説明

着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び液晶表示装置

【課題】
基板上の非画像部に着色樹脂組成物の未溶解物が残存することが少なく、基板との密着性にも優れた、高濃度の色画素を均一に形成でき、且つダイコート塗布においても異物の欠陥が少ない着色樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
色材、溶剤、分散剤、バインダ樹脂を含有する着色樹脂組成物であって、バインダ樹脂が、マクロモノマー、アルコール性水酸基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、N位置換マレイミドを有するモノマー、ジカルボン酸モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)よりなる群のうち、少なくとも1つとその他共重合可能なモノマーとの
共重合体を含む樹脂であって、且つ、分散剤が窒素原子を含有するグラフト共重合体を含むことを特徴とする着色樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色樹脂組成物とその製造方法、カラーフィルタ、及び液晶表示装置に関する。更に詳しくは、現像後における非画像部への残存が少なく、現像時に高いパターン密着性を有し、高濃度の色画素を均一に形成でき、且つ、ダイコートによる塗布の際にダイリップ先端における乾燥凝集塊の発生が抑制される着色樹脂組成物と、この着色樹脂組成物を用いて画素を形成したカラーフィルタ、及び、このカラーフィルタを備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタを製造する方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法が知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状及び精度等の観点から、平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されている。
近年、技術革新の流れは急速であり、カラーフィルタに対しては、より高透過、且つ高濃度が要求されてきた。高濃度のカラーフィルタを形成するには、使用する着色樹脂組成物中の色材濃度を上げる必要があったが、一方で、感光性や溶解性などの画像形成性に寄与する成分が相対的に減少した結果、本来持っていた画像形成性能が失われ、現像後の非画像部への着色樹脂組成物の未溶解物が残存し易くなった。基板上の非画素部に着色樹脂組成物の未溶解物が残存すると、得られるカラーフィルタは、透過率やコントラストの低下などを引き起こすほか、パターンエッジ部に残存した場合には、ITO膜の剥離や、液晶セル化工程でのシール性劣化を起こすなど、後工程にまで影響を及ぼすような事態となっていた。
【0003】
こうした課題を解決するために、特定のバインダー樹脂を用いることにより、残渣、地汚れを低減する方法が提案されている(特許文献1〜4参照)。また、着色樹脂組成物に分子量1000以下の有機カルボン酸化合物を添加する方法が提案されている(特許文献5参照)。この方法を用いると、バインダーポリマーによって顔料を分散させてなる一部の着色樹脂組成物については、現像後の非画素部への未溶解物の残存低減効果が認められた。
【0004】
一方、カラーフィルタの製造方法に関しても、種々の新技術が開発されている。画素形成工程のうち、例えばレジストの塗布工程に関しては、これまで基板中央部にレジストを
滴下し、スピンコート法によって均一化するのが主流であった。しかしながら、基板が
大型化されるに伴い、レジスト使用量が増加すること、及び、スピンコーターの装置上の制約(モーターの能力など)が大きいことなどから、最近ではダイコート法による塗布技術が開発され、一部実用化されている。
【特許文献1】特開平10−300922号
【特許文献2】特開平11−174224号
【特許文献3】特開2000−056118号
【特許文献4】特開2003−233179号
【特許文献5】特許公報第3293171号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜4によっては、分散剤としてリン酸エステル型分散剤や一部のアミン変性ポリウレタン等を用いた場合、未溶解物の残存量を完全に抑制することが出来ないケースがあった。また、特許文献4記載の様に有機カルボン酸化合物の添加を行
なうと、非画像部のみならず画像部の密着性も低下し、その結果、現像マージンが狭まり、画素の剥離、白抜け欠陥が発生し易くなることが分かってきた。即ち、未溶解物の残存量低減と画像の密着性の双方を満足することが非常に困難となっており、高品質を保とうとすると歩留まりを低下させざるを得ない状況になっていた。
【0006】
また、レジストをダイコート法によって塗布する技術は、従来、例えばフロッピー(登録商標)ディスク等の製造に用いられているものであり、通常は高分子フィルム等の媒体に、レジスト等の塗布液を連続塗布する場合に好適に採用されるものである。
これに対して、カラーフィルタのような枚葉塗布の場合には、レジストの塗布方法は間欠塗布であり、ダイリップの先端は、湿潤、乾燥を繰り返す。高濃度の顔料を分散させたカラーレジスト又はブラックレジストがダイリップ先端で乾燥すると、顔料濃度が急激に増加するため、顔料の凝集塊が発生する場合がある。これら凝集塊は、ダイリップ先端に付着し、再度レジストを吐出した際にリップ先端から剥離して基板上に移動してしまい、その後の工程では容易に除去されず、最後まで基板上に残留する。このような凝集塊は、カラーフィルタの画素欠陥となり、品質不良の原因となる。この不良現象が頻発すると製品の歩留りが低下するので、避けなければならない現象の一つとされている。しかしながら、特許文献1〜5では、ダイコート法による塗布の際、ダイリップ先端での乾燥凝集による異物発生が十分に抑制できないケースがあった。
【0007】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたもので、その目的は下記の通りである。
(1)基板上に塗布する際に、基板上の非画像部に着色樹脂組成物の未溶解物が残存することが少なく、基板との密着性にも優れ、高濃度の色画素を均一に形成し得る着色樹脂組成物を提供すること。
(2)ダイコートによる塗布に際して、ダイリップ先端での乾燥凝集を抑制し、高歩留まりでカラーフィルタを製造し得る着色樹脂組成物を提供すること。
(3)基板上の非画素部に着色樹脂組成物の未溶解物が残存していない高品質のカラーフィルタを提供すること。
(4)上記カラーフィルタ基板を使用した、高品質の液晶表示装置を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構造を有するバインダ樹脂と、特定の構造を有する分散剤とを組み合わせて用いることによって、基板上の非画像部への未溶解物が残存することなく、基板との密着性に優れ、高濃度の色画素を均一に形成でき、ダイコートによる塗布の際にダイリップ先端における乾燥凝集塊の発生が抑制される着色樹脂組成物を得られることを見出だし、本発明を完成するに至った。本発明は、複数の関連する発明から成り、各発明の要旨は次の通りである。
(1)色材、溶剤、分散剤、バインダ樹脂を含有する着色樹脂組成物であって、バインダ樹脂が、マクロモノマー、アルコール性水酸基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、N位置換マレイミドを有するモノマー、ジカルボン酸モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)よりなる群のうち、少なくとも1つとその他共重合可能なモノマー
との共重合体を含む樹脂であって、且つ、分散剤が窒素原子を含有するグラフト共重合体を含むことを特徴とする着色樹脂組成物。
【0009】
(2)前記(1)の着色樹脂組成物を用いて形成したことを特徴とするカラーフィルター。
(3)前記(2)に記載のカラーフィルターを用いて形成したことを特徴とする液晶表示装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明は以下に挙げる効果を奏する。
(1)本発明に係る着色樹脂組成物は、これを基板上に塗布する際に、基板上の非画素部に未溶解物が残存することがなく、且つ基板との密着性にも優れた、高濃度の色画素を均一に形成し得る。
(2)本発明に係る着色樹脂組成物は、基板上にダイコート法によって塗布した際に、ダイリップ先端での乾燥凝集が抑制されるため、異物の発生が少なく、高歩留りでカラーフィルタを製造することができる。
(3)本発明に係るカラーフィルタは、基板上の非画素部に着色樹脂組成物の未溶解物が残存することがない。また、基板との密着性にも優れた、高濃度の色画素が均一に形成されているため、極めて高品質である。
(4)本発明に係る液晶表示装置は、基板上の非画素部に着色樹脂組成物の未溶解物が残存することがなく、また、基板との密着性にも優れた、高濃度の色画素が均一に形成されている極めて高品質なカラーフィルタを使用しているため、極めて高品質である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の構成要件等について詳細に説明するが、これらは本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に限定されるものではない。
[1]カラーフィルター用着色組成物(レジスト)の構成成分
以下に本発明のカラーフィルター用着色組成物の各構成成分を説明する。 本発明に係る着色樹脂組成物(レジスト)は、色材、溶剤、分散剤、及びバインダ樹脂を必須成分とし、更に要すれば、上記成分以外の他の添加物等が配合されていてもよい。
【0012】
以下、各構成成分を説明する。
なお、以下において、「全固形分」とは、後記する溶剤成分以外の本発明のカラーフィルター用着色組成物中の全成分を指す。また、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリロイロキシ〜」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリロイロキシ〜及び/又はメタクリロイロキシ〜」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味するものとする。
[1−1]色材:
色材とは、本発明に係る着色樹脂組成物を着色するものをいう。色材としては、顔料又は染料が使用できるが、耐熱性、耐光性などの点から顔料が好ましい。
【0013】
顔料としては、青色顔料、緑色顔料、赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料など各種の色の顔料を使用することができる。また、その構造としては、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系などの有機顔料が挙げられる。この他に種々の無機顔料なども利用可能である。以下、使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。以下に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0014】
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185
、187、188、190、193、194、200、202、206、207、20
8、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、254である。
【0015】
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6であり、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6である。
【0016】
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36である。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185であり、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180である。
【0017】
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントオレンジ38、71である。
【0018】
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23である。
【0019】
また、その他の顔料として、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、
酸化クロム等が挙げられる。
上記の各種の顔料は、複数種を併用することもできる。例えば、色度の調整のために、顔料として、緑色顔料と黄色顔料とを併用したり、青色顔料と紫色顔料とを併用したりすることができる。なお、これらの顔料の平均粒径は、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下、更に好ましくは0.25μm以下である。
【0020】
また、色材として使用できる染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料などが挙げられる。
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11,C.I.アシッドオレンジ7,C.I.アシッドレッド37,C.I.アシッドレッド180,C.I.アシッドブルー29,C.I.ダイレクトレッド28,C.I.ダイレクトレッド83,C.I.ダイレクトイエロー12,C.I.ダイレクトオレンジ26,C.I.ダイレクトグリーン28,C.I.ダイレクトグリーン59,C.I.リアクティブイエロー2,C.I.リアクティブレッド17,C.I.リアクティブレッド120,C.I.リアクティブブラック5,C.I.ディスパースオレンジ5,C.I.ディスパースレッド58,C.I.ディスパースブルー165,C.I.ベーシックブルー41,C.I.ベーシックレッド18,C.I.モルダントレッド7,C.I.モルダントイエロー5,C.I.モルダントブラック7等が挙げられる。
【0021】
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.バットブルー4,C.I.アシッドブルー40,C.I.アシッドグリーン25,C.I.リアクティブブルー19,C.I.リアクティブブルー49,C.I.ディスパースレッド60,C.I.ディスパースブルー56,C.I.ディスパースブルー60等が挙げられる。
上記の他、フタロシアニン系染料として、例えば、C.I.パッドブルー5等が、キノンイミン系染料として、例えば、C.I.ベーシックブルー3,C.I.ベーシックブルー9等が、キノリン系染料として、例えば、C.I.ソルベントイエロー33,C.I.アシッドイエロー3,C.I.ディスパースイエロー64等が、ニトロ系染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー1,C.I.アシッドオレンジ3,C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
【0022】
また、着色樹脂組成物を使用してカラーフィルタの樹脂ブラックマトリクスを形成する場合には、黒色色材を使用することができる。黒色色材は、黒色色材を単独でもよく、赤、緑、青などの混合によるものでもよい。また、これら色材は、無機又は有機の顔料や染料の中から適宜選択することができる。無機、有機顔料の場合は、平均粒径として、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下に分散して使用するのが好ましい。
【0023】
単独使用可能な黒色色材としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラック等が挙げられる。これらの中では、遮光率、画像特性の観点からカーボンブラック、チタンブラックが好ましい。
カーボンブラックの例としては、以下の様なカーボンブラックが挙げられる。
【0024】
三菱化学社製の商品としては、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R
、MA220、MA230、MA600、#5、#10、#20、#25、#30、#
32、#33、#40、#44、#45、#47、#50、#52、#55、#650、#750、#850、#950、#960、#970、#980、#990、#1000、#2200、#2300、#2350、#2400、#2600、#3050、#3150、#3250、#3600、#3750、#3950、#4000、#4010、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30B、OIL31B等が挙げられる。
【0025】
デグサ社製の商品としては、Printex3、Printex3OP、Printex30、Printex30OP、Printex40、Printex45、Printex55、Printex60、Printex75、Printex80、Printex85、Printex90、Printex A、Printex L、Printex G、Printex P、Printex U、Printex V、PrintexG、SpecialBlack550、SpecialBlack350、SpecialBlack250、SpecialBlack100、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S160、Color Black
S170等が挙げられる。
【0026】
キャボット社製の商品としては、Monarch120、Monarch280、Monarch460、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400、Monarch4630、REGAL99、REGAL99R、REGAL415、REGAL415R、REGAL250、REGAL250R、REGAL330、REGAL400R、REGAL55R0、REGAL660R、BLACK PEARLS480、PEARLS130、VULCAN XC72R、ELFTEX−8等が挙げられる。
【0027】
コロンビヤン カーボン社製の商品としては、RAVEN11、RAVEN14、RAVEN15、RAVEN16、RAVEN22RAVEN30、RAVEN35、RAVEN40、RAVEN410、RAVEN420、RAVEN450、RAVEN500、RAVEN780、RAVEN850、RAVEN890H、RAVEN1000、RAVEN1020、RAVEN1040、RAVEN1060U、RAVEN1080U、RAVEN1170、RAVEN1190U、RAVEN1250、RAVEN1500、RAVEN2000、RAVEN2500U、RAVEN3500、RAVEN5000、RAVEN5250、RAVEN5750、RAVEN7000等が挙げられる。
【0028】
なお、高い光学濃度及び高い表面抵抗率を有する樹脂ブラックマトリクスの製造には樹脂被覆されたカーボンブラックを用いるのが特に好ましい。
また、チタンブラックは以下のものが挙げられる。
チタンブラックの作製方法としては、二酸化チタンと金属チタンの混合体を還元雰囲気下で加熱し還元させる方法(特開昭49−5432号公報)、 四塩化チタンの高温加水
分解で得られた超微細二酸化チタンを水素を含む還元雰囲気中で還元する方法(特開昭57−205322号公報)、二酸化チタンまたは水酸化チタンをアンモニア存 在下で高温還元する方法(特開昭60−65069号公報、特開昭61−201610号公報)、二酸化チタンまたは水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭61−201610号公報)、などがあるがこれらに限定されるものではない。
【0029】
チタンブラックのの市販品の例としては、三菱マテリアル製チタンブラック10S、12S、13R、13M、13M−C等が挙げられる。
他の黒色顔料の例としては、赤色、緑色、青色の三色の色材を混合して黒色顔料として用いることができる。
黒色色材を調製するために混合使用可能な色材としては、ビクトリアピュアブルー(42595)、オーラミンO(41000)、カチロンブリリアントフラビン(ベーシック
13)、ローダミン6GCP(45160)、ローダミンB(45170)、サフラニンOK70:100(50240)、エリオグラウシンX(42080)、No.120/リオノールイエロー(21090)、リオノールイエローGRO(21090)、シムラーファーストイエロー8GF(21105)、ベンジジンイエロー4T−564D(21095)、シムラーファーストレッド4015(12355)、リオノールレッド7B4401(15850)、ファーストゲンブルーTGR−L(74160)、リオノールブルーSM(26150)、リオノールブルーES(ピグメントブルー15:6)、リオノーゲンレッドGD(ピグメントレッド168)、リオノールグリーン2YS(ピグメントグリーン36)等が挙げられる。なお、上記の括弧内の数字は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0030】
また、更に、他の混合使用可能な顔料について、C.I.ナンバーにて示すと、例えば、C.I.黄色顔料20、24、86、93、109、110、117、125、137、138、147、148、153、154、166、C.I.オレンジ顔料36、43、51、55、59、61、C.I.赤色顔料9、97、122、123、149、168、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、C.I.バイオレット顔料19、23、29、30、37、40、50、C.I.青色顔料15、15:1、15:4、22、60、64、C.I.緑色顔料7、C.I.ブラウン顔料23、25、26等を挙げることができる。
【0031】
着色樹脂組成物中の全固形分に対する色材の割合は、通常1重量%以上、好ましくは10重量%以上、また、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下である。色材の割合が少な過ぎると、色濃度に対する膜厚が大きくなり過ぎて、液晶セル化の際のギャップ制御などに悪影響を及ぼす。一方で、逆に色材の割合が多過ぎると、十分な画像形成性が得られなくなることがある。
[1−2]溶剤:
溶剤は、本発明の着色樹脂組成物において、色材、分散剤、バインダ樹脂の他、場合により配合した上記以外の成分などを溶解又は分散させ、粘度を調節する機能を有する。
【0032】
溶剤としては、例えば、ジイソプロピルエーテル、ミネラルスピリット、n−ペンタン、アミルエーテル、エチルカプリレート、n−ヘキサン、ジエチルエーテル、イソプレン、エチルイソブチルエーテル、ブチルステアレート、n−オクタン、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルアセテート、アプコシンナー、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキセン、メチルノニルケトン、プロピルエーテル、ドデカン、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、アミルホルメート、ジヘキシルエーテル、ジイソプロピルケトン、ソルベッソ#150、(n,sec,t−)酢酸ブチル、ヘキセン、シェルTS28 ソルベント、ブチルクロライド、エチルアミルケトン、エチルベンゾエート、アミルクロライド、エチレングリコールジエチルエーテル、エチルオルソホルメート、メトキシメチルペンタノン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルイソブチレート、ベンゾニトリル、エチルプロピオネート、メチルセロソルブアセテート、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピルアセテート、アミルアセテート、アミルホルメート、ビシクロヘキシル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジペンテン、メトキシメチルペンタノール、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、プロピルプロピオネート、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、カルビトール、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ
メチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、エチレングリコールアセテート、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチルー3ーメトキシブチルアセテート等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用して使用してもよい。
【0033】
本発明の着色樹脂組成物全体に占める溶剤の含有量は、特に制限はないが、その上限は通常99重量%以下とする。溶剤が99重量%を超える場合は、色材、分散剤などが少なくなり過ぎて塗布膜を形成するには不適当である。一方、溶剤含有量の下限は、塗布に適した粘性などを考慮して、通常75重量%以上、好ましくは80重量%以上、更に好ましくは82重量%以上である。
[1-3]分散剤:
本発明の着色樹脂組成物は、分散剤として窒素原子を含有するグラフト共重合体を含むことが必須である。窒素原子を含有するグラフト共重合体としては、主鎖に窒素原子を含有する繰り返し単位を有するものが好ましい。中でも、式(I)で表される繰り返し単位または/及び式(II)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
【0034】
【化6】

