説明

移送ポンプの起動方法、流体移送装置及び熱処理装置

【課題】キャビテーションが発生しやすい高温流体を移送ポンプによって移送する場合の、移送ポンプ起動時の気泡及びキャビテーションの発生を抑制して、スムースに立上り可能な移送ポンプの起動方法、流体移送装置、熱処理装置を提供すること。
【解決手段】ノズル30と、温水Hを貯留するタンク25と、タンク25からノズル30に温水Hを循環させる熱媒体循環回路40と、熱媒体循環回路40に設けられ温水Hを移送する循環ポンプ41Pとを備えた加熱冷却装置1であって、タンク25と循環ポンプ41Pとの間に設けられ熱媒体循環回路40に低温水を給水する低温水供給装置46と、低温水供給装置46に設けられ低温水の流通を制御する給水バルブ46Vと、低温水供給装置46を制御する給水制御部とを備え、給水制御部は、循環ポンプ41Pを起動したときに給水バルブ46Vを開くことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高温流体を移送ポンプで移送するための移送ポンプの起動方法、この方法を用いた流体移送装置及び熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、化学プラント、ボイラ、熱処理装置等の産業用装置において移送ポンプを用いて流体を移送する場合、移送ポンプ内における流体は、移送ポンプの吸引力によって負圧状態となる。
例えば、移送ポンプが渦巻きポンプの場合、ポンプ内の流体の圧力は取入口から回転羽根に近づくに従って低下し、回転羽根近傍で最も低下した後、回転羽根から離れるにつれて上昇する。
このようにして、ポンプ内における流体の圧力が、その流体の温度における飽和蒸気圧力以下になると、流体から気泡が発生してキャビテーションが発生し易くなる。
【0003】
移送ポンプ内でキャビテーションが発生した場合、ポンプ起動に際しての移送開始が遅れるうえ、ポンプ性能が低下して効率的な移送ができなくなり、さらにポンプの回転羽根やケーシング部分にエロージョンが発生してポンプの寿命が短くなる。
また、運転効率の低下にともなうエネルギー消費の増大や移送ポンプの立ち上り困難にともなう設備稼働率の低下によって、ランニングコストが増大してコストアップが生じるという問題があった。
そこで、ポンプをゆっくり回転させて流体の流速を低下させることによりキャビテーションを抑制する技術が公開されている(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】http://www.fluidlab.naoe.t.u-tokyo.ac.jp/Research/Cav/whatis.html
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように移送ポンプをゆっくり回転させる場合には、移送ポンプが所定の性能を発揮することができなくなるために移送ポンプが大きくなり、その結果、設備投資費用が増加するとともに大きな設置スペースが必要になるという問題があり、移送ポンプにおいて高温流体をスムースに立ち上げる技術への要請がある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、キャビテーションが発生しやすい高温流体を移送ポンプによって移送する場合において、移送ポンプ起動時の気泡及びキャビテーションの発生を抑制して、スムースに立ち上り可能な移送ポンプの起動方法、流体移送装置、熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1記載の発明は、流体移送装置であって、管路と、前記管路に設けられた移送ポンプと、前記管路に高温流体を供給する高温流体供給部とを備えた流体移送装置であって、前記高温流体供給部と前記移送ポンプとの間に設けられ前記管路に低温流体を供給する低温流体供給部と、前記低温流体供給部に設けられ前記低温流体の流通を制御する供給バルブと、前記低温流体供給部を制御する流体制御部とを備え、前記流体制御部は、前記移送ポンプを起動するときに前記供給バルブを開くことを特徴とする。
【0007】
この発明に係る流体移送装置によれば、移送ポンプを起動するときに、流体制御部が高温流体供給部と移送ポンプとの間に設けられた低温流体供給部の供給バルブを開いて低温流体を移送ポンプに供給する。
その結果、起動時に移送ポンプ内に流入する流体の飽和蒸気圧力が低下して流体からの気泡発生が抑制され、移送ポンプ内におけるキャビテーションの発生が抑制される。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の流体移送装置であって、前記流体制御部は、前記移送ポンプが流体で充填された後に前記供給バルブを閉じることを特徴とする。
【0009】
この発明に係る流体移送装置によれば、流体制御部は、前記移送ポンプが流体で充填された後に前記供給バルブを閉じるので、移送ポンプが充填されて流体から気泡が発生しにくくなった後に目的の高温流体を単独で移送することができる。
【0010】
