説明

研磨剤

【課題】それを用いて研磨対象物を研磨した場合に、研磨速度が速く、スクラッチ(線状痕)が少ない研磨剤の提供。
【解決手段】固体酸量または固体塩基量が0.01mmol/g以上であり、平均粒子径が2μm以下である無機酸化物微粒子が分散媒に分散している、pHが8.0〜11.5である研磨剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は研磨剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無機酸化物微粒子が分散媒に分散してなる研磨剤として、様々な態様のものが提案されている。
例えば特許文献1には、平均粒子径およびシェル部の厚さが特定範囲内であるコア・シェル構造を有する複合酸化物であって、コア部がSiO2、Al23、CeO2などからなり、シェル部がシリカ・アルミナまたはシリカ・ジルコニアからなり、該複合酸化物におけるシリカの含有量が特定量であることを特徴とする研磨用微粒子の分散液が記載されている。そして、このような研磨剤によれば、研磨速度、研磨精度、研磨特性を適切な値とした研磨剤が得られると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4190198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載の研磨剤は研磨特性に優れるものであるが、より研磨特性に優れる研磨剤の開発が望まれる。
【0005】
本発明は上記のような課題を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は研磨特性に優れる研磨剤、具体的にはそれを用いて研磨対象物を研磨した場合に、研磨速度が速く、スクラッチ(線状痕)が少ない研磨剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討し、本発明を完成させた。
本発明は以下の(1)〜(5)である。
(1)固体酸量または固体塩基量が0.01mmol/g以上であり平均粒子径が2μm以下である無機酸化物微粒子が分散媒に分散している、pHが8.0〜11.5である研磨剤。
(2)相対的に価数が高い元素の酸化物換算の質量モル濃度(mol/kg)が、相対的に価数が低い元素の酸化物換算の質量モル濃度(mol/kg)に対して、同じかまたは大きい割合で2つの元素を含む酸化物を主成分とする前記無機酸化物微粒子である、上記(1)に記載の研磨剤。
(3)前記無機酸化物微粒子が、Si、Al、B、Mg、Ca、Ba、Mo、Zr、Ga、Be、Sr、Y、La、Ce、Sn、Fe、ZnおよびTiからなる群から選ばれる少なくとも2つの元素を含む酸化物を主成分とする、上記(1)または(2)に記載の研磨剤。
(4)前記無機酸化物微粒子が、B、Ba、Mo、Ga、Be、Sr、Y、La、Fe、Ti、Al、Zr、Ce、SnおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素と、Si、Mg、Ca、Al、Zr、SnおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素とを含む酸化物を主成分とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の研磨剤。
(5)研磨速度が160nm/分以上となり、スクラッチ数が8個/cm2以下となる、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の研磨剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、それを用いて研磨対象物を研磨した場合に、研磨速度が速く、スクラッチ(線状痕)が少ない研磨剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明について説明する。
本発明は、固体酸量または固体塩基量が0.01mmol/g以上であり平均粒子径が2μm以下である無機酸化物微粒子が分散媒に分散している、pHが8.0〜11.5である研磨剤である。
このような研磨剤を、以下では「本発明の研磨剤」ともいう。
【0009】
固体酸量および固体塩基量について説明する。
本発明の研磨剤が含む無機酸化物微粒子は、固体酸量が0.01mmol/g以上であるか、または固体塩基量が0.01mmol/g以上である。もちろん、固体酸量が0.01mmol/g以上であり、かつ固体塩基量が0.01mmol/g以上であってもよい。
このような固体酸量または固体塩基量である前記無機酸化物微粒子が分散媒に分散している本発明の研磨剤は、これを用いて研磨対象物を研磨した場合、従来のものよりも研磨速度が速く、かつスクラッチ(線状痕)が少なくなる。本発明者は、研磨剤の研磨特性は、その研磨剤に含まれる粒子の硬度よりも、固体酸量または固体塩基量に依存する可能性があると考え、鋭意検討した。そして、特定の固体酸量または固体塩基量を備え、特定の平均粒子径である無機酸化物微粒子が分散媒に分散し、かつ、特定範囲のpHを備える研磨剤が、優れた研磨特性(研磨速度およびスクラッチ)を備えることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
