説明

移動体の管理方法及び管理システム

【課題】管理ポイントの物理的な位置と論理的な位置を対応付けて管理を行うことを目的とする。
【解決手段】移動体に取り付けられた識別情報を取得して、所定の領域内を移動する前記移動体の位置を管理する管理方法であって、所定の論理的な位置に設置された第1の端末が移動体に取り付けられた識別情報を検出し、第2の端末が前記移動体の物理的な位置情報と前記移動体の識別情報を取得し、前記第1の端末と第2の端末に接続された管理計算機が、前記第1の端末から前記識別情報を取得し、前記第2の端末から前記物理的な位置情報と識別情報を取得し、前記管理計算機が、前記第1の端末から取得した識別情報と、前記第2の端末から取得した前記識別情報が同一の移動体を指し示すか否かを判定して同一の移動体を指し示すと判定したときに、前記第1の端末の物理的な位置を、前記第2の端末が取得した前記移動体の物理的な位置であると推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の領域内を移動する物体や人の物理的位置情報および論理的位置情報の追跡方法に関する。その中でも特に、物体や人の追跡情報を収集するための管理システムや、物体に対して様々な処理作業を施すことによって製品を生産する生産システムや、流通過程での物品の流通追跡情報を管理する物流管理システムにおける追跡方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生産管理システムや物流管理システムにおいて、製品や部品等の物体の動態や状態履歴などの情報を収集し蓄積するためには、生産過程や物流過程の様々な位置あるいは工程において物体に個別に関連付けられた動態情報や状態情報を取得する必要がある。そのために、個々の物体の識別情報が取得できることが必要であり、バーコードや電子タグなどにより物体の固体識別が実現されている。
【0003】
このようなシステムにより、製造フロア内の各工程など特定の管理ポイントにおいて、設置されたバーコードや電子タグの読取装置によって製品等の物や人の識別情報が読み取られ、各管理ポイントの通過情報として取得され、この通過情報から物や人の動態情報が生成される。これらにおける管理ポイントは、製造フロアの設計段階などにおいてあらかじめ設定されるものであり、あるいは、元々の製造フロアにおける各工程の配置などを考慮して、読取装置を設置することで設定される。ここで各管理ポイントに対応するのは、工程や製品の置き場、搬送経路などの特定のポイントであり、生産活動の流れの中で定義される概念上、論理上の位置(ポイント)である。この論理上の位置は、例えば、工程の入口、加工工程、工程の出口などを示す。
【0004】
これらの管理ポイントは、装置の設置を伴うことから、物理的な位置としての意味も持つ。一般にこれらの管理ポイントは、工程などの製造フロア上の特定の位置と対応することから、製造フロア上の物理的位置と対応付けられて、各工程等の配置と同様、製造フロアの設計段階であらかじめ設定される。あるいは、元々存在する製造フロアに後付けされる形で、各工程などの製造フロア上の位置と対応付けられて、事前に設定され配置される。事前に管理ポイントの配置が決定されているのであれば、管理ポイントでの物体の認識によって物体の位置を検出することが可能であり、例えば特許文献1などのように様々な位置情報取得方法が提案されている。
【0005】
一方、人や物の物理的な位置を検出する技術も、赤外線タグを用いる方法や無線LANなどの無線通信波を利用する方法など様々に存在し実用化されている。このような物理的な位置検出については、ユーザが携行する端末と管理区域内に設置された標識との間での通信によって位置検出や道案内を行う方法(特許文献2等)や、物と場所にICタグを添付しておいて作業者によってそれらICタグの読み取りと紐付けが行われる方法(特許文献3等)、倉庫の出入り口など特定のエリアの入出のみを検知して管理する方法(特許文献4等)、管理区域の床面にRFID(Radio Frequency IDentification)の読み取り用のアンテナを敷き詰めておき、どのアンテナでRFIDを読み取ったかで位置を検出する方法(特許文献5等)などが提案されている。
【0006】
また、このような物理的な位置検出による物や人の管理については、特定の瞬間の物体の配置を検知してその空間での配置を生成する方法(特許文献6等)や、物体の位置を検出してそれを画面表示などのユーザインターフェースに反映すること(特許文献7)などが提案されている。
【特許文献1】特開2006−27745号公報
【特許文献2】特開平2006−250792号公報
【特許文献3】特開2005−314886号公報
【特許文献4】特開2004−345784号公報
【特許文献5】特表2007−505293号公報
【特許文献6】特開2004−323135号公報
【特許文献7】特開2004−196553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、製造過程における物や人の管理をする上では、物や人の位置の動態を管理する必要があり、そのために前述の理論上の位置と物理的な位置を対応付けて管理する必要がある。
【0008】
前述のように、製造過程における物や人の管理をする上では物や人の位置の動態を管理する必要があり、本発明によって解決しようとする課題とは、そのために前述の理論上の位置と物理的な位置を対応付けての管理を自動的に行うことである。そのための具体的な課題とは以下のようなものがある。
【0009】
物品や人を、理論上の位置と物理的な位置を対応付けて管理する際に、製造フロアの設計図と管理ポイントの対応関係から管理を実施する場合では、事前に製造フロアが詳細に定義され、かつ、図面化されている必要があるだけでなく、物や人の製造フロア上での流れがある程度規定されている必要がある。そのため、変種変量生産の場合など、頻繁に製造フロアのレイアウトが変更される場合や、いわゆるセル生産型製造の場合など製造フロアのレイアウト自体は変更されないが、物や人の経由する工程などの位置が物や人ごとに異なる場合では、論理上の位置と物理的な位置の対応付けを行うことが困難であった。
【0010】
また、上記従来のシステムでは。管理ポイントでのみの物や人の検知であったため、基本的に管理ポイントから管理ポイントまで直線的に移動しているものと仮定して管理されていることが多く、実際の管理ポイントから管理ポイントまでのそれらの移動経路については考慮されていなかった。そのため、管理ポイント間での物や人の動きについての、余分な動きがどのくらいあるか、経路のボトルネックが存在するか、などを検証する情報は取得されていなかった。
