説明

硬化性組成物及びその硬化物を含む弾性ローラ、ならびに、その製造方法。

【課題】 ヒドロシリル化反応による弾性体を低硬度化するには、架橋点間分子量を大きくしたり、アルケニル基を含有する化合物とヒドロシリル基を含有する化合物の反応率を制御することで実現できるが、弾性体表面のタック性が大きくなることが問題となっていた。弾性ローラ表面のタック性を改善する(タック性を小さくする)ことにより、筒状金型からの離型性を向上させた弾性ローラを提供することを課題とする。
【解決手段】 「下記の(A)〜(D)成分を必須成分として含む硬化性組成物。
(A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体。
(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物。
(C)ヒドロシリル化触媒。
(D)エステル官能基及び/またはアルコール官能基を有する化合物であって、融点が40〜100℃の範囲である該化合物。」を使用することにより、前記課題を解決するに至った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物が硬化して得られる弾性体が、他の材料との離型性、滑性を付与することを目的とした硬化性組成物、または電子写真複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ、これらの複合OA機器等の電子写真方式を利用した画像形成装置に組み込まれる弾性ローラの硬化性組成物の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種成形体を得るためには、用途に合った成形方法を採用し、その成形方法が可能な成形金型を作製する必要がある。成形方法としては、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、移送成形及び注型成形等が挙げられる。成形金型から成形体を離型するには、成形金型内面をメッキ、離型剤及び滑剤等で処理したり、あるいは、離型剤及び滑剤等を成形体に内添することにより、成形体表面を改質し、離型性を向上させることが一般的である。
【0003】
前記技術分野における弾性ローラは、筒状金型内に、成形体となる熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂を注入し、ローラ形状となったものを筒内から離型する必要がある。離型方法の1つに、筒状金型がローラの長さ方向で半分に割れる割型を使用するケースがあるが、割型特有のパーティングラインがローラ表面に残る。電子写真方式を利用した画像形成装置に組み込まれる弾性ローラ(以下、電子写真用弾性ローラとする)では、パーティングラインによるローラ表面の凹凸が画像欠陥として現れる。ローラ表面を研磨することにより平滑にすることも考えられるが、低硬度が要求される電子写真用弾性ローラにおいては研磨するのは困難であり、成形工数が増える点からも好ましくない。これらの観点から、電子写真用弾性ローラの成形には、筒状金型から弾性ローラを引き抜く、あるいは押し抜く方法が好適である。
【0004】
電子写真用弾性ローラは、帯電ローラ、現像ローラ及び定着ローラ等の用途で使用されている。例えば、非磁性一成分現像方式の現像ローラにおいては、トナーの搬送量を制御するために、現像ローラと感光体の間には、適当なニップ幅が必要であり、低硬度の現像ローラが要求されている。低硬度化するためには、成形体中に可塑剤を添加することが考えられるが、感光体等の部材やトナー中に可塑剤がブリード、汚染することにより、画像欠陥が発生する。低硬度で可塑剤を使用しない弾性ローラとして、ヒドロシリル化反応を利用した弾性ローラが提案されており(例えば、特許文献1及び2)、ヒドロシリル化反応により低硬度化するためには、架橋点間分子量を大きくしたり、弾性体の原料である、アルケニル基あるいはアルキニル基を含有する化合物と、ヒドロシリル基(SiH基)を含有する化合物の反応率を制御すれば良い。ただし、このようにして、低硬度化した弾性ローラは、ローラ表面のタック性が大きくなり、筒状金型からの離型が困難となる。
【特許文献1】特開平11−231706号公報。
【特許文献2】特開平9−292767号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる実状を鑑みてなされたものであり、成形金型で成形された成形体の離型性を向上させた硬化性組成物を提供し、特に低硬度が必要な弾性ローラにおいて、弾性ローラ表面のタック性を改善する(タック性を小さくする)ことにより、筒状金型からの離型性を向上させた弾性ローラを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決するために、鋭意研究を重ね、
「下記の(A)〜(D)成分を必須成分として含む硬化性組成物。
(A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体。
(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物。
(C)ヒドロシリル化触媒。
(D)エステル官能基及び/またはアルコール官能基を有する化合物であって、融点が40〜100℃の範囲である該化合物。」
