説明

真空配管用チューブ

【課題】管内外の圧力差に対する管の機械的強度を損なうことなく、直管部、ベローズ部を含めた配管全体の重量を軽減すること。
【解決手段】ベローズ部1と直管部2とを、同じ一本の金属製の管状素材から互いに連続するように形成し、両者の境界部3に接合構造を無くし、両者の肉厚を互いに実質的に同じ薄肉にする。ここで、直管部2に、局所的に該直管部の胴体を周方向に環状に取り巻く稜線状突起部4を1以上形成し、管内外の圧力差に対して直管部が耐え得るチューブ構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製ベローズを含んだ配管用のチューブに関し、特に、管内が真空となるような低圧用配管にも好ましく利用できる軽量化されたチューブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス(DRAM、LSI、発光ダイオード、半導体レーザーなど)や、有機薄膜素子などの製造工程では、気相成長、成膜、エッチング、熱処理などの加工において、基板が配置された槽内を低圧または真空にしなければならない場合がある。
例えば、特許文献1のように、ウエハ上に種々の多層膜を形成する際に使用される熱処理装置などの場合では、中央の処理槽である反応管は、排気管を通じて高真空へと真空引きされる。また、特定のガス雰囲気下で結晶成長や反応性の加工を行う場合であっても、処理槽内の気体を入れ替える際には、一時的に槽内を真空にしなければならない場合もある。
【0003】
上記のような半導体デバイス等を製造するための装置には、処理槽へのガス供給用、槽内を真空にするための排気用の種々の配管が接続されるが、これらの配管には、管内が真空へと減圧されても耐えられるように、通常、市販されている十分な肉厚をもった頑丈な金属製パイプが用いられる。また、その金属製パイプの配管は、図14に模式的に示すように、通常、周囲の設備の配置に合わせて種々の屈曲が加えられる場合が多い。そのような配管の方向を自在に変化させるための継ぎ手として、金属製パイプ同士の間に金属製ベローズ(以下、単に「ベローズ」とも言う)が挿入される。金属製ベローズについては、特許文献2、3などに詳細に説明されている。
【0004】
しかしながら、本発明者等が、上記のような従来の半導体デバイス等の製造装置の配管について検討を行ったところ、図15に配管の断面構造を示すように、厚肉の金属製パイプ200が重いために、また、それに加えて、該パイプ200とベローズ100との接合に用いられる金属製の管フランジ300が重いために、配管の取り扱いや組み立てが非常に困難になっていることがわかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−195648号公報
【特許文献2】特開2004−332927号公報
【特許文献3】特公平1−52095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、半導体デバイスの製造等におけるような真空配管の用途において、管内外の圧力差に対する管の機械的強度を損なうことなく、直管部、ベローズ部を含めた配管全体の重量を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を行なった結果、ベローズ部を形成するための薄板の管材からベローズ部と直管部とを連続的に形成し、かつ、該直管部に管を周方向に取り巻く稜線状突起部を局所的に設けることによって、重い接合構造を無くし、かつ、従来に無い軽量化を行ないながらも、該直管部の機械的強度の低下を回避し得、それによって、製造装置の組立てやメインテナンスにおける配管作業が大幅に軽減されることを見出し、本願発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、次の特徴を有するものである。
(1)ベローズ部と直管部とを有する、金属製の真空配管用チューブであって、
該ベローズ部と該直管部とは、一本のベローズ形成用の薄肉の管状素材から互いに連続するように形成されており、それによって、両者の境界部には接合構造が存在せず、かつ、両者の肉厚は互いに実質的に同じであり、
直管部には、その胴体を周方向に環状に取り巻く稜線状突起部が1以上形成されており、該稜線状突起部は、管の壁部が実質的に同じ肉厚のまま外側へ膨らみ、周方向に稜線状に連なるように突起したものであり、該稜線状突起部によって、直管部は、ベローズ部と連続しかつ該ベローズ部と実質的に同一の薄肉でありながら、管内外の圧力差に耐え得るように補強された構成となっている、
真空配管用チューブ。
(2)直管部が円筒管であり、その管外径が21.7mm〜165.2mmであって、
管外径が21.7mm以上42.7mm未満では、肉厚は0.2mm〜0.5mmであり、
管外径が42.7mm以上76.3mm未満では、肉厚は0.3mm〜0.6mmであり、
管外径が76.3mm以上165.2mm以下では、肉厚は0.4mm〜1mmである、
上記(1)記載の真空配管用チューブ。
(3)管外径が21.7mm以上42.7mm未満では、直管部の外面からの稜線状突起部の突き出し高さは1.5mm〜4mmであり、該稜線状突起部の管軸方向の寸法である該稜線状突起部の幅は3mm〜6mmであり、
管外径が42.7mm以上76.3mm未満では、直管部の外面からの稜線状突起部の突き出し高さは2.2mm〜5mmであり、該稜線状突起部の管軸方向の寸法である該稜線状突起部の幅は4mm〜7mmであり、
管外径が76.3mm以上165.2mm以下では、直管部の外面からの稜線状突起部の突き出し高さは3mm〜8mmであり、該稜線状突起部の管軸方向の寸法である該稜線状突起部の幅は5mm〜10mmである、
上記(2)記載の真空配管用チューブ。
(4)稜線状突起部が、直管部を補強しながら、さらに、自体が変形して該直管部を曲げるための節としても機能するものとなっており、
管外径が21.7mm以上42.7mm未満では、直管部の外面からの稜線状突起部の突き出し高さは3mm〜5mmであり、該稜線状突起部の管軸方向の寸法である該稜線状突起部の幅は5mm〜10mmであり、
管外径が42.7mm以上76.3mm未満では、直管部の外面からの稜線状突起部の突き出し高さは4mm〜8mmであり、該稜線状突起部の管軸方向の寸法である該稜線状突起部の幅は6mm〜12mmであり、
管外径が76.3mm以上165.2mm以下では、直管部の外面からの稜線状突起部の突き出し高さは7mm〜17mmであり、該稜線状突起部の管軸方向の寸法である該稜線状突起部の幅は8mm〜14mmである、
上記(2)記載の真空配管用チューブ。
(5)さらに、直管部の外面には、稜線状突起部の近傍に、当該真空配管用チューブを取り扱うための取っ手部を持ったブラケット部材が装着されており、
該ブラケット部材は、稜線状突起部の近傍を周方向に取り巻いて直管部を締め付ける、第一の箍部と第二の箍部とを有し、
第一の箍部は、稜線状突起部に対し管軸方向の一方の側の近傍において、また、第二の箍部は、稜線状突起部に対し管軸方向の他方の側の近傍において、それぞれに直管部の外面を取り巻いており、
第一の箍部と第二の箍部は、直管部の外面に対して着脱可能なように、周上の同じ位置にある1箇所以上の分断部においてそれぞれ分断されており、
