説明

移動経路探索システム及び方法、移動経路探索サーバ、移動経路探索プログラム

【課題】 2点間の移動頻度が高いユーザが利用している最適な移動経路を探索して、移動端末のナビゲーションを的確に行なう移動経路探索システムを提供する。
【解決手段】 端末が出発地点と目的地点の2点間を移動するための経路を探索する移動経路探索システムにおいて、不特定の端末が移動した移動経路、同一の端末による前記移動経路の利用頻度及び前記端末を識別する識別情報を収集する情報収集部3aと、前記情報収集部3aが収集した前記識別情報に対応させて、端末による前記移動経路の利用頻度の情報を履歴情報として保有する履歴情報管理部3bと、移動経路の探索指令に基づいて、前記履歴情報管理部から前記履歴情報を読み出して、端末が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて移動経路を探索する探索部3cを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末のナビゲーションを行なう際の移動経路探索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車及び携帯電話端末のユーザに対してナビゲーションを行うために、移動経路の探索サービスが普及している。本サービスの技術的なコアとなるのは、ユーザに提示する移動経路の探索方法であり、これまでに様々な技術が提案され実用化されている。
【0003】
基本的な方法としては、交差点間の距離や混雑度に応じて交差点間のリンクに重み付けを行ない、出発地と目的地の2点間を移動する時にリンクの総重みが最小となるような経路を探索する方法が知られている(特許文献1)。また、車両が実際に移動した経路情報を収集し、出発地と目的地の2点間を移動した車両の経路情報を抽出し、多くの車両が利用した経路を経路探索結果として用いる方式が提案されている(特許文献2)。
【0004】
本方式を用いることにより、地図情報などから推測することが難しい抜け道のような、実際に良く使われている経路を探索結果として出力することが可能になるとされている。
【特許文献1】特開2000−46575号
【特許文献2】特許3551241号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した技術を用いることにより、多くのユーザが利用した経路を探索することは可能になる。
【0006】
ところで、特許文献1及び特許文献2においては、多くのユーザが利用した経路を探索するものであるから、同一のユーザが2点間を例えば10回移動した情報と、例えば10人のユーザが2点間を1回ずつ移動した情報とは、同一に取り扱われている。
【0007】
自動車は、一般的に2点間における移動手段として用いられるものであるから、ユーザ、すなわちドライバは出発地点を出発して目的地点に如何に早く辿り着くかに腐心しているのであり、同一のドライバが2点間を10回移動した経路は、2点間を移動する際に最適な移動経路であると考えられる。しかしながら、10人のドライバが1回ずつ移動した経路は、各ドライバが地理に明るく、それぞれの目的でスムーズに移動した場合に加えて、地理に不案内な各ドライバが道に迷って移動した場合も含まれるのである。
【0008】
実際には、2点間の移動頻度の高いユーザが最適な経路を利用している確率が高いと考えられるので、そのユーザによる経路情報を優先して利用すべきであるが、特許文献の技術では、2点間を1度しか通らないようなユーザが多い環境においては、必ずしも移動頻度の高いユーザが利用している経路が選択されないという課題がある。
【0009】
本発明の目的は、2点間の移動頻度が高いユーザが利用している最適な移動経路を探索して、移動端末のナビゲーションを的確に行なう移動経路探索システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明に係る移動経路探索システムは、端末が出発地点と目的地点の2点間を移動するための経路を探索する移動経路探索システムを対象とするものであり、
不特定の端末が移動した移動経路、同一の端末による前記移動経路の利用頻度及び前記端末を識別する識別情報を収集する情報収集部と、
前記情報収集部が収集した前記識別情報に対応させて、端末による前記移動経路の利用頻度の情報を履歴情報として保有する履歴情報管理部と、
移動経路の探索指令に基づいて、前記履歴情報管理部から前記履歴情報を読み出して、端末が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて移動経路を探索する探索部を有することを特徴とするものである。
【0011】
前記本発明に係る移動経路探索システムを用いて、
不特定の端末が移動した移動経路、同一の端末による前記移動経路の利用頻度及び前記端末を識別する識別情報を収集する情報収集ステップと、
前記情報収集部が収集した前記識別情報に対応させて、端末による移動経路の利用頻度履歴を作成する履歴作成ステップと、
