説明

硬化性オルガノポリシロキサン組成物、光学素子封止材及び光学素子

【課題】吸湿リフロー試験においても樹脂のクラックやパッケージからの剥離が発生しない硬化物を与える硬化性オルガノポリシロキサン組成物及び該組成物からなる光学素子封止材、並びにこの硬化物で封止された光学素子を提供する。
【解決手段】従来の硬化性オルガノポリシロキサン組成物に、特定のエステル結合とアルコキシシリル基を有する化合物を配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性オルガノポリシロキサン組成物、光学素子封止材及び光学素子に関し、詳しくは、高温、高湿の環境に保管した後のリフロー試験において、パッケージからの剥離やクラックを防止することが可能な硬化物を形成する硬化性オルガノポリシロキサン組成物、該組成物からなる光学素子封止材及びこの硬化物により封止され、信頼性に優れる光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
付加硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、アルケニル基等の脂肪族不飽和基を含有するオルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含み、ヒドロシリル化反応によって硬化して硬化物を与える。このようにして得られる硬化物は、耐熱性、耐寒性、電気絶縁性に優れ、また、透明であるため、LEDの封止材などの各種光学用途に用いられている。
【0003】
光学用途、特にLEDの封止材に使用するシリコーン材料は、LED素子の実装に際してはんだリフロー工程を経るため、一時的に260℃程度の高温に曝されることになる。そのため、リフロー時の樹脂のクラックやパッケージからの剥離などに対する耐性、即ち耐リフロー性が求められることになる。
【0004】
従来のLED封止材料においても、各種接着助剤を添加することなどにより、耐リフロー性を向上させたものが提案されている(特開2010−111811号公報、特開2010−109034号公報、特開2010−13619号公報、特開2010−13503号公報、特開2007−84766号公報:特許文献1〜5)。しかしながら、高温、高湿下に保管し、樹脂とリフレクターに水分を吸収させた後にリフローを行う、吸湿リフロー試験においては、従来のリフロー試験では問題のなかった樹脂においても、樹脂のクラックやパッケージからの剥離などが発生し、その解決が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−111811号公報
【特許文献2】特開2010−109034号公報
【特許文献3】特開2010−13619号公報
【特許文献4】特開2010−13503号公報
【特許文献5】特開2007−84766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、吸湿リフロー試験においても樹脂のクラックやパッケージからの剥離が発生しない硬化物を与える硬化性オルガノポリシロキサン組成物及び該組成物からなる光学素子封止材、並びにこの硬化物で封止された光学素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、従来の硬化性オルガノポリシロキサン組成物に、下記に示す特定のエステル結合とアルコキシシリル基を有する化合物を加えることで、耐吸湿リフロー性に優れたシリコーン硬化物が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
従って、本発明は、下記の硬化性オルガノポリシロキサン組成物、光学素子封止材及び光学素子を提供する。
〔請求項1〕
(A)下記平均組成式(1):
1aSiO(4-a)/2 (1)
(式中、R1は互いに同一又は異種の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、R1中の少なくとも1個がアリール基であり、全R1の0.1〜40モル%がアルケニル基であり、aは1≦a≦3を満たす正数である。)
で表される、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
(B)下記平均組成式(2):
2bcSiO(4-b-c)/2 (2)
(式中、R2は脂肪族不飽和基以外の互いに同一又は異種の非置換もしくは置換の1価炭化水素基、又はアルコキシ基であり、b及びcは、0.7≦b≦2.1、0.001≦c≦1.0、かつ0.8≦b+c≦3.0を満足する正数である。)
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)白金族金属を含むヒドロシリル化触媒、
(D)下記一般式(3)で表される化合物:
【化1】


(式中、R3,R4,R5はそれぞれ互いに同一又は異種の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、dは0、1又は2である。)
を含む硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
〔請求項2〕
(B)成分が、1分子中に少なくとも1個のケイ素原子結合アリール基を有する請求項1記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
〔請求項3〕
(D)成分の添加量が、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.1〜10質量部である請求項1又は2記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
