説明

真空プレス装置及び真空プレス方法

【課題】安定したプレス条件で被加工物のプレスを行うことのできる真空プレス装置及び真空プレス方法を提供する。
【解決手段】真空プレス装置が、定盤上に配置された被加工物が弾性を有するリリースシートに覆われるようにリリースシートを定盤に向けて押圧してリリースシートを定盤に密着させることによって定盤とリリースシートの間に密閉された第1の空間を形成する枠体と、第1の空間を真空引きするための真空ポンプと、定盤に対して枠体を相対的に移動させる駆動手段と、定盤と枠体との間の領域にリリースシートを搬入すると共に被加工物のプレス成形後にこの領域からリリースシートを搬出するリリースシート搬送手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一部が弾性膜で覆われた空間中に被加工物を配置し、次いでこの空間を真空引きすることによって被加工物をプレスする、真空プレス装置及び真空プレス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状またはフィルム状の被加工物の積層を行う為に、特許文献1に記載されているもののような、弾性膜を用いた真空プレス装置が利用されている。このような真空プレス装置は、一方又は双方に弾性膜が設けられた一対の定盤を有し、被加工物はこの定盤間でプレスされる。定盤の一方のみに弾性膜が設けられている場合は、一対の定盤を互いに近接させると、弾性膜が設けられていない定盤と弾性膜とが直接、或いはガスケットを介して密着して、密封された空間が形成される。定盤の双方に弾性膜が設けられている場合は、一対の定盤を互いに近接させると、弾性膜同士が密着して、密封された空間が形成される。
【0003】
被加工物はこの密封された空間に配置される。密封された空間には、真空ポンプが接続されており、この真空ポンプにて密封された空間を真空引きすることによって、弾性膜が被加工物に向かって変形し、被加工物は弾性膜によって圧迫されてプレスされる。被加工物を加熱プレスする場合は、定盤にヒータを取り付けて、被加工物を加熱しながら密封された空間を真空引きする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−641
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような真空プレス装置、特に加熱プレスを行うものは、プレスを行うたびに弾性膜に張力が加わり、且つ加熱されるため、比較的短期間のうちに弾性膜が劣化し、その弾性率が変化する。弾性膜の弾性率が変わると、プレス時に弾性膜から被加工物に加わる荷重の大きさが変化する。このように、従来の真空プレス装置においては、プレスを繰り返すにつれ、弾性膜の劣化が進行し、被加工物のプレス条件(被加工物に加える荷重など)が変化する。すなわち、従来の真空プレス装置においては、安定したプレス条件で被加工物のプレスを行うことができなかった。
【0006】
特に、弾性膜において被加工物のエッジ部分に接触する領域には集中荷重が加わり、劣化が他の領域よりも速く進行する。また、凹凸の多い被加工物をプレスする場合は、凹凸部のエッジ部分に接触する弾性膜の領域に集中荷重が加わり、劣化が速く進行する。このように、プレスを繰り返し行うと、弾性膜内に劣化の進行が進んだ領域と、劣化があまり進んでいない領域とが混在することになり、被加工物に一様に荷重を加えることができないという問題が発生する。
【0007】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は安定したプレス条件で被加工物のプレスを行うことのできる真空プレス装置及び真空プレス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の真空プレス装置は、定盤上に配置された被加工物が弾性を有するリリースシートに覆われるようにリリースシートを定盤に向けて押圧してリリースシートを定盤に密着させることによって定盤とリリースシートの間に密閉された第1の空間を形成する枠体と、第1の空間を真空引きするための真空ポンプと、定盤に対して枠体を相対的に移動させる駆動手段と、定盤と枠体との間の領域にリリースシートを搬入すると共に被加工物のプレス成型後にこの領域からリリースシートを搬出するリリースシート搬送手段とを有する。
【0009】
また、真空プレス装置が枠体と前記定盤との間の領域の外側両端に夫々配置されリリースシートの両端が夫々巻き取られているリーリング及びアンリーリングを有し、リリースシート搬送手段はリーリングを駆動して領域内のリリースシートを搬出してリーリングに巻き取らせると共にアンリーリングからリリースシートを引き出して領域内に搬入するモータを有する構成とすることが好ましい。
【0010】
さらに、枠体と前記定盤との間の領域に配置されているリリースシートのテンションを調整するテンション調整手段をさらに有する構成とすることが好ましい。
【0011】
