説明

着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物及び該着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物を用いたカラーフィルタ

【課題】感度、解像度、密着性等に優れ、微細パターンを精度良く形成できる着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物、及び該着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物を用いたカラーフィルタを提供すること。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるエポキシ化合物にポリカルボン酸を付加させた構造を有するエポキシ樹脂に、不飽和一塩基酸を付加させた構造を有するエポキシ付加物に、多塩基酸無水物をエステル化させて得られる構造を有する光重合性不飽和化合物を含有するアルカリ現像性樹脂組成物に、さらに光重合開始剤及び色材を含有させることを特徴とする着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスパネル、ビデオカメラ等に用いられるカラーフィルタの作成に好適に使用される着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物、及び該着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物を用いたカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物は、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含有するアルカリ現像性樹脂組成物に、顔料又は染料等の色材、及び光重合開始剤を含有するものである。この着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物は、紫外線もしくは電子線を照射することによって重合硬化させることができるので、光硬化性インキ、感光性印刷版、プリント配線版、各種フォトレジスト等に用いられている。最近、電子機器の軽薄短小化や高機能化の進展に伴い、微細パターンを精度良く形成することが望まれている。
【0003】
アルカリ現像性樹脂組成物及びアルカリ現像型感光性樹脂組成物に関し、下記特許文献1には、エチレン性不飽和結合を持つプレポリマーを含有する感光性樹脂組成物が提案されている。また、下記特許文献2には、不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂を含有する感光性樹脂組成物が提案されている。しかし、これらの公知のアルカリ現像型感光性樹脂組成物は、解像度や密着性が充分でなく、適切なパターン形状や微細パターンを得ることが困難であった。そのため、解像度、密着性に優れ、微細パターンを精度良く形成できるアルカリ現像型感光性樹脂組成物が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】特開2000−235261号公報
【特許文献2】特開2000−355621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、上述したように、高解像度で密着性に優れ、適切なパターン形状や微細パターンを得ることのできる着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物がこれまでなかったということである。
【0006】
従って、本発明の目的は、感度、解像度、密着性等に優れ、微細パターンを精度良く形成できる着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物、及び該着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物を用いたカラーフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記一般式(I)で表されるエポキシ化合物にポリカルボン酸を付加させた構造を有するエポキシ樹脂(A)に、不飽和一塩基酸(B)を付加させた構造を有するエポキシ付加物に、多塩基酸無水物(C)をエステル化させて得られる構造を有する光重合性不飽和化合物(X)を含有するアルカリ現像性樹脂組成物に、さらに光重合開始剤(F)及び色材(G)を含有させることを特徴とする着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0008】
【化1】

(式中、Cyは炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を示し、Xは水素原子、フェニル基又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を示し、前記フェニル基又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基は、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基若しくはハロゲン原子により置換されていてもよく、Y及びZは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又はハロゲン原子を示し、アルキル基、アルコキシ基及びアルケニル基はハロゲン原子で置換されていてもよく、nは0〜10の数を示し、pは0〜4の数を示し、rは0〜4の数を表す。)
【0009】
また、本発明は、上記エポキシ樹脂(A)に不飽和一塩基酸(B)を付加させた構造を有するエポキシ付加物に、多塩基酸無水物(C)をエステル化させて得られる反応生成物に、さらにエポキシ化合物(D)を付加させて得られる構造を有する光重合性不飽和化合物(Y)を含有するアルカリ現像性樹脂組成物に、さらに光重合開始剤(F)及び色材(G)を含有させることを特徴とする着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物を提供することにより、上記目的を達成したものです。
【0010】
また、上記エポキシ樹脂(A)に不飽和一塩基酸(B)を付加させた構造を有するエポキシ付加物に、多塩基酸無水物(C)をエステル化させて得られる構造を有する反応生成物に、エポキシ化合物(D)を付加させ、さらに多塩基酸無水物(E)をエステル化させて得られる構造を有する光重合性不飽和化合物(Z)を含有するアルカリ現像性樹脂組成物に、さらに光重合開始剤(F)及び色材(G)を含有させることを特徴とする着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0011】
また、本発明は、上記着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物を用いたカラーフィルタを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物は、感度、解像度及び密着性に優れ、微細パターンを精度良く形成でき、カラーフィルタとして好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物について、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
【0014】
本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物は、光重合性不飽和化合物(X)、(Y)又は(Z)を含有するアルカリ現像性樹脂組成物に、光重合開始剤(F)及び顔料又は染料等の色材(G)を含有させてなるものであり、具体的には光重合性不飽和化合物(X)、(Y)又は(Z)の含有量が、上記着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物中、1〜70質量%であり、上記光重合開始剤(F)の含有量が、上記着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物中、0.1〜30質量%であり、上記色材(G)の含有量が、該着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物から溶媒を除く全固形成分中0.5〜70質量%であるものである。
【0015】
本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物は、上記一般式(I)で表されるエポキシ化合物にポリカルボン酸を付加させた構造を有するエポキシ樹脂(A)に、不飽和一塩基酸(B)を、上記エポキシ樹脂(A)のエポキシ基1個に対し、上記不飽和一塩基酸(B)のカルボキシル基が0.1〜1.0個となる比率で付加させた構造を有するエポキシ付加物に対し、多塩基酸無水物(C)を、上記エポキシ付加物の水酸基1個に対し酸無水物構造が0.1〜1.0個となる比率でエステル化させた構造を有する光重合性不飽和化合物(X)、続いて必要に応じて上記エポキシ化合物(D)を、上記エポキシ付加物の水酸基1個に対しエポキシ基が0.1〜1.0個となる比率で付加させて得られる光重合性不飽和化合物(Y)、続いて上記多塩基酸無水物(E)を、上記エポキシ化合物の水酸基1個に対し酸無水物構造が0.1〜1.0個となる比率でエステル化させた構造を有する光重合性不飽和化合物(Z)を含有する。
【0016】
上記エポキシ樹脂(A)のエポキシ基1個に対する上記不飽和一塩基酸(B)のカルボキシル基の比率は、好ましくは0.3〜1.0個である。また、上記エポキシ化合物の水酸基1個に対し、多塩基酸無水物(C)の酸無水物構造の比率は好ましくは0.3〜0.95個であり、上記エポキシ化合物(D)のエポキシ基の比率は好ましくは0.3〜0.9個であり、上記多塩基酸無水物(E)の酸無水物構造の比率は好ましくは0.3〜0.7個である。
【0017】
上記一般式(I)中、Cyで示される炭素原子数3〜10のシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等が挙げられる。
Xで表される炭素原子数3〜10のシクロアルキル基としては、例えば、Cyで示される炭素原子数3〜10のシクロアルキル基として例示したものが挙げられる。Xで示されるフェニル基又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を置換してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基及びハロゲン原子としては、それぞれ、Y及びZで示されるものとして後に例示するものが挙げられる。
Y及びZで示される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、へプチル、オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル等が挙げられる。Y及びZで示される炭素原子数1〜10のアルコキシ基としてはメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、メトキシエチル、エトキシエチル、プロピロキシエチル、メトキシエトキシエチル、エトキシエトキシエチル、プロピロキシエトキシエチル、メトキシプロピル等が挙げられる。Y及びZで示される炭素原子数2〜10のアルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、プロペニル等が挙げられる、Y及びZで示されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
また、Xで示されるフェニル基及び炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を置換してもよい上記のアルキル基及びアルコキシ基、並びにY及びZで示される上記のアルキル基、アルコキシ基及びアルケニル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。例えば、フッ素原子で置換された炭素原子数1〜10のアルキル基としては、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、パーフルオロエチル等が挙げられる。
【0018】
本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物は、その調製に用いられるエポキシ樹脂(A)がトリアリールモノシクロアルキルメタン骨格を有することにより、硬化物の基材への密着性、加工性、強度等が優れるため、非硬化部を現像除去する際に、微細パターンであっても鮮明な画像を精度良く形成できるものと考えられる。エポキシ樹脂(A)としては、上記一般式(I)において、Cyがシクロヘキシルであるもの;Xがフェニル基であるもの;p及びrが0であるもの;nが0〜5、特に0〜1であるものが好ましい。
【0019】
上記一般式(I)で表されるエポキシ化合物の具体例としては、以下の化合物No.1〜No.9の化合物が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物により何ら制限を受けるものではない。
【0020】
【化2】