前記利用頻度履歴のデータに基づいて、端末が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて、最適な移動経路を探索する探索ステップを実行することにより、最適な移動経路の探索を行う。
【0012】
前記履歴作成ステップにおいて、前記端末毎に前記利用頻度履歴を作成し、前記探索部を用いて、前記端末毎の利用頻度情報に基づいて、前記最適な移動経路を探索するようにしてもよいものである。
【0013】
前記探索部は、探索指令を入力した自端末に対応する前記利用頻度情報に加えて、これ以外の他端末に対応する前記利用頻度情報を含めて、前記最適な移動経路を探索するようにしてもよい。この場合、前記探索部は、前記自端末の利用頻度情報と前記他端末の利用頻度情報を比較し、利用頻度の高い履歴情報を優先して、前記最適な移動経路を探索することが望ましいものである。
【0014】
また、本発明の移動経路探索システムに用いる移動経路探索サーバは、
不特定の端末が移動した移動経路、同一の端末による前記移動経路の利用頻度及び前記端末を識別する識別情報を収集する情報収集部と、
前記情報収集部が収集した前記識別情報に対応させて、端末による前記移動経路の利用頻度の情報を履歴情報として保有する履歴情報管理部と、
移動経路の探索指令に基づいて、前記履歴情報管理部から前記履歴情報を読み出して、端末が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて移動経路を探索する探索部を有する構成として構築する。この場合、前記サーバには、移動経路の探索指令に基づいて、前記履歴情報管理部から履歴情報を読み出して、端末が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて、最適な移動経路を探索する探索部を付加した構成としてもよいものである。
【0015】
以上の説明では、本発明に係る移動経路探索サーバをハードウエアとして構成したが、これに限られるものではなく、ソフトウエアとして構成してもよいものである。この場合、本発明に係る移動経路探索プログラムは、移動経路を移動するための端末との間に情報の遣り取りを行う移動経路探索サーバを構成するコンピュータに、
不特定の端末が移動した移動経路、同一の端末による前記移動経路の利用頻度及び前記端末を識別する識別情報を収集させる機能と、
前記情報収集部が収集した前記識別情報に対応させて、端末による前記移動経路の利用頻度の情報を履歴情報として保有させる機能を実行させる実行させる構成として構築する。
【0016】
また、移動経路の探索指令に基づいて、前記履歴情報管理部から前記履歴情報を読み出して、端末が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて移動経路を探索させる機能を付加して、前記コンピュータに実行させる構成としてもよいものである。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、不特定の端末が移動した移動経路、同一の端末による前記移動経路の利用頻度及び前記端末を識別する識別情報を収集し、前記収集した前記識別情報に対応させて、端末による移動経路の利用頻度履歴を作成し、前記利用頻度履歴のデータに基づいて、端末が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて、最適な移動経路を探索するため、より適切な経路を選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
本発明の実施形態を説明する前に、現在の交通システムについて考察する。交通システムは、道路上における車両の運行を円滑に行うために確立したものである。このことを考慮すると、車両の交通量が道路の通行容量をオーバしないようにコントロールすることに主眼があると考えられる。したがって、道路の要所にセンサを設け、その道路上を通行する車両の交通量を監視し、その交通量に応じて信号機により、道路上における車両の交通量が適正になるようにコントロールしているものと考えられる。
【0020】
以上の考えに基づけば、道路上での車両の適正な運行を図るためには、どの車両がどこを走行しているかは問題ではなく、何台の車両が道路上を走行しているかが重要であり、現在の交通システムは、道路上を走行する車両の台数をカウントすることに特化されていると考えられる。
【0021】
このことは、上述した特許文献1及び2からも明らかである。すなわち、前記特許文献1及び特許文献2においては、多くのユーザが利用した経路を探索しており、同一のユーザが2点間を例えば10回移動した情報と、例えば10人のユーザが2点間を1回ずつ移動した情報とを同一に取り扱っていることからしても明らかである。
【0022】