第一の箍部の分断部にある2つの端部(51a)、(51b)と、第二の箍部の分断部にある2つの端部(52a)、(52b)とのうち、稜線状突起部を挟んで位置する端部(51a)と端部(52a)とが、稜線状突起部をまたいで越える形状とされた第一連結部(61)によって一体に連結され、かつ、稜線状突起部を挟んで位置する他方の端部(51b)と端部(52b)とが、稜線状突起部をまたいで越える形状とされた第二連結部(62)によって一体に連結され、第一連結部(61)と第二連結部(62)とは、これらに挿通されるボルト(7)によって周方向へ互いに密着するように締め付けることが可能なように構成され、このボルトの締め付けによって、第一の箍部と第二の箍部は、それぞれ、稜線状突起部の両側の近傍を周方向に取り巻いて直管部を締め付け、直管部の外面に取り付くことができる構成となっており、
前記の第一連結部と第二連結部の一方または両方に、および/または、第一の箍部と第二の箍部の周上の1以上の位置に、前記取っ手部が設けられている、
上記(1)〜(4)のいずれかに記載の真空配管用チューブ。
(6)第一の箍部と第二の箍部とが、共に、帯状の板材からなる、上記(5)記載の真空配管用チューブ。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、先ず、ベローズ部を形成するための薄肉(好ましくは、肉厚0.2mm〜1.0mm程度)の管材からベローズ部と直管部とを連続的に形成することで、直管部を薄肉化し、かつ、ベローズ部と直管部との間に介在する管フランジ等の重い接合構造を排除して、配管全体の軽量化を達成し、半導体デバイス等の製造装置全体の軽量化や組立ての効率化に寄与している。
さらに、本発明では、ベローズ形成用の薄肉の管状素材(即ち、直管部にとっては、従来の真空配管用途では用いられていなかった薄い肉厚の管状素材)から形成される直管部が内部の真空に耐え得るように、該直管部に管を周方向に取り巻く稜線状突起部を必要な間隔をおいて、または、必要に応じては複数条の稜線状突起部を隣接させて設けており、それによって、配管全体の軽量化を損なうことなく、該直管部の機械的強度の低下を抑制している。
【0010】
当該真空配管用チューブは、上記のように一体化構造と稜線状突起部の付与によって、従来にない軽量化が達成されている。これによって、当該真空配管用チューブを用いた半導体デバイスの製造装置は、次のような利点が得られる。
(i)組立て作業性、交換作業性が良好である
当該真空配管用チューブは、従来にない軽量な構造を有している。よって、配管施工が容易になり、作業時間が短縮するだけでなく、従来の厚肉の金属管を支持しながら正確に配管組み立てすることを求められていた作業者の疲労が大きく軽減される。
(ii)安全性がより高い
当該真空配管用チューブは、従来にない軽量な構造によって、作業者の力で十分確実に保持することができる。また、万一落下させても、軽量化されているため従来品の場合より、被害を少なくすることができる。
(iii)施工現場において種々の配管パターンに柔軟に対応し得る
当該真空配管用チューブは、直管部に稜線状突起部が特定の間隔で必須に存在する。この稜線状突起部は、後述するように、単なる補強用だけでなく、直管部の進路を微量だけ曲げるための節目としても用いることができる(図5)。従って、例えば、配管の施工現場において生じる細かい配置パターンの変更に対しても、ベローズ部だけでなく稜線状突起部をも利用して、より柔軟に対応することができる。
(iv)環境保全に寄与する
当該真空配管用チューブは、従来の同じ配管長さのものと比べると、使用されている金属材料が少ない。よって、従来品の製造に用いられていた多量の材料の製造で排出されていたCO2 を軽減することにも寄与する。
(v)軽量である
当該真空配管用チューブは、従来にない軽量な構造であるため、当該チューブを支えるブラケットやフレームも、従来のような強度を有する必要がない。従って、これらのブラケットやフレームも、薄いまたは細い材料で形成することができ、全体としてより軽量となる。
(vi)エネルギーの節約に寄与する
半導体デバイスの製造プロセスにおいて生じる反応副生成物の付着防止のために、配管の外表面からヒーターで加熱し、管壁を昇温させる場合がある。当該真空配管用チューブの直管部は肉厚が薄いため、従来の厚い金属管に比べて加熱開始からより早く昇温するので、エネルギーの節約になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明による真空配管用チューブの一実施例の構造を概略的に示した断面図である。同図では、管の中心軸線を含む平面で当該チューブを切断したときの断面を示している。
【図2】図2は、本発明による真空配管用チューブにおけるベローズ部の蛇腹の断面形状を例示する図である。
【図3】図3は、本発明による真空配管用チューブにおけるベローズ部の蛇腹の断面形状の、その他の例を示す図である。同図では、蛇腹の壁部の断面を、太い実線で表している。
【図4】図4は、本発明による真空配管用チューブにおける稜線状突起部の態様を例示する断面図である。
【図5】図5は、本発明による真空配管用チューブにおいて、稜線状突起部を利用して直管部を曲げる場合の例を示した断面図である。
【図6】図6は、本発明による真空配管用チューブに対して好ましく装着し得るブラケット部材の装着原理を示す模式図である。
【図7】図7は、本発明による真空配管用チューブに対して好ましく装着し得るブラケット部材の好ましい態様を示す部分拡大図である。同図では、稜線状突起部を挟んで両側に位置する箍部(図の51、52)を識別し易いように示すために、第一の箍部、第二の箍部を途中で切り欠いて、除去して示している。
【図8】図8は、本発明による真空配管用チューブに対して好ましく装着し得るブラケット部材の分断部の態様を例示する図である。
【図9】図9は、本発明における稜線状突起部の効果を調べるための試験の様子を示す図である。
【図10】図10は、本発明における稜線状突起部の効果を調べるための試験の結果を示すグラフ図である。
【図11】図11は、直管部に配管用ヒーターを巻き付けて管内を加熱する場合の直管部の肉厚の効果を調べるための、試験用の管の構成を示す図である。
【図12】図12は、直管部に配管用ヒーターを巻き付けて管内を加熱する場合の直管部の肉厚の効果を調べるための、配管用ヒーターの構成を示す図である。
【図13】図13は、直管部に配管用ヒーターを巻き付けて管内を加熱する場合の直管部の肉厚の効果を示すグラフ図である。
【図14】図14は、半導体デバイスの製造装置に対する配管の様子を模式的に示す図である。
【図15】図15は、従来の金属製ベローズと金属製直管との接続構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な態様例を参照しながら、本発明を説明する。尚、以下に示す各部の寸法の範囲は、あくまでも好ましい態様の例であって、本発明を限定するものではなく、要求に応じて下記に例示する範囲外の寸法を有するもの(例えば、より大口径で肉厚を厚くしたものなど)を適宜製作してもよい。
図1は、本発明による真空配管用チューブの一実施例の構造を模式的に示した断面図である。同図に示すように、当該真空配管用チューブは、ベローズ部1と直管部2とを少なくとも有して構成される。ベローズ部1と直管部2とは、同じ一本の薄肉の金属製の管状素材(本来、ベローズ部を形成するための薄肉の管材)から、互いに隣り合って連続するように形成されており、よって、両者の境界部3には、接合構造が存在せず、かつ、両者の肉厚は互いに実質的に同じである。「実質的に同じ」とは、後述のとおり、ベローズ部の肉厚が形成時に微量だけ変動するため、厳密には異なる場合があるが、誤差として無視し、同じとみなすことを意味する。
