説明

移動体電話機

【課題】 購買金額の決済に好適な携帯電話機の提供。
【解決手段】 携帯電話機は、送受信部9、制御部10、スピーカー6、表示部5、コードリーダー部11、操作入力部4、マイクロホン3及び記憶部12を備えている。記憶部12は、電話番号メモリ13、暗証データメモリ14及び個人属性メモリ15を備えている。購買者は、商品情報が符号化されたコードをコードリーダー部11によって読み取り、操作入力部4から暗証データを入力する。制御部10は、入力された暗証データとあらかじめ暗証データメモリ14に格納された暗証データとの照合を行う。照合後、送受信部9はアンテナを通じて商品情報、電話番号メモリ13に格納された電話番号及び個人属性メモリ15に格納された個人属性データを携帯電話会社に送信する。送信された情報は、購買金額の決済に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話機、PHS端末(パーソナルハンディホンシステム端末)、自動車電話機、電話機能を備えた小型コンピュータ等の移動体電話機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】購買者が商品を購買する際、店頭において現金の受け渡しが行われることなく購買金額が決済される手段として、クレジットカードやデビットカードが用いられることがある。
【0003】クレジットカードが用いられる場合は、商品を購買する際、購買者が自らを特定するデータ(購買金額を決済する銀行口座を特定するデータ等)を磁気的に記録したクレジットカードを店頭において提示する。店員は、このクレジットカードの磁気的データをカード読み取り機を用いて読み取るとともに、購買金額をカード読み取り機に併設されたキーボードを用いて入力する。また、店員は、購買者が行った署名とクレジットカードに既になされている署名とを照合する。これらの処理が行われた後に、カード読み取り機と公衆電話回線を介して接続された信販会社のコンピュータと、銀行のコンピュータとを含むコンピュータシステムによって、購買金額の振替指示等が行われる。この場合には、店頭における処理と実際の購買金額の支払いとが異なる日に行われる。
【0004】デビットカードが用いられる場合は、商品を購買する際、購買者が自らを特定するデータ(購買金額を決済する銀行口座を特定するデータ等)を磁気的に記録したデビットカードを店頭において提示する。店員は、このデビットカードの磁気的データをカード読み取り機を用いて読み取るとともに、購買金額をカード読み取り機に併設されたキーボードを用いて入力する。そして、購買者が上記のキーボード等を用いて暗証番号を入力する。これらの処理が行われた後に、公衆電話回線を介してカード読み取り機と接続された銀行のコンピュータによって、購買金額の確認や購買金額の即時支払い等が行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】クレジットカードが用いられる場合は、個人を特定するデータがクレジットカードに磁気的に記録されているので、第三者がこのデータを知得することが容易である。また、店頭における署名の照合が確実に行われていないこともあり、照合が行われている場合でも、照合に関する専門的知識がない店員が照合を行うことに起因して照合ミスが生じる可能性がある。さらに、カード読み取り機におけるセキュリティも十分とは言えない。従って、購買者のセキュリティが十分に確保されず、クレジットカードの偽造や不正使用が行われ、不測の損害が発生してしまう可能性がある。
【0006】デビットカードが用いられる場合も、個人を特定するデータがデビットカードに磁気的に記録されているので、第三者がこのデータを知得することが容易である。また、店頭における暗証番号の入力時に第三者がこの暗証番号を知得することも容易である。さらに、カード読み取り機におけるセキュリティも十分とは言えない。従って、デビットカードの偽造や不正使用が行われ、やはり不測の損害が発生してしまう可能性がある。特にデビットカードが用いられる場合は、購買金額の決済が即時に行われるのであるから、ひとたび偽造や不正使用が行われると、これに基づく損害の発生を防止することは殆ど不可能である。
【0007】ところで近年、携帯電話機等の移動体電話機が急速に普及している。この移動体電話機は、個人への帰属性が高い。従って、購買金額の決済にこの移動体電話機が用いられれば、便利である。実際、移動体電話機による購買金額決済方法が、種々提案されつつある。
