眼瞼腫脹の予防および処置のための組成物
本発明は、眼瞼腫脹を治療および予防するための、浸透活性剤および/または血管収縮剤および/または収れん剤を含む局所用製剤、ならびにそれらの使用方法を特徴とする。眼瞼腫脹を治療および予防するための新規の組成物および方法が提供される。ある実施形態においては、浸透活性剤および/または血管収縮剤および/または収れん剤を含む新規の局所眼科用製剤が提供される。特に本発明は、眼瞼腫脹の治療および予防に相乗的に作用する浸透活性剤および/または血管収縮剤および/または収れん剤の組み合わせを含む局所眼科用製剤を提供する。場合により、浸透活性剤および/または血管収縮剤および/または収れん剤を種々の他の薬剤と組み合わせて、眼瞼腫脹の治療および予防に使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、眼瞼腫脹の予防および治療に有用な新規の眼科用組成物および方法に関する。特に、本発明は、眼瞼腫脹の予防および治療に有用な浸透活性剤、収れん剤、血管収縮剤、またはこれらの組み合わせを含む眼科用組成物に関する。本発明はさらに、このような組成物を、必要とする被験体に投与する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
眼瞼腫脹および眼瞼の炎症は、組織学的影響、患者の生活の質、および一般的な患者の快適性において長短両期にわたり重要性を有する。ヒトの眼瞼は、体の中で最も薄い皮膚層と、最も明確な組織層および筋肉層と、最も繊細なコラーゲン線維とで構成されている。このように繊細な皮膚層のために、眼瞼は、腫脹や、急性の炎症、長期にわたって起こり得る損傷の影響を受けやすい。
【0003】
眼瞼は、目が通常の機能を果たすことができるようにするいくつかの重要な役割を担っている。眼瞼は、反射的に目を閉じることによって、目を保護し角膜を防護する。この機序により、多くの場合は目への粒子または異物の侵入や、損傷の可能性が防止される。眼瞼はまた、ちょうどカメラのシャッターのように目に入る光の量も調節する。また、眼瞼は、涙液層の構成部分にもなっており(眼瞼縁を通して)、瞬き時の拡散作用によって目全体への潤滑液の拡散も維持している。眼瞼は、目の健康だけでなく視覚系統全体の機能を維持する上でもきわめて大きな役割を果たしている。この重要な保護機序に炎症が生じると、個体の目の健康が損なわれてしまう。
【0004】
種々の原因による腫脹によって眼瞼の伸長や損傷が繰り返されると、目の上下の皮膚層の弛みや垂下の一時的な発症を生じる可能性がある。この眼瞼の腫脹は、きわめて望ましくない外観をもたらすばかりか、視野を制限する可能性さえある。これらの徴候は多くの場合一時的なものに限られる一方で、生理学的レベルや解剖学的レベルで生じる実質的な損傷は、再発の度に損傷が蓄積することで、最終的には永久的な変化をもたらす可能性がある。
【0005】
この眼瞼腫脹の症状は、多くの患者や、医師、研究者にとって大きな関心事ではあるものの、目の健康の評価に際しての一番の関心事であると見なされることはあまりない。起床時眼瞼腫脹はきわめてよく見られ、患者の健康に関する懸念と同様に大きな社会的懸念を抱えている。眼瞼の腫脹性や弛みに対して患者が不快感や全般的な不寛容を示していることについては、2002年に米国の形成外科で最も多く行われた手技が眼瞼手術(229,092件)とボツリヌス毒素注射(1,658,667件)の2つであったという事実によって明確に示されている。眼瞼浮腫の発症を軽減する要求は高かったにもかかわらず、この症状は注目されていなかった。また、これは他の徴候や症状に分類されているが多いものの、これまで正確な測定が困難であったことから、臨床研究では主要な変数とされることはほとんどない。オロパタジン0.1%(パタノール)などの種々の眼アレルギー薬は、アレルギー性結膜炎に伴う眼瞼浮腫を軽減するために使用され始めているが、この症状をとりわけ直接的かつ効果的に抑制する薬物は存在しない。社会においてこのように多くの形で大きな存在感を示すことから、眼瞼腫脹の病態に直接作用する治療が必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
眼瞼腫脹を治療および予防するための新規の組成物および方法が提供される。ある実施形態においては、浸透活性剤および/または血管収縮剤および/または収れん剤を含む新規の局所眼科用製剤が提供される。特に本発明は、眼瞼腫脹の治療および予防に相乗的に作用する浸透活性剤および/または血管収縮剤および/または収れん剤の組み合わせを含む局所眼科用製剤を提供する。場合により、浸透活性剤および/または血管収縮剤および/または収れん剤を種々の他の薬剤と組み合わせて、眼瞼腫脹の治療および予防に使用する。
【0007】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、膠質浸透圧剤および晶質浸透圧剤を含むがこれらに限定されない浸透活性剤を含む。本発明の組成物で使用するのに適した晶質浸透圧剤には、塩化ナトリウム(NaCl)、デキストロース、スクロース、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール3350 NF、クエン酸マグネシウム、およびラクツロースが含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、晶質浸透剤の有効量は、約1%〜約10%の塩化ナトリウム、約1%〜約10%のデキストロース、約1%〜約20%のグリセリン、約1%〜20%のマンニトール、約1%〜約95%のスクロース、および約1%〜約95%のソルビトールからなる群から選択される。好ましくは、晶質浸透圧剤は塩化ナトリウムであり、有効量は、約1%〜約10%、より好ましくは約2%〜5%である。
【0008】
本発明の組成物での使用に適した膠質浸透圧剤には、ヘタスターチ、ペンタスターチ、尿素によって架橋されたゼラチンポリペプチド、デキストラン70、デキストラン40、アルブミン、イコデキストリン、ベントナイトUSP、ケイ酸MgAl NFタイプ2A、アルギン酸/アルギン酸ナトリウムNF、微結晶性セルロースおよびCMC NF、カルボマー、ならびにジェランガムが含まれるが、これらに限定されない。
【0009】
ある実施形態において、膠質浸透剤の有効量は、約1%〜約10%のヘタスターチ、約1%〜約20%のペンタスターチ、約1%〜約10%のデキストラン70、約1%〜約10%のデキストラン40、約1%〜約50%のアルブミン、および約1%〜約50%の微結晶性セルロースからなる群から選択される。
【0010】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は血管収縮剤を含む。本発明の組成物での使用に適した血管収縮剤には、ナファゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、およびテトラヒドロゾリンが含まれるが、これらに限定されない。好適な実施形態において、血管収縮剤はナファゾリンであり、有効量は、約0.01%〜約0.5%であり、より好ましくは約0.01%〜約0.2%である。
【0011】
さらに別の実施形態において、本発明の組成物は収れん剤を含む。本発明の組成物での使用に適した収れん剤には、ウィッチへーゼル、硫酸亜鉛、硫酸銀、植物タンニン、オーク樹皮抽出物、ペンタガロイルグルコース、ミョウバン、ブローヴ液、リンボク抽出物、ウワミズザクラ抽出物、および天然フラバノイドが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、収れん剤はウィッチへーゼルおよび/または硫酸亜鉛0.25%である。
【0012】
ある実施形態において、本発明の組成物は浸透活性剤と血管収縮剤の組み合わせを含む。好適な実施形態において、浸透活性剤は塩化ナトリウムであり、血管収縮剤はナファゾリンである。好ましくは、塩化ナトリウムは約1%〜約10%、より好ましくは約2%〜約5%の範囲で含まれ、ナファゾリンは約0.01%〜約0.5%、より好ましくは0.01%〜約0.2%の範囲で含まれる。
【0013】
本発明の組成物は、溶剤、懸濁液、オイル、粘性または準粘性ゲル、エマルジョン、リポソーム、ローション、軟膏、クリーム、ゲル、塗剤、散剤、持続放出性または徐放性製剤、眼瞼ローション、または他の種類の固形もしくは半固形組成物として、および噴霧可能な形状で局所投与するために配合される場合がある。
【0014】
本発明はまた、これらの製剤を使用して眼瞼腫脹を治療および予防する新規の方法も特徴とする。いくつかの実施形態において、被験体の眼瞼腫脹を治療および予防する方法は、眼瞼腫脹を治療および予防するために本発明の組成物を被験体の目の表面に局所的に投与する手順を含む。他の実施形態において、本発明の方法は、眼瞼腫脹を治療および予防するために本発明の組成物を被験体の眼瞼の内側および/または外側に局所的に投与する手順を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、被験体の眼瞼腫脹を治療および予防する方法は、浸透活性剤、血管収縮剤、および収れん剤からなる群から選択される少なくとも1つの活性剤の有効量を被験体の目の表面に投与する手順を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、被験体の眼瞼腫脹を治療および予防する方法は、膠質浸透圧剤および/または晶質浸透圧剤を含むがこれらに限定されない浸透活性剤を、被験体の目の表面に投与する手順を含む。本発明の方法での使用に適した晶質浸透圧剤には、塩化ナトリウム(NaCl)、デキストロース、スクロース、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール3350 NF、クエン酸マグネシウム、およびラクツロースが含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、晶質浸透剤の有効量は、約1%〜約10%の塩化ナトリウム、約1%〜約10%のデキストロース、約1%〜約20%のグリセリン、約1%〜約20%のマンニトール、約1%〜約95%のスクロース、および約1%〜約95%のソルビトールからなる群から選択される。好ましくは、晶質浸透剤は塩化ナトリウムであり、有効量は、約1%〜約10%であり、より好ましくは約2%〜約5%である。
【0017】
本発明の方法での使用に適した膠質浸透圧剤には、ヘタスターチ、ペンタスターチ、尿素によって架橋されたゼラチンポリペプチド、デキストラン70、デキストラン40、アルブミン、イコデキストリン、ベントナイトUSP、ケイ酸MgAl NFタイプ2A、アルギン酸/アルギン酸ナトリウムNF、微結晶性セルロースおよびCMC NF、カルボマー、ならびにジェランガムが含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
ある実施形態において、膠質浸透剤の有効量は、約1%〜約10%のヘタスターチ、約1%〜約20%のペンタスターチ、約1%〜約10%のデキストラン70、約1%〜約10%のデキストラン40、約1%〜約50%のアルブミン、および約1%〜約50%の微結晶性セルロースからなる群から選択される。
【0019】
いくつかの実施形態において、被験体の眼瞼腫脹を治療および予防する方法は、血管収縮剤を被験体の目の表面に投与する手順を含む。本発明の方法での使用に適した血管収縮剤には、ナファゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、およびテトラヒドロゾリンが含まれるが、これらに限定されない。好適な実施形態において、血管収縮剤はナファゾリンであり、有効量は、約0.01%〜約0.5%であり、より好ましくは約0.01%〜約0.2%である。
【0020】
さらに他の実施形態において、被験体の眼瞼腫脹を治療および予防する方法は、収れん剤を被験体の目の表面に投与する手順を含む。本発明の方法での使用に適した収れん剤には、ウィッチへーゼル、硫酸亜鉛、硫酸銀、植物タンニン、オーク樹皮抽出物、ペンタガロイルグルコース、ミョウバン、ブローヴ液、リンボク抽出物、ウワミズザクラ抽出物、および天然フラバノイドが含まれる、これらに限定されない。好ましくは、収れん剤はウィッチへーゼルおよび/または硫酸亜鉛0.25%である。
【0021】
ある実施形態において、被験体の眼瞼腫脹を治療および予防する方法は、浸透活性剤と血管収縮剤の組み合わせを被験体の目の表面に投与する手順を含む。好適な実施形態において、浸透活性剤は塩化ナトリウムであり、血管収縮剤はナファゾリンである。好ましくは、塩化ナトリウムは約1%〜約10%、より好ましくは約2%〜約5%の範囲で含まれ、ナファゾリンは約0.01%〜約0.5%、より好ましくは0.01%〜約0.2%の範囲で含まれる。
【0022】
このような製剤は、眼瞼腫脹を治療および予防するために日中、夜間、就寝直前および/または覚醒直後における薬物の吸収、不活化および排泄速度、ならびに化合物の送達速度により、適切な投与量で投与される場合がある。このような製剤はまた、眼瞼腫脹の治療および予防のための急性および慢性使用のために投与される場合がある。
【0023】
さらに、本発明は、スキャニングイメージング技術(例えば、3次元スキャニング技術)を使用した制御下の客観的技法を使用して眼瞼腫脹の変化を測定する方法も特徴とする。このような方法により、眼瞼腫脹における1日の変動の客観的かつ正確な定量化が可能となる。
【0024】
さらに、本発明は、本方法の実施と同様に、本製剤の出荷、保管または使用のためのキットも特徴とする。本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
1.定義
便宜上、本発明の詳細な説明を記載する前に、本明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲で使用される特定の用語を以下にまとめる。これらの定義は、開示内容の残りの部分に照らして閲読しなければならず、当業者が理解するように理解しなければならない。
【0026】
本明細書で使用される「抗アレルギー薬」という用語とは、眼アレルギーを治療する、または眼アレルギーの症状を軽減する分子または組成物を指す。抗アレルギー薬の例には、「抗ヒスタミン薬」(すなわち、ヒスタミン受容体に対するヒスタミンの結合を阻害する薬剤)、「肥満細胞安定化剤」(すなわち、肥満細胞からのヒスタミンおよび他の物質の放出を阻害する薬剤)、「複数の作用機序を有する薬剤」(すなわち、複数の作用機序を有する抗アレルギー薬である薬剤(例えば、抗ヒスタミン薬および肥満細胞安定化剤である薬剤、抗ヒスタミン作用、肥満細胞安定化作用、および抗炎症作用等を有する薬剤など)、ならびに非ステロイド系抗炎症薬(「NSAID」)およびステロイドが含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
「水溶性」という用語は、通常、担体の含水量が50重量%を超える、より好ましくは75重量%を超える、特に90重量%を超える程度である、水溶性組成物を示す。
【0028】
「有効量」という語句は、当業者に認知されている用語であり、本発明の医薬組成物に組み込まれると、どの医療にも適用できる妥当なリスク/ベネフィット比でいくらかの所望の効果を生じる薬剤の量を指す。ある実施形態において、本用語は、眼瞼腫脹を除去、軽減または維持する(例えば、眼瞼腫脹の拡散を防止する)か、または眼瞼腫脹を予防または治療するのにに必要または十分な量を指す。有効量は、治療中の疾患または病態、投与中の特定の組成物、または疾患または病態の重症度などの要因により変動する場合がある。当業者は、不必要な実験を必要とすることなく特定の薬剤の有効量を経験的に決定する場合がある。眼瞼腫脹の治療における有効量は、好ましくは、定規、眼瞼腫脹を評価する主観的スケール(例えば、これに限定されないが、腫脹を軽度、中程度、重度、または0、1、2もしくは3、または他の適切なスケールとして決定する主観的臨床スケール)、および/または3次元スキャニング技術により決定した場合に、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%、眼瞼腫脹が軽減される治療薬の量を指す。
【0029】
「眼瞼腫脹」という用語は、眼窩周囲浮腫を含めた眼瞼の腫脹または炎症を含むいずれかの病態を指す。例えば、図1に列挙した病態はいずれも、この「眼瞼腫脹」という用語の範囲に包含される。したがって、本明細書で定義される「眼瞼腫脹」とは、眼瞼皮膚弛緩症のような稀な疾患から、「目の下の袋」を特徴する、より一般的な皮膚弛緩までに至る眼瞼腫脹のあらゆる原因を包含する。これらの腫脹を生じる感染症の他にも、酒さ、化粧品または局所用医薬品により生じる皮膚炎、リンパ腫、腎臓および内分泌機能障害(甲状腺)、そして慢性の眼周囲浮腫がきわめて有用な診断徴候となり得る感染症である旋毛虫症までをも含むがこれらに限定されない、眼瞼腫脹を生じる可能性があるその他多くの病態が存在する。より一般的な眼瞼腫脹の原因には、アレルギー、年齢、アルコールの摂取、コンピュータの使用、読書、疲労、および日内変動(起床時眼瞼腫脹)が含まれる。さらに、眼アレルギーは、全体の人口のほぼ20%が罹患している、最も一般的な眼瞼炎症の原因の一つである。この場合、IgEにより刺激された肥満細胞の脱顆粒により放出される、多量の予め形成された媒介物質は、血管系の血管拡張および血流から組織までの体液の漏出を引き起こすアレルギー反応の臨床徴候および臨床症状に関与している。起床時眼瞼腫脹は一夜の間に起こり、結果として朝目覚めた時に眼瞼腫脹となる。
【0030】
本明細書で使用される「高浸透圧性溶液」という用語は、別の液体よりも高いオスモル濃度を有する(例えば、他の液体よりも浸透活性成分の濃度が高い)いずれかの溶液を指す。
【0031】
本明細書で使用される「眼アレルギー」という用語は、目のいずれかのアレルギー疾患を指す。このような眼アレルギーの例には、季節性/永続性アレルギー性結膜炎、春季角結膜炎、巨大乳頭結膜炎、永続性アレルギー性結膜炎、およびアトピー性角結膜炎が含まれるが、これらに限定されない。眼アレルギーの徴候および症状には、結膜水腫、目のそう痒、発赤、流涙、および眼瞼腫脹が含まれる。
【0032】
「浸透活性剤」という用語は、高浸透圧性溶液における浸透流を生じさせる水吸引剤(例えば、吸湿性、含水性または他の薬剤)を指す。
【0033】
対象方法によって治療する「患者」、「被験体」または「宿主」とは、霊長類、哺乳類および脊椎動物などのヒトまたは非ヒト動物のいずれかを指す。
【0034】
「医薬的に許容される」という語句は、当業者に認知されている語句であり、適切な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症がなく、ヒトおよび動物の組織と接触させる用途に適切であり、妥当なリスク/ベネフィット比に見合った、組成物、ポリマー、ならびに他の物質および/または剤形を指す。
【0035】
「医薬的に許容される担体」という語句は、当業者に認知されており、例えば、いずれかの補助剤もしくは組成物またはこれらの成分を、臓器または体の一部から別の臓器または体の一部へと運搬または輸送することに関与する、医薬的に許容される物質、組成物、またはビヒクル(例えば、液体または固体の増量剤、希釈剤、賦形剤、溶剤、またはカプセル化物質)を指す。各担体は、補助剤の他の成分との相溶性を有し、患者に有害でないという意味において「許容され」なければならない。ある実施形態において、医薬的に許容される担体は非発熱性である。医薬的に許容される担体の役割を果たす場合がある物質の一部の例には、(1)糖(例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロース)、(2)デンプン(例えば、コーンスターチおよびポテトスターチ)、(3)セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース)、(4)トラガント末、(5)モルト、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)賦形剤(例えば、ココアバターおよび坐剤ワックス)、(9)油(例えば、ラッカセイ油、コットンシード油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油)、(10)グリコール(例えば、プロピレングリコール)、(11)ポリオール(例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール)、(12)エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル)、(13)寒天、(14)緩衝剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム)、(15)アルギン酸、(16)発熱物質除去水、(17)等張食塩水、(18)リンガー溶液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝剤、(21)水溶液、懸濁液、軟膏、および(22)医薬製剤で使用される無毒性かつ相溶性を有する他の物質が含まれる。
【0036】
「医薬的に許容される塩」という用語は、当業者に認知されており、治療薬、賦形剤、他の物質などを含むがこれらに限定されない本発明の組成物で比較的無毒性の無機および有機酸付加塩、またはそれらのいずれかの成分を指す。医薬的に許容される塩の例には、塩酸および硫酸などの鉱酸から得られる塩、ならびにエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸などの有機酸から得られる塩が含まれる。塩を形成するのに適切な無機塩基の例には、アンモニア、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛などの水酸化物、炭酸塩および重炭酸塩が含まれるが、これらに限定されない。塩はまた、非毒性であり、かつこのような塩を形成するのに十分な強度を有する塩を含めた適切な有機塩基で形成される場合がある。説明上、このような有機塩基の種類には、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、およびトリアルキルアミン(例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、およびトリメチルアミン)、モノヒドロキシアルキルアミン、ジヒドロキシアルキルアミン、またはトリヒドロキシアルキルアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミン)、アミノ酸(例えば、アルギニンおよびリジン)、グアニジン、N‐メチルグルコサミン、N‐メチルグルカミン、L‐グルタミン、N‐メチルピペラジン、モルホリン、エチレンジアミン、N‐ベンジルフェネチルアミン、(トリヒドロキシエチル)アミノエタンなどが含まれる場合がある。例えば、J.Pharm.Sci.,66:1‐19(1977)を参照されたい。
