説明

神経的発達を強化するための組成物と方法

成長する動物の神経的発達を強化するために有用な組成物及び方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本出願は、米国仮出願No.60/891,171(2007年2月22日出願)への優先権を主張するものであり、該仮出願の内容は、本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、哺乳動物の神経的発達を強化するための組成物と方法に関する。
【背景技術】
【0003】
商業的に入手可能なペットフード、例えばキャットフードは、多くの異なる栄養的ニーズに対処するように特に処方された組成物を包含する。これらは、例えば、異なる系統型(breed types)、大きさ及び体条件に対して設計された製剤を包含する。これらは、また、動物のライフサイクルの異なる段階における動物の栄養的ニーズに対処するように設計された製剤も包含する。しかし、このようなペットフード製剤の入手可能性にも拘わらず、動物の健康の他の側面(other aspects)に対処するために製剤と方法を開発する必要性が存在する。
【0004】
向知性薬(nootropic agents)は当該技術分野で知られており、これには、一般に、認知的及び神経的発達を改良する薬物及び化合物が包含される。向知性薬は多年にわたって用いられているが、これらの薬物の一部は、フード製品に用いるには有害であるか又は高価である。したがって、製造コストを高めることなく、動物の神経的発達を補助することができる組成物及び方法を開発することが望ましい。当該技術分野で容易に入手可能である物質を含有する組成物を神経的発達の改善に用いることが好ましいが、それらの利点が理解され、認識されうる前に、特定の処方を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ある一定の態様では、本発明は、動物の神経的発達を強化するために有用である組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、組成物1.0:下記成分を含む、動物の神経的発達を強化するために有用なペットフード組成物を包含する:DHA約0.1〜約0.7%;コリン約2400ppm〜約7500ppm;及びカルニチン約100ppm〜約500ppm。
【0007】
本発明はさらに下記組成物を包含する:
1.1 DHA約0.1〜約0.50%、例えば、約0.1〜約0.4%、例えば、約0.2%、約0.3%、又は約0.4%を含む組成物1.0;
1.2 ビタミンE約200〜約1200IU/kg、例えば、約500〜約1100IU/kg、約700、約800、約900、又は約1000IU/kgを含む組成物1.0又は組成物1.1;
1.3 ビタミンC約50〜約500ppm、例えば、ビタミンC約100〜約400ppm、例えば、約150、約175、約200、又は約225ppmを含む先行組成物のいずれか;
1.4 カルニチン約200、約300、又は約400ppmを含む先行組成物のいずれか;
1.5 リシン約2.5g/1000kcal〜約7g/1000kcalを含む先行組成物のいずれか;
1.6 コリン約2500〜約7500ppm、例えば、約3000、約4000、約4500、約4600、約4625、約4650、約4700、約5000、又は約6000ppmを含む先行組成物のいずれか;
1.7 EPA約0.1〜約0.7%、例えば、約0.2%、約0.3%、約0.4%、又は約0.5%を含む先行組成物のいずれか;
1.8 マンガン約50〜約200ppmを含む先行組成物のいずれか;
1.9 メチオニン約0.50〜約1.6%、例えば、メチオニン約0.8〜約1.6%、例えば、メチオニン約1.3%又は約1.4%を含む先行組成物のいずれか;
1.10 炭水化物0〜約90重量%、タンパク質約5〜約70重量%、脂肪約2〜約50重量%、総食物繊維約0.1〜約20重量%、ビタミン類、ミネラル及び他の栄養素(動物の栄養的ニーズを支持する、種々な割合で)0〜約15重量%、好ましくは、約2〜8重量%をさらに含む先行組成物のいずれか;
1.11 炭水化物約5〜約55重量%を含む組成物1.10;
1.12 タンパク質約20〜約60重量%、例えば約30〜約55重量%を含む組成物1.10又は1.11;
1.13 脂肪約5〜約40重量%、例えば、脂肪少なくとも約8%、又は約9〜約40%を含む組成物1.10〜1.12のいずれか;
1.14 総食物繊維約1〜約11重量%を含む組成物1.10〜1.13のいずれか;1.15 タウリン約1000〜約4000ppmを含む先行組成物のいずれか;
1.16 リノール酸約0.5〜約6%、例えば、約2.5〜約5%を含む先行組成物のいずれか;
1.17 総n−3脂肪酸約1〜約3%、例えば、約1.3%、約1.4%、約1.5%、又は約1.6%を含む先行組成物のいずれか;
1.18 総n−6脂肪酸約1〜約6%、例えば、約3〜約5%、約3.5%、又は約4%を含む先行組成物のいずれか。
【0008】
本発明の組成物は、ウェットフード、ドライフード又はセミドライフードであることができる。
本発明は、方法2.0:組成物1.0〜1.18のいずれか1つを猫に投与することを含む、猫の神経的発達を強化するための方法を包含する。
【0009】
本発明はさらに、下記方法を包含する:
2.1 該猫が子猫である場合の方法2.0;
2.2 該猫が、妊娠中に組成物1.0〜1.15のいずれか1つをえさとして与えられた雌猫から生まれる場合の方法2.0又は方法2.1;