【0008】本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであり、購買金額の決済に好適な移動体電話機の提供をその目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するためになされた発明は、操作入力部と、暗証データが格納された記憶部と、操作入力部から入力された暗証データと記憶部に格納された暗証データとの一致を判定する制御部とを備えた移動体電話機、である。
【0010】この移動体電話機では、操作入力部から入力された暗証データと記憶部に格納された暗証データとの一致を制御部が判定する。従って、この移動体電話機は、個人の認証が必要なオンライン決済に用いられうる。また、移動体電話機は日常的に利用者に利用されるものなので、もしこの利用者が移動体電話機を紛失しても比較的短期にこれに気づくことが多い。従って、クレジットカードやデビットカードのように利用者が紛失に長期間気づかず、その間に不正使用による損害が大きくなってしまうようなことがない。
【0011】また、上記の目的を達成するためになされた他の発明は、操作入力部と、符号化された商品情報を読み取るためのコードリーダー部と、暗証データが格納された記憶部と、操作入力部から入力された暗証データと記憶部に格納された暗証データとの一致を判定する制御部と、両暗証データの一致を条件として商品情報及び個人特定情報を移動体電話会社に送信する送受信部とを備えた移動体電話機、である。
【0012】この移動体電話機が用いられた購買金額決済方法では、まず商品(サービスも含まれる)を販売する加盟店が、符号化された商品情報(例えば加盟店番号、商品番号等)を提供する。移動体電話機の利用者(購買者でもある)は、コードリーダー部によって商品情報を読み取る。次に利用者は、操作入力部から暗証データを入力する。すると制御部が、入力された暗証データと記憶部に格納された暗証データとの一致を判定する。そして、両暗証データが一致した場合のみ、送受信部が商品情報及び個人特定情報を移動体電話会社に送信する。送信された情報は、後に詳説される購買金額決済に利用される。この移動体電話機は商品情報がコードリーダー部で読み取られるので、商品情報の入力が容易且つ確実である。また、制御部で両暗証データの一致が確認されるので、移動体電話機の不正使用が防止される。また、移動体電話機は日常的に利用者に利用されるものなので、もしこの利用者が移動体電話機を紛失しても比較的短期にこれに気づくことが多い。従って、クレジットカードやデビットカードのように利用者が紛失に長期間気づかず、その間に不正使用による損害が大きくなってしまうようなことがない。さらに、店頭において移動体電話機が他人に触れられることがなく決済がなされるので、暗証データの漏洩もほとんどない。
【0013】個人特定情報の具体例としては、電話番号が挙げられる。個人特定情報は、操作入力部からその都度入力されてもよいが、操作容易の観点から、記憶部に格納されるのが好ましい。
【0014】好ましくは、記憶部に個人属性データが格納される。送受信部は、商品情報、個人特定情報及び個人属性データを移動体電話会社に送信する。移動体電話会社は、購買制限情報又は個人属性に応じて選定される価格に関する情報を保有する。そして、この情報と個人属性データとによって、移動体電話会社が購買制限を決定し、または販売価格を選定する。
【0015】移動体電話機の制御部が、購買制限情報と個人属性データとの対比を行ってもよい。この場合は、個人属性に基づく購買制限情報が、コードリーダー部で読み取られる商品情報に含まれる。制御部は、購買制限の有無を判定する。そして、購買が制限されない場合にのみ送受信部が商品情報及び個人特定情報を移動体電話会社に送信し、決済が行われる。これにより、年齢、性別等の個人属性に基づいて購買が制限される商品の取引も可能である。
【0016】また、上記の目的を達成するためになされたさらに他の発明は、操作入力部と、暗証データが格納された記憶部と、操作入力部から入力された暗証データと記憶部に格納された暗証データとの一致を判定する制御部と、両暗証データの一致を条件として符号化された個人特定情報を表示する表示部とを備えた移動体電話機、である。
【0017】この移動体電話機が用いられた購買金額決済方法では、まず商品(サービスも含まれる)を販売する加盟店の店頭で、利用者(購買者でもある)が操作入力部から暗証データを入力する。すると制御部が、入力された暗証データと記憶部に格納された暗証データとの一致を判定する。そして、両暗証データが一致した場合のみ、表示部が符号化された個人特定情報を表示する。表示された個人特定情報は店頭のコードリーダーで読み取られ、データセンターに送信される。送信された情報は、後に詳説される購買金額決済に利用される。この移動体電話機では制御部で両暗証データの一致が確認されるので、移動体電話機の不正使用が防止される。また、移動体電話機は日常的に利用者に利用されるものなので、もしこの利用者が移動体電話機を紛失しても比較的短期にこれに気づくことが多い。従って、クレジットカードやデビットカードのように利用者が紛失に長期間気づかず、その間に不正使用による損害が大きくなってしまうようなことがない。さらに、店頭において移動体電話機が他人に手渡されることなく決済がなされるので、暗証データの漏洩もほとんどない。
