説明

移動通信端末

【課題】 振動のある利用環境であっても確実に着信を知らせる。
【解決手段】 着信信号が受信された場合に、振動要求部12は、自機を振動させるように要求する振動要求信号を振動部14と振動値判定部13に送信する。振動部14は、振動検出部11によって検出された振動方向と、各バイブレータの振動方向とを比較して、検出された振動方向とより異なる方向に振動するバイブレータを選択する。振動値判定部13は、振動検出部11によって検出された振動値が予め設定された所定の値以上であるか否かを判定する。振動検出部11による判定がYESである場合に、振動部14は選択したバイブレータを振動させ、これと同時に、音再生部15は予め設定された所定の音データを再生させる。一方、振動検出部11による判定がNOである場合に、振動部14は選択したバイブレータを振動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動機構を有する移動通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機のユーザに着信を確実に通知する技術として、従来から着信時に携帯電話機をバイブレータで振動させる技術が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−345845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、例えば、ユーザが携帯電話機をポケットに入れて移動している場合には、着信時に携帯電話機のバイブレータが振動しても気が付かないことが多い。
【0004】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するために、振動のある利用環境であっても確実に着信等を知らせることができる移動通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の移動通信端末は、自端末を振動させるように要求する振動要求を受信した場合に、自端末を振動させる振動手段と、自端末の振動方向を検出する振動方向検出手段と、を備え、振動手段は、振動要求を受信したときに振動方向検出手段によって検出された振動方向とは異なる方向に自端末を振動させることを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、振動要求が発せられたときに検出された振動方向とは異なる方向に自端末を振動させることができるため、例えば、ユーザが移動通信端末をポケットに入れて移動しているときに着信等した場合であっても、ユーザの移動によって生じている振動方向とは異なる方向に自端末を振動させることができる。したがって、振動の多い利用環境であっても確実に着信等を知らせることができる。
【0007】
本発明の移動通信端末において、予め設定された所定の音データを再生させる音再生手段と、自端末の振動値を検出する振動値検出手段と、振動要求を受信したときに振動値検出手段によって検出された振動値が予め設定された所定の値以上であるか否かを判定する振動値判定手段と、をさらに備え、上記音再生手段は、振動値判定手段によって、振動値検出手段で検出された振動値が予め設定された所定の値以上であると判定された場合に、音データを再生させることが好ましい。
【0008】
このようにすれば、ユーザがバイブレータの振動を感知することができない程の激しい振動環境において着信等した場合であっても、ユーザに音で着信等を知らせることができる。
【0009】
本発明の移動通信端末において、上記振動手段は、振動値判定手段によって、振動値検出手段で検出された振動値が予め設定された所定の値以上であると判定された場合には、自端末の振動を禁止することが好ましい。
【0010】
このようにすれば、ユーザがバイブレータの振動を感知することができない程の激しい振動環境において着信等した場合には、バイブレータの振動を禁止させることができるため、無駄な消費電力を節減することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る移動通信端末によれば、振動のある利用環境であっても確実に着信を知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る移動通信端末の実施形態を図面に基づき説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、実施形態における携帯電話機の機能構成を例示する図である。携帯電話機1は、自機が在圏する無線エリアをカバーする基地局(不図示)と無線通信を行い、通話サービスあるいはパケット通信サービスを受ける移動通信端末である。携帯電話機1は、物理的には、CPU、通信装置、メモリ、振動機構、加速度センサ、角速度センサ、音再生機構、入力キー、ディスプレイ、等を有している。