2.3 該猫が子宮内にいる場合の方法2.2;
2.4 該雌猫が、妊娠前に組成物1.0〜1.18のいずれか1つをえさとして与えられる場合の方法2.2;
2.5 該雌猫が、妊娠期間の大部分にわたって組成物1.0〜1.18のいずれか1つをえさとして与えられる場合の方法2.2又は方法2.4;
2.6 該雌猫が、妊娠前と妊娠中に組成物1.0〜1.18のいずれか1つから本質的に成る組成物をえさとして与えられる場合の方法2.2〜2.5のいずれか1方法;
2.7 該子猫が、離乳前に、例えば、まだ乳飲み仔であるときに、組成物1.0〜1.18のいずれか1つをえさとして与えられる場合の先行方法のいずれか1方法;
2.8 該子猫が、離乳後に組成物1.0〜1.18のいずれか1つをえさとして与えられる場合の先行方法のいずれか1方法;
2.9 該子猫が、組成物1.0〜1.18のいずれか1つから成るフード組成物をえさとして与えられる場合の方法2.8;
2.10 該組成物の有効量を該動物に投与する、先行方法のいずれか1方法;
2.11 該組成物を該動物に、有効な時間量にわたって投与する、先行方法のいずれか1方法。
【0010】
さらに、成長する動物、例えば、子犬又は子猫に直接、本明細書に開示する組成物を投与することに加えて、該動物がまだ子宮内にいるときに又は該動物が乳飲み仔であるときに該動物の母獣に該組成物を投与することができることも考慮される。
【0011】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の実施例の詳しい説明を参照することによって、理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1に係わる磁気共鳴スペクトロスコピー・データである。 発明の詳細な説明 本明細書に述べる本発明は、記載した特定の方法論、プロトコル及び試薬類が変化可能であるので、これらに限定されないことが考慮される。本明細書に用いる専門用語(terminology)が特定の実施態様を述べるために過ぎず、如何なる意味でも本発明の範囲を限定することを意図しないことをさらに理解すべきである。
【0013】
他に定義しない限り、本明細書に用いる技術用語及び専門用語の全ては、本発明が属する技術分野で当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、本明細書に引用した全ての参考文献は、それらの全体で本明細書に援用される。本開示における定義と引用参考文献の定義とに不一致(conflict)がある場合には、本開示が調整する。
【0014】
本明細書及び添付請求の範囲において用いる限り、単数形(“a” 、“an”及び“the”)は、前後関係が明確に別なように指示しない限り、複数の関連を包含する。
本発明は任意の動物、好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、コンパニオン動物に関する。“コンパニオン動物”なる用語は、ヒトと密接に関係して生活する、任意の動物を意味し、任意の種の犬及び猫を包含するが、これらに限定される訳ではない。しかし、本明細書では、その食餌がヒトによって調整することができるいずれの動物も本明細書に開示する処方を与えられることから利益を得ることができると考える。これらの動物は、例えば、飼育された家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ等)と、おりに入れられた非家畜動物(undomesticated animals held in captivity)、例えば、動物園等の動物を包含しうる。好ましくは、該動物は猫、子猫又は成熟した猫のいずれかである。
【0015】
本明細書で用いる限り、特定の結果を得るために“有効な量”又は“有効量”等の用語は、特に望ましい生物学的結果を得るために有効であると考えられる、本明細書に述べる化合物、物質又は組成物の量を意味する。本明細書で考慮するように、このような結果は、例えば、動物が子宮内での発達中及び/又は生後の成長段階中(例えば、生後6か月、9か月、12か月又は15か月まで)であるときの動物の神経的発達と、骨及び関節の健康と、免疫機能の強化及び/又は健全な体組成の促進を包含する。このような有効な活性は、例えば、動物が子宮内にあるとき又は乳飲み仔であるときに前記動物の母獣に本発明の組成物を投与することによって、並びに動物の成長段階中に前記動物に直接投与することによって、達成することができる。
【0016】
本明細書で用いる限り、例えば、本明細書で述べるような、成長する動物における特定の生物学的プロセス又は体状態の“強化(enhancement)”は、対照動物に比較して、成長する動物の生物学的プロセス又は体状態の改善を意味する。このようなプロセス又は状態における改善は、当業者によって判定することができる。
【0017】
本明細書で用いる限り、“成長する動物の発達の強化(enhancement of the development of a growing animal”又は“強化された発達(enhanced growth)”等の用語は、非限定的に、成長する動物の1つ以上の生物学的プロセス及び/又は体状態の総合的改善を意味し、該生物学的プロセス及び/又は体状態は、非限定的に、生物の成長と発達の要となる(central to the growth and development of an organism)生物学的プロセスを包含し、本明細書に述べた生物学的プロセス、例えば、骨及び関節の健康、神経的及び免疫系の発達と体重増加(例えば、脂肪組織の代わりに脂肪なし筋肉量の増加)を非限定的に包含する。