請求項3記載の発明は、熱処理装置であって、対象物に温水を噴射するノズルと、前記温水を貯留するタンクと、前記タンクから前記ノズルに前記温水を循環させる熱媒体循環回路と、前記熱媒体循環回路に設けられ前記温水を移送する循環ポンプとを備えた熱処理装置であって、前記タンクと前記循環ポンプとの間に設けられ前記熱媒体循環回路に低温水を給水する低温水供給装置と、前記低温水供給装置に設けられ前記低温水の流通を制御する給水バルブと、前記低温水供給装置を制御する給水制御部とを備え、前記給水制御部は、前記循環ポンプを起動したときに前記給水バルブを開くことを特徴とする。
【0011】
この発明に係る熱処理装置によれば、循環ポンプを起動するときに、給水制御部が温水を貯留するタンクと循環ポンプとの間に設けられた低温水供給装置の給水バルブを開いて循環ポンプに低温水を供給する。その結果、循環ポンプに流入する水の飽和蒸気圧力が低下して、循環ポンプ内に流入した水からの気泡の発生が抑制される。その結果、循環ポンプ内におけるキャビテーションの発生が抑制される。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の熱処理装置であって、前記給水制御部は、前記循環ポンプが水で充填された後に前記給水バルブを閉じることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る熱処理装置によれば、循環ポンプが充填されて温水からの気泡が発生しにくくなった後に、温水を単独で循環ポンプに流入させて循環する。したがって、気泡の発生を抑制し、所定温度の温水を熱媒体として循環ポンプで移送することができる。
【0014】
請求項5記載の発明は、移送ポンプの起動方法であって、高温流体を移送ポンプで移送する場合の前記移送ポンプの起動方法であって、前記移送ポンプを起動するときに、低温流体を前記移送ポンプに吸引させることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る移送ポンプの起動方法によれば、移送ポンプを起動するときに低温流体を移送ポンプに吸引させるので、移送ポンプ内に流入する流体の飽和蒸気圧力が低下して移送ポンプ内におけるキャビテーションの発生が抑制される。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項5に記載の移送ポンプの起動方法であって、前記移送ポンプが流体で充填されるまでの間、前記低温流体を吸入させることを特徴とする。
【0017】
この発明に係る移送ポンプの起動方法によれば、移送ポンプが流体で充填されるまで移送ポンプに流入する流体の飽和蒸気圧を低下させて気泡の発生を抑制し、移送ポンプが流体で充填され気泡の発生がしにくくなった後に目的の高温流体が単独で移送される。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係る流体移送装置又は移送ポンプの起動方法によれば、移送ポンプを起動するときに高温流体からの気泡の発生が抑制されるので、キャビテーションの発生を抑制して高温流体を移送する移送ポンプをスムースに立ち上げることができる。
この発明に係る熱処理装置によれば、循環ポンプを起動するときに温水からの気泡の発生が抑制されるので、キャビテーションの発生を抑制して温水を循環させる循環ポンプをスムースに立ち上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図1を参照し、この発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、この発明に係る流体移送装置を、例えば、温水ボイラ設備に適用した場合の概略構成を示す図であり、符号100は温水ボイラ設備を、符号101は温水ボイラ本体(高温流体供給部)を、符号110は温水移送装置(流体移送装置)を示している。
【0020】
温水ボイラ設備100は、温水ボイラ本体101と、温水使用設備102と、温水移送装置110とを備え、温水ボイラ本体101と、温水使用設備102の間は、配管103(管路)により流通可能に接続されている。
【0021】
温水移送装置110は、移送ポンプ111と、電磁バルブ112と、低温水供給部(低温流体供給部)115と、流体制御部120とを備え、低温水供給部115は、低温水タンク116と電磁バルブ(供給バルブ)117とを有し、温水ボイラ本体101と移送ポンプ111の間の配管103に配置されている。
【0022】
この明細書において、高温流体とは、移送される流体の温度が、流体を移送する移送ポンプ(循環ポンプを含む)を起動したときに、移送ポンプが流体で充填されるまでの移送ポンプ本体内における流体の圧力が、流体の飽和蒸気圧力よりも低くなることにより流体から気泡が発生するような状態の流体を意味しており、ポンプ起動時の負荷変動等による移送ポンプ内の圧力変動や流体の温度に偏り等、気泡発生に影響を及ぼす外的要因のバラツキの範囲については高温流体の概念に含むものとする。
また、低温流体とは、高温流体に対して低温であることを意味しており、低温流体単独で、又は高温流体と混合されることにより移送ポンプにて気泡が発生しない温度の流体である。
【0023】
また、この明細書において、「移送ポンプの充填」に関する「移送ポンプ」とは、高温流体(例えば、温水)の温度に基づく飽和蒸気圧力及び移送ポンプ本体内部における流体の圧力に基づいて相対的に定義しうる概念であり、市場で流通する移送ポンプ本体のみならず、移送ポンプ本体以降の下流側に位置する配管が含まれる場合がある。
