説明

眼画像撮影装置及び認証装置

【課題】利用者に対して適切な撮影位置を指示して確実に両眼の撮影画像を得られるようにする。
【解決手段】認証装置1の撮影装置2は、被写体を撮影する撮影部10と、撮影部10により撮影して得た撮影情報から被写体の眼画像の画質の良否を判定する画質判定部11と、撮影情報から被写体の眼の位置を検出する眼位置検出部12と、撮影情報から被写体の眼が左右のどちらの眼かを判定する左右判定部30と、眼位置検出部12により検出された眼の位置と左右判定部30により判定された眼の左右情報とに応じて被写体への指示内容を制御するための制御信号を出力する指示制御部51と、指示制御部51からの制御信号に応じて指示内容を出力する指示部50とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証のために対象人物の眼を被写体として撮影する眼画像撮影装置及び認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、入退室管理装置や個人情報等の重要な情報が記憶された情報装置等、高いセキュリティ性が求められる装置におけるアクセス時の本人認証の方法として、人体の指紋、虹彩、眼底血管、顔の特徴、腕や手等の血管パターン等、被写体固有のいわゆるバイオメトリクス情報を用いた様々な認証方法が実用化されている。
【0003】
そのひとつとして、眼の虹彩部分の皺の模様の違いを利用した認証方法(以下、この認証方法を「虹彩認証方法」という)が提案され、実用化されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
この虹彩認証方法では、近赤外線照明等で被写体の眼及びその周辺を照明し、カメラを用いて被写体の眼を含む領域を撮影している。そして、カメラで撮影して得た眼を含む画像(以下、「眼画像」という)から虹彩領域を抽出して虹彩部分の皺の模様の違いが数値情報として表されるようにコード化した認証情報を作成し、この認証情報をあらかじめ登録された認証情報(以下、「登録認証情報」という)と比較照合している。比較照合の結果、互いに一致すると判定された場合には、被写体があらかじめ登録された者であるとして認証している。
【0005】
このような虹彩認証方法を用いた認証装置として、様々な形態のものが提案されてきている。その一例として、被認証者の眼画像を撮影するカメラを搭載したハンディ型の眼画像入力装置をコンピュータ等の情報装置に外付けで接続し、眼画像入力装置から入力された眼画像を情報装置側でコード化処理及び比較照合処理して被認証者の認証を行う構成の認証装置が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0006】
このような認証装置においては、眼の虹彩部分が鮮明に撮影された眼画像を得るために、情報装置の表示部の画面上に眼画像入力装置で撮影された眼画像を所定の位置に指示するための画像として表示し、被認証者はその眼画像を見ながら適切な眼が撮像される位置に眼画像入力装置を移動させて眼画像を撮影する構成である。
【特許文献1】特許第3307936号公報
【特許文献2】特開2000−207536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような従来の撮影装置では、両眼を撮影する場合に、被認証者に対して適切な位置を指示することができないといった課題があった。前述のような虹彩認証方法によって本人認証を行う認証装置では、登録の際に左右両方の眼画像を撮影し、認証装置内に取り込まなければならない。しかし、上記従来の認証装置の場合、撮影画像内に眼が入っているか否かは知ることができるが、両眼が画角に入るための最適な位置を知ることはできない。また、仮に登録認証情報が左右両方ではなく、片方のみ登録されている場合、照合時にも登録時と同じ眼を撮影しないと、あらかじめ登録された者として認証されないため、使い勝手が悪くなる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、利用者に対して適切な撮影位置を指示して確実に両眼の撮影画像を得ることが可能な眼画像撮影装置及び認証装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の眼画像撮影装置は、対象人物の眼を含む被写体を撮影する撮影部と、前記撮影部により得た撮影情報から前記被写体の眼の位置を検出する眼位置検出部と、前記撮影部により得た撮影情報から前記被写体の眼の左右を判定する左右判定部と、前記眼の位置情報と前記眼の左右情報とに基づいて前記被写体への指示内容に関する制御信号を生成する指示制御部と、前記制御信号に基づいて指示内容を出力する指示部と、を備えるものである。
