説明

硬化性組成物および成形体

【課題】硬度と耐溶剤性とを十分に両立する高屈折率の光学成形体、および、このような光学成形体を形成し得る硬化性組成物を提供すること。
【解決手段】一般式(1)で表される構造単位を有するポリマー(A)と、環状エーテル基を有するポリマーおよび/またはオリゴマー(B)とを含む、硬化性組成物。
【化1】


(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。OAは、直鎖または分岐のオキシエチレン、オキシプロピレン、およびオキシブチレンからなる群より選択される少なくとも1種のオキシアルキレン鎖を表す。nは、1〜100の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物および成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチック材料の光学用物品への進出は著しく、液晶ディスプレイ用パネル、カラーフィルター用保護膜、眼鏡レンズ、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、TFT(Thin Film Transistor)用のプリズムレンズシート、非球面レンズ、光ディスク用コーティング剤および接着剤、光ファイバー用コア材およびクラッド材、光ファイバー接続用接着剤、光導波路用コア材およびクラッド材等の様々な光学用物品への検討が盛んに行われている。プラスチック材料は成形加工が容易なこと、軽いこと等の特徴から幅広い用途に用いられるようになっている。
【0003】
光学レンズ等の光学部材用途として用いられている透明プラスチックにおいて、要求される性能として重要なものには、高屈折率、低比重、成形性、耐熱性、耐光性、復元性、耐衝撃性、高い硬度、低吸水性、成型品の歪精度、染色性等が挙げられる。近年では、これら特性の更なる向上が要求されるようになり、各種モノマー、オリゴマー、あるいはポリマーを用いて各種光学用途に応用可能なプラスチック材料が検討されてきた。
【0004】
通常、プラスチック材料を構造的に高屈折率な材料にする場合、プラスチック材料の分子構造中に芳香族環や不飽和基等のπ電子共役系の構造を導入する、もしくはフッ素原子以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子等の孤立電子対を有する原子を導入する等の方法がある。プラスチック材料の分子構造中に芳香族環を導入する場合は、導入される芳香族環の数により効果的に屈折率を高くすることができる。しかし、プラスチック材料、特にモノマーの場合においては、1分子中に芳香族環が多く入りすぎると成形時の硬化性が悪くなったり、硬化した場合であっても硬化して得られた光学部材そのものが黄変したり、硬度が高くなったものの脆くなったり、光学部材そのものの比重が大きくなる等の問題を生じる。また不飽和基を多く導入する方法では、それほど効果的な屈折率の上昇は期待できず、むしろ熱や光に対する安定性が悪くなることが懸念される。プラスチック材料の分子構造中にフッ素原子以外のハロゲン原子を導入する方法は、プラスチック材料そのものの屈折率を高くする効果は大きいが、ハロゲン原子を導入すればするほど硬化して得られる光学部材の比重が極めて大きくなり、さらには透明感のある硬化物が得られなかったり、耐衝撃性が悪くなったり、一般の分散染料による染色性に問題が生じることがある。プラスチック材料の分子構造中に硫黄原子を導入する方法も屈折率を高くする効果は大きいが、一般に硬化する前の樹脂組成物そのもの、あるいは硬化物から臭気が生じやすい。プラスチック材料の分子構造中にリン原子を導入する方法も、リン原子の導入が少ないと屈折率を高くする効果が十分に得られず、リン原子の導入がある程度多くなると硬化物そのものが脆くなったり、白化によって透明性が悪くなったり、吸水性が向上して耐水性が悪くなる可能性が強くなる。
【0005】
一方、カルバソイル基を有する化合物は、高屈折率、フォトリフラクティブ性、光導電性、正孔移送性等の光学特性に優れることが知られており、上記光学部材のみならず、ホログラム材料、あるいは複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成用トナーや画像形成部材、有機ELデバイス等への応用が期待されている(例えば、特許文献1〜4)。特に最近では、プラスチック材料に対する高屈折率化への要望から、カルバゾイル基を有する化合物の高屈折率が着目され、新規な透明性の高いプラスチック材料を開発する試みが多数行われている。しかし、低分子量のカルバゾール化合物を樹脂組成物に添加して用いる場合、ポリマーとの溶解性が悪く、均一に混合できないことが多い。また、強制的に均一混合を行った場合でも、樹脂マトリックスからのブリードアウト等の問題が発生する。また、反応性カルバゾール化合物であるN−ビニルカルバゾール(NVCz)は、低溶解性に加え、低共重合性、および毒性等の問題を有している。NVCzの重合体であるポリN−ビニルカルバゾールは、溶剤や可塑剤との相溶性が極めて悪く、さらに得られた成形体においても脆弱性や低靭性の問題から実用性が不十分である。従って、容易に硬化物を得ることができ、硬化成形体が高屈折率であって、かつ取り扱いが容易なプラスチック材料が切望されている。
