説明

着色感光性樹脂組成物

【課題】着色感光性樹脂組成物を用いて着色画素を形成する際、得られるコンタクトホールパターンの抜け性が良好で、かつ現像時に基板上に本来残るべきでない未溶解物が残らない着色感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】着色剤(A)、(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位およびベンジル(メタ)アクリレートから導かれる構成単位を有する樹脂(ただし、(メタ)アクリロイル基を有さない)(B1)、(メタ)アクリロイル基を有する樹脂(B2)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)ならびに溶剤(F)を含む着色感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型インキやフォトレジストなどに広く利用されている感光性樹脂組成物に関するものであり、特に、カラー液晶表示装置や撮像素子などに使用される着色画像(以下、画素と呼ぶことがある。)を形成するために好適な着色感光性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のパターン状に形成された着色層(画素)は、着色剤、および樹脂成分などを含む着色感光性樹脂組成物を用いて形成されている。該樹脂成分が、光や熱により架橋されている場合であっても、形成される着色層は柔らかく、当該着色層の表面の鉛筆硬度は、HB〜2H程度であって、例えば、カラーフィルタ作成後の配向膜ラビング処理などの工程で、着色層に傷がつきやすかったり、また、液晶パネルの組み立ての際、2枚の基板の間に介在させるスペーサ材からの圧力で着色層が変形しやすかったりし、セルギャップが局所的に変動するため、得られる液晶表示装置において表示欠陥が生じやすくなるという問題点があった(例えば、特許文献1など参照。)。
【0003】
前記の問題点を解決するために、着色感光性樹脂組成物にセラミックス粒子を添加することにより、塗膜(着色画素)の鉛筆硬度を3H以上にすることが提案されている(例えば、特許文献1など参照。)。
さらに、一分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物を含有する感光性樹脂組成物を用いて形成した塗膜は、その鉛筆硬度が3H以上になることが知られている(例えば、特許文献3など参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−186126号公報(2頁左欄38行目−47行目、2頁右欄38行目−50行目)
【特許文献2】特開平11−231124号公報(17頁左欄15行目−右欄25行目)
【特許文献3】特開2000−221675号公報(15頁左欄47行目−右欄6行目)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように、鉛筆硬度を高くするために着色感光性樹脂組成物にセラミックス粒子を添加すると、当該着色感光性樹脂組成物の感度が低化して、これに伴い解像性が低下することが予想される。
また、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体(共重合重量比=25/65/10、重量平均分子量55,000)をバインダー樹脂として有し、硬度が十分である塗膜を形成しうる感光性樹脂組成物(特許文献2)では、現像時に本来残るべきでない非画素部に未溶解物が残存しやすいという問題があることを本発明者は見出した。
さらに、特許文献3に具体的に記載されているバインダー樹脂は、メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/グリセロールモノメタクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体(前記の各成分の共重合重量比は15/15/35/10/25であり、該共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が13,500であり、数平均分子量(Mn)が6,200である。)のみをバインダー樹脂として含有する感光性樹脂組成物では、現像時本来残るべきでない非画素部に未溶解物が残存しやすいという問題があることを本発明者は見出した。
【0006】
そこで、本発明の目的は、着色感光性樹脂組成物を用いて画素を形成する際、得られるコンタクトホールパターンの抜け性が良好で、かつ現像時に未露光部に本来残るべきでない未溶解物が残らない着色感光性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前述の課題を解決するべく鋭意検討の結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、着色剤(A)、(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位およびベンジル(メタ)アクリレートから導かれる構成単位を有する樹脂(ただし、(メタ)アクリロイル基を有さない)(B1)、(メタ)アクリロイル基を有する樹脂(B2)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)ならびに溶剤(F)を含んでなる着色感光性樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、前記の着色感光性樹脂組成物を用いて形成された画素、前記の着色画素を含むカラーフィルタおよび前記のカラーフィルタを具備する液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、これを用いて画素を形成する際に、高い解像度を有し、未溶解物の残存が少なく、高い表面硬度を有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の着色感光性樹脂組成物に含有される着色剤(A)は、有機着色剤であってもよいし、無機着色剤であってもよい。有機着色剤は、有機顔料であってもよいし、有機染料であってもよい。また、有機着色剤は、合成着色剤であってもよいし、天然着色剤であってもよい。無機着色剤は、金属酸化物、金属錯塩、硫酸バリウムの無機塩(体質顔料)などの無機顔料であってもよい。これらの着色剤の中でも、有機着色剤、さらには有機顔料が好ましく用いられる。
【0010】
有機顔料および無機顔料として、具体的には、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている化合物が挙げられる。具体的には、例えばC.I.ピグメントイエロー1(以下、C.I.ピグメントイエローを省略し、数字部分のみを記載する。また、他の色相においても同様に記載する。)、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194、214などの黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73などのオレンジ色の顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265などの赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60などの青色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38などのバイオレット色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36などの緑色顔料;
C.I.ピグメントブラウン23、25などのブラウン色顔料;
C.I.ピグメントブラック1、7などの黒色顔料などが挙げられる。
【0011】
これらの有機顔料および無機顔料は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよく、例えば、赤色画素を形成するにはC.I.ピグメントレッド209およびC.I.ピグメントレッド254からなる群から選ばれる少なくとも1種とC.I.ピグメントイエロー139とを含有していることが、緑色画素を形成するにはC.I.ピグメントグリーン36とC.I.ピグメントイエロー150およびC.I.ピグメントイエロー138からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有していることが、青色画素を形成するには、C.I.ピグメントブルー15:6およびC.I.ピグメントバイオレット23を含有していることがそれぞれ好ましい。
【0012】
前記の有機顔料は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基または塩基性基が導入された顔料誘導体などを用いた表面処理、高分子化合物などによる顔料表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法などによる微粒化処理、あるいは不純物を除去するための有機溶剤や水などによる洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法などによる除去処理などが施されていてもよい。また、着色感光性樹脂組成物を調製したのちに、例えばイオン交換法などのイオン性不純物の除去処理が施されてもよい。
【0013】
前記の着色剤(A)の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固型分に対して質量分率で、好ましくは25質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは27質量%以上55質量%以下であり、とりわけ好ましくは30質量%以上50質量%以下である。着色剤(A)の含有量が前記の範囲にあると、カラーフィルタとしたときの色濃度が十分であり、かつ組成物中にバインダー樹脂を必要量含有させることができるので、機械的強度が十分なパターンを形成することができるため、好ましい。ここで、固形分とは、着色感光性樹脂組成物中の溶剤を除く成分の合計質量の、着色感光性樹脂組成物の質量に対する割合をいう。
【0014】
本発明で用いられる着色感光性樹脂組成物には、着色剤(A)として顔料を用いることが好ましく、該顔料が均一な粒径であることが好ましい。顔料を均一な粒径とするために、界面活性剤を顔料分散剤(E)として含有させて分散処理を行うことで、顔料が溶液中で均一に分散した状態の顔料分散液を得ることができる。