【0024】
温水ボイラ本体101は、流体である水を加熱して温水(高温流体)にし、温水使用設備102に供給するようになっており、温水使用設備102は、例えば、食材の調理、工業製品の加熱に用いる加熱装置や、高温洗浄のための洗浄装置等、温水を使用する装置である。
【0025】
移送ポンプ111は、例えば、渦巻きポンプ等の非容量型ポンプから構成されている。
ここで、移送ポンプ111は、上述のように移送ポンプ111本体以降の配管103を含んだ概念としてもよい。
電磁バルブ112は、温水ボイラ本体101と移送ポンプ111の間の配管103に設けられ、流体制御部120からの制御信号によって開閉可能とされ温水ボイラ本体101から移送ポンプ111への温水の流通を制御可能とされている。
【0026】
低温水供給部115は、低温水タンク116が電磁バルブ117を介して配管103に接続されており、流体制御部120からの信号によって電磁バルブ117が開閉され低温水タンク116から配管103に低温水(低温流体)を供給可能とされている。
また、この実施の形態において、低温水タンク116から配管103への低温水の移動は、低温水の自重により行われるようになっている。
【0027】
流体制御部120は、図示しない起動スイッチと、タイマTM100とを備え、移送ポンプ111、電磁バルブ112、電磁バルブ117に制御信号を出力してこれらを制御するようになっており、起動スイッチがONになることにより、移送ポンプ111が起動するとともに電磁バルブ117が開き、タイマTM100が設定時間に到達することにより電磁バルブ117が閉じられるように構成されている。
【0028】
タイマTM100は、電磁バルブ117を開いてから閉じるまでの時間が設定され、起動スイッチが作動することによりタイマTM100がカウントを開始し設定時間に到達したときに流体制御部120に信号が入力されるようになっている。
設定時間は、移送ポンプ111が起動されてから移送ポンプ111が流体(温水、低温水のいずれか又は温水と低温水の混合されたもの)で充填されるまでの時間とされ、例えば、予めこの温水ボイラ設備において計測した充填時間、又はそれに余裕をもたせた時間とされている。
【0029】
次に、この温水移送装置110の作用について説明する。
(1)まず、図示しない起動スイッチにより、温水移送装置110を起動する。
(2)温水移送装置110が起動されると、移送ポンプ111が駆動されるとともに電磁バルブ112が開いてボイラ本体101から温水が配管103を介して移送ポンプ111側に移動を開始する。
(3)また、温水移送装置110の起動により、低温水供給部115の電磁バルブ117が開かれ、低温水が電磁バルブ117を介して低温水タンク116から配管103に流入する。
(4)低温水供給部115から配管103に移動した低温水が温水とともに移送ポンプ111に吸入される。
(5)移送ポンプ111に吸入された低温水及び温水は移送ポンプ111本体から吐出され、移送ポンプ111本体以降の配管103内を低温水及び温水が流れて移送ポンプ111本体及びそれ以降の配管103が流体で充填される。
(6)移送ポンプ111本体及びそれ以降の配管103が充填されると、移送ポンプ111が流体(低温水及び温水、又はそのいずれか)を吸引する際の吸引力が小さくなり移送ポンプ111本体内における流体の圧力が高くなる(すなわち、負圧の程度が小さくなる)。その結果、移送ポンプ111本体内における温水の圧力が温水の飽和水蒸気圧力(飽和蒸気圧力)よりも高くなり、温水からの気泡発生が抑制される。
(7)その後、移送ポンプ111には、引き続き温水と低温水が混合された流体が吸入される。
(8)タイマTM100によりカウントされる移送ポンプ111が起動されてからの経過時間が設定時間に到達して移送ポンプ111が流体により充填されたことが検出されると、電磁バルブ117が閉じられて低温水供給部115からの低温水の供給が停止される。
(9)ボイラ本体101からの温水が引き続き移送ポンプ111に吸入されて温水使用設備102に移送される。
このとき、移送ポンプ111に吸引される流体は温水単独となるが、移送ポンプ111内における流体の圧力が起動時よりも高くなっているため温水からの気泡の発生が抑制され、その結果、温水単独で移送しても、キャビテーションの発生が抑制される。
【0030】
第1の実施形態に係る温水移送装置110によれば、移送ポンプ111を起動する際に、流体制御部120が温水ボイラ本体101と移送ポンプ111との間に設けられた低温水供給部115の電磁バルブ117を開いて低温水を移送ポンプ111に供給するので、移送ポンプ111起動時に移送ポンプ111内における流体の飽和水蒸気圧力が低下して流体からの気泡発生が抑制される。
その結果、移送ポンプ111を起動した際のキャビテーションの発生が抑制される。
【0031】
また、移送ポンプ111に流体が充填された後は、流体制御部120が電磁バルブ117を閉じて低温水の供給を停止するので、移送ポンプ111が充填された後は、所定温度の温水を温水使用設備102に移送することができる。
【0032】
以下、図2から図5を参照し、この発明の第2の実施形態について説明する。
図2は、この発明に係る流体移送装置を適用した加熱冷却装置(熱処理装置)の概略構成を示す図であり、符号1は加熱冷却装置を、符号45は温水移送装置(流体移送装置)を示している。
