説明

積層コンデンサアレイ

【課題】等価直列抵抗を制御することが可能な積層コンデンサアレイを提供すること。
【解決手段】第1及び第2の内部電極21,25は誘電体層9を間に挟んで互いに対向するように位置し、第3及び第4の内部電極31,35は誘電体層9を間に挟んで互いに対向するように位置する。複数の第1の内部電極21は引き出し導体22を介して第1の外部接続導体15に電気的に接続され、第2の内部電極25は引き出し導体26を介して第2の端子導体12に電気的に接続され、第3の内部電極31は引き出し導体33を介して第3の端子導体13に電気的に接続され、第4の内部電極35は引き出し導体36を介して第4の端子導体14に電気的に接続される。1つ以上当該第1の内部電極21の総数よりも1つ少ない数以下の第1の内部電極は、引き出し導体23を介して第1の端子導体11に電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コンデンサアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器等の小型化、薄型化にともなって、これらに搭載されるコンデンサの集積化が望まれている。そこで、1つのチップ内に複数のコンデンサを含ませたコンデンサアレイが近年検討されている。例えば、複数の内部電極が並設された内部電極層と誘電体層とが交互に積層された積層体と、当該積層体に形成された複数の端子導体とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、デジタル電子機器に搭載されている中央処理装置(CPU)に供給用の電源においては低電圧化が進む一方で負荷電流は増大している。従って、負荷電流の急激な変化に対して電源電圧の変動を許容値内に抑えることが非常に困難になったため、デカップリングコンデンサと呼ばれる積層コンデンサが電源に接続されるようになった。そして、負荷電流の過渡的な変動時にこの積層コンデンサからCPUに電流を供給して、電源電圧の変動を抑えるようにしている。
【0004】
近年、CPUの動作周波数の更なる高周波数化に伴って、負荷電流は高速でより大きなものとなっており、デカップリングコンデンサに用いられる積層コンデンサには、大容量化と共に等価直列抵抗(ESR)を大きくしたいという要求がある。
【特許文献1】特開平11−26291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された積層コンデンサアレイでは、等価直列抵抗についての検討は行っていない。
【0006】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、等価直列抵抗を制御することが可能な積層コンデンサアレイを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ところで、一般的な積層コンデンサアレイにあっては、すべての内部電極が引き出し導体を介して対応する端子導体に接続されている。このため、端子導体に接続される引き出し導体が内部電極の数だけ存在することとなり、等価直列抵抗が小さくなってしまう。積層コンデンサアレイの大容量化を図るために誘電体層及び内部電極の積層数を多くすると、引き出し導体の数も多くなる。端子導体に接続される引き出し導体の抵抗成分は端子導体に対して並列接続されることとなるため、端子導体に接続される引き出し導体の数が多くなるに従い、積層コンデンサアレイの等価直列抵抗がさらに小さくなってしまう。例えば、特許文献1に記載の積層コンデンサアレイにおいても、すべての内部電極が端子導体と直接接続されているため、大容量化に対応すべく積層数を増やして静電容量を大きくすると、等価直列抵抗が小さくなってしまう。このように、積層コンデンサアレイの大容量化と、等価直列抵抗を大きくするということとは、相反する要求である。
【0008】
そこで、本発明者等は、大容量化と等価直列抵抗を大きくしたいとの要求を満たし得る積層コンデンサアレイについて鋭意研究を行った。その結果、本発明者等は、誘電体層及び内部電極の積層数を同じとしても、内部電極を積層体の表面に形成された外部接続導体で接続し且つ引き出し導体の数を変えることができれば、等価直列抵抗を所望の値に調節することが可能となるという新たな事実を見出すに至った。また、本発明者等は、内部電極を積層体の表面に形成された外部接続導体で接続し且つ積層体の積層方向での引き出し導体の位置を変えることができれば、等価直列抵抗を所望の値に調節することが可能となるという新たな事実を見出すに至った。特に、引き出し導体の数を内部電極の数よりも少なくすれば、等価直列抵抗を大きくする方向での調整が可能となる。
【0009】
かかる研究結果を踏まえ、本発明に係る積層コンデンサアレイは、複数の誘電体層が積層された積層体と、積層体に形成された複数の外部導体とを備え、積層体は、複数の誘電体層の積層方向と直交する第1の方向で互いに対向する第1及び第2の側面と、複数の誘電体層の積層方向及び第1の方向に直交する第2の方向で互いに対向する第3及び第4の側面とを有すると共に、複数の第1の内部電極と第2の内部電極とを有する第1の内部電極群と、第3の内部電極と第4の内部電極とを有する第2の内部電極群とを含み、複数の外部導体は、第1及び第2の側面のうちいずれかの側面に配置された第1〜第4の端子導体と、第3及び第4の側面のうちいずれかの側面に配置された第1の外部接続導体と、を含み、第1の内部電極群と第2の内部電極群とは、積層体内において第2の方向に併置されており、複数の第1の内部電極のうち少なくとも一つの第1の内部電極と、第2の内部電極とは、少なくとも一層の誘電体層を間に挟んで互いに対向するように位置し、第3及び第4の内部電極は、少なくとも一層の誘電体層を間に挟んで互いに対向するように位置し、複数の第1の内部電極は、引き出し導体を介して第1の外部接続導体に電気的に接続され、第2の内部電極は、引き出し導体を介して第2の端子導体に電気的に接続され、第3の内部電極は、引き出し導体を介して第3の端子導体に電気的に接続され、第4の内部電極は、引き出し導体を介して第4の端子導体に電気的に接続され、複数の第1の内部電極のうち、1つ以上当該第1の内部電極の総数よりも1つ少ない数以下の第1の内部電極は、引き出し導体を介して第1の端子導体に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る積層コンデンサアレイでは、複数の第1の内部電極のうち一部の第1の内部電極のみが第1の端子導体に引き出し導体を介して接続されている。このように、第1の端子導体に引き出し導体を介して接続される第1の内部電極をすべてではなく一部とすることで、第1及び第2の内部電極と誘電体層とによって形成されるコンデンサの等価直列抵抗を制御することが可能となる。
【0011】