この考えを踏襲すれば、繰り返しになるが、上述したような問題が生じる。すなわち、同一のドライバが2点間を10回移動した経路は、2点間を移動する際に最適な移動経路であると考えられるが、10人のドライバが1回ずつ移動した経路は、各ドライバが地理に明るく、それぞれの目的でスムーズに移動した場合に加えて、地理に不案内な各ドライバが道に迷って移動した場合も含まれるのである。そのため、実際には、2点間の移動頻度の高いユーザが最適な経路を利用している確率が高いと考えられるので、そのユーザによる経路情報を優先して利用すべきであるが、特許文献の技術では、2点間を1度しか通らないようなユーザが多い環境においては、必ずしも移動頻度の高いユーザが利用している経路が選択されないという課題がある。
【0023】
発想の転換を図るために、本発明においては、出発地点と目的地点の2点間の移動頻度の高いユーザは最適な経路を利用している確率が高いと考えたのである。そして、この考えを実行に移すために、ナビゲーションのサービスを受けるユーザが保有する端末は、当該端末の位置情報に加えて、複数の端末を識別する識別情報を定期的に出力する機能を有していることに着目したのである。本発明は、前記複数の情報を総合して、探索対象の道路上におけるユーザのうち移動頻度の高いユーザが利用している経路を探索する、すなわち、端末が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて最適な移動経路の探索を実行することを意図したものである。
【0024】
以上の発想に基づいて構成された本発明の実施形態に係る移動経路探索システムは基本的構成として、端末が出発地点と目的地点の2点間を移動するための経路を探索する移動経路探索システムを対象とするものであって、不特定の端末が移動した移動経路、同一の端末による前記移動経路の利用頻度及び前記端末を識別する識別情報を収集する情報収集部と、前記情報収集部が収集した前記識別情報に対応させて、端末による前記移動経路の利用頻度の情報を履歴情報として保有する履歴情報管理部と、移動経路の探索指令に基づいて、前記履歴情報管理部から前記履歴情報を読み出して、端末が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて移動経路を探索する探索部を有することを特徴とするものである。
【0025】
次に、前記端末として無線端末を用い、前記情報収集部,前記履歴情報管理部及び前記探索部の機能を通信網に接続した移動経路探索サーバに実行させる構成として構築した例を、具体的な実施形態として説明する。
【0026】
図1に示す本実施形態においては、無線端末1,1,1・・・1は、ナビゲーションサービスを利用するユーザが携帯する、或いはユーザが使用する車両搭載されている。移動経路探索サーバ3は、通信網2を通して前記無線端末1,1,1・・・1との間に情報の遣り取りを行う。また、無線端末1,1,1・・・1は、無線電波を利用して、通信網2を介して移動経路探索サーバ3との間に情報の遣り取りを行う。
【0027】
前記無線端末1,1,1は、当該無線端末の位置情報、及び複数の無線端末間を識別する識別情報を定期的に通信網2に通して前記移動経路探索サーバ3に出力する機能を有している。
【0028】
前記移動経路探索サーバ3は図2に示すように、情報収集部3aと、履歴情報管理部3bと、探索部3cとを有している。また、前記移動経路探索サーバ3は、入力部3dと、出力部3eとを付加している。なお、前記入力部3d又は前記出力部3eの少なくとも一方を無線端末1,1,1,・・・1に設けてもよいものである。
【0029】
図3は、実際の道路地図を電子化した地図データを示すものであり、この地図データには、実際の道路に対応して、道路を識別するIDであるR,R´、R,R´、・・・R,R´が付されている。R,R・・・Rは、上り方向の道路を指し示すIDであり、R´,R´・・・R´は、下り方向の道路を指し示すIDである。
【0030】
また、図3の地図データ上の道路R,R´、R,R´、・・・R,R´に対応する実際の道路上には、無線端末1,1・・・1が出力する位置情報及び識別情報を取得し、後述する探索結果を各無線端末に出力するなどの情報の遣り取りを行うための通信網2の基地局Tが、道路の上り方向と下り方向とにそれぞれ設置されている。
【0031】
前記情報収集部3aは、移動経路を移動する不特定の端末1,1・・・1が定期的に出力する位置情報及び識別情報を通信網2の基地局Tから受け取り、これらの情報と図3に示す地図データを用いて、それぞれの不特定の端末1,1・・・1が移動する道路が、IDが付されたどの道路であって、その移動方向が上り方向(R〜R)又は下り方向(R´〜R´)のいずれであるかを判断する。そして前記情報収集部3aは、個々の端末1,1・・・1を識別するための前記識別情報と、不特定の端末1,1・・・1が移動している道路(R〜R、R´〜R´、移動経路)の情報と、その移動方向が上り方向(R〜R)又は下り方向(R´〜R´)のいずれであるかの情報を履歴情報管理部3bに出力する機能を有している。
【0032】
