説明

砥粒及び砥石

【課題】 高硬度の物性を有する砥粒に自生発刃作用を付与し、ツルーイングの回数を削減することが可能な砥石を提供することを課題とする。
【解決手段】 砥石2は、レーザの照射を受けた砥粒1と、ビトリファイドボンドからなる結合剤4とを混合し、金属製の台金5の砥石形成面5aに高温の焼結炉内で焼結し、強固に接着して形成される。ここで、砥石2に使用される砥粒1は、レーザの照射を受けることによって、内部の結晶構造が変位し、結晶欠陥CDが生成される。そして、工作物と接触することによって負荷を受けると、結晶欠陥CDの生成された結晶面から劈開し、微小破砕片9が脱落する。これにより、砥粒1の表面に新しい切れ刃10が創生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砥粒及び砥石に関するものであり、特に工作物を研削加工する際に優れた自生発刃作用を奏することが可能な砥粒及び砥粒を利用して製作される砥石に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄系材料やセラミックス材料等の工作物を研削加工する場合、高硬度の物性を有するダイヤモンド、CBN(Cubic Boron Nitride:立方晶窒化硼素)等の微細粒を砥粒101として用い、ビトリファイボンド等の結合剤102によって焼結し、台金103に接着させた砥石100が製作され、研削工具として利用されている。ここで、製作された砥石100は、砥石表面に一部が露出した砥粒101に対し、表面に硬質のダイヤモンド粒が保持された円盤体を有するロータリダイヤモンドツルア(以下、「ツルア」と称す:図示しない)と呼ばれる装置等を利用して砥粒表面に微細な凹凸を形成し、切れ刃104を創生するツルーイング処理が予め行われている(図5(a)参照)。
【0003】
このとき、比較的大きな砥粒径(例えば、#80〜#120程度)を有するCBN砥粒等を砥粒101として利用する場合、連続加工による工作物との接触によって砥粒先端に創生された切れ刃104が摩滅及び摩耗し、平坦化した砥粒表面101aが形成される現象が生じる(図5(b)参照)。かかる状態で研削加工を継続すると、工作物と砥粒表面101aとの間の研削抵抗が上昇し、いわゆる”研削焼け”などの不具合が発生し、工作物の加工品質に大きな影響を及ぼすことが知られている。
【0004】
そこで、再びツルアを利用し、摩滅等によって平坦化した砥粒101に再び微細な凹凸からなる切れ刃104を創生するツルーイングが実施される(図5(c)参照)。これにより、再生された切れ刃104によって工作物の研削加工を再開することができる。
【0005】
上記の技術は、当業者において当然実施されているものであり、出願人は本願出願時において、上記技術が記載されている文献を特に知見していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、焼入れ鋼等の硬い素材からなる工作物を砥石によって研削加工する場合、前述した砥石表面の砥粒の摩滅及び摩耗が著しく生じることがあった。また、CBN砥粒等を使用する場合、高硬度性に優れるため、「研削加工時にかかる負荷によって砥粒の一部が破砕され、砥粒表面に凹凸の切れ刃が創生される自生発刃作用」を期待することがほとんどできなかった。そのため、砥石を製作し、工作物を研削加工する前、及び砥粒表面が平坦化する前に、ツルアによるツルーイングを行う必要があり、それに伴うコストが増大することがあった。
【0007】
加えて、ツルーイングを実施する場合、ツルア側のダイヤモンド粒及び砥石側のCBN砥粒等は、互いに硬質の物性を有するために、高強度な砥粒や結合剤を使用した砥石をツルーイングする条件によってはツルア側のダイヤモンド粒が著しく損傷する可能性もあった。そのため、ツルーイングには処理条件等を精細に設定する必要があった。
【0008】
そこで、上記実情に鑑み、特に、CBN等の高硬度の物性を有する砥粒に対し、自生発刃作用を付与し、切れ刃を創生するツルーイングの頻度を減少させることが可能な砥粒及び砥石の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明にかかる砥粒は、「レーザ照射によって内部に結晶欠陥又は微小空隙が形成された結晶構造を有する」ものから主に構成されている。
【0010】
ここで、レーザ照射の照射対象となる砥粒は、従来から用いられているダイヤモンド砥粒やCBN砥粒等の無機化合物やセラミックス化合物等を利用することが可能である。そして、これらの物質は、強固で安定した結晶構造を有し、非常に硬い物性を有している。例えば、ダイヤモンドは、最外殻電子がsp混成軌道を呈し、三次元的に安定した共有結合を有するアダマンタン骨格を基本構造とすることにより結晶構造が安定し、地球上で最も硬い物質として知られている。
【0011】