【0021】
【化3】

【0022】
【化4】

【0023】
【化5】

【0024】
【化6】

【0025】
【化7】

【0026】
【化8】

【0027】
【化9】

【0028】
【化10】

【0029】
上記ポリカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イタコン酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、ヒドロキシエチルマロン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、4,4'−ジシクロヘキシルジカルボン酸、ひまし油脂肪酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ベンゼン−1,2,3,5−テトラカルボン酸、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、ベンゼンヘキサカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4−ジカルボン酸、2,2’−3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ナジック酸、メチルナジック酸、アリルナジック酸、トリアルキルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、2,2−ビスフタル酸ヘキサフルオロイソプロピリデン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、メチルハイミック酸、ノルボルネン−5,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、インドール−2,3−ジカルボン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸、酒石酸、リンゴ酸、3−メチルリンゴ酸、粘液酸、デヒドロ粘液酸、メコン酸の他、ビスフェノール化合物と多塩基酸無水物のエステル化物、ポリオール化合物と多塩基酸無水物のエステル化物等が挙げられる。
【0030】
上記ビスフェノール化合物としては、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−(1−α―メチルベンジリデン)ビスフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。
【0031】
上記ポリオール化合物としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、テトラメチロールプロパン、ヘキシトール類、ペンチトール類、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ペンタエリスリトール又はジペンタリスリトールのステアリン酸ハーフエステル、ビス(ジペンタエリスリトール)アジペート、グリセリン、マンニット、ソルビット、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0032】
上記ジフェノール化合物あるいはポリオール化合物とエステル化反応させる多塩基酸無水物としては、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、2,2’−3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセロールトリスアンヒドロトリメリテート、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルハイミック酸等が挙げられ、上記ジフェノール化合物あるいはポリオール化合物と多塩基酸無水物をエステル化反応させて得られるポリカルボン酸としては、例えば、下記化合物No.10及びNo.11を挙げることができる。
【0033】
【化11】