を用いることで、成形金型で成形された成形体の離型性を改善し、特に低硬度が必要な弾性ローラにおいて、弾性ローラ表面のタック性を改善する(タック性を小さくする)ことを見出し、本発明に至った。
【0007】
(1)本発明の第1は、
「下記の(A)〜(D)成分を必須成分として含む硬化性組成物。
(A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体。
(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物。
(C)ヒドロシリル化触媒。
(D)エステル官能基及び/またはアルコール官能基を有する化合物であって、融点が40〜100℃の範囲である該化合物。」、
である。
【0008】
(2)本発明の第2は、

「前記(D)成分と前記(A)成分とを含み、前記(D)成分が前記(A)成分に溶解している混合物」と、
(B)成分と、
(C)成分と、
を含む混合物を作製する工程を経て得られうる、(1)に記載の硬化性組成物。
」、である。
【0009】
(3)本発明の第3は、
前記(A)成分の重量と(D)成分の重量との合計100重量部に対して、
前記(A)成分の含有量が95.0重量部以上、99.8重量部以下であり、
(D)成分の含有量が0.2重量部以上、5.0重量部以下である、
(1)〜(2)のいずれか1項に記載の硬化性組成物、
である。
【0010】
(4)本発明の第4は、
前記(A)成分の有機重合体がオキシアルキレン系重合体である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の硬化性組成物、
である。
【0011】
(5)本発明の第5は、
さらに(E)導電性付与剤を含む、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の硬化性組成物、
である。
【0012】
(6)本発明の第6は、
40℃における粘度が1〜500Pa・sの範囲である(1)〜(5)のいずれか1項に記載の硬化性組成物、
である。
【0013】
(7)本発明の第7は、
(1)〜(6)のいずれか1項に記載の硬化性組成物を100〜160℃の範囲で硬化させて得られうる硬化物を含む弾性層を、
導電性支持部材の周りに少なくとも1層備える、弾性ローラ、
である。
【0014】
(8)本発明の第8は、
「(1)〜(6)のいずれか1項に記載の硬化性組成物を筒状金型内に注入し100〜160℃の範囲で硬化させて得られうる(7)に記載の弾性ローラを、
筒状金型から押し出す工程
及び/又は
筒状金型から引き出す工程
を有する、弾性ローラの製造方法」、
である。
(9)本発明の第9は、
(1)〜(6)のいずれか1項に記載の硬化性組成物を、100〜160℃の範囲で硬化させて得られうる、硬化物、
である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の硬化性組成物及びそれからなる弾性ローラを用いれば、成形金型で成形された成形体の離型性を向上させた硬化性組成物を提供することができる。特に低硬度が必要な弾性ローラにおいて、弾性ローラ表面のタック性を改善する(タック性を小さくする)ことができるため、筒状金型からの離型性を向上することができる。
【0016】
(1)本発明の第1は、
「下記の(A)〜(D)成分を必須成分として含む硬化性組成物。
(A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体。
(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物。
(C)ヒドロシリル化触媒。
(D)融点が40〜100℃の範囲であるエステル化合物
及び/または
融点が40〜100℃の範囲であるアルコール化合物。」、
である。
【0017】
本発明の(D)成分は、
常温(10〜30℃、好ましくは25℃程度)付近の環境下で固体であり、
該(D)成分を含む硬化性組成物の硬化時には(D)成分が液体であるような、
エステル官能基及び/またはアルコール性水酸基を有する化合物が好適であり、
一般的に滑剤と呼ばれる化合物が使用される。
硬化性組成物の硬化前の状態では、本発明の(A)〜(C)成分と(D)成分との相溶性が重要であり、相溶性が悪い材料では、硬化性組成物中で(D)成分が不均一となり、成形後の硬化物の離型性及び滑性の効果にばらつきが出る。硬化時は100℃以上の高温になる場合が多く、(D)成分は(A)〜(C)成分からなる硬化性組成物中で液体として存在する。その後、成形金型から離型する際には、一旦金型を冷却するので、成形体は(D)成分の融点以下になる。この過程で、(D)成分は成形体表面に存在することにより、(D)成分由来の滑性及び離型性の効果を好適に発現することができる。
【0018】
また、本発明では、40℃における粘度が1〜500Pa・sの範囲である硬化性組成物であるため、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、移送成形、また注型成形等を行う際に、容易に、金型中に導入することができる。
また、本発明では、前記の硬化性組成物を100〜160℃の範囲で硬化させて得られうる硬化物を含む弾性層を、導電性支持部材の周りに少なくとも1層備える、弾性ローラ、であるため、(D)成分の融点以上で硬化させることから、(D)成分由来の滑性、離型製の効果を好適に発現することができる。