【0018】個人特定情報の具体例としては、電話番号が挙げられる。個人特定情報は、操作入力部からその都度入力されてもよいが、操作容易の観点から、記憶部に格納されるのが好ましい。
【0019】好ましくは、記憶部に個人属性データが格納される。この個人属性データも符号化されて表示部に表示され、店頭で読み取られる。この個人属性データに基づき、購買制限や価格選定がなされうる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、適宜図面が参照されつつ、本発明の実施形態が説明される。
【0021】図1は、本発明の一実施形態にかかる移動体電話機としての携帯電話機1が示された斜視図である。この携帯電話機1は、従来の携帯電話機と同様のメインボディ2と、マイクロホン3と、テンキー等からなる操作入力部4と、液晶ディスプレイ等からなる表示部5と、スピーカー6と、アンテナ7とを備えている。マイクロホン3からは、通話時の音声が入力される。操作入力部4は、暗証データ、相手方電話番号等の入力に用いられる。表示部5には、入力された電話番号、通話相手に関する情報、電波状況等が表示される。スピーカー6からは、発信音、通話相手の音声等が出力される。アンテナ7は、電波の送受信に寄与する。
【0022】この携帯電話機1は、窓部8も備えている。窓部8は、メインボディ2に内蔵されたコードリーダー部(図1には示されず)に連結されている。コードリーダー部からは、窓部8を通じて入射光が発せられる。この入射光は、コード(情報が符号化されたもの)に到達し、反射する。反射光は、窓部8を通じてコードリーダー部に到達する。この反射光により、コードに含まれる商品情報が携帯電話機1にインプットされる。
【0023】コードとしては、バーコード、バーコードが二次元に拡張された二次元コード(例えば特許第2533439号公報、特許第2539744号公報、特許第2539745号公報等に開示されたもの)、これらに色情報が付加されたコード等が挙げられる。また、コードリーダー部の具体例としては、例えばバーコードリーダー、識別コード読み取り装置(例えば特公平8−16915号公報、特公平8−16916号公報、特公平8−21054号公報等に開示されたもの)等が挙げられる。商品情報のインプットがコードリーダー部によってなされるので入力が簡便であり、また入力ミスも防止される。
【0024】この携帯電話機1はメインボディ2に内蔵されたコードリーダー部を備えているが、メインボディ2から突出したコードリーダー部であってもよい。また、メインボディ2からスライドして突出するコードリーダー部であってもよい。さらに、アンテナ7の先端がコードリーダー機能を兼ね備えてもよい。
【0025】図2は、図1の携帯電話機1の構成が示されたブロック図である。この図には、送受信部9、制御部10、スピーカー6、表示部5、コードリーダー部11、操作入力部4、マイクロホン3及び記憶部12が示されている。記憶部12は、電話番号メモリ13、暗証データメモリ14及び個人属性メモリ15を備えている。各メモリ13、14、15は、随意の書き込みが不可能なメモリ(ROM)である。電話番号メモリ13には、利用者の加入電話番号が格納されている。この電話番号は、個人特定情報である。電話番号の格納は、携帯電話機1が利用者に給付される前に、携帯電話会社によって行われる。暗証データメモリ14には、暗証データ(パスワード)が格納されている。この暗証データの格納も、携帯電話機1が利用者に給付される前に、携帯電話会社によって行われる。既定の暗証データが入力された場合にのみこの暗証データの変更が可能なように、携帯電話機1が構成されてもよい。個人属性メモリ15には、性別、生年月日等の個人属性データが格納されている。この個人属性データの格納は、利用者が携帯電話会社との契約時に提出した加入申込書の記載に基づき、携帯電話会社によって行われる。
【0026】図3は、図2の携帯電話機1が用いられた購買金額決済システムが示された概念図である。この図には、携帯電話機1と、携帯電話会社の通話管理コンピュータ16と、銀行の決済処理コンピュータ17と、加盟店18とが示されている。携帯電話機1の利用者は、この購買金額決済システムを利用して商品を購入する購買者である。
【0027】銀行には、購買者の預金口座が開設されている。また、銀行の決済処理コンピュータ17は、預金口座に対する課金指示の保持、課金指示に対応する決済の可否判定、課金指示元に対する決済可否報告等を行う。