これにより、眼の位置情報と左右情報とに基づいて被写体への指示内容に関する制御信号を生成し、その指示内容を出力することで、利用者に対して適切な撮影位置を指示することができ、確実に両眼の撮影画像を得ることが可能となる。
【0010】
また、本発明は、上記の眼画像撮影装置であって、前記指示部は、表示部、音声出力部、振動部の少なくとも一つを備え、前記被写体の眼の位置を移動すべき方向と移動量の程度を示す指示を行うものを含む。
これにより、被写体を適切な撮影位置に移動させるために、利用者がどの方向にどれ位移動すれば良いかを具体的に指示することが可能である。利用者は、両眼を撮影するための適切な撮影位置を撮影位置からの指示によって知ることができる。
【0011】
また、本発明は、上記の眼画像撮影装置であって、前記指示部は、前記表示部として、左方向への移動を指示する左方向用発光部と、右方向への移動を指示する右方向用発光部とを備えるものを含む。
これにより、発光部の表示によって利用者がどの方向に移動すれば良いかを具体的に指示することが可能である。
【0012】
また、本発明は、上記の眼画像撮影装置であって、前記左方向用発光部及び前記右方向用発光部は、それぞれ複数の発光要素を備え、前記複数の発光要素は、点灯位置、点灯数のうちの少なくとも一つによって前記移動量の程度を示すものを含む。
これにより、複数の発光要素の点灯位置や点灯数を変化させることなどにより、利用者がどの程度移動すれば良いかを具体的に指示することが可能である。
【0013】
また、本発明は、上記の眼画像撮影装置であって、前記指示制御部は、前記被写体の左右のいずれかの眼が前記撮影情報において検出されない場合に、前記被写体の左右両方の眼が前記撮影部の撮影画角内に入る位置に移動させるように、前記指示内容に関する制御信号を生成するものを含む。
これにより、利用者に対して両眼を撮影するために適切な撮影位置を指示することができ、確実に両眼の撮影画像を得ることが可能となる。
【0014】
また、本発明は、上記の眼画像撮影装置であって、前記撮影部により得た撮影情報から前記被写体の眼画像の画質を判定する画質判定部を備え、前記眼画像の画質が所定の判定基準よりも劣る場合、または前記被写体の左右のいずれかの眼が前記撮影情報において検出されない場合に、前記撮影部が再度被写体の撮影を行うものを含む。
これにより、被写体の両眼を含む所定基準以上の画質の眼画像を確実に取得することが可能となる。
【0015】
本発明の認証装置は、上記の眼画像撮影装置と、前記撮影装置により得た被写体の眼画像の撮影情報から認証情報を作成する認証情報作成部と、予め登録された登録認証情報を記憶する記憶部と、前記認証情報と前記登録認証情報とを比較照合して認証結果を出力する認証情報照合部と、を備えるものである。
これにより、利用者に対して適切な撮影位置を指示して確実に両眼の撮影画像を取得し、この両眼の眼画像を用いてより高確度の認証を行うことが可能となる。
【0016】
また、本発明は、上記の認証装置であって、前記被写体の眼画像から作成された認証情報を登録認証情報として前記記憶部に登録する認証情報登録部を備えるものを含む。
これにより、取得した両眼の眼画像を基に利用者の両眼にかかる登録認証情報を登録することが可能である。
【0017】
また、本発明は、上記の認証装置であって、前記認証情報照合部は、前記眼画像撮影装置の左右判定部からの眼の左右情報を入力し、この左右情報に応じて比較照合する際の登録認証情報を選択するものを含む。
これにより、認証情報を比較照合する際に同じ方の眼の登録認証情報とのみ照合することができるため、照合時間を短縮可能となる。
【0018】
また、本発明は、上記の認証装置であって、前記認証情報登録部は、前記眼画像撮影装置の左右判定部からの眼の左右情報を入力し、この左右情報を付加して前記登録認証情報を登録するものを含む。
