説明

秘匿情報設定方法及びプロジェクター

【課題】表示画面上において秘匿情報の入力を行う際、容易な操作で高い秘匿性を有した秘匿情報の設定を可能とする。
【解決手段】情報設定画面200上に表示された文字群のうちの複数の文字を順次選択可能な複数の選択操作手段と、複数の選択操作手段のうちのある特定の選択操作手段の操作により選択された文字を入力すべき文字として決定可能な決定操作手段とを有する遠隔操作手段(リモコン100)からの出力情報を用いて秘匿情報の設定を行う秘匿情報設定装置500を有するプロジェクターであって、秘匿情報設定装置500は、情報設定画面200に文字群を表示する機能と、複数の選択操作手段が複数の文字を同時に選択している状態を表示させる機能とを有する情報設定画面表示制御部520と、複数の文字の選択状態において決定操作手段が操作されると、特定の選択操作手段が選択している文字を入力する文字入力制御部540とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターによって表示された表示画面から秘匿情報の設定を可能とする秘匿情報設定方法及びプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターにおいて種々の設定を行う際に、プロジェクターからスクリーン上にソフトウエアキーボードとカーソルとを表示させて、遠隔操作手段(例えばリモートコントローラー:以下ではリモコンという。)によって、カーソルを移動させて所望とする文字(記号や数値も含むものとする。)を選択し、リモコンの決定操作手段(決定キー)を操作することにより所望とする文字を入力させることが行われている。このような文字の入力方法は、例えば、プロジェクターをLANなどのネットワークに接続して用いる場合において、パスワードを入力する際にも採用されている。
【0003】
しかしながら、プロジェクターの場合は、他の電子機器と異なり、スクリーン上に画像を表示するといった性格上、視聴者の面前で種々の操作を行うことが前提となる。このため、例えば、ネットワークに接続されたプロジェクターを用いてプレゼンテーションを行う場合、プレゼンテーションの前段階でネットワーク接続用のパスワードの設定を行っておけばよいが、パスワードの設定がなされていなかった場合などにおいては、プレゼンテーションが開始されてからパスワードを設定することとなる。この場合、視聴者の面前でスクリーン上に表示されたソフトウエアキーボードを用いてパスワードの入力を行うことになるので、パスワードが視聴者(第三者という。)に判読されてしまうという不都合がある。
【0004】
これを解決するための方法としては、例えば、専用のフルキーボードをプロジェクターに接続する方法、あるいは、他種の文字を入力可能な多数のキーを有したリモコンを用意する方法もある。このような方法によれば、第三者に判読されないようにパスワードを入力することは可能となるが、プロジェクターが天吊状態に設置されている場合には、フルキーボードの使用は非現実的であり、また、多数のキーを有したリモコンは、操作の簡便性が損なわれ、また、リモコンそのものの構成が複雑になるという問題がある。
【0005】
一方、視聴者に判読されないようにパスワードの設定が可能な技術も従来から種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)
特許文献1に開示された技術は、プロジェクターなどのリモコンのキーを押す操作(押圧操作という。)を連続的に行ったときの押圧操作回数や押圧操作時間を組み合わせて、文字列を入力するというものであり、秘匿性の高いパスワードの入力が可能とであるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−63350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された技術をプロジェクターに用いた場合、入力されたパスワードをスクリーン上にそのままの文字列として表示するわけにはいかないので、パスワードの入力者(操作者という。)は、自身が入力した文字がパスワードとして適正に設定されているか否かを確認することができないといった課題がある。また、キーの押圧操作回数や押
圧操作時間を組み合わせるといった特殊な方法であるため、操作に習熟しないと円滑なパスワード設定が行えないといった課題もある。また、秘匿を必要としない文字列の入力を行う場合と、秘匿を必要とする文字列の入力を行う場合とで操作方法に大きな違いがあるため、操作の仕方が煩雑となるといった課題もある。
【0008】
そこで本発明は、プロジェクターによって表示された表示画面上においてパスワードなどの秘匿情報の設定を行う場合において、容易な操作で、かつ、高い秘匿性を有した秘匿情報の設定を可能とする秘匿情報設定方法及びプロジェクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における秘匿情報設定方法の第1態様は、情報設定画面上に表示された所定数の文字で構成される文字群のうちの任意の複数の文字を個々の文字ごとに順次選択可能な複数の選択操作手段と、前記複数の選択操作手段のうちのある特定の選択操作手段の操作により選択された文字を入力すべき文字として決定可能な決定操作手段とを有する遠隔操作手段からの出力情報を用いて秘匿情報の設定を行う秘匿情報設定方法であって、前記情報設定画面において前記所定数の文字で構成される文字群を表示させるステップと、前記複数の選択操作手段が前記複数の文字を同時に選択しているかのように、前記複数の選択操作手段による複数の文字の選択状態を表示させるステップと、前記複数の選択操作手段による複数の文字の選択状態において前記決定操作手段が操作されると、前記決定操作手段が操作される直前に操作された選択操作手段により選択された文字を入力するステップとを有することを特徴とする。
【0010】
このように、本発明における秘匿情報設定方法の第1態様においては、情報設定画面に表示された文字群のうちの複数の文字を複数の選択操作手段によって同時に選択している状態を表示させて、複数の選択操作手段のうちのある1つの選択操作手段(特定の選択操作手段)の操作によって選択した文字のみを入力するようにしている。すなわち、特定の選択操作手段による選択操作のみが操作者の意図する選択操作であって、当該特定の選択操作手段以外の選択操作手段による選択操作はダミーである。これにより、操作者が何の文字を入力しようとしているのかは第三者には識別しにくく、高い秘匿性を有した文字入力が可能となる。また、本発明の秘匿情報設定方法は、秘匿する必要のない一般的な情報を設定する場合とほぼ同様の操作によって秘匿情報の設定が行えるので、秘匿情報を設定する操作に習熟する必要はなく、容易に秘匿情報を設定することができる。
なお、本発明において文字とは、アルファベット、漢字、ひらがな、かたかな、数値、記号などを総称したものであるとする。
【0011】
本発明における秘匿情報設定方法の第1態様において、前記所定数の文字で構成される文字群は、ソフトウエアキーボードとして表示されている文字群であることが好ましい。
【0012】