(式中、Cy、X、Y、Z、p及びrは、上記一般式(I)と同じである。)
【0034】
【化12】

【0035】
本発明の着色アルカリ現像型樹脂組成物に含有される、エポキシ樹脂(A)に不飽和一塩基酸(B)を付加させた構造を有するエポキシ付加物に、多塩基酸無水物(C)をエステル化させて得られる構造を有する光重合性不飽和化合物(X)及び、該光重合性不飽和化合物(X)に、さらにエポキシ化合物(D)を付加させて得られる構造を有する光重合性不飽和化合物(Y)、並びに該光重合性不飽和化合物(Y)に、さらに多塩基酸無水物(E)をエステル化させて得られる構造を有する光重合性不飽和化合物(Z)は、例えば、下記[化13]の反応式で示される方法によって製造することができる。
まず、(A)成分であるエポキシ樹脂(3)に(B)成分である不飽和一塩基酸(4)を付加させて、エポキシ付加物である化合物(5)を含む樹脂組成物を得る。エポキシ化合物のポリカルボン酸への付加反応は、常法に従って行なうことができるが、好ましくは、50〜150℃で5〜15時間反応させる。また、(A)成分への(B)成分の付加反応は、常法に従って行なうことができるが、好ましくは、90〜150℃で5〜30時間反応させる。
続いて、エポキシ付加物である化合物(5)に、(C)成分である多塩基酸無水物(6)を反応させてエステル化反応を行い、エステル化合物である化合物(7)〔光重合性不飽和化合物(X)〕を含む樹脂組成物を得る。エポキシ付加物と(C)成分とのエステル化反応は、常法に従って行なうことができるが、好ましくは、30〜150℃で2〜10時間反応させる。
続いて、エステル化合物である化合物(7)に、更に(D)成分のエポキシ化合物である化合物(8)を付加反応させて、化合物(9)〔光重合性不飽和化合物(Y)〕を得る。エステル化合物と(D)成分との付加反応は、常法に従って行なうことができるが、好ましくは、50〜150℃で2〜30時間反応を行なう。
続いて、化合物(9)に、更に(E)成分の多塩基酸無水物である化合物(10)を反応させてエステル化を行ない、目的の反応生成物である化合物(11)〔光重合性不飽和化合物(Z)〕を含む樹脂組成物を得ることができる。上記化合物(9)と(E)成分とのエステル化反応は、常法に従って行なうことができるが、好ましくは、30〜150℃で2〜10時間反応を行なう。
【0036】
【化13】

【0037】
本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物の調製に使用される不飽和一塩基酸(B)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート・マレート、ヒドロキシエチルアクリレート・マレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート・マレート、ヒドロキシプロピルアクリレート・マレート、ジシクロペンタジエン・マレートあるいは1個のカルボキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0038】
上記1個のカルボキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する多官能(メタ)アクリレートは、例えば1分子中に1個のヒドロキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する多官能(メタ)アクリレートと二塩基酸無水物又はカルボン酸とを反応させることによって得ることができる。
【0039】
上記1個のカルボキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する多官能(メタ)アクリレートとしては、下記化合物No.12〜16を挙げることができる。
【0040】
【化14】

【0041】
【化15】

【0042】
【化16】

【0043】
【化17】

【0044】
【化18】

【0045】
本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物の調製に使用される多塩基酸無水物(C)としては、上記のポリカルボン酸として、ビスフェノール化合物又はポリオール化合物とエステル化しうる多塩基酸無水物として挙げたものを用いることができる。これらの中でも、コハク酸無水物、トリメリット酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。
【0046】
本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物の調製に使用されるエポキシ化合物(D)としては、単官能又は多官能エポキシ化合物が挙げられる。
上記単官能エポキシ化合物としては、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、ペンタデシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、プロパルギルグリシジルエーテル、p−メトキシエチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−メトキシグリシジルエーテル、p−ブチルフェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、2−メチルクレジルグリシジルエーテル、4−ノニルフェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、p−クミルフェニルグリシジルエーテル、トリチルグリシジルエーテル、2,3−エポキシプロピルメタクリレート、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、グリシジルブチレート、ビニルシクロヘキサンモノオキシド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、スチレンオキシド、ピネンオキシド、メチルスチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、プロピレンオキシド、下記化合物No.17〜No.20等が挙げられる。
【0047】
【化19】

【0048】
【化20】

【0049】
【化21】

【0050】
【化22】

【0051】
上記多官能エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ化合物あるいはグリシジルエーテル類を用いることができる。
上記ビスフェノール型エポキシ化合物としては、上記一般式(I)で表されるアルキリデンビスフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を用いることができる他、例えば、水添ビスフェノール型エポキシ化合物等のビスフェノール型エポキシ化合物も用いることができる。
上記グリシジルエーテル類としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,8−オクタンジオールジグリシジルエーテル、1,10−デカンジオールジグリシジルエーテル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)プロパン、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)エタン、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)メタン、1,1,1,1−テトラ(グリシジルオキシメチル)メタンが挙げられる。
【0052】
上記多官能エポキシ化合物としては、その他、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物等のノボラック型エポキシ化合物;3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン等の脂環式エポキシ化合物;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル類;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルP−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリンなどのグリシジルアミン類;1,3−ジグリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ化合物;ジシクロペンタジエンジオキシド等のジオキシド化合物;ナフタレン型エポキシ化合物、トリフェニルメタン型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物等を用いることができる。
【0053】
本発明の着色アルカリ現像性樹脂組成物の調製に使用される多塩基酸無水物(E)としては、上記のポリカルボン酸として、ビスフェノール化合物又はポリオール化合物とエステル化しうる多塩基酸無水物として挙げたものを用いることができる。
光重合性不飽和化合物(Z)に、さらにエポキシ化合物(D)を付加させ、続いて多塩基酸無水物(E)をエステル化させることを繰り返してもよく、また、(A)〜(E)の各成分を反応させた構造を有する光重合性不飽和化合物に、さらにエポキシ化合物(D)を付加させた後、多塩基酸無水物(E)に代えてラクトン化合物をエステル化させてもよい。
【0054】
上記光重合性不飽和化合物(X)、(Y)及び(Z)は、それらの含有量が、上記アルカリ現像性樹脂組成物中、1〜70質量%、特に3〜30質量%であるのが好ましく、固形分の酸価が35〜120mg/KOH、特に40〜100mg/KOHの範囲であるのが好ましい。
【0055】
上記アルカリ現像性樹脂組成物には、上記光重合性不飽和化合物(X)、(Y)及び(Z)の他に、溶媒を含有させてもよく、例えば、光重合性不飽和化合物の含有量を上記の好ましい範囲とする場合、光重合性不飽和化合物以外の残部には溶媒を用いることができる。該溶媒の具体例としては、後述の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物に用いられる溶媒として例示するものが挙げられる。また、上記光重合性不飽和化合物(X)、(Y)及び(Z)を合成する際に用いた溶媒を除去せず、そのまま本発明のアルカリ現像性樹脂組成物に含有させてもよい。
【0056】
上記光重合性不飽和化合物(X)、(Y)及び(Z)の含有量は、上記アルカリ現像性樹脂組成物に、光重合開始剤(F)及び顔料又は染料等の色材(G)を含有させて得られる着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物中、1〜70質量%、特に3〜30質量%であるのが好ましく、固形分の酸価が35〜120mg/KOH、特に40〜100mg/KOHの範囲であるのが好ましい。
【0057】
本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物に用いられる光重合開始剤(F)としては、従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルシクロヘキサン、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−1−(4'−モルホリノベンゾイル)プロパン、2−モルホリル−2−(4'−メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、チオキサントン、1−クロル−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチルアントラキノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、ベンゾインブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−ベンゾイルプロパン、2−ヒドロキシ−2−(4'−イソプロピル)ベンゾイルプロパン、4−ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4−フェノキシベンゾイルジクロロメタン、ベンゾイル蟻酸メチル、1,7−ビス(9'−アクリジニル)ヘプタン、9−n−ブチル−3,6−ビス(2'−モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、下記化合物No.21、No.22等が挙げられる。これらの中でも、ベンゾフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンが好ましい。
【0058】
【化23】

