説明

移動装置

【課題】 予圧力を高めることなく、また、接触体や支持レールが磨耗しても、接触体と支持レールとの間のクリアランスを自動的になくしてガタが生じることのない移動装置を提供する。
【解決手段】 支持レール2と、支持レール2に案内されて支持レール2に対して相対的に移動可能に設けられた移動体4と、移動体4に設けられ、複数の方向から支持レール2にそれぞれ接触する複数の接触体5,6,7と、移動体4に設けられ、複数の接触体5,6,7の少なくとも一つを支持レール2に向けて所要力で常時押圧する予圧手段8とを備える移動装置において、予圧手段8は、複数の接触体5,6,7のうち、移動体4を介して支持レール2に掛かる負荷の方向のほぼ反対側から支持レール2に接する接触体7を、支持レール2に向けて押圧するよう設けられ、接触体4を支持レール2から離間する方向には移動させない逆止手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体に固定された支持レールと、支持レールに案内されて移動可能に設けられた移動体と、移動体に設けられ、複数の方向から前記支持レールにそれぞれ接触する複数の接触体と、前記移動体に設けられ、前記複数の接触体の少なくとも一つを前記支持レールに向けて所要力で常時押圧する予圧手段とを備える移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
支持レールに案内されて移動可能な移動体を備える移動装置において、従来より、移動体のガタを抑えてスムーズに移動させるために、支持レールと移動体との間に予圧を与えている。
【0003】
従来の移動装置の例としては、特許文献1に記載されているように、支持レール(軌道レール)と移動体(摺動体)との間にボールを配し、ボールの転がり運動を利用して移動体の移動を可能とするものが挙げられる(特許文献1 段落0002,0019,第1,2図)。この形式の移動装置においては、移動体と支持レールとの間の予圧の付与には、支持レールと移動体との間の隙間寸法より若干大きめの径のボールを嵌合する手段が採用されている(特許文献1 段落0002)。
特許文献1の移動装置における予圧方法によれば、支持レールと移動体との間のクリアランスをボールが埋めるため、ガタを好適に抑えることができ、例えば数百キログラム以上といった高重量の被送物を移送する用途にも好適に用いることができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている形式の予圧方法では、金属製の支持レールと移動体との間に、互いの間の隙間寸法より大きい径の金属製のボールを入れるから、ボールが変形し、その転がり抵抗、すなわち動作抵抗が大きくなって駆動に大きなエネルギーが必要となる上、支持レール、移動体、およびボールには、高い耐磨耗性が要求され、焼きを入れた鋼などを採用する必要が生じ、装置の製造・加工コストが嵩んだり、装置が高重量化したり、その高重量化に伴ってより大きな駆動エネルギーが必要となったりするという問題点がある。また、ボールの転がり抵抗を減ずると共に支持レール、移動体、およびボールの破損を防ぐために、ボールの潤滑材を頻繁かつ大量に供給する必要があり、メンテナンスの手間やコストが嵩むという問題がある。
【0005】
一方で、例えば数百キログラム以下の低重量の被送物を移送するような場合には、特許文献1の移動装置のような高重量かつ高コストの移動装置を採用する必要はなく、例えば特許文献2に記載されているような、移動体(ガイドキャリッジ)から、付勢部材(圧縮コイルばね)によって、支持レール(ガイドレール)に対して接触体(潤滑エレメントフレーム,転動軌道潤滑エレメント)を圧接させて、支持レールに予圧を与える移動装置を採用できる(特許文献2 第1,2図、段落0078)。
この特許文献2の予圧方法によれば、特許文献1の移動装置に比較して、動作抵抗を小さくでき、また、より軽量な材料で構成して製造コスト等を抑えたり、メンテナンスの手間やコストを抑えることができるといった利点がある。
【0006】
【特許文献1】特開2002−122136号公報(段落0002,0019,第1図,第2図)
【特許文献2】特開平7−54843号公報(第1,2図、段落0078)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載された移動装置においては、接触体(転動軌道潤滑エレメント)に対して、付勢部材(圧縮コイルばね)の付勢力よりも大きな力が掛かった場合、付勢部材が変形して、移動体(ガイドキャリッジ)の動作にガタが生じてしまうという課題がある。
【0008】
この課題を解決するためには、接触体に掛かり得ると予見される最大の力よりも大きな付勢力を持つ付勢部材を採用し、予圧力を高めるという方法が考えられる。
しかし、それでは、接触体と支持レールとの間に生じる摩擦抵抗が大きくなって移動動作抵抗が大きくなると共に、付勢部材が大型化して装置が高コスト化、高重量化したり、高重量化に伴って駆動エネルギーの強化が必要となったりしてしまう。
【0009】
