移動通信システム、移動局、基地局、およびハンドオーバ方法
【課題】異なる周波数帯を使用する基地局間のシームレスハンドオーバを実現する。
【解決手段】移動局12は、基地局14−1から割り当てられたANCH1と、基地局14−2へのハンドオーバの開始に応じて基地局14−2から通知されるANCH2と、の周波数差が自局の使用周波数帯幅より大きい場合に、基地局14−1にANCH1の再割り当てを要求する(S300)。ANCH1とANCH2との周波数差が移動局12の使用周波数帯幅以下になると、移動局12は、自局の使用周波数帯を基地局14−1の使用周波数帯からANCH1およびANCH2を含む周波数帯にシフトする(S310)。その後、移動局12は、ANCH2を介して基地局14−2との接続を確立してから(S312〜S322)、基地局14−1との接続を切断し(S324)、自局の使用周波数帯を基地局14−2の周波数帯にさらにシフトする(S326)。
【解決手段】移動局12は、基地局14−1から割り当てられたANCH1と、基地局14−2へのハンドオーバの開始に応じて基地局14−2から通知されるANCH2と、の周波数差が自局の使用周波数帯幅より大きい場合に、基地局14−1にANCH1の再割り当てを要求する(S300)。ANCH1とANCH2との周波数差が移動局12の使用周波数帯幅以下になると、移動局12は、自局の使用周波数帯を基地局14−1の使用周波数帯からANCH1およびANCH2を含む周波数帯にシフトする(S310)。その後、移動局12は、ANCH2を介して基地局14−2との接続を確立してから(S312〜S322)、基地局14−1との接続を切断し(S324)、自局の使用周波数帯を基地局14−2の周波数帯にさらにシフトする(S326)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システム、移動局、基地局、およびハンドオーバ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムでは、セル間の移動や通信品質の劣化などに伴って、移動局が、ある基地局から別の基地局に接続先を切り替えるハンドオーバを行うことがある。ハンドオーバの中でも、アプリケーションの通信状態を維持したまま接続先をスムーズに切り替えることができるものは、特にシームレスハンドオーバと呼ばれる。
【0003】
たとえば次世代PHSとして知られるXGP(eXtended Global Platform)でも、シームレスハンドオーバが規定されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“ARIB STD-T95 Version 1.2「OFDMA/TDMA TDD Broadband Wireless Access System (Next Generation PHS)」”、平成21年3月18日、社団法人電波産業会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、シームレスハンドオーバでは、データ通信が途切れないよう(アプリケーションの通信状態が維持されるよう)、移動局が、接続中の基地局および接続先の基地局の双方と同時に無線通信を行う必要がある。
【0006】
しかしながら、上記XGPのような移動通信システムでは、干渉回避を目的として、近接する基地局に異なる使用周波数帯を設定する場合がある。この場合、使用可能な周波数帯幅の限られた移動局が、ハンドオーバにおいて、接続中の基地局および接続先の基地局の双方と同時に無線通信を行うことは容易ではない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、異なる周波数帯を使用する基地局間のシームレスハンドオーバを実現することができる移動通信システム、移動局、基地局、およびハンドオーバ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る移動通信システムは、第1の周波数帯を使用する第1の基地局と、前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯を使用する第2の基地局と、前記第1の周波数帯に属する第1の制御チャネルを前記第1の基地局から割り当てられた移動局と、を含む移動通信システムであって、前記第1の基地局と接続している前記移動局の使用周波数帯は、前記第1の周波数帯と、前記第2の周波数帯における前記第1の周波数帯側端に規定された共通チャネルと、を含み、前記移動局は、前記第1の制御チャネルと、前記第1の基地局から前記第2の基地局へのハンドオーバの開始に応じて前記共通チャネルを介して前記第2の基地局から通知される、前記第2の周波数帯に属する第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅より大きい場合に、該周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下となるよう、前記第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求する再割当要求手段、を含み、前記第1の基地局は、前記移動局からの制御チャネルの再割当要求に応じて、前記第1の制御チャネルとは異なる新たな第1の制御チャネルを前記第1の周波数帯の中から決定する制御チャネル決定手段と、前記制御チャネル決定手段により決定される第1の制御チャネルを前記移動局に通知する手段と、を含み、前記移動局は、前記第1の制御チャネルと前記第2の制御チャネルとの周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下である場合に、前記移動局の使用周波数帯を該第1および第2の制御チャネルを含む周波数帯にシフトする第1周波数帯シフト手段と、前記第1周波数帯シフト手段により前記移動局の使用周波数帯がシフトされた後に、前記第2の制御チャネルを介して前記第2の基地局との接続を確立する手段と、前記第2の基地局との接続が確立された後に、前記移動局の使用周波数帯を前記第2の周波数帯にさらにシフトする第2周波数帯シフト手段と、をさらに含む、ことを特徴とする。
【0009】
本発明では、移動局が第1の基地局から第2の基地局にハンドオーバを行う際、移動局の使用周波数帯を第1の基地局が使用する第1の周波数帯から第2の基地局が使用する第2の周波数帯に直に切り替えるのではなく、第2の周波数帯における第1の周波数帯側端に規定された共通チャネルを利用することにより、移動局の使用周波数帯を2段階でシフトする。ここで、第1の基地局と接続している移動局の使用周波数帯は、第1の周波数帯と上記共通チャネルとを含むものとする。
【0010】
すなわち、本発明では、第1の基地局(接続中の基地局)から割り当てられた第1の制御チャネルと、共通チャネルを介して第2の基地局(接続先の基地局)から通知される第2の制御チャネルと、の周波数差が移動局の使用周波数帯幅より大きい場合、移動局が、第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求する。
【0011】
一方、その周波数差が移動局の使用周波数帯幅以下である場合、まず、移動局は、自局の使用周波数帯を、第1の周波数帯と共通チャネルとを含む周波数帯から、第1および第2の制御チャネルを含む周波数帯にシフトする(第1回目のシフト)。
【0012】
この時点では、移動局の使用周波数帯が第1および第2の制御チャネルを含む周波数帯にあるため、移動局は、第1および第2の制御チャネルをそれぞれ介して、第1および第2の基地局の双方と同時に無線通信を行うことができる。そこで、第1回目のシフト後、移動局は、第2の制御チャネルを介して第2の基地局との接続を確立する。この間、移動局は、第1の基地局から割り当てられている第1の制御チャネルを介してデータ通信を維持する。
【0013】
移動局と第2の基地局との接続が確立されると、移動局は、自局の使用周波数帯を第2の周波数帯にさらにシフトする(第2回目のシフト)。その後、移動局は、第1の基地局との接続を切断するとともに、第2の基地局から割り当てられた第2の制御チャネルなどを介してデータ通信を継続する。こうして、移動局は、データ通信を途切れさせることなく、第1の基地局から第2の基地局へのハンドオーバを完了する。
【0014】
このように、本発明によれば、異なる周波数帯を使用する基地局間のシームレスハンドオーバを実現することができる。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記再割当要求手段は、前記第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求するとともに、前記第2の制御チャネルの周波数を示す識別情報を前記第1の基地局に通知し、前記制御チャネル決定手段は、前記移動局から通知される識別情報に基づいて、前記第2の制御チャネルとの周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下である空きチャネルの中から、前記第1の制御チャネルを決定してもよい。
【0016】
この態様によれば、移動局が第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求する回数を低減することができる。
【0017】
また、本発明に係る移動局は、第1の周波数帯を使用する第1の基地局から前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯を使用する第2の基地局にハンドオーバを行う移動局であって、前記第1の基地局と接続している前記移動局の使用周波数帯は、前記第1の周波数帯と、前記第2の周波数帯における前記第1の周波数帯側端に規定された共通チャネルと、を含み、前記第1の基地局から割り当てられた、前記第1の周波数帯に属する第1の制御チャネルと、前記第1の基地局から前記第2の基地局へのハンドオーバの開始に応じて前記共通チャネルを介して前記第2の基地局から通知される、前記第2の周波数帯に属する第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅より大きい場合に、該周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下となるよう、前記第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求する再割当要求手段と、前記制御チャネルの再割当要求に応じて前記第1の基地局から通知される、前記第1の周波数帯に属する新たな第1の制御チャネルと、前記第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下である場合に、前記移動局の使用周波数帯を該第1および第2の制御チャネルを含む周波数帯にシフトする第1周波数帯シフト手段と、前記第1周波数帯シフト手段により前記移動局の使用周波数帯がシフトされた後に、前記第2の制御チャネルを介して前記第2の基地局との接続を確立する手段と、前記第2の基地局との接続が確立された後に、前記移動局の使用周波数帯を前記第2の周波数帯にさらにシフトする第2周波数帯シフト手段と、を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る基地局は、他の基地局が使用する第2の周波数帯とは異なる第1の周波数帯を使用する基地局であって、当該基地局と接続している移動局の使用周波数帯は、前記第1の周波数帯と、前記第2の周波数帯における前記第1の周波数帯側端に規定された共通チャネルと、を含み、当該基地局が前記移動局に割り当てた、前記第1の周波数帯に属する第1の制御チャネルと、前記移動局による当該基地局から前記他の基地局へのハンドオーバの開始に応じて前記共通チャネルを介して前記他の基地局から前記移動局に通知される、前記第2の周波数帯に属する第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅より大きい場合に、前記移動局から要求される制御チャネルの再割当要求に応じて、前記第1の制御チャネルとは異なる新たな第1の制御チャネルを前記第1の周波数帯の中から決定する制御チャネル決定手段と、前記制御チャネル決定手段により決定される第1の制御チャネルを前記移動局に通知する手段と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るハンドオーバ方法は、第1の周波数帯を使用する第1の基地局と、前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯を使用する第2の基地局と、前記第1の周波数帯に属する第1の制御チャネルを前記第1の基地局から割り当てられた移動局と、を含む移動通信システムにおけるハンドオーバ方法であって、前記第1の基地局と接続している前記移動局の使用周波数帯は、前記第1の周波数帯と、前記第2の周波数帯における前記第1の周波数帯側端に規定された共通チャネルと、を含み、前記移動局が、前記第1の制御チャネルと、前記第1の基地局から前記第2の基地局へのハンドオーバの開始に応じて前記共通チャネルを介して前記第2の基地局から通知される、前記第2の周波数帯に属する第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅より大きい場合に、該周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下となるよう、前記第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求する再割当要求ステップと、前記第1の基地局が、前記移動局からの制御チャネルの再割当要求に応じて、前記第1の制御チャネルとは異なる新たな第1の制御チャネルを前記第1の周波数帯の中から決定する制御チャネル決定ステップと、前記第1の基地局が、前記制御チャネル決定ステップで決定される第1の制御チャネルを前記移動局に通知するステップと、前記第1の制御チャネルと前記第2の制御チャネルとの周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下である場合に、前記移動局の使用周波数帯を該第1および第2の制御チャネルを含む周波数帯にシフトする第1周波数帯シフトステップと、前記第1周波数帯シフトステップで前記移動局の使用周波数帯がシフトされた後に、前記移動局が、前記第2の制御チャネルを介して前記第2の基地局との接続を確立するステップと、前記移動局と前記第2の基地局との接続が確立された後に、前記移動局の使用周波数帯を前記第2の周波数帯にさらにシフトする第2周波数帯シフトステップと、を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態1〜3に係る移動通信システムの構成を示す図である。
【図2A】実施形態1〜3に係る移動通信システムにおける無線チャネル構成を示す図である。
【図2B】図2Aに示す無線チャネル構成における、基地局の使用周波数帯と移動局の使用周波数帯との関係を示す図である。
【図3】実施形態1〜3に係る移動局の機能ブロック図である。
【図4】実施形態1〜3に係る基地局の機能ブロック図である。
【図5A】実施形態1に係るハンドオーバ方法の一例を示すシーケンス図である。
【図5B】実施形態1に係るハンドオーバ方法の他の例を示すシーケンス図である。
【図6A】接続中および接続先の基地局の使用周波数帯と、移動局の使用周波数帯と、接続中の基地局が移動局に割り当てているPRU(ANCH1,EXCH)と、の関係の一例を示す図である。
【図6B】図6Aに示す状態から、接続先の基地局が移動局に割り当てたPRU(ANCH2)を示す図である。
【図6C】図6Bに示す状態から、ANCH1とANCH2とを含む周波数帯にシフトされた移動局の使用周波数帯(第1回目のシフト)を示す図である。
【図6D】図6Cに示す状態において移動局と接続先の基地局との接続が確立された後、接続先の基地局の使用周波数帯にさらにシフトされた移動局の使用周波数帯(第2回目のシフト)を示す図である。
【図6E】図6Aに示す状態から、接続先の基地局が移動局に割り当てたANCH2を示す図である。
【図6F】図6Eに示す状態からは、移動局の使用周波数帯をANCH1およびANCH2の双方を含む周波数帯にシフトできないことを示す図である。