また、本発明では、「前記の硬化性組成物を筒状金型内に注入し100〜160℃の範囲で硬化させて得られうる、前記の記載の弾性ローラを、
筒状金型から押し出す工程
及び/又は
筒状金型から引き出す工程
を有する、弾性ローラの製造方法」、
であるため、筒状金型から押し出す工程、及び/又は筒状金型から引き出す工程において、(D)成分由来の滑性及び離型性の効果を好適に発現することができる。
また、本発明は、前記の硬化性組成物を、100〜160℃の範囲で硬化させて得られうる、硬化物、である。これによって、(D)成分由来の滑性及び離型性の効果を好適に発現することができるような、硬化物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0020】
本発明の(D)成分は、
エステル官能基及び/またはアルコール性水酸基を有する化合物であって、融点が40〜100℃の範囲である該化合物であり、
化合物中に、エステル官能基である、
【0021】
【化1】

及び/または、アルコール官能基である、
【0022】
【化2】

の構造を持ち、かつ、融点が40〜100℃の範囲である化合物であれば、特に限定されるものではない。(D)成分中のエステル官能基とアルコール官能基は、どちらか一方が一分子中に存在していれば良く、一分子中にエステル官能基とアルコール官能基の両方が存在しても良い。また、異なる2種以上のエステル官能基を有する化合物、アルコール官能基を有する化合物を併用しても良く、エステル官能基を有する化合物とアルコール官能基を有する化合物の両方を併用しても良い。エステル官能基を有する化合物及びアルコール官能基を有する化合物は、一般的に滑剤として使用される化合物を好適に使用することができる。エステル官能基を有する化合物の具体例としては、長鎖脂肪酸の高級アルコールエステル類(例えば、ステアリル酸ステアリル、ベヘニル酸ベヘニル等)、長鎖脂肪酸のグリコール(モノ、ジ)エステル類(例えば、プロピレングリコールジステアレート)、長鎖脂肪酸のグリセリン(モノ、ジ、トリ)エステル類(例えば、ステアリン酸モノグリセライド)、ペンタエリスリトール(モノ、ジ、トリ、テトラ)エステル類(例えば、ペンタエリスリトールテトラステアレート)が挙げられるが、これに限定されるものではない。アルコール官能基を有する化合物の具体例としては、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0023】
また、(D)成分は融点が40〜100℃の範囲(40℃以上、100℃以下。以下、同じ)である必要があり、融点が40℃未満の場合では、(A)〜(D)成分を必須成分として含む硬化性組成物を硬化させた後、冷却、離型する際に、成形体表面の(D)成分の融点以下にするためには、十分に冷却する必要があるため、冷却時間が長くなるため、生産性が悪くなる。また、特にプリンターやコピー機等の電子写真機器部材の弾性ローラとして使用する場合においては、電子写真機器は高温下でも使用する場合があり、(D)成分が融解して他部材への汚染が問題となる。融点が100℃を超える場合は、融点が高いために硬化性組成物中で、(D)成分が均一にならずに、ローラ表面の離型性及び滑性を効果的に発現しない。(D)成分を硬化性組成物中で一旦融解させ、均一にする必要があるため、融点が40〜100℃の範囲である(D)成分を使用し、好適に離型性及び滑性を発現させるために、硬化性組成物を(D)成分の融点以上である、100〜160℃の範囲で硬化させることが好ましい。100℃以下の場合では、硬化性組成物が短時間で硬化しないため、生産性が悪くなり、160℃以上の場合では、硬化性組成物の分解も進行するために、硬化物の弾性特性が悪くなる。
【0024】
前述のように、本発明の硬化性組成物の離型性及び滑性を好適に発現するためには、(D)成分を(A)〜(C)成分からなる硬化性組成物中に均一に融解させることが好ましい。(A)〜(D)成分を混合、硬化させると、(D)成分の融点以上になる前に硬化反応も進行するために、(D)成分が不均一に融解、分散された状態になり、硬化物表面の離型性、滑性にバラツキが出る場合がある。このような課題を解決するために、(A)成分と(D)成分のみを(D)成分の融点以上の温度まで昇温し、(A)成分中に(D)成分を均一に融解させ、その後(B)成分と(C)成分を配合し、硬化させることで前記課題を解決することができる。(B)成分と(C)成分を配合した際に、温度が高いとすぐに硬化反応が進行し、硬化した弾性体のバラツキに影響するため、(A)成分と(D)成分を均一に融解した後、一旦(D)成分の融点以下にした後に、(B)成分と(C)成分を配合することがさらに好ましい。
【0025】
また、本発明の硬化性組成物からなる硬化物の離型性及び滑性を効果的に発現するためには、
前記(A)成分の重量と(D)成分の重量との合計100重量部に対して、
(A)成分の配合量が95.0重量部以上、99.8重量部以下、
(D)成分の配合量が0.2重量部以上、5.0重量部以下である