【0033】
加熱冷却装置1は、加熱冷却装置本体20と、タンク25と、ノズル30と、熱媒体循環回路40と、温水移送装置45と、加熱部51と、冷水供給部60と、給水制御部70とを備え、ノズル30から噴射した熱媒体Mにより、例えば、真空包装されたパック食材(対象物)Wを加熱、冷却することができるようになっている。
温水移送装置45は、給水制御部70と、起動スイッチSWと、タイマTM1と、循環ポンプ(移送ポンプ)41Pと、低温水供給装置(低温流体供給部)46とを備えている。
ここで、循環ポンプ41Pは、上述のように循環ポンプ41P本体以降の主循環回路41を含んだ概念としてもよい。
【0034】
この実施の形態において、熱媒体Mは水が温度調整された構成とされ、パック食材Wを加熱する場合には高温に加熱した温水(高温流体)Hの状態で、冷却する場合には冷水Cの状態で用いられるようになっている。また、低温水供給装置46から給水される低温水(低温流体)も冷水Cの一部として用いる場合がある。
【0035】
加熱冷却装置本体20は、筐体21と、ノズル30と、タンク25とを備え、筐体21は、図3、図4に示すように、外形が略直方体とされ、ひとつの側面部に矩形状の開口部22が形成され、この開口部22を介してパック食材Wを積載するための台車24が加熱冷却装置本体20内に出し入れ可能とされるとともに、開口部22には開口扉23が設けられ開口部22を液密に開閉可能とされている。
【0036】
また、筐体21の内部には、パック食材Wに挿入可能な位置に品温センサT1が配置され、この品温センサT1によりパック食材Wの品温、例えば、芯温等の測定が可能とされている。
【0037】
台車24は、加熱冷却装置本体20内部に収納自在に構成され、熱媒体Mが流通可能な貫通孔が複数形成されパック食材Wが収納される受け皿、いわゆるホテルパンが、上下方向に間隔をあけて複数積載可能とされている。
また、台車24は、台車24を移動自在に支持する車輪24Aによって加熱冷却装置本体20内部に設けられた台車用テーブル24Bに載置可能とされている。
【0038】
タンク25は、加熱冷却装置本体20の筐体21の下部に、熱媒体Mが貯留可能に設けられており、ノズル30から噴射された熱媒体Mを受けるとともに、タンク25には、加熱部51が接続されてタンク25内の熱媒体Mを加熱可能とされている。
タンク25と加熱部51とは、熱媒体循環回路40に温水Hを供給する高温流体供給部50を構成している。
また、タンク25には、レベルセンサLA及びタンク水温センサT2が設けられていて、タンク25内の熱媒体Mの液位及び温度が検出可能とされている。
【0039】
加熱部51は、蒸気供給管51Aと、蒸気供給バルブ51Vと、蒸気供給管51Bとを備え、蒸気供給管51Aは上流側が蒸気供給源に接続され、蒸気供給管51Bは下流側がタンク25内の熱媒体Mに浸漬可能に接続されている。
【0040】
蒸気供給バルブ51Vは、この実施の形態において、タンク水温センサT2により測定された熱媒体Mの温度に基づいて開閉及び開度が制御可能とされ、予熱工程及び加熱工程においてタンク25内に調整された量の蒸気を注入して熱媒体Mを加熱するとともに温度調整するようになっている。
【0041】
蒸気供給バルブ51Vは、予熱工程において、タンク水温センサT2により検出されるタンク25内の熱媒体Mが設定温度に到達するまで開かれ、加熱工程においては、噴射温度測定センサ(温度センサ)T3により検出される熱媒体Mの温度が設定温度以下の場合に開かれ、設定温度に対して所定の範囲内に到達したら閉じられるようになっている。
【0042】
また、タンク25には、液位上限位に対応する位置にオーバーフロー配管25Aが接続されるとともにタンク25の底部に排出配管29が接続されており、低温水供給装置46による給水及びタンク25内に注入された蒸気の凝縮により熱媒体Mの容積が増加した場合に熱媒体Mがオーバーフロー配管25Aから排出されるとともに、必要に応じて電磁バルブ29Vを開いて排出配管29から熱媒体Mが排出可能とされている。
【0043】
また、タンク25には、例えば、熱媒体Mが噴射された際にパック食材W表面に付着していた液汁等が熱媒体循環回路40内の熱媒体Mに混入、熱媒体循環回路40内を循環し、長期間の後にタンク25及び熱媒体循環回路40内に液汁成分が付着、堆積するのを防止するために、タンク25内に液体洗剤を注入するための薬注器55が設けられている。
【0044】
薬注器55は、液体洗剤を保持する保持タンク55Tと、液体洗剤をタンク25内に供給する吐出ポンプ55Pとを備え、吐出ポンプ55Pの吐出側の管路の先端はタンク25の上限液位に対応する位置よりわずかに上方に位置されている。
薬注器55による液体洗剤の注入は、例えば、1週間に一回程度実施され、注入された液体洗剤は、タンク25及び熱媒体循環回路40を熱媒体Mとともに循環して熱媒体循環回路40内部に付着、堆積した液汁等の固化成分を洗浄、除去するようになっている。
【0045】
ノズル30はノズル分配管32に設けられるとともに加熱冷却装置本体20内に収納された台車24の両側方に配置されて、台車24に積載されたパック食材Wに熱媒体Mを噴射してパック食材Wを加熱、冷却するようになっている。