ここで、固体酸量は、次に示す昇温脱離法(NH3−TPD)で測定して求めた値を意味するものとする。
初めに、本発明の研磨剤から無機酸化物微粒子を分離する。具体的には、本発明の研磨剤を濾過して固形分を分離した後、その固形分を密閉容器内に入れ、400℃、1×10-4Torrで4時間保持することで分散媒を蒸発させ、無機酸化物微粒子のみを得る。次に、得られた無機酸化物微粒子の1gを反応管内に入れ、500℃のHeを流しながら2h保持して前処理した後、放冷し、無機酸化物微粒子の温度を60℃とする。次に、反応管内へ60℃のアンモニアガスを30分間流すことで、無機酸化物微粒子の表面にアンモニアを吸着させる。次に、反応管内を10℃/minで600℃まで昇温し、その過程で脱離するアンモニアをQ−MASSで検出し、スペクトルを示す図を得る。そして、得られたアンモニア昇温脱離スペクトルの全面積(全酸量)を求めることで無機酸化物微粒子1g当たりの固体酸量(mol/g)を求める。なお、ここでスペクトルの全面積は、60℃〜600℃までの積分値とする。
【0011】
また、固体塩基量は、上記の固体酸量を求める昇温脱離法(NH3−TPD)において用いたアンモニアガスをCO2ガスとし、その他は全て同一とした昇温脱離法(CO2−TPD)で測定して求めた値を意味するものとする。
【0012】
本発明の研磨剤において無機酸化物微粒子は、平均粒子径が2μm以下であり、1μm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。また、平均粒子径は5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、15nm以上であることがさらに好ましい。
なお、本発明において平均粒子径は、すべてメジアン径を意味するものとする。
【0013】
本発明の研磨剤において無機酸化物微粒子は、その粒度分布の標準偏差(SD)が10nm以上のものであることが好ましく、15nm以上のものであることが好ましく、20nm以上のものであることがより好ましく、30nm以上のものであることがより好ましく、35nm以上のものであることがさらに好ましい。また、100nm以下のものであることが好ましく、80nm以下のものであることがより好ましく、70nm以下のものであることがより好ましく、60nm以下のものであることがさらに好ましい。
標準偏差が大きい、すなわち、大小様々な径の粒子が含まれており粒子径に偏りがないと、研磨速度が速くなることを本発明者は見出した。同じ平均粒子径であっても標準偏差が小さい、すなわち、粒子径が均一であると研磨速度が遅く、研磨の持続性も劣ることを本発明者は見出した。
【0014】
本発明の研磨剤において無機酸化物微粒子の粒度分布の最大値が3,000nmであることが好ましく、2,000nmであることがより好ましく、1,000nmであることがより好ましく、700nmであることがより好ましく、500nmであることがより好ましく、300nmであることがさらに好ましい。また、さらに最小値が1nmであることが好ましく、2nmであることがより好ましく、5nmであることがさらに好ましい。
粒度分布における最大値および最小値が上記であると、本発明の研磨剤の研磨速度が速くなる傾向がある。
【0015】
なお、本発明においては、動的光散乱法によって求めた粒度分布に基づいて、平均粒子径、標準偏差(SD)、粒度分布における最大値、最小値を求めるものとする。
【0016】
本発明の研磨剤において無機酸化物微粒子は、Si、Al、B、Mg、Ca、Ba、Mo、Zr、Ga、Be、Sr、Y、La、Ce、Sn、Fe、ZnおよびTiからなる群から選ばれる少なくとも2つの元素を含む酸化物を主成分とするものであることが好ましい。また、無機酸化物微粒子は、このような酸化物から実質的になるものであることがより好ましい。なお「実質的に」とは、原料や製造工程から混入する不純物は含まれ得ることを意味する。
また、無機酸化物微粒子は、B、Ba、Mo、Ga、Be、Sr、Y、La、Fe、Ti、Al、Zr、Ce、SnおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素と、Si、Mg、Ca、Al、Zr、SnおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素とを含む、2種類以上の元素を含む酸化物を主成分とするものであることが好ましい。また、無機酸化物微粒子は、このような酸化物から実質的になるものであることがより好ましい。
さらに、前記無機酸化物微粒子は、2種以上の酸化物の混合物であってもよいし、2種以上の元素を含む複合酸化物であってよい。
【0017】
また、前記無機酸化物微粒子は、Si、Al、B、Mg、Ca、Ba、Mo、Zr、Ga、Be、Sr、Y、La、Ce、Sn、Fe、ZnおよびTiからなる群から選ばれる、価数の異なる2つの元素を少なくとも含む酸化物を主成分とするものであることが好ましい。また、無機酸化物微粒子は、このような酸化物から実質的になるものであることがより好ましい。
