説明

移動ネットワークにおいて実現されるプロキシコール状態制御機能部(P−CSCF)、インターネットプロトコル(IP)マルチメディアサブシステム(IMS)アーキテクチャ、移動ネットワークにおいてプロキシコール状態制御機能部(P−CSCF)を実現するためのプロセス、およびコンピュータ読み取り可能な媒体

IPマルチメディアサブシステム(IMS)アーキテクチャが、特定のユーザ機器(UE)と、当該UEに対するパケット伝送を処理するゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)と、UEの第1のコンタクトポイントとして機能し、IMS関連の信号伝達と登録とIMSセッションの他のプロシージャとに関するパケットデータプロトコル(PDP)コンテキストを確立するようなセッション管理サービスを提供するプロキシコール状態制御機能部(P−CSCF)とを備える。P−CSCFは、登録時に特定のUEからの識別情報を記憶することと、当該UEからSIP(セッション開始プロトコル)メッセージを受け取ることと、ポリシー決定機能部(PDF)に対するリンクを有する識別情報とSIPメッセージのアイデンティティとを比較することと、当該アイデンティティが当該識別情報に合致する時に、UEの全動作に関し同一のPDFを使用することとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに異なるIP(Internet Protocol)マルチメディアサブシステム(IP Multimedia Subsystem:IMS)エンティティを含む移動ネットワークに関する。より特定的にいえば、本発明は、必要とされるポリシー制御動作の簡素化と、移動ネットワーク中の相異なるリリース仕様に基づく複数のIMSエンティティ間の互換性(Compatibility)とを実現するための解決策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
全てのGSM(Global System for Mobile Communications :欧州のディジタル自動車・携帯電話の方式)と第3世代のGSMネットワークとを含む3GPP(Third Generation Partnership Project:第3世代のパートナーシップ・プロジェクト)仕様により規格化された移動ネットワークのような最新の移動ネットワークでは、例えば移動データネットワークサービスおよびIPマルチメディアサービスを含むような電気通信システムを実現するために、ディジタル・セルラネットワークとパーソナルコミュニケーションシステムとのシームレスな統合が行われている。
【0003】
各々の3GPPシステムは、コアネットワークおよび無線アクセスネットワーク・インフラストラクチャを有している。より詳しくいえば、このコアネットワークおよび無線アクセスネットワーク・インフラストラクチャは、汎用パケット無線サービス(General Packet Radio Service:GPRS)技術とGSMネットワークの全体的な進化のための改良されたデータレート(Enhanced Data Rates for Global Evolution:EDGE)技術とを使用するか、または、周波数分割双方向(Frequency Division Duplex :FDD)と時分割双方向(Time Division Duplex:TDD)との両方で動作可能な汎用陸上無線アクセス(Universal Terrestrial Radio Access:UTRA)をサポートするようになっている。
【0004】
上記のコアネットワーク(CN)は、ユーザ・トラフィックとこれに関連した信号伝達のために設けられているCNエンティティを含む回路交換(CS)ドメインおよびパケット交換(PS)ドメインと、IPマルチメディアサービスのために設けられているCNエンティティを含むIPマルチメディアサブシステム(IMS)とに論理的に区分されている。ホーム・サブスクライバサーバ(Home Subscriber Server:HSS)、ホーム・ロケーションレジスタ(Home Location Register:HLR)、認証センタ(Authentication Center :AuC)、ビジタ・ロケーションレジスタ(Visitor Location Register :VLR)、および機器識別レジスタ(Equipment Identify Register :EIR)のような幾つかのCNエンティティが、PSドメインとCSドメインに対して共通であってもよい。また一方で、移動交換センタ(Mobile Switching Center :MSC)およびゲートウェイMSCのような他のCNエンティティが、移動局に対する回路交換サービスまたは移動局からの回路交換サービスを処理するためにCSドメインに特有なものであり、かつ、ゲートウェイGPRS(汎用パケット無線サービス)・サポートノード(Gateway GPRS Support Node :GGSN)およびサービングGPRS・サポートノード(Serving GPRS Support Node :SGSN)が、移動局に対するパケット伝送または移動局からのパケット伝送を処理するためにPSドメインに特有なものである。
【0005】
IPマルチメディアサービスの場合には、コールセッション制御機能部(Call Session Control Function :CSCF)またはコール状態制御機能部(Call State Control Function :CSCF)のような機能IMSエンティティが、CSCF関連のプロシージャ(Procedure )を処理するために設けられている。このCSCF関連のプロシージャは、IMS関連の信号伝達と登録、および、IMSセッションのための他のプロシージャに関するパケットデータプロトコル(Packet Data Protocol:PDP)(例えば、IPのようなパケットデータプロトコル)コンテキストを確立することを含む。ここで、CSCFは、IPマルチメディアサブシステム(IMS)内のユーザ機器(UE)(すなわち、移動局のような、ユーザがネットワークサービスに対するアクセスを行うことを可能にするための装置)のための第1のコンタクトポイントとして機能するプロキシCSCF(Proxy CSCF:P−CSCF)として動作するか、または、ネットワーク内のセッションの状態を処理するサービングCSCF(Serving CSCF:S−CSCF)として動作するか、または、上記ネットワークのオペレータのサブスクライバまたは特定のサービスエリア内のローミング・サブスクライバ(roaming subscriber)に割り当てられる全てのIMS接続のためのオペレータ・ネットワーク内のコンタクトポイントとして機能するインテロゲイティングCSCF(Interrogating CSCF:I−CSCF)として動作することが可能である。
【0006】