【0037】
病態に関して使用される場合、「予防(する)」という用語は、当業者に認知されており、組成物を投与しない被験体と比べて、被験体の医学的病態の症状の頻度を減少させるか、症状の発症を遅延させる組成物を投与することを指す。
【0038】
「治療(する)」という用語は、当業者に認知されており、浸透活性剤、血管収縮剤、収れん剤、およびこれらの組み合わせなどの眼用薬を含むがこれらに限定されない、1つ以上の診断用、治療用または予防用薬剤を投与することにより、いずれかの病態または疾患の少なくとも1つの症状を治療するおよび/または回復させることを指す。
【0039】
「血管収縮剤」という用語は、平滑筋組織のアルファ‐1受容体に作用する薬剤を含むがこれに限定されない、血管を収縮するいずれかの薬品または薬剤を指す。
【0040】
2.眼瞼腫脹
眼瞼腫脹は、アレルギー、感染症、軽度の刺激/炎症、および外傷を含めたいくつかの種々の病態により発症する可能性があるが、起床時眼瞼腫脹が最も一般的である。起床時眼瞼腫脹は欠損組織の膨張および炎症により発症する。個体の加齢とともに、眼瞼周辺の皮膚は弾力を失う。真皮に剛性および弾力を与えるコラーゲン線維が壊れ始めるのは、日光への過剰な曝露や喫煙などの他の破壊的な環境刺激によって悪化する可能性がある自然なプロセスである。さらに、眼底にある眼窩脂肪が破壊されると、弛緩や、空虚に見える組織、欠損組織の膨張の発症を再び引き起こす。
【0041】
個体が横になって就寝すると、体液は、眼底血管から、目周辺にある構造のない空の組織、特に下眼瞼へと漏出する。これは涙液層および結膜にある炎症性媒介物質の蓄積によって引き起こされる場合がある。真皮の弾力が失われることで、表面の眼瞼組織が体液の増加とともに膨張する。そして個体が覚醒した時には、破壊された眼瞼組織に過剰な体液が排出されたことで、眼瞼が腫脹し膨潤した外観となる。体液貯留の変動は、下眼瞼の外眼角の眼窩骨を覆う組織において生じる可能性がある。この体液は暗青色または紫色をしており、袋状にふくらみ疲れた目の様相を呈する。個体が覚醒し直立した姿勢になると、眼瞼組織から体液が排出されて、眼瞼腫脹は徐々に減少する。しかし、このプロセスはかなりの時間を要する可能性がある。
【0042】
眼瞼腫脹および眼窩周囲浮腫は、角膜浮腫といった他の種類の眼浮腫とは区別することができる。記載の通り、眼瞼腫脹は、眼窩および前眼窩部位内の眼底血管から体液が漏出したことにより発症する。これに対して、角膜は血管を含まない。角膜浮腫は通常、異常な眼圧、角膜支質内の電解質の不均衡、および/または内皮の活性代謝ポンプの存在によって起こり、それぞれの原因によって体液が角膜へ移動する。したがって、浸透活性剤、血管収縮剤、収れん剤、またはこれらの組み合わせから選択される活性剤の有効量を含み、目に直接滴下する医薬組成物が、眼瞼組織および眼窩周囲部分への漏出を治療および予防するために眼底血管を「乾燥させる」ことによって、眼瞼腫脹を治療するのに有効である。また、浸透活性剤、血管収縮剤、収れん剤、またはこれらの組み合わせから選択される活性剤の有効量を含み、眼瞼の内表面および/または外表面に塗布する医薬組成物も、眼瞼腫脹の治療および予防に有効である。
【0043】
3.医薬組成物
ここでは、眼瞼腫脹および眼窩周囲浮腫を治療および予防するための医薬的に許容される担体中に1つ以上の活性剤の有効量を含む、新規の局所用医薬組成物を取り上げる。このような製剤は、目への滴下において快適な製剤を提供する。1つ以上の活性剤には、浸透活性剤、血管収縮剤、収れん剤、またはこれらの組み合わせが含まれる場合があるが、これらに限定されない。収れん剤または浸透活性剤は、膨潤したまたは炎症を起こした組織から体液を吸引する場合があるのに対して(図2)、血管収縮剤は、眼底血管から眼瞼組織へのさらなる漏出を予防する場合がある。
【0044】
一実施形態において、活性剤は浸透活性剤である。ある実施形態において、医薬組成物は、浸透活性剤を含有する高浸透圧性溶液を含む。高浸透圧性溶液は、体細胞に含まれるよりもより高濃度の電解質を含有する。
【0045】
ある実施形態において、浸透活性剤は晶質浸透圧剤である。晶質浸透圧剤の例には、塩化ナトリウム(NaCl)、デキストロース、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、スクロース、ポリエチレングリコール3350 NF、クエン酸マグネシウム、およびラクツロースが含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
ある実施形態において、晶質浸透圧剤はマンニトールである。マンニトールは多くの果物および野菜に天然に含まれるマンノースの糖アルコール型である。
【0047】
他の実施形態において、晶質浸透圧剤はグリセリンである。グリセリンは、脂肪および油からけん化の副産物として得られ、多くの眼科用製品の溶剤、ならびに化粧品、石鹸および潤滑剤を含めた種々の製品の成分として使用されることが多い。
【0048】
特定の実施形態において、晶質浸透圧剤は塩化ナトリウム(溶剤、ゲル、懸濁液、または他の医薬的に許容されるビヒクル)である。
【0049】
さらに他の実施形態において、晶質浸透圧剤はデキストロースである。デキストロースは、水分補給のための電解質、カロリーおよび水の供給源として、成人および小児の患者に注入することが認められている。
【0050】
さらに他の実施形態において、晶質浸透圧剤はポリエチレングリコール3350 NFである。
【0051】
さらに他の実施形態において、晶質浸透圧剤はクエン酸マグネシウムである。
【0052】
さらに他の実施形態において、晶質浸透圧剤はラクツロースである。ラクツロースは合成糖である。
【0053】
ある実施形態において、浸透活性剤は膠質浸透圧剤である。晶質浸透圧剤の例には、ヘタスターチ、ペンタスターチ、尿素によって架橋されたゼラチンポリペプチド、デキストラン70、デキストラン40、アルブミン、イコデキストリン、ベントナイトUSP、ケイ酸MgAl NFタイプ2A、アルギン酸/アルギン酸ナトリウムNF、微結晶性セルロースおよびCMC NF、カルボマー、ならびにジェランガムが含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
ある実施形態において、膠質浸透圧剤はヘタスターチである。ヘタスターチは体液喪失によるショックの治療に適応する血漿増量剤である。
【0055】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はペンタスターチである。ヘタスターチと同様に、ペンタスターチは体液喪失によるショックの治療に適応する血漿増量剤である。
【0056】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤は、尿素によって架橋されたゼラチンポリペプチドの組み合わせである。
【0057】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はデキストラン70である。
【0058】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はデキストラン40である。デキストラン70と同様に、デキストラン40は、ショックにおける体液の補充に適応する。
【0059】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はアルブミンである。
【0060】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はイコデキストリンである。イコデキストリンは、グルコースの代わりに浸透用途で使用されることが多いスクロース誘導体である。
【0061】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はケイ酸MgAl NFタイプ2Aである。
【0062】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はアルギン酸である。アルギン酸は、海藻から単離され、浸透圧剤として使用することができる粘性ガムである。
【0063】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)NFである。
【0064】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はジェランガムである。
【0065】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はカルボマーナトリウムである。
【0066】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤は微結晶性セルロースである。
【0067】
膠質と晶質は、その製剤形態が基本的に異なる。晶質は主に、電解質を添加した滅菌水溶液をベースとしている。晶質は、血漿に対して低浸透圧のものから、等浸透圧または高浸透圧のものまで、様々な製剤形態がある。膠質は、多くの場合晶質溶液をベースとしており、したがって水と電解質を含有するが、添加された膠様物質の成分を有する(例えば、半透膜に自由に拡散しない、直径1ミリミクロン未満の粒子の懸濁液)。
【0068】
本発明の組成物を含む場合がある他の浸透活性剤の例には、Visine AC(登録商標)(テトラヒドロゾリン(血管収縮剤)および硫酸亜鉛(収れん剤)含有)、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、重炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、リン酸二水素カリウム、乳酸カルシウム、コハク酸マグネシウム、酒石酸、およびラフィノース、グルコースなどの可溶性炭水化物、ならびにこれらの混合物などの化合物が含まれる。
【0069】
ある実施形態において、活性剤は収れん剤である(すなわち、特に組織を縮小する薬剤)。収れん剤の例には、ウィッチへーゼル、硫酸亜鉛、硫酸銀、植物タンニン、オーク樹皮抽出物、ペンタガロイルグルコース、ミョウバン、ブローヴ液、リンボク抽出物、ウワミズザクラ抽出物、および天然フラバノイドが含まれるが、これらに限定されない。
【0070】
特定の実施形態において、収れん剤はウィッチへーゼルである。ウィッチへーゼルは、中央および南ヨーロッパに自生するハーブの分離株である。
【0071】
別の特定の実施形態において、収れん剤は硫酸亜鉛である。
【0072】
さらに別の特定の実施形態において、収れん剤は硫酸銀である。
【0073】
ある実施形態において、活性剤は血管収縮剤である。一実施形態において、血管収縮剤はアルファ‐1アドレナリン作動薬である。他の実施形態において、血管収縮剤は、血管径を縮小させ、それによって漏出を防止するいずれかの薬剤である。本発明の局所用医薬組成物での使用が企図されるアルファ‐1アドレナリン作動薬には、ナファゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、およびテトラヒドロゾリンが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、血管収縮剤はナファゾリンである。別の特定の実施形態において、血管収縮剤はオキシメタゾリンである。ナファゾリンと同様に、オキシメタゾリンは、アルファ‐1受容体に結合して、平滑筋の収縮を誘発する。
【0074】
別のある実施形態において、本発明の医薬組成物は、血管収縮剤および浸透活性剤の両方を含む。特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、ナファゾリンおよびNaClの両方を含む。このような製剤の驚くべき効果は、以下の実施例に記載の通り、とりわけこれらの製剤中の成分の組み合わせの相乗効果に起因している。
【0075】
活性剤の有効量は、約0.001%〜約100.0%の範囲の用量で組成物中に含まれる場合がある。例えば、各活性剤の有効量は、約0.001%〜約0.01%、約0.01%〜約0.100%、約0.100%〜約1.0%、約1.0%〜約10.00%、または約10%〜約100%の範囲となる場合がある。
【0076】
本発明の製剤中に含まれる活性剤の有効量は、使用する活性剤の性質により変動し、吸収、不活化および排泄速度、化合物の送達速度、ならびに1つ以上の薬剤の組み合わせを含むがこれらに限定されない要因により変動することを、当業者は認識するであろう。例えば、塩化ナトリウムの有効量は、約1%〜約10%、好ましくは約1%〜約6%、より好ましくは約2%〜約5%の範囲である。デキストロースの有効量は、約1%〜約10%、好ましくは約1%〜約6%、より好ましくは約2%〜約5%の範囲である。スクロースの有効量は、約1%〜約95%、好ましくは約10%〜約90%、より好ましくは約20%〜約80%、さらにより好ましくは約30%〜約70%の範囲である。グリセリンの有効量は、約1%〜約30%、好ましくは約1%〜約20%、より好ましくは約1%〜約10%の範囲である。マンニトールの有効量は、約1%〜約30%、好ましくは約1%〜約20%、より好ましくは約10%〜約15%の範囲である。ソルビトールの有効量は、約1%〜約100%、好ましくは約10%〜約90%、より好ましくは約20%〜約80%、さらにより好ましくは約30%〜約70%の範囲である。ヘタスターチの有効量は、約1%〜約20%、好ましくは約1%〜約10%、より好ましくは約4%〜約6%の範囲である。ペンタスターチの有効量は、約1%〜約20%、好ましくは約5%〜約15%、より好ましくは約5%〜約10%の範囲である。デキストラン70の有効量は、約1%〜約20%、好ましくは約1%〜約10%、より好ましくは約4%〜約6%の範囲である。デキストラン40の有効量は、約1%〜約20%、好ましくは約1%〜約10%、より好ましくは約4%〜約6%の範囲である。アルブミンの有効量は、約10%〜約50%、好ましくは約15%〜約30%、より好ましくは約20%〜30%の範囲である。ナファゾリンの有効量は、約0.01%〜約10%、好ましくは約0.01%〜約1%、より好ましくは約0.01%〜約0.5%、さらにより好ましくは約0.01%〜約0.2%の範囲である。
【0077】
ある実施形態において、薬剤の有効量は、約1%〜約5%、約5%〜約10%、約10%〜約15%、約15%〜約20%、約20%〜約25%、約25%〜約30%、約30%〜約35%、約35%〜約40%、約40%〜約45%、または約45%〜約50%の範囲である。
【0078】
初期に過度に存在する固体の溶質は、粒子、結晶、ペレット、錠剤、細片、フィルム、顆粒などのいずれかの適切な物理的形状をとることができる。
【0079】
ある実施形態において、本発明の医薬組成物は、血管収縮剤、代用涙液、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、肥満細胞安定化剤、NSAID、ステロイド、抗炎症薬、抗酸化剤、抗感染薬などの、1つ以上の活性剤の組み合わせおよび別の薬剤の有効量を含む。薬剤の組み合わせは、眼瞼腫脹の軽減に対して相乗的に作用する場合がある。
【0080】
血管収縮剤の例には、ナファゾリン、アントラジン、テトラヒドゾリン、オキシメタゾリン、およびフェニレフリンが含まれるが、これらに限定されない。血管収縮剤はさらに、眼瞼腫脹の軽減に加えて、うっ血除去薬として作用する場合もある。ある実施形態において、血管収縮剤の有効量は、約0.01%〜約10%、好ましくは約0.01%〜約1%、より好ましくは約0.01%〜約0.5%、さらにより好ましくは約0.01%〜約0.2%の範囲である。
【0081】
以下を含むがこれらに限定されない、種々の代用涙液が当該技術分野に既知であり、本発明の組成物で使用できると考えられる:ポリオール(例えば、グリセロール、グリセリン、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリソルベート80、プロピレングリコール、およびエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポビドン、およびポリビニルピロリドン)、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ハイプロメロースとしても知られる)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒロドロキシエチルセルロース、およびメチルセルロース)、デキストラン(例えば、デキストラン70)、水溶性タンパク質(例えば、ゼラチン)、カルボマー(例えば、カルボマー934P、カルボマー941、カルボマー940、およびカルボマー974P)、およびガム(例えば、HP‐グアー)。セルロースエステル(例えば、Bion Tears(登録商標)、Celluvisc(登録商標)、Genteal(登録商標)、OccuCoat(登録商標)、Refresh(登録商標)、Teargen II(登録商標)、Tears Naturale(登録商標)、Tears Naturale 118(登録商標)、Tears Naturale Free(登録商標)、およびTheraTears(登録商標))、およびポリビニルアルコール(例えば、Akwa Tears(登録商標)、HypoTears(登録商標)、Moisture Eyes(登録商標)、Murine Lubricating(登録商標)、およびVisine Tears(登録商標))を含むがこれらに限定されない、このような多くの代用涙液が市販されている。他の実施形態において、代用涙液は、全体が参考として本明細書で明示的に援用される、米国特許第6806364号に記載される代用涙液である。米国特許第6806364号に記載される製剤は、0.2〜2.5(例えば0.5〜0.8)重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.045〜0.065(例えば、0.05〜0.06)重量パーセントのカルシウム塩、および0.14〜1.4(例えば、0.3〜1.2)重量パーセントのリン酸塩を含有する。ASTは、20〜150(例えば、50〜90)センチポアズの粘度を有し、リン酸塩または他の適切な塩によってpH5.5〜8.5(例えば6〜8)に緩衝される。製剤はさらに、以下の成分の1つ以上を含有する場合もある:0.5〜1.0重量パーセントのグリセロール、0.5〜1.0重量パーセントのプロピレングリセロール、0.005〜0.05重量パーセントのグリシン、0.006〜0.08重量パーセントのホウ酸ナトリウム、0.025〜0.10重量パーセントの塩化マグネシウム、および0.001〜0.01重量パーセントの塩化亜鉛。
【0082】
代用涙液はまた、市販のLacri‐Lube(登録商標)軟膏などのパラフィンからなる場合もある。代用涙液として使用されている他の市販の軟膏には、Lubrifresh PM(登録商標)、Moisture Eyes PM(登録商標)、およびRefresh PM(登録商標)が含まれる。
【0083】
本発明の組成物での使用に適したNSAIDの例には、アンフェナク、プロピオン酸(例えば、ナプロキセン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、イブプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン)、ケトロラクトロメタミン(Acular(登録商標))(および当該部分が参考として本明細書で援用される、1984年1月12日発行のWaterburyの米国特許第4454141号において眼科的に有効であると記載された他の組成物)、酢酸誘導体(例えば、スリンダク、インドメタシン、およびエトドラク)、フェニル酢酸(例えば、ジクロフェナク(Voltaren(登録商標))(および当該部分が参考として本明細書で援用される、1990年10月2日発行のNagyの米国特許第4960799号において眼科的に有効であると記載された他の組成物)、ブロムフェナク、およびスプロフェン)、アリール酢酸プロドラッグ(例えば、ネパフェナク)、サリチル酸(例えば、アスピリン、サルサレート、ジフルニサル、トリサリチル酸コリンマグネシウム(CMT))、パラアミノフェノール誘導体(例えば、アセトアミノフェン)、ナフチルアルカノン(例えば、ナブメトン)、エノール酸誘導体(例えば、ピロキシカムおよびメロキシカム)、フェナム酸塩(例えば、メフェナム酸、メクロフェナム酸塩、およびフルフェナム酸)、ピロール酢酸(例えば、トルメチン)、およびピラゾロン(例えば、フェニルブタゾン)、COX‐2選択的阻害剤(例えば、セレコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、エトリコキシブ、およびルアリコキシブ(luaricoxib))(これらのすべてのエステルおよび医薬的に許容される塩を含む)が含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
抗ヒスタミン薬の例には、フェニルアミン、アンタゾリン、フマル酸エメダスチン、エバスチン、カレバスチン、およびレボカバスチンが含まれるが、これらに限定されない。
【0085】
肥満細胞安定化剤の例には、ネドクロミル、ロドキサミド、ペミロラスト、クロモリン、およびクロモリンナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
複数の作用機序を有する薬剤の例には、アゼラスチン、エピナスチン、オロパタジン、フマル酸ケトチフェン、ビラスチン、ベポタスチン、およびミゾラスチンが含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
医薬組成物の1つ以上の活性剤は、医薬的に許容される塩の形態である場合がある。
【0088】
医薬組成物は、溶剤、懸濁液、オイル、粘性または準粘性ゲル、エマルジョン、リポソーム、ローション、軟膏、クリーム、ゲル、塗剤、散剤、および持続放出性または徐放性製剤、および眼瞼ローション、または他の種類の固形もしくは半固形組成物(米国特許第6806364号に記載の製剤)として局所投与用に配合される場合がある。組成物はまた、噴霧可能な形態で局所投与する場合もある。
【0089】