このように、ソフトウエアキーボードを表示させることにより、操作者は、ソフトウエアキーボードから容易に秘匿情報を構成する文字を入力することができる。なお、ソフトウエアキーボードに表示される文字の種類や配列などは特に限定されるものではない。なた、情報処理機器に入力可能な文字群というのは、例えば、パーソナルコンピュータなどに入力可能な文字群を指している。
【0013】
本発明における秘匿情報設定方法の第1態様において、前記複数の選択操作手段による複数の文字の選択状態は、前記ソフトウエアキーボード上に表示された前記複数の選択操作手段それぞれに対応するカーソルが複数の文字を同時に指示している状態であることが好ましい。
【0014】
このように、複数の選択操作手段に対応したカーソルによって複数の文字を同時に指示している状態をソフトウエアキーボード上に表示させることにより、第三者はどのカーソルが実際の入力に使われるのかを容易には識別することができない。
【0015】
本発明における秘匿情報設定方法の第1態様において、前記複数の選択操作手段それぞれに対応するカーソルは、色分けされて表示されることが好ましい。
【0016】
このように、複数の選択操作手段それぞれに対応するカーソルを色分けすることにより、操作者は、自身が注目しているカーソルがどれであるかを容易に識別できるため、操作性に優れたものとなる。
【0017】
本発明における秘匿情報設定方法の第1態様において、前記複数の選択操作手段それぞれに対応するカーソルは、それぞれのカーソルが異なる方向に移動するように、各カーソルごとに移動方向が設定されており、前記特定の選択操作手段により当該選択操作手段に対応するカーソルを移動させると、他のカーソルもそれぞれに設定された移動方向に移動することが好ましい。
【0018】
これにより、操作者がある特定の選択操作手段を操作して当該特定の選択操作手段に対応するカーソルを移動させると、他のカーソルもそれぞれに設定された方向に移動するため、第三者の目を撹乱することができ、また、操作者にとっては、カーソルの移動方向によって、自身が注目するカーソルがどれであるかを容易に識別することができる。
【0019】
本発明における秘匿情報設定方法の第1態様において、前記特定の選択操作手段に対応するカーソルが所望とする文字に到達したときに、前記決定操作手段が操作されると、当該特定の選択操作手段に対応するカーソルにより指示された文字が入力されることが好ましい。
【0020】
これにより、特定の選択操作手段に対応するカーソル(操作者が注目するカーソル)によって指示された文字のみを入力させることができる。
【0021】
本発明における秘匿情報設定方法の第2態様は、所定数の文字で構成される文字群のうちの任意の複数の文字を個々の文字ごとに情報設定画面の個別文字表示部に順次表示させるための操作を行う複数の選択操作手段と、前記複数の選択操作手段のうちのある特定の選択操作手段の操作により選択した文字を入力すべき文字として決定可能な決定操作手段とを有する遠隔操作手段からの出力情報を用いて秘匿情報の設定を行う秘匿情報設定方法であって、前記複数の選択操作手段が前記複数の文字を同時に選択しているかのように、前記複数の文字を前記複数の個別文字表示部に同時に表示させるステップと、前記複数の文字を前記個別文字表示部に同時に表示させた状態において前記決定操作手段が操作されると、前記決定操作手段が操作される直前に操作された選択操作手段により選択された文字を入力するステップとを有することを特徴とする。
【0022】
これは、ソフトウエアキーボードを表示させるのではなく、個々の文字を複数の個別文字表示部に同時に表示させるというものである。また、この場合、複数の文字が前記複数の個別文字表示部に同時に表示されている状態を、複数の選択操作手段による複数の文字の選択状態としているので、この場合も、第三者はどの個別文字表示部に表示されている文字が実際の入力に使われるのかを容易には識別することができない。本発明における秘匿情報設定方法の第2態様においても、前記本発明における秘匿情報設定方法の第1態様と同様の効果が得られる。
【0023】
本発明における秘匿情報設定方法の第2態様において、前記個別文字表示部は、前記複
数の選択操作手段に対応して設けられており、前記複数の選択操作手段のうちの前記特定の選択操作手段の操作によって当該特定の選択操作手段に対応する個別文字表示部に表示される文字を変化させると、他の選択操作手段に対応する個別文字表示部に表示される文字も変化することが好ましい。
【0024】
このように、特定の選択操作手段を操作すると当該特定の選択操作手段に対応する個別文字表示部に表示される文字が順次変化して行くとともに、他の選択操作手段に対応するそれぞれの個別文字表示部に表示される文字も順次変化して行くので、第三者の目を撹乱することができ、第三者はどの個別文字表示部に表示されている文字が実際の入力に使われるのかを容易には識別できない。
【0025】
本発明における秘匿情報設定方法の第2態様において、前記特定の選択操作手段に対応する個別文字表示部に所望とする文字が表示されたときに、前記決定操作手段が操作されると、前記特定の選択操作手段に対応する個別文字表示部に表示されている文字が入力されることが好ましい。
【0026】
これにより、特定の選択操作手段に対応する文字表示部に表示されている文字のみを入力させることができる。
【0027】
本発明におけるプロジェクターの第1態様は、情報設定画面上に表示された所定数の文字で構成される文字群のうちの任意の複数の文字を個々の文字ごとに順次選択可能な複数の選択操作手段と、前記複数の選択操作手段のうちのある特定の選択操作手段の操作により選択された文字を入力すべき文字として決定可能な決定操作手段とを有する遠隔操作手段からの出力情報を用いて秘匿情報の設定を行う秘匿情報設定装置を有するプロジェクターであって、前記秘匿情報設定装置は、前記情報設定画面において前記所定数の文字で構成される文字群を表示させる機能と、前記複数の選択操作手段が前記複数の文字を同時に選択しているかのように、前記複数の選択操作手段による複数の文字の選択状態を表示させる機能とを有する情報設定画面表示制御部と、前記複数の選択操作手段による複数の文字の選択状態において前記決定操作手段が操作されると、前記決定操作手段が操作される直前に操作された選択操作手段により選択された文字を入力する文字入力制御部とを有することを特徴とする。
【0028】
このような秘匿情報設定装置を有することによって、前記本発明における秘匿情報設定方法の第1態様で述べた効果と同様の効果を得ることができる。また、本発明のプロジェクターは、秘匿情報の入力のために新たなハードウエアなどを特に設ける必要がなく、従来からのプロジェクターの構成を殆どそのまま使用することができるといった利点も有する。なお、本発明におけるプロジェクターの第1態様においても、前記本発明における秘匿情報設定方法の第1態様で述べたそれぞれの特徴を有することが好ましい。
【0029】
