説明

着座スイッチ

【課題】導電糸を用いることでシートカバーと一体に形成することができる着座スイッチを提供する。
【解決手段】シートカバー4と一体に形成されている着座センサ1であって、シートカバーは表皮5と弾性体から成るスペーサ6と下布7とを積層して形成され、表皮に織り込まれている表皮導電糸8と、表皮導電糸に対向して下布に織り込まれている下布導電糸9と、スペーサの表皮導電糸及び下布導電糸が対向する位置に設けられた連通孔10と、を備えることを特徴とする。また、縫製等によるシートカバーの通常の製造工程で着座スイッチを一体形成することができるので、従来のようにシートとは別体の着座スイッチを設ける場合に比べて、シート形状の変更は不要であり、また着座スイッチをシート本体に取り付けるための独立した製造工程も不要となり、作業性を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートのシートカバーと一体に形成される着座スイッチに関する。更に詳しくは、導電糸を用いることでシートカバーと一体に形成することができる着座スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カーボン等の導電ペーストのスクリーン印刷等により電極パターンを形成した樹脂シートを用いてメンブレンスイッチを構成し、これを車両用シートの下部に配設して乗員の着席を検出する着座スイッチが知られている(例えば特許文献1、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−311565号公報
【特許文献2】特開2006−62562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような、特許文献1及び2に示すような着座スイッチは、樹脂シートに導電パターンを形成しているため硬い樹脂シートを使用しなければならず、着座スイッチをシートのカバーの表皮付近に設けると着座した乗員が違和感を感じるという問題がある。このため、着座スイッチをシートの底部付近に配設することが一般に行われている。このように配設することで、着座スイッチは乗員に対してクッション材を介して配設されることになり、樹脂シートに由来する着座時の違和感を解消することができる。
しかし、着座スイッチをこのようなシートの底部付近に配設する場合は、シートに着座スイッチを配設する場所を設けるためにシート形状の変更が必要であったり、着座スイッチを取り付ける製造工程が増えたりするため煩雑である。また、乗員の着座はクッション材を介して検出されるので、着座スイッチの感度は低いものとなってしまう。
本発明は、前記現状に鑑みてなされたものであり、導電糸を用いることでシートカバーと一体に形成することができる着座スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の通りである。
1.シートカバーと一体に形成されている着座スイッチであって、前記シートカバーは表皮と弾性体から成るスペーサと下布とを積層して形成され、前記着座スイッチは、前記表皮に織り込まれている表皮導電糸と、前記下布に織り込まれている下布導電糸と、前記スペーサに1以上設けられている連通孔と、を備え、前記表皮導電糸及び前記下布導電糸は、前記連通孔の位置で対向且つ露出していることを特徴とする着座スイッチ。
2.前記表皮導電糸及び前記下布導電糸は、前記連通孔の位置で直交する方向に設けられている上記1.記載の着座スイッチ。
3.前記表皮及び前記下布は、前記表皮導電糸及び前記下布導電糸の前記連通孔の位置で露出する表面にそれぞれ電極膜が形成されている上記1.又は上記2.記載の着座スイッチ。
4.前記表皮導電糸及び前記下布導電糸は、1つの前記連通孔の位置で露出する位置で、それぞれ複数本が露出するように設けられている上記1.乃至上記3.のいずれかに記載の着座スイッチ。
5.前記表皮導電糸及び前記下布導電糸は、前記連通孔の位置において、該連通孔側で露出する側が反対側より長い比率で織り込まれている上記1.乃至上記4.のいずれかに記載の着座スイッチ。
【発明の効果】
【0006】
本発明の着座スイッチによれば、表皮に織り込まれている表皮導電糸と、下布に織り込まれている下布導電糸と、これらの間に介在させたスペーサと、から成るので、着座スイッチをシートカバーと一体化することができる。このため、表皮導電糸及び下布導電糸をそれぞれ表皮及び下布に織り混ぜておき、スペーサと共に積層して、縫製等によるシートカバーの通常の製造工程で着座スイッチを一体形成することができるので、従来のようにシートとは別体の着座スイッチを設ける場合に比べて、シート形状の変更は不要であり、また着座スイッチをシート本体に取り付けるための独立した製造工程も不要となり、作業性を向上することができる。更に、シートの部品点数が減少するのでコスト削減を図ることができる。また、着座スイッチの位置が従来はシートの厚いクッション材の下であったものがクッション材の上になるので、着座スイッチの感度を高めることができる。しかも、従来のメンブレンスイッチを用いた着座スイッチと比べて着座スイッチの構造が極めて簡素化するので、故障が起き難く信頼性を高めることができる。