前記履歴情報管理部3bは、前記情報収集部3aからの情報に基づいて、端末1,1・・・1を識別するための識別情報に対応させて、道路毎に各端末による移動経路の利用頻度の情報を逐次作成し、前記利用頻度の情報の履歴を記憶し、更新する機能を有している。前記利用頻度の情報履歴を更新する際には、古い記憶情報に新しい記憶情報を上書きして更新する、或いは古い記憶情報を残したまま新しい記憶情報に更新するようにしてもよいものである。
【0033】
前記履歴情報管理部3bの機能を具体的に説明する。前記履歴情報管理部3bは、前記情報収集部3aから各種の情報を受け取る。これらの情報には、個々の端末1,1・・・1を識別するための前記識別情報と、端末1,1・・・1が移動している道路(R〜R、R´〜R´、移動経路)の情報と、その移動方向が上り方向(R〜R)又は下り方向(R´〜R´)のいずれであるかの情報が含まれている。
【0034】
前記履歴情報管理部3bは、前記情報収集部3aからの情報に基づいて、端末1,1・・・1を識別するための識別情報に対応させて、道路毎に各端末による移動経路の利用頻度の情報を逐次作成し、前記利用頻度に関する情報の履歴をテーブル形式で管理する。具体的に説明すると、前記履歴情報管理部3bは図4に示すテーブル上において、端末を識別するための識別情報である“端末1”、“端末1”・・・“端末1”に対応させて、端末が移動した道路R〜R,R´〜R´を分類し、さらに端末1、端末1・・・端末1が道路R〜R,R´〜R´を利用した回数(利用頻度)をカウントする。そして、前記履歴情報管理部3bは図4に示すように、端末1,1・・・1を識別するための識別情報に対応させて、端末1〜1毎に、移動経路(R〜R、R´〜R´)の情報、及び利用頻度の情報をテーブルに集計する。
【0035】
前記探索部3cは、移動経路の探索指令に基づいて、前記履歴情報管理部3bから図4に示す前記履歴情報を読み出して、端末1,1・・・1が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて、最適な移動経路を探索する機能を有している。
【0036】
具体的に説明すると、ユーザが無線端末を使って交通システムのオペレータに移動経路の探索サービスを受ける旨を連絡すると、交通システムのオペレータは、ユーザから要求された探索対象の移動経路に関する情報を入力部3dから探索部3cに出力する。入力部3から移動経路の探索指令を受け取ると、前記探索部3cは、前記履歴情報管理部3bから図4に示す前記履歴情報を読み出す。前記探索部3cは、前記入力部3dから入力された移動経路を図3に示す地図データから探索する。この探索対象の移動経路は、出発地点D1から目的地点D2に至る移動経路であるとする。探索部3cは、出発地点D1から目的地点D2に至る移動経路を成立させる道路R〜R,R´〜R´の組み合わせを選択する。前記探索部3cは、前記選択した道路R〜R,R´〜R´毎に、その選択した道路を走行したことがある端末11〜1nと、その端末が前記選択された道路を利用した回数(利用頻度)を図5に示すようなテーブル形式で分類し、端末1,1・・・1が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて、最適な移動経路を探索する機能を有している。
【0037】
前記探索部3cは、前記端末毎の利用頻度情報に基づいて、前記最適な移動経路を探索しており、上述したように、探索指令を入力した自端末に対応する前記利用頻度情報に加えて、これ以外の他端末に対応する前記利用頻度情報を含めて、前記最適な移動経路を探索する。さらに、前記探索部3cは、前記自端末の利用頻度情報と前記他端末の利用頻度情報を比較し、利用頻度の高い履歴情報を優先して、前記最適な移動経路を探索するようになっている。
【0038】
前記出力部3eは、探索部3cから探索結果である最適な移動経路の情報を受け取ると、その情報を通信網2の基地局Tに通して、ナビゲーションサービスの要求を出力した端末1〜1の出力する機能を有している。
【0039】
次に、本発明の実施形態に係る移動経路探索サーバ2の制御の下にナビゲーションのサービスを提供する方法について説明する。
【0040】
本発明の実施形態に係るナビゲーションのサービスを提供するにあたっては、情報収集部3aのよる情報収集と、履歴情報管理部3bによる利用頻度情報の管理とを逐次実行させる。
【0041】
すなわち、情報収集部3aは、移動経路を移動する端末1,1・・・1が定期的に出力する位置情報及び識別情報を通信網2の基地局Tから受け取り、これらの情報と図3に示す地図データを用いて、それぞれの端末1,1・・・1が移動する道路が、IDが付されたどの道路であって、その移動方向が上り方向(R〜R)又は下り方向(R´〜R´)のいずれであるかを判断する。そして前記情報収集部3aは、個々の端末1,1・・・1を識別するための前記識別情報と、端末1,1・・・1が移動している道路(R〜R、R´〜R´)の情報と、その移動方向が上り方向(R〜R)又は下り方向(R´〜R´)のいずれであるかの情報を履歴情報管理部3bに出力する。