ことが好ましい。さらに、(A)成分の配合量が97.0重量部以上、99.5重量部以下、(D)成分の配合量が0.5重量部以上、3.0重量部以下であることが好ましい。(D)成分の配合量が0.2重量部以下の場合には、添加量が少なすぎるために、硬化物表面の離型性及び滑性が好適に発現しない。また、5.0重量部以上の場合には、添加量が多すぎるために、好適なゴム弾性が得られないと共に、場合によっては、硬化前の硬化性組成物が融点以下になったときに、硬化性組成物の流動性がなくなり、成形が困難となる。このように、金型内に充填する場合においては、適度な流動性が必要となるため、硬化性組成物の20℃×60%RHにおける粘度が1〜500Pa・sの範囲であることが好ましい。粘度が1Pa・s以下の場合には粘度が低すぎるために、加熱硬化時に金型内から金型外への樹脂漏れ量が多くなるため、硬化物から得られる成形体が所定の寸法にならず、部分的に凹み等の欠陥を生じる。500Pa・s以上の場合には粘度が高すぎるために、金型内への充填時間が長くなるため、生産性が悪くなり、また、金型全体に充填できず、未充填部分が発生する。
【0026】
次に本発明の(A)成分について説明する。
【0027】
前記(A)成分の、分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体のアルケニル基とは、ヒドロシリル化反応に対して活性のある炭素−炭素2重結合を含む基であれば特に制限されるものではない。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環式不飽和炭化水素基、メタクリル基等が挙げられる。好適には、下記一般式(1)、
C=C(R)−CH− (1)(式中、Rは水素原子またはメチル基)
で示されるアルケニル基が、硬化性に優れる点で特に好ましい。また、(A)成分は、上記ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を重合体末端に導入されていることが望ましい。このようにアルケニル基が重合体末端にあるときは、最終的に形成される硬化物の有効網目鎖量が多くなり、高強度のゴム状硬化物が得られやすくなるなどの点から好ましい。
【0028】
また、(A)成分の有機重合体の主鎖は任意の重合体から選ぶことができ、特に制限されるものではない。例えば、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ポリオキシアルキレン、ポリシロキサン、ポリスルフィドなどが挙げられる。特に、オキシアルキレン単位からなる重合体(オキシアルキレン系重合体)は、硬化前に低粘度であるため扱いやすく、また、弾性ローラの用途で使用する場合、硬化物が特に柔軟な構造を持つため、肉厚を薄くしても十分にその弾性効果を発揮するという点で、好ましい。
【0029】
また、本発明の硬化性組成物の(A)成分として使用される前記オキシアルキレン系重合体とは、主鎖を構成する単位のうち30モル%以上、好ましくは50モル%以上がオキシアルキレン単位からなる重合体が好ましく、オキシアルキレン単位以外に含有される単位としては、重合体製造時の出発物質として使用される、活性水素を2個以上有する化合物、たとえば、エチレングリコール、ビスフェノール系化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどからの単位が挙げられる。なお、オキシアルキレン単位は、一種類である必要はなく、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどからなる共重合体(グラフト重合体も含む)であってもよい。電気特性の環境安定性において、主鎖骨格として比較的吸水性の低いオキシプロピレン単位、またはオキシブチレン単位からなる重合体であることが好ましく、コスト面を考慮すると、オキシプロピレン単位からなる重合体が、特に好ましい。
【0030】
上記のようなオキシアルキレン系重合体(ポリオキシアルキレン系重合体)の分子量としては、数平均分子量(Mn)(GPC法、ポリスチレン換算)で500〜50,000であることが、その取扱やすさ、硬化後のゴム弾性の点で好ましい。数平均分子量が500未満の場合、この硬化性組成物を硬化させた場合に充分な機械的特性(ゴム硬度、伸び率)などが得られにくくなる。一方、数平均分子量が50,000以上の場合、分子中に含まれるアルケニル基1個あたりの分子量が大きくなったり、立体障害で反応性が落ちたりするため、硬化が不充分になることが多く、また、粘度が高くなりすぎて加工性が悪くなる傾向にある。
【0031】
次に、前記(B)成分である分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物(以下、硬化剤ともいう)は、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物であれば良いが、分子中に含まれるヒドロシリル基の数が多すぎると、硬化後も多量のヒドロシリル基硬化物中に残存しやすくなり、ボイドやクラックの原因となるため、その数を50個以下に調整するのが好ましく、更には、硬化物のゴム弾性の制御や貯蔵安定性を良好にする観点からは、2〜30個に調整することがより好ましい。尚、本発明において、ヒドロシリル基を1個有するとは、Siに結合するHを1個有することを意味する。よって、SiHの場合にはヒドロシリル基を2個有することになるが、Siに結合するHは異なるSiに結合する方が、硬化性とゴム弾性の点から好ましい。