【特許文献1】特開昭54−3061号
【特許文献2】特開平5−210344号
【特許文献3】特開平6−16720号
【特許文献4】特開2003−321516号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、硬度と耐溶剤性とを十分に両立する高屈折率の光学成形体、および、このような光学成形体を形成し得る硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の硬化性組成物は、一般式(1)で表される構造単位を有するポリマー(A)と、環状エーテル基を有するポリマーおよび/またはオリゴマー(B)とを含む。
【化1】

(式中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。OAは、直鎖または分岐のオキシエチレン、オキシプロピレン、およびオキシブチレンからなる群より選択される少なくとも1種のオキシアルキレン鎖を表す。nは、1〜100の整数を表す。)
【0008】
好ましい実施形態においては、上記ポリマー(A)が、環状エーテル基または酸無水物基を含む構造単位を有する。
【0009】
好ましい実施形態においては、上記硬化性組成物は、光学材料用樹脂組成物である。
【0010】
本発明の別の局面によれば、光学成形体が提供される。該光学成形体は、上記硬化性組成物を硬化させて得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、硬度と耐溶剤性とを十分に両立する高屈折率の光学成形体、および、このような光学成形体を形成し得る硬化性組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<A.硬化性組成物>
本発明の硬化性組成物は、一般式(1)で表される構造単位を有するポリマー(A)と、環状エーテル基を有するポリマーおよび/またはオリゴマー(B)とを含む。一般式(1)で表される構造単位を有するポリマー(A)を含むことにより、本発明の硬化性組成物は、他の材料(溶媒、他のポリマー/オリゴマー等)との高い相溶性を有するので、高い透明性を確保し得る。さらに、該硬化性組成物を硬化して得られる成形体は、高屈折である。また、環状エーテル基を有するポリマーおよび/またはオリゴマー(B)を含むことにより、本発明を硬化して得られる成形体は、高密度に架橋した構造を有し得る。その結果、該成形体は、高硬度であり、かつ、耐溶剤性に優れるという特徴を有し得る。
【0013】
A−1.一般式(1)で表される構造単位を有するポリマー(A)
一般式(1)で表される構造単位を有するポリマー(A)(以下、「ポリマー(A)」と称する場合がある。)としては、任意の適切なポリマーが採用され得る。
【化2】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。OAは、直鎖または分岐のオキシエチレン、オキシプロピレン、およびオキシブチレンからなる群より選択される少なくとも1種のオキシアルキレン鎖を表す。nは、1〜100の整数を表す。)
【0014】
一般式(1)中、OAは、好ましくは直鎖または分岐のオキシエチレン鎖、またはオキシプロピレン鎖、より好ましくはオキシエチレン鎖である。nは、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜3の整数である。
【0015】
ポリマー(A)は、代表的には、一般式(2)で表されるラジカル重合性基含有カルバゾールを含む単量体組成物を重合させて得られる。
【化3】

(式中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。OAは、直鎖または分岐のオキシエチレン、オキシプロピレン、およびオキシブチレンからなる群より選択される少なくとも1種のオキシアルキレン鎖を表す。nは、1〜100の整数を表す。)
【0016】
一般式(2)中、OAは、好ましくは直鎖または分岐のオキシエチレン鎖、またはオキシプロピレン鎖、より好ましくはオキシエチレン鎖である。nは、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜3の整数である。
【0017】
一般式(2)で表されるラジカル重合性基含有カルバゾールは、任意の適切な方法で調製され得る。例えば、N−(ヒドロキシアルキル)カルバゾールのエステル化反応を用いて調製され得る。
【0018】
単量体組成物中における一般式(2)で表されるラジカル重合性基含有カルバゾールの含有量の下限は、単量体組成物中の単量体合計100モル%に対し、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上である。また、同様に、一般式(2)で表されるラジカル重合性基含有カルバゾールの含有量の上限は、好ましくは100モル%以下、より好ましくは95モル%以下、さらに好ましくは90モル%以下である。10モル%未満では、十分に高い屈折率が得られないおそれがある。ラジカル重合性基含有カルバゾールの含有量が上記好適範囲を満たす場合、十分な硬度と耐溶剤性とを両立する高屈折率の光学成形体を得ることができる。