(式中、X1はハロゲン原子又はアルキル基を表し、R1はR、OR、COR、SR、CONRR’又はCNを表し、R2はR、OR、COR、SR又はNRR’を表し、R3はR、OR、COR、SR又はNRR’を表し、R及びR’は、アルキル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基を表し、これらはハロゲン原子及び/又は複素環基で置換されていてもよく、これらのうちアルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合又はエステル結合により中断されていてもよく、また、R及びR’は一緒になって環を形成していてもよく、mは0〜5である。)
【0059】
【化24】

(式中、X1、R1、R2、R3、R及びR’は上記化合物No.20と同様であり、X1’はハロゲン原子又はアルキル基を表し、Zは酸素原子又は硫黄原子を表し、s及びtはそれぞれ1〜4の数を表し、R1’はR、OR、COR、SR、CONRR’又はCNを表し、R2’はR、OR、COR、SR又はNRR’を表し、R3’はそれぞれR、OR、COR、SR又はNRR’を表し、R4はジオール残基又はジチオール残基を表す。)
【0060】
本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物において、上記光重合開始剤(F)の含有量は、本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物に対して、0.1〜30質量%、特に0.5〜5質量%が好ましい。
【0061】
本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物に含まれる溶媒としては、通常、前記の各成分を溶解または分散しえる溶媒であれば特に制限はないが、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセルソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−又はn−プロパノール、イソ−又はn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;カルビトール系溶媒、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられ、中でも、ケトン類あるいはセロソルブ系溶媒が好ましい。これらの溶媒は1種又は2種以上の混合溶媒として使用することができる。
【0062】
本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物において、上記溶媒の含有量は、着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物に占める全固形分濃度が5〜40質量%、特に15〜30質量%となるように調整するとよい。
【0063】
本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物に用いられる色材(G)としては、顔料及び染料を挙げることができる。どちらを添加するかについては特に制限されず、顔料及び染料のいずれか一方を用いても、あるいは両方を併用してもよい。
【0064】
上記色材(G)として用いることができる顔料としては、従来のカラーフィルタの製造に使用されている公知の顔料をいずれも用いることができる。以下に、有機顔料の具体例をカレーインデックス(C.I.)ナンバーで示す。尚、下記一覧中、「x」で表されるのはC.I.ナンバーから任意で選択できる整数である。
・Pigment Blue:
<C.I>1,1:2,1:x,9:x,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:5,15:6,16,24,24:x,56,60,61,62
・Pigment Green:
<C.I>1,1:x,2,2:x,4,7,10,36
・Pigment Orange
<C.I>2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,59,60,61,62,64
・Pigment Red
<C.I>1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:3,81:x,83,88,90,112,119,122,123,144,146,149,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,224、226
・Pigment Violet:
<C.I>1,1:x,3,3:3,3:x,5:1,19,23,27,32,42
・Pigment Yellow
<C.I>1,3,12,13,14,16,17,24,55,60,65,73,74,81,83,93,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138,139,150,151,152,153,154,156,175
【0065】
また、黒色顔料としては、三菱化学社製のカーボンブラック#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#980、#970、#960、#950、#900、#850、MCF88、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA220、IL30B、IL31B、IL7B、IL11B、IL52B、#4000、#4010、#55、#52、#50、#47、#45、#44、#40、#33、#32、#30、#20、#10、#5、CF9、#3050、#3150、#3250、#3750、#3950、ダイヤブラックA、ダイヤブラックN220M、ダイヤブラックN234、ダイヤブラックI、ダイヤブラックLI、ダイヤブラックLH、ダイヤブラックN339、ダイヤブラックSH、ダイヤブラックSHA、ダイヤブラックLH、ダイヤブラックH、ダイヤブラックHA、ダイヤブラックSF,ダイヤブラックN550M、ダイヤブラックE、ダイヤブラックG、ダイヤブラックR、ダイヤブラックN760M、ダイヤブラックLR、キャンカーブ社製のカーボンブラックサーマックスN990、N991、N907、N908、N990、N991、N908、旭カーボン社製のカーボンブラック旭#80、旭#70、旭#70L、旭F−200、旭#66、旭#66U、旭#50、旭#35、旭#15、アサヒサーマル、デグザ社製のカーボンブラックColorBlack Fw200、ColorBlack Fw2、ColorBlack Fw2V、ColorBlack Fw1、ColorBlack Fw18、ColorBlack S170、ColorBlack S160、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、SpecialBlack4A、SpecialBlack250、SpecialBlack350、PrintexU、PrintexV、Printex140U、Printex140V(いずれも商品名)等が挙げられる。
【0066】
その他顔料としては、ミロリブルー、酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、コバルト系、マンガン系、タルク、クロム酸塩、フェロシアン化物、各種金属硫酸塩、硫化物、セレン化物、リン酸塩群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、ピリジアン、エメラルドグリーン、コバルトグリーン等の無機顔料も使用することができる。これらの顔料は単独で、あるいは複数を混合して用いることができる。
【0067】
上記色材(G)として用いることのできる染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等の染料等が挙げられ、これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
【0068】
本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物において、上記色材(G)の含有量は、着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物から溶媒を除く全固形分の合計質量に占める割合で0.5〜70%、特に5〜60質量%が好ましい。
【0069】
本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物には、さらに不飽和結合を有するモノマー、連鎖移動剤、界面活性剤等を併用することができる。
【0070】
