説明

磁気記録再生装置

【課題】 高い信号出力を有するスピン蓄積型磁気再生ヘッドおよび高密度の磁気記録再生装置を提供する。
【解決手段】 第1の電極層の一端上に、第1の絶縁層を介して積層された第1の強磁性体層と、第1の電極層の他端上に、第1の絶縁層よりも大きな接合面積を持つ第2の絶縁層を介して積層された第2の強磁性体層と、第1の強磁性体層に接続されている検出電極と、第2の強磁性体層に接続されている第2の電極層とを備え、第1の電極層の幅lbが、第1の絶縁層から第2の絶縁層方向に向かうにつれ大きくなり、かつ第1の絶縁層と第2の絶縁層の間で一定の幅を持つ部分laを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
磁気再生ヘッド及びそれを備えた磁気記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録再生装置においては年々高密度化が要求されており、それに伴い磁気記録再生ヘッドは、高出力化・高分解能化が必須とされている。
【0003】
現行の磁気記録再生装置に関しては、その要素技術として、センス電流を積層面に垂直に流すCPP−GMR(Current Perpendicular to Plane Giant Magneto Resistance)ヘッドやTMR(Tunneling Magneto Resistance)ヘッドが提案されている。これらスピンバルブタイプの再生装置は、媒体からの漏洩磁界の検出方法として磁性導電体(自由層)を用いており、磁気的に一方向に固着した磁性導電体(固定層)との相対的な磁化の向きに関して、抵抗変化を示すことを利用している。
【0004】
一方、スピン蓄積効果を応用した素子を再生ヘッドに用いた磁気装置が提案されている。(例えば、特許文献1、特許文献2参照)なお、非磁性導電体の中でのスピン電子の作用については非特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−342241号公報
【特許文献2】特開2004−186274号公報
【特許文献3】特開2010−113788号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】F.J.Jedema他4名、“Electrical detection of spin precession in a metallic mesoscopic spin valve”、Nature、vol.416(2002)、p713−716.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現行のCPP−GMRヘッドやTMRヘッドに関して、分解能を高める為には構成膜を薄くする必要性がある。特にビット長が小さくなってくると、高い分解能を得る為にはギャップ幅を狭小化しなくてはならない。例えば、1平方インチ当たり2テラビット(2Tbit/in2)の媒体に対する再生ヘッドはギャップ幅が18nmとなり、素子の構成膜の合計が18nm以下にする必要性がある。その為、現行のCPP−GMRヘッドやTMRヘッドの構成では、室温においても磁性導電体の磁化が不安定となる。
【0008】
磁性導電体の体積が減少すると、磁化の不安定化が起こり、磁気的なノイズが増大する事が予想される。その為、再生ヘッドのS/N比が悪くなり、超高密度ハードディスクの読み出しが困難となる。
【0009】
そこで、テラビット級の面記録密度を持つハードディスクに関しては、高分解能かつ低ノイズを特徴とする外部磁界センサが必要となっている。
【0010】
特許文献1や特許文献2に記載のスピン蓄積効果を応用した再生ヘッドは、高分解能かつ低ノイズを実現できる可能性がある。スピン蓄積効果とは、強磁性導電体から非磁性金属に電流を流した際に、非磁性金属中にスピン偏極した電子が蓄積される現象である。この非磁性金属中に蓄積されたスピン偏極した電子は、スピン拡散長の範囲内で、拡散により非磁性金属中を伝播する。なお、スピン拡散長とは、スピンの情報が消失する(スピンが反転する)距離を表しており、物質固有の値である。スピン蓄積効果は、強磁性導電体が一般にフェルミ準位において異なるスピン密度(アップスピン電子とダウンスピン電子の数が異なる)をもつため、強磁性導電体から非磁性金属に電流を流すとスピン偏極した電子(スピン電子)が注入され、アップスピン電子とダウンスピン電子のケミカルポテンシャルが異なることに起因している。
【0011】
本効果を利用した再生ヘッドは、スピン電流を注入する磁性導電体を固定層、他方の磁性導電体を記録媒体に対向する自由層として利用する。スピン蓄積効果によって、固定層と自由層とをスピン拡散長の範囲内で離れた位置に配置することが出来る為、記録媒体に対向するシールド間距離(ギャップ長)を狭小化することが可能となる。また、自由層のセンシング部分には直接電流が流れない為、ジョンソンノイズなどを低減できる可能性がある。
【0012】