【0007】
また、表皮導電糸及び下布導電糸が、連通孔の位置で直交する向きに設けられている場合は、同方向を向いて設けられる場合に比べて検出の信頼性を高めることができる。
更に、表皮導電糸及び下布導電糸の連通孔で露出する位置にそれぞれ電極膜が形成されている場合は、乗員着座時には表皮導電糸及び下布導電糸の電極膜同士が接触するので、導電糸同士が接触する場合に比べて接触面積を大きくして信頼性を高めることができると共に、耐久性を高めることができる。
また、表皮導電糸及び下布導電糸が、1つの連通孔に対してそれぞれ複数本設けられている場合は、電極膜を用いない場合でも表皮導電糸と下布導電糸が接触する面積を広くでき、また、一部の導電糸が切断したとしても他の導電糸により導電性が確保されるので、検出の信頼性を高めることができる。
そして、例えば図7に例示するように、表皮導電糸8及び下布導電糸9が、表皮5及び下布7の連通孔に露出する側5A、7Aが反対側5B、7Bより長い場合は、連通孔における導電糸の露出面積が広くなるので、検出の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施例に係る着座スイッチの中央縦断面側面図であり、(A)は着座していないとき、(B)は着座しているときをそれぞれ示す。
【図2】本実施例に係る着座スイッチを搭載した車両用シートカバーの斜視図である。
【図3】本実施例に係る着座スイッチの分解組立斜視図である。
【図4】本実施例に係る着座スイッチの検出回路の例を示す概略図である。
【図5】1本の導電糸が表皮(下布)に織り込まれている様子を示す模式断面図である。
【図6】2本の導電糸が交互に表皮(下布)に織り込まれている様子を示す模式断面図である。
【図7】1本の導電糸が表皮(下布)に織り込まれ、連通孔側で露出する側が反対側より長い比率で織り込まれている様子を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1〜7を参照しながら本発明の着座スイッチを詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
本発明に係る着座スイッチは、シートカバーと一体に形成されている着座スイッチであって、シートカバーは表皮と弾性体から成るスペーサと下布とを積層して形成され、表皮に織り込まれている表皮導電糸と、下布に織り込まれている下布導電糸と、スペーサに形成されている連通孔と、を備えることを特徴とする。
着座スイッチがシートカバーに配置される位置は任意に選択することができ、例えば、シートの座面の中央部とすることができる(例えば図2の着座スイッチ1を参照。)。
【0011】
上記「シート」は、車両用シートであって、クッション材及び芯材等の周囲をシートカバーにより包んだものである限り、その形状、構造、材質等は特に問わない。上記「シートカバー」は、シートの座面に設けられて、表皮と弾性体から成るスペーサと下布とを積層して形成されるものである限り、その形状、構造、材質等は特に問わない。
上記「表皮」、及び裏基布である「下布」は織布である限り、その形状、構造、材質等は特に問わない。上記「スペーサ」は弾性体であってクッション材等として機能する限り、その形状、構造、材質等は特に問わない。このような例として、厚さ5〜10mm程度の発泡ウレタン製とすることができる。シートカバーは、これら表皮、スペーサ及び下布が積層され、縫製及び接着等の任意の手段により一体に形成されてなる。更に、表皮に防水加工を施したものとすることで、着座スイッチの防水性を得ることができる。これにより、雨等によりシートに水滴が付着したり、液体をこぼしたりした場合であっても連通孔に液体が浸入することを防止して着座スイッチの誤動作を防止することができる。更に、下布に防水加工を施したものとすることで、防水性を更に高めることができる。
【0012】
上記「表皮導電糸」は、導通性を備え、表皮に織り込まれて、且つ下布導電糸と接触することで導通して乗員の着座を検知することができる限り、その形状、構造、材質、本数及び太さ等は特に問わない。同様に、上記「下布導電糸」は、導通性を備え、下布に織り込まれて、表皮導電糸と接触することで導通して乗員の着座を検知することができる限り、その形状、構造、材質、本数及び太さ等は特に問わない。これら表皮導電糸及び下布導電糸を、表皮及び下布に織り込む方法は任意に選択することができ、例えば、表皮導電糸及び下布導電糸を、緯糸又は経糸の一部又は全てに用いて表皮及び下布を製造することによって織り込むことができる。