【図6G】図6Eに示す状態から、移動局からのANCH2の再割当要求に応じて、接続先の基地局が新たに割り当てたANCH2を示す図である。
【図6H】図6Gに示す状態から、ANCH1とANCH2とを含む周波数帯にシフトされた移動局の使用周波数帯(第1回目のシフト)を示す図である。
【図6I】図6Hに示す状態において移動局と接続先の基地局との接続が確立された後、接続先の基地局の使用周波数帯にさらにシフトされた移動局の使用周波数帯(第2回目のシフト)を示す図である。
【図7】実施形態2に係るハンドオーバ方法の一例を示すシーケンス図である。
【図8A】接続中および接続先の基地局の使用周波数帯と、移動局の使用周波数帯と、接続中の基地局が移動局に割り当てているPRU(ANCH1,EXCH)と、の関係の一例を示す図である。
【図8B】図8Aに示す状態において、接続先の基地局が移動局に新たなANCH2として割り当てるべきPRUの範囲を示す図である。
【図8C】図8Aに示す状態から、接続先の基地局が移動局に割り当てたANCH2を示す図である。
【図8D】図8Cに示す状態から、ANCH1とANCH2とを含む周波数帯にシフトされた移動局の使用周波数帯(第1回目のシフト)を示す図である。
【図8E】図8Dに示す状態において移動局と接続先の基地局との接続が確立された後、接続先の基地局の使用周波数帯にさらにシフトされた移動局の使用周波数帯(第2回目のシフト)を示す図である。
【図9】実施形態3に係るハンドオーバ方法の一例を示すシーケンス図である。
【図10A】接続中および接続先の基地局の使用周波数帯と、移動局の使用周波数帯と、接続中の基地局が移動局に割り当てているPRU(ANCH1,EXCH)と、の関係の一例を示す図である。
【図10B】図10Aに示す状態から、接続先の基地局が移動局に割り当てたPRU(ANCH2)を示す図である。
【図10C】図10Bに示す状態からは、移動局の使用周波数帯をANCH1およびANCH2の双方を含む周波数帯にシフトできないことを示す図である。
【図10D】図10Bに示す状態において、接続中の基地局が移動局に新たなANCH1として割り当てるべきPRUの範囲を示す図である。
【図10E】図10Bに示す状態から、移動局からのANCH1の再割当要求に応じて、接続中の基地局が新たに割り当てたANCH1を示す図である。
【図10F】図10Eに示す状態から、ANCH1とANCH2とを含む周波数帯にシフトされた移動局の使用周波数帯(第1回目のシフト)を示す図である。
【図10G】図10Fに示す状態において移動局と接続先の基地局との接続が確立された後、接続先の基地局の使用周波数帯にさらにシフトされた移動局の使用周波数帯(第2回目のシフト)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態1〜3を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る移動通信システム10の構成を示す図である。図1に示すように、移動通信システム10は、複数の移動局12(ここでは1つのみを示す)と、複数の基地局14(ここでは近接する基地局14−1,14−2のみを示す)と、を含んで構成される。ここでは、基地局14−1のセル16−1と基地局14−2のセル16−2とが一部重複しているものとする。
【0023】
各基地局14は、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)方式およびTDMA/TDD(Time Division Multiple Access/Time Division Duplex:時分割多元接続/時分割複信)方式により、自局のセル16内に位置する移動局12のそれぞれと無線通信を行う。
【0024】
図2Aは、移動通信システム10における無線チャネル構成を示す図である。同図に示すように、移動通信システム10では、所定時間幅のTDMAフレーム(ここでは5ms)が上りサブフレーム(2.5ms)と下りサブフレーム(2.5ms)とに区分され、さらに各サブフレームがそれぞれ複数のタイムスロット(ここではSlot1〜Slot4)に均等に区分されている。また、所定の周波数帯域に複数のOFDMAサブチャネル(ここではSch1〜Sch17)が規定されている。基地局14が移動局12に割り当てる無線チャネルの最小単位はPRU(Physical Resource Unit)と呼ばれ、各PRUは、タイムスロット(Slot1〜Slot4)のいずれかと、サブチャネル(Sch1〜Sch17)のいずれかと、に属する。なお、上りサブフレームおよび下りサブフレームともに、各PRUが、たとえば1から始まる連続するPRU番号(1,2,3,・・・)で識別されるよう定められており、PRU番号の同じPRUは上下ペアで使用されることになっている。つまり、PRUは上下対称に割り当てられるように規定されている。
【0025】
移動通信システム10では、干渉回避を目的として、近接する基地局14に異なる使用周波数帯が設定されている。ここでは、図2Bに示すように、基地局14−1の使用周波数帯としてSch1〜Sch9(幅8.1MHz)が設定され、基地局14−2の使用周波数帯としてSch9〜Sch17(幅8.1MHz)が設定されているものとする。
【0026】
このうち、Sch1,Sch9,Sch17は、1以上の移動局12に共用されるCCH(Common Channel:共通チャネル)として規定されている。これは、CCHにおける受信利得が増大するよう、各基地局14の使用周波数帯にCCH用のサブチャネルを2つずつ配置する「デュアルCCH」と呼ばれる無線チャネル構成である。このため、基地局14−1の使用周波数帯と基地局14−2の使用周波数帯とは、CCHとして規定されたSch9で重複する。
【0027】
一方、Sch2〜Sch8およびSch10〜Sch16に属するPRUは、各移動局12に個別に割り当てられるICH(Individual Channel:個別チャネル)として用いられる。ICHには、各移動局12に個別制御チャネルとして原則1つ割り当てられ主に制御情報の伝送に用いられるANCH(Anchor Channel)、各移動局12に通信チャネルとして1つ以上割り当てられ主に通信データの伝送に用いられるEXCH(Extra Channel)などが含まれる。なお、基地局14は、移動局12にICHとして割り当てるPRU(特にEXCH)を1フレームまたは複数フレームごとに変更することができる。
【0028】
また、移動局12の使用可能な周波数帯幅は、基地局14−1,14−2の使用周波数帯幅と同じ9サブチャネル分の周波数帯幅(8.1MHz)に限られている。このため、移動局12が基地局14−1と接続する場合、移動局12の使用周波数は基地局14−1の使用周波数帯であるSch1〜Sch9に設定される。また、移動局12が基地局14−2と接続する場合、移動局12の使用周波数は基地局14−2の使用周波数帯であるSch9〜Sch17に設定される。なお、基地局14−1の使用周波数帯と基地局14−2の使用周波数帯とはCCH(Sch9)で重複するため、基地局14−1と接続している移動局12の使用周波数帯には、基地局14−2の使用周波数帯の上端(基地局14−1の使用周波数帯側端)に位置するCCH(Sch9)が含まれることになる。
【0029】
ただし、移動通信システム10では、移動局12が基地局14−1から基地局14−2にハンドオーバを行う際に、移動局12の使用周波数帯を基地局14−1の使用周波数帯であるSch1〜Sch9から基地局14−2の使用周波数帯であるSch9〜Sch17に直に切り替えるのではなく、基地局14−1の使用周波数帯と基地局14−2の使用周波数帯とが重複するCCH(Sch9)を利用して、移動局12の使用周波数帯を2段階でシフトする。これにより、移動局12は、異なる周波数帯を使用する基地局14−1,14−2間でシームレスなハンドオーバを行うことができる。
【0030】
以下では、図3および図4に基づいて、シームレスハンドオーバを実現するために移動局12および基地局14が備える構成を具体的に説明する。
【0031】
図3は、移動局12の機能ブロック図である。図3に示すように、移動局12は、アンテナ20、無線通信部22、ベースバンド部24、信号処理部26、および制御部28(メッセージ解析部30、ハンドオーバ制御部32、周波数帯シフト部34、メッセージ生成部36)を含んで構成される。
【0032】
アンテナ20は、基地局14から無線信号を受信し、受信された無線信号を無線通信部22に出力する。また、アンテナ20は、無線通信部22から供給される無線信号を基地局14に対して送信する。
【0033】
無線通信部22は、低雑音増幅器、電力増幅器、周波数変換器、帯域通過フィルタ、A/D変換器、およびD/A変換器を含んで構成される。無線通信部22は、アンテナ20から入力される無線信号を低雑音増幅器で増幅した後、中間周波数信号にダウンコンバートし、さらにディジタル信号に変換してから、ベースバンド部24に出力する。また、無線通信部22は、ベースバンド部24から入力されるディジタル信号をアナログ信号に変換した後、無線信号にアップコンバートし、電力増幅器で送信出力レベルまで増幅してから、アンテナ20に供給する。
【0034】
なお、無線通信部22の周波数変換器は、後述する制御部28(周波数帯シフト部34)の指示に従って、ダウンコンバート対象信号またはアップコンバート対象信号に乗じる基準周波数を変更することにより、移動局12の使用周波数帯を切り替える。
【0035】
ベースバンド部24は、FFT(Fast Fourier Transform)部、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部、直並列変換器、および並直列変換器を含んで構成される。ベースバンド部24は、無線通信部22から入力されるディジタル信号に、直並列変換、GI(Guard Interval)の除去、高速フーリエ変換、並直列変換などを施し、得られた複素シンボル列を信号処理部26に出力する。また、ベースバンド部24は、信号処理部26から入力される複素シンボル列に、直並列変換、逆高速フーリエ変換、GIの付加、並直列変換などを施し、得られたディジタル信号を無線通信部22に出力する。
【0036】
信号処理部26は、たとえばDSP(Digital Signal Processor)で構成される。信号処理部26は、ベースバンド部24から入力される複素シンボル列に対して、復調、復号、誤り検出などを施し、得られた受信データを制御部28に出力する。また、信号処理部26は、制御部28から入力される送信データや基地局14宛てのメッセージに対して、誤り検出符号の付加、符号化、変調などを施し、得られた複素シンボル列をベースバンド部24に出力する。
【0037】
制御部28は、たとえばCPUおよびCPUの動作を制御するプログラムで構成され、移動局12の各部を制御する。特に、制御部28は、メッセージ解析部30、ハンドオーバ制御部32、周波数帯シフト部34、およびメッセージ生成部36を機能的に含み、移動局12のハンドオーバ動作の制御などを行う。
【0038】
メッセージ解析部30は、信号処理部26から入力される受信データより基地局14からの各種メッセージを抽出し、そのメッセージの内容を解析する。たとえば、メッセージ解析部30は、受信データより基地局14からのLCH(Link Channel)割当応答メッセージを取得し、そのLCH割当応答メッセージからANCH(個別制御チャネル)として移動局12に割り当てられたPRUの番号(ANCHのタイムスロットおよびサブチャネルを識別するための情報)などを取得する。なお、受信データより抽出される基地局14からメッセージには、LCH割当応答メッセージの他に、LCH再割当応答メッセージ、リンク設定応答メッセージ、機能拡張応答メッセージ、接続応答メッセージ、ANCH/CSCH切替指示メッセージなどがある。
【0039】
ハンドオーバ制御部32は、移動局12のハンドオーバ動作を制御する。たとえば、移動局12が基地局14−1から基地局14−2にハンドオーバを行う場合、ハンドオーバ制御部32は、基地局14−2へのLCH割当要求、移動局12の使用周波数帯のシフト、基地局14−2との接続確立、基地局14−1との接続切断、などを行うよう、移動局12の各部に指示する。
【0040】
周波数帯シフト部34は、移動局12がハンドオーバを行う際、ハンドオーバ制御部32の指示に従って、移動局12の使用周波数帯が2段階でシフトするよう、無線通信部22に周波数変換器の基準周波数を変更させる(後述)。
【0041】
メッセージ生成部36は、基地局14宛てのメッセージを生成し、そのメッセージを信号処理部26に出力する。基地局14宛てのメッセージには、LCH割当要求メッセージ、LCH再割当要求メッセージ、リンク設定要求メッセージ、機能拡張要求メッセージ、接続要求メッセージ、ANCH/CSCH切替要求メッセージ、ANCH/CSCH切替確認メッセージなどがある。
【0042】
図4は、基地局14の機能ブロック図である。図4に示すように、基地局14は、アンテナ40、無線通信部42、ベースバンド部44、信号処理部46、および制御部48(メッセージ解析部50、回線品質検出部52、チャネル決定部54、メッセージ生成部56)を含んで構成される。
【0043】
アンテナ40は、移動局12から無線信号を受信し、受信された無線信号を無線通信部42に出力する。また、アンテナ40は、無線通信部42から供給される無線信号を移動局12に対して送信する。
【0044】
無線通信部42は、低雑音増幅器、電力増幅器、周波数変換器、帯域通過フィルタ、A/D変換器、およびD/A変換器を含んで構成される。無線通信部42は、アンテナ40から入力される無線信号を低雑音増幅器で増幅した後、中間周波数信号にダウンコンバートし、さらにディジタル信号に変換してから、ベースバンド部44に出力する。また、無線通信部42は、ベースバンド部44から入力されるディジタル信号をアナログ信号に変換した後、無線信号にアップコンバートし、電力増幅器で送信出力レベルまで増幅してから、アンテナ40に供給する。
【0045】
ベースバンド部44は、FFT部、IFFT部、直並列変換器、および並直列変換器を含んで構成される。ベースバンド部44は、無線通信部42から入力されるディジタル信号に、直並列変換、GIの除去、高速フーリエ変換、並直列変換などを施し、得られた複素シンボルを信号処理部46に出力する。また、ベースバンド部44は、信号処理部46から入力される複素シンボル列に、直並列変換、逆高速フーリエ変換、GIの付加、並直列変換などを施し、得られたディジタル信号を無線通信部42に出力する。
【0046】
信号処理部46は、たとえばDSPで構成される。信号処理部46は、ベースバンド部44から入力される複素シンボル列に対して、復調、復号、誤り検出などを施し、得られた受信データを制御部48に出力する。また、信号処理部46は、制御部48から入力される送信データや移動局12宛てのメッセージに対して、誤り検出符号の付加、符号化、変調などを施し、得られた複素シンボル列をベースバンド部44に出力する。
【0047】
制御部48は、たとえばCPUおよびCPUの動作を制御するプログラムで構成され、基地局14の各部を制御する。特に、制御部48は、メッセージ解析部50、回線品質検出部52、チャネル決定部54、およびメッセージ生成部56を機能的に含み、移動局12に割り当てるPRU(ANCH,EXCHなど)の決定などを行う。
【0048】
メッセージ解析部50は、信号処理部46から入力される受信データより移動局12からの各種メッセージを抽出し、そのメッセージの内容を解析する。受信データより抽出される移動局12からのメッセージには、LCH割当要求メッセージ、LCH再割当要求メッセージ、リンク設定要求メッセージ、機能拡張要求メッセージ、接続要求メッセージ、ANCH/CSCH切替要求メッセージ、ANCH/CSCH切替確認メッセージなどがある。
【0049】
回線品質検出部52は、信号処理部46を介してベースバンド部44から入力される複素シンボル列に基づいて、基地局14の使用周波数帯に属するPRUそれぞれの回線品質を表す回線品質値を検出する。回線品質検出部52で検出される回線品質値には、たとえば、キャリアセンス(妨害波測定)により検出されるRSSI(Received Signal Strength Indication:受信信号強度)やSNR(Signal to Noise Ratio:信号対雑音電力比)などがある。
【0050】