【0019】
本発明において、ポリマー(A)は、環状エーテル基または酸無水物基を含む構造単位をさらに有してもよい。ポリマー(A)が環状エーテル基または酸無水物基を含む構造単位を有する場合、硬化物がより多くの架橋点を有し、耐溶剤性や硬度が向上するので、好ましい。本発明において、環状エーテル基または酸無水物基は、1種で用いてもよく、2種以上用いてもよい。上記環状エーテル基としては、グリジシル基、エポキシ基、オキセタン基が挙げられ、好ましくはグリジシル基である。
【0020】
環状エーテル基または酸無水物基の含有量は、モノマー組成100モル%中、10モル%以上が好ましく、より好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上である。このような含有量で環状エーテル基または酸無水物基を有する場合には、硬化物の架橋密度が向上するので、耐溶剤性や硬度に優れた硬化物を得ることができる。また、上限としては、好ましくは60モル%以下、より好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは40モル%以下である。環状エーテル基または酸無水物基の含有量が60モル%より多い場合には、相対的に一般式(1)で表される構造単位の割合が減少するので、十分に高い屈折率が得られないおそれがある。
【0021】
環状エーテル基または酸無水物基を含む構造単位をさらに有するポリマー(A)は、代表的には、一般式(2)で表されるラジカル重合性基含有カルバゾールと環状エーテル基または酸無水物基を有する単量体とを含む単量体組成物を共重合させて得られる。この場合、得られるコポリマーは、ランダム構造であってもよく、ブロック構造であってもよい。
【0022】
上記環状エーテル基または酸無水物基を導入するための単量体の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート、オキセタニル(メタ)アクリレート等のラジカル重合性基含有環状エーテル化合物、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のラジカル重合性基含有酸無水物が挙げられる。これらの中でも、グリジシル(メタ)アクリレートが入手性、汎用性の点から好ましい。
【0023】
単量体組成物は、必要に応じて他の単量体を含み得る。他の単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のアクリレート単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート(例えば、三菱化学(株)製、商品名「4HBA」)、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート(例えば、ダイセル化学工業(株)製、商品名「プラクセルF」シリーズ)、α−ヒドロキシメチルエチルアクリレート、α−ヒドロキシメチルアクリレート等の水酸基含有単量体;3−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェネチル(メタ)アクリレート等のUVA含有単量体;1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート等のHALS含有単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルカルバゾール、酢酸ビニル等が挙げられる。本発明においては、他の単量体を1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0024】
他の単量体の含有量は、単量体組成物の単量体合計100モル%に対し、好ましくは30モル%以下、より好ましくは15モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。
【0025】
ポリマー(A)を得るための重合方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、溶液重合、懸濁重合、およびエマルション重合が挙げられる。好ましくは溶液重合である。
【0026】
溶液重合に用いられる溶媒としては、任意の適切な溶媒を採用し得る。好ましくは、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、クロロホルム等の非プロトン性の有機溶媒である。上記溶媒は、1種のみ用いても良いし、2種以上併用しても良い。
【0027】
溶媒の使用量は、上記単量体組成物100重量部に対して、好ましくは50〜300重量部、より好ましくは75〜275重量部、さらに好ましくは100〜250重量部の範囲である。溶媒の使用量が単量体組成物100重量部に対して50重量部未満の場合には、得られるポリマーの分子量が高くなりすぎるおそれがある。一方、溶媒の使用量が単量体組成物100重量部に対して300重量部を超える場合には、得られるポリマーの濃度が低くなり、場合によっては溶媒除去が必要となるおそれがある。
