説明

真空脱水機

水、空気及び流離等の混入された汚染物を含有するオイルを処理するための真空脱水機は、上側チャンバ及び下側チャンバを包囲するタワーを有する。ランダムパッキングが上側チャンバに収容されている。オイルは、水の沸点よりも高い温度に予熱され、ランダムパッキングを通って下側チャンバ内へ下方へ流れるように上側チャンバへ導入される。混入された空気及び水は水蒸気として上側チャンバに捕捉され、粒子はランダムパッキングに捕捉される。加熱された周囲空気は、ランダムパッキングを通って上側チャンバ内へ上方へ流れるために下側チャンバへ導入され、上側チャンバは、水蒸気を凝縮させるために冷却される。オイル及び凝縮された水はそれぞれ下側チャンバ及び上側チャンバから圧送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、鉱油及び合成ベースのオイル及びこれらの混合物から空気、水及び粒子等の混入された汚染物を除去するために使用される真空脱水機に関する。
【0002】
2.従来技術の説明
慣用の真空脱水機は、一般的に、1インチ当たり140〜400本のワイヤを有するメッシュタイプのスクリーンを使用する。このような目の細かいスクリーンは、低粘度の十分にろ過されたオイルを処理する場合には満足に働く。しかしながら、オイルがISO100〜680の範囲のより高い粘度を有するような、粗いろ過を有するシステムにおいて使用される場合、スクリーンは目詰まりする傾向があり、これにより、脱水機の作動効率を妥協している。
【0003】
したがって、極めて汚染された高粘度オイルを効率的に処理することができる改良された真空脱水機が必要とされている。
【0004】
発明の概要
本発明によれば、タワーは上側チャンバ及び下側チャンバを包囲している。上側チャンバは、低密度で表面積の大きなエレメントのランダムパッキング(乱雑充填構造)を収容している。汚染されたオイルは、水の沸点よりも高温に予熱され、ランダムパッキングを通って下側チャンバ内へ下方へ流れるように上側チャンバに導入される。下方へのオイルの流れは、混入された空気と、水蒸気の状態の水との分離若しくは"沸騰"、及びランダムパッキング内での粒子の捕捉とを伴う。内部コンデンサは、上側チャンバにおける水蒸気を凝縮させるために働く。加熱された周囲空気は、ランダムパッキングを通って上方へ流れるように下側チャンバへ導入される。第1のポンプは、上側チャンバに真空を生ぜしめ、さらに、上側チャンバから外部コンデンサへ水及び水蒸気を除去しながら加熱空気をランダムパッキングを通って引き上げるためにも働く。第2のポンプは、下側のチャンバから、乾燥され、脱気され、かつろ過されたオイルを除去するために働く。
【0005】
これらの特徴及びその他の特徴並びにそれらに伴う利点を添付の図面を参照して以下にさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明による真空脱水機及びそれに関連するシステム構成部材の概略図である。
【図2】本発明のランダムパッキングにおいて使用されるタイプのポールリングの斜視図である。
【0007】
詳細な説明
図面を参照すると、本発明による真空脱水機は、タワー10を有しており、このタワー10は、上側チャンバ12と下側チャンバ14とを包囲している。上側チャンバにはランダムパッキング16が収容されている。
【0008】
ランダムパッキングは、好適にはポールリングから成り、その例は図2に符号18で示されている。ポールリングは、内方へ曲げられた突出部24を有する円筒状壁部20から成る。ポールリングは、米国テキサス州アルビンのAmistco Co.から入手されてよい。
【0009】
このシステムは、ISO32−680範囲の比較的高い粘度を有するオイルを処理するように設計されており、これらのオイルは、混入された空気及び/又は水で極めて汚染されており、ISO4406(1999改訂)に列挙された最大の23/21/18範囲を超える粒子を含んでいる。ここで使用される場合、「オイル」とは、鉱油及び合成物ベースオイル、及びこれらの混合物を含むように広く解釈されることが意図されている。
【0010】