チャネル決定部54は、回線品質検出部52で検出される回線品質値、PRUの空き状況、移動局12との間で送受されるデータの量、通信種別(音声通信、パケット通信など)、移動局12の契約情報(その移動局12に割り当て可能なPRUの上限数に関連する情報)などに基づいて、移動局12に割り当てるPRUを決定する。たとえば、チャネル決定部54は、移動局12からのLCH割当要求メッセージに基づいて、その移動局12にANCH(個別制御チャネル)として割り当てるPRUを決定する。また、チャネル決定部54は、1フレームまたは複数フレームごとに、移動局12にEXCH(通信チャネル)として割り当てる1以上のPRUを決定する。さらに、チャネル決定部54は、移動局12からのANCH/CSCH切替要求メッセージに基づいて、その移動局12にANCHとして割り当てるPRUを変更する。
【0051】
メッセージ生成部56は、移動局12宛てのメッセージを生成し、そのメッセージを信号処理部46に出力する。移動局12宛てのメッセージには、その移動局12にANCHとして割り当てられたPRUの番号を含むLCH割当応答メッセージ、LCH再割当応答メッセージ、リンク設定応答メッセージ、機能拡張応答メッセージ、接続応答メッセージ、ANCH/CSCH切替指示メッセージなどがある。
【0052】
次に、図5A、図5B、および図6A〜図6Iに基づいて、移動局12が基地局14−1から基地局14−2にハンドオーバを行う際の、移動局12および基地局14−1,14−2の動作を具体的に説明する。
【0053】
図5Aは、実施形態1に係るハンドオーバ方法の一例を示すシーケンス図である。また、図5Bは、実施形態1に係るハンドオーバ方法の他の例を示すシーケンス図である。ここでは、ハンドオーバ前に、接続中の基地局14−1の使用周波数帯と、接続先の基地局14−2の使用周波数帯と、移動局12の使用周波数帯と、基地局14−1が移動局12に割り当てているPRU(ANCH1,EXCH)と、が図6Aに示す関係にあるものとする。
【0054】
図5Aに示すように、移動局12は、基地局14−2へのハンドオーバを開始する際、CCH(基地局14−1の使用周波数帯と基地局14−2の使用周波数帯とが重複するSch9)を介して、接続先の基地局14−2にLCH割当要求メッセージを送信する(S100)。
【0055】
基地局14−2は、移動局12からのLCH割当要求メッセージに応じて、その移動局12にANCHとして割り当てるPRU(ANCH2)を決定する。具体的には、基地局14−2のチャネル決定部54が、回線品質検出部52で検出される回線品質値やPRUの空き状況などに基づいて、ANCH2を決定する。そして、基地局14−2は、CCHを介して、決定されたANCH2のPRU番号を含むLCH割当応答メッセージを移動局12に送信する(S102)。
【0056】
次に、移動局12は、基地局14−1から割り当てられているANCH1と、S102で基地局14−2から通知されたANCH2と、の周波数差が自局の使用周波数帯幅(8.1MHz)以下であるか否かを判定する。
【0057】
ここで、図6Bに示すように、ANCH1とANCH2との周波数差が移動局12の使用周波数帯幅以下である場合、移動局12は、自局の使用周波数帯をANCH1およびANCH2を含む周波数帯にシフトする(S108:第1回目のシフト)。具体的には、移動局12の周波数帯シフト部34が、移動局12の使用周波数帯がANCH1およびANCH2を含む周波数帯にシフトするよう、無線通信部22に周波数変換器の基準周波数を変更させる。
【0058】
なお、第1回目のシフトでは、図6Cに示すように、移動局12の使用周波数帯の下端(基地局14−2の使用周波数帯側端)がANCH2の周波数(Sch12)と等しくなるよう、移動局12の使用周波数帯をシフトすることが望ましい。こうすれば、移動局12の使用周波数帯のシフト量(第1回目のシフト量)が最小化されるため、第1回目のシフトによって解放されるEXCH(通信チャネル)の数を低減することができる。
【0059】
S108の時点では、移動局12の使用周波数帯がANCH1およびANCH2を含む周波数帯にあるため、移動局12は、ANCH1およびANCH2をそれぞれ介して、基地局14−1および基地局14−2の双方と同時に無線通信を行うことができる(図6C参照)。そこで、第1回目のシフトの後、移動局12は、ANCH2を介して基地局14−2との接続を確立する。すなわち、移動局12は、リンク設定要求メッセージ(S110)、リンク設定応答メッセージ(S112)、機能拡張要求メッセージ(S114)、機能拡張応答メッセージ(S116)、接続要求メッセージ(S118)、および接続応答メッセージ(S120)をANCH2を介して送受することにより、基地局14−2との接続を確立する。この間、移動局12は、ANCH1および第1回目のシフトで解放されずに残ったEXCH(図6C参照)を介してデータ通信を維持する。
【0060】
基地局14−2との接続が確立されると、移動局12は、ANCH1を介して基地局14−1との接続を切断する(S122)。これにより、移動局12にANCH1およびEXCHとして割り当てられていたPRUがすべて解放される。続いて、移動局12は、図6Dに示すように、自局の使用周波数帯を基地局14−2の使用周波数帯であるSch9〜Sch17にさらにシフトする(S124:第2回目のシフト)。具体的には、移動局12の周波数帯シフト部34が、移動局12の使用周波数帯がSch9〜Sch17にシフトするよう、無線通信部22に周波数変換器の基準周波数を変更させる。
【0061】
その後、移動局12は、ANCH2および基地局14−2から新たに割り当てられるEXCHを介してデータ通信を継続する。こうして、移動局12は、データ通信を途切れさせることなく、すなわちシームレスに、基地局14−1から基地局14−2へのハンドオーバを完了する。
【0062】
これに対して、図6Eに示すように、基地局14−1から割り当てられているANCH1と、S102で基地局14−2から通知されたANCH2と、の周波数差が移動局12の使用周波数帯幅より大きい場合、移動局12の使用周波数帯をANCH1およびANCH2の双方を含む周波数帯にシフトすることはできない(図6F参照)。このため、移動局12は、その周波数差が自局の使用周波数帯幅以下となるよう、CCH(Sch9)を介して基地局14−2にANCH2の再割り当てを要求する。すなわち、移動局12は、図5Bに示すように、CCHを介して、接続先の基地局14−2にLCH再割当要求メッセージを送信する(S104)。
【0063】
基地局14−2は、移動局12からのLCH再割当要求メッセージに応じて、その移動局12に通知したANCH2とは異なる新たなANCH2をSch10〜Sch16の中から決定する。そして、基地局14−2は、CCHを介して、新たに決定されたANCH2のPRU番号を含むLCH再割当応答メッセージを移動局12に送信する(S106)。なお、移動局12は、ANCH1とANCH2との周波数差が自局の使用周波数帯幅以下になるまで、LCH再割当要求メッセージの送信(S106)を繰り返してもよい。
【0064】
そして、図6Gに示すように、ANCH2の再割り当てによってANCH1とANCH2との周波数差が移動局12の使用周波数帯幅以下になると、図6Hに示すように、移動局12は、自局の使用周波数帯をANCH1およびANCH2を含む周波数帯にシフトする(S108:第1回目のシフト)。
【0065】
第1回目のシフトの後、移動局12は、ANCH2を介して基地局14−2との接続を確立する(S110〜S120)。基地局14−2との接続が確立されると、移動局12は、ANCH1を介して基地局14−1との接続を切断する(S122)。続いて、移動局12は、図6Iに示すように、自局の使用周波数帯を基地局14−2の使用周波数帯であるSch9〜Sch17にさらにシフトする(S124:第2回目のシフト)。
【0066】
このように、実施形態1に係る移動通信システム10によれば、基地局14−1から割り当てられているANCH1と、基地局14−2から通知されたANCH2と、の周波数差が移動局12の使用周波数帯幅より大きい場合でも、移動局12は、接続先の基地局14−2にANCH2の再割り当てを要求することにより、その周波数差を自局の使用周波数帯幅以下にすることができる。このため、移動局12は、Sch1〜Sch9を使用する基地局14−1からSch9〜Sch17を使用する基地局14−2にシームレスにハンドオーバを行うことができる。
【0067】
[実施形態2]
本発明の実施形態2に係る移動通信システム10は、上記実施形態1に係る移動通信システム10と同様のシステム構成および無線チャネル構成を有する。
【0068】
すなわち、実施形態2に係る移動通信システム10は、図1に示すように、複数の移動局12(ここでは1つのみを示す)と、複数の基地局14(ここでは近接する基地局14−1,14−2のみを示す)と、を含んで構成される。
【0069】
また、実施形態2に係る移動通信システム10では、図2Aに示す無線チャネル構成が規定されている。また、図2Bに示すように、干渉回避を目的として、基地局14−1の使用周波数帯としてSch1〜Sch9(幅8.1MHz)が設定され、基地局14−2の使用周波数帯としてSch9〜Sch17(幅8.1MHz)が設定されているものとする(Sch1,Sch9,Sch17は、CCHとして規定されている)。また、移動局12の使用可能な周波数帯幅は、基地局14−1,14−2の使用周波数帯幅と同じ9サブチャネル分の周波数帯幅(8.1MHz)であるものとする。
【0070】
また、実施形態2に係る移動局12は、図3に示すように、アンテナ20、無線通信部22、ベースバンド部24、信号処理部26、および制御部28(メッセージ解析部30、ハンドオーバ制御部32、周波数帯シフト部34、メッセージ生成部36)を含んで構成される。
【0071】
また、実施形態2に係る基地局14は、図4に示すように、アンテナ40、無線通信部42、ベースバンド部44、信号処理部46、および制御部48(メッセージ解析部50、回線品質検出部52、チャネル決定部54、メッセージ生成部56)を含んで構成される。
【0072】
ただし、実施形態2では、実施形態1と異なり、移動局12が基地局14−1から基地局14−2へのハンドオーバを開始する際、移動局12が、基地局14−1から割り当てられているANCH(ANCH1)の周波数を示す識別情報を、CCH(Sch9)を介して基地局14−2に通知する。そして、基地局14−2は、移動局12から通知される識別情報に基づいて、ANCH1との周波数差が移動局12の使用周波数帯幅以下である空きPRU(たとえば、いずれの移動局12にも割り当てられておらず、干渉波レベルが所定値以下であるPRU)の中から、移動局12に割り当てるANCH(ANCH2)を決定する。これは、ANCH1とANCH2との周波数差が移動局12の使用周波数帯幅を上回ることを未然に防ぐためである。
【0073】
このように、実施形態1と実施形態2との間には、移動局12の制御部28によるハンドオーバ動作の制御、および基地局14のチャネル決定部54によるANCHの決定、において若干の相違点がある。
【0074】
以下では、この相違点を中心に、図7および図8A〜図8Eに基づいて、移動局12が基地局14−1から基地局14−2にハンドオーバを行う際の、移動局12および基地局14−1,14−2の動作を説明する。
【0075】
図7は、実施形態2に係るハンドオーバ方法の一例を示すシーケンス図である。ここでは、ハンドオーバ前に、接続中の基地局14−1の使用周波数帯と、接続先の基地局14−2の使用周波数帯と、移動局12の使用周波数帯と、基地局14−1が移動局12に割り当てているPRU(ANCH1,EXCH)と、が図8Aに示す関係にあるものとする。
【0076】
図7に示すように、移動局12は、基地局14−2へのハンドオーバを開始する際、CCHを介して、接続先の基地局14−2にLCH割当要求メッセージを送信する(S200)。このLCH割当要求メッセージには、ANCH1の周波数を示す識別情報が含まれている。ANCH1の周波数を示す識別情報としては、たとえば、ANCH1の周波数そのもの、ANCH1のPRU番号(ANCH1のタイムスロットおよびサブチャネルを識別するための情報)などが用いられる。
【0077】
基地局14−2は、移動局12からのLCH割当要求メッセージに応じて、その移動局12に割り当てるANCH2を決定する。具体的には、基地局14−2のチャネル決定部54が、LCH割当要求メッセージに含まれる識別情報、回線品質検出部52で検出される回線品質値、PRUの空き状況などに基づいて、ANCH1との周波数差が移動局12の使用周波数帯幅以下である空きPRU(図8Bの太線枠内参照)の中から、ANCH2を決定する。
【0078】
ここで、チャネル決定部54は、空きPRUの中で周波数がANCH1の周波数に最も近いもの(図8Bの斜線部分参照)を、ANCH2として決定してもよい。こうすれば、移動局12の使用周波数帯のシフト量(第1回目のシフト量)を小さくすることが可能となるため、第1回目のシフトによって解放されるEXCH(通信チャネル)の数を低減することができる。ここでは、図8Cに示すように、空きPRUの中で周波数がANCH1の周波数に最も近いものの1つが、ANCH2として決定されたものとする。
【0079】
その後、基地局14−2は、CCHを介して、決定されたANCH2のPRU番号を含むLCH割当応答メッセージを移動局12に送信する(S202)。
【0080】
実施形態2では、基地局14−1から割り当てられているANCH1と、S202で基地局14−2から通知されるANCH2と、の周波数差が移動局12の使用周波数帯幅以下になるため、移動局12は、自局の使用周波数帯をANCH1およびANCH2を含む周波数帯にシフトする(S204:第1回目のシフト)。
【0081】
なお、第1回目のシフトでは、図8Dに示すように、移動局12の使用周波数帯の下端(基地局14−2の使用周波数帯側端)がANCH2の周波数(Sch10)と等しくなるよう、移動局12の使用周波数帯をシフトすることが望ましい。こうすれば、移動局12の使用周波数帯のシフト量(第1回目のシフト量)を最小化することができる。ちなみに、図8Dに示す例では、第1回目のシフトよって解放されるEXCHの数はゼロである。
【0082】
第1回目のシフトの後、移動局12は、ANCH2を介して基地局14−2との接続を確立する(S206〜S216)。基地局14−2との接続が確立されると、移動局12は、ANCH1を介して基地局14−1との接続を切断する(S218)。続いて、移動局12は、図8Eに示すように、自局の使用周波数帯を基地局14−2の使用周波数帯であるSch9〜Sch17にさらにシフトする(S220:第2回目のシフト)。
【0083】
このように、実施形態2に係る移動通信システム10によれば、ANCH1とANCH2との周波数差が移動局12の使用周波数帯幅を上回ることを未然に防ぐことができる。このため、移動局12は、より早く、Sch1〜Sch9を使用する基地局14−1からSch9〜Sch17を使用する基地局14−2にシームレスにハンドオーバを行うことができる。
【0084】
[実施形態3]
本発明の実施形態3に係る移動通信システム10は、上記実施形態1に係る移動通信システム10と同様のシステム構成および無線チャネル構成を有する。
【0085】
すなわち、実施形態3に係る移動通信システム10は、図1に示すように、複数の移動局12(ここでは1つのみを示す)と、複数の基地局14(ここでは近接する基地局14−1,14−2のみを示す)と、を含んで構成される。
【0086】
また、実施形態3に係る移動通信システム10では、図2Aに示す無線チャネル構成が規定されている。また、図2Bに示すように、干渉回避を目的として、基地局14−1の使用周波数帯としてSch1〜Sch9(幅8.1MHz)が設定され、基地局14−2の使用周波数帯としてSch9〜Sch17(幅8.1MHz)が設定されているものとする(Sch1,Sch9,Sch17は、CCHとして規定されている)。また、移動局12の使用可能な周波数帯幅は、基地局14−1,14−2の使用周波数帯幅と同じ9サブチャネル分の周波数帯幅(8.1MHz)であるものとする。
【0087】
また、実施形態3に係る移動局12は、図3に示すように、アンテナ20、無線通信部22、ベースバンド部24、信号処理部26、および制御部28(メッセージ解析部30、ハンドオーバ制御部32、周波数帯シフト部34、メッセージ生成部36)を含んで構成される。