一方、CBNも前述のダイヤモンドに匹敵する硬度を有する物質であることが知られ、研削加工や切削加工の工具の先端部分に利用されることが多いものである。ここで、CBNは、硼素原子と窒素原子とが規則的正しく、かつ緻密に結合した立方晶系の結晶構造を呈して構成されている。ここで、レーザ照射によって内部に結晶欠陥又は微小空隙が生成される砥粒は、照射されたレーザが砥粒表面で反射や散乱をすることがないように、透明性または半透明性状を呈する必要がある。これにより、照射されたレーザが砥粒の内部に到達し、当該部位でレーザの焦点を結ぶことができ、強力なエネルギーを結晶構造内の特定の微小領域に限定して与えることが可能となる。
【0012】
さらに、該砥粒に対して照射されるレーザは、フェムト秒ファイバーレーザーを用いた場合、砥粒への熱影響が少なく、砥粒内部への焦点加工が可能となる。なお、照射されるレーザの波長、平均出力、及び照射条件等は、特に限定されるものではないが、照射対象となる砥粒の種類や性質に応じ、適宜選択することが可能である。
【0013】
また、結晶構造内に形成される結晶欠陥又は微小空隙とは、結晶構造を有する素材を微視的に観察した際の結晶格子の幾何学的または三次元的な周期の乱れを示すものであり、本発明においては特に広義の意味に解するものとする。ここで、結晶欠陥又は微小空隙は、物質の力学的特性などの物性に特に大きな影響を及ぼし、結晶格子内の原子空孔や結晶格子間に侵入した不純物原子等の点状(スポット状)に発生する点欠陥、結晶格子内の原子配列の乱れが微小領域で線状に連続して発生した転移、或いは積層した結晶格子または結晶面の間で生じる面欠陥(積層欠陥)などを例示することができる。これらの結晶欠陥又は微小空隙は、種々の要因によって形成されることが知られている。特に、上述したレーザやイオンビームなどの高エネルギーが照射されることによって、その表面または内部の結晶構造の一部を変化させることができる。そして、物質に対してレーザが照射され、内部に結晶欠陥又は微小空隙が形成されると、微小な特定領域内で安定して形成されていた結晶構造が崩壊し、一部が無秩序化した部位が生成される。これにより、結晶構造における結晶欠陥又は微小空隙は、物質の物性が不安定化し、例えば、強度や硬度などの力学的特性に大きな影響を及ぼす。
【0014】
したがって、本発明の砥粒によれば、レーザ照射を受けたCBN等の砥粒は、内部の結晶構造の一部に原子空孔などの微小な空隙や、線状に原子配列が不規則に乱れた転移等の結晶欠陥又は微小空隙が意図的(人為的)に生成される。このとき、生成される結晶欠陥又は微小空隙は、点状欠陥、線状欠陥、及び面欠陥のいずれか一種類、或いはこれらの欠陥を複合して備えたものであってもよい。
【0015】
これにより、内部に結晶欠陥又は微小空隙が生成された砥粒は、強固に安定した結晶構造の一部が乱れたものとなる。その結果、照射前と比して砥粒の力学的物性が僅かに低下する。これにより、該砥粒を利用して製作された砥石によって工作物の研削加工を行った場合、工作物との接触による負荷によって砥粒は結晶欠陥又は微小空隙が生成された箇所から劈開が発生し、一部が微小破砕して砥粒から脱落する現象が生じる。これにより、摩滅によって砥粒表面が平坦化する前段階で、砥粒(砥石)の表面に新たな凹凸が形成され、切れ刃が創生されることとなる。その結果、砥粒に自生発刃作用が働き、切れ味を復活させるツルーイングを行うことなく研削焼けの発生等を抑えることができ、ツルアによるツルーイングの頻度を減少させることができる。さらに、砥粒の一部が容易に脱落することにより、ツルアを利用したツルーイングが容易となる。また、本砥粒では、安定した微小破砕が行えるため、ツルーイングでの砥石摩耗量を減らすことができる。その結果、砥石の寿命を伸ばすことが可能となる。従来はダイヤモンド粒が損傷することがあったツルアに対する負担も小さくなる。その結果、ツルア自体の寿命も伸ばすことが可能となる。
【0016】
一方、本発明にかかる砥石は、「レーザ照射によって内部に結晶欠陥又は微小空隙が形成された結晶構造を有する砥粒を」主に具備するものから構成されている。
【0017】
ここで、砥石は、一般に高硬度の砥粒とビトリファイドボンドなどの結合剤とを混合焼結し、砥石を形成する台金の表面に均一接着することによって形成されている。なお、台金は一般に研削加工装置に装着して使用することを考慮し、円盤形状に形成された金属製の部材であり、砥粒、結合剤、及び円盤状の台金によって砥石車が形成されている。ここで、台金の表面に形成された砥石は、砥粒及び結合剤とともに、結合剤の間に無数の気孔が形成されている。
【0018】
したがって、本発明の砥石によれば、レーザ照射によって前述した結晶欠陥又は微小空隙を内部に有し、自生発刃作用を備える砥粒を利用して形成されている。これにより、砥粒の自生発刃作用の働きにより、長時間にわたる研削加工時においても切れ味が低下することなく、または研削抵抗の上昇による研削焼けなどの不具合の発生が少なくなる。