〔請求項4〕
請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物からなる光学素子封止材。
〔請求項5〕
請求項4記載の封止材の硬化物で封止された光学素子。
【発明の効果】
【0009】
本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物は、吸湿リフローに対する信頼性が良好であるので、光学素子封止材に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例における吸湿リフロー試験用パッケージの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明につき詳しく説明する。
[(A)成分]
(A)成分は、下記平均組成式(1)で表されるオルガノポリシロキサンである。
1aSiO(4-a)/2 (1)
(式中、R1は互いに同一又は異種の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、R1中の少なくとも1個がアリール基であり、全R1の0.1〜40モル%がアルケニル基であり、aは1≦a≦3を満たす正数である。)
【0012】
(A)成分は、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するものであり、このケイ素原子に結合したアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等の、通常、炭素数2〜8、好ましくは2〜4程度のものが挙げられ、特にビニル基であることが好ましい。
(A)成分中のアルケニル基の含有量は、ケイ素原子に結合した1価の有機基(即ち、上記平均組成式(1)において、R1で示される非置換又は置換の1価炭化水素基)中、0.1〜40モル%、特に0.2〜20モル%であることが好ましい。
【0013】
また、(A)成分は、分子中に少なくとも1個のケイ素原子に結合したアリール基を有する。該アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の、通常、炭素数6〜14、好ましくは6〜10のものが挙げられ、特にフェニル基であることが好ましい。
(A)成分中のアリール基の含有量は、ケイ素原子に結合した1価の有機基(即ち、上記平均組成式(1)において、R1で示される非置換又は置換の1価炭化水素基)中、少なくとも5モル%であることが好ましい。ケイ素原子に結合した1価の有機基中、アリール基が5モル%未満である場合、硬化した被覆保護材の耐熱性や低温特性が悪くなり、熱衝撃試験による信頼性の低下を招く場合があるため、少なくとも5モル%、特に30モル%以上がアリール基であることが好ましい。その上限は特に規定されるものではないが、ケイ素原子に結合した1価の有機基中、80モル%以下、特には70モル%以下であることが好ましい。
【0014】
(A)成分のアルケニル基及びアリール基以外のケイ素原子に結合する有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基などの、通常、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜10程度の、非置換又はハロゲン置換の1価炭化水素基が挙げられる。
また、aは1〜3を満たす正数であり、本成分の分子構造は、鎖状又は分岐状であり、直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。
【0015】
このオルガノポリシロキサンが直鎖状の場合の回転粘度計により測定した粘度は、作業性の面から25℃において、100〜20,000mPa・s、特に500〜10,000mPa・s程度の範囲であることが好ましい。粘度が低すぎると流動しやすいため、成形バリなどが発生する可能性があり、粘度が高すぎると必要成分混合時に混入した空気の泡が抜け難い場合が生じることがある。なお、分岐状の場合は液体又は固体となり、液体の場合は25℃における粘度が1,000〜5,000mPa・s程度の範囲であることが好ましい。固体状のものを使用する場合は、これを可溶な直鎖状のオルガのポリシロキサンと併用し、25℃における粘度が100〜20,000mPa・sとなるようにすることが好ましい。
【0016】
[(B)成分]
(B)成分は、下記平均組成式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、(A)成分とヒドロシリル化付加反応し、架橋剤として作用する。
2bcSiO(4-b-c)/2 (2)
(式中、R2は脂肪族不飽和基以外の互いに同一又は異種の非置換もしくは置換の1価炭化水素基、又はアルコキシ基であり、b及びcは、0.7≦b≦2.1、0.001≦c≦1.0、かつ0.8≦b+c≦3.0を満足する正数、好ましくは1.0≦b≦2.0、0.01≦c≦1.0、かつ1.5≦b+c≦2.5を満足する正数である。)
【0017】
上記式(2)中のR2の1価炭化水素基としては、例えば、(A)成分における式(1)中のR1としての、脂肪族不飽和基以外の非置換又は置換の1価炭化水素基として具体的に例示したアルキル基、アリール基、アラルキル基等の非置換1価炭化水素基や、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、エポキシ基含有基(例えば、エポキシ基、グリシジル基、グリシドキシ基)等で置換された置換1価炭化水素基などが挙げられる。また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が例示され、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。R2は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基である。また、該1価炭化水素基の置換基としてエポキシ基含有基、あるいはアルコキシ基を有する場合、本発明組成物の硬化物に接着性を付与することができる。