詳細に関しては、3GPP技術仕様(3GPP Technical Specification)(3GPP TS),23.002,V5.9.0(2002年12月発行)の「ネットワークアーキテクチャ(Network Architecture)」と、3GPP技術仕様(3GPP TS),23.101,V4.0.0(2002年4月発行)の「汎用UMTSアーキテクチャ(General UMTS Architecture )」と、3GPP技術仕様(3GPP TS),23.110,V4.0.0(2001年4月発行)の「UMTSアクセス階層:サービスおよび機能(UMTS Access Stratum: Services and Functions )」と、3GPP技術仕様(3GPP TS),23.228,V6.0.1(2003年1月発行)の「IPマルチメディアサブシステム(IP Multimedia Subsystem (IMS))」とを参照されたい。全ての3GPP(GSM/3G)の仕様が、ホームページ「ftp://ftp.3gpp.org/specs」において3GPPサーバからダウンロードすることが可能であり、かつ、本願明細書に参考資料として組み入れられている。これに加えて、3GPP技術仕様(新たな機能性または変更された機能性を有する特定の3GPP技術仕様の異なるリリースを含む)を作成し維持し更新するためのメカニズムも、3GPP技術仕様(3GPP TS),21.900,V5.0.1(2002年9月発行)の「技術仕様グループ運用方法(Technical Specification Group Working Methods)」にて見い出すことが可能である。
【0007】
しかしながら、特定の3GPP技術仕様における様々な機能エンティティ間の機器の相互運用性と互換性とを実現する場合に、新たな機能性または新たな特徴が導入される毎に、および/または、既存の機能性が変更され、したがって特定の仕様の新たなリリースが導入される毎に、難題が依然として残っている。
【0008】
上記の点に関しては、例えば、3GPP技術仕様(3GPP TS),29.207,V.5.2.0(2002年12月発行)の「Goインタフェースによるポリシー制御(Policy Control over Go Interface)」,リリース 5にて説明されているように、IMSセッションを管理し、かつ、IMSセッションおよびメディア関連情報に基づいてポリシー決定を行い、さらに、Goインタフェースを介してGGSNと決定された情報を交換するために、ポリシー決定機能部(Policy Decision Function:PDF)がプロキシCSCF(P−CSCF)の一部分として規格化されている。このPDFは、IMSレベルとIMSセッションのGPRSベアラレベルとを結合させるためにバインド情報(Bind Information)のセットを生成し、かつ、ユーザ機器(User Equipment:UE)を経由して上記GGSNにバインド情報を送るために使用される。さらに、このGGSNは、UEから受け取ったバインド情報のセットからPDFアドレスを探索して適正なPDFを識別し、かつ、上記UEによってリクエストがなされたPDPコンテキストの動作が、IMSレベル上の先行するネゴシエーション(Negotiation )に適合することを確認する。これについても、同様に、3GPP技術仕様(3GPP TS),23.207,V.5.6.0(2002年12月発行)の「終端間サービス品質のコンセプトおよびアーキテクチャ(END-to-End Quality of Service (QoS) Concept and Architecture)」,リリース 5と、3GPP技術仕様(3GPP TS),29.208,V.5.2.0(2002年12月発行)の「終端間サービス品質の信号の流れ(End-To-End Quality of Service (QoS) Signaling Flows)」,リリース 5とを参照されたい。
【0009】
3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 5(2002年12月発行)によれば、PDFはP−CSCFに統合され、1つのIMSセッションのみが各PDFコンテキスト毎に許可される。しかしながら、現在のところ、3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 6(2003年1月発行)では、PDFがP−CSCFとは異なる別個のネットワーク要素にて実行されることが可能であるように計画されている。さらに、コアネットワーク(CN)内に配置された幾つかのPDFが存在してもよい。この結果として、P−CSCFが一般に知られている場合であっても、PDFはコアネットワーク(CN)により取り扱われなくてもよい。幾つかのPDFがコアネットワーク(CN)内に存在してよいので、単一のP−CSCFが幾つかのPDFのサービスを使用するように構成されてもよい。さらに、3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 6(2003年1月発行)において現在計画されているように、幾つかのIMSセッションが、単一のPDP(例えば、IPのようなパケットデータプロトコル)コンテキストに関して許可されてもよい。この結果として、UEは、幾つかのセッション設定のリクエストまたはセッション変更のリクエスト(SIP INVITE)を送信または受信してよく、さらに、幾つかのIMSセッションに関して1つのPDPコンテキストを設定(または変更)することが可能である。2つ以上のPDFがコアネットワーク(CN)内に存在する場合には、P−CSCFは、異なるセッションの認証リクエストを異なるPDFにそれぞれ送信してよい。
【0010】
しかしながら、GGSNが3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 5に基づいている場合には、GGSNは、UEから受け取ったバインド情報のセットから1つのPDFアドレスを探索するのみであろうし、かつ、同一のPDFに対してバインド情報の全てのセットを送信するであろう。この場合、バインド情報の幾つかのセットが間違ったPDFに送られる可能性があり、このことはバインド情報の受け取りに対する拒否の決定を生じさせることになる。さらに、PDP(例えば、IPのようなパケットデータプロトコル)コンテキスト毎に単一のセッションのみが使用される場合であっても、PDPコンテキストの変更が、上記P−CSCFによって、PDP(例えば、IPのようなパケットデータプロトコル)コンテキストの活性化(Activation)の際に使用されるPDFとは異なるPDFに向けられてもよい。この結果として、UEから受け取ったリクエスト中のPDFアドレスが、記憶されているバインド情報のセット中のPDFアドレスとは異なるということをGGSNが見い出すときには、このGGSNは、PDPコンテキスト変更のリクエストを拒否してよい。さらに、幾つかのIMSセッションが同一のPDP(例えば、IPのようなパケットデータプロトコル)コンテキストを使用するときに、上記GGSNは、単一のPDP(例えば、IPのようなパケットデータプロトコル)コンテキスト中の全てではなく幾つかのIMSセッションに関して変更リクエストを処理することは不可能である。
【0011】
一般的にいって、UEおよびPDFのような1つまたは複数の機能エンティティが3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 6に基づいており、かつ、GGSNのような機能エンティティの別のセットが3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 5に基づいている場合には、ネットワーク機器は正常に動作しない可能性がある。複数のIMSセッションが1つのPDP(例えば、IPのようなパケットデータプロトコル)コンテキスト上で実行され、かつ、3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 5と3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 6との両方に基づいているネットワーク中の機能エンティティが存在するときには、逆方向の互換性を保証することは不可能である。
