説明

磁気デバイスの製造方法

【課題】ダイシングストリートにGaAsが露出している場合、結果ダイシング時に素子のチッピング、電極や磁性体の剥離、溶解したGaAsによる電極接合部の汚染が発生し、さらにGaAs基板裏面もエッチングされるためGaAsの溶解による電極接合部の汚染の課題がある。
【解決手段】本発明は、ホール素子が設けられたGaAs基板と、GaAs基板上に設けられた磁気増幅機能を有する磁性体とを備える磁気デバイスにおいて、上記ホール素子上に絶縁層と、上記絶縁層上にTi系金属層と、上記Ti系金属層の上にCu系金属層とを有し、ダイシングストリート上を少なくとも無機絶縁材料乃至有機絶縁材料もしくはその両方でカバーさせGaAsを露出させず、またさらにGaAs基板裏面にも有機絶縁膜でカバーすることにより本課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、半導体装置中の磁気センサデバイスであって、半導体基板上に磁気増幅用として磁気センシングする領域上に磁性材料を形成した高感度磁気センサデバイスに関し、特に、半導体基板がGaAs基板である磁気デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、常に小型、実装面積の縮小化が求められている。また、磁気センサデバイスも、小型・実装面積縮小化の要求も同様であるが、センサとして高感度化の要求も宿命となっている。磁気センサの高感度化の要求には、半導体基板上に受感部を生成し、その上に磁性材料を設けて磁気増幅する構造が知られている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−278733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術としての特許文献1では、磁性体を形成する前にこの磁性体の直下に磁性体を電解めっきにより形成するための通電金属層であるTi系金属層と、Cu系金属層を形成している。そして、磁性体形成後は、磁性体をマスクにTi系金属層およびCu系金属層をエッチングしている。その際、TiエッチングではH22系のエッチャントを使用するのが一般的である。
【0005】
また、半導体基板材料として、Si基板よりGaAs基板の方がキャリア移動度は高く高感度磁気デバイスに適している。
【0006】
ところが、GaAs基板の場合、H22系のエッチャントでは、GaAsが溶解してしまう。ダイシングストリートにGaAsが露出している場合、前述のようにH22系でのエッチャントでウェットエッチングするとダイシングストリートも同時にエッチングされ、その結果ダイシング時に素子のチッピング、電極や磁性体の剥離、溶解したGaAsによる電極接合部の汚染が発生する。さらにGaAs基板裏面もエッチングされるためGaAsの溶解による電極接合部の汚染の課題がある。
【0007】
この様子を図5、図6を使用して説明する。図5は、従来の半導体装置の半導体装置500の概略断面図であり、従来の半導体装置のダイシング後の半導体装置600の概略断面図である。半導体装置500は、GaAs基板501と、磁気センシングするための受感部502と、ダイシングストリート503と、無機絶縁膜504と、有機絶縁膜505と、電極部506と、Ti系金属層507と、Cu系金属層508と、磁性体材料509とを備える。Ti系金属層507のエッチング時にダイシングストリート503がH22系エッチャントにより溶解し、図6に示した半導体装置600のようにサイドエッチングが発生する。その後、ダイシング時にチッピングや電極剥離等が発生しやすくなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明はダイシングストリート上を少なくとも無機絶縁材料乃至有機絶縁材料もしくはその両方でカバーさせGaAsを露出させず、またさらにGaAs基板裏面にも有機絶縁膜でカバーすることで本課題を解決した。