また、表皮導電糸及び下布導電糸は図5に例示するように、1本の表皮導電糸8(下布導電糸9)のみを表皮5(下布7)に織り込んでもよいし、図6に例示するように、2本の表皮導電糸8、8’(下布導電糸9、9’)を表皮5(下布7)に緯糸として二重織り等により織り込んでもよい。このように織り込むことで、導電糸が連続して表面に露出するようになるため、対向する導電糸との接触性を向上させることができる。
【0013】
これら表皮導電糸及び下布導電糸は、連通孔の位置で対向し、且つ表皮及び下布から露出している。対向するように配置することで、図1(B)に例示するように表皮5及び下布7の対向する面が接触したときに対向する表皮導電糸8と下布導電糸9が接触し、表皮導電糸8と下布導電糸9とが導通し、着座を検出することができる。また、表皮導電糸及び下布導電糸は、直交する向きに設けるようにできる{例えば図1(B)及び図3の表皮導電糸8及び下布導電糸9を参照。}。
導電糸の材質は導電性を備えていれば良く、ステンレス線やカーボン繊維としたり、あるいは何かの繊維の表面を銅、ニッケル、銀等の金属材により被覆したメッキ繊維等としたりすることができる。導電糸の太さとしては、例えば0.10〜0.70mm、好ましくは0.12mmにすることができる。
導電糸の本数としては、1つの連通孔に対して1本、あるいはそれ以上、例えば3本となるように配置できる(例えば図3の表皮導電糸8及び下布導電糸9を参照。)。導電糸の織り込みの間隔は、例えば1〜10mm程度の間隔とできる。
また、各導電糸の織り込まれているピッチは、図1及び図5に例示する導電糸8、9に例示するように各面において均等なものとしたり、あるいは図7に例示するように連通孔に露出する側5A、7Aの面の織り込みのピッチを、反対側5B、7Bの面のピッチより長くしたりし、且つその部分では導電糸が連通孔側に露出しているようにできる。
更に、表皮導電糸及び下布導電糸の連通孔で露出する位置には、各導電糸のそれぞれに導通している電極膜が形成されているようにできる。このような電極膜としては、カーボンや銅、錫及びニッケル等の金属、並びにこれらの合金等を圧着、溶着、印刷、含浸、吹き付け、メッキ等により設けたものとすることができる。更に、電極膜の表面を任意の金属でメッキすることができる。
【0014】
上記「連通孔」は、スペーサの表皮導電糸及び下布導電糸が対向する位置に設けられて、これらが接触可能である限り、その形状、大きさ、構造、材質、数量等は特に問わない。連通孔の形状としては、例えば円柱形及び多角形等とすることができる。連通孔を配置する数は1以上の任意の数を選択することができる。更に連通孔を複数配置する場合の配列方法も任意の形状で任意の数だけ選択することができ、例えば縦横に配列することができる(例えば、図3の連通孔10を参照。)。
【実施例】
【0015】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。本実施例は、自動車等の車両用シートカバーに一体に形成されている着座スイッチである。また、このような着座スイッチを備えている車両用シートカバーを自動車のシートに配設した場合について説明する。
(1)着座スイッチの構成
本実施例に係る着座スイッチ1は、図1〜図3に示すように、シート2の座面3に設けられたシートカバー4と一体に形成されている。このシートカバー4は、表皮5と、スペーサ6と、下布7と、を接着により積層して一体形成されている。スペーサ6及び下布7は、シート2の内部に収容されている。着座スイッチ1の配置位置は、図2に示すように、シート2の座面3の中央部としている。
【0016】
表皮5はシート表皮であり、織布製で防水加工を施されている。この表皮5には表皮導電糸8が織り込まれている。表皮導電糸8は直径0.12mmのステンレス線であり、3本1組で5組が0.12〜2mm程度の間隔を開けて緯糸として織り込まれている。下布7は織布製で、下布導電糸9が緯糸として織り込まれている。下布導電糸9も表皮導電糸8と同様の導電糸としているが、表皮導電糸8とは対向時に直交するよう配置されている。これら表皮導電糸8及び下布導電糸9は、後述する連通孔10の位置で対向且つ露出している。
スペーサ6は発泡ウレタン製であって、クッション材等として機能する。このスペーサ6の表皮導電糸8及び下布導電糸9が対向する位置には、連通孔10が形成されている。即ち、連通孔10は、縦5、横5の方形状に配置されている。また、連通孔10は直径20mmの円柱形状としている。