本発明は、上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、予圧力を高めることなく、また、接触体や支持レールが磨耗しても、接触体と支持レールとの間のクリアランスを自動的になくしてガタが生じることのない移動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る移動装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。すなわち、支持レールと、該支持レールに案内されて支持レールに対して相対的に移動可能に設けられた移動体と、該移動体に設けられ、複数の方向から前記支持レールにそれぞれ接触する複数の接触体と、前記移動体に設けられ、前記複数の接触体の少なくとも一つを前記支持レールに向けて所要力で常時押圧する予圧手段とを備える移動装置において、前記予圧手段は、前記複数の接触体のうち、前記移動体を介して前記支持レールに掛かる負荷の方向のほぼ反対側から支持レールに接する接触体を、支持レールに向けて押圧するよう設けられ、該接触体を支持レールから離間する方向には移動させない逆止手段を有することを特徴とする。
これによれば、移動体に設けられた予圧手段は、支持レールを押圧して予圧を与え、また、接触体を支持レールから離間する方向には移動させない逆止手段を有する。そのため、摩耗等により発生するクリアランスが好適に埋められるとともに、逆止手段により、接触体が予圧力に抗して支持レールから離間することがないために、移動体に大きな負荷が掛かっても接触体と支持レールとの間にクリアランスが生じることがなく、したがってガタが生じることがない。また、予圧手段によって与える予圧力は、摩耗等により発生する支持レールと接触体との間のクリアランスを埋めるべく接触体を支持レールに向けて常時押圧する力だけで十分であるため、予圧力を大きくする必要がない。
また、接触体と支持レールとの間のクリアランスは、支持レールの、移動体を介して支持レールに掛かる負荷の方向の反対側に生じやすいところ、前記予圧手段は、移動体を介して支持レールに掛かる負荷の方向のほぼ反対側から支持レールに接する接触体を、支持レールに押圧するから、そのクリアランスを即座に埋めることができる。
【0011】
さらに、前記複数の接触体は、前記支持レールに対して3方向からそれぞれ接するよう設けられ、前記支持レールの、前記複数の接触体が接触する各接触面は、各接触面が成す平面が互いに鋭角に交わるよう形成されていることを特徴とする。
さらに、前記移動体は、前記移動体の移動方向に対して直行する断面の形状がほぼU字状に形成され、該U字の両端部近傍と中途部との3箇所に、前記支持レールに対して3方向から接する前記接触体がそれぞれ設けられ、該両端部近傍に設けられた接触体のうちの一方が前記予圧手段により支持レールに押圧されるよう設けられていることを特徴とする。
これによれば、支持レールを抱え込むように移動体を設けて、移動体を支持レールに安定して保持させることができる。
【0012】
また、前記予圧手段は、前記移動体に対して回動可能に設けられ、該回動の回動軸から偏心した位置に直接または伝達部材を介して前記接触体が連繋され、回動されることで接触体が前記支持レールに対し接離動するよう配置された回動体と、該回動体を、前記接触体を前記支持レールに当接させる方向へ回動させるよう付勢する第一付勢部材と、前記移動体に固定または係止され、前記回動体の外周面または内周面の少なくとも一部を覆い、前記第一付勢部材の付勢力による回動体の回動方向に沿って、回動体の前記外周面または内周面との距離が次第に離間するよう形成された対向面を有する対向部と、前記回動体の前記外周面または内周面と前記対向部の前記対向面との間に、両者に接するよう配設された球状部材とを有することを特徴とする。
これによれば、予圧手段は、第一付勢部材の付勢力によって回動体を回動させることで接触体を支持レールに押圧して予圧を与える。また、摩耗等により支持レールと接触体との間にクリアランスが発生した場合には、第一付勢部材の付勢力により回動体が回動されて接触体が移動してそのクリアランスを埋める。その一方、支持レールから接触体を介して回動体に、第一付勢部材の付勢力に抗して逆回動する力が掛かった際には、回動体とベース部材との間が前記回動方向に逆行するにしたがって狭く形成されていることから、回動体とベース部材との間に球状部材が挟まって、球状部材との摩擦力によって回動体の逆回動が抑止される(逆止手段)。
そのため、摩耗等により発生するクリアランスは好適に埋められるとともに、回動体が逆回動しないために、接触体および回動体に大きな力が掛かっても接触体と支持レールとの間にクリアランスが生じることがなく、したがってガタが生じることがない。
また、第一付勢部材によって与える予圧力は、摩耗等により発生する支持レールと接触体との間のクリアランスを埋めるべく回動体を回動させる力だけで十分であるため、第一付勢部材の付勢力(予圧力)を大きくする必要がない。
【0013】
さらに、前記回動体は、軸線が前記回動軸と一致するロッドから成り、前記対向部は、前記ロッドが挿入されるフランジ部材から成り、前記対向面は、前記フランジ部材の内周面に形成されていることを特徴とする。
これによれば、予圧手段を簡単かつコンパクトな構成とすることができる。
【0014】
また、前記予圧手段は、前記球状部材を前記回動体の前記回動方向の逆方向に付勢する第二付勢部材を有することを特徴とする。
これによれば、第二付勢部材により球状部材が常時回動体およびベース部材と当接するように押圧されるため、回動体に、第一付勢部材の付勢力に逆行する力が掛かった際に、回動体の逆回動を遊びなく即座に規制することができる。
【0015】
また、前記回動体には、前記球状部材との当接部に、該回動体の周方向に沿って、溝部が形成されていることを特徴とする。