また、価数が異なる2つの元素を含む場合、相対的に価数が高い元素の酸化物換算の質量モル濃度(mol/kg)が、相対的に価数が低い元素の酸化物換算の質量モル濃度(mol/kg)に対して、同じかまたは大きくなるような割合で2つの元素を含む酸化物であることが好ましい。例えば4価のSiのSiO2換算の質量モル濃度が、3価のAlのAl23換算の質量モル濃度に対して、同じかまたは大きくなるような割合でSiとAlとを含む酸化物であることが好ましい。
このように価数が異なる2つの元素を含むと、前記無機酸化物微粒子の固体酸量または固体塩基量が0.01mmol/g以上となりやすいことを本発明者は見出した。
また、価数が同じ2つの元素を含む場合、それらの元素の存在比(質量モル濃度(mol/kg)の比)が異なると、同様に、前記無機酸化物微粒子の固体酸量または固体塩基量が0.01mmol/g以上となりやすいことを本発明者は見出した。
【0018】
また、前記無機酸化物微粒子はセリウムを含んでもよいが、セリウムを含まなくてもよい。近年、埋蔵量の減少に伴い、セリウム(Ce)の価格が高騰していることから、セリウムを含まない研磨剤の開発が望まれている。本発明の研磨剤は、セリウムを含まない場合であっても、研磨特性が優れている。
【0019】
本発明の研磨剤において前記無機酸化物微粒子の形状は特に限定されず、例えば球状であってよい。
【0020】
本発明の研磨剤における分散媒は特に限定されず、水系であることが好ましく、水であることがより好ましい。
本発明の研磨剤における固形分濃度も特に限定されず、5〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることがさらに好ましい。
【0021】
本発明の研磨剤は、pHが8.0〜11.5であり、8.7〜11.3であることが好ましく、9.2〜11.0であることがより好ましい。
このようなpHであると、前記無機酸化物微粒子が安定して分散した状態を維持しやすい。pHが低すぎると前記無機酸化物微粒子が凝集する傾向がある。また、pHが高すぎると前記無機酸化物微粒子が溶解する可能性がある。
このようなpHとするために、本発明の研磨剤は、NaOH等の従来公知の安定剤を含むことができる。
【0022】
このような本発明の研磨剤は研磨特性(具体的には研磨速度、スクラッチ)に優れ、シリコンウエハーや半導体デバイス基板等の表面の仕上げ研磨用の研磨剤として好ましく利用できる。また、ガラスのハードディスク基板の一次または二次研磨用の研磨剤として好ましく利用できる。
【0023】
また、本発明の研磨剤は、研磨速度が160nm/分以上となり、かつ、スクラッチ数が8個/cm2以下となるものであることが好ましい。
研磨速度は、170nm/分以上であることが好ましく、175nm/分以上であることがより好ましく、180nm/分以上であることがさらに好ましい。
スクラッチ数は、7個/cm2以下であることが好ましく、6個/cm2以下であることがより好ましく、5個/cm2以下であることがさらに好ましい。
【0024】
なお、本発明において、研磨速度は、次に示す方法によってSiO2膜を研磨した場合のものを意味するものとする。
テスト用基板として、蒸着法で主面に1μmの厚さのSiO2膜を形成したシリコ−ン製の29mm角の基板を用意する。そして、研磨機(例えばナノファクタ社製、NF300)を用いてテスト用基板におけるSiO2膜を本発明の研磨剤によって研磨する。ここで、研磨条件は、研磨荷重:350g/cm2、研磨時間:30秒、スラリー流量:70ml/minとし、研磨パッドとしては、圧縮率1%、アスカーC硬度95、ショアD硬度60のもの(例えばロデールニッタ社製、IC1000)を用い、研磨パッド回転速度:30rpmとする。
そして、研磨前後におけるテスト用基板の質量変化量から算出されるSiO2膜の厚さの変化量(nm)と、研磨時間(30秒)とから、研磨速度(nm/分)を求める。
【0025】
また、本発明において、スクラッチ数は、次に示す方法によって金属銅膜を研磨した場合のものを意味するものとする。
テスト用基板として、シリカ・アルミナ製の30mm角の基板を用意する。そして、上記の研磨速度の測定の場合と同じように、研磨機(例えばナノファクタ社製、NF300)を用いてテスト用基板を本発明の研磨剤によって研磨する。ここで、研磨条件および用いる研磨パッドも、上記の研磨速度の測定の場合と同じとする。
そして、研磨後のテスト基板の表面中心付近の10mm角を金属顕微鏡で30視野に分けて、倍率200倍で観察し、スクラッチ(線状痕)の個数を数えて合計した値をスクラッチ数とする。
【0026】
本発明の研磨剤の製造方法は特に限定されず、例えば次のような方法で製造することができる。
