説明

眼鏡用偏光プラスチックレンズの製造方法

【課題】モールド組立ての柔軟性を確保し、偏光フィルムの成形に依存しない高品質な眼鏡用偏光プラスチックレンズの製造方法を提供する。
【解決手段】眼鏡用偏光プラスチックレンズの製造方法は、偏光フィルム14の外周部を折り曲げて偏光フィルム14の外周の側面を形成する工程と、第1のレンズ用モールド16及び偏光フィルム14の側面の周囲を包囲して第1のレンズ用モールド16と偏光フィルム14とを保持する第1の間隔保持用部材46によって、偏光フィルム14を第1のレンズ用モールド16に固定する工程と、第1及び第2のレンズ用モールド16,18及び第1の間隔保持用部材46と第2のレンズ用モールド18との周囲を包囲して、第1の間隔保持用部材46と第2のレンズ用モールド18とを保持する第2の間隔保持用部材47によって、偏光フィルム14の両側に外界と区画されるキャビティーを形成する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡用偏光プラスチックレンズの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、キャスト法でプラスチックレンズを製造する際には、モールド枠の役目をするリング状のガスケット(治具本体)と、当該ガスケットの両端開口部に嵌合される一対のモールド部材とが用いられる。前記ガスケットの側壁部にはモノマー注入口が貫通形成されており、当該注入口を介して前記両モールド部材が嵌合されたガスケット内にはレンズ材料とされるモノマーが充填注入される。そして、当該モノマーがガスケット内で固化すると、前記両モールド部材の嵌合状態が解除され、ガスケット内から所定の厚さに成形されたプラスチックレンズが取り出されるようになっている。
【0003】
このように、従来からプラスチックレンズを製造する際には、モノマー注入口が形成されたガスケットがレンズ製造用治具として用いられているが、実用上は製造されるプラスチックレンズの種類に応じて多種多様なガスケットが使い分けされている。例えば、近時においては、偏光フィルム等の機能性フィルムがレンズ厚肉内に埋設されたプラスチックレンズ(以下、「機能性レンズ」という。)の製品需要が増えているが、かかる機能性レンズを製造する際には、特許文献1に記載されているようなガスケットが使用される。
【0004】
即ち、この特許文献1に記載されたガスケットは、その側壁部内面に機能性フィルムをセット支持するための支持凸部が全周に亘って形成されており、その支持凸部の頂面には前記機能性フィルムの周縁部が差し込み支持される挿入溝が同じく全周に亘って形成されている。したがって、このガスケットを用いて前記機能性レンズを製造する際には、まず前記支持凸部の挿入溝内に機能性フィルムの周縁部を差し込み支持して当該機能性フィルムをガスケット内にセットする。そして前後一対のモールド部材をガスケットの両端開口部に各々嵌合した後、モノマー注入口からモノマーをガスケット内に注入する。すると、前記機能性フィルムによって前後2つに区画されたガスケット内の各空隙にモノマーが充填され、各空隙内のモノマーが前記機能性フィルムをサンドイッチする状態で固化する。その結果、レンズ厚肉内に機能性フィルムが埋設された機能性レンズが成形される。
【0005】
また、偏光プラスチックレンズの製造方法の一例として例えば特許文献2を挙げる。特許文献2は眼鏡用偏光プラスチックレンズに関する技術であって、偏光フィルムをモールドに保持させた状態でモールド内のキャビティーに調合されたモノマー(重合原料)を充填し、加熱硬化させた後に離型させるように製造するのが一般的である。このような製造方法によって特許文献2のような偏光フィルムがレンズによって表裏からサンドイッチ状に挟まれた偏光プラスチックレンズが得られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−311804号公報
【特許文献2】特開2005−99687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、ガスケットを用いて機能性フィルムを保持する場合、機能性フィルム毎の形状差に関係なく、ガスケットの設計・製造精度で保持位置が決ってしまうため、成形後の機能性フィルム位置(中心部)がばらついてしまい機能性レンズの薄型化に限界があるという問題があった。
【0008】