【0018】
(B)成分には、特にケイ素原子に結合したアリール基を有することが好ましい。該アリール基は、フェニル基であることが好ましい。
(B)成分中のアリール基の含有量は、ケイ素原子に結合した1価の有機基(即ち、上記平均組成式(2)において、R2で示される脂肪族不飽和基以外の非置換又は置換の1価炭化水素基)中、少なくとも5モル%であることが好ましい。ケイ素原子に結合した1価の有機基中、アリール基を5モル%以上含有すると、硬化した被覆保護材の耐熱性や低温特性がより優れたものとなり、熱衝撃試験による信頼性もより優れたものとなる。そのため、少なくとも5モル%、特に20モル%以上がアリール基であることが好ましい。その上限は特に規定されるものではないが、80モル%以下、特には60モル%以下であることが好ましい。
【0019】
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造に特に制限はなく、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状構造(樹脂状)等の、従来製造されている各種のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができる。
【0020】
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に少なくとも2個(通常、2〜300個程度)のSiH基を有することが望ましい。前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンが直鎖状構造又は分岐鎖状構造を有する場合、これらのSiH基は、分子鎖末端及び分子鎖非末端部分のどちらか一方にのみ位置していても、その両方に位置していてもよい。
【0021】
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンの1分子中のケイ素原子の数(重合度)は、好ましくは2〜1,000個、より好ましくは2〜200個、更に好ましくは2〜100個程度である。更に、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは25℃で液状であることが好ましく、回転粘度計により測定した25℃における粘度は、好ましくは1〜1,000mPa・s、より好ましくは10〜100mPa・s程度である。
【0022】
上記平均組成式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、式:R2HSiOで示されるオルガノハイドロジェンシロキサン単位を少なくとも4個含む環状化合物、式:R23SiO(HR2SiO)eSiR23で示される化合物、式:HR22SiO(HR2SiO)eSiR22Hで示される化合物、式:HR22SiO(R22SiO)fSiR22Hで示される化合物、式:HR22SiO(HR2SiO)e(R22SiO)fSiR22Hで示される化合物等が挙げられる。上記式中、R2は前記のとおりであり、e及びfは少なくとも1である。
あるいは、上記平均組成式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、式:HSiO1.5で示されるシロキサン単位と、式:R2HSiOで示されるシロキサン単位及び/又は式:R22HSiO0.5で示されるシロキサン単位とを含むものであってもよい。更に、該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、SiH基を含まないモノオルガノシロキサン単位、ジオルガノシロキサン単位、トリオルガノシロキサン単位及び/又はSiO4/2単位を含んでいてもよい。上記式中のR2は前記のとおりである。
【0023】
(B)成分であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、これらの各例示化合物において、メチル基の一部又は全部がエチル基、プロピル基等の他のアルキル基やエポキシ基含有基置換アルキル基で置換されたオルガノハイドロジェンポリシロキサン、式:R23SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R22HSiO0.5で示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノシロキサン共重合体、式:R22HSiO0.5で示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノシロキサン共重合体、式:R2HSiOで示されるシロキサン単位と式:R2SiO1.5で示されるシロキサン単位及び式:HSiO1.5で示されるシロキサン単位のどちらか一方又は両方とからなるオルガノシロキサン共重合体、及び、これらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。上記式中のR2は、前記と同様の意味を有する。
【0024】
(B)成分は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(B)成分の配合量は、(C)成分のヒドロシリル化触媒の存在下に本組成物を硬化させるに十分な量であり、通常、(A)成分中の脂肪族不飽和基に対する(B)成分中のSiH基のモル比が好ましくは0.2〜5、より好ましくは0.4〜2となる量である。上記モル比が小さすぎても大きすぎても硬化不足となることがあり、硬度、耐熱性、耐クラック性などの封止材料としての特性を満足できない場合がある。