【0035】
(式中、R1は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、Aは水素原子または下記式(III)〜(V)のいずれかを表す。)
上記式(I)中、R1は、メチレン、エチレン、プロピレン等の直鎖状または分岐状の
炭素数1〜5のアルキレン基を表し、好ましくは炭素数2〜3であり、更に好ましくはエチレン基である。Aは水素原子または下記式(III)〜(V)のいずれかを表すが、好ま
しくは式(III)である。
【0036】
【化7】

【0037】
上記式(II)中、R1、Aは、式(I)のR1、Aと同義である。
【0038】
【化8】

【0039】
上記式(III)中、W1は炭素数2〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表し、中でもブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等の炭素数4〜7のアルキレン基が好ましい。pは1〜20の整数を表し、好ましくは5〜10の整数である。
【0040】
【化9】

【0041】
上記式(IV)中、Y1は2価の連結基を表し、中でもエチレン、プロピレン等の炭素数
1〜4のアルキレン基とエチレンオキシ、プロピレンオキシ等の炭素数1〜4のアルキレンオキシ基が好ましい。W2はエチレン、プロピレン、ブチレン等の直鎖状または分岐状
の炭素数2〜10のアルキレン基を表し、中でもエチレン、プロピレン等の炭素数2〜3のアルキレン基が好ましい。Y2は水素原子または−CO−R2(R2はエチル、プロピル
、ブチル、ペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜10のアルキル基を表し、中でもエチル、プロピル、ブチル、ペンチル等の炭素数2〜5のアルキル基が好ましい)を表す。qは、1〜20の整数を表し、好ましくは5〜10の整数である。
【0042】
【化10】