【0011】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、製造フロアの構成が頻繁に変化する場合や、製造フロア内の管理ポイントの物理的な位置を事前に定義できない場合であっても、管理ポイントの物理的な位置と論理的な位置を対応付けて管理を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、移動体に取り付けられた識別情報を取得して、所定の領域内を移動する前記移動体の位置を管理する管理方法であって、前記所定の領域内で予め設定された論理的な位置に設置された第1の端末が前記移動体に取り付けられた識別情報を検出するステップと、前記所定の領域内に設置された第2の端末が前記移動体の物理的な位置情報と、前記移動体に取り付けられた識別情報を取得するステップと、前記第1の端末と第2の端末に接続された管理計算機が、前記第1の端末から前記識別情報を取得し、前記第2の端末から前記物理的な位置情報と識別情報を取得するステップと、前記管理計算機が、前記第1の端末から取得した識別情報と、前記第2の端末から取得した前記識別情報が同一の移動体を指し示すか否かを判定するステップと、前記第1の端末の識別情報と第2の端末の識別情報が同一の移動体を指し示すと判定されたときに、前記第1の端末の物理的な位置が、前記第2の端末が取得した前記移動体の物理的な位置であると推定するステップと、を含む。
【0013】
また、前記領域内には前記第1の端末が複数設置され、前記第2の端末が移動体の物理的な位置情報と、前記移動体に取り付けられた識別情報を取得するステップは、所定の周期で第2の端末が、前記移動体の物理的な位置情報と、前記移動体に取り付けられた識別情報を取得し、前記管理計算機が、前記第2の端末から取得した移動体の物理的な位置情報を前記識別情報に対応付けて蓄積するステップと、前記管理計算機が、前記蓄積した物理的な位置の履歴から、前記複数の第1の端末の間の移動体の経路を取得するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0014】
したがって、本発明は、移動体が移動する所定の領域内の構成が頻繁に変化する場合や、領域内での第1の端末の物理的な位置を事前に定義できない場合であっても、第1の端末の物理的な位置と論理的な位置を対応付けて管理することができる。また、個々の移動体の移動経路を、第1の端末と関係付けて管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、第1の実施形態を示し、本発明を適用した物流管理システムの概要を示すブロック図である。
【0017】
図1は、物品101に加工を施す生産設備を備えたフロア(以下、生産フロア)の一部を示し、この生産フロアには物品101の位置を追跡する管理領域を備え、フロア内を移動する移動体としての物品101の流通過程を管理する。生産フロア内の管理領域内には、物品101の論理的な位置を検出する現場端末102を備えた管理ポイント106が配置される。なお、本実施形態では物品101の生産過程を追跡するので、論理的な位置は生産工程上の位置を示し、生産工程上の位置とは、ある工程の入口や出口またはある加工工程の加工位置などを示す。管理領域内には、少なくとも一つの管理ポイント106が設置されて、物品101の論理的な位置を監視する。
【0018】
管理ポイント106に配備された現場端末102は、物品101に予め添付したRFID(以下、電子タグ)110と通信を行って物品101のID(識別情報)を取得するRFIDリーダを含む。なお、現場端末102は、物品101が管理ポイント106に近接したときに物品101のIDを取得できればよいので、電子タグ110の他にバーコードなどを用いることができる。つまり、現場端末102は、物品101が管理ポイント106に入ったときのみ認識でき、物品101が管理ポイント106にないときには認識で着ないのが望ましい。このため、現場端末102から数センチまで近接したときに初めて認識可能な電子タグ110等を用いるのが望ましい。
【0019】
また、管理ポイント106では、周囲の設備と連動して所定の処理を物品101に施してやっても良い。また、管理ポイント106における物品101の認識において、バーコードや電子タグ等の個体認識手段を用いず、現場端末102を通過した順番等と関係付けて管理されるトラッキング情報を用いても良い。
【0020】
現場端末102は、時計を有し、物品101の電子タグ110を認識すると、物品101の識別情報と、現場端末102自身の識別情報と、認識した時刻などを含むトレース情報103を生成し、これをネットワーク111からデータ管理サーバ104に送信する。
【0021】
データ管理サーバ104は、受け取ったトレース情報103を、データベース105に蓄積する。
【0022】
管理領域内を流通する物品101は、各製造工程や部材置き場などの管理ポイント106に設置された現場端末102によって、電子タグ等を読み取られることによって予め設定された識別情報が検出されて個体が認識され、各管理ポイントに到着したこと、あるいは通過したことが日時情報(日付時刻情報)とともに、データ管理サーバ104を介してデータベース105に記録される。
【0023】
物品101には、赤外線や無線電波を利用して位置測定を行うことのできる位置センサタグ107が添付されており、定期的に、あるいは外部から契機を与えることによって、自身の識別情報を無線通信で発信し、発信された情報を無線で受け取るレシーバ端末108を管理領域内に1つ以上設置しておき、個々の物品101の位置センサタグ107の物理的な位置情報を取得する。こうして位置センサタグ107およびレシーバ端末108によって取得された位置情報と識別情報に、日時情報が付加された位置トレース情報109を生成し、データベース105に記録される。なお、レシーバ端末108は、位置センサタグ107と管理領域内で通信可能である。物品101の管理領域内の物理的な位置を特定するセンサタグ107は、無線通信部と識別情報格納部を備えたパッシブ型またはアクティブ型のいずれかで構成される。パッシブ型の位置センサタグ107は、例えば、少なくとも3つ以上のレシーバ端末108で位置センサタグ107と通信を行って、位置センサタグ107の電波の強度を測定し、既知のレシーバ端末108の位置から位置センサタグ107を備えた物品101の位置を測定するものである。このパッシブ型の場合では、複数のレシーバ端末108が予め設定された物理的な位置に設置される。アクティブ型は、位置センサタグ107がGPS受信機と地球上の位置を測定する測定部とを備え、GPS衛星から受信した信号から位置センサタグ107の位置を特定し、位置センサタグ107が自己の位置と識別情報をレシーバ端末108へ送信する。位置センサタグ107がアクティブ型の場合には、管理領域内に少なくとも一つのレシーバ端末108があればよい。なお、以下の説明では、位置センサタグ107がパッシブ型の例を示し、複数(3つ以上)のレシーバ端末108が位置センサタグ107から識別情報212を受信し、位置センサタグ107からの電波の強度から位置センサタグ107の位置、すなわち、物品101の物理的な位置を特定する。なお、以下では、位置センサタグ107の位置の測定を所定のレシーバ端末108で行う例について説明するが、データ管理サーバ104などで位置センサタグ107の位置の測定を行うようにしても良い。
