有する湾曲部を含み、
上記下位部は、その一部に、断面において第2半径を有する第2湾曲部を含み、
上記第1半径は、上記第2半径の最大35%の値である、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
上記反転リングと上記接触リングとの間は、上記縦軸に対して0から20°の間の角度を有する円周状の起立壁である、請求項1に記載の容器。
【請求項7】
上記円周状の起立壁は、断面の長さが約0.030インチ(0.76mm)から約0.325インチ(約8.26mm)の間である、請求項6に記載の容器。
【請求項8】
上記上位部と上記支持面との間の第1距離は、上記下位部と上記支持面との間の第2距離よりも大きい、請求項4に記載の容器。
【請求項9】
上記胴体部は、平均的な厚さを有し、上記底部は、平均的な厚さを有し、
上記胴体部の平均的な厚さは、上記底部の平均的な厚さより少なくとも15%厚い、請求項1に記載の容器。
【請求項10】
上記胴体部は、平均的な厚さを有し、上記反転リングの上記下位部は、平均的な厚さを有し、
上記胴体部の平均的な厚さは、上記下位部の平均的な厚さより少なくとも2倍厚い、請求項4に記載の容器。
【請求項11】
上記反転リングの上記下位部は、平均的な厚さを有し、上記接触リングは、平均的な厚さを有し、
上記接触リングの平均的な厚さは、上記下位部の平均的な厚さと少なくとも等しい、請求項4に記載の容器。
【請求項12】
上記接触リングの平均的な厚さは、上記下位部の平均的な厚さより少なくとも10%厚い、請求項11に記載の容器。
【請求項13】
高い温度で液体が充填され、蓋で密閉され、冷却され、それによって内部に真空が生じるプラスチック容器であって、
上記容器の開口部を形成する口状部を有する上部と、
上記蓋を取り付ける端部と、
上記上部から延びる首状部と、
上記首状部から底部へと伸びる胴体部とを備え、
上記底部は、上記容器の末端部をふさぎ、
上記上部と、上記首状部と、上記胴体部と、上記底部とによって、中に上記液体を上記高い温度で充填できる貯蔵空間が上記容器内に形成され、
上記底部は、真空吸収に適応すると共に、上記胴体部から、上記容器を支える面を形成する接触リングまで延びる出縁を備え、
上記底部は、
断面がほぼ円錐台形状をし、上記容器の縦軸上に位置している上げ底部によって少なくともその一部が形成される中心部と、
上記上げ底部を取り囲む反転リングと、をさらに備え、
上記円錐台は、支持面とほぼ平行な上面を備え、
上記上げ底部および上記反転リングは、上記容器内で生じる真空に関連する力を調節するために可動であり、
上記反転リングは、少なくともその一部が上記支持面に対して約7°〜23°の範囲の角度で上記容器の上記縦軸に向かって概ね傾斜している面を有する、内側に向かい半球形にふくらんだ部分を形成し、
上記反転リングは、上記容器から上記液体を取り除いた後に、断面がほぼS字型であり、
上記上げ底部は、複数の溝が形成された側面を備えていることを特徴とする容器。
【請求項14】
上記液体の上記温度は、約155°Fから205°F(約68℃から96℃)の間である、請求項13に記載の容器。
【請求項15】
上記反転リングの上記内側に向かい半球形にふくらんだ部分には、複数の谷状の窪みが形成されており、上記複数の谷状の窪みは、それぞれ、上記複数の溝のうちの対応する1つの溝の近傍において放射状に広がっている、請求項13に記載の容器。
【請求項16】
上記角度は、上記支持面に対して約10°〜17°の範囲である、請求項13に記載の容器。
【請求項17】
約250°Fから350°F(約121℃から177℃)の温度のモールドキャビティで成形された、ストレッチ成形によるヒートセットのプラスチック容器であって、
上記容器の開口部を形成する口状部を有する上部と、
上記上部から伸びる首状部と、
上記首状部から底部へと伸びる胴体部とを備え、
上記底部は、上記容器の末端部をふさぎ、
上記上部と、上記首状部と、上記胴体部と、上記底部とによって、中に製品を充填できる貯蔵空間が上記容器内に形成され、
上記底部は、上記胴体部から、上記容器を支える面を形成する接触リングまで延びる出縁を備え、
上記底部は、
断面がほぼ円錐台形状をし、上記容器の縦軸上に位置している上げ底部によって少なくともその一部が形成される中心部と、