好ましくは、医薬組成物は、1つ以上の医薬品活性剤(例えば、浸透活性剤、または血管収縮剤、またはこれらの組み合わせ)の制御放出性または持続放出性ゲルである。製剤は、in situにてゲル化可能な水溶性製剤である場合がある。このような製剤は、目の外部において目または涙液と接触した際のゲル化の促進に有効な濃度のゲル化剤を含む。適切なゲル化剤には、熱硬化性ポリマー(例えば、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの四置換エチレンジアミンブロックコポリマー(例えば、ポロキサミン))、ポリカルボフィル、および多糖類(例えば、ジェラン、カラゲナン(例えば、κ‐カラゲナンおよびι‐カラゲナン)、キトサンおよびアルギン酸ガム)が含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
本明細書で使用される「in situにてゲル化可能な」という語句は、目の外部において目または涙液と接触した際にゲルを形成する低粘度の液体だけでなく、目への投与時に粘度またはゲル剛性を実質的に増加させる半流動体およびチキソトロピーゲルなどの、より高粘度の液体も包含する。このような製剤が投与時に粘度またはゲル剛性のさらなる増加を示すことが好ましいが、最初のゲルが流涙による排出に対して十分な耐性を有しており、本明細書に明記する有効な残存時間を提供する場合には、これは絶対に必要というわけではない。
【0091】
高粘性ゲルの持続放出性眼科用製剤については、米国特許第4271143号および第4407792号に記載されている。さらに、英国特許出願第GB2007091(A)号には、カルボキシビニルポリマー、水溶性塩基性物質、および眼科用薬品の水溶液を含むゲル状の眼科用組成物が記載されている。あるいは、米国特許第4615697号には、生体接着性薬物および治療薬に基づく制御放出性組成物および使用方法が開示されている。
【0092】
ある実施形態において、本発明による医薬組成物は、局所投与用の高浸透圧性溶液として配合される場合がある。水溶液は配合が容易であり、発症した目に溶液を1、2滴滴下することによって患者が簡単に投与することができる。
【0093】
水、ならびに以下を含むがこれらに限定されない、水混合物、水混和溶剤を含めた、種々の担体がいずれも、本発明の製剤で使用される場合がある:C1‐アルカノール〜C7‐アルカノール、0.5〜5%の無毒性水溶性ポリマーを含む植物油または鉱油、天然産物(例えば、ゼラチン、アルギン酸塩、ペクチン、トラガカント、カラヤゴム、キサンタンガム、カラゲニン、寒天、およびアカシア)、デンプン誘導体(例えば、酢酸デンプンおよびヒドロキシプロピルデンプン)、さらに他の合成産物(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド)、好ましくは架橋ポリアクリル酸(例えば、中性のCarbopol)、またはこれらのポリマーの混合物)。担体の濃度は通常、活性成分の濃度の1〜100,000倍である。
【0094】
製剤に含まれる場合がある他の成分には、弾力増強剤、保存剤、可溶化剤、無毒性の賦形剤、粘滑剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、共溶媒、および粘性構築剤が含まれる。
【0095】
pH、好ましくは生理学的なpHの調節には、緩衝剤が特に有用である場合がある。本溶剤のpHは、4.0〜8.0、より好ましくは約4.0〜6.0、より好ましくは約6.5〜7.8の範囲内に維持されなければならない。ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸、炭酸水素ナトリウム、TRIS、および種々の混合リン酸緩衝剤(Na2HPO4とNaH2PO4とKH2PO4の組み合わせを含む)、およびこれらの混合物などがあるがこれらに限定されない、適切な緩衝剤が添加される場合がある。一般的に、緩衝剤は、約0.05〜2.5重量パーセント、好ましくは0.1〜1.5重量パーセントの範囲の量で使用される。
【0096】
弾力性は、通常弾力増強剤により必要に応じて調節される。このような薬剤は、例えばイオン性および/または非イオン性タイプのものである場合がある。イオン性弾力増強剤の例には、例えば、CaCl2、KBr、KCl、LiCl、Nal、NaBrまたはNaCl、Na2SO4またはホウ酸などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属ハロゲンがあるが、これらに限定されない。非イオン性弾力増強剤には、例えば、尿素、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコール、またはデキストロースがある。これらの薬剤はまた、ある実施形態において活性剤の役割を果たす場合もある。本発明の水溶液は、通常、0.9%の塩化ナトリウム溶液または2.5%のグリセロール溶液に相当する正常涙液の浸透圧に近似するように、弾力剤によって調節される。オスモル濃度は、好ましくは約225〜400mOsm/kgであり、より好ましくは280〜320mOsm/kgである。
【0097】
ある実施形態において、局所用製剤はさらに保存剤も含む。保存剤は通常、塩化ベンザルコニウム(N‐ベンジル‐N‐(C8‐C18アルキル)‐N,N‐ジメチルアンモニウムクロリド)、ベンゾキソニウムクロリドなどの第四級アンモニウム化合物から選択される場合がある。第四級アンモニウム塩と異なる保存剤の例には、チオサリチル酸のアルキル水銀塩(例えば、チメロサール、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀またはホウ酸フェニル水銀、過ホウ酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム)、パラベン(例えば、メチルパラベンまたはプロピルパラベン)、アルコール(例えば、クロロブタノール、ベンジルアルコール、またはフェニルエタノール)、グアニジン誘導体(例えば、クロロヘキシジンまたはポリヘキサメチレンビグアニド、過ホウ酸ナトリウム、Germal(登録商標)II、またはソルビン酸)がある。好適な保存剤には、第四級アンモニウム化合物、具体的にはPolyquadなどの塩化ベンザルコニウムまたはその誘導体(米国特許第4407791号を参照)、アルキル水銀塩、およびパラベンがある。適切な場合、使用中に細菌および真菌により生じる二次汚染を確実に防ぐため、十分な量の保存剤が眼科用組成物に添加される。
【0098】
別の実施形態において、本発明の局所用製剤は保存剤を含まない。このような製剤は、コンタクトレンズを着用している患者、またはいくつかの局所用眼科用滴剤を使用している患者、および/またはすでに目の表面に障害(例えば、ドライアイ)を負っている患者に有用であると考えられ、保存剤への曝露を制限する方がより望ましい場合もある。
【0099】
局所用製剤はさらに、特に活性または不活性成分が懸濁液またはエマルジョンを形成する傾向がある場合に、可溶化剤の添加を必要とする場合がある。上記に該当する組成物に適切な可溶化剤は、例えば、チロキサポール、グリセロール脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコール、グリセロールエーテル、シクロデキストリン、(例えば、アルファ‐、ベータ‐もしくはガンマ‐シクロデキストリン、例えばアルキル化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシアルキル化、もしくはアルキルオキシカルボニルアルキル化誘導体、またはモノグリコシル‐もしくはジグリコシル‐アルファ‐もしくはベータ‐もしくはガンマ‐シクロデキストリン、モノ‐もしくはジマルトシル‐アルファ、ベータ‐またはガンマ‐シクロデキストリンもしくはパノシル‐シクロデキストリン)、またはポリソルベート20、ポリソルベート80、またはこれらの化合物の混合物からなる群から選択される。特に好適な可溶化剤の具体例には、ヒマシ油とエチレンオキシドの反応産物(例えば、市販品であるCremophor EL(登録商標)またはCremophor RH40(登録商標))がある。ヒマシ油とエチレンオキシドの反応産物は、特に目においてきわめて高い耐容性がある優れた可溶化剤であることが証明されている。別の好適な可溶化剤は、チロキサポールおよびシクロデキストリンから選択される。使用する濃度は、特に活性成分の濃度に依存する。添加量は通常、活性成分を可溶化するのに十分な量である。例えば、可溶化剤の濃度は、活性成分の濃度の0.1〜5000倍である。
【0100】
製剤はさらに、無毒性の賦形剤(例えば、乳化剤)、湿潤剤または増量剤(例えば、200、300、400および600と称されるポリエチレングリコール、または1000、1500、4000、6000および10000と称されるCarbowax)も含む場合がある。添加する賦形剤の量および種類は、特定の要件に従い、一般的には約0.0001〜約90重量%の範囲である。
【0101】
他の化合物がまた、担体の粘性を増強するために本発明の製剤に添加される場合もある。粘度増強剤の例には、多糖類(例えば、ヒアルロン酸およびその塩、コンドロイチン硫酸およびその塩、デキストラン、セルロースファミリーの種々のポリマー)、ビニルポリマー、およびアクリル酸ポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0102】
4.使用方法
本発明は、被験体の眼瞼腫脹を治療および予防する方法であって、上述の新規製剤の使用を含む、方法を特徴とする。例えば、眼瞼腫脹を治療する方法は、医薬的に許容される担体中に浸透活性剤および/または血管収縮剤および/または収れん剤の有効量を含む医薬組成物を、被験体の目の表面に投与する手順を含む。別の例として、眼瞼腫脹を治療する方法は、医薬的に許容される担体中に浸透活性剤および/または血管収縮剤および/または収れん剤の有効量を含む医薬組成物を、被験体の眼瞼表面の外側および/または内側に投与する手順を含む場合もある。このような製剤の種々の実施形態については上に記載している。種々の実施形態において、組成物は、米国特許第6806364号に記載の製剤を含めた、エマルジョンまたは懸濁液、リポソーム、ローション、軟膏、クリーム、ゲル、塗剤、または散剤、および持続放出性または徐放性製剤、ならびに眼瞼ローション、または他の種類の固形もしくは半固形組成物の形態で投与される場合がある。また、目を洗浄するために、点眼薬または洗眼剤として使用される場合もある。組成物はまた噴霧可能な形態で投与される場合もある。
【0103】
製剤中の浸透活性剤および/または血管収縮剤および/または収れん剤の有効量は、薬物の吸収、不活化および排泄速度、ならびに製剤からの化合物の送達速度により変動する。浸透活性剤を含むある実施形態において、有効量はまた、製剤を高浸透圧性溶液にするために必要な薬剤の濃度により変動する。投与量の値もまた緩和される病態の重症度により変動する場合があることに留意されたい。さらに、いずれかの特定の被験体の場合には、個々の必要性、ならびに組成物を投与するまたは投与を監督する者の専門的な判断にしたがって、時間とともに特定の投与計画を調整する必要があることも理解されたい。通常、投与は、当業者に既知の技法を使用して決定される。
【0104】
本発明のいずれかの化合物の投与量は、患者の症状、年齢および他の肉体的特徴、治療または予防する障害の性質および重症度、所望の快適性の程度、投与経路、ならびに補助剤の形態により変動する。対象製剤はいずれも、1回量または分割量で投与される場合がある。本発明の製剤の投与量は、当業者に既知のまたは本明細書で教示する技法によって簡単に決定される場合がある。
【0105】
本発明のいずれかの特定の製剤の場合には、有効量、および製剤の投与時期に対するいずれかの可能性ある影響を特定することが必要となる場合がある。これは、本明細書に記載のような通常の実験により行われる場合がある。まず、製剤を投与し、本明細書に記載のような、薬剤の効能および患者の快適性の程度に関連する1つ以上の指標を測定して、治療後のこれらの指標の値と治療前の同指標の値を比較するか、あるいは治療後のこれらの指標の値と、異なる製剤を使用した場合の同指標の値を比較するによって、投与の作用を評価することにより、いずれかの製剤、および治療または予防方法の効果が評価される場合がある。
【0106】
特定の患者において最も有効な治療となるいずれかの特定の製剤の正確な投与時間および投与量は、特定の化合物の作用、薬物動態および生物学的利用能、患者の生理学的な状態(年齢、性別、疾患の種類および段階、全身の肉体的状態、特定の投与量および種類の薬物に対する応答性を含む)、投与経路などにより変動する。本明細書に示す基準は、例えば、被験体の監視、および投与量および/または投与時期の調節からなる通常の試験以外は必要としない最適な投与時間および/または投与量を決定するなど、治療を最も効果的にするために使用される場合がある。
【0107】
種々の成分の発現および作用の持続期間が著しく良好である場合があるため、本発明の組成物に配合する複数の薬剤を併用することにより、いずれかの個々の成分で必要となる投与量が削減される場合がある。このような併用療法では、異なる薬剤は一緒にまたは個別に、同時にまたは同日内の異なる時間に送達される場合がある。
【0108】
眼瞼腫脹を治療および予防するに当たっての本発明の製剤および組成物の効能は、定規、主観的スケール(例えば、これらに限定されないが、腫脹を軽度、中程度、重度、または0、1、2もしくは3、または他の適切なスケールとして決定する主観的臨床スケール)、およびスキャニング技術を含むがこれらに限定されない種々の方法を使用して眼瞼腫脹の変化を測定することにより、評価される場合がある。好適な実施形態において、眼瞼腫脹の変化は、3次元スキャニング技術を使用して評価される。スキャニング技術を使用することで、これまで正確に測定されていなかった眼瞼腫脹の1日の変動を定量化して、本発明の種々の製剤を使用した眼瞼腫脹の減少を評価することが可能となる。
【0109】
5.包装
本発明の製剤は、単回投与製品または複数回投与製品のいずれかとして包装される場合がある。単回投与製品は、包装を開封するまで無菌されており、包装内のすべての組成物が、患者の片目または両目への単回投与によって消費されるものとして意図される。包装開封後の組成物の無菌性を維持する抗菌保存剤の使用は、一般的に不要である。
【0110】
複数回投与製品もまた包装を開封するまで無菌されている。しかし、容器内の組成物をすべて消費するまでに何度も組成物の容器を開ける場合があるため、複数回投与製品は、容器を繰り返し開けて取り扱うことで組成物が微生物に汚染されないようにするのに十分な抗菌活性を有していなければならない。このために必要となる抗菌活性のレベルは、当業者に周知であり、米国薬局方(「USP」)などの公式刊行物、食品医薬品局の他の刊行物、および米国以外の各国の対応する刊行物に明記されている。微生物汚染に対する眼科用医薬品の保存の規格および特定製剤の保存剤の効能を評価する手順の詳細は、これらの刊行物に示されている。米国では、一般的に保存剤効能の基準を「USP PET」条件と呼んでいる(頭字語「PET」は「保存剤効能試験(preservative efficacy testing)」の略である)。
【0111】
眼科用組成物を保存するために使用される従来の抗菌剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)は、特にドライアイに罹患しているか、または過去に目の刺激を患っている患者において目の刺激を引き起こす場合があるため、単回投与包装構造を使用することで、組成物に抗菌性保存剤を加える必要がなくなり、このことが医学的観点から大きな利点となる。しかし、「製袋充てん」として知られるプロセスによって調製された小量プラスチックバイアルなどの現在利用可能な単回投与包装構造は、製品元や消費者にとって不都合な点がいくつかある。単回投与包装システムの主な不都合な点は、必要となる包装材の量がはるかに多くなる点であり、これは無駄が多くかつコストが高くなる上、消費者にとっても不便である。また、消費者が、指示の通りに目に1、2滴の薬剤を投与した後に単回投与容器を廃棄せず、開封した容器や容器に残った組成物を後で使用するために保管しておく危険性もある。こうした単回投与製品の不適切な使用によって、単回投与製品が微生物に汚染される危険性や、汚染された組成物を目に投与した場合に目が感染するという付随的な危険性が生じる。
【0112】
本発明の製剤は「すぐに使用できる」水溶液として配合されるのが好ましいが、代替の製剤も本発明の適用範囲内において企図される。したがって、例えば、活性成分、界面活性剤、塩、キレート剤、または点眼剤の他の成分、またはこれらの混合物を、(例えば脱イオンした、または蒸留した)水にすぐに溶解できる乾燥粉末または錠剤として、凍結乾燥させるか、または別の方法で提供することができる。溶剤の自己保存の性質により、滅菌水は不要である。
【0113】
6.キット
さらに別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載の製剤を包装および/または保存および/または使用するためのキット、ならびに本明細書に記載の方法を実施するためのキットを提供する。したがって、例えばキットは、本発明の1つ以上の眼科用製剤、錠剤またはカプセルを含有する1つ以上の容器を含む場合がある。キットは、出荷、使用および保存の1つ以上の態様を促進するように設計することができる。
【0114】
場合によりキットは、記載した製剤の使用方法を開示する指示書(すなわち、プロトコール)を含む教材を含む場合がある。教材は通常書面または印刷された資料を含むが、これらに限定されない。このような説明書を保存してエンドユーザーに伝達することができるあらゆる媒体が本発明で企図される。このような媒体には、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学式媒体(例えば、CD‐ROM)、などが含まれるが、これらに限定されない。このような媒体には、このような教材を提供するインターネットサイトのアドレスが含まれる場合がある。
【実施例】
【0115】
以上において概説してきた本発明は、以下の実施例を参照することによってさらに容易に理解することができる。これらの実施例は、単に本発明の特定の態様および実施形態を例示する目的で記載されており、いかなる方法によっても本発明を制限するものとして意図されることはない。
【0116】
(実施例1)
起床時眼瞼浮腫の治療へのナファゾリン0.1%点眼剤の使用
本試験では、眼瞼浮腫の治療におけるナファゾリン0.1%点眼剤の効能を評価した。試験に参加する11例の被験体の眼瞼体積を、1日目の午後、そして翌朝(2日目)再び病院に到着した際に記録した。来院2日目の朝に行ったスキャンでは、すべての被験体において眼瞼腫脹の増加が示された。3次元スキャニング技術を使用した測定では、起床時眼瞼腫脹の自然な進行が図10に示されている。増加は14mm3〜659mm3の範囲であった。次いで、被験体の右目にナファゾリン0.1%(血管収縮剤)を投与し、眼瞼の体積を治療から5、10、15、30および120分後に3次元スキャナを使用して評価した。図3に示す通り、ナファゾリン0.5%溶液を2滴点眼すると、ほとんどの被験体の眼瞼腫脹が減少した。被験体11例の内の9例においては、30分の時点までに未治療の目よりも治療した目(ナファゾリン0.1%)の体積により大きな減少が示された(図3B〜E、G〜K)。そして120分の時点までには、被験体11例の内の7例において、左目よりも右目の体積により大きな減少が示された(図3B、C、E、G〜I、K)。全患者のデータの概要を図3Lに示す。
【0117】
総じて、これらの結果からは、発病した目や、通常の場合血管収縮剤が使用されるような血管拡張を生じている目を除き、朝の眼瞼腫張に罹患する患者の眼瞼腫脹を減少させることができるナファゾリン0.1%の効能が実証された。
【0118】
(実施例2)
起床時眼瞼浮腫の治療への膠質浸透圧剤(NaCl5%点眼剤)の使用
上記と類似する計画の予備試験において、NaCl5%点眼剤を眼瞼浮腫の治療に有望な候補として評価した。薬物2滴を局所投与すると、数例の患者において眼瞼腫脹の減少が見られた(図4)。眼瞼腫脹は、治療から5、10、15、20、30および120分後に3次元スキャナを使用して評価した。3例の患者では、点眼後15分間を通して眼瞼腫脹の減少が示された。1例の被験体では、この減少が120分の評価時点を通して顕著に示された。残りの3例の患者では、治療が有効でなかった。
【0119】
総じて、これらの結果からは、特定の患者の眼瞼腫脹を減少させることができるNaCl5%のいくらかの効能が実証された。ベースラインからの平均変化の評価(図4G)では、この小規模の試験では統計学的に有意な差ではなかったものの、NaClの治療が陰性対照よりも数値的に優れていたことが示唆されている。
【0120】
さらに、NaCl5%と組み合わせたナファゾリン0.1%は、個別の成分よりも患者の眼瞼腫脹の減少において優れた効能を示している(図5および図6)。
【0121】
(実施例3)
起床時眼瞼浮腫の治療へのナファゾリン0.05%/NaCl5%軟膏の使用
起床時眼瞼腫脹の予防における、NaCl5%眼軟膏に溶解した塩酸ナファゾリン(0.05%)の効能を、4例の患者で評価した。午後4:30〜5:30の間に各患者のそれぞれの目の3次元スキャンを撮影した。各患者には、塩酸ナファゾリン(0.05%)を含有するNaCl5%眼軟膏が入ったバイアルを持ち帰り、就寝直前に右目の結膜嚢に軟膏を塗布するように依頼した。翌朝の午前7:30〜8:00の間に、再び患者のそれぞれの目のスキャンを行った。各患者の午前と午後の両スキャンについて、上下の眼瞼部の平均体積を計算した。平均値間の差異も同様に計算した。結果からは、治療した目の腫脹が未治療の目の半分になっていたことが示された(図7)。
【0122】
本試験で使用した最終製剤は、塩化ナトリウム(5%)、ラノリン、鉱油、精製水、白色ワセリン、および塩酸ナファゾリン(0.05%)であった。
【0123】
(実施例4)
起床時眼瞼浮腫の治療への塩化ナトリウム(2.5%)およびナファゾリン(0.1%)の使用
起床時眼瞼腫脹の治療および/または予防における、塩化ナトリウム(2.5%)溶液と組み合わせたナファゾリン(0.1%)の効能を、3次元スキャニング技術による測定で評価した。
【0124】
塩化ナトリウム(2.5%)を水で配合した後、ナファゾリンをNaCl(2.5%)溶液に溶解し、ナファゾリン(0.1%)の濃度を配合した。
【0125】
合計6例の被験体(男性、年齢25〜29歳)を評価した。試験開始時に、3次元スキャナを使用したベースラインのスキャンを各被験体のそれぞれの目に5回行った。その翌日にも、来院1日目と全く同じそれぞれの目の5回のスキャンを被験体に依頼し、撮影した。
【0126】
被験体に併用療法の薬剤2滴(各40μL)を、各滴下につき1分の間を空けて片目に投与し、他方の目には治療を行わなかった。2回目の薬剤点眼から20分後に、来院1日目と全く同じ5回のスキャンをそれぞれの目に行った。被験体には治療後の眼瞼腫脹の等級評価を依頼した。また、ベースラインと治療から20分後にデジタル写真を撮影した。
【0127】