これによれば、球状部材が暴れることなく、その位置を安定させることができる。
【0016】
また、前記球状部材は、前記回動体の回動周方向に複数並べられて配設されていることを特徴とする。
これによれば、回動体に第一付勢部材の付勢力に逆行する力が掛かった際に、球状部材と回動体およびベース部材との間に掛かる力が、複数の球状部材に分散されるため、回動体、ベース部材および球状部材の損傷や過度の食い付きを抑えて、安定した駆動を行うことができる。
【0017】
また、前記対向部は、前記回動体と同軸に、回動体とは独立に相対回転可能に設けられ、前記予圧手段は、前記対向部の、前記回動方向と同方向への回転は許すが、該回動方向の逆方向への回動は許さない対向部逆止手段を有し、前記第一付勢部材は、一端が前記回動体に連繋され、他端が前記対向部に連繋された渦巻ばねであることを特徴とする。
これによれば、対向部を前記回動方向に回す操作を行うことで、渦巻ばね(第一付勢部材)を巻くことができ、回動体に渦巻ばねの付勢力を作用させることができる。
【0018】
また、前記予圧手段は、前記球状部材を前記回動方向後方から押圧して該回動方向へ移動させる解除手段を有することを特徴とする。
これによれば、解除手段により球状部材を前記回動方向へ移動させることで、回動体の回動の規制を解除することができる。
【0019】
また、前記予圧手段は、前記球状部材の前記回動方向後方に位置する押接部が形成され、前記回動体と同軸に、回動体とは独立に相対回転可能に設けられ、該回動方向へ回動されることで押接部により球状部材を該回動方向へ移動させる解除部材を有し、前記対向部は、前記解除部材が回動された際、所定の遊びを介して解除部材と一体回転されるよう解除部材と係合され、前記第一付勢部材は、前記他端が前記解除部材に連繋されて、解除部材を介して前記対向部に連繋されていることを特徴とする。
これによれば、解除部材により球状部材を前記回動方向へ移動させることで、回動体の回動の規制を解除することができる。さらに、解除部材を前記回動方向に回す操作を行うことで、渦巻ばね(第一付勢部材)を巻くことができ、回動体に渦巻ばねの付勢力を作用させることができる。また、渦巻ばねの付勢力は、解除部材に対しては、前記回動方向の逆方向に作用するため、解除部材が操作されていないときには解除部材の押接部が球状部材を押圧しない位置に待機させることができる。
【0020】
また、前記接触体は、前記回動体の前記回動軸から偏心した回転軸を中心に回転自在に設けられたローラーを有するローラー装置であることを特徴とする。
【0021】
さらに、前記支持レールは、アルミニウムを主成分とする金属から成り、前記ローラーは、合成樹脂材から成ることを特徴とする。
これによれば、支持レールの材質がローラーの材質より硬質であるため、支持レールの磨耗を少なくできるとともに、ローラーは粘りのある材質であるために減りにくい。
本願発明者は、各種の材料の組み合わせにより実験を繰り返した結果、支持レールとローラーに同程度の硬度をもつ材料を選択した場合に比較して、支持レールをアルミニウムを主成分とする金属で構成し、ローラーを合成樹脂によって構成する組み合わせによれば、両者の磨耗を小さく抑えられることを見出した。
【0022】
また、前記支持レールは、アルミニウムを主成分とする金属を押し出し成型することにより形成されていることを特徴とする。
これによれば、支持レールを簡単かつ安価に構成できる。
成型精度の低い押し出し成型により支持レールを形成しても、特に前記予圧手段との組み合わせによれば、支持レールとローラー装置との間のクリアランスは好適に埋められ、ガタを抑えることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の移動装置によれば、予圧力を高める必要がなく、また、接触体や支持レールが磨耗しても、接触体と支持レールとの間のクリアランスを自動的になくしてガタが生じることがないという効果がある。特に、接触体と支持レールとの間のクリアランスは、支持レールの、移動体を介して支持レールに掛かる負荷の方向の反対側に生じやすいところ、前記予圧手段は、移動体を介して支持レールに掛かる負荷の方向のほぼ反対側から支持レールに接する接触体を、支持レールに押圧するから、そのクリアランスを即座に埋めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る移動装置を実施するための最良の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態に係る移動装置を備える樹脂成型品の取り出し装置Aの斜視説明図である。図2は、樹脂成型品の取り出し装置Aの水平移動装置(後述)を、水平支持レール(後述)の長手方向から見た部分拡大図である。
【0026】
樹脂成型品の取り出し装置Aは、基体1と、樹脂成型品を挟んで把持するための、開閉制御自在に設けられたチャック部50と、チャック部50を水平方向および鉛直方向にそれぞれ往復移動制御する水平移動装置および鉛直移動装置とを備える。
【0027】
(水平移動装置)
水平移動装置は、基体1に、長手方向が水平となるよう取り付けられた水平支持レール2と、水平支持レール2に案内されて移動可能に設けられた水平移動体4と、水平支持レール2の表面に形成された案内面2a,2b,2cに接触して、案内面2a,2b,2c上を転がるローラー5b,6b,7bを有する接触体としてのローラー装置5,6,7(図2参照)と、水平移動体4に設けられ、ローラー装置7を水平支持レール2に所要力で常時押圧する予圧手段としての予圧装置8とを備える。
