説明

稲麦用コンバインのスピン旋回走行変速装置

【課題】従来のコンバイン、または両側のクローラにて一方が高速、一方が定則の大径旋回でコンバインの空転行程または動力消耗が増加する、または両側のクローラにて一方が走行、一方が停止する小径旋回での、土壌を損なう問題を効果的に解決する稲麦用コンバインのスピン旋回走行変速装置を提供する。
【解決手段】稲麦用コンバインのスピン旋回走行変速装置であって、変速装置本体内の変速機構と、旋回機構と、減速機構とを備えており、旋回機構は減速機構を介してコンバインの走行を実現し、旋回機構は旋回シャフトを備えており、旋回シャフトにはセンタドライブギヤが設けられており、センタドライブギヤの左右両側には対称となる噛み合いギヤ、フォーク、ディスク、引張バネ、反転クラッチおよび反転クラッチギヤがそれぞれ設けられており、噛み合いギヤはフォークでの駆動にてセンタドライブギヤに可動的に連結されており、フォークはディスクを押動して反転クラッチを結合することで動力伝達を実現するものであり、引張バネの一端はディスクに当接しており、引張バネの他端は反転クラッチに当接しており、反転クラッチギヤは反転クラッチとの結合によって、噛み合いギヤに対する駆動を実現している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は穀物収穫機に関し、自脱型および普通型稲麦用コンバイン、ならびにその他作物の収穫機および建設機械に応用される。
【背景技術】
【0002】
走行機構はコンバインの主な機能装置であって、機体の走破性および作業品質に影響を及ぼす。稲麦用コンバインはラバー・クローラ式走行機構を採用しており、その核心となるのが走行変速装置である。そして旋回性能は走行変速装置の優劣を評価する主な指標の一つである。このタイプの変速装置の旋回機構は噛み合いクラッチ、摩擦板式旋回クラッチおよび操縦装置からなり、片方側の噛み合いクラッチの動力を切断するか、または旋回クラッチを制動することで旋回が実現される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、機体直進時には、噛み合いクラッチを結合させて旋回クラッチを離し、旋回時には、フォークを操作して旋回する側の噛み合いクラッチに動力を切断させこの側のクローラを減速させることで、両側のクローラにて一方が高速、一方が低速となって大径旋回するが、大径旋回の空転行程が大きくなることは、面積の狭い農地での作業には不向きである。引き続きフォークを操作してこの側の旋回クラッチを結合し、この側のクローラを制動して回転を停止し、両側のクローラにて一方が走行、一方が停止となって小径旋回するが、小径旋回時には停止したクローラが土壌をえぐって損なってしまい、ぬかるんだ水深の深い水田ではさらに顕著になる。さらには制動時における動力損失も増加してしまう。したがって、上記した弊害をなくし、両側のクローラが正転、逆転方向にて同速度で走行し、理論的な旋回半径がゼロとなるスピン旋回走行変速装置を開発する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、従来のコンバイン、または両側のクローラにて一方が高速、一方が低速の大径旋回でコンバインの空転行程または動力消耗が増加する、または両側のクローラにて一方が走行、一方が停止する小径旋回での、土壌を損なう問題を効果的に解決する稲麦用コンバインのスピン旋回走行変速装置を提供するところにある。
【0005】
上記目的を解決すべく、本発明では以下の技術的思想を採用する。
【0006】
変速装置本体を備えた稲麦用コンバインのスピン旋回走行変速装置であって、変速装置本体内には変速機構が設けられており、変速機構には旋回機構と減速機構とが順に連結されており、変速機構は旋回機構を駆動し、旋回機構は減速機構を介してコンバインの走行を実現する。
【0007】