【0014】
なお、本実施形態においては、移動通信端末の具体例として携帯電話機1を用いて説明しているが、移動通信端末の具体例はこれに限られず、例えば、簡易型携帯電話機(PHS)や通信機能を有する携帯型情報端末(PDA)等の移動通信端末であってもよい。
【0015】
図1を参照して携帯電話機1の機能構成について説明する。図1に示すように、携帯電話機1は、振動検出部11(振動方向検出手段,振動値検出手段)と、振動要求部12と、振動値判定部13(振動値判定手段)と、振動部14(振動手段)と、音再生部15(音再生手段)とを有する。
【0016】
図1に示す振動検出部11は、自機の振動方向と振動値とを検出する。具体的には、加速度センサおよび角速度センサによって検出された加速度データおよび角速度データを用いて、自機の振動方向および振動値を検出する。加速度センサとしては、例えば、X軸,Y軸,Z軸の各軸方向への移動速度の変化を検知する3軸加速度センサを用いることができる。また、角速度センサとしては、例えば、X軸,Y軸,Z軸の各軸方向の回転移動の各速度の変化を検知する3軸角速度センサを用いることができる。
【0017】
なお、3軸加速度センサや3軸角速度センサは、あくまでも加速度センサや角速度センサの例示に過ぎず、加速度センサや角速度センサを3軸加速度センサや3軸角速度センサに限定するものではない。また、加速度センサと角速度センサは、必ずしも両方とも備える必要はないが、両センサを備えた方が振動の方向や振動の大きさをより的確に測定することが可能となる。
【0018】
振動要求部12は、所定の条件を満たした場合に、自機を振動させるように要求する振動要求信号を振動部14と振動値判定部13とに送信する。所定の条件としては、例えば、着信信号を受信したとき、タイマーにより設定された一定時間が経過したとき、スケジューリングされた時刻に現在時刻が到達したとき等が該当する。なお、本実施形態では、所定の条件が着信信号を受信したときである場合について説明することにする。
【0019】
振動値判定部13は、自機を振動させるように要求する振動要求信号を受信したときに、振動検出部11によって検出された振動値が予め設定された所定の値以上であるか否かを判定する。
【0020】
振動部14は、自機を振動させるように要求する振動要求信号を受信したときに、振動検出部11によって検出された振動方向とは異なる方向に自機を振動させる。
【0021】
ここで、振動部14は、振動機構に含まれるバイブレータを振動させることで自機を振動させる。本実施形態では、振動方向の異なるバイブレータを2個搭載している。振動部14は、振動検出部11によって検出された振動方向と、各バイブレータの振動方向とを比較して、検出された振動方向と、より異なる方向に振動するバイブレータを選択して振動させる。なお、検出された振動方向と最も異なる振動方向は、検出された振動方向と垂直関係にある振動方向となる。
【0022】
音再生部15は、振動値判定部13によって、振動検出部11で検出された振動値が予め設定された所定の値以上であると判定された場合に、予め設定された所定の音データを再生させる。所定の値としては、バイブレータの振動ではユーザが着信等を感知することができない程の振動値が該当する。このようにすることで、バイブレータの振動ではユーザが着信を感知することができない程の激しい振動環境で着信した場合であっても、音を利用してユーザに着信を知らせることができる。一方、音再生部15は、振動値判定部13によって、振動検出部11で検出された振動値が予め設定された所定の値未満であると判定された場合には、音データを再生させない。なお、予め設定された所定の音データは、ユーザによって任意に設定可能な音データであってもよいし、携帯電話機の出荷時に予め設定されている音データであってもよい。
【0023】
次に、図2を参照して、本実施形態における携帯電話機1の動作について説明する。
【0024】
まず、携帯電話機1の振動検出部11は、振動が検知されたか否かを判定する(ステップS1)。この判定がNOである場合(ステップS1;NO)に、振動検出部11は、ステップS1の振動検知判定を継続する。一方、ステップS1における判定で、振動が検知されたと判定された場合(ステップS1;YES)に、振動検出部11は、自機の振動方向と振動値を検出する(ステップS2)。
【0025】
次に、振動要求部12は、着信信号を受信したか否かを判定する(ステップS3)。この判定がNOである場合(ステップS3;NO)には、上述したステップS1に処理を移行する。一方、ステップS3における判定で、着信信号を受信したと判定された場合(ステップS3;YES)に、振動要求部12は、自機を振動させるように要求する振動要求信号を振動部14と振動値判定部13に送信する(ステップS4)。