【0024】
以上によってデータベース105には、物品101の管理ポイントの到達・通過情報(トレース情報)と、同じく物品101の物理的な位置情報(位置トレース情報109)およびその履歴(すなわち経路情報)が蓄積される。データ管理サーバ104は、同一の物品101を表す識別情報同士であること、および、同一の日時における情報であることに基づいて、管理ポイント106の到達・通過情報と位置情報の対応付けを行うことで、各管理ポイントと物理的な位置情報を対応付ける。
【0025】
また、データ管理サーバ104は、日時情報と上記で対応付けた管理ポイント106と物理的な位置の対応付けを利用して、管理ポイント106間の経路情報や、管理ポイント間での移動に要した移動距離や時間との対応付けを行う。
【0026】
図2は、図1に示した物流管理システムの詳細を示すブロック図である。
【0027】
図2において、物品101には現場端末102で識別情報(個体識別情報)1101を提供する電子タグ110と、管理領域内で物理的な位置をレシーバ端末108へ通知する位置センサタグ107が予め取り付けられる。電子タグ110は、識別情報1101を格納したROM(図示省略)と無線通信部(図示省略)を備えて、現場端末102によって識別情報1101が読み取られる。
【0028】
位置センサタグ107は、識別情報(個体識別情報)212を格納するROM(図示省略)と、GPS衛星から受信した情報に基づいて物理的な位置情報を測定する位置測定部(図示省略)と、測定した位置情報をレシーバ端末108へ送信する無線通信部(図示省略)と、これらの無線通信部と位置測定部及びROMを制御するプロセッサ(図示省略)を備える。
【0029】
現場端末102は、物品101が現場端末102から所定の距離以内にあるときに無線通信によって電子タグ110の識別情報1101を読み込む識別情報取得部217と、日時を通知する時計203と、データやプログラムを格納するメモリ1030と、ネットワーク111を介してデータ管理サーバ104と通信を行う通信部(図示省略)と、メモリ1030のプログラムを実行するプロセッサ1020を備える。
【0030】
メモリ1030には、識別情報取得部217が読み込んだ電子タグ110の識別情報1101をメモリ1030へ格納し、識別情報1101を読み込んだ日時情報213を時計203から取得して、識別情報1101に日時情報213と現場端末102に予め設定された現場端末識別情報211を加えたものを物品101の論理的な位置情報を示すトレース情報103として生成するトレース情報生成処理218と、トレース情報103をデータ管理サーバ104へ送信するトレース情報送信処理219が格納され、プロセッサ1020で実行される。なお、トレース情報送信処理219は、トレース情報103が生成されるとリアルタイムで送信する。
【0031】
レシーバ端末108は、位置センサタグ107と所定の周期(数秒または数分)で通信を行って、位置センサタグ107の識別情報212を取得する識別情報取得部220と、識別情報212の位置センサタグ107の受信強度を測定し、後述するように位置情報を測定する位置情報取得部220と、日時を通知する時計209と、データやプログラムを格納するメモリ2030と、ネットワーク111を介してデータ管理サーバ104と通信を行う通信部(図示省略)と、メモリ2030のプログラムを実行するプロセッサ2020を備える。
【0032】
メモリ2030には、識別情報取得部220が読み込んだ位置センサタグ107の識別情報212と位置情報取得部221読み込んだ位置情報をメモリ2030へ格納し、識別情報212及び位置情報を読み込んだ日時情報215を時計209から取得して、識別情報212に位置情報と日時情報215を加えたものを物品101の物理的な位置情報を示す位置トレース情報109として生成する位置トレース情報生成処理部222と、位置トレース情報109をデータ管理サーバ104へ送信する位置トレース情報送信処理部223が格納され、プロセッサ2020で実行される。なお、位置トレース情報送信処理部223は、上記所定の周期で位置トレース情報109をデータ管理サーバ104へ送信する。
【0033】
データ管理サーバ104は、演算処理を行うプロセッサ1120と、プログラムやデータを格納するメモリ1130と、ネットワーク111と通信を行う通信部(図示省略)を備える。
【0034】
メモリ1130には現場端末102トレース情報103を受信するトレース情報受信処理部1044と、レシーバ端末108から位置トレース情報109を受信する位置トレース情報受信処理部1043と、受信したトレース情報103と位置トレース情報109をデータベース105へ格納するデータ保存処理部1042と、データベース105へ格納したトレース情報103と位置トレース情報109の関連付けを行って、位置関連付け情報1050を生成する位置関連付け処理部1041と、現場端末102の設置状態に関する情報として、管理領域の物理的な配置と論理的な配置を示すレイアウト情報216とを格納する。
【0035】
データベース105は、ストレージ装置のデータ蓄積領域にトレース情報103と位置トレース情報109及び位置関連付け情報1050を格納し、データ管理サーバ104からの要求に応じてこれらのデータに対して読み書きを行う。
【0036】
図3は、本第1実施形態における現場端末102で行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0037】
現場端末102は、通信可能な所定の範囲に物品101が移動してくるのを待つ(ステップ301)。物品101が所定の範囲に入ると、現場端末102は電子タグ110と通信を行って、物品101の電子タグ110から識別情報1101を識別情報取得部217によって受信することで物品101を認識する(ステップ302)。
【0038】
次に、現場端末102は、電子タグ110の識別情報1101を取得した日時を時計203から取得し(ステップ303)、また、現場端末102は予め設定された現場端末の識別情報211を読み込む(ステップ304)。
【0039】
物品101の識別情報1101と、現場端末102の識別情報211と、電子タグ110の認識が行われた日時情報213を含むトレース情報103をトレース情報生成処理218によって生成する(ステップ305)。ここで生成されたトレース情報103の構成の例を図5に示す。図5において、現場端末識別情報211と電子タグ110の識別情報1101と、電子タグ110を認識した日時情報213の順でひとつのトレース情報103が構成される。