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明は、GaAs基板上に、磁気センシングする受感部領域を形成する工程と、前記GaAs基板全面に無機絶縁膜を形成する工程と、前記無機絶縁膜上に第一のレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンをマスクとして前記無機絶縁膜をドライエッチングにより除去する工程と、前記第一のレジストパターンを除去した後、電極部を形成する工程と、前記GaAs基板全面に有機絶縁膜を塗布しパターニングする工程と、前記GaAs基板の全体にTi系金属層を形成する工程と、前記Ti系金属層の上にCu系金属層を形成する工程と、前記受感部領域が空隙となるような第二のレジストパターンを前記Cu系金属層上に形成し、前記空隙部に磁気増幅機能を有する磁性体を形成する工程と、前記第二のレジストパターンを除去する工程と、前記Cu系金属層を除去する工程と、前記Ti系金属層を除去する工程と、前記GaAs基板の裏面に形成された有機絶縁膜を除去する工程と、をこの順で行うことを特徴とする磁気デバイスの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の半導体装置によれば、ダイシングストリート上を少なくとも無機絶縁材料乃至有機絶縁材料もしくはその両方でカバーさせることによりGaAsを露出させず、またさらにGaAs基板裏面にも有機絶縁膜でカバーすることにより、ダイシングストリートがH22系エッチャントにより溶解し、サイドエッチングが発生することを防止し、それにより、素子のチッピング、電極や磁性体の剥離、溶解したGaAsによる電極接合部の汚染を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本願発明の第1の実施の形態である半導体装置100の概略断面図であり、ダイシングストリート103に無機絶縁膜104をカバーした構造を示す図である。
【図2】本願発明の第2の実施の形態である半導体装置200の概略断面図であり、ダイシングストリート203に有機絶縁膜205をカバーした構造を示す図である。
【図3】本願発明の第3の実施の形態である半導体装置300の概略断面図であり、ダイシングストリート303に無機絶縁膜304でカバーし、さらに有機絶縁膜305をカバーした構造を示す図である。
【図4A】本願発明の製造プロセスを説明する工程図であり、図4aは、GaAs基板上401に磁気をセンシングする受感部形成後の半導体装置の概略断面図であり、図4bは、無機絶縁膜404形成後の半導体装置の概略断面図であり、図4cは、電極406形成のためのレジストパターン406a形成後の半導体装置の概略断面図であり、図4dは、無機絶縁膜404除去後の半導体装置の概略断面図であり、図4eは、電極406形成後の半導体装置の概略断面図であり、図4fは、有機絶縁膜405塗布後の半導体装置の概略断面図である。
【図4B】本願発明の製造プロセスを説明する工程図であり、図4gは、有機絶縁膜405パターン形成後の半導体装置の概略断面図であり、図4hは、Ti系金属層407形成後の半導体装置の概略断面図であり、図4iは、Cu系金属層408形成後の半導体装置の概略断面図であり、図4jは、レジストパターン409aを形成し、さらにパターン部に磁性体409を形成した後の半導体装置の概略断面図であり、図4kは、レジストパターン409a除去後の半導体装置の概略断面図である。
【図4C】本願発明の製造プロセスを説明する工程図であり、図4lは、Cu系金属層408除去後の半導体装置の概略断面図であり、図4mは、Ti系金属層407除去後の半導体装置の概略断面図であり、図4nは、Cu系金属層408形成後、GaAs基板401裏面に有機絶縁膜410を形成した後の半導体装置の概略断面図であり、図4oは、レジストパターン409a除去後GaAs基板401裏面に有機絶縁膜410を形成した後の半導体装置の概略断面図であり、図4pは、Cu系金属層408除去後、GaAs基板401裏面に有機絶縁膜410を形成した後の半導体装置の概略断面図である。
【図5】従来の半導体装置の半導体装置500の概略断面図である。
【図6】従来の半導体装置のTi系金属層407除去後の半導体装置600の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態である半導体装置100の概略断面図である。半導体装置100は、GaAs基板101と、磁気センシングするための受感部102と、ダイシングストリート103と、無機絶縁膜104と、有機絶縁膜105と、電極部106と、Ti系金属層107と、Cu系金属層108と、磁性体材料109とを備える。第1の実施形態では、ダイシングストリート103上を無機絶縁膜104でカバーしている。
【0013】
図2は、本発明の第2の実施形態である半導体装置200の概略断面図である。半導体装置200は、GaAs基板201と、磁気センシングするための受感部202と、ダイシングストリート203と、無機絶縁膜204と、有機絶縁膜205と、電極部206と、Ti系金属層207と、Cu系金属層208と、磁性体材料209とを備える。第2の実施形態では、ダイシングストリート203上に有機絶縁膜205でカバーしている。