【0028】
溶液重合においては、代表的には、反応系内に予め単量体を含む溶液を仕込んでおき、該溶液に開始剤を含む溶液を滴下する。各溶液の濃度については、任意の適切な濃度を採用し得る。
【0029】
開始剤としては、任意の適切な開始剤を採用し得る。例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸アンモニウム等の重亜硫酸塩;亜硫酸塩やピロ亜硫酸塩、亜リン酸塩や次亜リン酸塩;2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物;等が挙げられる。好ましくはアゾ系化合物であり、さらに好ましくは2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)である。これらの開始剤は、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0030】
開始剤の使用量は、単量体の種類、濃度等に応じて適切に設定され得る。開始剤の使用量は、通常、単量体組成物100gに対して、0.1〜20g、好ましくは0.5〜15g、さらに好ましくは1〜10gである。開始剤の使用量が0.1g未満である場合、未反応の残存モノマーが多くなるおそれがある。また、20gを超える場合、多く添加する効果が得られず、不経済である。
【0031】
滴下に要する時間(滴下時間)は、好ましくは60分〜420分、より好ましくは60分〜300分、特に好ましくは90分〜240分である。滴下時間は、滴下する単量体や開始剤の種類によって、それぞれ異なっていても良い。滴下時間が60分未満であると、ポリマーが高分子量化するために樹脂粘度が高くなり、作業性が低下するおそれある。滴下時間が420分を超える場合には、生産性の点で問題が生じるおそれがある。
【0032】
上記重合反応における重合温度は、開始剤によって、任意の適切な温度を採用し得る。重合温度は、通常、50〜150℃、好ましくは60〜120℃、より好ましくは70〜110℃である。重合温度が低すぎると、得られるポリマーの重量平均分子量が上昇するおそれや、不純物の生成量が増加するおそれがある。50〜150℃という重合温度を選択することによって、従来公知の多くの開始剤が選択可能となる。なお、重合温度とは、重合反応中の反応溶液の温度をいう。重合温度の測定方法や制御手段については、任意の適切な方法や手段を採用し得る。例えば、一般に使用される装置を用いて測定すれば良い。
【0033】
代表的には、滴下終了後の反応液をさらに熟成させる。熟成時間は、好ましくは10〜420分間、より好ましくは20〜360分間、さらに好ましくは30〜300分間である。熟成時間が10分間未満の場合には、熟成が不十分なために単量体成分が残ることがあり、残存単量体に起因する不純物が形成して性能低下等を招くおそれがある。熟成時間が420分間を超える場合には、生産性の点で問題が生じるおそれがある。
【0034】
本発明のポリマー(A)を製造する際には、分子量を調整するために、必要に応じて、通常用いられる連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸、β−メルカプトプロピオン酸、メルカプト酢酸メチル等のメルカプタン系連鎖移動剤、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。なかでも、連鎖移動効果が高く、残存モノマーを低減でき、入手も容易であるn−ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸、β−メルカプトプロピオン酸が好ましい。連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は、用いるモノマーの組み合わせ、反応条件、目標とするポリマーの分子量等に応じて適宜設定されればよく、特に限定されない。ゲル化することなく、重量平均分子量が数千〜数万のポリマーを得ることができる点で、連鎖移動剤の使用量は、全モノマー成分に対して、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。
【0035】
反応液中のポリマーは、再沈殿法等、透析法等の任意の適切な精製方法により、精製することができる。好ましくは、作業性の観点から、再沈殿法である。
【0036】
上記のようにして得られるポリマー(A)の数平均分子量は、好ましくは100,000以下であり、より好ましくは1,000〜20,000、さらに好ましくは2,000〜10,000である。数平均分子量が1,000未満であると、架橋点の数が少なくなり、十分な硬度が得られない場合がある。一方、数平均分子量が100,000を越えると、ポリマー(A)の粘度が高くなり、作業性が低下する場合がある。
【0037】
A−2.環状エーテル基を有するポリマーおよび/またはオリゴマー(B)
