説明

睡眠判定装置及び睡眠判定方法

【課題】被験者の心拍情報に基づいて精度よく睡眠段階を判定できる睡眠判定装置及び睡眠判定方法を提供すること。
【解決手段】被験者の心拍を取得し(S10)、取得された心拍に基づいて心拍ごとの心拍周期を演算しその心拍周期の前後の差分値を一次差分値とし、その一次差分値の前後の差分値を二次差分値として予め設定されたN次差分値まで演算し(S12)、心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値について、所定時間におけるそれぞれの値の分布を示すリターンマップ及びヒストグラムを生成し(S14、S16)、予め設定される睡眠段階ごとの判定用リターンマップ、ヒストグラムを参照し、生成したリターンマップ及びヒストグラムに基づいて被験者の睡眠段階を判定する(S20)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の睡眠段階を判定する睡眠判定装置及び睡眠判定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被験者の睡眠段階を判定するものとして、特開2005−152310号公報に記載されるように、エアマットに設けた通気部を流れる流体の流速、流量センサで測定される生体の心拍変動情報及び体動情報に基づいて睡眠の段階を推定するものが知られている。この推定装置及び推定方法は、エアマットで横たわる被験者を無拘束状態で睡眠段階を推定しようとするものである。
【特許文献1】特開2005−152310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような睡眠段階の推定技術にあっては、睡眠段階の推定にあたりエアマットなどの特別な器具が必要となり、体動情報の取得も必要となる。エアマットなどの特別な装置を用いて睡眠段階を判定できない場合や体動情報が得られない場合など、心拍情報だけで被験者の睡眠段階をできるだけ正確に判定できる装置、方法の開発が望まれている。
【0004】
そこで本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、被験者の心拍情報に基づいて精度よく睡眠段階を判定できる睡眠判定装置及び睡眠判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明に係る睡眠判定装置は、被験者の心拍を取得する心拍取得手段と、前記心拍取得手段により取得された心拍に基づいて心拍ごとの心拍周期を演算し、その心拍周期の前後の差分値を一次差分値とし、その一次差分値の前後の差分値を二次差分値として、予め設定されたN次差分値まで演算する差分演算手段と、前記差分演算手段により演算された心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値について、所定時間におけるそれぞれの値の分布を示す分布データを生成する分布データ生成手段と、予め設定される睡眠段階ごとの判定用分布データを参照し、前記分布データ生成手段により生成された分布データに基づいて前記被験者の睡眠段階を判定する睡眠判定手段とを備えて構成されている。
【0006】
この発明によれば、被験者の心拍ごとの心拍周期を演算し、その心拍周期の前後の差分値を一次差分値とし、その一次差分値の前後の差分値を二次差分値として、予め設定されたN次差分値まで演算し、その心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値においてそれぞれの値の分布を示す分布データを生成し、予め設定される睡眠段階ごとの判定用分布データを参照し分布データ生成手段により生成された分布データに基づいて被験者の睡眠段階を判定することにより、被験者の心拍周期の変動状態のみならず、その変動状態の変動状態などを加味して被験者の睡眠段階を識別することができる。このため、被験者の睡眠段階を心拍情報に基づいて精度よく判定することができる。
【0007】
また本発明に係る睡眠判定装置において、前記分布データ生成手段は、前記差分演算手段により演算された心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値について、所定時間における前記心拍周期及び差分値の前後の値をパラメータとするリターンマップを生成し、前記睡眠判定手段は、前記分布データ生成手段により生成されたリターンマップと予め睡眠段階ごとに設定された判定用リターンマップと対比して前記被験者の睡眠段階を判定することが好ましい。
【0008】
この発明によれば、差分演算手段により演算された心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値において前後の値をパラメータとするリターンマップを生成し、その生成されたリターンマップと予め睡眠段階ごとに設定された判定用リターンマップと対比して被験者の睡眠段階を判定することにより、被験者の心拍周期及びその変動状態などの時間的変化に基づいて被験者の睡眠段階を精度よく識別することができる。
【0009】
また本発明に係る睡眠判定装置において、前記睡眠判定手段は、近接する睡眠段階において分離度の高い識別用リターンマップを予め設定し、前記分布データ生成手段により生成されたリターンマップと前記識別用リターンマップと対比して前記被験者の睡眠段階を判定することが好ましい。
【0010】
この発明によれば、近接する睡眠段階において分離度の高い識別用リターンマップを予め設定し、分布データ生成手段により生成されたリターンマップと識別用リターンマップと対比して被験者の睡眠段階を判定することにより、被験者の睡眠段階を精度よく識別することができる。