汚染されたオイルは、導管26を通じて受け取られ、まず最初に水の沸点よりも高い温度、好適には約60〜80℃まで第1の加熱手段によって予熱され、この第1の加熱手段は、一次熱交換器28と、二次熱交換器30とを有している。導管32を含む第1の入口手段は、下側チャンバ14を通ってタワーに進入し、加熱されたオイルを上側チャンバ12内へ排出するためにランダムパッキング16を通って上方へ延びている。ここから、オイルはランダムパッキングを通って下方へ下側チャンバへ流れ戻る。下方への流れは、混入された空気と、オイルからの沸騰した水蒸気としての水の分離、及びランダムパッキング内での粒子の捕捉を伴う。
【0011】
内部水冷式コンデンサ34を有する冷却手段は、上側チャンバ12を包囲しており、ランダムパッキングから上昇する水蒸気を凝縮させるために働く。
【0012】
高温水タンク38にコイル36を有する第2の加熱手段は、調節可能な真空逃がし弁40を通じて受け取られた周囲空気を加熱するために働く。空気は、汚染されたオイルの温度とほぼ同じ温度に加熱される。導管42を有する第2の入口手段は、ランダムパッキング16を通って上方へ流れるように、このように加熱された空気を下側チャンバ14へ導入するために働く。
【0013】
第1のポンプ44は、上側チャンバ12に真空を生ぜしめ、さらに、ランダムパッキング16を通って加熱空気及び水蒸気を引き上げ、水及び水蒸気を上側チャンバから水冷式凝縮物タンク46へ除去する。
【0014】
第2のポンプ48は、乾燥され、脱気され、ろ過されたオイルを下側チャンバから除去するために働く。ポンプ48の出口は、流入してくる汚染されたオイルのための熱源として働くために一次熱交換器28へ向けられており、この一次熱交換器28を通っている。タンク38からの高温水は、二次熱交換器30のための熱源として働く。
【0015】
真空逃がし弁40の調節及びポンプ44の作動を制御することにより、上側チャンバ12内の圧力は約0.0〜−0.85barに維持される。この低い圧力により、オイルに混入した水が、65℃という低い温度で沸騰する。流入する周囲空気を予熱することは、上側チャンバ12から排出される前に、水蒸気が凝縮しないように保つことを助ける。
【0016】
導管50を通じてシステムに取り入れられた水は、分岐管52,54を通じて、高温水タンク38及び凝縮物タンク46へ供給され、凝縮物タンク46から導管56を通じてコンデンサ34へ供給される。水は、導管58及び60それぞれによってコンデンサ34及び凝集物タンク46から除去される。
【0017】
このシステムは、処理されるオイルから、自由乳化水(free emulsified water)の100%、及び溶解水(dissolved water)の90%を除去することができる。湿分レベルは、20PPMの低さまで減じることができる。ランダムパッキングのためにはポールリングが好適であるが、その他の実質的に同等の候補が代用されてもよく、潜在的な例は、Amistco Co.からも入手可能なタイプの、高性能パッキング、ラシヒリング等である。
【0018】
前記説明は、発明を例示するために示されており、限定しようとするものではない。発明の思想及び実質を組み込んだ前記実施形態のさらなる変更が当業者に生じる場合もあるので、発明の範囲は、添付の請求の範囲及びその均等物に関してのみ限定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、空気及び粒子等の混入された汚染物を含有するオイルを処理するための真空脱水機において、
上側チャンバ及び下側チャンバを包囲するタワーと、
前記上側チャンバ内のランダムパッキングと、
オイルを水の沸点よりも高い温度に予熱するための第1の加熱手段と、
このように加熱されたオイルを前記上側チャンバ内へ、前記ランダムパッキングを通って前記下側チャンバ内へ下方へ流れるように導入するための第1の入口手段とが設けられており、前記下方への流れが、前記上側チャンバに蓄積する水蒸気としての、混入された空気及び水のオイルからの分離と、ランダムパッキング内での粒子の捕捉とを伴い、
さらに、周囲空気を加熱するための第2の加熱手段と、
このように加熱された周囲空気を前記下側チャンバへ、前記ランダムパッキングを通って前記上側チャンバ内へ上方へ流れるように導入するための第2の入口手段と、
前記上側チャンバに蓄積した水蒸気を凝縮させるための冷却手段と、
前記上側チャンバに真空を生ぜしめかつ前記上側チャンバから凝縮された水蒸気を除去するための第1のポンプ手段と、