環状エーテル基を有するポリマーおよび/またはオリゴマー(B)(以下、「ポリマー/オリゴマー(B)」と称する場合がある。)としては、任意の適切なものが採用され得る。好ましくは、1分子中に2個以上の環状エーテル基を有するポリマー/オリゴマー(B)が用いられる。このようなポリマー/オリゴマー(B)を用いる場合、硬度と耐溶剤性とをより一層向上させ得る。
【0038】
ポリマー/オリゴマー(B)の数平均分子量は、好ましくは100〜5,000、より好ましくは150〜3,000、さらに好ましくは200〜2,000である。このようなポリマー/オリゴマー(B)を用いることにより、硬化性組成物の粘度が低下するので作業性が向上し得、さらには、得られる成形体の硬度および耐溶剤性が向上し得る。
【0039】
ポリマー/オリゴマー(B)の環状エーテル基1個当たりの分子量は、好ましくは50〜2,500、より好ましくは75〜1,500、さらに好ましくは100〜1,000である。50未満であると、硬くて脆い成形体が得られる場合がある。2,500を超えると、得られる成形体の耐熱性および耐溶剤性が不十分となる場合がある。
【0040】
ポリマー/オリゴマー(B)の25℃での粘度は、好ましくは40Pa・s以下、より好ましくは20Pa・s以下である。このようなポリマー/オリゴマー(B)を用いることにより、低粘度で成形性に優れた硬化性組成物が得られ得る。粘度は、例えば、以下のようにして測定することができる。
〔粘度の測定方法〕
被測定物の25℃、回転速度:D=1/s時の粘度を、R/Sレオメーター(米国ブルックフィールド社製)によって測定する。粘度が20Pa・s以上の場合は、RC25−1を測定治具として使用し、20Pa・S未満の場合は、RC50−1またはRC75−1を測定治具として使用する。D=1/s時点の粘度が測定できないものについては、D=5〜100/sの値を外挿して、被測定物の粘度とする。
【0041】
ポリマー/オリゴマー(B)の具体例としては、エポキシ基含有化合物およびオキセタン基含有化合物が挙げられる。なかでも、エポキシ基含有化合物が好ましい。ポリマー/オリゴマー(B)は、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0042】
エポキシ基含有化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等の2官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルトリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリス・ヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂等の多官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、トルイジン型エポキシ樹脂等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロへキシルメチル−3,4−エポキシシクロへキシルカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ樹脂;等が挙げられる。なかでも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロへキシルメチル−3,4−エポキシシクロへキシルカルボキシレート、および、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペートが好ましく用いられる。
【0043】
オキセタン基含有化合物の具体例としては、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン等が挙げられる。
【0044】
ポリマー/オリゴマー(B)は、任意の適切な方法で調製することができる、また、市販製品を用いてもよい。市販製品としては、例えば、製品名「JER 828EL」(ジャパンエポキシレジン社製、ビスフェノールAエポキシ樹脂)、製品名「JER YX8000」(ジャパンエポキシレジン社製、水素化ビスフェノールAエポキシ樹脂)、製品名「セロキサイド2021P」(ダイセル化学社製、脂環式エポキシ樹脂)が挙げられる。
【0045】
本発明の硬化性組成物中におけるポリマー/オリゴマー(B)の含有量は、上記ポリマー(A)100重量部に対し、好ましくは10〜800重量部、より好ましくは15〜600重量部、さらに好ましくは20〜500重量部である。
【0046】
A−3.その他の成分
本発明の硬化性組成物は、必要に応じて、重合開始剤、硬化促進剤、無機粒子、UV吸収剤、IRカット剤、顔料、染料、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、離型剤等をさらに含み得る。
【0047】
重合開始剤は、ラジカル重合開始剤であってもよく、カチオン重合開始剤であってもよい。好ましくはカチオン重合開始剤である。カチオン重合によれば、硬化性組成物の硬化収縮が小さいので、寸法安定性が優れるからである。また、カチオン重合は、空気中での硬化が可能であり、ラジカル重合のように酸素除去のための設備を必要としないという利点を有する。重合開始剤が含まれると、所定の重合開始要因に応じて、組成物の重合(硬化)が開始されるので、効率良く光学部材を形成することができる。