本発明におけるプロジェクターの第2態様は、所定数の文字で構成される文字群のうちの任意の複数の文字を個々の文字ごとに選択して情報設定画面の個別文字表示部に順次表示可能な複数の選択操作手段と、前記複数の選択操作手段のうちのある特定の選択操作手段の操作により選択した文字を入力すべき文字として決定可能な決定操作手段とを有する遠隔操作手段からの出力情報を用いて秘匿情報の設定を行う秘匿情報設定装置を有するプロジェクターであって、前記秘匿情報設定装置は、前記複数の選択操作手段が前記複数の文字を同時に選択しているかのように、前記複数の文字を前記情報設定画面における複数の個別文字表示部に同時に表示させる情報設定画面表示制御部と、前記複数の文字を前記情報設定画面における前記個別文字表示部に同時に表示させた状態において前記決定操作手段が操作されると、前記決定操作手段が操作される直前に操作された選択操作手段により選択された文字を入力する文字入力制御部とを有することを特徴とする。
【0030】
このような秘匿情報設定装置を有することによって、前記本発明におけるプロジェクターの第1態様と同様の効果を得ることができる。なお、本発明におけるプロジェクターの第2態様においても、前記本発明における秘匿情報設定方法の第2態様で述べたそれぞれの特徴を有することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態1に係るプロジェクターを用いた画像表示システムの構成を説明する図。
【図2】実施形態1に係るプロジェクターの主要部の機能ブロック図。
【図3】ソフトウエアキーボード210を用いて秘匿情報の設定を行う具体例について説明する図。
【図4】図3に示すソフトウエアキーボード210を用いた第1の秘匿情報設定例について説明する図。
【図5】図3に示すソフトウエアキーボード210を用いた第2の秘匿情報設定例について説明する図。
【図6】実施形態2に係るプロジェクターPJにおける秘匿情報設定例について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0033】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るプロジェクターを用いた画像表示システムの構成を説明する図であり、プロジェクターPJと、プロジェクターPJによって投射される画像を表示するスクリーンSCRと、プロジェクターPJの付属品としての遠隔操作手段(リモコン100)とを有している。なお、プロジェクターPJは、ネットワークに接続されているものとし、当該プロジェクターを使用する際は、ネットワークに接続するためのパスワードの設定を行うものとする。
【0034】
パスワードの設定は、前述したように、スクリーンSCR上にソフトウエアキーボード210を有する情報設定画面200を表示させて、リモコン100の4つの選択操作手段(文字選択キーという。)111,112,113,114を用いてソフトウエアキーボード210上でパスワードを構成する文字を順次入力することによって行うものとする。
【0035】
なお、リモコン100は、プロジェクターPJに対して様々な設定や指示が可能であり、これらの設定及び指示を行うための種々のキーが設けられているが、本発明の実施形態の説明に必要なキーのみが図示されている。すなわち、実施形態1の説明に必要なキーとして、カーソル(図1では図示せず。)を上下左右に移動させて文字を選択するための4つの文字選択キー111、112、113,114と、カーソルによって選択された文字を決定する決定操作手段(決定キーという。)120と、秘匿情報の設定を行う際にプロジェクターPJの動作モードを秘匿情報設定モードに切り替えるモード切り替えキー130とを有している。
【0036】
また、ソフトウエアキーボード210から入力可能な文字は、パーソナルコンピュータなどの情報処理機器に入力可能な文字群に含まれる文字である。実施形態1においては、ソフトウエアキーボード210から入力可能な文字は、図1に示すように、たとえば、「A,B,C・・・・,Z」のアルファベット、「0,1,2,・・・,9」の数値、「/,+,−,=,〜,#,・・・」などの記号で構成されているものとする。また、情報設定画面200には、ソフトウエアキーボード210の他に、操作者によって決定キー12
0が押されるごとに、決定された文字を表示する入力文字表示部220を有している。なお、決定された文字は、秘匿情報である場合、文字そのものを表示させることはできないので、文字が決定されるごとに、例えば、アスタリスク「*」を表示する。
【0037】
図2は、実施形態1に係るプロジェクターPJにおける主要部の機能ブロック図である。なお、図2においては、秘匿情報設定を行うための秘匿情報設定装置500のみについて示されており、プロジェクターPJが有する公知の構成要素については図示が省略されている。
【0038】
秘匿情報設定装置500は、図2に示すように、リモコン100との通信を行うリモコン通信部510と、操作者によってリモコン100から情報設定画面表示要求が出されると、図1に示すような情報設定画面200を表示させる制御を行う情報設定画面表示制御部520と、情報設定画面200上のソフトウエアキーボード210上に表示されるカーソルを制御するカーソル制御部530と、リモコン100の決定キー120によって決定された文字をその時点において入力すべき文字として入力する文字入力制御部540と、文字入力制御部540によって入力された文字を記憶する記憶部550と、入力された文字を図1に示す入力文字表示部220に、例えば「*」として表示するための制御を行う入力文字表示制御部560とを有している。
【0039】
なお、カーソル制御部530は、リモコン100の文字選択キー111,112,113,114がそれぞれ一回押圧操作されるごとにカーソルをソフトウエアキーボード210の文字上を1文字ずつ所定方向に移動させるように制御するものとする。
【0040】
ところで、実施形態1に係るプロジェクターにおいては、秘匿情報を入力する場合と、秘匿情報ではない一般情報を入力する場合とで、ソフトウエアキーボード210上におけるカーソルの表示の仕方を異ならせている。なお、秘匿情報の入力を行う場合には、モード切り替えキー130(図1参照。)によって、プロジェクターPJの動作モードを秘匿情報の入力モードとする。
【0041】
一般情報を入力する場合には、単一のカーソル(図示せず。)が表示され、この単一のカーソルは、文字選択キー111,112,113,114によって、上下左右に移動するようになっている。
【0042】
一方、秘匿情報を入力する場合には、色の異なる4色のカーソル(赤色カーソルCr、青色カーソルCb、黄色カーソルCy、緑色カーソルCgとする。)を表示させる(図3参照。)。これら4色のカーソルCr,Cb,Cy,Cgは、それぞれ対応する文字選択キー111,112,113,114によって、4色のカーソルCr,Cb,Cy,Cgそれぞれに設定された方向にのみ移動可能となっている。すなわち、赤色カーソルCrは、文字選択キー111によって上方向に移動制御され、青色カーソルCbは、文字選択キー112によって下方向に移動制御され、黄色カーソルCyは、文字選択キー113よって右方向に移動制御され、緑色カーソルCgは、文字選択キー114によって左方向に移動制御される。
【0043】