【0011】
また本発明に係る睡眠判定装置において、前記分布データ生成手段は、前記差分演算手段により演算された心拍周期及び一次差分値からN次差分値におけるヒストグラムを生成し、前記睡眠判定手段は、前記分布データ生成手段により生成されたヒストグラムと予め睡眠段階ごとに設定された判定用ヒストグラムと対比して前記被験者の睡眠段階を判定することが好ましい。
【0012】
この発明によれば、差分演算手段により演算された心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値におけるヒストグラムを生成し、その生成されたヒストグラムと予め睡眠段階ごとに設定された判定用ヒストグラムと対比して被験者の睡眠段階を判定することにより、被験者の心拍周期及びその変動状態などの統計的データを加味して被験者の睡眠段階を精度よく識別することができる。
【0013】
また本発明に係る睡眠判定装置において、前記睡眠判定手段は、近接する睡眠段階において分離度の高い識別用ヒストグラムを予め設定し、前記分布データ生成手段により生成されたヒストグラムと前記識別用ヒストグラムと対比して前記被験者の睡眠段階を判定することが好ましい。
【0014】
この発明によれば、判定用ヒストグラムとして近接する睡眠段階において分離度の高い識別用ヒストグラムを予め設定し、分布データ生成手段により生成されたヒストグラムと識別用ヒストグラムと対比して被験者の睡眠段階を判定することにより、被験者の睡眠段階を精度よく識別することができる。
【0015】
また本発明に係る睡眠判定方法は、被験者の心拍を取得する心拍取得工程と、前記心拍取得工程により取得された心拍に基づいて心拍ごとの心拍周期を演算し、その心拍周期の前後の差分値を一次差分値とし、その一次差分値の前後の差分値を二次差分値として、予め設定されたN次差分値まで演算する差分演算工程と、前記差分演算工程により演算された心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値について、所定時間におけるそれぞれの値の分布を示す分布データを生成する分布データ生成工程と、予め設定される睡眠段階ごとの判定用分布データを参照し、前記分布データ生成工程により生成された分布データに基づいて前記被験者の睡眠段階を判定する睡眠判定工程とを備えて構成されている。
【0016】
この発明によれば、被験者の心拍ごとの心拍周期を演算し、その心拍周期の前後の差分値を一次差分値とし、その一次差分値の前後の差分値を二次差分値として、予め設定されたN次差分値まで演算し、その心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値においてそれぞれの値の分布を示す分布データを生成し、予め設定される睡眠段階ごとの判定用分布データを参照し分布データ生成手段により生成された分布データに基づいて被験者の睡眠段階を判定することにより、被験者の心拍周期の変動状態のみならず、その変動状態の変動状態などを加味して被験者の睡眠段階を識別することができる。このため、被験者の睡眠段階を精度よく判定することができる。
【0017】
また本発明に係る睡眠判定方法において、前記分布データ生成工程は、前記差分演算工程により演算された心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値について、所定時間における前記心拍周期及び差分値の前後の値をパラメータとするリターンマップを生成し、前記睡眠判定工程は、前記分布データ生成工程により生成されたリターンマップと予め睡眠段階ごとに設定された判定用リターンマップと対比して前記被験者の睡眠段階を判定することが好ましい。
【0018】
この発明によれば、差分演算工程により演算された心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値において前後の値をパラメータとするリターンマップを生成し、その生成されたリターンマップと予め睡眠段階ごとに設定された判定用リターンマップと対比して被験者の睡眠段階を判定することにより、被験者の心拍周期及びその変動状態などの時間的変化に基づいて被験者の睡眠段階を精度よく識別することができる。
【0019】
また本発明に係る睡眠判定方法において、前記睡眠判定工程は、近接する睡眠段階において分離度の高い識別用リターンマップを予め設定し、前記分布データ生成工程により生成されたリターンマップと前記識別用リターンマップと対比して前記被験者の睡眠段階を判定することが好ましい。
【0020】
この発明によれば、近接する睡眠段階において分離度の高い識別用リターンマップを予め設定し、分布データ生成手段により生成されたリターンマップと識別用リターンマップと対比して被験者の睡眠段階を判定することにより、被験者の睡眠段階を精度よく識別することができる。
【0021】
また本発明に係る睡眠判定方法において、前記分布データ生成工程は、前記差分演算手段により演算された心拍周期及び一次差分値からN次差分値におけるヒストグラムを生成し、前記睡眠判定工程は、前記分布データ生成工程により生成されたヒストグラムと予め睡眠段階ごとに設定された判定用ヒストグラムと対比して前記被験者の睡眠段階を判定することが好ましい。
【0022】
この発明によれば、差分演算工程により演算された心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値におけるヒストグラムを生成し、その生成されたヒストグラムと予め睡眠段階ごとに設定された判定用ヒストグラムと対比して被験者の睡眠段階を判定することにより、被験者の心拍周期及びその変動状態などの統計的データを加味して被験者の睡眠段階を精度よく識別することができる。
