説明

移動体通信端末

【課題】 外部装置との間で複数種類の通信インターフェース手段による外部接続通信機能を利用しようとする場合に、その外部接続通信機能の競合の調整を予め設定した内容に応じてより柔軟に行うことができる移動体通信端末を提供する。
【解決手段】 本移動体通信端末20は複数種類の通信インターフェース手段207A〜Dとデータ記憶手段202、203と制御手段201とを備える。制御手段は、複数種類の通信インターフェース手段による外部接続通信機能のいずれか一つが利用されているアクティブ状態にあるときに、その他の種類の通信インターフェース手段による外部接続通信機能の利用を要求する利用開始要求があったとき、データ記憶手段に記憶している競合調整設定データに基づいて、アクティブ状態の外部接続通信機能と利用開始要求の対象になっている外部接続通信機能との競合を調整するように、通信インターフェース手段を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離用の有線又は無線の非公衆通信により外部装置と間で通信可能な携帯電話機等の移動体通信端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の移動体通信端末として、近距離用の有線又は無線の非公衆通信により外部装置との間で通信するための通信インターフェース手段を複数備えたものが知られている。例えば、特許文献1には、Bluetooth(登録商標)の通信インターフェース手段とIrDA(Infrared Data Association)の通信インターフェース手段とを備えた移動体通信端末(携帯端末装置)が開示されている。
【特許文献1】特開2002−353883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載されているような複数の通信インターフェース手段を備えた移動体通信端末において、次のような複数種類の通信インターフェース手段による外部接続機能の間の競合の問題が発生する場合がある。すなわち、複数種類の通信インターフェース手段のいずれか一つによる外部接続機能が利用中のアクティブ状態にあるときに、他の通信インターフェース手段による外部接続機能の利用開始を利用者が更に要求すると、両外部接続機能の間で競合の問題が発生する場合がある。そこで、このような競合が発生することを考慮し、一律に、上記利用開始要求の対象になっている外部接続機能の利用を拒否し、上記先行利用のアクティブ状態にある外部接続通信機能をそのままアクティブ状態に維持するように調整することが考えられる。
しかしながら、上記先行利用のアクティブ状態にある外部接続通信機能と上記利用開始要求の対象の外部接続通信機能との関係によっては、上記競合の問題が発生しない場合もあり得る。そのため、後者の利用開始要求の対象の外部接続通信機能の利用を利用可能であるにもかかわらず一律に拒否することになり、利用者の要求に沿わない結果になってしまう。
【0004】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものである。その目的は、外部装置との間で複数種類の通信インターフェース手段による外部接続通信機能を利用しようとする場合に、その外部接続通信機能の競合の調整を予め設定した内容に応じてより柔軟に行うことができる移動体通信端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、近距離用の有線又は無線の非公衆通信により外部装置との間で通信するための複数種類の通信インターフェース手段を備え、該複数種類の通信インターフェース手段のそれぞれについて少なくとも一種類の外部接続通信機能を利用可能な移動体通信端末であって、該複数種類の通信インターフェース手段による外部接続通信機能の間の競合を調整するための競合調整設定データを記憶するデータ記憶手段と、該複数種類の通信インターフェース手段による外部接続通信機能のいずれか一つが利用されているアクティブ状態にあるときに、その他の種類の通信インターフェース手段による外部接続通信機能の利用を要求する利用開始要求があったとき、該データ記憶手段に記憶している該競合調整設定データに基づいて、該アクティブ状態の外部接続通信機能と該利用開始要求の対象になっている外部接続通信機能との競合を調整するように、該通信インターフェース手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の移動体通信端末において、上記制御手段は、上記競合調整設定データに基づいて、上記アクティブ状態の外部接続