【0043】
上記式(V)中、W3は炭素数1〜50のアルキル基または水酸基を1〜5有する炭素
数1〜50のヒドロキシアルキル基を表し、中でもステアリル等の炭素数10〜20のアルキル基、モノヒドロキシステアリル等の水酸基を1〜2個有する炭素数10〜20のヒドロキシアルキル基が好ましい。
本発明のグラフト共重合体における式(I)または(II)で表される繰り返し単位の含有率は、高い方が好ましく、通常50モル%以上であり、好ましくは70モル%以上である。式(I)で表される繰り返し単位と、式(II)で表される繰り返し単位の、両方を併
有してもよく、その含有比率に特に制限は無いが、好ましくは式(I)の繰り返し単位の方を多く含有していた方が好ましい。式(I)または式(II)で表される繰り返し単位の合計数は、通常1〜100、好ましくは10〜70、更に好ましくは20〜50である。また、式(I)及び式(II)以外の繰り返し単位を含んでいてもよく、他の繰り返し単位としては、例えばアルキレン基、アルキレンオキシ基などが例示できる。本発明のグラフト共重合体は、その末端が−NH2及び−R1−NH2(R1は、前記R1と同義)のものが
好ましい。
【0044】
尚、本発明のグラフト共重合体であれば、主鎖が直鎖状であっても分岐していてもよい。
本発明のグラフト共重合体のアミン価は、通常5〜100mgKOH/gであり、好ましくは10〜70mgKOH/gであり、更に好ましくは15〜40mgKOH/g以下である。アミン価が低すぎると分散安定性が低下し、粘度が不安定になることがあり、逆に高すぎると残渣が増加したり、液晶パネルを形成した後の電気特性が低下することがある。
【0045】
上記分散剤のGPCで測定した重量平均分子量としては、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。重量平均分子量が3000未満であると、色材の凝集を防ぐことができず、高粘度化ないしはゲル化してしまうことがあり、100000を超えるとそれ自体が高粘度となり、また有機溶媒への溶解性が不足するため好ましくない。
【0046】
また、本発明の着色樹脂組成物に用いる分散剤として、窒素原子を含有するグラフト共重合体は、単独で使用しても、その他の公知の分散剤を併用してもよい。その他の公知の分散剤としては、公知又は市販の低分子、高分子分散剤等を挙げることが出来るが、中でも窒素含有官能基を有する分散剤であることが好ましい。
着色組成物中の色材成分に対する上記分散剤の合計の含有量としては、通常2〜300重量%であり、好ましくは5〜100重量%であり、特に好ましくは10〜80重量%である。分散剤成分が少なすぎると、色材への吸着が不足し、凝集を防ぐことができず、高粘度化ないしゲル化してしまうことがあり、逆に多すぎると、膜厚が厚くなりすぎて、カラーフィルタにした後、液晶セル化工程でのセルギャップ制御不良が出ることがあるため、どちらも好ましくない。
【0047】
上記分散剤のうち、窒素原子を含有するグラフト共重合体の含まれる割合は、通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上である。
上記分散剤の合成方法は、公知の方法が採用でき、例えば特公昭63−30057号公報に記載の方法を用いることができる。
[1−4]バインダ樹脂
本発明に係る着色樹脂組成物に用いられるバインダ樹脂は、マクロモノマー、アルコール性水酸基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、N位置換マレイミドを有するモノマー、ジカルボン酸モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)よりなる群のうち、少なくとも1つとその他共重合可能なモノマーとの共重合体を含む樹脂を含むこと
が必須である。以下、バインダ樹脂を構成するモノマー及びバインダ樹脂について詳述する。
尚、上記樹脂は、必ずしも、実際に上記モノマー同士を共重合させて製造する必要はなく、結果として、上記モノマー同士を共重合させてなる構造を有していればよい。
[1−4−1]カルボキシル基を有するモノマー、マクロモノマー、アルコール性水酸基を有するモノマーとその他共重合可能なモノマーとの共重合体(以下、まとめて「マクロモノマー系共重合体」と称することがある。)
[1−4−1−1]カルボキシル基を有するモノマー
カルボキシル基を有するモノマーとしては、分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和化合物が好適なものとして挙げられる。かかるモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレ−ト、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレ−ト、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸等が挙げられる。中でも、メタアクリル酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸が好ましい。
[1−4−1−2]マクロモノマー
マクロモノマ−としては、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を、好ましくは一つ有するポリスチレン換算数平均分子量(以下「Mn」という)1,000〜10,000、特に
2,000〜8,000の化合物が好ましく用いられる。かかるマクロモノマーとしては、例えばスチレン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、ブタジエンおよびイソプレンよりなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマ−の単独重合体あるいは共重合体であって、片方の分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するものを挙げることができる。
【0048】
このようなマクロモノマ−の具体例としては、ポリスチレンオリゴマ−、ポリメチル(メタ)アクリレ−トオリゴマ−またはポリブチル(メタ)アクリレ−トオリゴマ−の片方の分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマ−を好適なものとして挙げられる。また、市販品としては、AS−6(東亜合成化学工業(株)製、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマ−、Mn=6,000)、AA−6(東亜合成化学工業(株)製、片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレ−トオリゴマ−、Mn=6,000)およびAB−6(東亜合成化学工業(株)製、片末端メタクリロイル化ポリブチルアクリレ−トオリゴマ−、Mn=6,000)等が容易に入手できる。この他、マクロモノマ−としては、例えば片方の分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリシリコ−ンオリゴマ−も好適なものとして用いられる。
[1−4−1−3]アルコール性水酸基を有するモノマー
アルコ−ル性水酸基を有するモノマ−としては、分子中に少なくとも1個のアルコ−ル性水酸基を有する不飽和化合物が好適なものとして挙げられる。かかるモノマ−の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレ−ト、ポリプロピレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレ−ト、及びグリセロール(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト、2ーヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタアクリレ−ト、グリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。尚、グリセロール(メタ)アクリレートの場合は、下記構造式(VI)の化合物が好ましい。
【0049】
【化11】

【0050】
(上記式(VI)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、好ましくはメチル基である。