これにより、眼の左右情報を登録認証情報に自動的に付加して登録することができ、認証情報登録時の利用者の負荷を低減可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、利用者に対して適切な撮影位置を指示して確実に両眼の撮影画像を得ることが可能な眼画像撮影装置及び認証装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る認証装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態の認証装置1は、眼画像撮影装置として機能する撮影装置2と、撮影装置2から得られた眼画像の撮影情報を用いて認証を行う認証部3とを備えている。認証装置が本人認証に用いることができる被認証者に固有な生体情報として、眼の虹彩、顔の特徴などがあるが、本実施形態では、被写体としての被認証者(利用者)の眼を利用する構成を示す。
【0021】
撮影装置2は、被写体を撮影するカメラ等からなる撮影部10と、撮影部10により撮影して得た撮影情報から被写体の眼画像の画質の良否を判定する画質判定部11と、撮影部10により撮影して得た撮影情報から被写体の眼の位置を検出する眼位置検出部12と、撮影部10により撮影して得た撮影情報から被写体の眼が左右のどちらの眼かどうかを判定する左右判定部30と、眼位置検出部12により検出された眼の位置と左右判定部30により判定された眼の左右情報とに応じて被写体への指示内容を制御するための制御信号を出力する指示制御部51と、指示制御部51からの制御信号に応じて指示内容を出力する指示部50とを備えている。
【0022】
また、認証部3は、前述の撮影装置2の撮影部10で撮影した被写体の眼画像から、認証情報を作成する認証情報作成部21と、認証情報とあらかじめ登録された登録認証情報とを比較照合することにより、被認証者の認証を行う認証情報照合部22と、被写体の眼画像から作成された認証情報を登録認証情報として登録する認証情報登録部23と、登録認証情報を記憶する記憶部24とを備えている。
【0023】
上記構成において、撮影装置2は、眼位置検出部12により検出された眼の位置と左右判定部30により判定された眼の左右情報とに応じて被写体への指示内容を制御する。これにより、利用者は両眼を撮影するための最適な撮影位置を撮影装置2からの指示によって知ることができる。この場合、指示部50は移動方向と移動量を示すことで、利用者はどの方向にどれ位移動すれば良いのか具体的に理解することができる。したがって、利用者が撮影装置2からの指示によって適切な位置に自身の両眼を位置させることで、撮影装置2は、確実に被写体である利用者の両眼を撮影して眼画像の撮影情報を得ることができる。また、認証部3は、撮影装置2により撮影された両眼の眼画像の撮影情報を用いて登録を行うことで、容易に精度の良い認証情報の登録作業を行うことができる。
【0024】
次に、第1の実施形態に係る認証装置1の各部の動作について説明する。撮影装置2の撮影部10は、光学系及び撮影素子を有するカメラ等により被写体を撮影する。照明部40は、撮影時に被写体に照明光を照射する。照明光として、一般的には近赤外の照明光を用いる。
【0025】
画質判定部11は、撮影して得た撮影情報から、画像の明るさやぼけ具合などの撮影状態を検出し、撮影に適している条件であるかどうかを判定する。眼位置検出部12は、撮影して得た撮影情報から、眼の位置を検出する。眼の位置検出は、予め作成した眼のテンプレートデータを用いたテンプレートマッチングにより行う。
【0026】
左右判定部30は、撮影して得た撮影情報から、左右どちらかの眼であるか判定を行う。眼の左右判定は、左右の眼のテンプレートデータを用いてテンプレートマッチングを行い、マッチング値が大きいものを選択することで行う。指示制御部51は、眼位置検出部12で検出した眼位置と左右判定部30で判定した左右情報とに応じて、被写体への指示内容を制御する制御信号を指示部50に出力する。
【0027】
指示部50は、指示制御部51からの制御信号に応じて、被写体に対する指示を出力する。被写体への指示は、撮影部との相対関係において、被写体が移動すべき方向と、移動量の程度について出力する。指示の出力方法には、LEDやLCD等による表示、音声、振動などを用いることができる。したがって、指示部50は、出力する指示の種別に応じて、LEDやLCD等を有する表示部、スピーカ等を含む音声出力部、バイブレータ等を有する振動部などを備える。
【0028】