【0028】携帯電話会社は電話回線利用サービスを提供しており、購買者は携帯電話会社との契約によってこのサービスを利用している。携帯電話会社の通話管理コンピュータ16の記憶手段(ハードディスク等)には、購買者の電話番号と銀行に開設された預金口座との対応がなされるデータベースが格納されている。このデータベースは、契約時に購買者から携帯電話会社に提出された料金自動支払い依頼書の記載内容に基づいて作成されている。また、通話管理コンピュータ16の記憶手段には、商品番号と価格との対応がなされるデータベースも格納されている。通話管理コンピュータ16の演算手段(CPU等)は、携帯電話機1の発信通話を積算して電話料金を算出し、この電話料金を定期的に銀行の決済処理コンピュータ17に伝送する機能も備えている。すなわち、携帯電話会社に対して支払われるべき購買者の電話料金は、銀行の預金口座から自動的に支払われる。
【0029】加盟店18は、顧客に対して商品を提供している。この加盟店18には、有体物である商品を販売する者のみならず、サービスを提供する者も含まれる。この加盟店18は、加盟料を支払うことによりこのシステムに加盟している。加盟店18は、後に詳説されるように、宅配業者と提携している。加盟店18は、自らが販売する商品の情報を符号化し、コードとして提供している。このコードには、加盟店番号、商品番号等に関する情報が含まれている。コードの提供は、例えばカタログ等によってなされる。
【0030】携帯電話機1と通話管理コンピュータ16とは、秘匿性の高い専用回線19によって接続されている。この専用回線19としては、パケット通信回線(例えばNTTドコモ社の「iモード」)等が挙げられる。通話管理コンピュータ16と決済処理コンピュータ17とは、有線又は無線の専用回線20を介して接続されている。また、決済処理コンピュータ17と加盟店18とも、有線又は無線の回線21(好ましくは専用回線)を介して接続されている。なお、決済処理コンピュータ17と加盟店18との接続は、加盟店18の取引銀行(図示されず)等を介して行われてもよい。
【0031】図4は、図2の携帯電話機1が用いられた購買金額決済方法が示されたフローチャートである。この購買金額決済方法では、まず加盟店18が発行するカタログに記載されたコード(商品情報が符号化されたもの)を、コードリーダー部11によって購買者が読み取る(SP1)。読み取られたデータは図示されないインターフェイスを介して制御部10(CPU等からなる)に送られ、一時的に記憶される。同時に、コードの読み取りが完了したことを示すため、表示部5にコードそのもの又はメッセージが表示されてもよい。次に、購買者は、操作入力部4から暗証データを入力する(SP2)。制御部10は、入力された暗証データとあらかじめ暗証データメモリ14に格納された暗証データとの照合を行う(SP3)。暗証データが一致しない場合は、その旨が携帯電話機1の表示部5に表示され、再入力が促される(SP4)。なお、暗証データの誤入力が所定回数(例えば3回)に達するとその後の入力を阻止するように、携帯電話機1が構成されてもよい。暗証データの照合により、所有者でない者の携帯電話機1の悪用が防止される。また、購買者が暗証データを入力する際には、例えばアスタリスク等の記号によって入力データの桁数のみが表示されるように構成されるのが、暗証データの漏洩防止の観点から好ましい。
【0032】暗証データの正規な入力が行われた後、送受信部9は、アンテナ7及び専用回線19を通じて商品情報を通話管理コンピュータ16に送信する(SP5)。この際、電話番号メモリ13に格納されている購買者の電話番号も、送信される。送信は、携帯電話機1に搭載されたワンプッシュボタン機能によって行われるのが好ましい。このワンプッシュボタンが押されると、商品情報と電話番号とが、一体的に通話管理コンピュータ16に伝送される。もちろん、電話番号が購買者によってその都度入力されてもよい。また、送信前に携帯電話機1の表示部5に商品名等の情報が表示され、購買者がこれを確認した後にワンプッシュボタンによる送信を行うように、携帯電話機1が構成されてもよい。
【0033】電話番号、受注コード等を受信した通話管理コンピュータ16の演算手段は、記憶手段に記憶されたデータベースに基づき、振替データを特定する(SP6)。この振替データには、購買者の預金口座(銀行名、支店名、口座番号等)、加盟店18の支払口座、振替金額(すなわち商品の代金)等が含まれる。購買者の預金口座は、個人特定情報である電話番号に基づいて特定される。次に、通話管理コンピュータ16は、振替データを専用回線を通じて銀行の決済処理コンピュータ17に送信し、振替依頼を行う(SP7)。なお、携帯電話会社の通話管理コンピュータ16ではなく、銀行の決済処理コンピュータ17において、購買者の預金口座、加盟店18の支払口座及び振替金額の特定がなされてもよい。この場合は、通話管理コンピュータ16ではなく、決済処理コンピュータ17の記憶手段にデータベースが用意される。