【0088】
また、実施形態3に係る基地局14は、図4に示すように、アンテナ40、無線通信部42、ベースバンド部44、信号処理部46、および制御部48(メッセージ解析部50、回線品質検出部52、チャネル決定部54、メッセージ生成部56)を含んで構成される。
【0089】
ただし、実施形態3では、実施形態1と異なり、移動局12が基地局14−1から基地局14−2にハンドオーバを行う際、基地局14−1から割り当てられているANCH(ANCH1)と、CCH(Sch9)を介して基地局14−2から通知されるANCH(ANCH2)と、の周波数差が移動局12の使用周波数帯幅より大きければ、移動局12が、その周波数差が自局の使用周波数帯幅以下となるよう、接続先の基地局14−2ではなく、接続中の基地局14−1に対してANCH1の再割り当てを要求する。そして、基地局14−1は、移動局12からのANCH1の再割当要求に応じて、その移動局12に割り当てられているANCH1とは異なる新たなANCH1を決定する。
【0090】
このように、実施形態1と実施形態3との間には、移動局12の制御部28によるハンドオーバ動作の制御、および基地局14のチャネル決定部54によるANCHの決定、において若干の相違点がある。
【0091】
以下では、この相違点を中心に、図9および図10A〜図10Gに基づいて、移動局12が基地局14−1から基地局14−2にハンドオーバを行う際の、移動局12および基地局14−1,14−2の動作を説明する。
【0092】
図9は、実施形態3に係るハンドオーバ方法の一例を示すシーケンス図である。ここでは、ハンドオーバ前に、接続中の基地局14−1の使用周波数帯と、接続先の基地局14−2の使用周波数帯と、移動局12の使用周波数帯と、基地局14−1が移動局12に割り当てているPRU(ANCH1,EXCH)と、が図10Aに示す関係にあるものとする。
【0093】
図9に示すように、移動局12は、基地局14−2へのハンドオーバを開始する際、CCHを介して、接続先の基地局14−2にLCH割当要求メッセージを送信する(S300)。
【0094】
基地局14−2は、移動局12からのLCH割当要求メッセージに応じて、その移動局12に割り当てるANCH2を決定する。具体的には、基地局14−2のチャネル決定部54が、回線品質検出部52で検出される回線品質値やPRUの空き状況などに基づいて、ANCH2を決定する。そして、基地局14−2は、CCHを介して、決定されたANCH2のPRU番号を含むLCH割当応答メッセージを移動局12に送信する(S302)。
【0095】
次に、移動局12は、基地局14−1から割り当てられているANCH1と、S302で基地局14−2から通知されたANCH2と、の周波数差が自局の使用周波数帯幅(8.1MHz)以下であるか否かを判定する。
【0096】
ここで、図10Bに示すように、ANCH1とANCH2との周波数差が移動局12の使用周波数帯幅より大きい場合、移動局12の使用周波数帯をANCH1およびANCH2の双方を含む周波数帯にシフトすることはできない(図10C参照)。このため、移動局12は、その周波数差が自局の使用周波数帯幅以下となるよう、基地局14−1にANCH1の再割り当てを要求する。すなわち、移動局12は、ANCH1を介して、接続中の基地局14−1にANCH/CSCH切替要求メッセージを送信する(S304)。このANCH/CSCH切替要求メッセージには、ANCH2の周波数を示す識別情報が含まれている。ANCH2の周波数を示す識別情報としては、たとえば、ANCH2の周波数そのもの、ANCH2のPRU番号(ANCH2のタイムスロットおよびサブチャネルを識別するための情報)などが用いられる。
【0097】
基地局14−1は、移動局12からのANCH/CSCH切替要求メッセージに応じて、その移動局12に割り当てられているANCH1とは異なる新たなANCH1をSch2〜Sch8の中から決定する。具体的には、基地局14−1のチャネル決定部54が、ANCH/CSCH切替要求メッセージに含まれる識別情報、回線品質検出部52で検出される回線品質値、PRUの空き状況などに基づいて、ANCH2との周波数差が移動局12の使用周波数帯幅以下である空きPRU(図10Dの太線枠内参照)の中から、ANCH1を決定する。
【0098】
その後、基地局14−1は、移動局12に割り当てられているANCH1を介して、新たに決定されたANCH1のPRU番号を含むANCH/CSCH切替応答メッセージを移動局12に送信する(S306)。ここでは、図10Eの太線枠内に示すPRUが、新たなANCH1として決定されたものとする。基地局14−1からのANCH/CSCH切替応答メッセージを受信した移動局12は、新たなANCH1を介して、ANCH/CSCH切替確認メッセージを基地局14−1に返信する(S308)。
【0099】
基地局14−1から再割り当てされたANCH1と、S302で基地局14−2から通知されたANCH2と、の周波数差が移動局12の使用周波数帯幅以下になると、移動局12は、自局の使用周波数帯をANCH1およびANCH2を含む周波数帯にシフトする(S310:第1回目のシフト)。
【0100】
なお、第1回目のシフトでは、図10Fに示すように、移動局12の使用周波数帯の下端(基地局14−2の使用周波数帯側端)がANCH2の周波数(Sch13)と等しくなるよう、移動局12の使用周波数帯をシフトすることが望ましい。こうすれば、移動局12の使用周波数帯のシフト量(第1回目のシフト量)が最小化されるため、第1回目のシフトによって解放されるEXCH(通信チャネル)の数を低減することができる。
【0101】
第1回目のシフトの後、移動局12は、ANCH2を介して基地局14−2との接続を確立する(S312〜S322)。基地局14−2との接続が確立されると、移動局12は、ANCH1を介して基地局14−1との接続を切断する(S324)。続いて、移動局12は、図10Gに示すように、自局の使用周波数帯を基地局14−2の使用周波数帯であるSch9〜Sch17にさらにシフトする(S326:第2回目のシフト)。
【0102】
このように、実施形態3に係る移動通信システム10によれば、基地局14−1から割り当てられているANCH1と、基地局14−2から通知されたANCH2と、の周波数差が移動局12の使用周波数帯幅より大きい場合でも、移動局12は、接続中の基地局14−1にANCH1の再割り当てを要求することにより、その周波数差を自局の使用周波数帯幅以下にすることができる。このため、移動局12は、Sch1〜Sch9を使用する基地局14−1からSch9〜Sch17を使用する基地局14−2にシームレスにハンドオーバを行うことができる。
【0103】
[まとめ]
以上説明した実施形態1〜3に係る移動通信システム10によれば、異なる周波数帯を使用する基地局14間のシームレスハンドオーバを実現することができる。
【0104】
なお、本発明は、上記実施形態1〜3に限定されるものではない。
【0105】
たとえば、無線チャネル構成は、図2Aに示す無線チャネル構成とは異なる構成であってもよい。また、基地局14の使用周波数帯と移動局12の使用周波数帯との関係は、図2Bに示す関係とは異なる関係であってもよい。特に、基地局14−1の使用周波数帯と基地局14−2の使用周波数帯とは、CCH(共通チャネル)として規定された周波数で重複している必要はなく(デュアルCCHと呼ばれる無線チャネル構成にする必要はなく)、基地局14−1と接続している移動局12の使用周波数帯が、基地局14−1の使用周波数帯(第1の周波数帯)と、接続先の基地局14−2の使用周波数帯(第2の周波数帯)における第1の周波数帯側端に規定されたCCHと、を含むという条件を満たす関係にあればよい。
【0106】
また、本発明は、OFDMA方式およびTDMA/TDD方式を採用する移動通信システムに限らず、第1の周波数帯を使用する第1の基地局と、第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯を使用する第2の基地局と、第1の基地局から第2の基地局にハンドオーバを行う移動局と、を含む移動通信システム全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0107】
10 移動通信システム、12 移動局、14 基地局、16 セル、20,40 アンテナ、22,42 無線通信部、24,44 ベースバンド部、26,46 信号処理部、28,48 制御部、30,50 メッセージ解析部、32 ハンドオーバ制御部、34 周波数帯シフト部、36,56 メッセージ生成部、52 回線品質検出部、54 チャネル決定部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システム、移動局、基地局、およびハンドオーバ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムでは、セル間の移動や通信品質の劣化などに伴って、移動局が、ある基地局から別の基地局に接続先を切り替えるハンドオーバを行うことがある。ハンドオーバの中でも、アプリケーションの通信状態を維持したまま接続先をスムーズに切り替えることができるものは、特にシームレスハンドオーバと呼ばれる。
【0003】
たとえば次世代PHSとして知られるXGP(eXtended Global Platform)でも、シームレスハンドオーバが規定されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“ARIB STD-T95 Version 1.2「OFDMA/TDMA TDD Broadband Wireless Access System (Next Generation PHS)」”、平成21年3月18日、社団法人電波産業会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、シームレスハンドオーバでは、データ通信が途切れないよう(アプリケーションの通信状態が維持されるよう)、移動局が、接続中の基地局および接続先の基地局の双方と同時に無線通信を行う必要がある。
【0006】
しかしながら、上記XGPのような移動通信システムでは、干渉回避を目的として、近接する基地局に異なる使用周波数帯を設定する場合がある。この場合、使用可能な周波数帯幅の限られた移動局が、ハンドオーバにおいて、接続中の基地局および接続先の基地局の双方と同時に無線通信を行うことは容易ではない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、異なる周波数帯を使用する基地局間のシームレスハンドオーバを実現することができる移動通信システム、移動局、基地局、およびハンドオーバ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る移動通信システムは、第1の周波数帯を使用する第1の基地局と、前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯を使用する第2の基地局と、前記第1の周波数帯に属する第1の制御チャネルを前記第1の基地局から割り当てられた移動局と、を含む移動通信システムであって、前記第1の基地局と接続している前記移動局の使用周波数帯は、前記第1の周波数帯と、前記第2の周波数帯における前記第1の周波数帯側端に規定された共通チャネルと、を含み、前記移動局は、前記第1の制御チャネルと、前記第1の基地局から前記第2の基地局へのハンドオーバの開始に応じて前記共通チャネルを介して前記第2の基地局から通知される、前記第2の周波数帯に属する第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅より大きい場合に、該周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下となるよう、前記第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求する再割当要求手段、を含み、前記第1の基地局は、前記移動局からの制御チャネルの再割当要求に応じて、前記第1の制御チャネルとは異なる新たな第1の制御チャネルを前記第1の周波数帯の中から決定する制御チャネル決定手段と、前記制御チャネル決定手段により決定される第1の制御チャネルを前記移動局に通知する手段と、を含み、前記移動局は、前記第1の制御チャネルと前記第2の制御チャネルとの周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下である場合に、前記移動局の使用周波数帯を該第1および第2の制御チャネルを含む周波数帯にシフトする第1周波数帯シフト手段と、前記第1周波数帯シフト手段により前記移動局の使用周波数帯がシフトされた後に、前記第2の制御チャネルを介して前記第2の基地局との接続を確立する手段と、前記第2の基地局との接続が確立された後に、前記移動局の使用周波数帯を前記第2の周波数帯にさらにシフトする第2周波数帯シフト手段と、をさらに含む、ことを特徴とする。
【0009】
本発明では、移動局が第1の基地局から第2の基地局にハンドオーバを行う際、移動局の使用周波数帯を第1の基地局が使用する第1の周波数帯から第2の基地局が使用する第2の周波数帯に直に切り替えるのではなく、第2の周波数帯における第1の周波数帯側端に規定された共通チャネルを利用することにより、移動局の使用周波数帯を2段階でシフトする。ここで、第1の基地局と接続している移動局の使用周波数帯は、第1の周波数帯と上記共通チャネルとを含むものとする。
【0010】
すなわち、本発明では、第1の基地局(接続中の基地局)から割り当てられた第1の制御チャネルと、共通チャネルを介して第2の基地局(接続先の基地局)から通知される第2の制御チャネルと、の周波数差が移動局の使用周波数帯幅より大きい場合、移動局が、第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求する。
【0011】
一方、その周波数差が移動局の使用周波数帯幅以下である場合、まず、移動局は、自局の使用周波数帯を、第1の周波数帯と共通チャネルとを含む周波数帯から、第1および第2の制御チャネルを含む周波数帯にシフトする(第1回目のシフト)。
【0012】
この時点では、移動局の使用周波数帯が第1および第2の制御チャネルを含む周波数帯にあるため、移動局は、第1および第2の制御チャネルをそれぞれ介して、第1および第2の基地局の双方と同時に無線通信を行うことができる。そこで、第1回目のシフト後、移動局は、第2の制御チャネルを介して第2の基地局との接続を確立する。この間、移動局は、第1の基地局から割り当てられている第1の制御チャネルを介してデータ通信を維持する。
【0013】
移動局と第2の基地局との接続が確立されると、移動局は、自局の使用周波数帯を第2の周波数帯にさらにシフトする(第2回目のシフト)。その後、移動局は、第1の基地局との接続を切断するとともに、第2の基地局から割り当てられた第2の制御チャネルなどを介してデータ通信を継続する。こうして、移動局は、データ通信を途切れさせることなく、第1の基地局から第2の基地局へのハンドオーバを完了する。
【0014】
このように、本発明によれば、異なる周波数帯を使用する基地局間のシームレスハンドオーバを実現することができる。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記再割当要求手段は、前記第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求するとともに、前記第2の制御チャネルの周波数を示す識別情報を前記第1の基地局に通知し、前記制御チャネル決定手段は、前記移動局から通知される識別情報に基づいて、前記第2の制御チャネルとの周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下である空きチャネルの中から、前記第1の制御チャネルを決定してもよい。
【0016】
この態様によれば、移動局が第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求する回数を低減することができる。
【0017】
