説明

硬化性組成物

【課題】硬化性および寸法安定性に優れる硬化物層を形成しうる、重合時の硬化収縮率が小さく、なおかつ低粘度で作業性良好な、硬化性組成物を提供する。
【解決手段】ウレタン(メタ)アクリレート(A)およびウレタン(メタ)アクリレート(A)以外の(メタ)アクリル酸エステル(B)を含有する硬化性組成物であって、該ウレタン(メタ)アクリレート(A)が、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオールおよびポリオレフィングリコールから選ばれるジオール(a1)と(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネート(a2)との反応生成物である硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性良好であり、重合時の硬化収縮率が低く、寸法安定性に優れた硬化物層を形成しうる、低粘度で作業性良好な硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
活性エネルギー線硬化性組成物は、有機溶剤を使用せず、しかも紫外線、電子線等の活性エネルギー線を照射することにより短時間で硬化し、強靭性、柔軟性、耐擦傷性、耐候性、耐薬品性等の特性に優れた硬化物層を各種基材表面に形成することができる素材である。
【0003】
したがって、活性エネルギー線硬化性組成物は、木工、塩ビ床材、インキ、プラスチック成型品、プラスチックフィルム、光ファイバー被覆材、光ディスク被覆材、注型成形品等の多くの産業用途に、それ自体あるいは表面保護層形成材料として使用されている。
【0004】
このような硬化性組成物として、アクリル系オリゴマー、モノマーおよび光重合開始剤から構成される硬化性組成物が知られている。その主成分であるアクリル系オリゴマーとしては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等がある。
【0005】
中でも、ウレタンアクリレートは、原料であるイソシアネート成分、ポリオール成分およびヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル成分の種類が多く、目的に応じて幅広い設計が可能であり、種々の分野において用いられている。
【0006】
耐磨耗性に優れ、かつ、ポリカーボネート系樹脂等への付着性に優れた硬化性組成物として、ポリカーボネートジオールを原料としたウレタンアクリレート系硬化性組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、低粘度で硬化性および耐汚染性に優れた硬化性組成物として、脂環式ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートからなるウレタンアクリレート系硬化性組成物が開発されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のウレタンアクリレートは非常に粘度が高く、そのため、該硬化性組成物は溶剤で希釈して使用する必要がある。
【0009】
また、特許文献2に記載のウレタンアクリレートは、粘度は低くて好ましいが、これを用いた硬化性組成物は硬化時に大きく収縮し、例えば、厚膜100μm程度の表面硬化層を形成すると、表面硬化層側に物品が反りやすく、寸法精度が十分でないという問題がある。
【特許文献1】特開2002−179953号公報。
【特許文献2】特開2002−226519号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
すなわち、本発明の課題は、硬化性および寸法安定性に優れる硬化物層を形成しうる、重合時の硬化収縮率が小さく、なおかつ低粘度で作業性良好な、硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、特定のウレタン(メタ)アクリレートを他の(メタ)アクリル酸エステルと共に使用したならば、良好な硬化性、作業性、かつ優れた寸法安定性が達成され、硬化収縮率も小さいことを見出し、本発明に至った。
【0012】
すなわち、本発明は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)およびウレタン(メタ)アクリレート(A)以外の(メタ)アクリル酸エステル(B)を含有する硬化性組成物であって、該ウレタン(メタ)アクリレート(A)が、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオールおよびポリオレフィングリコールから選ばれるジオール(a1)と(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネート(a2)との反応生成物である硬化性組成物である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の硬化性組成物は、低粘度であり、かつ硬化収縮率が極めて低く、基材への密着性にも優れる硬化物層を形成でき、寸法安定性が重要となる光ディスクやフレネルレンズ、プリズムシート等の光学物品用途に特に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について、詳細に説明する。
【0015】
本発明の硬化性組成物は、特定のウレタン(メタ)アクリレート(A)(以下、「成分(A)」と略す)、および成分(A)以外の(メタ)アクリル酸エステル(B)(以下、「成分(B)」と略す)を含有することを特徴とするものである。
【0016】
本発明に用いる成分(A)は、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオールおよびポリオレフィングリコールから選ばれるジオール(a1)(以下、「成分(a1)」と略す)と(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネート(a2)(以下、「成分(a2)」と略す)を反応させることにより得られるものである。
【0017】