認証部3の認証情報作成部21は、撮影部10から入力された被写体の眼画像から認証情報を作成する。認証情報照合部22は、作成した認証情報とあらかじめ登録された登録認証情報とを比較照合することにより、利用者(被認証者)の認証を行う。認証情報登録部23は、被写体の眼画像から作成された認証情報を登録認証情報として記憶部24に記憶して登録する。記憶部24は、半導体メモリや磁気ディスク等の公知の記憶装置から任意に選択して用いることが可能である。
【0029】
図2は、認証部3において認証情報としての虹彩コードを生成する手順の一例を説明するためのフローチャートである。まず、撮影装置2の照明部40から近赤外LEDなどを用いて利用者(被認証者)である被写体の眼の虹彩を照明し、眼画像としての虹彩画像を取得する(ステップS11)。次に、認証情報作成部21は、取得した虹彩画像から、瞳孔外縁(瞳孔虹彩間の境界)と虹彩外縁(虹彩と強膜(白目)の境界)を検出し、虹彩領域を抽出する(ステップS12)。そして、虹彩領域の画像を、極座標画像に変換する(ステップS13)。
【0030】
次に、極座標画像の半径方向をリング状に8分割して解析領域を決定し(ステップS14)、極座標画像に対して、マルチスケールの2−Dガボール変換を適用する(ステップS15)。そして、2−Dガボール変換後データの実部と虚部をそれぞれ2値化して虹彩コードを生成する(ステップS16)。
【0031】
利用者の眼画像について、正当な被登録者として登録する場合には、その被登録者について、上述のステップによって眼画像から認証情報(虹彩コード)を生成し、これを記憶部24に格納される登録データベース(虹彩データベース)に登録認証情報として登録する。一方、被認証者を認証する場合には、その被認証者について、上述のステップによって眼画像から虹彩コード(認証情報)を生成し、この認証情報(虹彩コード)と記憶部24の登録データベースに格納された登録認証情報(虹彩コード)との比較を排他的論理和演算等によって行い、虹彩コード間の差異(ハミング距離等)の大きさに基づいて、登録者と同一であるか否かを判断する。
【0032】
図3は、本実施形態に係る対象人物の認証方法を概念的に示す図である。認証情報の登録時には、被登録者の眼画像を撮影して認証部3に入力し(ステップS21)、この画像から認証情報作成部21において虹彩コードを含む認証情報を生成する(ステップS22)。そして、生成した認証情報を認証情報登録部23が記憶部24の登録データベースに登録認証情報として登録する(ステップS23,S24)。
【0033】
一方、認証時には、撮影部10で被認証者の眼画像を撮影して認証部3に入力し(ステップS31)、この画像から認証情報作成部21において虹彩コードを含む認証情報を生成する(ステップS32)。そして、生成した認証情報を、すでに記憶部24の登録データベースに登録されている被登録者の虹彩コードを含む登録認証情報と比較し(ステップS33)、同一人物か否かの認証を行う(ステップS34)。
【0034】
図4は、本実施形態に係る認証装置1の外表部を正面から見たときの外観構成図である。本実施形態の認証装置1は、撮影部10と照明部40とを備え、照明部40で被写体を照らしながら、撮影部10で被写体を撮影して認証する。また、認証装置1は指示部50を備え、利用者に対して指示を行うことが可能になっている。
【0035】
ここで、利用者に対する指示のパターンの一例について、図5を用いて説明する。図5は指示部50による利用者への指示のパターンを説明する説明図であり、図5(a)はパターンA、図5(b)はパターンB、図5(c)はパターンCをそれぞれ示したものである。
【0036】
指示部50は、例えば、左側及び右側それぞれに向いた3つの横方向の矢印形状の発光要素による指示パターンを持っている。これらの矢印形状の発光要素が左方向用発光部及び右方向用発光部として機能する。指示パターンAでは、図5(a)に示すように、右方向の矢印形状の発光要素を3つ全て点灯することにより、利用者に認証装置1に向かって右側に大きく(例えば5cm程度)移動するように指示する場合の例を示している。
【0037】
また、指示パターンBでは、図5(b)に示すように、右方向の矢印形状の発光要素を2つ点灯することにより、利用者に認証装置1に向かって右側に中程度、すなわち指示パターンAより少ない距離(例えば3cm程度)だけ移動するように指示する場合の例を示している。また、指示パターンCでは、図3(c)に示すように、右方向の矢印形状の発光要素を1つだけ点灯することにより、利用者に認証装置1に向かって右側に小さく、すなわち指示パターンBより少ない距離(例えば1cm程度)移動するように指示する場合の例を示している。
