説明

移動電話およびLCDディスプレイモジュールを備えた装置

特定の医療システム(例えばモダリティ)においては、画像再生特性曲線の目標特性曲線への調整のために設けられているプログラムをインストールすることが望まれない。この種の調整を簡単化する移動電話およびLCDディスプレイを備えた装置を提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動電話およびLCDディスプレイモジュールを備えた装置であって、LCDディスプレイモジュールがLCDディスプレイおよびルックアップテーブルを有し、ルックアップテーブルによって調整段階中にLCDディスプレイの輝度特性曲線が目標特性曲線に次によって適合化される、すなわち、調整プログラムが、測定装置が予め与え得るビデオ入力値において検出する輝度と目標輝度とから、ルックアップテーブルに保存するためのビデオ出力値を算定することによって適合化される装置に関する。
【0002】
特に医学の分野においては、画像再生システムへの要求が、このシステムの画像再生特性曲線、例えば平面型画面パネルの画像再生特性曲線に関してかなり高い。画像再生特性曲線は、どのように電気信号が輝度および色度からなる光信号に変換されるかを指定する。例えば、輝度がビデオ入力信号の関数(ビデオレベル)として感覚的に等間隔にて増大することが望まれている。感覚的に等間隔ということは、人間の目が、例えば最大値の50%のビデオレベルにおける画像を、100%のビデオレベルにおける画像の半分の明るさに感じることを意味する。これを達成するためには、輝度特性曲線の経過を人間の目の感度に合わせるための措置が必要である。
【0003】
輝度特性曲線は、いわゆるルックアップテーブルの助けにより調整することができる。補正は平面型画面パネルの制御に適したグラフィックプロセッサが先ずビデオ入力値およびこれらのビデオ入力値に割り付けられたビデオ出力値をルックアップテーブルに書き込むことによって行なわれる。どのビデオ出力値がパネルに与えられるかはビデオ入力値に依存し、それによって輝度が所望の輝度特性曲線にしたがって設定可能である。換言するならば、補正は、ディジタル化された画像がルックアップテーブルにより評価されるというやり方で行なわれ、ビデオ入力値の代わりにこのビデオ入力値に割り付けられたビデオ出力値がパネルに書き込まれる。
【0004】
それによってルックアップテーブルを介して画像再生特性曲線を、これが例えばDICOM標準規格に一致するように適合させることができる。この標準規格によれば、0.05cd/m2から4000cd/m2までの輝度範囲が1024段階(最小弁別差)に区分されるので、個々の段階間の輝度差は目によってかろうじて知覚可能である。それによって輝度が感覚的に一様に増加する。
【0005】
輝度特性曲線を、例えばこのDICOM標準規格に合わせるために、それぞれ1つのテストパターンを代表する多数のテスト画像が必要である。例えば、前景のために約33個の灰色階調が、そして背景のために約50個の灰色階調が調整され、適切な測定ヘッドがこの調整中に輝度を検出する。パーソナルコンピュータ上で作動可能な適切な調整プログラムが、ビデオ入力値、検出された輝度およびDICOMによる目標輝度からビデオ出力値を算出し、これらをルックアップテーブルに保存する。
【0006】
特定の医療システム(例えばモダリティ)において、現場で画像再生特性曲線を調整するために調整プログラムをこのシステムにインストールすることは望まれない。したがって、通常この種の調整は工場設定の枠内で行なわれる。更に、調整のために必要とされる非常に多数のテスト画像により、十分なメモリ容量が必要あり、それによって、必要な全てのテスト画像をFPGAモジュール内またはLCDディスプレイモジュールの画像メモリ内に保存することができない。
【0007】
本発明の課題は、目標輝度特性曲線への輝度特性曲線の調整を簡単にした冒頭に述べた如き装置を提供することにある。
【0008】
この目的は請求項1の特徴部分に示されている措置によって解決される。
【0009】
LCDディスプレイが、例えば医療分野の現場において、そのためのコンピュータが必要となることなく調整可能であることが好ましい。調整プログラムは、移動電話上にて作動可能であり、必要な調整データは移動電話とLCDディスプレイモジュールとの間において無線伝送される。移動電話およびLCDディスプレイモジュールは、このためにそれぞれブルートゥースインターフェースの形の通信インターフェースとともに構成されている。
