説明

硫酸処理によるディーゼル燃料原料の品質向上方法

本発明は、低硫黄、低窒素のディーゼル燃料沸点範囲生成物の生成方法に関する。本方法は、ディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームを酸性溶液と接触させて、水素化処理の前にヘテロ環の窒素含有化合物を選択的に除去する工程を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素含有炭化水素ストリームの品質向上方法に関するものであり、更に詳しくは、低硫黄、低窒素のディーゼル燃料沸点範囲生成物の生成方法に関する。本方法は、ディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームを酸性溶液と接触させて、水素化処理の前にヘテロ環の窒素含有化合物を選択的に除去する工程を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
現在、現今の環境排出物規制に適合するために、自動車燃料、特にディーゼル燃料の硫黄および芳香族の含有量を低減する必要性が生じている。ディーゼル燃料を抽出するディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームの硫黄および芳香族含有量は共に、触媒処理を用いることによって満足し得るレベルまで低減することが可能であるが、触媒処理は、原料油ストリームの中に存在する窒素含有化合物によって厳しい妨害作用を受ける。このため、硫黄および芳香族化合物の低減プロセスにおいて用いられるような、自動車燃料生産のための、原料油ストリームの窒素含有量低減方法が多数提案されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1は、石炭液化派生ナフサから塩基性の窒素種物質を除去するために希硫酸(0〜10重量%)を使用することを述べている。しかし残念ながら、水素化処理の触媒は塩基性の窒素種物質に被毒されるだけでなく、ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームの中に豊富に含まれる非塩基性の窒素ヘテロ環化合物によっても被毒される。このため、ほぼすべての窒素種物質を除去するために強力な硫酸が用いられてきた。
【0004】
又、特許文献2は、直留留分のジェット燃料沸点範囲のストリームを処理するために、濃硫酸即ち少なくとも95重量%の硫酸を使用することを述べている。この方法においては、硫酸を含有するストリームを、約300ミクロンよりも小さい液滴の形でジェット燃料の中に分散する必要がある。特許文献2の方法は、ジェット燃料沸点範囲のストリームから90%以上の窒素を除去し得ることを開示しているが、発明者(M.C.Fraytet)が指摘しているように、好ましくない2次反応が生起しないようにするために、原料油ストリームからの酸の分離が決定的に重要である。この好ましくない2次反応には、例えば、オレフィンの重合および硫酸とチオフェン種物質との反応がある。これらの好ましくない反応はいくつかの点で有害である。第1に、これらの好ましくない副反応は、これらの方法の実行者により多量の硫酸の使用を余儀なくさせる。これらの反応が硫酸の一部を消費するからである。第2に、オレフィン材料から高沸点のポリマーを形成することによって生成物の品位を低下させる。この高沸点ポリマーは後の燃焼においてばい煙の形成体となるものである。最後に、これら好ましくない反応のいくつかの副生物質は、酸性の副生物質に溶解するが故に除去され、該方法にとって全収率の損失をもたらす結果を招く。
【0005】
しかしながら、特許文献2の方法のような分散接触法は、「微粒懸濁酸性スラッジ(pepper sludge)」形成のような欠点を有することが当技術分野においても知られている。微粒懸濁酸性スラッジの形成は、重力沈降器において酸の微小な液滴が容易に集塊(コアレス)化しないかあるいは沈殿しない場合に生起する。従って、原料中に懸濁した分散酸性材料は処理された原料に同伴され、この方法の実行者は、微粒懸濁酸性スラッジを中和し、腐食問題を回避するために苛性アルカリ処理を用いざるを得なくなる。しかし、原料中に懸濁する「微粒懸濁酸性スラッジ」は原料から除去された窒素種物質をも含んでいるので、中和するとこの窒素種物質が遊離され、原料に戻ることになる。従って、分散処理法における微粒懸濁酸性スラッジの存在は、達成し得る窒素低減の最終的な性能を制限する。このため、当技術分野においては、ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリーム用の更に効率的な窒素除去法が求められている。
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,719,587号明細書
【特許文献2】米国法定発明登録第H1368号明細書
【特許文献3】米国特許第3,758,404号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、当技術分野においては、ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームの水素化処理に有益に寄与するような、ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリーム用の更に効率的な窒素除去法に対する必要性がなお存在している。即ち、好ましくない化学反応の結果である上記のいくつかの欠点を伴うことなく、水素化処理の触媒を被毒する窒素含有ヘテロ環化合物をより選択的に除去する方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、窒素および硫黄の両汚染物質を含有し、全酸価を有するディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームの改良された水素化処理方法に関するものである。本方法は、