【0040】
現場端末102は現場端末識別情報211で工程などの論理的な位置情報と関連付けられて管理されており、現場端末102の識別情報211と論理的な位置情報との対応関係を保持する論理位置関連付け情報1060(論理的位置情報保持部)が、データ管理サーバ104(またはデータベース105あるいは現場端末102)において予め保持されている。この論理関連付け情報1060の構成例を図6に示す。図6において、現場端末識別情報211と論理的な位置情報(例えば、工程名あるいは工程内の処理名)の順で論理位置関連付け情報1060に格納される。
【0041】
また、トレース情報103には、システムの要件に応じて、現場端末102の位置情報、工程情報や実施された処理やその処理の担当者などの関連情報を含める場合もある。
【0042】
現場端末102は、トレース情報103が生成されると、トレース情報送信処理219によってこれをネットワーク111を介してデータ管理サーバ104に送信し(ステップ306)、トレース情報103を受け取ったデータ管理サーバ104は、受信したトレース情報103をデータベース105に保存する。
【0043】
図4は、本第1実施形態におけるレシーバ端末108で行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0044】
レシーバ端末108は、内部に時計209を持ち、位置センサタグ107から発信される情報を無線で受け取るレシーバ端末108を管理領域内に1つ以上設置しておく。位置センサタグ107は、予め設定された識別情報212を保持しており、予め設定された周期で識別情報212を発信し、発信された識別情報212を複数のレシーバ端末108が識別情報取得部220によって受け取ることで、位置情報取得部221により複数の位置センサタグ107の物理的な位置情報をそれぞれ測定する。
【0045】
図4において、レシーバ端末108は、位置センサタグ107から識別情報212を受信し(ステップ401)、受信した識別情報212の受信強度を他のレシーバ端末108に問い合わせて、複数の受信強度を取得する。管理領域内の各レシーバ端末108の物理的な位置情報(座標)は予め設定したものであり、既知の座標と各レシーバ端末108の受信強度から公知または周知の手法により位置センサタグ107の物理的な位置を特定し、位置情報を生成する(ステップ402)。
【0046】
位置センサタグ107の位置情報を測定したレシーバ端末108は、時計209から取得した日時情報215を取得し(ステップ403)、位置情報と識別情報212及び日時情報215を含む位置トレース情報109を位置トレース情報生成処理部222により生成する(ステップ404)。そして、レシーバ端末108はデータ管理サーバ104へ位置トレース情報109を送信してデータベース105に記録する(ステップ405)。レシーバ端末108で生成された位置トレース情報109の構成の例を図7に示す。図7において、物品識別情報には位置センサタグ107の識別情報212が格納され、物理的位置情報にはレシーバ端末108の位置情報取得部221が測定した位置センサタグ107の座標が格納され、検出時刻には位置情報を測定した時刻が格納される。
【0047】
レシーバ端末108は、位置トレース情報109が生成されると、位置トレース情報送信処理部223によってこれをネットワークを介してデータ管理サーバ104に送信し、これを受け取ったデータ管理サーバ104は、受け取った位置トレース情報109をデータベース105に保存する。
【0048】
図9は、本第1実施形態においてデータ管理サーバ104で行われるトレース情報103と位置トレース情報109の関連付けの処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、所定の周期(例えば、1時間毎など)で実行される。
【0049】
まず、データ管理サーバ104は、データベース105からトレース情報103と位置トレース情報109をそれぞれ読み込んで同一の物品101であるか否かを判定する(ステップ1201)。電子タグ110の識別情報1101と位置センサタグ107の識別情報212は、ひとつの物品101に対して同一の識別情報を割り当てるものとする。あるいは、同一の物品101に添付する電子タグ110の識別情報1101と、位置センサタグ107の識別情報212が異なる場合には、データベース105等に、物品101と識別情報1101と識別情報212の割り当てマップを予め設定しておくものとする。そして、データ管理サーバ104は、電子タグ110の識別情報1101が指し示す物品101と、位置センサタグ107の識別情報212が指し示す物品101が同一であるか否かを判定すればよい。
【0050】
トレース情報103の識別情報1101と位置センサタグ107の識別情報212が同一の物品101に関する識別情報である場合には、ステップ1203へ進み、これらの識別情報が同一の物品101ではない場合にはステップ1208へ進む(ステップ1202)。
【0051】
上記で取得された位置トレース情報109に含まれる日時情報215と、現場端末102によって取得されたトレース情報103に含まれる日時情報213とを照らし合わせて(ステップ1203、1204)、同一日時であればステップ1204へ進み、同一日時でなければステップ1206へ進む。
【0052】
同一日時の識別情報1101、212であるトレース情報103と位置トレース情報109のデータ同士を、同一物品101で、かつ同一地点(論理的位置)のデータと見なして対応付ける(ステップ1205)。この処理によって、論理的な位置情報を示すトレース情報103と物理的な位置情報を示す位置トレース情報109を関連付けて、物品101が予め設定された論理的位置(管理ポイント106)に到着または通過したことと、論理的位置の座標(物理的な位置情報)を把握することができる。
【0053】
一方、ステップ1204の判定で、完全に一致する日時情報が無い場合は、ある程度以上に近い日時情報の中から最も近い日時(時刻の差が所定の範囲内)のトレース情報103と位置トレース情報109同士をほぼ同一地点のデータと見なして対応付ける(ステップ1206、1207)。これにより、物理的な位置情報と、現場端末102が対応する工程やフロア上の位置等の管理上および論理上の位置情報の対応付けを行う。この対応付け情報の例を図8に示す。図8において、現場端末識別情報には、現場端末102の識別情報211が格納され、物理的位置情報には位置トレース情報109の位置センサタグ107の座標が格納され、論理的位置情報には現場端末識別情報の論理関連付け情報が格納され、関連付け時刻には日時情報213(または215)が格納される。なお、トレース情報103の日時情報213と位置トレース情報109の日時情報215が同一ではない場合には、何れか一方の日時情報を格納することができる。