一方、特許文献3には、スピン偏極した電子が蓄積される非磁性金属層の形状を、スピン電流を注入する磁化固定層から自由層に向かってその幅を狭くすることにより、出力を増大させることができることが述べられている。しかし、磁化固定層から自由層に向かって非磁性金属層の幅を単に狭くするだけでは、自由層近傍の非磁性金属層のスピン電子密度を増加させ、出力を増大させるためには十分ではない。
【0013】
本発明の目的は、スピン偏極した電子が蓄積される非磁性金属層の最適な形状を提供することにより、高い信号出力を有するスピン蓄積型磁気再生ヘッドおよび高密度の磁気記録再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための一形態として、第1の電極層の一端上に、第1の絶縁層を介して積層された第1の強磁性体層と、前記第1の電極層の他端上に、第1の絶縁層よりも大きな接合面積を持つ第2の絶縁層を介して積層された第2の強磁性体層と、前記第1の強磁性体層に接続されている検出電極と、前記第2の強磁性体層に接続されている第2の電極層とを備え、前記第1と第2の絶縁層の重心を結ぶ直線と層厚方向とに共に直交する方向の第1の電極層の幅が、第1の絶縁層から第2の絶縁層方向に向かうにつれ大きくなりかつ第1の絶縁層と第2の絶縁層の間で一定の幅を持つ部分を備え、前記第2の電極層から、前記第2の絶縁層を通って前記第2の強磁性体層と第1の電極層との間にトンネル電流が流れ、外部磁界が印加されると第1の強磁性体層の磁化の向きが変化することで、前記第1の電極層と、前記第1の強磁性体層に接続されている検出電極との間の電圧を検出することを特徴とする磁気再生ヘッドとする。
【0015】
また、垂直記録連続媒体、ディスクリート媒体、パターン媒体のうち少なくとも1個の磁気記録層を有する磁気記録媒体と、前記記録媒体を駆動する駆動部と、上記磁気再生ヘッドと磁気記録ヘッドとを組み合わせた磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体上の所定の位置へ移動させるアクチュエータと、前記磁気ヘッドからの出力信号を処理する手段とを備えたことを特徴とする磁気記録再生装置とする。
【発明の効果】
【0016】
スピン偏極した電子が蓄積される非磁性金属層において、固定層と自由層の間の非磁性金属層の幅が一定の部分と狭くなる部分の両方を持つことで、自由層近傍の非磁性層中のスピン電子密度を増大させることが可能となり、高い出力を持つ磁気再生ヘッド及びそれを用いた磁気記録再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第一のスピン蓄積素子を模式的に示す側面図および上面図。
【図2】各電極層形状におけるスピン電子密度を示す上面図。
【図3】各電極層形状におけるy方向のスピン電子密度。
【図4】スピン電子密度のla/lb依存性。
【図5】再生ヘッド構造。
【図6】スライダ部分。
【図7】磁気ディスク装置。
【図8】第二のスピン蓄積素子を模式的に示す側面図および上面図
【図9】各電極層形状におけるスピン電子密度を示す上面図。
【図10】各非磁性体形状におけるy方向のスピン電子密度。
【図11】第三のスピン蓄積素子を模式的に示す側面図および上面図。
【図12】第四のスピン蓄積素子を模式的に示す側面図および上面図。
【図13】第五のスピン蓄積素子を模式的に示す側面図および上面図。
【図14】第五のスピン蓄積素子を模式的に示す側面図および上面図。
【図15】第六のスピン蓄積素子を模式的に示す側面図および上面図。
【図16】第七のスピン蓄積素子を模式的に示す側面図および上面図。
【図17】第七のスピン蓄積素子を模式的に示す側面図および上面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用するのに好ましい磁気ヘッドについて、実施例を用いて詳細に説明
する。
【実施例1】
【0019】
第1の実施例について図1を用いて説明する。図1は本実施例に係る第一のスピン蓄積素子を模式的に示す側面図および上面図である。本素子は、第1の電極層10の一端1上に、第1の絶縁層11を介して積層された第1の強磁性体層12と、前記第1の電極層の他端2上に、第1の絶縁層よりも大きな接合面積を持つ第2の絶縁層13を介して積層された第2の強磁性体層14と、前記第1の強磁性体層に接続されている検出電極16と、前記第2の強磁性体層に接続されている第2の電極層17とを備え、第1の電極層の幅wbが、第1の絶縁層から第2の絶縁層方向に向かうにつれ大きくなり、かつ第1の絶縁層と第2の絶縁層の間で一定の幅を持つ部分laを備えている。前記第2の電極層17につながれている電流源19から、前記第2の絶縁層13を通って前記第2の強磁性体層14と第1の電極層10との間にトンネル電流が流れ、外部磁界が印加されると第1の強磁性体層12の磁化の向きが変化することで、前記第1の電極層10と、前記第1の強磁性体層12に接続されている検出電極16との間に生じる電圧18を検出することを特徴としている。
【0020】