ノズル分配管32は、図3、図4に示すように、例えば、台車24の両側方に、加熱冷却装置本体20の上方から下方に延在してそれぞれ2組ずつ設けられており、ノズル30はそれぞれのノズル分配管32の長手方向に沿って等間隔に配置されている。
【0046】
熱媒体循環回路40は、温水Hと冷水Cが流通する主循環回路41と、冷水供給部60と、この冷水供給部60の上流側に配置された排出手段49と、切替回路43とを備えている。
冷水供給部60は、冷水Cのみが流通する冷水循環回路42と、冷水Cが貯留可能とされ冷水循環回路42の上流側に冷水Cが流入可能に接続され、冷水循環回路42の下流側に冷水Cが流出可能に接続された冷水タンク62と、冷水用給水器65とを備え、冷水循環回路42は、切替回路43により主循環回路41と選択的に切り替え自在とされている。
【0047】
主循環回路41は、上流側端部はタンク25の底部に接続されるとともに、循環ポンプ41P、流量調整弁F1、モータバルブV1、フロースイッチF2がこの順に配置され、ノズル分配管32に接続され、流量調整弁F1とフロースイッチF2側の間には、温水Hのみがバイパス流通する温水バイパス回路部41Aが形成されている。
フロースイッチF2は、主循環回路41を流通する熱媒体Mの存在を、例えば、オリフィスを利用して検出可能とされている。なお、フロースイッチF2を、ドップラー効果等、他の原理を用いた方式のものとしてもよい。
【0048】
この温水バイパス回路部41Aの下流側にはノズル30から噴射される熱媒体Mの温度を測定するための噴射温度測定センサT3が配置され、噴射温度測定センサT3により検出された信号に基づいて、蒸気供給バルブ51Vの開度が調整され温水Hの温度が調整可能とされている。
また、流量調整弁F1と温水バイパス回路部41Aの間には排出手段49が設けられ、排出手段49は排出バルブ49Vと排出バルブ49Vを介して接続された排出管路49Aとからなり、排出バルブ49Vを開くことにより熱媒体循環回路40内の熱媒体Mが外部に排出可能とされている。
【0049】
主循環回路41には、低温水供給装置46が接続され、低温水供給装置46は、給水配管46Aと、原水タンク46Tと、給水ポンプ46Pと、軟水装置47と、給水バルブ46Vとを備え、給水配管46Aの上流側は給水源Aに接続され、給水ポンプ46P、軟水装置47、給水バルブ46Vがこの順序で配置され、下流側が循環ポンプ41Pの上流側に接続されている。
【0050】
低温水供給装置46は、給水ポンプ46Pを駆動しながら給水バルブ46Vを開くことにより熱媒体循環回路40への低温水(例えば、常温水)が給水可能とされており、タンク25内の熱媒体Mの量が減少してレベルセンサLAにより検出される熱媒体Mの液位が設定値以下となった場合の水の補給、ノズル30から冷水Cを噴射するための給水、及び噴射温度測定センサT3により検出される熱媒体Mの温度が設定温度よりも高い場合の温度調整のための給水が可能とされている。
【0051】
軟水装置47は、イオン交換樹脂を用いて給水に含まれる硬度分を除去するためのものであり、イオン交換樹脂が充填され上下方向に液体が流通可能とされた樹脂筒の下部から原水を上向流として通水することにより硬水が軟水化されるようになっている。
【0052】
給水制御部70は、図5に示すように、起動スイッチSWと、充填検出手段80からの信号が入力され、循環ポンプ41Pと、低温水供給装置46に制御信号を出力するようになっており、起動スイッチSWからの入力により循環ポンプ41Pを起動するとともに低温水供給装置46の給水バルブ46Vを開き、充填検出手段80によって循環ポンプ41Pに水が充填されたのを検出して給水バルブ46Vを閉じるように構成されている。
【0053】
この実施の形態において、充填検出手段80は、起動スイッチSWがONとなって循環ポンプ41Pが起動され、循環ポンプ41Pが水(温水Hと低温水Cの混合されたもの)で充填されるまでの時間を設定可能とされたタイマTM1により構成されている。
タイマTM1は、循環ポンプ41Pが起動されてからの経過時間が設定時間に到達したのを検出し、この検出信号が給水制御部70に入力されることにより循環ポンプ41Pが水で充填されたと判断するようになっている。
循環ポンプ41Pが充填されるまでの充填時間は、例えば、実際に循環ポンプ41Pを起動して低温水供給装置46からの低温水を循環ポンプ41Pに吸入させて循環ポンプ41Pが充填される時間を予め計測して設定することが好適である。
【0054】
切替回路43は、モータバルブV1と、モータバルブV2と、モータバルブV3とを備えており、モータバルブV1は温水バイパス回路部41Aに、モータバルブV2は温水バイパス回路部41Aの上流端部と冷水循環回路42の上流端部との間に、モータバルブV3は温水バイパス回路部41Aの下流端部と冷水循環回路42の下流端部との間に設けられている。
【0055】
冷水循環回路42は、上流端部がモータバルブV2を介して温水バイパス回路部41Aの上流端部に接続され、冷水タンク62、冷水循環ポンプ42P、フロースイッチF3が、この順番で配置され、下流端部がモータバルブV3を介して温水バイパス回路部41Aの下流端部に接続されている。
【0056】
冷水供給部60を構成する冷水タンク62は、加熱された1台車あたりのパック食材Wを冷却した場合の熱エネルギーによって冷水Cの水温が大きく上昇しない程度の充分な量の冷水Cが貯留可能とされており、冷水循環回路42の上流側から流入する冷水Cが底部に接続された管路から流出可能とされている。