[1−4−1−4]その他共重合可能なモノマー
その他共重合可能なモノマーは、上記のいずれのモノマーとも共重合しうるモノマーであれば特に限定はないが、例えば芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸アルキルエステル、不飽和カルボン酸アリ−ルアルキルエステル、不飽和カルボン酸アリ−ルエステル、不飽和カルボン酸脂環式炭化水素エステル、不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、不飽和カルボン酸グリシジルエステル、カルボン酸ビニルエステル、シアン化ビニルおよび脂肪族共役ジエンを好ましいものとして挙げることができる。
【0051】
かかるモノマ−の具体例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、p−クロルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、インデン、o−ビニルベンジルメチルエーテル、m−ビニルベンジルメチルエーテル、p−ビニルベンジルメチルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等の芳香族ビニル化合物;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングルコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングルコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類;
2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;
グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル等の不飽和エーテル類;
(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル化合物;
(メタ)アクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;
マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド類;
1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン類;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン等の重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基あるいはモノメタクリロイル基を有するマクロモノマー類等を挙げることができる。
【0052】
これらの中では、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリ−ルアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリ−ルエステル、(メタ)アクリル酸脂環式炭化水素エステルおよびカルボン酸ビニルエステルが好ましい。
上記のマクロモノマー、アルコール性水酸基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、及びその他共重合可能なモノマーは単独であるいは2種以上組み合わせて用いられる。
【0053】
マクロモノマ−共重合体における(マクロモノマー)/(アルコール性水酸基を有するモノマー)/(カルボキシル基を有するモノマー)/(その他共重合可能なモノマー)の共重合比は、全モノマ−100重量部中、重量比で、通常(1〜50)/(1〜30)/(1〜30)/(1〜80)であり、好ましくは(5〜20)/(5〜20)/(5〜20)/(10〜70)である。マクロモノマー共重合体としては、具体的には、ポリスチレンマクロモノマ−/2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート/メタアクリル酸/ベンジルメタアクリレート共重合体、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/メタアクリル酸/ベンジルメタアクリレート共重合体、ポリスチレンマクロモノマー/2−ヒドロキシエチルメタアクリレート/2−アクリロイルオキシエチルフタル酸/メチルメタアクリレ−ト共重合体、ポリスチレンマクロモノマー/2−ヒドロキシエチルメタアクリレート/メタアクリル酸/ベンジルメタアクリレ−ト共重合体、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/2−ヒドロキシエチルメタアクリレート/メタアクリル酸/ベンジルメタアクリレート、ポリスチレンマクロモノマー/2−ヒドロキシエチルメタアクリレート/メタアクリル酸/ジシクロペンテニルメタアクリレート等が挙げられる。
【0054】
尚、アルコール性水酸基を有するモノマーとその他共重合可能なモノマーとの共重合体のうち、アルコール性水酸基を有するモノマーがグリセロール(メタ)アクリレートの場合は、特に、グリセロール(メタ)アクリレートと、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を必須成分とし、場合により、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)を含有するカルボキシル基含有不飽和単量体と、スチレン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマーおよびポリメチルメタクリレートマクロモノマーの群から選ばれる少なくとも1種との共重合体が好ましく、具体的には特許文献2(特開平11−174224号)に記載の化合物が挙げられる。
【0055】
本発明で用いられるマクロモノマ−共重合体は、GPC(キャリヤ−:テトラヒドロフラン)で測定されるポリスチレン換算重量平均分子量(以下「Mw」という)が、5,0
00〜200,000 であり、好ましくは10,000〜80,000である。
このようなMwを有するポリマーは、マクロモノマー、アルコール性水酸基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、及びその他共重合可能なモノマーを溶媒の存在下ラジカル重合することにより、通常重合転化率90重量%以上、好ましくは95重量%以上で得ることができる。
【0056】
その際に、Mwをコントロールするために連鎖移動剤を使用してもよい。かかる連鎖移動剤としては、αーメチルスチレンダイマーが好ましい。αーメチルスチレンダイマーは、モノマー合計100重量部に対して、0.01〜20重量部の量で、好ましくは0.1〜
10重量部の量で用いられる。
なお、α−メチルスチレンダイマーには異性体として、(イ)2,4−ジフェニル−4
−メチル−1−ペンテン(ロ)2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン(ハ)1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンがある。連鎖移動剤としてのα−メチルスチ
レンダイマーとして好ましい組成は、全体量を100重量部としたときに、(イ)成分が40重量部以上、(ロ)成分および/または(ハ)成分が60重量部以下、さらに好ましくは、(イ)成分が50重量部以上、(ロ)成分および/または(ハ)成分が50重量部以下である。
【0057】
本発明におけるマクロモノマー共重合体の使用量は、固形分換算で前記色材100重量部に対して2〜100重量部であり、好ましくは5〜60重量部である。マクロモノマー共重合体の使用量が少なすぎると、顔料分散処理後、微粒子化された顔料が再凝集し、カラーフィルターのコントラストおよび塗膜の均質性が低下する。一方、マクロモノマー共重合体の使用量が多すぎると、顔料処理中に増粘し取り扱いが困難になる。
【0058】
[1−4−2]N位置換マレイミドを有するモノマーとその他共重合可能なモノマーとの共重合体(以下、任意に「N位置換マレイミド共重合体」と称することがある。)
本発明で用いられるN位置換マレイミド共重合体において、N位置換マレイミドモノマーにおけるN位置換基としては、例えば、(シクロ)アルキル基、アリール基、アラルキル基や、これらの置換誘導体等を挙げることができ、これらのN位置換基のうち、特にアリール基、置換アリール基が好ましい。N位置換マレイミドモノマーの具体例としては、N−フェニルマレイミド、N−o−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−m−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−o−メチルフェニルマレイミド、N−m−メチルフェニルマレイミド、N−p−メチルフェニルマレイミド、N−o−メトキシフェニルマレイミド、N−m−メトキシフェニルマレイミド、N−p−メトキシフェニルマレイミド等のN−(置換)アリールマレイミドのほか、N−シクロヘキシルマレイミド等を挙げることができる。これらのN位置換マレイミドモノマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。また、前記その他の共重合可能なモノマーとしては、前記N位置換マレイミドモノマーと共重合しうる限り限定されるものではないが、特に、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、単に「カルボキシル基含有不飽和単量体」という。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、単に「他の不飽和単量体」という。)とからなる単量体混合物が好ましい。前記カルボキシル基含有不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、エタクリル酸、けい皮酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノメタクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸(無水物)類;3価以上の不飽和多価カルボン酸(無水物)類等を挙げることができる。これらのカルボキシル基含有不飽和単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0059】
また、前記他の不飽和単量体としては、前記[1−4−1−4]の「その他共重合可能なモノマー」と同様の化合物を挙げることが出来る。これらの他の不飽和単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
N位置換マレイミド共重合体としては、N−フェニルマレイミドの共重合体が好ましく、更に好ましくはN−フェニルマレイミドとカルボキシル基含有不飽和単量体と他の不飽和単量体との共重合体であり、特に好ましくはN−フェニルマレイミドと、(メタ)アクリル酸と、スチレンと、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ポリスチ
レンマクロモノマーおよびポリメチルメタクリレートマクロモノマーの群から選ばれる少なくとも1種との共重合体(以下、「アルカリ可溶性樹脂(I)」という。)である。
【0060】
アルカリ可溶性樹脂(I)の具体例としては、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/フェニルメタクリレート共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/フェニルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/フェニルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/フェニルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/フェニルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体等を挙げることができる。
【0061】
N位置換マレイミド共重合体におけるN位置換マレイミドモノマーの共重合割合は、通常5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。この場合、N位置換マレイミドモノマーの共重合割合が少なすぎると、得られる画素の耐熱性が低下する傾向があり、多すぎると、得られる共重合体のアルカリ可溶性が低下して、未露光部の基板上あるいは遮光層上に残渣や地汚れを生じるおそれがある。また、N位置換マレイミド共重合体がN位置換マレイミドモノマーとカルボキシル基含有不飽和単量体と他の不飽和単量体との共重合体である場合、カルボキシル基含有不飽和単量体の共重合割合は、通常5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%であり、他の不飽和単量体の共重合割合は、通常10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%である。この場合、カルボキシル基含有不飽和単量体の共重合割合が少なすぎると、得られる感放射線性組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が低下する傾向があり、多すぎると、アルカリ現像液による現像時に、形成された画素の基板からの脱落や画素表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。特にカルボキシル基含有不飽和単量体を前記特定の共重合割合で含有するN位置換マレイミド共重合体は、アルカリ現像液に対して優れた溶解性を有するものであり、当該共重合体をバインダーとして用いた感放射線性組成物は、アルカリ現像液による現像後に未溶解物が残存することが極めて少なく、基板上の画素を形成する部分以外の領域における地汚れ、膜残り等が発生し難く、しかも該組成物から得られる画素は、アルカリ現像液に過剰に溶解することがなく、基板に対して、優れた密着性を有し、基板から脱落するおそれもないものとなる。前記N位置換マレイミド共重合体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0062】
本発明においては、場合により、前記N位置換マレイミド共重合体と共に、他のアルカリ可溶性樹脂を併用することもできる。このような他のアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を含有する樹脂を挙げることができる。前記他のアルカリ可溶性樹脂のうち、カルボキシル基を含有する樹脂としては、前記カルボキシル基含有不飽和単量体と前記他の不飽和単量体との共重合体が好ましく、さらに好ましくはアクリル酸および/またはメタクリル酸とメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン、ポリスチレンマクロモノマーおよびポリ
メチルメタクリレートマクロモノマーの群から選ばれる少なくとも1種との共重合体(以下、「アルカリ可溶性樹脂(II)」という。)である。アルカリ可溶性樹脂(II)の具体例としては、アクリル酸/ベンジルアクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルアクリレート共重合体、アクリル酸/ベンジルアクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/ベンジルアクリレート/スチレン共重合体、アクリル酸/メチルアクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/メチルアクリレート/スチレン共重合体、アクリル酸/ベンジルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/ベンジルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/ベンジルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/ベンジルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、アクリル酸/メチルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/メチルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/メチルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/メチルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、アクリル酸/メチルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/メチルメタクリレート/スチレン共重合体、アクリル酸/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、アクリル酸/メチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/メチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/メチルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/メチルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、アクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体のアクリル酸共重合体等を挙げることができる。
【0063】
これらのアルカリ可溶性樹脂(II) は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。前記他のアルカリ可溶性樹脂を使用する際の該樹脂の使用量は、アルカリ可溶性樹脂の合計量に対して、通常、50重量%以下、好ましくは30重量%以下である。この場合、他のアルカリ可溶性樹脂の使用量が50重量%を超えると、得られる画素の耐熱性が低下する傾向がある。
【0064】
N位置換マレイミド共重合体を含むバインダー樹脂を構成する各成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;溶出溶媒テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」という。)は、好ましくは3,000〜300,000、特に好ましくは5,000〜100,000である。このような特定の重量平均分子量を有するアルカリ可溶性樹脂を使用することにより、現像性に優れた感放射線性組成物が得られ、それによりシャープなパターンエッジを有する画素を形成することができるとともに、現像時に基板上の画素を形成する部分以外の領域における地汚れ、膜残り等が発生し難くなる。
[1−4−3]ジカルボン酸モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)とその他共重合可能なモノマーとの共重合体
本発明に用いられる、ジカルボン酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)から
選ばれる少なくとも1種の単量体(以下、この単量体を「単官能性単量体(a1)」という。)と他の共重合可能な単官能性単量体との共重合体(以下、「共重合体(A1)」という。)について説明する。
【0065】
単官能性単量体(a1)におけるジカルボン酸としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の炭素数4〜20、好ましくは炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸類;
ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の炭素数7〜24、好ましくは炭素数8〜14の脂環族ジカルボン酸類;
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の炭素数8〜24、好ましくは炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸類等。
【0066】
これらのジカルボン酸のうち、炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸類が好ましく、特に、コハク酸が好ましい。本発明において、単官能性単量体(a1)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、前記他の共重合可能な単官能性単量体は、共重合可能な重合性不飽和結合を1個有する単量体を意味し、単官能性単量体(a1)と共重合でき、かつ得られる共重合体(A1)がアルカリ可溶性となる限り限定されるものではないが、特に、単官能性単量体(a1)以外の1個以上のカルボキシル基を有する単官能性単量体(以下、「単官能性単量体(a2)」という。)と前記以外の共重合可能な単官能性性単量体(以下、単に「他の単官能性単量体」という。)とからなる単量体混合物が好ましい。単官能性単量体(a2)としては、例えば、以下の化合物を挙げることが出来る。
【0067】
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸またはその無水物類;
3価以上の不飽和多価カルボン酸またはその無水物類や、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレート等。
【0068】
これらの単官能性単量体(a2)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、他の単官能性単量体としては、前記[1−4−1−4]の「その他共重合可能なモノマー」と同様の化合物を挙げることが出来る。これらの他の単官能性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0069】
共重合体(A1)としては、特に、単官能性単量体(a1)と、(メタ)アクリル酸を必須成分とし、場合によりω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートを含有する単官能性単量体(a2)と、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマーおよびポリメチルメタクリレートマクロモノマーの群から選ばれる少なくとも1種との共重合体(以下、「アルカリ可溶性樹脂(III)」という。)が
好ましい。
【0070】
アルカリ可溶性樹脂(III)の具体例としては、以下の化合物を挙げることが出来る。
(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、(メ
タ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、あるいは(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体からなる三元共重合体(以下、「アルカリ可溶性樹脂(IIIa
)」という。);
【0071】
(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/ベンジル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/ベンジル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレート
マクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/フェニル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/フェニル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/フェニル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(b1)/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/N−フェニルマレイミド/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/N−フェニルマレイミド/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、あるいは(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/N−フェニルマレイミド/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体からなる四元共重合体(以下、「アルカリ可溶性樹脂(IIIb)」という。
);
【0072】
(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/スチレン/メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/スチレン/ベンジル(メタ)ア
クリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/スチレン/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/フェニル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/フェニル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/フェニル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/スチレン/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/スチレン/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/スチレン/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/スチレン/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/N−フェニルマレイミド/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/N−フェニルマレイミド/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/N−フェニルマレイミド/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単
量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/メチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能
性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/ベンジル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/ベンジル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/ベンジル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/ベンジル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/ベンジル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/ベンジル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/ベンジル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/フェニル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/フェニル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/フェニル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/フェニル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)
/グリセロールモノ(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/N−フェニルマレイミド/ポリスチレンマクロモノマー共重合体あるいは(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/単官能性単量体(a1)/N−フェニルマレイミド/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体からなる五元共重合体(以下、「アルカリ可溶性樹脂(IIIc)」という。
);
【0073】
(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/フェニル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/フェニル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体あるいは(メタ)アクリル酸/単官能性単量体(a1)/スチレン/フェニル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体からなる六元共重合体(以下、「アルカリ可溶性樹脂(IIId)」という。)等。
【0074】
本発明においては、前記アルカリ可溶性樹脂(IIIa)、アルカリ可溶性樹脂(IIIb)、アルカリ可溶性樹脂(IIIc)およびアルカリ可溶性樹脂(IIId)のうち、それらの単官能性単量体(a1)がコハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)である樹脂が特に好ましい。共重合体(A1)における単官能性単量体(a1)の共重合割合は、通常、5〜35重量%、好ましくは10〜25重量%である。この場合、単官能性単量体(a1)の共重合割合が少なすぎると、未露光部の基板上あるいは遮光層上に残渣、地汚れ等を生じるおそれがあり、多すぎると、アルカリ現像液による現像時に、形成された画素が基板から脱落しやすくなる傾向がある。また、共重合体(A1)が単官能性単量体(a1)と単官能性単量体(a2)と他の不飽和単量体との共重合体である場合、単官能性単量体(a2)の共重合割合は、通常5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%であり、他の不飽和単量体の共重合割合は、通常15〜90重量%、好ましくは35〜80重
量%である。この場合、単官能性単量体(a2)の共重合割合が少なすぎると、得られる感放射線性組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が低下する傾向があり、多すぎると、アルカリ現像液による現像時に、形成された画素の基板からの脱落や画素表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。単官能性単量体(a1)と共に、単官能性単量体(a2)を前記特定の共重合割合で含有する共重合体(A1)は、アルカリ現像液に対して優れた溶解性を有するものであり、当該共重合体をバインダーとして用いた感放射線性組成物は、アルカリ現像液による現像後に未溶解物が残存することが極めて少なく、未露光部の基板上あるいは遮光層上に残渣、地汚れ等が発生し難く、しかも該組成物から得られる画素は、アルカリ現像液に過剰に溶解することがなく、基板に対して、優れた密着性を有し、基板から脱落するおそれもないものとなる。前記共重合体(A1)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0075】
本発明においては、場合により、前記共重合体(A1)と共に、他のアルカリ可溶性樹脂を併用することもできる。前記他のアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂を挙げることができる。このような他のアルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基を有する樹脂が好ましく、さらに好ましくは共重合体(A1)について例示した単官能性単量体(a2)と前記他の単官能性単量体との共重合体であり、特に、(メタ)アクリル酸を必須成分とし、場合によりω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートを含有する単官能性単量体(a2)と、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマーおよびポリメチルメタクリレートマクロモノマーの群から選ばれる少なくとも1種との共重合体(以下、「アルカリ可溶性樹脂(IV)」という。)が好ましい。
【0076】
アルカリ可溶性樹脂(IV)の具体例としては、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/アリル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/グリセロール(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体等を挙げることができる。これらのアルカリ可溶性樹脂(IV) は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。前記他のアルカリ可溶性樹脂を使用する際の該樹脂の使用量は、アルカリ可溶性樹脂の合計量に対して、通常、50重量%以下、好ましくは30重量%以下である。この場合、他のアルカリ可溶性樹脂の使用量が多すぎると、未露光部の基板上あるいは遮光層上に残渣、地汚れ等が発生しやすくなる傾向がある。
【0077】
本発明に用いるジカルボン酸モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)とその他共重
合可能なモノマーとの共重合体は、共重合体(A1)を必須成分として含むものであるが、該アルカリ可溶性樹脂を構成する各成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC;溶出溶媒テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」という。)は、好ましくは3,000〜300,000、特に好ましくは5,000〜100,000である。このような特定の重量平均分子量を有するアルカリ可溶性樹脂を使用することにより、現像性に優れた感放射線性組成物が得られ、それによりシャープなパターンエッジを有する画素を形成することができるとともに、現像時に未露光部の基板上あるいは遮光層上に残渣、地汚れ、膜残り等が発生し難くなる。
以上に述べたバインダ樹脂はそれ自体公知の化合物であり、前記の特許文献1〜3及び特開平8−259876号に記載されるものと同様である。
[1−4−4]上記バインダ樹脂のカルボキシル基に更にエチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物のエポキシ部分を付加させてなる構造を有し、該エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物が、特定の構造を有する樹脂
本発明に用いられる上記のバインダ樹脂は、該バインダ樹脂がカルボキシル基を有するときは、更にカルボキシル基にエチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物のエポキシ部分を付加させてなる構造を有していてもよい。
尚、上記樹脂は、必ずしも、実際にカルボン酸を有する樹脂にエチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物を反応させて製造する必要はなく、結果として、カルボン酸を有する樹脂のカルボン酸部分に、エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物のエポキシ部分を付加させてなる構造を有していればよい。
前記エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物は、具体的には、下記構造式(1)で表すことができる
【0078】
【化12】