図1で示したスピン蓄積素子の動作原理は以下の通りである。電流源19から、絶縁層13を通って強磁性体層14から電極層10との間にトンネル電流が流れると、強磁性層14の磁化の向きに偏極したスピンを持つ電子がより多く電極層10に注入される。引き出し電極20は、トンネル電流が流れる領域2より左側に設けてあるため、注入されたトンネル電流は領域2およびその左側を流れることになる。一方、注入された偏極スピン電子は、その濃度勾配による拡散により輸送されるため、領域2の右側すなわち領域1方向にも流れていき、領域1近傍の電極層10には、強磁性層14の磁化の向きに偏極したスピンがより多く存在することになる。ちなみに、強磁性層14の磁化の向きに偏極したスピンを持つ電子が領域2から領域1方向に流れていくのに対し、逆向きに偏極した電子が領域1から領域2方向に流れていくため、領域2の右側ではトータルの電荷の移動、すなわち電流は発生しない。これは、領域1においても同様で、絶縁層11を介した正味の電荷によるトンネル電流は発生しない。
【0021】
強磁性層12の磁化の向きが強磁性層14の磁化の向きと平行な場合、電極層10に蓄積されたスピン偏極した電子は絶縁層11を介して電極層10と強磁性層12との間のトンネル電流が流れやすくなるため、強磁性層14の磁化の向きと反平行なスピン偏極電子による逆方向に流れるトンネル電流とつりあい、正味のトンネル電流が発生しないために、強磁性層12は電極層10に対して+ΔVの電位が発生する。一方、強磁性層12の磁化の向きが強磁性層14の磁化の向きと反平行な場合、電極層10に蓄積されたスピン偏極した電子は絶縁層11を介して電極層10と強磁性層12との間のトンネル電流が流れにくくなるため、強磁性層14の磁化の向きと反平行なスピン偏極電子による逆方向に流れるトンネル電流とつりあい、正味のトンネル電流が発生しないために、強磁性層12は電極層10に対して-ΔVの電位が発生する。これは、領域2における電流注入部と領域1における電圧測定部が異なる、いわゆるノンローカルな効果によるものである。
【0022】
上記出力の絶対値ΔVは、絶縁層11直下の電極層10におけるスピン偏極した電子の密度に比例している。このスピン偏極した電子は、領域2において、絶縁層13の直下に強磁性層14から注入されたスピン偏極電子が拡散により輸送されてきたものであり、絶縁層11直下の電極層10におけるスピン偏極した電子の密度は、電極層10の形状に依存する。
【0023】
図2は、領域2に注入されたスピン偏極電子が電極層10を拡散していく時、その密度の場所依存性を、電極層10の種々の形状に対して示したものである。ここで、図2(a)はwa=wb、図2(b)はwa=5wb、la=0、図2(c)はwa=5wb、la=0.2lb、図2(d)はwa=5wb、la=0.8lbの場合の様子をそれぞれ示している。ここで、wa,wbは図中の位置y=0,lbにおける電極層10の幅である。-0.2lb≦y≦0が領域2、y=lbが領域1の左端に相当する。領域2のスピン偏極電子の密度は一定とし、-lb≦y≦-0.8lbおよび2.8lb≦y≦3lbに領域2より小さな一定密度のスピン偏極電子がある条件で、種々の電極層10の形状において、拡散方程式を解いたものである。
【0024】
図3に、図2(a)(b)(c)(d)におけるデバイス中央部分(x=0)のスピン電子密度を、yの関数として示す。まず、図2(a)と図2(b)を比べると、y=lbにおいて、図2(b)の場合の方が図2(a)の場合に比べて、-0.2lb≦y≦0と2.8lb≦y≦3lbの領域間のスピン偏極電子密度差の16%程度相当のスピン偏極電子密度が大きくなる。
【0025】
、図2(b)(c)(d)は、laが異なる構造に対応する。そこで、図4にy=lbにおけるスピン偏極電子密度を、la/lbの関数として示す。スピン偏極電子密度はla/lbの関数として極大値をとり、la/lb =0の時に比べてla/lb =0.7近傍ではさらに12%程度スピン偏極電子密度が増大する。すなわち、第1の絶縁層と第2の絶縁層の間で一定の幅を持つ部分laを備えている場合(0.05≦la/lb ≦0.95)の方が、la=0の場合に比べてより効率的にスピン偏極電子を拡散させていくことができ、出力ΔVを増大させることができる。
【0026】
本実施例の第一のスピン蓄積素子を構成する各要素の材料として以下のものを用いることができる。
【0027】
電極層10としては、Cu、Au、Ag、Pt、Al、Pd、Ru、Ir、Rhを含む非磁性導電性金属か、または、GaAs、Si、TiN、TiO、ReO3を主成分とする伝導性の化合物からなるか、もしくはグラフェンのようなCから構成される物質である。これらの非磁性導電性金属は、スピン拡散長が長い為、スピン電子を効率的に蓄積できるのが特徴である。
【0028】