この成分(a1)は、本発明の硬化性組成物が重合硬化する際に低収縮性に寄与し、かつ、形成される硬化物層が基材に密着するのを向上させるために有用な成分である。
【0018】
成分(a1)としては、分子内に水酸基を2個有するポリカーボネートジオール、ポリエステルジオールあるいはポリオレフィングリコールであれば、特に限定されない。以下に好適な具体例をそれぞれ示す。
【0019】
ポリカーボネートジオールとして、炭酸エステルとジオール化合物とのエステル交換反応により得られるポリカーボネートジオールが使用可能である。
【0020】
炭酸エステルとしては、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジフェニルカーボネート等が挙げられ、これらは1種単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
【0021】
また、ジオール化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリメチルヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等のアルカンジオールが挙げられ、中でも、得られる硬化性組成物の粘度が低くなることから、炭素数4〜6のアルカンジオールを必要により上述のようなジオール化合物と共に使用することが好ましく、特に、1,6−ヘキサンジオールを3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリメチルヘキサンジオール、1,4−ブタンジオールおよび1,5−ペンタンジオールの少なくとも1種と併用することが好ましく、得られる硬化性組成物が低粘度で、その硬化物が柔軟性に優れることから、1,6−ヘキサンジオールと1,5−ペンタンジオールを併用したジオールがより好ましい。これらは1種単独でも用いることができる。
【0022】
エステル交換反応の方法としては特に限定されるものではないが、これら原料の混合物を、必要によりエステル交換反応触媒の存在下、80〜220℃の温度で炭酸エステルを還流させながら、反応の進行と伴い生成するアルコールを留去することによりポリカーボネートジオールが製造できる。
【0023】
本発明で用いるポリカーボネートジオールは数平均分子量が250〜2000であるものが好ましい。数平均分子量250以上の場合、硬化物層の可とう性が向上する。また、数平均分子量2000以下の場合、硬化性組成物での粘度が高くなりすぎることはなく、作業性が低下することがない。より好ましい数平均分子量範囲は300〜1000である。
【0024】
これらポリカーボネートジオールは、1種単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
【0025】
本発明に使用するポリエステルジオールとしては、ジカルボン酸とジオール化合物とのエステル化反応、ジカルボン酸エステルとジオール化合物とのエステル交換反応、ジオール化合物を開始剤とするラクトン開環重合等により得られるポリエステルジオールが使用可能である。
【0026】
ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、アジピン酸等の二塩基酸が使用できる。
【0027】
また、ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタンジオール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の二価アルコールが好ましい。
【0028】
さらに、重合させるラクトンの具体例としては、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸環化物(ラクトン)類が挙げられ、前記ジオール化合物を開始剤として、スズ系触媒の存在下、反応温度130℃以下で重合可能である。
【0029】
本発明で使用するポリエステルジオールは数平均分子量が250〜2000であることが好ましい。数平均分子量250以上の場合、硬化物層の可とう性が向上する。また、数平均分子量2000以下の場合、硬化性組成物の粘度が高くなりすぎることはなく、作業性が低下することがない。より好ましい数平均分子量範囲は300〜1000である。
【0030】
これらポリエステルジオールは、1種単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
【0031】
本発明に使用するポリオレフィングリコールとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン、1−オクテン等のオレフィン類のホモポリマーあるいはコポリマーから合成されるポリオレフィングリコール類が使用可能であり、これらポリオレフィンは数平均分子量が500〜3000であることが好ましい。数平均分子量500以上の場合、硬化物層の可とう性が向上する。また、数平均分子量3000以下の場合、硬化性組成物の粘度が高くなりすぎることはなく、作業性が低下することがない。より好ましい数平均分子量範囲は500〜2000である。
【0032】
これらポリオレフィングリコールは、1種単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
【0033】
成分(a2)は、成分(a1)にウレタン結合を介して(メタ)アクリロイルオキシ基を導入するためのウレタン(メタ)アクリレートの合成における必須成分である。
【0034】
成分(a2)としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシブチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシペンチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシヘキシルイソシアネート、ビス((メタ)アクリロイルオキシ)エチルイソシアネート、ビス((メタ)アクリロイルオキシ)プロピルイソシアネート、ビス((メタ)アクリロイルオキシ)ブチルイソシアネート等が挙げられる。中でも、低粘度な硬化性組成物が得られることから(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートを使用することが好ましく、さらには、硬化性が良好であることからアクリロイルオキシエチルイソシアネートを使用することが好ましい。これら(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネートは1種単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