また、本発明に係る移動局は、第1の周波数帯を使用する第1の基地局から前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯を使用する第2の基地局にハンドオーバを行う移動局であって、前記第1の基地局と接続している前記移動局の使用周波数帯は、前記第1の周波数帯と、前記第2の周波数帯における前記第1の周波数帯側端に規定された共通チャネルと、を含み、前記第1の基地局から割り当てられた、前記第1の周波数帯に属する第1の制御チャネルと、前記第1の基地局から前記第2の基地局へのハンドオーバの開始に応じて前記共通チャネルを介して前記第2の基地局から通知される、前記第2の周波数帯に属する第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅より大きい場合に、該周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下となるよう、前記第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求する再割当要求手段と、前記制御チャネルの再割当要求に応じて前記第1の基地局から通知される、前記第1の周波数帯に属する新たな第1の制御チャネルと、前記第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下である場合に、前記移動局の使用周波数帯を該第1および第2の制御チャネルを含む周波数帯にシフトする第1周波数帯シフト手段と、前記第1周波数帯シフト手段により前記移動局の使用周波数帯がシフトされた後に、前記第2の制御チャネルを介して前記第2の基地局との接続を確立する手段と、前記第2の基地局との接続が確立された後に、前記移動局の使用周波数帯を前記第2の周波数帯にさらにシフトする第2周波数帯シフト手段と、を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る基地局は、他の基地局が使用する第2の周波数帯とは異なる第1の周波数帯を使用する基地局であって、当該基地局と接続している移動局の使用周波数帯は、前記第1の周波数帯と、前記第2の周波数帯における前記第1の周波数帯側端に規定された共通チャネルと、を含み、当該基地局が前記移動局に割り当てた、前記第1の周波数帯に属する第1の制御チャネルと、前記移動局による当該基地局から前記他の基地局へのハンドオーバの開始に応じて前記共通チャネルを介して前記他の基地局から前記移動局に通知される、前記第2の周波数帯に属する第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅より大きい場合に、前記移動局から要求される制御チャネルの再割当要求に応じて、前記第1の制御チャネルとは異なる新たな第1の制御チャネルを前記第1の周波数帯の中から決定する制御チャネル決定手段と、前記制御チャネル決定手段により決定される第1の制御チャネルを前記移動局に通知する手段と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るハンドオーバ方法は、第1の周波数帯を使用する第1の基地局と、前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯を使用する第2の基地局と、前記第1の周波数帯に属する第1の制御チャネルを前記第1の基地局から割り当てられた移動局と、を含む移動通信システムにおけるハンドオーバ方法であって、前記第1の基地局と接続している前記移動局の使用周波数帯は、前記第1の周波数帯と、前記第2の周波数帯における前記第1の周波数帯側端に規定された共通チャネルと、を含み、前記移動局が、前記第1の制御チャネルと、前記第1の基地局から前記第2の基地局へのハンドオーバの開始に応じて前記共通チャネルを介して前記第2の基地局から通知される、前記第2の周波数帯に属する第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅より大きい場合に、該周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下となるよう、前記第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求する再割当要求ステップと、前記第1の基地局が、前記移動局からの制御チャネルの再割当要求に応じて、前記第1の制御チャネルとは異なる新たな第1の制御チャネルを前記第1の周波数帯の中から決定する制御チャネル決定ステップと、前記第1の基地局が、前記制御チャネル決定ステップで決定される第1の制御チャネルを前記移動局に通知するステップと、前記第1の制御チャネルと前記第2の制御チャネルとの周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下である場合に、前記移動局の使用周波数帯を該第1および第2の制御チャネルを含む周波数帯にシフトする第1周波数帯シフトステップと、前記第1周波数帯シフトステップで前記移動局の使用周波数帯がシフトされた後に、前記移動局が、前記第2の制御チャネルを介して前記第2の基地局との接続を確立するステップと、前記移動局と前記第2の基地局との接続が確立された後に、前記移動局の使用周波数帯を前記第2の周波数帯にさらにシフトする第2周波数帯シフトステップと、を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態1〜3に係る移動通信システムの構成を示す図である。
【図2A】実施形態1〜3に係る移動通信システムにおける無線チャネル構成を示す図である。
【図2B】図2Aに示す無線チャネル構成における、基地局の使用周波数帯と移動局の使用周波数帯との関係を示す図である。
【図3】実施形態1〜3に係る移動局の機能ブロック図である。
【図4】実施形態1〜3に係る基地局の機能ブロック図である。
【図5A】実施形態1に係るハンドオーバ方法の一例を示すシーケンス図である。
【図5B】実施形態1に係るハンドオーバ方法の他の例を示すシーケンス図である。
【図6A】接続中および接続先の基地局の使用周波数帯と、移動局の使用周波数帯と、接続中の基地局が移動局に割り当てているPRU(ANCH1,EXCH)と、の関係の一例を示す図である。
【図6B】図6Aに示す状態から、接続先の基地局が移動局に割り当てたPRU(ANCH2)を示す図である。
【図6C】図6Bに示す状態から、ANCH1とANCH2とを含む周波数帯にシフトされた移動局の使用周波数帯(第1回目のシフト)を示す図である。
【図6D】図6Cに示す状態において移動局と接続先の基地局との接続が確立された後、接続先の基地局の使用周波数帯にさらにシフトされた移動局の使用周波数帯(第2回目のシフト)を示す図である。
【図6E】図6Aに示す状態から、接続先の基地局が移動局に割り当てたANCH2を示す図である。
【図6F】図6Eに示す状態からは、移動局の使用周波数帯をANCH1およびANCH2の双方を含む周波数帯にシフトできないことを示す図である。
【図6G】図6Eに示す状態から、移動局からのANCH2の再割当要求に応じて、接続先の基地局が新たに割り当てたANCH2を示す図である。
【図6H】図6Gに示す状態から、ANCH1とANCH2とを含む周波数帯にシフトされた移動局の使用周波数帯(第1回目のシフト)を示す図である。
【図6I】図6Hに示す状態において移動局と接続先の基地局との接続が確立された後、接続先の基地局の使用周波数帯にさらにシフトされた移動局の使用周波数帯(第2回目のシフト)を示す図である。
【図7】実施形態2に係るハンドオーバ方法の一例を示すシーケンス図である。
【図8A】接続中および接続先の基地局の使用周波数帯と、移動局の使用周波数帯と、接続中の基地局が移動局に割り当てているPRU(ANCH1,EXCH)と、の関係の一例を示す図である。
【図8B】図8Aに示す状態において、接続先の基地局が移動局に新たなANCH2として割り当てるべきPRUの範囲を示す図である。
【図8C】図8Aに示す状態から、接続先の基地局が移動局に割り当てたANCH2を示す図である。
【図8D】図8Cに示す状態から、ANCH1とANCH2とを含む周波数帯にシフトされた移動局の使用周波数帯(第1回目のシフト)を示す図である。
【図8E】図8Dに示す状態において移動局と接続先の基地局との接続が確立された後、接続先の基地局の使用周波数帯にさらにシフトされた移動局の使用周波数帯(第2回目のシフト)を示す図である。
【図9】実施形態3に係るハンドオーバ方法の一例を示すシーケンス図である。
【図10A】接続中および接続先の基地局の使用周波数帯と、移動局の使用周波数帯と、接続中の基地局が移動局に割り当てているPRU(ANCH1,EXCH)と、の関係の一例を示す図である。
【図10B】図10Aに示す状態から、接続先の基地局が移動局に割り当てたPRU(ANCH2)を示す図である。
【図10C】図10Bに示す状態からは、移動局の使用周波数帯をANCH1およびANCH2の双方を含む周波数帯にシフトできないことを示す図である。
【図10D】図10Bに示す状態において、接続中の基地局が移動局に新たなANCH1として割り当てるべきPRUの範囲を示す図である。
【図10E】図10Bに示す状態から、移動局からのANCH1の再割当要求に応じて、接続中の基地局が新たに割り当てたANCH1を示す図である。
【図10F】図10Eに示す状態から、ANCH1とANCH2とを含む周波数帯にシフトされた移動局の使用周波数帯(第1回目のシフト)を示す図である。
【図10G】図10Fに示す状態において移動局と接続先の基地局との接続が確立された後、接続先の基地局の使用周波数帯にさらにシフトされた移動局の使用周波数帯(第2回目のシフト)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態1〜3を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る移動通信システム10の構成を示す図である。図1に示すように、移動通信システム10は、複数の移動局12(ここでは1つのみを示す)と、複数の基地局14(ここでは近接する基地局14−1,14−2のみを示す)と、を含んで構成される。ここでは、基地局14−1のセル16−1と基地局14−2のセル16−2とが一部重複しているものとする。
【0023】
各基地局14は、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)方式およびTDMA/TDD(Time Division Multiple Access/Time Division Duplex:時分割多元接続/時分割複信)方式により、自局のセル16内に位置する移動局12のそれぞれと無線通信を行う。
【0024】
図2Aは、移動通信システム10における無線チャネル構成を示す図である。同図に示すように、移動通信システム10では、所定時間幅のTDMAフレーム(ここでは5ms)が上りサブフレーム(2.5ms)と下りサブフレーム(2.5ms)とに区分され、さらに各サブフレームがそれぞれ複数のタイムスロット(ここではSlot1〜Slot4)に均等に区分されている。また、所定の周波数帯域に複数のOFDMAサブチャネル(ここではSch1〜Sch17)が規定されている。基地局14が移動局12に割り当てる無線チャネルの最小単位はPRU(Physical Resource Unit)と呼ばれ、各PRUは、タイムスロット(Slot1〜Slot4)のいずれかと、サブチャネル(Sch1〜Sch17)のいずれかと、に属する。なお、上りサブフレームおよび下りサブフレームともに、各PRUが、たとえば1から始まる連続するPRU番号(1,2,3,・・・)で識別されるよう定められており、PRU番号の同じPRUは上下ペアで使用されることになっている。つまり、PRUは上下対称に割り当てられるように規定されている。
【0025】
移動通信システム10では、干渉回避を目的として、近接する基地局14に異なる使用周波数帯が設定されている。ここでは、図2Bに示すように、基地局14−1の使用周波数帯としてSch1〜Sch9(幅8.1MHz)が設定され、基地局14−2の使用周波数帯としてSch9〜Sch17(幅8.1MHz)が設定されているものとする。
【0026】
このうち、Sch1,Sch9,Sch17は、1以上の移動局12に共用されるCCH(Common Channel:共通チャネル)として規定されている。これは、CCHにおける受信利得が増大するよう、各基地局14の使用周波数帯にCCH用のサブチャネルを2つずつ配置する「デュアルCCH」と呼ばれる無線チャネル構成である。このため、基地局14−1の使用周波数帯と基地局14−2の使用周波数帯とは、CCHとして規定されたSch9で重複する。
【0027】
一方、Sch2〜Sch8およびSch10〜Sch16に属するPRUは、各移動局12に個別に割り当てられるICH(Individual Channel:個別チャネル)として用いられる。ICHには、各移動局12に個別制御チャネルとして原則1つ割り当てられ主に制御情報の伝送に用いられるANCH(Anchor Channel)、各移動局12に通信チャネルとして1つ以上割り当てられ主に通信データの伝送に用いられるEXCH(Extra Channel)などが含まれる。なお、基地局14は、移動局12にICHとして割り当てるPRU(特にEXCH)を1フレームまたは複数フレームごとに変更することができる。
【0028】
また、移動局12の使用可能な周波数帯幅は、基地局14−1,14−2の使用周波数帯幅と同じ9サブチャネル分の周波数帯幅(8.1MHz)に限られている。このため、移動局12が基地局14−1と接続する場合、移動局12の使用周波数は基地局14−1の使用周波数帯であるSch1〜Sch9に設定される。また、移動局12が基地局14−2と接続する場合、移動局12の使用周波数は基地局14−2の使用周波数帯であるSch9〜Sch17に設定される。なお、基地局14−1の使用周波数帯と基地局14−2の使用周波数帯とはCCH(Sch9)で重複するため、基地局14−1と接続している移動局12の使用周波数帯には、基地局14−2の使用周波数帯の上端(基地局14−1の使用周波数帯側端)に位置するCCH(Sch9)が含まれることになる。
【0029】
ただし、移動通信システム10では、移動局12が基地局14−1から基地局14−2にハンドオーバを行う際に、移動局12の使用周波数帯を基地局14−1の使用周波数帯であるSch1〜Sch9から基地局14−2の使用周波数帯であるSch9〜Sch17に直に切り替えるのではなく、基地局14−1の使用周波数帯と基地局14−2の使用周波数帯とが重複するCCH(Sch9)を利用して、移動局12の使用周波数帯を2段階でシフトする。これにより、移動局12は、異なる周波数帯を使用する基地局14−1,14−2間でシームレスなハンドオーバを行うことができる。
【0030】
以下では、図3および図4に基づいて、シームレスハンドオーバを実現するために移動局12および基地局14が備える構成を具体的に説明する。
【0031】
図3は、移動局12の機能ブロック図である。図3に示すように、移動局12は、アンテナ20、無線通信部22、ベースバンド部24、信号処理部26、および制御部28(メッセージ解析部30、ハンドオーバ制御部32、周波数帯シフト部34、メッセージ生成部36)を含んで構成される。
【0032】
アンテナ20は、基地局14から無線信号を受信し、受信された無線信号を無線通信部22に出力する。また、アンテナ20は、無線通信部22から供給される無線信号を基地局14に対して送信する。
【0033】
無線通信部22は、低雑音増幅器、電力増幅器、周波数変換器、帯域通過フィルタ、A/D変換器、およびD/A変換器を含んで構成される。無線通信部22は、アンテナ20から入力される無線信号を低雑音増幅器で増幅した後、中間周波数信号にダウンコンバートし、さらにディジタル信号に変換してから、ベースバンド部24に出力する。また、無線通信部22は、ベースバンド部24から入力されるディジタル信号をアナログ信号に変換した後、無線信号にアップコンバートし、電力増幅器で送信出力レベルまで増幅してから、アンテナ20に供給する。
【0034】
なお、無線通信部22の周波数変換器は、後述する制御部28(周波数帯シフト部34)の指示に従って、ダウンコンバート対象信号またはアップコンバート対象信号に乗じる基準周波数を変更することにより、移動局12の使用周波数帯を切り替える。
【0035】