このため、図1(B)に示すように、着座スイッチ1に縦方向に外力が加わることにより、スペーサ6が弾性的に圧縮され、連通孔10において表皮導電糸8及び下布導電糸9が接触して導通する。
【0017】
ここで、各導電糸8,9は、図1及び7に示すように、連通孔10に露出する位置5A、7Aで織り込みピッチが反対側5B、7Bより長くされており、且つその部分では導電糸8,9が連通孔10側に露出されている。また、各導電糸8,9の連通孔10で露出する位置には、それぞれ電極膜11,12が形成されている。電極膜11,12としては、直径約20mmの薄い円板状のカーボンペーストを表皮5及び下布7に噴霧又は塗布後、固化させることによって形成されている。
一方、表皮導電糸8の一端部には取出導電糸13が接続されている。また、下布導電糸9の一端部にもまた取出導電糸14が接続されている。これら取出導電糸13,14は、表皮5及び下布7に予め織り込むか、縫い止められることによって配設、且つ表皮導電糸8及び下布導電糸9と導通されている。また、これらの取出導電糸13,14は、図4に示すように、検出回路15に接続されている。このような取出導電糸13,14により検出回路15と接続することで、金属線等を用いたときと比べて着席したときの違和感をなくすことができる。
更に、検出回路15は適宜CPU16等に接続され、着座者の有無に応じた検出回路15からの信号に対応して、エアバッグECU17等に適宜着座状態の信号を送る。また、検出回路15と取出導電糸13,14との接続方法は任意の接続方法を選択することができ、例えば圧接及び縫製等を挙げることができる。
【0018】
(2)着座スイッチの作用
次に、上記構成の着座スイッチ1の作用について説明する。
乗員が着座していないときは、図1(A)に示すように、スペーサ6により表皮5と下布7とのクリアランスが確保され表皮5と下布7との各電極膜11,12は離れているので、表皮導電糸8と下布導電糸9との間の非導通状態となっている。この非導通状態が検出回路15により検出され、乗員が着座していないものと検知される。
乗員18が着座したときは、図1(B)に示すように、表皮5の上側から外力が加えられる。これにより、スペーサ6が弾性変形して薄くなり、表皮5と下布7との電極膜11,12同士が接触する。このため、表皮導電糸8と下布導電糸9とが電極膜11,12を通じて導通し、この導通状態が検出回路15により検出され、乗員18が着座しているものと検知される。その後、乗員18が立ち上がると、弾性変形しているスペーサ6の連通孔の形状が復元して表皮5と下布7との各電極膜11,12が再び離れ、表皮導電糸8と下布導電糸9との間は再び非導通状態となる。
【0019】
(3)実施例の効果
本実施例の着座スイッチ1によると、表皮5に織り込んだ表皮導電糸8と、下布7に織り込んだ下布導電糸9と、これらの間に介在させたスペーサ6とから成るので、着座スイッチ1をシートカバー4と一体化することができる。このため、表皮導電糸8及び下布導電糸9はそれぞれ表皮5及び下布7の製造時に織り込んでおき、スペーサ6と共に積層するだけの簡単な工程で着座スイッチ1を設けることができるので、従来のようにシート2とは別体の着座スイッチを設ける場合に比べて、シートに着座スイッチの収納場所を設ける必要が無く、また着座スイッチを取り付けるための製造工程も不要となり、作業性を向上することができる。更に、部品点数が減少するのでコスト削減を図ることができる。
また、着座スイッチ1の位置が従来はシート2のクッション材の下であったものがクッション材の上になるので、着座スイッチ1の感度を高めることができる。しかも、従来のメンブレンスイッチと比べて着座スイッチ1の構造が極めて簡素化するので、故障が起き難く信頼性を高めることができる。
【0020】
更に、表皮導電糸8及び下布導電糸9にそれぞれ電極膜11,12が形成されているので、乗員着座時には表皮導電糸8及び下布導電糸9の電極膜11,12同士が接触するようになる。このため、導電糸8,9同士が接触する場合に比べて接触面積を大きくして信頼性を高めることができると共に、耐久性を高めることができる。
また、表皮導電糸8及び下布導電糸9が、3本1組になっているので、導電糸8,9がより接触しやすくなって導電性が確保され、着座検出の信頼性を高めることができる。
そして、表皮導電糸8及び下布導電糸9が、表皮5及び下布7の連通孔に露出する側5A、7Aが反対側5B、7Bより長い場合は、連通孔10における導電糸8,9の露出面積が広くなり、電極膜11,12との接触面積が広くなって検出の信頼性を高めることができる。