また、屈折率やベースカーブ毎にガスケットを保有する必要があり、設計変更や新素材への適応に柔軟性がなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]一軸延伸した偏光フィルムをプラスチック内部に保持させた眼鏡用偏光プラスチックレンズの製造方法であって、前記偏光フィルムの外周部を折り曲げて該偏光フィルムの外周の側面を形成する工程と、前記眼鏡用偏光プラスチックレンズの表裏いずれか一方の面を形成するための第1のレンズ用モールドの内面と前記偏光フィルムとの間を所定の間隔を空けた状態で配置するとともに、前記第1のレンズ用モールド及び前記偏光フィルムの側面の周囲を包囲して前記第1のレンズ用モールドと前記偏光フィルムとを保持する第1の間隔保持用部材によって、該偏光フィルムを前記第1のレンズ用モールドに固定する工程と、前記眼鏡用偏光プラスチックレンズの表裏いずれか他方の面を形成するための第2のレンズ用モールドの内面と前記第1のレンズ用モールドの内面との間を所定の間隔を空けた状態で配置し、前記第1及び第2のレンズ用モールド、及び前記第1の間隔保持用部材と前記第2のレンズ用モールドとの周囲を包囲して、前記第1の間隔保持用部材と前記第2のレンズ用モールドとを保持する第2の間隔保持用部材によって、前記偏光フィルムの両側に外界と区画されるキャビティーを形成する工程と、前記キャビティー内にプラスチックレンズ用のモノマーを充填する工程と、及び、前記モノマーを硬化させた後に前記第1及び第2のレンズ用モールドを離型する工程と、を含むことを特徴とする眼鏡用偏光プラスチックレンズの製造方法。
【0011】
これによれば、偏光フィルムの外周部を折り曲げた形状にすることで、外周の側面を形成し、偏光フィルムと第1のレンズ用モールドを一定の間隔に保持したまま固定化させて、偏光フィルムを第1のレンズ用モールド側で保持することで、ガスケットを使用することなく偏光フィルムをモールド内に保持することが可能となり、モールドの設計変更、眼鏡用偏光プラスチックレンズの厚さ変更への対応などガスケット重合では容易に切替えることができないこれらの要求に対して柔軟性を確保できる。
【0012】
[適用例2]上記眼鏡用偏光プラスチックレンズの製造方法であって、前記所定の間隔は、前記偏光フィルムと前記第1及び第2のレンズ用モールドとの中心基点での距離であることを特徴とする眼鏡用偏光プラスチックレンズの製造方法。
【0013】
これによれば、組立ての都度偏光フィルムと第1及び第2のレンズ用モールドとの中心基点で組み立てることにより、モールド中心に対する偏光フィルム中心の位置を常に一定にすることが可能となる。すなわち、偏光フィルムの成形精度を加味して必要以上に中心部に余裕を持たせる必要がなくなるため、眼鏡用偏光プラスチックレンズの薄型化につながり、偏光フィルムの成形精度に依存しない高品質な眼鏡用偏光プラスチックレンズを製造方法を提供できる。
【0014】
[適用例3]上記眼鏡用偏光プラスチックレンズの製造方法であって、前記第1及び第2の間隔保持用部材は、粘着テープであることを特徴とする眼鏡用偏光プラスチックレンズの製造方法。
【0015】
これによれば、重合硬化の際にキャビティー内に注入されたモノマーの収縮が生ずるが、粘着テープがモノマーの収縮に追従して収縮し、キャビティー内の空隙の発生を防止し、レンズカケ(欠け)を皆無にすることができる。すなわち、レンズカケにより廃棄するレンズが皆無となる。これにより、製造歩留りが向上するとともに、モノマーの使用量の削減、燃焼処理などによる廃棄の際に生じる排気ガスの削減などの効果が得られ、環境負荷を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係るプラスチックレンズの製造工程を示す図。
【図2】本実施形態に係る偏光フィルムの製造方法を示す図。
【図3】本実施形態に係るプラスチックレンズの製造方法を示す図。
【図4】本実施形態に係るプラスチックレンズの製造方法を示す図。
【図5】本実施形態に係るプラスチックレンズの製造方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施形態に係る眼鏡用偏光プラスチックレンズ(以降、プラスチックレンズという)の製造方法を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係るプラスチックレンズの製造工程を示す図である。本実施形態の製造方法は、図1に示すように大きく分けて5つの工程によって実行される。以下、この工程を順に説明する。
【0019】
(偏光フィルムの調整)
この工程は本実施形態の方法に使用される偏光フィルムの製造工程となる。