【0054】
なお、トレース情報103の日時情報213と位置トレース情報109の日時情報215の差が所定値を超える場合には、同一地点とは判定せずにステップ1208に進み、再度ステップ1201以降の処理を繰り返す。そして、データベース105内の全てのトレース情報103について上記処理が完了した時点で処理を終了する。
【0055】
上記処理では、工程等の情報だけでなく、物品101と同様に電子タグ110等によって認識された作業者等の人や、そこで施された作業の内容や使用された設備の情報などを現場端末102を介して取得し、同様に対応付けても良い。
【0056】
上記の処理をデータベース105に蓄積されているひとつ以上の、あるいはすべてのトレース情報103に対して行うことにより、トレース情報103が取得された各現場端末102の物理的な設置位置を取得する。すなわち、現場端末102を備えた管理ポイント106の位置が頻繁に変更される管理領域では、レイアウト情報216の更新が遅れてしまう場合がある。そこで、現場端末102の位置を不定としておき、物品101の位置トレース情報109とトレース情報103の日時情報が同一のデータがあれば、物品101が管理ポイント106に位置することが保証され、位置トレース情報109の位置情報が現場端末102の位置を示すことになる。
【0057】
したがって、データ管理サーバ104は、日時情報が同一のトレース情報103と位置トレース情報109から、現場端末102の物理的な位置情報を現場端末102の設置位置情報として取得することができる。そして、データ管理サーバ104は、現場端末102の設置位置情報を、管理領域のレイアウトに対応付けることで、現場端末102の設置状態(設置位置)に関する情報としての管理領域のレイアウト情報216の生成などに利用できる。また、レイアウト情報216の生成等に利用するのであれば、工程配置などレイアウトの変更がある度など、物品101のいくつかにひとつだけ位置センサタグを付けて管理領域内を流通させ、トレース情報103と位置トレース情報109を収集してもよい。
【0058】
また、作業計画または処理計画上、あるいは実際の作業または処理上で前後の関係にあるトレース情報103について、それぞれのトレース情報103が取得された現場端末102の位置の間の距離を、それぞれに対応する位置トレース情報109の間の位置の履歴をデータベース105から取得して積算することにより、算出する。ここで算出された距離情報は、現場端末102が設置されている工程上の管理ポイント106間の移動に要した時間などを検証する場合などに利用できる。
【0059】
また、同様に、位置トレース情報109の間の位置の履歴から、それぞれの現場端末102の間で、物品101がどのような移動経路を辿ったかを導出することができる。ここで得られた移動経路の情報は、管理ポイント106間での物品101の移動において無駄な動きや異常な停滞の有無などを検証することなどに利用できる。
【0060】
また、上記第1実施形態では、移動体として物品101の位置を追跡する例を示したが、移動体を作業者とすることで管理対象を人とすることができ、人の位置および移動履歴や経路と、管理ポイントを関係付けることで、人が管理領域内でどのような行動を取ったかを管理しても良い。具体的には、作業者に電子タグ110と位置センサタグ107を装着し、どの工程でどのくらいの時間作業をしていたか、あるいはフロア内でどのように動き回っていたか、などの行動の履歴を管理することができる。
【0061】
また、上記第1実施形態で述べた方法による管理対象を人と物の両方として、人の位置および移動履歴・経路と物の位置および移動履歴・経路を照合することによって、人と物の関連付けを行ってもよい。具体的には、例えば、製品とその製品に対する処理を実施した作業者の関連付けや、製品とその運搬を行った作業者との関連付けなどがこれに相当する。
【0062】
以上のように、第1の実施形態によれば、現場端末102が検出する物品101の論理的位置への到着と、位置センサタグ107とレシーバ端末108が測定する物理的な位置情報から、物品101が管理領域内を移動する経路に沿って、論理的位置情報と物理的な位置情報を含む地図情報(レイアウト)情報を生成することが可能となる。これにより、物流管理システムのレイアウトを変更した後に、各工程のタクトタイムの検証やボトルネックの検証などを、正確な物理的な位置情報と論理的位置情報に基づいて高精度で実現できる。さらに、頻繁にレイアウトを変更するような物流管理システムでは、実際の装置の配置に基づいたレイアウト情報を容易に作成することが可能となる。
【0063】
<第2実施形態>
本発明の第2の実施形態として、図1、図2に示した前記第1実施形態と同様のシステムにおいて、位置センサタグ107が定期的に通信を発して位置情報を検出するのではなく、特定の契機によって位置情報を検出し、管理ポイント106と物理的位置および物や人の動きを対応付ける場合の例を説明する。
【0064】
本第2の実施形態におけるシステムの構成は、図1、図2と同様である。
【0065】
前記第1実施形態と同様に、物流管理システムによる管理対象領域内を物品101が流通しており、領域内に1つあるいは複数設置されている現場端末102は、内部に時計203を持ち、物品101に添付した電子タグ110を読み込んで物品101を個別に識別する。また、管理領域内のすべてのローカル端末現場端末102からアクセス可能なネットワーク111上に、データ管理サーバ104と、データベース105が配置されている。
【0066】
物品101を認識した現場端末102では、物品101の識別情報1101と、現場端末102の識別情報211と、認識が行われた日時情報213を含むトレース情報103を生成する。現場端末102は、トレース情報103が生成されると、これをネットワークを介してデータ管理サーバ104に送信し、これを受け取ったデータ管理サーバ104は、受け取ったトレース情報103をデータベース105に保存する。
このとき、現場端末102は物品101に添付されている電子タグに電子タグ内データを取得するために電磁波を放出するが、同時に、物品101に添付されている位置センサタグ107に対して、識別情報212を発信することを促す通信を発する。
現場端末102からの発信を受けた位置センサタグ107は、自身の識別情報212を発信する。こうして位置センサタグ107から発信された情報は、ひとつ以上のレシーバ端末108によって受信され、位置情報が測定される。
【0067】