初めに、B、Ba、Mo、Ga、Be、Sr、Y、La、Fe、Ti、Al、Zr、Ce、SnおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む塩が溶解した水溶液と、Si、Mg、Ca、Al、Zr、SnおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む塩が溶解した水溶液とを用意し、これらを混合して、2種類の元素を含む複合塩を得る。または、Si、Al、B、Mg、Ca、Ba、Mo、Zr、Ga、Be、Sr、Y、La、Ce、Sn、Fe、ZnおよびTiからなる群から選ばれる、価数の異なる2つの元素の塩の各々が溶解した2種類の水溶液を用意し、これらを混合して、2種類の元素を含む複合塩を得る。ここで価数が高い元素の酸化物換算のモル濃度(mol/L)が、価数が低い元素の酸化物換算のモル濃度(mol/L)に対して、同じかまたは大きくなるように、2種類の水溶液の塩の濃度および量を調整することが好ましい。例えば4価のSiのSiO2換算のモル濃度(mol/L)が相対的に大きく、3価のAlのAl23換算のモル濃度(mol/L)が相対的に小さい、2種類の同量の水溶液を用意し、これらを混合してSiとAlとを含む酸化物を得ることが好ましい。この場合、得られる前記無機酸化物微粒子の固体酸量および/または固体塩基量が0.01mmol/g以上となりやすいことを本発明者は見出した。
また、ここで、上記の元素を含む水に可溶な塩としては、硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩、有機酸塩が挙げられる。また、混合する際は、必要に応じて他の酸性水溶液やアルカリ性水溶液も添加しながら、混合液のpHが6程度に保たれるようにすることが好ましい。また、混合は攪拌しながら行い、混合が完了した後は、室温程度(25℃程度)の温度に保持しつつ、1時間程度放置することが好ましい。
このようにして得られた複合塩を好ましくは水洗した後、120℃程度で10〜20時間程度保持して乾燥する。そして、必要に応じて粉砕した後、400℃程度で数時間保持することで焼成する。ここで焼成温度が高すぎると無機酸化物微粒子の固体酸量および/または固体塩基量が0.01mmol/g以上となり難い傾向がある。
そして、得られた無機酸化物微粒子を水等の分散媒に分散させることで本発明の研磨剤が得られる。ここでpHが所望の値となるようにNaOH等を添加してもよい。また、得られた無機酸化物微粒子を分散媒に添加した後、サンドミル等を用いて混合粉砕することが好ましい。
【実施例】
【0027】
<実施例1>
SiO2換算濃度が1.50モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液を1800g、Al23換算濃度が0.10モル濃度(mol/L)の硫酸アルミニウム水溶液を1800g用意した。また、5質量%NaOH水溶液および5質量%硫酸水溶液を用意した。
次に、容器を用意し、この容器内へ上記の珪酸ナトリウム水溶液と硫酸アルミニウム水溶液とを少しずつ注ぎながら容器内に得られる混合液を攪拌した。ここで、容器内に得られる混合液のpHをpH計を用いて常に計測し、pHが6に保たれるように、上記の2つの水溶液を注いだ。また、必要に応じて5質量%NaOH水溶液および5質量%硫酸水溶液を適量注いでpHを調整した。
【0028】
このようにして、容器内へ珪酸ナトリウム水溶液および硫酸アルミニウム水溶液の全量を注いだ後、攪拌を止め、25℃を保持したまま1時間放置した。その結果、シリカ・アルミナのゲルが得られた。
次に、得られたゲルを濾布を張ったヌッチェに移し、さらにここへゲルの約100倍の質量の純水を注いだ後、減圧吸引機を用いて濾過することでゲルを洗浄した。
【0029】
次に、洗浄後のゲルを120℃で17時間乾燥し、その後、得られた乾燥体をメノウ乳鉢を用いて粉砕し微粉化した。そして、得られた微粉を400℃で3時間焼成することで、無機酸化物微粒子を得た。
【0030】
次に、このようにして得られた無機酸化物微粒子の固体酸量および固体塩基量を測定した。測定は前述の昇温脱離法(NH3−TPD、CO2−TPD)による。なお、全自動昇温脱離スペクトル装置(TPD−1−ATw、日本ベル社製)を用いた。また、検出器として四重極型質量分析計(Q−MASS)(質量数1〜100)を用いた。
測定結果を第1表に示す。
【0031】
次に、得られた無機酸化物微粒子の20gを純水1000mlに添加し、さらに、pHが11.5となるように5質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加したものを、サンドミル(メディア種:ZrO2、メディア直径:50μm)を用いて6時間粉砕混合した。そして、無機酸化物微粒子が分散している研磨剤を得た。
得られた研磨剤のpHをpH計を用いて計測したところ、11.0であった。
【0032】
次に、得られた研磨剤に含まれる無機酸化物微粒子の平均粒子径(メジアン径)を測定した。具体的には、研磨剤0.1gに純水を混合して調製した固形分含有量が0.2質量%の試料を、長さ1cm、幅1cm、高さ5cmの石英セルに入れて、動的光散乱法による超微粒子粒度分析装置(大塚電子株式会社製、型式ELS−Z2)を用いて測定した粒子群の粒度分布を求め、これをキュムラント解析して算出した。
測定結果を第1表に示す。
【0033】
次に、得られた研磨剤の研磨特性を評価する試験を行った。
初めに、研磨速度を測定した。具体的には、ナノファクタ社製、NF300を用いて、29mm角のテスト用基板(SiO2膜を形成した基板)を研磨し、そのSiO2膜の研磨速度(nm/分)を測定した。ここで、研磨条件は、研磨荷重:350g/cm2、研磨時間:30秒、スラリー流量:70ml/min、研磨パッド:ロデールニッタ社製IC1000、研磨パッド回転速度:30rpmとした。なお、スラリーとして研磨剤における無機酸化物の濃度を20質量%に調整したものを用いた。
