説明

移動体通信端末、及び移動体通信端末中継装置

【課題】移動体通信端末が使用禁止などの特定エリア内に位置しても、通話不能になる前に通話者同士は特定エリア内に入ったことを知ることが可能な移動体通信端末中継装置や移動体通信端末を提供する。
【解決手段】位置情報取得手段と、通信制御手段と、通信情報記憶手段とを備え、通信制御手段は、移動体通信端末と他の通話装置とが通話している間に、位置情報取得手段が移動体通信端末から通話禁止エリアにあることを示す位置情報を取得した場合、当該移動体通信端末の通信機能をオフ状態にする前に、当該移動体通信端末と前記他の通話装置とに、通話が中断されることを示す通話中断情報を送信するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信端末、及び移動体通信端末中継装置に関し、詳しくは、GPS機能を有する移動体通信端末と、前記GPS機能を用いて、携帯電話などの移動体通信端末同士間、あるいはかかる移動体通信端末と固定電話などの他の通話装置との通信を中継する移動体通信端末中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話などの移動体通信端末は、電波が届く範囲であればいかなる場所でも利用することができるため、電車内や病院など、その利用が好ましくない場所であっても憚りなく利用されることが多かった。
【0003】
そこで、GPS機能を用いることにより、移動体通信端末の存在位置を特定し、移動体通信端末の使用が禁止されている場所では、移動体通信端末のRF(Radio Frequency)部のみを停止して、通信機能を非稼動状態にするものが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2002−368869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のような構成とした場合、通話中に一方の通話者が通話禁止場所に移動すると突然通信が切れてしまい、通話不能状態になることが考えられ、通話先が通話禁止場所にいることは知るよしもない通話相手にとっては極めて不都合であり、また通話相手が通話禁止場所にいる場合に連絡が全くつかないことも不便である。
【0005】
本発明は、上記課題を解決することのできる移動体通信端末、及び移動体通信端末中継装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明では、無線により公衆電話網に接続可能であり、GPS機能部を有する複数の移動体通信端末間の通信を中継する移動体通信端末中継装置であって、前記各移動体通信端末のGPS機能部から発信された位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段により取得した位置情報が特定エリア外に位置することを示す第1の位置情報の場合は前記移動体通信端末の通信機能をオン状態とする一方、取得した位置情報が特定エリア内に位置することを示す第2の位置情報の場合は、前記移動体通信端末の通信機能をオフ状態にする制御を行う通信制御手段と、前記公衆電話網を介して前記特定エリア外にある他の移動体通信端末を含む他の通話装置から前記特定エリア内にある移動体通信端末へ通話要求があった場合、通話要求があったことを示す通話要求情報を、当該通話要求を発した発信元情報と通話要求先情報と共に記憶する通信情報記憶手段とを備え、前記通信制御手段は、前記移動体通信端末と他の通話装置とが通話している間に、前記位置情報取得手段が前記移動体通信端末から前記第2の位置情報を取得した場合、当該移動体通信端末の通信機能をオフ状態にする前に、当該移動体通信端末と前記他の通話装置とに、通話が中断されることを示す通話中断情報を送信することとした。
【0007】
(2)本発明は、上記(1)において、前記通信制御手段は、前記通話中断情報を前記移動体通信端末と前記他の通話装置とへ送信した後、前記位置情報取得手段が前記移動体通信端末から前記第1の位置情報を取得した場合、前記通信情報記憶手段に記憶された通話要求情報に基づいて、前記移動体通信端末の通信機能をオフ状態とする直前のオン状態にして、前記移動体通信端末と他の通話装置とが通話可能な状態に復帰させることを特徴とする。
【0008】
(3)本発明は、上記(1)において、前記通信制御手段は、前記通話中断情報を前記移動体通信端末と前記他の通話装置とへ送信した後、前記位置情報取得手段が前記移動体通信端末から前記第1の位置情報を取得した場合、前記通信情報記憶手段に記憶された通話要求情報に基づいて、前記移動体通信端末の通信機能をオフ状態とする直前のオン状態にするとともに、前記他の通話装置に対して、前記移動体通信端末との通話が可能な状態に復帰したことを示す通話可能情報を送信することを特徴とする。
【0009】
(4)本発明は、上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記通信制御手段は、前記特定エリア内にある移動体通信端末へ他の通話装置から通話要求があった場合、前記位置情報取得手段が、前記移動体通信端末から前記第1の位置情報を取得したことを条件に、当該移動体通信端末の通信機能をオン状態に復帰させるとともに、当該移動体通信端末に対して、前記通信情報記憶手段に記憶された発信元情報を含む通話要求情報を送信することを特徴とする。
【0010】
(5)本発明は、公衆電話網に無線接続して通信可能な通信部と、前記公衆電話網を介して他の通話装置から通話要求があった場合、通話要求があったことを示す通話要求情報と当該通話要求を発した発信元情報とを記憶する通信情報記憶部と、GPS機能を有し、自身の位置情報を取得する位置情報取得部と、この位置情報取得部により取得した位置情報が、特定エリア外に位置することを示す第1の位置情報の場合は前記通信部の通信機能をオン状態にする一方、取得した位置情報が特定エリア内に位置することを示す第2の位置情報の場合は、前記通信部の通信機能をオフ状態にする通信制御部と、を備えた移動体通信端末であって、前記通信制御部は、前記他の通話装置との通話中に、前記位置情報取得部が前記第2の位置情報を取得した場合、前記通信部の通信機能をオフ状態にする前に、前記他の通話装置に対し、前記通信部を介して通話が中断されることを示す通話中断情報を送信することを移動体通信端末とした。
【0011】