【0028】
水平支持レール2は、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金を押し出し成型することで形成されている。
【0029】
ローラー装置5,6は、図2に示すように、水平移動体4に固定された基部5a,6aと、基部5a,6aに対して回転可能に設けられ、水平支持レール2の案内面2a,2bにそれぞれ当接するローラー5b,6bとから成る。また、ローラー装置7は、水平移動体4に固定された予圧装置8に連繋された基部7aと、基部7aに対して回転可能に設けられ、水平支持レール2の案内面2cに当接するローラー7bとから成る。
ローラー5b,6b,7bは、樹脂によって構成され、内部にボールベアリング軸受等を有し、スムーズに回転することができる。
【0030】
水平移動体4は、図2に示すように、水平支持レール2に沿った水平移動体4の移動方向に対して直行する断面の形状がほぼU字状に形成され、水平支持レール2の一側面および上下面の一部を覆うように配設される。
また、水平移動体4には、前記断面の前記U字の両端部(上部および下部)近傍にローラー装置5,7がそれぞれ設けられ、U字の中途部にローラー装置6が設けられる。また、前記両端部近傍に設けられたローラー装置5,7のうち、水平支持レール2に下側から当接するローラー装置7が、予圧装置8により水平支持レール2に押圧されるよう設けられている。
【0031】
ローラー装置5,7は、水平支持レール2に沿った水平移動体4の移動方向に並んでそれぞれ二つ設けられ、ローラー装置6,6・・は、前記移動方向に垂直な方向(上下方向)に二つ並んで設けられるとともにそれぞれ移動方向にも並んで設けられ、合計4つが配設される。
【0032】
また、ローラー装置6は、水平支持レール2の一側面に形成された鉛直面の案内面2bに当接するよう設けられる。
ローラー装置5は、前記鉛直の案内面2bの成す平面に対して鋭角となるよう水平支持レール2の上部側に形成された案内面2aに当接するよう設けられる。
ローラー装置7は、前記鉛直の案内面2bの成す平面に対して鋭角となるよう水平支持レール2の下部側に形成された案内面2cに当接するよう設けられる。
この構成により、水平移動体4は、ローラー装置5,6,7で水平支持レール2を抱え込むように設けられる。
【0033】
予圧装置8は、図2に示すように、水平移動体4に固定されるとともに、ローラー装置7が取り付けられる。予圧装置8は、水平移動体4に形成された開口部を貫通するよう配設され、取付部8aを介して水平移動体4にビス留め等の取り付け手段により固定されている。
【0034】
(鉛直移動装置)
図1に示すように、鉛直移動装置は、水平移動体4上に取り付けられて設けられる。
鉛直移動装置においては、レール状の部材52が、水平移動体4に対して相対的に鉛直方向に移動する構成となっている。すなわち、鉛直移動装置の構成は、水平移動体4に取り付けられた板状部材54に対してレール状部材52が相対的に鉛直方向に移動可能となっている。
【0035】
鉛直移動装置は、水平移動体4に固定された板状部材54上に設けられた、ローラーを有するローラー装置56,57と、そのローラーに接触する案内面52aを有し、ローラー装置56,57に案内されて移動可能に設けられたレール状部材52と、水平移動体4上に設けられ、ローラー装置56,57をレール状部材52に向けて所要力で常時押圧する図示しない予圧装置とを備える。
この鉛直移動装置においては、鉛直移動装置の板状部材54上にローラー装置56,57が設けられ、レール状部材52が、ローラー装置56,57に案内されて、水平移動体4に対して鉛直方向に移動するよう設けられている。
【0036】
上記水平移動装置と鉛直移動装置の構成によれば、鉛直移動装置の重量が、水平移動体4を介して水平支持レール2に掛かっている。すなわち、鉛直移動装置の重量が、水平支持レール2に上から下に向かう鉛直方向に掛かる負荷となっている。
そして、予圧装置8は、その負荷の方向(上から下に向かう方向)のほぼ反対側から(下側から)水平支持レール2に接するローラー装置7を、水平支持レール2に向けて押圧するよう設けられている。言い換えると、予圧装置8は、ローラー装置7を、前記負荷の方向の反対方向に向けて水平支持レール2に押圧している。
【0037】
これによれば、ローラー装置5,6,7と水平支持レール2との間のクリアランスは、水平支持レール2の、水平移動体4を介して水平支持レール2に掛かる負荷の方向の反対側、すなわち下側に生じやすいところ、予圧装置8は、負荷の方向のほぼ反対側(下側)から水平支持レール2に接するローラー装置7を、水平支持レール2に押圧するから、そのクリアランスを即座に埋めることができる。
また、予圧装置8は、ローラー装置7を水平支持レール2から離間する方向には移動させない逆止手段(後述)を有する。そのため、摩耗等により発生するクリアランスが好適に埋められるとともに、逆止手段により、ローラー装置7が予圧力に抗して水平支持レール2から離間することがないために、水平移動体4に大きな負荷が掛かってもローラー装置5,6,7と水平支持レール2との間にクリアランスが生じることがなく、したがってガタが生じることがない。また、予圧装置8によって与える予圧力は、摩耗等により発生する水平支持レール2とローラー装置5,6,7との間のクリアランスを埋めるべくローラー装置7を水平支持レール2に向けて常時押圧する力だけで十分であるため、予圧力を大きくする必要がない。