ベースバンド部24は、FFT(Fast Fourier Transform)部、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部、直並列変換器、および並直列変換器を含んで構成される。ベースバンド部24は、無線通信部22から入力されるディジタル信号に、直並列変換、GI(Guard Interval)の除去、高速フーリエ変換、並直列変換などを施し、得られた複素シンボル列を信号処理部26に出力する。また、ベースバンド部24は、信号処理部26から入力される複素シンボル列に、直並列変換、逆高速フーリエ変換、GIの付加、並直列変換などを施し、得られたディジタル信号を無線通信部22に出力する。
【0036】
信号処理部26は、たとえばDSP(Digital Signal Processor)で構成される。信号処理部26は、ベースバンド部24から入力される複素シンボル列に対して、復調、復号、誤り検出などを施し、得られた受信データを制御部28に出力する。また、信号処理部26は、制御部28から入力される送信データや基地局14宛てのメッセージに対して、誤り検出符号の付加、符号化、変調などを施し、得られた複素シンボル列をベースバンド部24に出力する。
【0037】
制御部28は、たとえばCPUおよびCPUの動作を制御するプログラムで構成され、移動局12の各部を制御する。特に、制御部28は、メッセージ解析部30、ハンドオーバ制御部32、周波数帯シフト部34、およびメッセージ生成部36を機能的に含み、移動局12のハンドオーバ動作の制御などを行う。
【0038】
メッセージ解析部30は、信号処理部26から入力される受信データより基地局14からの各種メッセージを抽出し、そのメッセージの内容を解析する。たとえば、メッセージ解析部30は、受信データより基地局14からのLCH(Link Channel)割当応答メッセージを取得し、そのLCH割当応答メッセージからANCH(個別制御チャネル)として移動局12に割り当てられたPRUの番号(ANCHのタイムスロットおよびサブチャネルを識別するための情報)などを取得する。なお、受信データより抽出される基地局14からメッセージには、LCH割当応答メッセージの他に、LCH再割当応答メッセージ、リンク設定応答メッセージ、機能拡張応答メッセージ、接続応答メッセージ、ANCH/CSCH切替指示メッセージなどがある。
【0039】
ハンドオーバ制御部32は、移動局12のハンドオーバ動作を制御する。たとえば、移動局12が基地局14−1から基地局14−2にハンドオーバを行う場合、ハンドオーバ制御部32は、基地局14−2へのLCH割当要求、移動局12の使用周波数帯のシフト、基地局14−2との接続確立、基地局14−1との接続切断、などを行うよう、移動局12の各部に指示する。
【0040】
周波数帯シフト部34は、移動局12がハンドオーバを行う際、ハンドオーバ制御部32の指示に従って、移動局12の使用周波数帯が2段階でシフトするよう、無線通信部22に周波数変換器の基準周波数を変更させる(後述)。
【0041】
メッセージ生成部36は、基地局14宛てのメッセージを生成し、そのメッセージを信号処理部26に出力する。基地局14宛てのメッセージには、LCH割当要求メッセージ、LCH再割当要求メッセージ、リンク設定要求メッセージ、機能拡張要求メッセージ、接続要求メッセージ、ANCH/CSCH切替要求メッセージ、ANCH/CSCH切替確認メッセージなどがある。
【0042】
図4は、基地局14の機能ブロック図である。図4に示すように、基地局14は、アンテナ40、無線通信部42、ベースバンド部44、信号処理部46、および制御部48(メッセージ解析部50、回線品質検出部52、チャネル決定部54、メッセージ生成部56)を含んで構成される。
【0043】
アンテナ40は、移動局12から無線信号を受信し、受信された無線信号を無線通信部42に出力する。また、アンテナ40は、無線通信部42から供給される無線信号を移動局12に対して送信する。
【0044】
無線通信部42は、低雑音増幅器、電力増幅器、周波数変換器、帯域通過フィルタ、A/D変換器、およびD/A変換器を含んで構成される。無線通信部42は、アンテナ40から入力される無線信号を低雑音増幅器で増幅した後、中間周波数信号にダウンコンバートし、さらにディジタル信号に変換してから、ベースバンド部44に出力する。また、無線通信部42は、ベースバンド部44から入力されるディジタル信号をアナログ信号に変換した後、無線信号にアップコンバートし、電力増幅器で送信出力レベルまで増幅してから、アンテナ40に供給する。
【0045】
ベースバンド部44は、FFT部、IFFT部、直並列変換器、および並直列変換器を含んで構成される。ベースバンド部44は、無線通信部42から入力されるディジタル信号に、直並列変換、GIの除去、高速フーリエ変換、並直列変換などを施し、得られた複素シンボルを信号処理部46に出力する。また、ベースバンド部44は、信号処理部46から入力される複素シンボル列に、直並列変換、逆高速フーリエ変換、GIの付加、並直列変換などを施し、得られたディジタル信号を無線通信部42に出力する。
【0046】
信号処理部46は、たとえばDSPで構成される。信号処理部46は、ベースバンド部44から入力される複素シンボル列に対して、復調、復号、誤り検出などを施し、得られた受信データを制御部48に出力する。また、信号処理部46は、制御部48から入力される送信データや移動局12宛てのメッセージに対して、誤り検出符号の付加、符号化、変調などを施し、得られた複素シンボル列をベースバンド部44に出力する。
【0047】
制御部48は、たとえばCPUおよびCPUの動作を制御するプログラムで構成され、基地局14の各部を制御する。特に、制御部48は、メッセージ解析部50、回線品質検出部52、チャネル決定部54、およびメッセージ生成部56を機能的に含み、移動局12に割り当てるPRU(ANCH,EXCHなど)の決定などを行う。
【0048】
メッセージ解析部50は、信号処理部46から入力される受信データより移動局12からの各種メッセージを抽出し、そのメッセージの内容を解析する。受信データより抽出される移動局12からのメッセージには、LCH割当要求メッセージ、LCH再割当要求メッセージ、リンク設定要求メッセージ、機能拡張要求メッセージ、接続要求メッセージ、ANCH/CSCH切替要求メッセージ、ANCH/CSCH切替確認メッセージなどがある。
【0049】
回線品質検出部52は、信号処理部46を介してベースバンド部44から入力される複素シンボル列に基づいて、基地局14の使用周波数帯に属するPRUそれぞれの回線品質を表す回線品質値を検出する。回線品質検出部52で検出される回線品質値には、たとえば、キャリアセンス(妨害波測定)により検出されるRSSI(Received Signal Strength Indication:受信信号強度)やSNR(Signal to Noise Ratio:信号対雑音電力比)などがある。
【0050】
チャネル決定部54は、回線品質検出部52で検出される回線品質値、PRUの空き状況、移動局12との間で送受されるデータの量、通信種別(音声通信、パケット通信など)、移動局12の契約情報(その移動局12に割り当て可能なPRUの上限数に関連する情報)などに基づいて、移動局12に割り当てるPRUを決定する。たとえば、チャネル決定部54は、移動局12からのLCH割当要求メッセージに基づいて、その移動局12にANCH(個別制御チャネル)として割り当てるPRUを決定する。また、チャネル決定部54は、1フレームまたは複数フレームごとに、移動局12にEXCH(通信チャネル)として割り当てる1以上のPRUを決定する。さらに、チャネル決定部54は、移動局12からのANCH/CSCH切替要求メッセージに基づいて、その移動局12にANCHとして割り当てるPRUを変更する。
【0051】
メッセージ生成部56は、移動局12宛てのメッセージを生成し、そのメッセージを信号処理部46に出力する。移動局12宛てのメッセージには、その移動局12にANCHとして割り当てられたPRUの番号を含むLCH割当応答メッセージ、LCH再割当応答メッセージ、リンク設定応答メッセージ、機能拡張応答メッセージ、接続応答メッセージ、ANCH/CSCH切替指示メッセージなどがある。
【0052】
次に、図5A、図5B、および図6A〜図6Iに基づいて、移動局12が基地局14−1から基地局14−2にハンドオーバを行う際の、移動局12および基地局14−1,14−2の動作を具体的に説明する。
【0053】
図5Aは、実施形態1に係るハンドオーバ方法の一例を示すシーケンス図である。また、図5Bは、実施形態1に係るハンドオーバ方法の他の例を示すシーケンス図である。ここでは、ハンドオーバ前に、接続中の基地局14−1の使用周波数帯と、接続先の基地局14−2の使用周波数帯と、移動局12の使用周波数帯と、基地局14−1が移動局12に割り当てているPRU(ANCH1,EXCH)と、が図6Aに示す関係にあるものとする。
【0054】
図5Aに示すように、移動局12は、基地局14−2へのハンドオーバを開始する際、CCH(基地局14−1の使用周波数帯と基地局14−2の使用周波数帯とが重複するSch9)を介して、接続先の基地局14−2にLCH割当要求メッセージを送信する(S100)。
【0055】
基地局14−2は、移動局12からのLCH割当要求メッセージに応じて、その移動局12にANCHとして割り当てるPRU(ANCH2)を決定する。具体的には、基地局14−2のチャネル決定部54が、回線品質検出部52で検出される回線品質値やPRUの空き状況などに基づいて、ANCH2を決定する。そして、基地局14−2は、CCHを介して、決定されたANCH2のPRU番号を含むLCH割当応答メッセージを移動局12に送信する(S102)。
【0056】
次に、移動局12は、基地局14−1から割り当てられているANCH1と、S102で基地局14−2から通知されたANCH2と、の周波数差が自局の使用周波数帯幅(8.1MHz)以下であるか否かを判定する。
【0057】
ここで、図6Bに示すように、ANCH1とANCH2との周波数差が移動局12の使用周波数帯幅以下である場合、移動局12は、自局の使用周波数帯をANCH1およびANCH2を含む周波数帯にシフトする(S108:第1回目のシフト)。具体的には、移動局12の周波数帯シフト部34が、移動局12の使用周波数帯がANCH1およびANCH2を含む周波数帯にシフトするよう、無線通信部22に周波数変換器の基準周波数を変更させる。
【0058】
なお、第1回目のシフトでは、図6Cに示すように、移動局12の使用周波数帯の下端(基地局14−2の使用周波数帯側端)がANCH2の周波数(Sch12)と等しくなるよう、移動局12の使用周波数帯をシフトすることが望ましい。こうすれば、移動局12の使用周波数帯のシフト量(第1回目のシフト量)が最小化されるため、第1回目のシフトによって解放されるEXCH(通信チャネル)の数を低減することができる。
【0059】
S108の時点では、移動局12の使用周波数帯がANCH1およびANCH2を含む周波数帯にあるため、移動局12は、ANCH1およびANCH2をそれぞれ介して、基地局14−1および基地局14−2の双方と同時に無線通信を行うことができる(図6C参照)。そこで、第1回目のシフトの後、移動局12は、ANCH2を介して基地局14−2との接続を確立する。すなわち、移動局12は、リンク設定要求メッセージ(S110)、リンク設定応答メッセージ(S112)、機能拡張要求メッセージ(S114)、機能拡張応答メッセージ(S116)、接続要求メッセージ(S118)、および接続応答メッセージ(S120)をANCH2を介して送受することにより、基地局14−2との接続を確立する。この間、移動局12は、ANCH1および第1回目のシフトで解放されずに残ったEXCH(図6C参照)を介してデータ通信を維持する。
【0060】
基地局14−2との接続が確立されると、移動局12は、ANCH1を介して基地局14−1との接続を切断する(S122)。これにより、移動局12にANCH1およびEXCHとして割り当てられていたPRUがすべて解放される。続いて、移動局12は、図6Dに示すように、自局の使用周波数帯を基地局14−2の使用周波数帯であるSch9〜Sch17にさらにシフトする(S124:第2回目のシフト)。具体的には、移動局12の周波数帯シフト部34が、移動局12の使用周波数帯がSch9〜Sch17にシフトするよう、無線通信部22に周波数変換器の基準周波数を変更させる。
【0061】
その後、移動局12は、ANCH2および基地局14−2から新たに割り当てられるEXCHを介してデータ通信を継続する。こうして、移動局12は、データ通信を途切れさせることなく、すなわちシームレスに、基地局14−1から基地局14−2へのハンドオーバを完了する。
【0062】
これに対して、図6Eに示すように、基地局14−1から割り当てられているANCH1と、S102で基地局14−2から通知されたANCH2と、の周波数差が移動局12の使用周波数帯幅より大きい場合、移動局12の使用周波数帯をANCH1およびANCH2の双方を含む周波数帯にシフトすることはできない(図6F参照)。このため、移動局12は、その周波数差が自局の使用周波数帯幅以下となるよう、CCH(Sch9)を介して基地局14−2にANCH2の再割り当てを要求する。すなわち、移動局12は、図5Bに示すように、CCHを介して、接続先の基地局14−2にLCH再割当要求メッセージを送信する(S104)。
【0063】
基地局14−2は、移動局12からのLCH再割当要求メッセージに応じて、その移動局12に通知したANCH2とは異なる新たなANCH2をSch10〜Sch16の中から決定する。そして、基地局14−2は、CCHを介して、新たに決定されたANCH2のPRU番号を含むLCH再割当応答メッセージを移動局12に送信する(S106)。なお、移動局12は、ANCH1とANCH2との周波数差が自局の使用周波数帯幅以下になるまで、LCH再割当要求メッセージの送信(S106)を繰り返してもよい。
【0064】
そして、図6Gに示すように、ANCH2の再割り当てによってANCH1とANCH2との周波数差が移動局12の使用周波数帯幅以下になると、図6Hに示すように、移動局12は、自局の使用周波数帯をANCH1およびANCH2を含む周波数帯にシフトする(S108:第1回目のシフト)。
【0065】
第1回目のシフトの後、移動局12は、ANCH2を介して基地局14−2との接続を確立する(S110〜S120)。基地局14−2との接続が確立されると、移動局12は、ANCH1を介して基地局14−1との接続を切断する(S122)。続いて、移動局12は、図6Iに示すように、自局の使用周波数帯を基地局14−2の使用周波数帯であるSch9〜Sch17にさらにシフトする(S124:第2回目のシフト)。
【0066】
このように、実施形態1に係る移動通信システム10によれば、基地局14−1から割り当てられているANCH1と、基地局14−2から通知されたANCH2と、の周波数差が移動局12の使用周波数帯幅より大きい場合でも、移動局12は、接続先の基地局14−2にANCH2の再割り当てを要求することにより、その周波数差を自局の使用周波数帯幅以下にすることができる。このため、移動局12は、Sch1〜Sch9を使用する基地局14−1からSch9〜Sch17を使用する基地局14−2にシームレスにハンドオーバを行うことができる。
【0067】
[実施形態2]
本発明の実施形態2に係る移動通信システム10は、上記実施形態1に係る移動通信システム10と同様のシステム構成および無線チャネル構成を有する。
【0068】
すなわち、実施形態2に係る移動通信システム10は、図1に示すように、複数の移動局12(ここでは1つのみを示す)と、複数の基地局14(ここでは近接する基地局14−1,14−2のみを示す)と、を含んで構成される。
【0069】
また、実施形態2に係る移動通信システム10では、図2Aに示す無線チャネル構成が規定されている。また、図2Bに示すように、干渉回避を目的として、基地局14−1の使用周波数帯としてSch1〜Sch9(幅8.1MHz)が設定され、基地局14−2の使用周波数帯としてSch9〜Sch17(幅8.1MHz)が設定されているものとする(Sch1,Sch9,Sch17は、CCHとして規定されている)。また、移動局12の使用可能な周波数帯幅は、基地局14−1,14−2の使用周波数帯幅と同じ9サブチャネル分の周波数帯幅(8.1MHz)であるものとする。
【0070】