(6)本発明は、上記(5)において、前記通話中断情報を前記他の通話装置へ送信した後、前記位置情報取得部が前記第1の位置情報を取得した場合、前記通信制御部は、前記通信部の通信機能をオン状態に復帰させるとともに、前記通信部を介して前記他の通話装置へ通話要求することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、移動体通信端末が使用禁止などの特定エリア内に位置しても、通話不能になる前に通話者同士は特定エリア内に入ったことを知ることができるため、突然通話不能になってしまうという不都合を回避することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本実施形態に係る移動体通信端末中継装置は、無線により公衆電話網に接続可能であり、GPS機能部を有する複数の移動体通信端末間の通信を中継するものであって、前記各移動体通信端末のGPS機能部から発信された位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段により取得した位置情報が特定エリア外に位置することを示す第1の位置情報の場合は前記移動体通信端末の通信機能をオン状態とする一方、取得した位置情報が特定エリア内に位置することを示す第2の位置情報の場合は、前記移動体通信端末の通信機能をオフ状態にする制御を行う通信制御手段と、前記公衆電話網を介して前記特定エリア外にある他の移動体通信端末を含む他の通話装置から前記特定エリア内にある移動体通信端末へ通話要求があった場合、通話要求があったことを示す通話要求情報を、当該通話要求を発した発信元情報と通話要求先情報と共に記憶する通信情報記憶手段とを備え、前記通信制御手段は、前記移動体通信端末と他の通話装置とが通話している間に、前記位置情報取得手段が前記移動体通信端末から前記第2の位置情報を取得した場合、当該移動体通信端末の通信機能をオフ状態にする前に、当該移動体通信端末と前記他の通話装置とに、通話が中断されることを示す通話中断情報を送信するように構成されている。
【0014】
移動体通信端末は、無線により公衆電話網を介して他の通話装置(他の携帯電話や固定電話など)と通話可能な携帯電話とすることができ、近年の携帯電話に見られるように、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)の機能を有する。したがって、衛星を通じて携帯電話の所在位置が認識され、これをディスプレイなどに地図で表示することができる。すなわち、この携帯電話を所持する人は、自身の所在位置を知ることができる。
【0015】
本実施形態におけるGPS機能部は、自身の所在位置を示す位置情報を、外部へ発信することが可能であり、このGPS機能部から発信された前記位置情報を受信する位置情報取得手段を、携帯電話と他の通話装置との中継を行う移動体通信端末中継装置が備えている。
【0016】
また、特定エリアとは、携帯電話による通話が好ましくないエリアであって、ここでは、病院をはじめとする携帯電話の使用を禁止したエリアとしている。そして、前記第1の位置情報とは、特定エリア外にあることを示す位置情報を指し、第2の位置情報とは、特定エリア内にあることを示す位置情報を指す。
【0017】
移動体通信端末中継装置は、前記位置情報取得手段に加え、移動体通信端末の通信機能をオン・オフ制御する通信制御手段と、特定エリア外にある他の通話装置から特定エリア内にある移動体通信端末へ通話要求があった場合、通話要求があったことを示す通話要求情報を、当該通話要求を発した発信元情報(特定エリア外にある他の通話装置に関する情報であり、電話番号などが含まれる)と通話要求先情報(特定エリア内にある移動体通信端末に関する情報であり、電話番号などが含まれる)と共に記憶する通信情報記憶手段とを備えている。
【0018】
かかる構成において、特徴的な構成となるのは、前記通信制御手段は、移動体通信端末と他の通話装置とが通話している間に、位置情報取得手段が移動体通信端末から特定エリア内であることを示す第2の位置情報を取得した場合、当該移動体通信端末の通信機能をオフ状態にするが、その前に、当該移動体通信端末と交信中の他の通話装置とに、通話が中断されることを示す通話中断情報を送信するようにした点にある。
【0019】
通話中断情報としては、所定の音声などであり、それは例えば「通話禁止エリアに入りましたので通話を中断します」などのメッセージによる合成音声でもよいし、あるいは所謂ピー音のような効果音、信号音であってもよい。
【0020】
このような構成としたことにより、移動体通信端末が使用禁止などの特定エリア内に位置しても、通話不能になる前に通話者同士は特定エリア内に入ったことを知ることができるため、突然通話不能になってしまい、通話者同士が不快な思いをすることを回避することが可能となる。
【0021】
なお、前記位置情報取得手段、通信制御手段及び通信情報記憶手段は、CPUやROM、RAMなどを備えるコンピュータなどにその機能を担わせることができる。
【0022】
また、前記通信制御手段は、前記通話中断情報を前記移動体通信端末と前記他の通話装置とへ送信した後、前記位置情報取得手段が前記移動体通信端末から前記第1の位置情報を取得した場合、前記通信情報記憶手段に記憶された通話要求情報に基づいて、前記移動体通信端末の通信機能をオフ状態とする直前のオン状態にして、前記移動体通信端末と他の通話装置とが通話可能な状態に復帰させるような制御を実行することが好ましい。
【0023】
すなわち、携帯電話と他の通話手段とが通話している際に、携帯電話が通話禁止エリアに入った場合、通話中断情報を送信するが、その後、携帯電話が再び通話禁止エリア外に移動したと判断すれば、元の通話状態に復帰させるのである。
【0024】
上記構成とすると、通話禁止エリアに入ったことを知った他の通話装置の使用者が装置をオフにする前に、携帯電話所有者が即座に場所を移動して通話禁止エリア外に出たなら、通話状態が復帰されて通話継続が可能になるが、他の通話装置の使用者が当該通話装置をオフにすることが考えられる。
【0025】
そこで、前記通信制御手段は、前記通話中断情報を前記移動体通信端末と前記他の通話装置とへ送信した後、前記位置情報取得手段が前記移動体通信端末から前記第1の位置情報を取得した場合、前記通信情報記憶手段に記憶された通話要求情報に基づいて、前記移動体通信端末の通信機能をオフ状態とする直前のオン状態にするとともに、前記他の通話装置に対して、前記移動体通信端末との通話が可能な状態に復帰したことを示す通話可能情報を送信するように構成することもできる。
【0026】
すなわち、移動体通信端末中継装置は、移動体通信端末が通話禁止エリア外に移動したことを検知すると、通話中断情報を送信した他の通話装置に対して、今度は通話可能情報を送信して、通話が可能な状態に復帰したことを知らせるのである。
【0027】