【0019】
ここで、本発明の砥石に使用される砥粒は、結合剤に混合する前にレーザ照射によって内部に結晶欠陥又は微小空隙を形成されたものであっても、或いは通常の砥石のように台金等に接着して製作し、その後に砥石表面に露出した砥粒に対してレーザ照射を行うものであってもよい。ここで、後者は、結晶欠陥を付与する結晶構造の結晶面や焦点深度等を一定に揃えることを可能とし、砥石による自生発刃作用の程度をある程度予測することができるため特に好適である。
【0020】
さらに、結合剤に混合する前にレーザ照射を行うものは、混合される全ての砥粒に対してレーザ照射を行う必要はなく、例えば、通常の砥粒(レーザ照射無し)と本発明の砥粒(レーザ照射有り)とを所定比率で混合したものであってもよい。これにより、従来の高硬度性と、本発明の自生発刃作用とを双方備えた砥石を製作することが可能となり、研削性能の微調整を行うことができる。
【0021】
加えて、本発明にかかる砥石は、上記構成に加え、「前記砥粒及びレーザ未照射の未照射砥粒を混在、または前記砥粒からなるレーザ砥粒層または前記未照射砥粒からなる未照射砥粒層を混在して形成した」ものであっても構わない。
【0022】
したがって、本発明の砥石によれば、レーザ照射された砥粒及びレーザ未照射の未照射砥粒が混在し、分散した状態で形成されている。なお、ここで言う混在とは、砥粒及び未照射砥物が粒単位で混在したもの、或いはレーザ砥粒層及び未照射砥粒層のように砥石のセグメント単位で混在したもののいずれであってもよい。これにより、レーザ未照射の未照射砥粒の高硬度性による優れた研削作用とともに、レーザ照射によって内部に結晶欠陥又は微小空隙が形成された結晶構造を有する砥粒による優れた自生発刃作用を備えることとなる。そのため、工作物に対する十分な研削性を損なうことなく、研削加工中に砥石が摩滅し、平坦化した場合であっても、自生発刃作用によって新たな切れ刃が創生され、研削性能の微調整が可能となる。特に、レーザ照射された砥粒と、未照射砥粒とを同一組成のものを利用することにより、異なる組成の砥粒を組合わせて形成した従来の砥粒に比べ、研削性能が著しく変化することがない。さらに、ツルアを利用したツルーイング処理を容易、かつ簡易に行える。
【0023】
さらに、本発明にかかる砥石は、上記構成に加え、「前記砥粒からなるレーザ砥粒層を砥石端面部に設けた」ものであっても構わない。
【0024】
したがって、本発明の砥石によれば、砥石端面部に、レーザ照射された砥粒からなるレーザ砥粒層が設けられている。ここで、工作物に対して端面研削を行う場合、工作物と砥石の砥石端面部とが面接触し、摩滅によって砥石端面部が平坦化する傾向がある。その結果、供給されるクーラントの浸入が十分になされず、研削抵抗が増大し、研削焼け等の不具合を生じることがある。そこで、上述した、優れた自生発刃作用を奏することが可能な砥粒からなるレーザ砥粒層を、砥石端面部に設けることによって、研削時の工作物との接触による負荷のため、結晶欠陥等が内部に生成された砥粒の一部が劈開によって脱落し、砥石端面部に新たな凹凸の切れ刃が創生されることとなる。これにより、砥石端面部の平坦化を解消し、研削焼けを防ぐことが可能となる。さらに、ツルアを利用して、砥石端面部をツルーイング処理する場合であっても、上述した自生発刃作用によってツルーイングの頻度の減少させ、或いはツルーイング処理の作業自体を省略することが可能となる。さらに、砥石端面部には、レーザ砥粒層以外の未照射砥粒または未照射砥粒層が混在しているものであっても構わない。
【0025】
さらに、本発明にかかる砥石は、上記構成に加え、「前記砥石端面部をバックテーパ形状に形成した」ものであっても構わない。
【0026】
ここで、工作物の研削焼け等の不良を防止するため、端面研削加工を行う場合の砥石は、砥石の外周縁から砥石中心に向かって砥石端面部が傾斜した「バックテーパ形状」に形成されていることがある。すなわち、台金に接着された砥石の断面形状は、略台形状に形成されている。これにより、工作物との接触が、研削焼けや平坦化の生じやすい「面接触」から「線接触」に変化する。そのため、クーラント等の浸入が十分となり、上述した研削焼けを生じさせないようにすることができる。ここで、砥石の砥石端面部を上述したバックテーパ形状に形成する場合、カップ型のロータリダイヤモンドツルア等のツルアが一般に用いられている。このとき、砥石端面部に対し、ツルアを2°から8°程度傾けた状態で当接し、バックテーパ形状を形成している。しかしながら、係る状況においては、ツルアと砥石端面部との接触が微小な幅を持って面接触するため、ツルーイングの際に砥石端面部が平坦化する傾向が強かった。そのため、平坦化された砥石端面部によって工作物を研削加工すると、研削抵抗が増大し、研削焼け等の不具合を生じることがあった。
【0027】