通信機能と上記利用開始要求の対象になっている外部接続通信機能とが同時利用可能か否かを判断し、両外部接続通信機能が同時利用可能な場合に、両外部接続通信機能をともにアクティブ状態にするように制御することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1の移動体通信端末において、上記アクティブ状態の外部接続通信機能及び上記利用開始要求の対象になっている外部接続通信機能のいずれかを選択することを利用者に促すように機能競合情報を出力する出力手段と、利用者が優先的に利用する外部接続通信機能を指定するための指定手段とを備え、上記制御手段は、上記競合調整設定データに基づいて、該アクティブ状態の外部接続通信機能と該利用開始要求の対象になっている外部接続通信機能とが択一的に利用可能か否かを判断し、両外部接続通信機能が択一的に利用可能な場合に、該機能競合情報を出力手段で出力し、該指定手段で指定された外部接続通信機能を優先的にアクティブ状態にするように制御することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1の移動体通信端末において、上記制御手段は、上記競合調整設定データに基づいて、上記アクティブ状態の外部接続通信機能が中断できない通信を伴うものであるか否かを判断し、該アクティブ状態の外部接続通信機能が中断できない通信を伴うものである場合に、上記利用開始要求を拒否して上記利用開始要求の対象になっている外部接続通信機能をアクティブにしないで上記アクティブ状態の外部接続通信機能を維持するように制御することを特徴とするものである。
【0006】
なお、上記「移動体通信端末」としては、PDC(Personal Digital Cellular)方式、GSM(Global System for Mobile Communication)方式、TIA(Telecommunications Industry Association)方式等の携帯電話機、IMT(International Mobile Telecommunications)−2000で標準化された携帯電話機、TD−SCDMA(Time Division Synchronous Code Division Multiple Access)方式の一つであるTD−SCDMA(MC:Multi Carrier)方式の携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、自動車電話機等の通話機能を有する電話機が挙げられる。また、この「移動体通信端末」としては、上記電話機のほか、通話機能を有するPDA(Personal Digital Assistance)等の通信端末も挙げられる。
また、上記移動体通信端末と上記外部装置との間でデータ送受信するための近距離用の有線の非公衆通信は、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブルや、10芯又は16芯のインターフェースケーブル等を用いて行うことができる。また、上記近距離用の無線の非公衆通信は、IrDA(Infrared Data Association)で規格された赤外線による無線通信を用いて行ったり、Bluetooth(登録商標。以下同様。)やIEEE802.11等で規格された無線通信を用いて行ったりすることができる。
【0007】
また、上記「外部接続通信機能」は、外部装置との間で行う近距離用の有線又は無線の非公衆通信を利用するものであればよく、特定の機能に限定されない。この「外部接続通信機能」としては、例えばハンズフリー機能やハンドセット機能が挙げられる。ハンズフリー機能は、上記通信を利用して移動体通信端末を触らないで外部装置側から操作し移動体通信端末による電話やデータ通信を利用する機能である。ハンドセット機能は、上記通信を利用して移動体通信端末内で生成された画像や音を外部装置側から出力したり移動体通信端末に対する入力を外部装置側から行ったりする機能である。また、上記「外部接続通信機能」としては、外部装置のモデムとしての処理を実行する機能や、外部装置との間でファイルなどのデータ転送を行う機能も挙げられる。
【0008】