【0023】
また本発明に係る睡眠判定方法において、前記睡眠判定工程は、近接する睡眠段階において分離度の高い識別用ヒストグラムを予め設定し、前記分布データ生成手段により生成されたヒストグラムと前記識別用ヒストグラムと対比して前記被験者の睡眠段階を判定することが好ましい。
【0024】
この発明によれば、判定用ヒストグラムとして近接する睡眠段階において分離度の高い識別用ヒストグラムを予め設定し、分布データ生成手段により生成されたヒストグラムと識別用ヒストグラムと対比して被験者の睡眠段階を判定することにより、被験者の睡眠段階を精度よく識別することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、被験者の心拍情報に基づいて精度よく被験者の睡眠段階を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0027】
図1は本実施形態に係る睡眠判定装置の概略構成図である。
【0028】
図1に示すように、本実施形態に係る睡眠判定装置1は、被験者の睡眠状態を判定する装置であって、例えば車両に設置され、駐車場等で安静中の被験者である運転者の睡眠段階、すなわち睡眠の深さレベル(睡眠レベル)の判定に適用されるものである。
【0029】
この睡眠判定装置1は、例えば心拍検出部2、ECU(ElectronicControl Unit)3及び出力部4を備えて構成される。心拍検出部2は、被験者の心拍を取得する心拍取得手段として機能するものであって、例えば心電図検査器に用いられる電極部のように心拍に対応した微弱な電流を検知するものが用いられる。なお、この心拍検出部2としては、被験者の心電図波形などの心拍状態を検出できるものであればいずれのものを用いてもよい。また、車両の運転者の心拍状態を検出する場合、例えば心拍検出部2が運転シートに設置されることが好ましい。
【0030】
ECU3は、睡眠判定装置1全体の制御を行うものであって、例えばCPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。ECU3は、差分演算部31、リターンマップ生成部32、ヒストグラム生成部33、睡眠判定部34、データベース35を備えている。
【0031】
差分演算部31は、心拍検出部2から出力される心拍信号に基づいて心拍ごとの心拍周期を演算し、その心拍周期の前後の差分値を一次差分値とし、その一次差分値の前後の差分値を二次差分値として、予め設定されたN次差分値まで演算する差分演算手段と機能するものである。
【0032】
例えば、図2に示すように、被験者の心拍信号におけるR波とR波の時間X(RRI)が一つの心拍周期として演算され、連続して心拍周期X0、X1、…、Xnが演算される。そして、心拍周期の前後の差分値として一次差分値X0(1)、X1(1)…が演算され、その一次差分値の前後の差分値として二次差分値X0(2)、X1(2)…が演算され、予め設定されたN次差分値X0(N)、X1(N)…まで演算される。
【0033】
心拍周期の差分値Xk(N)は、次の式(1)により算出される。
【0034】
Xk(N)=Xk+1(N−1)−Xk(N−1) … (1)
【0035】
Xk+1(N−1)、Xk(N−1)は、N−1次差分値において経時的に前後する差分値である。このXk+1(N−1)、Xk(N−1)の差として、Xk(N)が演算される。
【0036】
図3に心拍周期及び心拍周期の差分値の説明図を示す。
【0037】
図3に示すように、心拍信号が入力されるごとに心拍周期Xkが演算され、式(1)を用いて一次差分値Xk−1(1)からN次差分値Xk−N(N)まで演算される。例えば、X0が1.0s(秒)、X1が1.2sである場合、その一次差分値X0(1)は0.2sとなる。二次差分値X0(2)は、一次差分値X0(1)と一次差分値X1(1)の差として演算される。
【0038】
リターンマップ生成部32は、心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値について時系列に前後する値をパラメータとするリターンマップを生成するマップ生成手段として機能するものである。
【0039】
図4は、Xk−1、Xkをパラメータとする心拍周期(0次差分値)のリターンマップを生成した一例を示したものである。例えば、Xk−1の値を横軸とし、Xkの値を縦軸としてデータをプロットして心拍周期のリターンマップが生成される。このとき、予め設定された所定時間(例えば、計測時間30秒)における心拍周期についてリターンマップを生成すればよい。このようにして、一次差分値からN次差分値までの差分値についても、その差分値ごとに前後する値をパラメータとするリターンマップが生成される。
【0040】
ヒストグラム生成部33は、心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値のヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段として機能するものである。例えば、図5に示すように、横軸を所定時間(例えば30秒)ごとの標準偏差またはXk(N)、縦軸を頻度として予め設定された所定時間(例えば、計測時間10分)における心拍周期データ及び差分値データについてそれぞれヒストグラムが生成される。
【0041】
なお、心拍周期及び差分値のリターンマップ及びヒストグラムは、このように心拍周期及び差分値の全てについて生成する場合もあるが、予め設定されたものだけを生成する場合もある。