測定結果を第1表に示す。
【0034】
次に、スクラッチ数を測定した。ここでは、テスト基板として、シリカ・アルミナ製の30mm角基板を用いた。研磨条件は、上記の研磨速度の測定の際と同様とした。そして、研磨後のテスト基板の表面中心付近の10mm角を金属顕微鏡で30視野に分けて、倍率200倍で観察し、スクラッチ(線状痕)の個数を数えて合計した。
測定結果を第1表に示す。
なお、第1表では、スクラッチ数が8個/cm2以下のものを「○」、8個/cm2超20個/cm2以下のものを「△」、20個/cm2超のものを「×」と表した。
【0035】
<実施例2>
実施例1では、初めに、SiO2換算濃度が1.50モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、Al23換算濃度が0.10モル濃度(mol/L)の硫酸アルミニウム水溶液とを用意し、これらを混合することでシリカ・アルミナのゲルを得たが、実施例2では、SiO2換算濃度が1.33モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、Al23換算濃度が0.20モル濃度(mol/L)の硫酸アルミニウム水溶液とを用意し、これらを実施例1と同じ方法で混合することでシリカ・アルミナのゲルを得た。
そして、その他については実施例1と同様の方法で操作し、同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
【0036】
<実施例3>
実施例1では、初めに、SiO2換算濃度が1.50モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、Al23換算濃度が0.10モル濃度(mol/L)の硫酸アルミニウム水溶液とを用意し、これらを混合することでシリカ・アルミナのゲルを得たが、実施例3では、SiO2換算濃度が1.17モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、Al23換算濃度が0.30モル濃度(mol/L)の硫酸アルミニウム水溶液とを用意し、これらを実施例1と同じ方法で混合することでシリカ・アルミナのゲルを得た。
そして、その他については実施例1と同様の方法で操作し、同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
【0037】
<実施例4>
実施例1では、初めに、SiO2換算濃度が1.50モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、Al23換算濃度が0.10モル濃度(mol/L)の硫酸アルミニウム水溶液とを用意し、これらを混合することでシリカ・アルミナのゲルを得たが、実施例4では、SiO2換算濃度が1.17モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、La23換算濃度が1.00モル濃度(mol/L)の硝酸ランタニウム水溶液とを用意し、これらを実施例1と同じ方法で混合することでシリカ・ランタニウムのゲルを得た。
そして、その他については実施例1と同様の方法で操作し、同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
【0038】
<実施例5>
実施例1では、初めに、SiO2換算濃度が1.50モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、Al23換算濃度が0.10モル濃度(mol/L)の硫酸アルミニウム水溶液とを用意し、これらを混合した後、攪拌を止め、25℃を保持したまま1時間放置してシリカ・アルミナのゲルを得たが、実施例5では、SiO2換算濃度が1.17モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、ZrO2換算濃度が0.20モル濃度(mol/L)の硝酸ジルコニウム水溶液とを用意し、これらを混合した後、攪拌を止め、40℃を保持したまま1時間放置してシリカ・ジルコニアのゲルを得た。
そして、その他については実施例1と同様の方法で操作し、同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
【0039】
<実施例6>
実施例1では、初めに、SiO2換算濃度が1.50モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、Al23換算濃度が0.10モル濃度(mol/L)の硫酸アルミニウム水溶液とを用意し、これらを混合することでシリカ・アルミナのゲルを得たが、実施例6では、ZrO3換算濃度が1.00モル濃度(mol/L)の炭酸ジルコニルアンモニウム水溶液と、TiO2換算濃度が0.30モル濃度(mol/L)の四塩化チタン水溶液とを用意し、これらを実施例1と同じ方法で混合することでジルコニア・チタニアのゲルを得た。
そして、その他については実施例1と同様の方法で操作し、同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