本発明では、第1の外部接続導体が第1〜第4の端子導体が配置された側面とは異なる側面(第1又は第2の側面)に配置されている。これにより、第1〜第4の端子導体と第1の外部接続導体との間におけるショート不良の発生を抑制することができる。また、第1〜第4の端子導体は、当該端子導体が配置される側面において、互いの間隔を比較的大きく設定することができ、端子導体間におけるショート不良の発生も抑制することができる。
【0012】
好ましくは、複数の外部導体は、第1の外部接続導体が配置された側面に配置された第2の外部接続導体を更に含み、第1の内部電極群は、第2の内部電極を複数有し、複数の第2の内部電極は、引き出し導体を介して第2の外部接続導体に電気的に接続され、複数の第2の内部電極のうち、1つ以上当該第2の内部電極の総数よりも1つ少ない数以下の第2の内部電極は、引き出し導体を介して第2の端子導体に電気的に接続されている。この場合、複数の第2の内部電極のうち一部の第2の内部電極のみが第2の端子導体に引き出し導体を介して接続されている。このように、第2の端子導体に引き出し導体を介して接続される第2の内部電極をすべてではなく一部とすることで、第1及び第2の内部電極と誘電体層とによって形成されるコンデンサの等価直列抵抗をより一層制御することが可能となる。また、同じ側面に配置される第1の外部接続導体と第2の外部接続導体とは極性が異なることとなるため、発生する磁場が相殺され、等価直列インダクタンス(ESL)の低減を図ることができる。
【0013】
好ましくは、複数の第1及び第2の内部電極は、少なくとも一層の誘電体層をそれぞれの間に挟んで互いに対向するように位置している。この場合、複数の第1及び第2の内部電極と複数の誘電体層とによって形成されるコンデンサの静電容量を大きくすることができる。
【0014】
好ましくは、第1の内部電極群は、第2の方向において第3の側面側に位置し、第1の端子導体は、第1の側面に配置され、第2の端子導体は、第2の側面に配置され、第1の外部接続導体は、第3の側面における第2の側面寄りとなる位置に配置されている。この場合、第1の端子導体から第1の外部接続導体に至る電流経路が長くなるので、第1及び第2の内部電極と誘電体層とによって形成されるコンデンサの等価直列抵抗を高くすることができる。
【0015】
好ましくは、第2の外部接続導体は、第3の側面における第1の側面寄りとなる位置に配置されている。この場合、第2の端子導体から第2の外部接続導体に至る電流経路が長くなるので、第1及び第2の内部電極と誘電体層とによって形成されるコンデンサの等価直列抵抗を更に高くすることができる。
【0016】
好ましくは、複数の外部導体は、第3の外部接続導体を更に含み、第2の内部電極群は、第3の内部電極を複数有し、複数の第3の内部電極のうち少なくとも一つの第3の内部電極と、第4の内部電極とは、少なくとも一層の誘電体層を間に挟んで互いに対向するように位置し、複数の第3の内部電極は、引き出し導体を介して第3の外部接続導体に電気的に接続され、複数の第3の内部電極のうち、1つ以上当該第3の内部電極の総数よりも1つ少ない数以下の第3の内部電極が、引き出し導体を介して第3の端子導体に電気的に接続されている。この場合、複数の第3の内部電極のうち一部の第3の内部電極のみが第3の端子導体に引き出し導体を介して接続されている。このように、第3の端子導体に引き出し導体を介して接続される第3の内部電極をすべてではなく一部とすることで、第3及び第4の内部電極と誘電体層とによって形成されるコンデンサの等価直列抵抗を制御することが可能となる。
【0017】
好ましくは、複数の外部導体は、第3の外部接続導体が配置された側面に配置された第4の外部接続導体を更に含み、第2の内部電極群は、第4の内部電極を複数有し、複数の第4の内部電極は、引き出し導体を介して第4の外部接続導体に電気的に接続され、複数の第4の内部電極のうち、1つ以上当該第4の内部電極の総数よりも1つ少ない数以下の第4の内部電極は、引き出し導体を介して第4の端子導体に電気的に接続されている。この場合、複数の第4の内部電極のうち一部の第4の内部電極のみが第4の端子導体に引き出し導体を介して接続されている。このように、第4の端子導体に引き出し導体を介して接続される第4の内部電極をすべてではなく一部とすることで、第3及び第4の内部電極と誘電体層とによって形成されるコンデンサの等価直列抵抗をより一層制御することが可能となる。また、同じ側面に配置される第3の外部接続導体と第4の外部接続導体とは極性が異なることとなるため、発生する磁場が相殺され、等価直列インダクタンスの低減を図ることができる。
【0018】
好ましくは、複数の第3及び第4の内部電極は、少なくとも一層の誘電体層をそれぞれの間に挟んで互いに対向するように位置している。この場合、複数の第3及び第4の内部電極と複数の誘電体層とによって形成されるコンデンサの静電容量を大きくすることができる。
【0019】
好ましくは、第2の内部電極群は、第2の方向において第4の側面側に位置し、第3の端子導体は、第1の側面に配置され、第4の端子導体は、第2の側面に配置され、第3の外部接続導体は、第4の側面における第2の側面寄りとなる位置に配置されている。この場合、第3の端子導体から第3の外部接続導体に至る電流経路が長くなるので、第3及び第4の内部電極と誘電体層とによって形成されるコンデンサの等価直列抵抗を高くすることができる。
【0020】
好ましくは、第4の外部接続導体は、第4の側面における第1の側面寄りとなる位置に配置されている。この場合、第4の端子導体から第4の外部接続導体に至る電流経路が長くなるので、第3及び第4の内部電極と誘電体層とによって形成されるコンデンサの等価直列抵抗を更に高くすることができる。
【0021】
好ましくは、第1及び第2の内部電極のうち少なくとも一つの内部電極と、第3及び第4の内部電極のうち少なくとも一つの内部電極とが、同じ層に位置しており、同じ層に位置している内部電極の極性が異なっている。この場合、同じ層に位置している内部電極を流れる電流の向きが互いに逆向きとなり、等価直列インダクタンスをより一層低減することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、等価直列抵抗を制御することが可能な積層コンデンサアレイを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0024】
(第1実施形態)
図1及び図2を参照して、第1実施形態に係る積層コンデンサアレイC1の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る積層コンデンサアレイの斜視図である。図2は、第1実施形態に係る積層コンデンサアレイに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。