【0048】
カチオン重合開始剤としては、代表的には、紫外線等の活性エネルギー線によりカチオン種またはルイス酸を発生する光カチオン重合開始剤、および/または、熱によりカチオン種またはルイス酸を発生する熱カチオン重合開始剤が採用される。
【0049】
光カチオン重合開始剤としては、例えば、米国特許第3379653号に記載されたような金属フルオロホウ素錯塩および三フッ素化ホウ素錯化合物;米国特許第3586616号に記載されているようなビス(ペルフルオルアルキルスルホニル)メタン金属塩;米国特許第3708296号に記載されているようなアリールジアゾニウム化合物;米国特許第4058400号に記載されているようなVIa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4069055号に記載されているようなVa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4068091号に記載されているようなIIIa〜Va族元素のジカルボニルキレート;米国特許第4139655号に記載されているようなチオピリリウム塩;米国特許第4161478号に記載されているようなMF陰イオン(ここで、Mは、リン、アンチモン、およびヒ素から選択される)の形のVIb元素;米国特許第4231951号に記載されているようなアリールスルホニウム塩;米国特許第4256828号に記載されているような芳香族ヨードニウム錯塩および芳香族スルホニウム錯塩;W.R.Wattらによって「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス(Journal of Polymer Science)、ポリマーケミストリー(Polymer Chemistry)版」、第22巻、1789項(1984年)に記載されているようなビス[4−(ジフェリルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロ金属塩(例えば、リン酸塩、ヒ酸塩、アンチモン酸塩等);鉄化合物の混合配位子金属塩;シラノール−アルミニウム錯体;等が挙げられる。これらの光カチオン重合開始剤は、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0050】
なかでも、光カチオン重合開始剤としては、アリールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族ヨードニウム錯塩または芳香族スルホニウム錯塩、II族、V族およびVI族元素の芳香族オニウム塩が好適である。このような光カチオン重合開始剤としては、商品名「UVI−6992」(ダウ・ケミカル社製)、商品名「FX−512」(3M社製)、商品名「UVR−6990」、「UVR−6974」(ユニオン・カーバイド社製)、商品名「KI−85」(デグッサ社製)、商品名「SP−150」、「SP−170」(旭電化社製)、商品名「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」(三新化学工業社製)等の市販製品を用いることができる。
【0051】
熱カチオン重合開始剤としては、例えば、トリフル酸(トリフルメタンスルホン酸)塩、三フッ化ホウ素エーテル錯化合物、三フッ化ホウ素等のカチオン系またはプロトン酸触媒が挙げられる。これらの熱カチオン重合開始剤は、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0052】
なかでも、トリフル酸塩が好ましく、トリフル酸ジエチルアンモニウム(例えば、3M社製、商品名「FC−520」)、トリフル酸トリエチルアンモニウム、トリフル酸ジイソプロピルアンモニウム、トリフル酸エチルジイソプロピルアンモニウム等(これらの多くは、R.R.Almによって1980年10月発行の「モダン コーティングス(Modern Coatings)」に記載されている。)が挙げられる。
【0053】
光カチオン重合開始剤として用いられる芳香族オニウム塩の中には、熱によりカチオン種を発生するものがある。これらは、熱カチオン重合開始剤としても用いられ得る。このような開始剤としては、例えば、商品名「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」(三新化学工業社製)が挙げられる。
【0054】
上記光および熱カチオン重合開始剤のうち、取り扱い性に優れ、潜在性と硬化性とのバランスに優れることから、オニウム塩が好ましく、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、およびホスホニウム塩がより好ましい。
【0055】
重合開始剤の使用量としては、上記ポリマー(A)およびポリマー/オリゴマー(B)の合計100重量部に対し、0.05〜5重量部であることが好ましく、0.1〜2重量部であることがより好ましい。
【0056】