【0042】
睡眠判定部34は、予め設定される睡眠段階ごとの判定用分布データを参照し、生成された分布データ、すなわちリターンマップ、ヒストグラムに基づいて被験者の睡眠段階を判定する睡眠判定手段として機能するものである。睡眠段階としては、例えばS0〜S4の五段階として設定される。
【0043】
リターンマップにより被験者の睡眠段階を判定する場合、被験者の心拍状態に基づいて生成されたリターンマップと予め睡眠段階ごとに設定された判定用リターンマップと対比して被験者の睡眠段階が判定される。
【0044】
例えば、心拍周期、一次差分値からN次差分値のいずれかについて、予め睡眠段階がわかっている心拍信号に基づき判定用リターンマップが生成され、その判定用リターンマップと被験者の心拍状態に基づくリターンマップを対比して、被験者の睡眠段階が判定される。
【0045】
図6に判定用リターンマップの一例を示す。
【0046】
図6の判定用リターンマップは、Xk−1、Xkをパラメータとする心拍周期(0次差分値)のリターンマップを生成した一例を示したものである。例えば、Xk−1の値を横軸としXkの値を縦軸として睡眠段階S0〜S4のうち睡眠段階S1〜S3の判別を行うものとして用いられる。図6のリターンマップにおける領域S1〜S3は、予め睡眠段階がわかっている心拍信号に基づいて心拍周期を演算し、リターンマップにプロットした際に形成される領域によって設定されたものである。睡眠段階S0、S4については、図6とは別に設定されるリターンマップにより判別すればよい。
【0047】
図6の判定用リターンマップと被験者の心拍信号に基づくリターンマップを対比し、例えば被験者の所定時間(例えば30秒)における心拍信号に基づくリターンマップのデータ領域Sxが領域S2内に入っている場合には、被験者の睡眠段階がS2であると判定される。
【0048】
一方、被験者の所定時間(例えば30秒)における心拍信号に基づくリターンマップのデータ領域Sxが領域S2とS3の双方に入っている場合には、睡眠段階S2とS3を識別するための識別用リターンマップを用いて睡眠段階を判定することが好ましい。
【0049】
図7に示すように、予め睡眠段階がわかっている心拍信号(教師信号)を用いて心拍周期の0次リターンマップ、一次差分値の一次リターンマップ、二次差分値の二次リターンマップ…、N次差分値のN次リターンマップが作成され、睡眠段階S0とS1の分離度の高いリターンマップ、S1とS2の分離度の高いリターンマップ、S2とS3の分離度の高いリターンマップ、S3とS4の分離度の高いリターンマップがそれぞれ識別用リターンマップとして選択される。この選択の仕方としては、例えば近接する睡眠段階のリターンマップにおいてデータ領域が最も分離しているリターンマップを選択すればよい。
【0050】
図7においては、睡眠段階S0、S1の識別用リターンマップとして0次リターンマップのS0、S1が設定され、睡眠段階S1、S2の識別用リターンマップとして2次リターンマップのS1、S2が設定され、睡眠段階S2、S3の識別用リターンマップとして1次リターンマップのS2、S3が設定され、睡眠段階S3、S4の識別用リターンマップとしてN次リターンマップのS3、S4が設定されている。図7のリターンマップにおける円形の領域はデータ領域を表している。
【0051】
そして、識別すべき睡眠段階の識別用リターンマップを用い、被験者の心拍信号に基づくリターンマップがより近似する識別用リターンマップを抽出し、抽出された識別用リターンマップの睡眠段階が被験者の睡眠段階として判定される。
【0052】
また、判定用リターンマップにおいて、睡眠段階の領域以外の領域にデータ領域がある場合には、被験者のデータが異常であると判断することが好ましい。これにより、被験者について誤った睡眠段階が判定されることを防止することができる。
【0053】
一方、ヒストグラムにより被験者の睡眠段階を判定する場合、被験者の心拍状態に基づいて生成されたヒストグラムと予め睡眠段階ごとに設定された判定用ヒストグラムと対比して被験者の睡眠段階が判定される。
【0054】
例えば、心拍周期、一次差分値からN次差分値のいずれかについて、予め睡眠段階がわかっている心拍信号に基づき判定用ヒストグラムが生成され、その判定用ヒストグラムと被験者の心拍状態に基づくヒストグラムを対比して、被験者の睡眠段階が判定される。
【0055】
また、被験者の心拍信号に基づくヒストグラムが判定用ヒストグラムを用いても睡眠段階の判定が困難な場合には、睡眠段階を識別するための識別用リターンマップを用いて睡眠段階を判定することが好ましい。
【0056】
例えば、図8に示すように、予め睡眠段階がわかっている心拍信号を用いて心拍周期の0次ヒストグラム、一次差分値の一次ヒストグラム、二次差分値の二次ヒストグラム…、N次差分値のN次ヒストグラムが作成され、睡眠段階S0とS1の分離度の高いヒストグラム、S1とS2の分離度の高いヒストグラム、S2とS3の分離度の高いヒストグラム、S3とS4の分離度の高いヒストグラムがそれぞれ識別用ヒストグラムとして選択される。この選択の仕方としては、例えば近接する睡眠段階のヒストグラムにおいてデータ領域が最も分離しているヒストグラムを選択すればよい。
【0057】
図8においては、睡眠段階S0、S1の識別用ヒストグラムとして2次ヒストグラムのS0、S1が設定され、睡眠段階S1、S2の識別用ヒストグラムとして0次ヒストグラムのS1、S2が設定され、睡眠段階S2、S3の識別用ヒストグラムとして1次ヒストグラムのS2、S3が設定され、睡眠段階S3、S4の識別用ヒストグラムとしてN次ヒストグラムのS3、S4が設定されている。図8の各ヒストグラムは、棒グラフ状のヒストグラムを近似的に曲線で表している。図8に用いられるヒストグラムは、棒グラフ状のものであってもよい。