【0038】
(予圧装置)
次に、予圧装置8の構成について詳述する。
図3(a),(b)は予圧装置8および予圧装置8に取り付けられたローラー装置7の斜視図であり、図4はその側断面図であり、図5はそのX−X断面図である(図3においては、突周部42は省略されている)。
【0039】
予圧装置8は、図3(a),(b)および図4に示すように、水平移動体4に予圧装置8を取り付けるための前記取付部8aと、取付部8aに固定されたほぼ円筒状の本体12と、本体12に同軸に挿入され、ベアリング11を介して本体12に対して回動可能に設けられた、回動体としてのロッド10と、本体12内に同軸に配設され、ロッド10が挿入された、対向部としてのフランジ部材13と、ロッド10とは独立に相対回転可能に設けられた解除部材14と、一端18aが解除部材14に連繋され、他端18bがロッド10に連繋されて、ロッド10を本体12(水平移動体4)に対して所定の方向に回動させるよう付勢する第一付勢部材としての渦巻ばね18と、本体12とロッド10との間に、両者に接するよう配設された三つの球状部材20,20,20とを有する。
【0040】
図4に示すように、ローラー装置7は、予圧装置8のロッド10に固定された基部7aと、基部7aに対して、ベアリング7cを介して回転可能に設けられ、水平支持レール2の前記案内面2cに当接するローラー7bとから成る。
【0041】
ローラー装置7は、その基部7aから、ローラー7bの回転軸線aに沿って延びるボルト部7dが、ロッド10の一端面に設けられたメスねじ部10dに螺合されて、ロッド10に取り付けられる。ローラー装置7は、その回転軸線aが、ロッド10が回動する際の回動軸線b(ロッド10の軸線)から偏心した位置に来るよう、ロッド10に取り付けられる。これにより、ロッド10が回動することにより、ローラー装置7が、その回転軸線aとは偏心した回動軸線bを中心に回動され、水平支持レール2の案内面2cに対し接離動することになる。
ロッド10は、初期状態においてはローラー装置7が上方へ移動可能な状態(ローラー装置7が最も上側に位置しない状態)となる回転角度に設定され、予圧装置8は、この状態で、ローラー7bが水平支持レール2の案内面2cに当接するよう、水平移動体4上に配置されて固定されている。そして、ロッド10が所定方向に回動することで、ローラー装置7が上昇して、水平支持レール2の案内面2cに圧接される。
【0042】
本体12は、その外周部において取付部8aに固定される。取付部8aが水平移動体4に固定されることで、本体12も水平移動体4に対して固定される。
本体12とロッド10との間には、ベアリング11が設けられ、ロッド10は本体12の中でスムーズに回動可能となっている。
【0043】
フランジ部材13は、ロッド10が挿入され、本体12およびロッド10のそれぞれに対して独立して相対回転可能に設けられる。
フランジ部材13は、一端側が、ロッド10に沿って延びる小径部13aに形成され、他端側は、その外周壁が本体12の内周に接し、その内側はロッド10との間に所定の間隙を形成する中空状となる大径部13bに形成される。本体12には、フランジ部材13の小径部13aと大径部13bとを結ぶ段差部13cに沿って、内側に突出する段差部10aが形成される。段差部10aの、フランジ部材13との対向壁には、ラチェット爪16が固定される。フランジ部材13のラチェット爪16の当接面(球状部材20が配される中空部の反対面)には、ラチェット爪16が引っ掛かる複数の凹凸部13dが設けられ、ラチェット爪16と凹凸部13dから成るラチェット機構(逆止機構)により、フランジ部材13は所定回転方向(図5における右回転方向)にのみ回転可能となっている。
【0044】
また、フランジ部材13の大径部13bのロッド10との対向面13eとロッド10との間には、両者に接するよう、球状部材20が配設されている。フランジ部材13の大径部13bの前記対向面13eは、図5に示すように、フランジ部材13の前記回転可能な方向(図5中では右回転方向)に沿って、ロッド10の外周面との距離が次第に連続的に離間するよう形成されている。また、ロッド10の外周面には、各球状部材20,20の外面に沿って当接する溝部30が、周方向に形成される。
【0045】
また、図5に示すように、球状部材20は、一端が球状部材20に当接し、他端がフランジ部材13の内周壁の段差部13fに支持された第二付勢部材としてのスプリング36により、フランジ部材13の前記回転可能な方向の逆方向(ロッド10の外周面とフランジ部材13の対向面13eとの距離が狭くなる方向。図5中では左回転方向)に付勢されている。
【0046】
球状部材20およびスプリング36は、図5に示すように、ロッド10の周方向に、互いに120°ずつの間隔をあけて、三組設けられる。
【0047】
上記構成によれば、ロッド10は、フランジ部材13に対し、図5中の右回転方向には自由に回動できるが、その逆方向の回転力が生じた際には、球状部材20が接するロッド10とフランジ部材13の対向面13eとの間隔が、前記逆方向に向かって狭く形成されていることから、ロッド10とフランジ部材13との間に球状部材20が挟まって、球状部材20との摩擦力によって前記逆方向の回動が抑止される(逆止手段)。
【0048】