【0015】
前記の顔料分散剤(E)としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系、ポリエステル系、アクリル酸系、ポリウレタン系、ポリエチレンイミン系などの界面活性剤などが挙げられ、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
前記のポリオキシエチレンアルキルエーテル系の界面活性剤は、一般に式(III)の構造を有する(14102の化学商品 1286ページ(化学工業日報社、2002年1月29日発行))。
【0016】
−O(CHCHO)H (III)
【0017】
[式中、Rは、炭素数6〜22のアルキル基を表す。
nは、2〜60の整数を表す。]
【0018】
としては、ラウリル基、セチル基、ステアリル基、オレイル基などが挙げられる。
【0019】
前記のポリオキシエチレンアルキルエーテル系の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテルなどが例示される。前記のポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤の市販品としては、BLAUNON−ELシリーズ、BLAUNON−CHシリーズ、BLAUNON−SRシリーズ、BLAUNON−ENシリーズ、BLAUNON−EHシリーズ、BLAUNON−DALシリーズ、BLAUNON−DAIシリーズ、BLAUNON−DAHシリーズ、BLAUNON−OXシリーズ(いずれも、青木油脂(株)製)などが挙げられる。また、他社の同等品も同様に用いることができる。
【0020】
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤は、一般に、式(IV)の構造を有する(14102の化学商品 1287ページ(化学工業日報社、2002年1月29日発行))。
【0021】

【0022】
[式(IV)中、mは、1〜5の整数を表す。
nは、2〜60の整数を表す。
は、炭素数6〜22のアルキル基を表す。ただし、mが2〜5の場合、Rは同一でも異なってもよい。]
【0023】
としては、ラウリル基、セチル基、ステアリル基、オレイル基などが挙げられる。
【0024】
前記のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤の市販品としては、BLAUNON−NKシリーズ、BLAUNON−Nシリーズ、BLAUNON−DPシリーズ、BLAUNON−DNPシリーズ、BLAUNON−DSPシリーズ、BLAUNON−TSPシリーズ、BLAUNON−PHシリーズ、BLAUNON−BAシリーズなどが例示される。また、他社の同等品も同様に用いることができる。
【0025】
前記のポリエステル系界面活性剤は、ポリエステルの構造を有する。前記のポリエステル系界面活性剤としては、Disperbyk−161、同170(BYKChemie社製)、PB821(味の素(株)製)などが挙げられる。
【0026】
前記のポリエチレンイミン系界面活性剤は、エチレンイミンの構造を有する。前記のポリエチレンイミン系界面活性剤としては、ソルスパース24000GR(ゼネカ(株)製)などが例示される。また、他社の同等品も同様に用いることができる。
【0027】
前記のアクリル系界面活性剤は、アクリル共重合の構造を有する。前記のアクリル系界面活性剤としては、Disperbyk−352、同354、同2000、同2001(BYK Chemie社製)、EFKA−ポリマー401(EFKA CHEMICALS社製)などが挙げられる。また、他社の同等品も同様に用いることができる。
【0028】
前記のポリウレタン系界面活性剤は、ポリウレタンの構造を有する。前記のポリウレタン系界面活性剤としては、EFKA−ポリマー452、EFKA−47(EFKA CHEMICALS社製)などが挙げられる。また、他社の同等品も同様に用いることができる。
【0029】
また、上記の他に、商品名で、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄化学(株)製)、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファックス(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子(株)製)なども用いることができる。
【0030】
前記の顔料分散剤(E)を用いる場合、その含有量は、着色剤の含有量に対して質量分率で、好ましくは5質量%以上100質量%以下、より好ましくは5質量%以上50質量%以下である。顔料分散剤(E)の含有量が、前記の範囲にあると、均一な粒径の顔料が得られる傾向があり、好ましい。
【0031】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位およびベンジル(メタ)アクリレートから導かれる構成単位を有する樹脂(ただし、(メタ)アクリロイル基を有さない)(B1)ならびに(メタ)アクリロイル基を有する樹脂(B2)を含む。
ここで、本明細書中においては、(メタ)アクリル酸の表記は、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を表し、(メタ)アクリレートの表記は、アクリレートおよびメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種を表し、(メタ)アクリロイルの表記は、アクリロイルおよびメタクリロイルからなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。
【0032】
(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位およびベンジル(メタ)アクリレートから導かれる構成単位を有する樹脂(ただし、(メタ)アクリロイル基を有さない)(B1)としては、(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位およびベンジル(メタ)アクリレートから導かれる構成単位を含む。さらに、前記の成分と共重合可能な化合物等から導かれる構成単位を含んでもよい。前記の共重合可能な化合物等としては、スチレン、N−フェニルマレイミド、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、シクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、シクロヘプテニル(メタ)アクリレート、シクロオクテニル(メタ)アクリレート、メンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ピナニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルネニル(メタ)アクリレート、ピネニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートが挙げられ、好ましくはスチレン、N−フェニルマレイミド、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートが挙げられ、より好ましくはスチレン、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0033】
前記の(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位およびベンジル(メタ)アクリレートから導かれる構成単位を有する樹脂(ただし、(メタ)アクリロイル基を有さない)(B1)として、具体的には、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体などが挙げられる。
【0034】
前記の樹脂(B1)において、(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位の含有量は、樹脂(B1)を構成する構成単位の合計モル数に対してモル分率で、好ましくは13モル%以上43%モル以下、より好ましくは16モル%以上40%モル以下であり、とりわけ好ましくは20モル%以上38モル%以下であり、さらに好ましくは24モル%以上35モル%以下である。
また、ベンジル(メタ)アクリレートから導かれる構成単位の含有量は、(樹脂(B1)を構成する構成単位の合計モル数に対してモル分率で、好ましくは57モル%以上87モル%以下、より好ましくは60モル%以上84モル%以下であり、とりわけ好ましくは62モル%以上80モル%以下であり、さらに好ましくは65モル%以上76モル%以下である。
【0035】
(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位およびベンジル(メタ)アクリレートから導かれる構成単位の含有量が前記の範囲にあると、現像時に、非画素部の溶解性が良好であり、かつ、現像後の非画素部に残渣が残りにくい傾向があり、好ましい。
【0036】
(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位およびベンジル(メタ)アクリレートから導かれる構成単位と共重合可能な化合物等から導かれる構成単位を含む場合、その構成比率は、(B1)を構成する構成単位の合計モル数に対してモル分率で、好ましくは1モル%以上25%モル以下、より好ましくは3モル%以上20%モル以下、とりわけ好ましくは5モル%以上15%モル以下である。
【0037】
(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位およびベンジル(メタ)アクリレートから導かれる構成単位を有する樹脂(ただし、アクリロイル基を有さない)(B1)のポリスチレン換算重量平均分子量は、好ましくは15,000以上35,000以下であり、より好ましくは15,000〜33,000であり、とりわけ好ましくは15,000〜31,000である。
【0038】
また、(メタ)アクリロイル基を有する樹脂(B2)は、(メタ)アクリロイル基を有する構成単位と共重合可能な構成単位を含むことができ、中でも下記の(b21)、(b22)および(b23)の各構成単位を有する共重合体において、(b23)に由来する構成単位に、さらに(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物を反応させて得られる構成単位(b24)を有する不飽和基含有樹脂であることが好ましい。
【0039】