強磁性層12、14は、Co、Ni、Fe、Mnあるいは、これらの元素を少なくとも一種類を主成分として含有している合金あるいは化合物からなる材料で構成される。さらに、ハーフメタルFe3O4に代表されるAB2O4なる構造を持つ酸化物で、AはFe、Co、Znの少なくとも一つ、BはFe、Co、Ni、Mn、Znの一つからなる酸化物、CrO2、CrAs、CrSbあるいはZnOに遷移金属であるFe、Co、Ni、Cr、Mnを少なくとも一成分以上添加した化合物、GaNにMnを添加した化合物、あるいはCo2MnGe、Co2MnSb、Co2Cr0.6Fe0.4Alなどに代表されるC2D×E1×F型のホイスラー合金で、CはCo、CuあるいはNiの少なくとも一種類からなり、DとEはそれぞれMn、Fe、Crの一種であり、かつFはAl、Sb、Ge、Si、Ga、Snの少なくとも一成分を含有する材料を、これら磁性層が含有している場合でも用いることができる。
【0029】
絶縁層11,13としては、Al2O3のようなAlを含む酸化物,MgO,MgZnOのようなMgを含む酸化物、SiO2のようなSiを含む酸化物を用いることができる。
【0030】
本実施例に示した第一のスピン蓄積素子の製造方法の概要を説明する。素子を作製する基板として、SiO2基板やガラス基板などの通常用いられる基板(酸化マグネシウム基板、GaAs基板、AlTiC基板、SiC基板、Al2O3基板等を含む)を用いることができる。また、第一のスピン蓄積素子を構成する要素を形成するための各膜は、RFスパッタリング法やDCスパッタリング法、分子線エピタキシー法(MBE)等の膜形成装置を用いて形成することができる。例えばRFスパッタリング法の場合、Ar雰囲気中で、約0.1〜0.001Paの圧力、100W〜500Wのパワーで、所定の膜を成長させた。素子形成する基板は、上記基板を直接用いるか、または、これら基板上に絶縁膜や、適当な下地金属膜などを形成したものを用いたものである。
【0031】
まず、熱酸化膜が形成されたSi基板上に、RFマグネトロンスパッタリング装置で、下地層、電極層10、絶縁層11、13、強磁性層12,14および保護膜を積層した。ここで、絶縁層11,13および強磁性層12,14はまだ分離しておらず、膜の状態である。強磁性層に用いた磁性材料はCoFeBであり、その他、上述した材料が候補である。
【0032】
次に、電子線描画法とドライエッチングによって、図1下図の上面図に示すような形状に多層膜全体を切り出した。さらに電子線描画法とドライエッチングによって、絶縁層11、13、強磁性層12,14を分離成型した。強磁性層12上には、磁化を固定するための反強磁性層を作製する必要があるため、再び電子線描画法により、強磁性層12上はレジストでマスクし、強磁性層14上のみ穴がパターンを作製し、反強磁性層15を積層し、リフトオフにより強磁性層14上以外の反強磁性層部分を除去した。反強磁性層としてMnIrを用いたが、NiO等の反強磁性体を用いても良い。その後、層間絶縁用膜を積層し、電極層10と強磁性層12,反強磁性層15とに電極を作製するためのコンタクトホールを形成した。層間絶縁膜としては、Al2O3を用いたが、SiO2、MgOなどの酸化物を用いてもよい。電極用配線膜を積層し、さらにフォトリソグラフィー法とイオンミリングにより電極パッドや配線の形状を形成した。以上の工程を経て、第一差動型スピン蓄積素子が完成する。本実施例では、領域1および領域2のそれぞれの強磁性層のx方向の幅は、wa=100nm,wb=20nmとし、y方向の幅はともに20nmとなる様に微細加工した。また、電極層10として4nm厚のCuを用いた。
【0033】
本実施例における第一のスピン蓄積素子において、la/lbを変化させた素子において、出力電圧ΔVを測定したところ、図4に示すスピン電子密度と同様に、la/lb〜0.7で極大を示し、la/lb =0の場合に比べて10%程度の出力増大を示した。0.1≦la/lb≦0.9の範囲で出力増大の効果があった。
【0034】
次に、本実施例に係る第一のスピン蓄積素子用いた再生ヘッドの構成について説明する。
図5は、スピン蓄積再生ヘッドの模式図である。電極層510の一端上に、第1の絶縁層511を介して積層された強磁性体層512と、電極層510の他端上に、第1の絶縁層よりも大きな接合面積を持つ第2の絶縁層513を介して積層された第2の強磁性体層514と、強磁性層514の磁化を固定するための反強磁性層515、反強磁性層515に接続されている第2の電極層517があり、電極層510および517は絶縁層530および531を介して、磁気シールド540および541に接触している。強磁性層512は絶縁層を介さずに磁気シールド541に接触しており、磁気シールド541が電極として動作する。電流源519により、絶縁層513を通って強磁性体層514と電極層510との間にトンネル電流が流れ、記録媒体からの外部磁界により強磁性体層512の磁化の向きが変化する。強磁性層512と514との間の相対的な磁化の向きに依存して発生する電圧を、電極層510と、強磁性体層512に接続されている磁気シールド541との間に生じる電圧を電圧計518により検出する。図5の再生ヘッド構造の場合、図1におけるlfに相当する部分はないため、上述したように、電極層510と強磁性体層512に接続されている磁気シールド541との間に生じる電圧を検出する。尚、強磁性層512の磁区制御として、バイアス磁界を図5中のx方向に印加しても良い。