【0035】
さらに、成分(a2)と併せて、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ノルボルナンジイソシアネート等のジイソシアネート類の1個のイソシアネート基に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートへのカプロラクトン付加物、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートへのカプロラクトン付加物、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルを付加した化合物を使用してウレタン(メタ)アクリレートを合成することも可能である。
【0036】
本発明に用いる成分(A)の合成方法としては、特に限定されるものではなく、公知の合成方法が使用可能である。
【0037】
例えば、成分(a1)とジラウリン酸ジ−n−ブチル錫等の触媒との混合物中に、成分(a2)を0〜90℃の条件下で滴下して反応させること、成分(a2)とジラウリン酸ジ−n−ブチル錫等の触媒との混合物中に、成分(a1)を滴下させて合成すること、或は成分(a1)と成分(a2)を混合した中に触媒を滴下し、反応させることでもよい。
【0038】
ここで、成分(A)を構成する、成分(a1)と成分(a2)の使用比率は、特に限定されないが、モル比率((a1)/(a2))が1/1.8〜1/2.1であることが好ましく、1/1.9〜1/2.0がより好ましい。
【0039】
本発明の硬化性組成物において、成分(A)の含有量は特に限定されないが、成分(A)および成分(B)の合計中、下限値は20質量%であることが好ましい。また、その上限値は90質量%であることが好ましい。
【0040】
成分(A)の含有量が20質量%以上である場合には、硬化性組成物の硬化収縮率(後記する)が小さくなり、かつ得られる硬化物層の可撓性が良好となる。また、その含有量が90質量%以下である場合には、得られる硬化性組成物の液粘度が低くなり、基材への塗工作業性が良好となる。この成分(A)の含有量は30〜70質量%であることがより好ましい。
【0041】
本発明に用いる成分(B)は、成分(A)を用途に適した粘度に希釈し、さらに成分(A)とともに得られる硬化性組成物の架橋密度を調整する成分である。
【0042】
この成分(B)としては、例えば、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、トリスエトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、炭素数2〜5の脂肪族炭化水素変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、炭素数2〜5の脂肪族炭化水素変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、炭素数2〜5の脂肪族炭化水素変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリル酸エステル類;
【0043】
ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸メチルペンタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチルペンタンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカンジメタノール、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ジ(メタ)アクリル酸シクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッド水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッド水添ビスフェノールA、ビスフェノキシフルオレンエタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのγ−ブチロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ネオペンチルグリコールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ブチレングリコールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、シクロヘキサンジメタノールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンタンジオールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、水添ビスフェノールAのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールFのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、カプロラクトン変性ビス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート等のジ(メタ)アクリル酸エステル類;
【0044】
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタン、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸テトラシクロドデカニル、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン、トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリル酸エステル類;