(b21);一分子中にトリシクロデカン骨格およびジシクロペンタジエン骨格からなる群から選ばれる少なくとも1種の骨格と、不飽和結合とを有する化合物から導かれる構成単位
(b22);不飽和カルボン酸のエステル化合物から導かれる構成単位(ただし、トリシクロデカニル骨格、ジシクロペンタジエニル骨格および(メタ)アクリロイル基のいずれも有さない。)
(b23);不飽和カルボン酸から導かれる構成単位
(b24);(b23)に由来する構成単位に、(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物を反応させて得られる構成単位
【0040】
前記の(b21)を導く一分子中にトリシクロデカン骨格およびジシクロペンタジエン骨格からなる群から選ばれる少なくとも1種の骨格と、不飽和結合とを有する化合物としては、具体的には、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられ、好ましくはトリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、または複数を組み合わせて用いることができる。
【0041】
前記の、(b22)を導く不飽和カルボン酸のエステル化合物(ただし、トリシクロデカニル骨格、ジシクロペンタジエニル骨格および(メタ)アクリロイル基のいずれも有さない。)としては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはアミノエチル(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸の無置換または置換アルキルエステル;
シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、シクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、シクロヘプテニル(メタ)アクリレート、シクロオクテニル(メタ)アクリレート、メンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ピナニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルネニル(メタ)アクリレート、ピネニル(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸の脂環式基(ただし、トリシクロデカン環およびジシクロペンタジエン環を除く。)を含むエステル化合物;
オリゴエチレングリコールモノアルキル(メタ)アクリレートのようなグリコール類のモノ飽和カルボン酸エステル化合物;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸の芳香環を含むエステル化合物;
酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル;
などが挙げられ、好ましくはシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらは、それぞれ単独で、または複数を組み合わせて用いることができる。
【0042】
前記の(b23)を導く不飽和カルボン酸としては、具体的には、アクリル酸およびメタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられ、好ましくはマレイン酸、フマル酸が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸は、単独でも複数を組み合わせても使用することもできる。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基およびカルボキシル基を含有するモノマーを併用することもできる。
【0043】
本発明における(b21)、(b22)および(b23)の各構成単位を有する共重合体において、(b21)、(b22)および(b23)の各構成単位の比率が、前記の共重合体を構成する構成成分の合計モル数に対してモル分率で、以下の範囲にあることが好ましい。
【0044】
(b21);2〜30モル%
(b22);2〜96モル%
(b23);2〜68モル%
【0045】
また、前記の構成成分の比率が以下の範囲であると、より好ましい。
【0046】
(b21);5〜25モル%
(b22);15〜90モル%
(b23);5〜60モル%
【0047】
各各構成単位の比率が、前記の範囲にあると、現像性、可とう性および耐熱性のバランスが良好であり、好ましい共重合体が得られる。
【0048】
さらに、(メタ)アクリロイル基を有する樹脂(B2)は、(b21)、(b22)および(b23)に加えて、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド化合物のような化合物から導かれる構成単位を有していてもよい。
【0049】
(b21)、(b22)および(b23)の各構成単位を有する共重合体を得るには、例えば、(b21)、(b22)および(b23)の各構成単位に導く化合物を、例えば、以下のような方法で共重合させることにより製造することができる。
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコに、(b21)、(b22)および(b23)の各構成単位に導く化合物の合計量に対して、質量基準で、0.5〜20倍量の溶剤(F)を導入し、フラスコ内雰囲気を空気から窒素に置換する。その後、フラスコ内の溶剤(F)を40〜140℃に昇温した後、(b21)、(b22)および(b23)の各構成単位に導く化合物の所定量、(b21)、(b22)および(b23)の各構成単位に導く化合物の合計量に対して質量基準で、0.5〜20倍量の溶剤(F)、およびアゾビスイソブチロニトリルやベンゾイルパーオキサイドなどの重合開始剤を、(b21)、(b22)および(b23)の各構成単位に導く化合物の合計モル数に対して、0.1〜10モル%添加した溶液(室温または加熱下にて撹拌混合)を滴下ロートから0.1〜8時間かけて前記のフラスコに滴下し、さらに40〜140℃で1〜10時間撹拌する。
なお、上記の工程において、重合開始剤の一部または全量をフラスコ側に仕込んでもよいし、(b21)、(b22)および(b23)の各構成単位に導く化合物の一部または全量をフラスコ側に仕込んでもよい。また、分子量や分子量分布を制御するために、α−メチルスチレンダイマーやメルカプト化合物を連鎖移動剤として使用してもよい。α−メチルスチレンダイマーやメルカプト化合物の使用量は、(b21)、(b22)および(b23)の各構成単位に導く化合物の合計量に対して、質量基準で、0.005〜5%である。なお、上記の重合条件は、製造設備や重合による発熱量等などを考慮し、仕込み方法や反応温度を適宜調整してもよい。
【0050】
前記の構成単位(b24)を導く、構成単位(b23)と反応し得る一分子中にアクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物としては、式(I)または式(II)で表される化合物が挙げられ、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、好ましくは、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらはそれぞれ単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】

【0052】
[式(I)および式(II)中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。]
【0053】
構成単位(b24)を導くために、(b23)と反応し得て、一分子中にアクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物を反応させる量は、(b21)、(b22)および(b23)の各構成単位を有する共重合中のカルボキシル基(b23成分に由来)のモル数に対してモル分率で、好ましくは5〜90モル%、より好ましくは10〜80モル%である。
構成単位(b24)を導くために、(b23)と反応し得て、一分子中にアクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物を反応させる量が前記の範囲にあると、着色感光性樹脂組成物を用いて画素を形成する際に、十分な光硬化性や熱硬化性が得られ、感度と鉛筆硬度とを両立し、信頼性に優れるので好ましい。
【0054】
前記の(b21)、(b22)および(b23)の各構成単位を有する共重合体に、(b23)と反応し得て、一分子中にアクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物を反応させて(メタ)アクリロイル基を有する構成単位(b24)を導入することができる。一分子中にアクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物を反応させる条件としては、例えば、前記の共重合体と一分子中にアクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物とを、例えば、以下のような方法で反応させることが挙げられる。
フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、前記共重合体中のカルボキシル基(b23成分に由来)のモル数に対してモル分率で、5〜90モル%の一分子中にアクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物、カルボキシル基とエポキシ基の反応触媒として、例えば、トリスジメチルアミノメチルフェノールを(b21)〜(b23)の各構成単位に導く化合物の合計量に対して質量分率で、0.01〜5質量%、および重合禁止剤として、例えば、ハイドロキノンを(b21)〜(b23)の合計量に対して質量分率で、0.001〜5質量%をフラスコ内に入れて、60〜130℃で、1〜10時間反応することにより、前記の共重合体と一分子中にアクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物とを反応させることができる。
なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等などを考慮し、仕込み方法や反応温度を適宜調整してもよい。