【0042】
履歴情報管理部3bは、情報収集部3aからの情報に基づいて、端末1,1・・・1を識別するための識別情報に対応させて、道路毎に各端末による移動経路の利用頻度の情報を逐次作成し、前記利用頻度の情報の履歴を記憶し、更新する。履歴情報管理部3bの機能を具体的に説明する。履歴情報管理部3bは、情報収集部3aから各種の情報を受け取る。これらの情報には、個々の端末1,1・・・1を識別するための前記識別情報と、端末1,1・・・1が移動している道路(R〜R、R´〜R´)の情報と、その移動方向が上り方向(R〜R)又は下り方向(R´〜R´)のいずれであるかの情報が含まれている。
【0043】
履歴情報管理部3bは、情報収集部3aからの情報に基づいて、端末1,1・・・1を識別するための識別情報に対応させて、道路毎に各端末による移動経路の利用頻度の情報を逐次作成し、前記利用頻度に関する情報の履歴をテーブル形式で管理する。具体的に説明すると、履歴情報管理部3bは図4に示すテーブル上において、端末を識別するための識別情報である“端末1”、“端末1”・・・“端末1”に対応させて、端末が移動した道路R〜R,R´〜R´を分類し、さらに端末1、端末1・・・端末1が道路R〜R,R´〜R´を利用した回数(利用頻度)をカウントする。そして、履歴情報管理部3bは図4に示すように、端末1,1・・・1を識別するための識別情報に対応させて、端末1〜1毎に、移動経路(R〜R、R´〜R´)の情報、及び利用頻度の情報をテーブルに集計する。
【0044】
図6のステップS1において、ユーザが無線端末、例えば無線端末11を使って交通システムのオペレータに移動経路の探索サービスを受ける旨を連絡すると、交通システムのオペレータは、ユーザから要求された探索対象の移動経路に関する情報を入力部3dから探索部3cに出力する。探索部3cは、移動経路の探索指令に基づいて、履歴情報管理部3bから図4に示す前記履歴情報を読み出し、端末1,1・・・1が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて、最適な移動経路を探索する。
【0045】
具体的に説明すると、入力部3から移動経路の探索指令を受け取ると、探索部3cは、履歴情報管理部3bから図4に示す前記履歴情報を読み出す(図6のステップS2)。探索部3cは、入力部3dから入力された移動経路を図3に示す地図データから探索する。この探索対象の移動経路は図3に示す出発地点D1から目的地点D2に至る移動経路であるとする。探索部3cは、出発地点D1から目的地点D2に至る移動経路を成立させる道路R〜R,R´〜R´の組み合わせを選択する。探索部3cは、前記選択した道路R〜R,R´〜R´毎に、その選択した道路を走行したことがある端末11〜1nと、その端末が前記選択された道路を利用した回数(利用頻度)の情報を端末毎に図5に示すようなテーブル形式で分類する(図6のステップS3)。
【0046】
次に、探索部3cは、図5に示す端末毎の移動回数(道路を利用した回数;利用頻度)を算出し、これを図5に示すテーブル形式で管理する(図6のステップS3)。次に、探索部3cは、図5に示すテーブルから利用頻度の情報を抽出し(図6のステップS4)、その利用頻度が閾値以上を越える端末1〜1を図5のテーブルから抽出する(図6のステップS5)。
【0047】
探索部3cは、以上説明した図6のステップS3,S5の処理を前記選択された道路毎に繰り返し行い、前記選択された各道路(移動経路)から、端末1,1・・・1が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて、最適な移動経路を探索する(図6のステップS6)。図5の場合、探索部3cは、出発地点D1から目的地点D2に至る移動経路は、道路R→R・・・Rn−1→Rを最適な移動経路として探索する。
【0048】
探索部3cが出発地点D1から目的地点D2に至る移動経路として探索した全ての道路R→R・・・Rn−1→Rは、端末が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて決定したものであり、それらの道路は、同一人が利用する回数が極めて多い道路であるから、道路事情に最も適合する適切な経路となる。
【0049】
出力部3eは、探索部3cから探索結果である最適な移動経路の情報を受け取ると、その情報を通信網2の基地局Tに通して、ナビゲーションサービスの要求を出力した端末1〜1の出力する(図6のステップS7)。
【0050】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、不特定の端末が移動した移動経路、同一の端末による前記移動経路の利用頻度及び前記端末を識別する識別情報を収集し、前記収集した前記識別情報に対応させて、端末による移動経路の利用頻度履歴を作成し、前記利用頻度履歴のデータに基づいて、端末が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて、最適な移動経路を探索するため、より適切な経路を選択することができる。