【0012】
さらに、機能エンティティが同一の仕様リリースに基づいている場合であっても、複数のセッションにより開始されるPDPコンテキスト変更を制御するために、かつ、共通のPDPコンテキストと、別個のPDFにより制御される異なるセッションのポリシーとの間の相互運用(Interoperation)を管理するために、GGSNおよびPDFにおいて複雑な動作が必要とされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記のとおり、従来の移動ネットワークにおいては、互いに異なる仕様リリースに基づいている複数の機能IMSエンティティ間の互換性を実現することが必要とされている。さらに、GGSNおよびPDFの動作の簡素化を実現することも必要とされている。
【0014】
したがって、本発明の目的は、互いに異なる仕様リリースに基づいている複数の機能IMSエンティティ間の互換性を実現すると共に、GGSNおよびPDFの動作の簡素化を実現することが可能な移動ネットワークを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の様々な態様が、移動ネットワーク中のIPマルチメディアサブシステム(IMS)エンティティにおける動作を簡素化するための解決策、および、特定の3GPP技術仕様の互いに異なるリリースに基づいている移動ネットワーク中の複数のIPマルチメディアサブシステム(IMS)エンティティ間の互換性を実現するための解決策に向けられている。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の1つの態様では、IPマルチメディアサービスのためのIPマルチメディアサブシステム(IMS)アーキテクチャが、特定のユーザ機器(UE)と、この特定のUEに対するパケット伝送または上記特定のUEからのパケット伝送を処理するように構成されるゲートウェイ汎用パケット無線サービス・サポートノード(GGSN)と、UEの第1のコンタクトポイントとして機能するように、かつ、IMS関連の信号伝達と登録とIMSセッションのための他のプロシージャとに関するパケットデータプロトコル(PDP)コンテキストを確立することを含むセッション管理サービスを提供するように構成されるプロキシコールセッション制御機能部(またはプロキシコール状態制御機能部)(P−CSCF)とを有している。このP−CSCFは、さらに、登録中に特定のUEからの識別情報を記憶装置内に記憶することと、この特定のUEからセッション開始プロトコル(Session Initiation Protocol :SIP)メッセージを受け取ることと、SIPメッセージ中のアイデンティティを、ポリシー決定機能部(PDF)に対するリンクを有する記憶装置内に記憶されている識別情報と比較することと、上記SIPメッセージ中のアイデンティティが、記憶装置内に記憶されている識別情報に合致するときに、上記特定のUEの全ての動作に関して同一のPDFを使用することとを遂行するように構成される。
【0017】
本発明の他の態様では、ポリシー決定機能部(PDF)は、PDP(パケットデータプロトコル)コンテキスト中の1つまたは複数のIPマルチメディアサブシステム(IMS)セッションが変更されるか否かを判定するように構成されると共に、PDPコンテキスト中の1つまたは複数のIMSセッションが変更されるときに、ポリシー強化のために、PDPコンテキスト毎に、変更されたセッションと無変更のセッションとの両方を含む一括認証決定事項(Aggregated Authorization Decision )を送るように構成されている。
【0018】
本発明のさらに他の態様では、移動ネットワークによって実行されるときにプロキシコール状態制御機能部(P−CSCF)を移動ネットワーク内で動作させる命令を有するコンピュータ読み取り可能な媒体が提供される。このような命令は、登録時に特定のユーザ機器(UE)からの識別情報を記憶装置内に記憶することと、この特定のUEから信号開始プロトコル(SIP)メッセージを受け取ることと、SIPメッセージ中のアイデンティティを、ポリシー決定機能部(PDF)に対するリンクを有する記憶装置内に記憶されている識別情報と比較することと、上記SIPメッセージ中のアイデンティティが記憶装置内に記憶されている識別情報に合致するときに、上記特定のUEの全ての動作に関して同一のPDFを使用することとを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面(図1〜図6)を参照しながら、本発明の幾つかの実施形態に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
【0020】
なお、これ以降、前述した構成要素と同様または類似の構成要素については、同一の参照番号を付して表すこととする。これによって、ある構成要素を有する添付図面に関連させて、前述の構成要素と同様または類似の構成要素を有する他の添付図面を考察するときに、以下の詳細な説明に基づいて本発明が適切に理解されるので、本発明のより完全な理解と本発明の付随的な利点の多くとが容易に明らかになるであろう。
【0021】
本発明は、第2世代および第3世代のGSMネットワークと、インターネットやイントラネットやローカルエリアネットワーク(LAN)やATMベースの中継ネットワークのような中継ネットワークと、公衆交換回線網(Public Switched Telephone Networks)PSTN)やISDNやIPネットワーク/LANやX.25や公衆陸上移動ネットワーク(Public Land Mobile Networks :PLMN)のような終端ネットワーク(terminating network)と、このような移動ネットワーク内の複数のシステム間の音声転送、メッセージ転送、データ転送および画像転送のために使用される相互接続がなされたシステムと、これに関連したプロトコルとを含むような、全てのタイプの移動ネットワークを組み合わせて使用する場合に適用可能である。
【0022】
例えば、第3世代のGSMネットワークは、移動データネットワーク通信サービスおよびIPマルチメディアサービスのための汎用パケット無線サービス(GPRS)技術と、高ビットレートデータサービスに関するGSMネットワークの全体的な進化のための改良されたデータレート(EDGE)技術とを使用するデータネットワークを含む。ここで、GPRS技術は、より高いデータレートでユーザが接続することを可能にするためにGSMネットワーク内で使用されると共に、無線の電子メールおよびウェブブラウジングのようなアプリケーションをより簡単かつ有用にするためにGSMネットワーク内で使用される。また一方で、EDGEは、データレートをさらに向上させるために、かつ、約473kbpsの速さのデータレートでのビデオおよび移動マルチメディアアプリケーションを可能にするために使用される。しかしながら、ここでは、説明をわかり易くするために、主として、IPマルチメディアサービスを提供するためのIPマルチメディアサブシステム(IMS)エンティティを含むPLMNを中心に説明することとする。
【0023】