【0057】
また、冷水タンク62は底部に接続された管路63を介して冷却装置64と接続されるとともに、冷水タンク62と冷却装置64とは冷水供給部60を構成していて、冷水供給部60は、冷水循環回路42を循環してきた冷水Cを冷却して冷水Cの水温を調整可能とされている。
また、冷水タンク62には、冷水用給水器65と、排水回路66とが接続され、冷水Cの液位を検出するためのレベルセンサLBが設けられている。
【0058】
冷水用給水器65は、給水管路65Aと、電磁バルブ65Vと、ボールタップLCとを備え、上流側が給水源Bに接続されるとともに下流側が冷水タンク62に接続されており、ボールタップLCが冷水Cの液位の低下を検出すると給水源Bから冷水タンク62に給水可能とされている。
【0059】
排水回路66は、管路66A、管路66B、バルブ66Vを備えており、管路66Aは上流側が冷水タンク62の上限液位に対応する位置に接続されていて冷水タンク62内の冷水Cが上限液位を超えた場合に冷水Cをオーバーフローさせて冷水タンク62内の冷水Cの上限液位を維持するようになっている。
また、管路66Bはバルブ66Vを介して冷水タンク62の底部に接続され、このバルブ66Vを操作することにより冷水タンク62内の液位を任意に調整できるようになっている。
【0060】
冷水用給水器65は、例えば、レベルセンサLBにより検出される冷水タンク62内の液位が設定値以下となった場合に電磁バルブ65Vが開かれて冷水タンク62に給水されるようになっている。
【0061】
冷却装置64は、例えば、コンプレッサにより圧縮された冷媒を断熱膨張させることによって冷水Cから熱を奪い取って冷水Cを冷却させる構成とされており、冷却装置64の上流側は冷水タンク62の底部に管路63Aを介して接続され、管路63Aには、循環ポンプ63P及びフロースイッチF4がこの順に配置されている。
また、冷却装置64の下流側は冷水タンク62の底部に管路63Bを介して接続され、管路63Bには、フロースイッチF5が配置されている。
かかる構成により、冷水タンク62から冷却装置64に導かれた冷水Cは冷却されて温度調整可能とされている。
【0062】
また、冷水循環回路42の上流側と下流側との間は、凍結防止用バイパス42Bにより接続され、冬季に冷水Cが凍結する虞がある場合に電磁バルブ42Vを開いて冷水循環ポンプ42Pにより冷水Cを凍結防止用バイパス42B経由で循環させることにより、冷水Cの凍結が防止可能とされている。
【0063】
次に、加熱冷却装置1及び温水移送装置45の作用について説明する。
加熱冷却装置1による加熱、冷却は、自動運転により、例えば、以下に示すような待機工程、予熱工程、加熱工程、冷却工程の順序で移行して行われ、加熱工程開始時に温水移送装置45によるキャビテーション抑制が行われる。
(1)レベルセンサLAにより検出されるタンク25内の液位が設定値に到達していない場合には待機工程に移行して低温水供給装置46から給水され、液位が設定値以上になったら予熱工程に移行する。
(2)タンク水温センサT2により検出されるタンク25内の熱媒体Mの温度が設定温度に到達していない場合には予熱工程に移行し、設定温度以上の場合には加熱工程に移行する。
【0064】
〔予熱工程〕
(1)起動スイッチSWをONにする。
(2)加熱部51の蒸気供給バルブ51Vが熱媒体Mの温度に対応した開度に制御され、タンク25内の熱媒体Mに蒸気を注入する。
(3)タンク水温センサT2により検出されるタンク25内の熱媒体Mの温度が設定温度に到達したら予熱が完了し加熱工程に移行する。
【0065】
〔加熱工程〕
加熱工程は、モータバルブV1を開くとともに、モータバルブV2、モータバルブV3を閉じて、熱媒体Mが熱媒体循環回路40の主循環回路41を流通する構成で行われる。
加熱工程における温水移送装置45の作用は次のとおりである。
(1)起動スイッチSWをONにする(予熱工程から加熱工程への移行が自動の場合には、起動スイッチSWをONにする操作は必要ないものとする。)。
(2)温水移送装置45を構成する循環ポンプ41Pが駆動される。
(3)また、循環ポンプ41Pの起動にあわせて、低温水供給装置46の給水バルブ46Vが開かれ、低温水がタンク25と循環ポンプ41Pの間の熱媒体循環回路40に流入する。
(4)低温水供給装置46から熱媒体循環回路40に流入した低温水は、タンク25からの温水Hよりも先に循環ポンプ41P内に吸入される。
この場合、熱媒体循環回路40内の熱媒体Mが温水Hの状態である場合には、低温水は温水Hと混合された状態で循環ポンプ41Pに吸入される。
(5)循環ポンプ41P内に吸入された低温水及び温水Hは、循環ポンプ41P本体から吐出されて循環ポンプ41P本体以降の主循環回路41内に流れて循環ポンプ41P本体とそれ以降の主循環回路41内を充填する。
(6)循環ポンプ41P本体及びそれ以降の主循環回路41が充填されると、循環ポンプ41Pが熱媒体Mを吸引する際の吸引力が小さくなり循環ポンプ41P本体内における熱媒体Mの圧力が高くなる(すなわち、負圧の程度が小さくなる)。その結果、循環ポンプ41P本体内における温水Hの圧力が温水Hの飽和水蒸気圧力(飽和蒸気圧力)よりも高くなり、温水Hからの気泡発生が抑制される。