直管部2には、局所的に該直管部の胴体を周方向に環状に取り巻く稜線状突起部4が1以上形成されている。該稜線状突起部4は、管の壁部が実質的に同じ肉厚のまま外側へ膨らみ、周方向に稜線状に連なるように突起したものである。この稜線状突起部4によって、直管部2は、ベローズ部と継ぎ目無く連続した管であり、かつ、該ベローズ部と実質的に同一の薄肉でありながら、管内外の圧力差に対して耐えることができる。この構成によって、上記した効果が得られる。
【0013】
ベローズ部1は、従来公知の金属製ベローズと同様、管壁が蛇腹状となっている伸縮可能な金属管部分である。該ベローズ部の蛇腹状の管壁の断面形状(該ベローズ部を管の中心軸線を含む平面で切断したときに現れる管壁の断面形状)は、主に、図2(a)〜(c)、および、図3(a)〜(e)に示すものが例示される。図3では、蛇腹の壁部の断面を太い実線で表している。
図2(a)に示す断面形状は、最もオーソドックスなものであって、山部と谷部の断面形状が共にU字状(U字断面)となっている。図2(b)に示す断面形状は、山部と谷部の断面形状が共にV字状(V字断面)となっている。図2(c)に示す断面形状は、山部と谷部の断面形状が共に概してV字状となっているが、谷底と山頂との間の全ての壁部が同様に波打っている(波打ちV字断面)。
図3(a)に示す断面形状は、谷底と山頂との間の全ての壁部が同様にS字状に波打っており、その結果、各山部11aは、根元がくびれ、山頂部分が膨れた断面形状となっている(谷部12aに着目すると、谷底が膨れ、谷の最外側の出口がくびれている)。このような断面形状は、図2(a)に示すような単純なU字断面のものと比べると、ベローズ全体の柔軟さが増す。
図3(b)に示す断面形状は、山部と谷部の断面形状が共にU字状(U字断面)ではあるが、谷部12bが小さな曲率半径となっており(波長が短く)、山部11bが谷部12bよりも大きな曲率半径を持っている(波長がより長い)。このような断面形状は、図2(a)の単純なU字状に比べてより高い外圧に耐え得る。
図3(c)に示す断面形状は、図3(b)とは逆であって、山部と谷部の断面形状が共にU字状(U字断面)ではあるが、山部11cが小さな曲率半径となっており(波長が短く)、谷部12cが山部11cよりも大きな曲率半径を持っている(波長がより長い)。このような断面形状は、図2(a)の単純なU字状に比べてより高い内圧に耐え得る。
図3(d)に示す断面形状は、図3(b)の様に、谷部12dの波長が短く、山部11dの波長がより長くなっているが、これに加えて、山部11dの頂部が単純な半円形ではなく、管軸方向に平行なストレート部分を持っている。このような断面形状は、図3(b)の断面形状に比べて、さらに高い外圧に耐え得る。
図3(e)に示す断面形状は、図3(d)とは逆であって、山部11eの波長が短く、谷部12eの波長がより長くなっており、かつ、谷部12eの底部が単純な半円形ではなく、管軸方向に平行なストレート部分を持っている。このような断面形状は、図3(c)の断面形状に比べて、さらに高い内圧に耐え得る。
【0014】
ベローズ部の山部とは、管の外側に凸となるように屈曲した部分であり、谷部は、隣り合った2つの山部の間にあって管の内側に凸となるように屈曲した部分である。管状素材からU字断面のベローズやV字断面のベローズを製造する方法は、特許文献2に詳細に記載されており、また、管状素材から、波打ちV字断面のベローズを製造する方法は特許文献3に詳細に記載されている。直管から形成された波打ちV字断面ベローズは、プレスアップベローズ(または、ダイヤフラム型成形ベローズ)などと呼ばれている。
また、ベローズ部を形成するに際しては、一枚の板をパイプ状に成形加工した単一の管状素材から形成してもよいし、互いに同心状にはめ合うことが可能な径の異なる複数の管状素材を用意し、小径のものを大径のものに挿入することによって、多層の管壁をもつ1本の管状素材としてから、その管状素材をベローズ部へと成形してもよい。
【0015】
ベローズ部の管路の長さは、管の径に応じて、また、その管路をどの程度曲げるか、その管路をどの程度伸縮させるかに応じて適宜決定してよい。例えば、上記した半導体デバイス等の製造分野では、ベローズ部の管路の長さは、30mm〜200mm程度が有用である。
【0016】
ベローズ部の管外径D1は、山部の頂部外面で測定した直径であり、管内径D2は、谷部の底部内面で測定した口径である。
ベローズ部の管外径D1の範囲は、特に限定はされないが、ベローズ部と直管部とを一体的に形成するためのもとの管状素材の外径とそのときの肉厚とに応じて、適宜、好ましい蛇腹状の壁部を形成すればよい。
もとの管状素材の外径は、特に限定はされないが、一般的に流通する金属管素材の呼び寸法や、半導体デバイス製造装置などで多用される汎用的な管寸法を考慮すると、21.7mm(一般的な管外径規定のB呼称でいう1/2)〜165.2mm(=前記B呼称でいう6)が、管状素材の外径として有用な範囲である。
もとの管状素材の肉厚も、特に限定はされないが、例えば、次のように決定するのが好ましい態様である。
(a)管状素材の外径が21.7mm以上42.7mm未満では、肉厚は、0.2mm〜0.5mm、特に、0.4mm〜0.5mmが好ましい範囲である。
(b)管状素材の外径が42.7mm以上76.3mm未満では、肉厚は、0.3mm〜0.6mm、特に、0.4mm〜0.5mmが好ましい範囲である。
(c)管状素材の外径が76.3mm以上165.2mm以下では、肉厚は0.4mm〜1.0mm、特に、0.5mm〜0.6mmが好ましい範囲である。
上記のような管状素材(外径21.7mm〜165.2mm)から加工可能なベローズ部の管外径Dの範囲は、26mm〜190mm程度であり、なかでも、90mm〜130mm程度が、半導体デバイス等の製造分野では汎用的である。
【0017】
ベローズ部の壁部の肉厚t1は、もとの管状素材の肉厚と同様である。
ベローズ部は、もとの管状素材を蛇腹状に変形させて形成されるので、その肉厚は、もとの管状素材の肉厚から変動するが、本発明ではそのような変動を含めて、もとの管状素材の肉厚と実質的に同じであるとする。
【0018】
ベローズ部の山部の高さh1は、図1に示すように、管の外側における、谷部の底から山部の頂部までの段差である。上記した管状素材(外径21.7mm〜165.2mm、肉厚0.2mm〜1mm)を用いる場合には、山部の高さh1は4mm〜20mm程度が有用な加工範囲となる。山部の高さh1は、元の管状素材の径と肉厚とに対して加工可能な範囲に限定され、また、曲げる量に応じて設計段階で適当な値が適宜選択すればよい。
断面U字形のベローズ部の場合、山部の頂部の管内側の曲率半径や、谷部の底の管外側の曲率半径は、1mm〜5mm程度である。
ベローズ部のピッチ(蛇腹の波の周期)Pは、総じては2mm〜10mm程度である。
管内径D2は、管外径D1、肉厚t1、山部の高さh1から算出可能であるが、通常、管状素材の内径と同程度であってよい。
【0019】
ベローズ部を管軸に垂直に切断したときの管の断面形状は、円形が汎用的であり、強度の面でも優れているが、要求に応じて、長円、楕円、角部が丸みを帯びた方形など、種々の形状であってよい。
【0020】