前記の触媒としては、トリスジメチルアミノメチルフェノール、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリフェニルホスフィンなどが挙げられ、好ましくはトリスジメチルアミノメチルフェノールが挙げられる。
【0055】
触媒を用いる場合、その使用量は、共重合反応に使用されるモノマーの合計100質量部に対して質量分率で、0.5質量%以上20質量%以下、好ましくは0.7質量%以上15質量%以下、より好ましくは1質量%以上20質量%以下である。
【0056】
アクリロイル基を有する樹脂(B2)の構成単位の組み合わせとして、具体的には、以下の組み合わせが挙げられる。
(b21)を導く化合物:ジシクロペンタニルメタクリレート
(b22)を導く化合物:ベンジルメタクリレート
(b23)を導く化合物:メタクリル酸
一分子中にアクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物:グリシジルメタクリレート
【0057】

【0058】
(b21)を導く化合物:ジシクロペンタニルメタクリレート、
(b22)を導く化合物:ベンジルメタクリレート、
(b23)を導く化合物:メタクリル酸、
一分子中にアクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物:3,4−エポキシシクロヘキシルメタクリレート
【0059】

【0060】
(b21)を導く化合物:ジシクロペンタニルメタクリレート、
(b22)を導く化合物:ベンジルメタクリレート、
(b23)を導く化合物:メタクリル酸、
一分子中にアクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物:グリシジルメタクリレート、
(その他):α−メチルスチレン
【0061】

【0062】
(メタ)アクリロイル基を有する樹脂(B2)のポリスチレン換算重量平均分子量は、好ましくは3,000以上15,000であり、より好ましくは5,000〜13,000であり、とりわけ好ましくは6,000〜11,000である。
【0063】
本発明の着色感光性樹脂組成物において用いられる樹脂(B1)および(B2)の合計含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して質量分率で、通常、5質量%以上50質量%以下、好ましくは10質量%以上40質量%以下、より好ましくは15質量%以上35質量%以下である。樹脂の含有量が、前記の範囲にあると、パターンが形成でき、またコンタクトホールの抜け性および残膜率が向上する傾向にあり好ましい。
本発明の着色感光性樹脂組成物において用いられる樹脂(B2)の含有量は、樹脂(B1)および(B2)の合計含有量に対して質量分率で、好ましくは10質量%以上90質量%以下、より好ましくは20質量%以上80質量%以下、とりわけ好ましくは30質量%以上70質量%以下である。樹脂(B2)の含有量が、前記の範囲にあると、パターンが形成でき、またコンタクトホールの抜け性および残膜率が向上する傾向にあり好ましい。
【0064】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、光重合性化合物(C)を含む。光重合性化合物(C)は、光線を照射されることによって後述の光重合開始剤(D)から発生した活性ラジカルによって重合を開始し得る化合物であって、例えば、重合性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物などが挙げられる。前記の化合物は、単官能の光重合性化合物であってもよいし、2官能または3官能以上の多官能の光重合性化合物であってもよい。
【0065】
単官能の光重合性化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0066】
2官能の光重合性化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、3−メチルペンタンジオールジアクリレート、3−メチルペンタンジオールジメタクリレートなどが挙げられる。
【0067】
3官能以上の多官能光重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートなどが挙げられる。
【0068】
前記の光重合性化合物(C)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。光重合性化合物(C)の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して質量分率で、通常、16質量%以上31質量%以下、好ましくは18質量%以上30質量%以下、より好ましくは19質量%以上29質量%以下である。光重合性化合物(C)の含有量が、前記の範囲にあると、硬化が十分におこって残膜率が向上し、好ましい。
【0069】
本発明のカラーフィルタの製造に用いられる着色感光性樹脂組成物は、光重合開始剤(D)を含む。光重合開始剤(D)としては、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物、活性ラジカル発生剤、酸発生剤などが挙げられる。
【0070】
前記のアセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられ、好ましくは2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0071】
前記のビイミダゾール化合物としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(4−カルボエトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(4−ブロモフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(2,4−ジクロロフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,6−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールなどが挙げられる。
【0072】
前記のベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0073】
前記のベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0074】
前記のチオキサントン系化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0075】
前記のトリアジン系化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0076】
前記のオキシム系化合物としては、例えば、O−アシルオキシム系化合物が挙げられ、その具体例としては、1−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−ブタン−1,2−ジオン2−オキシム−O−ベンゾアート、1−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−オクタン−1,2−ジオン2−オキシム−O−ベンゾアート、1−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−オクタン−1−オンオキシム−O−アセタート、1−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−ブタン−1−オンオキシム−O−アセタート等が挙げられる。
【0077】
前記の活性ラジカル発生剤として、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などを用いることもできる。
【0078】
前記の酸発生剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−アセトキシフェニル・メチル・ベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類などを挙げることができる。
【0079】
また、活性ラジカル発生剤として上記した化合物の中には、活性ラジカルと同時に酸を発生する化合物もあり、例えば、トリアジン系光重合開始剤は、酸発生剤としても使用される。
【0080】
前記の光重合開始剤(D)の含有量は、バインダー樹脂(B)および光重合性化合物(C)の合計量に対して質量分率で、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下、より好ましくは1質量%以上25質量%以下である。光重合開始剤の含有量が前記の範囲にあると、高感度化して露光時間が短縮され生産性が向上し、また高感度過ぎるために解像度が不良にならない傾向があり、好ましい。
【0081】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、光重合開始助剤を含んでもよい。光重合開始助剤は、光重合開始剤によって重合が開始された光重合性化合物の重合を促進するために用いられてもよい化合物である。光重合開始助剤としては、アミン系化合物、アルコキシアントラセン系化合物、チオキサントン系化合物などが挙げられる。
【0082】
前記のアミン系化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられ、中でも4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
【0083】
前記のアルコキシアントラセン系化合物としては、例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。
【0084】
前記のチオキサントン系化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0085】
光重合開始助剤は、単独でも複数を組み合わせて使用しても差し支えない。また、光重合開始助剤として市販のものを用いることもでき、市販の光重合開始助剤としては、例えば、EAB−F(保土谷化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0086】
本発明の着色感光性樹脂組成物における光重合開始剤および光重合開始助剤の組み合わせとしては、ジエトキシアセトフェノン/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマー/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンの組み合わせなどが挙げられ、好ましくは2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンの組み合わせが挙げられる。