【0034】振替依頼を受けた決済処理コンピュータ17の演算手段は、購買者の預金口座の残高確認等を行い、これに基づいて振替可否の判定を行う(SP8)。そして、残高不足等の理由によって振替が不可能な場合は、決済処理コンピュータ17が、専用回線20、通話管理コンピュータ16及び専用回線19を通じて携帯電話機1にその旨を通知する(SP9)。振替可能な場合は、決済処理コンピュータ17が振替を指示し、回線21を通じて加盟店18への振替が行われる(SP10)。
【0035】振替完了後、決済処理コンピュータ17は直ちに専用回線20、通話管理コンピュータ16及び専用回線19を通じて振替完了通知を携帯電話機1に送信する(SP11)。これにより、購買者は振替が完了した事実を即座に把握でき、二重決済が防止される。
【0036】振替を確認した加盟店18は、例えば宅配業者に委託して、商品を購買者に向けて発送する(SP12)。発送は、あらかじめ電話番号と関連づけがなされた宛先でもよく、また、商品発注(SP1)の段階で購買者から指定された宛先であってもよい。
【0037】この購買金額決済方法では、通話管理コンピュータ16と決済処理コンピュータ17とが、購買者の電話料金の支払いのためにあらかじめ接続されている。従って、決済のための新たなインフラの整備が不要である。またセキュリティの高い携帯電話機1と専用回線19、20とによって決済がなされるので、安全に取引が行われる。従って、例えばインターネットが利用される電子決済のように、情報の暗号化等の必要が少ない。さらに、携帯電話機1の電話番号メモリ13にあらかじめ格納された電話番号によって個人の特定が行われるので、購買者が口座番号等を入力する手間が省かれる。なお、電話番号以外のデータ(例えば加入ID)等によって個人が特定されてもよい。
【0038】操作入力部4から購買者が購買金額を入力し、この購買金額が商品情報や個人特定情報とともに、携帯電話機1から通話管理コンピュータ16へ送信されてもよい。通話管理コンピュータ16は、入力された購買金額とデータベースに基づいて導出された購買金額との照合を行う。両者が一致したときのみ、決済が行われる。これにより、購買者が錯誤によって意図せぬ高額商品を購入してしまうことが防止される。
【0039】購買者からの購買金額の徴収は、電話料金の自動支払いシステムに関連づけられて行われてもよい。すなわち、電話料金が例えば月額で請求される場合に、この月額に購買金額が加算されてもよい。これによれば、購買者から購買金額を徴収するための新たなシステムの構築が不要である。
【0040】この購買金額決済方法において加盟店18が受けるメリットとしては、(1)このシステムに加盟することによるビジネスチャンスの拡大、(2)店舗等の設備の省略、(3)与信行為が不要となること等が挙げられる。従って、例えば携帯電話会社は、このメリットに見合う加盟料を加盟店18から徴収することも可能である。この加盟料は携帯電話会社の収益とされてもよく、その全部又は一部が購買者の電話料金の割引に回されてもよい。割引は通常、携帯電話機1の使用度数や購買金額決済システムの使用度数に応じて行われる。割引による通話料金の低下は、低所得者や高齢者等への携帯電話機1の普及にも寄与して福祉の向上に役立つので好ましい。
【0041】この購買金額決済方法において携帯電話会社が受けるメリットとしては、携帯電話機1サービスの付加価値の向上が挙げられる。購買金額決済方法と通話サービスと結合により、携帯電話加入者の増加が見込まれる。
【0042】この購買金額決済方法において購買者が受けるメリットとしては、(1)セキュリティの向上により商品購入が安全となること、(2)店頭における現金受け渡しの必要がなくなること、(3)電話料金の割引が受けられること等が挙げられる。
【0043】この購買金額決済方法の手順は、図1及び図2に示されたものには限られない。例えば、決済処理コンピュータ17によって決済可能との判断が出された後、その情報のみが回線を通じて加盟店18に送信されてもよい。この場合は、購買者の口座から加盟店18への振替は、商品の提供後に行われる。
【0044】商品情報としてのコードの提供は、カタログ以外の手段で行われてもよい。例えば加盟店18の店頭で行われてもよく、自動販売機に表示されてもよく、施設や有料道路のゲートで行われてもよい。また、符号化されたコードではなく商品番号の形で、商品情報が提供されてもよい。この場合は、コードリーダー部11ではなく、例えば操作入力部4から商品情報が入力される。