このとき、レシーバ端末108が、直接的に、あるいはネットワーク111を介して現場端末102に接続されていれば、位置センサタグ107に対する通信を発した直後に生成した位置トレース情報109を、現場端末102によって物品101が認識された瞬間の物品101の位置トレース情報109であるとして処理し、位置トレース情報109に含まれる位置情報を、現場端末102および現場端末102を含む管理ポイント106の位置情報として対応付ける。
【0068】
これにより、日時情報同士の一致または近さを照会せずに、確実に管理ポイント106と物理的な位置情報の関係付けを行う。また、位置センサタグ107による情報発信を最小限度にすることができ、位置センサタグ107が電池内臓型のアクティブタグであった場合に、その電池の消耗を抑制することができる。
【0069】
<第3実施形態>
本発明の第3の実施形態を、物品の流通を管理する物流管理システムを例に説明する。本実施形態におけるシステムの構成図を図10に示す。
【0070】
本第3実施形態は、前記第1実施形態の図1,図2に述べた物流管理システムにおいて、物品への電子タグ110やバーコードの添付が行えない場合や、現場端末102が充分な数を設置できない場合や、現場端末102による物品101の個体認識を行わない場合の例である。
【0071】
前記第1実施形態と同様に、物流管理システムによる管理対象領域内を物品101が流通しており、各工程などの管理ポイント106において、様々な処理を行う。なお、図10において、前記第1実施形態の図2に示した現場端末102を削除したものが本第3実施形態となる。
【0072】
また、物品101には、前記第1実施形態と同様に、赤外線や無線電波を利用して物理的な位置測定を行うことのできる位置センサタグ107を添付する。また、レシーバ端末108は内部に時計209を持ち、この位置センサタグ107から発信される位置トレース情報109を無線で受け取るレシーバ端末108を管理領域内に1つ以上設置しておく。
【0073】
位置センサタグ107は、前記第1実施形態と同様に、予め設定された自身の識別情報212を保持し、予め設定しておいた周期でこの識別情報212を発信し、発信された情報をレシーバ端末108が受け取ることで、個々の位置センサタグ107の物理的な位置情報を測定する。位置センサタグ107の位置情報を測定したレシーバ端末108は、時計209から取得した日時情報215と、この位置情報と識別情報212を含む位置トレース情報109を生成して、データ管理サーバ104に転送してデータベース105に記録する。ここで生成された位置トレース情報109の構成の例を図11に示す。図11において、物品識別情報には位置センサタグ107の識別情報212が格納され、物理的位置情報には位置センサタグ107の座標が格納され、検出時刻には物理的な位置情報の測定が完了した日時が格納される。
【0074】
一方、データ管理サーバ104(またはデータベース105)には管理領域内のレイアウト情報216が保持されており、工程等の論理的な意味を持つ管理ポイント106の物理的な位置が記されている。
【0075】
データ管理サーバ104は、物品101の移動によって取得された位置トレース情報109の履歴と、レイアウト情報216を照合することによって、物品101が経由した管理ポイント106および経由した日時を割り出す。そして、物品101が経由した工程等の論理上の位置情報を対応付けて、トレース情報103を生成する。このトレース情報103の構成例を図12に示す。このトレース情報103は、前記第1実施形態でのトレース情報103と同様の意味を持つものであり、物品101の、工程等の管理ポイントの到達または通過履歴である。図12において、論理的位置情報には前記第1実施形態の論理関連付け情報の論理的位置情報が格納され、物品識別情報には位置センサタグ107の識別情報212が格納され、通過時刻には位置トレース情報109の日時情報215が格納される。
【0076】
以上により、本第3実施形態によれば、管理ポイント106に物品101の個体識別装置が無くても、物品101のトレース情報を生成することが可能となる。
また、ここで述べた方法による管理対象を人とすることによって、人が管理ポイント106に居たことの履歴情報を生成することが可能となる。これによって、人の特定の場所に対する入退場管理や、工程等での作業履歴情報を、個々人の識別手段を用いずに実施することが可能となる。
【0077】
以上のように、第3の実施形態によれば、現場端末102を用いることなく、位置センサタグ107とレシーバ端末108が測定する物理的な位置情報と、論理的位置情報と物理的な位置情報を含む地図情報(レイアウト)情報から、生産または流通工程での論理的位置である管理ポイント106の物理的な位置情報を推定することが可能となる。
【0078】
なお、上記各実施形態では、物流管理システムに本発明を適用した例を示したが、生産管理システムなど移動体の経路を追跡するシステムに適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上のように、本発明は、物品や人の移動を伴う物流管理システムや生産管理システムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】第1の実施形態を示し、本発明を適用する物流管理システムの概要を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態を示し、物流管理システムの詳細な構成を示すブロック図。
【図3】第1の実施形態を示し、現場端末で実行される処理の一例を示すフローチャート。
【図4】第1の実施形態を示し、レシーバ端末で実行される処理の一例を示すフローチャート。
【図5】第1の実施形態を示し、現場端末からデータ管理サーバに送信されるトレース情報を示す構成図。
【図6】第1の実施形態を示し、現場端末と論理的位置情報の関連付けデータの構成図。
【図7】レシーバ端末からデータ管理サーバに送信される位置トレース情報を示す構成図。
【図8】第1の実施形態を示し、論理的位置と物理的位置を関連付けた位置関連付け情報の構成図。
【図9】第1の実施形態を示し、データ管理サーバで行われるトレース情報と位置トレース情報の関連付けの処理の一例を示すフローチャート。
【図10】第3の実施形態を示し、物流管理システムの詳細な構成を示すブロック図。
【図11】第3の実施形態を示し、レシーバ端末からデータ管理サーバに送信される位置トレース情報の構成図。
【図12】第3の実施形態を示し、論理的位置と物理的位置を関連付けた位置関連付け情報の構成図。
【符号の説明】
【0081】
101 物品
102 現場端末
103 トレース情報
104 データ管理サーバ
105 データベース
106 管理ポイント
107 位置センサタグ
108 レシーバ端末
109 位置トレース情報
110 電子タグ
111 ネットワーク
221 位置情報取得部
1041 位置情報関連付け処理部