【0087】
これらの光重合開始助剤を用いる場合、その含有量は、光重合開始剤1モルあたり、好ましくは0.01モル以上10モル以下、より好ましくは0.01モル以上5モル以下である。
【0088】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、溶剤(F)を含む。前記の溶剤(F)としては、例えば、エーテル類、芳香族炭化水素類、ケトン類、アルコール類、エステル類、アミド類などが挙げられる。
【0089】
前記のエーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、アニソール、フェネトール、メチルアニソールなどが挙げられる。
前記の芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。
前記のケトン類としては、例えば、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
前記のアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
前記のエステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
前記のアミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
その他の溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホオキシドなどが挙げられる。
前記の溶剤は、それぞれ単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
前記の溶剤(F)のうち、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよび3−エトキシプロピオン酸エチルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0090】
溶剤(F)の含有量は、着色感光性樹脂組成物に対して質量分率で、通常、70質量%以上95質量%以下、好ましくは75質量%以上90質量%以下である。溶剤(F)の含有量が前記の範囲にあると、塗布したとき塗布面内の膜厚のばらつきが小さく、カラーフィルタを形成した際に表示特性が良好であり、好ましい。
【0091】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、エポキシ化合物(G)を含んでもよい。エポキシ化合物は、例えば、現像後の着色パターンの加熱処理においてバインダー樹脂を架橋させ得るエポキシ化合物が挙げられる。また、加熱されることによってそれ単独で重合し得るエポキシ化合物であってもよい。本発明の着色感光性樹脂組成物に含まれてもよいエポキシ化合物は、バインダー樹脂を架橋させるか、またはそれ自体が重合することによって着色パターンを硬化させるので、前記のポストベークにおいて着色パターンから昇華物が生じにくい。
【0092】
前記のエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などの芳香族系エポキシ樹脂;
脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型樹脂、グリシジルアミン型樹脂、エポキシ化などのエポキシ樹脂;
前記のエポキシ樹脂の臭素化誘導体;
脂肪族化合物のエポキシ化物、脂環族化合物のエポキシ化物、芳香族化合物のエポキシ化合物、ブタジエンの(共)重合体のエポキシ化物、イソプレンの(共)重合体のエポキシ化物、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体、トリグリシジルイソシアヌレートなどが挙げられる。
【0093】
エポキシ化合物(G)を含有する場合、その含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して質量分率で、好ましくは0.1質量%以上15質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上12質量%以下、とりわけ好ましくは1質量%以上10質量%以下である。エポキシ化合物(G)の含有量が、前記の範囲にあると、画素部において硬化が十分におこり、現像前後の残膜率が向上し、好ましい。
【0094】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、界面活性剤、充填剤、バインダー樹脂以外の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、有機酸、有機アミノ化合物、硬化剤などの添加剤を含有していてもよい。
【0095】
前記の界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤およびフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
前記のシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合を有する界面活性剤が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、ポリエーテル変性シリコンオイルSH8400(商品名:トーレシリコーン(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越シリコーン製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(ジーイー東芝シリコーン(株)製)などが挙げられる。
前記のフッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤が挙げられる。具体的には、フロリナート(商品名)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(商品名)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同R30(大日本インキ化学工業(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(新秋田化成(株)製)、サーフロン(商品名)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)、E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM−1000、BM−1100(いずれも商品名:BM Chemie社製)などが挙げられる。
フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合およびフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤が挙げられる。具体的には、メガファック(商品名)R08、同BL20、同F475、同F477、同F443(大日本インキ化学工業(株)製)などがあげられる。
これらの界面活性剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
これらの界面活性剤を用いる場合、その含有量は、着色感光性樹脂組成物に対して質量分率で、好ましくは0.0001質量%以上0.6質量%以下、より好ましくは0.001質量%以上0.5質量%である。界面活性剤の含有量が前記の範囲にあると、塗布時したとき塗布面内の膜厚のばらつきが小さくなる傾向があり、好ましい。
【0096】
前記の充填剤としては、例えば、ガラス、アルミナなどの微粒子が挙げられる。
【0097】
前記のバインダー樹脂以外の高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフロロアルキルアクリレートなどが挙げられる。
【0098】
前記の密着促進剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0099】
前記の酸化防止剤としては、例えば、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどが挙げられる。
【0100】
前記の紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなどのトリアジン系などが挙げられる。
【0101】
前記の凝集防止剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0102】
前記の有機酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸などの脂肪族モノカルボン酸類;
しゅう酸、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルこはく酸、テトラメチルこはく酸、シクロヘキサンジカルボン酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸などの脂肪族ジカルボン酸類;
トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸などの脂肪族トリカルボン酸類;
安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸などの芳香族モノカルボン酸類;
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類;
トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリット酸などの芳香族ポリカルボン酸類などが挙げられる。
【0103】
前記の有機アミノ化合物としては、例えば、n―プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミンなどのモノアルキルアミン類;
シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、3−メチルシクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミンなどのモノシクロアルキルアミン類;
メチルエチルアミン、ジエチルアミン、メチルn−プロピルアミン、エチルn−プロピルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジsec−ブチルアミン、ジtert−ブチルアミン、ジn−ペンチルアミン、ジn−ヘキシルアミンなどのジアルキルアミン類;
メチルシクロヘキシルアミン、エチルシクロヘキシルアミンなどのモノアルキルモノシクロアルキルアミン類;
ジシクロヘキシルアミンなどのジシクロアルキルアミン類;
ジメチルエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルn−プロピルアミン、ジエチルn−プロピルアミン、メチルジn−プロピルアミン、エチルジn−プロピルアミン、トリn−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリsec−ブチルアミン、トリtert−ブチルアミン、トリn−ペンチルアミン、トリn−ヘキシルアミンなどのトリアルキルアミン類;
ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミンなどのジアルキルモノシクロアルキルアミン類;
メチルジシクロヘキシルアミン、エチルジシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミンなどのモノアルキルジシクロアルキルアミン類;
2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、6−アミノ−1−ヘキサノールなどのモノアルカノールアミン類;
4−アミノ−1−シクロヘキサノールなどのモノシクロアルカノールアミン類;
ジエタノールアミン、ジn−プロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジn−ブタノールアミン、ジイソブタノールアミン、ジn−ペンタノールアミン、ジn−ヘキサノールアミンなどのジアルカノールアミン類;
ジ(4−シクロヘキサノール)アミンなどのジシクロアルカノールアミン類;
トリエタノールアミン、トリn−プロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリn−ブタノールアミン、トリイソブタノールアミン、トリn−ペンタノールアミン、トリn−ヘキサノールアミンなどのトリアルカノールアミン類;
トリ(4−シクロヘキサノール)アミンなどのトリシクロアルカノールアミン類;
3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール、4−アミノ−1,3−ブタンジオール、3−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオール、3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール、2−ジメチルアミノ−1,3−プロパンジオール、2−ジエチルアミノ−1,3−プロパンジオールなどのアミノアルカンジオール類;
4−アミノ−1,2−シクロヘキサンジオール、4−アミノ−1,3−シクロヘキサンジオールなどのアミノシクロアルカンジオール類;
1−アミノシクロペンタノンメタノール、4−アミノシクロペンタノンメタノールなどのアミノ基含有シクロアルカノンメタノール類;
1−アミノシクロヘキサノンメタノール、4−アミノシクロヘキサノンメタノール、4−ジメチルアミノシクロペンタンメタノール、4−ジエチルアミノシクロペンタンメタノール、4−ジメチルアミノシクロヘキサンメタノール、4−ジエチルアミノシクロヘキサンメタノールなどのアミノ基含有シクロアルカンメタノール類;
β−アラニン、2−アミノ酪酸、3−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、2−アミノイソ酢酸、3−アミノイソ酢酸、2−アミノ吉草酸、5−アミノ吉草酸、6−アミノカプロン酸、1−アミノシクロプロパンカルボン酸、1−アミノシクロヘキサンカルボン酸、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸などのアミノカルボン酸類;
アニリン、o−メチルアニリン、m−メチルアニリン、p−メチルアニリン、p−エチルアニリン、p−n−プロピルアニリン、p−イソプロピルアニリン、p−n−ブチルアニリン、p−tert−ブチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、p−メチル−N,N−ジメチルアニリンなどの芳香族アミン類;
o−アミノベンジルアルコール、m−アミノベンジルアルコール、p−アミノベンジルアルコール、p−ジメチルアミノベンジルアルコール、p−ジエチルアミノベンジルアルコールなどのアミノベンジルアルコール類;
o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、p−ジメチルアミノフェノール、p−ジエチルアミノフェノールなどのアミノフェノール類;
m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸などのアミノ安息香酸類などが挙げられる。
【0104】
前記の硬化剤としては、例えば、加熱されることによってバインダー樹脂中のカルボキシル基と反応してバインダー樹脂を架橋することができる化合物が挙げられる。また、それ単独で重合して着色パターンを硬化させ得る化合物も挙げられる。前記化合物としては、例えば、オキセタン化合物などが挙げられる。
【0105】
前記のオキセタン化合物としては、例えば、カーボネートビスオキセタン、キシリレンビスオキセタン、アジペートビスオキセタン、テレフタレートビスオキセタン、シクロヘキサンジカルボン酸ビスオキセタンなどが挙げられる。
【0106】
硬化剤としてオキセタン化合物などを含有する場合には、オキセタン化合物のオキセタン骨格を開環重合させ得る化合物を含んでいてもよい。前記化合物としては、例えば、多価カルボン酸類、多価カルボン酸無水物類、酸発生剤などが挙げられる。
【0107】
前記の多価カルボン酸類としては、例えば、フタル酸、3,4−ジメチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸類;
こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸類;
ヘキサヒドロフタル酸、3,4−ジメチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、1,2,4−シクロペンタントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸などの脂環族多価カルボン酸類などが挙げられる。
【0108】
前記の多価カルボン酸無水物類としては、例えば、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族多価カルボン酸無水物類;
無水イタコン酸、無水こはく酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸無水物類;
無水ヘキサヒドロフタル酸、3,4−ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、1,2,4−シクロペンタントリカルボン酸無水物、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂環族多価カルボン酸無水物類;
エチレングリコールビストリメリテイト酸、グリセリントリストリメリテイト無水物などのエステル基含有カルボン酸無水物類などが挙げられる。
【0109】
酸発生剤としては、前記と同じものが挙げられる。
【0110】
前記の硬化剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0111】
本発明の着色感光性樹脂組成物を用いてカラーフィルタを形成する方法としては、具体的には、着色感光性樹脂組成物を、基板または基板の上に先に形成した固体の着色感光性樹脂組成物層(以下、これを基板等ということがある。)の上に塗布し、塗布された着色感光性樹脂組成物層から溶剤など揮発成分を除去し、フォトマスクを介して揮発成分が除去された層を露光したのち、アルカリ水溶液などの現像液により現像し、ポストベークする工程を1工程とし、これを他の色を含む着色感光性樹脂組成物を用いて繰り返し、最終的に、例えば、赤、緑、青の3色を有するカラーフィルタを形成する方法が挙げられる。
【0112】
前記の基板としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、ポリカーボネート基板、ポリエステル基板、芳香族ポリアミド基板、ポリアミドイミド基板、ポリイミド基板、Al基板、GaAs基板などの表面が平坦な基板が挙げられる。これらの基板は、シランカップリング剤などの薬品による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング処理、スパッタリング処理、気相反応処理、真空蒸着処理などの前処理が施されていてもよい。前記の基板の表面にはTFT(薄膜トランジスタ)、CCD(電荷結合素子)などが形成されていてもよい。
【0113】
前記の基板の上に着色感光性樹脂組成物を塗布するには、例えば、本発明の着色感光性樹脂組成物を回転塗布法(スピンコート法)、キャスト法、ロール塗布法、スリット&スピンコート法、スリットコート法、ダイコート法、カーテンフローコート法などの通常の塗布方法で基板等の上に塗布し、次いで溶剤などの揮発成分を加熱により揮発させればよい。このようにして、基板等の上に着色感光性樹脂組成物の固形分からなる層が形成される。
【0114】
次いで、着色感光性樹脂組成物の固形分からなる層(以下、これを着色感光性樹脂組成物層ということがある。)を露光する。露光するには、例えば、フォトマスクを介して光線を照射すればよい。光線としては通常、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)と呼ばれる紫外線などが用いられる。光線はフォトマスクを介して照射されるが、ここでフォトマスクは、例えば、ガラス板の表面に光線を遮蔽する遮光層が設けられたものである。ガラス板のうちの遮光層が設けられていない部分は光線が透過する透光部であって、この透光部のパターンに従ったパターンで着色感光性樹脂組成物層が露光されて、光線が照射されなかった未照射領域と、光線が照射された照射領域とが生ずる。照射領域における光線の照射量は、バインダー樹脂の重量平均分子量、単量体比、含有量、光重合性化合物の種類や含有量、光重合開始剤の種類や含有量、光重合開始助剤の種類や含有量などによって適宜選択される。