例えば、テンション調整手段は、リーリングが駆動されているときにアンリーリングの回転速度を調整することによってリリースシートのテンションを調整する。
【0012】
また、枠体は、枠体が前記リリースシートを押圧しているときに第1の空間を収容するための凹部が形成されているプレート状の部材であり、真空プレス装置は凹部と前記リリースシートに覆われた第2の空間を略1気圧に維持する気圧維持手段をさらに有する構成とすることが好ましい。
【0013】
さらに好ましくは、真空プレス装置が枠体及び定盤の少なくとも一方を加熱するためのヒータをさらに有する。
【0014】
さらに好ましくは、真空プレス装置が、定盤と枠体との間の領域に成型前の被加工物を搬入すると共に、この領域からプレス成型後の被加工物を搬出する被加工物搬送手段をさらに有する。
【0015】
また、本発明の真空プレス方法は、被加工物搬送手段によって定盤上に被加工物を配置すると共にリリースシート搬送手段によって定盤と定盤と対峙する枠体との間の領域に新たなリリースシートを搬入する第1の工程と、枠体を定盤に向けて相対移動させて枠体と定盤との間でリリースシートを押圧して被加工物該リリースシートを被覆させると共に第1の空間を形成する第2の工程と、第1の空間内を真空引きして被加工物をプレス成形する第3の工程と、被加工物がプレス成形された後に枠体を定盤から離す方向に相対駆動させて被加工物に被覆されたリリースシートを被加工物から離す第4の工程と、リリースシート搬送手段によって枠体と定盤との間の領域からプレス成形に使用したリリースシートを搬出する第5の工程とを有する。
【0016】
また、第1の工程においてリリースシートを搬入するに際し、リリースシート搬送手段を調整することにより、リリースシートに所望のテンションを与える工程を有する構成とすることが好ましい。
【0017】
また、第3の工程において真空引きするに当たり、リリースシートの上下で気圧差を発生させる為に、枠体とリリースシートとの間に形成された第2の空間の気圧を所望の気圧に保持させる工程を有する構成とすることがこのましい。
【0018】
好ましくは、第1から第3の工程において、枠体または定盤の少なくとも一方が加熱される工程を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の真空プレス装置及び真空プレス方法によれば、プレスが終了するたびにリリースシート搬送手段によってプレスに使用されたリリースシートが枠体と定盤との間から搬入され、新しいリリースシートが搬入されるようにすることができる。従って、本発明によれば、常に熱劣化の起こっていないリリースシートによって、安定したプレス条件で被加工物のプレスが行われる。
【0020】
また、テンション調整手段によってリリースシートのテンションを調整することによって、さらに安定したプレス条件で被加工物のプレスを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施の形態の真空プレス装置の概要図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態の真空プレス装置の互いに密着した枠体及び定盤の断面図であり、真空引きを行う前と後の状態を示したものである。
【図3】図3は、本発明の実施の形態において被加工物をプレス成形する手順を示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の真空プレス装置の概要図である。また、図2は、本実施形態の真空プレス装置の互いに密着した枠体及び定盤の断面図であり、真空引きを行う前と後の状態を示したものである。
【0023】
図1に示されるように、本実施形態の真空プレス装置1は、上下方向に並べられた枠体12と定盤14とを有する。枠体12は、定盤駆動機構42(油圧シリンダ機構等)によって上下方向、すなわち定盤14に対して近接又は離間する方向に駆動される。なお、定盤駆動機構42は、コントローラ52によって制御される。
【0024】
本実施形態の真空プレス装置1によってプレスされる被加工物Pは、下部リリースシート18を介して定盤14の上に配置されるようになっている。また、枠体12は、その下面には凹部12aが形成されたプレート状の部材であり、定盤駆動機構42によって枠体12を定盤14に近接させると、図2(a)に示されるように、下部リリースシート18及び被加工物Pは枠体12の凹部12aに収容されるようになっている。
【0025】
枠体12と定盤14との間には、上部リリースシート16が配置されている。上部リリースシート16は、シリコーンゴム等の耐熱性に優れた弾性体のシートであり、枠体12を駆動して定盤14に密接させると、図2(a)に示されるように、上部リリースシート16は枠体12と定盤14との間に挟み込まれ、両者と密着する。定盤14の上に被加工物Pを配置した状態で枠体12を定盤14に密接させると、被加工物P及び下部リリースシート18は、被加工物Pの上面が上部リリースシート16に被覆された状態で、枠体12の内側に収容される。そして、上部リリースシート16は被加工物Pの側面側において枠体12と定盤14に挟まれた状態となり、定盤14の上面14aと上部リリースシート16による第1の空間Sp(図2(a))、及び枠体12の下面12aと上部リリースシート16による第2の空間Sp’が形成される。すなわち、被加工物P及び下部リリースシート18は、第1の空間Spに収容されることになる。