【0035】
図6は、記録・再生磁気ヘッドの模式図を示す。601はスライダアーム、602は磁気ヘッド、603は本実施例に係る再生ヘッド部位、604は垂直記録方式やエネルギーアシストによる記録ヘッド部位をそれぞれ示す。
【0036】
図7は、長手記録連続媒体、垂直記録連続媒体、ディスクリート媒体、パターン媒体
といった磁気記録層を有する磁気記録媒体701と、前記記録媒体を駆動する駆動部702と、図6で示した磁気ヘッド602と、前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体上の所定の位置へ移動させるアクチュエータ703およびスライダアーム601と、前記磁気ヘッドからの出力信号を処理する信号処理部710と、駆動部702及びアクュエータ703を制御する制御部720とを備えた磁気記録再生装置を表す。
【0037】
本磁気記録再生装置は、スピンドルモータ等の駆動部702によって、磁気記録媒体701を回転させ、磁気ヘッド602による記録再生を行う。磁気ヘッド602から出力された電圧は、適切な信号処理によって、磁気記録媒体701の磁気情報を読み取ることが可能となる。
【実施例2】
【0038】
第2の実施例について図8を用いて説明する。なお、実施例1に記載され、本実施例に記載されていない事項は実施例1と同様である。
【0039】
図8は本実施例に係る第2のスピン蓄積素子を模式的に示す側面図および上面図である。本素子は、第1の電極層810の一端1上に、第1の絶縁層11を介して積層された第1の強磁性体層12と、前記第1の電極層の他端2上に、第1の絶縁層よりも大きな接合面積を持つ第2の絶縁層13を介して積層された第2の強磁性体層14と、前記第1の強磁性体層に接続されている検出電極16と、前記第2の強磁性体層に接続されている第2の電極層17とを備え、第1の絶縁層と第2の絶縁層の間で、第1の電極層の幅が、laとlbの異なる幅を備えている。実施例1と同様、電極層17につながれている電流源19から、第2の強磁性体層14と第1の電極層810との間にトンネル電流が流れ、外部磁界が印加されると第1の強磁性体層12の磁化の向きが変化することで、前記第1の電極層810と、前記第1の強磁性体層12に接続されている検出電極16との間に生じる電圧18を検出することが可能である。
【0040】
電極層810、および、磁性導電体12,14の材料は、実施例1で示した材料とし、反強磁性導電体15としてMnIr、MnPt、MnRh等、絶縁層11,13としてMgO、Al2O3、AlN、SiO2、HfO2、Zr2O3、Cr2O3、TiO2、SrTiO3、MgZnOの少なくとも一種類を含む材料からなる単膜あるいは積層膜を用いた。
【0041】
図9は、領域2に注入されたスピン偏極電子が電極層810を拡散していく時、その密度の場所依存性を、電極層810の種々の形状に対して示したものである。ここで、図8(a)はla=0、wa=wb、(b)はwa=5wb、la=0.2lb、(c)はwa=5wb、la=0.4lb、 (d)はwa=5wb、la=lbの場合の様子をそれぞれ示している。-0.2lb≦y≦0が領域2、y=lbが領域1の左端に相当する。領域2のスピン偏極電子の密度は一定とし、-lb≦y≦-0.8lbおよび2.8lb≦y≦3lbに領域2より小さな一定密度のスピン偏極電子がある条件で、種々の電極層810の形状において、拡散方程式を解いたものである。
【0042】
図10に、図9(a)(b)(c)(d)におけるデバイス中央部分(x=0)のスピン電子密度を、yの関数として示す。y=lbにおいて、laが0から大きくなるにつれ、-0.2lb≦y≦0と2.8lb≦y≦3lbの領域間のスピン偏極電子密度差の最大で23%程度相当のスピン偏極電子密度が大きくなる。すなわち、第1の絶縁層と第2の絶縁層の間でlbより大きな一定の幅を持つ部分laを備えている場合の方が、la=0の場合に比べてより効率的にスピン偏極電子を拡散させていくことができ、実施例1と同様、出力ΔVを増大させることができる。
【実施例3】
【0043】
第3の実施例について図11を用いて説明する。なお、実施例1、2に記載され、本実施例に記載されていない事項は実施例1、2と同様である。
【0044】
図11は本実施例に係る第3のスピン蓄積素子を模式的に示す側面図および上面図である。本素子は、第1の電極層1110の一端1上に、第1の絶縁層11を介して積層された第1の強磁性体層12と、前記第1の電極層の他端2上に、第1の絶縁層よりも大きな接合面積を持つ第2の絶縁層13を介して積層された第2の強磁性体層14と、前記第1の強磁性体層に接続されている検出電極16と、前記第2の強磁性体層に接続されている第2の電極層17とを備え、第1の絶縁層と第2の絶縁層の間で、第1の電極層の幅が、laとlbの異なる幅を備えている。ここで、電極層1110のla部分の幅waが、lc部分の幅wcおよび領域2の幅wpよりも大きくなっている。実施例1と同様、電極層17につながれている電流源19から、第2の強磁性体層14と第1の電極層1110との間にトンネル電流が流れ、外部磁界が印加されると第1の強磁性体層12の磁化の向きが変化することで、前記第1の電極層1110と、前記第1の強磁性体層12に接続されている検出電極16との間に生じる電圧18を検出することが可能である。