【0045】携帯電話会社と銀行とが、一体となってもよい。この場合は、一体となった会社、すなわち銀行機能を備えた携帯電話会社に購買者の預金口座が開設される。また、物流と金融とを統括する機能を備えたシステムセンターが設立されてもよい。このシステムセンターは、銀行から金融情報を、携帯電話会社から電話番号等の情報を、そして加盟店18から商品情報を得る。本明細書では、銀行機能を備えた携帯電話会社やシステムセンターも含め、「携帯電話会社」と総称される。さらに、携帯電話会社、加盟店18及び銀行と回線で接続されたデータセンターが設立され、このデータセンターを介して決済が行われてもよい。
【0046】商品情報が、個人属性(年齢、性別等)に基づく購買制限情報を含んでもよい。購買制限の一例としては、未成年者に対するたばこ購買の制限が挙げられる。個人属性メモリ15には個人属性データとして生年月日が格納されているので、この生年月日に基づいて制御部10が購買者の年齢を算出する。そして、購買者が購買制限に該当するか否か(例えば成人か未成年者か)を判定する。そして、購買者が購買制限に該当しない場合のみ、商品情報等が通話管理コンピュータ16へ送信される。購買制限に該当する場合は、商品情報等の通話管理コンピュータ16への送信が阻止される。これにより、カタログ販売、自動販売機による販売等の、購買者が店頭で店員と対面しない流通形態であっても、携帯電話機1の悪用が防止される。
【0047】送受信部9が商品情報、個人特定情報及び個人属性データを通話管理コンピュータ16に送信し、通話管理コンピュータ16が購買制限情報と個人属性データとの対比を行ってもよい。この場合は、商品番号及び個人属性と関連づけられた購買制限情報のデータベースが、通話管理コンピュータ16に格納される。または、コードリーダー部11で読み取られた商品情報に購買制限情報が含まれ、この購買制限情報がその都度通話管理コンピュータ16に送信される。購買制限に該当する場合は、その旨の通知が専用回線19を通じて携帯電話機1に送信される。
【0048】通話管理コンピュータ16が、個人属性に応じて選定される価格に関する情報(以下、「価格選定情報」とも称される)を保有してもよい。価格選定情報の具体例としては、高齢者に対する販売価格の割引情報、身体障害者に対する販売価格の割引情報、女性に対する販売価格の割引情報等が挙げられる。価格選定情報は、通話管理コンピュータ16にデータベースとしてあらかじめ格納されてもよく、コードリーダー部11で読み取られた商品情報に含まれてもよい。通話管理コンピュータ16は、価格選定情報と携帯電話機1から送信された個人属性データに基づき、個人属性に応じた決済金額を選定する。
【0049】図5は、本発明の他の実施形態にかかる携帯電話機22の構成が示されたブロック図である。この携帯電話機22は、図2に示された携帯電話機1と同様の送受信部9、制御部10、スピーカー6、操作入力部4、マイクロホン3及び記憶部12を備えている。記憶部12は、電話番号メモリ13、暗証データメモリ14及び個人属性メモリ15を備えている。各メモリ13、14、15は、随意の書き込みが不可能なメモリ(ROM)である。電話番号メモリ13には、利用者の加入電話番号が格納されている。この電話番号は、個人特定情報である。電話番号の格納は、携帯電話機が利用者に給付される前に、携帯電話会社によって行われる。暗証データメモリ14には、暗証データ(パスワード)が格納されている。この暗証データの格納も、携帯電話機22が利用者に給付される前に、携帯電話会社によって行われる。既定の暗証データが入力された場合にのみこの暗証データの変更が可能なように、携帯電話機22が構成されてもよい。個人属性メモリ15には、性別、生年月日等の個人属性データが格納されている。この個人属性データの格納は、利用者が携帯電話会社との契約時に提出した加入申込書の記載に基づき、携帯電話会社によって行われる。
【0050】この携帯電話機22は、表示部23も備えている。表示部23は、コード表示機能を備えている。コードとしては、前述のバーコード、バーコードが二次元に拡張された二次元コード、これらに色情報が付加されたコード等が挙げられる。
【0051】図6は、図5の携帯電話機22が用いられた購買金額決済システムが示された概念図である。この図には、携帯電話機22と、加盟店24と、データセンターの口座特定コンピュータ25と、銀行の決済処理コンピュータ26とが示されている。携帯電話機22の利用者は、この購買金額決済システムを利用して商品を購入する購買者である。
【0052】銀行には、購買者の預金口座が開設されている。また、銀行の決済処理コンピュータ26は、預金口座に対する課金指示の保持、課金指示に対応する決済の可否判定、課金指示元に対する決済可否報告等を行う。