【0026】
図1に示されるように、枠体12及び定盤14の外側に配置されたリーリング22及びアンリーリング26に上部リリースシート16の両端が巻き取られている。リーリング22及びアンリーリング26は、夫々モータ24及び28に接続されており、上部リリースシート16がアンリーリング26から送り出され、リーリング22に巻き取られるようにモータ24及び28を駆動することによって、上部リリースシート16をアンリーリング26からリーリング22に向かって搬送することができる。モータ24及び28はコントローラ52によって制御され、その回転数を調整可能である。モータ24及び28の回転数を調整することによって、枠体12と定盤14の間に渡されている上部リリースシート16に所望のテンションを与えることができる。
【0027】
図1及び2に示されるように、定盤14には、下面14cと上面14aとを連絡する貫通孔14bが形成されている。図1に示されるように、貫通孔14bの下面14c側の開口には、真空ポンプ34が接続されている。上部リリースシート16が枠体12と定盤14との間に挟み込まれて第1の空間Sp(図2(a))が形成された状態で真空ポンプ34を駆動させることによって、第1の空間Spを真空引きすることができる。なお、真空ポンプ34は、コントローラ52(図1)によって駆動される。
【0028】
また、図1に示されるように、貫通孔14bと真空ポンプ34との間のエア用配管31には分岐管33が設けられており、分岐管33には電磁弁38が設けられている。電磁弁38はコントローラ52によって開閉制御される。第1の空間Sp(図2(a))を真空引きする際は、電磁弁38は閉じるよう制御される。第1の空間Spの真空を解除するときは、コントローラ52は電磁弁38を開き、装置外部の空気を第1の空間Sp内に流入させる。
【0029】
また、枠体12には、上面12cと下面12aとを連絡する貫通孔12bが形成されている。図1に示されるように、貫通孔12bの上面12c側の開口には、電空レギュレータ32が接続されている。電空レギュレータ32は、出口圧が略1気圧となるように、コントローラ52によって制御されている。これによって、上部リリースシート16が枠体12と定盤14との間に挟み込まれた状態では、第2の空間Sp’の気圧は略1気圧に保たれる。なお、電空レギュレータ32の出口圧は入口圧よりも低くなるので、出口圧を略1気圧とするためには入口圧を1気圧以上に保つ必要がある。この目的のため、電空レギュレータ32の入口にはアクチュエータ36が設けられている。
【0030】
本実施形態においては、被加工物Pを加熱プレスするため、枠体12及び定盤14は加熱されている。枠体12及び定盤14を加熱するための機構について以下説明する。図1に示されるように、枠体12及び定盤14の内部には、蒸気や熱媒油などの熱媒を通過させるための熱媒通路12d及び14dが形成されている。熱媒通路12d及び14dの出入り口には、配管66が接続されている。配管66の中途には、ヒータ62及び熱媒循環ポンプ64が設けられている。ヒータ62は、配管66内の熱媒を所望の温度に加熱可能である。また、熱媒循環ポンプ64を駆動すると、配管66及び熱媒通路12d、14d内の熱媒を循環させることができる。従って、ヒータ62及び熱媒循環ポンプ64を駆動することによって、所望の温度に制御された熱媒を、熱媒通路12d、14dを含む熱媒循環経路内で循環させることができる。このように熱媒通路1d、14dを通過する熱媒によって、枠体12及び定盤14は所望の温度に加熱維持される。なお、熱媒通路12d及び14dは、枠体12及び定盤14内で蛇行しており、熱媒を熱媒循環ポンプ64にて循環させることによって、各定盤12、14は略一様の温度に加熱される。なお、ヒータ62及び熱媒循環ポンプ64は、コントローラ52によって制御される。
【0031】
また、プレス装置1は、プレス前の被加工物Pを装置外部から定盤14と上部リリースシート16の間に搬入し、且つ、プレス後の被加工物Pを定盤14と上部リリースシート16の間から装置外部に搬出するためのベルトコンベア等からなる被加工物搬送手段72を有している。なお、被加工物搬送手段72も又、コントローラ52によって制御される。
【0032】
以上説明した本発明の実施の形態の真空プレス装置1において、被加工物Pをプレス成形する手順について、以下説明する。図3は、本実施形態において被加工物Pをプレス成形する手順を示したフロー図であり、以下の説明はこのフロー図に基づいてなされる。
【0033】
最初に、被加工物搬送手段72を駆動することによって、下部リリースシート18に載せられたプレス前の被加工物Pが定盤14の上に配置される(ステップS1)。次いで、モータ24及び28を駆動して、上部リリースシート16のテンションを調整し、さらにモータ24及び28を停止してこのテンションを維持する(ステップS2)。