また、上記移動体通信端末における制御は、その移動体通信端末に設けられたコンピュータで所定のプログラムを実行することによって実現することもできる。このコンピュータで用いるプログラムの受け渡しは、デジタル情報としてプログラムを記録したFD,CD−ROM等の記録媒体を用いて行ってもいいし、コンピュータネットワーク等の通信ネットワークを用いて行ってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、同時に利用する可能性がある複数種類の外部接続機能の間の競合を調整するための競合調整設定データを、予めデータ記憶手段に記憶させて設定しておくことができる。そして、複数種類の外部接続通信機能のいずれか一つが利用されているアクティブ状態にあるときに、その他の種類の外部接続通信機能の利用を要求する利用開始要求があったとき、次のように通信インターフェース手段を制御する。すなわち、上記データ記憶手段に予め記憶している競合調整設定データに基づいて、アクティブ状態の外部接続通信機能と利用開始要求の対象になっている外部接続通信機能との競合を調整するように制御する。このように予め設定した競合調整設定データに基づいて、アクティブ状態の外部接続通信機能と利用開始要求の対象になっている外部接続通信機能との競合を調整できる。従って、上記利用開始要求の対象になっている外部接続通信機能を一律に禁止する場合とは異なり、同時利用しようとする複数種類の外部接続通信機能の競合の調整を予め設定した内容に応じてより柔軟に行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明をパーソナルコンピュータ等の外部装置と通信可能な携帯電話機やPHS等の移動体通信端末(以下「移動機」という。)に適用した実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る移動機20と外部装置10とを含む通信システム全体の説明図である。この通信システムの移動機20は、複数種類の近距離用の有線又は無線の非公衆通信により、複数種類の通信インターフェース手段のそれぞれについて少なくとも一種類の外部接続通信機能を利用することができる。
【0012】
上記近距離用の無線の非公衆通信としては、Bluetoothで規格されている所定周波数の電波11を用いたBluetooth通信と、IrDA(Infrared Data Association)で規格されている赤外線12を用いたIrDA通信とを利用することができる。上記Bluetooth通信は、Bluetoothの技術仕様に準拠した無線通信であり、2.4GHzのISM(Industry Science Medical)帯域でスペクトラム拡散方式によって変調された無線電波を用いる。この無線通信を用いると、10m程度離れた機器間において障害物があっても1Mbps又は2Mbps程度の通信速度でノイズや干渉に強い通信を行なうことができる。また、上記IrDA通信は、波長850〜900nmの赤外線を使った通信であり、10m程度以下の距離で離れた機器間において数Mbps〜10数Mbps程度の通信速度で通信を行なうことができる。
なお、上記各種通信のほかに、RS232Cのシリアル通信が可能なUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)通信を行うようにしてもよい。
【0013】
また、上記近距離用の有線の非公衆通信としては、USBケーブル13を用いたUSB通信と、10芯(又は16芯)ケーブル14を用いた多芯ケーブル通信とを利用することができる。
【0014】
表1は、上記複数種類の通信のそれぞれについて利用することができる外部接続通信機能を示している。HF(ハンズフリー)機能は、Bluetoothのハンズフリープロファイルを用い、移動機20を触らないで外部装置10側から移動機20による電話を行う機能である。HS(ヘッドセット)機能は、Bluetoothのヘッドセットプロファイルを用い、移動機20内で生成された画像や音を外部装置10としてのヘッドセットから出力したり、利用者の音声を移動機20に入力したりする機能である。モデム機能は、移動体通信網を介してデータ通信するときに外部装置10のモデムとしての処理を実行する機能である。
また、OBEX(Object Exchange Protocol)機能は、OBEX(Object Exchange Protocol)と呼ばれるプロトコルを使用して外部装置10との間でファイルなどのオブジェクトのデータ転送を行う機能である。この機能を利用することにより、例えば、外部装置10側から、移動機20内のファイルリストを取得したり、移動機20内にファイルを書き込んだり、移動機20内のファイルを外部装置10に読み出したりすることができる。
また、オーディオ入出力機能は、移動機20内で生成された音を外部装置10のイヤホンから出力したり、外部装置10のマイクで受けた利用者の音声を移動機20に入力したり、オーディオ入出力関係のリモート制御を外部装置10側から行ったりする機能である。