【0018】
動物の“成長”ライフステージは、誕生若しくは離乳(生後約8週間)から生後約1年までの期間を意味する。
本明細書で用いる限り、“子猫(kitten)”なる用語は、典型的に、誕生から12か月までの年齢の(between the ages of birth and 12 months)未成熟な猫を意味する。
【0019】
本明細書で用いる“必須アミノ酸”は、生物によって新たに合成することができず、したがって、食餌中で供給しなければならないようなアミノ酸を意味する。必須アミノ酸が、生物の代謝に依存して、種毎に変化することは、当業者によって理解される。例えば、犬及び猫(及びヒト)にとっての必須アミノ酸がフェニルアラニン、ロイシン、メチオニン、リシン、イソロイシン、バリン、トレオニン、トリプトファン、ヒスチジン及びアルギニンであることが、一般に理解される。さらに、タウリンは、技術的にはアミノ酸ではないがシステイン誘導体であり、ネコにとって必須である。バランスのとれた食餌は全ての必須アミノ酸を与えることができるが、より重要である、ある一定の必須アミノ酸が存在し、それらの1つが欠乏する食餌は、他の必須アミノ酸が充分な量で存在するとしても、該他の必須アミノ酸の有用性を限定することになる。
【0020】
当業者によって理解されるように、“制限アミノ酸”は、食餌中に不充分な量で存在するならば、他の必須アミノ酸がさもなければ非常に充分な量で存在するとしても、該他の必須アミノ酸の有用性を制限することになるアミノ酸を意味する。リシンは、本明細書で開示する組成物中の制限必須アミノ酸である。したがって、残りの必須アミノ酸は、望ましい生物学的結果に影響を及ぼすために決定的と判定されるリシン量に関連して、定量的に処方される又は“バランスを取られる(balanced)”。本明細書で用いる限り、“バランスの取れたアミノ酸類(balanced amino acids)”とは、最適の動物成長及び発達を保証するためのエネルギーに対する必須アミノ酸リシンの関係を意味する。
【0021】
本明細書で用いる“必須栄養素”とは、体によって合成することができない、正常な体機能のために必要な栄養素を意味する。必須栄養素のカテゴリーは、ビタミン 食餌ミネラル(dietary minerals)、脂肪酸、及びアミノ酸を包含する。必須と判断される栄養素は、生物の代謝に依存して、種毎に異なることは、当業者によって理解される。例えば、犬と猫にとっての必須栄養素は、ビタミンA、D、E、K、B、B、B12、リボフラビン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、カルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、塩素、鉄、銅、亜鉛、マンガン、セレン及びヨウ素を包含する。一般にB複合ビタミンと見なされるコリンは、セミ必須栄養素(semi-essential nutrients)に含めることができる。
【0022】
L−カルニチン(レボカルニチン)としても知られるカルニチンは、アミノ酸リシンとメチオニンとから合成される第4級アンモニウム化合物であり、細胞質ゾルからミトコンドリア中への脂肪酸移動の原因である。
【0023】
何らかの理論又は特定の作用機序に限定される訳ではないが、本発明は、ペットフード組成物へのある一定成分の添加とこれらの組成物の動物への投与が、成長する動物の発達を強化することができるという意外な発見に基づいている。例えば、本発明の組成物をえさとして与えられた動物(又はそれらの母獣に妊娠期間中及び離乳前に該組成物がえさとして与えられ、それらの同腹仔の成長を通して続けられた動物)が神経的発達の強化を示すことをデータが実証する。1態様では、本発明は、成長する動物の神経的発達を強化する方法であって、前記動物に本発明の組成物を投与することを含む方法に関する。神経的発達の強化は、対照動物に比べて、MRIスペクトロスコピーによって測定して、より良好な脳発達によって及び/又はより良好な認知能力及び運動能力スコアによって実証することができる。例えば、神経的発達の状態は、本発明の組成物を投与された、成長する動物における訓練可能性のレベルを測定して、該レベルを適当な対照動物に比較することによって分析することができる。
【0024】
本明細書で考慮するように、本発明の組成物は、栄養的に完全で、バランスの取れた動物飼料組成物(animal feed composition)を含む。このような組成物は、他の栄養素及び成分の中でも、望ましい、健康に良い量のタンパク質、炭水化物及び脂肪を包含する。
【0025】
“栄養的に完全で、バランスの取れた動物飼料組成物”並びに動物飼料組成物に適した栄養素及び成分とそれらの望ましい量は、当業者によく知られている(例えば、National Research Council, 2006 Nutritional Requirements for Dogs and Cats, National Academy Press, Washington D.C. 又は the Official Publication of the Association of American Feed Control Officials, Inc. Nutrient Requirements for Dogs and Cats 2006を参照のこと)。
【0026】