【0010】
本発明の一形態においては、調整プロセスまたは画質検査のために、非常に多数のテストパターンを発生させることができる。このためには、多数の個別のテストパターン、すなわち多数のパネル上に表示可能な符号復元された個別のテスト画像を発生させるための符号化されたテスト画像が必要とされるだけであり、これらのテストパターンは通常LCDディスプレイモジュール内に存在するルックアップテーブルによって復元可能である。通常、ルックアップテーブルは256個の校正個所を有し、それによって、例えば256個のグラフィックエレメントがアドレス指定可能である。このルックアップテーブルが8ビット分解能を有する場合には、各エレメントは256個の灰色階調にて表示可能であり、および/またはカラーディスプレイモジュールの場合には224個のカラーで表示可能である。
【0011】
請求項3に示された措置による本発明の他の形態においては、移動電話が少なくとも1つの制御指令を使用者入力に応じてまたは自動的に発生する。それによって現場での調整が簡単化され、サービス技術者は、特別なテストパターンを呼び出すことができ、あるいは調整に必要な種々のテストパターンを順次呼び出す調整プログラムを作動させることができる。
【0012】
本発明の他の有利な構成は他の従属請求項からもたらされる。
【0013】
以下において、本発明の実施例が具体的に示されている図面に基づいて、本発明、その構成ならびに利点を更に詳細に説明する。
【0014】
図1は移動電話およびLCDディスプレイモジュールを備えた装置を示し、図2はLCDディスプレイの制御のための装置を示し、図3ないし図5はLCDディスプレイ上に表示可能な種々のテストパターンを示す。
【0015】
図1にはMTにて移動電話が示されている。移動電話MTは、ここには図示されていないメモリを有する。このメモリには、移動電話MT上において調整段階中に実行される調整プログラムが保存されている。この調整段階中に先ず輝度検出装置LEがLCDディスプレイモジュールLM1のLCDディスプレイの輝度を検出する。検出された輝度は通信インターフェースKSを介して移動電話MTに無線伝送される。この調整中にLCDディスプレイに多数のテストパターン(符号復元化されたテスト画像)が表示される。これらのテストパターンは、以下において更に示すように、符号化されたテストパターンから発生させられる。通信インターフェースKSは、輝度検出装置LEによって直列に供給される輝度値を、これをブルートゥースインターフェースを介して移動電話MTへ伝達するために前処理する。調整プログラムの実行のために設けられている移動電話MTのコントローラが、検出された輝度と移動電話MT内に保存されている目標輝度とから、LCDディスプレイモジュールLM1のルックアップテーブルに取り込むためのビデオ出力値を算定する。移動電話MTは、その算定されたビデオ出力値を、このブルートゥースインターフェースを介して通信インターフェースKSに伝送する。通信インターフェースKSはビデオ出力値を直列にLCDディスプレイモジュールLM1に供給する。LCDディスプレイモジュールLM1は、ビデオ出力値をルックアップテーブルに登録する適切なコントローラを有する。その調整プロセスの後に他のLCDディスプレイモジュールLM2を調整することができるようにするために、通信インターフェースKSは、同様にこのLCDディスプレイモジュールLM2に接続されている。LCDディスプレイモジュールLM2の調整のために、輝度検出装置LEがLCDディスプレイモジュールLM2のLCDディスプレイ上に配置されている。
【0016】
以下において、LCDディスプレイモジュールのLCDディスプレイの制御のための装置が示されている図2を参照する。図2においては、1にてルックアップテーブルが示されている。ルックアップテーブル1にはコントローラ2のビデオ入力ステップが供給可能である。コントローラ2は、通常動作モード中に画像信号を伝送するグラフィックプロセッサの構成部分であってよい。グラフィックプロセッサは画像信号を処理し、処理された画像信号をビデオ入力ステップの形でルックアップテーブル1に伝達する。ルックアップテーブル1はビデオ入力ステップを画像再生特性曲線の最適化のために評価し、ビデオ入力ステップに割り付けられたビデオ出力ステップをLCDディスプレイ3に与える。
【0017】