ただし、文字選択キー111,112,113,114のうちの特定の文字選択キーが押圧操作されることによって、当該特定の文字選択キーに対応するカーソルが設定された方向に移動するとともに、それに連動して、他の3つの色のカーソルもそれぞれに設定された方向に移動する。たとえば、操作者が赤色に対応する文字選択キー111を押圧操作すると、赤色カーソルが、文字選択キー111の押圧回数に従って、1文字ずつ上方向に移動して行くが、他の色のカーソルも赤色カーソルCrの動きに連動してそれぞれの方向に移動する。すなわち、文字選択キー111によって赤色カーソルCrを上方向に1文字
分だけ移動させると、青色カーソルCbは、1文字分だけ下方向に移動し、黄色カーソルCyは、1文字分だけ左方向に移動し、緑色カーソルCgは、1文字分だけ右方向に移動するといった動作を行う。
【0044】
次に、実施形態1に係るプロジェクターPJにおいて、情報設定画面200に表示されたソフトウエアキーボード210から情報入力操作を行う場合について説明する。操作者がメニュー選択部(図示せず。)などから情報設定画面表示要求を行うと、情報設定画面表示制御部520は、情報設定画面表示要求に基づいて情報設定画面を表示させるための制御を行う。これにより、プロジェクターPJからは、図1に示すようなソフトウエアキーボード210を有する情報設定画面200がスクリーンSCR上に表示される。
【0045】
まず初めに、ソフトウエアキーボード210により一般情報の入力を行う場合について説明する。一般情報としては、例えば、当該プロジェクターPJの個別名称や使用者名などを例示することができる。この場合、ソフトウエアキーボード210のある文字の位置に単一のカーソル(図示せず。)が表示される。
【0046】
この状態で、操作者がリモコンの文字選択キー111,112,113,114のいずれかを操作することによって、単一のカーソルを上下左右に移動させる。そして、カーソルが操作者の所望とする文字に到達したときに、操作者がリモコン100の決定キー120を押すと、カーソルが指示している文字を文字入力制御部540によって入力して、入力した文字を記憶部550に記憶させる。また、文字入力制御部540によって入力された文字は、入力文字表示制御部560により入力文字表示部220(図1参照。)に表示される。この場合、秘匿情報ではないので、「*」とする必要は特になく、入力された文字そのものを表示させるようにしてもよい。
【0047】
このような操作を順次行うことによって、2番目、3番目、・・・の文字が文字入力制御部540によって記憶部550に記憶されるとともに、入力文字表示制御部560によって表示制御される。なお、記憶部550には入力された複数の文字は一般情報(個別名称や使用者名など)として記憶され、その後のプロジェクターPJの操作などに使用される。このように、一般情報の入力の仕方は、従来のソフトウエアキーボードによる情報入力の仕方と同様である。
【0048】
次に、ソフトウエアキーボード210からパスワードなどの秘匿情報の入力を行う場合について説明する。なお、秘匿情報の入力を行う場合には、ソフトウエアキーボード210には赤色カーソルCr、青色カーソルCb、黄色カーソルCy、緑色カーソルCgの4色のカーソルが表示される。なお、カーソルは、アンダーバー、十字マークなど特に限定されるものではないが、実施形態1においては、説明を理解し易くするために、カーソルによって指示されている文字には、当該文字を囲む枠内を灰色としたり、ハッチングなどを施したりしている(例えば図3参照。)
【0049】
図3は、ソフトウエアキーボード210を用いて秘匿情報の設定を行う具体例について説明する図である。図3を参照しながらソフトウエアキーボード210から秘匿情報を入力する場合について説明する。秘匿情報を入力する場合は、モード切り替えキー130によってプロジェクターPJを秘匿情報設定モードとする。
【0050】
これにより、図3に示すように、ソフトウエアキーボード210上には4色のカーソルCr,Cb,Cy,Cgがランダムに表示される。この4色のカーソルCr,Cb,Cy,Cgは、リモコン100の文字選択キー111,112,113,114によってそれぞれ移動するものであるが、前述したように、ある特定の文字選択キーが押圧操作されることによって、当該特定の文字選択キーに対応するカーソルが設定された方向に移動する
とともに、それに連動して、他の3つの色のカーソルもそれぞれに設定された方向に移動する。
【0051】
なお、ある1つの色のカーソル以外の色のカーソルは、ダミーのカーソルであり、このようなダミーのカーソルを表示させるのは、操作者が入力しようとする文字(決定キー120によって決定する文字)がどれであるかを第三者に分かりにくくするためのものである。このとき、操作者は、実際に文字の入力を行うカーソルはどの色のカーソルであるかを決めて操作を行う。なお、以下では、実際に文字の入力を行うカーソルを「注目カーソル」と呼ぶことにする。また、ここでは、注目カーソルは赤色カーソルCrであるとする。
【0052】
また、前述したように、4色のカーソルCr,Cb,Cy,Cgは、ソフトウエアキーボード210上において、それぞれに設定された方向のみにしか移動できないようになっている。すなわち、赤色カーソルCrは上方向(図3における矢印y’方向)のみ、青色カーソルCbは下方向(図3における矢印y方向)のみ、黄色カーソルCyは右方向(図3における矢印x方向)のみ、緑色カーソルCgは左方向(図3における矢印x’方向)のみにしか移動できないように設定されている。
【0053】
なお、4色のカーソルCr,Cb,Cy,Cgは、ソフトウエアキーボード210の端部(終端)まで達した時は、行又は列を次行又は次列に変更して、変更後の行又は列の最初の端部(始端)に戻ったのちに、それぞれに設定された方向に移動する。ここで、次行というのは、ソフトウエアキーボード210において現在の行よりも下方向(図3における矢印y方向)における次の行であるとする。また、次列というのは、ソフトウエアキーボード210において現在の列よりも右方向(図3における矢印x方向)における次の列であるとする。
【0054】
例えば、赤色カーソルCrの場合は、文字「O」の位置から上方向に移動して終端(ソフトウエアキーボード210の最上端の文字「A」)に達したあとは、次列の始端(ソフトウエアキーボード210の最下端の文字「−」に位置して、この「−」を始端として上方向に移動して行く。他の色のカーソルCb,Cy,Cgも同様に、それぞれ終端に達したあとは、次行又は次列の始端の文字に位置して、当該始端の文字からそれぞれが決められた方向に移動して行く。
【0055】
以下に、秘匿情報の具体的な入力例について説明する。ここでは、秘匿情報の入力例として、2つの秘匿情報設定例について説明する。一方の秘匿情報設定例を「第1の秘匿情報設定例」とし、他方の秘匿情報設定例を「第2の秘匿情報設定例」とする。なお、いずれの秘匿情報設定例においても、入力すべき秘匿情報は、「ABYZ」であるとする。
【0056】
(第1の秘匿情報設定例)
第1の秘匿情報設定例は、「ABYZ」のすべての文字の入力が終わるまで、注目カーソルを変更しない場合である。
【0057】