【0045】
本実施例の場合、wc<waであるため、領域2に注入されたスピン偏極電子は、領域2の左側よりも多く右側に流れ出す。さらに、実施例2と同様、y=lbにおいて、laが0から大きくなるにつれ、-0.2lb≦y≦0と2.8lb≦y≦3lbの領域間のスピン偏極電子密度差の23%程度のスピン偏極電子密度が大きくなる。すなわち、電極層1110の形状を本実施例のようにすることで、出力ΔVを増大させることができる。
【実施例4】
【0046】
第4の実施例について図12を用いて説明する。なお、実施例1、2に記載され、本実施例に記載されていない事項は実施例1、2と同様である。
【0047】
図12は本実施例に係る第4のスピン蓄積素子を模式的に示す側面図および上面図である。本素子は、第1の電極層1210の一端1上に、第1の絶縁層11を介して積層された第1の強磁性体層12と、前記第1の電極層の他端2上に、第1の絶縁層よりも大きな接合面積を持つ第2の絶縁層13を介して積層された第2の強磁性体層14と、前記第1の強磁性体層に接続されている検出電極16と、前記第2の強磁性体層に接続されている第2の電極層17とを備え、第1の絶縁層と第2の絶縁層の間で、第1の電極層の幅が、laとlbの異なる幅を備えている。ここで、電極層1210のla部分の幅waが、lc部分の幅wcおよび領域2の幅wpよりも大きくなっており、さらに領域2の幅wpよりも大きな幅を持つla2部分を備えている。実施例1と同様、電極層17につながれている電流源19から、第2の強磁性体層14と第1の電極層1210との間にトンネル電流が流れ、外部磁界が印加されると第1の強磁性体層12の磁化の向きが変化することで、前記第1の電極層1210と、前記第1の強磁性体層12に接続されている検出電極16との間に生じる電圧18を検出することが可能である。
【0048】
本実施例の場合、wc<waかつla2部分を持つため、領域2に注入されたスピン偏極電子は、領域2の左側よりも多く右側に流れ出す。さらに、実施例2と同様、y=lbにおいて、laが0から大きくなるにつれ、-0.2lb≦y≦0と2.8lb≦y≦3lbの領域間のスピン偏極電子密度差の23%程度のスピン偏極電子密度が大きくなる。すなわち、電極層1210の形状を本実施例のようにすることで、出力ΔVを増大させることができる。
【実施例5】
【0049】
第5の実施例について図13および図14を用いて説明する。なお、実施例1、2に記載され、本実施例に記載されていない事項は実施例1、2と同様である。
【0050】
図13は本実施例に係る第5のスピン蓄積素子を模式的に示す側面図および上面図である。本素子は、第1の電極層1310の一端1上に、第1の絶縁層11を介して積層された第1の強磁性体層12と、前記第1の電極層の他端2上に、第1の絶縁層よりも大きな接合面積を持つ第2の絶縁層13を介して積層された第2の強磁性体層14と、前記第1の強磁性体層に接続されている検出電極16と、前記第2の強磁性体層に接続されている第2の電極層17とを備え、電極層1310の幅が、第1の絶縁層から第2の絶縁層方向に向かうにつれ大きくなり、かつ第1の絶縁層と第2の絶縁層の間で一定の幅を持つ部分laを備えている。ここで、電極層1310のla部分の幅waが、lc部分の幅wcおよび領域2の幅wpよりも大きくなっている。図14に示すように、さらに領域2の幅wpよりも大きな幅を持つla2部分を備えていてもよい。実施例1と同様、電極層17につながれている電流源19から、第2の強磁性体層14と第1の電極層1310との間にトンネル電流が流れ、外部磁界が印加されると第1の強磁性体層12の磁化の向きが変化することで、前記第1の電極層1310と、前記第1の強磁性体層12に接続されている検出電極16との間に生じる電圧18を検出することが可能である。
【0051】
本実施例の場合、wc<waもしくはla2部分を持つため、領域2に注入されたスピン偏極電子は、領域2の左側よりも多く右側に流れ出す。また、実施例1と同様、y=lbにおいて、la/lb =0の時に比べてla/lb =0.7近傍ではさらに12%程度スピン偏極電子密度が増大する。すなわち、第1の絶縁層と第2の絶縁層の間で一定の幅を持つ部分laを備えている場合の方が、la=0の場合に比べてより効率的にスピン偏極電子を拡散させていくことができ、出力ΔVを増大させることができる。
【実施例6】
【0052】
第6の実施例について図15を用いて説明する。なお、実施例1、2に記載され、本実施例に記載されていない事項は実施例1、2と同様である。