点眼直後の快適性レベルの平均は3.3であった。起床時における眼瞼体積増加の平均は、右目が243mm3で、左目が309mm3であった。治療から20分後の減少量の平均は、治療した目が−100mm3で、未治療の目が−14mm3であった。
【0128】
これらの結果からは、NaCl2.5%によって起床時眼瞼腫脹が減少したことが示されている(図8)。ナファゾリン0.1%と組み合わせたNaCl5%に比べると、NaCl2.5%の方が効能が低かった(およそ半分)(図6および図8を参照)。これは、起床時眼瞼腫脹の治療におけるNaClの効能が濃度に直接関係していることを示唆している。
【0129】
快適性レベルの点では、NaCl5%よりも2.5%の方がより快適であり、改善が見られる。本試験の快適性レベルの平均(3.3)は、NaCl5%/ナファゾリン0.1%の組み合わせ(5.8)よりも快適であった。
【0130】
(実施例5)
起床時眼瞼浮腫の治療へのスクロース50%およびナファゾリン(0.1%)の使用
起床時眼瞼腫脹の治療および/または予防における、スクロース50%溶液と組み合わせたナファゾリン(0.1%)の効能を、3次元スキャニング技術による測定で評価した。
【0131】
スクロースを水で配合した後、ナファゾリンをスクロース溶液に溶解し、ナファゾリン(0.1%)の濃度を配合した。
【0132】
合計6例の被験体を評価し、方法は前述の試験とほぼ同じであった。試験開始時に、3次元スキャナを使用したベースラインのスキャンを各被験体のそれぞれの目に5回行った。その翌日にも、来院1日目と全く同じそれぞれの目の5回のスキャンを被験体に依頼し、撮影した。
【0133】
被験体に併用療法の薬剤2滴(各40μL)を、各滴下につき1分の間を空けて片目に投与し、他方の目には治療を行わなかった。2回目の薬剤点眼から20分後に、来院1日目と全く同じ5回のスキャンをそれぞれの目に行った。被験体には治療後の眼瞼腫脹の等級評価を依頼した。また、ベースラインと治療から20分後にデジタル写真を撮影した。
【0134】
これらの結果は、50%スクロース/ナファゾリン0.1%製剤が起床時眼瞼腫脹を減少させたことを示唆している(図9)。
【0135】
(実施例6)
起床時眼瞼浮腫の治療へのフェニレフリン0.25%軟膏の使用
起床時眼瞼腫脹の治療および/または予防におけるフェニレフリン0.25%軟膏の効能を、3次元スキャニング技術による測定で評価した。
【0136】
合計6例の被験体を評価し、方法は前述の試験とほぼ同じであった。試験開始時に、3次元スキャナを使用したベースラインのスキャンを各被験体のそれぞれの目に5回行った。その翌日にも、来院1日目と全く同じそれぞれの目の5回のスキャンを被験体に依頼し、撮影した。
【0137】
被験体に併用療法の薬剤2滴(各40μL)を、各滴下につき1分の間を空けて片目に投与し、他方の目には治療を行わなかった。2回目の薬剤点眼から20分後に、来院1日目と全く同じ5回のスキャンをそれぞれの目に行った。被験体には治療後の眼瞼腫脹の等級評価を依頼した。また、ベースラインと治療から20分後にデジタル写真を撮影した。
【0138】
これらの結果は、0.25%フェニレフリン製剤が起床時眼瞼腫脹を減少させたことを示唆している(図11)。
【0139】
(実施例7)
起床時眼瞼浮腫の治療へのナファゾリン0.1%およびNaCl5%溶液を含むマンニトール12.5%の使用
起床時眼瞼腫脹の治療および/または予防における、NaCl5%溶液中にナファゾリン0.1%を含むマンニトール12.5%の効能を、3次元スキャニング技術による測定で評価した。
【0140】
合計6例の被験体を評価し、方法は前述の試験とほぼ同じであった。試験開始時に、3次元スキャナを使用したベースラインのスキャンを各被験体のそれぞれの目に5回行った。その翌日にも、来院1日目と全く同じそれぞれの目の5回のスキャンを被験体に依頼し、撮影した。
【0141】
被験体に併用療法の薬剤2滴(各40μL)を、各滴下につき1分の間を空けて片目に投与し、他方の目には治療を行わなかった。2回目の薬剤点眼から20分後に、来院1日目と全く同じ5回のスキャンをそれぞれの目に行った。被験体には治療後の眼瞼腫脹の等級評価を依頼した。また、ベースラインと治療から20分後にデジタル写真を撮影した。
【0142】
これらの結果は、マンニトール/ナファゾリン/NaClの組み合わせが起床時眼瞼腫脹を減少させたことを示唆している(図12)。
【0143】
(実施例8)
起床時眼瞼浮腫の治療へのマンニトール12.5%溶液の使用
起床時眼瞼腫脹の治療および/または予防におけるマンニトール12.5%溶液の効能を、3次元スキャニング技術による測定で評価した。
【0144】
合計6例の被験体を評価し、方法は前述の試験とほぼ同じであった。試験開始時に、3次元スキャナを使用したベースラインのスキャンを各被験体のそれぞれの目に5回行った。その翌日にも、来院1日目と全く同じそれぞれの目の5回のスキャンを被験体に依頼し、撮影した。
【0145】
被験体に併用療法の薬剤2滴(各40μL)を、各滴下につき1分の間を空けて片目に投与し、他方の目には治療を行わなかった。2回目の薬剤点眼から20分後に、来院1日目と全く同じ5回のスキャンをそれぞれの目に行った。被験体には治療後の眼瞼腫脹の等級評価を依頼した。また、ベースラインと治療から20分後にデジタル写真を撮影した。
【0146】
これらの結果は、マンニトール12.5%溶液が起床時眼瞼腫脹を減少させたことを示唆している(図13)。
【0147】
等価物
本発明は、一部分において眼瞼腫脹の治療に使用する局所用眼科用製剤を提供する。以上において本発明の具体的な実施形態を考察してきたが、上記の明細書は例示的なものであって限定的なものではない。本明細書を詳細に検討すれば、本発明の多くの変形が当業者に明らかになるであろう。添付の特許請求の範囲は、このような実施形態および変形すべてを請求することを目的としたものではなく、本発明の全範囲は、特許請求の範囲およびこれらの等価物の全適用範囲、ならびに本明細書および当該変形を参照することによって、本発明の全適用範囲を判断しなければならない。
【0148】
以下に列挙した項目を含めて本明細書に記載したすべての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許が明示的かつ個別に参考として援用されることが明記されているかのように、全体が参考として本明細書で援用される。抵触があった場合には、本明細書のあらゆる定義を含めて本願が優先される。
【0149】
【数1】
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】眼瞼腫脹を呈する病態の表の一部を含む図である。
【図2】眼瞼腫脹に対する浸透剤の効果を示す。
【図3A】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3B】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3C】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3D】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3E】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3F】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3G】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3H】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3I】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3J】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3K】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3L】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図4A】6例の被験体の起床時眼瞼浮腫の治療に使用したNaCl5%の点眼剤を評価した試験の結果を示す折れ線グラフである。図4A〜図4Gのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、エラーバーは1つの標準誤差を表し、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、ベースラインではいずれの目にも治療を行わず、右目(丸印)はNaCl5%の点眼剤で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図4B】6例の被験体の起床時眼瞼浮腫の治療に使用したNaCl5%の点眼剤を評価した試験の結果を示す折れ線グラフである。図4A〜図4Gのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、エラーバーは1つの標準誤差を表し、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、ベースラインではいずれの目にも治療を行わず、右目(丸印)はNaCl5%の点眼剤で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図4C】6例の被験体の起床時眼瞼浮腫の治療に使用したNaCl5%の点眼剤を評価した試験の結果を示す折れ線グラフである。図4A〜図4Gのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、エラーバーは1つの標準誤差を表し、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、ベースラインではいずれの目にも治療を行わず、右目(丸印)はNaCl5%の点眼剤で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図4D】6例の被験体の起床時眼瞼浮腫の治療に使用したNaCl5%の点眼剤を評価した試験の結果を示す折れ線グラフである。図4A〜図4Gのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、エラーバーは1つの標準誤差を表し、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、ベースラインではいずれの目にも治療を行わず、右目(丸印)はNaCl5%の点眼剤で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図4E】6例の被験体の起床時眼瞼浮腫の治療に使用したNaCl5%の点眼剤を評価した試験の結果を示す折れ線グラフである。図4A〜図4Gのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、エラーバーは1つの標準誤差を表し、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、ベースラインではいずれの目にも治療を行わず、右目(丸印)はNaCl5%の点眼剤で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図4F】6例の被験体の起床時眼瞼浮腫の治療に使用したNaCl5%の点眼剤を評価した試験の結果を示す折れ線グラフである。図4A〜図4Gのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、エラーバーは1つの標準誤差を表し、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、ベースラインではいずれの目にも治療を行わず、右目(丸印)はNaCl5%の点眼剤で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図4G】6例の被験体の起床時眼瞼浮腫の治療に使用したNaCl5%の点眼剤を評価した試験の結果を示す折れ線グラフである。図4A〜図4Gのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、エラーバーは1つの標準誤差を表し、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、ベースラインではいずれの目にも治療を行わず、右目(丸印)はNaCl5%の点眼剤で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図5】起床時眼瞼腫脹の治療に使用する、ナファゾリン0.1%およびNaCl5%溶液の組み合わせと、ナファゾリン0.1%またはNaCl5%それぞれ(治療対照なし)の効能を比較した試験の結果を示す折れ線グラフである。
【図6】図5に示した試験における、ナファゾリン0.1%およびNaCl5%の組み合わせの結果を示す棒グラフである。
【図7】4例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療に使用する、NaCl5%の眼軟膏に塩酸ナファゾリン(0.05%)を溶解させた組み合わせの効能を評価した試験の結果を示す棒グラフである。
【図8】6例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療に使用する、2.NaCl5%の点眼剤に塩酸ナファゾリン(0.1%)を溶解させた組み合わせの効能を評価した試験の結果を示す棒グラフである。
【図9】6例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療に使用する、50%スクロース溶液中の塩酸ナファゾリン(0.1%)の組み合わせの効能を評価した試験の結果を示す棒グラフである。エラーバーは1つの標準誤差を表す。
【図10】起床時眼瞼腫脹の自然な進行を示す折れ線グラフである。本試験では治療は行っていない。
【図11】6例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療に使用する、フェニレフリン0.1%軟膏の効能を評価した試験の結果を示す棒グラフである。エラーバーは1つの標準誤差を表す。
【図12】6例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療に使用する、NaCl5%および12.5%マンニトールの点眼剤に塩酸ナファゾリン(0.1%)を溶解させた組み合わせの効能を評価した試験の結果を示す棒グラフである。エラーバーは1つの標準誤差を表す。
【図13】6例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療に使用する、12.5%マンニトールの点眼剤の効能を評価した試験の結果を示す折れ線グラフである。エラーバーは1つの標準誤差を表す。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、眼瞼腫脹の予防および治療に有用な新規の眼科用組成物および方法に関する。特に、本発明は、眼瞼腫脹の予防および治療に有用な浸透活性剤、収れん剤、血管収縮剤、またはこれらの組み合わせを含む眼科用組成物に関する。本発明はさらに、このような組成物を、必要とする被験体に投与する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
眼瞼腫脹および眼瞼の炎症は、組織学的影響、患者の生活の質、および一般的な患者の快適性において長短両期にわたり重要性を有する。ヒトの眼瞼は、体の中で最も薄い皮膚層と、最も明確な組織層および筋肉層と、最も繊細なコラーゲン線維とで構成されている。このように繊細な皮膚層のために、眼瞼は、腫脹や、急性の炎症、長期にわたって起こり得る損傷の影響を受けやすい。
【0003】
眼瞼は、目が通常の機能を果たすことができるようにするいくつかの重要な役割を担っている。眼瞼は、反射的に目を閉じることによって、目を保護し角膜を防護する。この機序により、多くの場合は目への粒子または異物の侵入や、損傷の可能性が防止される。眼瞼はまた、ちょうどカメラのシャッターのように目に入る光の量も調節する。また、眼瞼は、涙液層の構成部分にもなっており(眼瞼縁を通して)、瞬き時の拡散作用によって目全体への潤滑液の拡散も維持している。眼瞼は、目の健康だけでなく視覚系統全体の機能を維持する上でもきわめて大きな役割を果たしている。この重要な保護機序に炎症が生じると、個体の目の健康が損なわれてしまう。
【0004】
種々の原因による腫脹によって眼瞼の伸長や損傷が繰り返されると、目の上下の皮膚層の弛みや垂下の一時的な発症を生じる可能性がある。この眼瞼の腫脹は、きわめて望ましくない外観をもたらすばかりか、視野を制限する可能性さえある。これらの徴候は多くの場合一時的なものに限られる一方で、生理学的レベルや解剖学的レベルで生じる実質的な損傷は、再発の度に損傷が蓄積することで、最終的には永久的な変化をもたらす可能性がある。
【0005】
この眼瞼腫脹の症状は、多くの患者や、医師、研究者にとって大きな関心事ではあるものの、目の健康の評価に際しての一番の関心事であると見なされることはあまりない。起床時眼瞼腫脹はきわめてよく見られ、患者の健康に関する懸念と同様に大きな社会的懸念を抱えている。眼瞼の腫脹性や弛みに対して患者が不快感や全般的な不寛容を示していることについては、2002年に米国の形成外科で最も多く行われた手技が眼瞼手術(229,092件)とボツリヌス毒素注射(1,658,667件)の2つであったという事実によって明確に示されている。眼瞼浮腫の発症を軽減する要求は高かったにもかかわらず、この症状は注目されていなかった。また、これは他の徴候や症状に分類されているが多いものの、これまで正確な測定が困難であったことから、臨床研究では主要な変数とされることはほとんどない。オロパタジン0.1%(パタノール)などの種々の眼アレルギー薬は、アレルギー性結膜炎に伴う眼瞼浮腫を軽減するために使用され始めているが、この症状をとりわけ直接的かつ効果的に抑制する薬物は存在しない。社会においてこのように多くの形で大きな存在感を示すことから、眼瞼腫脹の病態に直接作用する治療が必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
眼瞼腫脹を治療および予防するための新規の組成物および方法が提供される。ある実施形態においては、浸透活性剤および/または血管収縮剤および/または収れん剤を含む新規の局所眼科用製剤が提供される。特に本発明は、眼瞼腫脹の治療および予防に相乗的に作用する浸透活性剤および/または血管収縮剤および/または収れん剤の組み合わせを含む局所眼科用製剤を提供する。場合により、浸透活性剤および/または血管収縮剤および/または収れん剤を種々の他の薬剤と組み合わせて、眼瞼腫脹の治療および予防に使用する。
【0007】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、膠質浸透圧剤および晶質浸透圧剤を含むがこれらに限定されない浸透活性剤を含む。本発明の組成物で使用するのに適した晶質浸透圧剤には、塩化ナトリウム(NaCl)、デキストロース、スクロース、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール3350 NF、クエン酸マグネシウム、およびラクツロースが含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、晶質浸透剤の有効量は、約1%〜約10%の塩化ナトリウム、約1%〜約10%のデキストロース、約1%〜約20%のグリセリン、約1%〜20%のマンニトール、約1%〜約95%のスクロース、および約1%〜約95%のソルビトールからなる群から選択される。好ましくは、晶質浸透圧剤は塩化ナトリウムであり、有効量は、約1%〜約10%、より好ましくは約2%〜5%である。
【0008】
本発明の組成物での使用に適した膠質浸透圧剤には、ヘタスターチ、ペンタスターチ、尿素によって架橋されたゼラチンポリペプチド、デキストラン70、デキストラン40、アルブミン、イコデキストリン、ベントナイトUSP、ケイ酸MgAl NFタイプ2A、アルギン酸/アルギン酸ナトリウムNF、微結晶性セルロースおよびCMC NF、カルボマー、ならびにジェランガムが含まれるが、これらに限定されない。
【0009】
ある実施形態において、膠質浸透剤の有効量は、約1%〜約10%のヘタスターチ、約1%〜約20%のペンタスターチ、約1%〜約10%のデキストラン70、約1%〜約10%のデキストラン40、約1%〜約50%のアルブミン、および約1%〜約50%の微結晶性セルロースからなる群から選択される。
【0010】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は血管収縮剤を含む。本発明の組成物での使用に適した血管収縮剤には、ナファゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、およびテトラヒドロゾリンが含まれるが、これらに限定されない。好適な実施形態において、血管収縮剤はナファゾリンであり、有効量は、約0.01%〜約0.5%であり、より好ましくは約0.01%〜約0.2%である。
【0011】
さらに別の実施形態において、本発明の組成物は収れん剤を含む。本発明の組成物での使用に適した収れん剤には、ウィッチへーゼル、硫酸亜鉛、硫酸銀、植物タンニン、オーク樹皮抽出物、ペンタガロイルグルコース、ミョウバン、ブローヴ液、リンボク抽出物、ウワミズザクラ抽出物、および天然フラバノイドが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、収れん剤はウィッチへーゼルおよび/または硫酸亜鉛0.25%である。
【0012】
ある実施形態において、本発明の組成物は浸透活性剤と血管収縮剤の組み合わせを含む。好適な実施形態において、浸透活性剤は塩化ナトリウムであり、血管収縮剤はナファゾリンである。好ましくは、塩化ナトリウムは約1%〜約10%、より好ましくは約2%〜約5%の範囲で含まれ、ナファゾリンは約0.01%〜約0.5%、より好ましくは0.01%〜約0.2%の範囲で含まれる。
【0013】
本発明の組成物は、溶剤、懸濁液、オイル、粘性または準粘性ゲル、エマルジョン、リポソーム、ローション、軟膏、クリーム、ゲル、塗剤、散剤、持続放出性または徐放性製剤、眼瞼ローション、または他の種類の固形もしくは半固形組成物として、および噴霧可能な形状で局所投与するために配合される場合がある。
【0014】