【0115】
露光後、現像する。現像するには、例えば、露光後の着色感光性樹脂組成物層を現像液と接触させればよく、具体的にはその表面上に着色感光性樹脂組成物層が形成された状態の基板を現像液に浸漬すればよい。現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなどのアルカリ性化合物の水溶液などが挙げられる。現像によって、着色感光性樹脂組成物層のうちの光線が照射されなかった未照射領域は除去される。その一方で、光線照射領域はそのまま残ってパターンを構成する。
【0116】
現像後、通常は水洗し、乾燥することにより、目的とするパターンを得ることができる。
【0117】
また、現像し、乾燥したのち、次いでベーク炉などの装置内でポストベークを行ってもよい。ポストベークによって、パターンの機械的強度が向上する傾向にあり、着色感光性樹脂組成物としてさらに硬化剤を含有するものを用いた場合には、着色パターンがより硬化して、その機械的強度をより向上することができる。ポストベークの温度は、通常、180℃以上250℃以下、好ましくは200℃以上230℃以下である。ポストベークの温度が前記の範囲であると、硬化が十分に起こり、好ましい。また、ポストベークの時間としては、通常、5〜40分、好ましくは10〜36分、より好ましくは15〜30分である。ポストベークの時間が前記の範囲であると、硬化が十分に起こり、好ましい。
【0118】
目的とする着色画素は、例えば、ガラス基板上に、感光性樹脂組成物をスピンコートし、次にクリーンオーブン中、100℃で3分間プリベークした。冷却後、この感光性樹脂組成物を塗布した基板に、石英ガラス製フォトマスク(当該フォトマスクには、一辺が20μmである正方形の非透光部が40μmの間隔で配置されている。)を介して、超高圧水銀ランプ(USH−250D;ウシオ電機(株)製)を用いて大気雰囲気下、150mJ/cmの露光量(365nm基準)で光照射した。その後、非イオン系界面活性剤0.12質量%と水酸化カリウム0.05質量%を含む水系現像液に上記塗膜を23℃で撹拌(マグネティクスターラーで300rpm)している現像液中で80秒間浸漬して現像し、水洗後、220℃で30分間ポストベークを行って、一辺が20μmのコンタクトホールパターンを得ることにより形成することができる。
こうして、目的の着色画素を形成するが、着色感光性樹脂組成物に含有される着色剤の色を代えて、上記と同様にして基板の上に着色感光性樹脂組成物層を再び形成し、前記の層を露光した後、現像し、次いでポストベークによって、さらに着色画素を形成することができる。着色感光性樹脂組成物に含有される着色剤の色を代えながら上記操作を繰り返し行うことによって、さらに着色画素を形成することができ、目的とするカラーフィルタを製造することができる。
【0119】
ついで、得られたカラーフィルタの上に、ITO膜を蒸着処理する。このようにして得られるカラーフィルタは、着色画素を含むものであり、前記のカラーフィルタを使用することにより、好適な液晶表示装置が得られる。
【0120】
上記において、本発明の実施の形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【実施例】
【0121】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0122】
合成例
<樹脂(B25)の合成>
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよびガス導入管を備えた1Lのフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート333gが導入された。その後、ガス導入管を通って窒素ガスがフラスコ内に導入されて、フラスコ内雰囲気が窒素ガスに置換された。その後、フラスコ内の溶液が100℃に昇温された後、ジシクロペンタニルメタクリレート(FA−513M;日立化成(株)製)22.0g(0.10モル)(b21に相当)、ベンジルメタクリレート70.5g(0.40モル)(b22に相当)、メタクリル酸43.0g(0.5モル)(b23に相当)、アゾビスイソブチロニトリル3.6gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート164gからなる混合物が、滴下ロートを用いて2時間かけてフラスコに滴下され、滴下完了後さらに100℃で5時間撹拌が続けられた。
攪拌終了後、ガス導入管を通って空気がフラスコ内に導入されて、フラスコ内雰囲気が空気にされた後、グリシジルメタクリレート35.5g[0.25モル(本反応に用いたメタクリル酸に対してモル分率で、50モル%)]((メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物に相当)、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9gおよびハイドロキノン0.145gがフラスコ内に投入され、反応が110℃で6時間続けられ、固形分、酸価80mgKOH/gの樹脂B25を得た。
【0123】
ここで、酸価は、カルボン酸などの酸基を有する重合体1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、通常、濃度既知の水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求められる。
得られた樹脂B25の、GPC法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は9,000であった。
【0124】
上記の樹脂の、GPC法によるポリスチレン換算の重量平均分子量および数平均分子量の測定は、以下の条件で行った。
装置;HLC-8120GPC(東ソー(株)製)
カラム;TSK−GELG2000HXL
カラム温度;40℃
溶媒;THF
流速;1.0ml/min
被検液固型分濃度;0.001〜0.01質量%
注入量;50μl
検出器;RI
校正用標準物質;TSK STANDARD POLYSTYRENE F−40、F−4、F−1、A−2500、A−500(東ソー(株)製)
また、本実施例において用いられた他の樹脂についても、同じ条件で、重量平均分子量を測定した。
【0125】
本実施例においては、用いられる成分を、以下の略号で表すこととする。
(A−1)C.I.ピグメントブルー15:6
(A−2)C.I.ピグメントバイオレット23
(E−1)ポリエステル系分散剤
(B−11)メタクリル酸とベンジルメタクリレートとの共重合体〔メタクリル酸単位とベンジルメタクリレート単位との組成比は、モル比で、3:7であり、酸価は113であり、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は25,000であった。〕
(B−21)メタクリル酸、ベンジルメタクリレートおよび式(I)で表される構成単位を導く化合物[ここでは、式(I)中、Rはメチル基を表し、Rは水素原子を表す。]との共重合体[メタクリル酸、ベンジルメタクリレートおよび前記の式(I)で表される構成単位を導く化合物の組成比は、モル比で25:60:15であり、酸価は70であり、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は9,000であった。]
【0126】

【0127】

【0128】
(B−2)前記合成例で得た樹脂B25
(B−3)メタクリル酸、ベンジルメタクリレートおよびポリスチレンとの共重合体〔メタクリル酸単位、ベンジルメタクリレート単位およびポリスチレン単位の組成比は、物質量比(モル比)で、25:65:10であり、酸価は70であり、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は55,000であった。〕
(B−4)メタクリル酸、ポリスチレン、ベンジルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレートおよびN−フェニルマレイミドの共重合体〔メタクリル酸単位、ポリスチレン単位、ベンジルメタクリレート単位、グリセロールモノメタクリレート単位およびN−フェニルマレイミド単位との組成比は、モル比で、15:15:35:10:25であり、酸価は45であり、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は13,500であった。〕
(C−1)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(「KAYARAD DPHA」、日本化薬(株)製)
(D−1)2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン
(D−2)4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB−F;保土谷化学工業(株)製)
(F−1)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(F−2)溶剤:3−エトキシプロピオン酸エチル
(G−1)エポキシ化合物〔オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、「スミエポキシESCN−195XL−80」(住友化学工業(株)製)〕
【0129】
実施例1
〔着色感光性樹脂組成物1の調製〕
(A−1) 1.404質量部
(A−2) 0.021質量部
ポリエステル系分散剤 0.429質量部
(B−11) 0.994質量部
(B−21) 0.828質量部
(C−1) 1.326質量部
(D−1) 0.398質量部
(D−2) 0.133質量部
(F−1) 21.851質量部
(F−2) 2.428質量部
(G−1)エポキシ化合物 0.166質量部
を混合して着色感光性樹脂組成物1を得た。
【0130】
〔着色層の形成〕