したがって、本発明の砥石によれば、砥石の砥石端面部がバックテーパ形状に形成されている。これにより、砥石端面部にレーザ照射された砥粒からなるレーザ砥粒層を設け、破砕性を向上させることにより、ツルアを利用したツルーイングの処理の際の砥石端面部の平坦化を防ぐことが可能となる。特に、優れた自生発刃作用による研削時に生じる砥粒の微小破砕によって、切れ刃が常に創生されるため、ツルアを利用したツルーイングの頻度を減少させ、またはその処理自体を不要とすることが可能となる。
【0028】
さらに、本発明にかかる砥石は、上記構成に加え、「前記レーザ砥粒層、及び前記未照射砥粒層を砥石周方向に混在して形成した」ものであっても構わない。
【0029】
例えば、ポンプロータスリットの溝加工用を行う場合、通常のプレーン形状の砥石ではクーラントの供給が十分に行われず、研削焼け等の不具合が生じやすい。そこで、セグメント毎に砥石の組成を変化させた所謂「千鳥組成砥石」が用いられることがある。これによると、組成の異なる二種類以上の砥石によって、粒度及び集中度等の砥石性能が異なり、研削の際に砥石表面に微小な段差が形成される。その結果、工作物と砥石との接触が面接触になることを防ぎ、係る段差の部分にクーラントの供給が良好となり、砥石端面部では研削焼け等の不具合を解消することができる。しかしながら、このような千鳥組成砥石の砥石周面部を利用して、クランクシャフトやカムシャフト等の工作物を加工する際には、砥石の回転に伴って、微小段差による「ビビリ」等の振動が発生することがある。
【0030】
したがって、本発明の砥石によれば、レーザ砥粒層及び未照射砥粒層が砥石周方向に混在するようにして形成されている。これにより、砥石の回転に伴って工作物と接する研削面には、レーザ砥粒層及び未照射砥粒層がそれぞれ接することとなる。この場合、十分な研削性を有するとともに、自生発刃作用によって新しい切れ刃が研削中に創生されるため、研削焼け等を起こすことなく安定した研削加工が可能となる。このとき、レーザ砥粒層及び未照射砥粒層は、同一組成の砥粒を利用し、粒度や集中度等を同じにしたものであり、レーザ照射によって破砕性が僅かに異なるものである。そのため、セグメント毎に砥石の性質が大きく異なる従来の千鳥組成砥石に比べ、セグメント毎の性能が本発明の砥石は変化していない。そのため、上述した千鳥組成砥石に比べ、段差による影響が小さくなり、砥石の回転に伴うビビリ等の振動が生じることがない。その結果、研削加工を安定して行うことが可能となる。
【0031】
さらに、本発明にかかる砥石は、上記構成に加え、「前記レーザ砥粒層、及び前記未照射砥粒層を前記砥石端面部及び砥石周面部に混在して設けた」ものであっても構わない。
【0032】
したがって、本発明の砥石によれば、砥石端面部及び砥石周面部の双方に、砥石周方向に沿ってレーザ砥粒層、及び未照射砥粒層が設けられている。砥石端面部を用いた端面研削または砥石周面部を用いた周面研削のいずれの場合においても、レーザ砥粒層及び未照射砥粒層が工作物とそれぞれ接するため、安定した研削加工が可能となる。
【0033】
さらに、本発明にかかる砥石は、上記構成に加え、「前記レーザ砥粒層、及び前記未照射砥粒層を前記砥石端面部に混在して設けた」ものであっても構わない。
【0034】
したがって、本発明の砥石によれば、砥石端面部にレーザ砥粒層及び未照射砥粒層を設けることにより、特に、端面研削を安定して行うことが可能となる。特に、砥石周面部は、レーザ未照射の未照射砥粒からなる未照射砥粒層によって形成されるため、微小な段差が形成されることがない。そのため、工作物を砥石周面部で加工する際のビビリ等の振動の発生を抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の効果として、砥粒に対してレーザ照射を行い、結晶構造の内部に結晶欠陥又は微小空隙を生成することにより、研削加工時に加えられる負荷によって砥粒の一部が微小破砕として脱落し、砥粒の表面に新たな切れ刃を創生する自生発刃作用を付与することができる。これにより、研削加工時の研削焼けを防止し、砥石のツルーイングの頻度を抑えることができる。また、レーザ照射された砥粒及びレーザ未照射の未照射砥粒を、砥石中に混在させることにより、従来の研削性能を損なうことなく、上述した優れた自生発刃作用を奏する砥石を形成することができる。特に、砥石端面部にレーザ照射された砥粒からなるレーザ砥粒層を設けることにより、端面研削における研削焼け等の不具合の発生を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の第一実施形態である砥粒1及び該砥粒1を利用して製作された砥石2について、図1乃至図3に基づいて説明する。ここで、図1は第一実施形態の砥粒1を利用して形成された砥石2の概略構成を示す説明図であり、図2は砥石2の結晶構造CSに対するレーザ3の照射パターン例を模式的に示す説明図であり、図3は砥石2の砥粒1の自生発刃作用を模式的に示す説明図である。