図4に示すように、解除部材14は、ロッド10に同軸に挿通されるフランジ状に形成されて、フランジ部材13とロッド10の軸線方向の軸線方向に隣接して配設され、ロッド10とは独立に相対回転可能に設けられる。解除部材14の一端部は本体12から突出して設けられ、ユーザーは解除部材14を回転操作することができる。
解除部材14の、フランジ部材13の反対側には、解除部材14の中空部14cを塞ぐキャップ22が設けられる。また、キャップ22の外面側には、フランジ部材13、解除部材14、およびキャップ22がロッド10から抜け落ちるのを防ぐ留金24が設けられる。キャップ22および留金24は、それぞれロッド10および/または解除部材14に対して相対回転可能に設けられており、解除部材14のロッド10に対する相対回転を妨げない。
【0049】
フランジ部材13と解除部材14とは、解除部材14のフランジ部材13側に形成された凹部14bと、凹部14b内に進入するフランジ部材13の突部13gとにより係合される。凹部14bと突部13gとは、その周方向に若干の遊びが形成されて、所定角度だけ互いに相対回動可能に設けられている。
解除部材14には、ロッド10に沿って、フランジ部材13側に向かって延びる押接部14aが形成されている。図5に示すように、押接部14aは、各球状部材20の間にそれぞれ進入するよう設けられる。解除部材14が、ユーザーにより、ロッド10の外周面とフランジ部材13の対向面13eとの距離が広くなる方向と同方向、すなわち図5中では右回転方向に回動されることにより、押接部14aが球状部材20をスプリング36の付勢力に抗して移動させることができる(解除手段)。互いに係合されたフランジ部材13と解除部材14との間の周方向の前記遊びは、押接部14aが球状部材20を押圧できる程度に設定される。そして、押接部14aが球状部材20を押圧して、なおも前記遊びの範囲を超えてユーザーにより解除部材14が同回転方向に回転された場合には、前記突部13gと凹部14bとの係合により、解除部材14とフランジ部材13は一体回転する。
【0050】
解除部材14の押接部14aで、球状部材20をスプリング36の付勢力に抗して移動させることによれば、ロッド10に、フランジ部材13に対して前記逆方向に回動する力が掛かった際、ロッド10とフランジ部材13との間に球状部材20が挟まることがないため、ロッド10の前記逆方向の回動が抑止されることがなくなり、ロッド10の前記逆方向の回動の抑止が解除される(これが解除手段の作用である)。
【0051】
図4に示すように、渦巻ばね18の一端18aは、直線状に形成され、ロッド10の軸線方向に形成された切り込み部10bにはめ込まれて、ロッド10に連繋される。渦巻ばね18の他端18bは、直線状に形成され、解除部材14の軸線方向に形成された溝部14dにはめ込まれて、解除部材14に連繋される。解除部材14とフランジ部材13とは、前述の通り凹部14bと突部13gとにより係合されているため、渦巻ばね18の付勢力は、フランジ部材13とロッド10との間に働くことになる。
【0052】
次に予圧装置8の初期設定方法につき説明する。
まず、ユーザーは、解除部材14を、ロッド10の外周面とフランジ部材13の対向面13eとの距離が広くなる方向と同方向、すなわち図5中での右回転方向に回転させる。この操作によれば、まず解除部材14の押接部14aが、前記凹部14bと突部13gとの遊びの範囲で、フランジ部材13に対して右回転方向に回動されて、球状部材20を押圧する。そして、球状部材20が移動されて、ロッド10のフランジ部材13に対する前記逆方向の回動の抑止が解除される。
【0053】
その後、ユーザーによる解除部材14のさらなる回転操作により、前記凹部14bと突部13gとにより係合されたフランジ部材13が、解除部材14と共に一体回転されるとともに、解除部材14に連繋された渦巻ばね18を介して、ロッド10にも解除部材14と同方向の回転力が生じる。
そして、ロッド10の回動に伴って、ロッド10の回動軸に対して偏心して取り付けられたローラー装置7が上昇され、ローラー7bが水平支持レール2の案内面2cに当接する。
ローラー装置7が水平支持レール2に当接してロッド10がこれ以上は同方向に回動できないこの状態で、さらに解除部材14を回転させれば、渦巻ばね18が巻かれて、ロッド10に対し、同方向への付勢力が印加される。
【0054】
そして、ユーザーが解除部材14の回転操作を止めて解除部材14を放すと、巻かれた渦巻ばね18の付勢力により、解除部材14には、解除部材14回転操作した回転方向(右回転方向)とは逆方向の回転力が働く。この力により、解除部材14はその逆方向に回動されて、押接部14aが球状部材20から離れる。すると、球状部材20は、スプリング36の付勢力によって、ロッド10の外周面とフランジ部材13の対向面13eとの両者に接する位置に復帰する。これにより、ロッド10がフランジ部材13に対して前記逆方向に回動することが抑止される(逆止手段)。
【0055】
また、解除部材14が前記遊びの分だけ前記逆方向に回転した後には、渦巻ばね18の前記逆方向の付勢力は、解除部材14を介して、解除部材14に係合されたフランジ部材13に対して働く。しかし、フランジ部材13は、前記ラチェット機構により、当該逆方向の回転が抑止されているため、当該逆方向に回動することがない(逆止手段)。
したがって、渦巻ばね18の付勢力は、ロッド10を前記回転方向へ回動させる力として働き、ローラー装置7を介して、水平支持レール2に対して予圧が与えられることになる。
【0056】