【0025】
第1実施形態に係る積層コンデンサアレイC1は、図1に示されるように、コンデンサ素体としての積層体1と、積層体1の外表面に配置された複数の外部導体11〜15,17とを備えている。
【0026】
積層体1は、略直方体状であり、互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面2,3と、第1及び第2の主面2,3間を連結するように第1及び第2の主面2,3の長辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面4,5と、第1及び第2の主面2,3を連結するように第1及び第2の主面2,3の短辺方向に伸び且つ互いに対向する第3及び第4の側面6,7と、を有している。第1の主面2又は第2の主面3が、他の部品(例えば、回路基板や電子部品等)に対する実装面となる。
【0027】
積層体1は、図2に示されるように、複数の誘電体層9を有している。積層体1は、複数の誘電体層9が第1及び第2の主面2,3が対向する方向に積層されることにより構成されており、誘電特性を有している。各誘電体層9は、例えば誘電体セラミック(BaTiO系、Ba(Ti,Zr)O系、又は(Ba,Ca)TiO系等の誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。なお、実際の積層コンデンサアレイC1では、各誘電体層9は、互いの間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0028】
第1及び第2の主面2,3は、複数の誘電体層9の積層方向で互いに対向している。第1及び第2の側面4,5は、複数の誘電体層9の積層方向に直交する第1の方向で互いに対向している。第3及び第4の側面6,7は、複数の誘電体層9の積層方向及び第1の方向(第1及び第2の側面4,5の対向方向)で互いに対向している。
【0029】
複数の外部導体は、第1〜第4の端子導体11〜14並びに第1及び第3の外部接続導体15,17を含んでいる。第1〜第4の端子導体11〜14並びに第1及び第3の外部接続導体15,17は、例えば導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電性ペーストを積層体1の外表面の付与し、焼き付けることによって形成される。必要に応じて、焼き付けられた導体11〜15,17の上にめっき層が形成されることもある。
【0030】
第1の端子導体11及び第3の端子導体13は、積層体1の第1の側面4に配置されている。第1及び第3の端子導体11,13それぞれは、第1の側面4の一部を第1及び第2の主面2,3の対向方向に沿って覆うように、第1及び第2の主面2,3に亘って形成されている。第1及び第3の端子導体11,13は、積層体1の外表面上において互いに電気的に絶縁されており、積層体1の第1の側面4において、第3の側面6から第4の側面7に向う方向で、第1の端子導体11、第3の端子導体13の順で配置されている。
【0031】
第2の端子導体12及び第4の端子導体14は、積層体1の第2の側面5に配置されている。第2及び第4の端子導体12,14それぞれは、第2の側面5の一部を第1及び第2の主面2,3の対向方向に沿って覆うように、第1及び第2の主面2,3に亘って形成されている。第2及び第4の端子導体12,14は、積層体1の外表面上において互いに電気的に絶縁されており、積層体1の第2の側面5において、第3の側面6から第4の側面7に向う方向で、第2の端子導体12、第4の端子導体14の順で配置されている。
【0032】
第1の外部接続導体15は、積層体1の第3の側面6に配置されている。第1の外部接続導体15は、第3の側面6の一部を第1及び第2の主面2,3の対向方向に沿って覆うように、第1及び第2の主面2,3に亘って形成されている。第1の外部接続導体15は、第3の側面6上において、第1及び第2の側面4,5の対向方向での略中央に位置している。
【0033】
第3の外部接続導体17は、積層体1の第4の側面7に配置されている。第3の外部接続導体17は、第4の側面7の一部を第1及び第2の主面2,3の対向方向に沿って覆うように、第1及び第2の主面2,3に亘って形成されている。第3の外部接続導体17は、第4の側面7上において、第1及び第2の側面4,5の対向方向での略中央に位置している。
【0034】
積層体1は、図2に示されるように、第1の内部電極群20と、第2の内部電極群30とを有している。第1の内部電極群20は、複数の第1の内部電極21と複数の第2の内部電極25とを含んでいる。第2の内部電極群30は、複数の第3の内部電極31と複数の第4の内部電極35とを含んでいる。第1〜第4の内部電極21,25,31,35は、積層体1内に配置されている。
【0035】
積層体1は、第1の内部電極群20が配置される領域と、第2の内部電極群30が配置される領域とを含んでおり、これらの領域が第3及び第4の側面6,7の対向方向に沿って並んでいる。すなわち、第1の内部電極群20と第2の内部電極群30とは、積層体1内において、第3及び第4の側面6,7の対向方向に沿って併置されている。具体的には、第1の内部電極群20が第3の側面6側に配置され、第2の内部電極群30が第4の側面7側に配置されている。
【0036】
第1〜第4の内部電極21,25,31,35は、矩形形状を呈している。第1〜第4の内部電極21,25,31,35は、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(例えば、卑金属であるNi等)からなる。第1〜第4の内部電極21,25,31,35は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0037】
複数の第1及び第2の内部電極21,25は、一層の誘電体層9をそれぞれの間に挟んで互いに対向している。複数の第3及び第4の内部電極31,35は、一層の誘電体層9をそれぞれの間に挟んで互いに対向している。複数の第1の内部電極21は、第1及び第2の主面2,3の対向方向(複数の誘電体層9の積層方向)から見て、第3及び第4の内部電極31,35のいずれの内部電極とも対向する領域を有していない。複数の第2の内部電極25は、第1及び第2の主面2,3の対向方向から見て、第3及び第4の内部電極31,35のいずれの内部電極とも対向する領域を有していない。もちろん、複数の第3及び第4の内部電極31,35は、第1及び第2の主面2,3の対向方向から見て、第1及び第2の内部電極21,25のいずれの内部電極とも対向する領域を有していない。
【0038】
第1の内部電極21と第3の内部電極31とは、第3及び第4の側面6,7の対向方向に所定の間隔を有すると共に第1及び第2の主面2,3の対向方向において同じ位置(層)に配置されている。第1及び第3の内部電極21,31は、第3の側面6から第4の側面7に向う方向で、第1の内部電極21、第3の内部電極31の順で配置されている。