上記不飽和結合を有するモノマーとしては、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸N−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ステアリル 、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸亜鉛、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート等が挙げられる。
【0071】
本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物において、上記不飽和結合を有するモノマーの含有量は、着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物から溶媒を除く全固形分の合計質量に占める割合で0.01〜20質量%、特に0.1〜10質量%が好ましい。
【0072】
上記連鎖移動剤としては、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル〕プロピオン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)アミノ〕プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、ドデシル(4-メチルチオ)フェニルエーテル、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール、2−メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト酢酸、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)等のメルカプト化合物、該メルカプト化合物を酸化して得られるジスルフィド化合物、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等のヨード化アルキル化合物が挙げられる。
【0073】
上記界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素界面活性剤、高級脂肪酸アルカリ塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤、高級アミンハロゲン酸塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等の非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤を用いることができ、これらは組み合わせて用いてもよい。
【0074】
本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物には、さらに熱可塑性有機重合体を用いることによって、硬化物の特性を改善することもできる。該熱可塑性有機重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、ポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド、飽和ポリエステル等が挙げられる。
【0075】
また、本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物には、必要に応じて、アニソール、ハイドロキノン、ピロカテコール、第三ブチルカテコール、フェノチアジン等の熱重合抑制剤;可塑剤;接着促進剤;充填剤;消泡剤;分散剤;レベリング剤;シランカップリング剤等の慣用の添加物を加えることができる。
【0076】
本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物は、ロールコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、金属、紙、プラスチック等の支持基体上に適用される。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
【0077】
本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物は、その用途に特に制限はなく、光硬化性塗料、光硬化性接着剤、印刷版、印刷配線板用フォトレジスト等の各種の用途に使用することができるが、特に、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスパネル、ビデオカメラ等に使用されるカラーフィルタの画素部の形成に用いるのに好適である。
【0078】
本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物を用いたカラーフィルタは、常法により製造することができる。
【0079】
また、本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物を硬化させる際に用いられる活性光の光源としては、波長300〜450nmの光を発光するものを用いることができ、例えば、超高圧水銀、水銀蒸気アーク、カーボンアーク、キセノンアーク等を用いることができる。
【実施例】
【0080】
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、下記実施例等において、「%」は、質量%を意味する。
製造例1〜6は、光重合性不飽和化合物の製造及び該光重合性不飽和化合物を含有するアルカリ現像性樹脂組成物No.1〜No.6の調製を示し、比較製造例1は、比較光重合性不飽和化合物の製造及び該比較光重合性不飽和化合物を含有する比較アルカリ現像性樹脂組成物No.7の調製を示す。実施例1〜6は、製造例1〜6で得られたアルカリ現像性樹脂組成物No.1〜No.6に、光重合開始剤、色材及び溶媒を混合して得られた着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物No.1〜No.6の調製を示し、比較例1は、比較製造例1で得られたアルカリ現像性樹脂組成物No.7に、光重合開始剤、色材及び溶媒を混合して得られた比較着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物No.7の調製を示す。
【0081】
[製造例1] 光重合性不飽和化合物の製造及び該光重合性不飽和化合物を含有するアルカリ現像性樹脂組成物No.1の調製
1,1−ビス(4’―エポキシプロピルオキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)−1−シクロヘキシルメタン(エポキシ当量277、以下、エポキシ化合物1ともいう)138.5g、コハク酸(以下、ポリカルボン酸1ともいう)14.8g、テトラブチルアンモニウムアセテート0.45g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート125.4gを仕込み、100℃で10時間撹拌した。室温まで冷却し、アクリル酸(以下、化合物bともいう)18.0g及びテトラブチルアンモニウムアセテート0.45g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.8gを加えて120℃で14時間撹拌した。室温まで冷却し、無水コハク酸(以下、化合物c−1ともいう)35.0g及びテトラブチルアンモニウムアセテート0.9gを加えて100℃で5時間撹拌した。室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート83.6gを加えて、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物であるアルカリ現像性樹脂組成物No.1を得た(Mw=6000、Mn=2200、酸価(固形分)99mgKOH/g)。
尚、アルカリ現像性樹脂組成物No.1が含有する光重合性不飽和化合物は、エポキシ化合物1にポリカルボン酸1を付加させて得られた(A)成分であるエポキシ樹脂a−1に、(B)成分である化合物bを付加させた構造を有するエポキシ付加物の水酸基1個に対し、(C)成分である化合物c−1の酸無水物構造が0.7個の比率で、エポキシ付加物と化合物c−1を反応させて得られたものである。また、上記エポキシ樹脂a−1は、エポキシ化合物1のエポキシ基1個に対し、ポリカルボン酸1のカルボキシル基が0.5個の比率で付加させた構造を有するものである。
【0082】
[製造例2] 光重合性不飽和化合物の製造及び該光重合性不飽和化合物を含有するアルカリ現像性樹脂組成物No.2