a)硫酸溶液を基準にして少なくとも約75重量%の硫酸濃度を有する硫酸溶液を提供する工程;
b)窒素および硫黄の両ヘテロ原子を含むディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームを、前記ディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームに含まれる窒素化合物の少なくとも約85重量%を除去するのに有効な条件下で前記硫酸溶液と接触させて、ディーゼル燃料沸点範囲生成物および使用済み硫酸溶液を少なくとも生成する工程であって、前記硫酸溶液の容量処理率は、前記ディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームを基準にして約0.5容量%よりも大きい工程;および
c)前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物を水素化処理する工程
を含む。
【0009】
本発明の一実施形態においては、前記硫酸溶液は、アルキル化プロセス装置から得られる廃硫酸溶液であって、前記廃硫酸溶液は、
a)Cオレフィンを含むオレフィン系炭化水素原料油ストリームをイソブタンと組み合わせて、炭化水素混合物を形成する工程;および
b)前記炭化水素の混合物を、アルキレートおよび少なくとも約75重量%の酸濃度の硫酸溶液を少なくとも生成するのに有効な条件下で硫酸と接触させる工程
によって生成される。
【0010】
本発明のもう1つの実施形態は、窒素および硫黄の両汚染物質を含有し、全酸価を有するディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームの改良された水素化処理方法に関する。本方法は、
a)硫酸溶液を基準にして少なくとも約75重量%の硫酸濃度を有する硫酸溶液を提供する工程;
b)窒素および硫黄の両ヘテロ原子を含み、全酸価を有するディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームを、前記ディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームに含まれる窒素化合物の少なくとも約85重量%を除去するのに有効な条件下で前記硫酸溶液と接触させて、全酸価を有するディーゼル燃料沸点範囲生成物および使用済み硫酸溶液を少なくとも生成する工程であって、前記硫酸溶液の容量処理率は、前記ディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームを基準にして約0.5容量%よりも大きい工程;
c)水素化処理前の前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物の全酸価を低減するのに有効な条件下で、前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物を、苛性アルカリおよび水よりなる群から選択される有効量の酸低減材料と接触させる工程;および
d)前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物を水素化処理する工程
を含む。
【0011】
好ましい一実施形態においては、前記酸低減材料は水である。
【0012】
本発明の別の好ましい実施形態においては、前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物を水と接触させることにより、前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物の全酸価を、少なくともディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームの全酸価まで低減させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、窒素および硫黄汚染物質の両者を含有するディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームから窒素を除去する方法である。この方法は、窒素および硫黄汚染物質の両者を含有するディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームを、好ましくは非分散法によって硫酸溶液と接触させ、これによってディーゼル燃料沸点範囲の生成物を生成する工程を含んでいる。ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームを硫酸溶液と接触させると、ディーゼル燃料沸点範囲の生成物の窒素含有量は、少なくとも85重量%低減した値になる。得られたディーゼル燃料沸点範囲の生成物を続いて水素化処理する。ここで、水素化処理および水素化脱硫は交換可能な用語として用いられること、および、「ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリーム」という語句は、窒素および硫黄汚染物質の両者を含有しかつ全酸価(「TAN」)を有するディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームのことを意味していることに留意されたい。TANは石油の酸含有量の測定であり、適切な塩基によって石油を滴定して試験的に決定される。その測定法は、例えばASTMのD664に規定されている。