【0026】
次に、振動部14は、振動検出部11によって検出された振動方向と、各バイブレータの振動方向とを比較して、検出された振動方向とより異なる方向に振動するバイブレータを選択する(ステップS5)。
【0027】
次に、振動値判定部13は、振動検出部11によって検出された振動値が予め設定された所定の値以上であるか否かを判定する(ステップS6)。この判定がYESである場合(ステップS6;YES)に、振動部14は、選択したバイブレータを振動させ、これと同時に、音再生部15は、予め設定された所定の音データを再生させる。これにより、振動と音によって着信が通知されることになる(ステップS7)。一方、ステップS6における判定で、検出された振動値が予め設定された所定の値未満であると判定された場合(ステップS6;NO)に、振動部14は、選択したバイブレータを振動させる。これにより、振動によって着信が通知されることになる(ステップS8)。
【0028】
以上のように、上述した実施形態における携帯電話機によると、振動要求信号が送信されたときに検出された振動方向とは異なる方向に自機を振動させることができるため、例えば、ユーザが携帯電話機をポケットに入れて移動しているときに着信した場合であっても、ユーザの移動によって生じている振動方向とは異なる方向に自機を振動させることができる。したがって、振動の多い利用環境であっても確実に着信を知らせることができる。
【0029】
なお、上述した実施形態における振動部14は、振動要求信号を受信したときに自機を振動させているが、振動要求信号を受信したときに必ずしも自機を振動させる必要はない。例えば、振動値判定部13によって、振動検出部11で検出された振動値が予め設定された所定の値以上であると判定された場合には、自機の振動を禁止させることとしてもよい。すなわち、この場合には、着信の事実が着信音のみで知らされることになる。ここで、所定の値としては、バイブレータの振動ではユーザが着信等を感知することができない程の振動値が該当する。これにより、ユーザがバイブレータの振動を感知することができない程の激しい振動環境で着信した場合には、バイブレータの振動を禁止させることができるため、無駄な消費電力を節減することができる。
【0030】
また、上述した実施形態における振動機構では、振動方向の異なるバイブレータを2個搭載しているが、振動機構の構成はこれに限定されない。例えば、振動方向の異なるバイブレータを3個以上搭載してもよいし、振動方向を変化させることができるバイブレータを1個搭載することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】発明の実施形態における携帯電話機の機能構成を示すブロック図である。
【図2】詳細動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
1・・・携帯電話機、11・・・振動検出部、12・・・振動要求部、13・・・振動値判定部、14・・・振動部、15・・・音再生部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自端末を振動させるように要求する振動要求を受信した場合に、自端末を振動させる振動手段と、
自端末の振動方向を検出する振動方向検出手段と、を備え、
前記振動手段は、前記振動要求を受信したときに前記振動方向検出手段によって検出された前記振動方向とは異なる方向に自端末を振動させることを特徴とする移動通信端末。
【請求項2】
予め設定された所定の音データを再生させる音再生手段と、
自端末の振動値を検出する振動値検出手段と、
前記振動要求を受信したときに前記振動値検出手段によって検出された前記振動値が予め設定された所定の値以上であるか否かを判定する振動値判定手段と、をさらに備え、
前記音再生手段は、前記振動値判定手段によって、前記振動値検出手段で検出された前記振動値が予め設定された所定の値以上であると判定された場合に、前記音データを再生させることを特徴とする請求項1記載の移動通信端末。
【請求項3】
前記振動手段は、前記振動値判定手段によって、前記振動値検出手段で検出された前記振動値が予め設定された所定の値以上であると判定された場合には、自端末の振動を禁止することを特徴とする請求項2記載の移動通信端末。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−178018(P2008−178018A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11673(P2007−11673)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】