【0040】
<実施例7>
実施例1では、初めに、SiO2換算濃度が1.50モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、Al23換算濃度が0.10モル濃度(mol/L)の硫酸アルミニウム水溶液とを用意し、これらを混合することでシリカ・アルミナのゲルを得たが、実施例7では、SiO2換算濃度が1.17モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、TiO2換算濃度が1.17モル濃度(mol/L)の四塩化チタン水溶液とを用意し、これらを実施例1と同じ方法で混合することでシリカ・チタニアのゲルを得た。
そして、その他については実施例1と同様の方法で操作し、同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
【0041】
<実施例8>
実施例1では、初めに、SiO2換算濃度が1.50モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、Al23換算濃度が0.10モル濃度(mol/L)の硫酸アルミニウム水溶液とを用意し、これらを混合することでシリカ・アルミナのゲルを得たが、実施例8では、SiO2換算濃度が1.17モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、MgO換算濃度が0.30モル濃度(mol/L)の硝酸マグネシウム水溶液とを用意し、これらを実施例1と同じ方法で混合することでシリカ・マグネシアのゲルを得た。
そして、その他については実施例1と同様の方法で操作し、同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
【0042】
<実施例9>
実施例1では、初めに、SiO2換算濃度が1.50モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、Al23換算濃度が0.10モル濃度(mol/L)の硫酸アルミニウム水溶液とを用意し、これらを混合することでシリカ・アルミナのゲルを得たが、実施例9では、SiO2換算濃度が1.17モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、CeO2換算濃度が1.17モル濃度(mol/L)の硝酸セリウム水溶液とを用意し、これらを実施例1と同じ方法で混合することでシリカ・セリアのゲルを得た。
そして、その他については実施例1と同様の方法で操作し、同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
【0043】
<比較例1>
実施例1では、初めに、SiO2換算濃度が1.50モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、Al23換算濃度が0.10モル濃度(mol/L)の硫酸アルミニウム水溶液とを用意し、これらを混合することでシリカ・アルミナのゲルを得たが、比較例1では、硫酸アルミニウム水溶液の代わりに0.01モル濃度(mol/L)の硫酸を1800g用意し、これらを混合して固形分を得た。
そして、ここで得られた固形分を実施例1でいう「ゲル」と同様に扱い、その他については実施例1と同様の方法で操作し、同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
【0044】
<比較例2>
実施例1では、初めに、SiO2換算濃度が1.50モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、Al23換算濃度が0.10モル濃度(mol/L)の硫酸アルミニウム水溶液とを用意し、これらを混合することでシリカ・アルミナのゲルを得たが、比較例2では、SiO2換算濃度が1.17モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液の代わりに、ZrO3換算濃度が1.00モル濃度(mol/L)の炭酸ジルコニウムアンモニウムを用意し、Al23換算濃度が0.10モル濃度(mol/L)の硫酸アルミニウム水溶液の代わりに1.17モル濃度(mol/L)の硝酸を1800g用意し、これらを混合して固形分を得た。
そして、ここで得られた固形分を実施例1でいう「ゲル」と同様に扱い、その他については実施例1と同様の方法で操作し、同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
【0045】
<比較例3>
実施例1では、初めに、SiO2換算濃度が1.50モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、Al23換算濃度が0.10モル濃度(mol/L)の硫酸アルミニウム水溶液とを用意し、これらを混合することでシリカ・アルミナのゲルを得たが、比較例3では、ZrO3換算濃度が1.00モル濃度(mol/L)の炭酸ジルコニルアンモニウム水溶液と、TiO2換算濃度が0.30モル濃度(mol/L)の四塩化チタン水溶液とを用意し、これらを実施例1と同じ方法で混合することでジルコニア・チタニアのゲルを得た。