【0039】
第2の内部電極25と第4の内部電極35とは、第3及び第4の側面6,7の対向方向に所定の間隔を有すると共に第1及び第2の主面2,3の対向方向において同じ位置(層)に配置されている。第2及び第4の内部電極25,35は、第3の側面6から第4の側面7に向う方向で、第2の内部電極25、第4の内部電極35の順で配置されている。
【0040】
各第1の内部電極21には、積層体1の第3の側面6に引き出されるように伸びる引き出し導体22が形成されている。引き出し導体22は、一端が第1の内部電極21の第3の側面6側の縁に接続され、他端が第3の側面6に露出している。引き出し導体22は、第1の内部電極21と一体に形成されている。
【0041】
第1の外部接続導体15は、各引き出し導体22の第3の側面6に露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し導体22は、第1の外部接続導体15に物理的且つ電気的に接続される。これにより、各第1の内部電極21は、第1の外部接続導体15を通して互いに電気的に接続されることとなる。
【0042】
複数の第1の内部電極21のうち、1つ以上当該第1の内部電極の総数よりも1つ少ない数以下の第1の内部電極21(本実施形態では、一つの第1の内部電極21)には、積層体1の第1の側面4に引き出されるように伸びる引き出し導体23が形成されている。引き出し導体23は、一端が第1の内部電極21の第1の側面4側の縁に接続され、他端が第1の側面4に露出している。引き出し導体23は、第1の内部電極21と一体に形成されている。
【0043】
第1の端子導体11は、引き出し導体23の第1の側面4に露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し導体23は、第1の端子導体11に物理的且つ電気的に接続される。複数の第1の内部電極21は、第1の外部接続導体15を通して互いに電気的に接続されているため、すべての第1の内部電極21が第1の端子導体11に電気的に接続されることとなる。これにより、複数の第1の内部電極21は並列接続されることとなる。
【0044】
各第2の内部電極25には、積層体1の第2の側面5に引き出されるように伸びる引き出し導体26が形成されている。引き出し導体26は、一端が第2の内部電極25の第2の側面5側の縁に接続され、他端が第2の側面5に露出している。引き出し導体26は、第2の内部電極25と一体に形成されている。
【0045】
第2の端子導体12は、各引き出し導体26の第2の側面5に露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し導体26は、第2の端子導体12に物理的且つ電気的に接続される。これにより、各第2の内部電極25は、第2の端子導体12を通して互いに電気的に接続されることとなる。
【0046】
各第3の内部電極31には、積層体1の第4の側面7に引き出されるように伸びる引き出し導体32が形成されている。引き出し導体32は、一端が第3の内部電極31の第4の側面7側の縁に接続され、他端が第4の側面7に露出している。引き出し導体32は、第3の内部電極31と一体に形成されている。
【0047】
第3の外部接続導体17は、各引き出し導体32の第4の側面7に露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し導体32は、第3の外部接続導体17に物理的且つ電気的に接続される。これにより、各第3の内部電極31は、第3の外部接続導体17を通して互いに電気的に接続されることとなる。
【0048】
複数の第3の内部電極31のうち、1つ以上当該第1の内部電極の総数よりも1つ少ない数以下の第3の内部電極31(本実施形態では、一つの第3の内部電極31)には、積層体1の第1の側面4に引き出されるように伸びる引き出し導体33が形成されている。引き出し導体33は、一端が第3の内部電極31の第1の側面4側の縁に接続され、他端が第1の側面4に露出している。引き出し導体33は、第3の内部電極31と一体に形成されている。
【0049】
第3の端子導体13は、引き出し導体33の第1の側面4に露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し導体33は、第3の端子導体13に物理的且つ電気的に接続される。複数の第3の内部電極31は、第3の外部接続導体17を通して互いに電気的に接続されているため、すべての第3の内部電極31が第3の端子導体13に電気的に接続されることとなる。これにより、複数の第3の内部電極31は並列接続されることとなる。
【0050】
各第4の内部電極35には、積層体1の第2の側面5に引き出されるように伸びる引き出し導体36が形成されている。引き出し導体36は、一端が第4の内部電極35の第2の側面5側の縁に接続され、他端が第2の側面5に露出している。引き出し導体36は、第4の内部電極35と一体に形成されている。
【0051】
第4の端子導体14は、各引き出し導体36の第2の側面5に露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し導体36は、第4の端子導体14に物理的且つ電気的に接続される。これにより、各第4の内部電極35は、第4の端子導体14を通して互いに電気的に接続されることとなる。
【0052】
以上より、積層コンデンサアレイC1では、複数の第1及び第2の内部電極21,25と複数の誘電体層9とによって、より具体的には複数の第1及び第2の内部電極21,25と、当該複数の第1及び第2の内部電極21,25の間それぞれに一層ずつ挟まれ誘電体層9とによって第1のコンデンサC11が形成される。積層コンデンサアレイC1では、複数の第3及び第4の内部電極31,35と複数の誘電体層9とによって、より具体的には複数の第3及び第4の内部電極31,35と、当該複数の第3及び第4の内部電極31,35の間それぞれに挟まれた誘電体層9とによって第2のコンデンサC12が形成される。
【0053】
積層コンデンサアレイC1の第1のコンデンサC11では、引き出し導体23を介して第1の端子導体11に直接接続される第1の内部電極21の数を1つとし、第1の内部電極21の総数(本実施形態では、4つ)よりも少なくされている。第1の端子導体11に着目すると、第1の外部接続導体15の抵抗成分は、第1の端子導体11に対して直列接続されることとなる。これらにより、第1のコンデンサC11は、すべての内部電極が対応する端子導体に引き出し導体を介して接続されている積層コンデンサアレイに含まれる従来のコンデンサに比して、等価直列抵抗が大きくなる。また、等価直列抵抗が大きくなることによって、共振周波数での急激なインピーダンスの低下が防げ、広帯域化が可能となる。