図4は、図3に示すソフトウエアキーボード210を用いた第1の秘匿情報設定例について説明する図である。図4(a)は、4色のカーソルCr,Cb,Cy,Cgがソフトウエアキーボード210上にランダムに表示された状態であり、図4(a)に示す各カーソルの位置を初期位置とする。なお、4色のカーソルCr,Cb,Cy,Cgの初期位置の決め方は、特に限定されるものではないが、それぞれが適度に間隔を置いて離散した位置に配置されることが好ましい。
【0058】
図4(a)においては、赤色カーソルCrの初期位置は、アルファベット「O」の位置
であり、青色カーソルCbの初期位置は、数値「4」の位置であり、黄色カーソルCyの初期位置は、記号「#」の位置であり、緑色カーソルCgの初期位置はアルファベット「F」の位置であったとする。このような初期位置において、操作者は、まず最初に「ABYZ」のうちの「A」を入力するための操作を行うが、このとき、最も少ない操作で「A」に到達可能なカーソルは、この場合、赤色カーソルCrである。このため、操作者は赤色カーソルCrを注目カーソルとしたとする。
【0059】
そして、まずは、赤色カーソルCrを「A」にまで移動させる。これは、文字選択キー111を2回押圧操作すればよい。これにより、図4(b)に示すように、赤色カーソルは、上方向に2文字分だけ移動して「A」の位置に到達する。この赤色カーソルCrの移動に連動して、他の色のカーソルもそれぞれに設定された方向に移動する。すなわち、図4(b)に示すように、青色カーソルCbは、下方向に2文字分移動して「=」の位置に到達し、黄色カーソルCyは、右方向に2文字分移動して「&」の位置に到達し、緑色カーソルCgは、左方向に2文字分移動して「D」の位置に到達する。
【0060】
そして、赤色カーソルが「A」の位置に到達した時点で、操作者は決定キー120を押す。なお、決定キー120の押圧操作により入力される文字は、「決定キー120が押される直前に操作された文字選択キーに対応するカーソルによって指示されている文字とする」というように予め設定しておく。すなわち、この場合、決定キー120が押される直前に操作された文字選択キーは、文字選択キー111であるので、当該文字選択キー111に対応する赤色カーソルCrによって指示されている文字「A」を入力すべき文字として採用する。なお、このような制御、すなわち、決定キー120が操作されたときに、どの文字を入力すべき文字として採用するかといった制御は、文字入力制御部に560によって行われる。
【0061】
このように、赤色カーソルCrが「A」の文字に到達したときに、操作者は決定キー120を押すが、このとき、他の色のカーソルCb,Cy,Cgもそれぞれ所定の文字を指示しているので、第三者は各色のカーソルCr,Cb,Cy,Cgがそれぞれ指示している4つの文字のうちのどの文字が実際に入力された文字であるかを識別することは容易にはできない。
【0062】
続いて、操作者は、赤色カーソルCrを「ABYZ」のうちの文字「B」に移動させるための操作を行う。なお、赤色カーソルCrは上方向のみの移動しかできないので、現時点において指示している「A」の右隣にある「B」に直接、横移動させることはできない。このため、赤色カーソルCrを「A」の位置から「B」の位置まで移動させるには、文字選択キー111を7回だけ連続的に押圧操作することとなる。
【0063】
文字選択キー111を7回だけ連続的に押圧操作することにより、赤色カーソルCrは次列に移って再び上方向に移動して、所望とする文字「B」に到達する(図4(c)参照)。この赤色カーソルCrの移動に連動して、他の色のカーソルもそれぞれに設定された方向に移動する。すなわち、図4(c)に示すように、青色カーソルCbは、「=」の位置から次列に移って再び下方向に7文字分だけ移動して「〜」の位置に到達し、黄色カーソルCyは、「&」の位置から次行に移って再び右方向に7文字分だけ移動して「%」の位置に到達し、緑色カーソルCgは、「D」の位置から左方向に移動後に次行に移って再び左方向に7文字分だけ移動して「K」の位置に到達する。
【0064】
そして、赤色カーソルが「B」の位置に到達した時点で、操作者は決定キー120を押す。この場合、決定キー120が押される直前に操作された文字選択キーは、文字選択キー111であるので、当該文字選択キー111に対応する赤色カーソルCrによって指示されている文字「B」が入力すべき文字として採用される。
【0065】
続いて、「Y」及び「Z」を設定するための操作を行うが、これらの設定を行うための操作は、上記した「A」,「B」の入力操作と同様の手順で行うことができるのでその説明は省略する。
【0066】
以上のような操作を行うことにより、秘匿情報である「ABYZ」を構成する各文字を第三者に判読されることなく入力することができる。すなわち、スクリーンSCR上に表示されているソフトウエアキーボード210上においては、4色のカーソルCr,Cb,Cy,Cgが表示され、4色のカーソルCr,Cb,Cy,Cgのうちの注目カーソル(赤色カーソルCr)の移動に連動して、他の3つのカーソルCb,Cy,Cgもそれぞれに設定された方向に移動する。そして、赤色カーソルCrが所望とする文字の位置に到達した時点で、決定キー120を押すことにより、注目カーソルによって指示されている文字のみが入力される。
【0067】
このような入力操作を行う際には、操作者は、注目カーソル(上述の例では赤色カーソルCr)だけを注目していればよいので、一般情報の入力と殆ど同じ操作によって秘匿情報を構成する各文字を入力することができる。すなわち、操作者は、文字選択キー111,112,113,114のうちのある特定の文字選択キー(この場合、文字選択キー111)のみを操作しながら、当該特定の文字選択キー111に対応する赤色カーソルCrの動きを見ていればよい。
【0068】
一方、第三者は4色のカーソルCr,Cb,Cy,Cgが表示され、かつ、それぞれのカーソルCr,Cb,Cy,Cgが様々な方向に動いているので、どのカーソルが実際の入力に用いられるカーソルであるかを識別することは難しい。このため、多数の視聴者の面前で、スクリーンSCR上に表示されているソフトウエアキーボード210から秘匿情報の設定を行う必要がある場合においても、視聴者に判読されることなく秘匿情報の入力が可能となる。
【0069】
ところで、上記したように4色のカーソルCr,Cb,Cy,Cgを移動させる操作を行う際、4色のカーソルCr,Cb,Cy,Cgは、それぞれが異なった方向に移動するように設定されているので、2つ以上のカーソルが同じ文字を同時に指示する状況が発生する場合もあり得る。
【0070】
このような場合は、2つ以上のカーソルが同じ文字を同時に指示する状況となったとしても、それを何ら考慮することなく操作を続行するようにしてもよく、また、一方のカーソル(注目カーソル以外のカーソル)を1文字だけスキップさせるようにしてもよい。なお、1文字だけスキップさせるようにすると、2つのカーソルが重なるのを防ぐことはできるが、一方のカーソルがスキップする動作を行うので、カーソルの動きを特に注視しているような第三者には、スキップしたカーソルは、ダミーのカーソルの可能性があるというように認識されることもある。
【0071】
したがって、秘匿性の強化という点では、2つ以上のカーソルが同じ文字を同時に指示する状況を何ら考慮することなく操作を続行する方が好ましいといえる。なお、たとえ、2つ以上のカーソルが同じ文字を同時に指示する状況となったとしても、それは一時的であり、次の操作を行うことにより、2つ以上のカーソルが同じ文字を同時に指示する状況は解消される。