(7)その後、循環ポンプ41Pには、温水Hと低温水が混合された熱媒体Mが引き続き吸入される。
(8)タイマTM1によりカウントされる循環ポンプ41Pが起動されてからの経過時間が設定時間に到達してポンプ41Pが熱媒体Mで充填されたことが検出されると、給水バルブ46Vが閉じられて低温水供給装置46からの給水が一旦停止される。
(9)タンク25からは温水H単独で引き続き循環ポンプ41Pに吸入されるが、循環ポンプ41Pが充填されて循環ポンプ41P内の温水Hの圧力が起動時よりも高くなっているため温水Hからの気泡の発生が抑制されキャビテーションの発生が抑制される。
(10)循環ポンプ41Pにより主循環回路41を経由してノズル分配管32に送られた温水Hはノズル30からパック食材Wに噴射される。
(11)温水Hが噴射されることによりパック食材Wの温度が上昇し、例えば、温度センサT1により検出されるパック食材Wの芯温が所定の値に到達したら、図示しないタイマがカウントを開始して所定時間の経過により加熱工程は終了する。
【0066】
上記加熱工程における熱媒体Mは、例えば、噴射温度測定センサT3が検出した温度に基づいてタンク25内の熱媒体Mが加熱されて温度調整される。
また、レベルセンサLAにより検出される温水Hの液位が、設定下限以下になった場合には、低温水供給装置46から熱媒体循環回路40に給水され、液位が所定の範囲内に到達したら給水バルブ46Vが閉じられて熱媒体循環回路40への給水が停止される。
【0067】
〔冷却工程〕
(1)冷却工程前に冷水タンク62内の冷水Cは、循環ポンプ63Pを駆動して冷水タンク62と冷却装置64との間で循環し、冷却装置64の設定温度まで冷却される。
(2)冷却工程は、冷水供給部60を使用し、冷水循環回路42を経由した冷水Cが熱媒体循環回路40を循環することにより行われるため、まず、モータバルブV1を閉じるとともに、モータバルブV2、モータバルブV3を開いて、熱媒体循環回路40が冷水循環回路42を経由する構成とする。
(3)次に、循環ポンプ41P及び循環ポンプ42Pを駆動して、熱媒体循環回路40内に冷水Cを循環させて、タンク25内の冷水Cを冷水循環回路42経由でノズル分配管32に移動しノズル30から冷水Cを噴射してパック食材Wを冷却する。
【0068】
冷水循環回路42に冷水Cを循環させる際に、冷水タンク62の水位が変動して冷水循環回路42への給水が必要な場合は、電磁バルブ65Vを開いて、冷水タンク62に給水する。
冷水タンク62への給水は、ボールタップLCにより液位が制御されており、冷水Cの液位がボールタップLCの設定液位を超えると停止され、冷水Cの液位の低下を検出すると給水される。
【0069】
なお、冷却工程に移行する際に、タンク25内の熱媒体Mが温水Hの場合には、必要に応じてモータバルブ49Vを開くとともにモータバルブV2を閉じて、循環ポンプ41P及び循環ポンプ42Pを運転し、タンク25内の温水Hを排水するとともに、冷水タンク62内の冷水Cをノズル分配管32に送りノズル30から噴射する。
そして、タンク25内の水温が設定温度まで下がったら、モータバルブ49Vを閉じるとともにモータバルブV2を開いて、冷水Cが冷水循環回路42を経由するようにする。
【0070】
この実施の形態における冷却工程では、冷水供給部60を使用することにより、冷水Cが有する冷却能力の範囲内でパック食材Wを最大限冷却する構成とされているが、パック食材Wを常温域までしか冷却する必要がない場合は、冷水供給部60を使用せず冷却してもよい。
【0071】
第2の実施形態に係る加熱冷却装置1によれば、加熱工程に移行して循環ポンプ41Pを起動するときに、給水制御部70が、低温水供給装置46の給水バルブ46Vを開いて循環ポンプ41Pに冷水を供給するため、循環ポンプ41Pに流入する水の飽和水蒸気圧力が低下して循環ポンプ41P内に流入した水の気泡の発生が抑制される。その結果、循環ポンプ41P内におけるキャビテーションの発生が抑制される。
【0072】
また、循環ポンプ41Pが充填され温水Hを流しても気泡が発生しにくくなった後に、温水Hを単独で循環ポンプ41Pに流入させて主循環回路41を循環させるので、循環ポンプ41Pにおけるキャビテーションを抑制しつつ所定温度の温水Hをノズル分配管32に移送してノズル30から噴射することができる。
【0073】
次に、この発明の第3の実施形態について説明する。
図6は、第3の実施形態に係る給水制御部70Aを示す図である。
第3の実施形態に係る給水制御部70Aが、第2の実施形態に係る給水制御部70と異なるのは、充填検出手段80がタイマTM1に代えてフロースイッチF2とされている点である。
その他は第2の実施形態に係る加熱冷却装置1と同様であるので説明を省略する。
【0074】
第3の実施形態に係る加熱冷却装置1によれば、フロースイッチF2が主循環回路41内の熱媒体Mの存在を検出するように構成されているので循環ポンプ41P及び循環ポンプ41P以降フロースイッチF2までの主循環回路41が充填されていることが確実に検出され、例えば、主循環回路41の流路断面積が長年の使用で変化する等の外的要因によって循環ポンプ41Pが充填されるまでの時間が大きく変化した場合でも循環ポンプ41Pの充填を確実に検出してキャビテーションの発生を抑制することができる。
【0075】