1,1−ビス(4’―エポキシプロピルオキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)−1−シクロヘキシルメタン(エポキシ当量277、エポキシ化合物1)138.5g、コハク酸(ポリカルボン酸1)14.8g、テトラブチルアンモニウムアセテート0.45g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート125.4gを仕込み、100℃で10時間撹拌した。室温まで冷却し、アクリル酸(化合物b)18.0g及びテトラブチルアンモニウムアセテート0.45g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.8gを加えて120℃で14時間撹拌した。室温まで冷却し、無水コハク酸(化合物c−1)5.0g、無水ヘキサヒドロフタル酸(以下、化合物c−2ともいう)54.0g及びテトラブチルアンモニウムアセテート0.9gを加えて100度で5時間撹拌した。室温まで冷却し、4―ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(以下、化合物d−1ともいう)37.8gを加えて120℃で7時間撹拌した。室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート108.6gを加えて、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物であるアルカリ現像性樹脂組成物No.2を得た(Mw=7100、Mn=2600、酸価(固形分)49mgKOH/g)。
尚、アルカリ現像性樹脂組成物No.2が含有する光重合性不飽和化合物は、エポキシ化合物1にポリカルボン酸1を付加させて得られた(A)成分であるエポキシ樹脂a−1に、(B)成分である化合物bを付加させた構造を有するエポキシ付加物の水酸基1個に対し、(C)成分である化合物c−1並びにc−2の酸無水物構造が0.8個の比率で、(D)成分である化合物d−1のエポキシ基が0.4個の比率で、エポキシ付加物と化合物c−1並びにc−2及び化合物d−1を反応させて得られたものである。
【0083】
[製造例3] 光重合性不飽和化合物の製造及び該光重合性不飽和化合物を含有するアルカリ現像性樹脂組成物No.3の調製
1,1−ビス(4’―エポキシプロピルオキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)−1−シクロヘキシルメタン(エポキシ当量277、エポキシ化合物1)138.5g、イソフタル酸(以下、ポリカルボン酸2ともいう)16.6g、テトラブチルアンモニウムアセテート0.45g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート126.9gを仕込み、100℃で4時間撹拌した。室温まで冷却し、アクリル酸(化合物b)21.6g及びテトラブチルアンモニウムアセテート0.45g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1.0gを加えて120℃で14時間撹拌した。室温まで冷却し、無水ヘキサヒドロフタル酸(化合物c−2)61.6g及びテトラブチルアンモニウムアセテート0.9gを加えて100度で5時間撹拌した。室温まで冷却し、グリシジルメタクリレート(以下、化合物d−2ともいう)53.8gを加えて120℃で7時間撹拌した。室温まで冷却し、無水テトラヒドロフタル酸(以下、化合物e−1ともいう)53.2gを加えて100℃で3時間撹拌した。室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート231.0gを加えて、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物であるアルカリ現像性樹脂組成物No.3を得た(Mw=5000、Mn=2800、酸価(固形分)64mgKOH/g)。
尚、アルカリ現像性樹脂組成物No.3が含有する光重合性不飽和化合物は、エポキシ化合物1にポリカルボン酸2を付加させて得られた(A)成分であるエポキシ樹脂a−2に、(B)成分である化合物bを付加させた構造を有するエポキシ付加物の水酸基1個に対し、(C)成分である化合物c−2の酸無水物構造が0.8個の比率で、(D)成分である化合物d−2のエポキシ基が0.75個の比率で、(E)成分である化合物e−1の酸無水物構造が0.7個の比率で、エポキシ付加物と化合物c−2、化合物d−2及び化合物e−1を反応させて得られたものである。また、上記エポキシ樹脂a−2は、エポキシ化合物1のエポキシ基1個に対し、ポリカルボン酸2のカルボキシル基が0.4個の比率で付加させた構造を有するものである。
【0084】
[製造例4] 光重合性不飽和化合物の製造及び該光重合性不飽和化合物を含有するアルカリ現像性樹脂組成物No.4の調製
1,1−ビス(4’―エポキシプロピルオキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)−1−シクロヘキシルメタン(エポキシ当量277、エポキシ化合物1)138.5g、酒石酸(以下、ポリカルボン酸3ともいう)18.8g、テトラブチルアンモニウムアセテート0.45g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート126.9gを仕込み、100℃で7時間撹拌した。室温まで冷却し、アクリル酸(化合物b)18.0g及びテトラブチルアンモニウムアセテート0.45g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1.2gを加えて120℃で17時間撹拌した。室温まで冷却し、無水ヘキサヒドロフタル酸(化合物c−2)92.4g及びテトラブチルアンモニウムアセテート0.9gを加えて100度で5時間撹拌した。室温まで冷却し、グリシジルメタクリレート(化合物d−2)78.9gを加えて120℃で5時間撹拌した。室温まで冷却し、無水テトラヒドロフタル酸(以下、化合物e−2ともいう)45.6gを加えて100℃で3時間撹拌した。室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート295.8gを加えて、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物であるアルカリ現像性樹脂組成物No.4を得た(Mw=7000、Mn=2500、酸価(固形分)58mgKOH/g)。
尚、アルカリ現像性樹脂組成物No.4が含有する光重合性不飽和化合物は、エポキシ化合物1にポリカルボン酸3を付加させて得られた(A)成分であるエポキシ樹脂a−3に、(B)成分である化合物bを付加させた構造を有するエポキシ付加物の水酸基1個に対し、(C)成分である化合物c−2の酸無水物構造が0.8個の比率で、(D)成分である化合物d−2のエポキシ基が0.73個の比率で、(E)成分である化合物e−2の酸無水物構造が0.4個の比率で、エポキシ付加物と化合物c−2、化合物d−2及び化合物e−2を反応させて得られたものである。また、上記エポキシ樹脂a−3は、エポキシ化合物1のエポキシ基1個に対し、ポリカルボン酸3のカルボキシル基が0.5個の比率で付加させた構造を有するものである。
【0085】
[製造例5] 光重合性不飽和化合物の製造及び該光重合性不飽和化合物を含有するアルカリ現像性樹脂組成物No.5の調製
2、2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン96g、無水コハク酸80g、テトラブチルアンモニウムアセテート1.9g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート119gを仕込み、120℃で3時間撹拌し、ジカルボン酸(以下、ポリカルボン酸4ともいう)を得た。これに1,1−ビス(4’―エポキシプロピルオキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)−1−シクロヘキシルメタン(エポキシ当量277、エポキシ化合物1)554g、アクリル酸(化合物b)86.3g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.6g、テトラブチルアンモニウムアセテート1.7g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート422gを仕込み、120℃で15時間撹拌した。室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート255g及び無水コハク酸(化合物c−1)160g及びテトラブチルアンモニウムアセテート5.1gを加えて100℃で6時間撹拌した。更にグリシジルメタクリレート(化合物d−2)215g及び2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.6g、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート176gを加えて90℃で1時間、120℃で8時間撹拌した。室温まで冷却し、無水テトラヒドロフタル酸(化合物e−1)198gを加えて100℃で5時間撹拌した。室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート724gを加えて、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物であるアルカリ現像性樹脂組成物No.5を得た(Mw=5200、Mn=2300、酸価(固形分)62mgKOH/g)。