【0051】
なお、ステップS5において、閾値を越える利用頻度の端末が存在しない場合、ステップ2で抽出した全ての端末の経路履歴情報を用いて移動経路を決定するようにしてもよいものである。また、ステップS6の処理において、ステップS5で抽出した閾値の移動回数を超えている移動端末の経路履歴情報と所定の移動回数を超えていない他の移動端末の経路履歴情報のそれぞれに重み付けを行って、移動経路を決定するようにしてもよいものである。
【0052】
また、ステップS2において、2点間を移動した端末の経路履歴情報が存在しない場合には、エラーを出力することも考えられるし、地図情報から移動決定をするような他の経路探索手段を利用することも考えられる。
【0053】
前記、ステップS5で用いる閾値の移動回数としては、あらかじめ決められた値を用いることも考えられるし、経路探索を要求している移動端末が過去に2点間を移動した回数を前記所定の移動回数とすることなども考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上説明したように、本発明によれば、不特定の端末が移動した移動経路、同一の端末による前記移動経路の利用頻度及び前記端末を識別する識別情報を収集し、前記収集した前記識別情報に対応させて、端末による移動経路の利用頻度履歴を作成し、前記利用頻度履歴のデータに基づいて、端末が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて、最適な移動経路を探索するため、より適切な経路を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る移動経路探索システムを示す構成図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係る移動経路探索システムに用いる移動経路探索サーバの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、実際の道路データを電子化された地図データとして説明する図である。
【図4】図4は、履歴情報管理部が管理する情報をテーブル形式で示す図である。
【図5】図5は、探索部が管理する情報をテーブル形式で示す図である。
【図6】本発明の実施形態において、経路探索サーバによる移動経路決定の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
〜1 端末
2 通信網
3 移動経路探索サーバ
3a 情報収集部
3b 履歴情報管理部
3c 探索部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末が出発地点と目的地点の2点間を移動するための経路を探索する移動経路探索システムにおいて、
不特定の端末が移動した移動経路、同一の端末による前記移動経路の利用頻度及び前記端末を識別する識別情報を収集する情報収集部と、
前記情報収集部が収集した前記識別情報に対応させて、端末による前記移動経路の利用頻度の情報を履歴情報として保有する履歴情報管理部と、
移動経路の探索指令に基づいて、前記履歴情報管理部から前記履歴情報を読み出して、端末が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて移動経路を探索する探索部を有することを特徴とする移動経路探索システム。
【請求項2】
前記探索部は、前記端末毎の利用頻度情報に基づいて、前記最適な移動経路を探索することを特徴とする請求項1に記載の移動経路探索システム。
【請求項3】
前記探索部は、探索指令を入力した自端末に対応する前記利用頻度情報に加えて、これ以外の他端末に対応する前記利用頻度情報を含めて、前記最適な移動経路を探索することを特徴とする請求項2に記載の移動経路探索システム。
【請求項4】
前記探索部は、前記自端末の利用頻度情報と前記他端末の利用頻度情報を比較し、利用頻度の高い履歴情報を優先して、前記最適な移動経路を探索することを特徴とする請求項3に記載の移動経路探索システム。
【請求項5】
端末が出発地点と目的地点の2点間を移動するための経路を探索する移動経路探索方法において、
不特定の端末が移動した移動経路、同一の端末による前記移動経路の利用頻度及び前記端末を識別する識別情報を収集する情報収集ステップと、
前記情報収集部が収集した前記識別情報に対応させて、端末による移動経路の利用頻度履歴を作成する履歴作成ステップと、
前記利用頻度履歴のデータに基づいて、端末が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて、最適な移動経路を探索する探索ステップを実行することを特徴とする移動経路探索方法。
【請求項6】
前記履歴作成ステップにおいて、前記端末毎に前記利用頻度履歴を作成することを特徴とする請求項5に記載の移動経路探索方法。
【請求項7】