硬化促進剤としては、任意の適切な硬化促進剤が採用され得る。具体的には、トリエタノールアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、ジメチルアミノエタノール等の三級アミン、三級アミン塩、第四級アンモニウム塩、イミダゾール化合物、ジアザビシクロアルケン化合物、トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物、第四級ホスホニウム塩、ホウ素化合物、有機金属塩等が挙げられる。硬化促進剤を用いることにより、特に上記ポリマー(A)が酸無水物基を含む構造単位を有する場合に、エポキシ基との硬化を促進し、生産性を高めることができる。硬化促進剤の使用量は、硬化性組成物100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。
【0057】
無機粒子としては、任意の適切な無機粒子が採用され得る。例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニアが好ましく用いられる。無機微粒子は組成物を硬化させる際の硬化収縮率を低減させ、クラックや部品の精密な形状、寸法を設計通りに再現させたり、耐熱性や熱伝導率の向上を発現させ得る。無機微粒子の平均粒子径は、好ましくは50nm以下である。硬化性組成物の透明性を維持し得るからである。また、無機微粒子には、有機化処理等の前処理を行うことが好ましい。
【0058】
A−4.製造方法
本発明の硬化性組成物は、代表的には、上記の各成分と溶媒とを混合することにより得られる。溶媒としては、上記ポリマー(A)およびポリマー/オリゴマー(B)を溶解し得る溶媒が好ましく用いられ得る。例えば、クロロホルム、トルエン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等が好ましく用いられる。
【0059】
硬化性組成物の固形分濃度は、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは20〜40重量%である。固形分濃度が上記範囲内である場合、低粘度で作業性に優れるという利点がある。なお、本明細書において、固形分とは、溶媒等の反応性置換基を有さず、硬化前または硬化後に揮発させる成分を除いたものを意味する。
【0060】
A−5.用途
本発明の硬化性組成物は、硬化によって、高屈折かつ高透明性であり、さらには、硬度と耐溶剤性に優れた成形体を形成し得る。したがって、本発明の硬化性組成物は、例えば、レンズ、レンズシート(フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、プリズムシート)、反射防止フィルム)等の光学部材(光学材料)を形成するために好ましく用いられる。すなわち、1つの実施形態において、本発明の硬化性組成物は、光学材料用樹脂組成物であり得る。
【0061】
<B.光学成形体>
本発明の光学成形体は、上記硬化性組成物を硬化することにより得られる。硬化方法としては、任意の適切な硬化方法が採用され得る。例えば、加熱や、活性エネルギー線(電磁波、紫外線、可視光線、赤外線、電子線、ガンマー線等)の照射が挙げられる。
【0062】
加熱により硬化する場合、好ましくは50〜200℃、より好ましくは80〜180℃、さらに好ましくは100〜160℃の温度で加熱する。加熱温度が50℃を下回ると、硬化速度が遅くなり、生産性が低下する場合がある。また、不完全硬化となり、得られる硬化物の物性が低下する場合がある。一方、加熱温度が200℃を上回ると、急激に硬化が進むため、硬化物の発泡、クラックや成形品の反り等の不具合が発生する場合がある。加熱時間は、加熱温度に応じて適切に設定され得る。
【0063】
紫外線により硬化する場合、波長150〜450nmの範囲内の光を含む光源を用いることが好ましい。このような光源としては、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、カーボンアーク灯等が好適である。これらの光源とともに、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等による熱の併用も可能である。照射量は、例えば、100〜5,000mJ/cmである。
【0064】
本発明の硬化性組成物を硬化して得られる光学成形体は、高屈折かつ高硬度であり、さらには、透明性が高いので、レンズ、レンズシート(フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、プリズムシート)、反射防止フィルム)等の光学部材;フォトリフラクティブ材料;光導電性材料;正孔移送材料;等として好適に用いられる。該成形体の屈折率は、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.55以上である。また、該成形体の硬度(鉛筆硬度)は、好ましくはF以上、より好ましくはH以上である。また、該成形体の可視光透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。
【実施例】
【0065】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、実施例における部および%は重量基準である。