【0014】
図3は、本発明の第3の実施形態である半導体装置300の概略断面図である。半導体装置300は、GaAs基板301と、磁気センシングするための受感部302と、ダイシングストリート303と、無機絶縁膜304と、有機絶縁膜305と、電極部306と、Ti系金属層307と、Cu系金属層308と、磁性体材料309とを備える。第3の実施形態では、ダイシングストリート303上に無機絶縁膜304および有機絶縁膜305でカバーしている。
【0015】
図4A、図4B、図4Cは、本発明の製造プロセスを説明する工程図である。
図4aに示すように、GaAs基板401上に磁気センシングする受感部領域402を形成した後、図4bに示すように、基板全面に無機絶縁膜404をプラズマCVD等で形成する。無機絶縁膜404は、受感部とGaAs基板の絶縁性、及び第1及び第3の実施の形態ではダイシングストリート403のカバーの役割があるため、厚みは100〜1000nmが適当である。それ以上薄いと絶縁性が保てず、また厚すぎるとダイシング時に切断性が低下する可能性がある。また、無機絶縁膜404の材質はSiNやSiO2などが望ましい。
【0016】
次に、図4cに示すように、不要な無機絶縁膜404が空隙になるようレジストパターン406aを形成する。その際に第1及び第3の実施の形態ではダイシングストリート403もマスクしておく。その後、図4dに示すようにレジストパターン406aをマスクに無機絶縁膜404をドライエッチング等で除去する。第1及び第3の実施の形態ではダイシングストリート403もマスクしているため、無機絶縁膜404は、GaAs上に残る。次に電極部406を形成する為に、レジストパターン406aを除去した後、再度レジストパターン406aを形成し、Au又はAu系材料をスパッタリング法又は真空蒸着法で形成した後、レジスト剥離によるリフトオフで不要な金属層を除去し、図4eに示すような電極部406を形成する。
【0017】
その後、図4fに示すように、GaAs基板401全面に有機絶縁膜405を塗布し、図4gに示すように、電極部406上および第1の実施形態では、ダイシングストリート403上の有機絶縁膜405を現像して除去する。第2及び第3の実施の形態ではダイシングストリート403上に有機絶縁膜405が残る。
【0018】
図4gは、第3の実施の形態の断面図を示している。次に図4hに示すように、GaAs基板401の全体にTi又はTiWなどのTi系材料からなるTi系金属層407をスパッタリング法又は真空蒸着法により形成する。このTi系金属層407の厚みは、0.1〜1μmが望ましい。
【0019】
次に、図4iに示すように、Cu系材料からなるCu系金属層408をスパッタリング法又は真空蒸着法もしくはめっき法により形成する。このCu系金属層408の厚みは、0.1〜10μmが望ましい。
【0020】
次に、図4jに示すように、受感部402上が空隙となるようなレジストパターン409aをCu系金属層408上に形成し、空隙部に磁気増幅機能を有する磁性体409を電解めっきにより形成する。この磁性体409の膜厚は、1〜30μmが望ましい。また、磁性体409は、Fe−NiやFe−Co系等の2元系材料やFe−Ni−BやFe−Ni−PやFe−Ni−Co系等の3元系合金材料で軟磁性材料が望ましい。図4kに示すように、レジストパターン409aを除去する。その結果、磁性体409が、Cu系金属層408上に残ることになる。
【0021】
次に、図4lに示すようにCu系金属層408をウェットエッチングにより除去する。その際、磁性体409及びTi系金属層407がエッチングされないことが重要である。
【0022】
次に、図4mに示すように、Ti系金属層407をH22系のエッチャントを使用したウェットエッチングにより除去する。ここで、第1から第3の実施の形態ではダイシングストリート403上に無機絶縁膜404または有機絶縁膜405が形成されており、さらにGaAs基板401裏面には有機絶縁膜が形成されているためエッチャントによるGaAs基板401の溶解は最小限に抑制できる。その後、GaAs基板401裏面を機械研磨することでGaAs基板401の厚みを薄くする。ここでGaAs基板401裏面部にレジストを形成している場合は研磨により除去でき、また、テープの場合は研磨前に剥離すれば良いため、その後のダイシング工程に影響を及ぼすことは無い。
【0023】