ここで、添付図面の中で特に図1に注目すると、この図1には、3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 5によるIPマルチメディアサービスを含む電気通信サービスを提供するためのネットワークシステムアーキテクチャの一例が示されている。概略的に述べると、図1に示されているように、このネットワークシステムアーキテクチャ100は、例えば、発信元ユーザ機器(UE)110および終端ユーザ機器(UE)120、またはその逆の関係になっている2つのユーザ機器(UE)と、これらのユーザ機器(UE)110、120を相互に接続するように構成される通信リンク130とを有することが可能である。さらに、上記ネットワークシステムアーキテクチャ100は、単一のネットワーク、または、例えば公衆陸上移動ネットワーク(PLMN)132や1つまたは複数の中継ネットワーク134や終端ネットワーク136のような互いに異なる複数のネットワークを有することが可能である。上記2つのユーザ機器(UE)110、120は、例えば3GPP技術仕様(3GPP TS),24.002,V.5.0.0(2001年12月発行),リリース 5で規定されているGSMのためのリモートサーバまたは移動局(MS)を含むような、ユーザがネットワークサービスに対するアクセスを行うことを可能にするための任意の装置またはユーザ端末であってよい。
【0024】
各々のUE110、120は、例えば、移動ターミネーション(mobile termination:MT)112と、端末装置(Terminal Equipment:TE)114と、無線伝送とこれに関連した機能を遂行するように構成されている端末適応機能部(terminal adaptation function:TAF)116とを有することが可能であり、かつ、電気通信サービスをサポートするための終端間アプリケーションを有することが可能である。
【0025】
中継ネットワーク134は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、または、ATMベースの中継ネットワークを非限定的に含むことが可能である。また一方で、終端ネットワーク136は、公衆交換電話網(PSTN)、ISDN、IPネットワーク/LAN、X.25、または、他の公衆陸上移動ネットワーク(PLMN)を非限定的に含むことが可能である。
【0026】
図2は、3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 5による移動ネットワークにおける機能IMSエンティティのインタフェースアーキテクチャの一例を示すブロック図である。図2に示すように、ゲートウェイGPRS(汎用パケット無線サービス)・サポートノード(GGSN)210とプロキシコールセッション制御機能部(またはプロキシコール状態制御機能部)(P−CSCF)220とが、例えば図1に示されているPLMN 132のようなコアネットワーク(CN)の一部分であるネットワークエンティティ(例えば、独立型のネットワークハードウェア)に相当する。GGSN210は、UE110、120(例えば、移動局)に対するパケット伝送またはUE110、120からのパケット伝送を処理するために使用されてよい。また一方で、P−CSCF220は、特定のUE110/120のための第1のコンタクトポイントの役割を遂行するために使用されると共に、IPマルチメディアサブシステム(IMS)に関連した信号伝達と登録とIMSセッションのための他のプロシージャに関するPDP(例えば、IPのようなパケットデータプロトコル)コンテキストを確立することを含むセッション管理サービスとCSCF関連のプロシージャとを提供するために使用されることが可能である。
【0027】
3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 5(2002年12月発行)に関していえば、3GPP技術仕様(3GPP TS),29.207,V5.2.0(2002年12月発行)の「Goインタフェースによるポリシー制御(Policy Control over Go Interface)」,リリース 5にて説明されているように、IMSセッションのためのパラメータに関するネゴシエーションを行うために、セッション記述プロトコル(Session Description Protocol:SDP)の信号伝達を含むSIP(セッション開始プロトコル)メッセージをUE110が発行するかまたは受け取るときにIMSセッションを管理し、IMSセッションとP−CSCF220から得られたメディア関連情報とに基づいてポリシー決定を行い、さらに、Goインタフェースを介してGGSNと決定された情報を交換するために、ポリシー決定機能部(PDF)222がP−CSCF220に統合される。これに加えて、単一のIMSセッションのみが、各々のPDP(例えば、IPのようなパケットデータプロトコル)コンテキスト毎に許可される。
【0028】
前述したように、かつ、3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 5にて説明されているように、PDF222は、IMSレベルとIMSセッションのGPRSベアラレベルとを結合させるためのバインド情報(特に、認証トークン)のセットを生成し、かつ、ユーザ機器(UE)110を経由してGGSN210にバインド情報を送るために使用される。バインド情報は、PDP(例えば、IPのようなパケットデータプロトコル)コンテキストをIMSセッションの1つまたは複数のメディアコンポーネント(IPフロー)に関連付け、かつ、PDF222からのサービスベースのローカルポリシー(SBLP)情報のリクエストを行うために、GGSN210によって使用される。このようなバインド情報は、典型的には、
(1)SIP/SDPの信号伝達中に、P−CSCF220によってUE110に送られる認証トークン、および
(2)SIPセッションに関連付けられた1つまたは複数のIPメディアフローを一意的に識別するために、UE110とGGSN210とPDF222とによって使用されるような1つまたは複数のフロー識別子(flow identifier)(フロー識別子は、P−CSCF/PDFからバインド情報を受け取った後にUE110により付加されてもよい)
を含む。
【0029】
GGSN210は、このようなバインド情報を受け取った後に、UE110から受け取った(認証トークンからの)バインド情報のセットからPDFアドレスを探索して適正なPDFを識別し、かつ、UE110によってリクエストがなされたPDPコンテキスト動作が、IMSレベル上の先行するネゴシエーションに適合することを確認するために使用される。
【0030】
GGSN210では、ポリシー強化ポイント(PEP)211が、サービスベースのローカルポリシー(SBLP)制御に関してPDFと通信する論理エンティティである。ここでは説明をわかり易くするために、特に指摘しない限り、GGSN210がPEP211を暗黙のうちに含むと想定されている。GGSN210は、PDF222にリクエストを送り、PDF222から決定を受け取る。さらに、GGSN210は、PDF222との追加の相互交信を必要とせずに、PDPコンテキスト変更のためのサービス品質(QoS)認証に関するポリシー制御決定をGGSN210が行うことを可能にするローカルポリシー決定のために後で使用され得るような、PDF決定のポリシー決定データをキャッシュメモリに格納してよい。GGSN内のSBLPに関するPEP機能性が、3GPP技術情報(3GPP TS),29.207,V5.2.0(2002年12月発行)の「Goインタフェースによるポリシー制御(Policy Control over Go Interface)」,リリース 5に記載されており、かつ、本願明細書に参考資料として組み入れられている。それゆえに、本願明細書で上記PEP機能性に関する説明を繰り返す必要はない。