【0066】
実施例における各評価方法を以下に示す。
〔屈折率〕
アッベ屈折計(アタゴ社製、製品名「DR−M2」)によって測定した。
〔硬度〕
JIS−K−5400 8.4.1に準じて鉛筆引っかき試験を行い、傷がついたときの鉛筆硬度を硬度とした。
〔耐溶剤性試験〕
メチルエチルケトンを染み込ませた脱脂綿で試験片表面を50回ラビングしたときの塗膜の状態を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
◎:変化なし
○:傷が認められる
×:塗膜が溶解消失する
〔数平均分子量〕
数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定した値である。
測定装置:東ソー社製「HLC−8220GPC」
カラム:東ソー社製「TSK−Gel Super HZM−N 6.0*150」4本を接続したもの
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.6mL/分
温度:40℃
検量線:ポリスチレン標準サンプル(東ソー社製)を用いて作成
【0067】
[合成例1]
温度計、ガス吹き込み管、滴下ロート、還流冷却器、および撹拌機を備えた4つ口フラスコに、カルバゾイルエチルアクリレート40g、グリシジルメタクリレート10g、1,4−ジオキサン107gを仕込み、窒素気流下で撹拌しながら85℃まで昇温した。一方、滴下ロート内に、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1.5g、1,4−ジオキサン10gからなる混合液を投入した。前記フラスコ内の溶液を85℃で撹拌しながら、該フラスコ内に滴下ロート内の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、85℃で4時間熟成した。反応終了後の反応溶液にヘキサン1000gを加えて再沈殿を行い、カルバゾイルエチルアクリレート・グリシジルメタクリレートコポリマー(ポリマー1)30gを得た。得られたポリマー1の数平均分子量は、9,000であった。
【0068】
[合成例2]
カルバゾイルエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、および、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の使用量を、それぞれ、50g、0g、および、4.5gとした以外は合成例1と同様にして、ポリカルバゾイルエチルアクリレート(ポリマー2)33gを得た。得られたポリマー2の数平均分子量は、6,000であった。
【0069】
[実施例1〜6、比較例1〜2]
表1に示す配合で各成分を混合することにより、硬化性組成物を調製した。得られた硬化性組成物を2mm×150mm×70mmガラス板に10milアプリケーターで塗工し、150℃で3時間焼き付けを行うことにより、塗膜(フィルム)を得た。得られた塗膜をガラス板から剥離し、屈折率を測定した。また、得られた硬化性組成物を2mm×150mm×70mmガラス板にバーコーター♯50で塗工し、150℃で3時間焼き付けを行うことにより、塗膜(フィルム)を得た。得られた塗膜の硬度および耐溶剤性を調べた。結果を表1に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
表1に示すとおり、本発明によれば、硬度と耐溶剤性とを十分に両立する高屈折率の光学成形体、および、このような光学成形体を形成し得る硬化性組成物が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、光学部材の製造分野等において好適に利用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される構造単位を有するポリマー(A)と、環状エーテル基を有するポリマーおよび/またはオリゴマー(B)とを含む、硬化性組成物。
【化1】

(式中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。OAは、直鎖または分岐のオキシエチレン、オキシプロピレン、およびオキシブチレンからなる群より選択される少なくとも1種のオキシアルキレン鎖を表す。nは、1〜100の整数を表す。)
【請求項2】
前記ポリマー(A)が、環状エーテル基または酸無水物基を含む構造単位を有する、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
光学材料用樹脂組成物である、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化させて得られる、光学成形体。

【公開番号】特開2009−91465(P2009−91465A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263464(P2007−263464)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】