【0032】
このような硬化剤(分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物)の分子量は、成形品の加工性を良好にする観点からは、数平均分子量(GPC法、ポリスチレン換算)(Mn)で30,000以下に調整するのが好ましく、更に、上記ベースポリマーとの反応性や相溶性を良好にする観点からはMnで300〜10,000に調整するのがより好ましい。
【0033】
また、以上の硬化剤(分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物)は、ベースポリマーの凝集力が硬化剤の凝集力に比べて大きいことを考慮すると、相溶性の点でフェニル基含有変性体を有することが重要であり、入手のし易さの点ではスチレン変性体が好適であり、貯蔵安定性の観点からはα−メチルスチレン変性体が好適である。
【0034】
(C)成分であるヒドロシリル化触媒については、特に制限はなく、任意のものが使用できる。具体的に例示すれば、
塩化白金酸、白金の単体、アルミナ、シリカ、カ−ボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;
白金ービニルシロキサン錯体{例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt〔(MeViSiO)};
白金−ホスフィン錯体{例えば、Pt(PPh、Pt(PBu};
白金−ホスファイト錯体{例えば、Pt〔P(OPh)、Pt〔P(OBu)(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは整数を表す)、Pt(acac)
また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラ−ト触媒も挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh、RhCl、Rh/Al、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)等が好ましい。触媒量としては特に制限はないが、(A)成分中のアルケニル基1molに対して10−1〜10−8molの範囲で用いるのがよい。ヒドロシリル化反応を十分に進行させるには、10−2〜10−6molの範囲で用いるのがさらに好ましい。また、ヒドロシリル化触媒は、一般に高価で腐食性であり、また、水素ガスを大量に発生して硬化物が発泡してしまう場合があるので10−1モル以上用いない方がよい。
【0035】
前記(A)〜(D)成分を必須成分とする硬化性組成物に、導電性を付与するために、(E)成分である導電性付与剤を添加することができる。(E)成分である導電性付与剤は、特に制限はなく、任意のものを使用することができる。導電性付与剤としては、カーボンブラック、金属微粉末、有機リチウム塩、無機リチウム塩、さらには、第4級アンモニウム塩基、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基等を有する有機化合物もしくは重合体、エーテルエステルアミド、もしくはエーテルイミド重合体、エチレンオキシド---−エピハロヒドリン共重合体、メトキシポリエチレングリコールアクリレートなどで代表される導電性ユニットを有する化合物、または高分子化合物などの帯電防止剤などの、導電性を付与できる化合物などが挙げられる。これらの導電性付与剤は単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。上記カーボンブラックの例としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、オイルブラックなどがあげられる。これらカーボンブラックの種類、粒径等に制限はない。
【0036】
(E)成分の添加量は、所望の導電特性に応じて調整して添加され、(A)成分の重合体100重量部に対し、0.01〜100重量部、さらには0.1〜50重量部用いることが好ましい。添加量が0.01重量部未満と少なすぎると、発現される導電付与能が不十分であり、また、添加量が100重量部を越えて多すぎると硬化性組成物の粘度の上昇が大きく作業性が悪くなる恐れがある。また、用いる導電性付与剤の種類あるいは添加量によっては、ヒドロシリル化反応を阻害するものがあるため、導電性付与剤のヒドロシリル化反応に対する影響を考慮する方が好ましい。
【0037】
本発明では必要に応じて、各種充填剤、各種機能付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、界面活性剤、溶剤を適宜添加してよい。前記充填剤の具体例としては、シリカ微粉末、金属微粉末、炭酸カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、亜鉛華、ケイソウ土、硫酸バリウムなどが挙げられる。
【0038】