断面がほぼS字型であって、上記上げ底部を取り囲む反転リングと、をさらに備え、
上記円錐台は、支持面とほぼ平行な上面を有し、
上記容器は、ほぼ2軸分子配向されており、
上記上げ底部は、複数の溝が形成された側面を備えていることを特徴とする容器。
【請求項18】
上記プラスチックは、ポリエステルポリマー材料である、請求項17に記載の容器。
【請求項19】
上記ポリエステルポリマー材料は、一般的にポリエチレンテレフタレートである、請求項18に記載の容器。
【請求項20】
上記側面には、等間隔に配置されている3つの上記溝が形成されている、請求項1、13または17に記載の容器。
【請求項1】
プラスチック容器であって、
上記容器の開口部を形成する口状部を有する上部と、
上記上部から伸びる首状部と、
上記首状部から底部へと伸びる胴体部とを備え、
上記底部は、上記容器の末端部をふさぎ、
上記上部と、上記首状部と、上記胴体部と、上記底部とによって、中に製品を充填できる貯蔵空間が上記容器内に形成され、
上記底部は、上記胴体部から、上記容器を支える面を形成する接触リングまで延びる出縁を備え、
上記底部は、
断面がほぼ円錐台形状をし、上記容器の縦軸上に位置している上げ底部によって少なくともその一部が形成される中心部と、
断面がほぼS字型であって、上記上げ底部を取り囲む反転リングと、をさらに備え、
上記円錐台は、支持面とほぼ平行な上面を有しており、
上記上げ底部は、複数の溝が形成された側面を備えていることを特徴とする容器。
【請求項2】
上記胴体部は、実質的に滑らかな側壁を備えている、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
上記反転リングの厚みは、約0.008インチ(0.20mm)から約0.025インチ(0.64mm)の間である、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
上記反転リングは、上位部と下位部とを有する、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
上記上位部は、その一部に、断面において第1半径を有する湾曲部を含み、
上記下位部は、その一部に、断面において第2半径を有する第2湾曲部を含み、
上記第1半径は、上記第2半径の最大35%の値である、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
上記反転リングと上記接触リングとの間は、上記縦軸に対して0から20°の間の角度を有する円周状の起立壁である、請求項1に記載の容器。
【請求項7】
上記円周状の起立壁は、断面の長さが約0.030インチ(0.76mm)から約0.325インチ(約8.26mm)の間である、請求項6に記載の容器。
【請求項8】
上記上位部と上記支持面との間の第1距離は、上記下位部と上記支持面との間の第2距離よりも大きい、請求項4に記載の容器。
【請求項9】
上記胴体部は、平均的な厚さを有し、上記底部は、平均的な厚さを有し、
上記胴体部の平均的な厚さは、上記底部の平均的な厚さより少なくとも15%厚い、請求項1に記載の容器。
【請求項10】
上記胴体部は、平均的な厚さを有し、上記反転リングの上記下位部は、平均的な厚さを有し、
上記胴体部の平均的な厚さは、上記下位部の平均的な厚さより少なくとも2倍厚い、請求項4に記載の容器。
【請求項11】
上記反転リングの上記下位部は、平均的な厚さを有し、上記接触リングは、平均的な厚さを有し、
上記接触リングの平均的な厚さは、上記下位部の平均的な厚さと少なくとも等しい、請求項4に記載の容器。
【請求項12】
上記接触リングの平均的な厚さは、上記下位部の平均的な厚さより少なくとも10%厚い、請求項11に記載の容器。
【請求項13】
高い温度で液体が充填され、蓋で密閉され、冷却され、それによって内部に真空が生じるプラスチック容器であって、
上記容器の開口部を形成する口状部を有する上部と、
上記蓋を取り付ける端部と、
上記上部から延びる首状部と、
上記首状部から底部へと伸びる胴体部とを備え、
上記底部は、上記容器の末端部をふさぎ、