ベローズ部の材料は、内部を通過するガスや流体に応じて適宜選択してよく、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅合金などが例示され、高真空に耐える機械的強度や耐蝕性の点では、ステンレス鋼が特に好ましい材料である。ステンレス鋼としては、JISに規定されたステンレス鋼(例えば、JIS G4305に規定された、SUS304、SUS316Lなど)が好ましいものとして挙げられるが、JIS規定のステンレス鋼をさらに改良したものであってもよい。
【0021】
直管部は、もとの管状素材をそのまま用いる態様が好ましく、よって、直管部は薄肉の円筒管であって、直管部の材料と肉厚t2が、ベローズ部の材料と肉厚t1(上記したもとの管状素材の肉厚と実質的に同じ)と実質的に同じであることが好ましい態様である。
直管部の長さは、特に限定はされないが、50mm〜2000mm程度、そのなかでも特に、50mm〜1000mm程度が汎用的である。
尚、もとの管状素材の時点で、〔直管部になる部分の肉厚>ベローズ部になる部分の肉厚〕としておくなど、直管部になる部分と、ベローズ部になる部分とを、異なる肉厚としておいてもよい。
【0022】
直管部の管外径、肉厚は、特に限定はされないが、上記(a)〜(c)で示した管状素材の外径と、それぞれの外径に対応する肉厚が、直管部の管外径、肉厚の好ましい範囲である。
肉厚が上記の範囲よりも厚いと、直管部の機械的強度は増大するが、ベローズ部の曲げに対する柔軟性が減少し、逆に、肉厚が上記の範囲よりも薄いと、ベローズ部は曲げに対してより柔らかくなるが、直管部の機械的強度が減少するために稜線状突起部を必要以上に多く設けなくてはならず、直管部とは呼べなくなる。
【0023】
均一な厚さの1本の管状素材の一区間をベローズ部とし、残部を直管部としてそのまま利用する場合、従来公知のベローズの製造方法によれば、ベローズ部の谷部の管内径と、直管部の内径とは、ほぼ同一となる。
【0024】
当該真空配管用チューブの全長において、ベローズ部と直管部とをどのような順番で組み合わせて配置するかは、装置の配管事情に応じて適宜決定してよい。好ましい態様としては、1つのベローズ部と1つの直管部とからなる単純な態様、1つのベローズ部の両端にそれぞれ直管部が存在する態様、1つの直管部の両端にそれぞれベローズ部が存在する態様などが挙げられるが、直管部の数と長さ、ベローズ部の数と長さ、それらを組み合わせる順番は、自由に決定してよい。
【0025】
直管部の外面からの稜線状突起部の突き出し高さは、管の寸法規模に応じて異なるが、総じては、1mm〜50mm程度であり、稜線状突起部の幅(直管部の外面に沿った該稜線状突起部の管軸方向の設計寸法である。後述の裾野部分の広がりは含まない)は1mm〜30mm程度である。
稜線状突起部を設ける目的が直管部の補強だけである場合には、突き出し高さh2は、総じて1mm〜10mm程度、特に下記のとおり1.5mm〜8mm程度が有用である。また、稜線状突起部の幅w2は、総じて2mm〜12mm程度、特に下記のとおり3mm〜10mm程度が有用である。
上記(a)〜(c)の好ましい管外径と肉厚との関係のそれぞれにおいて、稜線状突起部の適切な突き出し高さと、適切な幅との組み合わせが存在する。
(a1)管外径が21.7mm以上42.7mm未満では、稜線状突起部の好ましい突き出し高さは1.5mm〜4.0mm、特に2.0mm〜3.8mmであり、該稜線状突起部の好ましい幅は3mm〜6mm、特に4mm〜5mmである。
(b1)管外径が42.7mm以上76.3mm未満では、稜線状突起部の好ましい突き出し高さは2.2mm〜5mm、特に2.5mm〜4.5mmであり、該稜線状突起部の好ましい幅は4mm〜7mm、特に5mm〜6mmである。
(c1)管外径が76.3mm以上165.2mm以下では、稜線状突起部の好ましい突き出し高さは3mm〜8mm、特に3.5mm〜7.5mmであり、該稜線状突起部の好ましい幅は5mm〜10mm、特に5mm〜8mmである。
【0026】
稜線状突起部の断面形状は、全体的に単純な半円形、または半円形の湾曲部を有するU字形が好ましい基本形状である。稜線状突起部の裾野部分では、該稜線状突起部と直管とは、適当な曲率半径の湾曲部にて互いに滑らかに接続されていることが好ましい。よって、稜線状突起部の裾野部分の幅は、前記の半円形の直径よりも広がっている。
上記(a1)〜(c1)で示した「稜線状突起部の幅」は、広がり部分を除いた半円形部分の直径であり、即ち、設計上の値である。
【0027】
直管部の管軸方向について、該直管部の単位長さ当たりに設ける稜線状突起部の数は、直管部の内径、肉厚、圧力などにもよるが、例えば、直管部の肉厚0.5mm、内径80mmの程度の場合、1つの稜線状突起部によって、その稜線状突起部の管軸方向の両側それぞれ200mm程度の部分は、該稜線状突起部による補強が有効に作用すると見なしてよい。
稜線状突起部は、必ずしも図4(a)に示すような単発的なものである必要はなく、図4(b)のように、2つ以上の稜線状突起部(図では2つ)が互いに隣り合ったものであってもよい。
2つの稜線状突起部同士の間の距離(中心間ピッチ)と管内径との間の関係は、例えば、JIS B 8266:2003、「附属書1(規定)圧力容器の銅及び鏡板」、「4.外圧を受ける胴及び鏡板」の「4.2円筒胴」において、円筒胴の計算厚さを求める手順1〜5に従って求められる関係式「Pa =4Bt/3D0 」を参照してよい。
前記関係式では、tは円筒胴の計算厚さ、D0 は円筒胴の外径、Pa はtに対する最高許容外圧である。前記手順1〜5を簡単に要約すると、次のようにBを求めている。
先ず、JIS B 8266:2003の附属書1付図1として与えられた線図を用いて、D0 /tに対応する曲線と、L/D0 の値とから、Aの値を読み取る。
次に、JIS B 8266:2003の附属書1付図2として与えられた線図を用いて、材料の縦弾性係数Eに対応する曲線と、前記Aの値とから、前記関係式「Pa =4Bt/3D0 」に含まれるBの値を読み取る。
【0028】
本願発明では、稜線状突起部が長手方向に圧縮し得る点に着目しており、稜線状突起部を、直管部を曲げるための節(ふし)として、即ち、単発的な蛇腹として用い、直管部を曲げることを提案している。
稜線状突起部が、直管部を曲げるための節として有効に作用するには、稜線状突起部が特定以上の高さと幅とを有することが好ましい。このように稜線状突起部を節とする場合の稜線状突起部の突き出し高さは、2mm〜30mm程度、特に汎用の肉厚・管径に対しては3mm〜20mm程度が有用であり、また、該稜線状突起部の幅は、5mm〜30mm程度、特に汎用の肉厚・管径に対しては5mm〜15mm程度が有用である。
この場合の稜線状突起部の断面形状は、上記した補強専用の場合と同様であってよい。
上記のように稜線状突起部の高さと幅とを一定以上に大きくし、特定の範囲とすることによって、図5に示すように、該稜線状突起部4は、直管部2を補強しながらも、外力Fを加えれば局所的に変形し、直管部2の進行方向を微量だけ変えるための節としても機能するものとなる。稜線状突起部の高さと幅とが、上記の範囲を下回ると、補強としては有用に作用するが、変形量が少なく、直管部の進行方向を有効な量だけ変えることができない。また、稜線状突起部の高さと幅とが、上記の範囲を上回ると、変形量が多くなる。
図4(b)に示すような、稜線状突起部が2〜3山連続した態様は、直管部の曲げをより容易にする態様である。