本発明の硬化性組成物には貯蔵安定性を改良する目的で、貯蔵安定性改良剤を含んで使用することができる。この貯蔵安定性改良剤としては、本発明の(B)成分(分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物)の保存安定剤として知られている通常の安定剤であり、所期の目的を達成するものであればよく、特に限定されるものではない。具体的には、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等を好適に用いることができる。さらに具体的には、2−ベンゾチアゾリルサルファイド、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルアセチレンダイカルボキシレート、ジエチルアセチレンダイカルボキシレート、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンE、2−(4−モルフォジニルジチオ)ベンゾチアゾール、3−メチル−1−ブテン−3−オール、アセチレン性不飽和基含有オルガノシロキサン、エチレン性不飽和基含有オルガノシロキサン、アセチレンアルコール、3−メチル−1−ブチル−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、ジメチルマレエート、2−ペンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0039】
また、本発明の硬化性組成物は、低硬度、低歪みの弾性特性を持つため、電子写真方式を利用した画像形成装置に組み込まれる弾性ローラに好適に用いられることができる。前記弾性ローラは、導電性支持部材の周りに少なくとも1層の、本発明の硬化性組成物からなる弾性層を設けてなる。また、本発明の弾性ローラは、本発明の硬化性組成物を100〜160℃の範囲で硬化させて得られうる硬化物を含む弾性層を、導電性支持部材の周りに少なくとも1層備える、弾性ローラ、を一態様とする。前記硬化性組成物からなる硬化物のASKER−C硬度は、20°〜80°であることが好ましく、特に他部材と接触しながら、トナーを搬送する現像ローラに用いられる場合は、30〜70°であることが好ましい。前記範囲より低硬度の20°未満の領域では、硬度が低すぎるため、圧縮歪みが大きくなり、逆に高硬度の80°を越える領域では、硬度が高すぎるため、トナーに大きなストレスがかかるため好ましくない。なお、本願記載のASKER(アスカー)−C硬度のサンプルは4mm厚の弾性体(70mm×30mmのシート形状あるいはφ16mm×234mmのローラ形状)を使用し、測定方法はJISK7312に準じて行った。
【0040】
本発明の弾性ローラの形成方法としては、特に限定されず、従来公知の各種ローラの成形方法を用いることができる。例えば、中心にSUS製や、SUM製などの導電性支持部材を設置した金型に、硬化性組成物を押出成形、プレス成形、射出成形、反応射出成形(RIM)、液状射出成形(LIM)、注型成形などの各種成形法により成形し、適切な温度および時間で加熱硬化させて、導電性支持部材の周りに弾性層を成形する。ここで、本発明における弾性ローラの製造方法としては、弾性層を形成するための硬化性組成物が液状である場合、生産性、加工性の点で液状射出成形が好ましい。この場合、硬化性組成物は、半硬化させた後に、別途後硬化させるプロセスを設けて完全硬化させてもよい。また、弾性ローラの金型としては、筒状の金型は弾性ローラの長さ方向に半分に割り離型する、半割型の金型や、筒状の金型内に成形された弾性ローラを、導電性支持部材及び/または弾性層部分を押して、あるいは引いて離型する、筒型の金型がある。前者の半割型は割型が重なる部分で、ローラ形状に凹凸ができるため、電子写真用弾性ローラ、特にトナーを搬送する用途で用いられる接触方式の現像ローラで用いられる場合には、その部分で濃淡が出るため、画像欠陥となる。好適には後者の筒状金型から弾性ローラを押して、あるいは引いて離型する方が好ましい。ただし、ローラ表面にタック性がある(タック性が大きい)と、金型との摩擦が大きくなり、ローラ表面に離型キズが入り、問題となるため、本発明のローラ表面のタック性を改善した(タック性を小さくした)硬化性組成物からなる弾性ローラを好適に用いることができる。
【実施例】
【0041】
以下に、本発明の非限定的な実施例について説明する。
【0042】
(実施例1)
アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名ACS003、カネカ製;A成分に相当)490gに対して、
ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名CR100、カネカ製;B成分に相当)を9.4g、
ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有量3wt%、キシレン溶液;C成分に相当)を350μL、
マレイン酸ジメチルを170μL、
ステアリン酸ステアリル(商品名ユニスターM−9676、日本油脂製、融点55℃;D成分に相当)10g
を均一混合した。該硬化性組成物を真空脱泡撹拌装置(シーテック製)で90分間脱泡を行った。このようにして得られた硬化性組成物を40℃の環境下で3時間放置した後に、BH形粘度計(トキメック製)で4rpmの回転速度、1分間後の測定値を読み取った。このときの粘度を表1に示した。次に、前記硬化性組成物を図1に示す成形金型10(弾性ローラ;内径16mm×長さ234mm)内部に直径8mmのSUM製シャフト11を配置し、樹脂注入口12より前記硬化性組成物を射出注入し、該金型を140℃の環境下で20分間静置して硬化させた。金型10を水中で1分間冷却した後、シャフト保持部材13、14を筒金型15から外し、金型10を直立させ、上方よりシャフト11を押し込むことにより成形金型10から弾性ローラ16を離型した。このときのローラ表面の離型キズを観察した結果を表1に示した。