【0045】
(メタ)アクリルアミド、 N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;
【0046】
フタル酸、コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、アジピン酸等の多塩基酸、エチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコールおよび(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応で得られるポリエステルポリ(メタ)アクリレート類;
【0047】
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類とエピクロルヒドリンの縮合反応で得られるビスフェノール型エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸またはその誘導体を反応させたエポキシ(メタ)アクリレート類;
【0048】
アルカンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリオレフィングリコール、スピログリコール化合物等の1種または2種以上の混合物からなるアルコール類の水酸基にジイソシアネート化合物を付加し、残ったイソシアネート基に、分子中に1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基、および1個のヒドロキシ基を有するヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させた前記(A)成分以外のウレタンポリ(メタ)アクリレート類
等が挙げられる。
【0049】
これらは、1種単独でまたは2種以上を併用して用いることができるが、硬化性が良好であることからメタクリル系化合物よりもアクリル系化合物を使用する方が好ましい。
【0050】
これらの中でも、得られる硬化性組成物の硬化収縮率が小さく、表面硬度に優れることから、分子内に環状構造を有する化合物が好ましい。
【0051】
この分子内に環状構造を有する化合物の例としては、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッド水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッド水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタン、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸テトラシクロドデカニル、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン、トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0052】
本発明において、成分(B)の含有量は特に限定されていないが、成分(A)および成分(B)の合計中、10〜80質量%の範囲が好ましい。
【0053】
この成分(B)の含有量は、得られる硬化性組成物の粘度が低くなり基材への塗工作業性が良好となることから、下限値は10質量%であることが好ましい。また硬化性組成物の硬化収縮率が低いことから、上限値は80質量%であることが好ましい。成分(B)の含有量は20〜70質量%であることがより好ましい。
【0054】
その性能を損なわない範囲であれば、硬化性組成物に、さらに酢酸ビニル、酪酸ビニル、アジピン酸ジビニル等のビニルエステル類;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のN−ビニル化合物類;エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類等を含有させることができる。
【0055】
以上が、本発明の硬化性組成物の構成成分であるが、その性能を損なわない範囲であれば、必要に応じて、例えば、重合開始剤、熱可塑性高分子、スリップ剤、レベリング剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機フィラー、有機フィラー、表面有機化処理した無機フィラー等の公知の添加剤等を適宜配合して用いる。また、硬化性組成物の貯蔵安定性向上や、硬化物層の変色や変質を避けるために、酸化防止剤や光安定剤を添加することが好ましい。
【0056】
本発明の硬化性組成物は、光重合開始剤(C)(以下、「成分(C)」と略す)を添加すると、活性エネルギー照射により効率よく硬化物を得ることができる。
【0057】
成分(C)としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−1−[4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルホルメート等が使用できる。これらは、1種単独でまたは2種以上を併用して用いる。
【0058】
本発明において、成分(C)の含有量は特に限定されないが、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対し、0.001〜10質量部の範囲で使用することが好ましい。
【0059】
この成分(C)は、硬化性の観点から成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して0.001質量部以上であることが好ましく、深部硬化性と難黄変性の観点から10質量部以下であることが好ましい。成分(C)の添加量は、0.01〜7質量部であることがより好ましい。
【0060】
更に、本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、性能を損なわない範囲で、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、4−ジメチルアミノアセトフェノン等の公知の光増感剤を添加することもできる。