調整段階中における調整プロセスのために多数のテストパターン(符号復元されたテスト画像)を符号化されたテスト画像から発生させるために、この実施例では、符号化されたテスト画像が保存可能であるメモリ4が設けられていて、移動電話は適切な通信インターフェースを介してテスト画像をメモリ4に登録する。メモリ4、コントローラ2ならびにルックアップテーブル1およびLCDディスプレイ3は、LCDディスプレイモジュールの構成部分である。テスト画像の伝送は、コントローラ2に、通信インターフェース55を介して伝達される制御指令によって指示される。
【0018】
もちろん、テスト画像を先ずコントローラ2に伝送して、コントローラ2がテスト画像をメモリ4に書き込むようにすることができる。
【0019】
符号化されたテスト画像を、例えば装置のEEPROM内に保存することもでき、それによって装置へのテスト画像の伝送が省略され、これにより調整プロセスが短縮される。更に、EEPROM内に完全なテスト画像を保存しないで、テスト画像を発生させるために必要であるデータだけを保存することを考えられ得る。この場合には装置におけるメモリ要求が低減され、装置のテスト画像発生のために、テスト画像発生のための指令だけが通信インターフェース5を介して伝送され、適切なプログラムがコントローラ2においてテスト画像を発生させる。
【0020】
使用者は、移動電話上において作動可能な選択プログラムを介してメニュー制御式にてテストパターンを選択し、それによって選択プログラムが他の制御指令を発生して、コントローラ2に通信インターフェース5を介して伝送する。この制御指令に依存してコントローラ2が、ルックアップテーブル1にビデオ出力値を取り込む。ビデオ出力値により、テスト画像のテストパターンが、以下において更に説明するように、符号復元化される。テストパターンの選択は自動的に行なうこともできる。この場合には調整ソフトウェアが、例えば順次異なるテストパターンを選択して、LCDディスプレイ3上に表示する。テストパターンの輝度が検出され、画像再生特性曲線の最適化または画質の検査のために評価される。
【0021】
以下において、LCDディスプレイ上に表示可能な種々のテストパターンが示されている図3ないし図5を参照する。
【0022】
画像メモリBSに保存された符号化されたテスト画像が、1024×1024ピクセルを有するモノクロLCDディスプレイに表示可能であることを仮定する。更に、単純化のために、8ビットのルックアップテーブルLUTがビデオ入力ステップの評価のために設けられ、それによって256個のグラフィックエレメント、例えば矩形、三角形または円の形でのエレメントがテスト画像内に配置されていて、任意の灰色階調または色調で表示可能であることを仮定する。単純化のために、この例では、1つの符号化されたモノクロテスト画像だけが画像メモリBSに保存されている。エレメントがカラー表示されるべき場合には、各R,G,B基本色のための各ビデオ入力値についてビデオ出力値を用意すべきである。
【0023】
図3において、コントローラ2によってロードされるルックアップテーブルLUTには、ビデオ入力値VEにビデオ出力値VAが割り付けられている。ビデオ入力値4にはビデオ出力値255が割り付けられ、残りのビデオ入力値にはそれぞれビデオ出力値0が割り付けられている。これは、画像メモリBSにおける値4にて符号化された記憶内容がLCDディスプレイLA上において白で表示されることを意味する(341から682までのピクセル範囲)。これに対して、画像メモリBSにおける値4にて符号化されていない記憶内容はディスプレイLA上において黒で表示され(残りの範囲)、これが図では垂直線によって示されている。
【0024】
図4による例では、LCDディスプレイLAの341から682までのピクセルに対応するメモリセルに、またもやビデオ入力値4が保存されている(同じ符号化されたテスト画像)。ルックアップテーブルLUTの指定にしたがって、このビデオ入力値にビデオ出力値128が割り付けられていて、それによってテストパターンが、341から682までのピクセルの範囲における灰色矩形の形で(斜線にて)表示され、LCDディスプレイLAの残りのピクセル範囲は黒で表示される。
【0025】
ビデオ入力値9にビデオ出力値255が割り付けられかつ残りのビデオ入力値にビデオ出力値0が割り付けられている図5による画像メモリBSおよびルックアップテーブルLUTの指定に基づいて、682から1023までのピクセル範囲において、テスト画像における白の三角形がテストパターンとして符号復元され、LCDディスプレイLA上に表示され、LCDディスプレイLAの残りの範囲は黒で表示される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】移動電話およびLCDディスプレイモジュールを備えた装置を示す概略図