【0079】
ここで、上記構造式(1)中、R1は2価の連結基、R2は水素またはメチル基を表す。
上記構造式(1)において、R1は2価の連結基であれば特に限定されず、通常炭素数
1〜30程度の各種の有機基を使用できるが、好ましくは、炭素数1以上、特に3以上の直鎖構造、分岐構造または環状構造を含むアルキル基であり、また、好ましくは、炭素数20以下、特に10以下の直鎖構造、分岐構造または環状構造を含むアルキル基である。炭素数が少なすぎる、換言すればエポキシ基とエチレン性不飽和基との距離が短すぎると現像性や溶解性の面で不十分となることがある。ただし、あまりに炭素数の多い場合は、バインダー樹脂中のエチレン性不飽和二重結合量が低下する傾向にあり、また現実的に得難い。好ましい態様にあっては、上記構造式Iにおいて、R1は、炭素数1〜20の、直
鎖構造、分岐構造または環状構造を含むアルキル鎖、特に炭素数3〜10のアルキル基、さらには炭素数3〜10の直鎖構造のアルキル基を表す。
【0080】
上記構造式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、各種の4−ヒドロキシアルキルアクリレートグリシジルエーテルや4−ヒドロキシアルキルメタクリレートグリシジルエーテルが挙げられ、より具体的には、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシ
ジルエーテルを挙げることができる。
前記構造式(1)で表されるエチレン性不飽和基とエポキシ基を有する化合物は、単独でまたは2種以上、あるいは上記(1)以外のエチレン性不飽和基とエポキシ基を有する化合物と併用して使用することができる。
【0081】
上記化合物を使用することによって、現像性及び溶解性に優れた感光性組成物を得ることができる。その理由については定かではないが、直鎖構造を有する上記化合物における、エチレン性不飽和基から前記エポキシ基までの原子数(エチレン性不飽和基に隣接する原子とエポキシ基を構成する炭素原子とを連結した連続した1本の原子列の原子数)が相対的に長い(例えば8以上)ためであると推定される。
【0082】
カルボン酸を有する樹脂に、「エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物」を付加させた構造としては、例えばエチレン性不飽和基とエポキシ基を有する化合物として4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルを用いた場合は分子内に次の構造のいずれか又は両者を有する樹脂が挙げられる。
【0083】
【化13】