本明細書では、本明細書に開示する組成物がさらに、酸化防止剤、添加剤、安定剤、増粘剤(thickeners)、フレイバーラント(flavorants)、味の良さ増強剤及び着色剤を、当業者が熟知の量及び組み合わせで含むことを考慮する。“酸化防止剤”とは、フリーラジカルと反応して又はフリーラジカルの生成を減じて、フリーラジカルを中和することができる物質を意味する。例は、非限定的に、β−カロテン、セレン、コエンザイムQ10(ユビキノン)、ルテイン、トコトリエノール、大豆イソフラボン、S−アデノシルメチオニン、グルタチオン、タウリン、N−アセチルシステイン、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンC、フラボノイド、アントシアニンジン、及びリポ酸を包含する。
【0027】
任意のコンシステンシー又は水分含量のフードが考慮されるが、好ましくは、本発明の組成物は、例えば、ウェット、セミドライ又はドライ動物フード組成物であることができる。“ウェット”フードとは、缶若しくはホイルバッグに入れて販売され、約70〜約90%の水分含量を有するフードを意味する。“ドライ”フードとは、約5〜約15%の水分含量を有する組成物を意味し、しばしば、小ビット又はキブル(kibbles)の形態で製造される。セミドライ組成物は、約15%〜約70%水分を有する組成物を意味する。本明細書では、中間の水分コンシステンシーを有する組成物と、種々なコンシステンシーの成分並びに2つ以上のコンシステンシー(more than one consistency)を包含しうる成分を含むことができる組成物(例えば、軟質でチューイなミート様粒子(soft,chewy meat-like particles)並びに、例えば、米国特許No.6,517,877に述べられているような、外部シリアル成分と内部クリーム成分を有するキブル)をも考慮する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の実施例によって、本発明をさらに説明するが、これらの実施例は、本発明の限定を意図するものではない。本明細書を通して用いる限り、範囲(ranges)は、該範囲内にある全ての値を表すためのショートハンド(shorthand)として用いられる。該範囲内のいずれの値も、該範囲の末端として選択することができる。処方を述べる場合に、当該技術分野で通常であるように、それらの成分に関して、これらの成分が実際の製剤中で、該製剤の製造につれて、相互に反応する可能性があるにも拘わらず、該処方を説明することができ、そしてこのような製品も記載する処方によってカバーされるように意図される。
【0029】
下記実施例はさらに、本発明の範囲内の具体的な実施態様を述べ、実地に明示する。該実施例は説明のためにのみ記載するのであり、本発明の要旨及び範囲から逸脱せずに、多くの変更が可能であるので、該実施例を本発明の限定と解釈すべきではない。本明細書に示し、説明した変更(modifications)の他に、本発明の種々な変更が当業者に明らかである筈であり、これらの変更は、添付した特許請求の範囲内に含まれるように意図される。
【実施例1】
【0030】
成長する動物の発育を強化する処方を本明細書の以下に開示する。これらの組成物は、“理想的タンパク質概念”を考慮しながら開発する(Baker and Czarnecki-Maulden, 1991 Annu. Rev. Nutr. 11:239-63)。
【0031】
“成長”ライフステージのためにフードを開発する。これらのフードは、犬成長用及び猫成長用処方を包含する。これらのフードの栄養素最低勧告値(the minimum nutrient recommendations)並びに試作品フードの目標値を以下の表1に列挙する。
【0032】
【表1】

【実施例2】
【0033】
試験には、4種類のフード、実験用処方X、市販A、市販A1、及び市販Bを用いる。これらのフードの組成を表2に示す。市販A、A1及びBフードは、商業的供給源から入手可能である。市販A及びA1は、同じブランドのフードであるが、異なるロットで製造されている。
【0034】
【表2】

【0035】
雌猫19匹に、受胎の前に少なくとも2週間、処方X又は市販Aをえさとして与える。雌猫は、触診によって妊娠が確認されるまで、グループ・ロッジング(group lodging)で維持し、次に、マタニティ・ロッジングに移動させる。市販Aをえさとして与えた雌猫から子猫48匹が生まれ、処方Xをえさとして与えた雌猫から子猫16匹が生まれる。雌猫からの子猫は、誕生後に、それらが離乳するまで、同じフードで飼育される。
【0036】
離乳後に、市販Aを与えた雌猫から生まれた子猫48匹は次のように分割する:子猫16匹には市販A1を与える(図1におけるグループA3);子猫16匹には市販Bを与える(図1におけるグループA2);及び子猫16匹には処方Xを与える(図1におけるグループA1)。離乳後に、処方Xをえさとして与えた雌猫から生まれた子猫16匹は、処方Xで飼育する(図1におけるグループB0)。
【0037】
子猫が生後7か月になったときに、脳画像化試験を行なって、神経的成長及び発達を評価する。シングル−ボクセル・スペクトルスコピーを用いる磁気共鳴画像化によって、脳代謝産物を評価する。各対象に、筋肉内又は皮下投与によってアトロピンとアセプロマジンの単回ボラス注射を前投薬する。適当な注射用麻酔薬を用いて、麻酔を誘導して、イソフルラン−酸素混合物を用いて維持する。
【0038】