【表1】

【0015】
なお、上記移動機20は、移動機20の複数のキーを利用者が操作したときの動作を、外部装置10から実行できる機能を利用可能に構成してもよい。このキーエミュレート機能では、例えば、外部装置10から移動機20に文字情報を一括して送って入力したり、外部装置10でメール本文を作成して移動機20に送って移動機20のメール機能を起動して移動体通信網40のメールサーバ43にメールを送信したりすることができる。また、外部装置10から移動機20を操作し、ダウロードサーバ41からJAVA(登録商標)等のアプリケーションプログラムをダウンロードして移動機20内に保存することもできる。更に、外部装置10から移動機20を操作し、Webサーバ42にアクセスして各種WEBページを閲覧したりすることもできる。
【0016】
図2は移動機20の外観図であり、図3は移動機20のハードウェア構成を示す概略構成図である。この移動機20は、システムバス200、CPU201、RAM202やROM203等からなるデータ記憶手段としてのデータ記憶装置、入力装置204、出力装置205、移動体通信網用通信装置206、複数種類の通信インターフェース手段としての外部接続用インターフェース装置207A〜207Dを備えている。CPU201やRAM202等の構成要素は、システムバス200を介して、互いに各種データや後述のプログラムの命令等のやり取りを行っている。
上記入力装置204は、データ入力キー(テンキー、*キー、#キー)21、通話開始キー22、終話キー23、スクロールキー24、多機能キー25等の複数のキーや、マイク26等から構成されている。この入力装置204は、利用者が優先的に利用する外部接続通信機能を指定するための指定手段としても用いられる。
上記出力装置205は、画像表示手段である液晶ディスプレイ(LCD)27、スピーカ28等から構成されている。この出力装置205は、複数の外部接続通信機能のいずれかを選択することを利用者に促すように機能競合情報を画像情報又は音声情報として出力する出力手段としても用いられる。
上記移動体通信網用通信装置206は、移動体通信網40を介して他の移動機や各種サーバ41、42、43と通信するためのものである。
【0017】
本実施形態の移動機20は、上記複数種類の外部接続用インターフェース装置として、Bluetoothインターフェース装置207Aと、IrDAインターフェース装置207Bと、USBインターフェース装置207Cと、多芯インターフェース装置207Dとを備えている。
Bluetoothインターフェース装置207Aは、アンテナ、無線信号処理部、ベースバンド処理部等を備え、HFP(ハンズフリープロファイル)やHSP(ヘッドセットプロファイル)等の各種プロファイルを用いてBluetooth対応の外部装置10との間でBluetoothによる通信を行う。
IrDAインターフェース装置207Bは、赤外線の発光素子及び受光素子を有する光モジュールやIrDA変調・復調部等を備え、IrDA対応の外部装置10との間でIrDAによる通信を行う。
【0018】
USBインターフェース装置207Cは、USBケーブルの端子が装着されるUSB端子部やUSB信号処理部などを備え、USBの所定通信プロトコルによる通信を行う。このUSBインターフェース装置207Cは、そのUSB端子部にUSBケーブルの端子が装着されると、その装着を検知してイニシャライズ動作を自動実行し、外部装置10との間でUSBの物理的なリンク状態を確立する。
【0019】
多芯インターフェース装置207Dは、多芯ケーブルの端子における所定数(10個又は16個など)の電極に対応する電極を有する多芯ケーブル接続部や信号処理部等を備え、上記オーディオ信号や制御信号を送受信するため通信処理を行う。この多芯インターフェース装置207Dは、その多芯ケーブル接続部に多芯ケーブルのコネクタが装着されると、その装着を検知してイニシャライズ動作を自動実行し、外部装置10との間で多芯ケーブルを介した物理的なリンク状態を確立する。
【0020】
なお、上記外部接続用インターフェース装置の一つとして、外部装置10との間でRS232Cのシリアル通信を行うためのUARTインターフェース装置を備えてもよい。
【0021】
上記RAM202やROM203等からなるデータ記憶装置は、上記複数種類の通信インターフェース装置207A〜207Dによる外部接続通信機能の間の競合を調整するための競合調整設定データを記憶している。この競合調整設定データは移動機20の使用開始前にデータ記憶装置に書き込まれ、利用者が入力装置207のキーを操作して変更することもできる。