【0084】
本発明におけるバインダー樹脂の酸価は通常10〜200KOHmg/gであり、好ましくは20〜150KOHmg/gである。
また、本発明における「カルボン酸を有する樹脂」の酸価は、通常80〜500KOHmg/g、好ましくは100〜350KOHmg/g、さらに好ましくは150〜300KOHmg/gである。またエチレン性不飽和基とエポキシ基を有する化合物を付加させる際の、「カルボン酸を有する樹脂」のカルボン酸への導入率は、通常10〜90mol%であり、好ましくは30〜80mol%である。導入率が小さすぎると、エチレン性不飽和二重結合を有する側鎖を十分に導入することができないため、感度が低下する傾向にあり、逆に多すぎると、感光性組成物の現像性が悪化する傾向がある。
【0085】
本発明におけるバインダー樹脂の合成には、カルボン酸を有する樹脂のカルボン酸に、エチレン性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物を反応させる方法が好ましく用いられる。カルボン酸を有する樹脂のカルボキシル基にエチレン性不飽和基とエポキシ基を有す
る化合物を反応させる方法としては公知の手法を用いることができる。
【0086】
例えば、上記カルボン酸を有する樹脂体と不飽和基とエポキシ基とを有する化合物とをトリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等の3級アミン、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ピリジン、トリフェニルホスフィン等を触媒として有機溶剤中反応温度50〜150℃で数〜数十時間反応させることにより重合体のカルボキシル基にエポキシ化合物を導入することができる。
【0087】
本発明におけるバインダ樹脂の使用量は、色材100重量部に対して、通常10〜1000重量部、好ましくは20〜500重量部である。この場合、バインダ樹脂樹脂の使用量が少なすぎると、例えば、アルカリ現像性が低下したり、未露光部の基板上あるいは遮光層上に残渣、地汚れ等が発生するおそれがあり、多すぎると、相対的に着色剤濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となる場合がある。
【0088】
[1−5]その他の固形分
本発明のカラーフィルター用着色組成物には、更に、必要に応じ上記成分以外の固形分を配合できる。このような成分としては、光重合性モノマー、光重合開始系、有機カルボン酸、有機カルボン酸無水物、分散助剤、界面活性剤、熱重合防止剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤等が挙げられる。
【0089】
[1−5−1]光重合性モノマー
光重合性モノマーは、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と称す)が好ましい。エチレン性化合物とは、本発明の着色樹脂組成物が活性光線の照射を受けた場合、後述の光重合開始系の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。なお、本発明における単量体は、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも含有する概念を意味する。
【0090】
エチレン性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸、それとモノヒドロキシ化合物とのエステル、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル、ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物等が挙げられる。
【0091】
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等のアクリル酸エステルが挙げられる。また、これらアクリレートのアクリル酸部分を、メタクリル酸部分に代えたメタクリル酸エステル、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、又は、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
【0092】
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であっても良い。代表例としては、アクリル酸、フタル酸及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
【0093】
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−
ヒドロキシ(1,1,1−トリアクリロイルオキシメチル)プロパン、3−ヒドロキシ
(1,1,1−トリメタクリロイルオキシメチル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
【0094】
その他、本発明に用いられるエチレン性化合物の例としては、エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物、 以上に述べたバインダー樹脂はそれ自体公知の化合物であり、前記の特許文献1〜3に記載される3価以上の多価アルコールのポリアクリレート又はポリメタクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物等も有用である。
【0095】
また、エチレン性化合物は酸価を有するモノマーであってもよい。酸価を有するモノマーとしては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。
【0096】
これらのモノマーは1種を単独で用いても良いが、製造上、単一の化合物を用いることは難しいことから、2種以上を混合して用いても良い。また、必要に応じてモノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用しても良い。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。多官能モノマーの酸価が低すぎると現像溶解特性が落ち、高すぎると製造や取扱いが困難になり光重合性能が落ち、画素の表面平滑性等の硬化性が劣るものとなる。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入るように調整することが必須である。
【0097】
本発明において、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、東亞合成(株)製TO1382として市販されているジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーの他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。
【0098】
これらのエチレン性化合物の配合率は、本発明の着色樹脂組成物の全固形分中、通常0
重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上であり、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。また、色材に対する比率は、通常0重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、通常200重量%以下、好ましくは100重量%以下、更に好ましくは80重量%以下である。
【0099】
[1−5−2]光重合開始剤系
光重合開始剤は、通常、加速剤及び必要に応じて添加される増感色素等の付加剤との混合物(光重合開始剤系)として用いられる。光重合開始剤系は、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
【0100】
光重合開始剤系成分を構成する光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物や、前記の特許文献1〜3に記載されるビイミダゾール系化合物、特開平10−39503号公報記載のヘキサアリールビイミダゾール誘導体、ハロメチル−s−トリアジン誘導体、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α-アミ
ノアルキルフェノン系化合物、特開2000−80068号公報に記載されているオキシムエステル系開始剤等が挙げられる。
【0101】
本発明で用いることができる重合開始剤の具体的な例を以下に列挙する。
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−
(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4
−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル化トリアジン誘導体;
2−トリクロロメチル−5−(2′−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−ト
リクロロメチル−5−〔β−(2′−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾー
ル、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2′−(6″−ベンゾフリル)ビニル)〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5一フリル−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール誘導体;
【0102】
2−(2′−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダソール2量体、2−(2′−クロロ
フェニル)−4,5−ビス(3′−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2′−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2′−メトキシフエニル)
−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、(4′−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等のイミダゾール誘導体;
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;
2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1
−クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体;
【0103】
ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパ
ノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒド
ロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4′−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p一ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体;
【0104】
チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロ
ロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2
,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;
p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、P−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体;9-フェニルアクリジン、9-(p-メトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体;9,10-ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体;
ベンズアンスロン等のアンスロン誘導体;
【0105】
ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフ
ェニル−1一イル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロ
フェニル−1−イル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−2,6一ジープルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−2,4−ジ−フルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロ
ペンタジェニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジェニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロ
ペンタジェニル−Ti−2,6−ジ−フルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等
のチタノセン誘導体;
【0106】
2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-
ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2−ベンジル-2-ジメチルア
ミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、4-ジメチルアミノエチルベンゾエ-ト
、4-ジメチルアミノイソアミルベンゾエ-ト、4-ジエチルアミノアセトフェノン、4-ジメ
チルアミノプロピオフェノン、2-エチルヘキシル-1,4-ジメチルアミノベンゾエート、2,5-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7-ジエチルアミノ-3-(4-ジエチル
アミノベンゾイル)クマリン、4-(ジエチルアミノ)カルコン等のα-アミノアルキルフェノン系化合物;
1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、等のオキシムエステル系化合物。
【0107】
光重合開始剤系成分を構成する加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物又は脂肪族多官能メルカプト化合物等が用いられる。
【0108】
これら光重合開始剤及び加速剤は、それぞれ1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
具体的な光重合開始剤系成分としては、例えば、「ファインケミカル」(1991年、3月1日号、vol.20、No.4)の第16〜26頁に記載されている、ジアルキルアセト
フェノン系、ベンゾイン、チオキサントン誘導体等のほか、特開昭58−403023号公報、特公昭45−37377号公報等に記載されている、ヘキサアリールビイミダゾール系、S−トリハロメチルトリアジン系、特開平4−221958号公報、特開平4−219756号公報等に記載されている、チタノセンとキサンテン色素、アミノ基又はウレタン基を有する付加重合可能なエチレン性飽和二重結合含有化合物を組み合わせた系、前
記の特許文献1〜3に記載されるビイミダゾール系化合物とアセトフェノン系化合物及び/又はベンゾフェノン系化合物を組み合わせた系等が挙げられる。
【0109】
上記光重合開始剤系成分の配合割合は、本発明のカラーフィルター用着色組成物の全固形分中、通常0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%である。この配合割合が著しく低いと露光光線に対する感度が低下する原因となることがあり、反対に著しく高いと未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起させることがある。
光重合開始剤系成分には、必要に応じて、感応感度を高める目的で、画像露光光源の波長に応じた増感色素を配合させることができる。これら増感色素としては、特開平4−221958号、同4−219756号公報に記載のキサンテン色素、特開平3−239703号、同5−289335号公報に記載の複素環を有するクマリン色素、特開平3−239703号、同5−289335号に記載の3−ケトクマリン化合物、特開平6−19240号公報に記載のピロメテン色素、その他、特開昭47−2528号、同54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、同52−112681号、同58−15503号、同60−88005号、同59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号公報に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
【0110】
これらの増感色素のうち好ましいものは、アミノ基含有増感色素であり、更に好ましいものは、アミノ基及びフェニル基を同一分子内に有する化合物である。特に、好ましいのは、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[4,5]ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[6,7]ベンゾオキサゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−チアジアゾール、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジメチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジエチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリミジン等のp−ジアルキルアミノフェニル基含有化合物等である。このうち最も好ましいものは、4,4’−ジアルキルアミノベンゾフェノンである。増感色素もまた1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0111】
本発明に係る着色樹脂組成物中に占める増感色素の配合率は、着色樹脂組成物の全固形分中、通常0重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、また、通常20重量%以下、好ましくは15重量%以下、更に好ましくは10重量%以下の範囲である。
[1−5−3]有機カルボン酸、有機カルボン酸無水物
本発明の着色組成物は、分子量1000以下の有機カルボン酸および/または有機カルボン酸無水物を含有していてもよい。これらは分散剤がウレタン系分散剤である場合に含有されていることが好ましい。
【0112】
有機カルボン酸化合物としては、具体的には、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸が挙げられる。脂肪族カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸
、ピバル酸、カプロン酸、グリコール酸、アクリル酸、メタクリル酸などのモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸などのジカルボン酸、トリカルバリル酸、アコニット酸などのトリカルボン酸等が挙げられる。また、芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸などのフェニル基に直接カルボキシル基が結合したカルボン酸、およびフェニル基から炭素結合を介してカルボキシル基が結合したカルボン酸類等が挙げられる。これらの中では、特に分子量600以下、とりわけ分子量50〜500のもの、具体的には、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸が好ましい。
【0113】
有機カルボン酸無水物としては、脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸無水物が挙げられ、具体的には無水酢酸、無水トリクロロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水グルタル酸、無水1,2−シクロヘキセンジカルボン酸、無水n−オクタデシルコハク酸、無水5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸などの脂肪族カルボン酸無水物が挙げられる。芳香族カルボン酸無水物としては、無水フタル酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、無水ナフタル酸などが挙げられる。これらの中では、特に分子量600以下、とりわけ分子量50〜500のもの、具体的には無水マレイン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸が好ましい。
【0114】
これらの有機カルボン酸及び/又は有機カルボン酸無水物の添加量は、通常、全固形分中0.01〜10重量%、好ましくは0.03〜5重量%、より好ましくは0.05〜3重量%の範囲である。
これら分子量1000以下の有機カルボン酸及び/又は有機カルボン酸無水物を添加することによって、高いパターン密着性を保ちながら、着色組成物の未溶解物の残存をより一層低減することが可能である。特許第3293171号に、着色組成物に分子量1000以下の有機カルボン酸化合物を添加する方法が提案されているが、前記したとおり、この方法では、画像部の密着性が低下し、その結果、現像マージンが狭まり、画素剥離、白抜け欠陥が発生しやすくなる。
[1−5−4]分散助剤
分散助剤としては、例えば顔料誘導体が挙げられる。
【0115】
顔料誘導体としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系顔料等の誘導体が挙げられる。顔料誘導体の置換基としてはスルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等が顔料骨格に直接又はアルキル基、アリール基、複素環基等を介して結合したものが挙げられ、好ましくはスルホンアミド基及びその4級塩、スルホン酸基が挙げられ、より好ましくはスルホン酸基である。また、これら置換基は一つの顔料骨格に
複数置換していても良いし、置換数の異なる化合物の混合物でも良い。顔料誘導体の具
体例としてはアゾ顔料のスルホン酸誘導体、フタロシアニン顔料のスルホン酸誘導体、キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体、アントラキノン顔料のスルホン酸誘導体、キナクリドン顔料のスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロール顔料のスルホン酸誘導体、ジオキサジン顔料のスルホン酸誘導体等が挙げられる。
【0116】
また顔料の分散性の向上、分散安定性の向上のために分散助剤として顔料誘導体等を添加しても良い。顔料誘導体としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピ
ロール系、ジオキサジン系顔料等の誘導体が挙げられる。顔料誘導体の置換基としてはスルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等が顔料骨格に直接またはアルキル基、アリール基、複素環基等を介して結合したものが挙げられ、好ましくはスルホンアミド基及びその4級塩、スルホン酸基が挙げられ、より好ましくはスルホン酸基である。またこれら置換基は一つの顔料骨格に複数置換していても良いし、置換数の異なる化合物の混合物でも良い。顔料誘導体の具体例としてはアゾ顔料のスルホン酸誘導体、フタロシアニン顔料のスルホン酸誘導体、キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体、イソインドリン顔料のスルホン酸誘導体、アントラキノン顔料のスルホン酸誘導体、キナクリドン顔料のスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロール顔料のスルホン酸誘導体、ジオキサジン顔料のスルホン酸誘導体等が挙げられる。中でも好ましくはピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体、ピグメントイエロー139のスルホン酸誘導体、ピグメントレッド254のスルホン酸誘導体、ピグメントレッド255のスルホン酸誘導体、ピグメントレッド264のスルホン酸誘導体、ピグメントレッド272のスルホン酸誘導体、ピグメントレッド209のスルホン酸誘導体、ピグメントオレンジ71のスルホン酸誘導体、ピグメントバイオレット23のスルホン酸誘導体であり、より好ましくはピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体、ピグメントレッド254のスルホン酸誘導体である。顔料誘導体の添加量は、顔料に対して通常0.1重量%以上、また、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。添加量が少ないとその効果が発揮されず、逆に添加量が多過ぎると分散性、分散安定性がかえって悪くなるためである。
【0117】
[1−5−5]界面活性剤