図2は、本実施形態に係る偏光フィルムの製造方法を示す図である。図2(A)に示すように、一軸延伸したPVA(ポリビニルアルコール)製フィルムを長方形形状にカットした平板状のシート体10を周知のプレス手段によってプレスすることで同形状の2つの球面形状の湾曲面12が形成される。この湾曲面12のカーブは製造される予定のプラスチックレンズ2(図5(B)参照)のベースカーブと略同じカーブに設定されている。偏光フィルム14は、プラスチックレンズ2のベースカーブと同じ曲率に形成されていてもよい。本実施形態では各々の湾曲面12の周囲のシート体10部分を残しながら図上破線Kに沿ってカットして偏光フィルム14を得る。
【0020】
偏光フィルム14は、図2(B)に示すように、外周に側面15が形成されている。偏光フィルム14の外周の側面15は偏光フィルム14の外周部を折り曲げることにより形成される。偏光フィルム14の外径は、第1のモールド(第1のレンズ用モールド)16の外径と略同じで、第2のモールド(第2のレンズ用モールド)18の外径より小さい。例えば、偏光フィルム14の径は、第2のモールド18の径より0.5mm程度小さい。これにより、偏光フィルム14と第1及び第2のモールド16,18とを固定するためのテーピング時のテープ厚を吸収できるためテーピング作業がスムーズに行える。
【0021】
(モールドの組立)
図3〜図5は、本実施形態に係るプラスチックレンズ2の製造方法を示す図である。
まず、図3(A)に示すように、偏光フィルム14をホルダー51に載せる。偏光フィルム14は、図3(B)に示すように、縁取りの複数個所に孔20が設けられている。本実施形態では4箇所の孔20が設けられている。これにより、プラスチック原料組成物(モノマー)の注入時、偏光フィルム14の両側に原料が回り込むようになり、キャビティー50内へのモノマーの注入をスムーズに行うことができる。
【0022】
次に、組み立てる第1のモールド16の中心高さ、保持された偏光フィルム14の中心の高さを計測する。
偏光フィルム14の高さ測定では、偏光フィルム14は軟質であるため、非接触タイプのセンサー(例えば、キーエンスCCD透過型デジタルレーザーセンサー IGシリーズ)を用いて偏光フィルム14の頂点高さを測定する。
第1のモールド16の高さ測定では、第1のモールド16は硬質なので、接触式の測定プローブを有する装置(例えば、NikonデジマイクロMFシリーズあるいはミツトヨデジマチックインジケーター543シリーズ)で型の頂点高さを測定する。
次に、図4(A)に示すように、偏光フィルム14の表方向から第1のモールド16を偏光フィルム14上に載せるようにする。具体的には、ホルダー51に保持された偏光フィルム14を、第1のモールド16に接近させる。
【0023】
第1のモールド16はガラス製の円形板状体とされている。第1のモールド16の裏面16aは成形されるプラスチックレンズ2の表面(物体側)を成形するための曲面とされている。
【0024】
第1のモールド16は、紫外線が透過する特性を有する材料であれば、特に種類(無機物、有機物)は問わない。本実施形態では、第1のモールド16にクラウンガラスを用いる。なお、光透過性の有機物(例えば樹脂)は、紫外線の照射により劣化するため、プラスチックレンズを大量に成形するモールドには適さない。しかし、コスト安の利点を利用して、例えば少量のサンプル製品等を成型するモールドに用いてもよい。
【0025】
次に、第1のモールド16と偏光フィルム14との中心高さを元に、第1のモールド16と偏光フィルム14とを任意の間隔まで近づける。その後、第1のモールド16と偏光フィルム14とを所定間隔で保持し、この2枚の第1のモールド16の側面及び偏光フィルム14の側面15に、片面に接着剤層を有する第1の粘着テープ(第1の間隔保持用部材)46を1周より少し多く巻き付ける。この際、偏光フィルム14はホルダー51を介して固定パッド52にセットされ、第1のモールド16も固定パッド52にセットされている。固定パッド52は、図示しないモーター装置から突出する回転軸54により回転駆動される。
【0026】
次に、設定された中心厚となるように第2のモールド18と対向配置させる。第2のモールド18は表裏とも同じ曲率の球面から構成されたメニスカス形状のガラス製の円形板状体とされている。第2のモールド18の表面18aは成形されるプラスチックレンズ2の裏面(眼球側)を成形するための曲面とされている。偏光フィルム14の表裏方向から第1及び第2のモールド16,18を偏光フィルム14を間に挟むようにする。
【0027】