さらに裏面を保護することによりGaAs基板の溶解を防ぐことが可能である。具体的には図4nに示すように、Cu系金属層408形成直後、GaAs基板401裏面に有機絶縁膜410を形成することによりGaAs基板401裏面部をカバーする。該有機絶縁膜410には、ネガ系のレジストが望ましい。さらに、この工程で裏面を保護しない場合、図4oに示すレジストパターン409a除去直後もしくは、図4pに示すCu系金属層408除去直後に有機絶縁膜410を形成し、GaAs基板401裏面をカバーする。該有機絶縁膜には、ポジ系もしくはネガ系のレジストやまたは耐酸かつ耐アルカリ性のあるテープ等が望ましい。
【0024】
[実施例1]
本発明の実施例1を図1及び図4を参考にして説明する。
GaAs基板101上に磁気センシングする受感部領域102を形成した後、全面にSiNを材料とする無機絶縁膜104をプラズマCVDにより270nm形成した。次に不要な無機絶縁膜104が空隙になるようレジストパターン106aを形成する。その際にダイシングストリート103もレジストでマスクした。その後レジストパターン106aをマスクに無機絶縁膜104をドライエッチングで除去した。
【0025】
次に、電極部106を形成する為に、レジストパターン106aを除去した後、再度レジストパターン106aを形成し、AuとTiを材料とする金属層を蒸着法によりGaAs基板101全面に形成し、レジスト剥離によるリフトオフで不要な金属層を除去し、電極部106を形成した。
【0026】
その後、GaAs基板101全面に感光性ポリイミドを材料とする有機絶縁膜105を塗布し、電極部106上およびダイシングストリート103上の有機絶縁膜105を露光し、現像液で除去した。次にGaAs基板101の全体にTiを材料とするTi系金属層107を1500Å、Cuを材料とするCu系金属層108を6000Åをどちらもスパッタリング法で形成した。
【0027】
次に、受感部102上が空隙となるようなレジストパターン109aをCu系金属層108上に形成し、空隙部にNi−Fe−Bからなる磁性体109を13μm電解めっきにより形成した。次に、レジストパターン109aを剥離液で除去し、Cu系金属層108をウェットエッチングにより除去した。その後GaAs基板101裏面に耐薬品性の保護テープを貼り付けた後、Ti金属層107をH22系のエッチャントを使用したウェットエッチングにより除去した。
【0028】
[実施例2]
次に、本発明の実施例2を図2及び図4を参考にして説明する。
GaAs基板201上に磁気センシングする受感部領域202を形成した後、全面にSiNを材料とする無機絶縁膜204をプラズマCVDにより270nm形成した。次に不要な無機絶縁膜204が空隙になるようレジストパターン206aを形成する。その際にダイシングストリート203はマスクせずに露出した。
【0029】
その後、レジストパターン206aをマスクに無機絶縁膜204をドライエッチングで除去した。次に電極部206を形成する為に、レジストパターン206aを除去した後、再度レジストパターン206aを形成し、AuとTiを材料とする金属層を蒸着法によりGaAs基板201全面に形成し、レジスト剥離によるリフトオフで不要な金属層を除去し、電極部206を形成した。その後GaAs基板201全面に感光性ポリイミドを材料とする有機絶縁膜205を塗布し、電極部206上のみ有機絶縁膜205を露光し、現像液で除去し、ダイシングストリート203上には有機絶縁膜205を残した。次に、GaAs基板201の全体にTiを材料とするTi系金属層207を1500Å、Cuを材料とするCu系金属層208を6000Åをどちらもスパッタリング法で形成した。
【0030】
次に、受感部202上が空隙となるようなレジストパターン209aをCu系金属層208上に形成し、空隙部にNi−Fe−Bからなる磁性体209を13μm電解めっきにより形成した。次に、レジストパターン209aを剥離液で除去し、Cu系金属層208をウェットエッチングにより除去した。その後、GaAs基板201裏面に耐薬品性の保護テープを貼り付けた後、Ti金属層207をH22系のエッチャントを使用したウェットエッチングにより除去した。
【0031】
[実施例3]
次に、本発明の実施例3を図3及び図4を参考にして説明する。
GaAs基板301上に磁気センシングする受感部領域302を形成した後、全面にSiNを材料とする無機絶縁膜304をプラズマCVDにより270nm形成した。次に不要な無機絶縁膜304が空隙になるようレジストパターン306aを形成する。その際にダイシングストリート303もレジストでマスクした。その後、レジストパターン306aをマスクに無機絶縁膜304をドライエッチングで除去した。次に電極部306を形成する為に、レジストパターン306aを除去した後、再度レジストパターン306aを形成し、AuとTiを材料とする金属層を蒸着法によりGaAs基板301全面に形成し、レジスト剥離によるリフトオフで不要な金属層を除去し、電極部306を形成した。