上記(a)〜(c)の好ましい管外径と肉厚との関係のそれぞれにおいて、稜線状突起部を、直管部を曲げるための節とするための、該稜線状突起部の適切な突き出し高さと、適切な幅との組み合わせが存在する。
(a2)管外径が21.7mm以上42.7mm未満では、稜線状突起部の好ましい突き出し高さは3mm〜5mm、特に3.5mm〜4.3mmであり、該稜線状突起部の好ましい幅は5mm〜10mm、特に6mm〜8mmである。
(b2)管外径が42.7mm以上76.3mm未満では、稜線状突起部の好ましい突き出し高さは4mm〜8mm、特に4.3mm〜7.6mmであり、該稜線状突起部の好ましい幅は6mm〜12mm、特に8mm〜10mmである。
(c2)管外径が76.3mm以上165.2mm以下では、稜線状突起部の好ましい突き出し高さは7mm〜17mm、特に7.6mm〜16.5mmであり、該稜線状突起部の好ましい幅は8mm〜14mm、特に10mm〜12mmである。
稜線状突起部の突き出し高さおよび幅が上記の範囲を超えると、デッドスペースが多くなり、逆に、突き出し高さおよび幅が上記の範囲を下回ると、曲げにくくなる。
【0029】
稜線状突起部を直管部に形成する方法は、ベローズ部の蛇腹を形成する技術を応用すればよい。よって、稜線状突起部は、図1に示すように、管の壁部が実質的に同じ肉厚のまま外側へ膨らみ、周方向に稜線状に連なるように突起した態様となる。
【0030】
従来、配管の外面には、図14に示すように、該配管を取り扱う際の取っ手となるブラケットが溶接によって設けられる。該ブラケットは、配管を固定したり、また、上方から吊り下げたりするためには、有用である。
しかしながら、従来では直管部の肉厚を十分厚く取っていたので、該直管部に対してブラケットを容易に溶接できたが、本発明では直管部の肉厚を薄くしたので、溶接などによる直接的な取り付けに問題が生じることがわかった。即ち、溶接時の加熱によって、ブラケット周囲の直管部の肉が簡単に溶けて管壁に穴が開いてしまうために溶接が困難であったり、また、うまく溶接を行っても、ブラケットに比較的強い力を加えると、該ブラケットを根元で支持している薄い管壁が変形してしまうという問題が生じる。
このような新たな問題を解決すべく、本発明では薄肉の直管に適合する新たな取り付け構造を持ったブラケット部材を提案している。
【0031】
本発明で提案するブラケット部材は、稜線状突起部が直管部に大きな強度を与えていることに着目したものであり、この稜線状突起部の強度を利用し、その近傍に、直管部を取り巻いて締め付ける箍(たが)状の部材を設けたものである。本発明では、この箍状の部材を直管部に取り付け、該箍状の部材に取っ手部を設ける構成とする。
図6は、該ブラケット部材を直管部へ装着するための原理を示す模式図であって、説明のために、稜線状突起部を大きく描き、第一、第二の箍部を太い実線で描き、構造の骨子を分かりやすく示している。また、取っ手部は、図には描いていない。
【0032】
図6に示すように、当該ブラケット部材は、稜線状突起部4の近傍を周方向に取り巻いて直管部2を締め付ける、第一の箍部51と第二の箍部52とを有する。
これら、第一の箍部51、第二の箍部52は、稜線状突起部4を管軸方向に挟んだ両側において、それぞれに直管部2の外周面を取り巻いている。即ち、これら2つの箍部は、互いに稜線状突起部4の幅以上の間隔をおいて位置している。
第一の箍部51、第二の箍部52は、稜線状突起部が締め付けに耐えることが前提となっている。よって、第一の箍部51、第二の箍部52は、稜線状突起部の強度を享受すべく、該稜線状突起部にできるだけ近い位置において直管部2を周方向に取り巻くことが好ましい。ただし、稜線状突起部が裾野に広がり(稜線状突起部と直管部とを滑らかに接続する曲面による広がり)を持つ場合、第一の箍部51、第二の箍部52は、そのような広がりを押さえつけないように、その裾野の広がりの終端にできるだけ近い位置(該終端から0mm〜5mmの間隔をおいた位置)に配置されることが好ましい。
また、第一の箍部51、第二の箍部52は、直管部の外周面に対して着脱可能なように、周上の同じ位置にある1箇所以上の分断部S1、S2においてそれぞれ分断されている。図6の例では、分断部は1箇所である。
【0033】
分断部S1、S2には、箍部が分断されたことによって、互いに対向する1対の端部が生じている。即ち、第一の箍部51の分断部S1には、1対の端部51a、51bが生じ、第二の箍部52の分断部S2には、1対の端部52a、52bが生じている。
この第一の箍部51の端部51a、51bと、第二の箍部52の端部52a、52bのうち、稜線状突起部4を挟んだ両側で対応する第一の箍部の端部51aと第二の箍部の端部52aとが、第一連結部61によって一体に連結されている。第一連結部61は、稜線状突起部4をまたいで越え得るU字状の凹状部分を有し、それによって、稜線状突起部を越えて両者を連絡している。同様に、稜線状突起部を挟む両側で対応する他方の端部51bと端部52bのペアも、稜線状突起部をまたいで越える形状とされた第二連結部62によって一体に連結されている。
第一連結部61と第二連結部62とは、これらを貫通するボルト7によって周方向へ互いに密着する方向へと締め付けることが可能なように構成されている。図6に示すように、ボルト7を締め付けると、第一の箍部51、第二の箍部52は、それぞれ、稜線状突起部4の両側の近傍において、直管部を周方向に取り巻き、それぞれ張力f1、f2にて直管部を締め付けながら直管部の外周面に取り付く構成となっている。
ここで、前記の第一連結部61と第二連結部62の一方または両方に、および/または、第一の箍部51、第二の箍部52の周上のいずれかの位置に、取っ手部(図示せず)が設けられている。
以上の構成とすることによって、薄肉の直管であっても、稜線状突起部の強度を利用して、溶接することなしに取っ手を取り付けることが可能になる。また、取っ手に比較的強い外力が作用しても、その力は、箍部を介して直管部に分散して伝わるので、取っ手の根元部分にある直管部の薄肉を局所的に変形させることがない。
また、箍状の部材を、稜線状突起部を挟んで両側に巻き付ける構成としたことで、稜線状突起部によって強度が向上した部位をバランスよく、かつ、もれなく利用することができており、さらには、箍部と直管部表面との間の接触面積(摩擦力が作用する面積)をより大きく取れているので、適度な締め付け力で直管部に対してずれないように固定することも可能になっている。
また、当該ブラケット部材は、締め付け力で直管部に対して固定する構成であるから、従来の溶接固定のブラケットと同様の機能を果たすだけでなく、管の胴体周方向360度のうちの任意の位置で自由に固定することができるので、例えば、配管施工時におけるブラケットの取り付け方向の微調整が可能であるという、さらなる利点を有する。
【0034】
第一、第二の箍部は、直管部の胴体に巻き付けることができ、かつ、強い張力に耐えることができるものであればよく、形態としては、線材(単線、より線、編み線)や、帯状の板材が挙げられ、材料としては、高い機械的強度を有するプラスチックや、鋼(特にステンレス)などが好ましいものとして挙げられる。
第一、第二の箍部は、必ずしも、それぞれ1本ずつである必要はない。例えば、第一、第二の箍部を線材とする場合には、それぞれに複数本の線材を平行に配置し、直管部との接触面積を増大させてもよい。
【0035】