さらには、変速機構は動力入力シャフトと、二次変速シャフトと、ドリブン変速シャフトとを備えており、動力入力シャフトには駆動ギヤが設けられ、二次変速シャフトには駆動ギヤに常時噛合している走行部駆動ギヤが設けられており、二次変速シャフトには複数のドライブギヤがさらに設けられており、ドリブン変速シャフトには対応する複数のドリブンギヤが設けられており、駆動ギヤは走行部駆動ギヤを介して二次変速シャフトを回転させて、二次変速シャフトはドライブギヤを駆動することでドリブンギヤに対する変速伝動を実現するようになっており、変速機構の構造は簡素で、信頼性が高い。
【0008】
さらには、動力入力シャフトにおける駆動ギヤはさらに、刈取り動作と走行動作を同期して行うように、稲麦用コンバインの刈取り部駆動ギヤに常時噛合している。
【0009】
さらには、旋回機構は旋回シャフトを備えており、旋回シャフトにはセンタドライブギヤが設けられており、センタドライブギヤの左右両側には対称となる噛み合いギヤ、フォーク、ディスク、引張バネ、反転クラッチおよび反転クラッチギヤがそれぞれ設けられており、噛み合いギヤはフォークでの駆動にてセンタドライブギヤに可動的に連結されており、フォークはディスクを押動して反転クラッチを結合することで動力伝達を実現するものであり、引張バネの一端はディスクに当接しており、引張バネの他端は反転クラッチに当接することで、ディスクの復帰運動を実現しており、反転クラッチギヤは反転クラッチとの結合によって、噛み合いギヤに対する駆動を実現している。
【0010】
さらには、センタドライブギヤはドリブンギヤに常時噛合しており、ドリブン変速シャフトはセンタドライブギヤを介して旋回機構を駆動する。
【0011】
さらには、旋回シャフトの左右両側前方には対称となる方向転換シャフトが設けられており、方向転換シャフト上には方向転換ギヤが設けられており、ドリブン変速シャフトには方向転換シャフトに対応する反転駆動ギヤが設けられており、方向転換ギヤは反転駆動ギヤおよび反転クラッチギヤに同時に常時噛合している。
【0012】
さらには、反転駆動ギヤの歯数は同じくセンタドライブギヤに常時噛合しているドリブンギヤの歯数と同数であり、反転クラッチギヤの歯数はセンタドライブギヤの歯数と同数であることで、論理的な旋回半径がゼロとなるスピン旋回を実現する。
【0013】
さらには、反転クラッチ内には可動式のスチール板と可動式の摩擦板とが間隔を開けて配列されており、摩擦板がスチール板に接合することで、動力伝達を実現している。摩擦板とスチール板との接合はフォークがディスクを押動することで実現されるが、このとき引張バネは圧縮されるものであり、摩擦板とスチール板との分離は引張バネの弾性復帰力により実現される。
【0014】
そして、摩擦板の枚数は5〜6枚であって、スチール板は摩擦板よりも1枚多いのが好ましい。
【0015】
さらには、減速機構は減速シャフトを備えており、減速シャフトには左右両側に、対称となる伝動ギヤと減速ギヤの順でそれぞれ設けられており、旋回機構の噛み合いギヤが伝動ギヤを駆動し、減速ギヤとコンバインのクローラ駆動ギヤとが噛合しており、伝動ギヤが減速シャフトの減速ギヤの回転を駆動することで、コンバインのクローラ駆動ギヤの駆動を実現する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記技術的思想を採用しているため、稲麦用コンバインのスピン旋回を実現することができ、しかも稲麦用コンバインのソフト旋回も実現することができるので、稲麦用コンバインの機動性を高めて、稲麦用コンバインの空転行程または動力消耗を減らすと同時に、土壌を損なうことはない。本発明の構造はコンパクトで、動作の信頼性が高く、消費動力は少なく、実用性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の稲麦用コンバインのスピン旋回走行変速装置の構造概略図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示すように、本発明の稲麦用コンバインのスピン旋回走行変速装置は、変速装置本体1を備えており、変速装置本体1内には変速機構が設けられ、変速機構には旋回機構と減速機構とが順に連結されており、変速機構は旋回機構を駆動し、旋回機構は減速機構を介しコンバインの走行を実現する。