【0054】
積層コンデンサアレイC1の第2のコンデンサC12では、引き出し導体33を介して第3の端子導体13に直接接続される第3の内部電極31の数を1つとし、第3の内部電極31の総数(本実施形態では、4つ)よりも少なくされている。第3の端子導体13に着目すると、第3の外部接続導体17の抵抗成分は、第3の端子導体13に対して直列接続されることとなる。これらにより、第2のコンデンサC12は、すべての内部電極が対応する端子導体に引き出し導体を介して接続されている積層コンデンサアレイに含まれる従来のコンデンサに比して、等価直列抵抗が大きくなる。また、等価直列抵抗が大きくなることによって、共振周波数での急激なインピーダンスの低下が防げ、広帯域化が可能となる。
【0055】
このように、積層コンデンサアレイC1では、当該積層コンデンサアレイC1に含まれる第1及び第2のコンデンサC11,C12の双方について、すべての内部電極が対応する端子導体に引き出し導体を介して接続されている従来のコンデンサに比して、等価直列抵抗を大きくすることが可能となる。
【0056】
以上述べたように、積層コンデンサアレイC1では、等価直列抵抗を制御することが可能である。
【0057】
第1のコンデンサC11では、引き出し導体23を介して第1の端子導体11に電気的に接続される第1の内部電極21の数を調整することにより、等価直列抵抗を所望の値に設定することができる。第2のコンデンサC12では、引き出し導体33を介して第3の端子導体13に電気的に接続される第3の内部電極31の数を調整することにより、等価直列抵抗を所望の値に設定することができる。そのため、積層コンデンサアレイC1では、等価直列抵抗の制御を容易に且つ精度良く行うことができる。
【0058】
第1のコンデンサC11では、引き出し導体23を介して第1の端子導体11に電気的に接続される第1の内部電極21の積層体1の積層方向での位置を調整することにより、等価直列抵抗を所望の値に設定することができる。第2のコンデンサC12では、引き出し導体33を介して第3の端子導体13に電気的に接続される第3の内部電極31の積層体1の積層方向での位置を調整することにより、等価直列抵抗を所望の値に設定することができる。
【0059】
積層コンデンサアレイC1では、第1及び第3の外部接続導体15,17が第1〜第4の端子導体11〜14が配置された側面4,5とは異なる側面6,7に配置されている。これにより、第1〜第4の端子導体11〜14と第1及び第3の外部接続導体15,17との間におけるショート不良の発生を抑制することができる。また、第1〜第4の端子導体11〜14は、当該端子導体11〜14が配置される側面4,5において、互いの間隔を比較的大きく設定することができ、端子導体11〜14間におけるショート不良の発生も抑制することができる。
【0060】
積層コンデンサアレイC1では、複数の第1及び第2の内部電極21,25は、一層の誘電体層9をそれぞれの間に挟んで互いに対向するように位置している。そのため、第1及び第2の内部電極21,25と誘電体層9とによって形成される第1のコンデンサC11の静電容量を大きくすることができる。複数の第3及び第4の内部電極31,35は、一層の誘電体層9をそれぞれの間に挟んで互いに対向するように位置している。そのため、第3及び第4の内部電極31,35と誘電体層9とによって形成される第2のコンデンサC12の静電容量を大きくすることができる。これらにより、積層コンデンサアレイC1に形成されたコンデンサC11、C12では、静電容量を大きくしつつ、等価直列抵抗を大きくするよう制御することが可能となる。
【0061】
(第2実施形態)
図3及び図4を参照して、第2実施形態に係る積層コンデンサアレイC2の構成について説明する。第2実施形態に係る積層コンデンサアレイC2は、複数の外部導体、特に外部接続導体の数等の点で第1実施形態に係る積層コンデンサアレイC1と相違する。図3は、第2実施形態に係る積層コンデンサアレイの斜視図である。図4は、第2実施形態に係る積層コンデンサアレイに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。
【0062】
第2実施形態に係る積層コンデンサアレイC2は、図3に示されるように、コンデンサ素体としての積層体1と、積層体1の外表面に配置された複数の外部導体11〜18とを備えている。
【0063】
複数の外部導体は、第1〜第4の端子導体11〜14並びに第1〜第4の外部接続導体15〜18を含んでいる。第2及び第4の外部接続導体16,18は、第1〜第4の端子導体11〜14並びに第1及び第3の外部接続導体15,17と同じく、例えば導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電性ペーストを積層体1の外表面の付与し、焼き付けることによって形成される。必要に応じて、焼き付けられた導体16,18の上にめっき層が形成されることもある。
【0064】
第2の外部接続導体16は、積層体1の第3の側面6に配置されている。第2の外部接続導体16は、第3の側面6の一部を第1及び第2の主面2,3の対向方向に沿って覆うように、第1及び第2の主面2,3に亘って形成されている。第1及び第2の外部接続導体15,16は、積層体1の外表面上において互いに電気的に絶縁されており、積層体1の第3の側面6において、第1の側面4から第2の側面5に向う方向で、第1の外部接続導体15、第2の外部接続導体16の順で配置されている。これにより、第1の外部接続導体15は第3の側面6における第1の側面4寄りとなる位置に配置され、第2の外部接続導体16は第3の側面6における第2の側面5寄りとなる位置に配置されることとなる。
【0065】
第4の外部接続導体18は、積層体1の第4の側面7に配置されている。第4の外部接続導体18は、第4の側面7の一部を第1及び第2の主面2,3の対向方向に沿って覆うように、第1及び第2の主面2,3に亘って形成されている。第3及び第4の外部接続導体17,18は、積層体1の外表面上において互いに電気的に絶縁されており、積層体1の第4の側面7において、第1の側面4から第2の側面5に向う方向で、第3の外部接続導体17、第4の外部接続導体18の順で配置されている。これにより、第3の外部接続導体17は第4の側面7における第1の側面4寄りとなる位置に配置され、第4の外部接続導体18は第4の側面7における第2の側面5寄りとなる位置に配置されることとなる。
【0066】
各第2の内部電極25には、積層体1の第3の側面6に引き出されるように伸びる引き出し導体27が形成されている。引き出し導体27は、一端が第2の内部電極25の第3の側面6側の縁に接続され、他端が第3の側面6に露出している。引き出し導体27は、第2の内部電極25と一体に形成されている。
【0067】