【0043】
【表1】

(実施例2)
アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名ACS003、カネカ製;A成分に相当)490gに対して、
ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名CR100、カネカ製;B成分に相当)を9.4g、
ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有量3wt%、キシレン溶液;C成分に相当)を350μL、
マレイン酸ジメチルを170μL、
ステアリルアルコール(商品名NAA−45、日本油脂製、融点59℃;D成分に相当)10gを均一混合した。
実施例1と同様の方法により粘度測定を行った結果、及びその後にローラ成形して得られた、硬度及び離型キズの結果を表1にまとめた。
【0044】
(実施例3)
アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名ACS003、カネカ製;A成分に相当)490gに対して、
ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名CR100、カネカ製;B成分に相当)を9.4g、
ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有量3wt%、キシレン溶液;C成分に相当)を350μL、
マレイン酸ジメチルを170μL、
ベヘニル酸ベヘニル(商品名ユニスターM―2222SL、日本油脂製、融点93℃;D成分に相当)10g
を均一混合した。実施例1と同様の方法により粘度測定を行った結果、及びその後にローラ成形して得られた、硬度及び離型キズの結果を表1にまとめた。
【0045】
(実施例4)
アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名ACS003、カネカ製;A成分に相当)497.5gに対して、
ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名CR100、カネカ製;B成分に相当)を9.4g、
ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有量3wt%、キシレン溶液;C成分に相当)を350μL、
マレイン酸ジメチルを170μL、ステアリルアルコール(商品名NAA−45、日本油脂製;D成分に相当)2.5g
を均一混合した。実施例1と同様の方法により粘度測定を行った結果、及びその後にローラ成形して得られた、硬度及び離型キズの結果を表1にまとめた。
【0046】
(実施例5)
アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名ACS003、カネカ製;A成分に相当)475gに対して、
ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名CR100、カネカ製;B成分に相当)を9.4g、
ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有量3wt%、キシレン溶液;C成分に相当)を350μL、
マレイン酸ジメチルを170μL、ステアリルアルコール(商品名NAA−45、日本油脂製;D成分に相当)25g
を均一混合した。実施例1と同様の方法により粘度測定を行った結果、及びその後にローラ成形して得られた、硬度及び離型キズの結果を表1にまとめた。
【0047】
(実施例6)
アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名ACS003、カネカ製;A成分に相当)450gに対して、
ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名CR100、カネカ製;B成分に相当)を9.4g、
ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有量3wt%、キシレン溶液;C成分に相当)を350μL、
マレイン酸ジメチルを170μL、ステアリルステアリレート(商品名ユニスターM−9676、日本油脂製;D成分に相当)50g
を均一混合した。実施例1と同様の方法により粘度測定を行ったところ、流動性がないため、粘度が測定できなかった。
【0048】
(比較例1)
アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名ACS003、カネカ製;A成分に相当)490gに対して、
ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名CR100、カネカ製;B成分に相当)を9.4g、
ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有量3wt%、キシレン溶液;C成分に相当)を350μL、