前記探索ステップにおいて、探索指令を入力した自端末に対応する前記利用頻度履歴に加えて、これ以外の他端末に対応する前記利用頻度履歴を含めて、前記最適な移動経路を探索することを特徴とする請求項5に記載の移動経路探索方法。
【請求項8】
前記自端末の利用頻度情報と前記他端末の利用頻度情報を比較し、利用頻度の高い履歴情報を優先して、前記最適な移動経路を探索することを特徴とする請求項7に記載の移動経路探索方法。
【請求項9】
移動経路を移動するための端末との間に情報の遣り取りを行う移動経路探索サーバにおいて、
不特定の端末が移動した移動経路、同一の端末による前記移動経路の利用頻度及び前記端末を識別する識別情報を収集する情報収集部と、
前記情報収集部が収集した前記識別情報に対応させて、端末による前記移動経路の利用頻度の情報を履歴情報として保有する履歴情報管理部と、
移動経路の探索指令に基づいて、前記履歴情報管理部から前記履歴情報を読み出して、端末が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて移動経路を探索する探索部を有することを特徴とする移動経路探索サーバ。
【請求項10】
移動経路の探索指令に基づいて、前記履歴情報管理部から履歴情報を読み出して、端末が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて、最適な移動経路を探索する探索部を付加したことを特徴とする請求項9に記載の移動経路探索サーバ。
【請求項11】
前記探索部は、前記自端末の利用頻度情報と前記他端末の利用頻度情報を比較し、利用頻度の高い履歴情報を優先して、前記最適な移動経路を探索することを特徴とする請求項10に記載の移動経路探索サーバ。
【請求項12】
前記履歴情報管理部は、前記端末毎に前記利用頻度履歴を作成することを特徴とする請求項9に記載の移動経路探索サーバ。
【請求項13】
前記探索部は、探索指令を入力した自端末に対応する前記利用頻度履歴に加えて、これ以外の他端末に対応する前記利用頻度履歴を含めて、前記最適な移動経路を探索することを特徴とする請求項9に記載の移動経路探索サーバ。
【請求項14】
前記探索部は、前記自端末の利用頻度情報と前記他端末の利用頻度情報を比較し、利用頻度の高い履歴情報を優先して、前記最適な移動経路を探索することを特徴とする請求項13に記載の移動経路探索サーバ。
【請求項15】
移動経路を移動するための端末との間に情報の遣り取りを行う移動経路探索サーバを構成するコンピュータに、
不特定の端末が移動した移動経路、同一の端末による前記移動経路の利用頻度及び前記端末を識別する識別情報を収集させる機能と、
前記情報収集部が収集した前記識別情報に対応させて、端末による前記移動経路の利用頻度の情報を履歴情報として保有させる機能を実行させることを特徴とする移動経路探索プログラム。
【請求項16】
移動経路の探索指令に基づいて、前記履歴情報管理部から前記履歴情報を読み出して、端末が探索対象の移動経路を利用する頻度に基づいて移動経路を探索させる機能を付加して、前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項15に記載の移動経路探索プログラム。
【請求項17】
前記探索を実行させる際に、前記自端末の利用頻度情報と前記他端末の利用頻度情報を比較し、利用頻度の高い履歴情報を優先して、前記最適な移動経路を探索する機能を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項16に記載の移動経路探索プログラム。
【請求項18】
前記端末毎に前記利用頻度履歴を作成する機能を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項15に記載の移動経路探索プログラム。
【請求項19】
前記探索を実行させる際に、探索指令を入力した自端末に対応する前記利用頻度履歴に加えて、これ以外の他端末に対応する前記利用頻度履歴を含めて、前記最適な移動経路を探索する機能を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項16に記載の移動経路探索プログラム。
【請求項20】
前記探索を実行させる際に、前記自端末の利用頻度情報と前記他端末の利用頻度情報を比較し、利用頻度の高い履歴情報を優先して、前記最適な移動経路を探索する機能を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項19に記載の移動経路探索プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−198769(P2007−198769A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−14600(P2006−14600)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】