1101、211、212 識別情報
1050 位置関連付け情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に取り付けられた識別情報を取得して、所定の領域内を移動する前記移動体の位置を管理する管理方法であって、
前記所定の領域内で予め設定された論理的な位置に設置された第1の端末が前記移動体に取り付けられた識別情報を検出するステップと、
前記所定の領域内に設置された第2の端末が前記移動体の物理的な位置情報と、前記移動体に取り付けられた識別情報を取得するステップと、
前記第1の端末と第2の端末に接続された管理計算機が、前記第1の端末から前記識別情報を取得し、前記第2の端末から前記物理的な位置情報と識別情報を取得するステップと、
前記管理計算機が、前記第1の端末から取得した識別情報と、前記第2の端末から取得した前記識別情報が同一の移動体を指し示すか否かを判定するステップと、
前記第1の端末の識別情報と第2の端末の識別情報が同一の移動体を指し示すと判定されたときに、前記第1の端末の物理的な位置が、前記第2の端末が取得した前記移動体の物理的な位置であると推定するステップと、
を含むことを特徴とする移動体の管理方法。
【請求項2】
前記第1の端末が前記移動体に取り付けられた識別情報を検出するステップは、
前記識別情報を検出したときの第1の時刻情報を取得して、前記識別情報に第1の時刻情報を加えた情報を前記管理計算機へ送信し、
前記第2の端末が移動体の物理的な位置情報と、前記移動体に取り付けられた識別情報を取得するステップは、
前記移動体の物理的な位置情報を取得したときの第2の時刻情報を取得して、前記物理的な位置情報と前記識別情報に第2の時刻情報を加えた情報を前記管理計算機へ送信し、
前記管理計算機が、前記第1の端末から取得した識別情報と、前記第2の端末から取得した前記識別情報が同一の移動体を指し示すか否かを判定するステップは、
前記第1の端末の識別情報と第2の端末の識別情報が同一の移動体を指し示し、かつ、前記第1の時刻情報と第2の時刻情報が所定の範囲内にあるときに、前記第1の端末の物理的な位置が、前記第2の端末が取得した前記移動体の物理的な位置であると推定することを特徴とする請求項1に記載の移動体の管理方法。
【請求項3】
前記第1の端末が前記移動体に取り付けられた識別情報を検出するステップは、
前記検出した識別情報を前記管理計算機へ送信し、
前記第2の端末が移動体の物理的な位置情報を取得し、前記移動体に取り付けられた識別情報を取得するステップは、
前記第1の端末から識別情報を受信した前記管理計算機が、前記第2の端末に対して前記移動体の物理的な位置情報と識別情報を取得する指令を発行し、第2の端末は、前記指令に基づいて前記移動体の物理的な位置情報と識別情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の移動体の管理方法。
【請求項4】
前記領域内には前記第1の端末が複数設置され、
前記第2の端末が移動体の物理的な位置情報と、前記移動体に取り付けられた識別情報を取得するステップは、
所定の周期で第2の端末が、前記移動体の物理的な位置情報と、前記移動体に取り付けられた識別情報を取得し、
前記管理計算機が、前記第2の端末から取得した移動体の物理的な位置情報を前記識別情報に対応付けて蓄積するステップと、
前記管理計算機が、前記蓄積した物理的な位置の履歴から、前記複数の第1の端末の間で移動体が移動した距離を取得するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の移動体の管理方法。
【請求項5】
前記領域内には前記第1の端末が複数設置され、
前記第2の端末が移動体の物理的な位置情報と、前記移動体に取り付けられた識別情報を取得するステップは、
所定の周期で第2の端末が、前記移動体の物理的な位置情報と、前記移動体に取り付けられた識別情報を取得し、
前記管理計算機が、前記第2の端末から取得した移動体の物理的な位置情報を前記識別情報に対応付けて蓄積するステップと、
前記管理計算機が、前記蓄積した物理的な位置の履歴から、前記複数の第1の端末の間の移動体の経路を取得するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の移動体の管理方法。
【請求項6】
前記第1の端末が前記移動体に取り付けられた識別情報を検出するステップは、
前記第1の端末が、前記移動体に取り付けられた電子タグまたはバーコードから前記識別情報を検出することを特徴とする請求項1に記載の移動体の管理方法。
【請求項7】
前記移動体は、無線通信によって複数の第2の端末と通信を行う通信部を備え、
前記第2の端末が前記移動体の物理的な位置情報と、前記移動体に取り付けられた識別情報を取得するステップは、
前記複数の第2の端末が前記移動体の通信部と通信を行って、移動体の物理的な位置情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の移動体の管理方法。
【請求項8】
前記管理計算機は、
前記第1の端末の識別情報に対応する論理的な位置情報を保持する論理的位置情報保持部をさらに有し、
前記管理計算機が、前記第1の端末から取得した識別情報と、前記第2の端末から取得した前記識別情報が同一の移動体を指し示すか否かを判定するステップは、
前記推定された第1の端末の物理的な位置と、前記論理的な位置情報を対応付けて関連付け情報として保持することを特徴とする請求項1に記載の移動体の管理方法。
【請求項9】
移動体に取り付けられた識別情報を取得して、所定の領域内を移動する前記移動体の位置を管理する移動体の管理システムであって、
前記所定の領域内で予め設定された論理的な位置に設置されて、前記移動体に取り付けられた識別情報を検出する第1の端末と、
前記所定の領域内に設置されて、前記移動体の物理的な位置情報と、前記移動体に取り付けられた識別情報を取得する第2の端末と、
前記第1の端末と第2の端末に接続された管理計算機と、を備え、
前記管理計算機は、
前記第1の端末から前記識別情報を取得する第1の受信部と、
前記第2の端末から前記物理的な位置情報と識別情報を取得する第2の受信部と、
前記第1の端末から取得した識別情報と、前記第2の端末から取得した前記識別情報が同一の移動体を指し示すか否かを判定し、前記第1の端末の識別情報と第2の端末の識別情報が同一の移動体を指し示すと判定されたときに、前記第1の端末の物理的な位置を、前記第2の端末が取得した前記移動体の物理的な位置情報であると推定する位置情報関連付け部と、
を有することを特徴とする移動体の管理システム。
【請求項10】
前記第1の端末は、前記識別情報を検出したときの第1の時刻情報を取得して、前記識別情報に第1の時刻情報を加えた情報を前記管理計算機へ送信し、