また、実施形態2に係る移動局12は、図3に示すように、アンテナ20、無線通信部22、ベースバンド部24、信号処理部26、および制御部28(メッセージ解析部30、ハンドオーバ制御部32、周波数帯シフト部34、メッセージ生成部36)を含んで構成される。
【0071】
また、実施形態2に係る基地局14は、図4に示すように、アンテナ40、無線通信部42、ベースバンド部44、信号処理部46、および制御部48(メッセージ解析部50、回線品質検出部52、チャネル決定部54、メッセージ生成部56)を含んで構成される。
【0072】
ただし、実施形態2では、実施形態1と異なり、移動局12が基地局14−1から基地局14−2へのハンドオーバを開始する際、移動局12が、基地局14−1から割り当てられているANCH(ANCH1)の周波数を示す識別情報を、CCH(Sch9)を介して基地局14−2に通知する。そして、基地局14−2は、移動局12から通知される識別情報に基づいて、ANCH1との周波数差が移動局12の使用周波数帯幅以下である空きPRU(たとえば、いずれの移動局12にも割り当てられておらず、干渉波レベルが所定値以下であるPRU)の中から、移動局12に割り当てるANCH(ANCH2)を決定する。これは、ANCH1とANCH2との周波数差が移動局12の使用周波数帯幅を上回ることを未然に防ぐためである。
【0073】
このように、実施形態1と実施形態2との間には、移動局12の制御部28によるハンドオーバ動作の制御、および基地局14のチャネル決定部54によるANCHの決定、において若干の相違点がある。
【0074】
以下では、この相違点を中心に、図7および図8A〜図8Eに基づいて、移動局12が基地局14−1から基地局14−2にハンドオーバを行う際の、移動局12および基地局14−1,14−2の動作を説明する。
【0075】
図7は、実施形態2に係るハンドオーバ方法の一例を示すシーケンス図である。ここでは、ハンドオーバ前に、接続中の基地局14−1の使用周波数帯と、接続先の基地局14−2の使用周波数帯と、移動局12の使用周波数帯と、基地局14−1が移動局12に割り当てているPRU(ANCH1,EXCH)と、が図8Aに示す関係にあるものとする。
【0076】
図7に示すように、移動局12は、基地局14−2へのハンドオーバを開始する際、CCHを介して、接続先の基地局14−2にLCH割当要求メッセージを送信する(S200)。このLCH割当要求メッセージには、ANCH1の周波数を示す識別情報が含まれている。ANCH1の周波数を示す識別情報としては、たとえば、ANCH1の周波数そのもの、ANCH1のPRU番号(ANCH1のタイムスロットおよびサブチャネルを識別するための情報)などが用いられる。
【0077】
基地局14−2は、移動局12からのLCH割当要求メッセージに応じて、その移動局12に割り当てるANCH2を決定する。具体的には、基地局14−2のチャネル決定部54が、LCH割当要求メッセージに含まれる識別情報、回線品質検出部52で検出される回線品質値、PRUの空き状況などに基づいて、ANCH1との周波数差が移動局12の使用周波数帯幅以下である空きPRU(図8Bの太線枠内参照)の中から、ANCH2を決定する。
【0078】
ここで、チャネル決定部54は、空きPRUの中で周波数がANCH1の周波数に最も近いもの(図8Bの斜線部分参照)を、ANCH2として決定してもよい。こうすれば、移動局12の使用周波数帯のシフト量(第1回目のシフト量)を小さくすることが可能となるため、第1回目のシフトによって解放されるEXCH(通信チャネル)の数を低減することができる。ここでは、図8Cに示すように、空きPRUの中で周波数がANCH1の周波数に最も近いものの1つが、ANCH2として決定されたものとする。
【0079】
その後、基地局14−2は、CCHを介して、決定されたANCH2のPRU番号を含むLCH割当応答メッセージを移動局12に送信する(S202)。
【0080】
実施形態2では、基地局14−1から割り当てられているANCH1と、S202で基地局14−2から通知されるANCH2と、の周波数差が移動局12の使用周波数帯幅以下になるため、移動局12は、自局の使用周波数帯をANCH1およびANCH2を含む周波数帯にシフトする(S204:第1回目のシフト)。
【0081】
なお、第1回目のシフトでは、図8Dに示すように、移動局12の使用周波数帯の下端(基地局14−2の使用周波数帯側端)がANCH2の周波数(Sch10)と等しくなるよう、移動局12の使用周波数帯をシフトすることが望ましい。こうすれば、移動局12の使用周波数帯のシフト量(第1回目のシフト量)を最小化することができる。ちなみに、図8Dに示す例では、第1回目のシフトよって解放されるEXCHの数はゼロである。
【0082】
第1回目のシフトの後、移動局12は、ANCH2を介して基地局14−2との接続を確立する(S206〜S216)。基地局14−2との接続が確立されると、移動局12は、ANCH1を介して基地局14−1との接続を切断する(S218)。続いて、移動局12は、図8Eに示すように、自局の使用周波数帯を基地局14−2の使用周波数帯であるSch9〜Sch17にさらにシフトする(S220:第2回目のシフト)。
【0083】
このように、実施形態2に係る移動通信システム10によれば、ANCH1とANCH2との周波数差が移動局12の使用周波数帯幅を上回ることを未然に防ぐことができる。このため、移動局12は、より早く、Sch1〜Sch9を使用する基地局14−1からSch9〜Sch17を使用する基地局14−2にシームレスにハンドオーバを行うことができる。
【0084】
[実施形態3]
本発明の実施形態3に係る移動通信システム10は、上記実施形態1に係る移動通信システム10と同様のシステム構成および無線チャネル構成を有する。
【0085】
すなわち、実施形態3に係る移動通信システム10は、図1に示すように、複数の移動局12(ここでは1つのみを示す)と、複数の基地局14(ここでは近接する基地局14−1,14−2のみを示す)と、を含んで構成される。
【0086】
また、実施形態3に係る移動通信システム10では、図2Aに示す無線チャネル構成が規定されている。また、図2Bに示すように、干渉回避を目的として、基地局14−1の使用周波数帯としてSch1〜Sch9(幅8.1MHz)が設定され、基地局14−2の使用周波数帯としてSch9〜Sch17(幅8.1MHz)が設定されているものとする(Sch1,Sch9,Sch17は、CCHとして規定されている)。また、移動局12の使用可能な周波数帯幅は、基地局14−1,14−2の使用周波数帯幅と同じ9サブチャネル分の周波数帯幅(8.1MHz)であるものとする。
【0087】
また、実施形態3に係る移動局12は、図3に示すように、アンテナ20、無線通信部22、ベースバンド部24、信号処理部26、および制御部28(メッセージ解析部30、ハンドオーバ制御部32、周波数帯シフト部34、メッセージ生成部36)を含んで構成される。
【0088】
また、実施形態3に係る基地局14は、図4に示すように、アンテナ40、無線通信部42、ベースバンド部44、信号処理部46、および制御部48(メッセージ解析部50、回線品質検出部52、チャネル決定部54、メッセージ生成部56)を含んで構成される。
【0089】
ただし、実施形態3では、実施形態1と異なり、移動局12が基地局14−1から基地局14−2にハンドオーバを行う際、基地局14−1から割り当てられているANCH(ANCH1)と、CCH(Sch9)を介して基地局14−2から通知されるANCH(ANCH2)と、の周波数差が移動局12の使用周波数帯幅より大きければ、移動局12が、その周波数差が自局の使用周波数帯幅以下となるよう、接続先の基地局14−2ではなく、接続中の基地局14−1に対してANCH1の再割り当てを要求する。そして、基地局14−1は、移動局12からのANCH1の再割当要求に応じて、その移動局12に割り当てられているANCH1とは異なる新たなANCH1を決定する。
【0090】
このように、実施形態1と実施形態3との間には、移動局12の制御部28によるハンドオーバ動作の制御、および基地局14のチャネル決定部54によるANCHの決定、において若干の相違点がある。
【0091】
以下では、この相違点を中心に、図9および図10A〜図10Gに基づいて、移動局12が基地局14−1から基地局14−2にハンドオーバを行う際の、移動局12および基地局14−1,14−2の動作を説明する。
【0092】
図9は、実施形態3に係るハンドオーバ方法の一例を示すシーケンス図である。ここでは、ハンドオーバ前に、接続中の基地局14−1の使用周波数帯と、接続先の基地局14−2の使用周波数帯と、移動局12の使用周波数帯と、基地局14−1が移動局12に割り当てているPRU(ANCH1,EXCH)と、が図10Aに示す関係にあるものとする。
【0093】
図9に示すように、移動局12は、基地局14−2へのハンドオーバを開始する際、CCHを介して、接続先の基地局14−2にLCH割当要求メッセージを送信する(S300)。
【0094】
基地局14−2は、移動局12からのLCH割当要求メッセージに応じて、その移動局12に割り当てるANCH2を決定する。具体的には、基地局14−2のチャネル決定部54が、回線品質検出部52で検出される回線品質値やPRUの空き状況などに基づいて、ANCH2を決定する。そして、基地局14−2は、CCHを介して、決定されたANCH2のPRU番号を含むLCH割当応答メッセージを移動局12に送信する(S302)。
【0095】
次に、移動局12は、基地局14−1から割り当てられているANCH1と、S302で基地局14−2から通知されたANCH2と、の周波数差が自局の使用周波数帯幅(8.1MHz)以下であるか否かを判定する。
【0096】
ここで、図10Bに示すように、ANCH1とANCH2との周波数差が移動局12の使用周波数帯幅より大きい場合、移動局12の使用周波数帯をANCH1およびANCH2の双方を含む周波数帯にシフトすることはできない(図10C参照)。このため、移動局12は、その周波数差が自局の使用周波数帯幅以下となるよう、基地局14−1にANCH1の再割り当てを要求する。すなわち、移動局12は、ANCH1を介して、接続中の基地局14−1にANCH/CSCH切替要求メッセージを送信する(S304)。このANCH/CSCH切替要求メッセージには、ANCH2の周波数を示す識別情報が含まれている。ANCH2の周波数を示す識別情報としては、たとえば、ANCH2の周波数そのもの、ANCH2のPRU番号(ANCH2のタイムスロットおよびサブチャネルを識別するための情報)などが用いられる。
【0097】
基地局14−1は、移動局12からのANCH/CSCH切替要求メッセージに応じて、その移動局12に割り当てられているANCH1とは異なる新たなANCH1をSch2〜Sch8の中から決定する。具体的には、基地局14−1のチャネル決定部54が、ANCH/CSCH切替要求メッセージに含まれる識別情報、回線品質検出部52で検出される回線品質値、PRUの空き状況などに基づいて、ANCH2との周波数差が移動局12の使用周波数帯幅以下である空きPRU(図10Dの太線枠内参照)の中から、ANCH1を決定する。
【0098】
その後、基地局14−1は、移動局12に割り当てられているANCH1を介して、新たに決定されたANCH1のPRU番号を含むANCH/CSCH切替応答メッセージを移動局12に送信する(S306)。ここでは、図10Eの太線枠内に示すPRUが、新たなANCH1として決定されたものとする。基地局14−1からのANCH/CSCH切替応答メッセージを受信した移動局12は、新たなANCH1を介して、ANCH/CSCH切替確認メッセージを基地局14−1に返信する(S308)。
【0099】
基地局14−1から再割り当てされたANCH1と、S302で基地局14−2から通知されたANCH2と、の周波数差が移動局12の使用周波数帯幅以下になると、移動局12は、自局の使用周波数帯をANCH1およびANCH2を含む周波数帯にシフトする(S310:第1回目のシフト)。
【0100】
なお、第1回目のシフトでは、図10Fに示すように、移動局12の使用周波数帯の下端(基地局14−2の使用周波数帯側端)がANCH2の周波数(Sch13)と等しくなるよう、移動局12の使用周波数帯をシフトすることが望ましい。こうすれば、移動局12の使用周波数帯のシフト量(第1回目のシフト量)が最小化されるため、第1回目のシフトによって解放されるEXCH(通信チャネル)の数を低減することができる。
【0101】
第1回目のシフトの後、移動局12は、ANCH2を介して基地局14−2との接続を確立する(S312〜S322)。基地局14−2との接続が確立されると、移動局12は、ANCH1を介して基地局14−1との接続を切断する(S324)。続いて、移動局12は、図10Gに示すように、自局の使用周波数帯を基地局14−2の使用周波数帯であるSch9〜Sch17にさらにシフトする(S326:第2回目のシフト)。
【0102】
このように、実施形態3に係る移動通信システム10によれば、基地局14−1から割り当てられているANCH1と、基地局14−2から通知されたANCH2と、の周波数差が移動局12の使用周波数帯幅より大きい場合でも、移動局12は、接続中の基地局14−1にANCH1の再割り当てを要求することにより、その周波数差を自局の使用周波数帯幅以下にすることができる。このため、移動局12は、Sch1〜Sch9を使用する基地局14−1からSch9〜Sch17を使用する基地局14−2にシームレスにハンドオーバを行うことができる。
【0103】
[まとめ]
以上説明した実施形態1〜3に係る移動通信システム10によれば、異なる周波数帯を使用する基地局14間のシームレスハンドオーバを実現することができる。
【0104】
なお、本発明は、上記実施形態1〜3に限定されるものではない。
【0105】
たとえば、無線チャネル構成は、図2Aに示す無線チャネル構成とは異なる構成であってもよい。また、基地局14の使用周波数帯と移動局12の使用周波数帯との関係は、図2Bに示す関係とは異なる関係であってもよい。特に、基地局14−1の使用周波数帯と基地局14−2の使用周波数帯とは、CCH(共通チャネル)として規定された周波数で重複している必要はなく(デュアルCCHと呼ばれる無線チャネル構成にする必要はなく)、基地局14−1と接続している移動局12の使用周波数帯が、基地局14−1の使用周波数帯(第1の周波数帯)と、接続先の基地局14−2の使用周波数帯(第2の周波数帯)における第1の周波数帯側端に規定されたCCHと、を含むという条件を満たす関係にあればよい。
【0106】
また、本発明は、OFDMA方式およびTDMA/TDD方式を採用する移動通信システムに限らず、第1の周波数帯を使用する第1の基地局と、第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯を使用する第2の基地局と、第1の基地局から第2の基地局にハンドオーバを行う移動局と、を含む移動通信システム全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0107】
10 移動通信システム、12 移動局、14 基地局、16 セル、20,40 アンテナ、22,42 無線通信部、24,44 ベースバンド部、26,46 信号処理部、28,48 制御部、30,50 メッセージ解析部、32 ハンドオーバ制御部、34 周波数帯シフト部、36,56 メッセージ生成部、52 回線品質検出部、54 チャネル決定部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数帯を使用する第1の基地局と、前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯を使用する第2の基地局と、前記第1の周波数帯に属する第1の制御チャネルを前記第1の基地局から割り当てられた移動局と、を含む移動通信システムであって、
前記第1の基地局と接続している前記移動局の使用周波数帯は、前記第1の周波数帯と、前記第2の周波数帯における前記第1の周波数帯側端に規定された共通チャネルと、を含み、
前記移動局は、