【0034】
次いで、定盤駆動機構42を駆動して枠体12を降下させ、枠体12と定盤14との間で上部リリースシート16が挟まれるようにする(ステップS3)。これによって、図2(a)に示されるように、定盤14の上面14aと上部リリースシート16との間に第1の空間Spが形成され、第1の空間Sp内に下部リリースシート18及び被加工物Pが配置された状態となる。
【0035】
次いで、真空ポンプ34を駆動して、第1の空間Sp内を真空引きする(ステップS4)。前述のように、上部リリースシート16の上側の第2の空間Sp’(図2(a))の気圧は、電空レギュレータ32によって略1気圧に保たれているため、上部リリースシート16の上下で圧力差が発生し、この圧力差によって、図2(b)に示されるように、上部リリースシート16が被加工物Pに押しつけられる。
【0036】
本実施形態においては、前述のように上部リリースシート16にテンションが与えられた状態で枠体12と定盤14の間に挟み込まれるようになっている。そのため、枠体12と定盤14の間で上部リリースシート16が弛むことはなく第1の空間Spが形成される。そして、この状態から第1の空間Spを真空引きしても、上部リリースシート16にはシワが発生することなく、被加工物Pは均等に加圧される。また、コントローラ52はリリースシート16のテンションを略一定に保つようモータ24及び28を制御しているため、安定したプレス条件で被加工物Pのプレスを行うことができる。
【0037】
次いで、ヒータ62及び熱媒循環ポンプ64を駆動して、枠体12及び定盤14を加熱する(ステップS5)。これによって、被加工物Pは加熱プレスされる。
【0038】
被加工物Pが十分に加熱及び加圧された後、真空ポンプ34、ヒータ62及び熱媒循環ポンプ64を停止し、さらに電磁弁38を開けて第1の空間Sp内の圧力を大気圧に戻す(ステップS6)。そして、定盤駆動機構42を駆動して枠体12を上昇させ(ステップS7)、さらにモータ24及び28を駆動して上部リリースシート16に加えるテンションを増加させる(ステップS8)。これによって、上部リリースシート16が被加工物Pから離れる。
【0039】
次いで、被加工物搬送手段72によって、プレスの完了した被加工物P及び下部リリースシート18を枠体12と定盤14との間から搬出する(ステップS9)。そして、モータ24、28を駆動し、アンリーリング26からリーリング22に向かって上部リリースシート16を搬送する(ステップS10)。以上、ステップS1〜S10の処理を行うことによって、被加工物Pのプレスが行われる。
【0040】
本実施形態の真空プレス装置1においては、上記のように、被加工物Pのプレスが完了した後に、上部リリースシート16においてプレスに使用した部分をリーリング22に巻き取り、未使用の部分をアンリーリング26から引き出している。このため、常に未使用の(すなわち、劣化していない)上部リリースシート16を用いて被加工物Pのプレスが行われることになり、安定したプレス条件で被加工物Pのプレスが行われる。
【0041】
なお、本実施形態においては、外部で加熱した熱媒を枠体12及び定盤14内に送ることによって枠体12及び定盤14を加熱しているが、本発明は上記の構成に限定されるものではない。例えば、枠体12及び定盤14内にカートリッジヒータを設けて定盤を加熱する構成としてもよい。また、本実施形態においては、枠体12と定盤14の双方を加熱しているが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、被加工物Pを十分に加熱できるのであれば、枠体12と定盤14のいずれか一方のみが加熱される構成としてもよい。
【0042】
また、本実施形態においては、枠体12を駆動して、枠体12を定盤14に対して接離させているが、本発明は上記の構成に限定されるものではなく、定盤14、或いは枠体12と定盤14の双方を駆動する構成としてもよい。
【0043】
さらに、本実施形態においては、第1の空間Spの真空引きを行った後に定盤14及び枠体12を加熱しているが、被加工物Pを定盤14上に搬入するとき、或いは、第1の空間Spの真空引きを行っているときに、定盤14や枠体12の加熱を開始する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 真空プレス装置
12 枠体
14 定盤
16 上部リリースシート
18 下部リリースシート
22 リーリング
26 アンリーリング
34 真空ポンプ
52 コントローラ
62 ヒータ
64 熱媒循環ポンプ
P 被加工物
Sp 第1の空間
Sp’ 第2の空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有するリリースシートと定盤との間に形成された第1の空間を真空引きすることによって該空間内の被加工物をプレス成形する真空プレス装置であって、