図6に示すように、第一の箍部51、第二の箍部52は、それぞれ、第一連結部61、第二連結部62と強固に連結していなければならない。この点を鑑みれば、図7にブラケット部材の実施例を示すように、平行な2条の帯(第一の箍部51、第二の箍部52)と、それらを連結する平板状の連結部(第一連結部61、第二連結部62)と、さらには取っ手部81、82とを、1枚の平板材料から一体的に切り出し、箍部と連結部との境界線で、連結部を管表面に垂直に外側へ向かうように折り曲げた態様は、箍部と連結部との連結部分の強度も十分であり、かつ、箍部と連結部と取っ手部の組立てを必要としない好ましい態様である。
第一の箍部51、第二の箍部52の内側(直管部に接する側)の縁部には、直管部を傷つけないように適当な面取りを施しておくことが好ましい。特に、稜線状突起部側の縁部は、比較的大きな曲率半径の曲面としておき、設置時に稜線状突起部の裾野に触れても該突起部に食い込まないようにすることが好ましい。
【0036】
取っ手部は、第一連結部、第二連結部、第一の箍部、第二の箍部のいずれに固定してもよいが、部品点数を少なくする点からは、上記したように連結部を大きく拡張して取っ手部を兼用する態様が好ましい。特に、取っ手部の剛性や強度を向上させる点からは、第一連結部と第二連結部とを合わせて1つの取っ手部とする態様が好ましい。
図7の態様では、第一連結部61、第二連結部62から、それぞれに取っ手部81、82が張り出しており、ボルトを締め付けて第一連結部と第二連結部と合わせた時に、2つの取っ手部81、82が互いに一致して1つの取っ手部8が形成され、そこに1つの貫通孔9が形成されるように、取っ手部81、82は互いに重ね合わせたときに一致する形状(分解または展開すると、所謂、勝手違いの形状)となっている。
【0037】
図7に示すように、第一、第二の箍部、連結部、取っ手部を、帯状の板として、1枚の平板材料から一体的に切り出して形成する場合、第一、第二の箍部は、0.5mm〜1mm程度の薄い帯状の板であれば引っ張り強度の面では十分である。しかし、そのような薄い板では、2つの連結部の剛性が得られず、2つの連結部を互いに近づくようにボルトで締め付けても、連結部だけが変形して、箍部に引っ張り力が伝わらないという問題が生じる場合がある。
よって、図7に示したブラケット部材の構成において、連結部61、62、取っ手部81、82に適度な剛性を与えながら、箍部51、52に適度な曲げ性を確保するという点からは、平板材料の厚さは、1mm〜5mmが好ましく、2mm〜3mmが特に好ましい値である。
【0038】
第一連結部と第二連結部とは、ボルトによって周方向へ互いに密着するように締め付けることが可能なように構成すればよい。
ここでいう、ボルトによって締め付けるとは、次の態様を含むものである。
第一連結部と第二連結部とをボルトが貫通し、ナットを用いて両者を締め付ける態様。
第一連結部と第二連結部のいずれか一方にメネジが形成され、ボルトが他方を貫通して該メネジに螺合されて両者を締め付ける態様。
万力のようにボルトを利用した締め付け装置を用いて、第一連結部と第二連結部とを互いに密着する方向に締め付ける態様。
【0039】
ブラケット部材の箍部に設けられる分断部は、1以上であればよい。図6、図7に示した態様では、1つの分断部を拡大して示しているが、分断によって無駄に部品の数を多くしないこと、直管部への巻き付け作業性が良好であること、ボルトの締め付け箇所数が適当であることなどを考慮しながら、同様の分断部を胴体周上に必要な数だけ設ければよい。装着すべき直管部側に格別な事情がない限りは、分割の数は1または2が適当である。
図8は、箍部に設けられる分断部のパターンを示した図である。
図8(a)は、分断部Sを1つだけ設けた態様であり、ボルト7を除けばブラケット部材は1つの部品となっている。
図8(b)は、箍部の一部に、フックによる引っ掛け構造や蝶番によるリンクなどの係合部Jを設け、箍部51、52のループを開閉可能な構成としたものである。分断部Sとボルト7の構成は、図8(a)と同様である。
図8(c)は、周方向に180度おいた位置に、2つの分断部S(A)、S(B)を設けた態様であり、2箇所のボルト7A、7Bを締め付ける必要があるが、ブラケット部材は2つの部品に分かれるので、装着をすばやく行うことができ、巻き付けのために箍部を大きく変形させる必要もない。
【0040】
1つの分断部における第一連結部と第二連結部との間の隙間は、特に限定はされないが材料の伸びを考慮すれば、1mm〜2mm程度が適当である。
【0041】
当該真空配管用チューブは、内部を真空にして用いるあらゆる用途に適用することができるが、特に、半導体デバイスの製造装置では、高真空を作り出す必要があり、かつ、装置全体の軽量化が求められているので、当該真空配管用チューブの有用性がより顕著となる。
本発明でいう真空とは、0.1Pa以下の低圧、特に、0.01Pa以下の低圧を言う。当該真空配管用チューブは、前記のような高真空に耐え得る構成となっているので、当然に、大気圧よりも低い全ての低圧用の配管に用いてもよい。
【実施例】
【0042】
実施例1
本実施例では、ベローズ製作用の薄肉の直管に稜線状突起部を形成することによって、管内の減圧(即ち、外部から加えられる荷重)に対して、どの程度の強度が備わるかを模擬的な実験によって確かめた。
【0043】
〔実験サンプルの仕様〕
当該実験では、ベローズ形成用の代表的な薄肉の直管として、〔外径105.7mm、肉厚0.5mm、材料SUS316L〕を取り上げ、管の全長を107mm、稜線状突起部の管外面からの突き出し高さを3.25mm(稜線状突起部の外径112.2mm)、稜線状突起部の幅を5mmとした。本発明のサンプルを管軸に沿って切断したときの稜線状突起部の断面形状は、半径2.5mmの半円形部分(湾曲部分)と、高さ0.75mmのストレートな基部とからならU字形である。
当該実験では、製作誤差による強度のばらつきを考慮し、同じ仕様のサンプルを2つ作成し、それぞれ、同様に試験を行うこととした。
また、比較例として、線状突起部を形成していない単なる直管(外径105.7mm、肉厚0.5mm、材料SUS316L、全長107mm)に対しても、同様に試験を行うこととした。
【0044】
〔強度試験〕
図9に示すように、圧縮試験機の基盤上に、管軸が水平になるようサンプルを保持し、加圧ヘッドを線状突起部に接触させ、その位置から該ヘッドを漸次降下させて、サンプルを変形させ、圧縮量(ヘッドの降下量〔mm〕)と、そのときにサンプルから受ける反力(=サンプルに加えた全荷重〔N〕)との関係をしらべた。
尚、降下量が0.5mm増加する毎に、反力の読み取りを行うこととした。
【0045】
〔試験結果および評価〕
上記試験の結果を下記表1に示し、さらにそれを図10のグラフにプロットして示す。
同図のグラフでは、縦軸に反力をとり、横軸に圧縮量をとり、本実施例の2つの実験サンプルの結果を、四角(■)と三角(▲)でプロットし、線状突起部の無い単なる直管(比較例)の試験結果を、ひし形(◆)でプロットした。
【0046】
【表1】

【0047】
表1および図10のグラフから明らかなとおり、例えば、圧縮量4mmの場合では、線状突起部の無い比較例のサンプルが42Nであるのに対し、線状突起部を設けた本実施例の2つの実験サンプルが137N、149Nであるなど、線状突起部を設けた本実施例の2つの実験サンプルは、線状突起部の無い比較例のサンプルと比べて、外部からの荷重に対して、2〜3倍以上の高い機械的強度を有することがわかった。
【0048】
実施例2