尚、アルカリ現像性樹脂組成物No.5が含有する光重合性不飽和化合物は、エポキシ化合物1にポリカルボン酸4を付加させて得られた(A)成分であるエポキシ樹脂a−4に、(B)成分である化合物bを付加させた構造を有するエポキシ付加物の水酸基1個に対し、(C)成分である化合物c−1の酸無水物構造が0.8個の比率で、(D)成分である化合物d−2のエポキシ基が0.75個の比率で、(E)成分である化合物e−1の酸無水物構造が0.65個の比率で、エポキシ付加物と化合物c−1、化合物d−2及び化合物e−1を反応させて得られたものである。また、上記エポキシ樹脂a−4は、エポキシ化合物1のエポキシ基1個に対し、ポリカルボン酸4のカルボキシル基が0.4個の比率で付加させた構造を有するものである。
【0086】
[製造例6] 光重合性不飽和化合物の製造及び該光重合性不飽和化合物を含有するアルカリ現像性樹脂組成物No.6の調製
1、4−シクロヘキサンジメタノール58g、無水コハク酸122g、テトラブチルアンモニウムアセテート1.9g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート120gを仕込み、120℃で3時間撹拌し、ジカルボン酸(以下、ポリカルボン酸5ともいう)を得た。これに1,1−ビス(4’―エポキシプロピルオキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)−1−シクロヘキシルメタン(エポキシ当量277、エポキシ化合物1)554g、アクリル酸(化合物b)86.3g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.6g、テトラブチルアンモニウムアセテート1.7g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート421gを仕込み、120℃で15時間撹拌した。室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート255g及び無水コハク酸(化合物c−1)160g及びテトラブチルアンモニウムアセテート5.1gを加えて100℃で3時間撹拌した。更にグリシジルメタクリレート(化合物d−2)215g及び2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.6g、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート176gを加えて90℃で1時間、120℃で5時間撹拌した。室温まで冷却し、無水テトラヒドロフタル酸(化合物e−1)198gを加えて100℃で3時間撹拌した。室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート724gを加えて、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物であるアルカリ現像性樹脂組成物No.6を得た(Mw=4400、Mn=2800、酸価(固形分)63mgKOH/g)。
尚、アルカリ現像性樹脂組成物No.6が含有する光重合性不飽和化合物は、エポキシ化合物1にポリカルボン酸5を付加させて得られた(A)成分であるエポキシ樹脂a−5に、(B)成分である化合物bを付加させた構造を有するエポキシ付加物の水酸基1個に対し、(C)成分である化合物c−1の酸無水物構造が0.8個の比率で、(D)成分である化合物d−2のエポキシ基が0.75個の比率で、(E)成分である化合物e−1の酸無水物構造が0.65個の比率で、エポキシ付加物と化合物c−1、化合物d−2及び化合物e−1を反応させて得られたものである。また、上記エポキシ樹脂a−3は、エポキシ化合物1のエポキシ基1個に対し、ポリカルボン酸5のカルボキシル基が0.4個の比率で付加させた構造を有するものである。
【0087】
[比較製造例1] 比較光重合性不飽和化合物の製造及び該比較光重合性不飽和化合物を含有する比較アルカリ現像性樹脂組成物No.7の調製
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185)92.5g、コハク酸14.8g、テトラブチルアンモニウムアセテート0.45g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート103.0gを仕込み、100℃で10時間撹拌した。室温まで冷却し、アクリル酸18.0g及びテトラブチルアンモニウムアセテート0.45g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.5gを加えて120℃で14時間撹拌した。室温まで冷却し、無水コハク酸27.5g及びテトラブチルアンモニウムアセテート0.9gを加えて100℃で5時間撹拌した。室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート65.1gを加えて、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として比較アルカリ現像性樹脂組成物No.7を得た(Mw=3900、Mn=1400、酸価(固形分)104mgKOH/g)。
【0088】
[実施例1〜6(製造例1〜6で得られたアルカリ現像性樹脂組成物No.1〜No.6をそれぞれ含有する着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物No.1〜No.6の調製)及び比較例1(比較製造例1で得られた比較アルカリ現像性樹脂組成物No.7を含有する比較着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物No.7の調製)]
製造例1〜6で得られたアルカリ現像性樹脂組成物No.1〜6及び比較製造例1で得られた比較アルカリ現像性樹脂組成物No.7の12gに対し、トリメチロールプロパントリアクリレート8.0g、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド1.8g、カーボンブラック(三菱化学社製「MA100」)3.2g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート75gを加えてよく撹拌し、着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物No.1〜6及び比較着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物No.7を得た。
【0089】
上記実施例例1〜6で調整した着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物No.1〜6及び比較例1で調製した比較着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物No.7の評価を以下のようにして行った。
すなわち、基板上にγ−グリシドキシプロピルメチルエトキシシランをスピンコートして良くスピン乾燥させた後、上記着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物をスピンコート(1300r.p.m、50秒間)し乾燥させた。70℃で20分間プリベークを行った後、ポリビニルアルコール5質量%溶液をコートして酸素遮断膜とした。70℃20分間の乾燥後、所定のマスクを用い、光源として超高圧水銀ランプを用いて露光後、2.5質量%炭酸ナトリウム溶液に25℃で30秒間浸漬して現像し、良く水洗した。水洗乾燥後、230℃で1時間ベークしてパターンを定着させた。得られたパターンについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
【0090】
<感度>
露光時に、露光量が100mJ/cm2で十分だったものをa、100mJ/cm2では不十分で、150mJ/cm2で露光したものをb、150mJ/cm2では不十分で、200mJ/cm2で露光したものをcとした。
<解像度>
露光現像時に、線幅10μm以下でも良好にパターン形成できたものをA、線幅10〜30μmであれば良好にパターン形成できたものをB、線幅30μm以上のものでないと良好なパターン形成ができなかったものをCと評価した。
<密着性>
現像して得られたパターンのはがれを目視により観察し、パターンはがれが全く観察されなかったものを○、パターンはがれが一部に観察されたものを△、パターンはがれが全面に観察されるものを×とした。
【0091】
【表1】