【0014】
本発明の方法による処理に適した原料油ストリームはディーゼル燃料の沸点範囲を有するものである。ディーゼル燃料の沸点範囲は、約300〜約775°F、好ましくは約350〜約750°F、更に好ましくは約400〜約700°F、最も好ましくは約450〜約650°Fの温度範囲において沸騰する原料油ストリームを含む。これらは、水素化処理されていないディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームを含んでおり、ディーゼル燃料沸点範囲の非水素化処理原料油ストリームの1つのブレンド、先行して水素化処理されたディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリーム、水素化処理されたディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームのいくつかのブレンド、非水素化処理および水素化処理されたディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームのいくつかのブレンドである。
【0015】
本発明の方法による処理に適したディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームは窒素も含有している。この原料油ストリームの窒素含有量は、典型的な値として、約50〜約1000wppm窒素、好ましくは約75〜約800wppm窒素、更に好ましくは約100〜約700wppm窒素の範囲である。窒素は、塩基性および非塩基性の両者の窒素種物質として出現する。塩基性窒素種物質の非限定例としてキノリンおよび置換キノリンを、非塩基性窒素種物質の非限定例としてカルバゾールおよび置換カルバゾールを挙げることができる。
【0016】
本発明を実施する場合、上記に規定した原料油ストリームを硫酸溶液とよく接触させる。ここで使用する硫酸溶液は、硫酸溶液を基準にして少なくとも約75重量%、好ましくは約75重量%より高濃度、更に好ましくは約75〜約88重量%の硫酸を含むものである。この硫酸溶液は周知のいかなる方法で調製したものでもよいが、この硫酸溶液として、アルキル化プロセス装置から得られる廃酸であって上記の規定範囲内の硫酸濃度を有する廃酸を用いることが好ましい。代表的なアルキル化法は、Cオレフィンを含むオレフィン系炭化水素の原料油ストリームをイソブタンと組み合わせて炭化水素の混合物を生成させる工程を含んでいる。この炭化水素の混合物を続いて硫酸と接触させる。この炭化水素の混合物との接触用として使用される硫酸は、一般的に少なくとも約95重量%の酸濃度を有する試薬品質の硫酸である。この硫酸は約97重量%よりも高い硫酸濃度を有することが更に好ましい。炭化水素の混合物は、少なくともアルキレートと硫酸溶液とを生成するに有効な条件の下で硫酸と接触させる。この方法で生成される硫酸溶液は、硫酸溶液を基準にして少なくとも約75重量%、好ましくは約75重量%より高濃度、更に好ましくは約75〜約92重量%の硫酸を含み、約0.5〜約5重量%の水を含んでいる。残りの成分は酸溶解性の炭化水素である。更に、この方法で生成される硫酸溶液が、約82〜約92重量%の間の硫酸と約1〜約4容量%の水とを含み、残りの成分は酸溶解性の炭化水素となるような有効な条件が選択されるとなお好ましい。しかし、最も好ましいのは、この方法で生成される硫酸溶液が、約85〜約92重量%の間の硫酸と約1.5〜約4容量%の水とを含み、残りの成分は酸溶解性の炭化水素であるような有効な条件が選択されることである。
【0017】
上記に規定した硫酸濃度の硫酸溶液、即ち、硫酸溶液を基準にして少なくとも約75重量%、好ましくは約75重量%より高濃度、更に好ましくは約75〜約88重量%の硫酸を含む硫酸溶液を提供するために、アルキル化装置または他の方法によって得られる硫酸を、適切な希釈剤好ましくは水で希釈することは本発明の範囲内であることに留意されたい。希釈剤が硫酸溶液に添加された後の硫酸濃度を測定するために、硫酸および水の含有量が標準的な分析技法によって測定される。これから、当量酸濃度を次の式によって計算することができる。即ち、当量硫酸重量%=硫酸重量%/(硫酸重量%+水重量%)、である。この式においては、アルキル化廃酸の酸溶解性炭化水素含有量は、硫酸および水の含有量に関して不活性希釈剤として扱われている。
【0018】
ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームを硫酸溶液と接触させるが、その酸の容量処理率は、ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームを基準にして約0.5容量%よりも大きく、好ましくは約0.5〜約20容量%であり、更に好ましくは0.5〜約5容量%である。接触処理は、分散法および非分散法の両者を含む任意の適切な方法によって行うことができる。適切な分散法の非限定例には、混合バルブ、混合タンクまたは容器、および他の類似装置が含まれ、非分散法の非限定例には、不活性粒子の充填床、および、メリケム社(Merichem Company)から販売されておりかつ特許文献3に説明されているようなファイバー−フィルム(Fiber−Film:商標)接触装置が含まれる。この接触装置は、不活性粒子の充填床ではなく、金属繊維の束に沿って接触させる方式を含んでいる。特許文献3の内容は、この参照によって本出願に含まれる。好ましい接触法は非分散型であるが、更に好ましい接触法は分散型として分類される接触法である。
【0019】
ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームの硫酸溶液との接触は有効な条件の下で行われる。有効な条件とは、本発明の方法が、約80重量%よりも大きい窒素の低減率、好ましくは約85重量%よりも大きく、更に好ましくは約92重量%よりも大きい窒素の低減率を達成し得るような条件を言うものとする。有効な条件は、又、硫酸溶液処理の間の収率損失を、約0.5〜約6重量%、好ましくは約0.5〜約4重量%、更に好ましくは約0.5〜約3重量%に最小化するような条件としても考慮されるべきである。
【0020】
ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームを硫酸溶液と接触させることによって、適切な芳香族および硫黄除去プロセスに送られる少なくともディーゼル燃料沸点範囲の生成物が生成される。従って、除去された窒素種物質をすでに含有する使用済みの硫酸溶液を、ディーゼル燃料沸点範囲の生成物から分離しなければならない。使用済みの硫酸溶液とディーゼル燃料沸点範囲の生成物とは、炭化水素のストリームから酸を分離するのに有効であるとして知られる任意の方法によって分離することができる。適切な分離方法の非限定例として、重力沈降、電界誘起沈降、遠心分離、マイクロ波誘起沈降、および、集塊(コアレス)化表面によって強化された沈降がある。しかし、ディーゼル燃料沸点範囲の生成物と使用済み硫酸溶液とを、例えば、沈降タンクまたはドラム、コアレッサ、静電沈降器、あるいは他の類似装置のような分離装置において、層に分離するかあるいは分離させ得ることが好ましい。本発明の方法によって生成される使用済み硫酸溶液とディーゼル燃料沸点範囲の生成物との分離用として、上記のファイバー−フィルム接触装置を用いることは更に好ましい。引き続いて、ディーゼル燃料沸点範囲の生成物を分離装置から引き抜き、適切な水素化処理プロセスに送ることができる。
【0021】
以上の如く、本発明の方法によって得られたディーゼル燃料沸点範囲の生成物の窒素含有量は、塩基性および非塩基性両者共、当初のディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームの窒素含有量よりも遥かに低い。遥かに低いというのは、ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームの窒素含有量が、少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約85%、更に好ましくは少なくとも約90%だけ低減されることを意味している。従って、ディーゼル燃料沸点範囲の生成物は、ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームの窒素濃度よりも、約80%、好ましくは少なくとも約85%、更に好ましくは少なくとも約90%低い窒素濃度を有することになると同様に言うことができる。これは、一般的に、約200wppmより低い窒素濃度、好ましくは約100wppmより低い窒素濃度、更に好ましくは約50wppmより低い窒素濃度、最も好ましくは約20wppmより低い窒素濃度のディーゼル燃料沸点範囲の生成物を結果的に生成することになる。ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームを硫酸溶液と接触させることによって、一般的に又、ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームのTANよりも高いTANを有するディーゼル燃料沸点範囲の生成物が結果的に生成される。
【0022】
ディーゼル燃料沸点範囲の生成物は、一般的に又、窒素含有ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームの硫黄濃度よりも低い硫黄濃度を有することができる。従って、ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームを硫酸溶液と接触させることによって、ディーゼル燃料沸点範囲の生成物の硫黄含有量も低下する。このため、ディーゼル燃料沸点範囲の生成物の硫黄含有量は、ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームの硫黄含有量よりも低くなるのである。しかし、収率の損失を最小化するために、硫黄の低減は最小限度に抑えることが望ましい。代表的な値として、ディーゼル燃料沸点範囲の生成物の硫黄含有量は、ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームの硫黄含有量よりも、約0.1〜約25%低いか、好ましくは約0.1〜約15%、更に好ましくは約0.1〜約10%、最も好ましくは約0.1〜約5%低くすることができる。
【0023】
ディーゼル燃料沸点範囲の生成物は、引き続いて水素化処理してその硫黄濃度を低減する。任意の適切な水素化処理触媒をディーゼル燃料沸点範囲の生成物に対して使用することができる。適切な水素化処理触媒の非限定例は、少なくとも1つの第VIII族金属の酸化物、好ましくはFe、CoおよびNiから選択した金属の酸化物、更に好ましくはCoおよび/またはNiの酸化物、最も好ましくは酸化Coと、少なくとも1つの第VI族金属の酸化物、好ましくはMoおよびWから選択した金属の酸化物、更に好ましくは酸化Moとからなる触媒であって、これらを高表面積の担体材料好ましくはアルミナに担持させた触媒である。これらの触媒は、例えば固定床のような任意の適切な方式に配置することができる。又、2つ以上の水素化処理触媒を使用し得ること、および、2つ以上の触媒床、例えば積み重ね床構成を使用し得ることも考えられる。