【0019】
変速機構は動力入力シャフト2と、二次変速シャフト3と、ドリブン変速シャフト23とを備えており、動力入力シャフト2には駆動ギヤ25が設けられ、駆動ギヤ25はコンバインの刈取り部駆動ギヤ26に常時噛合して、刈取り部駆動シャフト24の運転を駆動しており、二次変速シャフト3には駆動ギヤ25に常時噛合している走行部駆動ギヤ27が設けられており、二次変速シャフト3には一速ドライブギヤ30、二速ドライブギヤ29、三速ドライブギヤ28がさらに設けられており、ドリブン変速シャフト23には対応する一速ドリブンギヤ34、二速ドリブンギヤ33、三速ドリブンギヤ32が設けられており、駆動ギヤ25は走行部駆動ギヤ27を介して二次変速シャフト3を回転させて、二次変速シャフト3は一速ドライブギヤ30、二速ドライブギヤ29または三速ドライブギヤ28を駆動することで対応する一速ドリブンギヤ34、二速ドリブンギヤ33または三速ドリブンギヤ32に対する伝動を実現する。
【0020】
旋回機構は旋回シャフト8を備えており、旋回シャフト8にはセンタドライブギヤ39が設けられており、センタドライブギヤ39は二速ドリブンギヤ33に常時噛合しており、ドリブン変速シャフト23はセンタドライブギヤ39を介して旋回機構を駆動する。センタドライブギヤ39の左右両側には対称となる左噛み合いギヤ38、右噛み合いギヤ40、左フォーク22、右フォーク6、左ディスク16、右ディスク12、左引張バネ19、右引張バネ9、左反転クラッチ18、左反転クラッチギヤ37、右反転クラッチ10および右反転クラッチギヤ41の順でそれぞれ設けられており、反転クラッチギヤと反転クラッチとが一体構造となっており、左、右噛み合いギヤ38、40はそれぞれ左、右フォーク22、6での駆動によりセンタドライブギヤ39を可動的に連結し、左、右フォーク22、6はそれぞれ左、右ディスク16、12を押動して左、右反転クラッチ18、10を結合することで動力伝達を実現するものであり、左、右反転クラッチ18、10内には間隔を開けて配列されている左スチール板17、左摩擦板20、右スチール板11および右摩擦板7が設けられており、左、右スチール板17、11はそれぞれ左、右反転クラッチ18、10内に可動的に連結されており、左、右摩擦板20、7はそれぞれ左、右反転クラッチ18、10内に可動的に連結されており、左、右摩擦板20、7の枚数は5〜6枚であって、左、右スチール板17、11は左、右摩擦板20、7よりも1枚多い。左、右反転クラッチギヤ37、41はそれぞれ左、右ディスク16、12を介して左、右反転クラッチ18、10内の左スチール板17と左摩擦板20、右スチール板11と右摩擦板7とを接合させて、それぞれ左、右噛み合いギヤ38、40に対する伝動を実現する。左、右引張バネ19、9の一端はそれぞれ左、右ディスク16、12に当接され、左、右引張バネ19、9の他端はそれぞれ左、右反転クラッチ18、10に当接されて、それぞれ左、右ディスク16、12の復帰運動を実現し、左、右摩擦板20、7を左、右スチール板17、11から分離する。
【0021】
旋回シャフト8の左右両側前方には対称となる右方向転換シャフト21、右方向転換シャフト5が設けられており、左、右方向転換シャフト21、5には左方向転換ギヤ36、右方向転換ギヤ42がそれぞれ設けられており、ドリブン変速シャフト23には左、右方向転換ギヤ36、42に常時噛合している左反転駆動ギヤ35、右反転駆動ギヤ31がそれぞれ設けられており、左方向転換ギヤ36は同時に左反転駆動ギヤ35および左反転クラッチギヤ37に常時噛合しており、右方向転換ギヤ42は同時に右反転駆動ギヤ31および右反転クラッチギヤ41に常時噛合している。左、右反転駆動ギヤ35、31の歯数は常時噛合している二速ドリブンギヤ33の歯数と同数であり、左、右反転クラッチギヤ37、41の歯数はセンタドライブギヤ39の歯数と同数である。
【0022】