【0021】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、導電糸8,9は3本1組としたが、これに限定されず、導電糸8,9を1本ずつ設けるようにしてもよい。この場合、各連通孔10には表皮導電糸8及び下布導電糸9がそれぞれ1本ずつ交差することになり、全体で必要な導電糸8,9の本数を削減することができる。
また、上記実施例では、表皮導電糸8及び下布導電糸9は直交するように設けたが、これに限定されず、平行あるいは他の角度で交差するように設けてもよい。
また、上記実施例では、導電糸8,9の直径は0.12mmとしたが、これに限定されず、他の太さであってもよい。例えば、より細くすることにより、着座時の違和感を更に小さくすることができる。更に、導電糸8,9はステンレス製としたが、これに限定されず、他の材質のものを使用してもよい。
【0022】
そして、上記実施例では、各導電糸8,9は、連通孔10に露出する位置で織り込みピッチが他部より長くされているが、これに限定されず、織り込みピッチを全体で均一なものとしてもよい。
また、上記実施例では、電極膜11,12を設けたが、これに限定されず、電極膜11,12を設けずに表皮導電糸8及び下布導電糸9が直接接触するようにしてもよい。この場合、電極膜11,12を設ける工程を削減できるので、着座スイッチ1の製造工程を簡略化することができる。あるいは、例えば、表皮導電糸8には電極膜11を設けず、下布導電糸9にのみ電極膜12を設けてもよいし、又はその逆となるようにしてもよい。
また、上記実施例では、連通孔10は縦5つ、横5つ、計25ヶ所に配置したが、これに限定されず、配置パターンや配置数は適宜変更することができる。
更に、上記実施例では、表皮5とスペーサ6と下布7とを縫製により一体化しているが、これに限定されず、例えば接着により一体化するようにしてもよい。また、図6に例示するように、2本の表皮導電糸8、8’(下布導電糸9、9’)を表皮5(下布7)に緯糸として二重織り等により織り込んでもよい。このように織ることで、表皮導電糸8、8’(下布導電糸9、9’)が連続して表面に露出するようになるため、対向する導電糸との接触性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本着座スイッチは、車両用シートのシートカバーに着座スイッチを一体形成する技術として利用される。特に、シートカバーを構成する表皮及び下布に導電糸を織り込んで、これにより着座スイッチをシートカバーと一体に形成する技術として好適に利用される。
【符号の説明】
【0024】
1;着座スイッチ、2;シート、4;シートカバー、5;表皮、6;スペーサ、7;下布、8;表皮導電糸、9;下布導電糸、10;連通孔、11;表皮の電極膜、12;下布の電極膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートカバーと一体に形成されている着座スイッチであって、
前記シートカバーは表皮と弾性体から成るスペーサと下布とを積層して形成され、
前記着座スイッチは、前記表皮に織り込まれている表皮導電糸と、前記下布に織り込まれている下布導電糸と、前記スペーサに1以上設けられている連通孔と、を備え、
前記表皮導電糸及び前記下布導電糸は、前記連通孔の位置で対向且つ露出していることを特徴とする着座スイッチ。
【請求項2】
前記表皮導電糸及び前記下布導電糸は、前記連通孔の位置で直交する方向に設けられている請求項1記載の着座スイッチ。
【請求項3】
前記表皮及び前記下布は、前記表皮導電糸及び前記下布導電糸の前記連通孔の位置で露出する表面にそれぞれ電極膜が形成されている請求項1又は2記載の着座スイッチ。
【請求項4】
前記表皮導電糸及び前記下布導電糸は、1つの前記連通孔の位置で露出する位置で、それぞれ複数本が露出するように設けられている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の着座スイッチ。
【請求項5】
前記表皮導電糸及び前記下布導電糸は、前記連通孔の位置において、該連通孔側で露出する側が反対側より長い比率で織り込まれている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の着座スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−222365(P2011−222365A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91779(P2010−91779)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】