通話可能情報は、例えば「○×サービスからのお知らせです。090−○○○○―××××は通話禁止エリアから出ましたので通話が可能になりました」などの合成音声によるメッセージとすることもできるし、あるいは電話番号をアドレスとしたメール送信であってもよい。
【0028】
さらに、前記通信制御手段は、前記特定エリア内にある移動体通信端末へ他の通話装置から通話要求があった場合、前記位置情報取得手段が、前記移動体通信端末から前記第1の位置情報を取得したことを条件に、当該移動体通信端末の通信機能をオン状態に復帰させるとともに、当該移動体通信端末に対して、前記通信情報記憶手段に記憶された発信元情報を含む通話要求情報を送信することもできる。
【0029】
すなわち、上述してきた通信制御手段による制御は、通話中に移動体通信端末が特定エリア内に入った場合についてのものであるが、既に特定エリア内にある移動体通信端末に他の通話装置から通話要求があった場合、通信制御手段は、通信情報記憶手段に記憶されている通話要求情報、発信元情報及び通話要求先情報から、移動体通信端末が特定エリア外に出た場合、この移動体通信端末に対して、通話要求情報、例えば「○×サービスからのお知らせです。あなたが通話禁止エリア内にあるときに、090―××××−○○○○から着信がありました。」などの合成音声によるメッセージ、あるいは電話番号をアドレスとしたメール送信を行うのである。
【0030】
また、移動体通信端末中継基地によらず、移動体通信端末に上述してきた内容と略同様の機能をもたせることができる。
【0031】
すなわち、公衆電話網に無線接続して通信可能な通信部と、前記公衆電話網を介して他の通話装置から通話要求があった場合、通話要求があったことを示す通話要求情報と、当該通話要求を発した発信元情報とを記憶する通信情報記憶部と、GPS機能を有し、自身の位置情報を取得する位置情報取得部と、この位置情報取得部により取得した位置情報が、特定エリア外に位置することを示す第1の位置情報の場合は前記通信部の通信機能をオン状態にする一方、取得した位置情報が特定エリア内に位置することを示す第2の位置情報の場合は、前記通信部の通信機能をオフ状態にする通信制御部と、を備えた移動体通信端末であって、前記通信制御部は、前記他の通話装置との通話中に、前記位置情報取得部が前記第2の位置情報を取得した場合、前記通信部の通信機能をオフ状態にする前に、前記他の通話装置に対し、前記通信部を介して通話が中断されることを示す通話中断情報を送信するようにするのである。
【0032】
かかる構成とすれば、移動体通信端末中継基地に、大規模なコンピュータシステムなどからなる通信制御手段を構築せずとも、移動体通信端末のみの機能によって、通話中に通話禁止エリア内に入った際にも予め通話中断情報を相手先の移動体通信端末に送信して報知することができるので、突然通話不能になってしまい通話者同士が不快な思いをすることを回避することができる。
【0033】
なお、通信情報記憶部、位置情報取得部、及び通信制御部は、移動体通信端末に内蔵された制御基板に組み込まれるCPUやROM、RAMなどにその機能を担わせることができる。
【0034】
また、上記移動体通信端末は、前記通話中断情報を前記他の通話装置へ送信した後、前記位置情報取得部が前記第1の位置情報を取得した場合、前記通信制御部は、前記通信部の通信機能をオン状態に復帰させるとともに、前記通信部を介して前記他の通話装置へ通話要求することもできる。
【0035】
すなわち、自身が再び特定エリア外に出たことを検出すると、通信制御部は、通話中断情報を送信した他の通話装置にリダイアルするように制御するのである。
【0036】
したがって、通話中に通話禁止エリアに移動してしまい、一旦通話が中断しても、通話禁止エリアから再び出ると、自動的に、先に通話していた者にリダイアルされて、話の続きを始めることができる。
【0037】
以下、本実施形態にかかる移動体通信端末中継基地及び移動体通信端末について、図面を参照しながら、より具体的に説明する。
(実施例1)
図1は実施例1に係る移動体通信端末及び移動体通信端末中継装置により構成される通信システムの説明図であり、図2はそのブロック構成図である。図示するように実施例1の通信システム10は、無線により公衆電話網11に接続可能でありGPS機能を有する複数の移動体通信端末20、20’と、この移動体通信端末間の通信を中継する移動体通信端末中継装置30などを備えて構成されている。
【0038】
移動体通信端末20、20’は携帯電話、PHS、複合情報携帯端末等であって通信システム10の移動体通信端末中継装置30を介して他の携帯電話などとの間で通話通信を行うことができる。この移動体通信端末20は、公衆電話網11に接続された移動体通信端末中継装置30とRF交信してデータの送受信を行う高周波通信部21と、少なくとも3基のGPS衛星12から発信されるGPS電波を受信して現在地を取得するGPS機能部22と、液晶パネルやスピーカ、ダイヤル操作部などを備えた端末入出力部23と、その通信機能のオンオフ状態を制御するとともにこれら高周波通信部、GPS機能部などの装置全体を制御する通信制御部25とを有している。
【0039】
これら高周波通信部21、通信制御部25、液晶パネルやダイヤル操作部などの端末入出力部23などのハードウェアは、それぞれ電源部24から供給される電源によって駆動され、電源の供給ラインに設けられたメインスイッチを、操作パネルを介して操作することによりオンオフできる。
【0040】
移動体通信端末20は、その非通信モードでは通信制御部25を介して、高周波通信部21への電力供給を制御することができ、移動体通信端末中継装置30を介した他の移動体通信端末20’との通信手段である高周波通信部21の動作を制限することができる。したがって、公衆電話網11に接続された移動体通信端末20などの基地局に向かって通信用アンテナから電波を発信することは最低限度にとどめることができる。このため、病院設備などにおけるペースメーカーや医療機器、さらにはその他の制御機器などを誤動作させる電波の発生は抑制されるが、この通信制限モードでは、端末入出力部23や通信制御部25、GPS機能部22などのハードウェアには電力が供給される。したがって、非通信機能は使用可能であり、移動体通信端末20を介してそのメモリに保持したコンテンツの閲覧や、メールの編集などを行うことはできる。
【0041】