前記定盤上に配置された前記被加工物が前記リリースシートに覆われるように該リリースシートを前記定盤に向けて押圧して該リリースシートを該定盤に密着させることによって、該定盤と該リリースシートの間に密閉された前記第1の空間を形成する枠体と、
前記第1の空間を真空引きするための真空ポンプと、
前記定盤に対して前記枠体を相対的に移動させる駆動手段と、
前記定盤と前記枠体との間の領域に前記リリースシートを搬入すると共に、前記被加工物のプレス成形後に該領域から該リリースシートを搬出するリリースシート搬送手段と
を有するもの。
【請求項2】
前記真空プレス装置が、前記枠体と前記定盤との間の領域の外側両端に夫々配置され、前記リリースシートの両端が夫々巻き取られているリーリング及びアンリーリングを有し、
前記リリースシート搬送手段は、前記リーリングを駆動して、前記領域内のリリースシートを搬出して該リーリングに巻き取らせると共に前記アンリーリングからリリースシートを引き出して該領域内に搬入するモータを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の真空プレス装置。
【請求項3】
前記枠体と前記定盤との間の領域に配置されている前記リリースシートのテンションを調整するテンション調整手段をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の真空プレス装置。
【請求項4】
前記テンション調整手段は、前記リーリングが駆動されているときに前記アンリーリングの回転速度を調整することによって前記リリースシートのテンションを調整することを特徴とする請求項2に従属する請求項3に記載の真空プレス装置。
【請求項5】
前記枠体は、前記枠体が前記リリースシートを押圧しているときに前記第1の空間を収容するための凹部が形成されているプレート状の部材であり、
前記凹部と前記リリースシートに覆われた第2の空間を略1気圧に維持する気圧維持手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の真空プレス装置。
【請求項6】
前記枠体及び前記定盤の少なくとも一方を加熱するためのヒータをさらに有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の真空プレス装置。
【請求項7】
前記定盤と前記枠体との間の領域に成型前の被加工物を搬入すると共に、該領域からプレス成型後の被加工物を搬出する被加工物搬送手段をさらに有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の真空プレス装置。
【請求項8】
弾性を有するリリースシートと定盤との間に形成された第1の空間を真空引きすることによって該第1の空間内の被加工物をプレス成形する真空プレス方法であって、
被加工物搬送手段によって、前記定盤上に被加工物を配置すると共に、リリースシート搬送手段によって、該定盤と該定盤と対峙する枠体との間の領域に新たなリリースシートを搬入する第1の工程と、
前記枠体を前記定盤に向けて相対移動させ、該枠体と該定盤との間で前記リリースシートを押圧して、前記被加工物に該リリースシートを被覆させると共に前記第1の空間を形成する第2の工程と、
前記第1の空間内を真空引きして前記被加工物をプレス成形する第3の工程と、
前記被加工物がプレス成形された後、前記枠体を前記定盤から離す方向に相対駆動させて該被加工物に被覆されたリリースシートを該被加工物から離す第4の工程と、
前記リリースシート搬送手段によって、枠体と定盤との間の領域からプレス成形に使用したリリースシートを搬出する第5の工程と
を有するもの。
【請求項9】
前記第1の工程において、前記リリースシートを搬入するに際し、前記リリースシート搬送手段を調整することにより、該リリースシートに所望のテンションを与える工程を有することを特徴とする請求項8に記載の真空プレス方法。
【請求項10】
前記第3の工程において、真空引きするに当たり、前記リリースシートの上下で気圧差を発生させる為に、前記枠体と該リリースシートとの間に形成された第2の空間の気圧を所望の気圧に保持させる工程を有することを特徴とする請求項8または9に記載の真空プレス方法。
【請求項11】
前記第1から第3の工程において、前記枠体または前記定盤の少なくとも一方が加熱される工程を有することを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の真空プレス方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−207902(P2010−207902A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59378(P2009−59378)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000242242)北川精機株式会社 (26)
【Fターム(参考)】