【0053】
図15は本実施例に係る第6のスピン蓄積素子を模式的に示す側面図および上面図である。本素子は、第1の電極層1510の一端1上に、第1の絶縁層11を介して積層された第1の強磁性体層12と、前記第1の電極層の他端2上に、第1の絶縁層よりも大きな接合面積を持つ第2の絶縁層13を介して積層された第2の強磁性体層14と、前記第1の強磁性体層に接続されている検出電極16と、前記第2の強磁性体層に接続されている第2の電極層17とを備え、電極層1510の幅が、第1の絶縁層から第2の絶縁層方向に向かうにつれ大きくなり、かつ第1の絶縁層と第2の絶縁層の間で一定の幅を持つ部分laを備えている。ここで、領域1の幅wfよりも、電極層1510の幅は領域1の右端を除いて広くなっている。また、実施例5に示したように、電極層1510のla部分の幅waが、lc部分の幅wcおよび領域2の幅wpよりも大きくなっていてもよい。また、領域2の幅wpよりも大きな幅を持つ部分を備えていてもよい。実施例1と同様、電極層17につながれている電流源19から、第2の強磁性体層14と第1の電極層1510との間にトンネル電流が流れ、外部磁界が印加されると第1の強磁性体層12の磁化の向きが変化することで、前記第1の電極層1510と、前記第1の強磁性体層12に接続されている検出電極16との間に生じる電圧18を検出することが可能である。
【0054】
本実施例の場合、実施例1と同様、y=lbにおいて、la/lb =0の時に比べてla/lb =0.7近傍ではさらに12%程度スピン偏極電子密度が増大する。すなわち、第1の絶縁層と第2の絶縁層の間で一定の幅を持つ部分laを備えている場合の方が、la=0の場合に比べてより効率的にスピン偏極電子を拡散させていくことができ、出力ΔVを増大させることができる。
【実施例7】
【0055】
第7の実施例について図16、図17を用いて説明する。なお、実施例1、2に記載され、本実施例に記載されていない事項は実施例1、2と同様である。
【0056】
図16は本実施例に係る第7のスピン蓄積素子を模式的に示す側面図および上面図である。本素子は、第1の電極層1610の一端1上に、第1の絶縁層11を介して積層された第1の強磁性体層12と、前記第1の電極層の他端2上に、第1の絶縁層よりも大きな接合面積を持つ第2の絶縁層13を介して積層された第2の強磁性体層14と、前記第1の強磁性体層に接続されている検出電極16と、前記第2の強磁性体層に接続されている第2の電極層17とを備え、電極層1610の幅が、第1の絶縁層から第2の絶縁層方向に向かうにつれ大きくなり、かつ第1の絶縁層と第2の絶縁層の間で一定の幅を持つ部分laを備えている。第1の絶縁層と第2の絶縁層の間の電極層1610は、複数のスピン拡散経路に分離し、領域1において合流するようになっている。この複数のスピン拡散経路は、図17に示すように、複数のスピン注入領域2a、2b、2cから構成されていても良い。ここで、電極層1610の幅は領域1の右端を除いて領域1の幅wfよりも広くなっている。また、実施例5に示したように、電極層1610のla部分の幅waが、lc部分の幅wcおよび領域2の幅wpよりも大きくなっていてもよい。また、領域2の幅wpよりも大きな幅を持つ部分を備えていてもよい。実施例1と同様、電極層17につながれている電流源19から、第2の強磁性体層14と第1の電極層1610との間にトンネル電流が流れ、外部磁界が印加されると第1の強磁性体層12の磁化の向きが変化することで、前記第1の電極層1610と、前記第1の強磁性体層12に接続されている検出電極16との間に生じる電圧18を検出することが可能である。
【0057】
本実施例の場合、実施例1と同様、y=lbにおいて、la/lb =0の時に比べてla/lb =0.7近傍ではさらに12%程度スピン偏極電子密度が増大する。すなわち、第1の絶縁層と第2の絶縁層の間で一定の幅を持つ部分laを備えている場合の方が、la=0の場合に比べてより効率的にスピン偏極電子を拡散させていくことができ、出力ΔVを増大させることができる。
【符号の説明】
【0058】
1…領域1、
2…領域2、
10、510、810、1110、1210、1310,1410,1510,1610、1710…第1の電極層、
11、511…第1の絶縁層、
12、512…第1の強磁性体層、
13、513…第2の絶縁層、
14、514…第2の強磁性体層、
15、515…反強磁性層、
16…検出電極、
17、517…第2の電極層、
18、518…電圧、
19、519…電流源、
20…電極、
530、531…絶縁層、
540、541…磁気シールド、
601…スライダアーム、
602…磁気ヘッド、
603…記録ヘッド、
604…再生ヘッド、
701…記録媒体、
702…駆動部、
703…アクチュエータ、
710…信号処理部、
720…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極層の一端上に、第1の絶縁層を介して積層された第1の強磁性体層と、