マレイン酸ジメチルを170μL、ステアリン酸カルシウム(商品名ステアリルステアレート、日本油脂製、融点158℃;D成分に相当)10g
を均一混合した。実施例1と同様の方法により粘度測定を行った結果、及びその後にローラ成形して得られた、硬度及び離型キズの結果を表1にまとめた。
【0049】
(比較例2)
アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名ACS003、カネカ製;A成分に相当)490gに対して、
ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名CR100、カネカ製;B成分に相当)を9.4g、
ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有量3wt%、キシレン溶液;C成分に相当)を350μL、
マレイン酸ジメチルを170μL、ステアリン酸(商品名ステアリル酸つばき、日本油脂製、融点64℃;D成分に相当)10g
を均一混合した。実施例1と同様の方法により粘度測定を行った結果、及びその後にローラ成形して得られた、硬度及び離型キズの結果を表1にまとめた。
【0050】
(比較例3)
アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名ACS003、カネカ製;A成分に相当)500gに対して、
ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名CR100、カネカ製;B成分に相当)を9.4g、
ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有量3wt%、キシレン溶液;C成分に相当)を350μL、
マレイン酸ジメチル170μLを均一混合した。実施例1と同様の方法により粘度測定を行った結果、及びその後にローラ成形して得られた、硬度及び離型キズの結果を表1にまとめた。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明における成形金型の一つの実施形態の構成図である。
【符号の説明】
【0052】
10 成形金型
11 シャフト
12 樹脂注入口
13 シャフト保持部材(樹脂注入口含)
14 シャフト保持部材
15 筒金型
16 弾性ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)〜(D)成分を必須成分として含む硬化性組成物。
(A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体。
(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物。
(C)ヒドロシリル化触媒。
(D)エステル官能基及び/またはアルコール官能基を有する化合物であって、融点が40〜100℃の範囲である該化合物。
【請求項2】
「前記(D)成分と前記(A)成分とを含み、前記(D)成分が前記(A)成分に溶解している混合物」と、
(B)成分と、
(C)成分と、
を含む混合物を作製する工程を経て得られうる、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記(A)成分の重量と(D)成分の重量との合計100重量部に対して、
前記(A)成分の含有量が95.0重量部以上、99.8重量部以下であり、
(D)成分の含有量が0.2重量部以上、5.0重量部以下である、
請求項1〜2のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記(A)成分の有機重合体がオキシアルキレン系重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
さらに(E)導電性付与剤を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
40℃における粘度が1〜500Pa・sの範囲である請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物を100〜160℃の範囲で硬化させて得られうる硬化物を含む弾性層を、
導電性支持部材の周りに少なくとも1層備える、弾性ローラ。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物を筒状金型内に注入し100〜160℃の範囲で硬化させて得られうる請求項7に記載の弾性ローラを、
筒状金型から押し出す工程
及び/又は
筒状金型から引き出す工程
を有する、弾性ローラの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物を、100〜160℃の範囲で硬化させて得られうる、硬化物。

【図1】
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【公開番号】特開2007−137949(P2007−137949A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330731(P2005−330731)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】