ディーゼル燃料沸点範囲の生成物は、このディーゼル燃料沸点範囲の生成物に含有される硫黄の少なくとも一部を除去するに有効な条件の下で水素化処理触媒と接触させる。現在の環境規制に基準に適合するに必要な量の硫黄を水素化処理において除去することが望ましい。前記のように、ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームを硫酸溶液と接触させることによって、一般的に、ディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームのTANよりも高いTANを有するディーゼル燃料沸点範囲の生成物が結果的に生成される。従って、本発明の1つの実施形態は、ディーゼル燃料沸点範囲の生成物を、水素化処理の前に、苛性アルカリおよび水から選択される材料の有効な量、好ましくは水の有効な量と接触させる工程を含んでいる。ここで、材料の有効な量とは、ディーゼル燃料沸点範囲の生成物のTANを低減する材料の量を意味している。又、ディーゼル燃料沸点範囲の生成物を有効な条件の下で苛性アルカリまたは水と接触させるが、この有効な条件としては、その条件が選択されるとディーゼル燃料沸点範囲の生成物のTANの低減が可能になるような条件を意味している。材料の有効な量および有効な条件は、ディーゼル燃料沸点範囲の生成物のTANがディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームのTANと同等になるように選択することが好ましい。材料の有効な量および有効な条件を、ディーゼル燃料沸点範囲の生成物のTANがディーゼル燃料沸点範囲の原料油ストリームのTANよりも低くなるように選択することは、更に好ましい。
【0024】
以上の説明は本発明の好ましい実施形態を対象としている。当技術分野に精通した当業者は、同等に有効な他の実施形態を、本発明の本質を実行するために考案し得ることを認めるであろう。
【0025】
以下の実施例が、本発明の改善された有効性を例証するであろうが、これらの実施例はいかなる意味においても本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0026】
実施例1
直留留分のディーゼル燃料の2つの10mlの試料をピペットで2つのガラス瓶に定量した。これを以下、原料#1と呼称する。1つの試料は、硫酸濃度96.1重量%の試薬品質の硫酸溶液0.1ml(1容量%処理率)と組み合わせ、もう1つの試料は、同じ硫酸溶液、但し0.2ml(2容量%処理率)の硫酸溶液と混合した。混合は60秒間手動で振盪し、その後室温で分離させた。2つの相、即ちディーゼル燃料沸点範囲の生成物と硫酸溶液とが分離し、ディーゼル燃料生成物の層を取り出した。ディーゼル燃料生成物を計量し、ANTEK社の分析計で窒素および硫黄含有量を分析した。この試験の結果は以下の表1に含まれている。
【0027】
実施例2
第2のディーゼル燃料沸点範囲の原料油を、上記の実施例1で要約した方法に従って同様に処理した。この材料を以下、原料#2と呼称する。但し、この第2のディーゼル原料油は、約1/3の分解原料即ち接触分解軽質油とコーカーガスオイルとを含んでいる。又、原料#2の試料2リットルを、ガラスの分液漏斗内で、上記の実施例1に述べた硫酸溶液によって5容量%処理率において処理した。これらの試験の結果を以下の表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
表1に見られるように、両原料共、酸性溶液による処理に良好に反応しており、量的に同等の窒素除去が達成されている。原料の損失が低いことも観察される。回収原料は、回収されたディーゼル燃料生成物の容量をディーゼル原料油の容量で除して、100を乗じて計算したものである。原料#2からの酸性溶液による副生物質は、酸性溶液の処理率の増大と共により多く流体化していることも注目される。
【0030】
実施例3
上記実施例1および2の試験を、アルキル化装置から得られた廃硫酸溶液を用いて繰り返した。アルキル化廃酸の組成は硫酸90重量%、水4重量%、および酸溶解性炭化水素6重量%(差の分)であった。当量硫酸濃度は96重量%である。これらの試験の結果を次の表2に示す。
【0031】
【表2】

【0032】
表2に見られるように、アルキル化装置の廃酸を使用しても、試薬品質の硫酸を使用した場合と同様の結果が得られている。
【0033】
実施例4
20ミリリットルの直留留分のディーゼル燃料を120°Fの水浴中で平衡させ、この20mlの試料を、ガラスの遠心分離管の中で、酸濃度96.1重量%の試薬品質の硫酸0.2ml(1容量%処理率)と組み合わせた。この混合物を60秒間振盪し、その後1500rpmで10分間遠心分離した。ディーゼル燃料と硫酸溶液とは急速に分離し、ディーゼル燃料層を取り出して、ANTEK社の分析計で窒素および硫黄含有量を分析した。
【0034】
この手順をいくつかの酸濃度において繰り返した。酸濃度を、試薬品質の硫酸に蒸留水を加えて減少させた。
【0035】
この試験の結果を図1に示す。図1に見られるように、原料の硫黄含有量は、硫酸溶液の硫酸濃度が約80重量%を超えるまでは硫酸処理による影響を受けない。酸の濃度が約85重量%から約94重量%に増大するに伴って硫黄の低下も増大し、その後横ばいになる。対照的にディーゼル燃料沸点範囲の生成物の窒素含有量は、僅かに5重量%の酸濃度の硫酸溶液による処理によっても低下し始め、酸濃度の増大と共に、硫酸溶液濃度が約50重量%に達するまで減少し続ける。全窒素濃度におけるこの初期の減少は、「塩基性の」窒素種物質の除去を表している。しかし、「非塩基性の」窒素種物質は、硫酸溶液における硫酸濃度が約75重量%に達するまでは硫酸処理による影響を受けない。75重量%の酸濃度においては、硫黄化合物は影響を受けない。