【0058】
そして、識別すべき睡眠段階の識別用ヒストグラムを用い、被験者の心拍信号に基づくヒストグラムがより近似する識別用ヒストグラムを抽出し、抽出された識別用ヒストグラムの睡眠段階が被験者の睡眠段階として判定される。
【0059】
また、判定用ヒストグラムにおいて、睡眠段階の領域以外の領域にデータ領域がある場合には、被験者のデータが異常であると判断することが好ましい。これにより、被験者について誤った睡眠段階が判定されることを防止することができる。
【0060】
また、リターンマップとヒストグラムの双方を用いて被験者の睡眠段階を判定してもよい。
【0061】
例えば、被験者の心拍信号に基づいて生成されたリターンマップ及びヒストグラムについて、判定用リターンマップ及び判定用ヒストグラムを用いて被験者の睡眠段階が判定される。このとき、例えば睡眠段階がS1、S2のいずれかであるか判定し難い場合など近接する睡眠段階において判定が困難な場合には、識別用リターンマップ及び識別用ヒストグラムを用いて被験者の睡眠段階が判定される。
【0062】
その際、識別に用いる識別用リターンマップと識別用ヒストグラムにおいて、睡眠段階の分離度の高い方を用いて被験者の睡眠段階の識別することが好ましい。例えば、識別用リターンマップにおける睡眠段階の分離度が90%であり、識別用ヒストグラムにおける睡眠段階の分離度が70%である場合、分離度の高い識別用リターンマップを用いて被験者の睡眠段階が識別される。
【0063】
図1において、データベース35は、判定用リターンマップ、判定用ヒストグラム、識別用リターンマップ、識別用ヒストグラムなど睡眠段階判定用データを記録する記録手段として機能するものである。出力部4は、ECU3により判定された被験者の睡眠段階を出力するものであり、表示モニタなどが用いられる。
【0064】
次に本実施形態に係る睡眠判定装置の動作及び本実施形態に係る睡眠判定方法について説明する。
【0065】
図9は、本実施形態に係る睡眠判定装置の動作及び本実施形態に係る睡眠判定方法を示すフローチャートである。この図9の制御処理は、例えばECU3によって所定の周期を繰り返し実行される。
【0066】
まず、図9のS10に示すように、心拍信号の読み込み処理が行われる。心拍信号の読み込み処理は、心拍検出部2により出力される被験者の心拍信号を読み込む処理である。心拍信号は、図2に示すように心拍に応じて繰り返しR波を生じる波形で入力される。
【0067】
そして、S12に移行し、差分信号演算処理が行われる。差分信号演算処理は、心拍信号に基づいて心拍ごとの心拍周期を演算し、その心拍周期の前後の差分値を一次差分値とし、その一次差分値の前後の差分値を二次差分値として、予め設定されたN次差分値まで演算する差分演算する処理である。
【0068】
例えば、心拍周期は、心拍信号からR波を検出し、繰り返し検出されるR波とR波の間の時間として算出される。そして、図3のように、心拍周期X0、X1、…、Xkが演算されると、心拍周期の前後の差分値として一次差分値X0(1)、X1(1)…が演算され、その一次差分値の前後の差分値として二次差分値X0(2)、X1(2)…が演算され、予め設定されたN次差分値X0(N)、X1(N)…まで演算される。心拍周期の差分値Xk(N)は、上述した式(1)により算出される。
【0069】
そして、図9のS14に移行し、リターンマップ生成処理が行われる。リターンマップ生成処理は、心拍周期、一次差分値からN次差分値までの差分値について時系列に前後する値をパラメータとするリターンマップを生成する処理である。例えば、図4に示すように、Xk−1、Xkをパラメータとする心拍周期(0次差分値)のリターンマップを生成し、それと同様にしてXk−1(1)、Xk(1)をパラメータとする一次差分値のリターンマップを生成し、Xk−1(2)、Xk(2)をパラメータとする二次差分値のリターンマップを生成し、N次差分値までのリターンマップを生成する。
【0070】
なお、リターンマップ生成処理において、心拍周期、一次差分値からN次差分値までの全てのリターンマップを生成せず、心拍周期、一次差分値からN次差分値のうち被験者の睡眠段階の判定に必要なリターンマップのみを生成する場合もある。
【0071】
そして、S16に移行し、ヒストグラム生成処理が行われる。ヒストグラム生成処理は、心拍周期、一次差分値からN次差分値までの差分値についてのヒストグラムを生成する処理である。例えば、図5に示すように、所定時間において検出される心拍周期(0次差分値)のヒストグラムを生成し、所定時間において検出される一次差分値からN次差分値までのヒストグラムを生成する。
【0072】
なお、ヒストグラム生成処理において、心拍周期、一次差分値からN次差分値までの全てのヒストグラムを生成せず、心拍周期、一次差分値からN次差分値のうち被験者の睡眠段階の判定に必要なヒストグラムのみを生成する場合もある。
【0073】
そして、S20に移行し、睡眠段階判定処理が行われる。睡眠段階判定処理は、被験者の睡眠段階を判定する処理である。この睡眠段階の判定の仕方としては、リターンマップのみを用いる判定処理、ヒストグラムのみを用いる判定処理、リターンマップとヒストグラムを用いる判定処理がある。
【0074】
まず、リターンマップのみを用いる判定処理においては、被験者の心拍状態に基づいて生成されたリターンマップと予め睡眠段階ごとに設定された判定用リターンマップと対比して被験者の睡眠段階が判定される。