【0037】
第一実施形態の砥石2は、CBNの微細粒(#100)からなる砥粒1と、ビトリファイドボンドからなる結合剤4とを混合し、得られた砥石原料物(図示しない)を高温の焼結炉内で焼結し、金属製の台金5の砥石形成面5aに強固に接着して形成されている。ここで、第一実施形態の砥石2は、円盤状の台金5を利用し、既存の研削加工装置(図示しない)に装着可能な砥石車6の態様に形成されている。ここで、台金5の砥石形成面5aに砥石2を接着させる手法等については、既に周知の技術を用いることが可能であり、ここでは詳細な説明は省略するものとする。
【0038】
ここで、砥石2に使用される砥粒1は、レーザ3が照射され、結晶構造CSの内部に所定の結晶欠陥CD(微小空隙を含む)が生成されている。なお、第一実施形態の砥石2の砥粒1に照射されるレーザ3は、下記の照射条件によって行われている。
<照射条件>
レーザ種類 : Yb系フェムト秒ファイバーレーザ
中心波長 : 1040 nm
パルス幅 : 500 fs(500×10−15s)
パルスエネルギー : 1.5 μJ(マイクロジュール)
【0039】
このとき、レーザ3は、図2(a)に模式的に示されるように、立方晶系の結晶構造CSの内部にレーザ焦点Pが到達するように、レーザ照射装置7からレーザ3が照射されている。そして、このレーザ照射装置7は、レーザ3の照射を継続しながら、結晶構造CSの微小領域内で縦横自在にレーザ焦点Pの位置を変更可能にすることができる。そのため、レーザ3の照射を継続しながらレーザ焦点Pの位置を所定方向に移動させることにより、結晶構造CS内に線状の結晶欠陥CDからなる溝8を生成することができる。ここで、レーザ3の照射によって生成された結晶欠陥CDの溝8の溝幅は、第一実施形態では約1μmから数10μmの範囲に設定したものが形成されている。
【0040】
さらに、この溝8を複数生成し、かつ一部を互いに直交するように形成することで、結晶構造CS内に複数の溝8からなる格子状の結晶欠陥CDを生成することができる。ここで、結晶欠陥CDからなる溝8は、高エネルギーのレーザ3が照射されたことにより、結晶構造CS内の原子の一部が消失し、当該部位が空隙となった原子空孔が連続的に形成されたものである。そして、第一実施形態では、図2(a)に示すように、レーザ3の焦点深度を変更することにより、レーザ焦点Pの位置を結晶構造CS内の高さ方向で変化させることにより、格子状の溝8からなる結晶欠陥CDが積層した状態で生成されている。なお、砥粒1に使用されるCBNは、透明性状を呈する物質であるため、照射されたレーザ3は砥粒表面で反射又は散乱されることなく、透過して内部に到達することができる。
【0041】
なお、第一実施形態の砥粒1に対するレーザ3の照射パターンの別例として、図2(b)に模式的に示されるように、レーザ焦点Pの結晶構造CS内での連続的な移動を行わず、原子空孔による結晶欠陥CDをスポット状に形成したものであってもよい。
【0042】
これにより、結晶構造CS内に形成された結晶欠陥CDは、砥粒1の物性に大きな影響を及ぼすこととなる。さらに、具体的に説明すると、照射前のCBNからなる砥粒と比較し、第一実施形態の砥粒1は結晶欠陥CDが形成された結晶面での力学的特性が低下している。その結果、砥粒1に所定強度以上の負荷が加えられた場合、この結晶欠陥CDの部位で劈開が生じ、砥粒1の一部が微小破砕片9として脱落しやすくなっている。
【0043】
次に、第一実施形態の砥石2を使用して、工作物を研削加工する一例について説明する。まず始めに、砥石2が形成された砥石車6を研削加工装置(図示しない)に装着し、高速で回転させる。なお、砥石2の砥粒1は、図3(a)に示されるように、内部に結晶欠陥CDを含んだ状態で一部を砥石表面2aに一部を露出させている。そして、砥石2が工作物に接することにより、高硬度の砥粒1によって工作物の一部が削り取られ、予め定めた形状及び精度に研削加工することができる。
【0044】
このとき、研削加工の際に、砥石2の砥粒1には工作物と当接することによって、大きな負荷が加えられる。そして、この負荷が過大になると、内部に生成された結晶欠陥CDを有する結晶面から砥粒1の一部が微小破砕片9として脱落する(図3(b))。その結果、微小破砕片9が脱落した後に残る砥粒1には、工作物に対して鋭く凹凸が形成された切れ刃10が創生される。
【0045】
すなわち、研削加工によって加えられる負荷によって、砥粒1に切れ刃10を発生させることが可能となる。そして、創生された切れ刃10によって工作物の研削が行われる。すなわち、高硬度のCBNからなる砥粒1に対し、結晶欠陥CDによる僅かな力学的特性の低下を付与することにより、研削加工の際の自生発刃作用を与えることができる。これにより、砥粒1の平坦化を解消し、工作物との間の研削抵抗が増大することによる研削焼け等の発生を抑えることができる。
【0046】