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、非イオン系、両性界面活性剤等、各種のものを用いることができるが、諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤の濃度範囲としては、全組成物量に対して通常0.001重量%以上、好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上、最も好ましくは0.03重量%以上、また、通常10重量%以下、好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下、最も好ましくは0.3重量%以下の範囲が用いられる。
[1−5−6]熱重合防止剤
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、カテコール、2,6−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトール等が用いられる。熱重合防止剤の配合量は、組成物の全固形分に対し0重量%以上、3重量%以下の範囲であることが好ましい。
【0118】
[1−5−7]可塑剤
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等が用いられる。これら可塑剤の配合量は、組成物の全固形分に対し、通常10重量%以下の範囲であることが好ましい。
[2]着色樹脂組成物(カラーフィルタ用塗布液)の調製
次に、本発明に係る着色樹脂組成物を調製する方法を説明する。
【0119】
まず、色材、溶剤、及び分散剤とを各所定量秤量し、分散処理工程において、色材を分散させて液状の着色樹脂組成物(インキ状液体)とする。この分散処理工程では、ペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザーなどを使用することができる。この分散処理を行なうことによって色材が微粒子化されるため、着色樹脂組成物の塗布特性が向上し、製品のカラーフ
ィルタ基板の透過率が向上する。
【0120】
色材を分散処理する際には、バインダ樹脂又は分散助剤などを適宜併用するのが好ましい。色材を分散処理する際に用いるバインダ樹脂としては、カルボキシル基を有する樹脂のカルボキシル基部分にエポキシ基含有不飽和化合物のエポキシ部分を付加させて成る構造を有する樹脂を使用するのが特に好ましい。また、サンドグラインダーを用いて分散処理を行なう場合は、0.1から数mm径のガラスビーズ、又は、ジルコニアビーズを用いるのが好ましい。分散処理する際の温度は、通常0℃以上、好ましくは室温以上、また、通常100℃以下、好ましくは80℃以下の範囲に設定する。なお、分散時間は、インキ状液体の組成{色材、溶剤、窒素含有官能基を有する分散剤}、及びサンドグラインダーの装置の大きさなどにより適正時間が異なるため、適宜調整する必要がある。
【0121】
上記分散処理によって得られたインキ状液体に、溶剤、バインダ樹脂、場合によっては、所定量の光重合性モノマー、光重合開始剤系成分、及び上記以外の成分などを混合し、均一な分散溶液とする。なお、分散処理工程及び混合の各工程においては、微細なゴミが混入することがあるため、得られたインキ状液体をフィルターなどによって、ろ過処理することが好ましい。
[3]カラーフィルタ基板の製造
次に、本発明に係るカラーフィルタについて説明する。
【0122】
本発明に係るカラーフィルタは、基板上に上述の着色樹脂組成物を用いて画素が形成されたことを特徴とする。
[3−1]透明基板(支持体)
カラーフィルタの透明基板としては、透明で適度の強度があれば、その材質は特に限定されるものではない。材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホンの熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂シート、又は各種ガラスなどが挙げられる。この中でも、耐熱性の観点からガラス、耐熱性樹脂が好ましい。
【0123】
透明基板及びブラックマトリクス形成基板には、接着性などの表面物性の改良のため、必要に応じ、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤や、ウレタン系樹脂などの各種樹脂の薄膜形成処理などを行なってもよい。透明基板の厚さは、通常0.05mm以上、好ましくは0.1mm以上、また、通常10mm以下、好ましくは7mm以下の範囲とされる。また、各種樹脂の薄膜形成処理を行なう場合、その膜厚は、通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは5μm以下の範囲である。
【0124】
[3−2]ブラックマトリクス
上述の透明基板上にブラックマトリクスを設け、更に通常は赤色、緑色、青色の画素画像を形成することにより、本発明に係るカラーフィルタを製造することができる。上記着色樹脂組成物は、これら黒色、赤色、緑色、青色のうち少なくとも一種のレジスト形成用塗布液として使用される。ブラックレジストに関しては、透明基板上素ガラス面上に、赤色、緑色、青色に関しては透明基板上に形成された樹脂ブラックマトリクス形成面上、又は、クロム化合物その他の遮光金属材料を用いて形成した金属ブラックマトリクス形成面上に、塗布、加熱乾燥、画像露光、現像及び熱硬化の各処理を行なって各色の画素画像を形成する。
【0125】
ブラックマトリックスは、遮光金属薄膜又はブラックマトリクス用感光性着色樹脂組成
物を利用して、透明基板上に形成される。遮光金属材料としては、金属クロム、酸化クロム、窒化クロムなどのクロム化合物、ニッケルとタングステン合金などが用いられ、これらを複数層状に積層させたものであってもよい。
これらの金属遮光膜は、一般にスパッタリング法によって形成され、ポジ型フォトレジストにより、膜状に所望のパターンを形成した後、クロムに対しては硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸及び/又は硝酸とを混合したエッチング液を用い、その他の材料に対しては、材料に応じたエッチング液を用いて蝕刻され、最後にポジ型フォトレジストを専用の剥離剤で剥離することによって、ブラックマトリクスを形成することができる。
【0126】
この場合、まず、蒸着又はスパッタリング法などにより、透明基板上にこれら金属又は金属・金属酸化物の薄膜を形成する。次いで、この薄膜上に着色樹脂組成物の塗布膜を形成した後、ストライプ、モザイク、トライアングルなどの繰り返しパターンを有するフォトマスクを用いて、塗布膜を露光・現像し、レジスト画像を形成する。その後、この塗布膜にエッチング処理を施してブラックマトリクスを形成することができる。
【0127】
ブラックマトリクス用着色樹脂組成物を利用する場合は、黒色の色材を含有する着色樹脂組成物を使用して、ブラックマトリクスを形成する。例えば、カーボンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラックなどの黒色色材単独又は複数、もしくは、無機又は有機の顔料、染料の中から適宜選択される赤色、緑色、青色などの混合による黒色色材を含有する着色樹脂組成物を使用し、下記の赤色、緑色、青色の画素画像を形成する方法と同様にして、ブラックマトリクスを形成することができる。
[3−3]画素の形成
ブラックマトリクスを設けた透明基板上に、赤色、緑色、青色のうち一色の着色材料を含有する着色樹脂組成物を塗布し、乾燥した後、塗布膜の上にフォトマスクを重ね、このフォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化又は光硬化により画素画像を形成させ、着色層を作成する。この操作を、赤色、緑色、青色の三色の着色樹脂組成物について各々行なうことによって、カラーフィルタ画像を形成することができる。
【0128】
カラーフィルタ用の着色樹脂組成物の塗布は、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法などによって行なうことができる。中でも、ダイコート法によれば、塗布液使用量が大幅に削減され、かつ、スピンコート法によった際に付着するミストなどの影響が全くなく、更には異物発生が抑制されるなど、総合的な観点から好ましい。
【0129】
塗布膜の厚さは、大き過ぎるとパターン現像が困難となるとともに、液晶セル化工程でのギャップ調整が困難となることがある一方で、小さ過ぎると顔料濃度を高めることが困難となり、所望の色発現が不可能となることがある。塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常0.2μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.8μm以上、また、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下の範囲である。
【0130】
[3−4]塗布膜の乾燥
基板に着色樹脂組成物を塗布した後の塗布膜の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンを使用した乾燥法によるのが好ましい。通常は、予備乾燥の後、再度加熱させて乾燥させる。予備乾燥の条件は、前記溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができる。乾燥温度及び乾燥時間は、溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて選択されるが、具体的には、乾燥温度は通常40℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常80℃以下、好ましくは70℃以下の範囲であり、乾燥時間は通常15秒以上、好ましくは30秒以上、また、通常5分間以下、好ましくは3分間以下の範囲である。
【0131】
再加熱乾燥の温度条件は、予備乾燥温度より高い温度が好ましく、具体的には、通常50℃以上、好ましくは70℃以上、また、通常200℃以下、好ましくは160℃以下、特に好ましくは130℃以下の範囲である。また、乾燥時間は、加熱温度にもよるが、通常10秒以上、中でも15秒以上、また、通常10分以下、中でも5分の範囲とするのが好ましい。乾燥温度は、高いほど透明基板に対する接着性が向上するが、高過ぎるとバインダ樹脂が分解し、熱重合を誘発して現像不良を生ずる場合がある。なお、この塗布膜の乾燥工程としては、温度を高めず減圧チャンバー内で乾燥を行なう減圧乾燥法を用いてもよい。
【0132】
[3−5]露光工程
画像露光は、着色樹脂組成物の塗布膜上に、ネガのマトリクスパターンを重ね、このマスクパターンを介し、紫外線又は可視光線の光源を照射して行なう。この際、必要に応じ、酸素による光重合性層の感度の低下を防ぐため、光重合性層上にポリビニルアルコール
層などの酸素遮断層を形成した後に露光を行なってもよい。上記の画像露光に使用され
る光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプなどのランプ光源や、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルタを利用することもできる。
【0133】
[3−6]現像工程
本発明に係るカラーフィルタは、本発明に係る着色樹脂組成物を用いた塗布膜に対し、上記の光源によって画像露光を行なった後、有機溶剤、又は、界面活性剤とアルカリ性化合物とを含む水溶液を用いて現像を行なうことによって、基板上に画像を形成して製造することができる。この水溶液には、更に有機溶剤、緩衝剤、錯化剤、染料又は顔料を含ませることができる。
【0134】
アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウムなどの無機アルカリ性化合物や、モノ−・ジ−又はトリエタノールアミン、モノ−・ジ−又はトリメチルアミン、モノ−・ジ−又はトリエチルアミン、モノ−又はジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−又はトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、2種以上の混合物であってもよい。
【0135】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類などのアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン類、アミノ酸類などの両性界面活性剤が挙げられる。
【0136】
有機溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。有機溶剤は、単独でも水溶液と併用して使用できる。
現像処理の条件には特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上、更には20℃以上、また、通常50℃以下、中でも45℃以下、更には40℃以下の範囲が好ましい。現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法などの何れかの方法によることができる。
【0137】
なお、本発明に係るカラーフィルタは、上記した製造方法の他に、(1)溶剤、色材としてのフタロシアニン系顔料、バインダ樹脂としてのポリイミド系樹脂を含む硬化性着色樹脂組成物を、基板に塗布し、エッチング法により画素画像を形成する方法によっても製造することができる。また、(2)フタロシアニン系顔料を含む着色樹脂組成物を着色インキとして用い、印刷機によって、透明基板上に直接画素画像を形成する方法や、(3)フタロシアニン系顔料を含む着色樹脂組成物を電着液として用い、基板をこの電着液に浸漬させ所定パターンにされたITO電極上に、着色膜を析出させる方法などが挙げられる。更に、(4)フタロシアニン系顔料を含む着色樹脂組成物を塗布したフィルムを、透明
基板に貼りつけて剥離し、画像露光、現像し画素画像を形成する方法や、(5)フタロ
シアニン系顔料を含む着色樹脂組成物を着色インキとして用い、インクジェットプリンターにより画素画像を形成する方法、などが挙げられる。カラーフィルタの製造方法は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の組成に応じ、これに適した方法が採用される。
【0138】
[3−7]熱硬化処理
現像の後のカラーフィルタには、熱硬化処理を施す。この際の熱硬化処理条件は、温度は通常100℃以上、好ましくは150℃以上、また、通常280℃以下、好ましくは250℃以下の範囲で選ばれ、時間は5分間以上、60分間以下の範囲で選ばれる。これら一連の工程を経て、一色のパターニング画像形成は終了する。この工程を順次繰り返し、ブラック、赤色、緑色、青色をパターニングし、カラーフィルタを形成する。なお、4色のパターニングの順番は、上記した順番に限定されるものではない。
【0139】
[3−8]透明電極の形成
本発明に係るカラーフィルタは、このままの状態で画像上にITOなどの透明電極を形成して、カラーディスプレー、液晶表示装置などの部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミドなどのトップコート層を設けることもできる。また一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)などの用途においては、透明電極を形成しないこともある。
【0140】
[4]液晶表示装置(パネル)
次に、本発明に係る液晶表示装置(パネル)の製造法について説明する。本発明に係る液晶表示装置は、通常、上記本発明に係るカラーフィルタ上に配向膜を形成し、この配向膜上にスペーサを散布した後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入し、対向電極に結線して完成する。配向膜は、ポリイミド等の樹脂膜が好適である。配向膜の形成には、通常、グラビア印刷法及び/又はフレキソ印刷法が採用され、配向膜の厚さは数10nmとされる。熱焼成によって配向膜の硬化処理を行なった後、紫外線の照射やラビング布による処理によって表面処理し、液晶の傾きを調整しうる表面状態に加工される。
【0141】
スペーサは、対向基板とのギャップ(隙間)に応じた大きさのものが用いられ、通常2〜8μmのものが好適である。カラーフィルタ基板上に、フォトリソグラフィ法によって透明樹脂膜のフォトスペーサ(PS)を形成し、これをスペーサの代わりに活用することもできる。対向基板としては、通常、アレイ基板が用いられ、特にTFT(薄膜トランジスタ)基板が好適である。
【0142】
対向基板との貼り合わせのギャップは、液晶表示装置の用途によって異なるが、通常2
μm以上、8μm以下の範囲で選ばれる。対向基板と貼り合わせた後、液晶注入口以外の部分は、エポキシ樹脂等のシール材によって封止する。シール材は、UV照射及び/又は加熱することによって硬化させ、液晶セル周辺がシールされる。
周辺をシールされた液晶セルは、パネル単位に切断した後、真空チャンバー内で減圧とし、上記液晶注入口を液晶に浸漬した後、チャンバー内をリークすることによって、液晶を液晶セル内に注入する。液晶セル内の減圧度は、通常1×10-2Pa以上、好ましくは1×10-3以上、また、通常1×10-7Pa以下、好ましくは1×10-6Pa以下の範囲である。また、減圧時に液晶セルを加温するのが好ましく、加温温度は通常30℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは90℃以下の範囲である。減圧時の加温保持は、通常10分間以上、60分間以下の範囲とされ、その後、液晶中に浸漬される。液晶を注入した液晶セルは、液晶注入口をUV硬化樹脂を硬化させて封止することによって、液晶表示装置(パネル)が完成する。
【0143】
液晶の種類には特に制限がなく、芳香族系、脂肪族系、多環状化合物等、従来から知られている液晶であって、リオトロピック液晶、サーモトロピック液晶等の何れでもよい。サーモトロピック液晶には、ネマティック液晶、スメスティック液晶及びコレステリック液晶等が知られているが、何れであってもよい。
【実施例】
【0144】
次に、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、下記実施例において「部」は「重量部」を表わす。
<実施例1〜6及び比較例1〜6>
[1]分散剤A〜Cの合成
[1−1]合成例1:分散剤Aの合成
分子量約5000を有するポリエチレンイミン50重量部、およびn=5のポリカプロラクトン40重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300重量部と混合し、150℃3時間、窒素雰囲気下にて攪拌した。こうして合成した分散剤のGPCで測定した重量平均分子量Mwは約9000であった。
【0145】
[1−2]合成例2:分散剤Bの合成
分子量約5000を有するポリエチレンイミン50重量部、n=5のポリカプロラクトン40重量部、及びステアリン酸6重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300重量部と混合し、150℃3時間、窒素雰囲気下にて攪拌した。
こうして合成した分散剤のGPCで測定した重量平均分子量Mwは約9300であった。[1−3]合成例3:分散剤Cの合成
分子量約10000を有するポリエチレンイミン50重量部、n=5のポリカプロラクトン40重量部、及びステアリン酸6重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート450重量部と混合し、150℃3時間、窒素雰囲気下にて攪拌した。こうして合成した分散剤のGPCで測定した重量平均分子量Mwは約19000であった。
【0146】
[2]バインダ樹脂a〜eの合成
[2−1]合成例4:バインダ樹脂aの合成
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し80℃に昇温した。ここにポリメチルメタクリレートマクロモノマー20重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15部、ベンジルメタクリレート10部、およびメタクリル酸35部を滴下し、更に2時間攪拌し続けた。次にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート155重量部を加え、p−メトキシフェノール0.2重量部、トリフェニルホスフィン1.5重量部を添加、溶解させた後、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルアクリレート31重量部を滴下し、85℃24時間反応させ、側鎖にエチ
レン性不飽和基を有するバインダ樹脂溶液を得た。こうして得られたバインダ樹脂のGPCにより測定した重量平均分子量Mwは約14000であった。
【0147】
[2−2]合成例5:バインダ樹脂bの合成
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し80℃に昇温した。ここにスチレン20重量部、グリセロールモノメタクリレート15重量部、N−フェニルマレイミド10重量部、ベンジルメタクリレート10部、およびメタクリル酸35部を滴下し、更に2時間攪拌し続けた。次にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート155重量部を加え、p−メトキシフェノール0.2重量部、トリフェニルホスフィン1.5重量部を添加、溶解させた後、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルアクリレート31重量部を滴下し、85℃24時間反応させ、側鎖にエチレン性不飽和基を有するバインダ樹脂溶液を得た。こうして得られたバインダ樹脂のGPCにより測定した重量平均分子量Mwは約15000であった。
【0148】
[2−3]合成例6:バインダ樹脂cの合成
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し80℃に昇温した。ここにスチレン20重量部、グリセロールモノメタクリレート15重量部、N−フェニルマレイミド10重量部、ベンジルメタクリレート10重量部、コハク酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)20重量部、およびメタクリル酸15重量部を滴下し、更に2時間攪拌し続けた。次にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート155重量部を加え、p−メトキシフェノール0.2重量部、トリフェニルホスフィン1.5重量部を添加、溶解させた後、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルアクリレート31重量部を滴下し、85℃24時間反応させ、側鎖にエチレン性不飽和基を有するバインダ樹脂溶液を得た。こうして得られたバインダ樹脂のGPCにより測定した重量平均分子量Mwは約14000であった。
【0149】
[2−4]合成例7:バインダ樹脂dの合成
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し80℃に昇温した。ここにスチレン30重量部、メタクリル酸34重量部を滴下し、更に2時間攪拌し続けた。次にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート155重量部を加え、p−メトキシフェノール0.2重量部、トリフェニルホスフィン1.5重量部を添加、溶解させた後、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルアクリレート31重量部を滴下し、85℃24時間反応させ、側鎖にエチレン性不飽和基を有するバインダ樹脂溶液を得た。こうして得られたバインダ樹脂のGPCにより測定した重量平均分子量Mwは約18000であった。
【0150】
[2−5]合成例8:バインダ樹脂eの合成
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し80℃に昇温した。ここにベンジルメタクリレート53重量部、メチルメタクリレート40重量部、メタクリル酸26重量部を滴下し、更に2時間攪拌し続けた。次にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート155重量部を加え、p−メトキシフェノール0.2重量部、トリフェニルホスフィン1.5重量部を添加、溶解させた後、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルアクリレート31重量部を滴下し、85℃24時間反応させ、側鎖にエチレン性不飽和基を有するバインダ樹脂溶液を得た。こうして得られたバインダ樹脂のGPCにより測定した重量平均分子量Mwは約16000であった。
【0151】
[3]顔料分散液の調製
[3−1]赤顔料分散液の調製
色材としてC.I.ピグメントレッド177 10.00重量部、溶剤としてプロピレ
ングリコールモノメチルエーテルアセテート33.75重量部、分散剤として表−1に記
載の分散剤を5.25重量部、表−2に記載のバインダ樹脂を8.00重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ180重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて赤顔料分散液を調製した。
【0152】
[3−2]青顔料分散液の調製
色材としてC.I.ピグメントブルー15:6 10.00重量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート33.75重量部、分散剤として表−1に記載の分散剤を5.25重量部、表−2に記載のバインダ樹脂を8.00重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ180重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて青顔料分散液を調製した。
[3−3]緑顔料分散液の調製
色材としてC.I.ピグメントグリーン36 10.00重量部、溶剤としてプロピレ
ングリコールモノメチルエーテルアセテート33.75重量部、分散剤として表−1に記載の分散剤を6.25重量部、表−2に記載のバインダ樹脂を8.00重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ180重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて緑顔料分散液を調製した。
【0153】
【表1】