【0025】
[(C)成分]
(C)成分の白金族金属系ヒドロシリル化触媒としては、(A)成分中のケイ素原子結合脂肪族不飽和基と(B)成分中のSiH基とのヒドロシリル化付加反応を促進するものであればいかなる触媒を使用してもよい。(C)成分としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の白金族金属や、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との配位化合物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の白金族金属化合物が挙げられるが、特に好ましくは白金化合物である。
【0026】
(C)成分は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(C)成分の配合量は、ヒドロシリル化触媒としての有効量でよく、好ましくは(A)成分と(B)成分の合計質量に対して白金族金属元素の質量換算で0.1〜1,000ppmの範囲であり、より好ましくは1〜500ppmの範囲である。
【0027】
[(D)成分]
(D)成分は、下記一般式(3)で表されるエステル結合とアルコキシシリル基を有する化合物であり、(D)成分を添加することにより吸湿リフロー試験において樹脂のクラックやパッケージからの剥離が抑制されるという効果が得られる。
【0028】
(D)成分のエステル結合とアルコキシシリル基を有する化合物としては、1分子中に少なくとも1個のエステル結合と少なくとも1個のアルコキシシリル基を有しているもので、下記一般式(3)で表される化合物である。
【化2】


(式中、R3,R4,R5はそれぞれ互いに同一又は異種の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、dは0、1又は2であり、好ましくは0又は1である。)
【0029】
上記式(3)中のR3,R4,R5としての非置換又は置換の1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基などの、通常、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6程度の、非置換又はハロゲン置換の1価炭化水素基が挙げられる。中でも、R3に関しては、上記(A)及び(B)成分との混ざりやすさからメチル基、エチル基が好ましく、R4に関しては、加水分解のしやすさからメチル基、エチル基が好ましく、R5に関しては、上記(A)及び(B)成分との混ざりやすさから、炭素数1〜10の直鎖又は分岐状のアルキル基が好ましく、より好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、2−メチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基などである。
【0030】
(D)成分は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(D)成分の含有量は、硬化阻害や硬化後にタックが生じない程度の量でよく、好ましくは(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲であり、より好ましくは0.5〜5質量部の範囲である。0.1質量部未満では吸湿リフローに対する効果が得られないおそれがあり、10質量部を超えると硬化阻害や硬化後のタックやブリードアウトといった問題が発生する場合がある。
【0031】
[その他の成分]
本発明の組成物には、前記(A)〜(D)成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の任意の成分を配合することができる。その具体例としては、以下のものが挙げられる。これらのその他の成分は、各々、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0032】
・(A)成分以外の脂肪族不飽和基含有化合物
本発明の組成物には、(A)成分以外にも、封止材料の基材との接着性を向上させる目的で、(B)成分と付加反応する脂肪族不飽和基含有化合物を配合してもよい。(A)成分以外のこのような脂肪族不飽和基含有化合物としては、硬化物の形成に関与するものが好ましく、1分子あたり少なくとも1個の脂肪族不飽和基を有する(A)成分以外のオルガノポリシロキサンが挙げられる。その分子構造は、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状等、いずれでもよい。具体例としては、N−アリル−N’,N”−ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、N−アリル−N’,N”−ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
【0033】
また、上記オルガノポリシロキサン以外の脂肪族不飽和基含有有機化合物を配合することが可能である。該脂肪族不飽和基含有化合物の具体例としては、ブタジエン、多官能性アルコールから誘導されたジアクリレートなどのモノマー;ポリエチレン、ポリプロピレン又はスチレンと他のエチレン性不飽和化合物(例えば、アクリロニトリル又はブタジエン)とのコポリマーなどのポリオレフィン;アクリル酸、メタクリル酸、又はマレイン酸のエステル等の官能性置換有機化合物から誘導されたオリゴマー又はポリマーが挙げられる。(A)成分以外の脂肪族不飽和基含有化合物は、室温で液体であっても固体であってもよい。