さらに、第一実施形態の砥石2に使用される砥粒1は、レーザ焦点Pの焦点深度を三段階に可変し、格子状の溝8が結晶構造CS内で階層的に構築されている(図2(a)参照)。そのため、研削加工を継続することで砥粒1が再び摩滅し、平坦化しようとする場合でも、焦点深度を変更し、その下層に設けられた結晶欠陥CDの部位で再び微小破砕片9の脱落が生じ、新たな切れ刃10が創生される(図3(c)参照)。
【0047】
これにより、従来から行っていた砥石2のツルーイングの回数を大幅に減少させることができ、これらの処理に要するコストを抑えることができる。さらに、研削加工時に研削抵抗の上昇を抑制し、研削焼けなどの工作物の加工品質に影響を及ぼす不具合を解消し、かつ生産及び作業効率を良好なものとすることができる。また、ツルーイングを行う場合であっても、砥粒1に結晶欠陥CDが施されているため、ツルアのダイヤモンド粒等が著しく損傷することがなく、ツルーイングの条件を緩和することができる。
【0048】
次に、本発明の第二実施形態の砥石20について、主に図6に基づいて説明する。ここで、図6は第二実施形態の砥石20及びその使用の一例を模式的に示す説明図である。なお、レーザ照射によって内部に結晶欠陥等を形成するための条件等は、第一実施形態の砥石2に使用される砥粒1の形成条件と同一であるため、ここでは説明を省略する。また、第一実施形態の砥石2と略同一の構成については、同一番号を付し、説明を省略する。
【0049】
第二実施形態の砥石20は、図6に示すように、砥石周面部21から砥石車の中心に向かって縮幅するように、互いに対向する砥石端面部22が傾斜して形成されたバックテーパー形状を呈して構成されている。さらに詳細に説明すると、この砥石端面部22は、レーザ照射され、内部に微小な結晶欠陥または微小空隙が形成された結晶構造を有する砥粒23からなるレーザ砥粒層24が設けられている。なお、砥石端面部22に挟まれた部位及び砥石周面部21は、レーザ未照射の未照射砥粒25からなる未照射砥粒層26によって形成されている。ここで、第二実施形態の砥石20は、第一実施形態の砥石2と同様に、レーザ照射された砥粒23(または未照射砥粒25)とビトリファイドボンドからなる結合剤とを混合し、得られた砥石原料物を高温の焼結路内で焼結し、金属製の台金5の砥石形成面5aに強固に接着することによって形成されている。
【0050】
ここで、砥石20をバックテーパ形状に形成する場合、カップ型のツルア(図示しない)を利用してツルーイング処理が行われる。このとき、砥石端面部22がレーザ砥粒層24によって形成されているため、従来の砥石に比べ、砥石端面部22における砥粒23の破砕性が向上している。そのため、所定の角度にツルアを傾斜して砥石端面部22に当接させた場合、ツルアと当接した負荷によって砥石端面部22のレーザ砥粒層24の砥粒23の一部が破砕し、砥石端面部22に新たな切れ刃が創生しやすい。その結果、従来のようにツルアと面接触した砥石端面部が平坦化することがない。
【0051】
そして、第二実施形態の砥石20を用いて端面研削の加工を行うと、レーザ砥粒層24と接した工作物Wが研削される。このとき、工作物Wとの接触によって負荷が生じ、レーザ砥粒層24の砥粒23の一部が微小に破砕する。なお、砥粒23の微小破砕のメカニズムについては、第一実施形態の砥石2において既に詳細に説明したため、ここでは説明を省略する。その結果、レーザ砥粒層24の設けられた砥石端面部22は、研削による摩滅によって平坦化することがなく、砥粒23の自生発刃作用によって、新しい切れ刃が研削中であったも創生される。これにより、クーラントの供給が十分に行われ、研削焼け等の不具合を生じることがない。特に、第二実施形態の砥石20は、全体形状がバックテーパ状に形成されているため、工作物Wと砥石端面部22とが面接触することを回避できる。そのため、特に研削抵抗の増大を防ぐことができる。
【0052】
上記に示したように、第二実施形態の砥石20によれば、砥石端面部22に対するツルーイング処理を容易にし、かつ従来のような砥石端面部22の平坦化を防ぐことができる。また、端面研削加工の加工安定性を保持することができる。加えて、砥石周面部21に対して通常のツルーイング処理をすることにより、砥石端面部22と砥石周面部21とが交錯する砥石縁部27(図6参照)では、新たな次々と切れ刃が創生されることになる。すなわち、端面研削の場合、砥石20と工作物Wとが接する箇所は、砥石縁部27であり、係る箇所に切れ刃が砥石周面部21のツルーイング処理によって創生されることによって、砥石端面部22に対するツルーイング処理自体を省略することも可能となる。
【0053】
次に、本発明の第三実施形態の砥石30について、図7に基づいて説明する。ここで、図7は第三実施形態の砥石30の構成を示す説明図である。
【0054】