【0022】
表2は、本実施形態の移動機20で採用することができる上記競合調整設定の一例を示す一覧表である。表2の左欄に記載している機能は、移動機20でアクティブ状態になっている先行の外部接続通信機能である。「アクティブ状態」の定義については表3に示している。また、表2中の上欄に記載している機能は、左欄の外部接続通信機能がアクティブ状態になっているときに割り込んで使用開始しようとしている後続の外部接続通信機能を示している。また、これらの左欄及び上欄における機能は、「インターフェース装置のデバイス名の記号」−「外部接続通信機能の記号」の表記で記載している。ここで、「BT」はマルチプロファイルを使用可能なBluetoothインターフェース装置を示している。
なお、表2及び表3においては、オプションとして使用することができる「UART−HF」についても記載している。
【0023】
【表2】

【0024】
【表3】

【0025】
表2において、「○」は先行の外部接続通信機能がアクティブ状態のとき後続の外部接続通信機能の割り込みを許容して両方とも同時に使用可能な設定を示している。また、「×」は、先行の外部接続通信機能がアクティブ状態のとき後続の外部接続通信機能の割り込みを禁止し先行の外部接続通信機能のみ使用可能にする設定を示している。また、「UI選択」は、上記後続の外部接続通信機能の割り込みの要求があったとき、機能選択を促す表示や音声案内を出力し、先行の外部接続通信機能及び後続の外部接続通信機能のいずれか一方を利用者が選択して使用する設定を示している。また、「1:○」中の「1」は、アクティブ状態にある先行の外部接続通信機能において音声通信及びデータ通信のいずれも行っていない場合について示している。また、「2:×」中の「2」は、アクティブ状態にある先行の外部接続通信機能において音声通信中又はデータ通信中の場合について示している。
【0026】
上記CPU201等からなる制御部は、上記複数種類の外部接続用インターフェース装置207A〜207Eによる外部接続通信機能のいずれか一つが利用されているアクティブ状態にあるときに、その他の種類の通信インターフェース手段による外部接続通信機能の利用を要求する利用開始要求があったとき、次のように制御する。すなわち、この制御部は、上記データ記憶手段に記憶している表2の一覧表に対応した競合調整設定データに基づいて、アクティブ状態にある先行の外部接続通信機能と、利用開始要求の対象になっている後続の外部接続通信機能との競合を調整するように、外部接続用インターフェース装置207A〜207Eを制御する。
【0027】
上記通信システムの移動機20と通信可能な外部装置10としては、前述のBluetooth通信、IrDA通信、USB通信、10芯(又は16芯)の多芯ケーブル通信、UART通信等の通信の種類に応じて、各通信に対応する外部接続用インターフェース装置を備えたヘッドセット、外部リモコン装置、キーボード装置、プリンター、パーソナルコンピュータ、イヤホン・マイク装置等を用いることができる。
【0028】
図4は、上記通信システムにおいて先行の外部接続通信機能がアクティブ状態のとき後続の外部接続通信機能の割り込みを行ったときの移動機20における処理の一例を示すフローチャートである。この例では、アクティブ状態にある先行の外部接続通信機能がBluetooth通信のハンズフリー機能(BT−HF)である場合について示している。
【0029】
まず、Bluetooth通信のハンズフリー機能(BT−HF)がアクティブ状態にあるとき、他の外部接続通信機能の割り込みをあったときは、その後続の割り込み対象の外部接続通信機能の種類を制御部で判断する(ステップS1〜S2)。
【0030】
ここで、後続の割り込み対象の外部接続通信機能が「BT−モデム」、「USB−モデム」又は「IrDA−モデム」のモデム機能であると制御部で判断した場合は、その後続のモデム機能についてもアクティブ状態にし、先行のBT−HF及び後続のモデム機能の両方ともに同時使用可能にするように制御する(ステップS3)。
【0031】
また、上記ステップS2において、上記後続の割り込み対象の外部接続通信機能が「BT−OBEX」、「USB−OBEX」又は「IrDA−OBEX」のOBEX機能であると制御部で判断した場合は、更に先行のBluetooth通信のハンズフリー機能(BT−HF)において電話通信中又はデータ通信中であるか否かを制御部で判断する(ステップS4)。ここで、先行のBT−HFにおいて電話通信中又はデータ通信中である場合は、後続のOBEX機能の割り込みを禁止し先行のBT−HFのみ使用可能にする(ステップS5)。一方、先行のBT−HFにおいて電話通信及びデータ通信のいずれも行っていない場合は、先行のBT−HF及び後続のOBEX機能の両方ともに同時使用可能にするように制御する(ステップS6)。