本発明はまた、これらの製剤を使用して眼瞼腫脹を治療および予防する新規の方法も特徴とする。いくつかの実施形態において、被験体の眼瞼腫脹を治療および予防する方法は、眼瞼腫脹を治療および予防するために本発明の組成物を被験体の目の表面に局所的に投与する手順を含む。他の実施形態において、本発明の方法は、眼瞼腫脹を治療および予防するために本発明の組成物を被験体の眼瞼の内側および/または外側に局所的に投与する手順を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、被験体の眼瞼腫脹を治療および予防する方法は、浸透活性剤、血管収縮剤、および収れん剤からなる群から選択される少なくとも1つの活性剤の有効量を被験体の目の表面に投与する手順を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、被験体の眼瞼腫脹を治療および予防する方法は、膠質浸透圧剤および/または晶質浸透圧剤を含むがこれらに限定されない浸透活性剤を、被験体の目の表面に投与する手順を含む。本発明の方法での使用に適した晶質浸透圧剤には、塩化ナトリウム(NaCl)、デキストロース、スクロース、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール3350 NF、クエン酸マグネシウム、およびラクツロースが含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、晶質浸透剤の有効量は、約1%〜約10%の塩化ナトリウム、約1%〜約10%のデキストロース、約1%〜約20%のグリセリン、約1%〜約20%のマンニトール、約1%〜約95%のスクロース、および約1%〜約95%のソルビトールからなる群から選択される。好ましくは、晶質浸透剤は塩化ナトリウムであり、有効量は、約1%〜約10%であり、より好ましくは約2%〜約5%である。
【0017】
本発明の方法での使用に適した膠質浸透圧剤には、ヘタスターチ、ペンタスターチ、尿素によって架橋されたゼラチンポリペプチド、デキストラン70、デキストラン40、アルブミン、イコデキストリン、ベントナイトUSP、ケイ酸MgAl NFタイプ2A、アルギン酸/アルギン酸ナトリウムNF、微結晶性セルロースおよびCMC NF、カルボマー、ならびにジェランガムが含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
ある実施形態において、膠質浸透剤の有効量は、約1%〜約10%のヘタスターチ、約1%〜約20%のペンタスターチ、約1%〜約10%のデキストラン70、約1%〜約10%のデキストラン40、約1%〜約50%のアルブミン、および約1%〜約50%の微結晶性セルロースからなる群から選択される。
【0019】
いくつかの実施形態において、被験体の眼瞼腫脹を治療および予防する方法は、血管収縮剤を被験体の目の表面に投与する手順を含む。本発明の方法での使用に適した血管収縮剤には、ナファゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、およびテトラヒドロゾリンが含まれるが、これらに限定されない。好適な実施形態において、血管収縮剤はナファゾリンであり、有効量は、約0.01%〜約0.5%であり、より好ましくは約0.01%〜約0.2%である。
【0020】
さらに他の実施形態において、被験体の眼瞼腫脹を治療および予防する方法は、収れん剤を被験体の目の表面に投与する手順を含む。本発明の方法での使用に適した収れん剤には、ウィッチへーゼル、硫酸亜鉛、硫酸銀、植物タンニン、オーク樹皮抽出物、ペンタガロイルグルコース、ミョウバン、ブローヴ液、リンボク抽出物、ウワミズザクラ抽出物、および天然フラバノイドが含まれる、これらに限定されない。好ましくは、収れん剤はウィッチへーゼルおよび/または硫酸亜鉛0.25%である。
【0021】
ある実施形態において、被験体の眼瞼腫脹を治療および予防する方法は、浸透活性剤と血管収縮剤の組み合わせを被験体の目の表面に投与する手順を含む。好適な実施形態において、浸透活性剤は塩化ナトリウムであり、血管収縮剤はナファゾリンである。好ましくは、塩化ナトリウムは約1%〜約10%、より好ましくは約2%〜約5%の範囲で含まれ、ナファゾリンは約0.01%〜約0.5%、より好ましくは0.01%〜約0.2%の範囲で含まれる。
【0022】
このような製剤は、眼瞼腫脹を治療および予防するために日中、夜間、就寝直前および/または覚醒直後における薬物の吸収、不活化および排泄速度、ならびに化合物の送達速度により、適切な投与量で投与される場合がある。このような製剤はまた、眼瞼腫脹の治療および予防のための急性および慢性使用のために投与される場合がある。
【0023】
さらに、本発明は、スキャニングイメージング技術(例えば、3次元スキャニング技術)を使用した制御下の客観的技法を使用して眼瞼腫脹の変化を測定する方法も特徴とする。このような方法により、眼瞼腫脹における1日の変動の客観的かつ正確な定量化が可能となる。
【0024】
さらに、本発明は、本方法の実施と同様に、本製剤の出荷、保管または使用のためのキットも特徴とする。本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
1.定義
便宜上、本発明の詳細な説明を記載する前に、本明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲で使用される特定の用語を以下にまとめる。これらの定義は、開示内容の残りの部分に照らして閲読しなければならず、当業者が理解するように理解しなければならない。
【0026】
本明細書で使用される「抗アレルギー薬」という用語とは、眼アレルギーを治療する、または眼アレルギーの症状を軽減する分子または組成物を指す。抗アレルギー薬の例には、「抗ヒスタミン薬」(すなわち、ヒスタミン受容体に対するヒスタミンの結合を阻害する薬剤)、「肥満細胞安定化剤」(すなわち、肥満細胞からのヒスタミンおよび他の物質の放出を阻害する薬剤)、「複数の作用機序を有する薬剤」(すなわち、複数の作用機序を有する抗アレルギー薬である薬剤(例えば、抗ヒスタミン薬および肥満細胞安定化剤である薬剤、抗ヒスタミン作用、肥満細胞安定化作用、および抗炎症作用等を有する薬剤など)、ならびに非ステロイド系抗炎症薬(「NSAID」)およびステロイドが含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
「水溶性」という用語は、通常、担体の含水量が50重量%を超える、より好ましくは75重量%を超える、特に90重量%を超える程度である、水溶性組成物を示す。
【0028】
「有効量」という語句は、当業者に認知されている用語であり、本発明の医薬組成物に組み込まれると、どの医療にも適用できる妥当なリスク/ベネフィット比でいくらかの所望の効果を生じる薬剤の量を指す。ある実施形態において、本用語は、眼瞼腫脹を除去、軽減または維持する(例えば、眼瞼腫脹の拡散を防止する)か、または眼瞼腫脹を予防または治療するのにに必要または十分な量を指す。有効量は、治療中の疾患または病態、投与中の特定の組成物、または疾患または病態の重症度などの要因により変動する場合がある。当業者は、不必要な実験を必要とすることなく特定の薬剤の有効量を経験的に決定する場合がある。眼瞼腫脹の治療における有効量は、好ましくは、定規、眼瞼腫脹を評価する主観的スケール(例えば、これに限定されないが、腫脹を軽度、中程度、重度、または0、1、2もしくは3、または他の適切なスケールとして決定する主観的臨床スケール)、および/または3次元スキャニング技術により決定した場合に、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%、眼瞼腫脹が軽減される治療薬の量を指す。
【0029】
「眼瞼腫脹」という用語は、眼窩周囲浮腫を含めた眼瞼の腫脹または炎症を含むいずれかの病態を指す。例えば、図1に列挙した病態はいずれも、この「眼瞼腫脹」という用語の範囲に包含される。したがって、本明細書で定義される「眼瞼腫脹」とは、眼瞼皮膚弛緩症のような稀な疾患から、「目の下の袋」を特徴する、より一般的な皮膚弛緩までに至る眼瞼腫脹のあらゆる原因を包含する。これらの腫脹を生じる感染症の他にも、酒さ、化粧品または局所用医薬品により生じる皮膚炎、リンパ腫、腎臓および内分泌機能障害(甲状腺)、そして慢性の眼周囲浮腫がきわめて有用な診断徴候となり得る感染症である旋毛虫症までをも含むがこれらに限定されない、眼瞼腫脹を生じる可能性があるその他多くの病態が存在する。より一般的な眼瞼腫脹の原因には、アレルギー、年齢、アルコールの摂取、コンピュータの使用、読書、疲労、および日内変動(起床時眼瞼腫脹)が含まれる。さらに、眼アレルギーは、全体の人口のほぼ20%が罹患している、最も一般的な眼瞼炎症の原因の一つである。この場合、IgEにより刺激された肥満細胞の脱顆粒により放出される、多量の予め形成された媒介物質は、血管系の血管拡張および血流から組織までの体液の漏出を引き起こすアレルギー反応の臨床徴候および臨床症状に関与している。起床時眼瞼腫脹は一夜の間に起こり、結果として朝目覚めた時に眼瞼腫脹となる。
【0030】
本明細書で使用される「高浸透圧性溶液」という用語は、別の液体よりも高いオスモル濃度を有する(例えば、他の液体よりも浸透活性成分の濃度が高い)いずれかの溶液を指す。
【0031】
本明細書で使用される「眼アレルギー」という用語は、目のいずれかのアレルギー疾患を指す。このような眼アレルギーの例には、季節性/永続性アレルギー性結膜炎、春季角結膜炎、巨大乳頭結膜炎、永続性アレルギー性結膜炎、およびアトピー性角結膜炎が含まれるが、これらに限定されない。眼アレルギーの徴候および症状には、結膜水腫、目のそう痒、発赤、流涙、および眼瞼腫脹が含まれる。
【0032】
「浸透活性剤」という用語は、高浸透圧性溶液における浸透流を生じさせる水吸引剤(例えば、吸湿性、含水性または他の薬剤)を指す。
【0033】
対象方法によって治療する「患者」、「被験体」または「宿主」とは、霊長類、哺乳類および脊椎動物などのヒトまたは非ヒト動物のいずれかを指す。
【0034】
「医薬的に許容される」という語句は、当業者に認知されている語句であり、適切な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症がなく、ヒトおよび動物の組織と接触させる用途に適切であり、妥当なリスク/ベネフィット比に見合った、組成物、ポリマー、ならびに他の物質および/または剤形を指す。
【0035】
「医薬的に許容される担体」という語句は、当業者に認知されており、例えば、いずれかの補助剤もしくは組成物またはこれらの成分を、臓器または体の一部から別の臓器または体の一部へと運搬または輸送することに関与する、医薬的に許容される物質、組成物、またはビヒクル(例えば、液体または固体の増量剤、希釈剤、賦形剤、溶剤、またはカプセル化物質)を指す。各担体は、補助剤の他の成分との相溶性を有し、患者に有害でないという意味において「許容され」なければならない。ある実施形態において、医薬的に許容される担体は非発熱性である。医薬的に許容される担体の役割を果たす場合がある物質の一部の例には、(1)糖(例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロース)、(2)デンプン(例えば、コーンスターチおよびポテトスターチ)、(3)セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース)、(4)トラガント末、(5)モルト、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)賦形剤(例えば、ココアバターおよび坐剤ワックス)、(9)油(例えば、ラッカセイ油、コットンシード油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油)、(10)グリコール(例えば、プロピレングリコール)、(11)ポリオール(例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール)、(12)エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル)、(13)寒天、(14)緩衝剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム)、(15)アルギン酸、(16)発熱物質除去水、(17)等張食塩水、(18)リンガー溶液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝剤、(21)水溶液、懸濁液、軟膏、および(22)医薬製剤で使用される無毒性かつ相溶性を有する他の物質が含まれる。
【0036】
「医薬的に許容される塩」という用語は、当業者に認知されており、治療薬、賦形剤、他の物質などを含むがこれらに限定されない本発明の組成物で比較的無毒性の無機および有機酸付加塩、またはそれらのいずれかの成分を指す。医薬的に許容される塩の例には、塩酸および硫酸などの鉱酸から得られる塩、ならびにエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸などの有機酸から得られる塩が含まれる。塩を形成するのに適切な無機塩基の例には、アンモニア、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛などの水酸化物、炭酸塩および重炭酸塩が含まれるが、これらに限定されない。塩はまた、非毒性であり、かつこのような塩を形成するのに十分な強度を有する塩を含めた適切な有機塩基で形成される場合がある。説明上、このような有機塩基の種類には、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、およびトリアルキルアミン(例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、およびトリメチルアミン)、モノヒドロキシアルキルアミン、ジヒドロキシアルキルアミン、またはトリヒドロキシアルキルアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミン)、アミノ酸(例えば、アルギニンおよびリジン)、グアニジン、N‐メチルグルコサミン、N‐メチルグルカミン、L‐グルタミン、N‐メチルピペラジン、モルホリン、エチレンジアミン、N‐ベンジルフェネチルアミン、(トリヒドロキシエチル)アミノエタンなどが含まれる場合がある。例えば、J.Pharm.Sci.,66:1‐19(1977)を参照されたい。
【0037】
病態に関して使用される場合、「予防(する)」という用語は、当業者に認知されており、組成物を投与しない被験体と比べて、被験体の医学的病態の症状の頻度を減少させるか、症状の発症を遅延させる組成物を投与することを指す。
【0038】
「治療(する)」という用語は、当業者に認知されており、浸透活性剤、血管収縮剤、収れん剤、およびこれらの組み合わせなどの眼用薬を含むがこれらに限定されない、1つ以上の診断用、治療用または予防用薬剤を投与することにより、いずれかの病態または疾患の少なくとも1つの症状を治療するおよび/または回復させることを指す。
【0039】
「血管収縮剤」という用語は、平滑筋組織のアルファ‐1受容体に作用する薬剤を含むがこれに限定されない、血管を収縮するいずれかの薬品または薬剤を指す。
【0040】
2.眼瞼腫脹
眼瞼腫脹は、アレルギー、感染症、軽度の刺激/炎症、および外傷を含めたいくつかの種々の病態により発症する可能性があるが、起床時眼瞼腫脹が最も一般的である。起床時眼瞼腫脹は欠損組織の膨張および炎症により発症する。個体の加齢とともに、眼瞼周辺の皮膚は弾力を失う。真皮に剛性および弾力を与えるコラーゲン線維が壊れ始めるのは、日光への過剰な曝露や喫煙などの他の破壊的な環境刺激によって悪化する可能性がある自然なプロセスである。さらに、眼底にある眼窩脂肪が破壊されると、弛緩や、空虚に見える組織、欠損組織の膨張の発症を再び引き起こす。
【0041】
個体が横になって就寝すると、体液は、眼底血管から、目周辺にある構造のない空の組織、特に下眼瞼へと漏出する。これは涙液層および結膜にある炎症性媒介物質の蓄積によって引き起こされる場合がある。真皮の弾力が失われることで、表面の眼瞼組織が体液の増加とともに膨張する。そして個体が覚醒した時には、破壊された眼瞼組織に過剰な体液が排出されたことで、眼瞼が腫脹し膨潤した外観となる。体液貯留の変動は、下眼瞼の外眼角の眼窩骨を覆う組織において生じる可能性がある。この体液は暗青色または紫色をしており、袋状にふくらみ疲れた目の様相を呈する。個体が覚醒し直立した姿勢になると、眼瞼組織から体液が排出されて、眼瞼腫脹は徐々に減少する。しかし、このプロセスはかなりの時間を要する可能性がある。
【0042】
眼瞼腫脹および眼窩周囲浮腫は、角膜浮腫といった他の種類の眼浮腫とは区別することができる。記載の通り、眼瞼腫脹は、眼窩および前眼窩部位内の眼底血管から体液が漏出したことにより発症する。これに対して、角膜は血管を含まない。角膜浮腫は通常、異常な眼圧、角膜支質内の電解質の不均衡、および/または内皮の活性代謝ポンプの存在によって起こり、それぞれの原因によって体液が角膜へ移動する。したがって、浸透活性剤、血管収縮剤、収れん剤、またはこれらの組み合わせから選択される活性剤の有効量を含み、目に直接滴下する医薬組成物が、眼瞼組織および眼窩周囲部分への漏出を治療および予防するために眼底血管を「乾燥させる」ことによって、眼瞼腫脹を治療するのに有効である。また、浸透活性剤、血管収縮剤、収れん剤、またはこれらの組み合わせから選択される活性剤の有効量を含み、眼瞼の内表面および/または外表面に塗布する医薬組成物も、眼瞼腫脹の治療および予防に有効である。
【0043】
3.医薬組成物
ここでは、眼瞼腫脹および眼窩周囲浮腫を治療および予防するための医薬的に許容される担体中に1つ以上の活性剤の有効量を含む、新規の局所用医薬組成物を取り上げる。このような製剤は、目への滴下において快適な製剤を提供する。1つ以上の活性剤には、浸透活性剤、血管収縮剤、収れん剤、またはこれらの組み合わせが含まれる場合があるが、これらに限定されない。収れん剤または浸透活性剤は、膨潤したまたは炎症を起こした組織から体液を吸引する場合があるのに対して(図2)、血管収縮剤は、眼底血管から眼瞼組織へのさらなる漏出を予防する場合がある。
【0044】
一実施形態において、活性剤は浸透活性剤である。ある実施形態において、医薬組成物は、浸透活性剤を含有する高浸透圧性溶液を含む。高浸透圧性溶液は、体細胞に含まれるよりもより高濃度の電解質を含有する。
【0045】
ある実施形態において、浸透活性剤は晶質浸透圧剤である。晶質浸透圧剤の例には、塩化ナトリウム(NaCl)、デキストロース、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、スクロース、ポリエチレングリコール3350 NF、クエン酸マグネシウム、およびラクツロースが含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
ある実施形態において、晶質浸透圧剤はマンニトールである。マンニトールは多くの果物および野菜に天然に含まれるマンノースの糖アルコール型である。
【0047】
他の実施形態において、晶質浸透圧剤はグリセリンである。グリセリンは、脂肪および油からけん化の副産物として得られ、多くの眼科用製品の溶剤、ならびに化粧品、石鹸および潤滑剤を含めた種々の製品の成分として使用されることが多い。
【0048】
特定の実施形態において、晶質浸透圧剤は塩化ナトリウム(溶剤、ゲル、懸濁液、または他の医薬的に許容されるビヒクル)である。
【0049】
さらに他の実施形態において、晶質浸透圧剤はデキストロースである。デキストロースは、水分補給のための電解質、カロリーおよび水の供給源として、成人および小児の患者に注入することが認められている。
【0050】
さらに他の実施形態において、晶質浸透圧剤はポリエチレングリコール3350 NFである。
【0051】
さらに他の実施形態において、晶質浸透圧剤はクエン酸マグネシウムである。
【0052】
さらに他の実施形態において、晶質浸透圧剤はラクツロースである。ラクツロースは合成糖である。
【0053】
ある実施形態において、浸透活性剤は膠質浸透圧剤である。晶質浸透圧剤の例には、ヘタスターチ、ペンタスターチ、尿素によって架橋されたゼラチンポリペプチド、デキストラン70、デキストラン40、アルブミン、イコデキストリン、ベントナイトUSP、ケイ酸MgAl NFタイプ2A、アルギン酸/アルギン酸ナトリウムNF、微結晶性セルロースおよびCMC NF、カルボマー、ならびにジェランガムが含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
ある実施形態において、膠質浸透圧剤はヘタスターチである。ヘタスターチは体液喪失によるショックの治療に適応する血漿増量剤である。
【0055】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はペンタスターチである。ヘタスターチと同様に、ペンタスターチは体液喪失によるショックの治療に適応する血漿増量剤である。
【0056】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤は、尿素によって架橋されたゼラチンポリペプチドの組み合わせである。
【0057】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はデキストラン70である。
【0058】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はデキストラン40である。デキストラン70と同様に、デキストラン40は、ショックにおける体液の補充に適応する。
【0059】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はアルブミンである。
【0060】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はイコデキストリンである。イコデキストリンは、グルコースの代わりに浸透用途で使用されることが多いスクロース誘導体である。
【0061】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はケイ酸MgAl NFタイプ2Aである。
【0062】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はアルギン酸である。アルギン酸は、海藻から単離され、浸透圧剤として使用することができる粘性ガムである。
【0063】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)NFである。
【0064】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はジェランガムである。