【0031】
さらに、3GPP技術仕様(3GPP TS),23.207,V.5.6.0(2002年12月発行)の「終端間サービス品質のコンセプトおよびアーキテクチャ( End-to-End Quality of Service (QoS) Concept and Architecture )」,リリース 5と、3GPP技術仕様(3GPP TS),29.208,V.5.2.0(2002年12月発行)の「終端間サービス品質の信号の流れ(End-to-End Quality of Service (QoS) Signaling Flows )」,リリース 5とに説明され、かつ、本願明細書に参考資料として組み入れられているように、UE110およびGGSN210の両方が、IPサービス品質(QoS)の終端間機能とこれに関連した信号の流れ(Signaling Flow)とを管理するためのメカニズムも有することが可能である。例えば、UE110は、クライアントアプリケーション111と、IPベアラサービス(BS)マネージャ113と、翻訳/マッピング機能部115と、任意に選択可能にUMTSベアラサービス(BS)マネージャ117とを有することが可能である。同様に、GGSN210もまた、IP BSマネージャ213と、翻訳/マッピング機能部215と、任意に選択可能にUMTS BSマネージャ217とを有することが可能である。IP BSマネージャ113、213は、典型的には、IPベアラサービスを管理するために標準的なIPメカニズムを使用する。翻訳/マッピング機能部115、215は、UMTSベアラサービス内で使用されるメカニズムおよびパラメータとIPベアラサービス内で使用されるメカニズムおよびパラメータとの間の相互作用(Inter-working )を提供し、かつ、IP BSマネージャ113、213との間で相互交信を行う。UMTS BSマネージャ117、217は、UMTS(汎用移動通信システム)ベアラサービスと当該UMTSベアラサービスのためのサービス品質(QoS)管理機能とを管理するために標準的なUMTSメカニズムを使用する。
【0032】
図3は、3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 6のために現在計画されている機能IMSエンティティのインタフェースアーキテクチャの一例を示すブロック図である。3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 6(2003年1月発行)に関する計画によれば、PDFはもはやP−CSCF220の一部分ではない。それどころか、PDFは、P−CSCF220とは異なる別個のネットワーク要素として実装される。これに加えて、コアネットワーク(CN)内に配置されている幾つかのPDF222A〜222Nが存在してもよい。この結果として、P−CSCF220が既知である場合であっても、PDFはコアネットワーク(CN)により取り扱われなくてもよい。幾つかのPDF222A〜222Nがコアネットワーク(CN)内に存在してよいので、単一のP−CSCF220が幾つかのPDF 222A〜222Nのサービスを使用するように構成されてもよい。さらに、UE110とPDF222の両方が、3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 6(20031月発行)に関する計画に基づいているので、幾つかのIMSセッションが単一のPDP(例えば、IPのようなパケットデータプロトコル)コンテキストに関して許可される。この結果として、UE110は、幾つかのセッション設定のリクエストまたはセッション変更のリクエスト(SIP INVITE)を送信または受信してよく、さらに、幾つかのIMSセッションに関して1つのPDPコンテキストを設定(または変更)することが可能である。2つ以上のPDF222A〜222Nがコアネットワーク(CN)内に存在する場合には、P−CSCF220は、互いに異なるPDF222A〜222Nに対して互いに異なるセッションの認証リクエストをそれぞれ送信してよい。
【0033】
しかしながら、GGSN 210が3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 5に基づいている場合には、GGSN210は、UE110から受け取ったバインド情報のセットから1つのPDFアドレスのみを探索し、全てのバインド情報のセットを同一のPDFに送信する。この場合、幾つかのバインド情報のセットが、誤ったPDFに送られる可能性があり、このことはバインド情報の受け取りに対する拒否の決定を生じさせることになる。さらに、PDP(例えば、IPのようなパケットデータプロトコル)コンテキスト毎に1つの単一セッションのみが使用される場合であっても、PDPコンテキストの変更が、P−CSCF220によって、PDP(例えば、IPのようなパケットデータプロトコル)コンテキストの活性化の際に使用されるPDFとは異なるPDFに向けられてもよい。この結果として、UE110から受け取ったリクエスト中のPDFアドレスが、記憶されているバインド情報のセットの中のPDFアドレスとは異なるということをGGSN210が見い出すときには、このGGSN210は、PDPコンテキスト変更のリクエストを拒否してよい。さらに、幾つかのIMSセッションが同一のPDP(例えば、IPのようなパケットデータプロトコル)コンテキストを使用するときに、GGSN210は、単一のPDP(例えば、IPのようなパケットデータプロトコル)コンテキスト中の全てではなく幾つかのIMSセッションに関して変更リクエストを処理することは不可能である。
【0034】
したがって、図3に示されているように、UE110およびPDF222のような1つまたは複数の機能IMSエンティティが3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 6に基づいており、かつ、図2に示されているGGSN210のような機能エンティティの別のセットが3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 5に基づいている場合には、ネットワーク機器が正常に動作しない可能性がある。複数のIMSセッションが1つのPDP(例えば、IPのようなパケットデータプロトコル)コンテキストにおいて実行され、かつ、3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 5と3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 6との両方に基づいているネットワーク中の機能エンティティが存在するときには、逆方向の互換性を確保することは不可能である。
【0035】