【0034】
上記(A)成分以外の脂肪族不飽和基含有化合物の含有量は、本発明の目的を損なわない程度の量でよく、好ましくは(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部の範囲である。0.1質量部未満では接着性の向上に対する効果が得られないおそれがあり、10質量部を超えると硬化物の耐熱性の低下といった問題が発生する場合がある。
【0035】
・付加反応制御剤
ポットライフを確保するために、付加反応制御剤を本発明組成物に配合することができる。付加反応制御剤は、上記(C)成分のヒドロシリル化触媒に対して硬化抑制効果を有する化合物であれば特に限定されず、従来から公知のものを用いることができる。その具体例としては、トリフェニルホスフィンなどのリン含有化合物;トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾールなどの窒素含有化合物;硫黄含有化合物;アセチレンアルコール類(例えば、1−エチニルシクロヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ドデシン−3−オール)等のアセチレン系化合物;アルケニル基を2個以上含む化合物;ハイドロパーオキシ化合物;マレイン酸誘導体などが挙げられる。
付加反応制御剤による硬化抑制効果の度合は、その付加反応制御剤の化学構造によって異なる。よって、使用する付加反応制御剤の各々について、その添加量を最適な量に調整することが好ましいが、通常、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.0001〜5質量部程度である。最適な量の付加反応制御剤を添加することにより、組成物は室温での長期貯蔵安定性及び加熱硬化性に優れたものとなる。
【0036】
・その他の任意成分
硬化物の着色、白濁、酸化劣化等の発生を抑えるために、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等の従来公知の酸化防止剤を本発明組成物に配合することができる。また、光劣化に対する抵抗性を付与するために、ヒンダードアミン系安定剤等の光安定剤を本発明組成物に配合することもできる。更に、本発明組成物から得られる硬化物の透明性に影響を与えない範囲で、強度を向上させるためにヒュームドシリカ等の無機質充填剤を本発明組成物に配合してもよいし、必要に応じて、染料、顔料、難燃剤等を本発明組成物に配合してもよい。
【0037】
[硬化物]
本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、公知の硬化条件下で公知の硬化方法により硬化させることができる。具体的には、通常、80〜200℃、好ましくは100〜160℃で加熱することにより、該組成物を硬化させることができる。加熱時間は、0.5分〜5時間程度、特に1分〜3時間程度でよいが、LED封止用等精度が要求される場合は、硬化時間を長めにすることが好ましい。得られる硬化物の形態は特に制限されず、例えば、ゲル硬化物、エラストマー硬化物及び樹脂硬化物のいずれであってもよい。該硬化物を光学素子封止用として用いる場合は、無色透明かつ高屈折率(屈折率1.54以上、特に1.54〜1.65)であるものを用いることが好ましい。
【0038】
[光学素子封止材]
本発明組成物の硬化物は、通常の硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物と同様に耐熱性、耐寒性、電気絶縁性に優れ、更に耐吸湿リフロー性にも優れる。本発明の組成物からなる封止材によって封止される光学素子としては、例えば、LED、半導体レーザー、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池、CCD等が挙げられる。このような光学素子は、該光学素子に本発明の組成物からなる封止材を塗布し、塗布された封止材を公知の硬化条件下で公知の硬化方法により、具体的には上記したとおりに硬化させることによって封止することができる。
【実施例】
【0039】
以下、調製例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
なお、下記の例で、粘度は回転粘度計を用いて25℃で測定した値である。屈折率はATAGO製デジタル屈折計RX−5000を用いて589nmの屈折率を25℃で測定し、硬度はJIS−K6249に準じて測定した。また、下記例において、部は質量部を示す。
【0040】
また、下記の例において、シリコーンオイル又はシリコーンレジンの平均組成を示す記号は以下の通りの単位を示す。また、各シリコーンオイル又は各シリコーンレジンのモル数は、各成分中に含有されるビニル基又はSiH基のモル数を示すものである。
H:(CH32HSiO1/2
Vi:(CH2=CH)(CH32SiO1/2
ΦVi:(CH2=CH)(C65)(CH3)SiO1/2
D:(CH32SiO2/2
Vi:(CH2=CH)(CH3)SiO2/2
Φ:(C652SiO2/2
Φ:(C65)SiO3/2
【0041】
[調製例1] 白金触媒の調製
六塩化白金酸とsym−テトラメチルジビニルジシロキサンとの反応生成物を、白金含量が1.0質量%となるように、粘度0.7Pa・s、平均組成式:MVi219Φ9のシリコーンオイルで希釈して、本実施例及び比較例で使用する白金触媒(触媒A)を調製した。
【0042】
[調製例2] 平均組成式:MVi1Φ3のシリコーンレジンの合成