【0032】
また、上記ステップS2において、上記後続の割り込み対象の外部接続通信機能が上記モデム機能及び上記OBEX機能のいずれにも該当しない外部接続通信機能、すなわち「BT−HS」、「UART−HF」又は「10芯ケーブル−オーディオ/リモート」であると制御部で判断した場合は、次の「UI選択」の処理を実行するように制御する。この「UI選択」の処理では、先行のBT−HF及び後続の外部接続通信機能のいずれか一方を利用者が選択するように機能選択を促す表示や音声案内を出力する。そして、利用者が入力装置204のキー操作や音声入力で指示した指示内容に基づいて、先行のBT−HF及び後続の外部接続通信機能のいずれか一方のみを使用可能に制御する(ステップS7)。
【0033】
なお、Bluetooth通信のハンズフリー機能(BT−HF)以外の外部接続通信機能がアクティブ状態にある先行機能である場合についても、表2に示す競合調整設定に従って競合を調整するように制御される。
例えば、アクティブ状態にある先行機能が「BT−OBEX」、「USB−OBEX」又は「IrDA−OBEX」のOBEX機能である場合は、後続の外部接続通信機能がいずれであっても、その後続の外部接続通信機能の割り込みを禁止し先行のOBEX機能のみ使用可能にする。
【0034】
以上、本実施形態によれば、同時に利用する可能性がある複数種類の外部接続機能の間の競合を調整するための競合調整設定データを、予めデータ記憶手段に記憶させて設定しておくことができる。そして、複数種類の外部接続通信機能のいずれか一つが利用されているアクティブ状態にあるときに、その他の種類の外部接続通信機能の利用を要求する利用開始要求があったとき、次のように各外部接続用インターフェース装置207A〜207Eを制御する。すなわち、上記データ記憶手段に予め記憶している競合調整設定データに基づいて、アクティブ状態の先行の外部接続通信機能と利用開始要求の対象(割り込み対象)になっている後続の外部接続通信機能との競合を調整するように制御する。このように予め設定した競合調整設定データに基づいて、アクティブ状態の先行の外部接続通信機能と利用開始要求の対象(割り込み対象)になっている後続の外部接続通信機能との競合を調整できる。従って、後続の外部接続通信機能を一律に禁止する場合とは異なり、同時利用しようとする複数種類の外部接続通信機能の競合の調整を予め設定した内容に応じてより柔軟に行うことができる。
【0035】
また、本実施形態では、上記競合調整設定データに基づいて、上記アクティブ状態の先行の外部接続通信機能と上記利用開始要求の対象(割り込み対象)になっている後続の外部接続通信機能とが同時利用可能か否かを判断している。そして、両外部接続通信機能が同時利用可能な場合に、両外部接続通信機能をともにアクティブ状態にするように制御するので、上記利用開始要求の対象(割り込み対象)の外部接続通信機能を一律に禁止する場合とは異なり、より利用者の希望に添うように複数種類の外部接続通信機能の競合の調整を行うことができる。
【0036】
また、本実施形態では、上記競合調整設定データに基づいて、アクティブ状態の先行の外部接続通信機能と利用開始要求の対象(割り込み対象)になっている後続の外部接続通信機能とが択一的に利用可能か否かを判断している。そして、両外部接続通信機能が択一的に利用可能な場合に、先行の外部接続通信機能及び後続の外部接続通信機能のいずれかを選択することを利用者に促すように機能競合情報を出力装置205で出力している。この機能競合情報を確認した利用者が入力装置204で外部接続通信機能を指定すると、その指定した外部接続通信機能を優先的にアクティブ状態にするように制御する。従って、上記先行の外部接続通信機能と後続の外部接続通信機能とが択一的に利用可能なときに、上記利用開始要求の対象(割り込み対象)の外部接続通信機能を一律に禁止する場合とは異なり、より利用者の希望に添うように複数種類の外部接続通信機能の競合の調整を行うことができる。
【0037】