移動体通信端末20は、図1に示すように細長扁平型に形成されており、その正面に液晶パネルが配置されている。さらに、その下方には電話番号や文字などを入力する操作パネルが配置され、無線基地局となる移動体通信端末中継装置30を介して公衆電話網11に接続可能な通信用アンテナを備えている。このような移動体通信端末20には無線を介して公衆電話網11に接続して通信を行う通信機能の他に、インターネットのブラウザ機能、スケジュール管理機能、メール機能、音楽再生機能などの多様な機能が搭載されている。そして、この通信機能も含めたすべての機能を稼動させることができる汎用モードと、通信機能と連動しなくても利用できる非通信機能が使用可能となる非通信モードの2つの動作モードを有している。そして、移動体通信端末20が非通信モードになると、その内蔵した液晶パネルやスピーカなどから非通信モードとなったことを示す認識表示動作を行うことができるようになっている。
【0042】
移動体通信端末中継装置30は、各移動体通信端末20、20’のGPS機能部22から発信された位置情報を取得する位置情報取得手段31と、前記移動体通信端末20、20’の通信機能をオンオフ状態に制御する通信制御手段32と、各移動体通信端末への通話要求先情報及び発信元情報を記憶する通信情報記憶手段33と、各移動体通信端末20の高周波通信部21とRF接続して通信を行うための高周波通信部34などを備えている。
【0043】
この通信制御手段32は、移動体通信端末中継装置30にRF接続する各移動体通信端末におけるそれぞれの通信情報データを統括管理するとともに、前記移動体通信端末と他の通話装置とが通話している間に、前記位置情報取得手段が前記移動体通信端末から前記第2の位置情報を取得した場合、当該移動体通信端末の通信機能をオフ状態にする前に、当該移動体通信端末と前記他の通話装置とに、通話が中断されることを示す通話中断情報を送信する機能を有している。
【0044】
位置情報取得手段31は、各移動体通信端末20、20’のGPS機能部22から発信された位置情報を取得して、その移動体通信端末のID情報とともに通信情報記憶手段33などのデータベース部へデータを格納させる機能を有している。
【0045】
通信情報記憶手段33は、各移動体通信端末への通話要求先情報及び発信元情報を記憶するとともに、各移動体通信端末20、20’のGPS機能部22から発信された位置情報も格納して、通信制御用のデータベースを構成するための記憶装置であり、このデータベースには移動体通信端末の通信機能の一部又は全部が制限される特定エリア13に関わるエリア情報も記憶されている。
【0046】
特定エリア13は、移動体通信端末中継装置30が設置される通信区域内において、予め登録された医療機関や公共施設などであって、これらの地域を表すGPS位置データと、この特定エリア毎に対応して提供又は制限される通信サービスの内容とがこのエリア情報には含まれている。
【0047】
こうして、通信制御手段32は、位置情報取得手段31により取得された移動体通信端末20の位置情報が特定エリア13の外に位置することを示す第1の位置情報の場合は、前記移動体通信端末20の通信制御部25を介してその通信機能をオン状態とする一方、取得した位置情報が特定エリア13内に位置することを示す第2の位置情報の場合は、移動体通信端末20の通信機能をオフ状態にする制御を行うことを可能にしているのである。
【0048】
以下、移動体通信端末20、20’及び移動体通信端末中継装置30に適用される通信システム10における通信動作形態について図3、図4に示すフローチャート及び図8〜図10を参照して説明する。なお、以下に示す通信処理ルーチンは、移動体通信端末中継装置30のタイマー回路により所定時間毎に呼び出されることで実行されるようになっている。
【0049】
この通信処理ルーチンの最初のステップS101においては、図1に示すように移動体通信端末中継装置30は、移動体通信端末20のGPS機能部22にアクセスするかもしくは移動体通信端末20からのアクセス要求信号によりそのGPS位置情報及びその端末IDを含む移動体端末データなどを取得する。
【0050】
次のステップS102では、ステップS101で取得された前記移動体端末データを、移動体通信端末中継装置30の通信情報記憶手段33に保持された特定エリア13に関する情報データと比較して、移動体通信端末20が特定エリア13内にあるか否かを判定する。ここで、位置情報取得手段31により取得された移動体通信端末20の発信位置が特定エリア13外に位置する場合(図1参照)には、第1の位置情報を処理する通信制御処理のステップS106に移行する。一方、取得した移動体通信端末20の発信位置が特定エリア13内に位置する場合(図8参照)は、第2の位置情報を処理する通信制御処理のステップS103に移行する。
【0051】
移動体通信端末20が特定エリア13外となる場合である第1の位置情報を処理する通信制御処理のステップS106では、移動体通信端末中継装置30は移動体通信端末20の通信制御部25を介してその通信機能をオンにする。こうして、公衆電話網11や中継装置に接続された他の移動体通信端末20’を移動体通信端末20に通常通信可能な通信モードに維持させる。そして、通信制御部25は、この通信モードにおける各移動体通信端末20、20’のそれぞれのGPS位置情報及び端末ID、アクセス時刻などの通信情報データを、移動体通信端末中継装置30の通信情報記憶手段33にデータベース情報として記憶させる。
【0052】
次のステップS107では、通信制御手段32を介して、この通信情報記憶手段33のデータベース情報にアクセスして、当該移動体通信端末20への通話中断情報の有無を判定する。ここで、当該移動体通信端末20への通話中断情報が有る場合には、通話中断情報発信処理のステップS108に移行させる。一方、当該移動体通信端末20への通話中断情報が存在しない場合には、所定時間、移動体通信端末20、20’間の通信が可能な状態を維持した後、この通信処理ルーチンを終了させる。
【0053】
通話中断情報発信処理のステップS108では、当該通話要求を発した発信元情報を通信情報記憶手段33から読み出して、移動体通信端末20や通話要求をした移動体通信端末20’に送信する処理がなされる。こうして、例えば、移動体通信端末と他の通話装置とが通話している間に、位置情報取得手段31が移動体通信端末から第2の位置情報を取得した場合、当該移動体通信端末の通信機能をオフ状態にする前に、当該移動体通信端末20と他の通話装置である移動体通信端末20’とに、通話が中断されることを示す通話中断情報を送信することが可能となるのである。
【0054】
なお、このような通話中断情報発信処理がなされることにより、当該通話要求のデータは通信情報記憶手段33のメモリからクリアされるようになっている。こうして、所定時間、移動体通信端末20、20’間の通信が可能な通信モードを維持した後、この通信処理ルーチンが終了するようになっている。
【0055】