10Lのフラスコに、水4,380g及びキシレン1,800gを入れ、そこへトリクロロフェニルシラン1,903g、クロロジメチルビニルシラン361.5g、キシレン360gの混合溶液を内温が60℃を超えないように滴下し、その後60℃〜65℃で2時間撹拌を続けた。室温に冷却した後、水相を分離した。有機相を芒硝水で洗浄し、その後水酸化カリウム4.3gを加え、130℃〜140℃で12時間攪拌を続けた。キシレンを700g除去した後、50℃〜60℃に冷却し、更にクロロトリメチルシラン21.8g、酢酸カリウム19.9gを加え、50℃〜60℃で2時間攪拌を続けた。室温に冷却した後にろ過し、無色透明の平均組成式:MVi1Φ3のシリコーンレジンのキシレン溶液を得た(不揮発分約50質量%)。
【0043】
[調製例3] 平均組成式:DVi1Φ4のシリコーンレジンの合成
10Lのフラスコに水4,500g、及びトルエン1,605gを入れ、そこへトリクロロフェニルシラン1,862g、ジクロロメチルビニルシラン310g、トルエン384gの混合溶液を内温が60℃を超えないように滴下し、その後60℃〜65℃で2時間撹拌を続けた。室温に冷却した後、水相を分離した。有機相を重曹水で洗浄し、その後50質量%水酸化カリウム水溶液0.5gを加え、100℃〜110℃で2時間攪拌を続けた。40℃〜45℃に冷却した後、クロロトリメチルシラン1.45g、酢酸カリウム5.05gを加え、40℃〜45℃で2時間攪拌を続けた。その後、減圧濃縮により不揮発分が約50質量%となるようにトルエンを除去した。室温に冷却した後にろ過し、無色透明の平均組成式:DVi1Φ4のシリコーンレジンのトルエン溶液を得た(不揮発分約50質量%)。
【0044】
[調製例4] 平均組成式:MΦVi2Φ3.6のシリコーンオイルの合成
500mLのフラスコに水200g、及びトルエン117gを入れ、75℃に加温し、そこへジクロロジフェニルシラン100gを滴下し、80℃で3時間撹拌を続けた。室温に冷却した後、水相を分離した。有機相を無水硫酸ナトリウム10gで乾燥、ろ別し、ジクロロジフェニルシラン加水分解オリゴマーのトルエン溶液を得た。減圧濃縮によりトルエンを除去し、ジメチルジフェニルジビニルジシロキサン30.6gを加え混合した。更に濃硫酸5.0gを添加し、50℃/15mmHgの条件下、5時間縮合反応を行った。トルエン100g、10質量%芒硝水100gを加えて混合した後、水相を分離した。有機相を重曹水洗浄及び水洗浄し、その後減圧濃縮によりトルエンを除去した。得られた白濁液体をろ過し、無色透明で25℃における粘度が約2,000mPa・sの平均組成式:MΦVi2Φ3.6のシリコーンオイルを得た。
【0045】
[実施例1]
平均組成式:MΦVi2Φ3.6のシリコーンオイル22部、平均組成式:MVi1Φ3のシリコーンレジン53部、平均組成式:MH2Φ1のオルガノハイドロジェンポリシロキサン22部、及び下記式(4)で表されるエステル結合とメトキシシリル基を有する化合物(添加剤A)1部の混合物を、制御剤としての3−メチル−1−ドデシン−3−オール0.0056部及び触媒A0.05部と混合してオルガノポリシロキサン組成物を得た。この組成物を100℃で2時間、更に150℃で4時間加熱して硬化させたところ、得られたエラストマー(A)の硬度はShore Dで27であった。更に吸湿リフローの試験の結果を表1に示す。
【化3】

【0046】
[実施例2]
添加剤Aの替わりに、下記式(5)で表されるエステル結合とメトキシシリル基を有する化合物(添加剤B)1部を使用した以外は実施例1に従って組成物を調製した。このオルガノポリシロキサン組成物を100℃で2時間、更に150℃で4時間加熱して硬化させたところ、得られたエラストマー(B)の硬さはShore Dで25であった。更に吸湿リフローの試験の結果を表1に示す。
【化4】

【0047】
[比較例1]
添加剤Aの替わりに、N−アリル−N’,N”−ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(添加剤C)1部を使用した以外は実施例1に従って組成物を調製した。このオルガノポリシロキサン組成物を100℃で2時間、更に150℃で4時間加熱して硬化させたところ、得られたエラストマー(C)の硬さはShore Dで40であった。更に吸湿リフローの試験の結果を表1に示す。
【0048】
[比較例2]
添加剤Aの替わりに、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBM−403)1部を使用した以外は実施例1に従って組成物を調製した。このオルガノポリシロキサン組成物を100℃で2時間、更に150℃で4時間加熱して硬化させたところ、得られたエラストマー(D)の硬さはShore Dで30であった。更に吸湿リフローの試験の結果を表1に示す。
【0049】
[比較例3]
添加剤Aの替わりに、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBM−503)1部を使用した以外は実施例1に従って組成物を調製した。このオルガノポリシロキサン組成物を100℃で2時間、更に150℃で4時間加熱して硬化させたところ、得られたエラストマー(E)の硬さはShore Dで28であった。更に吸湿リフローの試験の結果を表1に示す。
【0050】
[実施例3]
平均組成式:MΦVi2Φ3.6のシリコーンオイル55.1部、平均組成式:DVi1Φ4のシリコーンレジン45部、平均組成式:MH2Φ1のオルガノハイドロジェンポリシロキサン28.6部、及び上記式(4)で表されるエステル結合とメトキシシリル基を有する化合物(添加剤A)1部の混合物を、制御剤としての3−メチル−1−ドデシン−3−オール0.2部及び触媒A0.3部と混合してオルガノポリシロキサン組成物を得た。この組成物を100℃で2時間、更に150℃で4時間加熱して硬化させたところ、得られたエラストマー(F)の硬度はShore Dで32であった。更に吸湿リフローの試験の結果を表2に示す。