【0072】
(第2の秘匿情報設定例)
第2の秘匿情報設定例は、注目カーソルを途中で変更することによって、所望とする文字の入力をより効率的に行うようにするものである。すなわち、1つ以上の文字の入力が
終了した時点で、次に入力すべき文字に対して、より少ない操作で到達可能なカーソルを新たな注目カーソルとするものであり、こうすることで、所望とする文字の入力をより少ない操作で効率的に行うことができる。
【0073】
以下に第2の秘匿情報設定例について説明する。なお、第2の秘匿情報設定例は、注目カーソルを途中で変更する点が第1の秘匿情報設定例と異なるだけであるので、プロジェクターPJの構成、ソフトウエアキーボード210の構成などは、第1の秘匿情報設定例と同様であるとして説明する。
【0074】
図5は、図3に示すソフトウエアキーボード210を用いた第2の秘匿情報設定例について説明する図である。図5(a)は第2の秘匿情報設定例における4色のカーソルCr,Cb,Cy,Cgの初期位置を示す図であり、これは、第1の秘匿情報設定例における初期位置(図4(a)参照)と同様であるとする。また、第2の秘匿情報設定例においても、秘匿情報「ABYZ」を構成する各文字を入力する場合を考える。ここでは、文字「A」の入力は終了し、文字「B」以降の各文字を入力する場合について説明する。この時点では、図5(b)に示すように、赤色カーソルCrは「A」の位置、青色カーソルCbは「=」の位置、黄色カーソルCyは「&」の位置、緑色カーソルCgは「D」の位置に到達している。
【0075】
図5(b)の状態では、次に入力すべき文字「B」は、左方向のみに移動する緑色カーソルCgによって入力した方が効率的であることは明らかである。すなわち、第1の秘匿情報設定例に示すように、赤色カーソルCrのみで入力しようとすると、赤色カーソルCrを「A」の位置から7文字分だけ移動させる必要があるが、緑色カーソルCgを用いれば、「D」の位置から左方向に2文字分だけ移動させればよい。したがって、操作者は、「A」を入力した時点で、注目カーソルを赤色カーソルCrから緑色カーソルCgに変更する。そして、緑色カーソルCgに対応する文字選択キー114を2回押圧操作することにより、緑色カーソルCgは左方向に2文字分移動する。
【0076】
これにより、緑色カーソルCgは「B」の位置に到達する(図5(c)参照)。この緑色カーソルCgの移動に連動して、他の色のカーソルもそれぞれに設定された方向に移動する。すなわち、図5(c)に示すように、赤色カーソルCrは、「A」の位置から次列に移って再び上方向に2文字だけ分移動して「/」の位置に到達し、青色カーソルCbは、「=」の位置から次列に移って再び下方向に2文字分移動して「K」の位置に到達し、黄色カーソルCyは、「&」の位置から次行に移って再び右方向に2文字分移動して「−」の位置に到達している。
【0077】
そして、緑色カーソルCgが「B」の位置に到達した時点で、操作者は決定キー120を押す。この場合、決定キー120が押される直前に操作された文字選択キーは、文字選択キー114であるので、当該文字選択キー114に対応する緑色カーソルCgによって指示されている文字「B」が入力すべき文字として採用される。
【0078】
続いて、「ABYZ」の「Y」を入力するが、この場合は、この時点(図5(c)参照)で「K」の位置にある青色カーソルCbを2文字だけ下方向に移動させるのが最も効率的である。したがって、注目カーソルを緑色カーソルCgから青色カーソルCbに変更する。そして、青色カーソルCbに対応する文字選択キー112を2回押圧操作することにより、青色カーソルCbは下方向に2文字分だけ移動する。
【0079】
これにより、青色カーソルCbは「Y」の位置に到達する(図5(d)参照)。この青色カーソルCbの移動に連動して、他の色のカーソルもそれぞれに設定された方向に移動する。すなわち、図5(d)に示すように、赤色カーソルCrは、「/」の位置から上方
向に2文字分だけ移動して「W」の位置に到達し、黄色カーソルCyは、「−」の位置から右方向に2文字分移動して「〜」の位置に到達し、緑色カーソルCgは、「B」の位置から2文字分だけ移動して「N」の位置に到達している。なお、緑色カーソルCgは途中で次行に移って再び左方向に移動している。
【0080】
そして、青色カーソルCbが「Y」の位置に到達した時点で、操作者は決定キー120を押す。この場合、決定キー120が押される直前に操作された文字選択キーは、文字選択キー112であるので、当該文字選択キー112に対応する青色カーソルCbによって指示されている文字「Y」が入力すべき文字として採用される。
【0081】
続いて、「ABYZ」の「Z」を入力する。カーソルを「Z」に到達させるには、現時点(図5(d)の状態)においては、4色のカーソルCr,Cb,Cy,Cgのどのカーソルにおいても多くの操作を行う必要があるが、その中で、現時点における注目カーソルである青色カーソルCbを用いて入力するのがより効率的である。したがって、青色カーソルCbをそのまま注目カーソルとして入力を行う。すなわち、「Y」の位置にある青色カーソルCbを7回押圧操作することにより、青色カーソルCbは「Z」の位置に到達する(図5(e)参照)。この青色カーソルCbの移動に連動して、他の色のカーソルもそれぞれに設定された方向に移動する。すなわち、図5(e)に示すように、赤色カーソルは、「W」の位置から7文字分だけ移動して「X」の位置に到達し、黄色カーソルCyは、「〜」の位置から7文字だけ分移動して「D」の位置に到達し、緑色カーソルは、「N」の位置から7文字分だけ移動して「U」の位置に到達している。なお、黄色カーソルCyは、右方向に移動後に最上段の行に移って再び右方向に移動している。
【0082】
そして、青色カーソルCbが「Z」の位置に到達した時点で、操作者は決定キー120を押す。この場合も、決定キー120が押される直前に操作された文字選択キーは、文字選択キー112であるので、当該文字選択キー111に対応する青色カーソルCbによって指示されている文字「Z」が入力すべき文字として採用される。
【0083】
第2の秘匿情報設定例によれば、入力すべき文字の位置に対して、より少ない操作で到達できるカーソルを新たな注目カーソルとしているため、秘匿情報「ABYZ」を構成するすべての文字の入力が終了するまでの合計の操作回数は、第1の秘匿情報設定方法に比べて、より少なくすることができる。
【0084】
[実施形態2]
実施形態1においては、ソフトウエアキーボード210そのものをスクリーンSCR上に表示して、4色のカーソルCr,Cb,Cy,Cgをソフトウエアキーボード210上で移動させることによって、入力すべき文字を選択するようにした。これに対して、実施形態2においては、情報設定画面200に例えば4つの個別文字表示部241,242,243,244(図6参照)を設け、これら4つの個別文字表示部241,242,243,244に表示させる文字を、4つの文字選択キー111,112,113,114によって変化させながら、決定キー120によって所望とする文字を入力するというものである。
【0085】