【0061】
酸化防止剤、光安定剤として、市販されているものは、例えば、住友化学(株)製スミライザーBHT、スミライザーS、スミライザーBP−76、スミライザーMDP−S、スミライザーGM、スミライザーBBM−S、スミライザーWX−R、スミライザーNW、スミライザーBP−179、スミライザーBP−101、スミライザーGA−80、スミライザーTNP、スミライザーTPP−R、スミライザーP−16;旭電化工業(株)製アデカスタブAO−20、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−40、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−70、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−330、アデカスタブPEP−4C、アデカスタブPEP−8、アデカスタブPEP−24G、アデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112、アデカスタブ260、アデカスタブ522A、アデカスタブ329K、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135A、アデカスタブ3010;チバスペシャリティーケミカルズ(株)製チヌビン770、チヌビン765、チヌビン144、チヌビン622、チヌビン111、チヌビン123、チヌビン292;日立化成工業(株)製ファンクリルFA−711M、FA−712HM等が挙げられる(いずれも商品名)。
【0062】
これら酸化防止剤や光安定剤の添加量は特に限定されないが、それぞれ成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して、好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.01〜3質量部の範囲で添加する。
【0063】
本発明の硬化性組成物の粘度は、塗工方法や得られる硬化物層の厚みに応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
【0064】
例えば、本発明の硬化性組成物をコーティング材として用いる場合、その粘度として、作業性の観点から25℃において50〜10000mPa・sの範囲であることが好ましい。このような粘度範囲であれば、基材上に硬化膜厚が3〜500μmの硬化物層を容易に形成することができる。より好ましくは、100〜8000mPa・sの範囲である。
【0065】
本発明の物品の硬化物層を形成する場合、例えばスピンコート法、ロールコート法、フローコート法等の公知の方法で、前記本発明の硬化性組成物を塗工し、硬化する。
【0066】
本発明において、硬化物層の厚みが3μm以上である場合には、物品の表面を十分に保護でき、500μm以下であれば、得られる物品の反りを抑制しやすい。より好ましくは、30〜300μmの範囲である。
【0067】
本発明の硬化性組成物は、例えば、α線、β線、γ線等の公知の活性エネルギー線を照射することにより、容易に硬化させることができる。
【0068】
本発明の硬化性組成物を硬化させる際の活性エネルギー線を照射する雰囲気下は、空気中でもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガス中でもよい。
【0069】
本発明の硬化性組成物は、硬化収縮率が極めて小さく、基材への密着性に優れる硬化物層を形成できる。
【0070】
そこで、本発明の硬化性組成物は、寸法安定性が重要となる光ディスク、フレネルレンズ、プリズムシート等の光学物品の製造用途に特に好適に用いることができる。
【0071】
特に光ディスク等では、読み取りや書き込みの際にエラーを起こしやすいため、硬化収縮に際し光ディスク基材に反りが生じないよう、本発明の硬化性組成物の硬化収縮率が7.5%未満である硬化性組成物を使用することが好ましい。
【0072】
本発明の硬化性組成物の硬化収縮率が7.5%未満である場合、基材との密着性も良好となる。また硬化性組成物が硬化する時に収縮により基材が大きく反る等の不具合が発生することがない。
【0073】
なお、本発明では、硬化収縮率(%)は以下の方法により算出した値を意味する。
【0074】
本発明の硬化性組成物の20℃における硬化前の液密度(X1)および該組成物の硬化後の硬化物の20℃における密度(X2)をそれぞれ測定し、下記の数式(1)により求めた値を硬化収縮率(%)とする。
硬化収縮率(%)=〔(X2−X1)/X2〕×100 数式(1)
【0075】
次に本発明の硬化性組成物が適用可能な基材について、以下に説明する。
【0076】
基材の材質としては、特に限定されず、例えば、ABS、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状シクロオレフィンポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリオキシメチレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート等の公知のプラスチック;ガラス;セラミックス;木材;金属等を挙げることができる。
【0077】
なお、光学用途物品を得る場合には、環状シクロオレフィンポリマー、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の透明プラスチックや、透明ガラス等の材質の基材を用いる。
【0078】
また、基材の形状は、特に限定されるものではなく、所望に応じて適宜選択する。
【0079】
一般に、基材の反り、変形等は、基材の厚みが薄いほど、硬化性組成物の硬化収縮の影響を受けやすい。本発明の硬化性組成物は硬化収縮率が極めて低いことから、特に基材の反りが発生しやすい厚みが薄い基材に好適に用いることができる。
【0080】
そのような観点から、本発明の物品では、基材の厚みが1.5mm未満、特に1.2mm未満であっても構わない。