【0065】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤はカルボマーナトリウムである。
【0066】
さらに他の実施形態において、膠質浸透圧剤は微結晶性セルロースである。
【0067】
膠質と晶質は、その製剤形態が基本的に異なる。晶質は主に、電解質を添加した滅菌水溶液をベースとしている。晶質は、血漿に対して低浸透圧のものから、等浸透圧または高浸透圧のものまで、様々な製剤形態がある。膠質は、多くの場合晶質溶液をベースとしており、したがって水と電解質を含有するが、添加された膠様物質の成分を有する(例えば、半透膜に自由に拡散しない、直径1ミリミクロン未満の粒子の懸濁液)。
【0068】
本発明の組成物を含む場合がある他の浸透活性剤の例には、Visine AC(登録商標)(テトラヒドロゾリン(血管収縮剤)および硫酸亜鉛(収れん剤)含有)、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、重炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、リン酸二水素カリウム、乳酸カルシウム、コハク酸マグネシウム、酒石酸、およびラフィノース、グルコースなどの可溶性炭水化物、ならびにこれらの混合物などの化合物が含まれる。
【0069】
ある実施形態において、活性剤は収れん剤である(すなわち、特に組織を縮小する薬剤)。収れん剤の例には、ウィッチへーゼル、硫酸亜鉛、硫酸銀、植物タンニン、オーク樹皮抽出物、ペンタガロイルグルコース、ミョウバン、ブローヴ液、リンボク抽出物、ウワミズザクラ抽出物、および天然フラバノイドが含まれるが、これらに限定されない。
【0070】
特定の実施形態において、収れん剤はウィッチへーゼルである。ウィッチへーゼルは、中央および南ヨーロッパに自生するハーブの分離株である。
【0071】
別の特定の実施形態において、収れん剤は硫酸亜鉛である。
【0072】
さらに別の特定の実施形態において、収れん剤は硫酸銀である。
【0073】
ある実施形態において、活性剤は血管収縮剤である。一実施形態において、血管収縮剤はアルファ‐1アドレナリン作動薬である。他の実施形態において、血管収縮剤は、血管径を縮小させ、それによって漏出を防止するいずれかの薬剤である。本発明の局所用医薬組成物での使用が企図されるアルファ‐1アドレナリン作動薬には、ナファゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、およびテトラヒドロゾリンが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、血管収縮剤はナファゾリンである。別の特定の実施形態において、血管収縮剤はオキシメタゾリンである。ナファゾリンと同様に、オキシメタゾリンは、アルファ‐1受容体に結合して、平滑筋の収縮を誘発する。
【0074】
別のある実施形態において、本発明の医薬組成物は、血管収縮剤および浸透活性剤の両方を含む。特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、ナファゾリンおよびNaClの両方を含む。このような製剤の驚くべき効果は、以下の実施例に記載の通り、とりわけこれらの製剤中の成分の組み合わせの相乗効果に起因している。
【0075】
活性剤の有効量は、約0.001%〜約100.0%の範囲の用量で組成物中に含まれる場合がある。例えば、各活性剤の有効量は、約0.001%〜約0.01%、約0.01%〜約0.100%、約0.100%〜約1.0%、約1.0%〜約10.00%、または約10%〜約100%の範囲となる場合がある。
【0076】
本発明の製剤中に含まれる活性剤の有効量は、使用する活性剤の性質により変動し、吸収、不活化および排泄速度、化合物の送達速度、ならびに1つ以上の薬剤の組み合わせを含むがこれらに限定されない要因により変動することを、当業者は認識するであろう。例えば、塩化ナトリウムの有効量は、約1%〜約10%、好ましくは約1%〜約6%、より好ましくは約2%〜約5%の範囲である。デキストロースの有効量は、約1%〜約10%、好ましくは約1%〜約6%、より好ましくは約2%〜約5%の範囲である。スクロースの有効量は、約1%〜約95%、好ましくは約10%〜約90%、より好ましくは約20%〜約80%、さらにより好ましくは約30%〜約70%の範囲である。グリセリンの有効量は、約1%〜約30%、好ましくは約1%〜約20%、より好ましくは約1%〜約10%の範囲である。マンニトールの有効量は、約1%〜約30%、好ましくは約1%〜約20%、より好ましくは約10%〜約15%の範囲である。ソルビトールの有効量は、約1%〜約100%、好ましくは約10%〜約90%、より好ましくは約20%〜約80%、さらにより好ましくは約30%〜約70%の範囲である。ヘタスターチの有効量は、約1%〜約20%、好ましくは約1%〜約10%、より好ましくは約4%〜約6%の範囲である。ペンタスターチの有効量は、約1%〜約20%、好ましくは約5%〜約15%、より好ましくは約5%〜約10%の範囲である。デキストラン70の有効量は、約1%〜約20%、好ましくは約1%〜約10%、より好ましくは約4%〜約6%の範囲である。デキストラン40の有効量は、約1%〜約20%、好ましくは約1%〜約10%、より好ましくは約4%〜約6%の範囲である。アルブミンの有効量は、約10%〜約50%、好ましくは約15%〜約30%、より好ましくは約20%〜30%の範囲である。ナファゾリンの有効量は、約0.01%〜約10%、好ましくは約0.01%〜約1%、より好ましくは約0.01%〜約0.5%、さらにより好ましくは約0.01%〜約0.2%の範囲である。
【0077】
ある実施形態において、薬剤の有効量は、約1%〜約5%、約5%〜約10%、約10%〜約15%、約15%〜約20%、約20%〜約25%、約25%〜約30%、約30%〜約35%、約35%〜約40%、約40%〜約45%、または約45%〜約50%の範囲である。
【0078】
初期に過度に存在する固体の溶質は、粒子、結晶、ペレット、錠剤、細片、フィルム、顆粒などのいずれかの適切な物理的形状をとることができる。
【0079】
ある実施形態において、本発明の医薬組成物は、血管収縮剤、代用涙液、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、肥満細胞安定化剤、NSAID、ステロイド、抗炎症薬、抗酸化剤、抗感染薬などの、1つ以上の活性剤の組み合わせおよび別の薬剤の有効量を含む。薬剤の組み合わせは、眼瞼腫脹の軽減に対して相乗的に作用する場合がある。
【0080】
血管収縮剤の例には、ナファゾリン、アントラジン、テトラヒドゾリン、オキシメタゾリン、およびフェニレフリンが含まれるが、これらに限定されない。血管収縮剤はさらに、眼瞼腫脹の軽減に加えて、うっ血除去薬として作用する場合もある。ある実施形態において、血管収縮剤の有効量は、約0.01%〜約10%、好ましくは約0.01%〜約1%、より好ましくは約0.01%〜約0.5%、さらにより好ましくは約0.01%〜約0.2%の範囲である。
【0081】
以下を含むがこれらに限定されない、種々の代用涙液が当該技術分野に既知であり、本発明の組成物で使用できると考えられる:ポリオール(例えば、グリセロール、グリセリン、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリソルベート80、プロピレングリコール、およびエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポビドン、およびポリビニルピロリドン)、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ハイプロメロースとしても知られる)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒロドロキシエチルセルロース、およびメチルセルロース)、デキストラン(例えば、デキストラン70)、水溶性タンパク質(例えば、ゼラチン)、カルボマー(例えば、カルボマー934P、カルボマー941、カルボマー940、およびカルボマー974P)、およびガム(例えば、HP‐グアー)。セルロースエステル(例えば、Bion Tears(登録商標)、Celluvisc(登録商標)、Genteal(登録商標)、OccuCoat(登録商標)、Refresh(登録商標)、Teargen II(登録商標)、Tears Naturale(登録商標)、Tears Naturale 118(登録商標)、Tears Naturale Free(登録商標)、およびTheraTears(登録商標))、およびポリビニルアルコール(例えば、Akwa Tears(登録商標)、HypoTears(登録商標)、Moisture Eyes(登録商標)、Murine Lubricating(登録商標)、およびVisine Tears(登録商標))を含むがこれらに限定されない、このような多くの代用涙液が市販されている。他の実施形態において、代用涙液は、全体が参考として本明細書で明示的に援用される、米国特許第6806364号に記載される代用涙液である。米国特許第6806364号に記載される製剤は、0.2〜2.5(例えば0.5〜0.8)重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.045〜0.065(例えば、0.05〜0.06)重量パーセントのカルシウム塩、および0.14〜1.4(例えば、0.3〜1.2)重量パーセントのリン酸塩を含有する。ASTは、20〜150(例えば、50〜90)センチポアズの粘度を有し、リン酸塩または他の適切な塩によってpH5.5〜8.5(例えば6〜8)に緩衝される。製剤はさらに、以下の成分の1つ以上を含有する場合もある:0.5〜1.0重量パーセントのグリセロール、0.5〜1.0重量パーセントのプロピレングリセロール、0.005〜0.05重量パーセントのグリシン、0.006〜0.08重量パーセントのホウ酸ナトリウム、0.025〜0.10重量パーセントの塩化マグネシウム、および0.001〜0.01重量パーセントの塩化亜鉛。
【0082】
代用涙液はまた、市販のLacri‐Lube(登録商標)軟膏などのパラフィンからなる場合もある。代用涙液として使用されている他の市販の軟膏には、Lubrifresh PM(登録商標)、Moisture Eyes PM(登録商標)、およびRefresh PM(登録商標)が含まれる。
【0083】
本発明の組成物での使用に適したNSAIDの例には、アンフェナク、プロピオン酸(例えば、ナプロキセン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、イブプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン)、ケトロラクトロメタミン(Acular(登録商標))(および当該部分が参考として本明細書で援用される、1984年1月12日発行のWaterburyの米国特許第4454141号において眼科的に有効であると記載された他の組成物)、酢酸誘導体(例えば、スリンダク、インドメタシン、およびエトドラク)、フェニル酢酸(例えば、ジクロフェナク(Voltaren(登録商標))(および当該部分が参考として本明細書で援用される、1990年10月2日発行のNagyの米国特許第4960799号において眼科的に有効であると記載された他の組成物)、ブロムフェナク、およびスプロフェン)、アリール酢酸プロドラッグ(例えば、ネパフェナク)、サリチル酸(例えば、アスピリン、サルサレート、ジフルニサル、トリサリチル酸コリンマグネシウム(CMT))、パラアミノフェノール誘導体(例えば、アセトアミノフェン)、ナフチルアルカノン(例えば、ナブメトン)、エノール酸誘導体(例えば、ピロキシカムおよびメロキシカム)、フェナム酸塩(例えば、メフェナム酸、メクロフェナム酸塩、およびフルフェナム酸)、ピロール酢酸(例えば、トルメチン)、およびピラゾロン(例えば、フェニルブタゾン)、COX‐2選択的阻害剤(例えば、セレコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、エトリコキシブ、およびルアリコキシブ(luaricoxib))(これらのすべてのエステルおよび医薬的に許容される塩を含む)が含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
抗ヒスタミン薬の例には、フェニルアミン、アンタゾリン、フマル酸エメダスチン、エバスチン、カレバスチン、およびレボカバスチンが含まれるが、これらに限定されない。
【0085】
肥満細胞安定化剤の例には、ネドクロミル、ロドキサミド、ペミロラスト、クロモリン、およびクロモリンナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
複数の作用機序を有する薬剤の例には、アゼラスチン、エピナスチン、オロパタジン、フマル酸ケトチフェン、ビラスチン、ベポタスチン、およびミゾラスチンが含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
医薬組成物の1つ以上の活性剤は、医薬的に許容される塩の形態である場合がある。
【0088】
医薬組成物は、溶剤、懸濁液、オイル、粘性または準粘性ゲル、エマルジョン、リポソーム、ローション、軟膏、クリーム、ゲル、塗剤、散剤、および持続放出性または徐放性製剤、および眼瞼ローション、または他の種類の固形もしくは半固形組成物(米国特許第6806364号に記載の製剤)として局所投与用に配合される場合がある。組成物はまた、噴霧可能な形態で局所投与する場合もある。
【0089】
好ましくは、医薬組成物は、1つ以上の医薬品活性剤(例えば、浸透活性剤、または血管収縮剤、またはこれらの組み合わせ)の制御放出性または持続放出性ゲルである。製剤は、in situにてゲル化可能な水溶性製剤である場合がある。このような製剤は、目の外部において目または涙液と接触した際のゲル化の促進に有効な濃度のゲル化剤を含む。適切なゲル化剤には、熱硬化性ポリマー(例えば、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの四置換エチレンジアミンブロックコポリマー(例えば、ポロキサミン))、ポリカルボフィル、および多糖類(例えば、ジェラン、カラゲナン(例えば、κ‐カラゲナンおよびι‐カラゲナン)、キトサンおよびアルギン酸ガム)が含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
本明細書で使用される「in situにてゲル化可能な」という語句は、目の外部において目または涙液と接触した際にゲルを形成する低粘度の液体だけでなく、目への投与時に粘度またはゲル剛性を実質的に増加させる半流動体およびチキソトロピーゲルなどの、より高粘度の液体も包含する。このような製剤が投与時に粘度またはゲル剛性のさらなる増加を示すことが好ましいが、最初のゲルが流涙による排出に対して十分な耐性を有しており、本明細書に明記する有効な残存時間を提供する場合には、これは絶対に必要というわけではない。
【0091】
高粘性ゲルの持続放出性眼科用製剤については、米国特許第4271143号および第4407792号に記載されている。さらに、英国特許出願第GB2007091(A)号には、カルボキシビニルポリマー、水溶性塩基性物質、および眼科用薬品の水溶液を含むゲル状の眼科用組成物が記載されている。あるいは、米国特許第4615697号には、生体接着性薬物および治療薬に基づく制御放出性組成物および使用方法が開示されている。
【0092】
ある実施形態において、本発明による医薬組成物は、局所投与用の高浸透圧性溶液として配合される場合がある。水溶液は配合が容易であり、発症した目に溶液を1、2滴滴下することによって患者が簡単に投与することができる。
【0093】
水、ならびに以下を含むがこれらに限定されない、水混合物、水混和溶剤を含めた、種々の担体がいずれも、本発明の製剤で使用される場合がある:C1‐アルカノール〜C7‐アルカノール、0.5〜5%の無毒性水溶性ポリマーを含む植物油または鉱油、天然産物(例えば、ゼラチン、アルギン酸塩、ペクチン、トラガカント、カラヤゴム、キサンタンガム、カラゲニン、寒天、およびアカシア)、デンプン誘導体(例えば、酢酸デンプンおよびヒドロキシプロピルデンプン)、さらに他の合成産物(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド)、好ましくは架橋ポリアクリル酸(例えば、中性のCarbopol)、またはこれらのポリマーの混合物)。担体の濃度は通常、活性成分の濃度の1〜100,000倍である。
【0094】
製剤に含まれる場合がある他の成分には、弾力増強剤、保存剤、可溶化剤、無毒性の賦形剤、粘滑剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、共溶媒、および粘性構築剤が含まれる。
【0095】
pH、好ましくは生理学的なpHの調節には、緩衝剤が特に有用である場合がある。本溶剤のpHは、4.0〜8.0、より好ましくは約4.0〜6.0、より好ましくは約6.5〜7.8の範囲内に維持されなければならない。ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸、炭酸水素ナトリウム、TRIS、および種々の混合リン酸緩衝剤(Na2HPO4とNaH2PO4とKH2PO4の組み合わせを含む)、およびこれらの混合物などがあるがこれらに限定されない、適切な緩衝剤が添加される場合がある。一般的に、緩衝剤は、約0.05〜2.5重量パーセント、好ましくは0.1〜1.5重量パーセントの範囲の量で使用される。
【0096】
弾力性は、通常弾力増強剤により必要に応じて調節される。このような薬剤は、例えばイオン性および/または非イオン性タイプのものである場合がある。イオン性弾力増強剤の例には、例えば、CaCl2、KBr、KCl、LiCl、Nal、NaBrまたはNaCl、Na2SO4またはホウ酸などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属ハロゲンがあるが、これらに限定されない。非イオン性弾力増強剤には、例えば、尿素、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコール、またはデキストロースがある。これらの薬剤はまた、ある実施形態において活性剤の役割を果たす場合もある。本発明の水溶液は、通常、0.9%の塩化ナトリウム溶液または2.5%のグリセロール溶液に相当する正常涙液の浸透圧に近似するように、弾力剤によって調節される。オスモル濃度は、好ましくは約225〜400mOsm/kgであり、より好ましくは280〜320mOsm/kgである。
【0097】
ある実施形態において、局所用製剤はさらに保存剤も含む。保存剤は通常、塩化ベンザルコニウム(N‐ベンジル‐N‐(C8‐C18アルキル)‐N,N‐ジメチルアンモニウムクロリド)、ベンゾキソニウムクロリドなどの第四級アンモニウム化合物から選択される場合がある。第四級アンモニウム塩と異なる保存剤の例には、チオサリチル酸のアルキル水銀塩(例えば、チメロサール、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀またはホウ酸フェニル水銀、過ホウ酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム)、パラベン(例えば、メチルパラベンまたはプロピルパラベン)、アルコール(例えば、クロロブタノール、ベンジルアルコール、またはフェニルエタノール)、グアニジン誘導体(例えば、クロロヘキシジンまたはポリヘキサメチレンビグアニド、過ホウ酸ナトリウム、Germal(登録商標)II、またはソルビン酸)がある。好適な保存剤には、第四級アンモニウム化合物、具体的にはPolyquadなどの塩化ベンザルコニウムまたはその誘導体(米国特許第4407791号を参照)、アルキル水銀塩、およびパラベンがある。適切な場合、使用中に細菌および真菌により生じる二次汚染を確実に防ぐため、十分な量の保存剤が眼科用組成物に添加される。
【0098】
別の実施形態において、本発明の局所用製剤は保存剤を含まない。このような製剤は、コンタクトレンズを着用している患者、またはいくつかの局所用眼科用滴剤を使用している患者、および/またはすでに目の表面に障害(例えば、ドライアイ)を負っている患者に有用であると考えられ、保存剤への曝露を制限する方がより望ましい場合もある。
【0099】
局所用製剤はさらに、特に活性または不活性成分が懸濁液またはエマルジョンを形成する傾向がある場合に、可溶化剤の添加を必要とする場合がある。上記に該当する組成物に適切な可溶化剤は、例えば、チロキサポール、グリセロール脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコール、グリセロールエーテル、シクロデキストリン、(例えば、アルファ‐、ベータ‐もしくはガンマ‐シクロデキストリン、例えばアルキル化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシアルキル化、もしくはアルキルオキシカルボニルアルキル化誘導体、またはモノグリコシル‐もしくはジグリコシル‐アルファ‐もしくはベータ‐もしくはガンマ‐シクロデキストリン、モノ‐もしくはジマルトシル‐アルファ、ベータ‐またはガンマ‐シクロデキストリンもしくはパノシル‐シクロデキストリン)、またはポリソルベート20、ポリソルベート80、またはこれらの化合物の混合物からなる群から選択される。特に好適な可溶化剤の具体例には、ヒマシ油とエチレンオキシドの反応産物(例えば、市販品であるCremophor EL(登録商標)またはCremophor RH40(登録商標))がある。ヒマシ油とエチレンオキシドの反応産物は、特に目においてきわめて高い耐容性がある優れた可溶化剤であることが証明されている。別の好適な可溶化剤は、チロキサポールおよびシクロデキストリンから選択される。使用する濃度は、特に活性成分の濃度に依存する。添加量は通常、活性成分を可溶化するのに十分な量である。例えば、可溶化剤の濃度は、活性成分の濃度の0.1〜5000倍である。
【0100】
製剤はさらに、無毒性の賦形剤(例えば、乳化剤)、湿潤剤または増量剤(例えば、200、300、400および600と称されるポリエチレングリコール、または1000、1500、4000、6000および10000と称されるCarbowax)も含む場合がある。添加する賦形剤の量および種類は、特定の要件に従い、一般的には約0.0001〜約90重量%の範囲である。
【0101】