【0092】
また、実施例1〜6で得られた着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物No.1〜No.6を用い、常法に従ってカラーフィルターを製造したところ、良好なカラーフィルタが得られた。
【0093】
実施例1〜6の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物は、高感度で解像度及び密着性に優れるものであった。
それに対して、比較例1の比較着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物No.7は、感度が低いため露光量を多くせざるを得ず、解像度が低下し、線幅30μm以上でないと形成できず、また、密着性も思わしくなかった。
また、本発明の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物を用いたカラーフィルタは、実用に耐える良好なものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表されるエポキシ化合物にポリカルボン酸を付加させた構造を有するエポキシ樹脂(A)に、不飽和一塩基酸(B)を付加させた構造を有するエポキシ付加物に、多塩基酸無水物(C)をエステル化させて得られる構造を有する光重合性不飽和化合物(X)を含有するアルカリ現像性樹脂組成物に、さらに光重合開始剤(F)及び色材(G)を含有させることを特徴とする着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物。
【化1】

(式中、Cyは炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を示し、Xは水素原子、フェニル基又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を示し、前記フェニル基又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基は、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基若しくはハロゲン原子により置換されていてもよく、Y及びZは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又はハロゲン原子を示し、アルキル基、アルコキシ基及びアルケニル基はハロゲン原子で置換されていてもよく、nは0〜10の数を示し、pは0〜4の数を示し、rは0〜4の数を表す。)
【請求項2】
上記一般式(I)中、Cyがシクロヘキシル基であり、Xがフェニル基であり、p及びrが0であることを特徴とする請求項1記載の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載のエポキシ樹脂(A)に不飽和一塩基酸(B)を付加させた構造を有するエポキシ付加物に、多塩基酸無水物(C)をエステル化させて得られる反応生成物に、さらにエポキシ化合物(D)を付加させて得られる構造を有する光重合性不飽和化合物(Y)を含有するアルカリ現像性樹脂組成物に、さらに光重合開始剤(F)及び色材(G)を含有させることを特徴とする着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1又は2記載のエポキシ樹脂(A)に不飽和一塩基酸(B)を付加させた構造を有するエポキシ付加物に、多塩基酸無水物(C)をエステル化させて得られる構造を有する反応生成物に、エポキシ化合物(D)を付加させ、さらに多塩基酸無水物(E)をエステル化させて得られる構造を有する光重合性不飽和化合物(Z)を含有するアルカリ現像性樹脂組成物に、さらに光重合開始剤(F)及び色材(G)を含有させることを特徴とする着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
上記光重合性不飽和化合物(X)、(Y)又は(Z)の含有量が、上記着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物中、1〜70質量%であり、上記光重合開始剤(F)の含有量が、上記着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物中、0.1〜30質量%であり、上記色材(G)の含有量が、上記着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物から、溶媒を除く全固形成分中0.5〜70質量%であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の着色アルカリ現像型感光性樹脂組成物を用いることを特徴とするカラーフィルタ。


【公開番号】特開2007−206370(P2007−206370A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25027(P2006−25027)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】