【0081】
これら本発明の硬化性組成物が適用可能な基材には、用途に応じて前処理を行うことができる。その表面処理方法としては、紫外線洗浄、脱脂、フレーム処理、金属やセラミックスのスパッタリングまたは蒸着処理、シランカップリング処理、プライマー塗装などが挙げられる。
【実施例】
【0082】
以下、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。
【0083】
合成例1[ウレタンアクリレートUA1の製造]
攪拌機、温度調節器、温度計、凝縮器および滴下ロートを備えた内容積5リットルの4つ口フラスコに、ポリカーボネートジオール(旭化成工業(株)製、商品名;T5650J、1,5−ペンタンジオールおよび1,6ヘキサンジオールを原料として製造したポリカーボネートジオール、数平均分子量800)2000g、2,6−ジ−ターシャリブチル−4−メチルフェノール0.5gおよびジブチル錫ジラウレート0.5gを入れ、ウオーターバスでフラスコ内温が70℃になるように撹拌加熱している中に、アクリロイルオキシエチルイソシアネート705gを滴下ロートから、フラスコ内温を70℃に保ちながら、4時間等速で滴下し、さらに同温度で2時間攪拌した後、フラスコ内の温度を75℃に上げ、同温度で4時間反応して、ウレタンアクリレートUA1を製造した。残存イソシアネート当量から換算した反応率は99%であった。
【0084】
合成例2[ウレタンアクリレートUA2の製造]
ポリカーボネートジオールに代えて、ポリカプロラクトンジオール(ダイセル化学工業(株)製、商品名;プラクセル205U、数平均分子量530)1325gを用いる以外は合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA2を製造した。残存イソシアネート当量から換算した反応率は99%であった。
【0085】
合成例3[ウレタンアクリレートUA3の製造]
ポリカーボネートジオール2000gに代えて、ポリブタジエングリコール(日本曹達(株)製、商品名;G−1000、数平均分子量1000)2500gを用いる以外は合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA3を製造した。残存イソシアネート当量から換算した反応率は99%であった。
【0086】
合成例4[ウレタンアクリレートUB1の製造]
攪拌機、温度調節器、温度計、凝縮器および側管付きの滴下ロートを備えた内容積5リットルの4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート(住友バイエルエレタン社製、商品名;デスモジュールI)1110gおよびジブチル錫ジラウレート0.5gを入れ、ウオーターバスで内温が70℃になるように撹拌加熱している中に、ポリカーボネートジオール(商品名;T5650J)2000gを滴下ロートから、フラスコ内温を65〜75℃に保ちながら、4時間等速で滴下し、さらに、同温度で2時間撹拌した。次いで、フラスコ内の温度を60℃に下げると共に、滴下ロートを2-ヒドロキシエチルアクリレート592g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.75gおよび2,6−ジターシャリブチル−4−メチルフェノール0.75gを均一に混合溶解させた液を仕込んだ滴下ロートに入れ替え、該滴下ロートから内容物を、フラスコ内温を55〜65℃に保ちながら、2時間等速で滴下し、その後フラスコ内容物の温度を75〜85℃に上げ、その温度範囲で保って4時間反応して、ウレタンアクリレートUB1を製造した。なお、反応は残存イソシアネート当量の測定により判断し、反応率99%以上であることを確認して終了した。
【0087】
合成例5[ウレタンアクリレートUB2の製造]
ポリカーボネートジオールに代えて、ポリカプロラクトンジオール(商品名;プラクセル205U)1325gを用いる以外は合成例4と同様にしてウレタンアクリレートUB2を製造した。
【0088】
実施例1
(1)硬化性組成物の調製
成分(A)として合成例1で製造したUA1 70質量部、成分(B)としてトリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート10質量部とテトラヒドロフルフリルアクリレート20質量部および成分(C)として1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン3質量部を混合溶解し、硬化性組成物を得た。
【0089】
この硬化性組成物は、粘度(25℃)が4500mPa・sであり、淡黄色透明で粘稠な液体であった。また、硬化収縮率は6.7%で、許容範囲(7.5%未満)にあった。
【0090】
(2)硬化物層を有する光ディスクの作製
・密着性評価用光ディスクの作製:
ポリカーボネート樹脂を射出成型して得た、直径1.5cmの中心穴を有する透明円盤状基板(直径12cm、板厚1.1mm、反り角0度)上に、上記で作成した硬化性組成物をスピンコート法にて硬化膜厚100μmとなるように塗装し、ランプ高さ10cmのメタルハライドランプ(120W/cm)を用いて紫外線を照射し、積算光量1000mJ/cm2で硬化させた。
・寸法安定性評価用光ディスクの作製:
ポリカーボネート樹脂を射出成型して得た、直径1.5cmの中心穴を有する透明円盤状基板(直径12cm、板厚1.1mm、反り角0度)上に、バルザース(株)製スパッタリング装置CDI−900を用い、PdおよびCuを含むAg合金を膜厚40nmとなるようにスパッタリング成膜し、銀合金反射膜を有する光ディスクを得た。この反射膜上に、上記(1)で作成した硬化性組成物をスピンコート法にて硬化膜厚100μmとなるように塗装し、ランプ高さ10cmのメタルハライドランプ(120W/cm)を用いて紫外線を照射し、積算光量1000mJ/cm2で硬化させた。
【0091】
実施例2〜5、比較例1〜4
表1、表2に示す組成とした以外は実施例1と同様にして硬化性組成物を調製し、得られた硬化性組成物を用い、実施例1と同様にして密着性評価用光ディスクおよび寸法安定性評価用光ディスクを作製した。
【0092】