他の化合物がまた、担体の粘性を増強するために本発明の製剤に添加される場合もある。粘度増強剤の例には、多糖類(例えば、ヒアルロン酸およびその塩、コンドロイチン硫酸およびその塩、デキストラン、セルロースファミリーの種々のポリマー)、ビニルポリマー、およびアクリル酸ポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0102】
4.使用方法
本発明は、被験体の眼瞼腫脹を治療および予防する方法であって、上述の新規製剤の使用を含む、方法を特徴とする。例えば、眼瞼腫脹を治療する方法は、医薬的に許容される担体中に浸透活性剤および/または血管収縮剤および/または収れん剤の有効量を含む医薬組成物を、被験体の目の表面に投与する手順を含む。別の例として、眼瞼腫脹を治療する方法は、医薬的に許容される担体中に浸透活性剤および/または血管収縮剤および/または収れん剤の有効量を含む医薬組成物を、被験体の眼瞼表面の外側および/または内側に投与する手順を含む場合もある。このような製剤の種々の実施形態については上に記載している。種々の実施形態において、組成物は、米国特許第6806364号に記載の製剤を含めた、エマルジョンまたは懸濁液、リポソーム、ローション、軟膏、クリーム、ゲル、塗剤、または散剤、および持続放出性または徐放性製剤、ならびに眼瞼ローション、または他の種類の固形もしくは半固形組成物の形態で投与される場合がある。また、目を洗浄するために、点眼薬または洗眼剤として使用される場合もある。組成物はまた噴霧可能な形態で投与される場合もある。
【0103】
製剤中の浸透活性剤および/または血管収縮剤および/または収れん剤の有効量は、薬物の吸収、不活化および排泄速度、ならびに製剤からの化合物の送達速度により変動する。浸透活性剤を含むある実施形態において、有効量はまた、製剤を高浸透圧性溶液にするために必要な薬剤の濃度により変動する。投与量の値もまた緩和される病態の重症度により変動する場合があることに留意されたい。さらに、いずれかの特定の被験体の場合には、個々の必要性、ならびに組成物を投与するまたは投与を監督する者の専門的な判断にしたがって、時間とともに特定の投与計画を調整する必要があることも理解されたい。通常、投与は、当業者に既知の技法を使用して決定される。
【0104】
本発明のいずれかの化合物の投与量は、患者の症状、年齢および他の肉体的特徴、治療または予防する障害の性質および重症度、所望の快適性の程度、投与経路、ならびに補助剤の形態により変動する。対象製剤はいずれも、1回量または分割量で投与される場合がある。本発明の製剤の投与量は、当業者に既知のまたは本明細書で教示する技法によって簡単に決定される場合がある。
【0105】
本発明のいずれかの特定の製剤の場合には、有効量、および製剤の投与時期に対するいずれかの可能性ある影響を特定することが必要となる場合がある。これは、本明細書に記載のような通常の実験により行われる場合がある。まず、製剤を投与し、本明細書に記載のような、薬剤の効能および患者の快適性の程度に関連する1つ以上の指標を測定して、治療後のこれらの指標の値と治療前の同指標の値を比較するか、あるいは治療後のこれらの指標の値と、異なる製剤を使用した場合の同指標の値を比較するによって、投与の作用を評価することにより、いずれかの製剤、および治療または予防方法の効果が評価される場合がある。
【0106】
特定の患者において最も有効な治療となるいずれかの特定の製剤の正確な投与時間および投与量は、特定の化合物の作用、薬物動態および生物学的利用能、患者の生理学的な状態(年齢、性別、疾患の種類および段階、全身の肉体的状態、特定の投与量および種類の薬物に対する応答性を含む)、投与経路などにより変動する。本明細書に示す基準は、例えば、被験体の監視、および投与量および/または投与時期の調節からなる通常の試験以外は必要としない最適な投与時間および/または投与量を決定するなど、治療を最も効果的にするために使用される場合がある。
【0107】
種々の成分の発現および作用の持続期間が著しく良好である場合があるため、本発明の組成物に配合する複数の薬剤を併用することにより、いずれかの個々の成分で必要となる投与量が削減される場合がある。このような併用療法では、異なる薬剤は一緒にまたは個別に、同時にまたは同日内の異なる時間に送達される場合がある。
【0108】
眼瞼腫脹を治療および予防するに当たっての本発明の製剤および組成物の効能は、定規、主観的スケール(例えば、これらに限定されないが、腫脹を軽度、中程度、重度、または0、1、2もしくは3、または他の適切なスケールとして決定する主観的臨床スケール)、およびスキャニング技術を含むがこれらに限定されない種々の方法を使用して眼瞼腫脹の変化を測定することにより、評価される場合がある。好適な実施形態において、眼瞼腫脹の変化は、3次元スキャニング技術を使用して評価される。スキャニング技術を使用することで、これまで正確に測定されていなかった眼瞼腫脹の1日の変動を定量化して、本発明の種々の製剤を使用した眼瞼腫脹の減少を評価することが可能となる。
【0109】
5.包装
本発明の製剤は、単回投与製品または複数回投与製品のいずれかとして包装される場合がある。単回投与製品は、包装を開封するまで無菌されており、包装内のすべての組成物が、患者の片目または両目への単回投与によって消費されるものとして意図される。包装開封後の組成物の無菌性を維持する抗菌保存剤の使用は、一般的に不要である。
【0110】
複数回投与製品もまた包装を開封するまで無菌されている。しかし、容器内の組成物をすべて消費するまでに何度も組成物の容器を開ける場合があるため、複数回投与製品は、容器を繰り返し開けて取り扱うことで組成物が微生物に汚染されないようにするのに十分な抗菌活性を有していなければならない。このために必要となる抗菌活性のレベルは、当業者に周知であり、米国薬局方(「USP」)などの公式刊行物、食品医薬品局の他の刊行物、および米国以外の各国の対応する刊行物に明記されている。微生物汚染に対する眼科用医薬品の保存の規格および特定製剤の保存剤の効能を評価する手順の詳細は、これらの刊行物に示されている。米国では、一般的に保存剤効能の基準を「USP PET」条件と呼んでいる(頭字語「PET」は「保存剤効能試験(preservative efficacy testing)」の略である)。
【0111】
眼科用組成物を保存するために使用される従来の抗菌剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)は、特にドライアイに罹患しているか、または過去に目の刺激を患っている患者において目の刺激を引き起こす場合があるため、単回投与包装構造を使用することで、組成物に抗菌性保存剤を加える必要がなくなり、このことが医学的観点から大きな利点となる。しかし、「製袋充てん」として知られるプロセスによって調製された小量プラスチックバイアルなどの現在利用可能な単回投与包装構造は、製品元や消費者にとって不都合な点がいくつかある。単回投与包装システムの主な不都合な点は、必要となる包装材の量がはるかに多くなる点であり、これは無駄が多くかつコストが高くなる上、消費者にとっても不便である。また、消費者が、指示の通りに目に1、2滴の薬剤を投与した後に単回投与容器を廃棄せず、開封した容器や容器に残った組成物を後で使用するために保管しておく危険性もある。こうした単回投与製品の不適切な使用によって、単回投与製品が微生物に汚染される危険性や、汚染された組成物を目に投与した場合に目が感染するという付随的な危険性が生じる。
【0112】
本発明の製剤は「すぐに使用できる」水溶液として配合されるのが好ましいが、代替の製剤も本発明の適用範囲内において企図される。したがって、例えば、活性成分、界面活性剤、塩、キレート剤、または点眼剤の他の成分、またはこれらの混合物を、(例えば脱イオンした、または蒸留した)水にすぐに溶解できる乾燥粉末または錠剤として、凍結乾燥させるか、または別の方法で提供することができる。溶剤の自己保存の性質により、滅菌水は不要である。
【0113】
6.キット
さらに別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載の製剤を包装および/または保存および/または使用するためのキット、ならびに本明細書に記載の方法を実施するためのキットを提供する。したがって、例えばキットは、本発明の1つ以上の眼科用製剤、錠剤またはカプセルを含有する1つ以上の容器を含む場合がある。キットは、出荷、使用および保存の1つ以上の態様を促進するように設計することができる。
【0114】
場合によりキットは、記載した製剤の使用方法を開示する指示書(すなわち、プロトコール)を含む教材を含む場合がある。教材は通常書面または印刷された資料を含むが、これらに限定されない。このような説明書を保存してエンドユーザーに伝達することができるあらゆる媒体が本発明で企図される。このような媒体には、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学式媒体(例えば、CD‐ROM)、などが含まれるが、これらに限定されない。このような媒体には、このような教材を提供するインターネットサイトのアドレスが含まれる場合がある。
【実施例】
【0115】
以上において概説してきた本発明は、以下の実施例を参照することによってさらに容易に理解することができる。これらの実施例は、単に本発明の特定の態様および実施形態を例示する目的で記載されており、いかなる方法によっても本発明を制限するものとして意図されることはない。
【0116】
(実施例1)
起床時眼瞼浮腫の治療へのナファゾリン0.1%点眼剤の使用
本試験では、眼瞼浮腫の治療におけるナファゾリン0.1%点眼剤の効能を評価した。試験に参加する11例の被験体の眼瞼体積を、1日目の午後、そして翌朝(2日目)再び病院に到着した際に記録した。来院2日目の朝に行ったスキャンでは、すべての被験体において眼瞼腫脹の増加が示された。3次元スキャニング技術を使用した測定では、起床時眼瞼腫脹の自然な進行が図10に示されている。増加は14mm3〜659mm3の範囲であった。次いで、被験体の右目にナファゾリン0.1%(血管収縮剤)を投与し、眼瞼の体積を治療から5、10、15、30および120分後に3次元スキャナを使用して評価した。図3に示す通り、ナファゾリン0.5%溶液を2滴点眼すると、ほとんどの被験体の眼瞼腫脹が減少した。被験体11例の内の9例においては、30分の時点までに未治療の目よりも治療した目(ナファゾリン0.1%)の体積により大きな減少が示された(図3B〜E、G〜K)。そして120分の時点までには、被験体11例の内の7例において、左目よりも右目の体積により大きな減少が示された(図3B、C、E、G〜I、K)。全患者のデータの概要を図3Lに示す。
【0117】
総じて、これらの結果からは、発病した目や、通常の場合血管収縮剤が使用されるような血管拡張を生じている目を除き、朝の眼瞼腫張に罹患する患者の眼瞼腫脹を減少させることができるナファゾリン0.1%の効能が実証された。
【0118】
(実施例2)
起床時眼瞼浮腫の治療への膠質浸透圧剤(NaCl5%点眼剤)の使用
上記と類似する計画の予備試験において、NaCl5%点眼剤を眼瞼浮腫の治療に有望な候補として評価した。薬物2滴を局所投与すると、数例の患者において眼瞼腫脹の減少が見られた(図4)。眼瞼腫脹は、治療から5、10、15、20、30および120分後に3次元スキャナを使用して評価した。3例の患者では、点眼後15分間を通して眼瞼腫脹の減少が示された。1例の被験体では、この減少が120分の評価時点を通して顕著に示された。残りの3例の患者では、治療が有効でなかった。
【0119】
総じて、これらの結果からは、特定の患者の眼瞼腫脹を減少させることができるNaCl5%のいくらかの効能が実証された。ベースラインからの平均変化の評価(図4G)では、この小規模の試験では統計学的に有意な差ではなかったものの、NaClの治療が陰性対照よりも数値的に優れていたことが示唆されている。
【0120】
さらに、NaCl5%と組み合わせたナファゾリン0.1%は、個別の成分よりも患者の眼瞼腫脹の減少において優れた効能を示している(図5および図6)。
【0121】
(実施例3)
起床時眼瞼浮腫の治療へのナファゾリン0.05%/NaCl5%軟膏の使用
起床時眼瞼腫脹の予防における、NaCl5%眼軟膏に溶解した塩酸ナファゾリン(0.05%)の効能を、4例の患者で評価した。午後4:30〜5:30の間に各患者のそれぞれの目の3次元スキャンを撮影した。各患者には、塩酸ナファゾリン(0.05%)を含有するNaCl5%眼軟膏が入ったバイアルを持ち帰り、就寝直前に右目の結膜嚢に軟膏を塗布するように依頼した。翌朝の午前7:30〜8:00の間に、再び患者のそれぞれの目のスキャンを行った。各患者の午前と午後の両スキャンについて、上下の眼瞼部の平均体積を計算した。平均値間の差異も同様に計算した。結果からは、治療した目の腫脹が未治療の目の半分になっていたことが示された(図7)。
【0122】
本試験で使用した最終製剤は、塩化ナトリウム(5%)、ラノリン、鉱油、精製水、白色ワセリン、および塩酸ナファゾリン(0.05%)であった。
【0123】
(実施例4)
起床時眼瞼浮腫の治療への塩化ナトリウム(2.5%)およびナファゾリン(0.1%)の使用
起床時眼瞼腫脹の治療および/または予防における、塩化ナトリウム(2.5%)溶液と組み合わせたナファゾリン(0.1%)の効能を、3次元スキャニング技術による測定で評価した。
【0124】
塩化ナトリウム(2.5%)を水で配合した後、ナファゾリンをNaCl(2.5%)溶液に溶解し、ナファゾリン(0.1%)の濃度を配合した。
【0125】
合計6例の被験体(男性、年齢25〜29歳)を評価した。試験開始時に、3次元スキャナを使用したベースラインのスキャンを各被験体のそれぞれの目に5回行った。その翌日にも、来院1日目と全く同じそれぞれの目の5回のスキャンを被験体に依頼し、撮影した。
【0126】
被験体に併用療法の薬剤2滴(各40μL)を、各滴下につき1分の間を空けて片目に投与し、他方の目には治療を行わなかった。2回目の薬剤点眼から20分後に、来院1日目と全く同じ5回のスキャンをそれぞれの目に行った。被験体には治療後の眼瞼腫脹の等級評価を依頼した。また、ベースラインと治療から20分後にデジタル写真を撮影した。
【0127】
点眼直後の快適性レベルの平均は3.3であった。起床時における眼瞼体積増加の平均は、右目が243mm3で、左目が309mm3であった。治療から20分後の減少量の平均は、治療した目が−100mm3で、未治療の目が−14mm3であった。
【0128】
これらの結果からは、NaCl2.5%によって起床時眼瞼腫脹が減少したことが示されている(図8)。ナファゾリン0.1%と組み合わせたNaCl5%に比べると、NaCl2.5%の方が効能が低かった(およそ半分)(図6および図8を参照)。これは、起床時眼瞼腫脹の治療におけるNaClの効能が濃度に直接関係していることを示唆している。
【0129】
快適性レベルの点では、NaCl5%よりも2.5%の方がより快適であり、改善が見られる。本試験の快適性レベルの平均(3.3)は、NaCl5%/ナファゾリン0.1%の組み合わせ(5.8)よりも快適であった。
【0130】
(実施例5)
起床時眼瞼浮腫の治療へのスクロース50%およびナファゾリン(0.1%)の使用
起床時眼瞼腫脹の治療および/または予防における、スクロース50%溶液と組み合わせたナファゾリン(0.1%)の効能を、3次元スキャニング技術による測定で評価した。
【0131】
スクロースを水で配合した後、ナファゾリンをスクロース溶液に溶解し、ナファゾリン(0.1%)の濃度を配合した。
【0132】
合計6例の被験体を評価し、方法は前述の試験とほぼ同じであった。試験開始時に、3次元スキャナを使用したベースラインのスキャンを各被験体のそれぞれの目に5回行った。その翌日にも、来院1日目と全く同じそれぞれの目の5回のスキャンを被験体に依頼し、撮影した。
【0133】
被験体に併用療法の薬剤2滴(各40μL)を、各滴下につき1分の間を空けて片目に投与し、他方の目には治療を行わなかった。2回目の薬剤点眼から20分後に、来院1日目と全く同じ5回のスキャンをそれぞれの目に行った。被験体には治療後の眼瞼腫脹の等級評価を依頼した。また、ベースラインと治療から20分後にデジタル写真を撮影した。
【0134】
これらの結果は、50%スクロース/ナファゾリン0.1%製剤が起床時眼瞼腫脹を減少させたことを示唆している(図9)。
【0135】
(実施例6)
起床時眼瞼浮腫の治療へのフェニレフリン0.25%軟膏の使用
起床時眼瞼腫脹の治療および/または予防におけるフェニレフリン0.25%軟膏の効能を、3次元スキャニング技術による測定で評価した。
【0136】
合計6例の被験体を評価し、方法は前述の試験とほぼ同じであった。試験開始時に、3次元スキャナを使用したベースラインのスキャンを各被験体のそれぞれの目に5回行った。その翌日にも、来院1日目と全く同じそれぞれの目の5回のスキャンを被験体に依頼し、撮影した。
【0137】
被験体に併用療法の薬剤2滴(各40μL)を、各滴下につき1分の間を空けて片目に投与し、他方の目には治療を行わなかった。2回目の薬剤点眼から20分後に、来院1日目と全く同じ5回のスキャンをそれぞれの目に行った。被験体には治療後の眼瞼腫脹の等級評価を依頼した。また、ベースラインと治療から20分後にデジタル写真を撮影した。
【0138】
これらの結果は、0.25%フェニレフリン製剤が起床時眼瞼腫脹を減少させたことを示唆している(図11)。
【0139】
(実施例7)
起床時眼瞼浮腫の治療へのナファゾリン0.1%およびNaCl5%溶液を含むマンニトール12.5%の使用
起床時眼瞼腫脹の治療および/または予防における、NaCl5%溶液中にナファゾリン0.1%を含むマンニトール12.5%の効能を、3次元スキャニング技術による測定で評価した。
【0140】
合計6例の被験体を評価し、方法は前述の試験とほぼ同じであった。試験開始時に、3次元スキャナを使用したベースラインのスキャンを各被験体のそれぞれの目に5回行った。その翌日にも、来院1日目と全く同じそれぞれの目の5回のスキャンを被験体に依頼し、撮影した。
【0141】
被験体に併用療法の薬剤2滴(各40μL)を、各滴下につき1分の間を空けて片目に投与し、他方の目には治療を行わなかった。2回目の薬剤点眼から20分後に、来院1日目と全く同じ5回のスキャンをそれぞれの目に行った。被験体には治療後の眼瞼腫脹の等級評価を依頼した。また、ベースラインと治療から20分後にデジタル写真を撮影した。
【0142】
これらの結果は、マンニトール/ナファゾリン/NaClの組み合わせが起床時眼瞼腫脹を減少させたことを示唆している(図12)。
【0143】
(実施例8)
起床時眼瞼浮腫の治療へのマンニトール12.5%溶液の使用
起床時眼瞼腫脹の治療および/または予防におけるマンニトール12.5%溶液の効能を、3次元スキャニング技術による測定で評価した。
【0144】
合計6例の被験体を評価し、方法は前述の試験とほぼ同じであった。試験開始時に、3次元スキャナを使用したベースラインのスキャンを各被験体のそれぞれの目に5回行った。その翌日にも、来院1日目と全く同じそれぞれの目の5回のスキャンを被験体に依頼し、撮影した。
【0145】
被験体に併用療法の薬剤2滴(各40μL)を、各滴下につき1分の間を空けて片目に投与し、他方の目には治療を行わなかった。2回目の薬剤点眼から20分後に、来院1日目と全く同じ5回のスキャンをそれぞれの目に行った。被験体には治療後の眼瞼腫脹の等級評価を依頼した。また、ベースラインと治療から20分後にデジタル写真を撮影した。
【0146】
これらの結果は、マンニトール12.5%溶液が起床時眼瞼腫脹を減少させたことを示唆している(図13)。
【0147】
等価物
本発明は、一部分において眼瞼腫脹の治療に使用する局所用眼科用製剤を提供する。以上において本発明の具体的な実施形態を考察してきたが、上記の明細書は例示的なものであって限定的なものではない。本明細書を詳細に検討すれば、本発明の多くの変形が当業者に明らかになるであろう。添付の特許請求の範囲は、このような実施形態および変形すべてを請求することを目的としたものではなく、本発明の全範囲は、特許請求の範囲およびこれらの等価物の全適用範囲、ならびに本明細書および当該変形を参照することによって、本発明の全適用範囲を判断しなければならない。
【0148】
以下に列挙した項目を含めて本明細書に記載したすべての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許が明示的かつ個別に参考として援用されることが明記されているかのように、全体が参考として本明細書で援用される。抵触があった場合には、本明細書のあらゆる定義を含めて本願が優先される。
【0149】
【数1】
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】眼瞼腫脹を呈する病態の表の一部を含む図である。
【図2】眼瞼腫脹に対する浸透剤の効果を示す。