図6は、実施形態2に係るプロジェクターPJにおける秘匿情報設定例について説明する図である。実施形態2に係るプロジェクターPJにおいては、操作者によってリモコン100から情報設定画面表示要求が出されると、情報設定画面表示制御部520によって図6に示すような情報設定画面200が表示される。なお、実施形態2に係るプロジェクターPJの構成は、実施形態1に係るプロジェクターPJの説明で用いた図2と同様の構成とすることができる。
【0086】
実施形態2に係るプロジェクターPJにおいて表示される情報設定画面200は、図6に示すように、リモコンの4つの文字選択キー111,112,113,114に対応する4つの個別文字表示部241,242,243,244を表示させて、この4つの個別文字表示部241,242,243,244には、例えば、アルファベット、数値、記号などをそれぞれ割り当てて表示させるようにする。具体的には、個別文字表示部241には、例えば、アルファベットの大文字を1文字ずつ表示させ、個別文字表示部242には、例えば、アルファベットの小文字を1文字ずつ表示させ、個別文字表示部243には、例えば、「0」〜「9」の数値を1文字ずつ表示させ、個別文字表示部244には、例えば、「#」,「/」などの記号を1文字ずつ表示させるようにする。
【0087】
そして、文字選択キー111は、個別文字表示部241に表示されるアルファベットの大文字を1文字ずつ順送りさせるための機能を有し、文字選択キー112は、個別文字表示部242に表示されるアルファベットの小文字を1文字ずつ順送りさせるための機能を有し、文字選択キー113は、個別文字表示部243に表示される数値を1文字ずつ順送りさせるための機能を有し、文字選択キー114は、個別文字表示部244に表示される記号を1文字ずつ順送りさせるための機能を有する。
【0088】
また、これら各文字選択キー111,112,113,114のうちの1つの文字選択キー(特定の文字選択キー)を押すことにより、対応する個別文字表示部において文字が1文字ずつ順送り表示されるが、このとき、他の個別文字表示部においても文字が1文字ずつ順次送り表示されるようにしている。例えば、操作者が文字選択キー111を連続的に押圧操作すると、個別文字表示部241には、「A」,「B」、「C」,・・・というように文字が1文字ずつ順送り表示されるが、これと連動して、他の個別文字表示部においても、それぞれの文字が順送り表示されて行く。
【0089】
そして、文字の入力は前述の実施形態1と同様、決定キー120によって行う。このとき、決定キー120が押される直前に操作された文字選択キーに対応する個別文字表示部に表示されている文字が採用される。例えば、操作者が文字選択キー111を操作していて、個別文字表示部241に「A」が表示された時に、当該操作者が決定キー120を押したとすると、この場合、決定キー120が押される直前に操作された文字選択キーは、文字選択キー111であるので、当該文字選択キー111に対応する個別文字表示部241に表示された文字「A」を入力すべき文字として採用する。
【0090】
また、それぞれの個別文字表示部241,242,243,244に初期状態として表示される文字は、ランダムであってよい。例えば、個別文字表示部241には「C」、個別文字表示部242には「r」、個別文字表示部243には「5」、個別文字表示部244には「+」というように表示される。
【0091】
ただし、このような初期状態から、操作者がある特定の文字選択キーを操作したときは、所定の順序でそれぞれの文字が表示されることが好ましい。例えば、個別文字表示部241においては、初期状態が「C」であれば、以降は、「D」,「E」、「F」,「G」,・・・というようなアルファベット順とし、個別文字表示部242においても同様に、初期状態が「r」であれば、以降は、「s」,「t」、「u」,「v」,・・・というようなアルファベット順とし、個別文字表示部243においては、初期状態が「5」であれば、以降は、「6」,「7」、「8」,・・・というような数字の昇順(降順でも可)とする。また、個別文字表示部244においては、記号の配列に特に順序が設けられている場合には、その順序に従って表示を行うが、そうでなければランダムに表示させてもよい。
【0092】
以上説明したように、実施形態2においては、スクリーンSCR上に表示されている各
個別文字表示部241,242,243,244には、それぞれ異なる文字が表示され、文字選択キー111,112,113,114のうちの特定の文字選択キーを操作することにより、当該特定の文字選択キーに対応する個別文字表示部の文字だけでなく、他の個別文字表示部の文字も連動して変化して行く。このため、第三者はどの個別文字表示部に表示されている文字が実際に入力される文字であるかを容易には識別することができない。そして、当該特定の文字選択キーに対応する個別文字表示部に所望とする文字に表示されたときに、決定キー120を操作すると、当該特定の文字選択キーに対応する個別文字表示部に表示されている文字が入力される。これにより、実施形態2においても、操作が容易でかつ秘匿性の高い秘匿情報の入力が可能となる。
【0093】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。例えば、下記(1)〜(4)に示すような変形実施も可能である。
【0094】
(1)上記実施形態1の説明で用いたソフトウエアキーボードにおける文字の種類や配列などは一例であってこれに限られるものではなく、たとえば、パーソナルコンピュータで一般的に用いられているキーボードと同じものをソフトウエアキーボードとして表示させるようにしてもよい。
【0095】
(2)上記実施形態1においては、4つのカーソルを色分けしたが、色分けすることは必須要件ではない。確かに、4つのカーソルを色分けすることで、操作者はどのカーソルが現時点における注目カーソルであるかを容易に判断することは可能であるが、これら4つのカーソルの移動方向がそれぞれ異なるので、移動方向を注目することにより、現時点における注目カーソルの特定は可能である。また、4つのカーソルの種類をそれぞれ異ならせるようにしてもよく、色分けした上でさらにカーソルの種類を異ならせるようにしてもよい。
【0096】
(3)上記実施形態1においては、4つのカーソルにそれぞれのカーソルの移動方向を示す矢印を各カーソルに付随させて表示するようにしてもよい
【0097】
(4)上記各実施形態においては、リモコンの文字選択キーは、4個である場合を例示し、実施形態1及び実施形態2においては、4つの文字選択キーに対応した4つのカーソルを設けるようにしたが、文字選択キーの数は、4個に限られるものではなく、例えば8個としてもよい。文字選択キーの数を8個とした場合には、実施形態1においては、カーソルも8個設け、各カーソルの移動方向を上下左右に加えて斜め方向を加えて、8方向の移動とすることも可能である。また、文字選択キーを8個とした場合、実施形態2においては、個別文字表示部を8個として、8個の個別文字表示部にアルファベット、数値・記号などを順次表示させることも可能である。
【符号の説明】
【0098】