実施例1〜5、比較例1〜4で製造した評価用光ディスクを用い、密着性および寸法安定性を評価した。また、硬化性組成物についても粘度(25℃)、硬化収縮率および硬化性を調べた。得られた評価結果を表1、表2の評価結果欄に示した。
【0093】
上記評価方法および評価基準について示す。
【0094】
<粘度>
硬化性組成物を、E型粘度計(東機産業(株)製、TVE−20)を用いて、25℃における粘度を測定する。評価は下記の通りとした。
○:粘度(25℃)が10000mPa・s以下であり、塗工作業性良好
×:粘度(25℃)が10000mPa・sを超え、塗工作業性不良
【0095】
<硬化収縮率>
硬化性組成物の硬化前および硬化後の密度を各々測定し、上記数式(1)に基づいて硬化収縮率(%)を算出する。評価は下記の通りとした。
○:7.5%未満
×:7.5%以上
【0096】
<硬化性>
硬化性組成物をガラス板上に硬化膜厚が100μmとなるようにバーコータにて塗装し、ランプ高さ10cmのメタルハライドランプ(120W/cm)を用いて紫外線を照射し、指触により、タックフリーとなる最低照射光量を求める。評価は下記の通りとした。
○:500mJ/cm2以下で良好
×:500mJ/cm2を超えて不良
【0097】
<硬化膜層密着性>
80℃、85%RH、96時間の耐久試験を終了した光ディスクについて、ポリカーボネート面上の塗膜について、JIS K−5400に準拠し、碁盤目テープテストを実施する。評価は下記の通りとした。
○:90/100超
△:90/100〜50/100
×:50/100未満
【0098】
<寸法安定性>
製造直後の光ディスクについて、ジャパンイーエム(株)製DLD−3000光ディスク光学機械特性測定装置を用いて、20℃、50%RHの環境下にて、初期の反り角を測定し、次いで、測定後の光ディスクを80℃、85%RHの環境下に96時間放置し、更に、20℃、50%RHの環境下に96時間放置した後、初期反り角と同様にして、環境試験後の反り角を測定する。評価は初期および環境試験後においていずれも下記の通りとした。
○:反り角±0.3度以内であり、寸法安定性良好。
×:±0.3度を超え、寸法安定性不良。
【0099】
なお、光ディスクの反り角とは、半径55mm位置における半径方向の最大反り角を意味し、正(+)は硬化物層側に反った時を、また、負(−)はその逆に反った場合を示す。
【0100】
また、表1中の略号は、以下の通りである。
UA1:合成例1で製造したウレタンアクリレートUA1(成分(A)に相当)
UA2:合成例2で製造したウレタンアクリレートUA2(成分(A)に相当)
UA3:合成例3で製造したウレタンアクリレートUA3(成分(A)に相当)
UB1:合成例4で製造したウレタンアクリレートUB1(成分(A)の範囲外)
UB2:合成例5で製造したウレタンアクリレートUB2(成分(A)の範囲外)
TE2000:日本曹達(株)製ウレタンメタクリレート(数平均分子量2000のポリブタジエン、トリレンジイソシアネートおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートから合成されたウレタンメタクリレート)(成分(A)の範囲外)
U2PPA:新中村化学工業(株)製ウレタンアクリレート(イソホロンジイソシアネートおよび2−ヒドロキシプロピルアクリレートから合成されたウレタンアクリレート)(成分(A)の範囲外)
TAIC:トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
TCDA:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
C9DA:1,9−ノナンジオールジアクリレート
THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート
MEDOL:4−アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン
PM21:カプロラクトン変性ビス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、日本化薬社製、商品名;カヤマーPM−21
HCPK:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン
IRG127:2−ヒドロキシ−1−[4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン
IRG819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンキサイド
【0101】
【表1】

【0102】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン(メタ)アクリレート(A)およびウレタン(メタ)アクリレート(A)以外の(メタ)アクリル酸エステル(B)を含む硬化性組成物であって、
ウレタン(メタ)アクリレート(A)が、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオールおよびポリオレフィングリコールから選ばれるジオール(a1)と(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネート(a2)との反応生成物である硬化性組成物。
【請求項2】
ジオール(a1)が、炭素数4〜6のアルカンジオールを単量体として合成したポリカーボネートジオールである請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
ジオール(a1)が、ポリカプロラクトンジオールである請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
ジオール(a1)が、ポリブタジエングリコールである請求項1記載の硬化性組成物。


【公開番号】特開2006−193692(P2006−193692A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−9182(P2005−9182)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】