一方、移動体通信端末20が特定エリア13内となる場合である第2通信制御処理のステップS103では、移動体通信端末中継装置30は、移動体通信端末20の通信制御部25を介してその通信モードを非通信モードに設定する。これによって、公衆電話網11や中継装置に接続された他の移動体通信端末20’が移動体通信端末20にアクセス不能な状態に維持させるのである。
【0056】
ステップS103に続くステップS104では、通信制御手段32は当該移動体通信端末20に対して他の移動体通信端末20’からの通話要求があるか否かが判定される。ここで通信情報記憶手段33に記憶された通話要求のデータがある場合は、次のステップS105へ移行し、通話要求のデータがない場合は、この各移動体通信端末20における通信モードを維持させたまま通信処理を終了させることとなる。
【0057】
公衆電話網11などを介して特定エリア13外にある他の移動体通信端末20’から特定エリア13内にある移動体通信端末20への通話要求があった場合における通話中断情報記憶処理のステップS105では、通話要求があったことを示す通話要求情報を、当該通話要求を発した発信元情報と通話要求先情報と共に通信情報記憶手段33に記憶させるデータ処理がなされる。こうして記憶された通話中断情報などを含むデータは、ステップS106の第1通信制御処理において参照される。こうして、通信処理ルーチンを終了させる。
【0058】
図4は通信システム10における移動体通信端末の通信動作の一例を示すフローチャートである。図示するように、最初のステップS201では、通信制御部25が移動体通信端末20のGPS機能部22を作動させ、GPS衛星からの電波を受信することによってそのGPS位置情報を取得する。
【0059】
続くステップS202では、移動体通信端末20の高周波通信部21もしくはGPS機能部22を介して移動体通信端末中継装置30に前記取得したGPS位置情報及び移動体通信端末20のIDデータなどを含む情報データを送信する。
【0060】
こうして、ステップS203では、移動体通信端末20は、移動体通信端末中継装置30から発信される通信情報を取得する。この通信情報には、移動体通信端末中継装置30の通信情報には、当該移動体通信端末20の位置情報に応じた動作モードにするための通信モード設定情報や、通信情報記憶手段33に記憶された他の移動体通信端末20’などからの通話中断情報が含まれている。
【0061】
最後のステップS204では、取得された前記通信情報のデータに基づいて通信制御部25が、移動体通信端末20を所定の通信モードに設定させるのである。こうして、例えば、移動体通信端末と他の通話装置とが通話している間に、位置情報取得手段31が移動体通信端末から第2の位置情報を取得した場合、当該移動体通信端末の通信機能をオフ状態にされる前に、当該移動体通信端末20に、通話が中断されることを示す通話中断情報が液晶パネルやスピーカなどを備えた端末入出力部に出力表示することが可能となるのである。
【0062】
なお、以上説明した移動体通信端末20における通信処理ルーチンは、移動体通信端末に内蔵されたタイマー回路により、所定時間間隔毎に実行される。
【0063】
図8〜図10は以上説明した通信制御処理によって実行される通話中断情報などを含む情報の送信形態の一例を示す説明図である。
【0064】
図8に示すように、移動体通信端末20がその通信中に特定エリア13に入って、相手先の移動体通信端末20’にメッセージ「通話相手が通話禁止エリアに入っています。これより3分間お待ちください。」などが送信される。一方、当該移動体通信端末20には、「お客様は通話禁止エリアに入っています。これより3分間は、仮通話状態になり、通話エリアで通話ボタンを押すと通話が再開できます。」などの音声メッセージや液晶パネルへの表示がなされるのである。そして、3分経過後には、図9に示すようにこの通話がオフ状態となって、双方の移動体通信端末20、20’に、「通話が切れました。通話相手の電話番号は・・・」などのメッセージが液晶パネルやスピーカなどを介して表示出力又は音声出力されるのである。また、図10に示すように当該移動体通信端末20がこの3分以内に特定エリア13から外に出ると、移動体通信端末中継装置30を介して通話を再開する復旧信号が双方の移動体通信端末20、20’に送信され、通話が再開することができるようになっている。
【0065】
こうして、通信制御処理が移動体通信端末中継装置30の通信制御手段32及び移動体通信端末20の通信制御部25によって実行されることによって、移動体通信端末20がその使用が禁止又はその機能の一部が制限されるなどの特定エリア内に位置しても、通話不能になる前に通話者同士は特定エリア内に入ったことを知ることができ、突然通話不能になってしまうという不都合な事態を回避することができる。
【0066】
すなわち、移動体通信端末中継装置30の通信制御手段32は、通話中断情報を移動体通信端末20と他の通話装置となる移動体通信端末20’へ送信した後、位置情報取得手段31が移動体通信端末20から特定エリア外であることを示す第1の位置情報を取得した場合、通信情報記憶手段33に記憶された通話要求情報に基づいて、移動体通信端末20の通信機能をオフ状態とする直前のオン状態にして、移動体通信端末と他の通話装置とが通話可能な状態に復帰させることができる。また、移動体通信端末20’に対して、移動体通信端末20との通話が可能な状態に復帰したことを示す通話可能情報を送信するのである。
【0067】
さらに、前記特定エリア13内にある移動体通信端末20へ他の通話装置から通話要求があった場合、位置情報取得手段31が、移動体通信端末20から第1の位置情報を取得したことを条件に、当該移動体通信端末20の通信制御部25を介してその通信機能をオン状態に復帰させるとともに、移動体通信端末20に対して、通信情報記憶手段33に記憶された発信元情報を含む通話要求情報を送信することができる。
(実施例2)
図5は実施例2に係る移動体通信端末及び移動体通信端末中継装置により構成される通信システムの説明図であり、図6は移動体通信端末のブロック図である。
【0068】
実施例2の通信システム10’は、無線により公衆電話網11に接続可能でありGPS機能を有する複数の移動体通信端末40、40’と、この移動体通信端末間の通信を中継する移動体通信端末中継装置50などを備えて構成されている。なお、以下に説明する実施例2の通信システム10’においては、前記実施例1のものと同様の機能を有するものについては、同一の符号を付してその詳しい説明を省略するものとする。
【0069】