次に、図4(B)に示すように、一対の第1の粘着テープ46で固定された第1のモールド16及び偏光フィルム14と、第2のモールド18とを、必要な間隔をとって保持し、この第1の粘着テープ46と第2のモールド18の側面に、片面に接着剤層を有する第2の粘着テープ(第2の間隔保持用部材)47を1周より少し多く巻き付ける。この際、第1の粘着テープ46で固定された第1のモールド16及び偏光フィルム14は固定パッド52にセットされ、第2のモールド18も固定パッド52にセットされている。固定パッド52は、図示しないモーター装置から突出する回転軸54により回転駆動される。
【0028】
第1及び第2の粘着テープ46,47の材質は特に限定されない。なお、使いやすさや経済性等の観点から、プラスチックの粘着テープを使用することが好ましい。例えば、基材がポリプロピレン製のものとポリエチレンテレフタレート製のものを、粘着剤には、アクリル系、天然ゴム系、シリコン系のものを各々組み合わせて用意する。なお、第2の粘着テープ47には、モノマーを注入するための注入孔(図示せず)を設けてもよい。
【0029】
このように偏光フィルム14を介在させて組み立てられた第1及び第2のモールド16,18と第1及び第2の粘着テープ46,47との状態を母型48とする。
【0030】
(モノマーの注入)
次に、図5(A)に示すように、このように組み立てられた母型48に対して調合されたモノマーを減圧下で脱気処理した後、注入孔より注入器を用いて、この一対の第1及び第2のモールド16,18と第1及び第2の粘着テープ46,47とで形成されたキャビティー50内に、キャビティー50内に気泡が残らないようにモノマーを充填する。
【0031】
(加熱・硬化)
その後、プラスチック原料組成物を充填した母型48を加熱炉に入れて加熱する。ここで、加熱温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは10〜130℃であり、加熱は、好ましくは5〜50時間、より好ましくは10〜25時間かけて昇温し、重合を行う。例えば、30℃で7時間保持し、その後30〜120℃まで10時間かけて昇温した。
【0032】
(脱型)
加熱処理が終了すると、モノマーが固化して母型48内に偏光フィルム14が内蔵されたプラスチック原料組成物硬化品が成形される。この母型48を加熱炉より取り出し、第1及び第2の粘着テープ46,47を剥離し、第1及び第2のモールド16,18とプラスチック原料組成物硬化品とを分離させ、図5(B)に示すように、周囲をカットして完成品としてプラスチックレンズ2を得る。
【0033】
本実施形態によれば、偏光フィルム14の外周部を折り曲げた形状にすることで、外周の側面を形成し、偏光フィルム14と第1のモールド16を一定の間隔に保持したまま固定化させて、偏光フィルム14を第1のモールド16側で保持することで、モールドの設計変更、プラスチックレンズ2の厚さ変更、偏光フィルム14の形状変更への対応など、ガスケット重合では容易に切り替えることができないこれらの要求に対して柔軟性を確保できる。
【0034】
また、組立ての都度偏光フィルム14と第1及び第2のモールド16,18とを一及び他所定の間隔で組み立てることにより、第1及び第2のモールド16,18の中心に対する偏光フィルム14の中心の位置を常に一定にすることが可能となる。すなわち、偏光フィルムの成形精度を加味して必要以上に中心部に余裕を持たせる必要がなくなるため、プラスチックレンズ2の薄型化につながり、偏光フィルム14の成形精度に依存しない高品質なプラスチックレンズ2の製造方法を提供できる。
【0035】
また、組立ての都度偏光フィルム14と第1及び第2のモールド16,18とを一及び他所定の間隔で組み立てることにより、常に同じ厚さで組み立てることが可能となり、プラスチックレンズ2の薄型化につながるので、偏光フィルム14の成形に依存しない高品質なプラスチックレンズ2の製造方法を提供できる。
【0036】
更に、第1のモールド16、偏光フィルム14、及び第2のモールド18をこの順で並べて第1及び第2の粘着テープ46,47でテーピングするだけで偏光フィルム14を内部に配置したモノマーが充填(封入)されたキャビティー50が形成されることとなり、プラスチックレンズ2を製造するためのキャビティー構築が従来に比べて格段に速く簡単にできることとなってトータルとしてコストダウンに貢献する。
【0037】
なお、この発明は、次のように変更して具体化することも可能である。上記実施形態で第1のモールド16と偏光フィルム14とを近接させる場合、偏光フィルム14のみを移動させるだけでなく、第1のモールド16を移動させる方法や第1のモールド16と偏光フィルム14との両方を移動させて近接させてもよい。
【0038】