【0051】
[実施例4]
添加剤Aの替わりに、上記式(5)で表されるエステル結合とメトキシシリル基を有する化合物(添加剤B)1部を使用した以外は実施例3に従って組成物を調製した。このオルガノポリシロキサン組成物を100℃で2時間、更に150℃で4時間加熱して硬化させたところ、得られたエラストマー(G)の硬さはShore Dで31であった。更に吸湿リフローの試験の結果を表2に示す。
【0052】
[比較例4]
添加剤Aの替わりに、N−アリル−N’,N”−ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(添加剤C)1部を使用した以外は実施例3に従って組成物を調製した。このオルガノポリシロキサン組成物を100℃で2時間、更に150℃で4時間加熱して硬化させたところ、得られたエラストマー(H)の硬さはShore Dで50であった。更に吸湿リフローの試験の結果を表2に示す。
【0053】
[比較例5]
添加剤Aの替わりに、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBM−403)1部を使用した以外は実施例3に従って組成物を調製した。このオルガノポリシロキサン組成物を100℃で2時間、更に150℃で4時間加熱して硬化させたところ、得られたエラストマー(I)の硬さはShore Dで30であった。更に吸湿リフローの試験の結果を表2に示す。
【0054】
[比較例6]
添加剤Aの替わりに、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBM−503)1部を使用した以外は実施例3に従って組成物を調製した。このオルガノポリシロキサン組成物を100℃で2時間、更に150℃で4時間加熱して硬化させたところ、得られたエラストマー(J)の硬さはShore Dで33であった。更に吸湿リフローの試験の結果を表2に示す。
【0055】
評価方法
吸湿リフロー試験用パッケージ
吸湿リフロー試験用のテストパッケージとして、LEDチップを搭載していない図1に示すような簡易パッケージを使用した。ここで、1が筐体、2,3がリード電極、4が封止樹脂(実施例及び比較例で得られたオルガノポリシロキサン組成物の硬化物)である。前記オルガノポリシロキサン組成物の硬化条件は100℃で2時間、更に150℃で4時間である。
【0056】
吸湿リフローの試験方法
作製したテストパッケージ10個を、85℃、85%RHの恒温恒湿槽に24時間入れた後、赤外線リフロー装置(260℃)を1回通し、外観の変化を観察した。結果を表1,2に示す。なお、樹脂のクラックやLEDパッケージからの剥離が確認されたものをNGとしてカウントした。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【符号の説明】
【0059】
1 筐体
2、3 リード電極
4 封止樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記平均組成式(1):
1aSiO(4-a)/2 (1)
(式中、R1は互いに同一又は異種の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、R1中の少なくとも1個がアリール基であり、全R1の0.1〜40モル%がアルケニル基であり、aは1≦a≦3を満たす正数である。)
で表される、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
(B)下記平均組成式(2):
2bcSiO(4-b-c)/2 (2)
(式中、R2は脂肪族不飽和基以外の互いに同一又は異種の非置換もしくは置換の1価炭化水素基、又はアルコキシ基であり、b及びcは、0.7≦b≦2.1、0.001≦c≦1.0、かつ0.8≦b+c≦3.0を満足する正数である。)
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)白金族金属を含むヒドロシリル化触媒、
(D)下記一般式(3)で表される化合物:
【化1】


(式中、R3,R4,R5はそれぞれ互いに同一又は異種の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、dは0、1又は2である。)
を含む硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項2】
(B)成分が、1分子中に少なくとも1個のケイ素原子結合アリール基を有する請求項1記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項3】
(D)成分の添加量が、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.1〜10質量部である請求項1又は2記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物からなる光学素子封止材。
【請求項5】
請求項4記載の封止材の硬化物で封止された光学素子。

【図1】
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【公開番号】特開2012−126834(P2012−126834A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280119(P2010−280119)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】