【0036】
本発明の目的の1つは、収率の損失を最小化しながら原料からの窒素の除去率を可能な限り高めることにあるが、図1が、約75〜約85重量%の範囲内の酸濃度の硫酸溶液を用いることによってこの目的を実現し得ることを示唆している。データは、約96重量%の酸濃度の硫酸溶液を使用した時に、ディーゼル燃料沸点範囲の原料油に含有される硫黄の10%だけが減少したことを示しているが、これは収率損失の単一最大の寄与因子を表している。硫黄を除去することは、硫黄が含有されている全分子を除去することになるからである。
【0037】
実施例5
約1/3の分解原料即ち接触分解軽質油とコーカーガスオイルとを含む20ミリリットルのディーゼル燃料沸点範囲の原料油を、120°Fの水浴中で平衡させ、この20mlの試料を、ガラスの遠心分離管の中で、酸濃度96.1重量%の試薬品質の硫酸0.8ml(4容量%処理率)と組み合わせた。この混合物を60秒間振盪し、その後1500rpmで10分間遠心分離した。ディーゼル燃料と硫酸溶液とは急速に分離し、ディーゼル燃料層を取り出して、ANTEK社の分析計で窒素および硫黄含有量を分析した。
【0038】
この手順をいくつかの酸濃度において繰り返した。酸濃度を、試薬品質の硫酸に蒸留水を加えて酸濃度を希釈することによって減少させた。図2がこの試験の結果を含んでいる。図2に見られるように、分解原料を含むディーゼル燃料を処理した結果は、図1に関連して述べた結果と同様である。
【0039】
図3も、この試験によって得られた結果を含んでいる。図3は、分解原料を含むディーゼル燃料沸点範囲の原料油を、種々の酸濃度の硫酸溶液によって種々の処理率において処理した結果得られた窒素低減データを含んでいる。図3に見られるように、窒素濃度は酸濃度の増大と共に減少している。
【0040】
図4も、この試験によって得られた結果を含んでいる。図4は、分解原料を含むディーゼル燃料沸点範囲の原料油を、種々の酸濃度の硫酸溶液によって種々の処理率において処理した結果得られた硫黄低減データを含んでいる。図4に見られるように、硫黄濃度は酸濃度の増大と共に減少している。
【0041】
図5は、図3および4に含まれる窒素および硫黄の除去データと、分解原料を含むディーゼル燃料沸点範囲の原料油を種々の酸濃度の硫酸溶液によって種々の処理率において処理した結果得られた収率の損失とを比較している。従って、図5は、ディーゼル原料油からの窒素および硫黄種物質除去の収率の損失に対する影響を表している。このため、図5を見れば、収率損失を最小化しながら窒素除去法を最適化することができる。
【0042】
実施例6
全酸価(「TAN」)0.26mgKOH/g、窒素濃度105wppmおよび硫黄濃度1.36重量%の直留留分のディーゼル燃料100ミリリットルを、硫酸濃度96重量%の硫酸溶液で処理した。処理手順としては、室温において、この直留留分のディーゼル燃料に硫酸溶液1mlを加え、この混合物を分液漏斗内で1分間手動振盪した。続いて、混合物を10分間沈降させ、廃酸溶液およびディーゼル燃料沸点範囲の生成物をデカンテーション操作によって分離してそれぞれの生成物を回収した。
【0043】
このようにして回収したディーゼル燃料沸点範囲の生成物を容量50mlの遠心分離管の中に等量に分割し、この分離管を1500rpmで運転される遠心分離機で10分間遠心分離した。遠心分離管の底部には酸スラッジが観察された。4つの試料の内の1つを取り出して「酸処理、遠心分離のみ」と命名した。以下、これを、他の3つの試料と比較するために「試料#1」と呼称する。
【0044】
各遠心分離管から、ディーゼル燃料沸点範囲の生成物25mlを別の50ml遠心分離管にピペットで移して更に処理した。第1の25ml試料には蒸留水5mlを加えた。これを「試料#2」と呼称する。第2および第3の試料には5重量%NaOH溶液2.5mlを加えた。これを、それぞれ「試料#3」および「試料#4”と呼称する。試料#2、#3および#4は、それぞれ60秒間振盪し、続いて1500rpmで10分間遠心分離した。試料#4には、その後更に蒸留水5mlを加えて、続いて上記と同様に振盪し、遠心分離した。
【0045】
すべての試料をガルブレイス分析試験所(Galbraith Analytical Laboratories)に送ってTANを分析した。試料#2のTANは0.37mgKOH/gと測定されたが、これは、硫酸処理によってディーゼル燃料沸点範囲の生成物のTANが増大することを示している。試料#2のTANは0.25mgKOH/gであり、TANを少なくとも原料油における濃度に低下させるには単なる水洗で十分であることが証明された。
【0046】
試料#3のTANは検出限界以下であったが、これは苛性アルカリのキャリーオーバーによる誤判定である可能性がある。試料#4のTANは0.03mgKOH/gで、実質的にゼロであった。苛性アルカリ処理後の水洗は苛性アルカリのキャリーオーバーを最小化または排除すること、および、ディーゼル燃料沸点範囲の生成物の窒素濃度は苛性アルカリ洗浄および水洗によっては低減しなかったことに留意されたい。
【0047】
以上のように、実施例6は、ディーゼル燃料沸点範囲の生成物のTANを少なくともディーゼル燃料沸点範囲の原料油のTANに低下させるには、硫酸処理後の単なる水洗が有効であることを示している。これによって、典型的な酸処理法に関係する腐食問題が克服される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】種々の酸濃度における1容量%処理率において、実施例2に対して得られたデータを示す。
【図2】種々の酸濃度における4容量%処理率において得られたデータを示す。