【0075】
例えば、心拍周期、一次差分値からN次差分値のいずれかについて、予め睡眠段階がわかっている心拍信号に基づき判定用リターンマップが生成され、その判定用リターンマップと被験者の心拍状態に基づくリターンマップを対比して、被験者の睡眠段階が判定される。
【0076】
例えば、睡眠段階S1〜S3の判定を行う場合、図6に示すような判定用リターンマップを用い、被験者の心拍信号についてのリターンマップのデータ領域Sxが睡眠段階S1〜S3に入っているか否かによって睡眠段階が判定される。睡眠段階S0、S4の判定については、図6とは別に設定されるリターンマップを用いて判別すればよい。
【0077】
図6に示すように、被験者の心拍信号に基づくリターンマップのデータ領域Sxが領域S2内に入っている場合には、被験者の睡眠段階がS2であると判定される。
【0078】
一方、被験者の心拍信号に基づくリターンマップのデータ領域Sxが領域S2とS3の双方に入っている場合には、睡眠段階S2とS3を識別するための識別用リターンマップを用いて睡眠段階を判定することが好ましい。
【0079】
図7に示すように、予め睡眠段階がわかっている心拍信号(教師信号)を用いて心拍周期の0次リターンマップ、一次差分値の一次リターンマップ、二次差分値の二次リターンマップ…、N次差分値のN次リターンマップが作成され、睡眠段階S0とS1の分離度の高いリターンマップ、S1とS2の分離度の高いリターンマップ、S2とS3の分離度の高いリターンマップ、S3とS4の分離度の高いリターンマップがそれぞれ識別用リターンマップとして選択される。この選択の仕方としては、例えば近接する睡眠段階のリターンマップにおいてデータ領域が最も分離しているリターンマップを選択すればよい。図7の0次リターンマップの横軸Xk−1、縦軸Xkは心拍周期値であり、1次〜N次リターンマップの横軸Xk−1、縦軸Xkは1次〜N次差分値である。
【0080】
図7においては、睡眠段階S0、S1の識別用リターンマップとして0次リターンマップのS0、S1が設定され、睡眠段階S1、S2の識別用リターンマップとして2次リターンマップのS1、S2が設定され、睡眠段階S2、S3の識別用リターンマップとして1次リターンマップのS2、S3が設定され、睡眠段階S3、S4の識別用リターンマップとしてN次リターンマップのS3、S4が設定されている。
【0081】
そして、識別すべき睡眠段階の識別用リターンマップを用い、被験者の心拍信号に基づくリターンマップがより近似する識別用リターンマップを抽出し、抽出された識別用リターンマップの睡眠段階が被験者の睡眠段階として判定される。
【0082】
また、判定用リターンマップにおいて、睡眠段階の領域以外の領域にデータ領域がある場合には、被験者のデータが異常であると判断することが好ましい。これにより、被験者について誤った睡眠段階が判定されることを防止することができる。
【0083】
なお、リターンマップのみを用いヒストグラムを用いないで睡眠判定を行う場合には、S16のヒストグラム生成処理を省略してもよい。
【0084】
次に、ヒストグラムのみを用いる判定処理においては、被験者の心拍状態に基づいて生成されたヒストグラムと予め睡眠段階ごとに設定された判定用ヒストグラムと対比して被験者の睡眠段階が判定される。
【0085】
例えば、心拍周期、一次差分値からN次差分値のいずれかについて、予め睡眠段階がわかっている心拍信号に基づき判定用ヒストグラムが生成され、その判定用ヒストグラムと被験者の心拍状態に基づくヒストグラムを対比して、被験者の睡眠段階が判定される。
【0086】
また、被験者の心拍信号に基づくヒストグラムが判定用ヒストグラムを用いても睡眠段階の判定が困難な場合には、睡眠段階を識別するための識別用リターンマップを用いて睡眠段階を判定することが好ましい。
【0087】
例えば、図8に示すように、予め睡眠段階がわかっている心拍信号(教師信号)を用いて心拍周期の0次ヒストグラム、一次差分値の一次ヒストグラム、二次差分値の二次ヒストグラム…、N次差分値のN次ヒストグラムが作成され、睡眠段階S0とS1の分離度の高いヒストグラム、S1とS2の分離度の高いヒストグラム、S2とS3の分離度の高いヒストグラム、S3とS4の分離度の高いヒストグラムがそれぞれ識別用ヒストグラムとして選択される。この選択の仕方としては、例えば近接する睡眠段階のヒストグラムにおいてデータ領域が最も分離しているヒストグラムを選択すればよい。図8の0次ヒストグラムの横軸Xは心拍周期値、縦軸は頻度fである。また、図8の1次〜N次ヒストグラムの横軸X(1)〜X(N)は1次〜N次差分値、縦軸Xkは頻度fである。
【0088】
図8においては、睡眠段階S0、S1の識別用ヒストグラムとして2次ヒストグラムのS0、S1が設定され、睡眠段階S1、S2の識別用ヒストグラムとして0次ヒストグラムのS1、S2が設定され、睡眠段階S2、S3の識別用ヒストグラムとして1次ヒストグラムのS2、S3が設定され、睡眠段階S3、S4の識別用ヒストグラムとしてN次ヒストグラムのS3、S4が設定されている。
【0089】
そして、識別すべき睡眠段階の識別用ヒストグラムを用い、被験者の心拍信号に基づくヒストグラムがより近似する識別用ヒストグラムを抽出し、抽出された識別用ヒストグラムの睡眠段階が被験者の睡眠段階として判定される。
【0090】
また、判定用ヒストグラムにおいて、睡眠段階の領域以外の領域にデータ領域がある場合には、被験者のデータが異常であると判断することが好ましい。これにより、被験者について誤った睡眠段階が判定されることを防止することができる。
【0091】