本実施例では、図1に示した該真空配管用チューブを実際に製作し、軽量化の程度と、管内の減圧に対する強度が十分であることを確かめた。
(1)管状素材
材料;SUS316L、内径;104.7mm、肉厚;0.5mm
(2)ベローズ部の仕様
最外径D1;127mm、内径D2;104mm、山の高さh1;11.5mm、山のピッチ;6.6mm、山の数;10、長さ(有効部分);66mm
(3)直管部の仕様
内径;104.7mm、肉厚;0.5mm、長さ618.9mm
稜線状突起部の仕様(直管部の外周面からの突き出し高さ;3.25mm、幅;5mm、断面形状として半径2.5mmの半円形の湾曲部を持ったU字状)
稜線状突起部の位置;直管部の一方の端から155.4mmの位置、さらにそこから195mmの位置、さらにそこから133mmの位置に、それぞれ1条、計3条の稜線状突起部を設ける
(4)評価
総重量は、3.7kgであった。
当該真空配管用チューブの強度を確認するために、内部を真空に減圧して大気圧に戻すというサイクルを繰り返す試験を行った。より詳細には、1.0×10-2 Paの真空で5分間維持し、大気圧で5分間維持するサイクルを、10サイクル行ったところ、直管部に変形は見られなかった。
【0049】
比較例
上記実施例1の結果と比較するために、従来技術に従って、直管部としてベローズ部とは別の厚肉管(材料;SUS316L、厚さ;3mm)を用いて配管用チューブを製作したところ、フランジを含めた総重量は10.2kgであった。
この結果から、上記実施例1で製作した本発明の真空配管用チューブが、同じ呼び寸法の従来の構造に比べて、6.5kg軽量化されて取り扱い性が良好となっており、かつ、強度面では十分に真空に耐え得るものであることが分かった。
【0050】
実施例3
本実施例では、稜線状突起部を、直管部を曲げるための節として利用すべく、該稜線状突起部の断面形状の寸法を大きくとった。
直管部の仕様を、材料;SU316L、内径;80.5mm、肉厚;0.5mmとし、1つの稜線状突起部の仕様を、直管部の外周面からの突き出し高さ;7.25mm、幅;40.5mm、断面形状として半円形の湾曲部を持ったU字状とした。
この稜線状突起部を境に、直管部を20°曲げることが可能であることがわかった。
【0051】
実施例4
本実施例では、図7に示すブラケット部材を実際に製作した。
装着対象とした直管部および稜線状突起部の仕様は、実施例2に示したとおりである。
ブラケット部材のもとの平板素材は、材料;SUS304、板厚2mm
分断部の数;2(周方向に180°間隔をおいた2箇所)、分断部における隙間;5mm
第一、第二の箍部のそれぞれの帯幅40mm
第一、第二の箍部の間の隙間;5mm(ここに幅2.5mmの稜線状突起部がはめ込まれる)
上記の構成とすることで、直管部にすばやく装着でき、直管部を変形させることなく、取っ手をしっかりと固定できることがわかった。
【0052】
実施例5
上記発明の効果で述べたとおり、半導体デバイスの製造プロセスでは、配管の外表面に配管用ヒーターを巻き付けて管壁を昇温させる場合がある。本発明による真空配管用チューブは、直管部の肉厚が薄いので、従来の厚い金属管に比べて、より少ない消費電力で、より早く昇温させることが可能である。
本実施例では、当該真空配管用チューブと従来の厚肉直管を用いた配管に対して、配管の外表面に配管用ヒーターを巻き付けて、投入電力と各部の昇温特性の差異を確かめた。
【0053】
〔実験用サンプルの仕様〕
(i)本発明の真空配管用チューブの実験用サンプル(本発明品サンプル)
本発明品サンプルは、図11(a)に示すように、ベローズ部1と直管部2とからなるチューブであって、一本のベローズ形成用の薄肉の管状素材から、ベローズ部1と直管部2とが連続するように形成したものである。直管部には、1箇所に稜線状突起部4を設けている。各部の寸法仕様は、次のとおりである。
元の薄肉の管状素材は、外径が89.1mm、肉厚が0.5mm、材料がSUS3162である。
ベローズ部1は、全長L1が約62mm、蛇腹の波のピッチ(波の周期)が6.5mm、管外径が110mm、山部の高さ(管の外側における、谷部の底から山部の頂部までの段差)が11mm、肉厚は、もとの管状素材の肉厚と同様である。
直管部2は、全長L2が約62mmであり、肉厚は、もとの管状素材の肉厚と同様である。直管部1に形成した稜線状突起部4の管外面からの突き出し高さは3.95mm(稜線状突起部の外径97mm)、稜線状突起部の幅は4mmである。また、当該サンプルを管軸に沿って切断したときの稜線状突起部の外側の断面形状は、基本的な形状が半径2mmの半円形であり、その半円の裾野部分と直管部の表面とが、半径2mmの弧によって滑らかに接続された形状である。
(ii)従来の真空配管用チューブの実験用サンプル(従来品サンプル)
従来品サンプルは、図11(b)に示すように、薄肉のベローズ部100と厚肉の直管部200とを管フランジ300を介して接合したチューブである。各部の接合は溶接によって行われている。
ベローズ部100の仕様は、本発明品の実験用サンプルのベローズ部1の仕様と全く同じであり、L100=L1である。
直管部は、全長L200が245mm、外径が89.1mm、肉厚が3mm、材料がSUS316である。
【0054】
〔配管用ヒーターの仕様と温度制御構成〕
本実験に用いた配管用ヒーターの形態は、加熱すべき管の胴体に巻き付けて該管の特定区間を全体的に覆うことができるシート状物であって、該シート状物の内部には、電熱線が敷設されている。該電熱線は、通電制御のための制御部を持った電源装置に接続されている。電源装置は、制御部によって、管の温度に応じて電熱線への通電量を調節するできるように構成された装置である。
本実験では、直管部分およびベローズ部管の内壁面に温度センサーを配置し、該温度センサーからの温度信号を電源装置の制御部に入力し、入力された温度信号に従って制御部が演算を行ない、通電量を調節して管内を目的の温度へと制御する構成とした。
【0055】
従来品サンプルに用いた配管用ヒーターは、図12(b)に示すように、直管からベローズまでを、1枚の配管用ヒーターCで覆い、直管の部分で温度制御し、部分的に出力差をつけることで均熱特性を図る構成とした。
従来品サンプルに対する温度測定の位置は、配管用ヒーターに覆われた直管の中央における管の内壁面である。
一方、本発明品サンプルに用いた配管用ヒーターは、直管部とベローズ部分との通電量の配分についての既知のデータがないため、図12(a)に示すように、直管部とベローズ部とを別々の配管用ヒーターA、Bによって覆い、それぞれ単独に通電量を制御することとした。
本発明品サンプルに対する温度測定の位置は、直管部、ベローズ部分の各配管用ヒーターに覆われた部分の中央部の内壁面である。
【0056】
〔実験結果および評価〕
上記のように、各実験用サンプルを製作し、それぞれに配管用ヒーターを巻き付けて通電加熱し、それぞれの通電量を表すワット密度〔W/cm2 〕と、直管部の内部管壁の温度とを、通電の初期から時間の経過と共に測定した。ワット密度〔W/cm2〕とは、配管用ヒーターの単位表面積あたりの電力である。測定結果を、各サンプルの温度変化を図13(a)のグラフ図に示し、各サンプルのワット密度の変化を図13(b)のグラフ図に示す。いずれも、一点鎖線が従来品サンプルの測定結果を示し、実線が本発明品サンプルの測定結果を示す。