第2の外部接続導体16は、各引き出し導体27の第3の側面6に露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し導体27は、第2の外部接続導体16に物理的且つ電気的に接続される。これにより、各第2の内部電極25は、第2の外部接続導体16を通して互いに電気的に接続されることとなる。
【0068】
引き出し導体26は、複数の第2の内部電極25のうち、1つ以上当該第2の内部電極の総数よりも1つ少ない数以下の第2の内部電極25(本実施形態では、一つの第2の内部電極25)に形成されている。複数の第2の内部電極25は、第2の外部接続導体16を通して互いに電気的に接続されているため、すべての第2の内部電極25が第2の端子導体12に電気的に接続されることとなる。これにより、複数の第2の内部電極25は並列接続されることとなる。
【0069】
各第4の内部電極35には、積層体1の第4の側面7に引き出されるように伸びる引き出し導体37が形成されている。引き出し導体37は、一端が第4の内部電極35の第4の側面7側の縁に接続され、他端が第4の側面7に露出している。引き出し導体37は、第4の内部電極35と一体に形成されている。
【0070】
第4の外部接続導体18は、各引き出し導体37の第4の側面7に露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し導体37は、第4の外部接続導体18に物理的且つ電気的に接続される。これにより、各第4の内部電極35は、第4の外部接続導体18を通して互いに電気的に接続されることとなる。
【0071】
引き出し導体36は、複数の第4の内部電極35のうち、1つ以上当該第4の内部電極の総数よりも1つ少ない数以下の第4の内部電極35(本実施形態では、一つの第4の内部電極35)に形成されている。複数の第4の内部電極35は、第4の外部接続導体18を通して互いに電気的に接続されているため、すべての第4の内部電極35が第4の端子導体14に電気的に接続されることとなる。これにより、複数の第4の内部電極35は並列接続されることとなる。
【0072】
以上より、積層コンデンサアレイC2では、積層コンデンサアレイC1と同じく、第1及び第2のコンデンサC11,C12が形成される。
【0073】
積層コンデンサアレイC2の第1のコンデンサC11では、更に、引き出し導体27を介して第2の端子導体12に直接接続される第2の内部電極25の数を1つとし、第2の内部電極25の総数(本実施形態では、4つ)よりも少なくされている。第2の端子導体12に着目すると、第2の外部接続導体16の抵抗成分は、第2の端子導体12に対して直列接続されることとなる。これらにより、第1のコンデンサC11は、すべての内部電極が対応する端子導体に引き出し導体を介して接続されている積層コンデンサアレイに含まれる従来のコンデンサに比して、等価直列抵抗がより一層大きくなる。また、等価直列抵抗がより一層大きくなることによって、共振周波数での急激なインピーダンスの低下が防げ、更なる広帯域化が可能となる。
【0074】
積層コンデンサアレイC2の第2のコンデンサC12では、更に、引き出し導体37を介して第4の端子導体14に直接接続される第4の内部電極35の数を1つとし、第4の内部電極35の総数(本実施形態では、4つ)よりも少なくされている。第4の端子導体14に着目すると、第4の外部接続導体18の抵抗成分は、第4の端子導体14に対して直列接続されることとなる。これらにより、第2のコンデンサC12は、すべての内部電極が対応する端子導体に引き出し導体を介して接続されている積層コンデンサアレイに含まれる従来のコンデンサに比して、等価直列抵抗がより一層大きくなる。また、等価直列抵抗がより一層大きくなることによって、共振周波数での急激なインピーダンスの低下が防げ、更なる広帯域化が可能となる。
【0075】
このように、積層コンデンサアレイC2では、当該積層コンデンサアレイC2に含まれる第1及び第2のコンデンサC11,C12の双方について、すべての内部電極が対応する端子導体に引き出し導体を介して接続されている従来のコンデンサに比して、等価直列抵抗をより一層大きくすることが可能となる。
【0076】
以上述べたように、積層コンデンサアレイC2では、等価直列抵抗をより一層制御することが可能である。
【0077】
第1のコンデンサC11では、引き出し導体27を介して第2の端子導体12に電気的に接続される第2の内部電極25の数を調整することにより、等価直列抵抗を所望の値に設定することができる。第2のコンデンサC12では、引き出し導体37を介して第4の端子導体14に電気的に接続される第4の内部電極35の数を調整することにより、等価直列抵抗を所望の値に設定することができる。そのため、積層コンデンサアレイC1では、等価直列抵抗の制御をより一層容易に且つ精度良く行うことができる。
【0078】
第1のコンデンサC11では、引き出し導体27を介して第2の端子導体12に電気的に接続される第2の内部電極25の積層体1の積層方向での位置を調整することにより、等価直列抵抗を所望の値に設定することができる。第2のコンデンサC12では、引き出し導体37を介して第4の端子導体14に電気的に接続される第4の内部電極35の積層体1の積層方向での位置を調整することにより、等価直列抵抗を所望の値に設定することができる。
【0079】
積層コンデンサアレイC2では、積層コンデンサアレイC1と同様に、第1〜第4の端子導体11〜14と第1〜第4の外部接続導体15〜18との間におけるショート不良の発生を抑制することができると共に、端子導体11〜14間におけるショート不良の発生も抑制することができる。また、各側面6,7には、外部接続導体15〜18のみが配置されていることから、第1及び第2外部接続導体15,16の間隔並びに第3及び第4外部接続導体17,18の間隔を比較的大きく設定することができ、外部接続導体15〜18間におけるショート不良の発生も抑制することができる。
【0080】
積層コンデンサアレイC2では、同じ側面6に配置される第1の外部接続導体15と第2の外部接続導体16とは極性が異なることとなるため、発生する磁場が相殺され、等価直列インダクタンスの低減を図ることができる。また、同じ側面7に配置される第3の外部接続導体17と第4の外部接続導体18とも極性が異なることとなるため、発生する磁場が相殺され、等価直列インダクタンスの低減を図ることができる。
【0081】
(第3実施形態)
図5及び図6を参照して、第3実施形態に係る積層コンデンサアレイC3の構成について説明する。第3実施形態に係る積層コンデンサアレイC3は、外部接続導体の配置等の点で第2実施形態に係る積層コンデンサアレイC2と相違する。図5は、第3実施形態に係る積層コンデンサアレイの斜視図である。図6は、第3実施形態に係る積層コンデンサアレイに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。