100・・・リモコン、111,112,113,114・・・文字選択キー(選択操作手段)、120・・・決定キー(決定操作手段)、130・・・モード切り替えキー、200・・・情報設定画面、210・・・ソフトウエアキーボード、220・・・入力文字表示部、241,242,243,244・・・個別文字表示部、500・・・秘匿情報設定装置、520・・・情報設定画面表示制御部、530・・・カーソル制御部、540・・・文字入力制御部、Cr・・・赤色カーソル、Cb・・・青色カーソル、Cy・・・黄色カーソル、Cg・・・緑色カーソル、PJ・・・プロジェクター、SCR・・・スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報設定画面上に表示された所定数の文字で構成される文字群のうちの任意の複数の文字を個々の文字ごとに順次選択可能な複数の選択操作手段と、前記複数の選択操作手段のうちのある特定の選択操作手段の操作により選択された文字を入力すべき文字として決定可能な決定操作手段とを有する遠隔操作手段からの出力情報を用いて秘匿情報の設定を行う秘匿情報設定方法であって、
前記情報設定画面において前記所定数の文字で構成される文字群を表示させるステップと、
前記複数の選択操作手段が前記複数の文字を同時に選択しているかのように、前記複数の選択操作手段による複数の文字の選択状態を表示させるステップと、
前記複数の選択操作手段による複数の文字の選択状態において前記決定操作手段が操作されると、前記決定操作手段が操作される直前に操作された選択操作手段により選択された文字を入力するステップと、
を有することを特徴とする秘匿情報設定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の秘匿情報設定方法において、
前記所定数の文字で構成される文字群は、ソフトウエアキーボードとして表示されている文字群であることを特徴とする秘匿情報設定方法。
【請求項3】
請求項2に記載の秘匿情報設定方法において、
前記複数の選択操作手段による複数の文字の選択状態は、前記ソフトウエアキーボード上に表示された前記複数の選択操作手段それぞれに対応するカーソルが複数の文字を同時に指示している状態であることを特徴とする秘匿情報設定方法。
【請求項4】
請求項3に記載の秘匿情報設定方法において、
前記複数の選択操作手段それぞれに対応するカーソルは、色分けされて表示されることを特徴とする秘匿情報設定方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の秘匿情報設定方法において、
前記複数の選択操作手段それぞれに対応するカーソルは、それぞれのカーソルが異なる方向に移動するように、各カーソルごとに移動方向が設定されており、前記特定の選択操作手段により当該選択操作手段に対応するカーソルを移動させると、他のカーソルもそれぞれに設定された移動方向に移動することを特徴とする秘匿情報設定方法。
【請求項6】
請求項5に記載の秘匿情報設定方法において、
前記特定の選択操作手段に対応するカーソルが所望とする文字に到達したときに、前記決定操作手段が操作されると、当該特定の選択操作手段に対応するカーソルにより指示された文字が入力されることを特徴とする秘匿情報設定方法。
【請求項7】
所定数の文字で構成される文字群のうちの任意の複数の文字を個々の文字ごとに情報設定画面の個別文字表示部に順次表示させるための操作を行う複数の選択操作手段と、前記複数の選択操作手段のうちのある特定の選択操作手段の操作によって前記個別文字表示部に表示された文字を入力すべき文字として決定可能な決定操作手段とを有する遠隔操作手段からの出力情報を用いて秘匿情報の設定を行う秘匿情報設定方法であって、
前記複数の選択操作手段が前記複数の文字を同時に選択しているかのように、前記複数の文字を前記複数の個別文字表示部に同時に表示させるステップと、
前記複数の文字を前記個別文字表示部に同時に表示させた状態において前記決定操作手段が操作されると、前記決定操作手段が操作される直前に操作された選択操作手段により選択された文字を入力するステップと、
を有することを特徴とする秘匿情報設定方法。
【請求項8】
請求項7に記載の秘匿情報設定方法において、
前記個別文字表示部は、前記複数の選択操作手段に対応して設けられており、前記特定の選択操作手段の操作によって当該特定の選択操作手段に対応する個別文字表示部に表示される文字を変化させると、他の選択操作手段に対応する個別文字表示部に表示される文字も変化することを特徴とする秘匿情報設定方法。
【請求項9】
請求項8に記載の秘匿情報設定方法において、
前記特定の選択操作手段に対応する個別文字表示部に所望とする文字が表示されたときに、前記決定操作手段が操作されると、前記特定の選択操作手段に対応する個別文字表示部に表示されている文字が入力されることを特徴とする秘匿情報設定方法。
【請求項10】
情報設定画面上に表示された所定数の文字で構成される文字群のうちの任意の複数の文字を個々の文字ごとに順次選択可能な複数の選択操作手段と、前記複数の選択操作手段のうちのある特定の選択操作手段の操作により選択された文字を入力すべき文字として決定可能な決定操作手段とを有する遠隔操作手段からの出力情報を用いて秘匿情報の設定を行う秘匿情報設定装置を有するプロジェクターであって、
前記秘匿情報設定装置は、
前記情報設定画面において前記所定数の文字で構成される文字群を表示させる機能と、前記複数の選択操作手段が前記複数の文字を同時に選択しているかのように、前記複数の選択操作手段による複数の文字の選択状態を表示させる機能とを有する情報設定画面表示制御部と、
前記複数の選択操作手段による複数の文字の選択状態において前記決定操作手段が操作されると、前記決定操作手段が操作される直前に操作された選択操作手段により選択された文字を入力する文字入力制御部と、
を有することを特徴とするプロジェクター。
【請求項11】
所定数の文字で構成される文字群のうちの任意の複数の文字を個々の文字ごとに選択して情報設定画面の個別文字表示部に順次表示可能な複数の選択操作手段と、前記複数の選択操作手段のうちのある特定の選択操作手段の操作により選択した文字を入力すべき文字として決定可能な決定操作手段とを有する遠隔操作手段からの出力情報を用いて秘匿情報の設定を行う秘匿情報設定装置を有するプロジェクターであって、
前記秘匿情報設定装置は、
前記複数の選択操作手段が前記複数の文字を同時に選択しているかのように、前記複数の文字を前記情報設定画面における複数の個別文字表示部に同時に表示させる情報設定画面表示制御部と、
前記複数の文字を前記情報設定画面における前記個別文字表示部に同時に表示させた状態において前記決定操作手段が操作されると、前記決定操作手段が操作される直前に操作された選択操作手段により選択された文字を入力する文字入力制御部と、
を有することを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−250720(P2010−250720A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101657(P2009−101657)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】