前記下側チャンバからオイルを除去するための第2のポンプ手段とを有することを特徴とする、水、空気及び粒子等の混入された汚染物を含有するオイルを処理するための真空脱水機。
【請求項2】
前記ランダムパッキングが、ポールリングから成る、請求項1記載の真空脱水機。
【請求項3】
前記第1の加熱手段が、オイルの温度を上昇させるために順次に作動する一次熱交換器及び二次熱交換器を有する、請求項1記載の真空脱水機。
【請求項4】
前記オイルが、約60〜80℃の温度に加熱される、請求項1又は3記載の真空脱水機。
【請求項5】
前記第1の入口手段が、前記ランダムパッキングの下方における前記下側チャンバにおいて前記タワーに進入しかつ前記ランダムパッキングの上方の前記上側チャンバ内へオイルを排出するために前記ランダムパッキングを通って上方へ延びている導管を有する、請求項1記載の真空脱水機。
【請求項6】
前記冷却手段が、前記ランダムパッキングを包囲する水冷式コンデンサを有する、請求項1記載の真空脱水機。
【請求項7】
前記第2の加熱手段が、加熱された水を含むタンク内にコイルを有しており、該コイルを通って、周囲空気が、前記第1のポンプ手段によって前記下側チャンバ内へ引き込まれる、請求項1記載の真空脱水機。
【請求項8】
前記第2のポンプ手段によって前記下側チャンバから除去されたオイルが、前記一次熱交換器のための熱源として働く、請求項1記載の真空脱水機。
【請求項9】
前記空気が、前記上側チャンバに導入されるオイルの温度とほぼ同じ温度に加熱される、請求項7記載の真空脱水機。
【請求項10】
前記加熱された水が付加的に、前記二次熱交換器のための熱源として働く、請求項7又は9記載の真空脱水機。
【請求項11】
前記上側チャンバにおいて生ぜしめられる真空が、約0.0〜−0.85barである、請求項1記載の真空脱水機。
【請求項12】
水、空気及び粒子等の混入された汚染物を含有するオイルを処理する方法において、
ランダムパッキングを収容したチャンバを提供し、
オイルを水の沸点を超える温度にまで予熱し、
予熱されたオイルを、前記ランダムパッキングを通って下方へ流れるように前記チャンバに流入させ、前記下方への流れが、混入された空気及び水の、水蒸気としてのオイルからの分離、及び前記ランダムパッキングにおける粒子の捕捉を伴い、
前記ランダムパッキングを通る前記チャンバ内への加熱された空気の上方への流れを提供し、
前記チャンバ内に真空を生ぜしめ、
前記水蒸気を凝縮させ、
前記加熱された空気及び凝縮された水蒸気を前記チャンバから排出することを特徴とする、水、空気及び粒子等の混入された汚染物を含有するオイルを処理する方法。
【請求項13】
前記オイルを、約60〜80℃の温度に予熱する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記チャンバに生ぜしめられる真空が、約0.0〜−0.85barである、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記空気の上方への流れを、前記チャンバへ流入させられるオイルの温度とほぼ同じ温度に加熱する、請求項12記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−510709(P2013−510709A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538850(P2012−538850)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/054916
【国際公開番号】WO2011/059843
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(510002268)シーメンス インダストリー インコーポレイテッド (21)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Industry, Inc.
【住所又は居所原語表記】3333 Old Milton Parkway, Alpharetta, GA 30005−4437, United States of America
【Fターム(参考)】