【0082】
第3実施形態に係る積層コンデンサアレイC3は、図5に示されるように、コンデンサ素体としての積層体1と、積層体1の外表面に配置された複数の外部導体11〜18とを備えている。
【0083】
第1及び第2の外部接続導体15,16は、積層体1の第3の側面6において、第1の側面4から第2の側面5に向う方向で、第2の外部接続導体16、第1の外部接続導体15の順で配置されている。これにより、第1の外部接続導体15は第3の側面6における第2の側面5寄りとなる位置に配置され、第2の外部接続導体16は第3の側面6における第1の側面4寄りとなる位置に配置されることとなる。
【0084】
第3及び第4の外部接続導体17,18は、積層体1の第4の側面7において、第1の側面4から第2の側面5に向う方向で、第4の外部接続導体18、第3の外部接続導体17の順で配置されている。これにより、第3の外部接続導体17は第4の側面7における第2の側面5寄りとなる位置に配置され、第4の外部接続導体18は第4の側面7における第1の側面4寄りとなる位置に配置されることとなる。
【0085】
積層コンデンサアレイC3では、積層コンデンサアレイC2と同じく、第1及び第2のコンデンサC11,C12が形成される。そして、積層コンデンサアレイC3では、積層コンデンサアレイC2と同様に、等価直列抵抗をより一層制御することが可能である。
【0086】
積層コンデンサアレイC3では、第1の外部接続導体15は第3の側面6における第2の側面5寄りとなる位置に配置されているので、第1の端子導体11から第1の外部接続導体15に至る電流経路が長くなる。第2の外部接続導体16は第3の側面6における第1の側面4寄りとなる位置に配置されているので、第2の端子導体12から第2の外部接続導体16に至る電流経路が長くなる。これらによっても、コンデンサC11の等価直列抵抗を更に高くすることができる。
【0087】
積層コンデンサアレイC3では、第3の外部接続導体17は第3の側面6における第2の側面5寄りとなる位置に配置されているので、第3の端子導体13から第3の外部接続導体17に至る電流経路が長くなる。第4の外部接続導体18は第3の側面6における第1の側面4寄りとなる位置に配置されているので、第4の端子導体14から第4の外部接続導体18に至る電流経路が長くなる。これらによっても、コンデンサC12の等価直列抵抗を更に高くすることができる。
【0088】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0089】
積層コンデンサアレイに含まれるコンデンサの数は、上述した実施形態に記載された数に限られず、例えば3つ以上であってもよい。誘電体層9の積層数及び第1〜第4の内部電極21,25,31,35それぞれの積層数は、上述した実施形態に記載された数に限られない。したがって、例えば、第1及び第3の内部電極をそれぞれ2層以上、第2及び第4の内部電極をそれぞれ1層以上含んでいればよい。
【0090】
複数の第1の内部電極21のうち少なくとも一つの第1の内部電極と、複数の第2の内部電極25のうち少なくとも一つの第2の内部電極とが、少なくとも一層の誘電体層を間に挟んで互いに対向するように位置すればよい。一方、複数の第3の内部電極31のうち少なくとも一つの第3の内部電極と、複数の第4の内部電極35のうち少なくとも一つの第4の内部電極とが、少なくとも一層の誘電体層を間に挟んで互いに対向するように位置すればよい。
【0091】
第1及び第3の内部電極21,31は、同層に位置していなくてもよい。第2及び第4の内部電極25,35は、同層に位置していなくてもよい。第1〜第4の内部電極21,25,31,35の形状は、上記実施形態に記載された形状に限らず、対応する外部導体と電気的に接続されていればよい。
【0092】
端子導体11〜14の数も、上述した実施形態に記載された数に限られない。外部接続導体15〜18の数も、上述した実施形態に記載された数に限られない。第1〜第4の端子導体11〜14は、それぞれ異なる数であってもよい。第1〜第4の外部接続導体15〜18は、それぞれ異なる数であってもよい。
【0093】
引き出し導体を介して端子導体11〜14に直接接続される内部電極の数及び積層方向での位置は、上述した実施形態に記載された数及び位置に限られない。
【0094】
積層コンデンサアレイに含まれる複数のコンデンサにおいて等価直列抵抗を制御するように構成する必要はなく、積層コンデンサアレイに含まれる複数のコンデンサのうち少なくとも一つのコンデンサにおいて等価直列抵抗を制御するように構成すればよい。積層コンデンサアレイに含まれるコンデンサごとに内部電極の積層数が異なっていてもよい。
【0095】
ところで、積層コンデンサアレイC1〜C3を実装する際に、第1の端子導体11と第3の端子導体13とが逆の極性となると共に第2の端子導体12と第4の端子導体14とが逆の極性となるように設定した場合、同じ層に位置している第1の内部電極21と第3の内部電極31との極性が異なり、同じ層に位置している第2の内部電極25と第4の内部電極35との極性が異なることとなる。この場合、第1の内部電極21と第3の内部電極31とを流れる電流の向きが互いに逆向きとなると共に、第2の内部電極25と第4の内部電極35とを流れる電流の向きが互いに逆向きとなり、等価直列インダクタンスをより一層低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】第1実施形態に係る積層コンデンサアレイの斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る積層コンデンサアレイに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。
【図3】第2実施形態に係る積層コンデンサアレイの斜視図である。
【図4】第2実施形態に係る積層コンデンサアレイに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。
【図5】第3実施形態に係る積層コンデンサアレイの斜視図である。
【図6】第3実施形態に係る積層コンデンサアレイに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0097】
1…積層体、2〜3…第1〜第2の主面、4〜7…第1〜第4の側面、9…誘電体層、11〜14…第1〜第4の端子導体、15〜18…第1〜第4の外部接続導体、20…第1の内部電極群、21…第1の内部電極、22…引き出し導体、23…引き出し導体、25…第2の内部電極、26…引き出し導体、27…引き出し導体、30…第2の内部電極群、31…第3の内部電極、32…引き出し導体、33…引き出し導体、35…第4の内部電極、36…引き出し導体、37…引き出し導体、C1〜C3…積層コンデンサアレイ、C11,C12…コンデンサ。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層が積層された積層体と、前記積層体に形成された複数の外部導体とを備え、