【図3A】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3B】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3C】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3D】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3E】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3F】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3G】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3H】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3I】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3J】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3K】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図3L】11例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療にナファゾリン0.1%を使用した試験の結果を示す折れ線グラフである。図3A〜図3Lのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、右目(丸印)を塩酸ナファゾリン(0.1%)で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図4A】6例の被験体の起床時眼瞼浮腫の治療に使用したNaCl5%の点眼剤を評価した試験の結果を示す折れ線グラフである。図4A〜図4Gのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、エラーバーは1つの標準誤差を表し、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、ベースラインではいずれの目にも治療を行わず、右目(丸印)はNaCl5%の点眼剤で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図4B】6例の被験体の起床時眼瞼浮腫の治療に使用したNaCl5%の点眼剤を評価した試験の結果を示す折れ線グラフである。図4A〜図4Gのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、エラーバーは1つの標準誤差を表し、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、ベースラインではいずれの目にも治療を行わず、右目(丸印)はNaCl5%の点眼剤で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図4C】6例の被験体の起床時眼瞼浮腫の治療に使用したNaCl5%の点眼剤を評価した試験の結果を示す折れ線グラフである。図4A〜図4Gのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、エラーバーは1つの標準誤差を表し、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、ベースラインではいずれの目にも治療を行わず、右目(丸印)はNaCl5%の点眼剤で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図4D】6例の被験体の起床時眼瞼浮腫の治療に使用したNaCl5%の点眼剤を評価した試験の結果を示す折れ線グラフである。図4A〜図4Gのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、エラーバーは1つの標準誤差を表し、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、ベースラインではいずれの目にも治療を行わず、右目(丸印)はNaCl5%の点眼剤で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図4E】6例の被験体の起床時眼瞼浮腫の治療に使用したNaCl5%の点眼剤を評価した試験の結果を示す折れ線グラフである。図4A〜図4Gのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、エラーバーは1つの標準誤差を表し、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、ベースラインではいずれの目にも治療を行わず、右目(丸印)はNaCl5%の点眼剤で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図4F】6例の被験体の起床時眼瞼浮腫の治療に使用したNaCl5%の点眼剤を評価した試験の結果を示す折れ線グラフである。図4A〜図4Gのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、エラーバーは1つの標準誤差を表し、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、ベースラインではいずれの目にも治療を行わず、右目(丸印)はNaCl5%の点眼剤で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図4G】6例の被験体の起床時眼瞼浮腫の治療に使用したNaCl5%の点眼剤を評価した試験の結果を示す折れ線グラフである。図4A〜図4Gのそれぞれにおいて、値はベースラインを基準に示されており、エラーバーは1つの標準誤差を表し、時点は試験薬の点眼後の時間を表す。いずれの被験体についても、ベースラインではいずれの目にも治療を行わず、右目(丸印)はNaCl5%の点眼剤で治療し、左目(四角印)は治療しなかった。
【図5】起床時眼瞼腫脹の治療に使用する、ナファゾリン0.1%およびNaCl5%溶液の組み合わせと、ナファゾリン0.1%またはNaCl5%それぞれ(治療対照なし)の効能を比較した試験の結果を示す折れ線グラフである。
【図6】図5に示した試験における、ナファゾリン0.1%およびNaCl5%の組み合わせの結果を示す棒グラフである。
【図7】4例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療に使用する、NaCl5%の眼軟膏に塩酸ナファゾリン(0.05%)を溶解させた組み合わせの効能を評価した試験の結果を示す棒グラフである。
【図8】6例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療に使用する、2.NaCl5%の点眼剤に塩酸ナファゾリン(0.1%)を溶解させた組み合わせの効能を評価した試験の結果を示す棒グラフである。
【図9】6例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療に使用する、50%スクロース溶液中の塩酸ナファゾリン(0.1%)の組み合わせの効能を評価した試験の結果を示す棒グラフである。エラーバーは1つの標準誤差を表す。
【図10】起床時眼瞼腫脹の自然な進行を示す折れ線グラフである。本試験では治療は行っていない。
【図11】6例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療に使用する、フェニレフリン0.1%軟膏の効能を評価した試験の結果を示す棒グラフである。エラーバーは1つの標準誤差を表す。
【図12】6例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療に使用する、NaCl5%および12.5%マンニトールの点眼剤に塩酸ナファゾリン(0.1%)を溶解させた組み合わせの効能を評価した試験の結果を示す棒グラフである。エラーバーは1つの標準誤差を表す。
【図13】6例の被験体の起床時眼瞼腫脹の治療に使用する、12.5%マンニトールの点眼剤の効能を評価した試験の結果を示す折れ線グラフである。エラーバーは1つの標準誤差を表す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬的に許容される担体、ならびに浸透活性剤、血管収縮剤、および収れん剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つ以上の活性剤の有効量を含む、被験体の眼瞼腫脹の治療および予防に使用する局所用医薬組成物。
【請求項2】
前記活性剤が、膠質浸透圧剤および晶質浸透圧剤からなる群から選択される浸透活性剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記晶質浸透圧剤が、塩化ナトリウム、デキストロース、グリセリン、スクロース、マンニトール、およびソルビトールからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記晶質浸透圧剤の有効量が、約1%〜約10%の塩化ナトリウム、約1%〜約10%のデキストロース、約1%〜約20%のグリセリン、約1%〜約20%のマンニトール、約1%〜約95%のスクロース、および約1%〜約95%のソルビトールからなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記晶質浸透圧剤の有効量が約1%〜約10%の塩化ナトリウムである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記膠質浸透圧剤が、ヘタスターチ、ペンタスターチ、デキストラン70、デキストラン40、アルブミン、および微結晶性セルロースからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記膠質浸透圧剤が、約1%〜約10%のヘタスターチ、約1%〜約20%のペンタスターチ、約1%〜約10%のデキストラン70、約1%〜約10%のデキストラン40、約1%〜約50%のアルブミン、および約1%〜約50%の微結晶性セルロースからなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記活性剤が、ナファゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、およびテトラヒドロゾリン、または血管径を縮小させる他の薬剤からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記血管収縮剤がナファゾリンであり、有効量が約0.01%〜約0.5%である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記活性剤が、ウィッチへーゼル、硫酸亜鉛、硫酸銀、植物タンニン、オーク樹皮抽出物、ペンタガロイルグルコース、ミョウバン、ブローヴ液、リンボク抽出物、ウワミズザクラ抽出物、および天然フラバノイドからなる群から選択される収れん剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記活性剤が1つ以上の浸透活性剤および血管収縮剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記浸透活性剤が塩化ナトリウムであり、前記血管収縮剤がナファゾリンである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記塩化ナトリウムの有効量が約1%〜約10%であり、前記ナファゾリンの有効量が約0.01%〜0.5%である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記1つ以上の浸透活性剤が、塩化ナトリウム、デキストロース、スクロース、およびマンニトールから選択され、前記血管収縮剤がナファゾリンである、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
被験体の眼瞼腫脹を治療および予防する方法であって、浸透活性剤、血管収縮剤、および収れん剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つ以上の活性剤を前記被験体の目の表面に投与する手順を含む、方法。
【請求項16】
前記活性剤が、晶質浸透圧剤および膠質浸透圧剤からなる群から選択される浸透活性剤である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記晶質浸透圧剤が、塩化ナトリウム、デキストロース、グリセリン、スクロース、マンニトール、およびソルビトールからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記晶質浸透圧剤の有効量が、約1%〜約10%の塩化ナトリウム、約1%〜約10%のデキストロース、約1%〜約20%のグリセリン、約1%〜20%のマンニトール、約1%〜約95%のスクロース、および約1%〜約95%のソルビトールからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記晶質浸透圧剤の有効量が約1%〜約10%の塩化ナトリウムである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記膠質浸透圧剤が、ヘタスターチ、ペンタスターチ、デキストラン70、デキストラン40、アルブミン、および微結晶性セルロースからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記膠質浸透圧剤の有効量が、約1%〜約10%のヘタスターチ、約1%〜約20%のペンタスターチ、約1%〜約10%のデキストラン70、約1%〜約10%のデキストラン40、約1%〜約50%のアルブミン、および約1%〜約50%の微結晶性セルロースからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記活性剤が、ナファゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、およびテトラヒドロゾリン、または血管径を縮小させる他の薬剤からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記血管収縮剤がナファゾリンであり、有効量が約0.01%〜約0.5%である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記活性剤が、ウィッチへーゼル、硫酸亜鉛、硫酸銀、植物タンニン、オーク樹皮抽出物、ペンタガロイルグルコース、ミョウバン、ブローヴ液、リンボク抽出物、ウワミズザクラ抽出物、および天然フラバノイドからなる群から選択される収れん剤である、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記活性剤が浸透活性剤および血管収縮剤である、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記浸透活性剤が塩化ナトリウムであり、前記血管収縮剤がナファゾリンである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記塩化ナトリウムの有効量が約1%〜約10%であり、前記ナファゾリンの有効量が約0.01%〜0.5%である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項1〜14のいずれかに記載の医薬組成物を含むキット。
【請求項1】
医薬的に許容される担体、ならびに浸透活性剤、血管収縮剤、および収れん剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つ以上の活性剤の有効量を含む、被験体の眼瞼腫脹の治療および予防に使用する局所用医薬組成物。
【請求項2】
前記活性剤が、膠質浸透圧剤および晶質浸透圧剤からなる群から選択される浸透活性剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記晶質浸透圧剤が、塩化ナトリウム、デキストロース、グリセリン、スクロース、マンニトール、およびソルビトールからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記晶質浸透圧剤の有効量が、約1%〜約10%の塩化ナトリウム、約1%〜約10%のデキストロース、約1%〜約20%のグリセリン、約1%〜約20%のマンニトール、約1%〜約95%のスクロース、および約1%〜約95%のソルビトールからなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記晶質浸透圧剤の有効量が約1%〜約10%の塩化ナトリウムである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記膠質浸透圧剤が、ヘタスターチ、ペンタスターチ、デキストラン70、デキストラン40、アルブミン、および微結晶性セルロースからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記膠質浸透圧剤が、約1%〜約10%のヘタスターチ、約1%〜約20%のペンタスターチ、約1%〜約10%のデキストラン70、約1%〜約10%のデキストラン40、約1%〜約50%のアルブミン、および約1%〜約50%の微結晶性セルロースからなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記活性剤が、ナファゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、およびテトラヒドロゾリン、または血管径を縮小させる他の薬剤からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記血管収縮剤がナファゾリンであり、有効量が約0.01%〜約0.5%である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記活性剤が、ウィッチへーゼル、硫酸亜鉛、硫酸銀、植物タンニン、オーク樹皮抽出物、ペンタガロイルグルコース、ミョウバン、ブローヴ液、リンボク抽出物、ウワミズザクラ抽出物、および天然フラバノイドからなる群から選択される収れん剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記活性剤が1つ以上の浸透活性剤および血管収縮剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記浸透活性剤が塩化ナトリウムであり、前記血管収縮剤がナファゾリンである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記塩化ナトリウムの有効量が約1%〜約10%であり、前記ナファゾリンの有効量が約0.01%〜0.5%である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記1つ以上の浸透活性剤が、塩化ナトリウム、デキストロース、スクロース、およびマンニトールから選択され、前記血管収縮剤がナファゾリンである、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
被験体の眼瞼腫脹を治療および予防する方法であって、浸透活性剤、血管収縮剤、および収れん剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つ以上の活性剤を前記被験体の目の表面に投与する手順を含む、方法。
【請求項16】
前記活性剤が、晶質浸透圧剤および膠質浸透圧剤からなる群から選択される浸透活性剤である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記晶質浸透圧剤が、塩化ナトリウム、デキストロース、グリセリン、スクロース、マンニトール、およびソルビトールからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記晶質浸透圧剤の有効量が、約1%〜約10%の塩化ナトリウム、約1%〜約10%のデキストロース、約1%〜約20%のグリセリン、約1%〜20%のマンニトール、約1%〜約95%のスクロース、および約1%〜約95%のソルビトールからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記晶質浸透圧剤の有効量が約1%〜約10%の塩化ナトリウムである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記膠質浸透圧剤が、ヘタスターチ、ペンタスターチ、デキストラン70、デキストラン40、アルブミン、および微結晶性セルロースからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記膠質浸透圧剤の有効量が、約1%〜約10%のヘタスターチ、約1%〜約20%のペンタスターチ、約1%〜約10%のデキストラン70、約1%〜約10%のデキストラン40、約1%〜約50%のアルブミン、および約1%〜約50%の微結晶性セルロースからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記活性剤が、ナファゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、およびテトラヒドロゾリン、または血管径を縮小させる他の薬剤からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記血管収縮剤がナファゾリンであり、有効量が約0.01%〜約0.5%である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記活性剤が、ウィッチへーゼル、硫酸亜鉛、硫酸銀、植物タンニン、オーク樹皮抽出物、ペンタガロイルグルコース、ミョウバン、ブローヴ液、リンボク抽出物、ウワミズザクラ抽出物、および天然フラバノイドからなる群から選択される収れん剤である、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記活性剤が浸透活性剤および血管収縮剤である、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記浸透活性剤が塩化ナトリウムであり、前記血管収縮剤がナファゾリンである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記塩化ナトリウムの有効量が約1%〜約10%であり、前記ナファゾリンの有効量が約0.01%〜0.5%である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項1〜14のいずれかに記載の医薬組成物を含むキット。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図3J】
【図3K】
【図3L】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図3J】
【図3K】
【図3L】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−535342(P2009−535342A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507810(P2009−507810)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/010177
【国際公開番号】WO2007/127333
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(508221866)アーシエックス, インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/010177
【国際公開番号】WO2007/127333
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(508221866)アーシエックス, インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】
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