前記第1の電極層の他端上に、第1の絶縁層よりも大きな接合面積を持つ第2の絶縁層を介して積層された第2の強磁性体層と、
前記第1の強磁性体層に接続されている検出電極と、
前記第2の強磁性体層に接続されている第2の電極層とを備え、
前記第1と第2の絶縁層の重心を結ぶ直線と層厚方向とに共に直交する方向の第1の電極層の幅が、第1の絶縁層から第2の絶縁層方向に向かうにつれ大きくなりかつ第1の絶縁層と第2の絶縁層の間で一定の幅を持つ部分を備え、
前記第2の電極層から、前記第2の絶縁層を通って前記第2の強磁性体層と第1の電極層との間にトンネル電流が流れ、外部磁界が印加されると第1の強磁性体層の磁化の向きが変化することで、前記第1の電極層と、前記第1の強磁性体層に接続されている検出電極との間に生じる電圧を検出することを特徴とする磁界センサ。
【請求項2】
請求項1の磁界センサにおいて、
第1の絶縁層から第2の絶縁層との間の第1の電極層の幅が一定の部分の長さが、第1の絶縁層から第2の絶縁層との間の距離に対して5%以上95%以下であることを特徴とする磁界センサ。
【請求項3】
請求項1の磁界センサにおいて、
第2の電極層から、前記第2の絶縁層を通って前記第2の強磁性体層と第1の電極層との間にトンネル電流が流れる時、
第2の絶縁層の重心から第1の絶縁層の重心方向を結ぶ方向とは異なる方向に広がる第1の電極層に上記トンネル電流が流れ、
上記の方向に広がる第1の電極層が第1の絶縁層に接触している部分における第1の電極層の幅が、第1の絶縁層に接触している第1の電極層の幅よりも狭いことを特徴とする磁界センサ。
【請求項4】
請求項1の磁界センサにおいて、
第2の絶縁層の重心から第1の絶縁層の重心方向を結ぶ方向の幅が一定である第1の電極層の部分の幅が、第1の絶縁層の幅と同じか広いことを特徴とする磁界センサ。
【請求項5】
下部磁気シールドと、
上部磁気シールドと、
前記下部磁気シールド上に絶縁層を挟んで形成された第1の電極層と、
第1の電極層の一端上に、第1の絶縁層を介して積層された第1の強磁性体層と、
前記第1の電極層の他端上に、第1の絶縁層よりも大きな接合面積を持つ第2の絶縁層を介して積層された第2の強磁性体層と、
前記第1の強磁性体層に接続されている検出電極と、
前記第2の強磁性体層に接続されている第2の電極層とを備え、
前記第1と第2の絶縁層の重心を結ぶ直線と層厚方向とに共に直交する方向の第1の電極層の幅が、第1の絶縁層から第2の絶縁層方向に向かうにつれ大きくなりかつ第1の絶縁層と第2の絶縁層の間で一定の幅を持つ部分を備え、
前記第2の電極層から、前記第2の絶縁層を通って前記第2の強磁性体層と第1の電極層との間にトンネル電流が流れ、外部磁界が印加されると第1の強磁性体層の磁化の向きが変化することで、前記第1の電極層と、前記第1の強磁性体層に接続されている検出電極との間に生じる電圧を検出することを特徴とする磁気再生ヘッド。
【請求項6】
請求項5の磁気ヘッドにおいて、
第1の絶縁層から第2の絶縁層との間の第1の電極層の幅が一定の部分の長さが、第1の絶縁層から第2の絶縁層との間の距離に対して5%以上95%以下であることを特徴とする磁気再生ヘッド。
【請求項7】
請求項5の磁気ヘッドにおいて、
第2の電極層から、前記第2の絶縁層を通って前記第2の強磁性体層と第1の電極層との間にトンネル電流が流れる時、
第2の絶縁層の重心から第1の絶縁層の重心方向を結ぶ方向とは異なる方向に広がる第1の電極層に上記トンネル電流が流れ、
上記の方向に広がる第1の電極層が第1の絶縁層に接触している部分における第1の電極層の幅が、第1の絶縁層に接触している第1の電極層の幅よりも狭いことを特徴とする磁気再生ヘッド。
【請求項8】
請求項5の磁気ヘッドにおいて、
第2の絶縁層の重心から第1の絶縁層の重心方向を結ぶ方向の幅が一定である第1の電極層の部分の幅が、第1の絶縁層の幅と同じか広いことを特徴とする磁気再生ヘッド。
【請求項9】
垂直記録連続媒体、ディスクリート媒体、パターン媒体のうち少なくとも1個の磁気記録層を有する磁気記録媒体と、前記記録媒体を駆動する駆動部と、請求項5〜8に記載の磁気再生ヘッドと磁気記録ヘッドとを組み合わせた磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体上の所定の位置へ移動させるアクチュエータと、前記磁気ヘッドからの出力信号を処理する手段とを備えたことを特徴とする磁気記録再生装置

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図2】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−20672(P2013−20672A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152461(P2011−152461)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】