前記積層体は、前記複数の誘電体層の積層方向と直交する第1の方向で互いに対向する第1及び第2の側面と、前記複数の誘電体層の積層方向及び前記第1の方向に直交する第2の方向で互いに対向する第3及び第4の側面とを有すると共に、複数の第1の内部電極と第2の内部電極とを有する第1の内部電極群と、第3の内部電極と第4の内部電極とを有する第2の内部電極群とを含み、
前記複数の外部導体は、前記第1及び第2の側面のうちいずれかの側面に配置された第1〜第4の端子導体と、前記第3及び第4の側面のうちいずれかの側面に配置された第1の外部接続導体と、を含み、
前記第1の内部電極群と前記第2の内部電極群とは、前記積層体内において前記第2の方向に併置されており、
前記複数の第1の内部電極のうち少なくとも一つの第1の内部電極と、前記第2の内部電極とは、少なくとも一層の前記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように位置し、
前記第3及び第4の内部電極は、少なくとも一層の前記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように位置し、
前記複数の第1の内部電極は、引き出し導体を介して前記第1の外部接続導体に電気的に接続され、
前記第2の内部電極は、引き出し導体を介して前記第2の端子導体に電気的に接続され、
前記第3の内部電極は、引き出し導体を介して前記第3の端子導体に電気的に接続され、
前記第4の内部電極は、引き出し導体を介して前記第4の端子導体に電気的に接続され、
前記複数の第1の内部電極のうち、1つ以上当該第1の内部電極の総数よりも1つ少ない数以下の第1の内部電極は、引き出し導体を介して前記第1の端子導体に電気的に接続されていることを特徴とする積層コンデンサアレイ。
【請求項2】
前記複数の外部導体は、前記第1の外部接続導体が配置された前記側面に配置された第2の外部接続導体を更に含み、
前記第1の内部電極群は、前記第2の内部電極を複数有し、
複数の前記第2の内部電極は、引き出し導体を介して前記第2の外部接続導体に電気的に接続され、
前記複数の第2の内部電極のうち、1つ以上当該第2の内部電極の総数よりも1つ少ない数以下の第2の内部電極は、引き出し導体を介して前記第2の端子導体に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の積層コンデンサアレイ。
【請求項3】
前記複数の第1及び第2の内部電極は、少なくとも一層の前記誘電体層をそれぞれの間に挟んで互いに対向するように位置していることを特徴とする請求項2に記載の積層コンデンサアレイ。
【請求項4】
前記第1の内部電極群は、前記第2の方向において前記第3の側面側に位置し、
前記第1の端子導体は、前記第1の側面に配置され、
前記第2の端子導体は、前記第2の側面に配置され、
前記第1の外部接続導体は、前記第3の側面における前記第2の側面寄りとなる位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層コンデンサアレイ。
【請求項5】
前記第2の外部接続導体は、前記第3の側面における前記第1の側面寄りとなる位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の積層コンデンサアレイ。
【請求項6】
前記複数の外部導体は、第3の外部接続導体を更に含み、
前記第2の内部電極群は、前記第3の内部電極を複数有し、
複数の前記第3の内部電極のうち少なくとも一つの第3の内部電極と、前記第4の内部電極とは、少なくとも一層の前記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように位置し、
前記複数の第3の内部電極は、引き出し導体を介して前記第3の外部接続導体に電気的に接続され、
前記複数の第3の内部電極のうち、1つ以上当該第3の内部電極の総数よりも1つ少ない数以下の第3の内部電極が、引き出し導体を介して前記第3の端子導体に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の積層コンデンサアレイ。
【請求項7】
前記複数の外部導体は、前記第3の外部接続導体が配置された前記側面に配置された第4の外部接続導体を更に含み、
前記第2の内部電極群は、前記第4の内部電極を複数有し、
複数の前記第4の内部電極は、引き出し導体を介して前記第4の外部接続導体に電気的に接続され、
前記複数の第4の内部電極のうち、1つ以上当該第4の内部電極の総数よりも1つ少ない数以下の第4の内部電極は、引き出し導体を介して前記第4の端子導体に電気的に接続されていることを特徴とする請求項6に記載の積層コンデンサアレイ。
【請求項8】
前記複数の第3及び第4の内部電極は、少なくとも一層の前記誘電体層をそれぞれの間に挟んで互いに対向するように位置していることを特徴とする請求項7に記載の積層コンデンサアレイ。
【請求項9】
前記第2の内部電極群は、前記第2の方向において前記第4の側面側に位置し、
前記第3の端子導体は、前記第1の側面に配置され、
前記第4の端子導体は、前記第2の側面に配置され、
前記第3の外部接続導体は、前記第4の側面における前記第2の側面寄りとなる位置に配置されていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の積層コンデンサアレイ。
【請求項10】
前記第4の外部接続導体は、前記第4の側面における前記第1の側面寄りとなる位置に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の積層コンデンサアレイ。
【請求項11】
前記第1及び第2の内部電極のうち少なくとも一つの内部電極と、前記第3及び第4の内部電極のうち少なくとも一つの内部電極とが、同じ層に位置しており、
同じ層に位置している前記内部電極の極性が異なっていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の積層コンデンサアレイ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−146947(P2009−146947A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−319913(P2007−319913)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】