【図3】原料の全窒素濃度に対する、酸濃度と処理容量の組み合わせの影響を示す。
【図4】原料の全硫黄濃度に対する、酸濃度と処理容量の組み合わせの影響を示す。
【図5】収率損失に対する、窒素除去および硫黄除去両者の影響を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素および硫黄の両汚染物質を含有するディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームの改良された水素化処理方法であって、
a)硫酸溶液を基準にして少なくとも75重量%の硫酸濃度を有する硫酸溶液を提供する工程;
b)窒素および硫黄の両ヘテロ原子を含むディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームを、前記ディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームに含まれる窒素化合物の少なくとも85重量%を除去するのに有効な条件下で前記硫酸溶液と接触させて、ディーゼル燃料沸点範囲生成物および使用済み硫酸溶液を少なくとも生成する工程であって、前記硫酸溶液の容量処理率は、前記ディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームを基準にして0.5容量%よりも大きい工程;および
c)前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物を水素化処理する工程
を含むことを特徴とする水素化処理方法。
【請求項2】
前記窒素含有ディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームは、300〜775°Fの温度範囲で沸騰することを特徴とする請求項1に記載の水素化処理方法。
【請求項3】
前記窒素含有ディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームは、400〜700°Fの温度範囲で沸騰することを特徴とする請求項1または2に記載の水素化処理方法。
【請求項4】
前記窒素含有ディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームは、50〜1000wppmの窒素を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水素化処理方法。
【請求項5】
前記窒素含有ディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリーム中に存在する窒素は、カルバゾールおよび/または置換カルバゾールを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水素化処理方法。
【請求項6】
前記硫酸溶液は、75重量%より多い硫酸を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水素化処理方法。
【請求項7】
前記硫酸溶液は、アルキル化プロセス装置から得られることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の水素化処理方法。
【請求項8】
前記アルキル化プロセスは、
a)Cオレフィンを含むオレフィン系炭化水素原料油ストリームをイソブタンと組み合わせて、炭化水素混合物を形成する工程;および
b)前記炭化水素の混合物を、アルキレートおよび少なくとも75重量%の酸濃度の硫酸溶液を少なくとも生成するのに有効な条件下で硫酸と接触させる工程
を含むことを特徴とする請求項7に記載の水素化処理方法。
【請求項9】
前記硫酸溶液に水を加えて、前記硫酸溶液の硫酸濃度を調整することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の水素化処理方法。
【請求項10】
前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物は、200wppmよりも少ない窒素を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の水素化処理方法。
【請求項11】
前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物の硫黄濃度は、前記ディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームよりも0.1〜25重量%低いことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の水素化処理方法。
【請求項12】
前記硫酸溶液処理に起因する収率の損失は、0.5〜6重量%であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の水素化処理方法。
【請求項13】
前記硫酸溶液の処理率は、0.5容量%よりも高いことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の水素化処理方法。
【請求項14】
前記硫酸溶液の処理率は、0.5〜20容量%であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の水素化処理方法。
【請求項15】
前記窒素含有ディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームと前記硫酸溶液を、非分散型接触法および分散型接触法よりなる群から選択される接触法によって完全に接触させることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の水素化処理方法。