さらに、機能IMSエンティティが同一の仕様リリースに基づいている場合であっても、別個のPDFにより制御されるセッションが同一のPDPコンテキストにおいて多重化されるときに、または、PDPコンテキストの活性化と1つまたは複数の変更とが、互いに異なるPDF222A〜222Nにより処理されるときに、GGSN210およびPDF222において複雑な動作が必要とされる。PDF222は、セッションリリースとPDPコンテキストの非活性化(Deactivation)とを適正に処理することを可能にするために、他のセッションが同一のPDPコンテキスト上で多重化され、かつ、他のPDFにより処理されることを認識しなければならない。また一方で、GGSN210は、共通のPDPコンテキストに関する適正な認証情報を形成するために、異なるPDF222A〜222Nからのセッションベースの認証決定事項を組み合わせることを可能にしなければならない。さらに、GGSN210は、各セッションの状態情報を維持すべきである。換言すれば、GGSN210は、ただ単にPDPコンテキストアウェア(PDP Context Aware)である代わりに、セッションアウェア(Session Aware)であるべきである。
【0036】
つぎに、図4を参照すると、本発明の実施形態による機能IMSエンティティのインタフェースアーキテクチャの具体例が示されている。図4に示されているインタフェースアーキテクチャは、有利なことに、複数のIMSセッションが単一のPDPコンテキストにおいて実行されるときに、IMSネットワークエンティティの動作の簡素化と、特定の3GPP仕様の互いに異なるリリースに基づいた移動ネットワーク中の様々なIMSエンティティ間の逆方向の互換性とを実現する。
【0037】
図4に示すように、アルゴリズム410が、P−CSCF220が特定のUE110の全ての動作のために同一のPDFを使用することを確実なものにするために、P−CSCF220の一部分として実装されてよい。このようにして、GGSN210は、全ての動作に関して常に同じ1つのPDFアドレスのみを得るであろう。この結果として、GGSN210と他のIMSエンティティが3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 5に基づいている場合であっても、GGSN210は、常に、3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 6に基づいているUE110およびP−CSCF220のような他のIMSエンティティに適合する形で動作するであろう。さらに、複数のIMSエンティティ間に一対多の関係が存在しない場合には、GGSN210およびPDFの動作は、著しく簡単になる。
【0038】
P−CSCF220が特定のUE110の全ての動作に関してPDFを使用することを確実なものにするために、当該UE110は登録を必要とされる。より具体的には、UE110は、P−CSCF 220を経由して、S−CSCF(図示されていない)に対して識別情報を送ることができる。このような識別情報は、UE110のIPアドレスに相当しており、かつ、同一のUE110に対する後続のリクエストまたは同一のUE110からの後続のリクエストに使用されることが可能である。さらに、P−CSCF220は、登録時において受け取った識別情報を記憶する。詳細に関しては、3GPP技術仕様(3GPP TS),24.228,V5.3.0(2002年12月発行)の「SIPおよびSDPに基づいたIPマルチメディアコール制御に関する信号の流れ(Signaling Flows for the IP Multimedia Call Control)」,リリース 5を参照されたい。PDFの動作を引き起こすSIPメッセージを受け取るときには、P−CSFC220は上記SIPメッセージ中の識別情報を調べ、上記SIPメッセージ中のアイデンティティを、PDFに対するリンクを有する記憶装置内に記憶されている識別情報と比較する(すなわち、この記憶装置内に記憶されているアイデンティティ情報が特定のPDFアドレスに到達する)。
【0039】
あるいは、上記の識別情報は、事前設定がなされたアドレス範囲またはURI範囲に相当していてもよい。P−CSCF220が、例えば事前設定によって、PDF222A〜222Nの全ての使用可能なアドレスを知っているので、PDFアドレスは、動的に(例えば、特定のUE110が登録されるときに、当該UE110の登録の期間中に特定のPDFアドレスがUE110に割り当てられる)、または、静的に(例えば、特定の範囲のUEアイデンティティに関する特定のPDFアドレス)使用されることが可能である。この結果として、3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 6に関する計画に基づいておりかつ図3に示されているUE110およびPDF222のような機能IMSエンティティと、3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 5に基づいておりかつ図2に示されているGGSN210のような機能エンティティの別のセットとの間の非互換性(Incompatibility )が有利に回避されることが可能である。全てのネットワーク要素が同一の仕様リリースに基づいている場合であっても、GGSN210およびPDF222において必要とされる動作の簡素化といったような、さらに別の大きな利点が実現される。同一のPDFがPDPコンテキストの全てのセッションのために使用されるときには、GGSN210は、PDPコンテキストに関する最終的な認証を得るために互いに異なるPDFからの認証決定事項を組み合わせる必要がなく、それゆえに、セッションリリースとPDPコンテキストの非活性化は、PDF222に関して著しく簡単になる。
【0040】
さらに、PDF222は、PDPコンテキスト中のIMSセッションの1つまたは幾つかのみが変更される場合に、PDPコンテキスト毎に無変更のセッションと変更されたセッションの両方を取り扱うために、PDPコンテキスト毎に一括認証決定事項(Aggregated Authorization Decision )を送るように構成されてもよい。このようにすれば、GGSN210は、別々のIMSセッションのパラメータを処理して、PDPコンテキストに関して最終的に認証されたパラメータを得るために、変更されたパラメータと無変更の(記憶されている)パラメータとを組み合わせることは不要である。
【0041】
図5は、本発明の実施形態による移動ネットワーク内の複数のIMSエンティティ間の互換性、または、GGSNおよびPDFの動作の簡素化を実現するための、プロキシCSCF(P−CSCF)の処理フローの具体例を示すフローチャートである。図5に示されているように、P−CSCF220は、下記に記述されているような処理フローを遂行するために活性化される(図4に示されている)アルゴリズム410を含んでよい。
【0042】
ブロック510において、P−CSCF 220は、登録時に受け取った特定のUE110からの識別情報を記憶装置内に記憶する。つぎに、ブロック520において、P−CSCF 220は、PDFの動作を生じさせるようなIMSセッションに関するSDP情報を含むSIPメッセージを受け取る。さらに、ブロック530において、SIPメッセージ中のアイデンティティを、PDF 222に対するリンクを有する記憶装置内に記憶されている識別情報(すなわち、この記憶装置内に記憶されている識別情報が特定のPDFアドレスに到達する)と比較する。
【0043】
