【課題】 弁ケーシングを流体配管系から取外さずに開弁リフトを調節することのできる真空破壊弁を提供する。
【解決手段】 流体配管系に接続される流入口６と大気に開口される大気口４とを有する本体１と蓋部材２とから弁ケーシングを形成し、弁ケーシング内に流入口６と大気口４が連通する弁室３を形成する。大気口４と弁室３の間に環状弁座５を設け、環状弁座５を開閉する弁体７を弁室３内に配置する。常時は弁体７が環状弁座５を閉口し流入口６側が真空状態になったときに弁体７が環状弁座５を開口する。弁体７の両面に入口側弁棒８と出口側弁棒９を突設し、弁体７の両側に入口側弁棒８の外周が摺接する入口側ガイド部材１２と出口側弁棒９の外周が摺接する出口側ガイド部材１４を設ける。蓋部材２を気密的に貫通してねじ進退操作可能にストッパ部材１５を配置し、ストッパ部材１５をねじ進退させて出口側弁棒９との距離を調節可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、流体配管や流体機器等の流体配管系に接続して流体配管系が真空状態になったときに大気を導入して真空状態を破壊する真空破壊弁に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来の真空破壊弁は、例えば特許文献１に開示されている。これは、流体配管系に接続される流入口と大気に開口される大気口を有する弁ケーシング内に流入口と大気口が連通する弁室を形成し、大気口と弁室の間に環状弁座を設け、環状弁座を開閉する弁体を弁室内に配置し、常時は弁体が環状弁座を閉口し流入口側が真空状態になったときに弁体が環状弁座を開口するものであって、弁体の両面に弁棒を突設し、弁体の両側に弁棒の外周が摺接するガイド部材を設けたものにおいて、弁棒にストッパ部材をねじ結合してガイド部材との距離を調節可能としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００８−１２１８７５
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
上記従来の真空破壊弁は、ストッパ部材とガイド部材との距離を調節することにより、弁体の開弁リフトを調節できるので、大気口から流入口への大気の導入量を調節できるものであるが、ストッパ部材とガイド部材との距離を調節するためには、弁ケーシングを流体配管系から取外さなければならない問題点があった。
【０００５】
したがって本発明が解決しようとする課題は、弁ケーシングを流体配管系から取外さずに開弁リフトを調節することのできる真空破壊弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記の課題を解決するために、本発明の真空破壊弁は、流体配管系に接続される流入口と大気に開口される大気口を有する弁ケーシング内に流入口と大気口が連通する弁室を形成し、大気口と弁室の間に環状弁座を設け、環状弁座を開閉する弁体を弁室内に配置し、常時は弁体が環状弁座を閉口し流入口側が真空状態になったときに弁体が環状弁座を開口するものであって、弁体の両面に弁棒を突設し、弁体の両側に弁棒の外周が摺接するガイド部材を設けたものにおいて、弁ケーシングを気密的に貫通してねじ進退操作可能にストッパ部材を配置し、ストッパ部材をねじ進退させて弁棒との距離を調節可能としたものである。
【発明の効果】
【０００７】
本発明によれば、弁ケーシングを気密的に貫通してねじ進退操作可能にストッパ部材を配置し、ストッパ部材をねじ進退させて弁棒との距離を調節可能としたことにより、ストッパ部材をねじ込んで弁棒との距離を短くすると弁体の開弁リフトを小さくでき、ストッパ部材をねじ戻して弁棒との距離を長くすると弁体の開弁リフトを大きくできる。
【図面の簡単な説明】
【０００８】
【図１】本発明の実施の形態に係わる真空破壊弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【０００９】
以下、本発明の実施の形態について、図１を参照して説明する。本体１と蓋部材２から弁ケーシングを構成し、弁ケーシング内に弁室３を形成する。本体１に大気に開口される大気口４と、大気口４の弁室３側開口端に設けた環状弁座５と、流体配管系に接続される流入口６とを形成する。環状弁座５に離着座して環状弁座５を開閉する弁体７を環状弁座５に対向して弁室３内に配置する。弁体７はその下面から突出させて設けた入口側弁棒８と上面から突出させて設けた出口側弁棒９を一体に有する。環状弁座５の内壁から弁室３内に突出する２本のリブ１０，１１を弁ケーシング１に一体に形成する。リブ１０，１１の内端に入口側弁棒８の外周が摺動するガイド孔を有する入口側ガイド部材１２を一体に形成する。弁体６はその中央を上方に湾曲させて、弁室３内に突出するリブ９，１０と入口側ガイド部材１２を閉弁時に収容する窪み部１３を形成する。
【００１０】
出口側弁棒９の外周が摺動するガイド孔を有する出口側ガイド部材１４を一体に蓋部材２に形成する。蓋部材２を貫通して外部からねじ進退操作可能にストッパ部材１５をねじ結合する。ストッパ部材１５に蓋部材２との間の気密を保つためのＯリング１６を配置する。ストッパ部材１５をねじ込んで出口側弁棒９との距離を短くすると弁体７の開弁リフトを小さくでき、ストッパ部材１５をねじ戻して出口側弁棒９との距離を長くすると弁体７の開弁リフトを大きくできる。
【００１１】
図示の状態は流入口６側の圧力が大気口４の圧力よりも大きな常時であり、弁体７が環状弁座５に着座して閉弁している。流入口６側が真空状態になり、大気口４の圧力よりも小さくなると、弁体７が環状弁座５から離座して開弁する。これにより、大気口４から流入口６側に大気を導入して真空状態を破壊する。
【００１２】
ストッパ部材１５をねじ込んで出口側弁棒９との距離を短くすると弁体７の開弁リフトを小さくでき、ストッパ部材１５をねじ戻して出口側弁棒９との距離を長くすると弁体７の開弁リフトを大きくできるので、本体１と蓋部材２を流体配管系から取外さずに開弁リフトを調節することができる。
【産業上の利用可能性】
【００１３】
本発明は、流体配管や流体機器等の流体配管系に接続して流体配管系が真空状態になったときに大気を導入して真空状態を破壊する真空破壊弁に利用することができる。
【符号の説明】
【００１４】
１ 本体
２ 蓋部材
３ 弁室
４ 大気口
５ 環状弁座
６ 流入口
７ 弁体
８ 入口側弁棒
９ 出口側弁棒
１２ 入口側ガイド部材
１４ 出口側ガイド部材
１５ ストッパ部材
１６ Ｏリング

【特許請求の範囲】
【請求項１】
流体配管系に接続される流入口と大気に開口される大気口を有する弁ケーシング内に流入口と大気口が連通する弁室を形成し、大気口と弁室の間に環状弁座を設け、環状弁座を開閉する弁体を弁室内に配置し、常時は弁体が環状弁座を閉口し流入口側が真空状態になったときに弁体が環状弁座を開口するものであって、弁体の両面に弁棒を突設し、弁体の両側に弁棒の外周が摺接するガイド部材を設けたものにおいて、弁ケーシングを気密的に貫通してねじ進退操作可能にストッパ部材を配置し、ストッパ部材をねじ進退させて弁棒との距離を調節可能としたことを特徴とする真空破壊弁。

【図１】

【公開番号】特開２０１１−１４４８８９（Ｐ２０１１−１４４８８９Ａ）
【公開日】平成２３年７月２８日（２０１１．７．２８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−６８３８（Ｐ２０１０−６８３８）
【出願日】平成２２年１月１５日（２０１０．１．１５）
【出願人】（０００１３３７３３）株式会社テイエルブイ (913)
【Ｆターム（参考）】