【図2】LCDディスプレイの制御のための装置を示すブロック図
【図3】LCDディスプレイ上に表示可能な第1のテストパターンを示す概略図
【図4】LCDディスプレイ上に表示可能な第2のテストパターンを示す概略図
【図5】LCDディスプレイ上に表示可能な第3のテストパターンを示す概略図
【符号の説明】
【0027】
1 ルックアップテーブル
2 コントローラ
3 LCDディスプレイ
4 メモリ
5 通信インターフェース
BS 画像メモリ
KS 通信インターフェース
LA LCDディスプレイ
LE 輝度検出装置
LM1 LCDディスプレイモジュール
LM2 LCDディスプレイモジュール
LUT ルックアップテーブル
MT 移動電話
VA ビデオ出力値
VE ビデオ入力値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動電話(MT)およびLCDディスプレイモジュール(LM1,LM2)を備えた装置であって、
LCDディスプレイモジュール(LM1,LM2)がLCDディスプレイ(3)およびルックアップテーブル(1)を有し、
ルックアップテーブル(1)により、調整段階中にLCDディスプレイ(3)の輝度特性曲線が目標特性曲線に次のことによって適合化される、すなわち、調整プログラムが、測定装置(LE)が予め与え得るビデオ入力値において検出する輝度と目標輝度とから、ルックアップテーブル(1)に保存するためのビデオ出力値を算定することによって適合化される装置において、
移動電話(MT)およびLCDディスプレイモジュール(LM1,LM2)が無線通信のための手段を装備させられていて、
移動電話(MT)が調整プログラムの実行のための手段を有し、LCDディスプレイモジュール(LM1,LM2)が検出された輝度を移動電話(MT)に伝達し、移動電話(MT)がビデオ出力値をそのディスプレイモジュールにルックアップテーブル(1)への取り込みのために供給することを特徴とする装置。
【請求項2】
テスト画像がLCDディスプレイモジュール(LM1,LM2)において保存可能または発生可能であり、
LCDディスプレイモジュール(LM1,LM2)がコントローラ(2)を備え、コントローラ(2)に調整段階中に少なくとも1つの制御指令が供給可能であり、
少なくとも1つの制御指令は、コントローラ(2)がルックアップテーブル(1)にテスト画像からのテストパターンの選択のためのビデオ出力値を割り当てることを生じさせることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
移動電話(MT)が少なくとも1つの制御指令を使用者入力に応じてまたは自動的に発生することを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
移動電話(MT)がLCDディスプレイモジュール(LM1,LM2)へのテスト画像の取り込みのための他の制御指令を使用者入力に応じて発生することを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
他の制御指令が、LCDディスプレイモジュール(LM1,LM2)の少なくとも1つのキーの操作またはLCDディスプレイモジュール(LM1,LM2)のOSD機能の活性化によって発生させられることを特徴とする請求項3記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−537799(P2008−537799A)
【公表日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505879(P2008−505879)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061471
【国際公開番号】WO2006/108822
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(508041976)エイゾー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (8)
【Fターム(参考)】