本実施の形態に係る水平移動装置によれば、摩耗等により水平支持レール2の案内面2cとローラー装置7のローラー7bとの間にクリアランスが発生した場合には、渦巻ばね18の付勢力によりロッド10およびローラー装置7が回動されてローラー装置7が移動(上昇)してそのクリアランスを埋める。その一方、水平移動体4の移動時に、水平支持レール2からローラー装置7を押圧する力が掛かった際には、球状部材20が接するロッド10とフランジ部材13との間がロッド10の付勢方向の逆方向に向かうにしたがって狭く形成されていることから、ロッド10とフランジ部材13との間に球状部材20が挟まって、球状部材20との摩擦力によってロッド10の逆回動が抑止される。
【0057】
このように、摩耗等により発生する水平支持レール2とローラー装置7との間のクリアランスは、ロッド10の回動により好適に埋められるとともに、ロッド10が逆回動しないため、水平移動体4の移動時に水平支持レール2からローラー装置7に大きな力が掛かっても、ローラー装置7と水平支持レール2との間にクリアランスが生じることがなく、したがってガタが生じることがない。また、渦巻ばね18によって与える予圧力は、摩耗等により発生する水平支持レール2とローラー7bとの間のクリアランスを埋めるべくロッド10を回動させる力だけで十分であるため、渦巻ばね18の付勢力(予圧力)を、水平移動体4に掛かり得る最大力に対抗できるほど大きくする必要がない。
【0058】
また、球状部材20は、スプリング36に押圧されることで常時ロッド10およびフランジ部材13に当接する位置に維持されるため、ロッド10に渦巻ばね18の付勢力とは逆行する力が掛かった際に、ロッド10の逆回動を遊びなく即座に規制することができる。
【0059】
また、球状部材20は、ロッド10の外周の周方向に複数(本実施の形態では三つ)並べられて配設されているため、ロッド10に渦巻ばね18の付勢力に逆行する力が掛かった際に、球状部材20とロッド10およびフランジ部材13との間に掛かる力が、複数の球状部材20に分散される。したがって、個々の球状部材20と、ロッド10およびフランジ部材13との間に掛かる力が分散されて、それらの損傷や過度の食い付きを抑えて、安定した駆動を行うことができる。
【0060】
また、渦巻ばね18の前記他端18bが、解除部材14を介してフランジ部材13に連繋されていることから、解除部材14を介してフランジ部材13を前記回動方向に回す操作を行うことで、渦巻ばね18を巻いて、ロッド10に渦巻ばね18の付勢力を作用させることができる。
また、解除部材14の押接部14aにより球状部材20を前記回動方向へ移動させることで、回動体の回動の規制を解除することができる。
さらには、フランジ部材13は、解除部材14が回動された際、所定の遊びを介して解除部材14と一体回転されるよう解除部材と係合されている。
このため、解除部材14を前記回動方向に回す操作を行うことで、ロッド10の逆止抑制を解除でき、さらに解除部材14を回すことで渦巻ばね18を巻くことができる。また、渦巻ばね18の付勢力は、解除部材14に対しては、前記回動方向の逆方向に作用するため、解除部材14が操作されていないときには解除部材14の押接部14aが球状部材20を押圧しない位置に待機させることができる。
この構成により、本実施の形態に係る水平移動装置の予圧装置8は、操作性およびメンテナンス性に優れている。
【0061】
なお、本実施の形態においては、予圧装置8の回動体としてのロッド10が、直接、接触体としてのローラー装置7に連結されているが、この構成に限定されない。
例えば、回動体と接触体との間に、他の伝達部材を設けて、伝達部材を介して間接的に接触体を押圧するよう構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、樹脂成型品の取り出し装置における移動装置のみならず、支持レールに案内されて支持レールに対して相対的に移動する移動体を備えるあらゆる移動装置に適用することが可能である。
また、直線軌道上を移動する移動装置に限らず、例えば、曲がった支持レールを採用すれば、移動体を曲線運動させることが可能な移動装置を構成することもできる。
また、本実施の形態は、基体に固定された水平支持レールに対して水平移動体が移動する移動装置であるが、本発明は支持レールが基体に固定されているものに限らず、例えば、移動体が基体に固定されて、基体に対して支持レールが移動するよう構成された移動装置など、移動体と支持レールとが相対的に移動するあらゆる移動装置を含む。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る移動装置を採用した樹脂成型品の取り出し装置Aの斜視図である。
【図2】樹脂成型品の取り出し装置Aの部分拡大図である。
【図3】予圧装置の斜視図である。
【図4】予圧装置および接触体の側断面図である。
【図5】予圧装置のX−X断面図である。
【符号の説明】
【0064】
A 樹脂成型品の取り出し装置
1 基体
2 水平支持レール(支持レール)
2a,2b,2c 案内面
4 水平移動体(移動体)
5,6,7 ローラー装置(接触体)
8 予圧装置(予圧手段)
10 ロッド(回動体)
12 予圧装置の本体
13 フランジ部材(対向部)
13d 凹凸部
13e 対向面
14 解除部材(解除手段)
14a 押接部
18 渦巻ばね(第一付勢部材)
20 球状部材
30 溝部
36 スプリング(第二付勢部材)
a ローラー装置の回転軸線