第三実施形態の砥石30は、図7に示すように、レーザ照射された砥粒31からなるレーザ砥粒層32を有するセグメントが砥石端面部33及び砥石周面部34に至るようにして形成され、砥石周方向(図7における矢印C)に沿って、レーザ未照射の未照射砥粒35からなる未照射砥粒層36を有するセグメントが砥石端面部33及び砥石周面部34に至るようにして形成されている。ここで、レーザ砥粒層32に使用される砥粒31は、第一実施形態または第二実施形態の砥石2,20に使用される砥粒1,23と同一であり、そのレーザ照射条件等も同じであるため、ここでは詳細な説明は省略する。また、また第一実施形態及び第二実施形態で示した砥石2,20と略同一の構成については、同一番号を付し、説明を省略する。なお、砥粒31の微小破砕のメカニズムについては、第一実施形態の砥石2等において既に詳細に説明したため、ここでは説明を省略する。
【0055】
そして、第三実施形態の砥石30を用いて研削加工を行うと、レーザ砥粒層32及び未照射砥粒層36によって工作物が研削される。このとき、工作物には、レーザ砥粒層32及び未照射砥粒層36が砥石30の回転によって交互に接する。そして、レーザ砥粒層32を構成する砥粒31の一部が微小破砕し、脱落する。そのため、レーザ砥粒層32及び未照射砥粒層36の間で微小な段差が形成される。その結果、砥石30と工作物との間が連続的に面接触となることを回避することができる。その結果、係る段差にクーラントが浸入し、研削抵抗の増大を防ぎ、研削焼けを防ぐことができる。特に、同一組成からなり、かつ粒度及び集中度の同一の砥粒31及び未照射砥粒35は、レーザ照射によって負荷に対する破砕性が僅かに異なるものである。そのため、従来のようにセグメント毎に砥石性能が大幅に異なる組成の砥石に比べ、各セグメント(レーザ砥粒層32、未照射砥粒層36)の間の砥石性能が大きく変化しない。その結果、各砥粒層32,37の間の段差が大きくならず、段差によるビビリ等の振動の影響を小さく抑えることができる。
【0056】
次に、本発明の第四実施形態の砥石40について、図8に基づいて説明する。ここで、図8は第四実施形態の砥石40の構成を示す説明図である。第四実施形態の砥石40は、図8に示すように、レーザ照射された砥粒41からなるレーザ砥粒層42を有するセグメントが、砥石周方向(図8における矢印D)に沿って砥石端面部43に点在するように配されたものである。そして、それ以外の部分は、砥石周面部44を含めて未照射砥粒45からなる未照射砥粒層46を有するセグメントによって構成されている。すなわち、第三実施形態の砥石30とは、砥石周面部44にレーザ砥粒層42が設けられていない点で相違している。ここで、レーザ砥粒層42に使用される砥粒41は、既に述べた第一実施形態乃至第三実施形態の砥粒1等と同一であり、レーザ照射条件も同じであるため、ここでは詳細な説明は省略するものとする。また、第一実施形態乃至第三実施形態の砥石2,20,30と略同一の構成については、同一番号を付し、説明を省略する。
【0057】
そして、第四実施形態の砥石40を用いて端面研削を行うと、レーザ砥粒層42及び未照射砥粒層46によって工作物が研削される。なお、このとき、工作物には、レーザ砥粒層42及び未照射砥粒層46が砥石40の回転によって交互に接する。そして、レーザ砥粒層42を構成する砥粒41の一部が微小破砕し、脱落する。そのため、レーザ砥粒層42及び未照射砥粒層46の間で微小な段差が形成される。その結果、係る段差にクーラントが浸入し、研削抵抗の増大を防ぎ、研削焼けを防ぐことができる。一方、第四実施形態の砥石40の砥石周面部44を利用して、周面研削を行うと、図8に示すように、砥石周面部44は未照射砥粒層46のセグメントから構成されている。そのため、クランクシャフトやカムシャフト等の円筒面の加工を行う際に、砥石端面部で形成される微小段差によって発生するビビリ等の振動を抑えることができる。
【0058】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0059】
すなわち、第一実施形態の砥石2において、レーザ3が照射された砥粒1のみを使用するものを示したがこれに限定されるものではなく、例えば、レーザ3の照射によって内部に結晶欠陥CDが形成された本発明の砥粒1と、レーザ3の照射がされていない通常の砥粒とを適宜混合して砥石を製作したものであっても構わない。これにより、結晶欠陥CDによって適度な微小破砕片9の脱落が発生する良好な崩壊性と、従来のCBN砥粒に起因する高硬度性の双方の機能を併せ持つ優れた砥石を製作することができる。
【0060】