また、本実施形態では、上記競合調整設定データに基づいて、上記アクティブ状態の外部接続通信機能が中断できない通信を伴うものであるか否か、すなわち電話通話の中断や一連のデータ転送時のデータ欠落等を生じるような中断不可の通信を伴うものであるか否かを判断している。そして、アクティブ状態の外部接続通信機能が中断できない通信を伴うものである場合に、上記利用開始要求を拒否して上記利用開始要求の対象になっている外部接続通信機能をアクティブにしないで上記アクティブ状態の外部接続通信機能を維持するように制御する。この制御により、上記アクティブ状態の外部接続通信機能における電話通話が中断されたり一連のデータ転送時のデータ欠落が発生したりするのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システム全体の概略構成の一例を示す説明図。
【図2】同通信システムで用いる移動機の外観図。
【図3】同移動機のハードウェア構成を示す概略構成図。
【図4】同通信システムにおいて先行の外部接続通信機能がアクティブ状態のとき後続の外部接続通信機能の割り込みを行ったときの移動機における処理の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0039】
10 外部装置
11 Bluetooth通信の電波
12 IrDA通信の赤外線
13 USBケーブル
14 10芯(又は16芯)ケーブル
20 移動機
40 移動体通信網
207A Bluetoothインターフェース装置
207B IrDAインターフェース装置
207C USBインターフェース装置
207D 多芯インターフェース装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離用の有線又は無線の非公衆通信により外部装置との間で通信するための複数種類の通信インターフェース手段を備え、該複数種類の通信インターフェース手段のそれぞれについて少なくとも一種類の外部接続通信機能を利用可能な移動体通信端末であって、
該複数種類の通信インターフェース手段による外部接続通信機能の間の競合を調整するための競合調整設定データを記憶するデータ記憶手段と、
該複数種類の通信インターフェース手段による外部接続通信機能のいずれか一つが利用されているアクティブ状態にあるときに、その他の種類の通信インターフェース手段による外部接続通信機能の利用を要求する利用開始要求があったとき、該データ記憶手段に記憶している該競合調整設定データに基づいて、該アクティブ状態の外部接続通信機能と該利用開始要求の対象になっている外部接続通信機能との競合を調整するように、該通信インターフェース手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする移動体通信端末。
【請求項2】
請求項1の移動体通信端末において、
上記制御手段は、上記競合調整設定データに基づいて、上記アクティブ状態の外部接続通信機能と上記利用開始要求の対象になっている外部接続通信機能とが同時利用可能か否かを判断し、両外部接続通信機能が同時利用可能な場合に、両外部接続通信機能をともにアクティブ状態にするように制御することを特徴とする移動体通信端末。
【請求項3】
請求項1の移動体通信端末において、
上記アクティブ状態の外部接続通信機能及び上記利用開始要求の対象になっている外部接続通信機能のいずれかを選択することを利用者に促すように機能競合情報を出力する出力手段と、利用者が優先的に利用する外部接続通信機能を指定するための指定手段とを備え、
上記制御手段は、上記競合調整設定データに基づいて、該アクティブ状態の外部接続通信機能と該利用開始要求の対象になっている外部接続通信機能とが択一的に利用可能か否かを判断し、両外部接続通信機能が択一的に利用可能な場合に、該機能競合情報を出力手段で出力し、該指定手段で指定された外部接続通信機能を優先的にアクティブ状態にするように制御することを特徴とする移動体通信端末。
【請求項4】
請求項1の移動体通信端末において、
上記制御手段は、上記競合調整設定データに基づいて、上記アクティブ状態の外部接続通信機能が中断できない通信を伴うものであるか否かを判断し、該アクティブ状態の外部接続通信機能が中断できない通信を伴うものである場合に、上記利用開始要求を拒否して上記利用開始要求の対象になっている外部接続通信機能をアクティブにしないで上記アクティブ状態の外部接続通信機能を維持するように制御することを特徴とする移動体通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−119847(P2006−119847A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306069(P2004−306069)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(501440684)ボーダフォン株式会社 (654)
【Fターム(参考)】