また、実施例1では、洗浄後のゲルを乾燥した後、微粉化し、得られた微粉を400℃で3時間焼成したが、比較例3では、同様にして得た微粉を1000℃で3時間焼成して無機酸化物微粒子を得た。
そして、その他については実施例1と同様の方法で操作し、同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
【0046】
<比較例4>
実施例1では、初めに、SiO2換算濃度が1.50モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、Al23換算濃度が0.10モル濃度(mol/L)の硫酸アルミニウム水溶液とを用意し、これらを混合することでシリカ・アルミナのゲルを得たが、比較例4では、SiO2換算濃度が0.01モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、TiO2換算濃度が0.30モル濃度(mol/L)の四塩化チタン水溶液とを用意し、これらを実施例1と同じ方法で混合することでシリカ・チタニアのゲルを得た。
そして、その他については実施例1と同様の方法で操作し、同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
【0047】
<比較例5>
実施例1では、初めに、SiO2換算濃度が1.50モル濃度(mol/L)の珪酸ナトリウム水溶液と、Al23換算濃度が0.10モル濃度(mol/L)の硫酸アルミニウム水溶液とを用意し、これらを混合することでシリカ・アルミナのゲルを得たが、比較例5では、ZrO3換算濃度が1.00モル濃度(mol/L)の炭酸ジルコニルアンモニウム水溶液と、TiO2換算濃度が0.30モル濃度(mol/L)の四塩化チタン水溶液とを用意し、これらを実施例1と同じ方法で混合することでジルコニア・チタニアのゲルを得た。
また、実施例1では、無機酸化物微粒子に純水を添加し、さらに、pHが11.5となるように5質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加したものを、サンドミルを用いて粉砕混合したが、比較例5では、無機酸化物微粒子に純水を添加したものを、同じサンドミルを用いて粉砕混合して研磨剤を得た。つまり、水酸化ナトリウム水溶液は添加しなかった。このため、得られた研磨剤のpHは4.0であった。
そして、その他については実施例1と同様の方法で操作し、同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
実施例1〜9の研磨剤が含む無機酸化物微粒子は、いずれも固体酸量が0.02mmol/g以上であって平均粒子径が45nm以下であった。また、固体塩基量については、実施例7以外は検出されなかったが、実施例7は0.1mmol/gであった。また、いずれの研磨剤もpHは11.0であった。そして、このような実施例1〜9の研磨剤の研磨速度は180nm/分以上と高くなり、かつ、スクラッチ数は8個/cm2以下となった。
【0050】
なお、実施例1〜3は、価数が高い元素の塩を含む水溶液として珪酸ナトリウム水溶液を用い、これに対して相対的に価数が低い元素の塩を含む水溶液として硫酸アルミニウム水溶液を用いたものである。そして、4価であるSiのSiO2換算のモル濃度(mol/L):[A]と、3価であるAlのAl23換算のモル濃度(mol/L):[B]とのモル濃度比(第1表中の「モル濃度比[A/B]」)が1.0以上である。つまり、価数が高い元素の酸化物換算のモル濃度の方が高い。
また、実施例4は、価数が高い元素の塩を含む水溶液として珪酸ナトリウム水溶液を用い、これに対して相対的に価数が低い元素の塩を含む水溶液として硝酸ランタニウム水溶液を用いたものである。そして、4価であるSiのSiO2換算のモル濃度(mol/L)が1.17であり、3価であるLaのLa23換算のモル濃度(mol/L)が1.00であり、これらのモル濃度比(第1表中の「モル濃度比[A/B]」)は1.2である。
また、実施例5は、珪酸ナトリウム水溶液と硝酸ジルコニウム水溶液とを用いたものであるが、SiおよびZrの価数は共に4である。そして、SiO2換算のモル濃度(mol/L)が1.17であり、ZrO2換算のモル濃度(mol/L)が0.20であり、これらのモル濃度比(第1表中の「モル濃度比[A/B]」)は5.9である。
また、実施例6は、価数が高い元素の塩を含む水溶液として炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液を用い、これに対して相対的に価数が低い元素の塩を含む水溶液として四塩化チタン水溶液を用いたものである。そして、6価であるZrのZrO3換算のモル濃度(mol/L)が1.00であり、4価であるTiのTiO2換算のモル濃度(mol/L)が0.30であり、これらのモル濃度比(第1表中の「モル濃度比[A/B]」)は3.3である。
また、実施例7は、珪酸ナトリウム水溶液と四塩化チタン水溶液とを用いたものであるが、SiおよびTiの価数は共に4である。そして、SiO2換算のモル濃度(mol/L)が1.17であり、TiO2換算のモル濃度(mol/L)が1.17であり、これらのモル濃度比(第1表中の「モル濃度比[A/B]」)は1.0である。