なお、ヒストグラムのみを用いリターンマップを用いないで睡眠判定を行う場合には、S14のヒストグラム生成処理を省略してもよい。
【0092】
次に、リターンマップとヒストグラムの双方を用いて被験者の睡眠段階を判定する場合には、被験者の心拍信号に基づいて生成されたリターンマップ及びヒストグラムについて、判定用リターンマップ及び判定用ヒストグラムを用いて被験者の睡眠段階が判定される。このとき、例えば睡眠段階がS1、S2のいずれかであるか判定し難い場合など近接する睡眠段階において判定が困難な場合には、識別用リターンマップ及び識別用ヒストグラムを用いて被験者の睡眠段階が判定される。
【0093】
その際、識別に用いる識別用リターンマップと識別用ヒストグラムにおいて、睡眠段階の分離度の高い方を用いて被験者の睡眠段階の識別することが好ましい。例えば、識別用リターンマップにおける睡眠段階の分離度が90%であり、識別用ヒストグラムにおける睡眠段階の分離度が70%である場合、分離度の高い識別用リターンマップを用いて被験者の睡眠段階が識別される。
【0094】
この場合の分離度としては、例えば睡眠段階の異なる識別用リターンマップ同士のデータ領域の重複領域が10%の場合に分離度が90%と判断され、その重複領域が30%の場合に分離度が70%と判断される。また、この分離度としては、他の手法により設定してもよい。図9のS20の処理を終了したら、一連の制御処理を終了する。
【0095】
以上のように、本実施形態に係る睡眠判定装置及び睡眠判定方法によれば、被験者の心拍ごとの心拍周期を演算し、その心拍周期の前後の差分値を一次差分値とし、その一次差分値の前後の差分値を二次差分値として、予め設定されたN次差分値まで演算し、その心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値においてそれぞれの値の分布を示す分布データを生成し、予め設定される睡眠段階ごとの判定用分布データを参照し分布データ生成手段により生成された分布データに基づいて被験者の睡眠段階を判定する。これにより、被験者の心拍周期の変動状態のみならず、その変動状態の変動状態などを加味して被験者の睡眠段階を識別することができる。このため、被験者の睡眠段階を心拍情報に基づいて精度よく判定することができる。また、心拍信号を受けるごとに心拍周期及び差分値のデータを更新してリアルタイムで被験者の睡眠段階を判定することができる。
【0096】
また、差分演算部31により演算された心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値において前後の値をパラメータとするリターンマップを生成し、その生成されたリターンマップと予め睡眠段階ごとに設定された判定用リターンマップと対比して被験者の睡眠段階を判定することにより、被験者の心拍周期及びその変動状態などの時間的変化に基づいて被験者の睡眠段階を精度よく識別することができる。
【0097】
また、近接する睡眠段階において分離度の高い識別用リターンマップを予め設定し、分布データ生成手段により生成されたリターンマップと識別用リターンマップと対比して被験者の睡眠段階を判定することにより、被験者の睡眠段階を精度よく識別することができる。
【0098】
また、差分演算部31により演算された心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値におけるヒストグラムを生成し、その生成されたヒストグラムと予め睡眠段階ごとに設定された判定用ヒストグラムと対比して被験者の睡眠段階を判定することにより、被験者の心拍周期及びその変動状態などの統計的データを加味して被験者の睡眠段階を精度よく識別することができる。
【0099】
また、リターンマップとヒストグラムのうち分離度の高い方を用いて被験者の睡眠段階を識別することにより、被験者の睡眠段階をより精度よく識別することができ、正確な睡眠段階の判定が行える。
【0100】
さらに、判定用ヒストグラムとして近接する睡眠段階において分離度の高い識別用ヒストグラムを予め設定し、分布データ生成手段により生成されたヒストグラムと識別用ヒストグラムと対比して被験者の睡眠段階を判定することにより、被験者の睡眠段階を精度よく識別することができる。
【0101】
なお、上述した実施形態は本発明に係る睡眠判定装置及び睡眠判定方法の実施形態を説明したものであり、本発明に係る睡眠判定装置及び睡眠判定方法は本実施形態に記載したものに限定されるものではない。本発明に係る睡眠判定装置及び睡眠判定方法は、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係る睡眠判定装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0102】
例えば、実施形態においては、被験者が車両の運転者である場合について説明したが、被験者が車両の運転者以外の者であってもよく、車両に乗車していないものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施形態に係る睡眠判定装置の構成概要図である。
【図2】心拍信号の説明図である。
【図3】図1の睡眠判定装置により演算される心拍周期及び差分値の説明図である。
【図4】図1の睡眠判定装置により生成されるリターンマップの説明図である。
【図5】図1の睡眠判定装置により生成されるヒストグラムの説明図である。
【図6】図1の睡眠判定装置の睡眠判定に用いられる判定用リターンマップの説明図である。
【図7】図1の睡眠判定装置の睡眠判定に用いられる識別用リターンマップの説明図である。