GE−LX 1.5T MRIスキャナー、LXハードウェア構成、9.0ソフトウェア・レベルを用いて、磁気画像化方法を行なう。画像化のために直交送受信ニーコイル(quadrature transmit-receive knee coil)の内部に頭を入れた、うつぶせ状態で、対象をマグネット中に入れる。各獲得型(acquisition type)の特定のパラメーターを次に挙げる:パルス・シーケンス(TR=1500msec;TE=102msec;脳の中心に配置した単一ボクセル=8ml;NEX=256)を有する、APRESS若しくは点解像スペクトロスコピー(point-resolved spectroscopy)を各子猫に対して行なう。総獲得時間(total acquisition time)は約7分間である。表3における代謝産物の濃度は、LC Model適応方法(LC Model fitting procedure)を用いて測定する。
【0039】
【表3】

【0040】
同一グループに関する各代謝産物濃度の、クレアチン・レベルに対する比率の別々の分析を、分散の不均一性と、非正規性(non-normality)を減ずるために平方根変換によって行なう。結果は図1と表4に示す。
【0041】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
DHA約0.1%〜約0.7%;コリン約2400ppm〜約7500ppm;及びカルニチン約100ppm〜約500ppmを含むペットフード組成物。
【請求項2】
DHA約0.1%〜約0.5%を含むペットフード組成物。
【請求項3】
ビタミンE約200IU/kg〜約1200IU/kgを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
ビタミンC約50ppm〜約500ppmを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
リシン約2.5g/1000kcal〜約7g/1000kcalを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
コリン約4625ppmを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
EPA約0.1%〜約0.7%を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
マンガン約50ppm〜約200ppmを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
メチオニン約0.5%〜約1.6%を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
炭水化物0〜約90重量%;タンパク質約5重量%〜約70重量%;脂肪約2重量%〜約50重量%;総食物繊維約0.1重量%〜約20重量%;及びビタミン、ミネラル及び他の栄養素0〜約15重量%をさらに含む、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の組成物を猫に投与することを含む、猫の神経的発達を強化する方法。
【請求項12】
該猫が子猫である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
該猫が、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物をえさとして与えられた雌猫から生まれる、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
該猫が子宮内にいる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
該雌猫が、妊娠前に請求項1〜10のいずれかに記載の組成物をえさとして与えられる、請求項13又は14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
該雌猫が、妊娠期間の大部分にわたって、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物をえさとして与えられる、請求項13〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
該雌猫が、妊娠前及び妊娠中に、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物のいずれかから本質的に成る組成物をえさとして与えられる、請求項13〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
該子猫が、離乳前に、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物をえさとして与えられる、請求項11〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
該子猫が、離乳後に、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物をえさとして与えられる、請求項11〜18のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−518866(P2010−518866A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551043(P2009−551043)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/054786
【国際公開番号】WO2008/118586
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】