【0053】データセンターの口座特定コンピュータ25には、購買者の電話番号と銀行に開設された預金口座との対応がなされるデータベースが格納されている。このデータベースは、契約時に購買者から携帯電話会社(図示されず)に提出された料金自動支払い依頼書の記載内容に基づいて作成されている。また、口座特定コンピュータ25には、加盟店コードと加盟店24の支払口座との対応がなされるデータベースも格納されている。
【0054】加盟店24は、顧客に対して商品を提供している。この加盟店24には、有体物である商品を販売する者のみならず、サービスを提供する者も含まれる。この加盟店24は、加盟料を支払うことによりこのシステムに加盟している。加盟店24は、POS端末を有している。このPOS端末は、携帯電話機22の表示部23に表示されるコードを読み取るためのコードリーダーを備えている。
【0055】加盟店24と口座特定コンピュータ25とは、有線又は無線の回線27(好ましくは専用回線)を介して接続されている。また、口座特定コンピュータ25と決済処理コンピュータ26とも、有線又は無線の回線28(好ましくは専用回線)を介して接続されている。
【0056】図7は、図5の携帯電話機22が用いられた購買金額決済方法が示されたフローチャートである。この購買金額決済方法では、まず購買者が購買する商品の価格が、加盟店24のPOS端末に入力される(SP1)。この価格に同意した購買者は、自らの携帯電話機22の操作入力部4(テンキー)を操作し、暗証データを入力する(SP2)。制御部10は、入力された暗証データとあらかじめ暗証データメモリ14に格納された暗証データとの照合を行う(SP3)。暗証データが一致しない場合は、その旨が携帯電話機22の表示部23に表示され、再入力が促される(SP4)。なお、暗証データの誤入力が所定回数(例えば3回)に達するとその後の入力を阻止するように、携帯電話機22が構成されてもよい。暗証データの照合により、所有者でない者の携帯電話機22の悪用が防止される。また、購買者が暗証データを入力する際には、例えばアスタリスク等の記号によって入力データの桁数のみが表示されるように構成されるのが、暗証データの漏洩防止の観点から好ましい。
【0057】暗証データの正規な入力が行われると、電話番号メモリ13に格納されている購買者の電話番号が、表示部23にコード表示される(SP5)。もちろん、電話番号が購買者によってその都度入力されてもよい。加盟店24の店員は、コードリーダーにより表示部23のコードを読み取る(SP6)。読み取られた電話番号(すなわち個人特定情報)は、商品価格及び加盟店コードと共に、回線27を通じて口座特定コンピュータ25に送信される(SP7)。
【0058】口座特定コンピュータ25の演算手段(CPU)は、記憶手段(ハードディスク等)に記憶されたデータベースに基づき、振替データを特定する(SP8)。この振替データには、購買者の預金口座(銀行名、支店名、口座番号等)、加盟店24の支払口座、振替金額(すなわち商品の価格)等が含まれる。購買者の預金口座は、個人特定情報である電話番号に基づいて特定される。加盟店24の支払い口座は、加盟店コードに基づいて特定される。
【0059】次に、口座特定コンピュータ25は、振替データを回線28を通じて銀行の決済処理コンピュータ26に送信し、振替依頼を行う(SP9)。振替依頼を受けた決済処理コンピュータ26の演算手段は、購買者の預金口座の残高確認等を行い、これに基づいて振替可否の判定を行う(SP10)。そして、残高不足等の理由によって振替が不可能な場合は、決済処理コンピュータ26が回線28、27を通じて加盟店24にその旨を通知する(SP11)。振替可能な場合は、決済処理コンピュータ26が、加盟店24の銀行(図示されず)への振替を指示し、振替が行われる(SP12)。
【0060】振替完了後、決済処理コンピュータ26は直ちに回線28、27を通じて振替完了通知を加盟店24に送信する(SP13)。これにより、加盟店24の店員は、その場で購買者に商品を手渡す。
【0061】この購買金額決済方法では、セキュリティの高い回線27、28を通じて決済がなされるので、安全に取引が行われる。従って、例えばインターネットが利用される電子決済のように、情報の暗号化等の必要が少ない。
【0062】電話番号以外のデータ(例えば加入ID)等によって個人が特定されてもよい。また、暗証データの入力とともに、銀行口座のパスワードが操作入力部4から入力されるように、携帯電話機22が構成されてもよい。
【0063】操作入力部4から購買者が購買金額を入力し、この購買金額と店員がPOS端末に入力した購買金額とが一致したときのみ、決済が行われるようにシステムが構成されてもよい。これにより、購買者が錯誤によって意図せぬ高額商品を購入してしまうことが防止される。