移動体通信端末40、40’は携帯電話、PHS、複合情報携帯端末等であって通信システム10’の移動体通信端末中継装置50を介して他の携帯電話などとの間で通話通信を行うことができる。この移動体通信端末40は、公衆電話網11を介して他の通話装置から通話要求があった場合に通話要求があったことを示す通話要求情報と当該通話要求を発した発信元情報とを記憶する通信情報記憶部41と、移動体通信端末中継装置50とRF交信してデータの送受信を行う高周波通信部21(通信部)と、GPS電波を受信して現在地を取得するGPS機能を備えたGPS機能部22(位置情報取得部)と、液晶パネルなどを備えた端末入出力部23と、これら高周波通信部、GPS機能部などの装置全体を制御する通信制御部25とを有している。これら通信情報記憶部41と高周波通信部21、通信制御部25、端末入出力部23などはそれぞれ図示しない電源部から供給される電源によって駆動されている。
【0070】
移動体通信端末40はその非通信モードでは通信制御部25を介して、高周波通信部21への電力供給を制御することができ、移動体通信端末中継装置50を介した他の移動体通信端末40’との通信手段である高周波通信部21の動作を制限して、他の移動体通信端末や移動体通信端末中継装置に向かって発信する電波を最低限度にとどめることができる。この通信制限モードでは、端末入出力部23や通信制御部25、GPS機能部22などのハードウェアには電力が供給され、非通信機能は使用可能である。
【0071】
通信情報記憶部41は、公衆電話網11を介して他の通話装置から通話要求があった場合に通話要求があったことを示す通話要求情報と当該通話要求を発した発信元情報とを記憶する機能を備えている。この通信情報記憶部41は、当該移動体通信端末40への通話要求先情報及び発信元情報を記憶して通信制御用のデータベースを構成するための記憶装置である。
【0072】
GPS機能部22は、そのGPS機能により取得された位置情報を取得するとともに、通話要求を発信した移動体通信端末のID情報とともに通信情報記憶部41のデータベースにデータを格納させる機能を有している。
【0073】
移動体通信端末中継装置50は、公衆電話網11に接続された電話機や移動体通信端末40、40’間の通信を中継接続して制御するための通信制御手段32と、各移動体通信端末40の高周波通信部21とRF接続して通信を行うための高周波通信部34などを備えている。なお、この通信制御手段32は、移動体通信端末中継装置50にRF接続する各移動体通信端末におけるそれぞれの通信情報データを統括管理することもできるようになっている。
【0074】
実施例2の通信システム10’は、実施例1の通信システム10とは異なり、移動体通信端末40に通信情報記憶部41を備えているので、移動体通信端末中継装置の機能によらず、実施例1に上述してきた内容と略同様の機能をもたせることができる。
【0075】
すなわち、公衆電話網11に無線接続して通信可能な高周波通信部21と、公衆電話網を介して他の通話装置である移動体通信端末40’から通話要求があった場合、通話要求があったことを示す通話要求情報と、当該通話要求を発した発信元情報とを通信情報記憶部41に記憶することができる。そして、この移動体通信端末40は、自身の位置情報を取得するGPS機能部22と、このGPS機能部22により取得した位置情報が特定エリア13外に位置することを示す第1の位置情報の場合は高周波通信部21の通信機能をオン状態にする一方、取得した位置情報が特定エリア13内に位置することを示す第2の位置情報の場合は、高周波通信部21の通信機能をオフ状態にする通信制御部25と、を備えている。
【0076】
そして、この移動体通信端末40に設けられた通信制御部25は、他の通話装置との通話中にGPS機能部22が第2の位置情報を取得した場合、高周波通信部21の通信機能をオフ状態にする前に他の通話装置に対し、高周波通信部21を介して通話が中断されることを示す通話中断情報を送信するようにするのである。こうして、移動体通信端末中継装置50に、大規模なコンピュータシステムなどからなる通信情報記憶部を備えたような通信制御手段を構築せずとも、移動体通信端末40の機能のみで、通話中に通話禁止エリア内に入った際に突然通話不能になってしまうような事態を回避することができる。
【0077】
図7は実施例2の通信システム10’における移動体通信端末の通信動作の一例を示すフローチャートである。この通信処理ルーチンの最初のステップS401においては、図5に示すように移動体通信端末40は、そのGPS機能部22にアクセスする。これによってGPS衛星12からのGPS電波を受信して、自身のGPS位置情報を取得する。
【0078】
次のステップS402では、ステップS401で取得された前記GPS位置情報のデータを、移動体通信端末中継装置30の通信情報記憶部41に保持された特定エリア13に関する情報データと比較して、移動体通信端末40が特定エリア13内にあるか否かを判定する。ここで、GPS機能部22により取得された移動体通信端末40の発信位置が特定エリア13外に位置する場合には、第1の位置情報を処理する通信制御処理のステップS406に移行する。一方、取得した移動体通信端末40の発信位置が特定エリア13内に位置する場合は、第2の位置情報を処理する通信制御処理のステップS403に移行する。
【0079】
移動体通信端末40が特定エリア13外となる場合(図1参照)である第1の位置情報を処理する通信制御処理のステップS406では、移動体通信端末40の通信制御部25を介してその通信機能をオンにする。こうして、公衆電話網11や中継装置に接続された他の移動体通信端末40’を移動体通信端末40に通常通信可能な通信モードに維持させる。そして、通信制御部25は、この通信モードにおける他の移動体通信端末40’などの端末ID、アクセス時刻などの通信情報データを、通信情報記憶部41にデータベース情報として記憶させることもできる。
【0080】
次のステップS407では、この通信情報記憶部41のデータベース情報にアクセスして、当該移動体通信端末40への通話中断情報の有無を判定する。ここで、当該移動体通信端末20への通話中断情報が有る場合には、通話中断情報発信処理のステップS408に移行させる。一方、当該移動体通信端末40への通話中断情報が既に存在しない場合には、所定時間、移動体通信端末40、40’間の通信が可能な状態を維持した後、この通信処理ルーチンを終了させる。
【0081】
通話中断情報発信処理のステップS408では、当該通話要求を発した発信元情報を通信情報記憶部41から読み出して、通話要求をした移動体通信端末40’にアクセスする処理がなされる。なお、このような通話中断情報発信処理がなされることにより、当該通話要求のデータは通信情報記憶部41からクリアされるようになっている。こうして、所定時間、移動体通信端末40、40’間の通信が可能な通信モードを維持した後、この通信処理ルーチンが終了される。