図13(a)、(b)のグラフ図に一点鎖線にて示すとおり、従来品サンプルでは、直管中央部において、通電開始から約11秒間、最大能力の通電を行ない、その間、管内の温度は、時間の経過に比例して直線的に急激に上昇し、電源装置の制御部が通電量を制御した後も、管内の温度は約4秒程度上昇を続け、目標値に達して定常状態となった。
このときの通電開始から約11秒間における温度上昇速度(上昇レート)は、9.8〔℃/分〕であった。
これに対して、本発明品サンプルでは、図13(a)、(b)のグラフ図に実線にて示すとおり、薄肉である直管中央部において、通電開始から約14秒間、最大能力の通電を行ない、その間、管内の温度は、時間の経過に比例して直線的に急激に上昇し、電源装置の制御部が通電量を制御して低下させた後も、管内の温度は約2秒程度上昇を続け、目標値を大きく越えたのち、150℃の定常状態へと降下した。
このときの通電開始から約14秒間における温度上昇速度(上昇レート)は、11.7〔℃/分〕であった。
以上の結果から、直管部の中央の測定点の温度上昇速度を比較した場合、薄肉の直管である本発明品サンプルの方が、低いワット密度(従来品サンプルの60%)であるにもかかわらず、厚肉の直管部よりも、温度上昇速度が高いことがわかった。
このことから、本発明品サンプルは、少ない電力で効果的に管内を昇温させることができるので、省エネルギーに寄与し、また、従来と同量のワット密度での通電では、よりすばやい昇温が可能になるので、応答速度の優れた温度制御が可能であることもわかった。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によって、管内の真空引きに耐える強度を持ち、かつ、より軽量化された配管部材を提供することが可能になった。また、直管部が薄肉になったことで、配管用ヒーターを用いる場合に、従来よりも少ないエネルギー消費での昇温、または、従来よりも速い応答速度での昇温ができるようになった。
【符号の説明】
【0058】
1 ベローズ部
2 直管部
3 ベローズ部と直管部との境界部
4 稜線状突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベローズ部と直管部とを有する、金属製の真空配管用チューブであって、
該ベローズ部と該直管部とは、一本のベローズ形成用の薄肉の管状素材から互いに連続するように形成されており、それによって、両者の境界部には接合構造が存在せず、かつ、両者の肉厚は互いに実質的に同じであり、
直管部には、その胴体を周方向に環状に取り巻く稜線状突起部が1以上形成されており、該稜線状突起部は、管の壁部が実質的に同じ肉厚のまま外側へ膨らみ、周方向に稜線状に連なるように突起したものであり、該稜線状突起部によって、直管部は、ベローズ部と連続しかつ該ベローズ部と実質的に同一の薄肉でありながら、管内外の圧力差に耐え得るように補強された構成となっている、
真空配管用チューブ。
【請求項2】
直管部が円筒管であり、その管外径が21.7mm〜165.2mmであって、
管外径が21.7mm以上42.7mm未満では、肉厚は0.2mm〜0.5mmであり、
管外径が42.7mm以上76.3mm未満では、肉厚は0.3mm〜0.6mmであり、
管外径が76.3mm以上165.2mm以下では、肉厚は0.4mm〜1mmである、
請求項1記載の真空配管用チューブ。
【請求項3】
管外径が21.7mm以上42.7mm未満では、直管部の外面からの稜線状突起部の突き出し高さは1.5mm〜4mmであり、該稜線状突起部の管軸方向の寸法である該稜線状突起部の幅は3mm〜6mmであり、
管外径が42.7mm以上76.3mm未満では、直管部の外面からの稜線状突起部の突き出し高さは2.2mm〜5mmであり、該稜線状突起部の管軸方向の寸法である該稜線状突起部の幅は4mm〜7mmであり、
管外径が76.3mm以上165.2mm以下では、直管部の外面からの稜線状突起部の突き出し高さは3mm〜8mmであり、該稜線状突起部の管軸方向の寸法である該稜線状突起部の幅は5mm〜10mmである、
請求項2記載の真空配管用チューブ。
【請求項4】
稜線状突起部が、直管部を補強しながら、さらに、自体が変形して該直管部を曲げるための節としても機能するものとなっており、
管外径が21.7mm以上42.7mm未満では、直管部の外面からの稜線状突起部の突き出し高さは3mm〜5mmであり、該稜線状突起部の管軸方向の寸法である該稜線状突起部の幅は5mm〜10mmであり、
管外径が42.7mm以上76.3mm未満では、直管部の外面からの稜線状突起部の突き出し高さは4mm〜8mmであり、該稜線状突起部の管軸方向の寸法である該稜線状突起部の幅は6mm〜12mmであり、
管外径が76.3mm以上165.2mm以下では、直管部の外面からの稜線状突起部の突き出し高さは7mm〜17mmであり、該稜線状突起部の管軸方向の寸法である該稜線状突起部の幅は8mm〜14mmである、
請求項2記載の真空配管用チューブ。
【請求項5】
さらに、直管部の外面には、稜線状突起部の近傍に、当該真空配管用チューブを取り扱うための取っ手部を持ったブラケット部材が装着されており、
該ブラケット部材は、稜線状突起部の近傍を周方向に取り巻いて直管部を締め付ける、第一の箍部と第二の箍部とを有し、
第一の箍部は、稜線状突起部に対し管軸方向の一方の側の近傍において、また、第二の箍部は、稜線状突起部に対し管軸方向の他方の側の近傍において、それぞれに直管部の外面を取り巻いており、
第一の箍部と第二の箍部は、直管部の外面に対して着脱可能なように、周上の同じ位置にある1箇所以上の分断部においてそれぞれ分断されており、
第一の箍部の分断部にある2つの端部(51a)、(51b)と、第二の箍部の分断部にある2つの端部(52a)、(52b)とのうち、稜線状突起部を挟んで位置する端部(51a)と端部(52a)とが、稜線状突起部をまたいで越える形状とされた第一連結部(61)によって一体に連結され、かつ、稜線状突起部を挟んで位置する他方の端部(51b)と端部(52b)とが、稜線状突起部をまたいで越える形状とされた第二連結部(62)によって一体に連結され、第一連結部(61)と第二連結部(62)とは、これらに挿通されるボルト(7)によって周方向へ互いに密着するように締め付けることが可能なように構成され、このボルトの締め付けによって、第一の箍部と第二の箍部は、それぞれ、稜線状突起部の両側の近傍を周方向に取り巻いて直管部を締め付け、直管部の外面に取り付くことができる構成となっており、
前記の第一連結部と第二連結部の一方または両方に、および/または、第一の箍部と第二の箍部の周上の1以上の位置に、前記取っ手部が設けられている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の真空配管用チューブ。
【請求項6】
第一の箍部と第二の箍部とが、共に、帯状の板材からなる、請求項5に記載の真空配管用チューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−48412(P2010−48412A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164195(P2009−164195)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(392001047)大阪ラセン管工業株式会社 (9)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】