さらに、第一実施形態の砥石2において、レーザ3が照射された砥粒1を結合剤4に混合したものについて示したがこれに限定されるものではなく、砥石車6として製作した後に、砥石表面2aにレーザ3を照射するものであっても構わない。具体的に説明すると、図4に示すように、砥石車6を回転軸方向に従って回転させ(図4における矢印A方向)、さらにレーザ照射装置7から所定の照射条件に設定されたレーザ3を照射する。このとき、砥石車6の回転によって砥石表面2aのレーザ3が照射される位置は、逐次変化している。さらに、レーザ照射装置7を制御し、レーザ3の照射位置を砥石2の幅方向(図4における矢印B方向)に逐次走査させることにより、砥石表面2aの全面に亘ってレーザ3の照射を行うことが可能となる。その結果、砥石2の砥石表面2aに一部を露出させた砥粒1に対し、レーザ3を照射し、結晶構造CSの内部に結晶欠陥CDを生成することができる。なお、第二実施形態乃至第四実施形態の砥石20,30,40の場合、砥石端面部22等に対して、砥石20等を回転させながら、図4のレーザ照射装置7を用いて砥石端面方向からレーザを照射し、レーザ砥粒層24等を適宜設けるものであっても構わない。
【0061】
また、第一実施形態乃至第四実施形態において、レーザ3の照射条件の一例を示したが、もちろんこれに限定されるものではなく、使用する砥粒1のサイズや内部に形成する結晶欠陥CD等に応じ、レーザ波長、平均出力、パルス幅等の各種の条件、及び照射パターンを任意に設定することができる。これにより、負荷により生じる微小破砕片9の脱落の程度等を調整することができる。
【0062】
また、第二実施形態乃至第四実施形態で示したように、一つの砥石20,30,40において、研削性能の異なる二種類以上の砥粒層24等を設けることにより、さらに複雑な研削加工を行うことができる。すなわち、表面粗さの異なる二つの層(例えば、荒加工用の未照射砥粒層26等、仕上げ用のレーザ砥粒層24等)を一つの砥石にそれぞれ設け、研削条件に応じてこれの使用を適宜設定することもできる。これにより、砥石の交換作業等に要する時間を省略し、一つの砥石によって粗加工から仕上げ加工までを実施することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第一実施形態の砥粒を利用して形成された砥石の概略構成を示す説明図である。
【図2】砥石の結晶構造に対するレーザの照射パターン例を模式的に示す説明図である。
【図3】砥石の砥粒の自生発刃作用を模式的に示す説明図である。
【図4】砥石に対するレーザの照射例を示す説明図である。
【図5】従来の砥石のツルーイングの過程を模式的に示す説明図である。
【図6】第二実施形態の砥石及びその使用の一例を模式的に示す説明図である。
【図7】第三実施形態の砥石の構成を示す説明図である。
【図8】第四実施形態の砥石の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0064】
1,23,31,41,101 砥粒
2,20,30,40,100 砥石
2a 砥石表面
3 レーザ
4,102 結合剤
5,103 台金
5a 砥石形成面
6 砥石車
7 レーザ照射装置
8 溝
9 微小破砕片
10,104 切れ刃
21,34,44 砥石周面部
22,33,43 砥石端面部
24,32,42 レーザ砥粒層
25,35,45 未照射砥粒
26,36,46 未照射砥粒層
CD 結晶欠陥(結晶欠陥又は微小空隙)
CS 結晶構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ照射によって内部に結晶欠陥又は微小空隙が形成された結晶構造を有することを特徴とする砥粒。
【請求項2】
レーザ照射によって内部に結晶欠陥又は微小空隙が形成された結晶構造を有する砥粒を具備することを特徴とする砥石。
【請求項3】
前記砥粒及びレーザ未照射の未照射砥粒、または前記砥粒からなるレーザ砥粒層または前記未照射砥粒からなる未照射砥粒層を混在して形成したことを特徴とする請求項2に記載の砥石。
【請求項4】
前記レーザ砥粒層を砥石端面部に設けたことを特徴とする請求項3に記載の砥石。
【請求項5】
前記砥石端面部をバックテーパ形状に形成したことを特徴とする請求項4に記載の砥石。
【請求項6】
前記レーザ砥粒層、及び前記未照射砥粒層を砥石周方向に混在して形成したことを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか一つに記載の砥石。
【請求項7】
前記レーザ砥粒層、及び前記未照射砥粒層を前記砥石端面部及び砥石周面部に混在して設けたことを特徴とする請求項6に記載の砥石。
【請求項8】
前記レーザ砥粒層、及び前記未照射砥粒層を前記砥石端面部に混在して設けたことを特徴とする請求項6に記載の砥石。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−117905(P2006−117905A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90303(P2005−90303)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000003470)豊田工機株式会社 (198)
【Fターム(参考)】