上記上部と、上記首状部と、上記胴体部と、上記底部とによって、中に上記液体を上記高い温度で充填できる貯蔵空間が上記容器内に形成され、
上記底部は、真空吸収に適応すると共に、上記胴体部から、上記容器を支える面を形成する接触リングまで延びる出縁を備え、
上記底部は、
断面がほぼ円錐台形状をし、上記容器の縦軸上に位置している上げ底部によって少なくともその一部が形成される中心部と、
上記上げ底部を取り囲む反転リングと、をさらに備え、
上記円錐台は、支持面とほぼ平行な上面を備え、
上記上げ底部および上記反転リングは、上記容器内で生じる真空に関連する力を調節するために可動であり、
上記反転リングは、少なくともその一部が上記支持面に対して約7°〜23°の範囲の角度で上記容器の上記縦軸に向かって概ね傾斜している面を有する、内側に向かい半球形にふくらんだ部分を形成し、
上記反転リングは、上記容器から上記液体を取り除いた後に、断面がほぼS字型であり、
上記上げ底部は、複数の溝が形成された側面を備えていることを特徴とする容器。
【請求項14】
上記液体の上記温度は、約155°Fから205°F(約68℃から96℃)の間である、請求項13に記載の容器。
【請求項15】
上記反転リングの上記内側に向かい半球形にふくらんだ部分には、複数の谷状の窪みが形成されており、上記複数の谷状の窪みは、それぞれ、上記複数の溝のうちの対応する1つの溝の近傍において放射状に広がっている、請求項13に記載の容器。
【請求項16】
上記角度は、上記支持面に対して約10°〜17°の範囲である、請求項13に記載の容器。
【請求項17】
約250°Fから350°F(約121℃から177℃)の温度のモールドキャビティで成形された、ストレッチ成形によるヒートセットのプラスチック容器であって、
上記容器の開口部を形成する口状部を有する上部と、
上記上部から伸びる首状部と、
上記首状部から底部へと伸びる胴体部とを備え、
上記底部は、上記容器の末端部をふさぎ、
上記上部と、上記首状部と、上記胴体部と、上記底部とによって、中に製品を充填できる貯蔵空間が上記容器内に形成され、
上記底部は、上記胴体部から、上記容器を支える面を形成する接触リングまで延びる出縁を備え、
上記底部は、
断面がほぼ円錐台形状をし、上記容器の縦軸上に位置している上げ底部によって少なくともその一部が形成される中心部と、
断面がほぼS字型であって、上記上げ底部を取り囲む反転リングと、をさらに備え、
上記円錐台は、支持面とほぼ平行な上面を有し、
上記容器は、ほぼ2軸分子配向されており、
上記上げ底部は、複数の溝が形成された側面を備えていることを特徴とする容器。
【請求項18】
上記プラスチックは、ポリエステルポリマー材料である、請求項17に記載の容器。
【請求項19】
上記ポリエステルポリマー材料は、一般的にポリエチレンテレフタレートである、請求項18に記載の容器。
【請求項20】
上記側面には、等間隔に配置されている3つの上記溝が形成されている、請求項1、13または17に記載の容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−98780(P2011−98780A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279791(P2010−279791)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【分割の表示】特願2008−508816(P2008−508816)の分割
【原出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【出願人】(505432887)アムコー リミテッド (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【分割の表示】特願2008−508816(P2008−508816)の分割
【原出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【出願人】(505432887)アムコー リミテッド (10)
【Fターム(参考)】
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