上記実施形態では平板なホルダー51を例として挙げたが、ホルダー51の偏光フィルム14と対向する面を偏光フィルム14と同じような湾曲面として、偏光フィルム14面がホルダー51面に密着するようにしてもよい。その際、偏光フィルム14がホルダー51により密着するように、ホルダー51側に偏光フィルム14を吸着する手段を設けてもよい。例えば、吸引、静電気等である。
【0039】
上記実施形態では球面形状に湾曲した偏光フィルム14を例として挙げたが、平板な偏光フィルム14に応用するようにしてもよい。また、偏光フィルム14は必ずしも周囲円形形状に構成されていなくともよい。
【0040】
上記実施形態の偏光フィルム14の材質は上記に限定されるものではない。上記実施形態ではPVAであったがその他ポリエチレンテレフタレート等の他のプラスチックを使用することも可能である。また、PVA等の偏光フィルムの両面をトリアセチルセルロースやポリカーボネートで挟んだフィルムや、PVA等の偏光フィルムの片面にトリアセチルセルロースやポリカーボネートを貼り付けたフィルムを使用することも可能である。
【0041】
上記実施形態の第1及び第2のモールド16,18の保持方法は、第1及び第2の粘着テープ46,47を例示しているが、応用としてガスケットを使用してもよい。
上記実施形態の偏光フィルム14は、縁取りの4箇所に円形状の孔20を例示しているが、孔は円形状に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0042】
2…プラスチックレンズ(眼鏡用偏光プラスチックレンズ) 10…シート体 12…湾曲面 14…偏光フィルム 15…側面 16…第1のモールド(第1のレンズ用モールド) 16a…裏面 18…第2のモールド(第2のレンズ用モールド) 18a…表面 20…孔 46…第1の粘着テープ(第1の間隔保持用部材) 47…第2の粘着テープ(第2の間隔保持用部材) 48…母型 50…キャビティー 51…ホルダー 52…固定パッド 54…回転軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一軸延伸した偏光フィルムをプラスチック内部に保持させた眼鏡用偏光プラスチックレンズの製造方法であって、
前記偏光フィルムの外周部を折り曲げて該偏光フィルムの外周の側面を形成する工程と、
前記眼鏡用偏光プラスチックレンズの表裏いずれか一方の面を形成するための第1のレンズ用モールドの内面と前記偏光フィルムとの間を所定の間隔を空けた状態で配置するとともに、前記第1のレンズ用モールド及び前記偏光フィルムの側面の周囲を包囲して前記第1のレンズ用モールドと前記偏光フィルムとを保持する第1の間隔保持用部材によって、該偏光フィルムを前記第1のレンズ用モールドに固定する工程と、
前記眼鏡用偏光プラスチックレンズの表裏いずれか他方の面を形成するための第2のレンズ用モールドの内面と前記第1のレンズ用モールドの内面との間を所定の間隔を空けた状態で配置し、前記第1及び第2のレンズ用モールド、及び前記第1の間隔保持用部材と前記第2のレンズ用モールドとの周囲を包囲して、前記第1の間隔保持用部材と前記第2のレンズ用モールドとを保持する第2の間隔保持用部材によって、前記偏光フィルムの両側に外界と区画されるキャビティーを形成する工程と、
前記キャビティー内にプラスチックレンズ用のモノマーを充填する工程と、及び、
前記モノマーを硬化させた後に前記第1及び第2のレンズ用モールドを離型する工程と、
を含むことを特徴とする眼鏡用偏光プラスチックレンズの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の眼鏡用偏光プラスチックレンズの製造方法において、
前記所定の間隔は、前記偏光フィルムと前記第1及び第2のレンズ用モールドとの中心基点での距離であることを特徴とする眼鏡用偏光プラスチックレンズの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の眼鏡用偏光プラスチックレンズの製造方法において、
前記第1及び第2の間隔保持用部材は、粘着テープであることを特徴とする眼鏡用偏光プラスチックレンズの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−198390(P2012−198390A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62539(P2011−62539)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】