【0082】
一方、移動体通信端末40が特定エリア13内となる場合(図8参照)である第2通信制御処理のステップS403では、移動体通信端末40の通信制御部25を介してその通信モードを非通信モードに設定する。これによって、公衆電話網11や中継装置に接続された他の移動体通信端末40’が移動体通信端末40にアクセス不能な状態に維持させるのである。
【0083】
ステップS403に続くステップS404では、当該移動体通信端末40に対して他の移動体通信端末40’からの通話要求があるか否かが判定される。ここで通信情報記憶部41に記憶された通話要求のデータがある場合は、次のステップS405へ移行し、通話要求のデータがない場合は、この各移動体通信端末40における通信モードを維持させたまま通信処理を終了させることとなる。
【0084】
公衆電話網11などを介して特定エリア13外にある他の移動体通信端末40’から特定エリア13内にある移動体通信端末40への通話要求があった場合における通話中断情報記憶処理のステップS405では、通話要求があったことを示す通話要求情報を、当該通話要求を発した発信元情報と通話要求先情報と共に通信情報記憶部41に記憶させるデータ処理がなされる。こうして記憶された通話中断情報などを含むデータは、ステップS406の第1通信制御処理において参照される。こうして、通信処理ルーチンを終了させるのである。
【0085】
こうして、実施例2の移動体通信端末40を備えた通信システム10’では、移動体通信端末40のみの機能によって、通話中に通話禁止エリア内に入った際にも予め通話中断情報を相手先の移動体通信端末に送信して報知することができるので、通話中に突然通話不能になってしまい通話者同士が不快な思いをすることを回避することができる。
【0086】
以上説明したように本発明は、GPS機能により移動体通信端末が特定エリア内に入るのを検知して、交信中の他の通話装置に通話が中断されることを示す通話中断情報を送信して当該移動体通信端末の通信機能をオフ状態にするようにしたことを要旨とするものであり、これによって、通話中に突然通話不能になってしまい通話者同士に不快な思いをさせることのない優れた利便性を有している。
【0087】
以上の実施形態により、以下の移動体通信端末、及び移動体通信端末中継装置が実現される。
【0088】
すなわち、無線により公衆電話網11に接続可能であり、GPS機能部22を有する複数の移動体通信端末20、20’間の通信を中継する移動体通信端末中継装置30であって、前記各移動体通信端末のGPS機能部から発信された位置情報を取得する位置情報取得手段31と、前記位置情報取得手段により取得した位置情報が特定エリア13外に位置することを示す第1の位置情報の場合は前記移動体通信端末の通信機能をオン状態とする一方、取得した位置情報が特定エリア内に位置することを示す第2の位置情報の場合は、前記移動体通信端末の通信機能をオフ状態にする制御を行う通信制御手段32と、前記公衆電話網を介して前記特定エリア外にある他の移動体通信端末20’を含む他の通話装置から前記特定エリア内にある移動体通信端末へ通話要求があった場合、通話要求があったことを示す通話要求情報を、当該通話要求を発した発信元情報と通話要求先情報と共に記憶する通信情報記憶手段33と、を備え、前記通信制御手段は、前記移動体通信端末と他の通話装置とが通話している間に、前記位置情報取得手段が前記移動体通信端末から前記第2の位置情報を取得した場合、当該移動体通信端末の通信機能をオフ状態にする前に、当該移動体通信端末20と前記他の通話装置20’とに、通話が中断されることを示す通話中断情報を送信する移動体通信端末中継装置30。
【0089】
前記通信制御手段32は、前記通話中断情報を前記移動体通信端末と前記他の通話装置とへ送信した後、前記位置情報取得手段31が前記移動体通信端末20から前記第1の位置情報を取得した場合、前記通信情報記憶手段33に記憶された通話要求情報に基づいて、前記移動体通信端末の通信機能をオフ状態とする直前のオン状態にして、前記移動体通信端末と他の通話装置とが通話可能な状態に復帰させる移動体通信端末中継装置30。
【0090】
前記通信制御手段32は、前記通話中断情報を前記移動体通信端末20と前記他の通話装置20’とへ送信した後、前記位置情報取得手段31が前記移動体通信端末から前記第1の位置情報を取得した場合、前記通信情報記憶手段に記憶された通話要求情報に基づいて、前記移動体通信端末の通信機能をオフ状態とする直前のオン状態にするとともに、前記他の通話装置に対して、前記移動体通信端末との通話が可能な状態に復帰したことを示す通話可能情報を送信する移動体通信端末中継装置30。
【0091】
前記通信制御手段32は、前記特定エリア13内にある移動体通信端末20へ他の通話装置20’から通話要求があった場合、前記位置情報取得手段31が、前記移動体通信端末から前記第1の位置情報を取得したことを条件に、当該移動体通信端末の通信機能をオン状態に復帰させるとともに、当該移動体通信端末に対して、前記通信情報記憶手段33に記憶された発信元情報を含む通話要求情報を送信する移動体通信端末中継装置30。
【0092】
公衆電話網11に無線接続して通信可能な通信部(高周波通信部21)と、前記公衆電話網を介して他の通話装置から通話要求があった場合、通話要求があったことを示す通話要求情報と当該通話要求を発した発信元情報とを記憶する通信情報記憶部41と、GPS機能を有し、自身の位置情報を取得する位置情報取得部(GPS機能部22)と、この位置情報取得部により取得した位置情報が、特定エリア13外に位置することを示す第1の位置情報の場合は前記通信部の通信機能をオン状態にする一方、取得した位置情報が特定エリア内に位置することを示す第2の位置情報の場合は、前記通信部の通信機能をオフ状態にする通信制御部25と、を備えた移動体通信端末40であって、前記通信制御部は、前記他の通話装置との通話中に、前記位置情報取得部が前記第2の位置情報を取得した場合、前記通信部の通信機能をオフ状態にする前に、前記他の通話装置に対し、前記通信部を介して通話が中断されることを示す通話中断情報を送信する移動体通信端末40。
【0093】
前記通話中断情報を前記他の通話装置40’へ送信した後、前記位置情報取得部(GPS機能部22)が前記第1の位置情報を取得した場合、前記通信制御部25は、前記通信部の通信機能をオン状態に復帰させるとともに、前記通信部(高周波通信部21)を介して前記他の通話装置へ通話要求する移動体通信端末40。