SIPメッセージ中のアイデンティティが、PDF222に対するリンクを有する記憶装置内に記憶されている識別情報に合致する場合には、P−CSCF220は、ブロック540において、特定のUE110の全ての動作に関して同一のPDFを使用する。あるいは、この代わりに、SIPメッセージ中のアイデンティティが、PDF222に対するリンクを有する記憶装置内に記憶されている識別情報に合致しない場合には、ブロック550において、P−CSCF 220は、SIPメッセージによってリクエストがなされたとおりに他の機能を遂行する。
【0044】
図6は、本発明の実施形態による移動ネットワーク内の複数のIMSエンティティ間の互換性、または、GGSNおよびPDFの動作の簡素化を実現するためのポリシー決定機能部(PDF)の処理フローの具体例を示すフローチャートである。PDF222は、記憶装置内に3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 6にて説明されているように、PDF222は、PDPコンテキスト毎に複数のIMSセッションをサポートしてよい。さらに、図6に示されているように、PDF222は、下記に記述されているような処理フローを遂行するように構成されてよい。
【0045】
ブロック610において、PDF 222は、PDPコンテキスト中の1つまたは複数のIMSセッションが変更されるか否かを判定する。PDPコンテキスト中の1つまたは複数のIMSセッションが変更される場合には、PDF 222は、ブロック620において、ポリシー強化のために、PDPコンテキスト毎に、無変更のセッションと変更されたセッションとの両方を含む一括認証決定事項をGGSN210に送る。このようにして、GGSN210は、別々のIMSセッションのパラメータを処理して、PDPコンテキストに関して最終的に認証されたパラメータを得るために、変更されたパラメータと無変更の(記憶されている)パラメータとを組み合わせることは不要である。
【0046】
前述したように、本発明の実施形態によるネットワークインタフェースアーキテクチャは、特定の3GPP仕様の互いに異なるリリースに基づいている移動ネットワーク内の複数のIPマルチメディアサブシステム(IMS)エンティティ間の互換性を実現すると共に、GGSNおよびPDFの動作のような様々なIMSエンティティにおける動作の簡素化を促進する。
【0047】
以上のように、本発明の代表的な実施形態と考えられるものを図示し説明してきたが、本発明の真の範囲から逸脱することなく、様々な変形および変更とが行われてよく、かつ、上記のような実施形態の構成要素が等価物で置き換えられてよいということが、当業者によって容易に理解されるであろう。さらに、本発明の中心的な範囲から逸脱することなく本発明の開示内容に対して特定の状況を適合させるために、様々な変更が加えられてよい。したがって、本発明は、本発明を実施するために想定された最良の形態として開示されている特定の実施形態に限定されることはなく、本願明細書に添付されている特許請求の範囲の各請求項の範囲内に含まれる全ての実施形態を本発明が含むということが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 5によるIPマルチメディアサービスを含む電気通信サービスを提供するためのネットワークシステムアーキテクチャの一例を示すブロック図である。
【図2】3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 5による機能IMSエンティティのインタフェースアーキテクチャの一例を示すブロック図である。
【図3】3GPP技術仕様(3GPP TS),リリース 6のために現在計画されている機能IMSエンティティのインタフェースアーキテクチャの一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態による機能IMSエンティティのインタフェースアーキテクチャの具体例を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態による移動ネットワーク内の複数のIMSエンティティにおける動作の簡素化と複数のIMSエンティティ間の互換性とを実現するためのプロキシCSCF(P−CSCF)の処理フローの具体例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態による移動ネットワーク内の複数のIMSエンティティにおける動作の簡素化と複数のIMSエンティティ間の互換性とを実現するためのポリシー決定機能部(PDF)の処理フローの具体例を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットプロトコル(IP)マルチメディアサービスを提供するために移動ネットワークシステムにおいて実現されるプロキシコール状態制御機能部(P−CSCF)であって、
登録時に特定のユーザ機器(UE)からの識別情報を記憶装置内に記憶することと、
前記特定のユーザ機器(UE)からセッション開始プロトコル(SIP)メッセージを受け取ることと、
前記セッション開始プロトコル(SIP)メッセージ中のアイデンティティを、ポリシー決定機能部(PDF)に対するリンクを有する記憶装置内に記憶されている前記識別情報と比較することと、
前記セッション開始プロトコル(SIP)メッセージ中の前記アイデンティティが、記憶装置内に記憶されている前記識別情報に合致するときに、前記特定のユーザ機器(UE)の全ての動作に関して同一のポリシー決定機能部(PDF)を使用することとを含むことを特徴とするプロキシコール状態制御機能部(P−CSCF)。
【請求項2】
前記ポリシー決定機能部(PDF)は、前記プロキシコール状態制御機能部(P−CSCF)のエンティティとは別個のエンティティである請求項1に記載のプロキシコール状態制御機能部(P−CSCF)。
【請求項3】
前記ポリシー決定機能部(PDF)は、パケットデータプロトコル(PDP)コンテキスト中の1つまたは複数のインターネットプロトコル(IP)マルチメディアサブシステム(IMS)セッションが変更されるか否かを判定するように構成されていると共に、パケットデータプロトコル(PDP)コンテキスト中の1つまたは複数のインターネットプロトコル(IP)マルチメディアサブシステム(IMS)セッションが変更されるときに、ポリシー強化のために、パケットデータプロトコル(PDP)コンテキスト毎に、変更されたセッションと無変更のセッションとの両方を含む一括認証決定事項を送るように構成されている請求項1に記載のプロキシコール状態制御機能部(P−CSCF)。
【請求項4】
前記特定のユーザ機器(UE)の前記識別情報は、登録中に前記特定のユーザ機器(UE)から得られ、かつ、前記ポリシー決定機能部(PDF)とのリンクが確立される請求項1に記載のプロキシコール状態制御機能部(P−CSCF)。
【請求項5】
インターネットプロトコル(IP)マルチメディアサービスのためのインターネットプロトコル(IP)マルチメディアサブシステム(IMS)アーキテクチャであって、
特定のユーザ機器(UE)と、
前記特定のユーザ機器(UE)に対するパケット伝送または前記特定のユーザ機器(UE)からのパケット伝送を処理するように構成されるゲートウェイ汎用パケット無線サービス・サポートノード(GGSN)と、
前記ユーザ機器(UE)の第1のコンタクトポイントとして機能するように、かつ、インターネットプロトコル(IP)マルチメディアサブシステム(IMS)関連の信号伝達と登録とインターネットプロトコル(IP)マルチメディアサブシステム(IMS)セッションのための他のプロシージャに関するパケットデータプロトコル(PDP)コンテキストを確立することを含むセッション管理サービスを提供するように構成されるプロキシコール状態制御機能部(P−CSCF)とを有しており、