【0064】個人属性メモリ15に格納された個人属性データが、符号化されて表示部23に表示されてもよい。この個人属性データも、コードリーダーによってPOS端末に読み込まれる。読み込まれた個人属性データに基づき、購買制限や価格の選定がなされうる。
【0065】以上、携帯電話機が一例とされて本発明が詳説されたが、PHS端末、自動車電話機、電話機能を備えた小型コンピュータ等の移動体電話機も、同様の購買金額決済に用いられうる。
【0066】
【発明の効果】以上説明されたように、本発明の移動体電話機は、オンラインによる購買金額の決済に好適である。この移動体電話機が用いられた購買金額決済方法は、取引の安全性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる移動体電話機としての携帯電話機が示された斜視図である。
【図2】図2は、図1の携帯電話機の構成が示されたブロック図である。
【図3】図3は、図2の携帯電話機が用いられた購買金額決済システムが示された概念図である。
【図4】図4は、図2の携帯電話機が用いられた購買金額決済方法が示されたフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の他の実施形態にかかる携帯電話機の構成が示されたブロック図である。
【図6】図6は、図5の携帯電話機が用いられた購買金額決済システムが示された概念図である。
【図7】図7は、図5の携帯電話機が用いられた購買金額決済方法が示されたフローチャートである。
【符号の説明】
1、22・・・携帯電話機
2・・・メインボディ
3・・・マイクロホン
4・・・操作入力部
5、23・・・表示部
6・・・スピーカー
7・・・アンテナ
8・・・窓部
9・・・送受信部
10・・・制御部
11・・・コードリーダー部
12・・・記憶部
13・・・電話番号メモリ
14・・・暗証データメモリ
15・・・個人属性メモリ
16・・・通話管理コンピュータ
17、26・・・決済処理コンピュータ
18、24・・・加盟店
19、20、21、27、28・・・回線(専用回線)
25・・・口座特定コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 操作入力部と、暗証データが格納された記憶部と、操作入力部から入力された暗証データと記憶部に格納された暗証データとの一致を判定する制御部とを備えた移動体電話機。
【請求項2】 操作入力部と、符号化された商品情報を読み取るためのコードリーダー部と、暗証データが格納された記憶部と、操作入力部から入力された暗証データと記憶部に格納された暗証データとの一致を判定する制御部と、両暗証データの一致を条件として商品情報及び個人特定情報を移動体電話会社に送信する送受信部とを備えた移動体電話機。
【請求項3】 上記送受信部で送信される個人特定情報が電話番号であり、この電話番号が記憶部に格納されている請求項2に記載の移動体電話機。
【請求項4】 上記記憶部に個人属性データが格納されており、送受信部が商品情報、個人特定情報及び個人属性データを移動体電話会社に送信するように構成された請求項2又は請求項3に記載の移動体電話機。
【請求項5】 上記商品情報が個人属性に基づく購買制限情報を含んでおり、上記記憶部に個人属性データが格納されており、購買制限情報と個人属性データとの対比を制御部が行って購買が制限されない場合にのみ送受信部が商品情報及び個人特定情報を移動体電話会社に送信するように構成された請求項2又は請求項3に記載の移動体電話機。
【請求項6】 操作入力部と、暗証データが格納された記憶部と、操作入力部から入力された暗証データと記憶部に格納された暗証データとの一致を判定する制御部と、両暗証データの一致を条件として符号化された個人特定情報を表示する表示部とを備えた移動体電話機。
【請求項7】 上記個人特定情報が電話番号であり、この電話番号が記憶部に格納されている請求項6に記載の移動体電話機。
【請求項8】 上記記憶部に個人属性データが格納されており、符号化された個人属性データが表示部に表示されるように構成された請求項6又は請求項7に記載の移動体電話機。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【公開番号】特開2002−176671(P2002−176671A)
【公開日】平成14年6月21日(2002.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−358740(P2000−358740)
【出願日】平成12年11月27日(2000.11.27)
【出願人】(500182253)
【Fターム(参考)】