【図8】図1の睡眠判定装置の睡眠判定に用いられる識別用ヒストグラムの説明図である。
【図9】図1の睡眠判定装置の動作及び本実施形態に係る睡眠判定方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0104】
1…睡眠判定装置、2…心拍検出部、3…ECU、4…出力部、31…差分演算部、32…リターンマップ生成部、33…ヒストグラム生成部、34…睡眠判定部、35…データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の心拍を取得する心拍取得手段と、
前記心拍取得手段により取得された心拍に基づいて心拍ごとの心拍周期を演算し、その心拍周期の前後の差分値を一次差分値とし、その一次差分値の前後の差分値を二次差分値として、予め設定されたN次差分値まで演算する差分演算手段と、
前記差分演算手段により演算された心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値について、所定時間におけるそれぞれの値の分布を示す分布データを生成する分布データ生成手段と、
予め設定される睡眠段階ごとの判定用分布データを参照し、前記分布データ生成手段により生成された分布データに基づいて前記被験者の睡眠段階を判定する睡眠判定手段と、
を備えた睡眠判定装置。
【請求項2】
前記分布データ生成手段は、前記差分演算手段により演算された心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値について、所定時間における前記心拍周期及び差分値の前後の値をパラメータとするリターンマップを生成し、
前記睡眠判定手段は、前記分布データ生成手段により生成されたリターンマップと予め睡眠段階ごとに設定された判定用リターンマップと対比して前記被験者の睡眠段階を判定する、
請求項1に記載の睡眠判定装置。
【請求項3】
前記睡眠判定手段は、近接する睡眠段階において分離度の高い識別用リターンマップを予め設定し、前記分布データ生成手段により生成されたリターンマップと前記識別用リターンマップと対比して前記被験者の睡眠段階を判定する、
請求項2に記載の睡眠判定装置。
【請求項4】
前記分布データ生成手段は、前記差分演算手段により演算された心拍周期及び一次差分値からN次差分値におけるヒストグラムを生成し、
前記睡眠判定手段は、前記分布データ生成手段により生成されたヒストグラムと予め睡眠段階ごとに設定された判定用ヒストグラムと対比して前記被験者の睡眠段階を判定する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の睡眠判定装置。
【請求項5】
前記睡眠判定手段は、近接する睡眠段階において分離度の高い識別用ヒストグラムを予め設定し、前記分布データ生成手段により生成されたヒストグラムと前記識別用ヒストグラムと対比して前記被験者の睡眠段階を判定する、
請求項4に記載の睡眠判定装置。
【請求項6】
被験者の心拍を取得する心拍取得工程と、
前記心拍取得工程により取得された心拍に基づいて心拍ごとの心拍周期を演算し、その心拍周期の前後の差分値を一次差分値とし、その一次差分値の前後の差分値を二次差分値として、予め設定されたN次差分値まで演算する差分演算工程と、
前記差分演算工程により演算された心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値について、所定時間におけるそれぞれの値の分布を示す分布データを生成する分布データ生成工程と、
予め設定される睡眠段階ごとの判定用分布データを参照し、前記分布データ生成工程により生成された分布データに基づいて前記被験者の睡眠段階を判定する睡眠判定工程と、
を備えた睡眠判定方法。
【請求項7】
前記分布データ生成工程は、前記差分演算工程により演算された心拍周期及び一次差分値からN次差分値までの差分値について、所定時間における前記心拍周期及び差分値の前後の値をパラメータとするリターンマップを生成し、
前記睡眠判定工程は、前記分布データ生成工程により生成されたリターンマップと予め睡眠段階ごとに設定された判定用リターンマップと対比して前記被験者の睡眠段階を判定する、
請求項6に記載の睡眠判定方法。
【請求項8】
前記睡眠判定工程は、近接する睡眠段階において分離度の高い識別用リターンマップを予め設定し、前記分布データ生成工程により生成されたリターンマップと前記識別用リターンマップと対比して前記被験者の睡眠段階を判定する、
請求項7に記載の睡眠判定方法。
【請求項9】
前記分布データ生成工程は、前記差分演算手段により演算された心拍周期及び一次差分値からN次差分値におけるヒストグラムを生成し、
前記睡眠判定工程は、前記分布データ生成工程により生成されたヒストグラムと予め睡眠段階ごとに設定された判定用ヒストグラムと対比して前記被験者の睡眠段階を判定する、
請求項6〜8のいずれか一項に記載の睡眠判定方法。
【請求項10】
前記睡眠判定工程は、近接する睡眠段階において分離度の高い識別用ヒストグラムを予め設定し、前記分布データ生成手段により生成されたヒストグラムと前記識別用ヒストグラムと対比して前記被験者の睡眠段階を判定する、
請求項9に記載の睡眠判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−57551(P2010−57551A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223536(P2008−223536)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】