【0038】
指示部50は、左方向についても同様に横方向の矢印による3つの指示パターンを持っている。これらの指示パターンの点灯指示を、眼の位置情報と左右情報に応じて複数の発光要素の点灯位置、点灯数のうちの少なくとも一つを変化させて移動量の程度を示すことで、利用者に両眼を撮影するために適切な撮影位置を知らせることができる。
【0039】
図6は被写体の両眼と撮影装置2の撮影画角との位置関係を示す説明図であり、図6(a)は眼の位置が片方の眼しか撮影画角に入っていない状態を示し、図6(b)は両方の眼が撮影画角に入った状態を示している。
【0040】
図6(a)に示すように、撮影装置2から見て、被写体の左眼202のみが撮影部10の画角203に入っており、被写体の右眼201が撮影部10の画角203に入っていない場合は、両眼を撮影することができないため、認証情報の登録処理や認証処理を完了できない。一方、図6(b)に示すように、被写体の左眼202と右眼201が両方とも撮影部10の画角203に入っている場合は、両眼を撮影することができるため、認証情報の登録処理や認証処理を正常に完了することができる。
【0041】
次に、本実施形態における認証装置1の認証情報登録動作について、図7を用いて説明する。図7は本実施形態の認証装置1における認証情報登録動作の手順を説明するフローチャートである。
【0042】
まず、認証装置1は、撮影装置2にて被写体を撮影し、撮影情報を取得する(ステップS101)。そして、画質判定部11により、撮影して取得した撮影情報から被写体の眼画像の画質を判定する(ステップS102)。
【0043】
次いで、眼位置検出部12により、撮影して得た撮影情報から被写体の眼の位置を検出する(ステップS103)。そして、認証装置1は、眼位置検出部12により撮影画像内に眼が入っているか否かを判断する(ステップS104)。
【0044】
ここで、眼画像の画質が所定の判定基準よりも劣る場合や、撮影画像内に眼が入っていない場合(No)は、ステップS101に戻り、認証装置1は、撮影装置2にて再度被写体を撮影し、撮影情報を取得する。一方、眼が入っている場合(Yes)は、認証装置1は、左右判定部30により、撮影して得た撮影情報から被写体の眼が左右のどちらの眼かどうかを判定する(ステップS105)。
【0045】
次に、認証装置1は、左右判定部30により撮影画像内に両眼が入っているか否かを判断する(ステップS106)。ここで、両眼が入っていない場合(No)は、認証装置1は、指示制御部51により、利用者への指示内容の更新を行う(ステップS107)。一方、両眼が入っている場合(Yes)は、認証装置1は、取得した両眼の画像情報を用いて、認証部3の認証情報作成部21及び認証情報登録部23により認証情報を登録する(ステップS108)。
【0046】
そして、認証装置1は、認証情報登録部23により両眼の登録が完了したか否かを判断する(ステップS109)。撮影情報の不具合などにより、両眼の登録が完了しなかった場合(No)は、ステップS101に戻り、認証装置1は、撮影装置2にて再度被写体を撮影し、撮影情報を取得する。一方、両眼の登録が完了した場合(Yes)は、認証装置1は、登録結果を出力する(ステップS110)。
【0047】
このように、本実施形態では、撮影画像中の被写体である利用者の眼の位置を検出し、撮影画像内に両眼が入っているかどうかに応じて、両眼が入っていない場合は指示部から指示を行うことで、利用者に対して両眼を撮影するために適切な撮影位置を指示可能である。利用者は、両眼を撮影するための適切な撮影位置を撮影装置からの指示によって知ることができる。また、利用者が撮影装置からの指示によって適切な位置に自身の両眼を位置させることで、撮影装置は、確実に利用者の両眼を撮影して眼画像の撮影情報を得ることができる。また、取得した撮影情報を用いて、両眼の認証情報を登録認証情報として登録でき、認証時には撮影して得た両眼の認証情報と登録認証情報とを比較することで確実に利用者(被認証者)の認証を行うことができるので、認証処理のセキュリティを向上させることができる。
【0048】
なお、上述した本実施形態の動作に加えて、眼画像(虹彩画像)の認証において、眼位置検出部12及び左右判定部30において撮影画角内に入っている被認証者の数を検出する機能と、被認証者が複数の場合に、認証情報照合部22において、被認証者のそれぞれの認証情報を比較照合する機能と、被認証者全員の認証が成立した場合に認証成功とする機能とを付加することができる。