減速機構は減速シャフト13を備えており、減速シャフト13には左右両側に、対称となる左伝動ギヤ43と右伝動ギヤ44、左減速ギヤ45と右減速ギヤ46の順でそれぞれ設けられており、旋回機構は左、右伝動ギヤ43、44を駆動し、左、右減速ギヤ45、46はコンバインのクローラ駆動ギヤ47、48にそれぞれ噛合しており、旋回機構は左、右伝動ギヤ43、44を駆動し、左、右伝動ギヤ43、44は減速シャフト13の左、右減速ギヤ45、46の回転を駆動することで、コンバインの左クローラ駆動ギヤ47、右クローラ駆動ギヤ48の駆動をそれぞれ実現する。
【0023】
左、右反転駆動ギヤ35、31は対応する左、右方向転換ギヤ36、42にそれぞれ常時噛合しており、左、右方向転換ギヤ36、42はさらに左、右反転クラッチのギヤ37、41にそれぞれ常時噛合している。左、右噛み合いギヤ38、40は左、右伝動ギヤ43、44にそれぞれ常時噛合している。左、右減速ギヤ45、46は左、右クローラ駆動ギヤ47、48にそれぞれ常時噛合している。
【0024】
運転時には、油圧モータ動力入力シャフト2の動力が駆動ギヤ25を介して、二次変速シャフト3に固着されている走行部駆動ギヤ27に伝達されて、二次変速シャフト3を運転状態とする。異なる伝動経路により、以下の機能を実現することができる(二速を例として説明する)。
【0025】
一、前方直進:
二次変速シャフトの動力は二速ドライブギヤ29→二速ドリブンギヤ33→センタドライブギヤ39→左、右噛み合いギヤ38、40→左、右伝動ギヤ43、44→左、右減速ギヤ45、46→左、右クローラ駆動ギヤ47、48→左、右ドライブシャフト15、14を介して、コンバインの左右クローラの等速前進を駆動する。
【0026】
二、後退直進:
油圧モータ動力入力シャフト2の回転方向を変更することで、コンバインの左右クローラの前方直進と同じ伝動の経路での等速後退を駆動する。
【0027】
三、ソフト旋回:
右旋回を例とする。右フォーク6を右側移動に操作して、右噛み合いギヤ40とセンタドライブギヤ39との噛み合いを分離して、右側動力を切断し、右側クローラが慣性前進し、速度が低下する。左側クローラはなおも上記した前方直進時の伝動経路で動力が伝達される。二速ドライブギヤ29→二速ドリブンギヤ33→センタドライブギヤ39→左噛み合いギヤ38→左伝動ギヤ43→左減速ギヤ45→ 左クローラ駆動ギヤ47→左ドライブシャフト15となって、左クローラが引き続き前進する。左、右クローラの速度差によってコンバインは右旋回する。左旋回の原理はこれと同じである。
【0028】
四、スピン旋回:
右スピン旋回を例とする。右フォーク6を右側移動に操作して、右噛み合いギヤ40とセンタドライブギヤ39との噛み合いを分離して、動力を切断する。引き続き右フォーク6を右側移動に操作して、右ディスク12に圧力を加えると、右ディスク12が右スチール板11および右摩擦板7を右側移動させるように押動し、右反転クラッチ10中における右摩擦板7と右スチール板11との間の隙間をなくし、右摩擦板7と右スチール板11とを接合させて動力を伝達する。このとき、右引張バネ9は圧縮される。
【0029】
右側動力の伝達経路は、二速ドライブギヤ29→二速ドリブンギヤ33→右反転駆動ギヤ31→右方向転換ギヤ42→右反転クラッチギヤ41→右噛み合いギヤ40→右伝動ギヤ44→右減速ギヤ46→右クローラ駆動ギヤ48→右ドライブシャフト14となる。
【0030】
右方向転換ギヤ42は、右クローラ駆動ギヤ48を機体前進時の回転と逆方向とするが、左側クローラはなおも上記した前方直進時の伝動経路で動力が伝達される。しかも、左、右反転駆動ギヤ35、31の歯数は二速ドリブンギヤ33の歯数と同数であり、左、右反転クラッチギヤ37、41とセンタドライブギヤ39とは歯数が同数である。したがって、右側クローラと左側クローラとが同じ論理速度で逆回転することで、コンバインのスピン旋回が実現される。
【0031】
五、前進速度の切換え:
駆動ギヤ25は二次変速シャフト3に固着されている走行部駆動ギヤ27に常時噛合しているため、二次変速シャフト3は常に運転状態にある。
【0032】
一速に入れたとき、一速ドライブギヤ30が移動して、これを一速ドリブンギヤ34に噛合させることで、ドリブン変速シャフト23が回転し、動力は一速ドリブンギヤ34および二速ドリブンギヤ33を介してセンタドライブギヤ39に伝達される。
【0033】
図1に示すように、二速に入れたとき、二速ドライブギヤ29が移動して二速ドリブンギヤ33に噛合することで、動力は二速ドリブンギヤ33を介してセンタドライブギヤ39に伝達される。
【0034】
三速に入れたとき、二速ドライブギヤ29が移動して、その上に設けられているインナギヤと三速ドライブギヤ28に設けられているピニオンギヤとが噛合することで、動力は三速ドリブンギヤ32、二速ドリブンギヤ33を介してセンタドライブギヤ39に伝達される。
【0035】
六、停車制動:
走行中のコンバインの停止、およびコンバインを坂道に停車するときには、ブレーキ4を操作して制動を行う。
【符号の説明】
【0036】
1変速装置本体
2HST動力入力シャフト
3二次変速シャフト
4ブレーキ
5、21右、左方向転換シャフト
6、22右、左フォーク
7、20右、左摩擦板
8旋回シャフト
9、19右、左引張バネ
10、18右、左反転クラッチ
11、17右、左スチール板
12、16右、左ディスク
13減速シャフト
14、15右、左ドライブシャフト
23ドリブン変速シャフト
24刈取り部駆動シャフト
25駆動ギヤ
26刈取り部駆動ギヤ
27走行部駆動ギヤ
28三速ドライブギヤ
29二速ドライブギヤ
30一速ドライブギヤ
31右反転駆動ギヤ
32三速ドリブンギヤ
33二速ドリブンギヤ
34一速ドリブンギヤ
35左反転駆動ギヤ
36左方向転換ギヤ
37左反転クラッチギヤ
38左噛み合いギヤ
39センタドライブギヤ
40右噛み合いギヤ
41右反転クラッチギヤ
42右方向転換ギヤ
43左伝動ギヤ
44右伝動ギヤ
45左減速ギヤ
46右減速ギヤ
47左クローラ駆動ギヤ
48右クローラ駆動ギヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速装置本体(1)を備えた稲麦用コンバインのスピン旋回走行変速装置であって、前記変速装置本体(1)内には変速機構が設けられ、変速機構には旋回機構と減速機構とが順に連結されており、前記変速機構は前記旋回機構を駆動し、前記旋回機構は前記減速機構を介してコンバインの走行を実現する、ことを特徴とする稲麦用コンバインのスピン旋回走行変速装置。
【請求項2】
前記変速機構は動力入力シャフト(2)と、二次変速シャフト(3)と、ドリブン変速シャフト(23)とを備えており、前記動力入力シャフト(2)には駆動ギヤ(25)が設けられ、前記二次変速シャフト(3)には前記駆動ギヤ(25)に常時噛合している走行部駆動ギヤ(27)が設けられており、前記二次変速シャフト(3)にはドライブギヤ(30、29、28)がさらに設けられており、前記ドリブン変速シャフト(23)には対応するドリブンギヤ(34、33、32)が設けられており、前記駆動ギヤ(25)は走行部駆動ギヤ(27)を介して二次変速シャフト(3)を回転させて、前記二次変速シャフト(3)は前記ドライブギヤ(30、29、28)を駆動することで前記ドリブンギヤ(34、33、32)に対する変速伝動を実現する、ことを特徴とする請求項1に記載の稲麦用コンバインのスピン旋回走行変速装置。
【請求項3】
前記動力入力シャフト(2)における駆動ギヤ(25)がコンバインの刈取り部駆動ギヤ(26)に常時噛合している、ことを特徴とする請求項1に記載の稲麦用コンバインのスピン旋回走行変速装置。
【請求項4】