【請求項16】
前記非分散型接触法は、不活性粒子充填床およびファイバー−フィルム接触装置よりなる群から選択されることを特徴とする請求項15に記載の水素化処理方法。
【請求項17】
前記分散型接触法は、混合バルブ、スタティックミキサーおよび混合タンクまたは容器よりなる群から選択されることを特徴とする請求項15に記載の水素化処理方法。
【請求項18】
前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物と前記使用済み硫酸溶液を分離する工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の水素化処理方法。
【請求項19】
前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物と前記使用済み硫酸溶液を、炭化水素ストリームから酸を分離するのに有効と知られる任意の手段によって分離することを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の水素化処理方法。
【請求項20】
前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物と前記使用済み硫酸溶液を、沈降タンクまたはドラム、コアレッサ、静電沈降器および他の類似装置よりなる群から選択される分離装置によって分離することを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の水素化処理方法。
【請求項21】
前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物と前記使用済み硫酸溶液を、ファイバー−フィルム接触装置によって分離することを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の水素化処理方法。
【請求項22】
前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物に含まれる硫黄の少なくとも一部を除去あるいは転化するのに有効な条件下で、前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物を、少なくとも1種の第VI族金属酸化物および少なくとも1種の第VIII族金属酸化物を含む水素化処理触媒と接触させることによって、前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物の水素化処理を行うことを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載の水素化処理方法。
【請求項23】
水素化処理前の前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物の全酸価を低減するのに有効な条件下で、前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物を、苛性アルカリおよび水よりなる群から選択される有効量の酸低減材料と接触させる工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の水素化処理方法。
【請求項24】
窒素および硫黄汚染物質の両者を含有するディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームの改良された水素化処理方法であって、
a)硫酸溶液を基準にして少なくとも75重量%の硫酸濃度を有する硫酸溶液を提供する工程;
b)窒素および硫黄の両汚染物質を含有し、350〜750°Fの温度範囲で沸騰するディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームを、前記ディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームに含まれる窒素化合物の85重量%超を除去するのに有効な条件下で前記硫酸溶液と接触させて、ディーゼル燃料沸点範囲生成物および使用済み硫酸溶液を少なくとも生成する工程であって、前記硫酸溶液の容量処理率は、前記ディーゼル燃料沸点範囲原料油ストリームを基準にして0.5容量%よりも大きく、前記接触を非分散法によって行う工程;および
c)前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物に含まれる硫黄の少なくとも一部を除去あるいは転化するのに有効な条件下で、前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物を、少なくとも1種の第VI族金属酸化物および少なくとも1種の第VIII族金属酸化物を含む水素化処理触媒と接触させることによって、前記ディーゼル燃料沸点範囲生成物を水素化処理する工程
を含むことを特徴とする水素化処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−513248(P2007−513248A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542688(P2006−542688)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/040095
【国際公開番号】WO2005/056733
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】