前記プロキシコール状態制御機能部(P−CSCF)は、さらに、
登録中に前記特定のユーザ機器(UE)からの識別情報を記憶装置内に記憶することと、
前記特定のユーザ機器(UE)からセッション開始プロトコル(SIP)メッセージを受け取ることと、
前記セッション開始プロトコル(SIP)メッセージ中のアイデンティティを、ポリシー決定機能部(PDF)に対するリンクを有する記憶装置内に記憶されている前記識別情報と比較することと、
前記セッション開始プロトコル(SIP)メッセージ中の前記アイデンティティが、記憶装置内に記憶されている前記識別情報に合致するときに、前記特定のユーザ機器(UE)の全ての動作に関して同一のポリシー決定機能部(PDF)を使用することとを遂行するように構成されていることを特徴とするインターネットプロトコル(IP)マルチメディアサブシステム(IMS)アーキテクチャ。
【請求項6】
前記ポリシー決定機能部(PDF)は、前記プロキシコール状態制御機能部(P−CSCF)のエンティティとは別個のエンティティである請求項5に記載のインターネットプロトコル(IP)マルチメディアサブシステム(IMS)アーキテクチャ。
【請求項7】
前記ポリシー決定機能部(PDF)は、パケットデータプロトコル(PDP)コンテキスト中の1つまたは複数のインターネットプロトコル(IP)マルチメディアサブシステム(IMS)セッションが変更されるか否かを判定するように構成されていると共に、パケットデータプロトコル(PDP)コンテキスト中の1つまたは複数のインターネットプロトコル(IP)マルチメディアサブシステム(IMS)セッションが変更されるときに、ポリシー強化のために、パケットデータプロトコル(PDP)コンテキスト毎に、変更されたセッションと無変更のセッションとの両方を含む一括認証決定事項を送るように構成されている請求項5に記載のインターネットプロトコル(IP)マルチメディアサブシステム(IMS)アーキテクチャ。
【請求項8】
前記特定のユーザ機器(UE)の前記識別情報は、登録中に前記特定のユーザ機器(UE)から得られ、かつ、前記ポリシー決定機能部(PDF)とのリンクが確立される請求項5に記載のインターネットプロトコル(IP)マルチメディアサブシステム(IMS)アーキテクチャ。
【請求項9】
移動ネットワークにおいてプロキシコール状態制御機能部(P−CSCF)を実現するためのプロセスであって、
登録時に前記特定のユーザ機器(UE)からの識別情報を記憶装置内に記憶することと、
前記特定のユーザ機器(UE)からセッション開始プロトコル(SIP)メッセージを受け取ることと、
前記セッション開始プロトコル(SIP)メッセージ中のアイデンティティを、ポリシー決定機能部(PDF)に対するリンクを有する記憶装置内に記憶されている前記識別情報と比較することと、
前記セッション開始プロトコル(SIP)メッセージ中の前記アイデンティティが、記憶装置内に記憶されている前記識別情報に合致するときに、前記特定のユーザ機器(UE)の全ての動作に関して同一のポリシー決定機能部(PDF)を使用することとを含むことを特徴とするプロセス。
【請求項10】
前記前記ポリシー決定機能部(PDF)は、前記プロキシコール状態制御機能部(P−CSCF)のエンティティとは別個のエンティティである請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記ポリシー決定機能部(PDF)は、パケットデータプロトコル(PDP)コンテキスト中の1つまたは複数のインターネットプロトコル(IP)マルチメディアサブシステム(IMS)セッションが変更されるか否かを判定するように構成されていると共に、パケットデータプロトコル(PDP)コンテキスト中の1つまたは複数のインターネットプロトコル(IP)マルチメディアサブシステム(IMS)セッションが変更されるときに、ポリシー強化のために、パケットデータプロトコル(PDP)コンテキスト毎に、変更されたセッションと無変更のセッションとの両方を含む一括認証決定事項を送るように構成されている請求項9に記載のプロセス。
【請求項12】
前記特定のユーザ機器(UE)の前記識別情報は、登録中に前記特定のユーザ機器(UE)から得られ、かつ、前記ポリシー決定機能部(PDF)とのリンクが確立される請求項9に記載のプロセス。
【請求項13】
移動ネットワークによって実行されるときに移動ネットワーク内でプロキシコール状態制御機能(P−CSCF)を実現する方法を遂行する命令を含むコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記方法は、
登録時に特定のユーザ機器(UE)からの識別情報を記憶装置内に記憶することと、
前記特定のユーザ機器(UE)からセッション開始プロトコル(SIP)メッセージを受け取ることと、
前記セッション開始プロトコル(SIP)メッセージ中のアイデンティティを、ポリシー決定機能部(PDF)に対するリンクを有する記憶装置内に記憶されている前記識別情報と比較することと、
前記セッション開始プロトコル(SIP)メッセージ中の前記アイデンティティが、記憶装置内に記憶されている前記識別情報に合致するときに、前記特定のユーザ機器(UE)の全ての動作に関して同一のポリシー決定機能部(PDF)を使用することとを含むことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項14】
前記ポリシー決定機能部(PDF)は、前記プロキシコール状態制御機能部(P−CSCF)のエンティティとは別個のエンティティである請求項13に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項15】
前記ポリシー決定機能部(PDF)は、パケットデータプロトコル(PDP)コンテキスト中の1つまたは複数のインターネットプロトコル(IP)マルチメディアサブシステム(IMS)セッションが変更されるか否かを判定するように構成されていると共に、パケットデータプロトコル(PDP)コンテキスト中の1つまたは複数のインターネットプロトコル(IP)マルチメディアサブシステム(IMS)セッションが変更されるときに、ポリシー強化のために、パケットデータプロトコル(PDP)コンテキスト毎に、変更されたセッションと無変更のセッションとの両方を含む一括認証決定事項を送るように構成されている請求項13に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項16】
前記特定のユーザ機器(UE)の前記識別情報は、登録中に前記特定のユーザ機器(UE)から得られ、かつ、前記ポリシー決定機能部(PDF)とのリンクが確立される請求項13に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−527633(P2007−527633A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500318(P2006−500318)
【出願日】平成16年2月10日(2004.2.10)
【国際出願番号】PCT/IB2004/000334
【国際公開番号】WO2004/071104
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】