【0154】
【表2】

【0155】
[4]着色樹脂組成物の調製
前記の顔料分散液に他の成分を混合して、表−3で表す着色樹脂組成物を調製した。
【0156】
【表3】

【0157】
[注](1)エチレン性化合物(a)は、以下の構造式[VII]で表される化合物である。
(2)エチレン性化合物(b)は、トリメチロールプロパントリアクリレートである。
(3)表−3の分散剤とバインダ樹脂は、表−2に示すものである。
【0158】
【化14】

【0159】
[5]着色樹脂組成物の粘度変化
着色樹脂組成物を調製直後、及び、23℃の恒温槽に7日間静置した後の粘度(20rpm
)を東機産業社製E型粘度計「RE-80L」を用いて測定した。各実施例及び比較例の着色樹
脂組成物についての粘度と7日間での粘度変化率を表−4に示す。
【0160】
【表4】

【0161】
表−4より、7日後の粘度変化率は、実施例1〜6の着色樹脂組成物では1.7%以下であったのに対し、比較例1、2、5、6の着色樹脂組成物は10%以上であった。
[6]カラーフィルタの製造
縦370mm、横470mm、厚さ0.7mmのガラス基板(旭硝子社製、AN100)上に金属クロムをスパッタリング法にて成膜し、ポジ型フォトレジストによりマトリクスパターンを形成した後、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸を混合したエッチング液を用いて、クロム膜を蝕刻した。最後に5%水酸化ナトリウム水溶液にてポジ型フォトレ
ジストを剥離し、ブラックマトリクスを形成した。
【0162】
こうして得られたブラックマトリクス付きガラス基板上に、赤色の色材を含有する着色組成物を、ダイコータで塗布した。なお、ダイコータは、幅手360mmのステンレス製ダイコータを使用し、リップ間隔を200μm、ガラス基板面とのギャップは100μmとした。塗布に際しては、乾燥膜厚で1.3μmとなるようにインク状を呈する塗布液の吐出量を調整した。その後、60℃で1分間乾燥した後、110℃で2分間加熱乾燥した。次いで、幅30μm、縦330μm、横110μmのピッチで繰り返すネガフォトマスクを使用し、2kW高圧水銀灯により、300mJ/cm2の露光量で露光処理を行った。
その後、現像処理を、0.1重量%炭酸ナトリウム水溶液を使用し、現像液温度23℃で現像を行った。ついで、3kg/cm2の水圧で30秒間スプレー水洗処理を行い、赤色
画素を形成した。その後、温度230℃で、7分間の熱硬化処理を行った。
【0163】
次いで、青色、緑色の色材を含有する着色組成物を、上記と同様の手順で、塗布、予備乾燥、加熱乾燥、露光、現像、水洗、熱硬化の各処理を行い、各色パターンを順次に形成し、カラーフィルタを得た。このようにして、実施例1〜6、比較例1〜5の組成を有する硬化性樹脂組成物を用いて、100枚ずつのカラーフィルタを作製した。
[7]ダイコート塗布による異物欠陥の評価
得られたカラーフィルタにつき、ダイコート塗布による異物欠陥発生の有無を測定し、その異物欠陥発生率を表−5に示した。表−5において、赤色、青色、緑色は各色の画素上に異物が存在することを意味する。なお、異物欠陥とは、[(長径)2+(短径)2]の平方根が40μm以上のものを異物と定義し、いずれかの色で異物欠陥が認められたカラーフィルタの枚数を、全製造枚数(100枚)で割った値を異物欠陥発生率と定義した。その評価結果を表−5に示す。
【0164】
【表5】

【0165】
表−5より、異物欠陥の発生は、実施例1〜6の着色樹脂組成物を用いたカラーフィルタでは認められなかったのに対し、比較例3〜5の着色樹脂組成物を用いたカラーフィルタは8〜9%認められた。
[8]再溶解性の評価(体積平均粒子径mvの測定)
各実施例及び比較例の着色樹脂組成物をそれぞれ、50mm角のガラス基盤に乾燥膜厚2.5μmでスピンコート法により塗布し、60分風乾した。その後、該着色組成物を形成する溶剤6.25gに3分間浸漬し、再分散させ、浸漬開始から10分後に日機装製マイクロトラックUPAにて、粒径分布を測定し、体積平均粒子径mvを算出した。結果を表−
5に示す。
【0166】
尚、異物欠陥発生率が0%となるのは、再溶解性における体積平均粒子径mvが200nm以下に相当した。
表−5より、体積平均粒子径mvは、実施例1〜6の着色樹脂組成物では赤、青、緑いずれも140nm以下であったのに対し、比較例3〜5の着色樹脂組成物では赤、青、緑のいずれかで200nm以上のものが認められた。これにより、本願発明はダイコートに
よる異物欠陥を抑制することが確認された。
[9]カラーフィルタの非画素部の未溶解物(残渣)の評価
得られたカラーフィルタにつき、非画素部(素ガラス上)の30×100mmの部分をエタノールを含浸させた東レ製トレシーMKクリーンクロスにて10往復拭き取る操作を行った。トレシーMKクリーンクロスは、1cm×1cmの樹脂製の角材の先端に固定し、スポイトを用いて0.1ccのエタノールを含浸させたものを用いた。トレシーへの顔料の付着が目視で認められなければ「○」、少量でも認められれば「×」と評価した。また、拭き取ったトレシーの1cm×1cmの部分を島津製作所製分光光度計UV-3100Sにより積分球を用いた条件にて、分光反射率を測定した。表−6にλ=500nm(赤色残渣に対応)、450nm(緑色残渣に対応)、550nm(青色残渣に対応)の分光反射率を示す。
【0167】
また、目視での評価の○×判定の境界は、分光反射率での95%に相当した。
【0168】
【表6】

【0169】
表−6より、実施例1〜6の着色樹脂組成物を用いたカラーフィルタでは赤、青、緑のいずれの分光反射率も97%以上であり、目視による残渣も認められなかったのに対し、比較例1,6の着色樹脂組成物を用いたカラーフィルタでは赤、青、緑のいずれの分光反射率も95%未満であり、目視により残渣も認められた。
以上の結果より、次のことが明らかである。
(1)本発明に係る着色樹脂組成物は、分散剤とバインダ樹脂の相互作用が制御できているため、異物欠陥の発生を抑制することが可能である。
(2)本発明に係る着色組成物は、分散剤とバインダ樹脂の相互作用が制御できているため、現像後の基板上の非画素部に未溶解物の残存が少ない。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本発明は、次のように有用な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係る着色樹脂組成物は、これを基板上に塗布する際に、基板上の非画素部に未溶解物が残存することがなく、且つ基板との密着性にも優れた、高濃度の色画素を均一に形成し得る。
2.本発明に係る着色樹脂組成物は、基板上にダイコート法によって塗布した際に、ダイリップ先端での乾燥凝集が抑制されるため、異物の発生が少なく、高歩留りでカラーフィルタを製造することができる。
3.本発明に係るカラーフィルタは、基板上の非画素部に着色樹脂組成物の未溶解物が残
存することがないため、極めて高品質である。
4.本発明に係る液晶表示装置は、基板上の非画素部に着色樹脂組成物の未溶解物が残存することがない、極めて高品質なカラーフィルタを使用しているため、極めて高品質である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色材、溶剤、分散剤、バインダ樹脂を含有する着色樹脂組成物であって、バインダ樹脂が、マクロモノマー、アルコール性水酸基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、N位置換マレイミドを有するモノマー、ジカルボン酸モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)よりなる群のうち、少なくとも1つとその他共重合可能なモノマーとの
共重合体を含む樹脂であって、且つ、分散剤が窒素原子を含有するグラフト共重合体を含むことを特徴とする着色樹脂組成物。
【請求項2】
窒素原子を含有するグラフト共重合体が該グラフト共重合体の主鎖に窒素原子を含有する繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1に記載の着色樹脂組成物。
【請求項3】
窒素原子を含有するグラフト共重合体が、下記式(I)で表される繰り返し単位また
は/及び式(II)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1に記載の
着色樹脂組成物。
【化1】

(式中、R1は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、Aは水素原子または下記式(III)〜(V)のいずれかを表す。)
【化2】

(上記式(II)中、R1、Aは、式(I)のR1、Aと同義である。)
【化3】

(上記式(III)中、W1は炭素数2〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表し、pは1〜20の整数を表す。)
【化4】

(上記式(IV)中、Y1は2価の連結基を表し、W2は炭素数2〜10のアルキレン基を表し、Y2は水素原子または−CO−R2(R2は炭素数1〜10のアルキル基を表す。qは
、1〜20の整数を表す。)
【化5】

(上記式(V)中、W3は炭素数1〜50のアルキル基または水酸基を1〜5有する炭素
数1〜50のヒドロキシアルキル基を表す。
【請求項4】
バインダ樹脂に含まれるアルコール性水酸基を有するモノマーが、グリセロール(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の着色樹脂組成物を用いて形成したことを特徴とするカラーフィルター。
【請求項6】
請求項5に記載のカラーフィルターを用いて形成したことを特徴とする液晶表示装置。

【公開番号】特開2006−45262(P2006−45262A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224314(P2004−224314)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】