b ロッド(回動体)の回動軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持レールと、
該支持レールに案内されて支持レールに対して相対的に移動可能に設けられた移動体と、
該移動体に設けられ、複数の方向から前記支持レールにそれぞれ接触する複数の接触体と、
前記移動体に設けられ、前記複数の接触体の少なくとも一つを前記支持レールに向けて所要力で常時押圧する予圧手段とを備える移動装置において、
前記予圧手段は、
前記複数の接触体のうち、前記移動体を介して前記支持レールに掛かる負荷の方向のほぼ反対側から支持レールに接する接触体を、支持レールに向けて押圧するよう設けられ、
該接触体を支持レールから離間する方向には移動させない逆止手段を有することを特徴とする移動装置。
【請求項2】
前記複数の接触体は、前記支持レールに対して3方向からそれぞれ接するよう設けられ、
前記支持レールの、前記複数の接触体が接触する各接触面は、各接触面が成す平面が互いに鋭角に交わるよう形成されていることを特徴とする請求項1記載の移動装置。
【請求項3】
前記移動体は、
前記移動体の移動方向に対して直行する断面の形状がほぼU字状に形成され、
該U字の両端部近傍と中途部との3箇所に、前記支持レールに対して3方向から接する前記接触体がそれぞれ設けられ、該両端部近傍に設けられた接触体のうちの一方が前記予圧手段により支持レールに押圧されるよう設けられていることを特徴とする請求項2記載の移動装置。
【請求項4】
前記予圧手段は、
前記移動体に対して回動可能に設けられ、該回動の回動軸から偏心した位置に直接または伝達部材を介して前記接触体が連繋され、回動されることで接触体が前記支持レールに対し接離動するよう配置された回動体と、
該回動体を、前記接触体を前記支持レールに当接させる方向へ回動させるよう付勢する第一付勢部材と、
前記移動体に固定または係止され、前記回動体の外周面または内周面の少なくとも一部を覆い、前記第一付勢部材の付勢力による回動体の回動方向に沿って、回動体の前記外周面または内周面との距離が次第に離間するよう形成された対向面を有する対向部と、
前記回動体の前記外周面または内周面と前記対向部の前記対向面との間に、両者に接するよう配設された球状部材とを有することを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項記載の移動装置。
【請求項5】
前記回動体は、軸線が前記回動軸と一致するロッドから成り、
前記対向部は、前記ロッドが挿入されるフランジ部材から成り、
前記対向面は、前記フランジ部材の内周面に形成されていることを特徴とする請求項4記載の移動装置。
【請求項6】
前記予圧手段は、前記球状部材を前記回動体の前記回動方向の逆方向に付勢する第二付勢部材を有することを特徴とする請求項4または5記載の移動装置。
【請求項7】
前記回動体には、前記球状部材との当接部に、該回動体の周方向に沿って、溝部が形成されていることを特徴とする請求項4〜6のうちのいずれか一項記載の移動装置。
【請求項8】
前記球状部材は、前記回動体の回動周方向に複数並べられて配設されていることを特徴とする請求項4〜7のうちのいずれか一項記載の移動装置。
【請求項9】
前記対向部は、前記回動体と同軸に、回動体とは独立に相対回転可能に設けられ、
前記予圧手段は、前記対向部の、前記回動方向と同方向への回転は許すが、該回動方向の逆方向への回動は許さない対向部逆止手段を有し、
前記第一付勢部材は、一端が前記回動体に連繋され、他端が前記対向部に連繋された渦巻ばねであることを特徴とする請求項4〜8のうちのいずれか一項記載の移動装置。
【請求項10】
前記予圧手段は、前記球状部材を前記回動方向後方から押圧して該回動方向へ移動させる解除手段を有することを特徴とする請求項4〜9のうちのいずれか一項記載の移動装置。
【請求項11】
前記予圧手段は、前記球状部材の前記回動方向後方に位置する押接部が形成され、前記回動体と同軸に、回動体とは独立に相対回転可能に設けられ、該回動方向へ回動されることで押接部により球状部材を該回動方向へ移動させる解除部材を有し、
前記対向部は、前記解除部材が回動された際、所定の遊びを介して解除部材と一体回転されるよう解除部材と係合され、
前記第一付勢部材は、前記他端が前記解除部材に連繋されて、解除部材を介して前記対向部に連繋されていることを特徴とする請求項9記載の移動装置。
【請求項12】
前記接触体は、前記回動体の前記回動軸から偏心した回転軸を中心に回転自在に設けられたローラーを有するローラー装置であることを特徴とする請求項1〜11のうちのいずれか一項記載の移動装置。
【請求項13】
前記支持レールは、アルミニウムを主成分とする金属から成り、
前記ローラーは、合成樹脂材から成ることを特徴とする請求項12記載の移動装置。
【請求項14】
前記支持レールは、アルミニウムを主成分とする金属を押し出し成型することにより形成されていることを特徴とする請求項12または13記載の移動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−283858(P2006−283858A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−103346(P2005−103346)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(302012822)有限会社浜インターナショナル (12)
【Fターム(参考)】