前記旋回機構は旋回シャフト(8)を備えており、前記旋回シャフト(8)にはセンタドライブギヤ(39)が設けられており、前記センタドライブギヤ(39)の左右両側には対称となる噛み合いギヤ(38、40)、フォーク(22、6)、ディスク(16、12)、引張バネ(19、9)、反転クラッチ(18、10)、反転クラッチギヤ(37、41)の順でそれぞれ設けられており、前記噛み合いギヤ(38、40)は前記フォーク(22、6)での駆動によりセンタドライブギヤ(39)を可動的に連結し、前記フォーク(22、6)はディスク(16、12)を押動して前記反転クラッチ(18、10)を結合することで動力伝達を実現するものであり、前記引張バネ(19、9)の一端はディスク(16、12)に当接され、前記引張バネの他端は反転クラッチ(18、10)に当接されて、前記ディスク(16、12)の復帰運動を実現し、前記反転クラッチギヤ(37、41)は反転クラッチ(18、10)との結合によって、前記噛み合いギヤ(38、40)に対する駆動を実現する、ことを特徴とする請求項1に記載の稲麦用コンバインのスピン旋回走行変速装置。
【請求項5】
前記センタドライブギヤ(39)はドリブンギヤ(33)に常時噛合しており、前記ドリブン変速シャフト(23)は前記センタドライブギヤ(39)を介して旋回機構を駆動する、ことを特徴とする請求項4に記載の稲麦用コンバインのスピン旋回走行変速装置。
【請求項6】
前記旋回シャフト(8)の左右両側前方には対称となる方向転換シャフト(21、5)が設けられており、前記方向転換シャフト(21、5)上には方向転換ギヤ(36、42)が設けられており、前記ドリブン変速シャフト(23)には前記方向転換シャフト(36、42)に対応する反転駆動ギヤ(35、31)が設けられており、前記方向転換ギヤ(36、42)は前記反転駆動ギヤ(35、31)および前記反転クラッチギヤ(37、41)に同時に常時噛合している、ことを特徴とする請求項4に記載の稲麦用コンバインのスピン旋回走行変速装置。
【請求項7】
前記反転駆動ギヤ(35、31)の歯数はドリブンギヤ(33)の歯数と同数であり、前記反転クラッチギヤ(37、41)の歯数はセンタドライブギヤ(39)の歯数と同数である、ことを特徴とする請求項6に記載の稲麦用コンバインのスピン旋回走行変速装置。
【請求項8】
前記反転クラッチ(18、10)内には可動式のスチール板(17、11)と可動式の摩擦板(20、7)とが間隔を開けて配列されており、前記摩擦板(20、7)がスチール板(17、11)に接合することで動力伝達を実現する、ことを特徴とする請求項4に記載の稲麦用コンバインのスピン旋回走行変速装置。
【請求項9】
前記摩擦板(20、7)の枚数は5〜6枚であって、前記スチール板(17、11)は前記摩擦板(20、7)よりも1枚多い、ことを特徴とする請求項8に記載の稲麦用コンバインのスピン旋回走行変速装置。
【請求項10】
前記減速機構は減速シャフト(13)を備えており、前記減速シャフト(13)には左右両側に、対称となる伝動ギヤ(43、44)と減速ギヤ(45、46)の順でそれぞれ設けられており、前記旋回機構が前記伝動ギヤ(43、44)を駆動し、前記減速ギヤ(45、46)とコンバインのクローラ駆動ギヤ(47、48)とが噛合しており、前記旋回機構は伝動ギヤ(43、44)を駆動し、前記伝動ギヤ(43、44)が減速シャフト(13)の減速ギヤ(45、46)の回転を駆動することで、コンバインのクローラ駆動ギヤ(47、48)の駆動を実現する、ことを特徴とする請求項1に記載の稲麦用コンバインのスピン旋回走行変速装置。

【図1】
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【公表番号】特表2013−512829(P2013−512829A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545080(P2012−545080)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【国際出願番号】PCT/CN2011/077888
【国際公開番号】WO2012/068901
【国際公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【出願人】(512109655)
【Fターム(参考)】