【0049】
このように複数の被認証者に対する処理を追加し、眼の左右情報と眼位置情報とを用いて撮影画角内に入っている利用者の数を数え、全ての眼で認証成立とならないと認証成功としないことによって、認証が成立していない者が認証が成立した者と一緒に入場する、いわゆる共連れを防止することができる。
【0050】
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態に係る認証装置の概略構成を示すブロック図である。第2の実施形態は、第1の実施形態の構成を一部変更したものであり、第1の実施形態と同様の部分については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0051】
第2の実施形態の認証装置4は、撮影装置5と、撮影装置5から得られた撮影情報を用いて認証を行う認証部6とを備えている。この認証装置4は、図1に示した第1の実施形態の認証装置1と比較して、左右判定部30が、認証情報作成部21に加えて認証情報照合部22と接続されている点が異なる。
【0052】
このような構成とすることで、認証部6は、左右判定部30で判定された眼の左右情報に応じて、比較照合する際の登録認証情報を選択することができる。例えば、撮影された眼画像の認証を行う際に、右眼を認証する場合は、右眼の登録認証情報のみと比較照合を行い、左眼を認証する場合は、左眼の登録認証情報のみと比較照合を行うことが可能である。この際、登録認証情報は左右の眼の区別がなされて登録されているため、認証処理をより短時間で実行可能である。
【0053】
したがって、本実施形態によれば、撮影した眼画像の認証を行う際に、同じ方の眼の登録認証情報とのみ照合できるため、照合時間を短縮することができる。
【0054】
(第3の実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態に係る認証装置の概略構成を示すブロック図である。第3の実施形態は、第1及び第2の実施形態の構成を一部変更したものであり、第1及び第2の実施形態と同様の部分については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0055】
第3の実施形態の認証装置7は、撮影装置8と、撮影装置8から得られた撮影情報を用いて認証を行う認証部9とを備えている。この認証装置7は、図8に示した第2の実施形態の認証装置4と比較して、左右判定部30が、認証情報作成部21と認証情報照合部22に加えて認証情報登録部23と接続されている点が異なる。
【0056】
このような構成とすることで、認証部9は、認証情報登録時に、左右判定部30で判定された眼の左右情報を付加することができる。例えば、撮影された眼画像の登録を行う際に、右眼の認証情報の場合は右眼を示す情報を付加し、左眼の認証情報の場合は左眼を示す情報を付加することが可能である。
【0057】
したがって、本実施形態によれば、撮影した眼画像の認証情報を登録する際に、自動的に左右情報を付加することができるため、認証情報登録における利用者の負荷を低減できる。
【0058】
上述した本実施形態の認証装置は、入室管理装置、インターフォン、デジタルスチルカメラ、携帯電話や情報処理機器などの携帯情報端末、ゲーム機器などの認証機能として利用可能である。
【0059】
なお、本発明は上記の実施形態において示されたものに限定されるものではなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、利用者に対して適切な撮影位置を指示して確実に両眼の撮影画像を得ることが可能となる効果を有し、認証のために対象人物の眼を被写体として撮影する眼画像撮影装置及び認証装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る認証装置の概略構成を示すブロック図
【図2】本実施形態の認証部において認証情報としての虹彩コードを生成する手順の一例を説明するためのフローチャート
【図3】本実施形態に係る対象人物の認証方法を概念的に示す図
【図4】本実施形態に係る認証装置の外表部を正面から見たときの外観構成図
【図5】本実施形態における指示部による利用者への指示のパターンを説明する説明図