【0094】
なお、本発明の実施例に記載された移動体通信端末20、40及び、移動体通信端末中継装置30、50は、本発明から生じる最も好適な構成のものを列挙したに過ぎず、実施例に記載されたものに限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、当該移動体通信端末に通話要求する他の通話装置として移動体通信端末中継装置30に直接接続する移動体通信端末としたが、公衆電話網やインターネットを介して連絡する他の移動体通信端末中継装置に接続する固定電話機や携帯電話機としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】実施例1に係る通信システムの説明図である。
【図2】同通信システムにおけるブロック構成図である。
【図3】移動体通信端末中継装置における動作フローチャートである。
【図4】移動体通信端末における動作フローチャートである。
【図5】実施例2に係る通信システムの説明図である。
【図6】移動体通信端末のブロック図である。
【図7】移動体通信端末における動作フローチャートである。
【図8】通信システムにおける送信形態の一例を示す説明図である。
【図9】通信システムにおける送信形態の一例を示す説明図である。
【図10】通信システムにおける送信形態の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0096】
10 通信システム
11 公衆電話網
12 GPS衛星
13 特定エリア
20、20’ 移動体通信端末
21 高周波通信部(通信部)
22 GPS機能部(位置情報取得部)
23 端末入出力部
24 電源部
25 通信制御部
30 通信端末中継装置
31 位置情報取得手段
32 通信制御手段
33 通信情報記憶手段
34 高周波通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線により公衆電話網に接続可能であり、GPS機能部を有する複数の移動体通信端末間の通信を中継する移動体通信端末中継装置であって、
前記各移動体通信端末のGPS機能部から発信された位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段により取得した位置情報が特定エリア外に位置することを示す第1の位置情報の場合は前記移動体通信端末の通信機能をオン状態とする一方、取得した位置情報が特定エリア内に位置することを示す第2の位置情報の場合は、前記移動体通信端末の通信機能をオフ状態にする制御を行う通信制御手段と、
前記公衆電話網を介して前記特定エリア外にある他の移動体通信端末を含む他の通話装置から前記特定エリア内にある移動体通信端末へ通話要求があった場合、通話要求があったことを示す通話要求情報を、当該通話要求を発した発信元情報と通話要求先情報と共に記憶する通信情報記憶手段と、
を備え、
前記通信制御手段は、
前記移動体通信端末と他の通話装置とが通話している間に、前記位置情報取得手段が前記移動体通信端末から前記第2の位置情報を取得した場合、当該移動体通信端末の通信機能をオフ状態にする前に、当該移動体通信端末と前記他の通話装置とに、通話が中断されることを示す通話中断情報を送信することを特徴とする移動体通信端末中継装置。
【請求項2】
前記通信制御手段は、
前記通話中断情報を前記移動体通信端末と前記他の通話装置とへ送信した後、前記位置情報取得手段が前記移動体通信端末から前記第1の位置情報を取得した場合、前記通信情報記憶手段に記憶された通話要求情報に基づいて、前記移動体通信端末の通信機能をオフ状態とする直前のオン状態にして、前記移動体通信端末と他の通話装置とが通話可能な状態に復帰させることを特徴とする請求項1記載の移動体通信端末中継装置。
【請求項3】
前記通信制御手段は、
前記通話中断情報を前記移動体通信端末と前記他の通話装置とへ送信した後、前記位置情報取得手段が前記移動体通信端末から前記第1の位置情報を取得した場合、前記通信情報記憶手段に記憶された通話要求情報に基づいて、前記移動体通信端末の通信機能をオフ状態とする直前のオン状態にするとともに、前記他の通話装置に対して、前記移動体通信端末との通話が可能な状態に復帰したことを示す通話可能情報を送信することを特徴とする請求項1記載の移動体通信端末中継装置。
【請求項4】
前記通信制御手段は、
前記特定エリア内にある移動体通信端末へ他の通話装置から通話要求があった場合、前記位置情報取得手段が、前記移動体通信端末から前記第1の位置情報を取得したことを条件に、当該移動体通信端末の通信機能をオン状態に復帰させるとともに、当該移動体通信端末に対して、前記通信情報記憶手段に記憶された発信元情報を含む通話要求情報を送信することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の移動体通信端末中継装置。
【請求項5】
公衆電話網に無線接続して通信可能な通信部と、
前記公衆電話網を介して他の通話装置から通話要求があった場合、通話要求があったことを示す通話要求情報と当該通話要求を発した発信元情報とを記憶する通信情報記憶部と、
GPS機能を有し、自身の位置情報を取得する位置情報取得部と、
この位置情報取得部により取得した位置情報が、特定エリア外に位置することを示す第1の位置情報の場合は前記通信部の通信機能をオン状態にする一方、取得した位置情報が特定エリア内に位置することを示す第2の位置情報の場合は、前記通信部の通信機能をオフ状態にする通信制御部と、
を備えた移動体通信端末であって、
前記通信制御部は、
前記他の通話装置との通話中に、前記位置情報取得部が前記第2の位置情報を取得した場合、前記通信部の通信機能をオフ状態にする前に、前記他の通話装置に対し、前記通信部を介して通話が中断されることを示す通話中断情報を送信することを特徴とする移動体通信端末。
【請求項6】
前記通話中断情報を前記他の通話装置へ送信した後、前記位置情報取得部が前記第1の位置情報を取得した場合、前記通信制御部は、前記通信部の通信機能をオン状態に復帰させるとともに、前記通信部を介して前記他の通話装置へ通話要求することを特徴とする請求項5記載の移動体通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−253346(P2009−253346A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94912(P2008−94912)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】