前記第2の端末は、前記移動体の物理的な位置情報を取得したときの第2の時刻情報を取得して、前記物理的な位置情報と前記識別情報に第2の時刻情報を加えた情報を前記管理計算機へ送信し、
前記管理計算機の位置情報関連付け部は、
前記第1の端末の識別情報と第2の端末の識別情報が同一の移動体を指し示し、かつ、前記第1の時刻情報と第2の時刻情報が所定の範囲内にあるときに、前記第1の端末の物理的な位置が、前記第2の端末が取得した前記移動体の物理的な位置であると推定することを特徴とする請求項9に記載の移動体の管理システム。
【請求項11】
前記第1の端末は、前記移動体に取り付けられた識別情報を検出すると、当該識別情報を前記管理計算機へ送信し、
前記管理計算機は、
前記第1の受信部が前記第1の端末から前記識別情報を受信すると、前記第2の端末に対して前記移動体の物理的な位置情報と識別情報を取得する指令を発行し、前記第2の端末は、前記指令に基づいて前記移動体の物理的な位置情報と識別情報を取得することを特徴とする請求項9に記載の移動体の管理システム。
【請求項12】
前記領域内には前記第1の端末が複数設置され、
前記第2の端末は、所定の周期で前記移動体の物理的な位置情報と、前記移動体に取り付けられた識別情報を取得して管理計算機へ送信し、
前記管理計算機は、
前記第2の端末から取得した移動体の物理的な位置情報を前記識別情報に対応付けて蓄積し、前記蓄積した物理的な位置情報の履歴から、前記複数の第1の端末の間で移動体が移動した距離を取得することを特徴とする請求項9に記載の移動体の管理システム。
【請求項13】
前記領域内には前記第1の端末が複数設置され、
前記第2の端末は、所定の周期で前記移動体の物理的な位置情報と、前記移動体に取り付けられた識別情報を取得して管理計算機へ送信し、
前記管理計算機は、
前記第2の端末から取得した移動体の物理的な位置情報を前記識別情報に対応付けて蓄積し、前記蓄積した物理的な位置情報の履歴から、前記複数の第1の端末の間の移動体の経路を取得することを特徴とする請求項9に記載の移動体の管理システム。
【請求項14】
前記第1の端末は、前記移動体に取り付けられた電子タグまたはバーコードから前記識別情報を検出することを特徴とする請求項9に記載の移動体の管理システム。
【請求項15】
前記移動体は、無線通信によって複数の第2の端末と通信を行う通信部を備え、
前記複数の第2の端末が前記移動体の通信部と通信を行って、移動体の物理的な位置情報を取得することを特徴とする請求項9に記載の移動体の管理システム。
【請求項16】
前記管理計算機は、
前記第1の端末の識別情報に対応する論理的な位置情報を保持する論理的位置情報保持部をさらに有し、
前記位置情報関連付け部は、
前記推定された第1の端末の物理的な位置と、前記論理的な位置情報を対応付けて関連付け情報として前記データベースへ格納することを特徴とする請求項9に記載の移動体の管理システム。
【請求項17】
移動体に取り付けられた識別情報を取得して、所定の領域内を移動する前記移動体の位置を管理する移動体の管理システムであって、
前記所定の領域内で予め設定された論理的な位置に設置されて、前記移動体に取り付けられた識別情報を検出する第1の端末と、
前記所定の領域内に設置されて、前記移動体の物理的な位置情報と、前記移動体に取り付けられた識別情報を取得する第2の端末と、
前記第1の端末と第2の端末に接続されて、前記第1の端末と前記第2の端末から取得した情報をデータベースに格納し、移動体の位置を管理する管理計算機と、を備え、
前記管理計算機は、
前記第1の端末から前記識別情報を取得する第1の受信部と、
前記第2の端末から前記物理的な位置情報と識別情報を取得する第2の受信部と、
前記第1の端末から受信した識別情報と、前記第1の端末から受信した物理的な位置情報と識別情報を前記データベースへ格納するデータ格納部と、
前記データベースへ格納した前記第1の端末の識別情報と、前記第2の端末の識別情報が同一の移動体を指し示すか否かを判定し、前記第1の端末の識別情報と第2の端末の識別情報が同一の移動体を指し示すと判定されたときに、前記第1の端末の物理的な位置を、前記第2の端末が取得した前記移動体の物理的な位置情報であると推定し、前記推定した第1の端末の物理的な位置を関連付け情報として前記データベースへ格納する位置情報関連付け部と、
を有することを特徴とする移動体の管理システム。
【請求項18】
前記第1の端末は、前記識別情報を検出したときの第1の時刻情報を取得して、前記識別情報に第1の時刻情報を加えた情報を前記管理計算機へ送信し、
前記第2の端末は、前記移動体の物理的な位置情報を取得したときの第2の時刻情報を取得して、前記物理的な位置情報と前記識別情報に第2の時刻情報を加えた情報を前記管理計算機へ送信し、
前記管理計算機の位置情報関連付け部は、
前記第1の端末の識別情報と第2の端末の識別情報が同一の移動体を指し示し、かつ、前記第1の時刻情報と第2の時刻情報が所定の範囲内にあるときに、前記第1の端末の物理的な位置が、前記第2の端末が取得した前記移動体の物理的な位置であると推定することを特徴とする請求項17に記載の移動体の管理システム。
【請求項19】
前記管理計算機は、
前記第1の端末の識別情報に対応する論理的な位置情報を保持する論理的位置情報保持部をさらに有し、
前記位置情報関連付け部は、
前記推定された第1の端末の物理的な位置と、前記論理的な位置情報を対応付けて関連付け情報として前記データベースへ格納することを特徴とする請求項17に記載の移動体の管理システム。
【請求項20】
移動体に取り付けられた識別情報を取得して、所定の領域内を移動する前記移動体の位置を管理するプログラムであって、
前記所定の領域内で予め設定された論理的な位置に設置された第1の端末から前記移動体に取り付けられた識別情報を取得する手順と、
前記所定の領域内に設置された第2の端末から前記移動体の物理的な位置情報と、前記移動体に取り付けられた識別情報を取得する手順と、
前記第1の端末から取得した識別情報と、前記第2の端末から取得した前記識別情報が同一の移動体を指し示すか否かを判定する手順と、
前記第1の端末の識別情報と第2の端末の識別情報が同一の移動体を指し示すと判定されたときに、前記第1の端末の物理的な位置が、前記第2の端末が取得した前記移動体の物理的な位置であると推定する手順と、
を管理計算機に実行させることを特徴とする移動体の管理プログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−110108(P2009−110108A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279378(P2007−279378)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】