前記第1の制御チャネルと、前記第1の基地局から前記第2の基地局へのハンドオーバの開始に応じて前記共通チャネルを介して前記第2の基地局から通知される、前記第2の周波数帯に属する第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅より大きい場合に、該周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下となるよう、前記第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求する再割当要求手段、を含み、
前記第1の基地局は、
前記移動局からの制御チャネルの再割当要求に応じて、前記第1の制御チャネルとは異なる新たな第1の制御チャネルを前記第1の周波数帯の中から決定する制御チャネル決定手段と、
前記制御チャネル決定手段により決定される第1の制御チャネルを前記移動局に通知する手段と、を含み、
前記移動局は、
前記第1の制御チャネルと前記第2の制御チャネルとの周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下である場合に、前記移動局の使用周波数帯を該第1および第2の制御チャネルを含む周波数帯にシフトする第1周波数帯シフト手段と、
前記第1周波数帯シフト手段により前記移動局の使用周波数帯がシフトされた後に、前記第2の制御チャネルを介して前記第2の基地局との接続を確立する手段と、
前記第2の基地局との接続が確立された後に、前記移動局の使用周波数帯を前記第2の周波数帯にさらにシフトする第2周波数帯シフト手段と、をさらに含む、
ことを特徴とする移動通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の移動通信システムにおいて、
前記再割当要求手段は、前記第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求するとともに、前記第2の制御チャネルの周波数を示す識別情報を前記第1の基地局に通知し、
前記制御チャネル決定手段は、前記移動局から通知される識別情報に基づいて、前記第2の制御チャネルとの周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下である空きチャネルの中から、前記第1の制御チャネルを決定する、
ことを特徴とする移動通信システム。
【請求項3】
第1の周波数帯を使用する第1の基地局から前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯を使用する第2の基地局にハンドオーバを行う移動局であって、
前記第1の基地局と接続している前記移動局の使用周波数帯は、前記第1の周波数帯と、前記第2の周波数帯における前記第1の周波数帯側端に規定された共通チャネルと、を含み、
前記第1の基地局から割り当てられた、前記第1の周波数帯に属する第1の制御チャネルと、前記第1の基地局から前記第2の基地局へのハンドオーバの開始に応じて前記共通チャネルを介して前記第2の基地局から通知される、前記第2の周波数帯に属する第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅より大きい場合に、該周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下となるよう、前記第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求する再割当要求手段と、
前記制御チャネルの再割当要求に応じて前記第1の基地局から通知される、前記第1の周波数帯に属する新たな第1の制御チャネルと、前記第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下である場合に、前記移動局の使用周波数帯を該第1および第2の制御チャネルを含む周波数帯にシフトする第1周波数帯シフト手段と、
前記第1周波数帯シフト手段により前記移動局の使用周波数帯がシフトされた後に、前記第2の制御チャネルを介して前記第2の基地局との接続を確立する手段と、
前記第2の基地局との接続が確立された後に、前記移動局の使用周波数帯を前記第2の周波数帯にさらにシフトする第2周波数帯シフト手段と、
を含むことを特徴とする移動局。
【請求項4】
他の基地局が使用する第2の周波数帯とは異なる第1の周波数帯を使用する基地局であって、
当該基地局と接続している移動局の使用周波数帯は、前記第1の周波数帯と、前記第2の周波数帯における前記第1の周波数帯側端に規定された共通チャネルと、を含み、
当該基地局が前記移動局に割り当てた、前記第1の周波数帯に属する第1の制御チャネルと、前記移動局による当該基地局から前記他の基地局へのハンドオーバの開始に応じて前記共通チャネルを介して前記他の基地局から前記移動局に通知される、前記第2の周波数帯に属する第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅より大きい場合に、前記移動局から要求される制御チャネルの再割当要求に応じて、前記第1の制御チャネルとは異なる新たな第1の制御チャネルを前記第1の周波数帯の中から決定する制御チャネル決定手段と、
前記制御チャネル決定手段により決定される第1の制御チャネルを前記移動局に通知する手段と、
を含むことを特徴とする基地局。
【請求項5】
第1の周波数帯を使用する第1の基地局と、前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯を使用する第2の基地局と、前記第1の周波数帯に属する第1の制御チャネルを前記第1の基地局から割り当てられた移動局と、を含む移動通信システムにおけるハンドオーバ方法であって、
前記第1の基地局と接続している前記移動局の使用周波数帯は、前記第1の周波数帯と、前記第2の周波数帯における前記第1の周波数帯側端に規定された共通チャネルと、を含み、
前記移動局が、前記第1の制御チャネルと、前記第1の基地局から前記第2の基地局へのハンドオーバの開始に応じて前記共通チャネルを介して前記第2の基地局から通知される、前記第2の周波数帯に属する第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅より大きい場合に、該周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下となるよう、前記第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求する再割当要求ステップと、
前記第1の基地局が、前記移動局からの制御チャネルの再割当要求に応じて、前記第1の制御チャネルとは異なる新たな第1の制御チャネルを前記第1の周波数帯の中から決定する制御チャネル決定ステップと、
前記第1の基地局が、前記制御チャネル決定ステップで決定される第1の制御チャネルを前記移動局に通知するステップと、
前記第1の制御チャネルと前記第2の制御チャネルとの周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下である場合に、前記移動局の使用周波数帯を該第1および第2の制御チャネルを含む周波数帯にシフトする第1周波数帯シフトステップと、
前記第1周波数帯シフトステップで前記移動局の使用周波数帯がシフトされた後に、前記移動局が、前記第2の制御チャネルを介して前記第2の基地局との接続を確立するステップと、
前記移動局と前記第2の基地局との接続が確立された後に、前記移動局の使用周波数帯を前記第2の周波数帯にさらにシフトする第2周波数帯シフトステップと、
を含むことを特徴とするハンドオーバ方法。
【請求項1】
第1の周波数帯を使用する第1の基地局と、前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯を使用する第2の基地局と、前記第1の周波数帯に属する第1の制御チャネルを前記第1の基地局から割り当てられた移動局と、を含む移動通信システムであって、
前記第1の基地局と接続している前記移動局の使用周波数帯は、前記第1の周波数帯と、前記第2の周波数帯における前記第1の周波数帯側端に規定された共通チャネルと、を含み、
前記移動局は、
前記第1の制御チャネルと、前記第1の基地局から前記第2の基地局へのハンドオーバの開始に応じて前記共通チャネルを介して前記第2の基地局から通知される、前記第2の周波数帯に属する第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅より大きい場合に、該周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下となるよう、前記第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求する再割当要求手段、を含み、
前記第1の基地局は、
前記移動局からの制御チャネルの再割当要求に応じて、前記第1の制御チャネルとは異なる新たな第1の制御チャネルを前記第1の周波数帯の中から決定する制御チャネル決定手段と、
前記制御チャネル決定手段により決定される第1の制御チャネルを前記移動局に通知する手段と、を含み、
前記移動局は、
前記第1の制御チャネルと前記第2の制御チャネルとの周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下である場合に、前記移動局の使用周波数帯を該第1および第2の制御チャネルを含む周波数帯にシフトする第1周波数帯シフト手段と、
前記第1周波数帯シフト手段により前記移動局の使用周波数帯がシフトされた後に、前記第2の制御チャネルを介して前記第2の基地局との接続を確立する手段と、
前記第2の基地局との接続が確立された後に、前記移動局の使用周波数帯を前記第2の周波数帯にさらにシフトする第2周波数帯シフト手段と、をさらに含む、
ことを特徴とする移動通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の移動通信システムにおいて、
前記再割当要求手段は、前記第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求するとともに、前記第2の制御チャネルの周波数を示す識別情報を前記第1の基地局に通知し、
前記制御チャネル決定手段は、前記移動局から通知される識別情報に基づいて、前記第2の制御チャネルとの周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下である空きチャネルの中から、前記第1の制御チャネルを決定する、
ことを特徴とする移動通信システム。
【請求項3】
第1の周波数帯を使用する第1の基地局から前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯を使用する第2の基地局にハンドオーバを行う移動局であって、
前記第1の基地局と接続している前記移動局の使用周波数帯は、前記第1の周波数帯と、前記第2の周波数帯における前記第1の周波数帯側端に規定された共通チャネルと、を含み、
前記第1の基地局から割り当てられた、前記第1の周波数帯に属する第1の制御チャネルと、前記第1の基地局から前記第2の基地局へのハンドオーバの開始に応じて前記共通チャネルを介して前記第2の基地局から通知される、前記第2の周波数帯に属する第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅より大きい場合に、該周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下となるよう、前記第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求する再割当要求手段と、
前記制御チャネルの再割当要求に応じて前記第1の基地局から通知される、前記第1の周波数帯に属する新たな第1の制御チャネルと、前記第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下である場合に、前記移動局の使用周波数帯を該第1および第2の制御チャネルを含む周波数帯にシフトする第1周波数帯シフト手段と、
前記第1周波数帯シフト手段により前記移動局の使用周波数帯がシフトされた後に、前記第2の制御チャネルを介して前記第2の基地局との接続を確立する手段と、
前記第2の基地局との接続が確立された後に、前記移動局の使用周波数帯を前記第2の周波数帯にさらにシフトする第2周波数帯シフト手段と、
を含むことを特徴とする移動局。
【請求項4】
他の基地局が使用する第2の周波数帯とは異なる第1の周波数帯を使用する基地局であって、
当該基地局と接続している移動局の使用周波数帯は、前記第1の周波数帯と、前記第2の周波数帯における前記第1の周波数帯側端に規定された共通チャネルと、を含み、
当該基地局が前記移動局に割り当てた、前記第1の周波数帯に属する第1の制御チャネルと、前記移動局による当該基地局から前記他の基地局へのハンドオーバの開始に応じて前記共通チャネルを介して前記他の基地局から前記移動局に通知される、前記第2の周波数帯に属する第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅より大きい場合に、前記移動局から要求される制御チャネルの再割当要求に応じて、前記第1の制御チャネルとは異なる新たな第1の制御チャネルを前記第1の周波数帯の中から決定する制御チャネル決定手段と、
前記制御チャネル決定手段により決定される第1の制御チャネルを前記移動局に通知する手段と、
を含むことを特徴とする基地局。
【請求項5】
第1の周波数帯を使用する第1の基地局と、前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯を使用する第2の基地局と、前記第1の周波数帯に属する第1の制御チャネルを前記第1の基地局から割り当てられた移動局と、を含む移動通信システムにおけるハンドオーバ方法であって、
前記第1の基地局と接続している前記移動局の使用周波数帯は、前記第1の周波数帯と、前記第2の周波数帯における前記第1の周波数帯側端に規定された共通チャネルと、を含み、
前記移動局が、前記第1の制御チャネルと、前記第1の基地局から前記第2の基地局へのハンドオーバの開始に応じて前記共通チャネルを介して前記第2の基地局から通知される、前記第2の周波数帯に属する第2の制御チャネルと、の周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅より大きい場合に、該周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下となるよう、前記第1の基地局に制御チャネルの再割り当てを要求する再割当要求ステップと、
前記第1の基地局が、前記移動局からの制御チャネルの再割当要求に応じて、前記第1の制御チャネルとは異なる新たな第1の制御チャネルを前記第1の周波数帯の中から決定する制御チャネル決定ステップと、
前記第1の基地局が、前記制御チャネル決定ステップで決定される第1の制御チャネルを前記移動局に通知するステップと、
前記第1の制御チャネルと前記第2の制御チャネルとの周波数差が前記移動局の使用周波数帯幅以下である場合に、前記移動局の使用周波数帯を該第1および第2の制御チャネルを含む周波数帯にシフトする第1周波数帯シフトステップと、
前記第1周波数帯シフトステップで前記移動局の使用周波数帯がシフトされた後に、前記移動局が、前記第2の制御チャネルを介して前記第2の基地局との接続を確立するステップと、
前記移動局と前記第2の基地局との接続が確立された後に、前記移動局の使用周波数帯を前記第2の周波数帯にさらにシフトする第2周波数帯シフトステップと、
を含むことを特徴とするハンドオーバ方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図6H】
【図6I】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図6H】
【図6I】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【公開番号】特開2011−97273(P2011−97273A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247954(P2009−247954)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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