【図6】被写体の両眼と撮影装置の撮影画角との位置関係を示す説明図
【図7】本実施形態の認証装置における認証情報登録動作の手順を説明するフローチャート
【図8】本発明の第2の実施形態に係る認証装置の概略構成を示すブロック図
【図9】本発明の第3の実施形態に係る認証装置の概略構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0062】
1,4,7 認証装置
2,5,8 撮影装置
3,6,9 認証部
10 撮影部
11 画質判定部
12 眼位置検出部
21 認証情報作成部
22 認証情報照合部
23 認証情報登録部
24 記憶部
30 左右判定部
40 照明部
50 指示部
51 指示制御部
201 被写体の右眼
202 被写体の左眼
203 画角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象人物の眼を含む被写体を撮影する撮影部と、
前記撮影部により得た撮影情報から前記被写体の眼の位置を検出する眼位置検出部と、
前記撮影部により得た撮影情報から前記被写体の眼の左右を判定する左右判定部と、
前記眼の位置情報と前記眼の左右情報とに基づいて前記被写体への指示内容に関する制御信号を生成する指示制御部と、
前記制御信号に基づいて指示内容を出力する指示部と、
を備える眼画像撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の眼画像撮影装置であって、
前記指示部は、表示部、音声出力部、振動部の少なくとも一つを備え、前記被写体の眼の位置を移動すべき方向と移動量の程度を示す指示を行う眼画像撮影装置。
【請求項3】
請求項2に記載の眼画像撮影装置であって、
前記指示部は、前記表示部として、左方向への移動を指示する左方向用発光部と、右方向への移動を指示する右方向用発光部とを備える眼画像撮影装置。
【請求項4】
請求項3に記載の眼画像撮影装置であって、
前記左方向用発光部及び前記右方向用発光部は、それぞれ複数の発光要素を備え、
前記複数の発光要素は、点灯位置、点灯数のうちの少なくとも一つによって前記移動量の程度を示す眼画像撮影装置。
【請求項5】
請求項1に記載の眼画像撮影装置であって、
前記指示制御部は、前記被写体の左右のいずれかの眼が前記撮影情報において検出されない場合に、前記被写体の左右両方の眼が前記撮影部の撮影画角内に入る位置に移動させるように、前記指示内容に関する制御信号を生成する眼画像撮影装置。
【請求項6】
請求項1に記載の眼画像撮影装置であって、
前記撮影部により得た撮影情報から前記被写体の眼画像の画質を判定する画質判定部を備え、
前記眼画像の画質が所定の判定基準よりも劣る場合、または前記被写体の左右のいずれかの眼が前記撮影情報において検出されない場合に、前記撮影部が再度被写体の撮影を行う眼画像撮影装置。
【請求項7】
請求項1に記載の眼画像撮影装置と、
前記撮影装置により得た被写体の眼画像の撮影情報から認証情報を作成する認証情報作成部と、
予め登録された登録認証情報を記憶する記憶部と、
前記認証情報と前記登録認証情報とを比較照合して認証結果を出力する認証情報照合部と、
を備える認証装置。
【請求項8】
請求項7に記載の認証装置であって、
前記被写体の眼画像から作成された認証情報を登録認証情報として前記記憶部に登録する認証情報登録部を備える認証装置。
【請求項9】
請求項7に記載の認証装置であって、
前記認証情報照合部は、前記眼画像撮影装置の左右判定部からの眼の左右情報を入力し、この左右情報に応じて比較照合する際の登録認証情報を選択する認証装置。
【請求項10】
請求項8に記載の認証装置であって、
前記認証情報登録部は、前記眼画像撮影装置の左右判定部からの眼の左右情報を入力し、この左右情報を付加して前記登録認証情報を登録する認証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−15518(P2009−15518A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175449(P2007−175449)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、総務省、「ユビキタスセンサーネットワーク技術に関する研究開発」委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】