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、温水移送装置110を温水ボイラ設備100に用いる場合と、温水移送装置45を加熱冷却装置1に用いた場合について説明したが、この発明に係る流体移送装置を、上記構成以外のボイラ設備、熱処理装置の他、化学プラント等に適用してもよく、対象とする高温流体を、アルコール等の化学薬品や、石油精製品等の混合物質としてもよい。
【0076】
また、上記実施の形態においては、給水制御部70を構成する充填検出手段80が充填時間設定タイマTM1により、給水制御部70Aを構成する充填検出手段80がフロースイッチF2により構成される場合について説明したが、例えば、充填検出手段80として、排出時間タイマTM1、フロースイッチF2に代えて循環ポンプ41P内の気泡の発生消滅を音により検出するマイクロホン等の音検出手段、振動により検出する振動センサや、圧力センサ等を用いることも可能である。
【0077】
また、上記実施の形態においては、低温水供給装置46が軟水装置47を備えていて軟水化された軟水を冷水Cとして給水する場合について説明したが、軟水装置47を備えない構成の低温水供給装置46を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る温水ボイラ設備の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る加熱冷却装置の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る加熱冷却装置の内部を正面から見た図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る加熱冷却装置の図3におけるX−X視した横断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る加熱冷却装置の制御部の概略を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る加熱冷却装置の制御部の概略を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
C 冷水
H 温水
M 熱媒体
W パック食材(対象物)
1 加熱冷却装置(熱処理装置)
25 タンク
30 ノズル
40 熱媒体循環回路(管路)
41P 循環ポンプ(移送ポンプ)
45 温水移送装置(流体移送装置)
46 低温水供給装置(低温流体供給部)
46V 給水バルブ(供給バルブ)
50 高温流体供給部
51 加熱部
70 給水制御部
70A 給水制御部
101 温水ボイラ本体(高温流体供給部)
103 配管(管路)
110 温水移送装置(流体移送装置)
111 移送ポンプ
115 低温水供給部(低温流体供給部)
117 電磁バルブ(供給バルブ)
120 流体制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路と、
前記管路に設けられた移送ポンプと、
前記管路に高温流体を供給する高温流体供給部とを備えた流体移送装置であって、
前記高温流体供給部と前記移送ポンプとの間に設けられ前記管路に低温流体を供給する低温流体供給部と、
前記低温流体供給部に設けられ前記低温流体の流通を制御する供給バルブと、
前記低温流体供給部を制御する流体制御部とを備え、
前記流体制御部は、
前記移送ポンプを起動するときに前記供給バルブを開くことを特徴とする流体移送装置。
【請求項2】
前記流体制御部は、
前記移送ポンプが流体で充填された後に前記供給バルブを閉じることを特徴とする請求項1に記載の流体移送装置。
【請求項3】
対象物に温水を噴射するノズルと、
前記温水を貯留するタンクと、
前記タンクから前記ノズルに前記温水を循環させる熱媒体循環回路と、
前記熱媒体循環回路に設けられ前記温水を移送する循環ポンプとを備えた熱処理装置であって、
前記タンクと前記循環ポンプとの間に設けられ前記熱媒体循環回路に低温水を給水する低温水供給装置と、
前記低温水供給装置に設けられ前記低温水の流通を制御する給水バルブと、
前記低温水供給装置を制御する給水制御部とを備え、
前記給水制御部は、
前記循環ポンプを起動したときに前記給水バルブを開くことを特徴とする熱処理装置。
【請求項4】
前記給水制御部は、
前記循環ポンプが水で充填された後に前記給水バルブを閉じることを特徴とする請求項3に記載の熱処理装置。
【請求項5】
高温流体を移送ポンプで移送する場合の前記移送ポンプの起動方法であって、
前記移送ポンプを起動するときに、低温流体を前記移送ポンプに吸入させることを特徴とする移送ポンプの起動方法。
【請求項6】
前記移送ポンプが流体で充填されるまでの間、前記低温流体を吸引させることを特徴とする請求項5に記載の移送ポンプの起動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−13877(P2009−13877A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176674(P2007−176674)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】