【0032】
その後、GaAs基板301全面に感光性ポリイミドを材料とする有機絶縁膜305を塗布し、電極部306上のみ有機絶縁膜305を露光し、現像液で除去し、ダイシングストリート303上には有機絶縁膜305を残した。次にGaAs基板301の全体にTiを材料とするTi系金属層307を1500Åで、Cuを材料とするCu系金属層308を6000Åで、どちらもスパッタリング法により形成した。次に、受感部302上が空隙となるようなレジストパターン309aをCu系金属層308上に形成し、空隙部にNi−Fe−Bからなる磁性体309を13μm電解めっきにより形成した。
【0033】
次に、レジストパターン309aを剥離液で除去し、Cu系金属層308をウェットエッチングにより除去した。その後GaAs基板301裏面に耐薬品性の保護テープを貼り付けた後、Ti金属層307をH22系のエッチャントを使用したウェットエッチングにより除去した。
【0034】
第1、第2、第3の実施例の半導体装置をダンシングした結果を表1に示す。表1は、GaAs基板のダイシングストリートを保護していない場合と実施例1乃至3における各絶縁膜で保護した場合のGaAs基板のサイドエッチング量および電極剥離率の比較である。Ti系金属層407を除去する際に、GaAs基板が露出していると、エッチング液によりGaAsが溶出し、ダイシングストリート部や電極部下部がエッチングされ、ダイシング時の強い切削水流により、電極部が剥離する。ダイシングストリート保護膜無しではエッチングによるGaAs基板の電極部下部のサイドエッチング量が15μmであり、電極部の剥離率が100%であったのに対し、実施例1〜3では共にサイドエッチング量は、0μmで電極剥離も発生しなかった。
【0035】
【表1】

【符号の説明】
【0036】
101、201、301、401 GaAs基板
102、202、302、402 受感部
103、203、303、403 ダイシングストリート
104、204、304、404 無機絶縁膜
105、205、305、405 有機絶縁膜
106、206、306、406 電極部
106a、206a、306a、406a レジストパターン
107、207、307、407 Ti系金属層
108、208、308、408 Cu系金属層
109、209、309、409 磁性体材料
109a、209a、309a、409a レジストパターン
110、210、310、410 有機絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GaAs基板上に、磁気センシングする受感部領域を形成する工程と、
前記GaAs基板全面に無機絶縁膜を形成する工程と、
前記無機絶縁膜上に第一のレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして前記無機絶縁膜をドライエッチングにより除去する工程と、
前記第一のレジストパターンを除去した後、電極部を形成する工程と、
前記GaAs基板全面に有機絶縁膜を塗布しパターニングする工程と、
前記GaAs基板の全体にTi系金属層を形成する工程と、
前記Ti系金属層の上にCu系金属層を形成する工程と、
前記受感部領域が空隙となるような第二のレジストパターンを前記Cu系金属層上に形成し、前記空隙部に磁気増幅機能を有する磁性体を形成する工程と、
前記第二のレジストパターンを除去する工程と、
前記Cu系金属層を除去する工程と、
前記Ti系金属層を除去する工程と、
前記GaAs基板の裏面に形成された有機絶縁膜を除去する工程と、
をこの順で行うことを特徴とする磁気デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−70092(P2013−70092A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−278588(P2012−278588)
【出願日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【分割の表示】特願2009−72351(P2009−72351)の分割
【原出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】