また、実施例8は、価数が高い元素の塩を含む水溶液として珪酸ナトリウム水溶液を用い、これに対して相対的に価数が低い元素の塩を含む水溶液として硝酸マグネシウム水溶液を用いたものである。そして、4価であるSiのSiO2換算のモル濃度(mol/L)が1.17であり、2価であるMgのMgO換算のモル濃度(mol/L)が0.30であり、これらのモル濃度比(第1表中の「モル濃度比[A/B]」)は3.9である。
また、実施例9は、価数が高い元素の塩を含む水溶液として珪酸ナトリウム水溶液を用い、これに対して相対的に価数が低い元素の塩を含む水溶液として硝酸セリウム水溶液を用いたものである。そして、4価であるSiのSiO2換算のモル濃度(mol/L)が1.17であり、3価であるCeのCe23換算のモル濃度(mol/L)が1.17であり、これらのモル濃度比(第1表中の「モル濃度比[A/B]」)は1.0である。
このように実施例1〜9においてモル濃度比[A/B]は、すべて1.0以上となっている。
【0051】
これに対して比較例1における無機酸化物微粒子はシリカのみからなるものであり、固体酸量および固体塩基量はいずれもが検出できなかった。つまり、固体酸量および固体塩基量はほぼゼロであった。この場合、研磨速度は100nm/分と低くなった。また、スクラッチ数も8個/cm2超20個/cm2以下となった。
【0052】
また、比較例2も比較例1とほぼ同様の結果であった。具体的には、比較例2における無機酸化物微粒子はシリカのみからなるものであり、固体酸量および固体塩基量はいずれも検出できなかった。そして、研磨速度は120nm/分と低くなった。また、スクラッチ数は20個/cm2超と非常に悪くなった。
【0053】
比較例3における無機酸化物微粒子の固体酸量は0.01mmol/g未満となり、固体塩基量は検出されなかった。これは焼成温度が1000℃と高すぎたことが影響しているものと考えられる。また、この場合、研磨速度は170nm/分と低くなった。また、スクラッチ数は20個/cm2超と非常に悪くなった。
【0054】
比較例4における無機酸化物微粒子の固体酸量は0.01mmol/g未満となり、固体塩基量は検出されなかった。これは2種類の原料の混合比が妥当でなかったためと考えられる。すなわち、比較例4では、価数が低い元素の塩を含む水溶液の酸化物換算のモル濃度(mol/L):[B]に対する、価数が高い元素の塩を含む水溶液の酸化物換算のモル濃度(mol/L):[A]の比(第1表中、「モル濃度比[A/B]」で表している欄の数値)が0.03と低すぎると考えられる。これに対して、実施例1〜9の場合は、いずれもこの比(モル濃度比[A/B])が1.0よりも大きい値となっている。すなわち、価数が低い元素の塩を含む水溶液の酸化物換算のモル濃度(mol/L)[B]よりも、価数が高い元素の塩を含む水溶液の酸化物換算のモル濃度(mol/L)[A]の方が大きいか、または同じである。
比較例4の場合、スクラッチ数が20個/cm2超と非常に悪くなった。
【0055】
比較例5の研磨剤は、pHが8.0〜11.5ではない。この場合、研磨速度は150nm/分と低くなった。また、スクラッチ数は20個/cm2超と非常に悪くなった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体酸量または固体塩基量が0.01mmol/g以上であり平均粒子径が2μm以下である無機酸化物微粒子が分散媒に分散している、pHが8.0〜11.5である研磨剤。
【請求項2】
相対的に価数が高い元素の酸化物換算の質量モル濃度(mol/kg)が、相対的に価数が低い元素の酸化物換算の質量モル濃度(mol/kg)に対して、同じかまたは大きい割合で2つの元素を含む酸化物を主成分とする前記無機酸化物微粒子である、請求項1に記載の研磨剤。
【請求項3】
前記無機酸化物微粒子が、Si、Al、B、Mg、Ca、Ba、Mo、Zr、Ga、Be、Sr、Y、La、Ce、Sn、Fe、ZnおよびTiからなる群から選ばれる少なくとも2つの元素を含む酸化物を主成分とする、請求項1または2に記載の研磨剤。
【請求項4】
前記無機酸化物微粒子が、B、Ba、Mo、Ga、Be、Sr、Y、La、Fe、Ti、Al、Zr、Ce、SnおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素と、Si、Mg、Ca、Al、Zr、SnおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素とを含む酸化物を主成分とする、請求項1〜3のいずれかに記載の研磨剤。
【請求項5】
研磨速度が160nm/分以上となり、スクラッチ数が8個/cm2以下となる、請求項1〜4のいずれかに記載の研磨剤。

【公開番号】特開2012−200832(P2012−200832A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69118(P2011−69118)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】