ガラス基板(#1737;コーニング社製)の表面上に、上記で得た着色感光性樹脂組成物1をスピンコート法で塗布した後、100℃で3分間加熱して揮発成分を揮発させて着色感光性樹脂組成物層1Aを形成した。冷却後、1A層にフォトマスクを介することなくi線〔波長365nm〕を照射した。i線の光源には超高圧水銀ランプを用い、照射光量は150mJ/cm2とした。次いで、25℃の現像液(質量分率で水酸化カリウムを0.05%、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムを0.2%、それぞれ含有する水溶液)に120秒間浸漬して現像し、純水で洗浄した後、ガラス基板の全面に亙って形成された青色の着色層を得た。その塗膜基板を220℃で20分間ベークし着色感光性樹脂組成物層1Bを形成した。また、1A層を冷却後、この着色感光性樹脂組成物層にフォトマスクを介してi線〔波長365nm〕を照射して露光した。i線の光源には超高圧水銀ランプを用い、平行光としてから照射した。照射光量は150mJ/cm2とした。フォトマスクとしては、線幅、20μmの正方形状のコンタクトホール(以後、C/Hと記載)を形成するためのフォトマスクを用いた。次いで露光後のガラス基板〔表面には着色感光性樹脂組成物層が形成されている。〕を25℃の現像液〔質量分率で水酸化カリウムを0.05%、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムを0.2%それぞれ含む水溶液。〕に120秒間浸漬して現像し、純水で洗浄したのち、220℃で20分間加熱して、青色画素1Cを形成した。
【0131】
〔評価〕
1A層を攪拌下の25℃の現像液(質量分率で水酸化カリウムを0.05%、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムを0.2%それぞれ含有する水溶液)に120秒間浸漬して現像し、純水で洗浄した後、塗膜層を溶解した後の透過率(400nm〜780nmの平均)を顕微分光測定装置(OSP−SP−200;オリンパス(株)製)を用いて測定したいところ、透過率は98%以上(99.8%)であった。
次いで、JIS K 5400に記載された試験法に準じて、鉛筆硬度試験機に、鉛筆「三菱ハイユニ」を用いて、荷重9.8Nをかけた際に塗膜に傷がつかない最も高い硬度を測定値として求めた。先に形成された塗膜の1B層の鉛筆強度を、前記の方法で測定した結果、その鉛筆強度は5Hであった。
また、形成された青色画素1Cにおいて、20μmC/Hは問題なく解像した。
【0132】
実施例2
〔着色感光性樹脂組成物2の調製〕
実施例1で用いた(B−21)に代えて(B−2)を用いる以外は実施例1と同様に混合して着色感光性樹脂組成物2を得た。
〔評価〕
実施例1で得た着色感光性樹脂組成物1に代えて上記で得た着色感光性樹脂組成物2を用いる以外は、実施例1と同様に操作し、2A層を攪拌下の25℃の現像液に120秒間浸漬して現像し、純水で洗浄した後、塗膜層を溶解したあとの透過率(400nm〜780nmの平均)は98%以上(99.9%)であった。
次いで、実施例1と同様に、2B層の鉛筆強度を測定した結果、鉛筆強度は、5Hであった。また、形成された青色画素2Cにおいて、20μmC/Hは問題なく解像した。
【0133】
比較例1
〔着色感光性樹脂組成物3の調製〕
実施例1で用いたバインダー樹脂(B−11)0.994質量部、(B−21)0.828質量部を、(B−11)1.823質量部に変更する以外は実施例1と同様に混合して着色感光性樹脂組成物3を得た。
〔評価〕
実施例1で得た着色感光性樹脂組成物1に代えて上記で得た着色感光性樹脂組成物3を用いる以外は、実施例1と同様に操作し、3A層を攪拌下の25℃の現像液に120秒間浸漬して現像し、純水で洗浄した後、塗膜層を溶解した後の透過率(400nm〜780nmの平均)は98%以上(98.9%)であった。
次いで、実施例1と同様に、3B層の鉛筆強度を測定した結果、鉛筆強度は4Hであった。また、形成された青色画素3Cにおいて、20μmC/Hは全く抜けず解像できなかった。
【0134】
比較例2
〔着色感光性樹脂組成物4の調製〕
比較例1で用いたバインダー樹脂(B−11)に代えて、(B−21)を用いる以外は比較例1と同様に混合して着色感光性樹脂組成物4を得た。
〔評価〕
実施例1で得た着色感光性樹脂組成物1に代えて上記で得た着色感光性樹脂組成物4を用いる以外は、実施例1と同様に操作し、4A層を攪拌下の25℃の現像液に120秒間浸漬して現像し、純水で洗浄した後、塗膜層を溶解した後の透過率(400nm〜780nmの平均)は97%であった。
次いで、実施例1と同様に、4B層の鉛筆強度を測定した結果、鉛筆強度は5Hであった。また、形成された青色画素4Cにおいて、20μmC/Hは全く抜けず解像できなかった。
【0135】
比較例3
〔着色感光性樹脂組成物5の調製〕
比較例1で用いたバインダー樹脂(B−11)に代えて、(B−2)を用いる以外は比較例1と同様に混合して着色感光性樹脂組成物5を得た。
〔評価〕
実施例1で得た着色感光性樹脂組成物1に代えて上記で得た着色感光性樹脂組成物5を用いる以外は、実施例1と同様に操作し、5A層を攪拌下の25℃の現像液に120秒間浸漬して現像し、純水で洗浄した後、塗膜層を溶解した後の透過率(400nm〜780nmの平均)は97%であった。
次いで、実施例1と同様に、5B層の鉛筆強度を測定した結果、鉛筆強度は5Hであった。また、形成された青色画素5Cにおいて、20μmC/Hは全く抜けず解像できなかった。
【0136】
比較例4
〔着色感光性樹脂組成物6の調製〕
比較例1で用いたバインダー樹脂(B−11)に代えて、(B−3)を用いる以外は比較例1と同様に混合して着色感光性樹脂組成物6を得た。
〔評価〕
実施例1で得た着色感光性樹脂組成物1に代えて上記で得た着色感光性樹脂組成物6を用いる以外は、実施例1と同様に操作し、4A層を攪拌下の25℃の現像液に120秒間浸漬して現像し、純水で洗浄した後、塗膜層を溶解した後の透過率(400nm〜780nmの平均)は、90%であった。
次いで、実施例1と同様に、4B層の鉛筆強度を測定した結果、鉛筆強度は5Hであった。また、形成された青色画素4Cにおいて、20μmC/Hは全く抜けず解像できなかった。
【0137】
比較例5
〔着色感光性樹脂組成物7の調製〕
比較例1で用いたバインダー樹脂(B−11)に代えて、(B−4)を用いる以外は比較例1と同様に混合して着色感光性樹脂組成物7を得た。
〔評価〕
実施例1で得た着色感光性樹脂組成物1に代えて上記で得た着色感光性樹脂組成物7を用いる以外は、実施例1と同様に操作し、4A層を攪拌下の25℃の現像液に120秒間浸漬して現像し、純水で洗浄した後、塗膜層を溶解した後の透過率(400nm〜780nmの平均)は95%であった。
次いで、実施例1と同様に、4B層の鉛筆強度を測定した結果、鉛筆強度は6Hであった。また、形成された青色画素4Cにおいて、20μmC/Hは全く抜けず解像できなかった。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、カラーフィルタの形成に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤(A)、(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位およびベンジル(メタ)アクリレートから導かれる構成単位を有する樹脂(ただし、(メタ)アクリロイル基を有さない)(B1)、(メタ)アクリロイル基を有する樹脂(B2)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)ならびに溶剤(F)を含む着色感光性樹脂組成物。
【請求項2】
さらに顔料分散剤(E)を含む請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項3】
(メタ)アクリロイル基を有する樹脂(B2)が、下記(b21)、(b22)および(b23)の各構成単位を導く化合物を共重合させて得られる共重合体に、さらに(b24)の構成単位を導く化合物を反応させて得られる不飽和基含有樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の着色感光性樹脂組成物。
(b21);一分子中にトリシクロデカニル骨格およびジシクロペンタジエニル骨格からなる群から選ばれる少なくとも1種の骨格と、不飽和結合とを有する化合物から導かれる構成単位
(b22);不飽和カルボン酸のエステル化合物から導かれる構成単位(ただし、トリシクロデカニル骨格、ジシクロペンタジエニル骨格および(メタ)アクリロイル基のいずれも有さない。)
(b23);不飽和カルボン酸から導かれる構成単位
(b24);(b23)に由来する構成単位に、さらに(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物を反応させて得られる構成単位
【請求項4】
(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物が、式(I)で表される化合物および式(II)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項3に記載の着色感光性樹脂組成物。

[式(I)および式(II)中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。]
【請求項5】
(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位およびベンジル(メタ)アクリレートから導かれる構成単位を有する樹脂(ただし、(メタ)アクリロイル基を有さない)(B1)のポリスチレン換算重量平均分子量が、15,000以上35,000以下である請求項1〜4のいずれかに記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項6】
(メタ)アクリロイル基を有する樹脂(B2)の含有量が、(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位およびベンジル(メタ)アクリレートから導かれる構成単位を有する樹脂(ただし、アクリロイル基を有さない)(B1)および(メタ)アクリロイル基を有する樹脂(B2)の合計量に対して質量分率で、10質量%以上90質量%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の着色感光性樹脂組成物を用いて形成された着色画素。
【請求項8】
請求項7に記載の着色画素を含むカラーフィルタ。
【請求項9】
請求項8に記載のカラーフィルタを具備する液晶表示装置。

【公開番号】特開2006−124664(P2006−124664A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279480(P2005−279480)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】